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平成13年 管理業務主任者 試験問題 及び 解説

ページ1(問1より問25まで)

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ご質問は、 「マンション管理士 香川事務所」へ。


*注: マンション標準管理規約(単棟型、団地型、複合用途型)は、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。
また、マンションの管理の適正化に関する指針も、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。

※ 出題当時以後の法令等の改正には、一部対応していません。

*全体の注意:区分所有法は、平成14年に改正があった。また、マンション標準管理規約は、平成16年に改正があった。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。マンション標準管理委託契約書は、平成15年に改正があった。また、平成22年5月にも改正があった。
  過去の問題を解くときには、最新の法令にあっているかどうか、注意してください。

第 1問

【問 1】 契約類型の説明に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 委任契約とは、一定の事務を処理することを委託する契約で、原則として報酬のある有償、双務契約であるが、特約があれば報酬のない無償、片務契約とすることもできる。

→X 誤。 管理業務主任者試験では、民法の契約の分類は、出題が多い。(参考;平成18年 管理業務主任者 試験 「問1」平成14年 管理業務主任者試験 「問1」 など)
      先ず、◎民法の契約を分類すると、以下のようになる。
 *双務契約...契約の各当事者が互いに対価的な意義を有する債務を負担する契約。
           有償契約に類似するが、有償契約よりもやや狭い概念。
            これには、売買・交換・賃貸借・雇用・請負・有償委任・有償寄託・組合・和解が入る。
 *片務契約...当事者の双方が相互に対価の意味を持つ債務を負担しない契約。
           無償契約は全て片務契約である。
           これには、贈与・消費貸借・使用貸借・無償委任・無償寄託が入る。

 *有償契約...契約の各当事者が互いに対価(代償)の意義を有する経済的支出をする契約
           これには、すべての双務契約(売買・請負・和解・組合など)・利息付消費貸借がはいる。
 *無償契約...有償契約ではない契約。
           贈与・使用貸借などが入る。

 *諾成契約...当事者の意思表示の合意だけで成立する契約。
           要物契約に対する語。
           典型契約として、贈与・売買・交換・雇用・請負・委任・組合などが入る。
 *要物契約...成立に当事者の合意のほかに物の引渡し等の給付が必要な契約。
           消費貸借・使用貸借・寄託の3種だけ。

 これをふまえて、民法第643条(委任) 「委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。 」とあり、同法第648条(受任者の報酬) 第1項「受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。」とある。
これらにより、委任契約は、原則として無償・片務契約であり、特約があれば報酬のある有償、双務契約とすることができる。したがって、本肢は誤り。

2 請負契約とは、一定の仕事を完成することを約し、相手方が仕事の結果に対して報酬を支払うことを約することによって成立する契約である。

→○ 正。 民法第632条「請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。 」とあり、
請負契約は、有償・双務契約である。したがって、本肢は正しい。なお、管理組合と管理会社の管理委託契約は、委任と請負の性格を持つ。

3 諾成契約とは、当事者の意思表示が合致するだけで成立する契約である。

→○ 正。 選択肢1でも述べたように、諾成契約とは、当事者の意思表示が合致するだけで成立する契約であり、契約成立のために物の引渡し等を必要としないものである。したがって、本肢は正しい。

4 片務契約とは、一方だけが義務を負い、相手方がこれに対応する義務を負わない契約である。

→○ 正。 選択肢1でも述べたように、片務契約とは、契約当事者の一方のみが義務(債務)を負い、他方当事者がこれに対応する義務(債務)を負わない契約である。したがって、本肢は正しい。

正解 1 (注:マンション管理士・管理業務主任者試験では、「委任」は区分所有法での「管理者」にも関係している。)

第 2問

【問 2】 債務不履行に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 債務不履行のうち、履行遅滞とは、債務者が債務の履行が可能であるにもかかわらず、履行期に履行しないことをいう。

