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マンション管理士・管理業務主任者 過去試験問題 及び 解説

過去の問題を解けば、傾向が分かります。

建築基準法都市計画法水道法消防法 関係を特に抽出しました。

区分所有法関係は、「超解説 区分所有法(新版)」にあります。

その他の解説は、年度別の解説を参考にしてください。

 

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※ 出題当時以後の法令等の改正には、一部は対応していません。

★2018年 3月8日:都市計画法・建築基準法等 の改正 があり、平成30年4月1日施行で、「田園住居地域」という住居系の用途地域が創設され13番目に追加されます。(都市計画法第8条、第9条,、建築基準法第2条21号、第48条8項、別表第二など)
  田園住居地域は、農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するために定められる地域です。
 これは、平成30年では、必ず(?)出題されますから、注意してください。

建築基準法

ページ1(平成30年〜平成24年分)
建築基準法からは出題が多いので、3ページ構成にしました。
なお、建築基準法の解説も作成していますので、ご利用ください。

平成30年〜平成24年 平成23年〜平成17年 平成16年〜平成13年

  

令和1年度用

◎ 受験生の便利を考え、このサイトの運営を多大の時間をかけて更新していても、受験生の熱意が全然感じられないので、もう、令和元年からは、法律別に取りだすのは、止めた。 
      過去問題の解説を読んでください。

平成30年度 マンション管理士試験

〔問 21〕 共同住宅に関する次の記述のうち、建築基準法(昭和25 年法律第201号)の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 建築主は、防火地域及び準防火地域外にある共同住宅を増築しようとする場合で、その増築に係る部分の床面積の合計が5m2 であるときは、建築確認を受ける必要はない。

〇 正しい。 防火地域及び準防火地域外にある共同住宅を増築で、床面積が10u以内なら、建築確認を受ける必要はない。
  平成28年 マンション管理士試験 「問21」 、 平成25年 マンション管理士試験 「問41」 、平成24年 マンション管理士試験 「20」 、平成14年 マンション管理士試験 「問21」平成13年 マンション管理士試験 「問25」

 建築基準法からも、例年、あちらこちらから、2、3問は出題される。
 
 基本的に、新しい建物の建築や増築となると建築主は、着工前に行政などの関係部門に建築確認申請をして、用途地域、道路の接面状態、建ぺい率、容積率、構造などのチェックを受けなければなりません。
 それが、建築基準法第6条
 「(建築物の建築等に関する申請及び確認)
 第六条 
建築主は、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定(この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築基準法令の規定」という。)その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう。以下同じ。)に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。当該確認を受けた建築物の計画の変更(国土交通省令で定める軽微な変更を除く。)をして、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合も、同様とする。
   一 別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が百平方メートルを超えるもの
   二 木造の建築物で三以上の階数を有し、又は延べ面積が五百平方メートル、高さが十三メートル若しくは軒の高さが九メートルを超えるもの
   三 木造以外の建築物で二以上の階数を有し、又は延べ面積が二百平方メートルを超えるもの
   四 前三号に掲げる建築物を除くほか、都市計画区域若しくは準都市計画区域(いずれも都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域を除く。)若しくは景観法(平成十六年法律第百十号)第七十四条第一項の準景観地区(市町村長が指定する区域を除く。)内又は都道府県知事が関係市町村の意見を聴いてその区域の全部若しくは一部について指定する区域内における建築物
 2 前項の規定は、防火地域及び準防火地域外において建築物を増築し、改築し、又は移転しようとする場合で、その増築、改築又は移転に係る部分の床面積の合計が十平方メートル以内であるときについては、適用しない。
 3 建築主事は、第一項の申請書が提出された場合において、その計画が次の各号のいずれかに該当するときは、当該申請書を受理することができない。
   一 建築士法第三条第一項、第三条の二第一項、第三条の三第一項、第二十条の二第一項若しくは第二十条の三第一項の規定又は同法第三条の二第三項の規定に基づく条例の規定に違反するとき。
   二 構造設計一級建築士以外の一級建築士が建築士法第二十条の二第一項の建築物の構造設計を行つた場合において、当該建築物が構造関係規定に適合することを構造設計一級建築士が確認した構造設計によるものでないとき。
   三 設備設計一級建築士以外の一級建築士が建築士法第二十条の三第一項の建築物の設備設計を行つた場合において、当該建築物が設備関係規定に適合することを設備設計一級建築士が確認した設備設計によるものでないとき。
 4 建築主事は、第一項の申請書を受理した場合においては、同項第一号から第三号までに係るものにあつてはその受理した日から三十五日以内に、同項第四号に係るものにあつてはその受理した日から七日以内に、申請に係る建築物の計画が建築基準関係規定に適合するかどうかを審査し、審査の結果に基づいて建築基準関係規定に適合することを確認したときは、当該申請者に確認済証を交付しなければならない。
 5 建築主事は、前項の場合において、申請に係る建築物の計画が第六条の三第一項の構造計算適合性判定を要するものであるときは、建築主から同条第七項の適合判定通知書又はその写しの提出を受けた場合に限り、第一項の規定による確認をすることができる。
 6 建築主事は、第四項の場合(申請に係る建築物の計画が第六条の三第一項の特定構造計算基準(第二十条第一項第二号イの政令で定める基準に従つた構造計算で同号イに規定する方法によるものによつて確かめられる安全性を有することに係る部分に限る。)に適合するかどうかを審査する場合その他国土交通省令で定める場合に限る。)において、第四項の期間内に当該申請者に第一項の確認済証を交付することができない合理的な理由があるときは、三十五日の範囲内において、第四項の期間を延長することができる。この場合においては、その旨及びその延長する期間並びにその期間を延長する理由を記載した通知書を同項の期間内に当該申請者に交付しなければならない。
 7 建築主事は、第四項の場合において、申請に係る建築物の計画が建築基準関係規定に適合しないことを認めたとき、又は建築基準関係規定に適合するかどうかを決定することができない正当な理由があるときは、その旨及びその理由を記載した通知書を同項の期間(前項の規定により第四項の期間を延長した場合にあつては、当該延長後の期間)内に当該申請者に交付しなければならない。
 8 第一項の確認済証の交付を受けた後でなければ、同項の建築物の建築、大規模の修繕又は大規模の模様替の工事は、することができない。
 9 第一項の規定による確認の申請書、同項の確認済証並びに第六項及び第七項の通知書の様式は、国土交通省令で定める。」

 です。


 つまり、どんな場合に建築確認申請が必要となるのかというと、
  1. 建物の新築はかならず、
  
2. 防火地域と準防火地域内の10u(6畳程度)を超える増・改築・移転
  3. 大規模の修繕、大規模の模様替え、
  4. 特殊建築物(マンション=共同住宅で入ります)で100uを超える用途変更の場合、また
  5. 木造で3階以上も必要です。

 建築基準法第6条1項1号の 別表第一(い)欄に掲げる用途に供する”
特殊建築物”とは、「病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。)ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎その他これらに類するもので政令で定めるもの」
 とあり、
 設問の共同住宅も該当します

 そこで、設問の「防火地域及び準防火地域
にある共同住宅を増築しようとする場合で、その増築に係る部分の床面積の合計が5m2 」なら、建築基準法第6条2項の
 「2 前項の規定は、防火地域及び準防火地域外において建築物を増築し、改築し、又は移転しようとする場合で、その増築、改築又は移転に係る部分の床面積の合計が十平方メートル以内であるときについては、
適用しない。」
 に該当し、防火地域及び準防火地域外で、また、増築の床面積が10u以下の5uであるので、建築確認を受ける必要はないは、正しい。



2 政令で定める技術的基準に従って換気設備を設けた場合を除き、共同住宅の居室には換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、20 分の1以上としなければならない。

〇 正しい。  居室の換気設備は、床面積に対して、20 分の1以上とすること。
  平成29年 管理業務主任者試験 「問18」 、 平成25年 管理業務主任者試験 「問20」 、  平成19年 管理業務主任者試験 「問24」  、平成15年 マンション管理士試験 「44」 など 良く出題がある。

 まず、換気設備の必要性は、採光と並んで、建築基準法第28条
 「(居室の採光及び換気)
 第二十八条 住宅、学校、病院、診療所、寄宿舎、下宿その他これらに類する建築物で政令で定めるものの居室(居住のための居室、学校の教室、病院の病室その他これらに類するものとして政令で定めるものに限る。)には、採光のための窓その他の開口部を設け、その採光に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、住宅にあつては七分の一以上、その他の建築物にあつては五分の一から十分の一までの間において政令で定める割合以上としなければならない。ただし、地階若しくは地下工作物内に設ける居室その他これらに類する居室又は温湿度調整を必要とする作業を行う作業室その他用途上やむを得ない居室については、この限りでない。
 
2 居室には換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、二十分の一以上としなければならない。ただし、政令で定める技術的基準に従つて換気設備を設けた場合においては、この限りでない。
 3 別表第一(い)欄(一)項に掲げる用途に供する特殊建築物の居室又は建築物の調理室、浴室その他の室でかまど、こんろその他火を使用する設備若しくは器具を設けたもの(政令で定めるものを除く。)には、政令で定める技術的基準に従つて、換気設備を設けなければならない。
 4 ふすま、障子その他随時開放することができるもので仕切られた二室は、前三項の規定の適用については、一室とみなす。」
 とあります。


 ここで、
 ★居室とは、建築基準法第2条四号によると、
  「居室(とは)  居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室をいう。」とあります。
  具体的には、居間、ダイニング、キッチン、寝室、子供部屋、応接室、書斎等 継続的に使用する部屋で人が継続的に使用するので採光・換気その他環境衛生についての決まりがあります。
  玄関、廊下や階段は居室ではありません。便所、浴室も利用時間が一時的なので居室ではありません。
 ★居室に求められる室内居住環境...良好な室内居住環境を実現するために、採光、換気、防湿、遮音、温度調整、有害な化学物質の規制があります。
 ★換気も必要です。...室内で人が呼吸をすると、酸素を消費し二酸化炭素が排出され空気が汚染されます。そこで、この規定があります。

  建築基準法では、採光ともに換気についても、窓などの大きさを定め、居室の場合、床面積の1/20以上としています。

 そこで、建築基準法第28条2項によれば、設問の「政令で定める技術的基準に従って換気設備を設けた場合を除き、共同住宅の居室には換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、20 分の1以上としなければならないは、正しい。



3 主要構造部が準耐火構造である共同住宅の3階(避難階以外の階)については、その階における居室の床面積の合計が150 m2 である場合、その階から避難階又は地上に通ずる2以上の直通階段を設けなければならない。

X 誤っている。 主要構造部が準耐火構造である共同住宅の3階なら、その階における居室の床面積の合計は、200uを超えると、その階から避難階又は地上に通ずる2以上の直通階段を設けなければならない。150uなら該当しない。
 平成24年 マンション管理士試験 「問24」 、 平成20年 マンション管理士試験 「問20」 、 平成20年 管理業務主任者試験 「問18」 、 平成16年 マンション管理士試験 「21」 、 平成14年 マンション管理士試験 「問41」 。

 避難階とは、分かり難い言い方ですが、直接地上へ通じる出入口がある階のことです。
 一般的には地上に出る1階ですが、建築物が斜面に建てられている場合などでは、1階以外の階が避難階になることがあり、建物によっては避難階が複数存在することもあります。


 

  建築基準法では、地震や火災発生時などの緊急時に多数の人が安全に避難できるように、建物の用途や階高に応じ「直通階段」や「避難階段」の設置を義務付けています。
 ちなみに「直通階段」とは、建物の上層階または地下階から、地上または避難階に直通する階段のことです。階段から次の階段へは可能な限り短く連続したものとし、経路が分断されることなく、まちがいなく容易に避難できるものと規定されています。
 「避難階段」は、@屋内避難階段、A屋外避難階段、B特別避難階段の3種類に区別されています。
 
 避難階以外の階では、建築基準法施行令第121条、
 「(二以上の直通階段を設ける場合)
 第百二十一条 
建築物の避難階以外の階が次の各号のいずれかに該当する場合においては、その階から避難階又は地上に通ずる二以上の直通階段を設けなければならない。
   一 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂又は集会場の用途に供する階でその階に客席、集会室その他これらに類するものを有するもの
   二 物品販売業を営む店舗(床面積の合計が千五百平方メートルを超えるものに限る。第百二十二条第二項、第百二十四条第一項及び第百二十五条第三項において同じ。)の用途に供する階でその階に売場を有するもの
   三 次に掲げる用途に供する階でその階に客席、客室その他これらに類するものを有するもの(五階以下の階で、その階の居室の床面積の合計が百平方メートルを超えず、かつ、その階に避難上有効なバルコニー、屋外通路その他これらに類するもの及びその階から避難階又は地上に通ずる直通階段で第百二十三条第二項又は第三項の規定に適合するものが設けられているもの並びに避難階の直上階又は直下階である五階以下の階でその階の居室の床面積の合計が百平方メートルを超えないものを除く。)
     イ キャバレー、カフェー、ナイトクラブ又はバー
     ロ 個室付浴場業その他客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業を営む施設
     ハ ヌードスタジオその他これに類する興行場(劇場、映画館又は演芸場に該当するものを除く。)
     ニ 専ら異性を同伴する客の休憩の用に供する施設
     ホ 店舗型電話異性紹介営業その他これに類する営業を営む店舗
   四 病院若しくは診療所の用途に供する階でその階における病室の床面積の合計又は児童福祉施設等の用途に供する階でその階における児童福祉施設等の主たる用途に供する居室の床面積の合計が、それぞれ五十平方メートルを超えるもの
   
五 ホテル、旅館若しくは下宿の用途に供する階でその階における宿泊室の床面積の合計、共同住宅の用途に供する階でその階における居室の床面積の合計又は寄宿舎の用途に供する階でその階における寝室の床面積の合計が、それぞれ百平方メートルを超えるもの
   六 前各号に掲げる階以外の階で次のイ又はロに該当するもの
     イ 六階以上の階でその階に居室を有するもの(第一号から第四号までに掲げる用途に供する階以外の階で、その階の居室の床面積の合計が百平方メートルを超えず、かつ、その階に避難上有効なバルコニー、屋外通路その他これらに類するもの及びその階から避難階又は地上に通ずる直通階段で第百二十三条第二項又は第三項の規定に適合するものが設けられているものを除く。)
     ロ 五階以下の階でその階における居室の床面積の合計が避難階の直上階にあつては二百平方メートルを、その他の階にあつては百平方メートルを超えるもの
 
2 主要構造部が準耐火構造であるか、又は不燃材料で造られている建築物について前項の規定を適用する場合には、同項中「五十平方メートル」とあるのは「百平方メートル」と、「百平方メートル」とあるのは「二百平方メートル」と、「二百平方メートル」とあるのは「四百平方メートル」とする。
 3 第一項の規定により避難階又は地上に通ずる二以上の直通階段を設ける場合において、居室の各部分から各直通階段に至る通常の歩行経路のすべてに共通の重複区間があるときにおける当該重複区間の長さは、前条に規定する歩行距離の数値の二分の一をこえてはならない。ただし、居室の各部分から、当該重複区間を経由しないで、避難上有効なバルコニー、屋外通路その他これらに類するものに避難することができる場合は、この限りでない。」

 とあり、
 実に、複雑な構成です。


 通常なら、共同住宅は、建築基準法施行令第121条1項5号により、
 「五 ホテル、旅館若しくは下宿の用途に供する階でその階における宿泊室の床面積の合計、
共同住宅の用途に供する階でその階における居室の床面積の合計又は寄宿舎の用途に供する階でその階における寝室の床面積の合計が、それぞれ百平方メートルを超えるもの
 とあり、
 共同住宅では、その階における居室の床面積の合計が100uを超えると、その階から避難階又は地上に通ずる二以上の直通階段を設けなければならないのですが、設問では、「
主要構造部が準耐火構造」となっているのが、鍵です。
 すると、建築基準法施行令第121条2項に
 「2 
主要構造部が準耐火構造であるか、又は不燃材料で造られている建築物について前項の規定を適用する場合には、同項中「五十平方メートル」とあるのは「百平方メートル」と、「百平方メートル」とあるのは「二百平方メートル」と、「二百平方メートル」とあるのは「四百平方メートル」とする。
 とあるため、
 主要構造部が準耐火構造なら、その階における居室の床面積の合計が100uは、200uと変更されるのです。

 そこで、「主要構造部が準耐火構造である共同住宅の3階(避難階以外の階)については、その階における居室の床面積の合計が150 u である場合、その階から避難階又は地上に通ずる2以上の直通階段を設けなければならない」の「その階における居室の床面積の合計が150 u」は、200uを超えていないため、その階から避難階又は地上に通ずる2以上の直通階段を設けなくてもいいため、誤りです。



4 防火地域内にある共同住宅の屋上に設ける高さ2mの看板は、その主要な部分を不燃材料で造り、又はおおわなければならない。

〇 正しい。 防火地域内にある共同住宅の屋上に設ける看板なら、高さに関係なく、その主要な部分を不燃材料で造り、又はおおわなければならない。
 平成25年 マンション管理士試験 「問20」 、平成24年 マンション管理士試験 「問20」、 平成15年 マンション管理士試験 「問20」 

  看板等の防火措置は、建築基準法第66条
 「(看板等の防火措置)
 第六十六条 防火地域内にある看板、広告塔、装飾塔その他これらに類する工作物で、建築物の屋上に設けるもの又は高さ三メートルをこえるものは、その主要な部分を不燃材料で造り、又はおおわなければならない。」

 とあり、
 看板等の防火措置の建築基準法第66条は、
防火地域だけの規制です。準防火地域では規制がありません。
  看板、広告塔、装飾塔などで
   @屋上に設ける場合(高さは関係なく) または
   A高さ3mをこえるもの は
  その主要な部分を、
  イ.不燃材料で造るか
  ロ.不燃材料でおおう こと。
 であり、
 防火地域内にある共同住宅の屋上に設ける高さ2mの看板は、その主要な部分を不燃材料で造り、又はおおわなければならないは、正しい。


答え:4 

  難しい! 選択肢3の 100uが 200u になるとは条文も面倒。 
  また、選択肢4の「又は」は条文を正確に覚えていないと、ひっかかる。 解説も約3時間がかかった。
  
 建築基準法 については、別途  「要約 建築基準法」  もありますから、ご利用ください。
 ここで、主要構造部とか、耐火構造・準耐火構造、不燃材料などを勉強してください。
 また、過去問題の解説でも、 建築基準法  だけを取り出していますから、こちらも、参考にしてください。


《タグ》建築基準法 増築 建築確認 換気設備 避難階 直通階段 防火地域内 看板 3m

平成30年度 マンション管理士試験

〔問 36〕 マンションの建物及び設備の維持管理に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 大規模修繕工事前に実施する調査・診断の一環として、竣工図書、過去に行った調査・診断結果、修繕履歴等の資料調査を行う。

〇 適切である。 常識。
 平成19年 マンション管理士試験 「問36」 ? 下の 「問38」 も参考に。

  もうこの設問では、根拠を探すまでもなく、常識として、大規模修繕工事前に実施する調査・診断の一環として、竣工図書、過去に行った調査・診断結果、修繕履歴等の資料調査を行うは、適切です。



2 予防保全の考え方にたって、計画的に建物及び設備の点検、調査・診断、補修・修繕等を行い、不具合や故障の発生を未然に防止することとした。

〇 適切である。

 これも、もう常識の範囲。予防保全の考え方にたって、計画的に建物及び設備の点検、調査・診断、補修・修繕等を行い、不具合や故障の発生を未然に防止することとしたは、適切です。


3 建築基準法第12条第1項に規定する特定建築物の定期調査のうち、竣工後3年以内に実施する外壁タイルの調査は、目視により確認する方法で足りる。

X 適切でない。 外壁タイルの調査は、手の届く範囲は打診で、その他は目視で確認し、異常があれば、詳細に検査する。足りない。

  平成29年 マンション管理士試験 「問36」 、平成28年 マンション管理士試験 「問36」 、 平成27年 マンション管理士試験 「問37」 、 平成26年マンション管理士 試験「問36」 、  平成24年マンション管理士試験 「問37」 、平成23年管理業務主任者 試験「問28」 、 平成21年マンション管理士試験 「問38」 、 平成18年マンション管理士試験 「問37」 など。

 法律が絡むと、根拠が必要となります。
 まず、建築基準法第12条は、平成29年のマンション管理士試験 「問21」 で、出題ミスがあった条文で
 「(報告、検査等)
 第十二条 第六条第一項第一号に掲げる建築物で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの(国、都道府県及び建築主事を置く市町村の建築物(以下この項及び第三項において「国等の建築物」という。)を除く。)及び当該政令で定めるもの以外の
特定建築物(同号に掲げる建築物その他政令で定める建築物をいう。以下この条において同じ。)で特定行政庁が指定するもの(国等の建築物を除く。)の所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者。第三項において同じ。)は、これらの建築物の敷地、構造及び建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員資格者証の交付を受けている者(次項及び次条第三項において「建築物調査員」という。)にその状況の調査(これらの建築物の敷地及び構造についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含み、これらの建築物の建築設備及び防火戸その他の政令で定める防火設備(以下「建築設備等」という。)についての第三項の検査を除く。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。
 2 国、都道府県又は建築主事を置く市町村の特定建築物の管理者である国、都道府県若しくは市町村の機関の長又はその委任を受けた者(以下この章において「国の機関の長等」という。)は、当該特定建築物の敷地及び構造について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員に、損傷、腐食その他の劣化の状況の点検(当該特定建築物の防火戸その他の前項の政令で定める防火設備についての第四項の点検を除く。)をさせなければならない。ただし、当該特定建築物(第六条第一項第一号に掲げる建築物で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして前項の政令で定めるもの及び同項の規定により特定行政庁が指定するものを除く。)のうち特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て指定したものについては、この限りでない。
 3 特定建築設備等(昇降機及び特定建築物の昇降機以外の建築設備等をいう。以下この項及び次項において同じ。)で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの(国等の建築物に設けるものを除く。)及び当該政令で定めるもの以外の特定建築設備等で特定行政庁が指定するもの(国等の建築物に設けるものを除く。)の所有者は、これらの特定建築設備等について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者(次項及び第十二条の三第二項において「建築設備等検査員」という。)に検査(これらの特定建築設備等についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含む。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。
 4 国の機関の長等は、国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物の特定建築設備等について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員に、損傷、腐食その他の劣化の状況の点検をさせなければならない。ただし、当該特定建築設備等(前項の政令で定めるもの及び同項の規定により特定行政庁が指定するものを除く。)のうち特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て指定したものについては、この限りでない。
 5 特定行政庁、建築主事又は建築監視員は、次に掲げる者に対して、建築物の敷地、構造、建築設備若しくは用途、建築材料若しくは建築設備その他の建築物の部分(以下「建築材料等」という。)の受取若しくは引渡しの状況、建築物に関する工事の計画若しくは施工の状況又は建築物の敷地、構造若しくは建築設備に関する調査(以下「建築物に関する調査」という。)の状況に関する報告を求めることができる。
   一 建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者、建築主、設計者、建築材料等を製造した者、工事監理者、工事施工者又は建築物に関する調査をした者
   二 第七十七条の二十一第一項の指定確認検査機関
   三 第七十七条の三十五の五第一項の指定構造計算適合性判定機関
 6 特定行政庁又は建築主事にあつては第六条第四項、第六条の二第六項、第七条第四項、第七条の三第四項、第九条第一項、第十項若しくは第十三項、第十条第一項から第三項まで、前条第一項又は第九十条の二第一項の規定の施行に必要な限度において、建築監視員にあつては第九条第十項の規定の施行に必要な限度において、当該建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者、建築主、設計者、建築材料等を製造した者、工事監理者、工事施工者又は建築物に関する調査をした者に対し、帳簿、書類その他の物件の提出を求めることができる。
 7 建築主事又は特定行政庁の命令若しくは建築主事の委任を受けた当該市町村若しくは都道府県の職員にあつては第六条第四項、第六条の二第六項、第七条第四項、第七条の三第四項、第九条第一項、第十項若しくは第十三項、第十条第一項から第三項まで、前条第一項又は第九十条の二第一項の規定の施行に必要な限度において、建築監視員にあつては第九条第十項の規定の施行に必要な限度において、当該建築物、建築物の敷地、建築材料等を製造した者の工場、営業所、事務所、倉庫その他の事業場、建築工事場又は建築物に関する調査をした者の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、建築物、建築物の敷地、建築設備、建築材料、建築材料等の製造に関係がある物件、設計図書その他建築物に関する工事に関係がある物件若しくは建築物に関する調査に関係がある物件を検査し、若しくは試験し、又は建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者、建築主、設計者、建築材料等を製造した者、工事監理者、工事施工者若しくは建築物に関する調査をした者に対し必要な事項について質問することができる。ただし、住居に立ち入る場合においては、あらかじめ、その居住者の承諾を得なければならない。
 8 特定行政庁は、確認その他の建築基準法令の規定による処分並びに第一項及び第三項の規定による報告に係る建築物の敷地、構造、建築設備又は用途に関する台帳を整備し、かつ、当該台帳(当該処分及び当該報告に関する書類で国土交通省令で定めるものを含む。)を保存しなければならない。
 9 前項の台帳の記載事項その他その整備に関し必要な事項及び当該台帳(同項の国土交通省令で定める書類を含む。)の保存期間その他その保存に関し必要な事項は、国土交通省令で定める
。」
 とあり、

 具体的には、
  @特定建築物等は「調査」の結果...おおむね6月から3年ごとに特定行政庁に報告
  A建築設備・防火設備・昇降機・遊戯施設は「検査」の結果の報告...おおむね6月から1年まで、遊戯施設は半年ごとに特定行政庁に報告
 を行うこととなっています。



 
 そこで、設問の「竣工後3年以内に実施する外壁タイルの調査」は、

  平成20年 国土交通省告示 第282号 改正:平成28年4月25日国土交通省 告示703号 (注:直接リンクは、貼れませんでした。)
 二  建 築 物 の 外 部
    (十 一)  外装仕 上げ材 等
    (ろ)調査方法
      開口隅部、水平打継部、斜壁部等のうち
手の届く範囲をテストハ ンマーによる打診等により確認し、その他の部分は必要に応じ て双眼鏡等を使用し目視により確認 し、 異常が認められた場 合にあっては、落下に より歩行者等に危害 を加えるおそれのある部分を全面的にテスト ハンマーによる打診等により確認する。た だし、 竣工後、外壁 改修後若しくは落下に より歩行者等に危害 を加えるおそれのある 部分の全面的なテス トハンマーによる打診 等を実施した後 10 年 を超え、かつ 3 年 以 内に落下により歩行 者等に危害を加える おそれのある部分の 全面的なテストハンマーによる打診等を実 施していない場合に あっては、落下により 歩行者等に危 害を加 えるおそれのある部 分を全面的にテストハ ンマーによる打診等 により確認する(3 年 以内に外壁改修等が 行われることが確実 である場合又は別途 歩行者等 の安全を 確保するための対策 を講じている場合を除 く。)。 」
 とあり、
 特定建築物等は「調査」の結果...おおむね6月から3年ごとに特定行政庁に報告で、基本的には、手の届く範囲をテストハ ンマーによる打診等 、その他は目視により確認し、異常があれば、詳細な検査をすることになっていますから、竣工後3年以内に実施する外壁タイルの調査は、
目視により確認する方法で足りるは、適切ではありません。 テストハンマーで打診等が必要です。

  参考:外壁タイルの浮きの調査ですが、タイルの浮きは、温度の変化、乾燥・湿潤、建物の動き、地震などで、下地のモルタルやコンクリートとの接着力が不足し、下地と表面のタイルが分離して発生します。タイルが剥落すると危険なため、調査は重要です。
 その、調査の方法としては、
  ・外観目視調査...肉眼や望遠鏡など、眼で調査する。判定には経験が必要。
  ・打診法...テストハンマーで表面を叩いて、音の差で浮きを判断する。これも、判定には経験が必要。
  ・赤外線装置法...赤外線カメラにより、タイルやモルタルの浮いている部分と、健全な部分とを熱の伝導の差(温度差)で測定する。温度差の出やすい天候時に行うといい。
  ・反発法...コンクリートの強度を調べたのと同じように、シュミットハンマー等で、タイル面に一定の衝撃を与えて、その衝撃で生じた跳ね返りの大きさや音圧の違いで、浮きを調査する。
 等があります。




   
4 中低層鉄筋コンクリート造の既存マンションに対して一般的に行われている耐震診断の評価方法には、計算のレベルが異なる第1次診断法、第2次診断法及び第3次診断法があるが、第1次診断法は、簡易な診断法であるため、耐震性能があると判定するための構造耐震判定指標の値が高く設定されている。

〇 適切である。 耐震診断には、3つの診断法があり、簡易な第1次診断法では、構造耐震判定指標の値 Iso=0.8 だが、第2次診断法、第3次診断法では、Iso=0.6 である。
  平成28年 管理業務主任者試験 「問23」 、 平成24年 マンション管理士試験 「問42」 、 平成20年 管理業務主任者試験 「問28」 、 平成18年 マンション管理士試験 「問40」 
  
  既存の鉄筋コンクリート造の建物に対する耐震診断方法には、
 
第1次診断法...比較的耐震壁が多く配された建築物の耐震性能評価を目的とした診断法である。
             最も簡便な方法で、対象建物の各階の柱・壁の断面積とその階が支えている建物重量から構造耐震指標を評価する。比較的壁の多い建物には適しているが、壁の少ない建物では耐力が過小評価される。設計図面が残っていれば建物の詳細な調査を行わなくても短時間で計算できる。
 
第2次診断法...梁よりも、柱、壁などの鉛直部材の破壊が先行する建築物の耐震性能評価を目的とした診断法である。
           梁は考慮しない。設計図面が残っていることが前提である。各階の柱と壁のコンクリートと鉄筋の寸法から終局耐力を計算して、その階が支えている建物重量と比較する。その他2種要素、極短柱、下階壁抜け等の検討をする。コンクリートの圧縮強度・中性化等の試験、建物の劣化状態(ひび割れ・漏水・鉄筋錆・コンクリート爆裂)などの調査が必要となる。1次診断より結果の信頼性が高く、公共建築物(学校・庁舎等)で最も多用されている。この方法で補強を行った建物は、近年の新潟県中部地震などでも被害があまり報告されていない。想定地震力は400gal程度といわれる(保有水平体力計算は1000gal)。
 
第3次診断法...柱、壁の強さと粘りに加え、梁を考慮した診断方法である。
             設計図面が残っていることが前提である。2次診断の柱と壁に加えて梁も考慮して計算する、現行建築基準法の保有水平耐力計算とほぼ同程度のレベルで建物の終局耐力を計算する方法だが、保有水平耐力計算の計算上の仮定に最も左右されやすい。計算結果通りに建物が終局耐力に達するか否かについて、十分注意して判断する必要がある。高層建築や鉄骨造が対象となる事が多い。
 の3種がある。一般的には診断次数が高くなるほど結果の信頼性は高くなります。

 そこで、設問の前半「耐震診断の評価方法には、計算のレベルが異なる第1次診断法、第2次診断法及び第3次診断法がある」は、適切です。



 

 そして、建物の耐震性の判定には「構造耐震判定指標 Iso 値」を用います。
 構造耐震判定指標 Iso値 の算定方法は以下によります。

  Iso =Es×Z×G×U

   Es: 耐震判定基本指標(第1次診断=0.8、第2次、3次診断=0.6)
   Z:地域指標で、その地域の地震活動や想定する地震動の強さによる補正係数
   G:地盤指標で、表層地盤の増幅特性、地形効果、地盤と建物の相互作用などによる補正係数
   U:用途指標で、建物の用途などによる補正係数

   Iso≧0.6 の0.6という数字は、1968年十勝沖地震(M7.9、震度5)および1978年宮城県沖地震(M7.4、震度5)で中破以上の被害を受けた鉄筋コンクリート造建築物の2次診断の結果を比較した経験から導き出され、1981年(昭和56年)改正の現行の建築基準法により設計される建物とほぼ同程度の耐震性能を保有していると判断されます。

 そこで、 
Isoは一般的に第1次診断法の場合は0.8、第2次・第3次診断法の場合は0.6であるため、設問の後半「第1次診断法は、簡易な診断法であるため、耐震性能があると判定するための構造耐震判定指標の値が高く設定されているも適切で、選択肢4は、全体として適切です。


 

答え:3 

  いやはや、常識と外壁の調査と耐震診断の評価とは、専門的な知識が要求される、突き詰めると、かなりの難問だ。
  選択肢3や選択肢4は、過去にも出ていたが、再度、最新の根拠を探したので、ここも時間がかかった(約4時間)

《タグ》大規模修繕 調査 建築基準法第12条 外壁タイルの調査 耐震診断 Iso≧0.6 

平成30年度 マンション管理士試験

〔問 40〕 マンションの構造に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 支持杭は、杭の先端を安定した支持層に到達させ、主に杭先端の支持力によって上部荷重を支えるものである。

〇 適切である。 支持杭は、杭の先端を安定した支持層に到達させ、主に杭先端の支持力によって上部荷重を支えるものである。
  平成25年 マンション管理士試験 「問42」 、
  
 マンションなど建築物を支える地盤における杭基礎には、支持方式によって、@支持杭とA摩擦杭に分けられます。
  @ 支持杭では先端を支持層に到達させ、主として杭の先端に上向きに働く先端支持力によって荷重を支えます。
  A摩擦杭では先端を支持層まで到達させず、主として杭の側面と地盤との間に働く周面摩擦力によって荷重を支えます。摩擦杭は、支持層がかなり深い場合に採用されることが多い。

 そこで、設問の、支持杭は、杭の先端を安定した支持層に到達させ、主に杭先端の支持力によって上部荷重を支えるものであるは、適切です。


 


 なお、


 

2 防火地域内にある階数が2で延べ面積が500 m2 の共同住宅は、耐火建築物としなければならない。

〇 正しい。 防火地域内にある階数が3階以上、または延べ面積が100 m2以上なら、共同住宅は、耐火建築物としなければならない。

  平成24年 マンション管理士試験 「問20」 、  平成19年 マンション管理士試験 「問21」

  こんどは、建築基準法という「法律」からの主題ですから、「適正か」ではなく「正しいか」で解答します。

 防火地域内にある建築物は、建築基準法第61条
 「(防火地域内の建築物)
  第六十一条 
防火地域内においては、階数が三以上であり、又は延べ面積が百平方メートルを超える建築物は耐火建築物とし、その他の建築物は耐火建築物又は準耐火建築物としなければならない。ただし、次の各号の一に該当するものは、この限りでない。
   一 延べ面積が五十平方メートル以内の平家建の附属建築物で、外壁及び軒裏が防火構造のもの
   二 卸売市場の上家又は機械製作工場で主要構造部が不燃材料で造られたものその他これらに類する構造でこれらと同等以上に火災の発生のおそれの少ない用途に供するもの
   三 高さ二メートルを超える門又は塀で不燃材料で造り、又は覆われたもの
   四 高さ二メートル以下の門又は塀

 とあり、
 適用の例外はありますが、建築基準法第61条によれば、防火地域内にある階数が2で延べ面積が500 m2 の共同住宅は、階数に関係なく延べ面積が100uを超えていますから、耐火建築物としなければならないは、正しい。





 なお、準防火地域内にある建築なら、建築基準法第62条があります。



 3 建築基準法上の主要構造部とは、建築物の自重若しくは積載荷重、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるものをいう。

X 誤っている。 建築基準法上の主要構造部とは、壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない部分を除いている。
 平成25年 管理業務主任者試験 「問17」 、

 建築基準法第2条(用語の定義)5号によれば、
  「五 
主要構造部 壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、付け柱、揚げ床、最下階の床、回り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとする。
 とあり、
 建築基準法上の主要構造部とは、建築物の自重若しくは積載荷重、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるものをいうは、誤っています。

 主要構造部とは、 壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、付け柱、揚げ床、最下階の床、回り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くもの、です。


 

 また、最下階の床などは、主要構造部から除かれています。
 なお、建築における主要構造部の定義は、防火の観点からされたものです。「
構造耐力上主要な部分」との違いは、明確に理解しておくこと。

  参考:構造耐力上主要な部分(建築基準法施行令第1条3号)
 「三  構造耐力上主要な部分 基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するものをいう。)、床版、屋根版又は横架材(はり、けたその他これらに類するものをいう。)で、建築物の自重若しくは積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるものをいう。 」



 
4 耐震改修工法には、柱のじん性(粘り強さ)を向上させることを目的として、柱に鋼板を巻きつけて補強する工法もある。

〇 適切である。 耐震改修工法には、柱のじん性(粘り強さ)を向上させることを目的として、柱に鋼板を巻きつけて補強する工法もある。

  平成28年 マンション管理士試験 「問40」 、  平成25年 マンション管理士試験 「問41」 、 平成22年 管理業務主任者試験 「問26」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問41」 、 平成19年 マンション管理士試験 「問40」 、平成17年 マンション管理士試験 「41」 、 

 地震大国、日本では、地震対策は、必須事項です。淡路・阪神大震災や、2011年に起きた東日本大震災など地震による被害は甚大です。耐震診断の結果、耐震性能が足りない(構造耐震指標Is 値が0.6未満)となると震度が6程度で建物が崩壊する危険性もありますので、耐震改修工事をして、少しでも被害を防ぎましょう。

  耐震補強としては、壁やブレースの増設、柱、梁の補強をする策もあります。また、壁と柱が繋がっていて横方向の地震力が集中して、柱が破壊される例が報告されています。
 これを防ぐために、柱と壁の間に隙間・切れ目(スリット)を設けて耐震性能を上げる工法もあります。

 ピロティ形式の柱などは、地震によって、せん断される危険性が強いので、じん性(粘り強さ)を増す必要があります。そこで、柱に鋼板を巻いたり、炭素(カーボン)シート(繊維)を巻いて柱を補強しますから、耐震改修工法には、柱のじん性(粘り強さ)を向上させることを目的として、柱に鋼板を巻きつけて補強する工法もあるは、適切です。



 
答え:3

 過去問題をやっていれば、易しい。 サービス問題。

 なお、「建築基準法の解説」 も、「マンション管理士 香川事務所」 がしていますので、ご利用ください。

《タグ》構造 支持杭 建築基準法 防火地域内の建築物 主要構造部 耐震改修 柱に鋼板を巻きつけて補強する工法

平成30年度 マンション管理士試験

〔問 45〕 マンションの設備に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 既存マンションのインターネットへの接続の方法として、光ファイバーを住棟内へ引き込み、各住戸までは既存の電話回線を利用してVDSL方式により接続する方法がある。

〇 適切である。 電話回線を使用するVDSL方式もある。

 マンションのインターネット接続には、光ファイバーを利用し、既存の電話回線(銅線)を使うVDSL(Very high bit rate Digital Subscriber Line)方式、構内LAN(Local Area Network)を使う構内LAN方式、またケーブルテレビを使う方式、さらに無線を使った方式などがあります。
 そこで、既存マンションのインターネットへの接続の方法として、光ファイバーを住棟内へ引き込み、各住戸までは既存の電話回線を利用してVDSL方式により接続する方法があるは、適切です。

 高速の転送速度がある光ファイバーは、曲げに弱いので、屋内は電話回線等を使用して VDSL で結ぶ方式が用いられます。






2 高さ20mを超えるマンションに設置する避雷設備を、受雷部システム、引下げ導線システム及び接地システムからなるシステムに適合する構造とした。

〇 適切である。 20mを超えると避雷設備が必要で、受雷部システム、引下げ導線システム及び接地システムからなる。
  平成27年 マンション管理士試験 「問20」 、   平成22年 マンション管理士試験 「問20」 選択肢1   平成20年 管理業務主任者試験 「問21」 、 平成18年 マンション管理士試験 「問21」  平成16年 管理業務主任者 試験 「問25」,、
 
 高さが20mを超える建築物は、建築基準法第33条
 「(避雷設備)
  第三十三条  
高さ二十メートルをこえる建築物には、有効に避雷設備を設けなければならない。ただし、周囲の状況によつて安全上支障がない場合においては、この限りでない。 」 
 とあり、
 建築物の高さが、20mを超えると、避雷設備の設置が必要となります。



 
 その避雷設備の構造は、建築基準法施行令第129条の15
 「(構造)
  第百二十九条の十五 前条の避雷設備の構造は、次に掲げる基準に適合するものとしなければならない。
   一 雷撃によつて生ずる電流を建築物に被害を及ぼすことなく安全に地中に流すことができるものとして、
国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものであること。
   二 避雷設備の雨水等により腐食のおそれのある部分にあつては、腐食しにくい材料を用いるか、又は有効な腐食防止のための措置を講じたものであること。

 とあり、
 建築基準法施行令第129条の15 1項の「国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたもの」は、
 国交省告示第650号(平成17年) 
 「雷撃によって生ずる電流を建築物に被害を及ぼすことなく安全に地中に流すことができる避雷設備の構造方法を定める件」
 建築基準法施行令(昭和25 年政令第338 号)第129 条の15 第1 号の規定に基づき、平成12 年建設省告示第1425 号の一部を次のように改正する。
「日本工業規格A4201(建築物等の避雷設備(避雷針))-1992」を「
日本工業規格A4201(建築物等の雷保護)-2003 に規定する外部雷保護システム」に改める。」
 とあり
 日本工業規格A4201(建築物等の雷保護)-2003
  によると、避雷設備は、大きく分けると
 1.受雷部システム
 2.引下げ導線システム
 3.接地システム
 からなるので、高さ20mを超えるマンションに設置する避雷設備を、受雷部システム、引下げ導線システム及び接地システムからなるシステムに適合する構造としたは、適切です。



3 自然冷媒ヒートポンプ式給湯器は、二酸化炭素の冷媒を圧縮し高熱にして熱源としており、加熱効率が高い。

〇 適切である。 自然冷媒ヒートポンプ式給湯器は、二酸化炭素の冷媒を圧縮し高熱にして熱源としており、加熱効率が高い。
  平成22年 マンション管理士試験 「問44」 、 平成18年 マンション管理士試験 「問45」 

 自然冷媒とは、従来のフロン冷媒に対し自然界にある物質中、冷媒として使うことのできる物質の総称です。エコキュートの場合、二酸化炭素(CO2)を使用しております。
 ヒートポンプとは、熱を運ぶ媒体である冷媒に温度の低い熱を吸収させて、
圧縮機で圧縮することで高温度の熱を得ることを言います。熱を低温側から高温側にくみ上げる装置です。エコキュートでは、屋外の大気熱を吸収してお湯を沸かしますので、エアコンの冬の暖房と同じような状態で運転していることになります。自然冷媒ヒートポンプ式(低温側から高温側に熱を移し熱温を取り出す)の給湯器は、加熱効率も高く省エネと経済性に優れています。

  ヒートポンプでは、効率的に空気の熱を受け取り、水に伝える媒体「冷媒」が必要となります。
 例えばお湯を作ることを考えてみましょう。冬の水道水の温度は10℃くらいですが、これを65℃くらいまで温めてタンクに貯めておき、水とまぜて適当な温度にして使うとすると、55℃も加熱しないといけないことになりますよね。これだけのパワーをもっていて、しかも熱交換器を小さくできるなど、使いやすい気体(冷媒)は何か?
冷媒として代表的なものが「フロン」と呼ばれる人工の気体ですが、エコキュートは「二酸化炭素」を冷媒として使用しています。自然界に存在する二酸化炭素は冷媒としての効率が優れているだけでなく、フロンのようにオゾン層を破壊することもないため、地球環境にとってやさしいというメリットがあるのです。





 という訳で、設問の、自然冷媒ヒートポンプ式給湯器は、二酸化炭素の冷媒を圧縮し高熱にして熱源としており、加熱効率が高いは、適切です。


4 LED照明は、白熱灯や蛍光灯とは発光原理が異なり、電源部からの発熱はあるが、LED 単体からの発熱はない。

X 適切でない。 LED照明でも、少しは、発熱する。
  平成29年 管理業務主任者試験 「問24」 

  遅ればせながら、マンション管理士試験でも、LED照明が取り上げられるか。

 LEDランプとは、発光ダイオード(LED = Light Emitting Diode)を使用した照明器具です。LEDを使用しているため、低消費電力で長寿命といった特徴があります。
 LEDでは、白色を出すためには、2色以上の光を混ぜる必要があり、
  @青色LEDにより、黄色蛍光体を光らせる
  A光の3原色のLED(赤色・緑色・青色)を組み合わせる
  B近紫外線または紫色LEDにより、赤色・緑色・青色の蛍光体を光らせる
 の3方式があります。





 そこで、設問の、LED照明は、白熱灯や蛍光灯とは発光原理が異なりは、適切ですが、電源部からの発熱はあるが、LED 単体からの発熱はないは、蛍光灯ほどではありませんが、LED単体からの発熱は、ありますから、適切ではありません。電源部も熱くなります。

 大体、エネルギーが動くと、少なくとも熱量はでるでしょう。


答え:4

 選択肢2 の避雷設備は、JIS規格まで調べたので、時間がかかった。
 解答としては、選択肢4 を選ぶのは、易しい。
 なお、避雷設備については、別途 「マンション管理士 香川事務所」が無料で提供しています、 「要約 建築基準法」  もありますから、参考にしてください。

《タグ》設備 インターネット VDSL方式  建築基準法 避雷設備 自然冷媒ヒートポンプ式給湯器 LEDランプ

平成30年度 管理業務主任者試験

【問 17】 建築基準法による「日影による中高層の建築物の高さの制限」(以下、本問において「日影規制」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1.日影規制の対象区域とは、同法別表第 4に掲げる地域又は区域の全部又は一部で、地方公共団体の条例で指定する区域をいう。

〇 正しい。 日影規制の対象区域は、地方公共団体の条例で指定する。

 建築基準法からの出題で、日影規制とは、新しい!

 設問は、建築基準法第56条の2
 「(日影による中高層の建築物の高さの制限)
 第五十六条の二 
別表第四(い)欄の各項に掲げる地域又は区域の全部又は一部で地方公共団体の条例で指定する区域(以下この条において「対象区域」という。)内にある同表(ろ)欄の当該各項(四の項にあつては、同項イ又はロのうちから地方公共団体がその地方の気候及び風土、当該区域の土地利用の状況等を勘案して条例で指定するもの)に掲げる建築物は、冬至日の真太陽時による午前八時から午後四時まで(道の区域内にあつては、午前九時から午後三時まで)の間において、それぞれ、同表(は)欄の各項(四の項にあつては、同項イ又はロ)に掲げる平均地盤面からの高さ(二の項及び三の項にあつては、当該各項に掲げる平均地盤面からの高さのうちから地方公共団体が当該区域の土地利用の状況等を勘案して条例で指定するもの)の水平面(対象区域外の部分、高層住居誘導地区内の部分、都市再生特別地区内の部分及び当該建築物の敷地内の部分を除く。)に、敷地境界線からの水平距離が五メートルを超える範囲において、同表(に)欄の(一)、(二)又は(三)の号(同表の三の項にあつては、(一)又は(二)の号)のうちから地方公共団体がその地方の気候及び風土、土地利用の状況等を勘案して条例で指定する号に掲げる時間以上日影となる部分を生じさせることのないものとしなければならない。ただし、特定行政庁が土地の状況等により周囲の居住環境を害するおそれがないと認めて建築審査会の同意を得て許可した場合又は当該許可を受けた建築物を周囲の居住環境を害するおそれがないものとして政令で定める位置及び規模の範囲内において増築し、改築し、若しくは移転する場合においては、この限りでない。
 2 同一の敷地内に二以上の建築物がある場合においては、これらの建築物を一の建築物とみなして、前項の規定を適用する。
 3 建築物の敷地が道路、川又は海その他これらに類するものに接する場合、建築物の敷地とこれに接する隣地との高低差が著しい場合その他これらに類する特別の事情がある場合における第一項本文の規定の適用の緩和に関する措置は、政令で定める。
 4 対象区域外にある高さが十メートルを超える建築物で、冬至日において、対象区域内の土地に日影を生じさせるものは、当該対象区域内にある建築物とみなして、第一項の規定を適用する。
 5 建築物が第一項の規定による日影時間の制限の異なる区域の内外にわたる場合又は建築物が、冬至日において、対象区域のうち当該建築物がある区域外の土地に日影を生じさせる場合における同項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

 とあり、
 別表第4は、
 

★別表第4 日影による中高層の建築物の制限(第五十六条、第五十六条の二関係)

  (い) (ろ) (は) (に)
  地域又は区域 制限を受ける建築物 平均地盤面からの高さ   敷地境界線からの水平距離が十メートル以内の範囲における日影時間 敷地境界線からの水平距離が十メートルを超える範囲における日影時間
第一種低層住居専用地域、 第二種低層住居専用地域又は田園住居地域 軒の高さが七メートルを超える建築物又は地階を除く階数が三以上の建築物 一・五メートル (一) 三時間(道の区域内にあつては、二時間) 二時間(道の区域内にあつては、一・五時間)
(二) 四時間(道の区域内にあつては、三時間) 二・五時間(道の区域内にあつては、二時間)
(三) 五時間(道の区域内にあつては、四時間) 三時間(道の区域内にあつては、二・五時間)
第一種中高層住居専用地域又は第二種中高層住居専用地域 高さが十メートルを超える建築物 四メートル又は六・五メートル (一) 三時間(道の区域内にあつては、二時間) 二時間(道の区域内にあつては、一・五時間)
(二) 四時間(道の区域内にあつては、三時間) 二・五時間(道の区域内にあつては、二時間)
(三) 五時間(道の区域内にあつては、四時間) 三時間(道の区域内にあつては、二・五時間)
第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域又は準工業地域 高さが十メートルを超える建築物 四メートル又は六・五メートル (一) 四時間(道の区域内にあつては、三時間) 二・五時間(道の区域内にあつては、二時間)
(二) 五時間(道の区域内にあつては、四時間) 三時間(道の区域内にあつては、二・五時間)
用途地域の指定のない区域 軒の高さが七メートルを超える建築物又は地階を除く階数が三以上の建築物 一・五メートル (一) 三時間(道の区域内にあつては、二時間) 二時間(道の区域内にあつては、一・五時間)
(二) 四時間(道の区域内にあつては、三時間) 二・五時間(道の区域内にあつては、二時間)
(三) 五時間(道の区域内にあつては、四時間) 三時間(道の区域内にあつては、二・五時間)
高さが十メートルを超える建築物 四メートル (一) 三時間(道の区域内にあつては、二時間) 二時間(道の区域内にあつては、一・五時間)
(二) 四時間(道の区域内にあつては、三時間) 二・五時間(道の区域内にあつては、二時間)
(三) 五時間(道の区域内にあつては、四時間) 三時間(道の区域内にあつては、二・五時間)
この表において、平均地盤面からの高さとは、当該建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さにおける水平面からの高さをいうものとする。

 です。

 そこで、設問は、建築基準法第56条の2 1項によれば、日影規制の対象区域とは、同法別表第 4に掲げる地域又は区域の全部又は一部で、地方公共団体の条例で指定する区域をいうは、正しい。


 なお、解説として、
  ★いつが基準時か?
  北半球で一番昼が短い
冬至(とうじ)日(大体、12月22日頃)の真太陽時による午前8時から午後4時まで(北海道の区域内にあつては、午前9時から午後3時まで)の間において建築物が発生する日影の量を制限することで建築物の形態を制限します。
    よく読むと、用途地域の内、商業地域、工業地域、工業専用地域では基本的に日影規制の適用がありません。
    しかし、対象地域外でも高さ10mを超える建築物について、規制の対象区域に日影を発生させる場合は日影規制が適用されます。
 ★日影制限を満たすためには、建物の高さの抑制と、隣地境界線との距離を充分にとる必要があります。
 ★日影規制は、全国一律の適用ではありません。地方公共団体が、その地方の気候及び風土などを勘案して条例で定めます。制限をするのは、地方公共団体の条例です。
 ★地域によって、高さや日影の時間が違います。




2.日影規制の対象となる用途地域には、中高層住居専用地域は含まれるが、近隣商業地域、準工業地域は含まれない。

X 誤っている。 日影規制の対象には、中高層住居専用地域も近隣商業地域、準工業地域は含まれる。含まれないのは、用途地域の内、商業地域、工業地域、工業専用地域。

 選択肢1で引用しました、建築基準法第56条の2 1項
 「(日影による中高層の建築物の高さの制限)
 第五十六条の二 
別表第四(い)欄の各項に掲げる地域又は区域の全部又は一部で地方公共団体の条例で指定する区域(以下この条において「対象区域」という。)内にある同表(ろ)欄の当該各項(四の項にあつては、同項イ又はロのうちから地方公共団体がその地方の気候及び風土、当該区域の土地利用の状況等を勘案して条例で指定するもの)に掲げる建築物は、冬至日の真太陽時による午前八時から午後四時まで(道の区域内にあつては、午前九時から午後三時まで)の間において、それぞれ、同表(は)欄の各項(四の項にあつては、同項イ又はロ)に掲げる平均地盤面からの高さ(二の項及び三の項にあつては、当該各項に掲げる平均地盤面からの高さのうちから地方公共団体が当該区域の土地利用の状況等を勘案して条例で指定するもの)の水平面(対象区域外の部分、高層住居誘導地区内の部分、都市再生特別地区内の部分及び当該建築物の敷地内の部分を除く。)に、敷地境界線からの水平距離が五メートルを超える範囲において、同表(に)欄の(一)、(二)又は(三)の号(同表の三の項にあつては、(一)又は(二)の号)のうちから地方公共団体がその地方の気候及び風土、土地利用の状況等を勘案して条例で指定する号に掲げる時間以上日影となる部分を生じさせることのないものとしなければならない。ただし、特定行政庁が土地の状況等により周囲の居住環境を害するおそれがないと認めて建築審査会の同意を得て許可した場合又は当該許可を受けた建築物を周囲の居住環境を害するおそれがないものとして政令で定める位置及び規模の範囲内において増築し、改築し、若しくは移転する場合においては、この限りでない
 (以下、略)」
 とあり、
 「別表第四(い)欄の各項に掲げる地域又は区域の全部」は、表を取り出すと、

 別表第四
  (い)
  地域又は区域
 一  第一種低層住居専用地域、 第二種低層住居専用地域又は田園住居地域
 二  第一種中高層住居専用地域又は第二種中高層住居専用地域
 三  第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域又は準工業地域 
 四  用途地域の指定のない区域