→○ 正。 平成25年 マンション管理士試験 「問14」 。
 先ず、債務不履行には、以下の3種がある。
   1.履行遅滞... 履行可能なのに、履行期が過ぎても履行しない
   2.履行不能... 債権の成立後、債務者の責めに帰すべき事由で履行できない
   3.不完全履行...一応履行したが、それが不完全である
  そして、 履行遅滞とは
、履行することが可能であるのに、履行期を途過した場合をいう(民法(以下「法」という。)第415条前段参照)。債務不履行の一種である。したがって、本肢は正しい。なお、履行遅滞の要件として、(1)履行が可能であること、(2)履行期を途過したこと、(3)履行しないことが債務者の責めに帰すべきこと(債務者に故意・過失またはそれと同視できる事由があること)、(4)履行しないことが違法であること(たとえば、債務者が同時履行の抗弁権を有していない場合)である。

2 債務不履行のうち、不完全履行とは、債務者が債務の履行として給付をしたが、その給付が債務の本旨に反して不完全であることをいう。

→○ 正。 不完全履行とは、債務者が履行はしたものの、その履行が債務の本旨に反して不完全であったことをいう。この不完全履行も債務不履行の一種であり、したがって、本肢は正しい。なお、この不完全履行には、履行の方法が不完全な場合や、給付する際に必要な注意を怠る場合等がある。また、この不完全履行の要件は、(1)不完全な履行のあること、(2)債務者の責めにきすべき事由のあること、(3)不完全な履行のなされたことが違法であること、である。
 マンションの売買では、不完全な履行は「瑕疵担保責任」に関係してくる。

3 履行遅滞があった場合に、債権者は、債務者に対して損害賠償請求をすることはできるが、契約の解除をすることはできない。

→X 誤。 民法第415条「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。」によると、履行遅滞があった場合、債権者は債務者に対して損害賠償請求ができることになる。よって、本肢前段は正しい。のみならず、同法第541条(履行遅滞等による解除権)「当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。」とあり、
履行遅滞に基づき契約解除をすることができる。よって、本肢は誤っている。なお、債務不履行による解除の要件とは、(1)債務者に故意・過失があること、(2)履行しないことが違法であること、(3)相当な期間を定めて履行を催告すること、(4)催告期間内に履行がないこと、である。

4 履行不能があった場合に、債権者は、債務者に対して損害賠償請求をすることも、契約の解除をすることもできる。

→○ 正。 選択肢3で引用した民法第415条によると、履行不能があった場合、債権者は債務者に対して損害賠償請求ができることになる。また、同法第543条(履行不能による解除権)「履行の全部又は一部が不能となったときは、債権者は、契約の解除をすることができる。ただし、その債務の不履行が債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。」とあり、
債務者は、無催告で直ちに解除できることになる。したがって、本肢は正しい。なお、履行遅滞の場合と異なり、履行不能の場合に催告を必要としないのは、履行が不能になっている以上、催告をしても意味がないからである。

正解 3

第 3問

【問 3】 委任契約に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 受任者は、委任者の請求があっても、そのつど委任事務処理の状況を報告する必要はなく、委任終了後に報告すれば足りる。

→X 誤。 平成26年管理業務主任者試験 「問5」。
  民法(以下「法」という。)第645条(受任者による報告)「受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。 」とあり、
前段によると、受任者は、委任者の請求があるときはいつでも委任事務の処理の状況を報告しなければならない。また、同条後段によると、委任の終了の後は遅滞なくその結果を報告する義務があると定める。よって、委任者の請求があっても、そのつど委任事務処理の状況を報告する義務はないとする、本肢は誤りである。

2 委任事務を処理するについて費用を要するときは、委任者は、受任者の請求があれば、費用を前払いしなければならない。

→○ 正。 法第649条(受任者による費用の前払請求)「委任事務を処理するについて費用を要するときは、委任者は、受任者の請求により、その前払をしなければならない。 」とあり
受任者が委任事務を処理するにつき費用を要するとき、委任者は受人者の請求に基づきその費用の前払いをすることを要する。従って、本肢は正しく、問の正解肢となる。委任は、当事者間の信頼関係に基づくものであり、委任者のために事務を処理する受任者に対して特別の経済的負担を負わすべきでないという理由による。