 となり、設問の、(第一種、第二種)中高層住居専用地域、近隣商業地域、準工業地域は、日影による中高層の建築物の高さの制限の対象となりますから、日影規制の対象となる用途地域には、中高層住居専用地域は含まれるが、近隣商業地域、準工業地域は含まれないは、誤りです。

 用途地域の内、商業地域、工業地域、工業専用地域では基本的に日影規制の適用がありません。




 なお、用途地域は、都市計画法の地域地区のひとつで、用途の混在を防ぐことを目的として、住居、商業、工業など市街地の大枠としての土地利用を定めるもので、第一種低層住居専用地域など13種類があります。
 用途地域として、指定されると、
  1.建物の種類
  2.建ぺい率
  3.容積率
  4.高さ制限(第一種・第二種低層住居専用地域・田園住居地域)
  5.前面道路幅員別容積率制限(道路幅員に乗ずる数値)
  6.道路斜線制限
  7.隣地斜線制限
  8.日影規制
  などが決められます。



3.同法によれば、日影は、冬至日の日本標準時による午前8時から午後5時までの間において、平均地盤面に生ずるもので判断する。

X 誤っている。 冬至日の真太陽時による午前8時から午後4時まで(道の区域内にあつては、午前9時から午後3時まで)の間の平均地盤面に生ずるもので判断する。冬の午後5時では、もう暗い。

 選択肢1で引用しました、建築基準法第56条の2 1項
 「(日影による中高層の建築物の高さの制限)
 第五十六条の二 別表第四(い)欄の各項に掲げる地域又は区域の全部又は一部で地方公共団体の条例で指定する区域(以下この条において「対象区域」という。)内にある同表(ろ)欄の当該各項(四の項にあつては、同項イ又はロのうちから地方公共団体がその地方の気候及び風土、当該区域の土地利用の状況等を勘案して条例で指定するもの)に掲げる建築物は、
冬至日の真太陽時による午前八時から午後四時まで(道の区域内にあつては、午前九時から午後三時まで)の間において、それぞれ、同表(は)欄の各項(四の項にあつては、同項イ又はロ)に掲げる平均地盤面からの高さ(二の項及び三の項にあつては、当該各項に掲げる平均地盤面からの高さのうちから地方公共団体が当該区域の土地利用の状況等を勘案して条例で指定するもの)の水平面(対象区域外の部分、高層住居誘導地区内の部分、都市再生特別地区内の部分及び当該建築物の敷地内の部分を除く。)に、敷地境界線からの水平距離が五メートルを超える範囲において、同表(に)欄の(一)、(二)又は(三)の号(同表の三の項にあつては、(一)又は(二)の号)のうちから地方公共団体がその地方の気候及び風土、土地利用の状況等を勘案して条例で指定する号に掲げる時間以上日影となる部分を生じさせることのないものとしなければならない。ただし、特定行政庁が土地の状況等により周囲の居住環境を害するおそれがないと認めて建築審査会の同意を得て許可した場合又は当該許可を受けた建築物を周囲の居住環境を害するおそれがないものとして政令で定める位置及び規模の範囲内において増築し、改築し、若しくは移転する場合においては、この限りでない。
 (以下、略)

 とあり、
 日影は、冬至日の真太陽時による午前8時から午後4時まで(道の区域内にあつては、午前9時から午後3時まで)の間において、平均地盤面からの高さで判断しますから、午前8時から”午後5時”までの間では、誤りです。

 東京でも冬の午後5時では、もう暗い、4時半でも暗い。



4.建築物が日影規制の対象区域外にあれば、高さが10mを超える建築物でも日影規制は適用されない。

X 誤っている。 日影規制の対象区域外でも、高さが10mを超える建築物で冬至日に日影がでれば、日影規制は適用される。

 選択肢1で引用しました、建築基準法第56条の2 4項
 「
4 対象区域外にある高さが十メートルを超える建築物で、冬至日において、対象区域内の土地に日影を生じさせるものは、当該対象区域内にある建築物とみなして、第一項の規定を適用する。」
 とあり、
 建築物が日影規制の対象区域外でも、高さが10メートルを超える建築物で、冬至日において、対象区域内の土地に日影を生じさせるものには、日影規制は適用されるため、”日影規制は適用されない”は、誤りです。



答え: 1

 日影規制からの出題とは、まったく難しい。
 解説も表を作ったりして、時間が4時間もかかっている。

  なお、マンション管理士・管理業務主任者試験の過去問題において、建築基準法、都市計画法、水道法、消防法は、出題傾向が高いので、各々、別途取り出して、解説していますから、ご利用ください。

  http://www.higuchi-fit.co.jp/mezase/kako-mon/kako-table.html

  また、建築基準法を解説したサイトもありますから、しっかりと勉強してください。
   http://www.higuchi-fit.co.jp/mezase/kenki-hou/kenki-p01.htm

《タグ》建築基準法 日影規制 用途地域 基準時=冬至 午前8時から午後4時まで

平成30年度 管理業務主任者試験

【問 18】 補強コンクリートブロック造の塀に関する次の記述のうち、建築基準法によれば、誤っているものはどれか。ただし、国土交通大臣が定める基準に従った構造計算によって構造耐力上安全であることの確認はしていないものとする。

1.塀の高さは 3m以下とする。

X 誤っている。 補強コンクリートブロック造の高さは、2.2m以下。 3m以下ではない。

 宮城県沖地震等の被害を踏まえて、1981年(昭和56年)6月1日、建築基準法施行令が大幅に改正されました。補強コンクリートブロック造の塀の高さは3mから2.2m(標準10段積)に、石造やれんが造等の組積造の塀の高さの上限は2mから1.2mになりました。
  また、2018年(平成30年)6月18日には、大阪府北部を震源とする震度6弱の地震により、大阪府高槻市の小学校のブロック塀が倒壊し、女児がその下敷きとなって死亡した事件もあります。


  

  補強コンクリートブロック造の法的には、建築基準法施行令第62条の2

 第四節の二 補強コンクリートブロック造
 「(適用の範囲)
  第六十二条の二 この節の規定は、補強コンクリートブロツク造の建築物又は補強コンクリートブロツク造と鉄筋コンクリート造その他の構造とを併用する建築物の補強コンクリートブロツク造の構造部分に適用する。
 2 高さが四メートル以下で、かつ、延べ面積が二十平方メートル以内の建築物については、この節の規定中第六十二条の六及び第六十二条の七の規定に限り適用する。」
 
とあり、
 具体的な、塀の高さは、建築基準法施行令第62条の8
 「(塀)
 第六十二条の八 
補強コンクリートブロック造の塀は、次の各号(高さ一・二メートル以下の塀にあつては、 第五号及び第七号を除く。)に定めるところによらなければならない。ただし、国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算によつて構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、この限りでない。
   
一 高さは、二・二メートル以下とすること。
   二 壁の厚さは、十五センチメートル(高さ二メートル以下の塀にあつては、十センチメートル)以上とすること。
   三 壁頂及び基礎には横に、壁の端部及び隅角部には縦に、それぞれ径九ミリメートル以上の鉄筋を配置すること。
   四 壁内には、径九ミリメートル以上の鉄筋を縦横に八十センチメートル以下の間隔で配置すること。
   五 長さ三・四メートル以下ごとに、径九ミリメートル以上の鉄筋を配置した控壁で基礎の部分において壁面から高さの五分の一以上突出したものを設けること。
   六 第三号及び第四号の規定により配置する鉄筋の末端は、かぎ状に折り曲げて、縦筋にあつては壁頂及び基礎の横筋に、横筋にあつてはこれらの縦筋に、それぞれかぎ掛けして定着すること。ただし、縦筋をその径の四十倍以上基礎に定着させる場合にあつては、縦筋の末端は、基礎の横筋にかぎ掛けしないことができる。
  七 基礎の丈は、三十五センチメートル以上とし、根入れの深さは三十センチメートル以上とすること。

 とあり、
 建築基準法施行令第62条の8 1号によれば、補強コンクリートブロック造の塀の高さは、”
2.2m以下”ですから、塀の高さは ”3m以下”とするは、誤りです。


  

2.塀の高さが1.2mを超える場合には、長さ3.4m以下ごとに、所定の基準に従った控壁を設ける。

〇 正しい。 塀の高さが、1.2m超だと、控え壁や、基礎の丈等が必要となる。


 設問は、選択肢1で引用しました、建築基準法施行令第62条の8 5号
 「  「(塀)
 第六十二条の八 
補強コンクリートブロック造の塀は、次の各号高さ一・二メートル以下の塀にあつては、 第五号及び第七号を除く。)に定めるところによらなければならない。ただし、国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算によつて構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、この限りでない。
  
五 長さ三・四メートル以下ごとに、径九ミリメートル以上の鉄筋を配置した控壁で基礎の部分において壁面から高さの五分の一以上突出したものを設けること。」
 とあり、
 塀の高さが1.2mを超える場合には、特別の規定として、長さ3.4m以下ごとに、所定の基準に従った控壁(ひかえかべ)を設けるは、正しい。



3.塀の高さが1.2mを超える場合には、塀の基礎の丈は35p以上とし、根入れの深さは30p以上とする。

〇 正しい。 塀の高さが、1.2m超だと、控え壁や、基礎の丈等が必要となる。 用語は、選択肢1の図をみて。

 設問は、選択肢1で引用しました、建築基準法施行令第62条の8 7号
 「第六十二条の八 補強コンクリートブロック造の塀は、次の各号(高さ一・二メートル以下の塀にあつては、 第五号及び第七号を除く。)に定めるところによらなければならない。ただし、国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算によつて構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、この限りでない。
 
七 基礎の丈は、三十五センチメートル以上とし、根入れの深さは三十センチメートル以上とすること
 とあり、
 塀の高さが1.2mを超える場合には、特別の規定として、塀の基礎の丈は35p以上とし、根入れの深さは30p以上とするは、正しい。



4.同法第12条に基づく定期調査報告の対象となる塀についての劣化及び損傷の状況は、目視、下げ振り等により確認する。

〇 正しい。 塀の調査は、目視、下げ振り等により確認する。

 まず、建築基準法第12条
 「(報告、検査等)
  
第十二条 第六条第一項第一号に掲げる建築物で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの(国、都道府県及び建築主事を置く市町村の建築物(以下この項及び第三項において「国等の建築物」という。)を除く。)及び当該政令で定めるもの以外の特定建築物(同号に掲げる建築物その他政令で定める建築物をいう。以下この条において同じ。)で特定行政庁が指定するもの(国等の建築物を除く。)の所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者。第三項において同じ。)は、これらの建築物の敷地、構造及び建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員資格者証の交付を受けている者(次項及び次条第三項において「建築物調査員」という。)にその状況の調査(これらの建築物の敷地及び構造についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含み、これらの建築物の建築設備及び防火戸その他の政令で定める防火設備(以下「建築設備等」という。)についての第三項の検査を除く。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。
 2 国、都道府県又は建築主事を置く市町村の特定建築物の管理者である国、都道府県若しくは市町村の機関の長又はその委任を受けた者(以下この章において「国の機関の長等」という。)は、当該特定建築物の敷地及び構造について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員に、損傷、腐食その他の劣化の状況の点検(当該特定建築物の防火戸その他の前項の政令で定める防火設備についての第四項の点検を除く。)をさせなければならない。ただし、当該特定建築物(第六条第一項第一号に掲げる建築物で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして前項の政令で定めるもの及び同項の規定により特定行政庁が指定するものを除く。)のうち特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て指定したものについては、この限りでない。
 3 特定建築設備等(昇降機及び特定建築物の昇降機以外の建築設備等をいう。以下この項及び次項において同じ。)で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの(国等の建築物に設けるものを除く。)及び当該政令で定めるもの以外の特定建築設備等で特定行政庁が指定するもの(国等の建築物に設けるものを除く。)の所有者は、これらの特定建築設備等について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者(次項及び第十二条の三第二項において「建築設備等検査員」という。)に検査(これらの特定建築設備等についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含む。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。
 4 国の機関の長等は、国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物の特定建築設備等について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員に、損傷、腐食その他の劣化の状況の点検をさせなければならない。ただし、当該特定建築設備等(前項の政令で定めるもの及び同項の規定により特定行政庁が指定するものを除く。)のうち特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て指定したものについては、この限りでない。
 5 特定行政庁、建築主事又は建築監視員は、次に掲げる者に対して、建築物の敷地、構造、建築設備若しくは用途、建築材料若しくは建築設備その他の建築物の部分(以下「建築材料等」という。)の受取若しくは引渡しの状況、建築物に関する工事の計画若しくは施工の状況又は建築物の敷地、構造若しくは建築設備に関する調査(以下「建築物に関する調査」という。)の状況に関する報告を求めることができる。
   一 建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者、建築主、設計者、建築材料等を製造した者、工事監理者、工事施工者又は建築物に関する調査をした者
   二 第七十七条の二十一第一項の指定確認検査機関
   三 第七十七条の三十五の五第一項の指定構造計算適合性判定機関
 6 特定行政庁又は建築主事にあつては第六条第四項、第六条の二第六項、第七条第四項、第七条の三第四項、第九条第一項、第十項若しくは第十三項、第十条第一項から第三項まで、前条第一項又は第九十条の二第一項の規定の施行に必要な限度において、建築監視員にあつては第九条第十項の規定の施行に必要な限度において、当該建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者、建築主、設計者、建築材料等を製造した者、工事監理者、工事施工者又は建築物に関する調査をした者に対し、帳簿、書類その他の物件の提出を求めることができる。
 7 建築主事又は特定行政庁の命令若しくは建築主事の委任を受けた当該市町村若しくは都道府県の職員にあつては第六条第四項、第六条の二第六項、第七条第四項、第七条の三第四項、第九条第一項、第十項若しくは第十三項、第十条第一項から第三項まで、前条第一項又は第九十条の二第一項の規定の施行に必要な限度において、建築監視員にあつては第九条第十項の規定の施行に必要な限度において、当該建築物、建築物の敷地、建築材料等を製造した者の工場、営業所、事務所、倉庫その他の事業場、建築工事場又は建築物に関する調査をした者の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、建築物、建築物の敷地、建築設備、建築材料、建築材料等の製造に関係がある物件、設計図書その他建築物に関する工事に関係がある物件若しくは建築物に関する調査に関係がある物件を検査し、若しくは試験し、又は建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者、建築主、設計者、建築材料等を製造した者、工事監理者、工事施工者若しくは建築物に関する調査をした者に対し必要な事項について質問することができる。ただし、住居に立ち入る場合においては、あらかじめ、その居住者の承諾を得なければならない。
 8 特定行政庁は、確認その他の建築基準法令の規定による処分並びに第一項及び第三項の規定による報告に係る建築物の敷地、構造、建築設備又は用途に関する台帳を整備し、かつ、当該台帳(当該処分及び当該報告に関する書類で国土交通省令で定めるものを含む。)を保存しなければならない。
 9 前項の台帳の記載事項その他その整備に関し必要な事項及び当該台帳(同項の国土交通省令で定める書類を含む。)の保存期間その他その保存に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。」

 とあり、

 建築基準法第12条1項の
 「国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員資格者証の交付を受 けている者(次項及び次条第三項において「建築物調査員」という。 )にその状況の調査(これらの建築物の敷地及び構造についての損傷 、腐食その他の劣化の状況の点検を含み、これらの建築物の建築設備及び防火戸その他の政令で定める防火設備(以下「建築設備等」という。)についての第三項の検査を除く。)をさせて、その結果を特定 行政庁に報告しなければならない。 」

 を受けた、
  国土交通省告示282号(最終改正:平成28年4月25日)に寄りますと、
 建築物の定期調査報告における調査及び定期点検における点検の項目、方法及び結果の判定基準並びに調査結果表を定める件
 として、
 調査は、
定期調査報告の対象となる塀についての劣化及び損傷の状況は、目視、下げ振り等により確認するとあり、正しい。



     下げ振りにより、垂直(鉛直)かどうか分かる。


答え: 1

  塀からの出題とは、時機を得ているが、まったく新しい箇所からの出題で、しかも、専門的で余りにも細かい。
  かなりの難問だ。

 また、図や該当の国土交通省告示282号を探すのに、また2時間もかかる。

《タグ》建築基準法 塀 高さ=2.2m以下 控え壁 根入れ 調査方法 目視 下げ振り

平成29年度 マンション管理士試験

注:平成29年12月26日:試験を請け負っている 公益財団法人 マンション管理センターから 訂正文がでて、ここは、誤っているのが2つある。


〔問 21〕 建築基準法(昭和25 年法律第201号)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 共同住宅に設ける昇降機の所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者)は、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者に検査をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。

X 誤っている。 昇降機の点検が出来るのは、@一級建築士 A二級建築士 そして、建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者のうち B昇降機等検査員 である。建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者ではない。


 建築基準法からも、例年1問は出ます。
 似たような出題は、平成29年 管理業務主任者試験 「問27」 、平成28年 マンション管理士試験 「問36」 、平成25年 管理業務主任者試験 「問21」 、平成25年 管理業務主任者試験 「問12」 も 建築基準法第12条からの出題。 平成23年 管理業務主任者試験 「問25」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問37」 、 平成18年 管理業務主任者試験 「問18」 など。


  まず、建築物全体の定期報告・検査について、
 平成18年の東京都内での公共賃貸住宅のエレベーターにおける死亡事故、平成19年4月の東京都内の複合ビルのエレベーターにおける発煙事故、同年5月の大阪府内の遊園地のコースターにおける死亡事故、同年6月の東京都内の雑居ビルにおける広告板落下事故等、建築物や昇降機などに関する事故が相次ぎ発生し、この中には、建築物や昇降機などの安全性の確保にとって重要な日常の維持保全や定期報告が適切に行われていなかったことが事故の一因と見られるものがありました。
 これらを受け、平成20年4月から、特殊建築物等や昇降機、遊戯施設、建築設備について定期報告の調査や検査項目が見直されています。
 さらに、福山市のホテル火災、長崎市のグループホーム火災、福岡市の診療所火災など、多数の死者が出る火災事故が続いています。
これらの事故において被害が拡大した原因の一つとして、建築物が適法な状態で管理されていなかったことが掲げられていますが、こうした事態を踏まえ、建築基準法を改正し(建築基準法の一部を改正する法律(平成26年法律第54号))、平成28年6月1日から、新たな制度が施行されることとなりました。  平成26年6月4日(施行:平成28年6月1日)


 なお、定期報告制度の趣旨は、不特定多数の者が利用する建築物や高齢者等の自力避難困難者が就寝用途で利用する建築物については、建築物の不備・不具合等が原因で大きな被害が発生するおそれがあるため、建築物の適切な維持保全を行うことにより、被害を未然に防ぐ必要があります。
 そのため、建築基準法では、建築物の適切な維持保全を担保する仕組みとして、建築物・建築設備・防火設備・昇降機等について、定期的に専門の技術者に調査・検査をさせ、その結果を特定行政庁(建築主事を置く地方公共団体)に報告させることを、建築物の所有者等に義務付けています。
 この制度では、適切に調査・検査をすることで、建築物等の不備・不具合等を所有者等自らが把握し、報告を受けた特定行政庁は、その内容に応じて必要な措置を講じることで、建築物の利用者の安全性の確保を図ることとしています。




 この調査・検査の報告制度は、今までは、地域の実情に応じ、特定行政庁(建築主事を置く地方公共団体)が報告の対象を定めていました。
 それを、今回の改正により、避難上の安全確保等の観点から、
   @不特定多数の者が利用する建築物(特定建築物)及びこれらの建築物に設けられた防火設備
   A高齢者等の自力避難困難者が就寝用途で利用する施設及びこれらの施設に設けられた防火設備
   Bエレベーター、エスカレーター、小荷物専用昇降機
 を国が政令で一律に報告の対象としました。


 具体的には、
  @特定建築物等は「調査」結果...おおむね6月から3年ごとに特定行政庁に報告
  A建築設備・防火設備・昇降機・遊戯施設は「検査」結果の報告...おおむね6月から1年までの。遊戯施設は半年ごとに特定行政庁に報告
 を行うこととなっています。

 
 *調査・検査ができる専門の技術者とは、
 法改正前は、一級建築士、二級建築士の他に、資格者(特殊建築物調査資格者、昇降機検査資格者、建築設備検査資格者)が調査・検査できる事になっていましたが、この資格者を法律に位置づけ、「専門の技術者」とは、建築基準法に規定された次のいずれかの資格を有するものです。
 
 ・ 一級建築士
  ・ 二級建築士 は全部
  ・ そして次の資格者は対象のものだけ調査・検査ができます。
     ・ 建築物 ...特定建築物調査員((特定建築物調査員資格者証の交付を受けている者)     
     ・ 防火設備 ...防火設備検査員(新設)(防火設備検査員資格者証の交付を受けている者)
     ・ 昇降機及び遊戯施設 ...
昇降機等検査員(昇降機等検査員資格者証の交付を受けている者)
     ・ 建築設備 ...建築設備検査員(建築設備検査員資格者証の交付を受けている者)




 これを踏まえ、報告・検査は、建築基準法第12条
 「(報告、検査等)
 第十二条 第六条第一項第一号に掲げる建築物で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの(国、都道府県及び建築主事を置く市町村の建築物(以下この項及び第三項において「国等の建築物」という。)を除く。)及び当該政令で定めるもの以外の
特定建築物(同号に掲げる建築物その他政令で定める建築物をいう。以下この条において同じ。)で特定行政庁が指定するもの(国等の建築物を除く。)の所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者。第三項において同じ。)は、これらの建築物の敷地、構造及び建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員資格者証の交付を受けている者(次項及び次条第三項において「建築物調査員」という。)にその状況の調査(これらの建築物の敷地及び構造についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含み、これらの建築物の建築設備及び防火戸その他の政令で定める防火設備(以下「建築設備等」という。)についての第三項の検査を除く。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。
2 国、都道府県又は建築主事を置く市町村の特定建築物の管理者である国、都道府県若しくは市町村の機関の長又はその委任を受けた者(以下この章において「国の機関の長等」という。)は、当該特定建築物の敷地及び構造について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員に、損傷、腐食その他の劣化の状況の点検(当該特定建築物の防火戸その他の前項の政令で定める防火設備についての第四項の点検を除く。)をさせなければならない。ただし、当該特定建築物(第六条第一項第一号に掲げる建築物で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして前項の政令で定めるもの及び同項の規定により特定行政庁が指定するものを除く。)のうち特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て指定したものについては、この限りでない。
3 
特定建築設備等(昇降機及び特定建築物の昇降機以外の建築設備等をいう。以下この項及び次項において同じ。)で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの(国等の建築物に設けるものを除く。)及び当該政令で定めるもの以外の特定建築設備等で特定行政庁が指定するもの(国等の建築物に設けるものを除く。)の所有者は、これらの特定建築設備等について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者(次項及び第十二条の三第二項において「建築設備等検査員」という。)に検査(これらの特定建築設備等についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含む。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。
4 国の機関の長等は、国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物の特定建築設備等について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員に、損傷、腐食その他の劣化の状況の点検をさせなければならない。ただし、当該特定建築設備等(前項の政令で定めるもの及び同項の規定により特定行政庁が指定するものを除く。)のうち特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て指定したものについては、この限りでない。
5 特定行政庁、建築主事又は建築監視員は、次に掲げる者に対して、建築物の敷地、構造、建築設備若しくは用途、建築材料若しくは建築設備その他の建築物の部分(以下「建築材料等」という。)の受取若しくは引渡しの状況、建築物に関する工事の計画若しくは施工の状況又は建築物の敷地、構造若しくは建築設備に関する調査(以下「建築物に関する調査」という。)の状況に関する報告を求めることができる。
   一 建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者、建築主、設計者、建築材料等を製造した者、工事監理者、工事施工者又は建築物に関する調査をした者
   二 第七十七条の二十一第一項の指定確認検査機関
   三 第七十七条の三十五の五第一項の指定構造計算適合性判定機関
6 特定行政庁又は建築主事にあつては第六条第四項、第六条の二第六項、第七条第四項、第七条の三第四項、第九条第一項、第十項若しくは第十三項、第十条第一項から第三項まで、前条第一項又は第九十条の二第一項の規定の施行に必要な限度において、建築監視員にあつては第九条第十項の規定の施行に必要な限度において、当該建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者、建築主、設計者、建築材料等を製造した者、工事監理者、工事施工者又は建築物に関する調査をした者に対し、帳簿、書類その他の物件の提出を求めることができる。
7 建築主事又は特定行政庁の命令若しくは建築主事の委任を受けた当該市町村若しくは都道府県の職員にあつては第六条第四項、第六条の二第六項、第七条第四項、第七条の三第四項、第九条第一項、第十項若しくは第十三項、第十条第一項から第三項まで、前条第一項又は第九十条の二第一項の規定の施行に必要な限度において、建築監視員にあつては第九条第十項の規定の施行に必要な限度において、当該建築物、建築物の敷地、建築材料等を製造した者の工場、営業所、事務所、倉庫その他の事業場、建築工事場又は建築物に関する調査をした者の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、建築物、建築物の敷地、建築設備、建築材料、建築材料等の製造に関係がある物件、設計図書その他建築物に関する工事に関係がある物件若しくは建築物に関する調査に関係がある物件を検査し、若しくは試験し、又は建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者、建築主、設計者、建築材料等を製造した者、工事監理者、工事施工者若しくは建築物に関する調査をした者に対し必要な事項について質問することができる。ただし、住居に立ち入る場合においては、あらかじめ、その居住者の承諾を得なければならない。
8 特定行政庁は、確認その他の建築基準法令の規定による処分並びに第一項及び第三項の規定による報告に係る建築物の敷地、構造、建築設備又は用途に関する台帳を整備し、かつ、当該台帳(当該処分及び当該報告に関する書類で国土交通省令で定めるものを含む。)を保存しなければならない。
9 前項の台帳の記載事項その他その整備に関し必要な事項及び当該台帳(同項の国土交通省令で定める書類を含む。)の保存期間その他その保存に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。」

 とあり、
 建築基準法第12条3項での建築設備等検査員資格者証の種類は、建築基準法施行規則第6条の5
 
「(建築物調査員資格者証等の種類)
 第六条の五 法第十二条第一項(法第八十八条第一項において準用する場合を含む。次条において同じ。)に規定する建築物調査員資格者証の種類は、特定建築物調査員資格者証及び昇降機等検査員資格者証とする。
 2 
法第十二条第三項(法第八十八条第一項において準用する場合を含む。次条において同じ。)に規定する建築設備等検査員資格者証の種類は、建築設備検査員資格者証、防火設備検査員資格者証及び昇降機等検査員資格者証とする。」

 とあり、
 建築設備等検査員資格者証の種類は、
 @建築設備検査員資格者証、
 A防火設備検査員資格者証 及び
 B昇降機等検査員資格者証
 があります。


 これら、@建築設備検査員資格者証、 A防火設備検査員資格者証 及び B昇降機等検査員資格者証 の交付を受けた者は、
  @建築設備検査員
  A防火設備検査員
 
 B昇降機等検査員
 と呼ばれます。(建築基準法施行規則第6条の6 表参照) 


 そこで、建築基準法第12条1項及び3項での、昇降機を定期に検査出来るのは、
  @一級建築士
  A二級建築士
  B
昇降機等検査員 であり、
 設問の、共同住宅に設ける昇降機の所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者)は、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は”建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者”に検査をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならないのうち、”建築設備
検査員資格者証の交付を受けている者”では、昇降機等検査員以外の建築設備検査員や防火設備検査員も含まれるため、誤りです。

 *なお、昇降機(エレベーター)の定期検査と保守点検の違いは、
  ・定期検査とは、建築基準法第12条3項に基づく検査です。
   定期検査では、検査者(一級建築士または二級建築士または昇降機等検査員)がおおむね6ヶ月〜1年ごとに、「エレベーターが国土交通大臣が定める基準に適合しているかどうか」を調べます。
  ・保守点検とは、建築基準法第8条に基づく点検です。
   保守点検では、専門技術者がおおむね月1以内ごとに、「エレベーターに異常がないかどうか」、安全の保持と性能の維持を中心にを調べます。保守点検の記録は3年以上保管するものとされています。(昇降機の維持及び運行の管理に関する指針)




 

2 共同住宅の各戸の界壁は、小屋裏又は天井裏に達するものとするほか、その構造を遮音性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。

〇 正しい。
 平成24年 マンション管理士試験 「問20」 、平成20年 マンション管理士試験 「問21


 ★界壁(かいへき)とは...アパートやマンション、昔の長屋など集合(共同)住宅の住戸と住戸の境目の壁のことを指します。各戸と各戸の間を区切っている壁のことです。
  隣接する住戸からの火災を防ぐために、耐火性能、また、隣戸からの音をさえぎる遮音性能の基準が法令により定められています。
  界壁は小屋裏または天井裏まですき間なく立ち上げることが義務づけられています。そして、隣接する住戸からの日常の生活音を衛生上支障がない程度になるよう、遮音構造としなければなりません。
  戸境壁(こざかいへき)、戸界壁ともいいます。
★界壁(かいへき)は、天井まででなく、小屋裏または天井裏まで到達させることです。天井まででは、延焼防止になりません。

 


 共同住宅の各戸の界壁は、建築基準法第30条
 「(長屋又は共同住宅の各戸の界壁)
 第三十条 長屋又は
共同住宅の各戸の界壁は、小屋裏又は天井裏に達するものとするほか、その構造を遮音性能(隣接する住戸からの日常生活に伴い生ずる音を衛生上支障がないように低減するために界壁に必要とされる性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。

 とあり、
 正しい。



3 防火地域又は準防火地域内にある共同住宅で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる。

〇 正しい。
 平成25年 マンション管理士試験 「問20」 平成15年 マンション管理士試験 「問20」 


 設問は、建築基準法第65条
 「(隣地境界線に接する外壁)
 第六十五条 
防火地域又は準防火地域内にある建築物で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる。

 とあり、
 正しい。



4 共同住宅の住戸及び住戸から地上に通ずる廊下、階段その他の通路には、非常用の照明装置を設けなければならない。

X 誤っている。 共同住宅の住戸は、除かれる。
 平成27年 管理業務主任者試験 「問23」 

 設問は、築基準法施行令第126条の4
 「第四節 非常用の照明装置
 (設置)
 第百二十六条の四 法別表第一(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供する特殊建築物の居室、階数が三以上で延べ面積が五百平方メートルを超える建築物の居室、第百十六条の二第一項第一号に該当する窓その他の開口部を有しない居室又は延べ面積が千平方メートルを超える建築物の居室及びこれらの居室から地上に通ずる廊下、階段その他の通路(採光上有効に直接外気に開放された通路を除く。)並びにこれらに類する建築物の部分で照明装置の設置を通常要する部分には、非常用の照明装置を設けなければならない。
ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物又は建築物の部分については、この限りでない
   
一 一戸建の住宅又は長屋若しくは共同住宅の住戸
   二 病院の病室、下宿の宿泊室又は寄宿舎の寝室その他これらに類する居室
   三 学校等
   四 避難階又は避難階の直上階若しくは直下階の居室で避難上支障がないものその他これらに類するものとして国土交通大臣が定めるもの」

 とあり、
 築基準法施行令第126条の4 ただし書き1号により、共同住宅の住戸は、除かれているため、誤りです。



答え:1 と 4 

  いやはや、出題元の 公益財団法人 マンション管理センター は酷い出題ミスをしてくれたものだ。
  単純に、平成28年に改正があった、建築基準法第12条での昇降機の検査者の正誤だけを訊くつもりが、出題者の理解度が低かったために、思いがけない出題ミスになってしまった。

  おかげで、解説にも時間がかかり、解説者としても非常に迷惑を被っている。
 出題ミスが無ければ、選択肢4 を選ぶことは、過去問題をやっていれば、早い。

 この出題ミスの顛末は、下にありますので、見てください。


 
建築基準法 については、別途 「要約 建築基準法」 もありますから、ご利用ください。
 また、過去問題の解説でも、 建築基準法  だけを取り出していますから、こちらも、参考にしてください。



《タグ》建築基準法 昇降機の検査 界壁 外壁 非常用の照明装置

平成29年度 マンション管理士試験

〔問 37〕 マンションの建物の維持保全に関する法令の規定に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 マンション管理適正化法によれば、宅地建物取引業者は、管理組合の管理者等に対し、建築基準法第6条に規定される確認申請に用いた設計図書を交付しなければならない。

X 誤っている。 建築基準法第6条に規定される”確認申請に用いた設計図書”は入っていない。工事完了時の各種図書。また、全ての宅地建物取引業者が対象ではない。

 平成26年 マンション管理士試験 「問50」 、 平成18年 管理業務主任者試験 「問50」 、 平成17年 マンション管理士試験 「問50」 、 平成15年 マンション管理士試験 「問50」 

 どうして、この「問37」 で「マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下、マンション管理適正化法といいます)」からの出題があるのか、多いに疑問です。それは、マンション管理適正化法からの出題は、例年「問46」から「問50」となっており、マンション管理士試験か管理業務主任者試験の合格者には免除される部分ですから。

 設問の宅地建物取引業者の設計図書の交付は、マンション管理適正化法第103条
 「第六章 雑則
 (設計図書の交付等)
 第百三条 
宅地建物取引業者(宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号)第二条第三号に規定する宅地建物取引業者をいい、同法第七十七条第二項の規定により宅地建物取引業者とみなされる者(信託業務を兼営する金融機関で政令で定めるもの及び宅地建物取引業法第七十七条第一項の政令で定める信託会社を含む。)を含む。以下同じ。)は、自ら売主として人の居住の用に供する独立部分がある建物(新たに建設された建物で人の居住の用に供したことがないものに限る。以下同じ。)を分譲した場合においては、国土交通省令で定める期間内に当該建物又はその附属施設の管理を行う管理組合の管理者等が選任されたときは、速やかに、当該管理者等に対し、当該建物又はその附属施設の設計に関する図書で国土交通省令で定めるものを交付しなければならない。
2 前項に定めるもののほか、宅地建物取引業者は、自ら売主として人の居住の用に供する独立部分がある建物を分譲する場合においては、当該建物の管理が管理組合に円滑に引き継がれるよう努めなければならない。」
 とあり、
 引用されています「国土交通省令で定めるもの」は、マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則第102条
 「第百二条 法第百三条第一項の国土交通省令で定める図書は、次の各号に掲げる、
工事が完了した時点の同項の建物及びその附属施設(駐車場、公園、緑地及び広場並びに電気設備及び機械設備を含む。)に係る図書とする。
   一 付近見取図
   二 配置図
   三 仕様書(仕上げ表を含む。)
   四 各階平面図
   五 二面以上の立面図
   六 断面図又は矩計図
   七 基礎伏図
   八 各階床伏図
   九 小屋伏図
   十 構造詳細図
   十一 構造計算書」

 とあり、
 マンション管理適正化法第103条によれば、
”工事が完了した時点での各種図書”であり、建築基準法第6条に規定される”確認申請に用いた設計図書”は、入っていませんから、誤りです。また、このマンション管理適正化法第103条が適用されるのは、宅地建物取引業でも、自ら売主の場合だけですから、最終的に誤りです。


2 建築基準法第8条第2項に規定されている建築物の維持保全に関する計画には、維持保全の実施体制や資金計画等を定めることとされている。

〇 正しい。

 建築基準法第8条は、どこかで、出た問題だと調べて、やっと、古い 平成14年 管理業務主任者試験 「問16」 や 平成13年 管理業務主任者試験 「問17」 を見つけた。

 建築基準法第8条は、
 「(維持保全)
 第八条 建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない。
2 第十二条第一項に規定する建築物の所有者又は管理者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するため、
必要に応じ、その建築物の維持保全に関する準則又は計画を作成し、その他適切な措置を講じなければならない。この場合において、国土交通大臣は、当該準則又は計画の作成に関し必要な指針を定めることができる。
 です。


 そして、建築基準法第8条2項の、国土交通大臣が定めた指針は、建設省告示第606号 昭和60年3月19日付
 「第 3 計画に定めるべき事項
  計画には、おおむね次の各号に掲げる項目につき、それぞれ当該各号に掲げる事項を定めるも のとする。
     一 建築物の利用計画 建築物又はその部分の用途等、将来の増改築の予定等に関する事項
     
二 維持保全の実施体制 維持保全を行うための組織、維持保全業務の委託、建築士その他専門技術者の関与等に関する事項
     三 維持保全の責任範囲 計画作成者の維持保全の責任範囲に関する事項
     四 占有者に対する指導等 建築物の破損時等における通報、使用制限の遵守等に関する事項
     五 点検 点検箇所、点検時期、点検者、点検に当たつての判断基準、結果の報告等に関する事 項
     六 修繕 修繕計画の作成、修繕工事の実施等に関する事項
     七 図書の作成、保管等 維持保全計画書、確認通知書、竣工図、設備仕様書等の作成、保管、 廃棄等に関する事項
     
八 資金計画 点検、修繕等の資金の確保、保険等に関する事項
     九 計画の変更 計画の変更の手続等に関する事項
     十 その他 前各号に掲げるもののほか、維持保全を行うため必要な事項」
 とあり、
 昭和60年3月19日建設省告示第606号によると、建築物の維持保全に関する計画には、維持保全の実施体制や資金計画等を定めることとされているので、正しい。



3 長期優良住宅の普及の促進に関する法律(平成20 年法律第87号)においては、長期優良住宅建築等計画の認定基準として、新築、増築又は改築のいずれの場合にあっても、新築後、増築後又は改築後の維持保全の期間は30年以上と定められている。

〇 正しい。
  平成29年 管理業務主任者試験 「問25」 、 平成25年 マンション管理士試験 「問39」 、 平成23年 マンション管理士試験 「問39」

  時々、長期優良住宅の普及の促進に関する法律からの出題がある。

 長期優良住宅の普及の促進に関する法律制定の目的は、従来の「つくっては壊す」スクラップ&ビルド型の社会から、「いいものを作って、きちんと手入れをして長く大切に使う」ストック活用型の社会への転換を目的として、長期にわたり住み続けられるための措置が講じられた優良な住宅(=長期優良住宅)を普及させるためです。平成20年12月5日に成立し、平成21年6月4日に施行されました。

 そして、「長期優良住宅」とは、長期にわたり良好な状態で使用するための措置がその構造及び設備に講じられた優良な住宅のことです。
 長期優良住宅の建築および維持保全の計画を作成して所管行政庁に申請することで、基準に適合する場合には認定を受けることができます。
 新築についての認定制度は平成21年6月4日より、既存の住宅を増築・改築する場合の認定制度は平成28年4月1日より開始しています。

 認定を受けると、税金の特例措置、補助金、融資等の優遇措置があります。
 また、計画の認定を受けた後には、計画の認定を受けた人(認定計画実施者)は、認定を受けた計画に基づき住宅を建築し、建築工事の完了後は維持保全を行うとともに、建築・維持保全の状況について記録を作成し、保存します。


 まず、定義。長期優良住宅の普及の促進に関する法律第2条
 「(
定義)
第二条 この法律において「住宅」とは、人の居住の用に供する建築物(建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第一号に規定する建築物をいう。以下この項において同じ。)又は建築物の部分(人の居住の用以外の用に供する建築物の部分との共用に供する部分を含む。)をいう。
2 この法律において「建築」とは、住宅を新築し、増築し、又は改築することをいう
3 この法律において「維持保全」とは、次に掲げる住宅の部分又は設備について、点検又は調査を行い、及び必要に応じ修繕又は改良を行うことをいう。
   一 住宅の構造耐力上主要な部分として政令で定めるもの
   二 住宅の雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるもの
   三 住宅の給水又は排水の設備で政令で定めるもの
 (以下、略)」

 とあり、
 長期優良住宅の普及の促進に関する法律第2条2項では、「「建築」とは、住宅を新築し、増築し、又は改築することをいう」です。

 そして、長期優良住宅建築等計画の認定基準は、長期優良住宅の普及の促進に関する法律第6条
 「(認定基準等)
 第六条 所管行政庁は、前条第一項から第三項までの規定による認定の申請があった場合において、当該申請に係る長期優良住宅建築等計画が次に掲げる基準に適合すると認めるときは、その認定をすることができる。
   一 建築をしようとする住宅の構造及び設備が長期使用構造等であること。
   二 建築をしようとする住宅の規模が国土交通省令で定める規模以上であること。
   三 建築をしようとする住宅が良好な景観の形成その他の地域における居住環境の維持及び向上に配慮されたものであること。
   四 前条第一項又は第二項の規定による認定の申請に係る長期優良住宅建築等計画にあっては、次に掲げる基準に適合すること。
     イ 建築後の住宅の維持保全の方法が当該住宅を長期にわたり良好な状態で使用するために誘導すべき国土交通省令で定める基準に適合するものであること。
     
ロ 建築後の住宅の維持保全の期間が三十年以上であること。
     ハ 資金計画が当該住宅の建築及び維持保全を確実に遂行するため適切なものであること。
   五 前条第三項の規定による認定の申請に係る長期優良住宅建築等計画にあっては、次に掲げる基準に適合すること。
     イ 建築後の住宅の維持保全の方法の概要が当該住宅を三十年以上にわたり良好な状態で使用するため適切なものであること。
     ロ 資金計画が当該住宅の建築を確実に遂行するため適切なものであること。
   六 その他基本方針のうち第四条第二項第三号に掲げる事項に照らして適切なものであること。
 (以下、略)」

 とあり、
 長期優良住宅の普及の促進に関する法律第6条1項4号ロによれば、長期優良住宅建築等計画の認定基準として、新築、増築又は改築のいずれの場合にあっても、新築後、増築後又は改築後の維持保全の期間は30年以上と定められているは、正しい。



4 住宅の品質確保の促進等に関する法律(平成11 年法律第81 号)の規定による住宅性能表示制度において、鉄筋コンクリート造の既存住宅の劣化対策等級の評価基準には、コンクリートの中性化深さ及びコンクリート中の塩化物イオン量が含まれている。

〇 正しい。
 平成28年 マンション管理士試験 「問41」 選択肢4 、 平成28年 管理業務主任者試験 「問24」 平成25年 マンション管理士試験 「問39」 選択肢2 

  住宅の品質確保の促進等に関する法律は、民法での瑕疵担保責任での例外規定の他にも、日本住宅性能表示基準も定めています。この制度は平成12年から開始しています。

 日本住宅性能表示基準は、住宅の品質確保の促進等に関する法律第3条以下に規定されており、「
住宅性能表示制度」とは、住宅の性能を統一された表示ルールで比較できるように表示を行うことを定めた制度のことです。
 「住宅性能表示制度」により、住宅取得者が前もって住宅性能の違いを比較出来るようにしています。
 具体的には、
   1.構造の安定に関すること(必須/選択あり)
   2.火災時の安全に関すること(全部選択へ)
   3.劣化の軽減に関すること(必須のみ)
   4.維持管理・更新への配慮に関すること(多くは必須)
   5.温熱環境・エネルギー消費量に関すること(旧 温熱環境に関すること)(必須のみ)
   6.空気環境に関すること(全部選択へ)
   7.光・視環境に関すること(全部選択へ)
   8.音環境に関すること(選択)
   9.高齢者等への配慮に関すること(選択)
  10.防犯に関すること(全部選択へ)
  など10項目について、共通のルール(表示や評価の方法の基準)に基づき、住宅の性能を表示(評価)します。
 住宅の性能の評価は、国土交通大臣等に登録された第三者機関(登録住宅性能評価機関)が希望により有償で行います。

  平成27年(2015年)4月1日より、住宅性能表示制度が改正され、評価の必須項目が10分野から以下の4分野へと大幅に緩和されました。
   1.構造の安定
   2.劣化の軽減
   3.維持管理、更新への配慮
   4.温熱環境、エネルギー消費量


  では、住宅の品質確保の促進等に関する法律第3条
 「(日本住宅性能表示基準)
 第三条 
国土交通大臣及び内閣総理大臣は、住宅の性能に関する表示の適正化を図るため、日本住宅性能表示基準を定めなければならない
2 日本住宅性能表示基準は、利害関係人の意向を適切に反映するように、かつ、その適用に当たって同様な条件の下にある者に対して不公正に差別を付することがないように定め、又は変更しなければならない。
3 国土交通大臣又は内閣総理大臣は、日本住宅性能表示基準を定め、又は変更しようとする場合において、必要があると認めるときは、当該日本住宅性能表示基準又はその変更の案について、公聴会を開いて利害関係人の意見を聴くことができる。
4 国土交通大臣及び内閣総理大臣は、日本住宅性能表示基準を定め、又は変更しようとするときは、あらかじめ、国土交通大臣にあっては社会資本整備審議会の議決を、内閣総理大臣にあっては消費者委員会の議決を、それぞれ経なければならない。
5 国土交通大臣及び内閣総理大臣は、日本住宅性能表示基準を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを告示しなければならない。

 とあり、
 住宅の品質確保の促進等に関する法律第3条1項により、「日本住宅性能表示基準」が定められています。


 そして、定められた、「日本住宅性能表示基準」は、
 平成13年8月14日 国土交通省告示第1346号(最終改正は平成28年12月21日消費者庁・国土交通省告示第3号) です。

    http://www.mlit.go.jp/common/001178913.pdf


 そこで、3-1劣化対策等級(構造躯体等)での、鉄筋コンクリート造の既存住宅の劣化対策等級の評価基準は、明確な根拠が、見つからなかったのですが、以下の「資料3−1」

 
 によれば、鉄筋コンクリート造の既存住宅の劣化対策等級の評価基準には、コンクリートの中性化深さ及びコンクリート中の塩化物イオン量が含まれているようですから、正しい。

 なお、コンクリートの中性化深さ及びコンクリート中の塩化物イオン量が問題になるのは、鉄筋コンクリート造の場合、鉄筋コンクリートは、鉄筋のまわりをコンクリートが覆っています。そして、鉄筋コンクリートは、コンクリートがアルカリ性を保っているうちは、鉄筋が錆びませんが、コンクリートが中性化してしまうと錆び、劣化します。また、寒い地域では、コンクリートの水分が凍って膨らみ、コンクリートが傷んだりして劣化します。
 (「問40」 の選択肢3 の鉄筋コンクリート造 も参照)

 そのため、鉄筋コンクリート造の場合は、この2種類の劣化を評価します。

 また、性能表示事項は、等級や数値などで表示され、等級では、「5など」(4や3が最高もある)が一番よくて、→ 1、又は 0 と性能が落ちます。数字が大きいものほど性能が高いことを表しますので、注意してください。



答え:1

 こんなところで、各種法律から、しかもマイナーな箇所からの出題とは、まったく解説に時間がかかる。
  
 建築基準法第8条第2項からの出題とは、どこかでやった記憶はあったが、かなり昔で、探すのに時間がかかった。
 長期優良住宅の普及の促進に関する法律なんて知らない。これって過去にも出ているが、本当に出題の範囲か?
  選択肢1での、マンションの管理の適正化の推進に関する法律第103条で規定される内容が、宅地建物取引業者のすべてに適用されないと分かっていれば、答えは早いが、難問だ。


《タグ》マンションの管理の適正化の推進に関する法律第103条 建築基準法第8条 長期優良住宅の普及の促進に関する法律 住宅の品質確保の促進等に関する法律 性能表示制度

平成29年度 マンション管理士試験

〔問 41〕 マンションの室内環境に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 建築基準法の規定による居室に設ける窓その他の開口部の採光に有効な部分の面積の算定方法は、開口部が設置されている壁面の方位により異なる。

X 適切でない。 開口部の採光に有効な部分の面積の算定方法に開口部が設置されている”壁面の方位”は入っていない。
  平成29年 管理業務主任者試験 「問18」 、平成27年 マンション管理士試験 「問20」 、 平成22年 マンション管理士試験 「問20」 選択肢3 、平成17年 管理業務主任者試験 「問17」 

 まず、地上での居室の採光は、建築基準法第28条
 「(居室の採光及び換気)
 第二十八条 
住宅、学校、病院、診療所、寄宿舎、下宿その他これらに類する建築物で政令で定めるものの居室(居住のための居室、学校の教室、病院の病室その他これらに類するものとして政令で定めるものに限る。)には、採光のための窓その他の開口部を設け、その採光に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、住宅にあつては七分の一以上、その他の建築物にあつては五分の一から十分の一までの間において政令で定める割合以上としなければならない。ただし、地階若しくは地下工作物内に設ける居室その他これらに類する居室又は温湿度調整を必要とする作業を行う作業室その他用途上やむを得ない居室については、この限りでない。
2 居室には換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、二十分の一以上としなければならない。ただし、政令で定める技術的基準に従つて換気設備を設けた場合においては、この限りでない。
3 別表第一(い)欄(一)項に掲げる用途に供する特殊建築物の居室又は建築物の調理室、浴室その他の室でかまど、こんろその他火を使用する設備若しくは器具を設けたもの(政令で定めるものを除く。)には、政令で定める技術的基準に従つて、換気設備を設けなければならない。
4 ふすま、障子その他随時開放することができるもので仕切られた二室は、前三項の規定の適用については、一室とみなす。
」 
 とあり、
 居室などには、採光が求められています。


 そして、建築基準法第28条1項での有効面積の算定方法の政令は、建築基準法施行令第20条
 「(有効面積の算定方法)
 第二十条 法第二十八条第一項に規定する居室の窓その他の開口部(以下この条において「開口部」という。)で
採光に有効な部分の面積は、当該居室の開口部ごとの面積に、それぞれ採光補正係数を乗じて得た面積を合計して算定するものとする。ただし、国土交通大臣が別に算定方法を定めた建築物の開口部については、その算定方法によることができる。
2 前項の採光補正係数は、次の各号に掲げる地域又は区域の区分に応じ、それぞれ当該各号に定めるところにより計算した数値(天窓にあつては当該数値に三・〇を乗じて得た数値、その外側に幅九十センチメートル以上の縁側(ぬれ縁を除く。)その他これに類するものがある開口部にあつては当該数値に〇・七を乗じて得た数値)とする。ただし、採光補正係数が三・〇を超えるときは、三・〇を限度とする。
   一 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域又は準住居地域 隣地境界線(法第八十六条第十項に規定する公告対象区域(以下「公告対象区域」という。)内の建築物にあつては、当該公告対象区域内の他の法第八十六条の二第一項に規定する一敷地内認定建築物(同条第九項の規定により一敷地内認定建築物とみなされるものを含む。以下この号において「一敷地内認定建築物」という。)又は同条第三項に規定する一敷地内許可建築物(同条第十一項又は第十二項の規定により一敷地内許可建築物とみなされるものを含む。以下この号において「一敷地内許可建築物」という。)との隣地境界線を除く。以下この号において同じ。)又は同一敷地内の他の建築物(公告対象区域内の建築物にあつては、当該公告対象区域内の他の一敷地内認定建築物又は一敷地内許可建築物を含む。以下この号において同じ。)若しくは当該建築物の他の部分に面する開口部の部分で、その開口部の直上にある建築物の各部分(開口部の直上垂直面から後退し、又は突出する部分がある場合においては、その部分を含み、半透明のひさしその他採光上支障のないひさしがある場合においては、これを除くものとする。)からその部分の面する隣地境界線(開口部が、道(都市計画区域又は準都市計画区域内においては、法第四十二条に規定する道路をいう。第百四十四条の四を除き、以下同じ。)に面する場合にあつては当該道の反対側の境界線とし、公園、広場、川その他これらに類する空地又は水面に面する場合にあつては当該公園、広場、川その他これらに類する空地又は水面の幅の二分の一だけ隣地境界線の外側にある線とする。)又は同一敷地内の他の建築物若しくは当該建築物の他の部分の対向部までの水平距離(以下この項において「水平距離」という。)を、その部分から開口部の中心までの垂直距離で除した数値のうちの最も小さい数値(以下「採光関係比率」という。)に六・〇を乗じた数値から一・四を減じて得た算定値(次のイからハまでに掲げる場合にあつては、それぞれイからハまでに定める数値)
     イ 開口部が道に面する場合であつて、当該算定値が一・〇未満となる場合 一・〇
     ロ 開口部が道に面しない場合であつて、水平距離が七メートル以上であり、かつ、当該算定値が一・〇未満となる場合 一・〇
     ハ 開口部が道に面しない場合であつて、水平距離が七メートル未満であり、かつ、当該算定値が負数となる場合 零
   二 準工業地域、工業地域又は工業専用地域 採光関係比率に八・〇を乗じた数値から一・〇を減じて得た算定値(次のイからハまでに掲げる場合にあつては、それぞれイからハまでに定める数値)
     イ 開口部が道に面する場合であつて、当該算定値が一・〇未満となる場合 一・〇
     ロ 開口部が道に面しない場合であつて、水平距離が五メートル以上であり、かつ、当該算定値が一・〇未満となる場合 一・〇
     ハ 開口部が道に面しない場合であつて、水平距離が五メートル未満であり、かつ、当該算定値が負数となる場合 零
   三 近隣商業地域、商業地域又は用途地域の指定のない区域 採光関係比率に十を乗じた数値から一・〇を減じて得た算定値(次のイからハまでに掲げる場合にあつては、それぞれイからハまでに定める数値)
     イ 開口部が道に面する場合であつて、当該算定値が一・〇未満となる場合 一・〇
     ロ 開口部が道に面しない場合であつて、水平距離が四メートル以上であり、かつ、当該算定値が一・〇未満となる場合 一・〇
     ハ 開口部が道に面しない場合であつて、水平距離が四メートル未満であり、かつ、当該算定値が負数となる場合 零」

 とあり、
 建築基準法施行令第20条1項によれば、


 採光に有効な部分の面積(有効採光面積)= 開口部面積(窓など) x 採光補正係数(用途地域ごとに採光補正係数の算定方法は異なる)

 また、採光に有効な部分の面積 は建築基準法第28条1項により、その居室の床面積に対して、住宅にあつては七分の一以上 必要となります。

 

 ということで、居室に設ける窓その他の開口部の採光に有効な部分の面積の算定方法においては、開口部が設置されている”壁面の方位”は、計算式に入っていませんから、適切ではありません。

 具体的には、
 S=居室の床面積
 W=開口部(窓)の面積
 k=最少採光床必要限度(住宅なら 1/7)
 
  W≧k・S です。

 なお、 
 ★居室とは、建築基準法第2条四号によると、「居室(とは)  居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室をいう。」とあります。
 具体的には、居間、ダイニング、キッチン、寝室、子供部屋、応接室、書斎等 継続的に使用する部屋で人が継続的に使用するので採光・換気その他環境衛生についての決まりがあります。
  玄関、廊下や階段は居室ではありません。便所、浴室も利用時間が一時的なので居室ではありません。
 ★居室に求められる室内居住環境...良好な室内居住環境を実現するために、採光、換気、防湿、遮音、温度調整、有害な化学物質の規制があります。
 ★換気も必要です。...室内で人が呼吸をすると、酸素を消費し二酸化炭素が排出され空気が汚染されます。そこで、この規定があります。
  また、台所のガスコンロなどの燃焼器具からの排ガスは人体に有害です。トイレの臭気も室内にこもると嫌な気分になりますので、屋外に排出します。



2 低放射複層ガラス(Low-E複層ガラス)は中空層側のガラス面に特殊な金属膜をコーティングしたものであるが、金属膜を屋外側ガラスにコーティングした場合と室内側ガラスにコーティングした場合とでは、室内環境に及ぼす効果が異なる。

〇 適切である。
  平成21年 マンション管理士試験 「問40」 

 まず、熱の移動には、
  @伝導...壁や窓ガラス等の物質が熱を運ぶ
  A対流...空気や液体などの流体が熱を運ぶ
  
B放射(輻射)...遠赤外線などの熱線によって熱が四方八方へ広がる
 があります。
 この熱の移動によって、冷暖房効果の低下や、結露の発生が起こります。
 窓ガラスは、特に熱を伝えやすいもので、断熱効果を弱くしています。

 
 そこで1枚ガラスが発展して、断熱効果を高める「複層ガラス(ペアガラス)」が生まれました。
 複層ガラスは、スペーサーと呼ばれる金属部材で、3mm程度の2枚のガラスの間に6mm程度の中空層を持たせたガラスです。2枚のガラスの間に薄く空気層を挟み込むことによって断熱性能が向上し、結露などを減少させます。スペーサーを用いて保たれた中空層には、水を含まない乾燥空気やアルゴンガスを封入してあります。


 この複層ガラスがさらに進化したのが、低放射複層ガラスです。

 低放射複層ガラス(Low-E複層ガラス、Low-E=Low Emissivity(低放射))とは、低放射性能を持つ銀・酸化スズなどの特殊金属膜を中空層のガラス面にコーティングしたもので、
ガラス表面の熱放射率を下げて、熱の移動を抑制しています
 そこで、Low-E複層ガラスには、以下の2つのタイプがあります。
  
@室内側の空気層側のガラスに特殊金属膜をコーティングするもの(断熱タイプ)
    屋外からくる太陽熱を通過させながらも室内の熱を鏡のように反射しますので、一旦取り入れた熱を外に逃がさない。
  
A屋外側の空気層側のガラスに特殊金属膜をコーティングするもの(遮熱タイプ)
   夏には太陽光を大幅に(約50%以上)カットし、室内の冷房効果を高め、冬は、特殊金属膜が室内の熱を外へ逃がさない。

 Low-Eガラスは、熱の伝わり方の中で最も厄介な放射を押さえ、複層ガラスにすることによってより効果的になります。


  

  これらを踏まえ、設問をみますと、前半の「低放射複層ガラス(Low-E複層ガラス)は中空層側のガラス面に特殊な金属膜をコーティングしたものである」は、適切です。

 そして、後半の「金属膜を屋外側ガラスにコーティングした場合と室内側ガラスにコーティングした場合とでは、室内環境に及ぼす効果が異なる」も、適切です。

 そこで、選択肢2は、全体として適切です。


 

 簡単に言うと、Low-Eガラスを設置した側からの熱の放射を低減する性質があるので、暑い地域で窓に直接日射があるなら太陽熱の侵入を防ぐ「断熱(遮断)低放射複層ガラス」を、また寒冷地であれば室内の暖房の熱を外に逃がさない「遮熱低放射複層ガラス」を使うのが基本のようです。

 なお、空気層の両側にLow-E 金属膜を設けても、効果は倍増しないようです。



3 遮音対策としては、共用廊下やエレベーター、設備配管からの騒音にも配慮する必要がある。

〇 適切である。
  遮音からの出題も多い。
  平成27年 マンション管理士試験 「問40」 、 成21年 マンション管理士試験 「問42」 平成21年管理業務主任者試験 「問23」  平成18年マンション管理士試験 「問42」  ,平成16年 マンション管理士試験 「問38」 ,、 平成15年マンション管理士試験 「問40」 

  マンションでは、各住戸が壁や床を介して接しているため、上下間や隣戸間の遮音対策も必要ですが、共用部分である廊下、階段、エレベーター、設備配管からの騒音にも配慮する必要がありますから、適切です。



4 壁下地材などの内装材として使用されているせっこうボードは、防火性だけではなく遮音性を有している。

〇 適切である。
 石膏ボードは、水と反応するとすぐに固まる焼きせっこうをしん材とし両面を原紙で被覆し板状に固くした建築用内装材料です。
 その特徴としては、防火・耐火性、遮音性、変形しない寸法安定性、切断や釘打ちなど工事の容易性等があります。また、経済性にも優れていることから「なくてはならない建材」として建築物の壁、天井などに広く用いられていますから、適切です。


 

 また、建材だけでなく、医療用としてギブスや歯科用として歯型にも使われています。

 以下は、「マンション管理士 香川事務所」が無料で提供しています、「要約 建築基準法」第2条 の、「不燃材料」 からの転載です。

 ★せっこうボードの特徴
 ◎火に強い...せっこうボードの芯材は無機質のせっこうですので、燃えることはありません。せっこうには、約21%の結晶水が安定した形で含まれています。これは、ボード1枚に、1升ビン約1本分の水を含んでいる計算になります。火災時にせっこうボードが高温にさらされるとこの結晶水が熱分解し、水蒸気となって徐々に放出され、温度の上昇を遅らせる働きをします。また、せっこうそのものが、伝熱を防止するバリアの役割を果たします。
 ◎音を通しにくい...せっこうボードには音を通しにくい性質があります。 せっこうボードを1枚で用いるほか、 厚手品の使用や複数枚の重ね張り、さらには吸音材との併用により、たいへん優れた遮音性能を得ることができます。
アパートの住戸間の界壁や、ホテル・病院の壁など、 プライバシーや静けさが要求される場所でもよく使われています。
 ◎ 気密性・断熱性が得られる ...せっこうボードは、十分な気密性を持った材料ですが、建物の下地材や仕上げ材として使ったときの目地や隅・角などの継ぎ目の部分でも専用の材料や部品を用いてすき間なく処理することができ、気密性が保たれます。
さらに断熱材と複合使用することにより、優れた断熱効果が得られ、暖房や冷房の効果を最大限に発揮することができます。
 ◎狂わない ...せっこうボードは、 温度や湿度の変化に影響されず、 伸び縮みや歪みがほとんどありません。したがって、 高い精度の施工が可能ですし、また長期間の使用に際しても狂いが出てくることがありません。
さらに、せっこうボードの狂わない性質が、建物の気密性や遮音性能を十分に発揮しています。



答え:1

 選択肢1の採光計算で「壁面の方位」は、難しいか?
 過去問題から、消去法で選ぶ?

 ここも、丁寧に解説をしたので、時間がかかる!

《タグ》建築基準法 採光に有効な部分の面積(有効採光面積)= 開口部面積(窓など) x 採光補正係数(用途地域ごとに採光補正係数の算定方法は異なる) 低放射複層ガラス(Low-E複層ガラス) 遮音対策 石膏ボード

平成29年度 管理業務主任者試験

【問 17】 建築物の階数等に関する次の記述のうち、建築基準法によれば、誤っているものはどれか。

1 建築物の敷地が斜面又は段地である場合で、建築物の部分によって階数を異にする場合においては、これらの階数のうち最大のものが、その建築物の階数となる。

〇 正しい。 斜面や段がある土地に建築された建物で、見様によっては階数が違っていたり、吹き抜けがあったり、中二階があるときは、階数は、最高値をとる。

  平成27年 管理業務主任者試験 「問18」 、 平成26年 管理業務主任者試験 「問22」 、 平成16年 管理業務主任者試験 「問17」 

  建築基準法では、用語の定義にあたる条文は、建築基準法本文第2条の他に、建築基準法施行令第1条及び第2条にもありますから注意してください。

 そこで、階数の出し方は、建築基準法施行令第2条1項8号に記載。
 「(面積、高さ等の算定方法)
 第二条 次の各号に掲げる面積、高さ及び階数の算定方法は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
 
八 階数 昇降機塔、装飾塔、物見塔その他これらに類する建築物の屋上部分又は地階の倉庫、機械室その他これらに類する建築物の部分で、水平投影面積の合計がそれぞれ当該建築物の建築面積の1/8以下のものは、当該建築物の階数に算入しない。また、建築物の一部が吹抜きとなっている場合、建築物の敷地が斜面又は段地である場合その他建築物の部分によって階数を異にする場合においては、これらの階数のうち最大なものによる。」

 とあり、
 建築基準法施行令第2条1項8号によれば、建築物の敷地が斜面又は段地である場合で、建築物の部分によって階数を異にする場合においては、これらの階数のうち最大のものが、その建築物の階数となるは、正しい。


 


2 昇降機塔、装飾塔、物見塔その他これらに類する建築物の屋上部分の水平投影面積の合計が、当該建築物の建築面積の8分の1以下のものは階数に算入しない。

〇 正しい。
  
 設問は、選択肢1で引用しました建築基準法施行令第2条1項8号前半に記載。
 「
八 階数 昇降機塔、装飾塔、物見塔その他これらに類する建築物の屋上部分又は地階の倉庫、機械室その他これらに類する建築物の部分で、水平投影面積の合計がそれぞれ当該建築物の建築面積の1/8以下のものは、当該建築物の階数に算入しない。」
 とあり、
 建築基準法施行令第2条1項8号によれば、昇降機塔、装飾塔、物見塔その他これらに類する建築物の屋上部分の水平投影面積の合計が、当該建築物の建築面積の8分の1以下のものは階数に算入しないは、正しい。



3 地階の倉庫、機械室その他これらに類する部分の水平投影面積の合計が、当該建築物の建築面積の8分の1以下のものは階数に算入しない。

〇 正しい。

 設問は、選択肢1で引用しました建築基準法施行令第2条1項8号前半に記載。
 「八 階数昇降機塔、装飾塔、物見塔その他これらに類する建築物の屋上部分又は地階の倉庫、機械室その他これらに類する建築物の部分で、水平投影面積の合計がそれぞれ当該建築物の建築面積の1/8以下のものは、当該建築物の階数に算入しない。」
 とあり、
 建築基準法施行令第2条1項8号によれば、地階の倉庫、機械室その他これらに類する部分の水平投影面積の合計が、当該建築物の建築面積の8分の1以下のものは階数に算入しないは、正しい。


4 地階とは、床が地盤面下にある階で、床面から地盤面までの高さがその階の天井の高さの2分の1以上のものをいう。

X 誤っている。 地階とは、床が地盤面下にある階で、床面から地盤面までの高さがその階の天井の高さの”1/3以上”のもので、”1/2以上”のものではない。

  平成25年 管理業務主任者試験 「問17」 、平成21年 管理業務主任者試験 「問17」 、 平成17年 管理業務主任者試験 「問18」 など

  地階とは、建築基準法施行令第1条1項2号。
 「(用語の定義)
 第一条 この政令において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
 二 
地階 床が地盤面下にある階で、床面から地盤面までの高さがその階の天井の高さの三分の一以上のものをいう。」
  とあり、
 建築基準法施行令第1条1項2号によれば、地階とは、床が地盤面下にある階で、床面から地盤面までの高さがその階の天井の高さの”3分の1以上”のものですから、床面から地盤面までの高さがその階の天井の高さの”2分の1以上”のものをいうは、誤りです。

    

 なお、地盤面とは、建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さにおける水平面をいい、その接する 位置の高低差が3mを超える場合は、その高低差3m以内ごとの平均の高さにおける水平面をいいます(建築基準法第52条第4項)。 この地盤面が、建築物の高さを測る基準です。
 ★地階には容積率の特例がある
  容積率の算定において、地階の天井が地盤面から1m以下であれば、床面積の1/3を限度として、延べ面積への算入から外されます。(建築基準法52条3項、4項参照)



答え:4

  長見様の感想:選択肢3は、実務でもほとんど使ったことが無く、例の「地下居室の1/3容積不算入」をもじった「ひっかけ問題」だろうと思いこんでしまいました。言われてみれば昔々、油圧式EVの機械室を地下に設けた時は、階数に含まないというのが有った気もします(マンションでは無く橋上駅舎等。但し、駅舎は基本確認申請不要です。)。むしろ過去問を良くこなしていた人の方が、選択肢4が正解(誤り)と、すぐわかった問題でしょう。
 (我々、建築士も数字が全て頭の中に入っている訳では無く「建築申請memo」という本を逐一、参照しながら図面を書いています。しかも、私は設計の実務からしばらく遠ざかっていますし(言い訳)。)


 香川より:過去問題をやっていれば、易しい問題と思います。

 なお、「建築基準法の解説」 も、「マンション管理士 香川事務所」 が無料で提供していますから、ご利用ください。
 また、マンション管理士・管理業務主任者の試験においては、建築基準法からの出題も多いので、「目指せ! マンション管理士・管理業務主任者」のサイトの過去問題の解説において、「建築基準法」 だけを取り出して、解説していますから、こちらも、ご利用ください。

《タグ》建築基準法 階数とは 不算入 地階とは

平成29年度 管理業務主任者試験

【問 18】 住宅における居住のための居室に関する次の記述のうち、建築基準法によれば、誤っているものはどれか。

1 居室の天井の高さは、一室で天井の高さの異なる部分がない場合においては、2.4m以上でなければならない。

X 誤っている。 一室で天井の高さの異なる部分がない場合なら、居室の天井の高さは、”2,1m以上”でいい。 ”2.4m以上”ではない。
 
 居室の必要天井高さは、2.1m以上。建築基準法施行令第21条。
 「(居室の天井の高さ)
  第二十一条 
居室の天井の高さは、二・一メートル以上でなければならない。
2 前項の天井の高さは、室の床面から測り、一室で天井の高さの異なる部分がある場合においては、その平均の高さによるものとする。

 とあり、
 建築基準法施行令第21条1項によれば、正確には、同2項で「天井高さは平均の高さ」となっていて、設問では「高さの異なる部分がない場合」と問われていますから、居室の天井の高さは、一室で天井の高さの異なる部分がない場合においては、”
2.1m以上”でよく、”2.4m以上”でなければならないは、誤りです。

 居室とは、建築基準法第2条四号によると、「居室(とは)  居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室をいう。」とあります。
 具体的には、居間、ダイニング、キッチン、寝室、子供部屋、応接室、書斎等 継続的に使用する部屋で人が継続的に使用するので採光・換気その他環境衛生についての決まりがあります。
 玄関、廊下や階段は居室ではありません。便所、浴室も利用時間が一時的なので居室ではありません。
 ★居室に求められる室内居住環境...良好な室内居住環境を実現するために、
採光、換気、防湿、遮音、温度調整、有害な化学物質の規制があります
 ★換気も必要です。...室内で人が呼吸をすると、酸素を消費し二酸化炭素が排出され空気が汚染されます。そこで、この規定があります。
  また、台所のガスコンロなどの燃焼器具からの排ガスは人体に有害です。トイレの臭気も室内にこもると嫌な気分になりますので、屋外に排出します。


  


2 居室を2階に設ける場合には、採光のための窓その他の開口部を設け、その採光に有効な部分の面積は、当該居室の床面積に対して、7分の1以上としなければならない。

〇 正しい。 居室の採光に有効な部分の面積は、当該居室の床面積に対して、1/7以上。
  平成29年 マンション管理士試験 「問41」 、 平成27年 マンション管理士試験 「問20」 、 平成22年 マンション管理士試験 「問20」 選択肢3 、 平成17年 管理業務主任者試験 「問17」 、平成14年 マンション管理士試験 「問20」 、平成14年 管理業務主任者試験 「問22」 

  居室の採光と換気は、選択肢3に換気があるように、よくセットで出題される。

 住宅の居室の必要採光率は、建築基準法第28条、
 「(居室の採光及び換気)
 第二十八条 住宅、学校、病院、診療所、寄宿舎、下宿その他これらに類する建築物で政令で定めるものの
居室(居住のための居室、学校の教室、病院の病室その他これらに類するものとして政令で定めるものに限る。)には、採光のための窓その他の開口部を設け、その採光に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、住宅にあつては七分の一以上、その他の建築物にあつては五分の一から十分の一までの間において政令で定める割合以上としなければならない。ただし、地階若しくは地下工作物内に設ける居室その他これらに類する居室又は温湿度調整を必要とする作業を行う作業室その他用途上やむを得ない居室については、この限りでない。
2 居室には換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、二十分の一以上としなければならない。ただし、政令で定める技術的基準に従つて換気設備を設けた場合においては、この限りでない。
3 別表第一(い)欄(一)項に掲げる用途に供する特殊建築物の居室又は建築物の調理室、浴室その他の室でかまど、こんろその他火を使用する設備若しくは器具を設けたもの(政令で定めるものを除く。)には、政令で定める技術的基準に従つて、換気設備を設けなければならない。
4 ふすま、障子その他随時開放することができるもので仕切られた二室は、前三項の規定の適用については、一室とみなす。

 とあり、
 建築基準法第28条1項によれば、居室を2階に設ける場合には、採光のための窓その他の開口部を設け、その採光に有効な部分の面積は、当該居室の床面積に対して、7分の1以上としなければならないは、正しい。

 
 


3 政令で定める技術的基準に従った換気設備を設けない限り、居室には、換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、当該居室の床面積に対して、20分の1以上としなければならない。

〇 正しい。 居室の換気に有効な部分の面積は、当該居室の床面積に対して、1/20以上。

  平成25年 管理業務主任者試験 「問20」 、  平成19年 管理業務主任者試験 「問24」  、平成15年 マンション管理士試験 「44」 

  居室に必要な換気は、床面積の1/20。建築基準法第28条2項。1/20未満の場合、いわゆる「無窓居室」とされ、政令で定める換気設備が必要となる。

 選択肢1で引用しました、建築基準法第28条2項
 「2 居室には換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、二十分の一以上としなければならない。ただし、政令で定める技術的基準に従つて換気設備を設けた場合においては、この限りでない。
 とあり、
 建築基準法第28条2項によれば、政令で定める技術的基準に従った換気設備を設けない限り、居室には、換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、当該居室の床面積に対して、20分の1以上としなければならないは、正しい。

  ★換気設備の必要性...居室で人間が呼吸すると二酸化炭素が排出されます。また台所で煮炊きをしても排ガスが発生します。
   このような、汚れた空気は人体に有害です。また室内の塗料や接着剤に含まれたホルムアルデヒドなどの有害な化学物質も屋外に排出しなければ、シックハウス病にもなります。 
  古い日本家屋は、あちらこちらに隙間があり、ほっておいても換気(自然換気)ができて、室内の汚れた空気は外へ排出されていましたが、気密性の高い住居(アルミサッシの使用、コンクリート造など)が多くなり、換気扇などを使用しなければ、室内の有毒なガスの排気ができなくなってきています。
 
 ★窓などの開口部で自然換気を得る...室内の汚れた空気を外に出すのに一番有効なのは、窓を開けることです。そこで、建築基準法では、採光ともに換気についても、窓などの大きさを定め、居室の場合、床面積の1/20以上としています。



4 国土交通大臣が定めるところにより、からぼりその他の空地に面する開口部を設けて直接土に接する外壁、床及び屋根又はこれらの部分に水の浸透を防止するための防水層が設けられていれば、居室を地階に設けることができる。

〇 正しい。 条件をクリアーすれば、地下に居室を設けられる。
 地下の居室の出題は、珍しい?   でもあった。 平成16年 マンション管理士試験 「問20」 選択肢4 

 まず、居室を地下に設けるは、 建築基準法第29条
 
 「(地階における住宅等の居室)
 第二十九条 
住宅の居室、学校の教室、病院の病室又は寄宿舎の寝室で地階に設けるものは、壁及び床の防湿の措置その他の事項について衛生上必要な政令で定める技術的基準に適合するものとしなければならない。」

 とあり、
 その政令は、建築基準法施行令第22条の2 に、地下居室の技術的基準が記載されています。
 
「(地階における住宅等の居室の技術的基準)
 第二十二条の二 法第二十九条(法第八十七条第三項において準用する場合を含む。)の政令で定める技術的基準は、次に掲げるものとする。
   一 
居室が、次のイからハまでのいずれかに該当すること。
     イ 国土交通大臣が定めるところにより、
からぼりその他の空地に面する開口部が設けられていること
     ロ 第二十条の二に規定する技術的基準に適合する
換気設備が設けられていること
     ハ 
居室内の湿度を調節する設備が設けられていること
   二 直接土に接する外壁、床及び屋根又はこれらの部分(以下この号において「外壁等」という。)の構造が、次のイ又はロのいずれかに適合するものであること。
     イ 
外壁等の構造が、次の(1)又は(2)のいずれか(屋根又は屋根の部分にあつては、(1))に適合するものであること。ただし、外壁等のうち常水面以上の部分にあつては、耐水材料で造り、かつ、材料の接合部及びコンクリートの打継ぎをする部分に防水の措置を講ずる場合においては、この限りでない。
     (1) 
外壁等にあつては、国土交通大臣が定めるところにより、直接土に接する部分に、水の浸透を防止するための防水層を設けること。
     (2) 外壁又は床にあつては、直接土に接する部分を耐水材料で造り、かつ、直接土に接する部分と居室に面する部分の間に居室内への水の浸透を防止するための空隙げき (当該空隙げき に浸透した水を有効に排出するための設備が設けられているものに限る。)を設けること。
     ロ 外壁等の構造が、外壁等の直接土に接する部分から居室内に水が浸透しないものとして、国土交通大臣の認定を受けたものであること。」

 とあり、
 建築基準法第29条及び建築基準法施行令第22条の2 によれば、国土交通大臣が定めるところにより、からぼりその他の空地に面する開口部を設けて直接土に接する外壁、床及び屋根又はこれらの部分に水の浸透を防止するための防水層が設けられていれば、居室を地階に設けることができるは、正しい。


 

  地階の居室には、からぼり(ドライエリアともいいます)の他に換気設備、湿度調節設備があった方がいいですね。


答え:1

  長見様の感想:管理業務主任者を目指す人に正解が1と回答させるのは酷ですね(常識的には2.4mで正しいと考えたくなる)。だいたいにして、専有部分の天井高を、わざわざ低くリフォームするような人はいない筈で、マンション管理の実務には全く関係の無い話だと感じます。選択肢2や3の「窓」の基準を、これから増えるかもしれないサッシの交換を考慮して押えておいてもらいたいのか?それにしても細か過ぎます。
 (そもそも一級建築士の試験でも、法規科目のテストは法令集持ち込み可です(今は知りませんが、20年前は))。


 香川より:確かに、管理業務主任者試験において、選択肢1のように、天井の高さが、2.1mか 2.4mか、この差 30cmを問う出題は適切ではありませんね。

   一級建築士試験での、法令集の持ち込みについて...平成29年でも法規の問題では持ち込みは可能のようですよ。
      
《タグ》建築基準法 居室 天井の高さ 採光の面積 換気のための開口部の面積 地下の居室

平成29年度 管理業務主任者試験

【問 19】 鉄骨鉄筋コンクリート造に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1 鉄骨鉄筋コンクリート造は、力学的には、鉄骨造と鉄筋コンクリート造それぞれの長所を生かした構造である。

〇 適切である。
  平成29年 マンション管理士試験 「問40」 

  まず、鉄骨(S=Steel)造は、柱と梁等の骨組みを、形鋼、鋼管、鋼板などの鋼材を用いて造ります。軽量で高層建築や大スパン(柱と柱の間、梁と梁の距離)構造が可能ですが、火に弱い欠点があります。

 そして、
鉄筋コンクリート(RC=Reinforced Concrete)造は、鉄筋とコンクリートを組み合せることにより、
  ・鉄筋...引張力(引っ張る力)には強いが、熱に弱く錆びやすい
  ・コンクリート...熱に強いが、引張力(引っ張る力)に弱い
  の互いの長所を活かし、短所を補う構造です。
  熱に弱い鉄筋をコンクリートで覆い、熱から鉄筋を守って酸化(錆び)を防ぎます。
 コンクリートは上から押さえつける「圧縮」に対する抵抗力はあるものの、「引張力の弱さ」があります。
 そのため、コンクリートを引張力に優れた鉄筋で補強します。
 
  そこで、
鉄骨鉄筋コンクリート(SRC=Steel Reinforced Concrete)造は、力学的には、鉄骨造と鉄筋コンクリート(RC=Reinforced Concrete)造のそれぞれの長所を生かした構造です。
 その構造は、あらかじめ鉄骨で骨組みを作りその周りに鉄筋を配置してコンクリ―トを打ち込んでいきます。
鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造のメリットとしては鉄筋コンクリート(RC)造と比べて鉄骨を多く配置するので柱の断面を細くする事が可能な一方で二つを組み合わせる事で変形に強くなり耐震性は高くなります。

 よって、鉄骨鉄筋コンクリート造は、力学的には、鉄骨造と鉄筋コンクリート造それぞれの長所を生かした構造であるは、適切です。


 



2 鉄骨鉄筋コンクリート造は、高層建物に適しており、柱間のスパンを大きく取ることが可能となる。

〇 適切である。

 選択肢1で説明しましたように、鉄骨鉄筋コンクリート造は、高層建物に適しており、柱間のスパン(柱と柱の間・距離)を大きく取ることが可能となりますから、適切です。


3 建築基準法によれば、国土交通大臣が定めた構造方法を用いる部材及び国土交通大臣の認定を受けた部材を用いる場合を除き、鉄骨のかぶり厚さは、鉄筋のかぶり厚さと同様に3cm以上としなければならない。

X 適切でない。 ”鉄骨”に対するコンクリートのかぶり厚さは”5cm以上”。 なお、”鉄筋”なら部位によって”3cm以上”などがある。 
  平成27年 管理業務主任者試験 「問17」 、 平成26年 マンション管理士試験 「問40」 、 平成16年 管理業務主任者試験 「問19」

 まず、「鉄骨のかぶり厚さ」とか、「鉄筋のかぶり厚さ」とは、鉄骨や鉄筋を覆うコンクリートの厚さのことです。
 鉄骨や鉄筋はそれだけでは、錆びやすいため、それらが錆びないように回りを、コンクリートで覆います。
 かぶり厚さは、コンクリート表面と中に入っている鉄筋の表面までの最短距離を指します。

 かぶり厚さが厚いほど、耐久性は高くなりますし、耐火性も高くなります。

  設問の、鉄骨のかぶり厚さは、建築基準法施行令第79条の3
 「(鉄骨のかぶり厚さ)
  第七十九条の三 
鉄骨に対するコンクリートのかぶり厚さは、五センチメートル以上としなければならない
2 前項の規定は、水、空気、酸又は塩による鉄骨の腐食を防止し、かつ、鉄骨とコンクリートとを有効に付着させることにより、同項に規定するかぶり厚さとした場合と同等以上の耐久性及び強度を有するものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いる部材及び国土交通大臣の認定を受けた部材については、適用しない。

 とあり、
 建築基準法施行令第79条の3 によれば、国土交通大臣が定めた構造方法を用いる部材及び国土交通大臣の認定を受けた部材を用いる場合を除き、鉄骨のかぶり厚さは、”
5cm以上”であり、鉄筋のかぶり厚さと同様に”3cm以上”としなければならないでは、適切ではありません。
 
 なお、鉄筋のコンクリートのかぶり厚さは、建築基準法施行令第79条
 「(鉄筋のかぶり厚さ)
  第七十九条 
鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは、耐力壁以外の壁又は床にあつては二センチメートル以上、耐力壁、柱又ははりにあつては三センチメートル以上、直接土に接する壁、柱、床若しくははり又は布基礎の立上り部分にあつては四センチメートル以上、基礎(布基礎の立上り部分を除く。)にあつては捨コンクリートの部分を除いて六センチメートル以上としなければならない。
2 前項の規定は、水、空気、酸又は塩による鉄筋の腐食を防止し、かつ、鉄筋とコンクリートとを有効に付着させることにより、同項に規定するかぶり厚さとした場合と同等以上の耐久性及び強度を有するものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いる部材及び国土交通大臣の認定を受けた部材については、適用しない。

 とあり、
 床・屋根などは、2cm以上、柱・梁・耐力壁では、3cm以上などとなっています。部位によって、異なっていますので、注意してください。


 コンクリートの復習です。
 
 ★かぶり厚さとは、 鉄筋を覆っているコンクリートの厚さのことです。コンクリートの表面から鉄筋の表面までの最短距離をいいます。
  鉄筋コンコリートの建物は鉄筋とコンクリートが一体となって初めて地震などの外力に抵抗することができます。また、コンクリートの中の鉄筋は一切の錆止めをしていません。
 そして、コンクリートは打設当初は強アルカリ性の性質をもち、水や空気などから鉄筋が錆びるのを防いでいますが、コンクリートは年月と共に中性化が進行し、中性化と共にコンクリート内部の鉄筋が錆びやすくなっていきます。
 そのため、鉄筋にはかぶり厚さといって、コンクリートの表面から一定の距離をたもって鉄筋を組み立てていますが、それだけでは長い耐用年数を維持することはできません。
 ところが、水セメント比というコンクリートを配合するときに水とセメントの量の比率のうち、水を少なくすると中性化の進行が著しく遅らせることができます。
 そのため、鉄筋コンクリート造の耐久性対策では、単にかぶり厚さを確保するだけでなく、積極的に水分の少ないコンクリートを打設し、かぶり厚さ+水の少ないコンクリートによって長い耐久性を確保しようと考えています。

 具体的には、もっとも多く使われている水セメント比60〜65%程度のコンクリートの中性化年数はかぶり厚さ30mmの場合で約45年程度ですが、水セメント比を55%に変えるだけで、中性化年数は70年近くに達します。
 でも、水セメント比が少ないということは硬くて非常に打設しにくいコンクリートですから、注意深く作業をしないとコンクリートがうまく混ざらなかったり、隅々 まで行き渡らなかったりといったことが起こりやすく、打設する側の人間からすれば、あまり楽な作業ではありません。


4 建築基準法によれば、構造部分については、柱の防火被覆など一部の規定を除き、鉄骨造の規定が準用される。

〇 適切である。

 鉄骨鉄筋コンクリート造は、建築基準法施行令79条の4  第六節の二 鉄骨鉄筋コンクリート造
 「(鉄骨鉄筋コンクリート造に対する第五節及び第六節の規定の準用)
  第七十九条の四 
鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物又は建築物の構造部分については、前二節(第六十五条、第七十条及び第七十七条第四号を除く。)の規定を準用する。この場合において、第七十二条第二号中「鉄筋相互間及び鉄筋とせき板」とあるのは「鉄骨及び鉄筋の間並びにこれらとせき板」と、第七十七条第六号中「主筋」とあるのは「鉄骨及び主筋」と読み替えるものとする。」
 とあり、
 前二節とは、 「第五節 鉄骨造、 第六節 鉄筋コンクリート造」 のことです。
 そして、
 
 除かれる第65条は、
 「(圧縮材の有効細長比)
 第六十五条 構造耐力上主要な部分である鋼材の圧縮材(圧縮力を負担する部材をいう。以下同じ。)の有効細長比は、柱にあつては二百以下、柱以外のものにあつては二百五十以下としなければならない。


 更に、除かれる第70条とは、
 「(柱の防火被覆)
 第七十条 地階を除く階数が三以上の建築物(法第二条第九号の二イに掲げる基準に適合する建築物及び同条第九号の三イに該当する建築物を除く。)にあつては、一の柱のみの火熱による耐力の低下によつて建築物全体が容易に倒壊するおそれがある場合として国土交通大臣が定める場合においては、当該柱の構造は、通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後三十分間構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。


  また、除かれる第77条4号とは、
 「(柱の構造)
 第七十七条 構造耐力上主要な部分である柱は、次に定める構造としなければならない。
   一 主筋は、四本以上とすること。
   二 主筋は、帯筋と緊結すること。
   三 帯筋の径は、六ミリメートル以上とし、その間隔は、十五センチメートル(柱に接着する壁、はりその他の横架材から上方又は下方に柱の小径の二倍以内の距離にある部分においては、十センチメートル)以下で、かつ、最も細い主筋の径の十五倍以下とすること。
   四 帯筋比(柱の軸を含むコンクリートの断面の面積に対する帯筋の断面積の和の割合として国土交通大臣が定める方法により算出した数値をいう。)は、〇・二パーセント以上とすること。
   五 柱の小径は、その構造耐力上主要な支点間の距離の十五分の一以上とすること。ただし、国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算によつて構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、この限りでない。
   六 主筋の断面積の和は、コンクリートの断面積の〇・八パーセント以上とすること。

 ですから、
 これら建築基準法によれば、構造部分については、柱の防火被覆など一部の規定を除き、鉄骨造の規定が準用されるは、適切です。



答え:3

  長見様の感想:以下、完全に私見です。
 私は、正解を4にしました(またも不正解。)。但し、調べてみたら、上記の様に「鉄骨のかぶり厚さ」は建築基準法施行令に規定されていました。選択肢4については、建築基準法施行令第79条の4で「前2節(鉄骨造と鉄筋コンクリート造)の規定を準用する」となっています。
 実務においては(ちなみに私は建築士の中でも、めずらしく意匠と構造の両方の設計を経験していますが)、鉄骨鉄筋コンクリート造(以下「SRC造」)は、鉄骨の周りに鉄筋を組んで、その周りにコンクリートを打設します。つまり、鉄骨と鉄筋の「かぶり厚さ」が同じになるということは構造上、有り得ない話なので、そんなことはわざわざ規定は無いだろう(有っても鉄筋と同じだろう−鉄骨の方が肉厚なのだから)と考えたのですが、何と上記のように施行令に規定されていました。
 鉄筋コンクリート造(以下「RC造」)は、本来、Reinforced Concrete Structureなので、直訳すれば「補強されたコンクリート構造」となります(実際、戦時中は鉄不足で鉄筋の代わりに「竹」を使って建物を建てていましたが、それでも「RC造」です。)。コンクリートは圧縮力に優れているが、引っ張り力には弱く、梁材や我国の様な地震の多い国の柱材には、それだけでは適さないので、引っ張り力に優れている「鉄筋」等を用いて「補強」した構造が「RC造」です。
 更に、それでもRC造は、せん断破壊(「脆性破壊」と言います)しやすく(地震の際にピロティ柱がバキッと折れてしまう現象のこと)、それを補うために靭性の高い(せん断力に強い)鉄骨も用いるSRC造(Steel Reinforced Concrete Structure)が考案された訳です。(選択肢1)
 結果、大スパンや一昔前なら高層建築にも適していることで普及した構造です。(選択肢2)(更に余談で、RC造の超高層マンションが出来る様になったのは、一昔前は認定が必要だった「高強度コンクリート」が、確認申請だけで済む「普通コンクリート」になったからです。
 私個人は、これは危ないと思っていて、確かに机上の計算では可能なのですが、現場では、鉄筋の密度が高過ぎて、くだんの「かぶり厚さ」が取れない様な設計が横行しています。法改正を仕掛けた大手ゼネコンの技量を信じる他ありませんが。)
 以上から、ご理解いただけると思いますが、構造設計の実務の人間からするとSRC造は、鉄骨造(以下「S造」)では無く、RC造の親戚として取り扱うべきものなのです。(S造は、むしろ木造に近い)。
 更に私見で、日本にはまだ「SC造」(Steel & Concrete Structure)は、ほとんど普及していないと思います。遮音性等も求められるマンション等には適さないと思いますが、基本S造の柱だけコンクリートで覆う構造は、大スパンかつ不特定多数の人が利用する(つまり高い耐震性が求められる)施設には適切だと考えられます。そういう建物が日本にも有るのなら、選択肢3が問われても納得できますが。
 いずれにしても、今時のマンションの構造には、全く無関係の設問だと思えます(正直、くやしくて書いていますが。)。


 香川より:長見様、現場からの貴重なご感想、有難うございます。
  これは、受験生にとって、かなり参考になります。

       本当に、鉄骨鉄筋コンクリート造では、コンクリートのかぶり厚さが、3cmでなく、5cmとかは、管理業務主任者(または、マンション管理士の)試験において必要なものでしょうか。
  
  問題として、実に不適切であることを指摘しておきます。 難問です。 解説に時間がかかるということです。

《タグ》建築基準法 鉄骨鉄筋コンクリート造 かぶり厚さ 準用

平成29年度 管理業務主任者試験

【問 23】 浄化槽に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1 建築基準法によれば、屎(し)尿浄化槽の漏水検査は、満水して12時間以上漏水しないことを確かめなければならない。

X 適切でない。誤っている。 屎(し)尿浄化槽の漏水検査は、満水して24時間以上漏水しないこと。 12時間以上ではない。
  浄化槽に関しては、 平成21年 管理業務主任者試験 「問25」 、 平成14年 管理業務主任者 「問28」 選択肢3がある。

  この細かな12時間とか、24時間とかの設問も、管理業務主任者試験として適切ではないと、判断しますが、
  屎(し)尿浄化槽については、建築基準法第31条
 
「(便所)
 第三十一条 下水道法(昭和三十三年法律第七十九号)第二条第八号に規定する処理区域内においては、
便所は、水洗便所(汚水管が下水道法第二条第三号に規定する公共下水道に連結されたものに限る。)以外の便所としてはならない
2 便所から排出する汚物を下水道法第二条第六号に規定する終末処理場を有する公共下水道以外に放流しようとする場合においては、
屎し 尿浄化槽(その構造が汚物処理性能(当該汚物を衛生上支障がないように処理するために屎し 尿浄化槽に必要とされる性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものに限る。)を設けなければならない。」

 とあり、
 これを受けた政令は、建築基準法施行令第33条
 
「(漏水検査)
 第三十三条 第三十一条の改良便槽並びに前条の
屎尿浄化槽及び合併処理浄化槽は、満水して二十四時間以上漏水しないことを確かめなければならない。

  とあり、
 建築基準法施行令第33条によれば、屎(し)尿浄化槽の漏水検査は、満水して”
24時間以上”漏水しないことであり、”12時間以上”では、適切ではありません。誤りです。

  


2 建築基準法によれば、地下浸透方式を除く合併処理浄化槽の汚物処理性能に関して、放流水に含まれる大腸菌群数の個数についての技術的基準がある。

〇 適切である。 正しい。 放流水に含まれる大腸菌群数が、一立方センチメートルにつき三千個以下とする性能を有するものであること。


 放流水に含まれる大腸菌群数は、建築基準法施行令第32条
 「(法第三十一条第二項等の規定に基づく汚物処理性能に関する技術的基準)
 第三十二条  屎し 尿浄化槽の法第三十一条第二項の政令で定める技術的基準及び合併処理浄化槽(屎し 尿と併せて雑排水を処理する浄化槽をいう。以下同じ。)について法第三十六条の規定により定めるべき構造に関する技術的基準のうち処理性能に関するもの(以下「汚物処理性能に関する技術的基準」と総称する。)は、次のとおりとする
   一 通常の使用状態において、次の表に掲げる区域及び処理対象人員の区分に応じ、それぞれ同表に定める性能を有するものであること
。 

 屎(し)尿浄化槽又は合併処理浄化槽を設ける区域  処理対象人員(単位 人)   性能
 生物化学的酸素要求量の除去率(単位 パーセント)  屎し 尿浄化槽又は合併処理浄化槽からの放流水の生物化学的酸素要求量(単位 一リットルにつきミリグラム)
 特定行政庁が衛生上特に支障があると認めて規則で指定する区域    五〇以下  六五以上  九〇以下
 五一以上
五〇〇以下
 七〇以上  六〇以下
 五〇一以上  八五以上  三〇以下
 特定行政庁が衛生上特に支障がないと認めて規則で指定する区域    五五以上  一二〇以下
 その他の区域    五〇〇以下  六五以上  九〇以下
 五〇一以上
二、〇〇〇以下
 七〇以上  六〇以下
 二、〇〇一以上  八五以上  三〇以下
   一 この表における処理対象人員の算定は、国土交通大臣が定める方法により行うものとする。

   二 この表において、生物化学的酸素要求量の除去率とは、屎し 尿浄化槽又は合併処理浄化槽への流入水の生物化学的酸素要求量の数値から屎し 尿浄化槽又は合併処理浄化槽からの放流水の生物化学的酸素要求量の数値を減じた数値を屎し 尿浄化槽又は合併処理浄化槽への流入水の生物化学的酸素要求量の数値で除して得た割合をいうものとする。
二 放流水に含まれる大腸菌群数が、一立方センチメートルにつき三千個以下とする性能を有するものであること。   

2 特定行政庁が地下浸透方式により汚物(便所から排出する汚物をいい、これと併せて雑排水を処理する場合にあつては雑排水を含む。次項及び第三十五条第一項において同じ。)を処理することとしても衛生上支障がないと認めて規則で指定する区域内に設ける当該方式に係る汚物処理性能に関する技術的基準は、前項の規定にかかわらず、通常の使用状態において、次の表に定める性能及び同項第二号に掲げる性能を有するものであることとする。

  性能
 一次処理装置による浮遊物質量の除去率
(単位 パーセント)
一次処理装置からの流出水に含まれる浮遊物質量
(単位 一リットルにつきミリグラム) 
 地下浸透能力
 五五以上  二五〇以下  一次処理装置からの流出水が滞留しない程度のものであること。
  この表において、一次処理装置による浮遊物質量の除去率とは、一次処理装置への流入水に含まれる浮遊物質量の数値から一次処理装置からの流出水に含まれる浮遊物質量の数値を減じた数値を一次処理装置への流入水に含まれる浮遊物質量の数値で除して得た割合をいうものとする。

3 次の各号に掲げる場合における汚物処理性能に関する技術的基準は、第一項の規定にかかわらず、通常の使用状態において、汚物を当該各号に定める基準に適合するよう処理する性能及び同項第二号に掲げる性能を有するものであることとする。
   一 水質汚濁防止法(昭和四十五年法律第百三十八号)第三条第一項又は第三項の規定による排水基準により、屎し 尿浄化槽又は合併処理浄化槽からの放流水について、第一項第一号の表に掲げる生物化学的酸素要求量に関する基準より厳しい基準が定められ、又は生物化学的酸素要求量以外の項目に関しても基準が定められている場合 当該排水基準
   二 浄化槽法第四条第一項の規定による技術上の基準により、屎し 尿浄化槽又は合併処理浄化槽からの放流水について、第一項第一号の表に掲げる生物化学的酸素要求量に関する基準より厳しい基準が定められ、又は生物化学的酸素要求量以外の項目に関しても基準が定められている場合 当該技術上の基準」

 とあり、
 建築基準法施行令第32条1項2号によれば、「二 
放流水に含まれる大腸菌群数が、一立方センチメートルにつき三千個以下とする性能を有するものであること」とあり、地下浸透方式を除く合併処理浄化槽の汚物処理性能に関して、放流水に含まれる大腸菌群数の個数についての技術的基準があるは、適切です。正しい。


3 「建築物の用途別による屎尿浄化槽の処理対象人員算定基準(JISA3302)」によれば、「共同住宅」と「住宅」の算定基準は異なる。

〇 適切である。 「共同住宅」と「住宅」の算定基準は異なる。

 こんな箇所からの出題とは、まったく、酷い出題者だ。 こんな出題者を任命してはいけない。  建築物の用途別による屎尿浄化槽の処理対象人員算定基準なんて、知らない!

 「建築物の用途別による屎尿浄化槽の処理対象人員算定基準(JISA3302)」を探しました。

  http://www.pref.nara.jp/secure/12455/jis.pdf
  

 とあり、
 「建築物の用途別による屎尿浄化槽の処理対象人員算定基準(JISA3302)」によれば、「住宅」でも、延べ面積(A)が、 
   A<= 130 なら  n(人)=5
   130< A なら n(人)=7 と 130u で違っていますし、
  「共同住宅」なら n(人)=0.05 A(延べ面積 u) となっていますから、「共同住宅」と「住宅」の算定基準は異なるは、適切です。



4 浄化槽の主たる処理方法は、生物膜法と活性汚泥法に大別される。

〇 適切である。 浄化槽の主たる処理方法は、生物膜法と活性汚泥法に大別される。

 浄化槽で使用される汚物の除去法は、大別すると、
  @
生物膜法...微生物を支持体(あるいは接触材)である固体表面に膜状に固定して処理を行う方式 と
  A
活性汚泥法(かっせいおでいほう)...汚水を活性汚泥と混ぜ、微生物の働きで有機物を分解し、沈殿池で活性汚泥を沈降除去してから上澄み液を塩素で処理する方式
  がありますから、浄化槽の主たる処理方法は、生物膜法と活性汚泥法に大別されるは、適切です。

 各々の方式の詳細は、各自勉強してください。

  

 


答え:1

  酷い! 選択肢1の「屎(し)尿浄化槽の漏水検査の時間」や、選択肢3の「建築物の用途別による屎尿浄化槽の処理対象人員算定基準」なんて、知る訳ない! 
 何を管理業務主任者に求めての出題か! 時間がかかる。 前の「問22」 といい、ここの出題者も、常軌を逸した範囲からの出題である。
  
 こんな箇所からの出題とは、まったく、酷い出題者だ。 こんな出題者を任命してはいけない。

《タグ》建築基準法 浄化槽 屎(し)尿浄化槽の漏水検査の時間 大腸菌群数 建築物の用途別による屎尿浄化槽の処理対象人員算定基準 生物膜法と活性汚泥法

平成29年度 管理業務主任者試験

【問 26】 マンションの維持保全とマンション管理業者に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1 建築基準法によれば、マンション管理業者は、マンションの維持保全に関し、同法に規定されている義務を負い、当該マンションの所有者と管理組合にはその義務がない。

X 適切でない。 誤っている。 マンション(建築物)を維持保全するのは、その所有者等であり、マンション管理業者ではない。また努力であり、義務ではない。
 
 建築物の維持・保全は、建築基準法第8条
 
「(維持保全)
 第八条 
建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない。
2 第十二条第一項に規定する建築物の所有者又は管理者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するため、必要に応じ、その建築物の維持保全に関する準則又は計画を作成し、その他適切な措置を講じなければならない。この場合において、国土交通大臣は、当該準則又は計画の作成に関し必要な指針を定めることができる。」

 とあり、
 建築基準法第8条1項によれば、建築物(マンション)を維持保全するのは、建築物の所有者、管理者(マンションの所有者と管理組合)又は占有者であり、
マンション管理業者ではありませんから、建築基準法によれば、マンション管理業者は、マンションの維持保全に関し、同法に規定されている義務を負い、当該マンションの所有者と管理組合にはその義務がないは、誤りです。
 また、建築基準法第8条1項によれば、”努めなければならない”であり、”しなければならない”の義務ではありません。


2 標準管理委託契約書によれば、マンション管理業者は、管理組合の長期修繕計画に改善の必要があると判断した場合には、書面をもって当該管理組合に助言する。

〇 適切である。 
  平成22年 管理業務主任者試験 「問9」 、 平成19年 管理業務主任者試験 「問9」 

  管理組合の長期修繕計画に改善の必要があると判断した場合なら、標準管理委託契約書 別表第1 事務管理業務
 

 (3) 本マンション(専有部分を除く。以下同じ。)の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整 一 乙は、甲の長期修繕計画の見直しのため、管理事務を実施する上で把握した本マンションの劣化等の状況に基づき、当該計画の修繕工事の内容、実施予定時期、工事の概算費用等に、改善の必要があると判断した場合には、書面をもって甲に助言する。
二 長期修繕計画案の作成業務及び建物・設備の劣化状況などを把握するための調査・診断を実施し、その結果に基づき行う当該計画の見直し業務を実施する場合は、本契約とは別個の契約とする。
三 乙は、甲が本マンションの維持又は修繕(大規模修繕を除く修繕又は保守点検等。)を外注により乙以外の業者に行わせる場合の見積書の受理、発注補助、実施の確認を行う。 

   とあり、
  一 乙(管理業者)は、甲(管理組合)の長期修繕計画の見直しのため、管理事務を実施する上で把握した本マンションの劣化等の状況に基づき、当該計画の修繕工事の内容、実施予定時期、工事の概算費用等に、改善の必要があると判断した場合には、書面をもって甲に助言するため、標準管理委託契約書によれば、マンション管理業者は、管理組合の長期修繕計画に改善の必要があると判断した場合には、書面をもって当該管理組合に助言するは、適切です。



3 標準管理委託契約書によれば、マンション管理業者は、管理組合がマンションの維持又は修繕(大規模修繕を除く修繕又は保守点検等。)を当該マンション管理業者以外の業者に行わせる場合、当該工事に関する見積書の受理、発注補助、実施の確認を行う。

〇 適切である。
  平成16年 管理業務主任者試験 「問28」 

 設問は、選択肢2で引用しました、標準管理委託契約書 別表第1 事務管理業務  (3) 本マンション(専有部分を除く。以下同じ。)の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整
 「三
乙(管理業者)は、甲(管理組合)が本マンションの維持又は修繕(大規模修繕を除く修繕又は保守点検等。)を外注により乙以外の業者に行わせる場合の見積書の受理、発注補助、実施の確認を行う。」
 とあり、
 マンション管理業者は、管理組合がマンションの維持又は修繕(大規模修繕を除く修繕又は保守点検等。)を当該マンション管理業者以外の業者に行わせる場合、当該工事に関する見積書の受理、発注補助、実施の確認を行うは、適切です。



4 標準管理委託契約書によれば、マンション管理業者が、長期修繕計画案の作成業務を行う場合は、本契約とは別個の契約とする。

〇 適切である。 
 平成28年 管理業務主任者試験 「問9」 

  設問も、選択肢2で引用しました、 標準管理委託契約書 別表第1 事務管理業務 (3) 本マンション(専有部分を除く。以下同じ。)の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整
 「二
長期修繕計画案の作成業務及び建物・設備の劣化状況などを把握するための調査・診断を実施し、その結果に基づき行う当該計画の見直し業務を実施する場合は、本契約とは別個の契約とする。」
 とあり、
 マンション管理業者が、長期修繕計画案の作成業務を行う場合は、本契約とは別個の契約とするは、適切です。

 なお、長期修繕計画案の作成業務は、平成21年に改正があり以前の標準管理委託契約書では、管理業者の業務に入っていましたが、作成に手間がかかることが分かり、別契約となりました。



答え:1

 選択肢1は、サラット読むと気が付かない。 易しい問題です。
 しかし、建築基準法と標準管理委託契約書の複合問題とは、適切でない。

《タグ》マンションの維持保全 建築基準法 標準管理委託契約書 長期修繕計画 工事 長期修繕計画案の作成業務

平成29年度 管理業務主任者試験

【問 27】 建築基準法第12条に規定する建築設備等の報告、検査等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 排煙設備の排煙風量測定の定期報告の時期は、5年の間隔をおいて特定行政庁が定める時期(建築基準法施行規則で別途定めるものを除く。)とする。

X 誤っている。 建築設備(換気設備、排煙設備、非常用の照明装置、給水設備及び排水設備等)の定期報告の時期はおおむね6月から1年までの間隔をおいて特定行政庁が定める時期。5年の間隔ではない。
 訂正:排煙設備の排煙風量測定の定期報告の時期は、1年から3年の間隔で特定行政庁が定める時期に行う。5年の間隔ではない。

 平成29年 マンション管理士試験 「問21」 、平成28年 マンション管理士試験 「問36」平成25年 管理業務主任者試験 「問21」 、平成25年 管理業務主任者試験 「問12」 も 建築基準法第12条からの出題。 平成23年 管理業務主任者試験 「問25」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問37」 、 平成18年 管理業務主任者試験 「問18」

 まず、建築設備等の検査・報告制度は、建築基準法(第12条)に基づき、事故や災害等を未然に防止するために建築物・建築設備・防火設備・昇降機等について、定期的に専門の技術者(一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者(特定建築物調査員、防火設備検査員、昇降機等検査員、建築設備検査員)に調査・検査をさせ、その結果を特定行政庁(建築主事を置く地方公共団体)に報告させることを、建築物の所有者等に義務付けています。

 以前は、この検査・報告制度に入っていなかった昇降機(エレベーター)や防火設備もエレベーター事故、火災事故の多発を受け、平成28年6月1日から、建築基準法を改正し、昇降機や防火設備も対象とし、点検する資格者も改めた新たな制度が施行されることとなりました。

 詳細は、 平成29年 マンション管理士試験 「問21」 の解説をご覧ください。
 
 なお、定期報告を必要とする建築設備や昇降機、防火設備についての検査や報告の詳細は、特定行政庁に任されていて、全国で統一されていないことにも注意してください。

 また、建築設備とは、建築基準法第2条3号
 「(用語の定義)
 第二条 この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
 三 建築設備 建築物に設ける電気、ガス、給水、排水、換気、暖房、冷房、消火、排煙若しくは汚物処理の設備又は煙突、昇降機若しくは避雷針をいう。」
 とあり、 
  ・電気設備 
  ・ガス設備
  ・給水,排水その他の配管設備
  ・換気設備
  ・冷暖房設備
  ・消火設備
  ・排煙設備
  ・汚物処理設備
  ・煙突
  ・昇降機
  ・避雷設備
 です。


 そして、法定点検が義務付けられているのは、
  @昇降機
  A防火設備
  B換気設備
  C排煙設備
  D非常用の照明装置
  E給水設備及び排水設備
 です。
 
 そこで、設問の、排煙設備とは、火災時に煙を機械で吸い上げ排出する設備で、屋上に非常用の電動機とセットになった排煙機本体が据え付けられています。この排煙機本体と各フロアの排煙口がダクトでつながれており、火災時に手動でボタンを押したり、感知器と連動で作動します。排煙口が開くと同時に本体のファンが回り、一気に煙を外部に排出してくれます。
 排煙口は、主に地下や排煙窓が設置できないような場所にあります。そのエリアで火災が発生した場合に、煙の逃げ場がない空間に設置されています。


 