3 委任契約は、相手方の不利な時期には解除することができない。

→X 誤。 法第651条(委任の解除) 第1項「委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。」とあり、
委任は各当事者がいつでも解除することができる。ただし、同法第2項「当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは、その当事者の一方は、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。」とあり、相手方の不利な時期に委任の解除をすると、損害賠償が発生することもあるので、注意のこと。

4 委任者又は受任者が、委任契約を解除した場合は、必ず相手方に生じた損害を賠償しなければならない。

→X 誤。 法第651条(委任の解除) 第2項「当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは、その当事者の一方は、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。」とあり、
当事者の一方が相手方にとって不利なときに解除した場合にのみ損害の賠償義務を負うことになる。また、相手方にとって不利なときであっても、やむを得ないときには損害を賠償しなくても解除をすることができるとする。したがって、委任者または受任者が、委任契約を解除した場合、かならず相手方に生じた損害を賠償しなければならない、とする本肢は誤りである。

正解 2

第 4問

【問 4】 管理業者(マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下「マンション管理適正化法」という。)第2条第8号に規定するマンション管理業者をいう。以下同じ。)が、管理委託契約に基づいて業務を行う際の善管注意義務(「善良なる管理者としての注意義務」をいう。以下本問において同じ。)に関する次の記述のうち、民法の委任の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 管理業者は、管理委託契約に特約をした場合にのみ善管注意義務を負う。

→X 誤。 平成23年 管理業務主任者試験 「問2」 、 平成16年 管理業務主任者試験 「問2」 。
   管理組合と管理会社との間の管理委託契約については民法上の委任・請負契約と解されている。民法(以下「法」という。)第644条(受任者の注意義務)「受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。」
によると、委任契約においては、特約がなくとも受任者は善管注意義務を負うことになる。したがって、管理業者は、管理委託契約に特約をした場合にのみ善管注意義務を負うとする本肢は誤りであり、問の正解肢となる。

2 管理業者の善管注意義務とは、管理業者として一般的、平均的に要求される程度の注意義務である。

→○ 正。 選択肢1で述べた、法第644条の委任契約で、受任者に要求される善管注意義務とは、その者が従事する職業、その社会的地位・経済的地位などに応じて一般的に要求される注意であると解されている。管理業者が負う善管注意義務は、管理業者として一般的・平均的に要求される程度の注意義務であることとなる。したがって、本肢は正しい。 注:善管注意義務より低い注意義務として「自己のためにするのと同一の注意義務」がある。(同法第659条参照)

3 管理業者は、受託業務に対する報酬の有無にかかわらず善管注意義務を負う。

→○ 正。 選択肢1でも述べたように、法第644条によると、受任者は善管注意義務を負うとするが、この義務を負うにつき報酬が支払われることを要件としていない。この点、寄託契約において無償の受託者が自己と同一の注意を負えば済むとされるのと異なる(法第659条参照)。受任者の立場にある管理業者も報酬の有無にかかわらず善管注意義務を負うことになる。よって、本肢は正しい。

4 管理業者は、臨時に雇用した者がその職務について善管注意義務に違反した場合には債務不履行責任を負う。

→○ 正。 受任者の事務処理義務の履行を受任者の被用者(臨時に雇用した者も同じ)に行わせた場合、その被用者の故意・過失は受任者自身の故意・過失とされ、受任者自身が債務不履行責任を負うことになる。したがって、本肢は正しい。

正解 1

第 5問

【問 5】 管理業者の不法行為責任に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 管理業者が、管理組合(マンション管理適正化法第2条第3号に規定する管理組合をいう。以下同じ。)と管理委託契約を締結している場合は、債務不履行責任を負うことはあっても、不法行為責任を負うことはない。