 
 これをもとに、設問をみますと、建築基準法第12条
 「(報告、検査等)
 第十二条 第六条第一項第一号に掲げる建築物で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの(国、都道府県及び建築主事を置く市町村の建築物(以下この項及び第三項において「国等の建築物」という。)を除く。)及び当該政令で定めるもの以外の
特定建築物(同号に掲げる建築物その他政令で定める建築物をいう。以下この条において同じ。)で特定行政庁が指定するもの(国等の建築物を除く。)の所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者。第三項において同じ。)は、これらの建築物の敷地、構造及び建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員資格者証の交付を受けている者(次項及び次条第三項において「建築物調査員」という。)にその状況の調査(これらの建築物の敷地及び構造についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含み、これらの建築物の建築設備及び防火戸その他の政令で定める防火設備(以下「建築設備等」という。)についての第三項の検査を除く。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない
2 国、都道府県又は建築主事を置く市町村の特定建築物の管理者である国、都道府県若しくは市町村の機関の長又はその委任を受けた者(以下この章において「国の機関の長等」という。)は、当該特定建築物の敷地及び構造について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員に、損傷、腐食その他の劣化の状況の点検(当該特定建築物の防火戸その他の前項の政令で定める防火設備についての第四項の点検を除く。)をさせなければならない。ただし、当該特定建築物(第六条第一項第一号に掲げる建築物で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして前項の政令で定めるもの及び同項の規定により特定行政庁が指定するものを除く。)のうち特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て指定したものについては、この限りでない。
3 
特定建築設備等昇降機及び特定建築物の昇降機以外の建築設備等をいう。以下この項及び次項において同じ。)で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの(国等の建築物に設けるものを除く。)及び当該政令で定めるもの以外の特定建築設備等で特定行政庁が指定するもの(国等の建築物に設けるものを除く。)の所有者は、これらの特定建築設備等について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者(次項及び第十二条の三第二項において「建築設備等検査員」という。)に検査(これらの特定建築設備等についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含む。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない
 (以下、略)」
 とあり、
 建築基準法第12条3項での政令は、建築基準法施行令第16条3項
 「
3 法第十二条第三項の政令で定める特定建築設備等は、次に掲げるものとする
   一 第百二十九条の三第一項各号に掲げる
昇降機(使用頻度が低く劣化が生じにくいことその他の理由により人が危害を受けるおそれのある事故が発生するおそれの少ないものとして国土交通大臣が定めるものを除く。)
   二 
防火設備のうち、法第六条第一項第一号に掲げる建築物で第一項各号に掲げるものに設けるもの(常時閉鎖をした状態にあることその他の理由により通常の火災時において避難上著しい支障が生ずるおそれの少ないものとして国土交通大臣が定めるものを除く。)」

 です。
 分かり難い法文と施行令の構成ですが、建築基準法第12条3項で除いた「昇降機」が入り、「防火設備」が規定されています。

 そこで、建築設備や防火設備の定期報告は、建築基準法施行規則第6条1項
 「(建築設備等の定期報告)
 第六条 法第十二条第三項の規定による報告の時期は、
建築設備又は防火設備(以下「建築設備等」という。)の種類、用途、構造等に応じて、おおむね六月から一年まで(ただし、国土交通大臣が定める検査の項目については、一年から三年まで)の間隔をおいて特定行政庁が定める時期(次のいずれかに該当する場合においては、その直後の時期を除く。)とする。
   一 法第十二条第三項の安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定める特定建築設備等について、設置者が法第七条第五項(法第八十七条の二において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)又は法第七条の二第五項(法第八十七条の二において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定による検査済証の交付を受けた場合
   二 法第十二条第三項の規定により特定行政庁が指定する特定建築設備等について、設置者が法第七条第五項又は法第七条の二第五項の規定による検査済証(当該指定があつた日以後の設置に係るものに限る。)の交付を受けた場合
2 法第十二条第三項の規定による検査は、建築設備等の状況について安全上、防火上又は衛生上支障がないことを確認するために十分なものとして行うものとし、当該検査の項目、事項、方法及び結果の判定基準は国土交通大臣の定めるところによるものとする。
3 法第十二条第三項の規定による報告は、昇降機にあつては別記第三十六号の四様式による報告書及び別記第三十六号の五様式による定期検査報告概要書に、建築設備(昇降機を除く。)にあつては別記第三十六号の六様式による報告書及び別記第三十六号の七様式による定期検査報告概要書に、防火設備にあつては別記第三十六号の八様式による報告書及び別記第三十六号の九様式による定期検査報告概要書に、それぞれ国土交通大臣が定める検査結果表を添えてするものとする。ただし、特定行政庁が規則により別記第三十六号の四様式、別記第三十六号の五様式、別記第三十六号の六様式、別記第三十六号の七様式、別記第三十六号の八様式、別記第三十六号の九様式又は国土交通大臣が定める検査結果表その他の事項を記載する報告書の様式又は検査結果表を定めた場合にあつては、当該様式による報告書又は当該検査結果表によるものとする。
4 法第十二条第三項の規定による報告は、前項の報告書及び調査結果表に、特定行政庁が建築設備等の状況を把握するために必要と認めて規則で定める書類を添えて行わなければならない。」

 とあり、
 建築基準法施行規則第6条1項によれば、
建築設備又は防火設備(以下「建築設備等」という。)の種類、用途、構造等に応じて、”おおむね六月から一年までの間隔をおいて特定行政庁が定める時期とする”とありますから、排煙設備の排煙風量測定の定期報告の時期は、”5年の間隔”をおいて特定行政庁が定める時期(建築基準法施行規則で別途定めるものを除く。)とするの、5年の間隔をおいては誤りです。おおむね六月から一年までの間隔が正しい。
 なお、大がかりなものは、3年で一巡することです。

 訂正:2018年 3月 9日:
 排煙設備の排煙風量測定を調べていたら、排煙設備の排煙風量測定は、建築基準法施行規則第6条1項での「
ただし、国土交通大臣が定める検査の項目については、一年から三年までの間隔をおいて特定行政庁が定める時期」での、
  国土交通省告示第285号(平成20年3月10日) 
 建築設備等(昇降機及び遊戯施設を除く。)の定期検査報告における検査及び定期点検における点検の項目、事項、方法並びに結果の判定基準並びに検査結果表を定める件

 に該当していることが分かったので、
 「排煙設備の排煙風量測定の定期報告の時期は、1年から3年の間隔をおいて特定行政庁が定める時期(建築基準法施行規則で別途定めるものを除く。)とあるため、5年の間隔をおいては誤りです、
 に訂正します。


2 防火設備の定期報告の時期は、種類、用途、構造等に応じて、おおむね6月から1年まで(ただし、国土交通大臣が定める検査の項目については、1年から3年まで)の間隔をおいて特定行政庁が定める時期(建築基準法施行規則で別途定めるものを除く。)とする。

〇 正しい。

 設問は、選択肢1で引用しました、建築基準法施行規則第6条1項
 「
法第十二条第三項の規定による報告の時期は、建築設備又は防火設備(以下「建築設備等」という。)の種類、用途、構造等に応じて、おおむね六月から一年まで(ただし、国土交通大臣が定める検査の項目については、一年から三年まで)の間隔をおいて特定行政庁が定める時期(次のいずれかに該当する場合においては、その直後の時期を除く。)とする
 とあり、
 防火設備の定期報告の時期は、種類、用途、構造等に応じて、おおむね6月から1年まで(ただし、国土交通大臣が定める検査の項目については、1年から3年まで)の間隔をおいて特定行政庁が定める時期(建築基準法施行規則で別途定めるものを除く。)とするは、正しい。



3 非常用の照明装置に白熱灯を用いる場合には、避難上必要となる最も暗い部分の水平床面においての照度が1ルクス以上であることを確認する。

〇 正しい。非常用の照明装置に白熱灯を用いる場合は、水平床面においての照度が1ルクス以上であること。

 平成27年 管理業務主任者試験 「問23」 、 平成19年 管理業務主任者試験 「問21」 

 非常用の照明装置は、避難するための通路や居室に対して、一定の照度を確保するための建築基準法での防災設備です。

 
 
 一方、お馴染みの「誘導灯」は消防法に定められた「避難する方向を示すための設備」です。消防法での誘導灯は建築基準法での非常用照明の代替設備として認められていませんので、誘導灯の明るさで非常用照明の照度を確保することはできないとなっています。

 

 非常用の照明装置の内部には電池が収納されており、電源供給が断たれた際であっても、自動的に内部電池から給電されるよう作られていますから、火災等で停電しても、避難するための明るさは自動的に確保されるように決められています。
 器具としては、蛍光灯、ハロゲン、白熱電球、LEDランプがあります。


 そこで、建築基準法施行令第126条の5
 
「(構造)
 第百二十六条の五 前条の非常用の照明装置は、次の各号のいずれかに定める構造としなければならない。
   一 次に定める構造とすること。
     イ 照明は、直接照明とし、床面において一ルクス以上の照度を確保することができるものとすること。
     ロ 照明器具の構造は、火災時において温度が上昇した場合であつても著しく光度が低下しないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとすること。
     ハ 予備電源を設けること。
     ニ イからハまでに定めるもののほか、非常の場合の照明を確保するために必要があるものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとすること。
  
 二 火災時において、停電した場合に自動的に点灯し、かつ、避難するまでの間に、当該建築物の室内の温度が上昇した場合にあつても床面において一ルクス以上の照度を確保することができるものとして、国土交通大臣の認定を受けたものとすること。」

 とあります。

 そして、なお、非常用の照明装置に白熱灯を用いる場合は、
 ○建築設備(昇降機を除く。)の定期検査報告における検査及び定期点検における点検の項目、事項、方法及び結果の判定基準並びに検査結果表を定める件
 (平成二十年三月十日) (国土交通省告示第二百八十五号) 

 によれば、
 検査方法ととして照度測定は、 別表第三 二 照度には
 「
避難上必要となる部分のうち最も暗い部分の水平床面において低照度測定用照度計により測定する。」
 とあり、
 非常用の照明装置に白熱灯を用いる場合には、避難上必要となる最も暗い部分の水平床面においての照度が1ルクス以上であることを確認するは、正しい。

 なお、蛍光灯やLED光源を非常用照明とする場合、高温になると明るさが半減するので2ルクス以上の照度が必要になります。


 この明るさ(ルクス)は、防犯とは異なり、かなり低めですから、混同しないようにしてください。


4 昇降機を含む特定建築設備等について、一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者は、建築基準法施行規則で定める定期検査を行うことができる。

〇 正しい? この設問では、建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者ならば、誰でも昇降機を含む特定建築設備等についてすべての定期検査ができるともなるが。
 平成29年 マンション管理士試験 「問21」 も参考に。

 定期検査を行うことのできる資格者は、選択肢1で引用しました、建築基準法第12条3項
 「
(報告、検査等)
 3 
特定建築設備等(昇降機及び特定建築物の昇降機以外の建築設備等をいう。以下この項及び次項において同じ。)で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの(国等の建築物に設けるものを除く。)及び当該政令で定めるもの以外の特定建築設備等で特定行政庁が指定するもの(国等の建築物に設けるものを除く。)の所有者は、これらの特定建築設備等について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者(次項及び第十二条の三第二項において「建築設備等検査員」という。)に検査(これらの特定建築設備等についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含む。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない

 とあり、
 この設問では、「建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者」での詳細がないのが、 平成29年のマンション管理士試験 「問29」 で出題元の 公益財団法人 マンション管理センターから出題のミスとなったのと同様に「建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者」ならば、誰でも昇降機を含む特定建築設備等のすべての定期検査を行うことができると受け取ることができる可能性もあるが、条文からは仕方ないか。

 注:*調査・検査ができる専門の技術者とは、
 法改正前は、一級建築士、二級建築士の他に、資格者(特殊建築物調査資格者、昇降機検査資格者、建築設備検査資格者)が調査・検査できる事になっていましたが、この資格者を法律に位置づけ、「専門の技術者」とは、建築基準法に規定された次のいずれかの資格を有するものです。
  ・ 一級建築士
  ・ 二級建築士 は全部
  ・ 
そして次の資格者は対象のものだけ調査・検査ができます
     ・ 建築物 ...特定建築物調査員((特定建築物調査員資格者証の交付を受けている者)     
     ・ 防火設備 ...防火設備検査員(新設)(防火設備検査員資格者証の交付を受けている者)
     ・ 昇降機及び遊戯施設 ... 昇降機等検査員(昇降機等検査員資格者証の交付を受けている者)
     ・ 建築設備 ...建築設備検査員(建築設備検査員資格者証の交付を受けている者)



答え:1
 
 ここ「問27」は、追及すると、かなり難しい。選択肢1が誤りとはすぐに分かるが、建築設備や他の解説もしたため、約7時間もかかった。

  2018年 3月 9日:再度見直しをしていて、排煙設備の排煙風量測定が、国土交通省告示に該当していることが、分かって、定期報告の期間を「おおむね6ヵ月から1年まで」から、「1年から3年まで」に訂正した。
 まったく、難しい。

  選択肢4の定期検査ができる者については、これは、もう建築基準法第12条3項の「一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者」という表現が曖昧だということで、これは直ちに条文を改正しなければ、いけない。

《タグ》建築基準法 建築設備 定期検査・報告 排煙設備 防火設備 非常用の照明装置 1ルクス 一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者

平成28年度 マンション管理士

〔問 21〕建築基準法(昭和 25 年法律第 201 号)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 準防火地域内にある地階を除く階数が4で延べ面積が 1,000 uの共同住宅は、耐火建築物としなければならない。

〇 正しい。 準防火地域内で階数が4階以上なら、面積に関係なく、耐火建築物にしなければならない。
 建築基準法も例年必ず1問は出題されます。 似たようなのは、平成25年 マンション管理士試験 「問20」 、平成19年 マンション管理士試験 「問21」 平成17年 マンション管理士試験 「問23」 。

 まず、用語定義として耐火建築物とは、建築基準法第2条 9の2項
 
「(用語の定義)
 第二条
 九の二 
耐火建築物 次に掲げる基準に適合する建築物をいう。
  イ その主要構造部が(1)又は(2)のいずれかに該当すること。
  (1) 耐火構造であること。
  (2) 次に掲げる性能(外壁以外の主要構造部にあつては、(i)に掲げる性能に限る。)に関して政令で定める技術的基準に適合するものであること。
    (i) 当該建築物の構造、建築設備及び用途に応じて屋内において発生が予測される火災による火熱に当該火災が終了するまで耐えること。
    (ii) 当該建築物の周囲において発生する通常の火災による火熱に当該火災が終了するまで耐えること。
  ロ その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に、防火戸その他の政令で定める防火設備(その構造が遮炎性能(通常の火災時における火炎を有効に遮るために防火設備に必要とされる性能をいう。第二十七条第一項において同じ。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものに限る。)を有すること。」


 そして、準防火地域内にある建築物なら、建築基準法第62条
 「(準防火地域内の建築物)
 第六十二条  
準防火地域内においては、地階を除く階数が四以上である建築物又は延べ面積が千五百平方メートルを超える建築物は耐火建築物とし、延べ面積が五百平方メートルを超え千五百平方メートル以下の建築物は耐火建築物又は準耐火建築物とし、地階を除く階数が三である建築物は耐火建築物、準耐火建築物又は外壁の開口部の構造及び面積、主要構造部の防火の措置その他の事項について防火上必要な政令で定める技術的基準に適合する建築物としなければならない。ただし、前条第二号に該当するものは、この限りでない。
   2  準防火地域内にある木造建築物等は、その外壁及び軒裏で延焼のおそれのある部分を防火構造とし、これに附属する高さ二メートルを超える門又は塀で当該門又は塀が建築物の一階であるとした場合に延焼のおそれのある部分に該当する部分を不燃材料で造り、又はおおわなければならない。 」

 とあり、
 建築基準法第62条1項により、準防火地域内にある地階を除く階数が4以上となると、延べ面積に関係なく耐火建築物にしなければなりませんから、正しい。




 
2 建築物の敷地が防火地域及び準防火地域にわたる場合においては、当該建築物又は当該建築物の敷地の全部について、敷地の過半に属する地域の建築物に関する建築基準法の規定又は建築基準法に基づく命令の規定を適用する。

X 誤っている。 全部について厳しい防火地域内の規定を適用する。 過半ではない。
 平成25年 マンション管理士試験 「問20」 、平成17年 マンション管理士試験 「問23」 。
 
 建築物の敷地が防火地域及び準防火地域にわたる場合は、建築基準法第67条
 「(建築物が防火地域又は準防火地域の内外にわたる場合の措置)
 第六十七条
 建築物が防火地域又は準防火地域とこれらの地域として指定されていない区域にわたる場合においては、その全部についてそれぞれ防火地域又は準防火地域内の建築物に関する規定を適用する。ただし、その建築物が防火地域又は準防火地域外において防火壁で区画されている場合においては、その防火壁外の部分については、この限りでない。
 
2 建築物が防火地域及び準防火地域にわたる場合においては、その全部について防火地域内の建築物に関する規定を適用する。ただし、建築物が防火地域外において防火壁で区画されている場合においては、その防火壁外の部分については、準防火地域内の建築物に関する規定を適用する。」 
 とあり、
 建築基準法第67条2項によれば、「建築物が防火地域及び準防火地域にわたる場合においては、その全部について防火地域内の建築物に関する規定を適用する」となっていますから、敷地の全部について、”敷地の過半に属する地域の建築物に関する”建築基準法の規定又は建築基準法に基づく命令の規定を適用するは、誤りです。



3 高さ 31 mを超える共同住宅で、高さ 31 mを超える部分の各階の床面積の合計が400uのものについては、非常用の昇降機を設ける必要はない。

〇 正しい。 原則:高さ31mを超える建築物なら、非常用の昇降機を設けるが、例外もある。

 平成27年 管理業務主任者試験 「問24」 、平成23年 管理業務主任者試験 「問20」 、平成19年 管理業務主任者試験 「問20」 、平成18年 マンション管理士試験 「問21」 平成18年 管理業務主任者試験 「問20」 、平成16年 管理業務主任者試験 「問20」 、平成14年 マンション管理士試験 「問20」 、平成13年 管理業務主任者試験 「問23」

 非常用の昇降機の設置は、建築基準法第34条
 
「(昇降機)
 第三十四条
 建築物に設ける昇降機は、安全な構造で、かつ、その昇降路の周壁及び開口部は、防火上支障がない構造でなければならない。
 
2 高さ三十一メートルをこえる建築物(政令で定めるものを除く。)には、非常用の昇降機を設けなければならない。

 とあり、
 建築基準法第34条2項によれば、原則;高さ31mを超える建築物なら、非常用の昇降機を設けることになりますが、そこで、政令の例外規定があります。
 政令は、建築基準法施行令第129条の13の2
 「(
非常用の昇降機の設置を要しない建築物
 第百二十九条の十三の二  法第三十四条第二項 の規定により政令で定める建築物は、次の各号のいずれかに該当するものとする。
   一  高さ三十一メートルを超える部分を階段室、昇降機その他の建築設備の機械室、装飾塔、物見塔、屋窓その他これらに類する用途に供する建築物
   
二  高さ三十一メートルを超える部分の各階の床面積の合計が五百平方メートル以下の建築物
   三  高さ三十一メートルを超える部分の階数が四以下の主要構造部を耐火構造とした建築物で、当該部分が床面積の合計百平方メートル以内ごとに耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備でその構造が第百十二条第十四項第一号イ、ロ及びニに掲げる要件を満たすものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたもの(廊下に面する窓で開口面積が一平方メートル以内のものに設けられる法第二条第九号の二 ロに規定する防火設備を含む。)で区画されているもの
   四  高さ三十一メートルを超える部分を機械製作工場、不燃性の物品を保管する倉庫その他これらに類する用途に供する建築物で主要構造部が不燃材料で造られたものその他これと同等以上に火災の発生のおそれの少ない構造のもの」

 とあり、
 高さが31mを超えても、建築基準法施行令第129条の13の2 2号によれば、「高さ31mを超える部分の各階の床面積の合計が500u以下の建築物」ならば、非常用のエレベーターの設置は不要ですから、 高さ 31 mを超える部分の各階の床面積の合計が400uのものについては、非常用の昇降機を設ける必要はなく、正しい。

 ★どうして、31mを越えると非常用エレベーターが必要か?
  31mは昔の尺貫法の約100尺(33m)に該当します。以前の高さ制限でもあります。
  消防用の避難はしご車もその高さにあわせて31mまでは、届きますがそれ以上は届きません。
  そこで、消防隊も消火活動に使える非常用エレベーターが必要とされます。
 


  (注:なお、避雷設備は、20mを超えると設けること。この非常用エレベーターの31m超と混同しないように。)

 


4 建築主は、共同住宅の用途に供する建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が 150 u であるものの大規模の模様替えをしようとする場合、建築確認を受けなければならない。

〇 正しい。 共同住宅なら、床面積の合計が100uを超えると大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合等では、建築確認が必要。
 平成25年 マンション管理士試験 「問41」 、平成14年 マンション管理士試験 「問21」平成13年 マンション管理士試験 「問25」

 建築確認は、建築確認第6条
 「(建築物の建築等に関する申請及び確認)
 第六条 建築主は、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは
大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定(この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築基準法令の規定」という。)その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう。以下同じ。)に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。当該確認を受けた建築物の計画の変更(国土交通省令で定める軽微な変更を除く。)をして、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合も、同様とする。
   
一  別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が百平方メートルを超えるもの
   二  木造の建築物で三以上の階数を有し、又は延べ面積が五百平方メートル、高さが十三メートル若しくは軒の高さが九メートルを超えるもの
   三  木造以外の建築物で二以上の階数を有し、又は延べ面積が二百平方メートルを超えるもの
   四  前三号に掲げる建築物を除くほか、都市計画区域若しくは準都市計画区域(いずれも都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域を除く。)若しくは景観法 (平成十六年法律第百十号)第七十四条第一項 の準景観地区(市町村長が指定する区域を除く。)内又は都道府県知事が関係市町村の意見を聴いてその区域の全部若しくは一部について指定する区域内における建築物
  (以下略)」

 とあり、
 建築基準法第6条1項1号の 別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物 とは、「病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。)ホテル、旅館、下宿、
共同住宅、寄宿舎その他これらに類するもので政令で定めるもの」
 とあり、
 設問の共同住宅も該当しますから、床面積の合計が 150 u であるものの大規模の模様替えをしようとする場合は、床面積の合計が100uを超えていますから、建築確認が必要で、正しい。



答え:2

《タグ》 建築基準法。 準防火地域内と耐火建築物。 敷地が防火地域及び準防火地域にわたる場合。 非常用昇降機の設置。 模様替えと建築確認。

 ここは、選択肢2の厳しい方の適用を覚えていれば、他は消せる? 非常用エレベーターの設置で例外(政令)からの出題は、珍しい。

平成28年度 マンション管理士

〔問 36〕マンションの建物の点検又は調査・診断に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

1 建築基準法第 12 条第 1項に規定される特殊建築物等の定期調査(この問いにおいて「定期調査」という。)に当たるのは、ー級建築士又は二級建築士でなければならない。


注:建築基準法第12条は、平成28年6月施行で、改正があった。ここは、改正に未対応。

X 適切でない。定期調査は、一級建築士、二級建築士の他国土交通大臣が定める資格を有する者もできる。
 平成25年 管理業務主任者試験 「問21」 、 平成25年 管理業務主任者試験 「問12」 も 建築基準法第12条からの出題。 平成23年 管理業務主任者試験 「問25」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問37」 、 平成18年 管理業務主任者試験 「問18」 など。 

 特殊建築物等の報告、検査は、建築基準法第12条、
 「
(報告、検査等)
 第十二条  第六条第一項第一号に掲げる建築物で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの(国、都道府県及び建築主事を置く市町村の建築物(以下この項及び第三項において「国等の建築物」という。)を除く。)及び当該政令で定めるもの以外の
特定建築物(同号に掲げる建築物その他政令で定める建築物をいう。以下この条において同じ。)で特定行政庁が指定するもの(国等の建築物を除く。)の所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者。第三項において同じ。)は、これらの建築物の敷地、構造及び建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員資格者証の交付を受けている者(次項及び次条第三項において「建築物調査員」という。)にその状況の調査(これらの建築物の敷地及び構造についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含み、これらの建築物の建築設備及び防火戸その他の政令で定める防火設備(以下「建築設備等」という。)についての第三項の検査を除く。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。

 (以下略)」
 とあり、
 @一級建築士 若しくは
 A二級建築士 又は
 B建築物調査員資格者証の交付を受けている者(
特殊建築物等調査資格者
 も特殊建築物等の定期調査が可能ですから、ー級建築士又は二級建築士でなければならないは、適切ではありません。




 
2 アルミ製品の調査・診断に当たっては、主に目視調査により耐久性を推定するが、光沢度、塗膜付着性等について計測機器等を使用して計測する方法もある。

〇 適切である。
 平成26年 マンション管理士試験 「問37」

 アルミも腐食して、白い斑点が表面に現れます。年1回から2回程度表面をクリーニングすると長持ちします。
 そこで、アルミ製品の調査・診断に当たっては、主に 目視調査により耐久性を推定しますが、光沢度、塗膜付着性等について計測機器等を使用して計測する方法もありますから、適切です。
 でも、この計測機を使用する方法は一般的には行われていないそうです。





3 反発度法により推定されたコンクリート強度は、試験結果の精度が高いので、耐震診断においても一般的に適用されている。

X 適切ではない。 反発度法は精度が低い。
  平成23年 マンション管理士試験 「問37」 、 平成23年 管理業務主任者試験 「問28」 、平成17年 マンション管理士試験 「問36」 、 平成17年 管理業務主任者試験 「問28」 。

 コンクリートの強度の調査・診断方法としては、反発度(リバウンド)法としてシュミット・ハンマー(リバウンド・ハンマー)を使用した非破壊試験方法やコンクリート・コア抜きによる破壊試験方法があります。
 反発度(シュミット・ハンマー)法では基本的にコンクリートの圧縮強度はあまり正確に測ることはできません。ばらつきも大きいので、一箇所だけではなく20ポイントで測ることを基本にしています。たまたま鉄筋の真上だと飛びぬけて良い値が取れます。このようなデータは捨てる必要がありますが、逆にジャンカなどで表面がガタガタになっているような場合は、表面の平らな部分に測定器を当てないと反射が正確に測れず、弱い強度が出ます。
 そこで、反発度法により推定されたコンクリート強度は、試験結果の精度が低く、適切ではありません。



  

4 定期調査における外壁タイルの調査・診断では、竣工後又は外壁改修工事実施後 10 年以内に全ての壁面について打診調査を行わなければならない。

X 適切でない? 12年が目安で、10年以内ではない。 10年を超え?
  長期修繕計画作成ガイドライン(平成20年6月、国土交通省作成)によれば、外壁タイルの補修周期は、12年が目安であり、竣工後又は外壁改修工事実施後 10 年以内に全ての壁面について打診調査を行わなければならないは、適切ではありません。
  しかし、”10年以内”とか言い切っているが、出題の意図が不明だ。”全ての壁面”にポイントがあるのか? それとも、10年以内ではなく、10年経過後というのか?


 
  2017年 2月24日 追記:調べていたら、平成20年国土交通省告示第282号 があった。(注:直接リンクは、貼れませんでした。)
 この「調査方法」に
 「開口隅部、水平打継部、斜壁部等のうち手の届く範囲をテストハンマーによる打診等により確認 し、その他の部分は必要に応じて双眼鏡等を使用し目視により確認し、異常が認められた場合にあっては、落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分を 全面的にテストハンマーによる 打診等により確認する。ただし、
竣工後、外壁改修後若しくは落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分の全面的なテストハンマーによる打診等を実施した後 10 年を超え、かつ3年以内に落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分の全面的なテストハンマーによる打診等を実施していない場合にあっては、落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分を全面的にテストハンマーによる打診等により確認する(3年以内に外壁改修等が行われることが確実である場合又は別途歩行者等の安全を確保するための対 策を講じている場合を除く。)。」
 とあり、
 ここの、 「10年を超え」が該当するのかも。



答え:2

《タグ》建物の調査。 定期調査ができる資格。 アルミ製品。 コンクリートの強度。外壁タイル。

  選択肢4が少しばかり悩むが、過去問題をやっていれば、易しい。

平成28年度 マンション管理士

〔問 40〕マンションの構造に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

1 地震で被災した際、被災建築物応急危険度判定で「危険(赤色)」と判定されたため、修繕が不可能と判断し、建物を取り壊すことにした。

X 適切でない。 危険と判定されても、修繕不可能とは断定できない。

  過去問題にはない、新しい分野からの出題です。


まず、被災建築物応急危険度判定とは、余震等による建築物の倒壊などに伴う二次災害を防止するため、地震発生後できるだけ早く、かつ短時間で建築物の被災状況を調査し、被災者がそのまま自宅にいてよいか、避難所へ避難したほうがよいかなどを判定し、その建築物の当面の使用の可否を判定するものです。
 その後に発生する余震などによる倒壊の危険性や外壁・窓ガラスの落下、付属設備の転倒などの危険性を判定することにより、人命にかかわる
二次的災害を防止することを目的としています

 被災建築物応急危険度判定には、3種のステッカーがあり、
 @危険(赤紙)
 A要注意(黄紙)
 B調査済(緑紙) です。
 応急危険度判定は地震の二次災害防止のため、応急的に建物の安全性をチェックするものですから、特にその建物が修繕が不可能とは断定できませんから、適切ではありません。、



2 免震構造は、建築物の基礎と上部構造との間に免震装置を設ける構造であるため、建築物の新築時から免震装置を設置しておかなくてはならない。


X 適切でない。 免震装置や制震装置は、既存の建物にも設置が可能。
  平成21年 マンション管理士試験 「問41」 平成16年 マンション管理士試験 「問40」 

  まず、地震と建築物の関係では、
  @耐震構造...建物を強健にして(剛性を高める)地震に対応する
  A制震構造...建物の骨組みに取り付けたオイルや粘弾性のある制震装置(ダンパー)により、地震や風による揺れを小さくする
  B免震構造...建物の基礎と上部構造との間に積層ゴムや滑り機能を持つ免震装置を設けて、地震の力に対して、建物がゆっくりと水平移動して建物の曲げや変形を少なくする
  があり、設問の「免震構造は、建築物の基礎と上部構造との間に免震装置を設ける構造である」は、適切です。
 しかし、A制震装置やB免震装置は、既存の建物にも設置が可能ですから、設問の後半の「建築物の新築時から免震装置を設置しておかなくてはならない」、適切ではありません。

 よって、全体としては、適切ではありません。

 

 


3 建築基準法による耐震基準は、震度 6強から震度 7程度の地震に対して、主要構造部は被害を受けないことを目標としている。


X 適切でない。 耐震基準は、人命を地震の危害から防ぐことを目標としている。
 平成24年 マンション管理士試験 「問42」 、平成24年 管理業務主任者試験 「問20」 、  平成22年 マンション管理士試験 「問42」 、 平成20年 管理業務主任者試験 「問22」 、 平成18年 マンション管理士試験 「問40」 

 2016年(平成28年)の熊本地方の地震や2011年(平成23年)3月11日に起きた東北地方太平洋沖地震だけでなく、日本全国で地震による家屋の倒壊等の被害は大きく、地震の発生の度に多くの貴重な生命・財産が奪われています。
 そこで、建築基準法と耐震の歴史をみると1964年(昭和39年)に発生した新潟地震と1968年(昭和43年)に発生した十勝沖地震等の被害を教訓にして、1971年(昭和46年)に鉄筋コンクリート造(RC造)の柱の帯筋の基準を強化し、また1981年(昭和56年)には、新耐震基準の改正もあります。さらに、1995年(平成7年)に発生した阪神・淡路大震災を教訓にした「建築物の耐震改修の促進に関する法律」があるのですが、平成18年にこの法律の改正があり、関係する建築基準法も震度6強から7程度までの耐震基準となっています。
 この耐震基準は、震度6強から震度7程度の地震に対して、人命に危害を及ぼすような倒壊、崩壊等を生じないことを目標としていますから、主要構造部は被害を受けないことを目標としているは、適切ではありません。



4 耐震改修工法については、壁やブレース、柱、梁を増設、補強する工法だけではなく、逆に柱に取り付く壁と柱の間に隙間を設けることで耐震性能を改善する工法もある。


〇 適切である。 スリット工法がある。
 平成25年 マンション管理士試験 「問41」 、 平成22年 管理業務主任者試験 「問26」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問41」 、 平成19年 マンション管理士試験 「問40」 、平成17年 マンション管理士試験 「41」 、 

 耐震補強としては、壁やブレースの増設、柱、梁の補強をする策もありますが、壁と柱が繋がっていて横方向の地震力が集中して、柱が破壊される例が報告されています。
 これを防ぐために、柱と壁の間に隙間・切れ目(スリット)を設けて耐震性能を上げる工法もありますから、適切です



 

 

答え:4 

《タグ》地震対応。 耐震構造。制震構造。免震構造。耐震基準。 補強工法。

    選択肢1は新しい出題だが、過去問題をやっていれば、選択肢4は選べた?

平成28年度 マンション管理士

〔問 41〕マンションのバリアフリーに関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

1 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成 18 年法律第91 号)に規定する特定建築物に該当するマンションでは、建築基準法に基づく建築確認が必要となる大規模の修繕を行う場合、建築物移動等円滑化基準に適合させなければならない。

X 適切でない。 努力規定であり、義務ではない。
 平成24年 マンション管理士試験 「問40」   参考までに、平成28年 管理業務主任者試験 「問44」 。
 
 まず、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)での「特定建築物」とは、同法第2条16号
 
「(定義)
 第二条  この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
     十六  
特定建築物 学校、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、ホテル、事務所、共同住宅、老人ホームその他の多数の者が利用する政令で定める建築物又はその部分をいい、これらに附属する建築物特定施設を含むものとする。」

 とあり、
 マンションは、共同住宅として、特定建築物に該当します。
 では、建築基準法に基づく建築確認が必要となる大規模の修繕を行う場合、建築物移動等円滑化基準に適合させるかですが、
 それは、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律第16条
 「
特定建築物の建築主等の努力義務等
 「第十六条  建築主等は、特定建築物(特別特定建築物を除く。以下この条において同じ。)の建築(用途の変更をして特定建築物にすることを含む。次条第一項において同じ。)をしようとするときは、当該特定建築物を建築物移動等円滑化基準に適合させるために必要な措置を講ずるよう
努めなければならない
 2  建築主等は、
特定建築物の建築物特定施設の修繕又は模様替をしようとするときは、当該建築物特定施設を建築物移動等円滑化基準に適合させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
 3  所管行政庁は、特定建築物について前二項に規定する措置の適確な実施を確保するため必要があると認めるときは、建築主等に対し、建築物移動等円滑化基準を勘案して、特定建築物又はその建築物特定施設の設計及び施工に係る事項について必要な指導及び助言をすることができる。」

 とあり、
 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律第16条2項によれば、マンション(共同住宅)においては、 建築物特定施設の修繕又は模様替をしようとするときは(大規模の修繕)、建築物移動等円滑化基準に適合させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならないであり、努力目標ですから、適合させなければならないは、適切ではありません。

 

2 住宅の品質確保の促進等に関する法律(平成 11 年法律第 81 号)に基づく住宅性能表示制度では、新築住宅については高齢者等配慮対策等級が定められているが、既存住宅については定められていない。

X 適切でない。 高齢者等配慮対策等級は、既存住宅も対象である。
 平成28年 管理業務主任者試験 「問24」
 
 住宅の品質確保の促進等に関する法律は、民法での瑕疵担保責任での例外規定の他にも、日本住宅性能表示基準も定めています。
 まず、日本住宅性能表示基準は、同法第3条以下に規定されています。
 「(日本住宅性能表示基準)
 第三条  国土交通大臣及び内閣総理大臣は、住宅の性能に関する表示の適正化を図るため、日本住宅性能表示基準を定めなければならない。
 2  日本住宅性能表示基準は、利害関係人の意向を適切に反映するように、かつ、その適用に当たって同様な条件の下にある者に対して不公正に差別を付することがないように定め、又は変更しなければならない。
 3  国土交通大臣又は内閣総理大臣は、日本住宅性能表示基準を定め、又は変更しようとする場合において、必要があると認めるときは、当該日本住宅性能表示基準又はその変更の案について、公聴会を開いて利害関係人の意見を聴くことができる。
 4  国土交通大臣及び内閣総理大臣は、日本住宅性能表示基準を定め、又は変更しようとするときは、あらかじめ、国土交通大臣にあっては社会資本整備審議会の議決を、内閣総理大臣にあっては消費者委員会の議決を、それぞれ経なければならない。
 5  国土交通大臣及び内閣総理大臣は、日本住宅性能表示基準を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを告示しなければならない。

 とあります。
 そこで、これを受け、住宅流通の円滑化と合理化を図る「住宅性能表示制度」ができています。
 その制度の概要は、
  ・
新築住宅と既存住宅(中古住宅)の両方に適用することができる
  ・共通基準には、@構造、A防火、B劣化軽減、C維持管理・更新への配慮、D温熱環境・エネルギー消費量、E空気環境、F光・視環境、G音環境、H
高齢者等への配慮、I防犯 の10分野がある
  ・国に登録された第三者機関が共通の表示基準で評価して住宅性能を評価書として表示する
  ・評価書の内容は契約書に添付できる
  ・事後にトラブルが発生しても円滑で迅速な紛争処理を行える です。
  これらによれば、住宅性能表示制度では、新築住宅(10分野33項目)についても、既存住宅(9分野28項目、追加項目もあり)についても、共に高齢者等への配慮に関することとして高齢者等配慮対策等級が定められていますので、既存住宅については定められていないは、適切ではありません。
  なお、等級では「5など」(4や3が最高もある)が一番よくて、→ 1、又は 0 となります。

 住宅性能表示制度における性能表示事項(必須/選択項目の範囲)は、見直されていますので注意してください。(平成27年4月1日施行)

 


3 建築基準法によれば、高さ 1mをこえる階段には手すりを設けなければならない。

〇 適切である。 階段で高さが1mをこえると手すりをつけること。
  平成22年 マンション管理士試験 「問20」 

 階段の手すりは、建築基準法施行令第25条
  「(階段等の手すり等)
 第二十五条  
階段には、手すりを設けなければならない。
 2  階段及びその踊場の両側(手すりが設けられた側を除く。)には、側壁又はこれに代わるものを設けなければならない。
 3  階段の幅が三メートルをこえる場合においては、中間に手すりを設けなければならない。ただし、けあげが十五センチメートル以下で、かつ、踏面が三十センチメートル以上のものにあつては、この限りでない。
 4  
前三項の規定は、高さ一メートル以下の階段の部分には、適用しない
 とあり、
 建築基準法施行令第25条1項及び4項によれば、階段には、高さが1mを超えると手すりを設けますから、適切です。

  


4 建築基準法によれば、階段に代わる傾斜路を設ける際は、勾配が 12 分の 1をこえてはならない。

X 適切でない。 階段に代わる傾斜路を設ける際は、勾配は1/8 をこえないこと。 1/12 ではない。
 階段に代わる傾斜路を設けるとは、建築基準法施行令第26条
 「(階段に代わる傾斜路)
 第二十六条  
階段に代わる傾斜路は、次の各号に定めるところによらなければならない。
     一  勾配は、八分の一をこえないこと

     二  表面は、粗面とし、又はすべりにくい材料で仕上げること。
 2  前三条の規定(けあげ及び踏面に関する部分を除く。)は、前項の傾斜路に準用する。」

 とあり、
  階段の代わりに傾斜路(スロープ)を設けるなら、その勾配は建築基準法施行令第26条1項1号によれば、1/8 をこえないこととあり、1/12 は、適切ではありません。
 なお、勾配 1/8 とは、水平に8m進むあいだに、垂直に 1m あがるスロープとなります。
 

 

 なお、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)での「建築物移動等円滑化(誘導)基準」では、スロープの勾配は、屋内で 1/12を超えないこと、屋外で1/15を超えないことです。


答え:3

《タグ》バリアーフリー。 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律。住宅の品質確保の促進等に関する法律。建築基準法施行令。 建築物移動等円滑化基準。高齢者等配慮対策等級。階段と手すり。階段に代わる傾斜路の勾配。

 選択肢3は過去問題がある。
 選択肢4の勾配 1/8 を超えないことは知らないか?

平成28年度 マンション管理士

〔問 42〕マンションの室内環境に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 住宅の省エネルギー基準には、外壁や窓等に関する基準以外に暖冷房や給湯等の住宅設備に関する基準も導入されている。

〇 適切である。
 住宅の省エネルギー基準は、平成27年7月に公布された「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」に基づき、国土交通省と経済産業省による、住宅の省エネルギーの基準です。
 日本全国を6つの地域に分けて、それぞれの基準を適用します。
 一次エネルギー消費量に関する基準では、
  ・外皮(
外壁や窓等)の断熱性
  ・設備の性能 ・
空調 ・照明 ・換気 ・給湯 ・昇降機 ・太陽光発電等による創エネルギーの取組
  があげられていて、住宅の省エネルギー基準には、外壁や窓等に関する基準以外に暖冷房や給湯等の住宅設備に関する基準も導入されているは、適切です。



2 窓サッシを二重化すると、窓の熱貫流率が小さくなり、室内の温度を安定させるとともに、結露の発生を抑制することができる。

〇 適切である。
  平成21年 マンション管理士試験 「問40」

  まず、熱貫流率とは...壁、床、屋根等を通して熱が逃げたり、入ってきたりすることです。建築物壁面の熱の伝わりやすさを数値として表したものです。この数値が小さいほど熱を伝えにくく、断熱性が高いことになります。


 

 そこで、窓サッシを二重化すると、窓の熱貫流率が小さくなり、室内の温度を安定させるとともに、結露の発生を抑制することができますから、適切です。


3 JIS (日本工業規格)での F☆☆☆☆等級に適合する建材は、建築基準法によるシックハウス対策に係る制限を受けることなく内装仕上げに用いることができる。

〇 適切である。F☆☆☆☆等級なら制限なしに使える。
  平成16年 管理業務主任者試験 「問24」

  建築基準法では、シックハウス対策として、主にホルムアルデヒドに関する対策をしています。
 これを受け、JIS(日本工業規格)での F☆☆☆☆等級とは、内装仕上げに使用するホルムアルデヒドを規制したものです。
 F☆☆☆☆等級は、ホルムアルデヒドの放散速度が、5μg/uh 以下で、建築基準法の対象外で、内装仕上げにおいても制限なく使用できますから、適切です。
 注:μg=マイクロ・グラム...100万分の1g。   発散速度 1μg/uh は、建材 1u につき1時間あたりにつき、1μgの化学物質が発散されたことをいう。



 


4 マンションの界壁の遮音は、空気伝搬音より固体伝搬音の対策を重視しなければならない。

X 適切でない。 マンションでの界壁での遮音は、固体伝搬音よりも空気伝搬音の伝わり難さを重視すること。
 平成27年 マンション管理士試験 「問40」 、平成21年 マンション管理士試験 「問42」 、平成21年管理業務主任者試験 「問23」 選択肢2、3、平成18年マンション管理士試験 「問42」 、 平成15年 マンション管理士試験 「問40」

 まず、音は床の衝撃音のように建物の構造から伝わる固体伝搬音と、話し声や演奏音のように空気中を伝わり窓など開口部から聞こえる空気伝搬音があります。
 そこで、マンションの界壁において求められるのは、話し声など空気伝搬音が伝わりにくいことです。
 空気伝搬音は、遮音等級(D)で表され、D-50 と D-15 なら D-50 の方が遮音性が優れています。
 界壁の遮音は、主に壁の密度と厚さによって決まります。

 床の遮音対策なら、固定伝搬音が重視されますが、界壁の遮音対策なら、固体伝搬音よりも空気伝搬音の方を対策を重視しますから、設問は、適切ではありません。 

界壁の遮音等級

D-65

D-60

D-55

D-50

D-45

D-40

D-35

D-30

D-25

D-20

D-15

ピアノ、ステレオ等の大きい音

通常では聞こえない

ほとんど聞こえない

かすかに聞こえる

小さく聞こえる

かなり聞こえる

曲がはっきり分かる

よく聞こえる

大変よく聞こえる

うるさい

かなりうるさい

大変うるさい



答え:4

《タグ》マンションの室内環境。 住宅の省エネルギー基準。窓サッシの二重化。熱貫流率。シックハウス対策。界壁の遮音。空気伝搬音。固体伝搬音。

 選択肢4の界壁の遮音は少し難しい? 他の消去法で正解は選べるか。

 *ある受験生の感想:選択肢3を選んだ。選択肢4は勉強不足

平成28年度 マンション管理士

〔問 45〕マンションの設備に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 潜熱回収型ガス給湯機を設置する場合には、潜熱回収時に熱交換器より凝縮水が発生するので、それを排出するために排水管を設置する。

〇 適切である。
 平成18年 マンション管理士試験 「問45」 

 潜熱とは、固体、液体、気体と変化するときに吸収・放出する熱エネルギーのことです。例えば、水が氷になる時の「凝固熱」、氷から水になる時の「溶解熱」など「液体・固体間の相変化」に伴い放出あるいは吸収される熱エネルギーです。(参考:言葉として「顕熱」もある)。
 潜熱回収型のガス給湯器は、今まで排気ロスとして大気中に放出されていた潜熱(水蒸気の熱 )を回収し、給水を予熱しています。水蒸気が水になる際に、熱交換器より排気ガス中に微量に含まれているチッソ酸化物などが混入した酸性の凝縮水(ドレンド水)が発生します。その水を排出するために、中和剤で処理をしてから排水します。そのため、排水管(ドレンド管)を設置しますから、適切です。

 また、ガスの使用量を抑えるので二酸化炭素(CO2)の排出量が削減されます。


 


2 新設する乗用エレベーターには、駆動装置又は制御器に故障が生じ、かご及び昇降路のすべての出入口の戸が閉じる前にかごが昇降した場合に、自動的にかごを制止する装置を設けなければならない。

〇 適切である。
  新しい。
  詳細は、 平成28年 管理業務主任者試験 「問19」 にある。

 エレベーターの安全装置の種類は、建築基準法施行令 第129条の10 
 「(エレベーターの安全装置)
 第百二十九条の十  エレベーターには、制動装置を設けなければならない。
 2  前項のエレベーターの制動装置の構造は、次に掲げる基準に適合するものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。
     一  かごが昇降路の頂部又は底部に衝突するおそれがある場合に、自動的かつ段階的に作動し、これにより、かごに生ずる垂直方向の加速度が九・八メートル毎秒毎秒を、水平方向の加速度が五・〇メートル毎秒毎秒を超えることなく安全にかごを制止させることができるものであること。
     二  保守点検をかごの上に人が乗り行うエレベーターにあつては、点検を行う者が昇降路の頂部とかごの間に挟まれることのないよう自動的にかごを制止させることができるものであること。
 
3  エレベーターには、前項に定める制動装置のほか、次に掲げる安全装置を設けなければならない。
     
一  次に掲げる場合に自動的にかごを制止する装置
       イ 駆動装置又は制御器に故障が生じ、かごの停止位置が著しく移動した場合
       
ロ 駆動装置又は制御器に故障が生じ、かご及び昇降路のすべての出入口の戸が閉じる前にかごが昇降した場合
     二  地震その他の衝撃により生じた国土交通大臣が定める加速度を検知し、自動的に、かごを昇降路の出入口の戸の位置に停止させ、かつ、当該かごの出入口の戸及び昇降路の出入口の戸を開き、又はかご内の人がこれらの戸を開くことができることとする装置
     三  停電等の非常の場合においてかご内からかご外に連絡することができる装置
     四  乗用エレベーター又は寝台用エレベーターにあつては、次に掲げる安全装置
       イ 積載荷重に一・一を乗じて得た数値を超えた荷重が作用した場合において警報を発し、かつ、出入口の戸の閉鎖を自動的に制止する装置
       ロ 停電の場合においても、床面で一ルクス以上の照度を確保することができる照明装置
 4  前項第一号及び第二号に掲げる装置の構造は、それぞれ、その機能を確保することができるものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。

 とあり、
  建築基準法施行令 第129条の10 3項 一号 ロ によれば、新設する乗用エレベーターには、駆動装置又は制御器に故障が生じ、かご及び昇降路のすべての出入口の戸が閉じる前にかごが昇降した場合に、自動的にかごを制止する装置を設けなければならないは、適切です。



3 都市ガスのマイコンメーターは、災害の発生のおそれのある大きさの地震動、過大なガスの流量又は異常なガス圧力の低下を検知した場合に、ガスを速やかに遮断する機能を有する。

〇 適切である。
 平成20年 マンション管理士試験 「問44」 、 平成18年 管理業務主任者試験 「問23」 
 
 マイコンメーターは、次のような場合にガスを遮断します。
  ・震度5強相当以上の地震(ガス使用時)
  ・多量のガス漏れ
  ・ガスの圧力低下
  ・ガスを異常に長時間使用 
 ですから
 都市ガスのマイコンメーターは、災害の発生のおそれのある大きさの地震動、過大なガスの流量又は異常なガス圧力の低下を検知した場合に、ガスを速やかに遮断する機能を有するは、適切です。

 最近、地震が多発していますので、ついでながら参考までに、下に、マイコンメーターの復旧方法を説明します。
 @すべてのガス機器を止めてください。この時、
メーターガス栓は閉めないでください
 Aメーターガス栓は開けたままにしてください。閉まっている場合は開けてください。
 Bキャップを外し、復帰ボタンを奥までしっかり押して、赤いランプが点灯したら、ゆっ くり手を離してください。

 
   


4 消防用設備において、設置後 10 年を経過した連結送水管は、 5年ごとに配管の耐圧性能試験を行わなければならない。

X 適切でない。 設置後 10 年を経過した連結送水管は、”3年”ごとに配管の耐圧性能試験を行う。5年ごとではない。
 平成21年マンション管理士試験 「問45」 、 平成19年 マンション管理士試験 「問44」 、 平成17年 マンション管理士試験 「問45」

  連結送水管からの出題とは、懐かしい。

 連結送水管は、送水口、配管、放水口等から構成され、消防ポンプ自動車から送水口に送水し、消防隊が放水口に放水用器具を接続して消火活動を行うものです。
 1階に設けた送水口、耐水圧の配管、そして、3階以上の各階に放水口が設けられます。
 5階以上のマンションで、延べ面積が6,000u以上のもの及び階数が7階以上となると、連結送水管を設置します。(消防法施行令第29条参照)

 耐圧性能点検は、設置後10年以上を経過した「連結送水管」「屋内外消火栓等消防用ホース」にその機能に支障が無いかを、
3年に1回点検し、消防署長等へ報告する事が消防法で義務付けられていますから、5年ごとに配管の耐圧性能試験を行わなければならないは、適切ではありません。
 
 消防法第17条の3の3の規定(消防用設備等の点検及び報告)に基づき、消防庁告示(14号)が改正され(平成14年3月12日公布、平成14年7月1日施行)その結果、連結送水管及び消防ホースについては、従来の外観点検に加え耐圧性能点検が義務付けられました。


 


答え:4

《タグ》設備。潜熱回収型ガス給湯機。エレベーターの故障。都市ガスのマイコンメーター。連結送水管の耐圧性能試験。

 選択肢1が少し悩むか?

平成28年度 管理業務主任者

[問 17] 建ぺい率、容積率などに関する次の記述のうち、建築基準法によれば、誤っているものはどれか。  

1 建ぺい率とは、建築物の建築面積(同一敷地内に2以上の建築物がある場合においては、その建築面積の合計)の敷地面積に対する割合をいう。  

〇 正しい。
 建ぺい率や容積率など建築基準法の基本からの出題は珍しい。

 建ぺい率とは、建築基準法第53条
 「(建ぺい率)
 第五十三条  
建築物の建築面積(同一敷地内に二以上の建築物がある場合においては、その建築面積の合計)の敷地面積に対する割合(以下「建ぺい率」という。)は、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める数値を超えてはならない。
 (以下、略)」
 とあり、
 建築物の建築面積(同一敷地内に2以上の建築物がある場合においては、その建築面積の合計)の敷地面積に対する割合ですから、正しい。


 建築面積や敷地面積が分からない人は、下の選択肢2を参考にしてください。
 
 


2 建築面積の算定には、地階の面積はすべて含まれない。

X 誤っている。 地階なら、地盤面上1m以下の部分は除かれるが、全てではない。
 平成26年 管理業務主任者試験 「問22」 

  建築面積の算定は、建築基準法施行令第2条1項ニ号
 「(面積、高さ等の算定方法)
 第二条  次の各号に掲げる面積、高さ及び階数の算定方法は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
 二  
建築面積 建築物(地階で地盤面上一メートル以下にある部分を除く。以下この号において同じ。)の外壁又はこれに代わる柱の中心線(軒、ひさし、はね出し縁その他これらに類するもので当該中心線から水平距離一メートル以上突き出たものがある場合においては、その端から水平距離一メートル後退した線)で囲まれた部分の水平投影面積による。ただし、国土交通大臣が高い開放性を有すると認めて指定する構造の建築物又はその部分については、その端から水平距離一メートル以内の部分の水平投影面積は、当該建築物の建築面積に算入しない。
 (以下、略)」
 とあり、
 建築面積とは、建築物の外壁又は柱の中心線(ただし、軒やひさしなどが1m以上突き出ているとその先端から1m後退した線で囲まれた部分の水平投影面積のことですが、地階があれば、地盤面上1m以下にある部分は、建築面積から除かれますから、建築面積の算定には、地階の面積は”すべて”含まれないは、誤りです。


参考:建築基準法第52条3項
  床面積の合計の1/3を限度として、地下室の床面積が容積率に不算入となっています。


 


3 容積率とは、建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合をいう。

〇 正しい。

 容積率とは、建築基準法第52条
 
「(容積率)
 第五十二条  
建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合(以下「容積率」という。)は、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める数値以下でなければならない。ただし、当該建築物が第五号に掲げる建築物である場合において、第三項の規定により建築物の延べ面積の算定に当たりその床面積が当該建築物の延べ面積に算入されない部分を有するときは、当該部分の床面積を含む当該建築物の容積率は、当該建築物がある第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域又は準工業地域に関する都市計画において定められた第二号に定める数値の一・五倍以下でなければならない。

 (以下、略)」
 とあり、
 建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合ですから、正しい。


 

  *計算例
 容積率=建築物の延べ面積/敷地面積 x 100 (%)  (これが規定の限度を超えてはいけない)
 
 2階建の上の例ですと、(1階の床面積 + 2階の床面積)=A  これを、「延べ面積」 といいます。
   そして、延べ面積=A を 敷地の面積で 割(÷)り、 その結果に 100 をかけて パーセント (%) となります。 

★延べ面積とは...1階、2階など、各階の床面積を合計したものです。
             各階の床面積とは外壁または柱の中心線で囲まれた面積のことです。(建築基準法施行令2条4号)



4 容積率の上限値には、前面道路の幅員による制限が加わる場合がある。

〇 正しい。
 
 容積率の上限値なら、建築基準法第52条2項
 「2 前項に定めるもののほか、
前面道路(前面道路が二以上あるときは、その幅員の最大のもの。以下この項及び第十二項において同じ。)の幅員が十二メートル未満である建築物の容積率は、当該前面道路の幅員のメートルの数値に、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める数値を乗じたもの以下でなければならない。
     一 第一種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域内の建築物
       十分の四
     二 第一種中高層住居専用地域若しくは第二種中高層住居専用地域内の建築物又は第一種住居地域、第二種住居地域若しくは準住居地域内の建築物(高層住居誘導地区内の建築物であつて、その住宅の用途に供する部分の床面積の合計がその延べ面積の三分の二以上であるもの(当該高層住居誘導地区に関する都市計画において建築物の敷地面積の最低限度が定められたときは、その敷地面積が当該最低限度以上のものに限る。第五十六条第一項第二号ハ及び別表第三の四の項において同じ。)を除く。)
       十分の四(特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内の建築物にあつては、十分の六)
     三 その他の建築物
      十分の六(特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内の建築物にあつては、十分の四又は十分の八のうち特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て定めるもの)

(以下、略)」
 とあり、
 前面道路の幅員が12m未満だと、前面道路の幅から計算された容積率と、都市計画において定められられた容積率の数値を比較して、低い方がその建築物の容積率となりますから、容積率の上限値には、前面道路の幅員による制限が加わる場合があり、正しい。


 

 *容積率の計算例
 (1)各部分の容積率制限
  1.近隣商業地域部分(S1)
  指定容積率400%>前面道路による容積率制限
  6mX6/10=36/10→S1の容積率制限36/10

  2.第二種住居地域部分(S2)
  指定容積率200%<前面道路による容積率制限
  6m×4/10=24/10→S2の容積率制限20/10
 
 (2)許容限度延べ面積 
   =S1(600u)×36/10+S2(400u)x20/10=2,960u
 (3)当該敷地の容積率制限値
   =2,960u/1,000u×lOO%=296%


答え:2

《タグ》建築基準法。建ぺい率。容積率。地階の例外。
   ここは、選択肢2は、過去問題をやっていれば、すぐ分かる。

平成28年度 管理業務主任者

[問 18] マンションの廊下及び屋内階段に関する次の記述のうち、建築基準法によれば、正しいものはどれか。なお、避難上の安全の検証は行わず、国土交通大臣が定めた構造方法については考慮しないものとする。

1 その階の住戸面積の合計が100uを超える場合の廊下の幅は、廊下の両側に居室がある場合には、1.5m以上、その他の場合には1.0m以上としなければならない。  

X 誤っている。 共同住宅で住戸若しくは住室の床面積の合計が100uを超える階の廊下の幅は、@両側に居室があれば、1.6m以上、Aその他は、1.2m以上。

 こんな、細かな点まではなかなか探しきれませんが、廊下の幅は、建築基準法施行令第119条
 「
(廊下の幅)
 第百十九条  廊下の幅は、それぞれ次の表に掲げる数値以上としなければならない。

 

廊下の配置 両側に居室がある廊下における場合(単位 メートル) その他の廊下における場合(単位 メートル)
廊下の用途
小学校、中学校、義務教育学校、高等学校又は中等教育学校における児童用又は生徒用のもの 二・三 一・八
病院における患者用のもの、共同住宅の住戸若しくは住室の床面積の合計が百平方メートルを超える階における共用のもの又は三室以下の専用のものを除き居室の床面積の合計が二百平方メートル(地階にあつては、百平方メートル)を超える階におけるもの 一・六 一・二

 とあり、
 共同住宅で住戸若しくは住室の床面積の合計が100uを超える階の廊下の幅は、
両側に居室があれば、1.6m以上その他は、1.2m以上ですから、廊下の両側に居室がある場合には、1.5m以上、その他の場合には1.0m以上としなければならないは、誤りです。

 


2 直上階の居室の床面積の合計が200uを超える地上階に設ける階段のけあげは24cm以下、踏面は20cm以上でなければならない。  

X 誤りである。 けあげは、20cm以下、踏面(ふみづら)は、24cm以上。
  平成15年 管理業務主任者試験 「問16」 

  こんなものまで出題される。
 たいたい、踏面をちゃんと読めれば、私の過去問題をやったことが分かります。


 ★踏面とは、階段で足をのせる踏み板のこと。段板も同じ意味。段鼻から上の段鼻まで(垂直線を降ろしたところまで)を、踏み面寸法という。住宅の階段の寸法は、建築基準法施行令により、最低、15cm以上にできると定められているが、20cm前後がのりやすい。

 
 
 蹴上(けあげ)や踏面の規定は、建築基準法施行令第23条
 
「(階段及びその踊場の幅並びに階段の蹴上げ及び踏面の寸法)
 第二十三条  階段及びその踊場の幅並びに階段の
蹴上げ及び踏面の寸法は、次の表によらなければならない。ただし、屋外階段の幅は、第百二十条又は第百二十一条の規定による直通階段にあつては九十センチメートル以上、その他のものにあつては六十センチメートル以上、住宅の階段(共同住宅の共用の階段を除く。)の蹴上げは二十三センチメートル以下、踏面は十五センチメートル以上とすることができる。

 

階段の種別 階段及びその踊場の幅
(単位 センチメートル)
蹴上げの寸法
(単位 センチメートル)
踏面の寸法
(単位 センチメートル)
(一) 小学校(義務教育学校の前期課程を含む。)における児童用のもの 一四〇以上 一六以下 二六以上
(二) 中学校(義務教育学校の後期課程を含む。)、高等学校若しくは中等教育学校における生徒用のもの又は物品販売業(物品加工修理業を含む。第百三十条の五の三を除き、以下同じ。)を営む店舗で床面積の合計が千五百平方メートルを超えるもの、劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂若しくは集会場における客用のもの 一四〇以上 一八以下 二六以上
(三) 直上階の居室の床面積の合計が二百平方メートルを超える地上階又は居室の床面積の合計が百平方メートルを超える地階若しくは地下工作物内におけるもの 一二〇以上 二〇以下 二四以上
(四) (一)から(三)までに掲げる階段以外のもの 七五以上 二二以下 二一以上

 とあり、
 直上階の居室の床面積の合計が200uを超える地上階又は居室の床面積の合計が100uを超える地階若しくは地下工作物内におけるものなら、
蹴上げの寸法は、”20cm”以下で、踏面の寸法は、”24cm”以上ですから、けあげは”24cm”以下、踏面は”20cm”以上でなければならないは、誤りです。


3 回り階段の踏面の寸法は、階段の幅の中央において測るものとする。  

X 誤っている。 狭い方の端から30cmで測る。

 平成15年 管理業務主任者試験 「問16」 

 過去問題をやっていたからわかりますが、回り階段の踏面の寸法の測り方は、建築基準法施行令 23 条2項、
 
「2  回り階段の部分における踏面の寸法は、踏面の狭い方の端から三十センチメートルの位置において測るものとする。 」
 とあり、
 回り階段の部分における踏面の寸法は、踏面の狭い方の端から30cmの位置において測りますから、階段の幅の中央において測るものとするは、誤りです。

 
 


4 階段の幅は、階段に設ける手すりの幅が10cm以下である場合、手すりの幅がないものとみなして算定する。  

〇 正しい。
 平成15年 管理業務主任者試験 「問16」

  階段の幅は、建築基準法施行令 23 条3項、
 
「3  階段及びその踊場に手すり及び階段の昇降を安全に行うための設備でその高さが五十センチメートル以下のもの(以下この項において「手すり等」という。)が設けられた場合における第一項の階段及びその踊場の幅は、手すり等の幅が十センチメートルを限度として、ないものとみなして算定する。」
 とあり、
 階段の幅は、階段に設ける手すりの幅が10cm以下である場合、手すりの幅がないものとみなして算定するは、正しい。

 逆に、10cm以上突出する場合は、10cmを超える寸法分を階段の幅から差し引く必要があります。


 


答え:4


《タグ》建築基準法施行令。 廊下の幅。階段のけあげ、踏面。回り階段。階段の幅と手すり。

 こんな細かな箇所からの、これまた細かな数字からの出題は、実に不適切です。
 平成15年の問題をやっていたから、どうにか分かった。知らないと、難しい。

平成28年度 管理業務主任者

[問 19] エレベーターの安全装置に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。  

1 戸開走行保護装置とは、駆動装置又は制御器に故障が生じ、かご及び昇降路のすべての出入口の戸が閉じる前にかごが昇降したときなどに、自動的にかごを制止する装置をいう。  

〇 適切である。
 平成28年 マンション管理士試験 「問45」 、 平成27年 管理業務主任者試験 「問24」 

 戸開(とびらき?)走行保護装置の読み方が分からないが。
 まず、平成18年の東京の港区の公共賃貸住宅で利用者がエレベーターと天井に挟まった事故が発端となり、平成21年9月28日付でに建築基準法が改正・施行され、戸開走行保護装置(UCMP)構造と選択肢2にあります地震時等管制運転装置の導入が新設エレベーターに義務付けられました。


 建築基準法施行令の一部を改正する政令 (平成20年政令第290号)

 基本的には、建築基準法施行令第129条の10
 「(エレベーターの安全装置)
 第百二十九条の十  
エレベーターには、制動装置を設けなければならない
 2  前項のエレベーターの制動装置の構造は、次に掲げる基準に適合するものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。
     一  かごが昇降路の頂部又は底部に衝突するおそれがある場合に、自動的かつ段階的に作動し、これにより、かごに生ずる垂直方向の加速度が九・八メートル毎秒毎秒を、水平方向の加速度が五・〇メートル毎秒毎秒を超えることなく安全にかごを制止させることができるものであること。
     二  保守点検をかごの上に人が乗り行うエレベーターにあつては、点検を行う者が昇降路の頂部とかごの間に挟まれることのないよう自動的にかごを制止させることができるものであること。
 
3  エレベーターには、前項に定める制動装置のほか、次に掲げる安全装置を設けなければならない
     
一  次に掲げる場合に自動的にかごを制止する装置
       イ 駆動装置又は制御器に故障が生じ、かごの停止位置が著しく移動した場合
       ロ 駆動装置又は制御器に故障が生じ、かご及び昇降路のすべての出入口の戸が閉じる前にかごが昇降した場合

     二  地震その他の衝撃により生じた国土交通大臣が定める加速度を検知し、自動的に、かごを昇降路の出入口の戸の位置に停止させ、かつ、当該かごの出入口の戸及び昇降路の出入口の戸を開き、又はかご内の人がこれらの戸を開くことができることとする装置
     三  停電等の非常の場合においてかご内からかご外に連絡することができる装置
     四  乗用エレベーター又は寝台用エレベーターにあつては、次に掲げる安全装置
       イ 積載荷重に一・一を乗じて得た数値を超えた荷重が作用した場合において警報を発し、かつ、出入口の戸の閉鎖を自動的に制止する装置
       ロ 停電の場合においても、床面で一ルクス以上の照度を確保することができる照明装置
 4  前項第一号及び第二号に掲げる装置の構造は、それぞれ、その機能を確保することができるものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。

 とあり、
 建築基準法施行令第129条の10 3項1号 イ の
 「一  次に掲げる場合に自動的にかごを制止する装置
       イ 駆動装置又は制御器に故障が生じ、かごの停止位置が著しく移動した場合
       ロ 駆動装置又は制御器に故障が生じ、かご及び昇降路のすべての出入口の戸が閉じる前にかごが昇降した場合」
 を国土交通省では、
  政令改正の概要として、
 「(1)
戸開走行保護装置の設置義務付け(令第129条の10第3項第1号関係)
   エレベーターの駆動装置や制御器に故障が生じ、かご及び昇降路のすべての出入口の戸が閉じる前にかごが昇降したときなどに自動的にかごを制止する安全装置の設置を義務付ける。」
 とあり、
 戸開走行保護装置とは、駆動装置又は制御器に故障が生じ、かご及び昇降路のすべての出入口の戸が閉じる前にかごが昇降したときなどに、自動的にかごを制止する装置をいうは、適切です。


 具体的には、
 @2個の独立したブレーキ、
 Aかごの移動を感知する装置(特定距離感知装置等)、
 B通常の制御回路とは独立した制御回路 の
 3要件をすべて 満たした装置のことです。

  「戸開走行保護装置」は、万が一、エレベーターのドアが開いた状態で動き出した場合に、すばやくそれを検知してエレベーターのかごのドアが開いた状態で動かないようにするための安全装置です。かごと床との間が1m以上あいているうちにエレベーターを制止させ「挟まれ」を防止し、また、上昇時には、敷居とエプロンの間が11cm以下の範囲でエレベーターを制止させ「落下」を防止します。



2 地震時等管制運転装置とは、地震等の加速度を検知し、自動的に、かごを昇降路の避難階の出入口の戸の位置に停止させ、かごと昇降路の各出入口の戸を開くことなどができる装置をいう。  

X 適切でない。 地震時には、かごを昇降路の”避難階”の出入口の戸の位置に停止でなく、かごを”最寄階”の昇降路の出入口の戸の位置に停止させる。

 まったく、分かり難い設問です。
 地震時等管制運転装置は、選択肢1で引用しました、建築基準法施行令第129条の10 3項2号
 「
二  地震その他の衝撃により生じた国土交通大臣が定める加速度を検知し、自動的に、かごを昇降路の出入口の戸の位置に停止させ、かつ、当該かごの出入口の戸及び昇降路の出入口の戸を開き、又はかご内の人がこれらの戸を開くことができることとする装置 」
 とあり、
 関係の建築基準法施行令の一部を改正する政令 (平成20年政令第290号)
 「(2)地震時管制運転装置の設置義務付け(令第129条の10第3項第2号関係)
  エレベーターについて、地震等の加速度を検知して、自動的にかごを昇降路の出入口の戸の位置に停止させ、かつ、当該かごの出入口の戸及び昇降路の出入口の戸を開くことなどができることとする安全装置の設置を義務付ける。」
 とあり、
 よく読まないと分からないのですが、設問は「かごを昇降路の”
避難階”の出入口の戸の位置に停止させ」とありますが、政令では「かごを昇降路の出入口の戸の位置に停止させ」とあり、これは、「最寄階」に停止させることです。「避難階(通常1階)の」ではありませんから、適切ではありません。

 また、地震時等管制運転装置については、平成20年12月26日国土交通省告示第1536号 もあります。


3 火災時管制運転装置とは、防災センター等の火災管制スイッチの操作や自動火災報知器からの信号により、エレベーターを一斉に避難階に呼び戻す装置をいう。  

〇 適切である。 エレベーターは、火災時には、避難階に停まり、地震時には、最寄階に停まる。

 根拠の政令などは、探したのですが、分かりませんでした。
 しかし、火災管制運転装置は防災設備との連動によって火災発生時に自動的にエレベーターのかごを避難階(1階)へ直通運転させて、ドアを開き乗客の避難を行うものは、適切です。


 なお、31mを超える建物には、非常用エレベーターの設置が義務付けられています。非常用エレベーターは非常時の避難に使うものでなく、消防隊の消火活動のためのものです。平常時には乗荷用として使用して差し支えありませんが、災害の起こった時には消防隊が専用に使用します。そのため、停電時にも使用できるだけの予備電源が設けられ、さらに使用中のエレベーターであっても避難階(通常1階)へ呼び戻すことができ、かごを開いたまま昇降させる装置もついています。
 ・火災が発生した場合
 「火災時管制運転機能」が付いていれば、火災時には火災管制スイッチの操作や自動火災報知器等の防災設備と連動して二次災害を防ぐための運転に切り替わります。この場合、降りたい階の操作ボタンを押してもキャンセルされてしまいます。そして、
最寄り階ではなく避難階(通常は1階)へ自動的に直行運転で着床させて、乗客の迅速な避難を促すと共に閉じ込められるのを防ぎます。乗客が降りた後には扉が閉まって、エレベーターを使えなくします。


4 建築基準法によれば、戸開走行保護装置及び地震時等管制運転装置の設置義務がある。

〇 適切である。

 選択肢1で引用しました、平成21年9月28日施行の建築基準法施行令129条の10 で戸開走行保護装置及び地震時等管制運転装置の設置が義務付けられましたから、適切です。 


答え:2

《タグ》建築基準法施行令。 エレベーター。戸開走行保護装置。地震時等管制運転装置。火災時管制運転装置。エレベーターは、火災時には、避難階に停まり、地震時には、最寄階に停まる

  選択肢2が何となく不適切と感じたが、完全に適切でないと分かった人は、すごい。難しい。

平成27年度 マンション管理士

〔問 20〕 共同住宅に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、誤っているものはどれか。 

1 共同住宅の敷地内には、屋外への出口から道又は公園、広場その他の空地に通ずる幅員が1.5m以上の通路を設けなければならない。

○ 正しい。
  
平成24年 マンション管理士試験 「問41」 選択肢3
 
  敷地内からの通路の規定は、建築基準法施行令128条

 「(敷地内の通路)
 第百二十八条
 敷地内には、第百二十三条第二項の屋外に設ける避難階段及び第百二十五条第一項の出口から道又は公園、広場その他の空地に通ずる
幅員が一・五メートル以上の通路を設けなければならない。」 とあり、
 正しい。



2 共同住宅の地上階における居室には、採光のための窓その他の開口部を設け、その採光に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して1/7以上としなければならない。

○ 正しい。

   平成22年 マンション管理士試験 「問20」 選択肢3 など
 
  地上の居室の採光は、建築基準法第28条1項
 
「(居室の採光及び換気)
 第二十八条  住宅、学校、病院、診療所、寄宿舎、下宿その他これらに類する建築物で政令で定めるものの居室(居住のための居室、学校の教室、病院の病室その他これらに類するものとして政令で定めるものに限る。)には、採光のための窓その他の開口部を設け、その採光に有効な部分の面積は、その
居室の床面積に対して、住宅にあつては七分の一以上、その他の建築物にあつては五分の一から十分の一までの間において政令で定める割合以上としなければならない。ただし、地階若しくは地下工作物内に設ける居室その他これらに類する居室又は温湿度調整を必要とする作業を行う作業室その他用途上やむを得ない居室については、この限りでない。 」 
とあり、
 住宅の地上階の居室では、窓その他の開口部は、居室の床面積の1/7以上が必要ですから、正しい。
 
 


3 高さ15mの共同住宅には、避雷設備を設けなければならない。

X 誤っている。 避雷設備は、高さが20m超で設置する。 15mではない。
  
 平成22年 マンション管理士試験 「問20」 選択肢1 など
 
  避雷設備は、建築基準法第33条

 「(避雷設備)
  第三十三条  
高さ二十メートルをこえる建築物には、有効に避雷設備を設けなければならない。ただし、周囲の状況によつて安全上支障がない場合においては、この限りでない。 」 とあり、
 高さは、20mを超えると、避雷設備の設置が必要となりますので、15mは、誤りです。


 
 

4 共同住宅の2階以上にあるバルコニーの周囲には、安全上必要な高さが1.1m以上の手すり壁、さく又は金網を設けなければならない。

○ 正しい。
 
 平成16年 マンション管理士試験 「問20」
 
  2階以上にあるバルコニーの周囲は、建築基準法施行令第126条

 「(屋上広場等)
 第百二十六条
 
屋上広場又は二階以上の階にあるバルコニーその他これに類するものの周囲には、安全上必要な高さが一・一メートル以上の手すり壁、さく又は金網を設けなければならない
 2 建築物の五階以上の階を百貨店の売場の用途に供する場合においては、避難の用に供することができる屋上広場を設けなければならない。」 
とあり、
 建築基準法施行令第126条1項により、正しい。


 


答え:3

 ここは、過去問題をやっていれば、正解は速い。

 参考:過去問題の 「建築基準法」 のまとめ あり。

《タグ》建築基準法 建築基準法施行令。 通路の幅員、採光、避雷設備、手すり

平成27年度 管理業務主任者

【問 17】 鉄筋コンクリート造に関する次の記述のうち、建築基準法(昭和25年法律第201号)によれば、誤っているものはどれか。

1 主筋の継手の重ね長さは、継手を構造部材における引張力の最も小さい部分以外の部分に設ける場合にあっては、国土交通大臣が定めた構造方法を用いる場合を除き、主筋の径の10倍以上としなければならない。

X 誤っている。 引張力の最も小さい部分”以外の部分”に設ける場合なら、主筋の径の”40倍以上”とする。”10倍以上”ではない。
 主筋の継手の重ね長さなんて、なんのことやら分からない。まったく、建築基準法のどこにあるのか、探すのに苦労します。 

 まず、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造建物で使用される鉄筋は、ある程度長さが決められているため、現場で鉄筋をつなぎ合わせる必要があります。
 その、鉄筋をつなぎ合わせることを、「鉄筋継手」と呼び、鉄筋継手工法には、
  @重ね継手、
  A圧接継手、
  B溶接継手、
  C機械式継手  の4種類があります。
 その鉄筋継手の内の1つ、重ね継手とは、鉄筋を所定の長さに重ね合せ、周囲のコンクリートとの間の付着を利用して鉄筋を一体化させる工法です。

 
 そして、建築基準法施行令まで探して、やっと見つけた。
 該当の規定は、建築基準法施行令第73条
 「(鉄筋の継手及び定着)
 第七十三条  鉄筋の末端は、かぎ状に折り曲げて、コンクリートから抜け出ないように定着しなければならない。ただし、次の各号に掲げる部分以外の部分に使用する異形鉄筋にあつては、その末端を折り曲げないことができる。
    一  柱及びはり(基礎ばりを除く。)の出すみ部分
    二  煙突
 2  
主筋又は耐力壁の鉄筋(以下この項において「主筋等」という。)の継手の重ね長さは、継手を構造部材における引張力の最も小さい部分に設ける場合にあつては、主筋等の径(径の異なる主筋等をつなぐ場合にあつては、細い主筋等の径。以下この条において同じ。)の二十五倍以上とし、継手を引張り力の最も小さい部分以外の部分に設ける場合にあつては、主筋等の径の四十倍以上としなければならない。ただし、国土交通大臣が定めた構造方法を用いる継手にあつては、この限りでない。
 3  柱に取り付けるはりの引張り鉄筋は、柱の主筋に溶接する場合を除き、柱に定着される部分の長さをその径の四十倍以上としなければならない。ただし、国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算によつて構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、この限りでない。
 4  軽量骨材を使用する鉄筋コンクリート造について前二項の規定を適用する場合には、これらの項中「二十五倍」とあるのは「三十倍」と、「四十倍」とあるのは「五十倍」とする。 」 
です。
 建築基準法施行令第73条2項によると、主筋の継手の重ね長さは、継手を構造部材における引張力の最も小さい部分以外の部分に設ける場合にあっては、国土交通大臣が定めた構造方法を用いる場合を除き、主筋の径の40倍以上とするため、10倍以上は誤りです。

 
 


2 コンクリートの養生における温度管理については、凝結及び硬化を促進するための特別の措置を講じない場合、コンクリート打込み中及び打込み後5日間は、コンクリートの温度が2℃を下らないようにしなければならない。

○ 正しい。
 
 まず聞き慣れない「コンクリートの養生」ですが、打ち終わったコンクリートは、まだ柔らかく、本来の強度や耐久性、鋼材保護性能を備えていません。
 そこで、水とコンクリートの「水和反応」によりコンクリートが固まるまで、打ち込み後の一定期間を硬化に必要な温度・湿度に保ち、過度の衝撃や荷重を与えないようにしたり、また風雨、霜、日光などに対してコンクリートの露出面を保護有害な作用の影響を受けないようにします。この作業がコンクリートの養生と言われます。
 具体的には、打込み後1週間程度は、散水したり、濡れムシロ、カンバス、オガクズなどをかけて、コンクリートが表面乾燥してひび割れしないようにする方法をとっています。


 では、コンクリートの養生は、建築基準法施行令第75条
 「(コンクリートの養生)
 第七十五条
 コンクリート打込み中及び打込み後五日間は、コンクリートの温度が二度を下らないようにし、かつ、乾燥、震動等によつてコンクリートの凝結及び硬化が妨げられないように養生しなければならない。ただし、コンクリートの凝結及び硬化を促進するための特別の措置を講ずる場合においては、この限りでない。 」 
とあり、
 コンクリート打込み中及び打込み後5日間は、コンクリートの温度が2℃を下らないようにしなければなりませんから、正しい。
 なお、コンクリートは、マイナス0.5℃からマイナス2℃になると凍ります。


 


3 構造耐力上主要な部分であるはりは、複筋ばりとし、これにあばら筋をはりの丈の4分の3(臥梁(がりょう)にあっては30cm)以下の間隔で配置しなければならない。

○ 正しい。
 まったく、複筋ばりやあばら筋、臥梁(がりょう)とは、何でしょうか? そこで、勉強しました。
 これらは、梁(はり)の構造に関係します。
 梁には、荷重によって曲げのモーメントとせん断力が生じます。これに耐えるようにしなければなりません。

 梁に荷重がかかると、内部には、圧縮・引張・曲げ・剪断(せんだん)応力がはたらきます。
 鉛直荷重がはたらいた場合、たいてい梁は下に凸となるような形にたわみを生じ、上部はわずかに縮み、逆に下部は伸びるように変形します。
 また、断面のおよそ上下半分近辺には伸びも縮みもせず、圧縮応力も引張応力も生じない面があり、そこは「中立軸」と定義されます。


 

 そこで、梁が曲がったとき、下の方は引き張られ、上の方は圧縮されます。複筋ばりは、この引張力が生じる側と 圧縮力が生じる二つの側に配筋した梁のことです。
 次に、あばら筋は、スターラップとも呼ばれ、鉄筋を囲むように入れて鉄筋を補強します。この間隔が、設問のように、梁の長さ(丈)4分の3以下の間隔をあけて配置することになっています。
 
 では、臥梁(がりょう)って何でしょう?
 私も聞いたこともないし、また読み方も難しい字です。
 調べると、レンガ造りやブロック造りなどの組積造(そせきぞう)において、構造耐力を出すために、組積造の壁の上部に壁体を補強するため渡す鉄骨、または鉄筋コンクリート造の梁だそうです。
、ピンときませんね。
 図にすると以下のようになるようです。


 

 ここでの、「まぐさ」 とは、窓や出入り口など、開口部のすぐ上に取り付けられた横材のことです。

 やっと、言葉が分かってきたので、設問は、建築基準法施行令第78条

 「(はりの構造)
 第七十八条  
構造耐力上主要な部分であるはりは、複筋ばりとし、これにあばら筋をはりの丈の四分の三(臥梁にあつては、三十センチメートル)以下の間隔で配置しなければならない。  
とあり、
 正しい。



4 布基礎の立上り部分を除いた基礎においては、鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは、捨コンクリートの部分を除き、6cm以上としなければならない(国土交通大臣が定めた構造方法を用いる部材及び国土交通大臣の認定を受けた部材を除く)。

○ 正しい。
  
平成16年 管理業務主任者試験 「問19」
 ここは、過去問題がありました。

  コンクリートの復習です。

 
 ★かぶり厚さとは、 鉄筋を覆っているコンクリートの厚さのことです。コンクリートの表面から鉄筋の表面までの距離をいいます。
  鉄筋コンコリートの建物は鉄筋とコンクリートが一体となって初めて地震などの外力に抵抗することができます。また、コンクリートの中の鉄筋は一切の錆止めをしていません。
 そして、コンクリートは打設当初は強アルカリ性の性質をもち、水や空気などから鉄筋が錆びるのを防いでいますが、コンクリートは年月と共に中性化が進行し、中性化と共にコンクリート内部の鉄筋が錆びやすくなっていきます。
 そのため、鉄筋にはかぶり厚さといって、コンクリートの表面から一定の距離をたもって鉄筋を組み立てていますが、それだけでは長い耐用年数を維持することはできません。
 ところが、水セメント比というコンクリートを配合するときに水とセメントの量の比率のうち、水を少なくすると中性化の進行が著しく遅らせることができます。
 そのため、鉄筋コンクリート造の耐久性対策では、単にかぶり厚さを確保するだけでなく、積極的に水分の少ないコンクリートを打設し、かぶり厚さ+水の少ないコンクリートによって長い耐久性を確保しようと考えています。

 具体的には、もっとも多く使われている水セメント比60〜65%程度のコンクリートの中性化年数はかぶり厚さ30mmの場合で約45年程度ですが、水セメント比を55%に変えるだけで、中性化年数は70年近くに達します。
 でも、水セメント比が少ないということは非常に打設しにくいコンクリートですから、注意深く作業をしないとコンクリートがうまく混ざらなかったり、隅々 まで行き渡らなかったりといったことが起こりやすく、打設する側の人間からすれば、あまり楽な作業ではありません。


 

  また、捨コンクリートとは、基礎の底面を平らにし,構造体の位置を決めるために敷くコンクリートです。地盤をたいらにし、墨出しや型枠の固定をする事で精度の高い基礎が出来ます。

 で、設問は、建築基準法施行令第79条
 「(鉄筋のかぶり厚さ)
 第七十九条  
鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは、耐力壁以外の壁又は床にあつては二センチメートル以上、耐力壁、柱又ははりにあつては三センチメートル以上、直接土に接する壁、柱、床若しくははり又は布基礎の立上り部分にあつては四センチメートル以上、基礎(布基礎の立上り部分を除く。)にあつては捨コンクリートの部分を除いて六センチメートル以上としなければならない
2  前項の規定は、水、空気、酸又は塩による鉄筋の腐食を防止し、かつ、鉄筋とコンクリートとを有効に付着させることにより、同項に規定するかぶり厚さとした場合と同等以上の耐久性及び強度を有するものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いる部材及び国土交通大臣の認定を受けた部材については、適用しない。 」 
あり、
 布基礎の立上り部分を除いた基礎においては、鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは、捨コンクリートの部分を除き、6cm以上としなければならないは、正しい。



答え:1

 知らない言葉が多く出ている。かなりの難問。解説だけで、何んと総時間が、4時間を越えてしまった。

 だけど、この出題者は、管理業務主任者に必要な内容としては、実に不適切な出題をしている。
 管理業務主任者において建築での、鉄筋の継手の長さや、腹筋梁などの知識が必要とは思われない。
 この出題は、大いに糾弾します。


《タグ》建築基準法 建築基準法施行令。 鉄筋の継手、コンクリートの養生、 腹筋梁、あばら筋、臥梁(がりょう)、まぐさ、かぶり厚さ

平成27年度 管理業務主任者

【問 18】 建築基準法による用語の定義及び面積、高さ等の算定方法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 延焼のおそれのある部分とは、防火上有効な公園、広場、川等の空地若しくは水面若しくは耐火構造の壁その他これらに類するものに面する部分を除き、隣地境界線、道路中心線又は同一敷地内の2以上の建築物(延べ面積の合計が500u以内の建築物は、1の建築物とみなす。)相互の外壁間の中心線から、1階にあっては5m以下、2階以上にあっては3m以下の距離にある建築物の部分をいう。

X 誤っている。 延焼のおそれのある部分とは、1階にあっては、3m以下、2階以上にあっては、5m以下の距離。
  平成21年 管理業務主任者試験 「問17」 、平成18年 管理業務主任者試験 「問17」 

   延焼のおそれのある部分とは、築基準法第2条6号
 「(用語の定義)
 第二条  この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
     六  
延焼のおそれのある部分 隣地境界線、道路中心線又は同一敷地内の二以上の建築物(延べ面積の合計が五百平方メートル以内の建築物は、一の建築物とみなす。)相互の外壁間の中心線から、一階にあつては三メートル以下、二階以上にあつては五メートル以下の距離にある建築物の部分をいう。ただし、防火上有効な公園、広場、川等の空地若しくは水面又は耐火構造の壁その他これらに類するものに面する部分を除く。
  (以下、略)」
 とあり、
 一階にあつては三メートル以下、二階以上にあつては五メートル以下の距離にある建築物の部分ですから、1階にあっては5m以下、2階以上にあっては3m以下の距離にある建築物の部分をいうという設問は、1階と2階以上の数値が逆で、誤りです。






2 建築物の容積率を算定する場合、専ら防災のために設ける備蓄倉庫の用途に供する部分の床面積は、当該敷地内の建築物の各階の床面積の合計(同一敷地内に2以上の建築物がある場合においては、それらの建築物の各階の床面積の合計の和)に5分の1を乗じて得た面積を限度として、延べ面積には算入されない。

X 誤っている。 建築物の容積率を算定する場合、専ら防災のために設ける備蓄倉庫の用途に供する部分の床面積を、延べ面積には算入しないのは、”50分の1”で”5分の1”ではない。
 建築物の容積率を算定する場合、専ら防災のために設ける備蓄倉庫の用途に供する部分の床面積を、延べ面積には算入しないのは、建築基準法施行令第2条1項
 「(面積、高さ等の算定方法)
 第二条  次の各号に掲げる面積、高さ及び階数の算定方法は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
     三  床面積 建築物の各階又はその一部で壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積による。
     四  
延べ面積 建築物の各階の床面積の合計による。ただし、法第五十二条第一項 に規定する延べ面積(建築物の容積率の最低限度に関する規制に係る当該容積率の算定の基礎となる延べ面積を除く。)には、次に掲げる建築物の部分の床面積を算入しない
      イ 自動車車庫その他の専ら自動車又は自転車の停留又は駐車のための施設(誘導車路、操車場所及び乗降場を含む。)の用途に供する部分(第三項第一号及び第百三十七条の八において「自動車車庫等部分」という。)
      
ロ 専ら防災のために設ける備蓄倉庫の用途に供する部分(第三項第二号及び第百三十七条の八において「備蓄倉庫部分」という。)
      ハ 蓄電池(床に据え付けるものに限る。)を設ける部分(第三項第三号及び第百三十七条の八において「蓄電池設置部分」という。)
      ニ 自家発電設備を設ける部分(第三項第四号及び第百三十七条の八において「自家発電設備設置部分」という。)
      ホ 貯水槽を設ける部分(第三項第五号及び第百三十七条の八において「貯水槽設置部分」という。)
       (以下、略)」 
とあり、
 では、全部が床面積に算入されないかと、普通なら思うが、どっこい、同じく、これを受けた、建築基準法施行令第2条3項

 「3  第一項第四号ただし書の規定は、次の各号に掲げる建築物の部分の区分に応じ、当該敷地内の建築物の各階の床面積の合計(同一敷地内に二以上の建築物がある場合においては、それらの建築物の各階の床面積の合計の和)に当該各号に定める割合を乗じて得た面積を限度として適用するものとする。
    一  自動車車庫等部分 五分の一
    
二  備蓄倉庫部分 五十分の一
    三  蓄電池設置部分 五十分の一
    四  自家発電設備設置部分 百分の一
    五  貯水槽設置部分 百分の一
    (以下、略)」 
とあり、
 建築基準法施行令第2条1項4号但し書きと、同第2条3項2号によれば、専ら防災のために設ける備蓄倉庫の用途に供する部分の床面積を、延べ面積には算入しないのは、”50分の1”を乗じて得た面積を限度として適用するものとありますから、”5分の1を乗じて得た面積を限度として、延べ面積には算入されないは、誤りです。
 過去には、自動車車庫が出た。



3 階数の算定において、昇降機棟、装飾棟、物見棟その他これらに類する建築物の屋上部分又は地階の倉庫、機械室その他これらに類する建築物の部分で、水平投影面積の合計がそれぞれ当該建築物の建築面積の8分の1以下のものは、当該建築物の階数に算入しない。

○ 正しい。
   平成16年 管理業務主任者試験 「問17」 
 
  階数の算定において、建築物の階数に算入しないのは、建築基準法施行令第2条1項8号
 「(面積、高さ等の算定方法)
 第二条  次の各号に掲げる面積、高さ及び階数の算定方法は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
 
八  階数 昇降機塔、装飾塔、物見塔その他これらに類する建築物の屋上部分又は地階の倉庫、機械室その他これらに類する建築物の部分で、水平投影面積の合計がそれぞれ当該建築物の建築面積の八分の一以下のものは、当該建築物の階数に算入しない。また、建築物の一部が吹抜きとなつている場合、建築物の敷地が斜面又は段地である場合その他建築物の部分によつて階数を異にする場合においては、これらの階数のうち最大なものによる。
 (以下、略) 」 
とあり、
 水平投影面積の合計がそれぞれ当該建築物の建築面積の八分の一以下のものは、当該建築物の階数に算入しませんから、正しい。

  


4 建築面積、建築物の高さ、軒の高さを算定する際の地盤面とは、建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さにおける水平面をいい、その接する位置の高低差が6mを超える場合においては、その高低差6m以内ごとの平均の高さにおける水平面をいう。

X 誤っている。 接する位置の高低差が3mを超える場合においては、その高低差”3m以内”ごとの平均の高さにおける水平面をいう。”6m以内”ではない。

 地盤面は、建築基準法施行令第2条2項
 「(面積、高さ等の算定方法)
 第二条  次の各号に掲げる面積、高さ及び階数の算定方法は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
 2  前項第二号、第六号又は第七号の「
地盤面」とは、建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さにおける水平面をいい、その接する位置の高低差が三メートルを超える場合においては、その高低差三メートル以内ごとの平均の高さにおける水平面をいう。
 (以下、略)」 
とあり、
 地盤面とは、建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さにおける水平面をいいますが、斜面に建築物がある場合などでは、その接する位置の高低差が三メートルを超える場合においては、その
高低差三メートル以内ごとの平均の高さにおける水平面をいいますから、設問の高低差が6mを超える場合においては、その高低差6m以内ごとの平均の高さにおける水平面をいうは、誤りです。

 


答え:3

 
選択肢3は、かなり悩む問題。 過去問題をやっていれば、正解は、易しかったようです。

 なお、「建築基準法の解説」 も、「マンション管理士 香川事務所」 が無料で提供していますから、ご利用ください。
 また、マンション管理士・管理業務主任者の試験においては、建築基準法からの出題も多いので、「目指せ! マンション管理士・管理業務主任者」のサイトの過去問題の解説において、「建築基準法」 だけを取り出して、解説していますから、こちらも、ご利用ください。

《タグ》築基準法  建築基準法施行令。 延焼のおそれのある部分、 建築物の容積率を算定する場合の床面積を算入しない物、階数の計算、地盤面の出し方

平成27年度 管理業務主任者

【問 19】 建築基準法に基づく石綿その他の物質の飛散又は発散に対する衛生上の措置に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 建築材料に添加しないこととされている、石綿その他の著しく衛生上有害なものとして政令で定められている物質は、石綿のみである。

○ 正しい。
 
 平成23年 管理業務主任者試験 「問18」 、 平成16年 管理業務主任者試験 「問24」 や 平成15年 管理業務主任者試験 「問24」 。
 
  石綿はアスベストともよばれ、天然に存在する繊維状の鉱物です。 素材としては「強い・安い・軟らかい」そして耐熱・耐磨耗性にすぐれているため、以前より建材以外にも広く利用されていました。しかし、その細かい繊維 (髪の毛の5000分の1程度)が肺に突き刺さったりすると、数十年の長い潜伏期間を経て、肺がんや中皮腫の原因になることが明らかになり、健康問題として大きく取り上げられ、規制の対象になりました。
 詳細は、別途 「建築基準法」の第28条の2 を参考にしてください。

 
 
 出題の基本となっているのは、建築基準法第28条の2 
 「(石綿その他の物質の飛散又は発散に対する衛生上の措置)
 第二十八条の二  建築物は、
石綿その他の物質の建築材料からの飛散又は発散による衛生上の支障がないよう、次に掲げる基準に適合するものとしなければならない。
    一  
建築材料に石綿その他の著しく衛生上有害なものとして政令で定める物質(次号及び第三号において「石綿等」という。)を添加しないこと
    二  石綿等をあらかじめ添加した建築材料(石綿等を飛散又は発散させるおそれがないものとして国土交通大臣が定めたもの又は国土交通大臣の認定を受けたものを除く。)を使用しないこと。
    三  居室を有する建築物にあつては、前二号に定めるもののほか、石綿等以外の物質でその居室内において衛生上の支障を生ずるおそれがあるものとして政令で定める物質の区分に応じ、建築材料及び換気設備について政令で定める技術的基準に適合すること。 」 
とあり、
 これを受けた政令は、建築基準法施行令第20条の4

 「(著しく衛生上有害な物質)
 第二十条の四  法第二十八条の二第一号 (法第八十八条第一項 において準用する場合を含む。)の政令で定める物質は、
石綿とする。 」 
とあり
 建築材料に添加しないこととされている、石綿その他の著しく衛生上有害なものとして政令で定められている物質は、現在のところ、石綿その他の物質といいながら”石綿のみ”で、正しい。



2 吹付ロックウールでその含有する石綿の重量が当該建築材料の重量の0.01%を超えるもの及び吹付け石綿は、建築材料として使用することができない。

X 誤っている。 吹付ロックウールでその含有する石綿の重量が当該建築材料の重量の”0.1%”を超えてはいけない。 ”0.01%”ではない。

 選択肢1で引用しました、建築基準法第28条の2 により石綿は、建築材料に添加しないこととされていますが、建築基準法第28条の2 2号のカッコ書き、
 「二  石綿等をあらかじめ添加した建築材料(石綿等を飛散又は発散させるおそれがないものとして国土交通大臣が定めたもの又は国土交通大臣の認定を受けたものを除く。)を使用しないこと。 」 とあり、石綿等を飛散又は発散させるおそれがないものとして国土交通大臣が定めたものがあります。
 それが、平成18年9月29日付け、国土交通省告示第1172号 です。 
 具体的には、吹付け石綿及び石綿含有吹付けロックウールを規制の対象としています。
 内容は、
 「建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二十八条の二第二号に規定する石綿等を飛散又は発散させるおそれがないものとして国土交通大臣が定める石綿等をあらかじめ添加した建築材料は、次に掲げるもの以外の石綿をあらかじめ添加した建築材料とする。
  
一 吹付け石綿
  二 吹付けロックウールでその含有する石綿の重量が当該建築材料の重量の〇・一パーセントを超えるもの
」 です。

 この、国土交通省告示第1172号 によれば、吹付けロックウールでその含有する石綿の重量が当該建築材料の重量の
0.1%を超えるものが、建築材料として使用することができませんから、設問の”築材料の重量の0.01%を超えるもの”は、誤りです。

 なお、ロックウールとは、工場で製造された人造の鉱物繊維で、耐火・耐熱性に優れており、石綿よりも繊維としては、太いのですが、長期間、多量に吸入すると、じん肺のおそれはあります。
 また、吹付けロックウールは、ロックウール粒状綿を主原料とし、セメントを硬化材として、専用の吹付け機を用いて鉄骨などの下地に吹付けます。一定の被覆層をつくる有機物を含まない現場施工の不燃製品です。

 
 

 そして、現在市販されているロックウール製品にアスベスト(石綿)は混じっていないとのことです。
しかし、過去にアスベストが混じっていた製品もあり、それは、工業会認定指定製品の吹付けロックウールとロックウール吸音天井板で、吹付けロックウール(乾式)は昭和55年以前(一部のカラー製品は昭和62年まで使用)に、個別認定品である吹付けロックウール(湿式)は平成元年以前に、またロックウール吸音天井板は昭和63年以前に施工されているものにはアスベスト(石綿)が混じっている場合があります。



3 居室を有する建築物については、建築材料にクロルピリホスを添加してはならず、また、あらかじめこれを添加した建築材料についても、国土交通大臣が定めた発散させるおそれがない場合を除き、使用することができない。

○ 正しい。
  クロルピリホス(Chlorpyrifos)とは、有機リン化合物で、殺虫効果を持つことから農薬や一般家庭でもダニ、シロアリ駆除などに用いられていました。
 しかし、頭痛や吐き気など化学物質を原因とするシックハウス症候群を引きこす主要な1因とされ、この対策として、居室を有する建築物へのクロルピリホスを含んだ建築材料への使用が、建築基準法の改正により平成15年から禁じられました。


 法的には、選択肢1で引用しました、建築基準法第28条の2 3号
 「(石綿その他の物質の飛散又は発散に対する衛生上の措置)
 第二十八条の二  建築物は、石綿その他の物質の建築材料からの飛散又は発散による衛生上の支障がないよう、次に掲げる基準に適合するものとしなければならない。
   
三  居室を有する建築物にあつては、前二号に定めるもののほか、石綿等以外の物質でその居室内において衛生上の支障を生ずるおそれがあるものとして政令で定める物質の区分に応じ、建築材料及び換気設備について政令で定める技術的基準に適合すること。  とあり、
 これを受けた政令は、建築基準法施行令第20条の6

 「第二十条の六  建築材料についてのクロルピリホスに関する法第二十八条の二第三号 の政令で定める技術的基準は、次のとおりとする。
    
一  建築材料にクロルピリホスを添加しないこと。
    二  クロルピリホスをあらかじめ添加した建築材料(添加したときから長期間経過していることその他の理由によりクロルピリホスを発散させるおそれがないものとして国土交通大臣が定めたものを除く。)を使用しないこと。
」 
とあり、
 建築基準法施行令第20条の6 によれば、居室を有する建築物については、建築材料にクロルピリホスを添加してはならず、また、あらかじめこれを添加した建築材料についても、国土交通大臣が定めた発散させるおそれがない場合を除き、使用することができないは、正しい。

 クロルピリホスを建築材料に添加することは、禁止されました。
 では、ホルムアルデヒドは、が次の選択肢4になります。



4 ホルムアルデヒドの夏季における発散速度が、表面積1uにつき毎時0.005ミリグラムを超えないものとして国土交通大臣の認定を受けた建築材料のみを、居室の内装の仕上げに用いる場合は、その使用面積に対する制限はない。

○ 正しい。 
 選択肢1で引用しました、建築基準法第28条の2 3号
 「(石綿その他の物質の飛散又は発散に対する衛生上の措置)
 第二十八条の二  建築物は、石綿その他の物質の建築材料からの飛散又は発散による衛生上の支障がないよう、次に掲げる基準に適合するものとしなければならない。
   三  居室を有する建築物にあつては、前二号に定めるもののほか、石綿等以外の物質でその居室内において衛生上の支障を生ずるおそれがあるものとして政令で定める物質の区分に応じ、建築材料及び換気設備について政令で定める技術的基準に適合すること。 」 
とあり、
 これを受けた政令は、建築基準法施行令第20条の7 4項

 「(居室を有する建築物の建築材料についてのホルムアルデヒドに関する技術的基準)
 第二十条の七  建築材料についてのホルムアルデヒドに関する法第二十八条の二第三号 の政令で定める技術的基準は、次のとおりとする。
 
4  第一種ホルムアルデヒド発散建築材料、第二種ホルムアルデヒド発散建築材料又は第三種ホルムアルデヒド発散建築材料のうち、夏季においてその表面積一平方メートルにつき毎時〇・〇〇五ミリグラムを超える量のホルムアルデヒドを発散させないものとして国土交通大臣の認定を受けたものについては、これらの建築材料に該当しないものとみなす。 」 とあり、
 ホルムアルデヒドの夏季における発散速度が、表面積1uにつき毎時0.005ミリグラムを超えないものとして国土交通大臣の認定を受けた建築材料のみを、居室の内装の仕上げに用いる場合は、その使用面積に対する制限はないは、正しい。


 なお、ホルムアルデヒドとは常温で無色の刺激臭のある気体で、水に溶ける性質を持っています。水に溶かしたものが、合成樹脂や殺虫・防虫・防腐剤などとして広く利用されているホルマリンです。  
 そして、ホルムアルデヒドは建築建材に広く使用されているVOC(揮発性有機化合物)です。
 家の中でホルムアルデヒドが発生する要因としては、建材として使用される合板から発生するものが一番のようで、壁紙などの接着剤等からも発生するそうです。
 合板からのホルムアルデヒド放出量は、JAS規格(日本農林規格)で規定されています。これらは低ホルムアルデヒド合板と呼ばれていますが、ホルムアル デヒド含有が全くゼロではありません。ホルムアルデヒドは特に揮発性が高く、厚生労働省「室内濃度指針値」リストアップに記載されているとおり、クロルピリホスと並んで、シックハ ウス症候群の主要原因物質と考えられています。



答え:2

 ここも、過去問題をやっていれば、なんとなく、正解ができたか。
 かなりの難問ではある。
 ここの解説も丁寧にしましたので、時間がかかった!(約1時間かかっている)

《タグ》建築基準法 建築基準法施行令。 石綿(アスベスト)、吹付けロックウール、クロルピリホス、ホルムアルデヒド

平成27年度 管理業務主任者

【問 23】 非常用照明装置及び誘導灯に関する次の記述のうち、建築基準法及び消防法(昭和23年法律第186号)によれば、最も適切なものはどれか。

1 非常用照明装置については消防法、誘導灯については建築基準法により、それぞれ設置基準が定められている。

X 適切でない。 非常用照明装置については、建築基準法が定め、誘導灯については、消防法が定めている。 逆である。
 似たような内容なら、1つの役所が管轄すればいいのに、国の行政機関の縄張りの問題です。

 非常用照明装置については、例えば、建築基準法第35条
 「(特殊建築物等の避難及び消火に関する技術的基準)
 第三十五条  別表第一(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供する特殊建築物、階数が三以上である建築物、政令で定める窓その他の開口部を有しない居室を有する建築物又は延べ面積(同一敷地内に二以上の建築物がある場合においては、その延べ面積の合計)が千平方メートルをこえる建築物については、廊下、階段、出入口その他の避難施設、消火栓、スプリンクラー、貯水槽その他の消火設備、排煙設備、
非常用の照明装置及び進入口並びに敷地内の避難上及び消火上必要な通路は、政令で定める技術的基準に従つて、避難上及び消火上支障がないようにしなければならない。 」
 とあり、
 建築基準法で「非常用の照明装置」が定められています。


 では、誘導灯については、例えば、消防法施行令第26条
 「(誘導灯及び誘導標識に関する基準
 第二十六条  誘導灯及び誘導標識は、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める防火対象物又はその部分に設置するものとする。ただし、避難が容易であると認められるもので総務省令で定めるものについては、この限りでない。
    一  避難口誘導灯 別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項、(九)項、(十六)項イ、(十六の二)項及び(十六の三)項に掲げる防火対象物並びに同表(五)項ロ、(七)項、(八)項、(十)項から(十五)項まで及び(十六)項ロに掲げる防火対象物の地階、無窓階及び十一階以上の部分
    二  通路誘導灯 別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項、(九)項、(十六)項イ、(十六の二)項及び(十六の三)項に掲げる防火対象物並びに同表(五)項ロ、(七)項、(八)項、(十)項から(十五)項まで及び(十六)項ロに掲げる防火対象物の地階、無窓階及び十一階以上の部分
    三  客席誘導灯 別表第一(一)項に掲げる防火対象物並びに同表(十六)項イ及び(十六の二)項に掲げる防火対象物の部分で、同表(一)項に掲げる防火対象物の用途に供されるもの
    四  誘導標識 別表第一(一)項から(十六)項までに掲げる防火対象物
 2  前項に規定するもののほか、誘導灯及び誘導標識の設置及び維持に関する技術上の基準は、次のとおりとする。
    一  避難口誘導灯は、避難口である旨を表示した緑色の灯火とし、防火対象物又はその部分の避難口に、避難上有効なものとなるように設けること。
    二  通路誘導灯は、避難の方向を明示した緑色の灯火とし、防火対象物又はその部分の廊下、階段、通路その他避難上の設備がある場所に、避難上有効なものとなるように設けること。ただし、階段に設けるものにあつては、避難の方向を明示したものとすることを要しない。
    三  客席誘導灯は、客席に、総務省令で定めるところにより計つた客席の照度が〇・二ルクス以上となるように設けること。
    四  誘導灯には、非常電源を附置すること。
    五  誘導標識は、避難口である旨又は避難の方向を明示した緑色の標識とし、多数の者の目に触れやすい箇所に、避難上有効なものとなるように設けること。
 3  第一項第四号に掲げる防火対象物又はその部分に避難口誘導灯又は通路誘導灯を前項に定める技術上の基準に従い、又は当該技術上の基準の例により設置したときは、第一項の規定にかかわらず、これらの誘導灯の有効範囲内の部分について誘導標識を設置しないことができる。 」 
とあり、
 誘導灯及び誘導標識に関する基準は、消防法関係に定められていますから、
 非常用照明装置については消防法、誘導灯については建築基準法により、それぞれ設置基準が定められている、は逆で、適切ではありません。


2 誘導灯については、光源の種類としては白熱灯と蛍光灯に限られ、LEDランプは認められていない。

X 適切ではない。 消防法では誘導灯については、LEDランプも認められている。
 まず、誘導灯については、消防法で定められています。
 とりあえず、誘導灯は、避難口と呼ばれる屋外に避難するための扉や、避難口に通じる通路に設置する箱型の照明器具です。建物から避難する方向を示すピクトグラム、内蔵バッテリー予備電源及び照明器具を内蔵している防災設備で、非常時には誘導灯を辿っていくことで、安全な屋外に避難することが可能です。
 劇場や病院、百貨店など、不特定多数が出入りする建物には、原則として全ての建物に誘導灯を設置します。
共同住宅(マンション)や工場など、特定の人が使用する建物の場合、地階・無窓階・11階以上の階で、誘導灯を設置する義務が発生します。

 誘導灯は設置対象となる防火対象物の用途によって、必要になる面積基準が変わります。不特定多数の人員を収容する百貨店や店舗等は設置基準が厳しくなっていたり、逆に事務所などは百貨店等と比べて基準が緩いなど、建物用途による違いがあります。
 誘導灯は、火災・停電などによって電源が遮断されても、避難が完了するまでの間は点灯していなければいけません。誘導灯本体内部には蓄電池が内蔵されており、
20分間以上の点灯を継続できるようになっています。誘導灯を設置する建物が大規模施設の場合には、避難に時間が掛かるため、60分以上の点灯を継続できる長時間型誘導灯が設置されます。
 誘導灯には避難口誘導灯、通路誘導灯、客席誘導灯の3種類があります。
それぞれの設置基準は消防法によって規定されています
 誘導灯には、避難口を示す表示と、避難方向とともに避難口を示す表示の二種類があります。方向表示が併記されている誘導灯は、有効距離が短く設定されています。小型のC級の誘導灯は避難方向を示す避難口誘導灯がありません。
 誘導灯は、表示面の大きい順に、A級・B級・C級の3種類で大きさが区別されています。
 コンパクト形誘導灯は従来、冷陰極管というランプが使用されていました。
 現在は冷陰極管の代替として、LED照明による誘導灯が普及しました。LEDは冷陰極管と同等以上の寿命を持ち、かつ冷陰極管よりも消費電力が小さいため、CO2の削減など、省エネルギーに貢献できることが注目されています。


 