→X 誤。債務不履行責任(民法(以下「法」という。)第415条)と不法行為責任(法第709条)は、それぞれ独立した別個の責任であると考えるべきである。したがって管理業者と管理組合との間に契約関係が生じていて債務不履行責任が発生する場合でも、不法行為責任は独立して発生する。よって、本肢は誤りである。確かに、債務不履行責任は、債権者側が損害を受けたことを立証すれば債務者の故意・過失を証明しなくてもよい。これに対し、不法行為責任を追及しようとする場合は被害者側が加害者の故意・過失の存在を立証する必要がある。このことからすれば、債務不履行責任が成立する場合、不法行為責任を追及させる意義はないようにも思える。しかし、債務不履行責任が10年の時効にかかるのに対して、不法行為責任は、20年の時効期間であるという、被害者側にとってのメリットもある。したがって、債務不履行責任に加え、不法行為責任を独立して発生させるメリットがあるのである。

2 管理業者は、自らが雇用している管理員が、その業務の執行につき第三者に対して損害を加えた場合、原則として使用者責任を負う。

→○ 正。 法第715条(使用者等の責任)「ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。 」
によると、被用者である管理員が業務の執行について第三者に損害を加えたときには、使用者である管理業者は被用者の選任、監督につき相当の注意をなしたことを立証できない限り、不法行為責任を負う。したがって、管理業者が自ら雇用している管理員が、その業務の執行につき第三者に損害を加えた場合、原則として使用者責任を負うことになる。本肢は正しい。

3 管理業者は、自らが雇用している管理員が、その業務の執行につき第三者に対して損害を加えた場合、当該個人に不法行為が成立しなくても、使用者責任を負わなければならない。

→X 誤。 選択肢2で述べたように、法第715条の使用者責任が成立するためには、行為者である被用者自身に不法行為が成立していることが必要である。したがって、管理員に不法行為責任が成立していなくとも、使用者責任を負わなければならないとする本肢は誤りである。

4 管理業者は、自らが雇用している管理員が、その職務と全く無関係に行った私生活上の行為により第三者に損害が発生したときは、使用者責任を負わなければならない。

→X 誤。 選択肢2で述べたように、法第715条の使用者責任が成立するためには、被用者が「その事業の執行につき」第三者に損害を加えることが必要である。とすると職務と全く無関係に行った私生活上の行為はこの要件を満たさず、使用者責任は成立しない。本肢は誤りである。

正解 2

第 6問

【問 6】 中高層共同住宅標準管理委託契約書(以下「標準管理委託契約書」という。)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。


(注:標準管理委託契約書は改正があった。殆ど、主旨は同じだけど、ここは、旧のまま。さらに、平成22年5月1日施行で改正があったので注意のこと。)


1 標準管理委託契約書では、管理業者は、管理組合の指示に基づいて行った業務及び管理業者の申出にかかわらず管理組合が承認しなかった事項に関しては、責任を負わないものとしている。

→○ 最も適切。 中高層共同住宅標準管理委託契約書(以下「契約書」という。)第5条第2項では、管理業者は、管理組合の指示に基づいて行った業務及び管理業者の申出にかかわらず管理組合が承認しなかった事項に関しては、責任を負わないものとされことになる。本肢はこのとおりで正しく、問の正解肢となる。

2 マンション管理適正化法は、管理業者が管理組合と管理委託契約を締結するに当たっては、標準管理委託契約書を使用することを義務づけている。

→X 不適切。 契約書は、管理業者等が管理委託契約を締結する際の指針にすぎず、使用が義務づけられているものではない。本肢は不適切である。

3 標準管理委託契約書では、委託業務のなかに防犯等の警備業務が含まれている。

→X 不適切。 契約書第3条は、管理組合が管理会社に委託する業務は、(1)事務管理業務(出納業務、会計業務、管理運営業務)、(2)管理員業務(受付等の業務、点検業務、立会業務など)、(3)清掃業務、(4)設備管理業務の4種類とする。警備業務は含まれていない。したがって、本肢は不適切である。警備業務が含まれていないのは、平成21年管理業務主任者試験 「問7」 にもある。(何故、警備業務を含むことができないのだろうか? 警備は警察庁の管轄で、マンション管理は国土交通省の管轄のせい? 官庁の縄張りが違うから?)