 この誘導灯についての法的な根拠は、消防法施行規則第28条の3 
 「(誘導灯及び誘導標識に関する基準の細目)
 第二十八条の三  避難口誘導灯及び通路誘導灯(階段又は傾斜路に設けるものを除く。次項及び第三項において同じ。)は、次の表の上欄に掲げる区分に応じ、同表の中欄に掲げる表示面の縦寸法及び同表の下欄に掲げる表示面の明るさ(常用電源により点灯しているときの表示面の平均輝度と表示面の面積の積をいう。第四項第二号及び第三号において同じ。)を有するものとしなければならない。

区分 表示面の縦寸法(メートル) 表示面の明るさ(カンデラ)
避難口誘導灯 A級 〇・四以上 五十以上
B級 〇・二以上〇・四未満 十以上
C級 〇・一以上〇・二未満 一・五以上
通路誘導灯 A級 〇・四以上 六十以上
B級 〇・二以上〇・四未満 十三以上
C級 〇・一以上〇・二未満 五以上

 (以下、略) 」 とあり、
 防法施行規則第28条の3では、カンデラ(光源そのものの明るさを測る単位)だけが規定されていますから、光源の種類としては白熱灯と蛍光灯に限られておらず、、LEDランプでも可能ですから、適切ではありません。

 なお、カンデラに関係して、「ルクス」は照らされた面の明るさの単位です。 間違えないように。

 また、参考:平成22年4月9日付:消防予第177号 を見ても、
 「光源となる照明器具の種類:蛍光灯・白熱電球・
LED・その他 」 とあり、光源となる照明器具から、特にLEDランプを除外していませんから、適切ではありません。


3 非常用照明装置については、直接照明、間接照明を問わず、床面から1mの高さにおいて1ルクス以上の照度を確保しなければならない。

X 適切ではない。 建築基準法では、直接照明で、床面において、1ルクス以上の照度とあり、間接照明は認めず、また床面から1mの高さではない。

  平成19年 管理業務主任者試験 「問21」
 非常用照明装置については、今度は、建築基準法が定めています。

 非常用の照明装置は、不特定多数の人々が利用する特殊建築物および一定規模以上の建築物の居室、採光上の無窓の居室などとその避難経路に設けるもので、劇場、映画館、病院、ホテル、共同住宅、学校、百貨店などに設置することが義務づけられています。(建築基準法施行令、第126条の4参照)
 火災時等による断線や停電などの非常時には自動的に非常電源に切替わり、室内や通路を明るく照らします。

 そして、建築基準法施行令第126条の5

 「(構造)
 第百二十六条の五  前条の
非常用の照明装置は、次の各号のいずれかに定める構造としなければならない。
    一  次に定める構造とすること。
      
イ 照明は、直接照明とし、床面において一ルクス以上の照度を確保することができるものとすること。
      ロ 照明器具の構造は、火災時において温度が上昇した場合であつても著しく光度が低下しないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとすること。
      ハ 予備電源を設けること。
      ニ イからハまでに定めるもののほか、非常の場合の照明を確保するために必要があるものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとすること。
    二  火災時において、停電した場合に自動的に点灯し、かつ、避難するまでの間に、当該建築物の室内の温度が上昇した場合にあつても床面において一ルクス以上の照度を確保することができるものとして、
国土交通大臣の認定を受けたものとすること。 」 とあり、
 建築基準法施行令第126条の5 1号イ によれば、照明は、”直接照明”とし、床面において一ルクス以上の照度を確保することができるものとすることですから、非常用照明装置については、直接照明、間接照明を問わず、床面から1mの高さにおいて1ルクス以上の照度を確保しなければならないは、適切ではありません。

 

  なお、建築基準法においてLEDランプの使用は、非常用照明装置として以前は認められていませんでしたが、国土交通大臣の認定制度を利用して最近は、LEDランプも非常用照明装置として認められています。
  なお、蛍光灯や”国土交通大臣認定LEDランプ”を使用する場合では、2ルクス以上のようです。
 これは、白熱灯は周囲温度の変化による光束の変化を全く受けませんが、蛍光灯は周囲温度の上昇とともに光束が低下し、140℃程度の雰囲気では常温時の約半分に光束が低下しますので常温2ルクスとして計算します。
 参考: (昭和45年12月28日建設省告示第1830号) 最終改正。平成12年5月30日建設省告示第1405号
 「 非常用の照明装置の構造方法を定める件」
  第4 その他
    一 非常用の照明装置は、常温下で床面において水平面照度で1ルクス(蛍光灯を用いる場合にあつては、2ルクス)以上を確保することができるものとしなればならない。
    二 前号の水平面照度は、十分に補正された低照度測定用照度計を用いた物理測定方法によつて測定されたものとする。」


4 非常用照明装置については、停電時の予備電源として蓄電池を用いる場合は、充電を行うことなく30分間継続して点灯するものでなければならない。

○ 適切である。
   平成26年 管理業務主任者試験 「問20」 、平成21年 管理業務主任者試験 「問24」 
 
  建築基準法が規定する、非常用の照明装置の予備電源は、建築基準法施行令126条の4
 「(設置)
 「第百二十六条の四  法別表第一(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供する特殊建築物の居室、階数が三以上で延べ面積が五百平方メートルを超える建築物の居室、第百十六条の二第一項第一号に該当する窓その他の開口部を有しない居室又は延べ面積が千平方メートルを超える建築物の居室及びこれらの居室から地上に通ずる廊下、階段その他の通路(採光上有効に直接外気に開放された通路を除く。)並びにこれらに類する建築物の部分で照明装置の設置を通常要する部分には、
非常用の照明装置を設けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物又は建築物の部分については、この限りでない。
     一  一戸建の住宅又は長屋若しくは
共同住宅の住戸
     二  病院の病室、下宿の宿泊室又は寄宿舎の寝室その他これらに類する居室
     三  学校等
     四  避難階又は避難階の直上階若しくは直下階の居室で避難上支障がないものその他これらに類するものとして国土交通大臣が定めるもの」
 とあり
 これを受けた、
 「(昭和45年12月28日建設省告示第1830号) 最終改正 平成12年5月30日建設省告示第1405号
 「 非常用の照明装置の構造方法を定める件」第三
 第三電源
   一常用の電源は、蓄電池又は交流低圧屋内幹線によるものとし、その開閉器には非常用の照明装置用である旨を表示しなければならない。
   
二予備電源は、常用の電源が断たれた場合に自動的に切り替えられて接続され、かつ、常用の電源が復旧した場合に自動的に切り替えられて復帰するものとしなければならない。
   
三予備電源は、自動充電装置時限充電装置を有する蓄電池(開放型のものにあつては、予備電源室その他これに類する場所に定置されたもので、かつ、減液警報装置を有するものに限る。以下この号において同じ。)又は蓄電池と自家用発電装置を組み合わせたもの(常用の電源が断たれた場合に直ちに蓄電池により非常用の照明装置を点灯させるものに限る。)で充電を行うことなく三十分間継続して非常用の照明装置を点灯させることができるものその他これに類するものによるものとし、その開閉器には非常用の照明装置用である旨を表示しなければならない。」 とあり、
 非常用照明装置については、停電時の予備電源として蓄電池を用いる場合は、充電を行うことなく30分間継続して点灯するものでなければならないは、適切です。

  


答え:4

 
ここも、かなり時間をさいて、解説しました。 国土交通省(建築基準法)関係では、非常用照明装置にLEDランプを除外していましたが、国土交通大臣認定で、LEDランプも認められるようになりました。
 過去問題をやっていれば、選択肢4は、早く選べたようです。 難しくはありません。


《タグ》建築基準法 + 消防法。 非常用照明装置、誘導灯、光源の種類、LEDランプ、照度、予備電源

平成27年度 管理業務主任者

【問 24】 エレベーターに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1 乗用エレベーター(人荷共用エレベーターを含み、寝台用エレベーターを除く。)は、かごの床面積が大きくなるほど、単位面積当たりの積載荷重が小さい値になるよう、建築基準法施行令で定められている。

X 適切でない。 かごの床面積が大きくなるほど、単位面積当たりの荷重面積が大きい値になるように、決められている。 小さい値ではない。
 
 平成19年 管理業務主任者試験 「問20」
 
 まず、
エレベーターのかごとは、人が乗る箱状のもので、積載荷重とは、構造物に乗せる可動の物体の重さによる力で、鉛直方向に加わる力です。
 具体的には、建築では人や家具など、土木では車や電車などの重さのことを示します。積載荷重は、常に変動しますから、最小の場合と最大の場合、もしくは、標準的に定められた値について計算します。

 そこで、建築基準法施行令第129条の5 
 「(エレベーターの荷重)
 第百二十九条の五  エレベーターの各部の固定荷重は、当該エレベーターの実況に応じて計算しなければならない。
 2  エレベーターの
かごの積載荷重は、当該エレベーターの実況に応じて定めなければならない。ただし、かごの種類に応じて、次の表に定める数値(用途が特殊なエレベーターで国土交通大臣が定めるものにあつては、当該用途に応じて国土交通大臣が定める数値)を下回つてはならない

かごの種類 積載荷重(単位 ニュートン)
乗用エレベーター(人荷共用エレベーターを含み、寝台用エレベーターを除く。以下この節において同じ。)のかご 床面積が一・五平方メートル以下のもの 床面積一平方メートルにつき三、六〇〇として計算した数値
床面積が一・五平方メートルを超え三平方メートル以下のもの 床面積の一・五平方メートルを超える面積に対して一平方メートルにつき四、九〇〇として計算した数値に五、四〇〇を加えた数値
床面積が三平方メートルを超えるもの 床面積の三平方メートルを超える面積に対して一平方メートルにつき五、九〇〇として計算した数値に一三、〇〇〇を加えた数値
乗用エレベーター以外のエレベーターのかご 床面積一平方メートルにつき二、五〇〇(自動車運搬用エレベーターにあつては、一、五〇〇)として計算した数値

 とあり、
 建築基準法施行令第129条の5 2項によれば、 乗用エレベーターのかごの
 
@床面積が1.5u以下なら、床面積 1uにつき 3,600ニュートン
 A床面積が1.5u超3u以下なら、床面積 1uにつき 4,900ニュートン + 5,400ニュートン
 
A床面積が3uを超えるなら、床面積 1uにつき 5,900ニュートン + 13,000ニュートン 
 とありますから、かごの面積が大きいほど、単位面積当たりの積載荷重が大きい値になりますから、単位面積当たりの積載荷重が小さい値になるよう、建築基準法施行令で定められているは、適切ではありません。



2 乗用のトラクション方式ロープ式で機械室がないエレベーターでは、定格速度が毎分600m以上の高速なものが既に普及している。

X 適切ではない。 まだ、定格速度が毎分600m以上のものは、普及段階にない?

 トラクション(Traction)とは、通常、トラクターなどの牽引とか、引っ張ることですが、ここでは、滑車を使用した昔の井戸水をかい出した「つるべ」と考えると分かり易い。

 まず、エレベーターの主な駆動方式として、@ロープ式と A油圧式があります。
 @ロープ式...昇降路の直上や昇降路内に設置された巻上機の駆動力を用い、ロープで接続されたかご(利用者・荷物が乗る部分)と釣り合いをとるおもり(つり合い重り)を、かごのレール、つり合い重りのガイドレールに沿って上下させるトラクション式(つるべ)が主流です。 つり合いおもりを使用している為、電動機容量が小さく省エネです。
  他には、巻胴(ドラム)にロープを巻き付ける「巻胴式」もあります。
  近年では、機械室に設置されていた各種の機器を、昇降路内に組み込んだ機械室なし(マシーン・ルームレス)エレベーターが主流となっています。
 A油圧式... 油圧ポンプを駆動させ、油圧シリンダー(又は油圧ジャッキ)に作動油を送り込んで、直接または間接でかごを持ち上げる方式です。油圧シリンダー(又は油圧ジャッキ)の油をタンクに戻すことによってかごを下降させています。
  ロープ(つるべ)式よりも大きな構造となり、消費電力も大きくなります。油圧式は機械室なし(マシーン・ルームレス)エレベーターの登場により、乗用の需要は減っています。


   

 そこで、乗用のトラクション方式ロープ式の設置状況を調べました。
 しかし、エレベーターの設置台数とか、速度での集計は見つかりませんでした。
 それで、推定ですが、分速:600mというのは、かなりの高速で、またこの速度を要求される超高層ビルは、池袋にあるサンシャイン60や東京スカイツリー程度のようで、まだまだ普及までは至っていないようですので、適切ではありません。
 現在は、480m/分程度が中心のようです。


 なお、エレベーターの定員を測る重さでは、人間1人は、65Kg として、定員を計算しますから注意してください。


3 近年の地震による閉じ込め事故の多発が契機となり、エレベーターの構造等に関する建築基準法施行令等の改正により、新築建物のエレベーターには地震時管制運転装置を設けなければならないこととなった。

○ 適切である。
 新築建物のエレベーターには”地震時管制運転装置”を設けなければならない。
 確かに、東日本大震災だけでなく、それ以前の平成17年7月の千葉県北西部地震において発生したエレベーターの閉じ込め事故、平成18年6月の港区シティハイツ竹芝のシンドラー社製エレベーターの戸開走行事故等を受け、国土交通省も動き出し、建築基準法施行令を改正して、平成21年(2009年)9月28日以降に設置されるエレベーターには、地震時管制運転装置の設置義務を規定しています。
 それが、 建築基準法施行令第129条の10 

 「(エレベーターの安全装置)
 第百二十九条の十  エレベーターには、制動装置を設けなければならない。
 2  前項のエレベーターの制動装置の構造は、次に掲げる基準に適合するものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。
    一  かごが昇降路の頂部又は底部に衝突するおそれがある場合に、自動的かつ段階的に作動し、これにより、かごに生ずる垂直方向の加速度が九・八メートル毎秒毎秒を、水平方向の加速度が五・〇メートル毎秒毎秒を超えることなく安全にかごを制止させることができるものであること。
    二  保守点検をかごの上に人が乗り行うエレベーターにあつては、点検を行う者が昇降路の頂部とかごの間に挟まれることのないよう自動的にかごを制止させることができるものであること。
 
3  エレベーターには、前項に定める制動装置のほか、次に掲げる安全装置を設けなければならない
    一  次に掲げる場合に自動的にかごを制止する装置
      イ 駆動装置又は制御器に故障が生じ、かごの停止位置が著しく移動した場合
      ロ 駆動装置又は制御器に故障が生じ、かご及び昇降路のすべての出入口の戸が閉じる前にかごが昇降した場合
    
二  地震その他の衝撃により生じた国土交通大臣が定める加速度を検知し、自動的に、かごを昇降路の出入口の戸の位置に停止させ、かつ、当該かごの出入口の戸及び昇降路の出入口の戸を開き、又はかご内の人がこれらの戸を開くことができることとする装置
    三  停電等の非常の場合においてかご内からかご外に連絡することができる装置
    四  乗用エレベーター又は寝台用エレベーターにあつては、次に掲げる安全装置
      イ 積載荷重に一・一を乗じて得た数値を超えた荷重が作用した場合において警報を発し、かつ、出入口の戸の閉鎖を自動的に制止する装置
      ロ 停電の場合においても、床面で一ルクス以上の照度を確保することができる照明装置
 4  前項第一号及び第二号に掲げる装置の構造は、それぞれ、その機能を確保することができるものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。 」 
です。

 建築基準法施行令第129条の10 3項1号では、戸開走行保護装置の設置義務付けをし、
 同3項2号では、地震時管制運転装置の設置義務付けをしています。
 
地震時管制運転装置とは、エレベーターについて、地震等の加速度を検知して、自動的にかごを昇降路の出入口の戸の位置に停止させ、かつ、当該かごの出入口の戸及び昇降路の出入口の戸を開くことなどができることとする安全装置で、これの設置を義務付けたものです。

 地震時管制運転装置に関しては、「地震その他の衝撃により生じた国土交通大臣が定める加速度並びに当該加速度を検知し、自動的に、かごを昇降路の出入口の戸の位置に停止させ、かつ、当該かごの出入口の戸及び昇降路の出入口の戸を開き、又はかご内の人がこれらの戸を開くことができることとする装置の構造方法を定める件(平成20年12月26日国土交通省告示第1536号 」 もありますから参考にしてください。ここで、「出入口の戸及び昇降路の出入口の戸を開き、又はかご内の人がこれらの戸を開くことができることとする装置(
以下「地震時等管制運転装置」という。)」の定義があります。

 具体的には、地震時管制運転装置は一定の強さの揺れを感知したら、最寄り階で着床し、閉じ込めを抑止します。
 その仕組みは、まず、地震動には初期微動(P波=Primary wave)と大きな地震波である主要動(S波=Secondary wave(第二波))があります。
 それぞれに地震加速度の設定値(加速度の単位:ガル Gal=1cm/秒)が定められており、さらに建物の高さ等により設定値は異なります。
標準型エレベーターの場合、初期微動のP波感知器は2.5Gal、主要動のS波感知器は80Gal(およそ震度5弱以上の揺れ)で設定しており、これを感知すると地震時管制運転に移行します。
 地震はまず、初期微動であるP波から伝わり、その後、破壊力のある本震(S波)が到達します。このP波をいち早くキャッチすることで、大きな揺れが到達する前に、利用者を最寄階へと避難させることができます。



4 エレベーターの保守契約にはFM(フルメンテナンス)契約とPOG(パーツ・オイル・グリース)契約があるが、マンション標準管理委託契約書では、FM契約によることとされている。

X 適切でない。 マンション標準管理委託契約書では、エレベーターの保守契約を特に決めていない。
  平成21年 マンション管理士試験 「問45」

  まず、エレベーターの保守契約にはFM(フルメンテナンス)契約とPOG(パーツ・オイル・グリース)契約があるは、適切です。
 そこで、
   @POG(パーツ・オイル・グリース)とは、その名の通り、電球類などの消耗部品(パーツ)・潤滑油(オイル・グリース)の取り替え及び補給のみを保証範囲とする保守契約で、主要部品の取り替えは、個別に別途、必要に応じて有償にて取り替えを発注することになります。
  AFM(フルメンテナンス)とは、上のPOG契約に加えて、意匠部品以外の主要部品も保証範囲としている保守契約です。上のPOG契約では個別の有償対応となる主要部品の取り替えを、保守会社側の立案する保全計画に基づいて定期的に取替えを実施することにより、各機器の状態の悪化を抑えられるというメリットがありますが、POG契約に比べて、高くなります。

 そして、マンション標準管理委託契約書 コメント
 「別表第4関係
 A エレベーター設備の保守管理方式については、一般的にフルメンテナンス方式とPOG方式の2種類があるため、
両方式のいずれかを選択する。」 とあり、
 FM契約によることとされていませんから、適切ではありません。



答え:3

 
過去問題をやっていれば、易しい出題でした。 でも、初めての人用に、図を入れたりして、かなり詳細に解説をしたので、4時間あまりかかっている。

《タグ》建築基準法施行令 + マンション標準管理委託契約書。 エレベーター、単位面積当たりの積載荷重、エレベーターの主な駆動方式として、@ロープ式と A油圧式、、地震時管制運転装置、レベーターの保守契約のFM(フルメンテナンス)契約とPOG(パーツ・オイル・グリース)契約

平成27年度 管理業務主任者

【問 26】 建築基準法に基づいて実施されたマンションの定期調査・検査の内容又は方法として、最も不適切なものはどれか。

1 外壁仕上げのタイルについて、手の届く範囲をテストハンマーで打診し、その他の部分については双眼鏡等を使用して目視により、異常がないことを確認した。

○ 適切である。
 
 平成23年 管理業務主任者試験 「問25」 、平成22年管理業務主任者試験 「問27」 、平成21年マンション管理士試験 「問37」 、平成19年マンション管理士試験 「問20」、 平成18年管理業務主任者試験 「問18」 、など。
 
  劇場、病院、ホテル、マンションなどの共同住宅、デパートなど、多くの人が集まる特殊建築物等では、建物の構造の損傷や劣化が、大惨事を起こす可能性があります。そこ で、建築基準法第12条では、定期的に、一級建築士や二級建築士又は国土交通大臣が定める資格を有する者にその状況の調査・検査させて、その結果を、特定行政庁(国土交通省ではありませんよ)に報告させます。報告の時期は、6カ月から3年までの間で、特定行政庁が定めます。(建築基準法施行規則第5条1項)
 具体的な調査・検査の方法、判定の基準は、平成20年3月10日の国土交通省告示があります。
 それらは、調査の対象物により、
  1.建築物...国土交通省告示第282号、改正:平成26年11月7日:国土交通省告示第1073号
  2.昇降機...国土交通省告示第283号 、 一部改正:平成21年9月18日
  3.建築設備...国土交通省告示第285号
 と別れて出されています。すべて平成20年4月1日から施行されています。(その後の改正もあります。)

  なお、建築基準法に基づく「定期調査・検査報告制度」は、消防法に基づく消防用設備等点検とは異なる制度ですから注意してください。


 そこで、設問は、平成20年国土交通省告示第282号、改正:平成26年11月7日:国土交通省告示第1073号、改正:平成27年 国土交通省告示第258号
 (11)外装仕上げ材等 タイル、石貼り等(乾式工法によるものを除く。)、モルタル等の劣化及び損傷の状況
 「タイル、石貼り等(乾式工法によるものを除く。)、モルタル等の劣化及び損傷の状況
  開口隅部、水平打継部、斜壁部等のうち手の届く範囲をテストハンマーによる打診等により確認し、その他の部分は必要に応じて双眼鏡等を使用し目視により確認し、異常が認められた場合にあっては、落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分を全面的にテストハンマーによる打診等により確認する。ただし、竣工後、外壁改修後若しくは落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分の全面的なテストハンマーによる打診等を実施した後10年を超え、かつ3年以内に落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分の全面的なテストハンマーによる打診等を実施していない場合にあっては、落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分を全面的にテストハンマーによる打診等により確認する(3年以内に外壁改修等が行われることが確実である場合又は別途歩行者等の安全を確保するための対策を講じている場合を除く)。」 とあり、
 外壁仕上げのタイルについて、手の届く範囲をテストハンマーで打診し、その他の部分については双眼鏡等を使用して目視により、異常がないことを確認することは、適切です。


 


2 各階の主要な防火戸について、3年以内に実施した最新の点検記録があったため、閉鎖又は作動の状況をその記録のみにより確認した。

○ 適切である。
  防火戸の点検は、選択肢1で引用しました、平成20年国土交通省告示第282号、改正:平成26年11月7日:国土交通省告示第1073号、改正:平成27年 国土交通省告示第258号
 (28) 防火戸にあっては、各階の主要な防火戸の閉鎖時間をストップウォッチ等により測定し、戸の重量により運動エネルギーを確認するとともに、必要に応じて閉鎖する力をテンションゲージ等により測定する。防火シャッター等にあっては、各階の主要な防火シャッタ一等を作動させて確認する。ただし、3年以内に実施した点検の記録がある場合にあっては、当該記録により確認することで足りる。」 とあり、
 各階の主要な防火戸について、3年以内に実施した最新の点検記録があったため、閉鎖又は作動の状況をその記録のみにより確認した、は適切です。



3 可視状態にある免震装置について、3年以内に実施した最新の点検記録があったため、劣化及び損傷の状況をその記録のみにより確認した。

X 適切でない。 可視状態にある免震装置なら、目視での確認も必要。
  免震装置は、選択肢1で引用しました、平成20年国土交通省告示第282号、改正:平成26年11月7日:国土交通省告示第1073号、 改正:平成27年 国土交通省告示第258号
 「6 その他 (3)(4) 免震構造建築物の免震層及び免震装置 
  免震装置の劣化及び損傷の状況(
免震装置が可視状態にある場合に限る
 目視により確認するとともに、3年以内に実施した点検の記録がある場合にあっては、当該記録により確認する。」 とあり、
 単に、記録だけで確認するのは適当でなく、免震装置が可視状態にあると、目視での確認も必要ですから、可視状態にある免震装置について、3年以内に実施した最新の点検記録があったため、劣化及び損傷の状況をその記録のみにより確認した、は適切ではありません。



4 非常用照明装置の予備電源について、予備電源への切替え及び器具の点灯の状況を確認した。

○ 適切である。
  常用照明装置の予備電源は、平成20年3月10日;国土交通省告示第285号
 別表第3 
 「2 電池内蔵形の蓄電池、電源別置形の蓄電池及び自家用発電装置
 (1) 予備電源 予備電源への切替え及び器具の点灯の状況 作動の状況を確認する。」 とあり、
 非常用照明装置の予備電源について、予備電源への切替え及び器具の点灯の状況を確認した、は適切です。



答え:3

 
過去問題から、国土交通省の告示にあることは、分かっていたが、選択肢3の可視状態にある免震装置や、選択肢4の非常用照明装置の予備電源を探すのに、時間がかかった。

《タグ》建築基準法 国土交通省告示。 定期調査・検査、外壁仕上げのタイル、各階の主要な防火戸、可視状態にある免震装置、非常用照明装置の予備電源

平成26年度 マンション管理士

〔問 20〕 違反建築物等に対する措置に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 特定行政庁は、建築基準法令の規定に違反することが明らかな建築工事中の共同住宅について、緊急の必要がある場合においても、通知、意見の聴取等の手続きをとらなければ、建築主、工事請負人又は工事現場管理者に対して工事の施工の停止を命ずることができない。

X 誤っている。 緊急の必要がある場合においては、手続きを省略できる。 平成23年マンション管理士試験 「問20」、 平成21年マンション管理士試験 「問20」 。
 まず、違反建築物等とは、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反した建築物や敷地です。
具体的には、建ぺい率超過、容積率超過、各種斜線制限の違反、用途制限違反、接道義務違反などのほか、建築基準法上の手続き(建築確認申請など)を行なわずに建築されたもの(無確認建築)も「違反建築物」となります。
 また、特定行政庁とは、建築基準法第2条35号
 「(用語の定義)
 第二条
 この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
     三十五 
特定行政庁 建築主事を置く市町村の区域については当該市町村の長をいい、その他の市町村の区域については都道府県知事をいう。ただし、第九十七条の二第一項又は第九十七条の三第一項の規定により建築主事を置く市町村の区域内の政令で定める建築物については、都道府県知事とする。」 とあり、
 建築確認などをする建築主事が置かれている地方自治体の長を指しています。行政機関です。


 設問の違反建築物に対しては、建築基準法第9条
 「(違反建築物に対する措置)
 第九条
 特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反した建築物又は建築物の敷地については、当該建築物の建築主、当該建築物に関する工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)若しくは現場管理者又は当該建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者に対して、当該工事の施工の停止を命じ、又は、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他これらの規定又は条件に対する違反を是正するために
必要な措置をとることを命ずることができる
   2 特定行政庁は、前項の措置を命じようとする場合においては、あらかじめ、その措置を命じようとする者に対して、その命じようとする措置及びその事由並びに意見書の提出先及び提出期限を記載した
通知書を交付して、その措置を命じようとする者又はその代理人に意見書及び自己に有利な証拠を提出する機会を与えなければならない。
   3 前項の通知書の交付を受けた者は、その交付を受けた日から三日以内に、特定行政庁に対して、意見書の提出に代えて公開による意見の聴取を行うことを請求することができる。
   4 特定行政庁は、前項の規定による
意見の聴取の請求があつた場合においては、第一項の措置を命じようとする者又はその代理人の出頭を求めて、公開による意見の聴取を行わなければならない。
   5 特定行政庁は、前項の規定による意見の聴取を行う場合においては、第一項の規定によつて命じようとする措置並びに意見の聴取の期日及び場所を、期日の二日前までに、前項に規定する者に通知するとともに、これを公告しなければならない。
   6 第四項に規定する者は、意見の聴取に際して、証人を出席させ、かつ、自己に有利な証拠を提出することができる。
   7 特定行政庁は、緊急の必要がある場合においては、前五項の規定にかかわらず、これらに定める手続によらないで、仮に、使用禁止又は使用制限の命令をすることができる。
   8 前項の命令を受けた者は、その命令を受けた日から三日以内に、特定行政庁に対して公開による意見の聴取を行うことを請求することができる。この場合においては、第四項から第六項までの規定を準用する。ただし、意見の聴取は、その請求があつた日から五日以内に行わなければならない。
   9 特定行政庁は、前項の意見の聴取の結果に基づいて、第七項の規定によつて仮にした命令が不当でないと認めた場合においては、第一項の命令をすることができる。意見の聴取の結果、第七項の規定によつて仮にした命令が不当であると認めた場合においては、直ちに、その命令を取り消さなければならない。
   
10 特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反することが明らかな建築、修繕又は模様替の工事中の建築物については、緊急の必要があつて第二項から第六項までに定める手続によることができない場合に限り、これらの手続によらないで、当該建築物の建築主又は当該工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)若しくは現場管理者に対して、当該工事の施工の停止を命ずることができる。この場合において、これらの者が当該工事の現場にいないときは、当該工事に従事する者に対して、当該工事に係る作業の停止を命ずることができる。
   11 第一項の規定により必要な措置を命じようとする場合において、過失がなくてその措置を命ぜられるべき者を確知することができず、かつ、その違反を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、特定行政庁は、その者の負担において、その措置を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任した者に行わせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、その措置を行うべき旨及びその期限までにその措置を行わないときは、特定行政庁又はその命じた者若しくは委任した者がその措置を行うべき旨をあらかじめ公告しなければならない。
   12 特定行政庁は、第一項の規定により必要な措置を命じた場合において、その措置を命ぜられた者がその措置を履行しないとき、履行しても十分でないとき、又は履行しても同項の期限までに完了する見込みがないときは、行政代執行法(昭和二十三年法律第四十三号)の定めるところに従い、みずから義務者のなすべき行為をし、又は第三者をしてこれをさせることができる。
   13 特定行政庁は、第一項又は第十項の規定による命令をした場合(建築監視員が第十項の規定による命令をした場合を含む。)においては、標識の設置その他国土交通省令で定める方法により、その旨を公示しなければならない。
   14 前項の標識は、第一項又は第十項の規定による命令に係る建築物又は建築物の敷地内に設置することができる。この場合においては、第一項又は第十項の規定による命令に係る建築物又は建築物の敷地の所有者、管理者又は占有者は、当該標識の設置を拒み、又は妨げてはならない。
   15 第一項、第七項又は第十項の規定による命令については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三章(第十二条及び第十四条を除く。)の規定は、適用しない。」 
とあり、
 原則は1項や2項、4項の手続きにより、通知をだしたり、意見を聞くのですが、緊急時には、そんな悠長な手続きをとってはいられません。そこで、10項
 
「 10 特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反することが明らかな建築、修繕又は模様替の工事中の建築物については、緊急の必要があつて第二項から第六項までに定める手続によることができない場合に限り、これらの手続によらないで、当該建築物の建築主又は当該工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)若しくは現場管理者に対して、当該工事の施工の停止を命ずることができる。この場合において、これらの者が当該工事の現場にいないときは、当該工事に従事する者に対して、当該工事に係る作業の停止を命ずることができる。 
により、
 通知、意見の聴取等の手続きをとらずに、建築主、工事請負人又は工事現場管理者に対して工事の施工の停止を命ずることができますから、誤りです。


2 建築監視員は、建築基準法違反の共同住宅について、緊急の必要がある場合でなければ、当該建築物の所有者等に対して、仮に、使用禁止又は使用制限の命令をすることはできない。

○ 正しい。 建築監視員では、現場を現状のままの凍結命令だけで、除去・移転・改築・増築などの命令は、緊急でなければできない。
 まず、建築監視員とは、建築基準法施行令第14条
 「(建築監視員の資格)
 第十四条
 建築監視員は、次の各号の一に該当する者でなければならない。
     一 三年以上の建築行政に関する実務の経験を有する者
     二 建築士で一年以上の建築行政に関する実務の経験を有するもの
     三 建築の実務に関し技術上の責任のある地位にあつた建築士で国土交通大臣が前各号の一に該当する者と同等以上の建築行政に関する知識及び能力を有すると認めたもの」 
です。
 そして、建築基準法第9条の2
 「(建築監視員)
 第九条の二
 
特定行政庁は、政令で定めるところにより、当該市町村又は都道府県の職員のうちから建築監視員を命じ、前条第七項及び第十項に規定する特定行政庁の権限を行なわせることができる。」 とあり、
 選択肢1で引用しました、建築基準法第9条の(違反建築物に対する措置)の内、次の7項から10項までの権限を有しています。
 「
7 特定行政庁は、緊急の必要がある場合においては、前五項の規定にかかわらず、これらに定める手続によらないで、仮に、使用禁止又は使用制限の命令をすることができる。
  8 前項の命令を受けた者は、その命令を受けた日から三日以内に、特定行政庁に対して公開による意見の聴取を行うことを請求することができる。この場合においては、第四項から第六項までの規定を準用する。ただし、意見の聴取は、その請求があつた日から五日以内に行わなければならない。
  9 特定行政庁は、前項の意見の聴取の結果に基づいて、第七項の規定によつて仮にした命令が不当でないと認めた場合においては、第一項の命令をすることができる。意見の聴取の結果、第七項の規定によつて仮にした命令が不当であると認めた場合においては、直ちに、その命令を取り消さなければならない。
  10 特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反することが明らかな建築、修繕又は模様替の工事中の建築物については、緊急の必要があつて第二項から第六項までに定める手続によることができない場合に限り、これらの手続によらないで、当該建築物の建築主又は当該工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)若しくは現場管理者に対して、当該工事の施工の停止を命ずることができる。この場合において、これらの者が当該工事の現場にいないときは、当該工事に従事する者に対して、当該工事に係る作業の停止を命ずることができる。」 
です。
 設問の「仮に、使用禁止又は使用制限の命令」は、7項に該当していますから、緊急の必要がある場合には、当該建築物の所有者等に対して、仮に、使用禁止又は使用制限の命令をすることができ、正しい。



3 特定行政庁は、違反建築物ではない床面積の合計が100uを超える共同住宅について、著しく保安上危険であると認める場合であっても、当該建築物の所有者等に対して、勧告をした後でなければ、除却等の命令をすることはできない。

X 誤っている。著しく保安上危険であると認める場合には、床面積が100uを超えると、除却等の命令を出せる。また、勧告の手続きは省ける。
 保安上危険であると認める場合の措置は、建築基準法第10条
 「(保安上危険な建築物等に対する措置)
 第十条
 特定行政庁は、第六条第一項第一号に掲げる建築物その他政令で定める建築物の敷地、構造又は建築設備(いずれも第三条第二項の規定により第二章の規定又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の適用を受けないものに限る。)について、損傷、腐食その他の劣化が進み、そのまま放置すれば著しく保安上危険となり、又は著しく衛生上有害となるおそれがあると認める場合においては、当該建築物又はその敷地の所有者、管理者又は占有者に対して、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用中止、使用制限その他保安上又は衛生上必要な措置をとることを勧告することができる。
   2 特定行政庁は、前項の勧告を受けた者が正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかつた場合において、特に必要があると認めるときは、その者に対し、相当の猶予期限を付けて、その勧告に係る措置をとることを命ずることができる。
   
3 前項の規定による場合のほか、特定行政庁は、建築物の敷地、構造又は建築設備(いずれも第三条第二項の規定により第二章の規定又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の適用を受けないものに限る。)が著しく保安上危険であり、又は著しく衛生上有害であると認める場合においては、当該建築物又はその敷地の所有者、管理者又は占有者に対して、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他保安上又は衛生上必要な措置をとることを命ずることができる
   4 第九条第二項から第九項まで及び第十一項から第十五項までの規定は、前二項の場合に準用する。」
 とあり、
 3項によれば、特定行政庁は、違反建築物でなくても、特殊建築物などで、その用途に供する部分の床面積が100uを超えるものが、著しく保安上危険であると認める場合には、勧告でなく、命令ができますから、誤りです。
 既存不適格建築物である共同住宅(マンション)も該当します。 (2015年 2月4日:”規模に係わらず”を削除した。加筆訂正)


4 特定行政庁がそのまま放置すれば著しく保安上危険となると認めた共同住宅の所有者等に対して保安上必要な措置を命じた場合においては、その措置を命ぜられた者がその措置を履行しないときであっても、行政代執行法の定めるところに従って特定行政庁が自ら当該所有者等のなすべき行為をすることはできない。

X 誤っている。特定行政庁は行政代執行ができる。
 そのまま放置すれば著しく保安上危険となると認めた共同住宅の所有者等に対して保安上必要な措置を命じた場合は、選択肢3でも引用しました、建築基準法第10条、
 「(保安上危険な建築物等に対する措置)
 第十条  特定行政庁は、第六条第一項第一号に掲げる建築物その他政令で定める建築物の敷地、構造又は建築設備(いずれも第三条第二項の規定により第二章の規定又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の適用を受けないものに限る。)について、損傷、腐食その他の劣化が進み、そのまま放置すれば著しく保安上危険となり、又は著しく衛生上有害となるおそれがあると認める場合においては、当該建築物又はその敷地の所有者、管理者又は占有者に対して、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用中止、使用制限その他保安上又は衛生上必要な措置をとることを
勧告することができる
   2  特定行政庁は、前項の勧告を受けた者が正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかつた場合において、特に必要があると認めるときは、その者に対し、相当の猶予期限を付けて、その勧告に係る措置をとることを
命ずることができる
   3  前項の規定による場合のほか、特定行政庁は、建築物の敷地、構造又は建築設備(いずれも第三条第二項の規定により第二章の規定又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の適用を受けないものに限る。)が著しく保安上危険であり、又は著しく衛生上有害であると認める場合においては、当該建築物又はその敷地の所有者、管理者又は占有者に対して、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他保安上又は衛生上必要な措置をとることを命ずることができる。
   
4  第九条第二項から第九項まで及び第十一項から第十五項までの規定は、前二項の場合に準用する。」 とあり、
 1項により、 特定行政庁は、保安上又は衛生上必要な措置をとることを勧告することができ、2項により、勧告を受けても、措置をとらなかつた場合は、その勧告に係る措置をとることを命ずることができます。
 それでも、その措置を命ぜられた者がその措置を履行しないときは、4項により、建築基準法第9条12項
 「12 特定行政庁は、第一項の規定により必要な措置を命じた場合において、その措置を命ぜられた者がその措置を履行しないとき、履行しても十分でないとき、又は履行しても同項の期限までに完了する見込みがないときは、
行政代執行法(昭和二十三年法律第四十三号)の定めるところに従い、みずから義務者のなすべき行為をし、又は第三者をしてこれをさせることができる。」 が準用されていますから、行政代執行法により、みずから義務者のなすべき行為をし、又は第三者をしてこれをさせることができますから、誤りです。


答え:2  新しい箇所からの出題で根拠を探すのに、時間がかかった。選択肢2と選択肢3は判断が難しい。

《タグ》違反建築物等に対する措置、建築監視員、 行政代執行。 建築基準法 

平成26年度 マンション管理士

〔問 40〕 鉄筋コンクリート造マンションの構造に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは、建築基準法施行令によって定められており、直接土に接しない耐力壁、柱、梁は3cm以上である。

○ 適切である。平成16年管理業務主任者試験 「問19」 選択肢4。
 鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは、コンクリート構造物の耐久性と耐火性の確保に必要です。また、コンクリートの中性化や飛来塩分による鉄筋腐食などの劣化に関係します。
 そこで、建築基準法施行令第79条
 「(鉄筋のかぶり厚さ)
 第七十九条  
鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは、耐力壁以外の壁又は床にあつては二センチメートル以上、耐力壁、柱又ははりにあつては三センチメートル以上、直接土に接する壁、柱、床若しくははり又は布基礎の立上り部分にあつては四センチメートル以上、基礎(布基礎の立上り部分を除く。)にあつては捨コンクリートの部分を除いて六センチメートル以上としなければならない。
   2  前項の規定は、水、空気、酸又は塩による鉄筋の腐食を防止し、かつ、鉄筋とコンクリートとを有効に付着させることにより、同項に規定するかぶり厚さとした場合と同等以上の耐久性及び強度を有するものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いる部材及び国土交通大臣の認定を受けた部材については、適用しない。」
 とあり、
 1項によれば、 鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは、直接土に接しない耐力壁、柱、梁は3cm以上ですから、適切です。



2 柱には地震力を受けた場合にせん断力によるひび割れの拡がりを防ぐための帯筋を配置するが、たれ壁と腰壁が上下についた短柱の場合はせん断破壊が生じやすくなる。

○ 適切である。 平成17年マンション管理士試験 「問40」
 柱には、屋根や梁からの荷重によって、圧縮力、曲げモーメント、せん断力(挟みきる力)が働きます。そこで、地震対応のひび割れを防ぐために、帯筋をまきます。
 また、たれ壁(垂れ壁)とは、天井から垂れ下がった形状の壁で、床までの長さはなく、途中までの「垂れた」状態のものです。また、腰壁とは、壁の仕上げが上下で違う場合の下部の壁のことです。
 これら、垂れ壁や腰壁が取り付いた柱は、柱の内法長さが短いため柱の主筋が曲げ降伏しないうちに柱がせん断破壊しやすく、柱の耐震性能に悪影響を及ぼす恐れがあるので、適切です。

 そこで、柱と腰壁との間に切れ目(スリット)を入れて、地震の被害を小さくしています。

   


3 昭和56年5月以前の耐震基準(旧耐震基準)に基づいて建てられた中層の壁式構造の建物は、一般に耐震性は低く、過去の大地震で大きな被害を受けたものが多い。

X 適切でない。中層の壁式構造の建物は、一般に耐震性は高かった。 平成16年管理業務主任者試験 「問26」
 壁式構造とは、鉄筋コンクリート造りの壁と床板によって、箱状の構造を作り、荷重や外力に対応します。柱や梁がないのが特徴です。
 柱と梁で支えるラーメン構造に比べて開口部(窓、扉など)のとり方が限定されますが、柱や梁が室内に出ないため、室内を広く使えるメリットがあります。通常、5階建てまでのマンションでも採用され、昭和56年以前でも利用されています。

 そこで、壁式構造の建物の耐震性ですが、国土交通省が作成しています、「マンション耐震化マニアル」(平成19年6月、平成26年7月再改訂)のページ6
 「RC造:壁式構造の住棟(4階建て)築後30年程度以上は経過していると思われるが、被害は全く見られない。一方で、隣の鉄道の高架は圧壊している。」 
 
 とありますように、昭和56年5月以前の耐震基準(旧耐震基準)に基づいて建てられた中層の壁式構造の建物でも、あまり被害が出ていないので、適切ではありません。

 


4 耐力壁は、地震力等の水平力を負担するものであるから、平面上、立面上でつり合いよく配置しないと、ねじれが生じやすくなる。

○ 適切である。
 耐力壁(耐震壁)は、柱・梁と一体となった壁で、地震時の水平荷重による骨組みの変形を防ぎ、建築物の剛性を高めるため、平面上、立面上でつり合いよく配置しないと、ねじれが生じやすくなり、適正です。


答え:3 ここは、選択肢1で迷うかも。

《タグ》鉄筋コンクリート造、 かぶり厚さ、 柱、 たれ壁、腰壁、壁式構造、地震。 地震対策

平成26年度 管理業務主任者

【問 17】 特殊建築物等の内装に関する制限(以下、本問において「内装制限」という。)に関する次の記述のうち、建築基準法(昭和25年法律第201号)によれば、正しいものはどれか。

1 国土交通大臣が定めたもの又は国土交通大臣の認定を受けたものである不燃材料・準不燃材料・難燃材料において、不燃性能に関して難燃材料は不燃材料に含まれる。

X 誤っている。 難燃材料の性能は、不燃材料の性能より劣る。
 まず、内装制限とは、建物内部で火災が発生した際に、内装が激しく燃えて火災が拡大したり、有害なガスを発生したりして、内部にいる人間の避難を妨げることがないよう規定されるものです。
 そして、特殊建築物等の内装に関する制限は、建築基準法第35条の2
 「(特殊建築物等の内装)
 第三十五条の二  別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物、階数が三以上である建築物、政令で定める窓その他の開口部を有しない居室を有する建築物、延べ面積が千平方メートルをこえる建築物又は建築物の調理室、浴室その他の室でかまど、こんろその他火を使用する設備若しくは器具を設けたものは、政令で定めるものを除き、
政令で定める技術的基準に従つて、その壁及び天井(天井のない場合においては、屋根)の室内に面する部分の仕上げを防火上支障がないようにしなければならない。 とあります。
  つまり、 @特殊建築物(劇場類、ホテル、共同住宅類、百貨店類等)
        A階数が3階以上、延べ1,000uをこえる建築物
        B政令で定める窓その他の開口部の無い居室を有する建築物。
        C調理室、浴室その他火を使用する設備を設けたもの。
  が様々な制限を受けることになります。


 
 そして設問の、不燃材料は、建築基準法第2条9号
 「九  不燃材料 建築材料のうち、不燃性能(通常の火災時における火熱により燃焼しないことその他の政令で定める性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めたもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。 」 に従っています。
 そこで使用される材料には、以下の不燃性能が求められます。 
  @不燃材料.... 加熱開始後 20分間満たしている建築材料 (建築基準法施行令108条の2)
  A準不燃材料...加熱開始後 10分間満たしている建築材料 (建築基準法施行令1条5号)
  B難燃材料.... 加熱開始後 5分間満たしている建築材料 (建築基準法施行令1条6号)
  となっています。
 そこで、設問の「難燃材料」の不燃性能は、「加熱開始後 5分間満たしている建築材料」で、一方「不燃材料」の不燃性能は、「熱開始後 20分間満たしている建築材料」とあり、難燃材料は不燃材料に含まれていませんから、誤りです。
 なお、不燃材料は、難燃材料といえます。

 

   


2 内装制限を受けるのは、床・壁・天井であり、床に対する基準が最も厳しいものとなっている。

X 誤っている。 内装制限を受けるのは、壁及び天井であり、床は、火災では制限の基準は厳しくない。
 これは、火は上に昇る、と考えればいい。具体的には、選択肢1でも引用しました、建築基準法第35条の2
 「(特殊建築物等の内装)
 第三十五条の二  別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物、階数が三以上である建築物、政令で定める窓その他の開口部を有しない居室を有する建築物、延べ面積が千平方メートルをこえる建築物又は建築物の調理室、浴室その他の室でかまど、こんろその他火を使用する設備若しくは器具を設けたものは、政令で定めるものを除き、政令で定める技術的基準に従つて、
その壁及び天井(天井のない場合においては、屋根)の室内に面する部分の仕上げを防火上支障がないようにしなければならない。 」 とあるように、
 防火上重要なのは、壁及び天井であって、床に対する内装制限の基準は、最も厳しいは、誤りです。


 


3 耐火建築物の共同住宅で、400u以内ごとに準耐火構造の床、壁又は建築基準法第2条第9号の2ロに規定する防火設備で区画されている住戸にある居室には、内装制限が適用されない。

X 誤っている。 耐火建築物の共同住宅では、”400u以内”ではなく”200u以内ごと”に、準耐火構造の床、壁や防火設備で区画されていれば、内装制限が適用されない。
 設問は、建築基準法施行令129条、
 「第百二十九条  前条第一項第一号に掲げる特殊建築物は、当該各用途に供する居室(法別表第一(い)欄(二)項に掲げる用途に供する特殊建築物が耐火建築物又は法第二条第九号の三 イに該当する準耐火建築物である場合にあつては、当該用途に供する特殊建築物の部分で床面積の合計百平方メートル(
共同住宅の住戸にあつては、二百平方メートル)以内ごとに準耐火構造の床若しくは壁又は法第二条第九号の二 ロに規定する防火設備で区画されている部分の居室を除く。)の壁(床面からの高さが一・二メートル以下の部分を除く。第四項において同じ。)及び天井(天井のない場合においては、屋根。以下この条において同じ。)の室内に面する部分(回り縁、窓台その他これらに類する部分を除く。以下この条において同じ。)の仕上げを第一号に掲げる仕上げと、当該各用途に供する居室から地上に通ずる主たる廊下、階段その他の通路の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを第二号に掲げる仕上げとしなければならない。 」 とあり、
 かなり注意して読まないと分かりにくいのですが、「共同住宅の住戸にあつては、二百平方メートル)以内ごとに準耐火構造の床若しくは壁又は法第二条第九号の二 ロに規定する防火設備で区画されている部分の居室を除く」 により、
 設問の「400u以内ごと」は、「200u以内ごと」で、適切ではありません。



4 屋内避難階段及び特別避難階段の階段室の天井及び壁の室内に面する部分は、不燃材料で仕上げをし、かつ、その下地も不燃材料で造らなければならない。

○ 正しい。 平成24年マンション管理士試験 「問41」選択肢4。
 設問は、建築基準法施行令第123条
 「(避難階段及び特別避難階段の構造)
 第百二十三条  
屋内に設ける避難階段は、次に定める構造としなければならない。
     一  階段室は、第四号の開口部、第五号の窓又は第六号の出入口の部分を除き、耐火構造の壁で囲むこと。
     
二  階段室の天井(天井のない場合にあつては、屋根。第三項第三号において同じ。)及び壁の室内に面する部分は、仕上げを不燃材料でし、かつ、その下地を不燃材料で造ること。
     三  階段室には、窓その他の採光上有効な開口部又は予備電源を有する照明設備を設けること。
     四  階段室の屋外に面する壁に設ける開口部(開口面積が各々一平方メートル以内で、法第二条第九号の二 ロに規定する防火設備ではめごろし戸であるものが設けられたものを除く。)は、階段室以外の当該建築物の部分に設けた開口部並びに階段室以外の当該建築物の壁及び屋根(耐火構造の壁及び屋根を除く。)から九十センチメートル以上の距離に設けること。ただし、第百十二条第十項ただし書に規定する場合は、この限りでない。
     五  階段室の屋内に面する壁に窓を設ける場合においては、その面積は、各々一平方メートル以内とし、かつ、法第二条第九号の二 ロに規定する防火設備ではめごろし戸であるものを設けること。
     六  階段に通ずる出入口には、法第二条第九号の二 ロに規定する防火設備で第百十二条第十四項第二号 に規定する構造であるものを設けること。この場合において、直接手で開くことができ、かつ、自動的に閉鎖する戸又は戸の部分は、避難の方向に開くことができるものとすること。
     七  階段は、耐火構造とし、避難階まで直通すること。
   2  屋外に設ける避難階段は、次に定める構造としなければならない。
     一  階段は、その階段に通ずる出入口以外の開口部(開口面積が各々一平方メートル以内で、法第二条第九号の二 ロに規定する防火設備ではめごろし戸であるものが設けられたものを除く。)から二メートル以上の距離に設けること。
     二  屋内から階段に通ずる出入口には、前項第六号の防火設備を設けること。
     三  階段は、耐火構造とし、地上まで直通すること。
   3  
特別避難階段は、次に定める構造としなければならない。
     一  屋内と階段室とは、バルコニー又は外気に向かつて開くことができる窓若しくは排煙設備(国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものに限る。)を有する付室を通じて連絡すること。
     二  階段室、バルコニー及び付室は、第五号の開口部、第七号の窓又は第九号の出入口の部分(第百二十九条の十三の三第三項に規定する非常用エレベーターの乗降ロビーの用に供するバルコニー又は付室にあつては、当該エレベーターの昇降路の出入口の部分を含む。)を除き、耐火構造の壁で囲むこと。
     
三  階段室及び付室の天井及び壁の室内に面する部分は、仕上げを不燃材料でし、かつ、その下地を不燃材料で造ること。
     四  階段室には、付室に面する窓その他の採光上有効な開口部又は予備電源を有する照明設備を設けること。
     五  階段室、バルコニー又は付室の屋外に面する壁に設ける開口部(開口面積が各々一平方メートル以内で、法第二条第九号の二 ロに規定する防火設備ではめごろし戸であるものが設けられたものを除く。)は、階段室、バルコニー又は付室以外の当該建築物の部分に設けた開口部並びに階段室、バルコニー又は付室以外の当該建築物の部分の壁及び屋根(耐火構造の壁及び屋根を除く。)から九十センチメートル以上の距離にある部分で、延焼のおそれのある部分以外の部分に設けること。ただし、第百十二条第十項ただし書に規定する場合は、この限りでない。
     六  階段室には、バルコニー及び付室に面する部分以外に屋内に面して開口部を設けないこと。
     七  階段室のバルコニー又は付室に面する部分に窓を設ける場合においては、はめごろし戸を設けること。
     八  バルコニー及び付室には、階段室以外の屋内に面する壁に出入口以外の開口部を設けないこと。
     九  屋内からバルコニー又は付室に通ずる出入口には第一項第六号の特定防火設備を、バルコニー又は付室から階段室に通ずる出入口には同号の防火設備を設けること。
     十  階段は、耐火構造とし、避難階まで直通すること。
     十一  建築物の十五階以上の階又は地下三階以下の階に通ずる特別避難階段の十五階以上の各階又は地下三階以下の各階における階段室及びこれと屋内とを連絡するバルコニー又は付室の床面積(バルコニーで床面積がないものにあつては、床部分の面積)の合計は、当該階に設ける各居室の床面積に、法別表第一(い)欄(一)項又は(四)項に掲げる用途に供する居室にあつては百分の八、その他の居室にあつては百分の三を乗じたものの合計以上とすること。」
 とあり、
 屋内避難階段の階段室は1項2号に該当し、特別避難階段室の階段室は3項3号に該当し、共に、正しい。



答え:4  かなり、詳細に解説したので、時間がかかった。選択肢4以外は知らなくても、正解ができたかも。
      {ある受験者の感想…「内装制限」は初めてきいた}
《タグ》 内装制限、 避難階段。  建築基準法 参考:「マンション管理士 香川事務所」が無償で提供しています、 「超解説 建築基準法」

平成26年度 管理業務主任者

【問 22】 建築基準法における面積・高さなどの算定方法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 がけ地、川、線路敷地等に沿う道路のうち特定行政庁が指定する幅員4m未満の道路において、当該がけ地等の境界線から道の側に4mまでの部分は、敷地面積に算入されない。

○ 正しい。
  まず、建築基準法において、道路は車がすれ違えるために最低幅員が4m以上あることになっています。そして、建物の敷地は幅員4m以上の道路に2m以上は接していなければなりません。そこで、幅員が4m未満の道路に接しているとなると、道路の中心線から水平距離2mずつ両側に後退した線が道路境界線となり、この区域内には建物が建てられません。これが、敷地面積に算入されないとかセットバックとよばれています。

 

 しかし、建築基準法が制定される前から、建物はありますから、新築・増改築する際には、この原則:建物の敷地は幅員4m以上の道路に2m以上は接すること、を適用させるために、特定行政庁の指定により幅員が4m未満の道路でも、「道路とみなす」ことによって道路の幅員4m以上を確保しようとしています。これが、建築基準法で「2項道路」とか、「みなし道路」と呼ばれています。
  そこで、設問のような、向かい側が「がけ地、川、線路敷地等に沿う道路」となると、4m未満道路の中心線からセットバックをとっても、幅員4mを確保できないこともあるため、この場合には、当該がけ地等の境界線から道の側に4mまでの部分を敷地面積には入れることができず、正しい。
 根拠は、建築基準法42条2項と建築基準法施行令第2条1項1号です。


 建築基準法42条、
 「(道路の定義)
  第四十二条  この章の規定において「道路」とは、次の各号の一に該当する幅員四メートル(特定行政庁がその地方の気候若しくは風土の特殊性又は土地の状況により必要と認めて都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内においては、六メートル。次項及び第三項において同じ。)以上のもの(地下におけるものを除く。)をいう。
     一  道路法 (昭和二十七年法律第百八十号)による道路
     二  都市計画法 、土地区画整理法 (昭和二十九年法律第百十九号)、旧住宅地造成事業に関する法律(昭和三十九年法律第百六十号)、都市再開発法 (昭和四十四年法律第三十八号)、新都市基盤整備法 (昭和四十七年法律第八十六号)、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法 (昭和五十年法律第六十七号)又は密集市街地整備法 (第六章に限る。以下この項において同じ。)による道路
     三  この章の規定が適用されるに至つた際現に存在する道
     四  道路法 、都市計画法 、土地区画整理法 、都市再開発法 、新都市基盤整備法 、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法 又は密集市街地整備法 による新設又は変更の事業計画のある道路で、二年以内にその事業が執行される予定のものとして特定行政庁が指定したもの
     五  土地を建築物の敷地として利用するため、道路法 、都市計画法 、土地区画整理法 、都市再開発法 、新都市基盤整備法 、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法 又は密集市街地整備法 によらないで築造する政令で定める基準に適合する道で、これを築造しようとする者が特定行政庁からその位置の指定を受けたもの
   
2  この章の規定が適用されるに至つた際現に建築物が立ち並んでいる幅員四メートル未満の道で、特定行政庁の指定したものは、前項の規定にかかわらず、同項の道路とみなし、その中心線からの水平距離二メートル(前項の規定により指定された区域内においては、三メートル(特定行政庁が周囲の状況により避難及び通行の安全上支障がないと認める場合は、二メートル)。以下この項及び次項において同じ。)の線をその道路の境界線とみなす。ただし、当該道がその中心線からの水平距離二メートル未満でがけ地、川、線路敷地その他これらに類するものに沿う場合においては、当該がけ地等の道の側の境界線及びその境界線から道の側に水平距離四メートルの線をその道路の境界線とみなす。
   3  特定行政庁は、土地の状況に因りやむを得ない場合においては、前項の規定にかかわらず、同項に規定する中心線からの水平距離については二メートル未満一・三五メートル以上の範囲内において、同項に規定するがけ地等の境界線からの水平距離については四メートル未満二・七メートル以上の範囲内において、別にその水平距離を指定することができる。
   4  第一項の区域内の幅員六メートル未満の道(第一号又は第二号に該当する道にあつては、幅員四メートル以上のものに限る。)で、特定行政庁が次の各号の一に該当すると認めて指定したものは、同項の規定にかかわらず、同項の道路とみなす。
     一  周囲の状況により避難及び通行の安全上支障がないと認められる道
     二  地区計画等に定められた道の配置及び規模又はその区域に即して築造される道
     三  第一項の区域が指定された際現に道路とされていた道
   5  前項第三号に該当すると認めて特定行政庁が指定した幅員四メートル未満の道については、第二項の規定にかかわらず、第一項の区域が指定された際道路の境界線とみなされていた線をその道路の境界線とみなす。
   6  特定行政庁は、第二項の規定により幅員一・八メートル未満の道を指定する場合又は第三項の規定により別に水平距離を指定する場合においては、あらかじめ、建築審査会の同意を得なければならない。 」

 
 建築基準法施行令第2条
 「
(面積、高さ等の算定方法)
 第二条  次の各号に掲げる面積、高さ及び階数の算定方法は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
    
 一  敷地面積 敷地の水平投影面積による。ただし、建築基準法 (以下「法」という。)第四十二条第二項 、第三項又は第五項の規定によつて道路の境界線とみなされる線と道との間の部分の敷地は、算入しない。
     二  建築面積 建築物(地階で地盤面上一メートル以下にある部分を除く。以下この号において同じ。)の外壁又はこれに代わる柱の中心線(軒、ひさし、はね出し縁その他これらに類するもので当該中心線から水平距離一メートル以上突き出たものがある場合においては、その端から水平距離一メートル後退した線)で囲まれた部分の水平投影面積による。ただし、国土交通大臣が高い開放性を有すると認めて指定する構造の建築物又はその部分については、その端から水平距離一メートル以内の部分の水平投影面積は、当該建築物の建築面積に算入しない。
     三  床面積 建築物の各階又はその一部で壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積による。
     四  延べ面積 建築物の各階の床面積の合計による。ただし、法第五十二条第一項 に規定する延べ面積(建築物の容積率の最低限度に関する規制に係る当該容積率の算定の基礎となる延べ面積を除く。)には、次に掲げる建築物の部分の床面積を算入しない。
       イ 自動車車庫その他の専ら自動車又は自転車の停留又は駐車のための施設(誘導車路、操車場所及び乗降場を含む。)の用途に供する部分(第三項第一号及び第百三十七条の八において「自動車車庫等部分」という。)
       ロ 専ら防災のために設ける備蓄倉庫の用途に供する部分(第三項第二号及び第百三十七条の八において「備蓄倉庫部分」という。)
       ハ 蓄電池(床に据え付けるものに限る。)を設ける部分(第三項第三号及び第百三十七条の八において「蓄電池設置部分」という。)
       ニ 自家発電設備を設ける部分(第三項第四号及び第百三十七条の八において「自家発電設備設置部分」という。)
       ホ 貯水槽を設ける部分(第三項第五号及び第百三十七条の八において「貯水槽設置部分」という。)
     五  築造面積 工作物の水平投影面積による。ただし、国土交通大臣が別に算定方法を定めた工作物については、その算定方法による。
     六  建築物の高さ 地盤面からの高さによる。ただし、次のイ、ロ又はハのいずれかに該当する場合においては、それぞれイ、ロ又はハに定めるところによる。
       イ 法第五十六条第一項第一号 の規定並びに第百三十条の十二 及び第百三十五条の十九 の規定による高さの算定については、前面道路の路面の中心からの高さによる。
       ロ 法第三十三条 及び法第五十六条第一項第三号 に規定する高さ並びに法第五十七条の四第一項 、法第五十八条 及び法第六十条の三第一項 に規定する高さ(北側の前面道路又は隣地との関係についての建築物の各部分の高さの最高限度が定められている場合におけるその高さに限る。)を算定する場合を除き、階段室、昇降機塔、装飾塔、物見塔、屋窓その他これらに類する建築物の屋上部分の水平投影面積の合計が当該建築物の建築面積の八分の一以内の場合においては、その部分の高さは、十二メートル(法第五十五条第一項 及び第二項 、法第五十六条の二第四項 、法第五十九条の二第一項 (法第五十五条第一項 に係る部分に限る。)並びに法別表第四(ろ)欄二の項、三の項及び四の項ロの場合には、五メートル)までは、当該建築物の高さに算入しない。
       ハ 棟飾、防火壁の屋上突出部その他これらに類する屋上突出物は、当該建築物の高さに算入しない。
     七  軒の高さ 地盤面(第百三十条の十二第一号イの場合には、前面道路の路面の中心)から建築物の小屋組又はこれに代わる横架材を支持する壁、敷桁又は柱の上端までの高さによる。
     八  階数 昇降機塔、装飾塔、物見塔その他これらに類する建築物の屋上部分又は地階の倉庫、機械室その他これらに類する建築物の部分で、水平投影面積の合計がそれぞれ当該建築物の建築面積の八分の一以下のものは、当該建築物の階数に算入しない。また、建築物の一部が吹抜きとなつている場合、建築物の敷地が斜面又は段地である場合その他建築物の部分によつて階数を異にする場合においては、これらの階数のうち最大なものによる。
   2  前項第二号、第六号又は第七号の「地盤面」とは、建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さにおける水平面をいい、その接する位置の高低差が三メートルを超える場合においては、その高低差三メートル以内ごとの平均の高さにおける水平面をいう。
   3  第一項第四号ただし書の規定は、次の各号に掲げる建築物の部分の区分に応じ、当該敷地内の建築物の各階の床面積の合計(同一敷地内に二以上の建築物がある場合においては、それらの建築物の各階の床面積の合計の和)に当該各号に定める割合を乗じて得た面積を限度として適用するものとする。
     一  自動車車庫等部分 五分の一
     二  備蓄倉庫部分 五十分の一
     三  蓄電池設置部分 五十分の一
     四  自家発電設備設置部分 百分の一
     五  貯水槽設置部分 百分の一
   4  第一項第六号ロ又は第八号の場合における水平投影面積の算定方法は、同項第二号の建築面積の算定方法によるものとする。 」
 


2 自動車車庫の床面積は、当該敷地内の建築物の各階の床面積の合計(同一敷地内に2以上の建築物がある場合においては、それらの建築物の各階の床面積の合計の和)に5分の1を乗じて得た面積を限度として、延べ面積には算入されない。

○ 正しい。
 基本的には、自動車車庫の床面積は、延べ面積には算入されません。それが、選択肢1で引用しました、建築基準法施行令第2条1項4号イ
 「(面積、高さ等の算定方法)
 第二条
  四  延べ面積 建築物の各階の床面積の合計による。ただし、法第五十二条第一項 に規定する延べ面積(建築物の容積率の最低限度に関する規制に係る当該容積率の算定の基礎となる延べ面積を除く。)には、
次に掲げる建築物の部分の床面積を算入しない
       イ 
自動車車庫その他の専ら自動車又は自転車の停留又は駐車のための施設(誘導車路、操車場所及び乗降場を含む。)の用途に供する部分(第三項第一号及び第百三十七条の八において「自動車車庫等部分」という。)」 
 
とあるのですが、特例として同3項に
 「3  第一項第四号ただし書の規定は、次の各号に掲げる建築物の部分の区分に応じ、当該敷地内の建築物の各階の床面積の合計(同一敷地内に二以上の建築物がある場合においては、それらの建築物の各階の床面積の合計の和)に
当該各号に定める割合を乗じて得た面積を限度として適用するものとする
     
一  自動車車庫等部分 五分の一
     二  備蓄倉庫部分 五十分の一
     三  蓄電池設置部分 五十分の一
     四  自家発電設備設置部分 百分の一
     五  貯水槽設置部分 百分の一 」
  とあり、
 3項1号により、正しい。



3 地階で、地盤面上1.5m以下にある部分は、建築面積に算入されない。

X 誤っている。 地盤面上 1.5m以下ではなく、地盤面上1.0m以下が建築面積に算入されない。
 地階の建築面積は、選択肢1で引用しました、建築基準法施行令第2条1項ニ
 「(面積、高さ等の算定方法)
 第二条
  二  建築面積 建築物(
地階で地盤面上一メートル以下にある部分を除く。以下この号において同じ。)の外壁又はこれに代わる柱の中心線(軒、ひさし、はね出し縁その他これらに類するもので当該中心線から水平距離一メートル以上突き出たものがある場合においては、その端から水平距離一メートル後退した線)で囲まれた部分の水平投影面積による。ただし、国土交通大臣が高い開放性を有すると認めて指定する構造の建築物又はその部分については、その端から水平距離一メートル以内の部分の水平投影面積は、当該建築物の建築面積に算入しない。」  とあり、
  「地階で地盤面上一メートル以下にある部分を除く」 のため、地盤面上 1.5m以下ではなく、地盤面上1.0m以下が建築面積に算入されず、誤りです。

 なお、容積率でも同じような規定がありますので、参考にしてください。

 


4 階段室、昇降機塔などの建築物の屋上部分の水平投影面積の合計が、当該建築物の建築面積の8分の1以内の場合、その部分の高さは、建築物の高さに算入されないことがある。

○ 正しい。
  階段室、昇降機塔などの建築物の屋上部分の水平投影面積となると、選択肢1で引用しました、建築基準法施行令第2条1項六
 「(面積、高さ等の算定方法)
 第二条
   六  建築物の高さ 地盤面からの高さによる。ただし、次のイ、ロ又はハのいずれかに該当する場合においては、それぞれイ、ロ又はハに定めるところによる。
       イ 法第五十六条第一項第一号 の規定並びに第百三十条の十二 及び第百三十五条の十九 の規定による高さの算定については、前面道路の路面の中心からの高さによる。
       ロ 法第三十三条 及び法第五十六条第一項第三号 に規定する高さ並びに法第五十七条の四第一項 、法第五十八条 及び法第六十条の三第一項 に規定する高さ(北側の前面道路又は隣地との関係についての建築物の各部分の高さの最高限度が定められている場合におけるその高さに限る。)を
算定する場合を除き、階段室、昇降機塔、装飾塔、物見塔、屋窓その他これらに類する建築物の屋上部分の水平投影面積の合計が当該建築物の建築面積の八分の一以内の場合においては、その部分の高さは、十二メートル(法第五十五条第一項 及び第二項 、法第五十六条の二第四項 、法第五十九条の二第一項 (法第五十五条第一項 に係る部分に限る。)並びに法別表第四(ろ)欄二の項、三の項及び四の項ロの場合には、五メートル)までは、当該建築物の高さに算入しない
       ハ 棟飾、防火壁の屋上突出部その他これらに類する屋上突出物は、当該建築物の高さに算入しない。」
 とあり、
 ロ によれば、
    条件によっては、「階段室、昇降機塔、装飾塔、物見塔、屋窓その他これらに類する建築物の屋上部分の水平投影面積の合計が当該建築物の建築面積の八分の一以内の場合においては、その部分の高さは、十二メートルまでは、当該建築物の高さに算入しない」 こともありますから、正しい。



答え:3  かなり宅地建物取引主任者の出題のようで、細かい。
 

《タグ》敷地面積、延べ面積、地階、屋上部分。 建築基準法

平成25年度 マンション管理士

〔問20〕 建築基準法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1  準防火地域内にある共同住宅に高さ4mの看板を設ける場合には、その主要な部分を不燃材料で造り、又はおおわなければならない。

X 誤っている。 準防火地域内は入っていない。 平成24年 マンション管理士試験 「問20」 、 平成15年 マンション管理士試験 「問20」 
 設問に近いのは、建築基準法第66条
 「(看板等の防火措置)
  第六十六条  防火地域内にある看板、広告塔、装飾塔その他これらに類する工作物で、建築物の屋上に設けるもの又は高さ三メートルをこえるものは、その主要な部分を不燃材料で造り、又はおおわなければならない。」とあり、
 防火地域内であれば、該当しますが、準防火地域内であれば該当しないため、誤りです。





2  準防火地域内にある地階を除く階数が4で延べ面積が1,200uの共同住宅は、耐火建築物としなければならない。

○ 正しい。 平成19年 マンション管理士試験 「問21」 。

 

 準防火地域内にある建築なら、建築基準法第62条
 「(準防火地域内の建築物)
 第六十二条  準防火地域内においては、地階を除く階数が四以上である建築物又は延べ面積が千五百平方メートルを超える建築物は耐火建築物とし、延べ面積が五百平方メートルを超え千五百平方メートル以下の建築物は耐火建築物又は準耐火建築物とし、地階を除く階数が三である建築物は耐火建築物、準耐火建築物又は外壁の開口部の構造及び面積、主要構造部の防火の措置その他の事項について防火上必要な政令で定める技術的基準に適合する建築物としなければならない。ただし、前条第二号に該当するものは、この限りでない。
   2  準防火地域内にある木造建築物等は、その外壁及び軒裏で延焼のおそれのある部分を防火構造とし、これに附属する高さ二メートルを超える門又は塀で当該門又は塀が建築物の一階であるとした場合に延焼のおそれのある部分に該当する部分を不燃材料で造り、又はおおわなければならない。 」とあり、
 第62条1項により、準防火地域内にある地階を除く階数が4以上となると、耐火建築物にしなければなりませんから、正しい。



3  防火地域内にある共同住宅で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる。

○ 正しい。 平成15年 マンション管理士試験 「問20」 
 隣地境界線に接する外壁なら、建築基準法第65条
 「(隣地境界線に接する外壁)
 第六十五条  防火地域又は準防火地域内にある建築物で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる。」とあり、
 正しい。



4  防火地域及び準防火地域にわたる共同住宅が、防火地域外において防火壁で区画されている場合においては、その防火壁外の部分については、準防火地域内の建築物に関する規定を適用する。

○ 正しい。
 建築物が、防火地域及び準防火地域の内外にわたる場合の措置は、それぞれ、防火地域または準防火地域内の建築物に関する規定が適用されますが、建築基準法第67条
「(建築物が防火地域又は準防火地域の内外にわたる場合の措置)
 第六十七条  建築物が防火地域又は準防火地域とこれらの地域として指定されていない区域にわたる場合においては、その全部についてそれぞれ防火地域又は準防火地域内の建築物に関する規定を適用する。ただし、その建築物が防火地域又は準防火地域外において防火壁で区画されている場合においては、その防火壁外の部分については、この限りでない。
   2  建築物が防火地域及び準防火地域にわたる場合においては、その全部について防火地域内の建築物に関する規定を適用する。ただし、建築物が防火地域外において防火壁で区画されている場合においては、その防火壁外の部分については、準防火地域内の建築物に関する規定を適用する。」とあり、
 第67条2項により、正しい。



答え:1   全く、条文のままの出題では、解説のしようがない。 なお、建築基準法 につては、別途 「要約 建築基準法」 もありますから、ご利用ください。  

平成25年度 マンション管理士

〔問39〕 マンションの建物及びその維持管理に関わる法令に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1  床面積2,000u以上のマンションにおいて、直接外気に接する屋根、壁及び床の修繕工事を行う場合、修繕工事を行う面積の合計が2,000u未満のときは、各部位の修繕工事の面積にかかわらず「エネルギーの使用の合理化に関する法律」に基づく届出を行う必要はない。

X 誤りである。 以前は、床面積 2,000u未満には適用がなかったが、改正されて、床面積 300u以上(第二種特定建築物)ができた。
 この出題も、根拠を探すのに、随分と時間をとられた。
 まず、この機会にエネルギーの使用の合理化に関する法律を少し勉強しましょう。

 建物を新築したり、修繕や模様替えをする人には、ネルギーの使用の合理化をしてもらおうというのが、エネルギーの使用の合理化に関する法律の趣旨です。
 そこで、エネルギーの使用の合理化に関する法律第72条、
 「(建築物の建築をしようとする者等の努力)
 第七十二条  次に掲げる者は、基本方針の定めるところに留意して、建築物の外壁、窓等を通しての熱の損失の防止及び建築物に設ける空気調和設備その他の政令で定める建築設備(以下「空気調和設備等」という。)に係るエネルギーの効率的利用のための措置を適確に実施することにより、建築物に係るエネルギーの使用の合理化に資するよう努めなければならない。
     一  建築物の建築をしようとする者
     二  建築物の所有者(所有者と管理者が異なる場合にあつては、管理者。以下同じ。)
     三  建築物の直接外気に接する屋根、壁又は床(これらに設ける窓その他の開口部を含む。以下同じ。)の修繕又は模様替をしようとする者
     四  建築物への空気調和設備等の設置又は建築物に設けた空気調和設備等の改修をしようとする者」とあり、
 設問の「直接外気に接する屋根、壁及び床の修繕工事を行う」は第72条3号に該当します。

 では、建築物の規模は、どの程度かというのが、次の第73条に規定されています。
 「(建築主等及び特定建築物の所有者の判断の基準となるべき事項)
 第七十三条  経済産業大臣及び国土交通大臣は、建築物に係るエネルギーの使用の合理化の適切かつ有効な実施を図るため、前条に規定する措置に関し建築主等(同条第一号、第三号及び第四号に掲げる者をいう。以下同じ。)及び建築物に係るエネルギーの使用の合理化を図る必要がある規模の建築物として政令で定める規模以上のもの(以下「特定建築物」という。)の所有者の判断の基準となるべき事項(住宅の建築を業として行う建築主(以下「住宅事業建築主」という。)が住宅であつて政令で定めるもの(以下「特定住宅」という。)を新築する場合に係るものを除く。)を定め、これを公表するものとする。
   2  第五十二条第二項の規定は、前項に規定する判断の基準となるべき事項に準用する。 」です。

 特定建築物と規定されるとまた、第75条が関係します。
 「(第一種特定建築物に係る届出、指示等)
 第七十五条  次の各号のいずれかに掲げる行為をしようとする者(以下「第一種特定建築主等」という。)は、国土交通省令で定めるところにより、当該各号に係る建築物の設計及び施工に係る事項のうちそれぞれ当該各号に定める措置に関するものを所管行政庁に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
     一  特定建築物のうち建築物に係るエネルギーの使用の合理化を特に図る必要がある大規模なものとして政令で定める規模以上のもの(以下「第一種特定建築物」という。)の新築(住宅事業建築主が第一種特定建築物である特定住宅を新築する場合を除く。)若しくは政令で定める規模以上の改築又は建築物の政令で定める規模以上の増築 当該建築物の外壁、窓等を通しての熱の損失の防止及び当該建築物に設ける空気調和設備等に係るエネルギーの効率的利用のための措置
     二  第一種特定建築物の直接外気に接する屋根、壁又は床について行う政令で定める規模以上の修繕又は模様替 当該第一種特定建築物の外壁、窓等を通しての熱の損失の防止のための措置
     三  第一種特定建築物への空気調和設備等の設置又は第一種特定建築物に設けた空気調和設備等についての政令で定める改修 当該空気調和設備等に係るエネルギーの効率的利用のための措置
   2  所管行政庁は、前項の規定による届出があつた場合において、当該届出に係る事項が第七十三条第一項に規定する判断の基準となるべき事項に照らして著しく不十分であると認めるときは、当該届出をした者に対し、その判断の根拠を示して、当該届出に係る事項を変更すべき旨を指示することができる。
   3  所管行政庁は、前項に規定する指示を受けた者がその指示に従わなかつたときは、その旨を公表することができる。
   4  所管行政庁は、第二項に規定する指示を受けた者が、正当な理由がなくてその指示に係る措置をとらなかつたときは、建築物に関し学識経験を有する者の意見を聴いて、当該指示を受けた者に対し、その指示に係る措置をとるべきことを命ずることができる。
   5  第一項の規定による届出をした者(届出をした者と当該届出に係る建築物の管理者が異なる場合にあつては管理者とし、当該建築物が譲り渡された場合にあつては譲り受けた者(譲り受けた者と当該建築物の管理者が異なる場合にあつては管理者)とする。)は、国土交通省令で定めるところにより、定期に、その届出に係る事項に関する当該建築物の維持保全の状況について、所管行政庁に報告しなければならない。
   6  所管行政庁は、前項の規定による報告があつた場合において、当該報告に係る事項が第七十三条第一項に規定する判断の基準となるべき事項に照らして著しく不十分であると認めるときは、当該報告をした者に対し、その判断の根拠を示して、エネルギーの効率的利用に資する維持保全をすべき旨の勧告をすることができる。
   7  前各項の規定は、法令若しくは条例の定める現状変更の規制及び保存のための措置その他の措置がとられていることにより第七十二条に規定する措置をとることが困難なものとして政令で定める建築物又は仮設の建築物であつて政令で定めるものには、適用しない。」です。

 この規定を受け「第一種特定建築物」を規定する政令は、エネルギーの使用の合理化に関する法律施行令第18条
 「 (第一種特定建築物の直接外気に接する屋根等について行う修繕等の規模)
 第十八条  法第七十五条第一項第二号 の政令で定める規模は、修繕若しくは模様替に係る部分の面積の合計が二千平方メートルであること又は当該面積の合計が二千平方メートルに満たない修繕若しくは模様替であつて次の各号に掲げるものについて当該各号に定める規模であることとする。
     一  第一種特定建築物の直接外気に接する屋根(これに設ける窓その他の開口部を含む。)について行う修繕又は模様替 当該修繕又は模様替に係る部分の面積の合計が当該屋根の面積の合計の二分の一
     二  第一種特定建築物の直接外気に接する壁(これに設ける窓その他の開口部を含む。)について行う修繕又は模様替 当該修繕又は模様替に係る部分の面積の合計が当該壁(当該第一種特定建築物の敷地境界線(建築基準法第四十二条 に規定する道路に接する部分を除く。)からの水平距離が一・五メートル以下の部分を除く。)の面積の合計の二分の一
     三  第一種特定建築物の直接外気に接する床(これに設ける窓その他の開口部を含む。)について行う修繕又は模様替 当該修繕又は模様替に係る部分の面積の合計が当該床の面積の合計の二分の一」とあり、

 以前はエネルギーの使用の合理化に関する法律施行令第18条1号により、「規模は、修繕若しくは模様替に係る部分の面積の合計が二千平方メートルであることまたは」で終わっていたのですが、
 平成21年に改正があり、第一種特定建築物以外の特定建築物として「第二種特定建築物」が規制の対象として追加されました。
 それが、エネルギーの使用の合理化に関する法律第75条の2 です。
 「(第二種特定建築物に係る届出、勧告等)
 第七十五条の二  第一種特定建築物以外の特定建築物(以下「第二種特定建築物」という。)の新築(住宅事業建築主が第二種特定建築物である特定住宅を新築する場合を除く。)若しくは政令で定める規模以上の改築又は建築物の政令で定める規模以上の増築(前条第一項第一号に規定する増築を除く。)をしようとする者(以下「第二種特定建築主」という。)は、国土交通省令で定めるところにより、当該建築物の設計及び施工に係る事項のうち当該建築物の外壁、窓等を通しての熱の損失の防止及び当該建築物に設ける空気調和設備等に係るエネルギーの効率的利用のための措置に関するものを所管行政庁に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
   2  所管行政庁は、前項の規定による届出があつた場合において、当該届出に係る事項が第七十三条第一項に規定する判断の基準となるべき事項に照らして著しく不十分であると認めるときは、当該届出をした者に対し、その判断の根拠を示して、当該届出に係る事項に関し必要な措置をとるべき旨の勧告をすることができる。
   3  第一項の規定による届出をした者(届出をした者と当該届出に係る建築物の管理者が異なる場合にあつては管理者とし、当該建築物が譲り渡された場合にあつては譲り受けた者(譲り受けた者と当該建築物の管理者が異なる場合にあつては管理者)とする。)は、国土交通省令で定めるところにより、定期に、その届出に係る事項(当該建築物の設計及び施工に係る事項のうち当該建築物に設ける空気調和設備等に係るエネルギーの効率的利用のための措置に関するものに限る。)に関する当該建築物の維持保全の状況について、所管行政庁に報告しなければならない。ただし、同項の届出に係る建築物が住宅である場合は、この限りでない。
   4  前条第六項の規定は、前項の報告に準用する。
   5  前各項の規定は、法令若しくは条例の定める現状変更の規制及び保存のための措置その他の措置がとられていることにより第七十二条に規定する措置をとることが困難なものとして前条第七項の政令で定める建築物又は仮設の建築物であつて同項の政令で定めるものには、適用しない。」です。

 そこで、「第二種特定建築物」の規模はとなりますが、これも、「 政令で定める規模以上」は、エネルギーの使用の合理化に関する法律施行令第20条の2 として追加されました。
 「(第二種特定建築物の改築等の規模)
 第二十条の二  法第七十五条の二第一項 の政令で定める改築の規模は、当該改築に係る部分の床面積の合計が三百平方メートルで、かつ、当該床面積の合計が当該改築に係る第二種特定建築物の床面積の合計の二分の一であることとする。
   2  法第七十五条の二第一項 の政令で定める増築の規模は、当該増築に係る部分の床面積の合計が三百平方メートルで、かつ、当該床面積の合計が増築前の建築物の床面積の合計であることとする。 」
 第20条の2 1項によれば、「改築の規模は、当該改築に係る部分の床面積の合計が三百平方メートルで、かつ、当該床面積の合計が当該改築に係る第二種特定建築物の床面積の合計の二分の一である」となっていますから、床面積が、300u以上の建物でも「エネルギーの使用の合理化に関する法律」に基づく届出を行う必要がありますから、誤りです。





2  「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく日本住宅性能表示基準の既存住宅に係る表示すべき事項等において、維持管理・更新への配慮に関することの適用範囲にマンションは含まれていない。

X 誤っている。 共同住宅として、マンションも含まれている
 日本住宅性能表示基準は、住宅の品質確保の促進等に関する法律の定義として、住宅の品質確保の促進等に関する法律第2条3号に規定されています。
 「(定義)
 第二条 この法律において「住宅」とは、人の居住の用に供する家屋又は家屋の部分(人の居住の用以外の用に供する家屋の部分との共用に供する部分を含む。)をいう。
   2 この法律において「新築住宅」とは、新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事の完了の日から起算して一年を経過したものを除く。)をいう。
   3 この法律において「日本住宅性能表示基準」とは、住宅の性能に関し表示すべき事項及びその表示の方法の基準であって、次条の規定により定められたものをいう。
   4 この法律において「住宅購入者等」とは、住宅の購入若しくは住宅の建設工事の注文をし、若しくはしようとする者又は購入され、若しくは建設された住宅に居住をし、若しくはしようとする者をいう。」です。

 具体的には、同法第3条にも規定されています。
 「(日本住宅性能表示基準)
 第三条 国土交通大臣及び内閣総理大臣は、住宅の性能に関する表示の適正化を図るため、日本住宅性能表示基準を定めなければならない。
   2 日本住宅性能表示基準は、利害関係人の意向を適切に反映するように、かつ、その適用に当たって同様な条件の下にある者に対して不公正に差別を付することがないように定め、又は変更しなければならない。
   3 国土交通大臣又は内閣総理大臣は、日本住宅性能表示基準を定め、又は変更しようとする場合において、必要があると認めるときは、当該日本住宅性能表示基準又はその変更の案について、公聴会を開いて利害関係人の意見を聴くことができる。
  4 国土交通大臣及び内閣総理大臣は、日本住宅性能表示基準を定め、又は変更しようとするときは、あらかじめ、国土交通大臣にあっては社会資本整備審議会の議決を、内閣総理大臣にあっては消費者委員会の議決を、それぞれ経なければならない。
   5 国土交通大臣及び内閣総理大臣は、日本住宅性能表示基準を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを告示しなければならない。」とあり、
 その日本住宅性能表示基準の詳細は、: http://www.mlit.go.jp/common/000052946.pdf にありますから、見てください。

 そこで、設問は、別表1 の 4 維持管理・更新への配慮に関すること 以下の表のように、共同住宅等とあり、マンションも含まれていますから、誤りです。




3  「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づき、長期優良住宅建築等計画の認定の申請を行おうとする場合には、事前に「建築基準法」に基づく確認済証の交付を受けている必要がある。

X 誤りである。 建築基準法の建築確認の申請が同時にできる。
 長期優良住宅建築等計画の認定の申請は、長期優良住宅の普及の促進に関する法律 第6条
 「(認定基準等)
  第六条  所管行政庁は、前条第一項から第三項までの規定による認定の申請があった場合において、当該申請に係る長期優良住宅建築等計画が次に掲げる基準に適合すると認めるときは、その認定をすることができる。
     一  建築をしようとする住宅の構造及び設備が長期使用構造等であること。
     二  建築をしようとする住宅の規模が国土交通省令で定める規模以上であること。
     三  建築をしようとする住宅が良好な景観の形成その他の地域における居住環境の維持及び向上に配慮されたものであること。
     四  前条第一項又は第二項の規定による認定の申請に係る長期優良住宅建築等計画にあっては、次に掲げる基準に適合すること。
       イ 建築後の住宅の維持保全の方法が当該住宅を長期にわたり良好な状態で使用するために誘導すべき国土交通省令で定める基準に適合するものであること。
       ロ 建築後の住宅の維持保全の期間が三十年以上であること。
       ハ 資金計画が当該住宅の建築及び維持保全を確実に遂行するため適切なものであること。
     五  前条第三項の規定による認定の申請に係る長期優良住宅建築等計画にあっては、次に掲げる基準に適合すること。
       イ 建築後の住宅の維持保全の方法の概要が当該住宅を三十年以上にわたり良好な状態で使用するため適切なものであること。
       ロ 資金計画が当該住宅の建築を確実に遂行するため適切なものであること。
     六  その他基本方針のうち第四条第二項第三号に掲げる事項に照らして適切なものであること。
   2  前条第一項から第三項までの規定による認定の申請をする者は、所管行政庁に対し、当該所管行政庁が当該申請に係る長期優良住宅建築等計画(住宅の建築に係る部分に限る。以下この条において同じ。)を建築主事に通知し、当該長期優良住宅建築等計画が建築基準法第六条第一項 に規定する建築基準関係規定に適合するかどうかの審査を受けるよう申し出ることができる。この場合においては、当該申請に併せて、同項 の規定による確認の申請書を提出しなければならない。
   3  前項の規定による申出を受けた所管行政庁は、速やかに、当該申出に係る長期優良住宅建築等計画を建築主事に通知しなければならない。
   4  建築基準法第十八条第三項 及び第十二項 の規定は、建築主事が前項の規定による通知を受けた場合について準用する。
   5  所管行政庁が、前項において準用する建築基準法第十八条第三項 の規定による確認済証の交付を受けた場合において、第一項の認定をしたときは、当該認定を受けた長期優良住宅建築等計画は、同法第六条第一項 の規定による確認済証の交付があったものとみなす
   6  所管行政庁は、第四項において準用する建築基準法第十八条第十二項 の規定による通知書の交付を受けた場合においては、第一項の認定をしてはならない。
   7  建築基準法第十二条第七項 及び第八項 並びに第九十三条 から第九十三条の三 までの規定は、第四項において準用する同法第十八条第三項 及び第十二項 の規定による確認済証及び通知書の交付について準用する。 」とあり、


 第6条2項によれば、「建築基準法第六条第一項」とあり、建築基準法第6条は、
 「 (建築物の建築等に関する申請及び確認)
 第六条  建築主は、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定(この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築基準法令の規定」という。)その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう。以下同じ。)に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。当該確認を受けた建築物の計画の変更(国土交通省令で定める軽微な変更を除く。)をして、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合も、同様とする。
 (以下略)」とあり、

 建築確認の申請を指していますから、長期優良住宅建築等計画の認定の申請を行おうとする場合には、同時に建築確認の審査を受けるよう申し出ることができますから、誤りです。


4  「建築基準法」における大規模の模様替とは、建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の模様替のことであり、屋根の全面についての模様替工事はこれに該当し、建築確認の申請が必要である。

○ 正しい。
 まず、「建築基準法」における大規模の模様替や建築物の主要構造部とは、建築基準法第2条に羅列されています。そこで、15号と5号が設問に該当します。
 「(用語の定義)
 第二条  この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
      十五  大規模の模様替 建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の模様替をいう
      五  主要構造部 壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、附け柱、揚げ床、最下階の床、廻り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとする。 」です。
 設問の「大規模の模様替とは、建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の模様替のことであり、屋根の全面についての模様替工事はこれに該当」していますから、前半は、正しい。

 次の「建築確認」は、建築基準法第6条
 「(建築物の建築等に関する申請及び確認)
 第六条  建築主は、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定(この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築基準法令の規定」という。)その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう。以下同じ。)に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。当該確認を受けた建築物の計画の変更(国土交通省令で定める軽微な変更を除く。)をして、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合も、同様とする。
 (以下略)」とあり、
 これにも該当していますから、選択肢4は、全体として正しい。
 



答え:4  選択肢4 が正しいとは、過去問題から分かるが、エネルギーの使用の合理化に関する法律の選択肢1 や、日本住宅性能表示基準の選択肢2 は、まったく根拠を探すのに、時間がかかった。
 上の「問38」の雑な出題といい、この「問39」 の各種法令からの出題といい、ただ単に、試験範囲として決められていますから、問題を作ってみましたのような出題方法はもう止めにして、真にマンション管理士や管理業務主任者業務に求められる出題を検討して欲しいものです。

   

平成25年度 マンション管理士

〔問42〕 マンションの構造に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1  剛心とは、構造物の床位置に水平力が作用するとき、ある層の床の水平面内における回転中心をいう。

○ 適切である.。
  厳密に剛心と重心が異なっているとなると、面倒な出題のようですが、あまり厳しいことをいわないで。
 剛心とは、地震などに対するその建物がもっている揺れに対する強さの中心点をいいます。建物の変形に対して抵抗する中心点です。建築物にねじれが生じたときに回転の中心となりますから、適切です。
 また、重心とは、建物の重さの中心点です。
 なお、地震が発生すると、その力は重心に対しても強く働きますから、地震に対してもっとも耐えることのできる剛心とのずれがあると、建物全体にねじれが生じて倒壊する危険性があるため、剛心と重心の位置は、一致することが望まれます。
 建築基準法では、剛心と重心の偏芯率は0.3以下になるよう求めています。





2  摩擦杭は、地盤の土と杭周面の摩擦力及び強固な支持層による杭先端の支持力によって建築物の重量を支えるものである。

X 適切でない。 摩擦杭の先端は支持力がない。
 建築物を支える地盤が軟弱でその地層が厚い場合には、杭を打って建物を支えます。この方法は杭基礎と呼ばれます。杭基礎には、軟弱な地盤を貫いて下の強固な支持層にまで先端の杭を打ち込む@支持杭とよばれる方法と、建築物の重量が比較的軽いときには、下の強固な層にまで届かず、杭の周囲にある土との摩擦力で支えるA摩擦杭があり、摩擦杭は、強固な支持層による杭先端の支持力によって建築物の重量を支えませんから、適切ではありません。
 これは、テキストでお馴染みの図があります。


 


3  建築物に作用する固定荷重は、躯体、仕上げ材料等、建築物自体の重量をいい、屋根、床、壁等の建築物の部分別に定められた数値により計算することができる。

○ 適切である。 平成20年 管理業務主任者試験 「問19」 。
 建築物に作用する荷重や外力は、建築基準法施行令第83条に以下のようにあげられています。
 「(荷重及び外力の種類)
 第八十三条  建築物に作用する荷重及び外力としては、次の各号に掲げるものを採用しなければならない。
     一  固定荷重
     二  積載荷重
     三  積雪荷重
     四  風圧力
     五  地震力
  2  前項に掲げるもののほか、建築物の実況に応じて、土圧、水圧、震動及び衝撃による外力を採用しなければならない。」



 そして、固定荷重については、同施行令第84条
 「(固定荷重)
 第八十四条  建築物の各部の固定荷重は、当該建築物の実況に応じて計算しなければならない。ただし、次の表に掲げる建築物の部分の固定荷重については、それぞれ同表の単位面積当たり荷重の欄に定める数値に面積を乗じて計算することができる。(表は略)」とあり、
 屋根、天井、床、壁やその仕上げ材料など建築物自体の重量をいい、それらの部分別に決められた単位面積当たりの荷重(単位 一平方メートルにつきニュートン)を計算して求められますから、適切です。



4  建築物に作用する積載荷重は、人、家具、調度物品等、移動が比較的簡単にできるものの重量をいい、住宅の居室、事務室、自動車車庫等、室の種類別に定められた数値により計算することができる。

○ 適切である。
  建築物に作用する積載荷重とは、建築物内の人間や家具・調度・物品など移動できるもの(固定荷重に含まれない)の重量による荷重のことです。建築物に作用する積載荷重については、建築基準法施行令第85条
 「(積載荷重)
 第八十五条  建築物の各部の積載荷重は、当該建築物の実況に応じて計算しなければならない。ただし、次の表に掲げる室の床の積載荷重については、それぞれ同表の(い)、(ろ)又は(は)の欄に定める数値に床面積を乗じて計算することができる。(表は略)」とあり、
 室の種類として、住宅の居室、事務室、教室、百貨店又は店舗の売場、自動車車庫及び自動車通路、廊下、玄関又は階段、屋上広場又はバルコニーなどが、(い)床の構造計算をする場合、(ろ)大ばり、柱又は基礎の構造計算をする場合、(は)地震力を計算する場合に別けられて、各々定められた数値があり、計算できますから、適切です。



答え:2  選択肢1が少し悩むか。 よく読めば、選択肢2の杭の先端の支持がおかしいとは気づく。  

平成25年度 マンション管理士

〔問44〕 マンションの設備に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1  土中埋設の白ガス管(亜鉛メッキ鋼管)が腐食したため、ポリエチレン管に交換した。

○ 適切である。 平成19年 マンション管理士試験 「問43」 
 埋設ガス管としては、1970年頃までは、白ガス管とよばれる亜鉛メッキ鋼管が使用されていましたが、埋設後20年程度すると、地中の微弱な電流などの影響で管が腐食し、ガス漏れが発生する危険性があり、現在は埋設部には使用が禁止されています。そこで、耐久性や耐震性にも優れたガス用ポリエチレン管が使用されています。適切です。なお、地中に埋設しない場合には、ほとんど腐食が進行しないので、使用されます。


2  高圧洗浄法による排水管の清掃は、排水管内にノズルを挿入し、高圧水をノズルから噴射して付着物を除去する。

○ 適切である。
 排水管の清掃方法としては、機械的に取り除く方法とアルカリ性洗浄剤などを使用する化学的に取り除く方法があります。一般的には、機械的に取り除く方法が採用されます。
 その機械的に取り除く方法としては、
  1.高圧洗浄法...排水管内にホース・ノズルを挿入し高圧水をノズルから噴射して管内の付着物や閉塞物を取り除く方法
  2.スネークワイヤー法...スクリュー型などのヘッドを先端に取り付けたワイヤーを回転させながら管内に入れて、押したり引いたりして、管内の付着物や閉塞物を取り除く方法
  3.ロッド法...先端の棒(ロッド)にスネークワイヤーのようにヘッドを付けて、1mから1.8m程度の棒を繋ぎ合わせて、手動で排水管内に入れて、管内の付着物や閉塞物を取り除く方法
  4.ウォーターラム法...詰まった排水管内に水を注入して、空気ポンプ(圧力ガン)で圧縮空気を一気に送り、その衝撃で管内の付着物や閉塞物を取り除く方法
 があります。
 高圧洗浄法による排水管の清掃の説明として、排水管内にノズルを挿入し、高圧水をノズルから噴射して付着物を除去する、適切です。





3  受水槽の有効容量は、一般にマンション全体の一日使用水量の1/5程度に設定する。

X 適切でない。 全体の一日使用水量の1/2程度にする。  平成18年 マンション管理士試験 「問44」 。
  マンションでの受水槽(タンク)の有効容量は、通常、マンション全体の一日使用量の1/2程度に設定しますから、1/5 では適切ではありません。



4  居室のシックハウス対策として、換気回数が、1時間当たり0.5回以上の機械換気設備を設置する。

○ 適切である。 平成21年 マンション管理士試験 「問45」 、平成17年 管理業務主任者試験 「問24」 など。
  室内の仕上げとして使用される壁紙の接着剤や建築材料に含まれるホルムアルデヒトなど、また家具に含まれる各種化学物質によって、目がチカチカしたり、めまいや吐き気など住んでいる人の健康に悪影響を与える事例を、シックハウス症候群とよんでいます。
 そこで、建築基準法により、石綿の使用禁止と並んで、居室を有する建築物には、クロルピリホスを添加した建築材料の使用が禁止され、ホルムアルデヒドの使用の制限が規定されました。

 建築基準法第28条の2
 「(石綿その他の物質の飛散又は発散に対する衛生上の措置)
 第二十八条の二  建築物は、石綿その他の物質の建築材料からの飛散又は発散による衛生上の支障がないよう、次に掲げる基準に適合するものとしなければならない。
     一  建築材料に石綿その他の著しく衛生上有害なものとして政令で定める物質(次号及び第三号において「石綿等」という。)を添加しないこと。
     二  石綿等をあらかじめ添加した建築材料(石綿等を飛散又は発散させるおそれがないものとして国土交通大臣が定めたもの又は国土交通大臣の認定を受けたものを除く。)を使用しないこと。
     三  居室を有する建築物にあつては、前二号に定めるもののほか、石綿等以外の物質でその居室内において衛生上の支障を生ずるおそれがあるものとして政令で定める物質の区分に応じ、建築材料及び換気設備について政令で定める技術的基準に適合すること。」とあり、

 これを受けた建築基準法施行令第20条の4、及び第20条の5
 「(著しく衛生上有害な物質)
 第二十条の四  法第二十八条の二第一号 (法第八十八条第一項 において準用する場合を含む。)の政令で定める物質は、石綿とする。
 「(居室内において衛生上の支障を生ずるおそれがある物質)
 第二十条の五  法第二十八条の二第三号 の政令で定める物質は、クロルピリホス及びホルムアルデヒドとする。 」
 また、室内における化学物質の人体への影響を少なくするためには、換気設備で、室内の空気をきれいにすることも必要です。

 そこで、建築基準法施行令第20条の8
 「(居室を有する建築物の換気設備についてのホルムアルデヒドに関する技術的基準)
 第二十条の八  換気設備についてのホルムアルデヒドに関する法第二十八条の二第三号 の政令で定める技術的基準は、次のとおりとする。
     一  居室には、次のいずれかに適合する構造の換気設備を設けること。
      イ 機械換気設備(ロに規定する方式を用いるものでロ(1)から(3)までに掲げる構造とするものを除く。)にあつては、第百二十九条の二の六第二項の規定によるほか、次に掲げる構造とすること。
       (1) 有効換気量(立方メートル毎時で表した量とする。(2)において同じ。)が、次の式によつて計算した必要有効換気量以上であること。
        Vr=nAh
      この式において、Vr、n、A及びhは、それぞれ次の数値を表すものとする。
      Vr 必要有効換気量(単位 一時間につき立方メートル)
      n 前条第一項第二号の表備考一の号に規定する住宅等の居室(次項において単に「住宅等の居室」という。)にあつては〇・五、その他の居室にあつては〇・三
      A 居室の床面積(単位 平方メートル)
      h 居室の天井の高さ(単位 メートル)
 (以下略)」 とあり、

 住宅の居室では、換気回数は、 0.5回/時間(1時間で、部屋の空気が半分入れ替わる)のような、機械式換気設備(24時間換気システム)の設置が義務つけられていますから、適切です。



 

答え:3  ここは、易しい。  

平成25年度 管理業務主任者

【問17】用語の定義に関する次の記述のうち、建築基準法(昭和25年法律第201号)によれば、誤っているものはどれか。

1 主要構造部に、最下階の床は含まれない。

○ 正しい。 平成24年 管理業務主任者試験 「問18」 、 平成20年 管理業務主任者試験 「問17」 など よく出題がある。
 主要構造部の定義は、建築基準法2条5号
 (用語の定義)
 第二条  この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
     五  主要構造部 壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、附け柱、揚げ床、最下階の床、廻り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとする。 」とあり、
 最下階の床などは、主要構造部から除かれていますから、正しい。
 なお、建築における主要構造部の定義は、防火の観点からされたものです。選択肢2 の「構造耐力上主要な部分」との違いは、明確に理解しておくこと。




2 構造耐力上主要な部分に、屋根版は含まれない。

X 誤っている。 屋根版も含まれる。
 構造耐力上主要な部分とは、建築基準法施行令第1条3号
 「(用語の定義)
 第一条  この政令において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
     三  構造耐力上主要な部分 基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するものをいう。)、床版、屋根版又は横架材(はり、けたその他これらに類するものをいう。)で、建築物の自重若しくは積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるものをいう。 」とあり、
 構造耐力上主要な部分には、屋根版も入っていますから、誤りです。

 
 


3 耐水材料に、れんがは含まれる。

○ 正しい。 
 耐水材料とは、建築基準法施行令第1条4号
  「四  耐水材料 れんが、石、人造石、コンクリート、アスファルト、陶磁器、ガラスその他これらに類する耐水性の建築材料をいう。」とあり、
 耐水材料には、れんがも含まれますから、正しい。



4 地階とは、床が地盤面下にある階で、床面から地盤面までの高さがその階の天井の高さの3分の1以上のものをいう。

○ 正しい。  平成21年 管理業務主任者試験 「問17」 、 平成17年 管理業務主任者試験 「問18」 など。
 地階の定義は、建築基準法施行令第1条2号
 「二  地階 床が地盤面下にある階で、床面から地盤面までの高さがその階の天井の高さの三分の一以上のものをいう。」 とあり、
 正しい。
 なお、地盤面とは、建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さにおける水平面をいい、その接する 位置の高低差が3mを超える場合は、その高低差3m以内ごとの平均の高さにおける水平面をいいます(建築基準法第52条第4項)。 この地盤面が、建築物の高さを測る基準です。





答え:2  建築基準法での用語の定義は、過去から出題は多いので注意してください。    

平成25年度 管理業務主任者

【問20】換気設備に関する次の記述のうち、建築基準法によれば、誤っているものはどれか。

1 居室には、政令で定める技術的基準に従って換気設備を設けた場合を除いて、換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、20分の1以上とすること。

○ 正しい。  平成19年 管理業務主任者試験 「問24」 。
 こんな出題は、記憶にないと思っていたら、平成19年 管理業務主任者試験 「問24」が近い。
 換気設備は、まず、建築基準法第28条
 「(居室の採光及び換気)
 第二十八条
 住宅、学校、病院、診療所、寄宿舎、下宿その他これらに類する建築物で政令で定めるものの居室(居住のための居室、学校の教室、病院の病室その他これらに類するものとして政令で定めるものに限る。)には、採光のための窓その他の開口部を設け、その採光に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、住宅にあつては七分の一以上、その他の建築物にあつては五分の一から十分の一までの間において政令で定める割合以上としなければならない。ただし、地階若しくは地下工作物内に設ける居室その他これらに類する居室又は温湿度調整を必要とする作業を行う作業室その他用途上やむを得ない居室については、この限りでない。
   2 居室には換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、二十分の一以上としなければならない。ただし、政令で定める技術的基準に従つて換気設備を設けた場合においては、この限りでない。
   3 別表第一(い)欄(一)項に掲げる用途に供する特殊建築物の居室又は建築物の調理室、浴室その他の室でかまど、こんろその他火を使用する設備若しくは器具を設けたもの(政令で定めるものを除く。)には、政令で定める技術的基準に従つて、換気設備を設けなければならない。
   4 ふすま、障子その他随時開放することができるもので仕切られた二室は、前三項の規定の適用については、一室とみなす。」とあり、
 第28条2項により、正しい



2 換気設備を設けるべき調理室等に煙突、排気フードなどを設けず、排気口又は排気筒に換気扇を設ける場合にあっては、その有効換気量を、(燃料の単位燃焼量当たりの理論廃ガス量)×(火を使用する設備又は器具の実況に応じた燃料消費量)の40倍以上とすること。

○ 正しい。
 これは、建築基準法施行令第20条の3 
 「(火を使用する室に設けなければならない換気設備等)
 第二十条の三  法第二十八条第三項 の規定により政令で定める室は、次に掲げるものとする。
     一  火を使用する設備又は器具で直接屋外から空気を取り入れ、かつ、廃ガスその他の生成物を直接屋外に排出する構造を有するものその他室内の空気を汚染するおそれがないもの(以下この項及び次項において「密閉式燃焼器具等」という。)以外の火を使用する設備又は器具を設けていない室
     二  床面積の合計が百平方メートル以内の住宅又は住戸に設けられた調理室(発熱量の合計(密閉式燃焼器具等又は煙突を設けた設備若しくは器具に係るものを除く。次号において同じ。)が十二キロワット以下の火を使用する設備又は器具を設けたものに限る。)で、当該調理室の床面積の十分の一(〇・八平方メートル未満のときは、〇・八平方メートルとする。)以上の有効開口面積を有する窓その他の開口部を換気上有効に設けたもの
     三  発熱量の合計が六キロワット以下の火を使用する設備又は器具を設けた室(調理室を除く。)で換気上有効な開口部を設けたもの
   2  建築物の調理室、浴室、その他の室でかまど、こんろその他火を使用する設備又は器具を設けたもの(前項に規定するものを除く。以下この項及び第百二十九条の二の六において「換気設備を設けるべき調理室等」という。)に設ける換気設備は、次に定める構造としなければならない。
     一  換気設備の構造は、次のイ又はロのいずれかに適合するものとすること。
       イ 次に掲げる基準に適合すること。
         (1) 給気口は、換気設備を設けるべき調理室等の天井の高さの二分の一以下の高さの位置(煙突を設ける場合又は換気上有効な排気のための換気扇その他これに類するもの(以下この号において「換気扇等」という。)を設ける場合には、適当な位置)に設けること。
         (2) 排気口は、換気設備を設けるべき調理室等の天井又は天井から下方八十センチメートル以内の高さの位置(煙突又は排気フードを有する排気筒を設ける場合には、適当な位置)に設け、かつ、換気扇等を設けて、直接外気に開放し、若しくは排気筒に直結し、又は排気上有効な立上り部分を有する排気筒に直結すること。
         (3) 給気口の有効開口面積又は給気筒の有効断面積は、国土交通大臣が定める数値以上とすること。
         (4) 排気口又は排気筒に換気扇等を設ける場合にあつては、その有効換気量は国土交通大臣が定める数値以上とし、換気扇等を設けない場合にあつては、排気口の有効開口面積又は排気筒の有効断面積は国土交通大臣が定める数値以上とすること。
         (5) ふろがま又は発熱量が十二キロワットを超える火を使用する設備若しくは器具(密閉式燃焼器具等を除く。)を設けた換気設備を設けるべき調理室等には、当該ふろがま又は設備若しくは器具に接続して煙突を設けること。ただし、用途上、構造上その他の理由によりこれによることが著しく困難である場合において、排気フードを有する排気筒を設けたときは、この限りでない。
        (6) 火を使用する設備又は器具に煙突(第百十五条第一項第七号の規定が適用される煙突を除く。)を設ける場合において、煙突に換気扇等を設ける場合にあつてはその有効換気量は国土交通大臣が定める数値以上とし、換気扇等を設けない場合にあつては煙突の有効断面積は国土交通大臣が定める数値以上とすること。
        (7) 火を使用する設備又は器具の近くに排気フードを有する排気筒を設ける場合において、排気筒に換気扇等を設ける場合にあつてはその有効換気量は国土交通大臣が定める数値以上とし、換気扇等を設けない場合にあつては排気筒の有効断面積は国土交通大臣が定める数値以上とすること。
        (8) 直接外気に開放された排気口又は排気筒の頂部は、外気の流れによつて排気が妨げられない構造とすること。
       ロ 火を使用する設備又は器具の通常の使用状態において、異常な燃焼が生じないよう当該室内の酸素の含有率をおおむね二十・五パーセント以上に保つ換気ができるものとして、国土交通大臣の認定を受けたものとすること。
     二  給気口は、火を使用する設備又は器具の燃焼を妨げないように設けること。
     三  排気口及びこれに接続する排気筒並びに煙突の構造は、当該室に廃ガスその他の生成物を逆流させず、かつ、他の室に廃ガスその他の生成物を漏らさないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとすること。
     四  火を使用する設備又は器具の近くに排気フードを有する排気筒を設ける場合においては、排気フードは、不燃材料で造ること。」とあり、
 設問は、第20条の3 2項4号に該当します。

  そこで、建設省告示第1826 号
   換気設備の構造方法を定める件 昭和45 年12 月28 日 建設省告示第1826 号 最終改正 平成12 年12 月26 日 建設省告示第2465 号

とあり、
 
効換気量を、(燃料の単位燃焼量当たりの理論廃ガス量)×(火を使用する設備又は器具の実況に応じた燃料消費量)の40倍以上とするのは、正しい。


3 機械換気設備の構造は、換気上有効な給気機及び排気機、換気上有効な給気機及び排気口又は換気上有効な給気口及び排気機を有すること。

○ 正しい。
 これは、建築基準法施行令第129条の2の6 2項
 「(換気設備)
 第百二十九条の二の六
    2 建築物に設ける機械換気設備は、次に定める構造としなければならない。
     一 換気上有効な給気機及び排気機、換気上有効な給気機及び排気口又は換気上有効な給気口及び排気機を有すること。
     二 給気口及び排気口の位置及び構造は、当該居室内の人が通常活動することが想定される空間における空気の分布を均等にし、かつ、著しく局部的な空気の流れを生じないようにすること。
     三 給気機の外気取り入れ口並びに直接外気に開放された給気口及び排気口には、雨水又はねずみ、虫、ほこりその他衛生上有害なものを防ぐための設備をすること。
     四 直接外気に開放された給気口又は排気口に換気扇を設ける場合には、外気の流れによつて著しく換気能力が低下しない構造とすること。
     五 風道は、空気を汚染するおそれのない材料で造ること。」とあり、
 第129条の2の6 2項1号に該当し、正しい。



4 火を使用する設備又は器具の通常の使用状態において、換気設備は、当該室内の酸素の含有率をおおむね15.0%以上に保つことができるものとして、国士交通大臣の認定を受けたものも認められる。

X 誤っている。 室内の酸素の含有率は、おおむね 15.0% ではなく 20.5%。
 詳細は、選択肢2でも引用しました、建築基準法施行令第20条の3 
 「(火を使用する室に設けなければならない換気設備等)
 第二十条の三
 法第二十八条第三項の規定により政令で定める室は、次に掲げるものとする。
     一 火を使用する設備又は器具で直接屋外から空気を取り入れ、かつ、廃ガスその他の生成物を直接屋外に排出する構造を有するものその他室内の空気を汚染するおそれがないもの(以下この項及び次項において「密閉式燃焼器具等」という。)以外の火を使用する設備又は器具を設けていない室
     二 床面積の合計が百平方メートル以内の住宅又は住戸に設けられた調理室(発熱量の合計(密閉式燃焼器具等又は煙突を設けた設備若しくは器具に係るものを除く。次号において同じ。)が十二キロワット以下の火を使用する設備又は器具を設けたものに限る。)で、当該調理室の床面積の十分の一(〇・八平方メートル未満のときは、〇・八平方メートルとする。)以上の有効開口面積を有する窓その他の開口部を換気上有効に設けたもの
     三 発熱量の合計が六キロワット以下の火を使用する設備又は器具を設けた室(調理室を除く。)で換気上有効な開口部を設けたもの
   2 建築物の調理室、浴室、その他の室でかまど、こんろその他火を使用する設備又は器具を設けたもの(前項に規定するものを除く。以下この項及び第百二十九条の二の六において「換気設備を設けるべき調理室等」という。)に設ける換気設備は、次に定める構造としなければならない。
     一 換気設備の構造は、次のイ又はロのいずれかに適合するものとすること。
       イ 次に掲げる基準に適合すること。
        (1) 給気口は、換気設備を設けるべき調理室等の天井の高さの二分の一以下の高さの位置(煙突を設ける場合又は換気上有効な排気のための換気扇その他これに類するもの(以下この号において「換気扇等」という。)を設ける場合には、適当な位置)に設けること。
        (2) 排気口は、換気設備を設けるべき調理室等の天井又は天井から下方八十センチメートル以内の高さの位置(煙突又は排気フードを有する排気筒を設ける場合には、適当な位置)に設け、かつ、換気扇等を設けて、直接外気に開放し、若しくは排気筒に直結し、又は排気上有効な立上り部分を有する排気筒に直結すること。
        (3) 給気口の有効開口面積又は給気筒の有効断面積は、国土交通大臣が定める数値以上とすること。
        (4) 排気口又は排気筒に換気扇等を設ける場合にあつては、その有効換気量は国土交通大臣が定める数値以上とし、換気扇等を設けない場合にあつては、排気口の有効開口面積又は排気筒の有効断面積は国土交通大臣が定める数値以上とすること。
        (5) ふろがま又は発熱量が十二キロワットを超える火を使用する設備若しくは器具(密閉式燃焼器具等を除く。)を設けた換気設備を設けるべき調理室等には、当該ふろがま又は設備若しくは器具に接続して煙突を設けること。ただし、用途上、構造上その他の理由によりこれによることが著しく困難である場合において、排気フードを有する排気筒を設けたときは、この限りでない。
        (6) 火を使用する設備又は器具に煙突(第百十五条第一項第七号の規定が適用される煙突を除く。)を設ける場合において、煙突に換気扇等を設ける場合にあつてはその有効換気量は国土交通大臣が定める数値以上とし、換気扇等を設けない場合にあつては煙突の有効断面積は国土交通大臣が定める数値以上とすること。
        (7) 火を使用する設備又は器具の近くに排気フードを有する排気筒を設ける場合において、排気筒に換気扇等を設ける場合にあつてはその有効換気量は国土交通大臣が定める数値以上とし、換気扇等を設けない場合にあつては排気筒の有効断面積は国土交通大臣が定める数値以上とすること。
        (8) 直接外気に開放された排気口又は排気筒の頂部は、外気の流れによつて排気が妨げられない構造とすること。
      ロ 火を使用する設備又は器具の通常の使用状態において、異常な燃焼が生じないよう当該室内の酸素の含有率をおおむね二十・五パーセント以上に保つ換気ができるものとして、国土交通大臣の認定を受けたものとすること
     二 給気口は、火を使用する設備又は器具の燃焼を妨げないように設けること。
     三 排気口及びこれに接続する排気筒並びに煙突の構造は、当該室に廃ガスその他の生成物を逆流させず、かつ、他の室に廃ガスその他の生成物を漏らさないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとすること。
     四 火を使用する設備又は器具の近くに排気フードを有する排気筒を設ける場合においては、排気フードは、不燃材料で造ること。」とあり、

 第20条の3 2項1号ロ によれば、当該室内の酸素の含有率は、おおむね20.5%以上に保つ換気ができないといけませんから、設問の15.0%は、誤りです。



答え:4  根拠を探すのに、時間がかかった。 こんな、選択肢4の ”おおむね”の数字である 15.0% と 20.5% の違いを出題するとは、まったく適切ではありません。  

平成25年度 管理業務主任者

【問21】共同住宅の各種調査、検査、報告の義務に関する次の記述のうち、建築基準法、消防法によれば、正しいものはどれか。

1 建築基準法第12条第1項に掲げる建築物の定期調査及び同条第3項に掲げる昇降機以外の建築設備の定期調査は、一級建築士若しくは二級建築士でなければ行うことができない。


注:建築基準法第12条は、平成28年6月施行で、改正があった。ここは、改正に未対応。


X 誤りである。 一級建築士、二級建築士、又は国土交通大臣が定める資格を有する者もできる。 平成25年 管理業務主任者試験 「問12」 も 建築基準法第12条からの出題。 平成23年 管理業務主任者試験 「問25」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問37」 、 平成18年 管理業務主任者試験 「問18」 など。
 建築物の定期調査、検査、報告を定めている、建築基準法第12条は、
 「(報告、検査等)
 第十二条  第六条第一項第一号に掲げる建築物その他政令で定める建築物(国、都道府県及び建築主事を置く市町村の建築物を除く。)で特定行政庁が指定するものの所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者。第三項において同じ。)は、当該建築物の敷地、構造及び建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は国土交通大臣が定める資格を有する者にその状況の調査(当該建築物の敷地及び構造についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含み、当該建築物の建築設備についての第三項の検査を除く。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。
   2  国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物(第六条第一項第一号に掲げる建築物その他前項の政令で定める建築物に限る。)の管理者である国、都道府県若しくは市町村の機関の長又はその委任を受けた者(以下この章において「国の機関の長等」という。)は、当該建築物の敷地及び構造について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は同項の資格を有する者に、損傷、腐食その他の劣化の状況の点検をさせなければならない。
   3  昇降機及び第六条第一項第一号に掲げる建築物その他第一項の政令で定める建築物の昇降機以外の建築設備(国、都道府県及び建築主事を置く市町村の建築物に設けるものを除く。)で特定行政庁が指定するものの所有者は、当該建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は国土交通大臣が定める資格を有する者に検査(当該建築設備についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含む。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。
   4  国の機関の長等は、国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物の昇降機及び国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物(第六条第一項第一号に掲げる建築物その他第一項の政令で定める建築物に限る。)の昇降機以外の建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は前項の資格を有する者に、損傷、腐食その他の劣化の状況の点検をさせなければならない。
   5  特定行政庁、建築主事又は建築監視員は、次に掲げる者に対して、建築物の敷地、構造、建築設備若しくは用途又は建築物に関する工事の計画若しくは施工の状況に関する報告を求めることができる。
     一  建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者、建築主、設計者、工事監理者又は工事施工者
     二  第一項の調査、第二項若しくは前項の点検又は第三項の検査をした一級建築士若しくは二級建築士又は第一項若しくは第三項の資格を有する者
     三  第七十七条の二十一第一項の指定確認検査機関
     四  第七十七条の三十五の五第一項の指定構造計算適合性判定機関
   6  建築主事又は特定行政庁の命令若しくは建築主事の委任を受けた当該市町村若しくは都道府県の職員にあつては第六条第四項、第六条の二第十一項、第七条第四項、第七条の三第四項、第九条第一項、第十項若しくは第十三項、第十条第一項から第三項まで、前条第一項又は第九十条の二第一項の規定の施行に必要な限度において、建築監視員にあつては第九条第十項の規定の施行に必要な限度において、当該建築物、建築物の敷地又は建築工事場に立ち入り、建築物、建築物の敷地、建築設備、建築材料、設計図書その他建築物に関する工事に関係がある物件を検査し、若しくは試験し、又は建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者、建築主、設計者、工事監理者若しくは工事施工者に対し必要な事項について質問することができる。ただし、住居に立ち入る場合においては、あらかじめ、その居住者の承諾を得なければならない。
   7  特定行政庁は、確認その他の建築基準法令の規定による処分並びに第一項及び第三項の規定による報告に係る建築物の敷地、構造、建築設備又は用途に関する台帳を整備し、かつ、当該台帳(当該処分及び当該報告に関する書類で国土交通省令で定めるものを含む。)を保存しなければならない。
   8  前項の台帳の記載事項その他その整備に関し必要な事項及び当該台帳(同項の国土交通省令で定める書類を含む。)の保存期間その他その保存に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。
とあり、

 第12条1項によれば、 「一級建築士若しくは二級建築士又は国土交通大臣が定める資格を有する者」であるので、@一級建築士、A二級建築士 以外にも B国土交通大臣が定める資格を有する者 も行うことができるため、誤りです。
 ここでは、昇降機と昇降機を除く建築設備は別扱いになっていることにも注意してください。

 なお、★特定行政庁とは...建築基準法第2条33号
 「三十三  特定行政庁 建築主事を置く市町村の区域については当該市町村の長をいい、その他の市町村の区域については都道府県知事をいう。ただし、第九十七条の二第一項又は第九十七条の三第一項の規定により建築主事を置く市町村の区域内の政令で定める建築物については、都道府県知事とする。 」とあり、その市町村に建築主事が置かれていれば、その市町村の長であるし、その市町村に建築主事が置かれていなければ、都道府県知事のこと。

 


2 建築基準法第12条第1項に掲げる特殊建築物の定期調査は、5年に1回実施しなければならない。

X 誤っている。 定期調査の時期は、6ヶ月から3年までの間で特定行政庁が定める。
 建築基準法第12条第1項に掲げる特殊建築物の定期調査は、建築基準法施行規則第5条 (昭和25年建設省令第40号)
 「(建築物の定期報告)
 第5条 法第12条第1項(法第88条第1項又は第3項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定による報告の時期は、建築物の用途、構造、延べ面積等に応じて、おおむね六月から三年までの間隔をおいて特定行政庁が定める時期(法第12条第1項の規定による指定があつた日以後の新築又は改築(一部の改築を除く。)に係る建築物について、建築主が法第7条第5項(法第87条の2又は法第88条第1項において準用する場合を含む。第6条第1項において同じ。)又は法第7条の2第5項(法第87条の2又は法第88条第1項において準用する場合を含む。第6条第1項において同じ。)の規定による検査済証の交付を受けた場合においては、その直後の時期を除く。)とする。」とあり、
 おおむね6カ月から3年までの間隔をおいて特定行政庁が定める時期に行いますから、5年に1回実施しなければならないは、誤りです。



3 建築基準法第12条第3項に掲げる昇降機の定期検査は、3年に1回実施しなければならない。

X 誤っている。 昇降機の定期検査は、おおむね6ケ月から1年までの間で特定行政庁が定める時期に行う。 平成19年 マンション管理士試験 「問20」 、 平成19年 管理業務主任者試験 「問19」 。
 昇降機の定期検査は、建築基準法施行規則第6条 (昭和25年建設省令第40号)
 「(建築設備等の定期報告)
 第6条 法第12条第3項(法第88条第1項又は第3項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定による報告の時期は、建築設備、法第66条に規定する工作物(高さ四メートルを超えるものに限る。)又は法第88条第1項に規定する昇降機等(以下「建築設備等」という。)の種類、用途、構造等に応じて、おおむね六月から一年まで(ただし、国土交通大臣が定める検査の項目については、一年から三年まで)の間隔をおいて特定行政庁が定める時期(法第12条第3項の規定による指定があつた日以後の設置又は築造に係る建築設備等について、設置者又は築造主が法第7条第5項又は法第7条の2第5項の規定による検査済証の交付を受けた場合においては、その直後の時期を除く。)とする。」とあり、

 おおむね6ケ月から1年までの間で特定行政庁が定める時期に行いますから、3年に1回実施しなければならないは、誤りです。
 なお、建築基準法に基づく「定期調査・検査報告制度」は、選択肢4の役所の管轄が異なる消防法に基づく消防用設備等の点検とは異なる制度ですから注意してください。



4 消防用設備等の点検の結果についての報告は、3年に1回実施しなければならない。

○ 正しい。 機器点検は6ヶ月に一度、総合点検は1年に1回行うが、報告は3年に1回でいい。 平成24年 マンション管理士試験 「問24」 選択肢3 、 平成20年 マンション管理士試験 「問36」選択肢2 、 平成19年 マンション管理士試験 「問44」選択肢4 、 平成13年 マンション管理士試験 「問24」 。
 まず、消防用設備等の点検は、消防法第17条の3の3 
 「第十七条の三の三  第十七条第一項の防火対象物(政令で定めるものを除く。)の関係者は、当該防火対象物における消防用設備等又は特殊消防用設備等(第八条の二の二第一項の防火対象物にあつては、消防用設備等又は特殊消防用設備等の機能)について、総務省令で定めるところにより、定期に、当該防火対象物のうち政令で定めるものにあつては消防設備士免状の交付を受けている者又は総務省令で定める資格を有する者に点検させ、その他のものにあつては自ら点検し、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない。」とあり、

 総務省令で定める政令は、消防法施行規則第31条の6 
 「(消防用設備等又は特殊消防用設備等の点検及び報告)
 第三十一条の六  法第十七条の三の三 の規定による消防用設備等の点検は、種類及び点検内容に応じて、一年以内で消防庁長官が定める期間ごとに行うものとする
   2  法第十七条の三の三 の規定による特殊消防用設備等の点検は、第三十一条の三の二第六号の設備等設置維持計画に定める点検の期間ごとに行うものとする。
   3  防火対象物の関係者は、前二項の規定により点検を行つた結果を、維持台帳(第三十一条の三第一項及び第三十三条の十八の届出に係る書類の写し、第三十一条の三第四項の検査済証、次項の報告書の写し、消防用設備等又は特殊消防用設備等の工事、整備等の経過一覧表その他消防用設備等又は特殊消防用設備等の維持管理に必要な書類を編冊したものをいう。)に記録するとともに、次の各号に掲げる防火対象物の区分に従い、当該各号に定める期間ごとに消防長又は消防署長に報告しなければならない。ただし、特殊消防用設備等にあつては、第三十一条の三の二第六号の設備等設置維持計画に定める点検の結果についての報告の期間ごとに報告するものとする。
     一  令別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項、(九)項イ、(十六)項イ、(十六の二)項及び(十六の三)項に掲げる防火対象物 一年に一回
     二  令別表第一(五)項ロ、(七)項、(八)項、(九)項ロ、(十)項から(十五)項まで、(十六)項ロ、(十七)項及び(十八)項までに掲げる防火対象物 三年に一回
 (以下、略)」とあり、
 共同住宅は、別表第一(五)項ロ に該当しますから、機器点検は6ヶ月ごと、総合点検は、1年ごとですが、報告は3項2号により、3年に1回ですから、正しい。


 参考



答え:4  点検・報告は、建築基準法、消防法、水道法、電気事業法などで異なっていますから、まとめておくといいでしょう。  

平成25年度 管理業務主任者

【問26】建築基準法第12条第1項に規定される特殊建築物において、定期調査の調査項目に含まれないものは、次のうちどれか。ただし、特定行政庁の定めるものは除くものとする。

1 機械式駐車場の劣化及び損傷の状況

X 含まれない。 機械式駐車場の劣化及び損傷の状況は入っていない。  平成25年 管理業務主任者試験 「問21」 でも、建築基準法第12条は出ている。
 定期調査が出題される背景:平成18年6月の東京都港区の公共賃貸住宅のエレベーターにおける死亡事故、平成19年5月の大阪府吹田市の遊園地の コー スターにおける死亡事故等、エレベーターや遊戯施設の事故が相次ぎましたが、いずれも建築基準法第12条に基づく定期検査報告が適切に行われていなかったことが事故につながった可能性が指摘されています。
 このため、社会資本整備審議会建築分科会建築物等事故・災害対策部会での検討結果を踏まえ、建築基準法第12条に基づ く定期報告制度について見直しを実施しました。(平成20年4月1日施行)

 設問の建築基準法第12条1項は、平成25年の管理業務主任者試験 「問21」 でも出ていますが、あらためて、
 「(報告、検査等)
 第十二条  第六条第一項第一号に掲げる建築物その他政令で定める建築物(国、都道府県及び建築主事を置く市町村の建築物を除く。)で特定行政庁が指定するものの所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者。第三項において同じ。)は、当該建築物の敷地、構造及び建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は国土交通大臣が定める資格を有する者にその状況の調査(当該建築物の敷地及び構造についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含み、当該建築物の建築設備についての第三項の検査を除く。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。」です。

  そこで、具体的な様式などを定めた、建築基準法施行規則第5条
 「(建築物の定期報告)
 第五条  法第十二条第一項 (法第八十八条第一項 又は第三項 において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定による報告の時期は、建築物の用途、構造、延べ面積等に応じて、おおむね六月から三年までの間隔をおいて特定行政庁が定める時期(法第十二条第一項 の規定による指定があつた日以後の新築又は改築(一部の改築を除く。)に係る建築物について、建築主が法第七条第五項 (法第八十七条の二 又は法第八十八条第一項 において準用する場合を含む。第六条第一項において同じ。)又は法第七条の二第五項 (法第八十七条の二 又は法第八十八条第一項 において準用する場合を含む。第六条第一項において同じ。)の規定による検査済証の交付を受けた場合においては、その直後の時期を除く。)とする。
   2  法第十二条第一項 の規定による調査は、建築物の敷地、構造及び建築設備の状況について安全上支障がないことを確認するために十分なものとして行うものとし、当該調査の項目、方法及び結果の判定基準は国土交通大臣の定めるところによるものとする
   3  法第十二条第一項 の規定による報告は、別記第三十六号の二の四様式による報告書及び別記第三十六号の二の五様式による定期調査報告概要書に国土交通大臣が定める調査結果表を添えてするものとする。ただし、特定行政庁が規則により別記第三十六号の二の四様式、別記第三十六号の二の五様式又は国土交通大臣が定める調査結果表に定める事項その他の事項を記載する報告書の様式又は調査結果表を定めた場合にあつては、当該様式による報告書又は当該調査結果表によるものとする。
   4  法第十二条第一項 の規定による報告は、前項の報告書及び調査結果表に、特定行政庁が建築物の敷地、構造及び建築設備の状況を把握するため必要があると認めて規則で定める書類を添えて行わなければならない。 」とあり、

 その調査項目は、国土交通省告示282号 の別表としてあり、 http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/teikihoukoku/kekka1.pdf
 ます。
 その表を全部見ると、「機械式駐車場の劣化及び損傷の状況」は、ありませんから、適切ではありません。



2 擁壁の劣化及び損傷の状況

○ 適切である。
  選択肢1で引用した調査項目の表にあります。
  「1.敷地及び地盤  (8) 擁壁 擁壁の劣化及び損傷の状況」 から、適切です。



3 サッシ等の劣化及び損傷の状況

○ 適切である。
  選択肢1で引用した調査項目の表にあります。 
 「2.建築物の外部 (15)窓サッシ等 サッシ等の劣化及び損傷の状況」 から、適切です。



4 避雷針、避雷導線等の劣化及び損傷の状況 

○ 適切である。
  選択肢1で引用した調査項目の表にあります。
 「6.その他 (5)避雷設備 避雷針、避雷導線等の劣化及び損傷の状況」 から、適切です。



答え:1  まったく、実に細かな箇所からの出題で、不適切極まりない!  

平成24年度 マンション管理士

〔問 20〕共同住宅に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 共同住宅の各戸の界壁は、耐火構造とし、小屋裏又は天井裏に達せしめなければならない。

X 誤っている。 遮音性能と準耐火構造。
 平成20年 マンション管理士試験 「問21」 。
 共同住宅の各戸の界壁は、建築基準法第30条
 「(長屋又は共同住宅の各戸の界壁)
  第三十条  長屋又は
共同住宅の各戸の界壁は、小屋裏又は天井裏に達するものとするほかその構造を遮音性能(隣接する住戸からの日常生活に伴い生ずる音を衛生上支障がないように低減するために界壁に必要とされる性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。 」
 とあり、
 建築基準法施行令第114条
 「(建築物の界壁、間仕切壁及び隔壁)
  第百十四条  長屋又は
共同住宅の各戸の界壁は、準耐火構造とし、小屋裏又は天井裏に達せしめなければならない。 」
 とあり、
 遮音構造と準耐火構造は求められていますが、耐火構造は求められていませんから誤りです。





2 防火地域内にある階数が2で延べ面積が250uの共同住宅は、耐火建築物としなくてもよい。

X 誤っている。 階数が2でも、延べ面積が100uを超えているので、耐火建築物とする。
  平成19年 マンション管理士試験 「問21」 。
  防火地域内なら、建築基準法第61条
 「(防火地域内の建築物)
  第六十一条  
防火地域内においては、階数が三以上であり、又は延べ面積が百平方メートルを超える建築物は耐火建築物とし、その他の建築物は耐火建築物又は準耐火建築物としなければならない。ただし、次の各号の一に該当するものは、この限りでない。
     一  延べ面積が五十平方メートル以内の平家建の附属建築物で、外壁及び軒裏が防火構造のもの
     二  卸売市場の上家又は機械製作工場で主要構造部が不燃材料で造られたものその他これらに類する構造でこれらと同等以上に火災の発生のおそれの少ない用途に供するもの
     三  高さ二メートルを超える門又は塀で不燃材料で造り、又は覆われたもの
     四  高さ二メートル以下の門又は塀 」
 とあり、階数が2階でも、延べ面積が100uを超えているため、耐火建築物としますから、誤りです。





3 準防火地域内にある地階を除く階数が3で延べ面積が1,200uの共同住宅は耐火建築物又は準耐火建築物としなければならない。

○ 正しい。  これも、 平成19年 マンション管理士試験 「問21」 。
  準防火地域内なら、建築基準法第62条
 「(準防火地域内の建築物)
  第六十二条  
準防火地域内においては、地階を除く階数が四以上である建築物又は延べ面積が千五百平方メートルを超える建築物は耐火建築物とし、延べ面積が五百平方メートルを超え千五百平方メートル以下の建築物は耐火建築物又は準耐火建築物とし、地階を除く階数が三である建築物は耐火建築物、準耐火建築物又は外壁の開口部の構造及び面積、主要構造部の防火の措置その他の事項について防火上必要な政令で定める技術的基準に適合する建築物としなければならない。ただし、前条第二号に該当するものは、この限りでない。
    2  準防火地域内にある木造建築物等は、その外壁及び軒裏で延焼のおそれのある部分を防火構造とし、これに附属する高さ二メートルを超える門又は塀で当該門又は塀が建築物の一階であるとした場合に延焼のおそれのある部分に該当する部分を不燃材料で造り、又はおおわなければならない。 」
 とあり、
 1項により、地階を除く階数が3で延べ面積が1,200uなら、「延べ面積が500uを超え1,500u以下の建築物」となり、耐火建築物又は準耐火建築物にしますから、正しい。





4 準防火地域内にある共同佳宅を増築しようとする場合、その増築部分の床面積の合計が10u以内であれば、建築確認を受ける必要はない。

X 誤っている。 防火地域又は準防火地域内だと、増築等で床面積が10u以内でも建築確認は必要。
  平成14年 マンション管理士試験 「問21」 。
 建築確認なら、建築基準法第6条1項及び2項
 「(建築物の建築等に関する申請及び確認)
  第六条  建築主は、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定(この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築基準法令の規定」という。)その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう。以下同じ。)に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。当該確認を受けた建築物の計画の変更(国土交通省令で定める軽微な変更を除く。)をして、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合も、同様とする。
     一  別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が百平方メートルを超えるもの
     二  木造の建築物で三以上の階数を有し、又は延べ面積が五百平方メートル、高さが十三メートル若しくは軒の高さが九メートルを超えるもの
     三  木造以外の建築物で二以上の階数を有し、又は延べ面積が二百平方メートルを超えるもの
     四  前三号に掲げる建築物を除くほか、都市計画区域若しくは準都市計画区域(いずれも都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域を除く。)若しくは景観法 (平成十六年法律第百十号)第七十四条第一項 の準景観地区(市町村長が指定する区域を除く。)内又は都道府県知事が関係市町村の意見を聴いてその区域の全部若しくは一部について指定する区域内における建築物
   2  
前項の規定は、防火地域及び準防火地域外において建築物を増築し、改築し、又は移転しようとする場合で、その増築、改築又は移転に係る部分の床面積の合計が十平方メートル以内であるときについては、適用しない。
   3  建築主事は、第一項の申請書が提出された場合において、その計画が次の各号のいずれかに該当するときは、当該申請書を受理することができない。
     一  建築士法第三条第一項 、第三条の二第一項、第三条の三第一項、第二十条の二第一項若しくは第二十条の三第一項の規定又は同法第三条の二第三項 の規定に基づく条例の規定に違反するとき。
     二  構造設計一級建築士以外の一級建築士が建築士法第二十条の二第一項 の建築物の構造設計を行つた場合において、当該建築物が構造関係規定に適合することを構造設計一級建築士が確認した構造設計によるものでないとき。
     三  設備設計一級建築士以外の一級建築士が建築士法第二十条の三第一項 の建築物の設備設計を行つた場合において、当該建築物が設備関係規定に適合することを設備設計一級建築士が確認した設備設計によるものでないとき。
   4  建築主事は、第一項の申請書を受理した場合においては、同項第一号から第三号までに係るものにあつてはその受理した日から三十五日以内に、同項第四号に係るものにあつてはその受理した日から七日以内に、申請に係る建築物の計画が建築基準関係規定に適合するかどうかを審査し、審査の結果に基づいて建築基準関係規定に適合することを確認したときは、当該申請者に確認済証を交付しなければならない。
   5  建築主事は、前項の場合において、申請に係る建築物の計画が第二十条第二号又は第三号に定める基準(同条第二号イ又は第三号イの政令で定める基準に従つた構造計算で、同条第二号イに規定する方法若しくはプログラムによるもの又は同条第三号イに規定するプログラムによるものによつて確かめられる安全性を有することに係る部分に限る。次条第三項及び第十八条第四項において同じ。)に適合するかどうかを審査するときは、都道府県知事の構造計算適合性判定(第二十条第二号イ又は第三号イの構造計算が同条第二号イに規定する方法若しくはプログラム又は同条第三号イに規定するプログラムにより適正に行われたものであるかどうかの判定をいう。以下同じ。)を求めなければならない。
   6  都道府県知事は、当該都道府県に置かれた建築主事から前項の構造計算適合性判定を求められた場合においては、当該建築主事を当該構造計算適合性判定に関する事務に従事させてはならない。
   7  都道府県知事は、特別な構造方法の建築物の計画について第五項の構造計算適合性判定を行うに当たつて必要があると認めるときは、当該構造方法に係る構造計算に関して専門的な識見を有する者の意見を聴くものとする。
   8  都道府県知事は、第五項の構造計算適合性判定を求められた場合においては、当該構造計算適合性判定を求められた日から十四日以内にその結果を記載した通知書を建築主事に交付しなければならない。
   9  都道府県知事は、前項の場合(第二十条第二号イの構造計算が同号イに規定する方法により適正に行われたものであるかどうかの判定を求められた場合その他国土交通省令で定める場合に限る。)において、同項の期間内に建築主事に同項の通知書を交付することができない合理的な理由があるときは、三十五日の範囲内において、同項の期間を延長することができる。この場合においては、その旨及びその延長する期間並びにその期間を延長する理由を記載した通知書を同項の期間内に建築主事に交付しなければならない。
   10  第五項の構造計算適合性判定に要する費用は、当該構造計算適合性判定を求めた建築主事が置かれた都道府県又は市町村の負担とする。
   11  建築主事は、第五項の構造計算適合性判定により当該建築物の構造計算が第二十条第二号イに規定する方法若しくはプログラム又は同条第三号イに規定するプログラムにより適正に行われたものであると判定された場合(次条第八項及び第十八条第十項において「適合判定がされた場合」という。)に限り、第一項の規定による確認をすることができる。
   12  建築主事は、第四項の場合(申請に係る建築物の計画が第二十条第二号に定める基準(同号イの政令で定める基準に従つた構造計算で同号イに規定する方法によるものによつて確かめられる安全性を有することに係る部分に限る。)に適合するかどうかを審査する場合その他国土交通省令で定める場合に限る。)において、同項の期間内に当該申請者に第一項の確認済証を交付することができない合理的な理由があるときは、三十五日の範囲内において、第四項の期間を延長することができる。この場合においては、その旨及びその延長する期間並びにその期間を延長する理由を記載した通知書を同項の期間内に当該申請者に交付しなければならない。
   13  建築主事は、第四項の場合において、申請に係る建築物の計画が建築基準関係規定に適合しないことを認めたとき、又は申請書の記載によつては建築基準関係規定に適合するかどうかを決定することができない正当な理由があるときは、その旨及びその理由を記載した通知書を同項の期間(前項の規定により第四項の期間を延長した場合にあつては、当該延長後の期間)内に当該申請者に交付しなければならない。
   14  第一項の確認済証の交付を受けた後でなければ、同項の建築物の建築、大規模の修繕又は大規模の模様替の工事は、することができない。
   15  第一項の規定による確認の申請書、同項の確認済証並びに第十二項及び第十三項の通知書の様式は、国土交通省令で定める。 」
 とあり、
 1項と2項により防火地域及び準防火地域
で、増築部分の床面積が10u以内なら、建築確認は不要ですが、設問は、「準防火地域内」ですから、誤りです。建築確認が必要です。


答え:3 

平成24年度 マンション管理士

〔問 41〕マンションの避難計画に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 避難階とは、地上又は地上に準ずる避難上安全な場所に直接通ずる出入口のある階をいい、 1階以外の階が避難階となることがある。

○ 適切である。 平成20年 マンション管理士試験 「問20」 、 平成20年 管理業務主任者試験 「問18」 、 平成16年 マンション管理士試験 「21」 、 平成14年 マンション管理士試験 「問41」 。
  避難階は、建築基準法施行令第13条1号
 「(避難施設等の範囲)
  第十三条
   法第七条の六第一項の政令で定める避難施設、消火設備、排煙設備、非常用の照明装置、非常用の昇降機又は防火区画(以下この条及び次条において「避難施設等」という。)は、次に掲げるもの(当該工事に係る避難施設等がないものとした場合に第百十二条、第五章第二節から第四節まで、第百二十八条の三、第百二十九条の十三の三又は消防法施行令(昭和三十六年政令第三十七号)第十二条から第十五条までの規定による技術的基準に適合している建築物に係る当該避難施設等を除く。)とする。
     一 
避難階(直接地上へ通ずる出入口のある階をいう。以下同じ。)以外の階にあつては居室から第百二十条又は第百二十一条の直通階段に、避難階にあつては階段又は居室から屋外への出口に通ずる出入口及び廊下その他の通路」
 とあり、
 直接地上へ通ずる出入口のある階のことで、通常は、1階が想定されますが、建物が斜面に建築されているような場合には、2階などでも、直接地上へ通ずる出入口のある階となりますから、適切です。



2 避難階以外の階(その階の居室の床面積の合計が100u以内のものを除く。)では、その階から避難階又は地上に通ずる2以上の直通階段を設けなければならない。

○ 適切である。
  避難階以外の階では、建築基準法施行令第121条1項、5号
 「(二以上の直通階段を設ける場合)
  第百二十一条
    
建築物の避難階以外の階が次の各号のいずれかに該当する場合においては、その階から避難階又は地上に通ずる二以上の直通階段を設けなければならない
       一 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂又は集会場の用途に供する階でその階に客席、集会室その他これらに類するものを有するもの
       二 物品販売業を営む店舗(床面積の合計が千五百平方メートルを超えるものに限る。第百二十二条第二項、第百二十四条第一項及び第百二十五条第三項において同じ。)の用途に供する階でその階に売場を有するもの
       三 次に掲げる用途に供する階でその階に客席、客室その他これらに類するものを有するもの(五階以下の階で、その階の居室の床面積の合計が百平方メートルを超えず、かつ、その階に避難上有効なバルコニー、屋外通路その他これらに類するもの及びその階から避難階又は地上に通ずる直通階段で第百二十三条第二項又は第三項の規定に適合するものが設けられているもの並びに避難階の直上階又は直下階である五階以下の階でその階の居室の床面積の合計が百平方メートルを超えないものを除く。)
         イ キャバレー、カフェー、ナイトクラブ又はバー
         ロ 個室付浴場業その他客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業を営む施設
         ハ ヌードスタジオその他これに類する興行場(劇場、映画館又は演芸場に該当するものを除く。)
         ニ 専ら異性を同伴する客の休憩の用に供する施設
         ホ 店舗型電話異性紹介営業その他これに類する営業を営む店舗
      四 病院若しくは診療所の用途に供する階でその階における病室の床面積の合計又は児童福祉施設等の用途に供する階でその階における児童福祉施設等の主たる用途に供する居室の床面積の合計が、それぞれ五十平方メートルを超えるもの
      五 ホテル、旅館若しくは下宿の用途に供する階でその階における宿泊室の床面積の合計、
共同住宅の用途に供する階でその階における居室の床面積の合計又は寄宿舎の用途に供する階でその階における寝室の床面積の合計が、それぞれ百平方メートルを超えるもの
      六 前各号に掲げる階以外の階で次のイ又はロに該当するもの
        イ 六階以上の階でその階に居室を有するもの(第一号から第四号までに掲げる用途に供する階以外の階で、その階の居室の床面積の合計が百平方メートルを超えず、かつ、その階に避難上有効なバルコニー、屋外通路その他これらに類するもの及びその階から避難階又は地上に通ずる直通階段で第百二十三条第二項又は第三項の規定に適合するものが設けられているものを除く。)
        ロ 五階以下の階でその階における居室の床面積の合計が避難階の直上階にあつては二百平方メートルを、その他の階にあつては百平方メートルを超えるもの
   2 主要構造部が準耐火構造であるか、又は不燃材料で造られている建築物について前項の規定を適用する場合には、同項中「五十平方メートル」とあるのは「百平方メートル」と、「百平方メートル」とあるのは「二百平方メートル」と、「二百平方メートル」とあるのは「四百平方メートル」とする。
   3 第一項の規定により避難階又は地上に通ずる二以上の直通階段を設ける場合において、居室の各部分から各直通階段に至る通常の歩行経路のすべてに共通の重複区間があるときにおける当該重複区間の長さは、前条に規定する歩行距離の数値の二分の一をこえてはならない。ただし、居室の各部分から、当該重複区間を経由しないで、避難上有効なバルコニー、屋外通路その他これらに類するものに避難することができる場合は、この限りでない。」
 とあり、
 マンションは共同住宅として、1項5号により、その階における居室の床面積の合計が100uを超えると、その階から避難階又は地上に通ずる二以上の直通階段を設けなければなりませんから、適切です。(なお、建築基準法施行令第121条1項3号の ロ〜ニ などは記憶する必要がありませんから。)



3 敷地内には、屋外に設ける避難階段及び避難階における屋外への出口から道又は公園、広場その他の空地に通ずる幅員が1.2 m以上の通路を設けなければならない。

X 適切でない。 避難階の出口から、道等までの通路の幅は、1.5m以上です。 
  それは、建築基準法施行令第128条
 「(敷地内の通路)
  第百二十八条
 敷地内には、第百二十三条第二項の屋外に設ける避難階段及び第百二十五条第一項の出口から道又は公園、広場その他の空地に通ずる
幅員が一・五メートル以上の通路を設けなければならない。」
 とあり、
 幅員は、1.2m以上ではなく、1.5m以上ですから、適切ではありません。
 因みに、引用されていますのは、
 「第百二十三条第二項
  (避難階段及び特別避難階段の構造)
   第百二十三条  屋内に設ける避難階段は、次に定める構造としなければならない。
     2  屋外に設ける避難階段は、次に定める構造としなければならない。
       一  階段は、その階段に通ずる出入口以外の開口部(開口面積が各々一平方メートル以内で、法第二条第九号の二 ロに規定する防火設備ではめごろし戸であるものが設けられたものを除く。)から二メートル以上の距離に設けること。
       二  屋内から階段に通ずる出入口には、前項第六号の防火設備を設けること。
       三  階段は、耐火構造とし、地上まで直通すること。」 と
 「第百二十五条第一項
  (屋外への出口)
   第百二十五条  避難階においては、階段から屋外への出口の一に至る歩行距離は第百二十条に規定する数値以下と、居室(避難上有効な開口部を有するものを除く。)の各部分から屋外への出口の一に至る歩行距離は同条に規定する数値の二倍以下としなければならない。 」 です。



4 避難階段には、屋外に設けるものと屋内に設けるものがあり、その構造は、耐火構造としなければならない。

○ 適切である。
  まず、避難階段には、屋外に設けるものと屋内に設けるものがあります。
 それは、上の選択肢3でも引用しました、建築基準法施行令第123条、
 「(避難階段及び特別避難階段の構造)
   第百二十三条  
屋内に設ける避難階段は、次に定める構造としなければならない。
       一  階段室は、第四号の開口部、第五号の窓又は第六号の出入口の部分を除き、耐火構造の壁で囲むこと。
       二  階段室の天井(天井のない場合にあつては、屋根。第三項第三号において同じ。)及び壁の室内に面する部分は、仕上げを不燃材料でし、かつ、その下地を不燃材料で造ること。
       三  階段室には、窓その他の採光上有効な開口部又は予備電源を有する照明設備を設けること。
       四  階段室の屋外に面する壁に設ける開口部(開口面積が各々一平方メートル以内で、法第二条第九号の二 ロに規定する防火設備ではめごろし戸であるものが設けられたものを除く。)は、階段室以外の当該建築物の部分に設けた開口部並びに階段室以外の当該建築物の壁及び屋根(耐火構造の壁及び屋根を除く。)から九十センチメートル以上の距離に設けること。ただし、第百十二条第十項ただし書に規定する場合は、この限りでない。
       五  階段室の屋内に面する壁に窓を設ける場合においては、その面積は、各々一平方メートル以内とし、かつ、法第二条第九号の二 ロに規定する防火設備ではめごろし戸であるものを設けること。
       六  階段に通ずる出入口には、法第二条第九号の二 ロに規定する防火設備で第百十二条第十四項第二号 に規定する構造であるものを設けること。この場合において、直接手で開くことができ、かつ、自動的に閉鎖する戸又は戸の部分は、避難の方向に開くことができるものとすること。
       七  
階段は、耐火構造とし、避難階まで直通すること
    2  
屋外に設ける避難階段は、次に定める構造としなければならない。
       一  階段は、その階段に通ずる出入口以外の開口部(開口面積が各々一平方メートル以内で、法第二条第九号の二 ロに規定する防火設備ではめごろし戸であるものが設けられたものを除く。)から二メートル以上の距離に設けること。
       二  屋内から階段に通ずる出入口には、前項第六号の防火設備を設けること。
       三  
階段は、耐火構造とし、地上まで直通すること
    3  特別避難階段は、次に定める構造としなければならない。
       一  屋内と階段室とは、バルコニー又は外気に向かつて開くことができる窓若しくは排煙設備(国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものに限る。)を有する付室を通じて連絡すること。
       二  階段室、バルコニー及び付室は、第五号の開口部、第七号の窓又は第九号の出入口の部分(第百二十九条の十三の三第三項に規定する非常用エレベーターの乗降ロビーの用に供するバルコニー又は付室にあつては、当該エレベーターの昇降路の出入口の部分を含む。)を除き、耐火構造の壁で囲むこと。
       三  階段室及び付室の天井及び壁の室内に面する部分は、仕上げを不燃材料でし、かつ、その下地を不燃材料で造ること。
       四  階段室には、付室に面する窓その他の採光上有効な開口部又は予備電源を有する照明設備を設けること。
       五  階段室、バルコニー又は付室の屋外に面する壁に設ける開口部(開口面積が各々一平方メートル以内で、法第二条第九号の二 ロに規定する防火設備ではめごろし戸であるものが設けられたものを除く。)は、階段室、バルコニー又は付室以外の当該建築物の部分に設けた開口部並びに階段室、バルコニー又は付室以外の当該建築物の部分の壁及び屋根(耐火構造の壁及び屋根を除く。)から九十センチメートル以上の距離にある部分で、延焼のおそれのある部分以外の部分に設けること。ただし、第百十二条第十項ただし書に規定する場合は、この限りでない。
       六  階段室には、バルコニー及び付室に面する部分以外に屋内に面して開口部を設けないこと。
       七  階段室のバルコニー又は付室に面する部分に窓を設ける場合においては、はめごろし戸を設けること。
       八  バルコニー及び付室には、階段室以外の屋内に面する壁に出入口以外の開口部を設けないこと。
       九  屋内からバルコニー又は付室に通ずる出入口には第一項第六号の特定防火設備を、バルコニー又は付室から階段室に通ずる出入口には同号の防火設備を設けること。
       十  階段は、耐火構造とし、避難階まで直通すること。
       十一  建築物の十五階以上の階又は地下三階以下の階に通ずる特別避難階段の十五階以上の各階又は地下三階以下の各階における階段室及びこれと屋内とを連絡するバルコニー又は付室の床面積(バルコニーで床面積がないものにあつては、床部分の面積)の合計は、当該階に設ける各居室の床面積に、法別表第一(い)欄(一)項又は(四)項に掲げる用途に供する居室にあつては百分の八、その他の居室にあつては百分の三を乗じたものの合計以上とすること。 」
 とあり、
 1項では屋内に設ける避難階段を規定し、2項では屋外に設ける避難階段を規定していますから、適切です。
 その構造は、屋内に設ける避難階段では、1項7号で、また、屋外に設ける避難階段では2項3号で、共に「階段は、耐火構造とし、地上まで直通すること」となっていますから、これも適切ですから、全体として、適切です。
 


答え:3 (通路の幅が、1.2m以上ではなく、1.5m以上が正解とは、30cmの違いをどうしろという出題でしょうか? 平成20年でも出題していますが、まったく、試験のためだけの出題です。)

平成24年度 管理業務主任者

【問 18】 建築基準法に用いられている用語に関する次の記述のうち、誤っているのはどれか。

1 居室には、集会、娯楽のために使用する室は含まれない。

X 誤っている。 含まれる。
  建築基準法での「居室」とは、建築基準法第2条4号
 「(用語の定義)
  第二条  この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
      四  
居室 居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室をいう。 」
 とあり、
 居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室ですから、誤りです。なお、事務室、病室、教室、観覧席なども居室です。 しかし、「玄関」「便所」「浴室」「脱衣室」「洗面所」「押入れ」「納戸」「廊下」は、その使用が一時的ですので居室ではありません。また、倉庫、自動車車庫、無人の機械室なども、居室ではありません。



2 主要構造部と構造耐力上主要な部分の範囲は異なる。

○ 正しい。
  主要構造部とは、建築基準法第2条5号
 「用語の定義)
  第二条  この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
     五  
主要構造部 壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、附け柱、揚げ床、最下階の床、廻り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとする。 」
 とあり、
 防火の観点から、火災が発生した場合の延焼防止や倒壊防止などで規定したものです。

 一方、構造耐力上主要な部分とは、建築基準法施行令第1条3号
 「(用語の定義)
  第一条  この政令において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
     三  
構造耐力上主要な部分 基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するものをいう。)、床版、屋根版又は横架材(はり、けたその他これらに類するものをいう。)で、建築物の自重若しくは積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるものをいう。 」
 とあり、
 これは、建築物の強度の観点からの規定です。地震や風などの外力に対して、構造耐力上の安全性の確保を目的にしています。こちらには、基礎が入っていますが、階段は入っていません。
 主要構造部と構造耐力上主要な部分の範囲は異っていますから、正しい。




 

3 不燃材料には、国土交通大臣が定めたものと国土交通大臣の認定を受けたものがある。

○ 正しい。
 不燃材料は、建築基準法第2条9号
  「九  
不燃材料 建築材料のうち、不燃性能(通常の火災時における火熱により燃焼しないことその他の政令で定める性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めたもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。」
 とあり、
  建築材料のうち、一定の不燃性能を有したものです。これには、国土交通大臣が定めたもの又は国土交通大臣の認定を受けたものがありますから、正しい。
 なお、具体的な不燃材料には、 コンクリート 、れんが 、瓦 、陶磁器質タイル 、繊維強化セメント板 、厚さが3ミリメートル以上のガラス繊維混入セメント板 、厚さが5ミリメートル以上の繊維混入ケイ酸カルシウム板 、鉄鋼 、アルミニウム、金属板、ガラス、モルタル、しっくい、石 、厚さが12ミリメートル以上のせっこうボード(ボード用原紙の厚さが0.6ミリメートル以下のものに限る。) 、ロックウール、グラスウール板 、その他に国土交通大臣が認定したもの があります。



4 建築基準法の各条文の目的により、適用される特殊建築物の範囲は異なる。

○ 正しい。
  例えば、建築基準法第2条2号では、
  「二  
特殊建築物 学校(専修学校及び各種学校を含む。以下同様とする。)、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、市場、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、旅館、共同住宅、寄宿舎、下宿、工場、倉庫、自動車車庫、危険物の貯蔵場、と畜場、火葬場、汚物処理場その他これらに類する用途に供する建築物をいう。 」
 とあり、同法第6条1項1号では、
 「一 
別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物
 とあり、
 階数なども規定されていますし、建築基準法第27条2項、
 「2  
次の各号の一に該当する特殊建築物は、耐火建築物又は準耐火建築物(別表第一(い)欄(六)項に掲げる用途に供するものにあつては、第二条第九号の三ロに該当する準耐火建築物のうち政令で定めるものを除く。)としなければならない。 」
 とあり、
 また、建築基準法第35条1項
 「
別表第一(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供する特殊建築物、階数が三以上である建築物、政令で定める窓その他の開口部を有しない居室を有する建築物又は延べ面積(同一敷地内に二以上の建築物がある場合においては、その延べ面積の合計)が千平方メートルをこえる建築物については、廊下、階段、出入口その他の避難施設、消火栓、スプリンクラー、貯水槽その他の消火設備、排煙設備、非常用の照明装置及び進入口並びに敷地内の避難上及び消火上必要な通路は、政令で定める技術的基準に従つて、避難上及び消火上支障がないようにしなければならない。 」
 など、
 適用される特殊建築物の範囲は異なっていますから、正しい。

答え:1  (ここも、私の別途 「要約 建築基準法」 も参考にしてください。)

平成24年度 管理業務主任者

【問 21】 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第107条に規定されている耐火性能に関する技術的基準に関する次の記述のうち、誤っている ものはどれか。なお、本問において「要求耐火時時間」とは、通常の火災による火熱が加えられた場合に、建築物の当該部分が構造耐力上支障のある変形、溶融、 破壊その他の損傷を生じないで耐えなければならない時間をいう。

1 要求耐火時間としては、 30分間、 1時間、 2時間、 3時間の4つが規定されている。

○ 正しい。
  まず、耐火性能とは、建築基準法第2条7号
 「(用語の定義)
  第二条  この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
        七  
耐火構造 壁、柱、床その他の建築物の部分の構造のうち、耐火性能(通常の火災が終了するまでの間当該火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するために当該建築物の部分に必要とされる性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合する鉄筋コンクリート造、れんが造その他の構造で、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。 」
 とあり、
 耐火構造において、@壁・A柱・B床・Cはり・D屋根・E階段などの建築物の主要構造部が求められる、一定の耐火の技術的な基準です。
 その詳細な技術的基準は、建築基準法施行令第107条
 「(耐火性能に関する技術的基準)
  第百七条  法第二条第七号 の政令で定める技術的基準は、次に掲げるものとする。
       一  次の表に掲げる建築物の部分にあつては、当該部分に通常の火災による火熱がそれぞれ次の表に掲げる時間加えられた場合に、構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであること。


        二  壁及び床にあつては、これらに通常の火災による火熱が一時間(非耐力壁である外壁の延焼のおそれのある部分以外の部分にあつては、三十分間)加えられた場合に、当該加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)の温度が当該面に接する可燃物が燃焼するおそれのある温度として国土交通大臣が定める温度(以下「可燃物燃焼温度」という。)以上に上昇しないものであること。
       三  外壁及び屋根にあつては、これらに屋内において発生する通常の火災による火熱が一時間(非耐力壁である外壁の延焼のおそれのある部分以外の部分及び屋根にあつては、三十分間)加えられた場合に、屋外に火炎を出す原因となるき裂その他の損傷を生じないものであること。」
 とあり、
 1号によれば、通常の火災による火熱が加えられた場合に、建築物の当該部分が構造耐力上支障のある変形、溶融、 破壊その他の損傷を生じないで耐えなければならない時間は、
屋根などでは、30分間以上、壁などでは、階数に応じて、1時間、2時間とあり、柱やはりでは、1時間、2時間、3時間とあるので、正しい。


2 高層建築物の柱、はりの要求耐火時間は、高層階ほど長いものとなっている。

X 誤っている。 下の階の柱、はりは、上の階より、耐えなければ意味がない。
  選択肢1で引用しました、建築基準法施行令第107条1号
 「(耐火性能に関する技術的基準)
  第百七条  法第二条第七号 の政令で定める技術的基準は、次に掲げるものとする。
       一  次の表に掲げる建築物の部分にあつては、当該部分に通常の火災による火熱がそれぞれ次の表に掲げる時間加えられた場合に、構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであること。(表は略)」
 とあり、
 
下の階ほど、要求耐火時間は長くなっていますから、誤りです。(表の表現が、「最上階から数える」に注意。)




3 壁及び床については、要求耐火時間以外に、加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)の上昇温度についても規定されている。

○ 正しい。
  選択肢1で引用しました、建築基準法施行令第107条2号
 「二  
壁及び床にあつては、これらに通常の火災による火熱が一時間(非耐力壁である外壁の延焼のおそれのある部分以外の部分にあつては、三十分間)加えられた場合に、当該加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)の温度が当該面に接する可燃物が燃焼するおそれのある温度として国土交通大臣が定める温度(以下「可燃物燃焼温度」という。)以上に上昇しないものであること。」
 とあり、正しい。なお、これは、遮熱性と呼ばれます。



4 外壁及び屋根については、要求耐火時間以外に、屋外に火炎を出す原因となるき裂その他の損傷を生じないものであることが規定されている。

○ 正しい。
  選択肢1で引用しました、建築基準法施行令第107条3号
 「三  
外壁及び屋根にあつては、これらに屋内において発生する通常の火災による火熱が一時間(非耐力壁である外壁の延焼のおそれのある部分以外の部分及び屋根にあつては、三十分間)加えられた場合に、屋外に火炎を出す原因となるき裂その他の損傷を生じないものであること。」
 とあり、正しい。なお、これは、遮炎性と呼ばれます。



答え:2  (ここは、かなり難問でした。 こんな個所からも、出題されるとは! ここらの詳細な解説は、私の 「要約 建築基準法」 の 第2条7号の解説にありますから、参考にしてください。)


平成30年〜平成24年 平成23年〜平成17年 平成16年〜平成13年

最終更新日:
2019年 4月17日:平成30年分を追加した。
2018年 3月17日:建築基準法第12条の改正を入れた。
2018年 3月15日:平成29年分を追加した。
2017年 不明: 平成28年分を追加している。
2016年 4月 6日:平成27年分を追加した。
2015年 7月 3日:平成26年分を追加した。
2014年 2月22日:平成25年分を追加した。
2013年 3月27日:平成24年分の追加。
ページが大きいので、3ページにした。

ページ 終わり


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