4 標準管理委託契約書では、委託業務のなかに清掃業務は含まれていない。

→X 不適切。 選択肢3で述べたように、契約書第3条によると管理組合が管理会社に委託する業務に清掃業務が含まれている。したがって、本肢は不適切である。

正解 1

第 7問

【問 7】 標準管理委託契約書の定めに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。


(注:標準管理委託契約書は改正があった。殆ど、主旨は同じだけど、ここは、旧のまま。さらに、平成22年5月1日施行で改正があったので注意のこと。)


1 管理業者は、委託業務を行うマンション(マンション管理適正化法第2条第1号に規定するものをいう。以下同じ。)について滅失、き損、瑕疵等の事実を知った場合においては、速やかに、その状況を管理組合に通知しなければならないが、管理組合は、当該事実を知った場合においては、管理業者にその状況を速やかに通知する必要はない。

→X 適切でない。 中高層共同住宅標準管理委託契約書(以下「契約書」という。)第13条第1項は、「甲及び乙は、本マンションについて滅失、き損、瑕疵等の事実を知った場合においては、速やかに、その状況を相手方に通知しなければならない。」と定める。したがって、管理会社だけではなく、管理組合も、マンションについて滅失、き損、瑕疵等の事実を知った場合においては、速やかに、その状況を管理会社に通知しなければならない。したがって本肢は誤りである。

2 管理業者は、委託業務を行うために必要がある場合であっても、管理組合の組合員の専有部分又は専用使用部分に立ち入ることはできない。

→X 適切でない。 契約書第14条第1項は、「乙は、委託業務を行うため必要があるときは、甲の組合員の専有部分または専用使用部分に立ち入ることができる。」と定める。したがって、管理会社は、委託業務を行うため必要があるときは、組合員の専有部分または専用使用部分に立ち入ることができる。したがって、本肢は誤りである。

3 管理業者は、出納業務を行う場合において、管理組合の組合員に対し未収納金の督促を行っても収納することができないときは、その責めを免れることができない。

→X 適切でない。 契約書第10条1項は、「乙は、第3条第1号の業務のうち、出納業務を行う場合において、甲の組合員に対し未収納金の督促を行っても、なお収納することができないときは、乙はその責めを免れるものとして、その後の収納の請求は甲が行うものとする。」と定める。したがって、管理会社は、出納業務を行う場合、組合員に対し未収納金の督促を行っても、収納することができないときは、その責めを免れ、その後の収納の請求は管理組合が行う。本肢は誤りである。

4 管理業者は、管理組合の事業年度開始前に、管理組合に対し、委託業務を行うために必要な費用の見積りを提示し、その承認を受けなければならない。

→○ 最も適切。 契約書第7条第1項は、「乙は、甲の事業年度開始前に、甲に対し、委託業務を行うために必要な費用の見積りを提示し、その承認を受けなければならない。」と定める。したがって、管理会社は、管理組合の事業年度開始前に、管理組合に対し、委託業務を行うために必要な費用の見積りを提示し、その承認を受けなければならないことになる。したがって本肢は適切であり、問の正解肢となる。 (注:この規約は無くなっている。)

正解 4

第 8問

【問 8】 標準管理委託契約書第12条第1項は、管理業者が、委託業務を行うために必要なときは、管理組合の組合員及びその所有する専有部分の占有者に対し、管理組合に代わって、一定の行為の中止を求めることができる旨を定めているが、次の行為のうち、同条項の各号に定められていないものはどれか。


(注:標準管理委託契約書は改正があった。殆ど、主旨は同じだけど、ここは、旧のまま。さらに、平成22年5月1日施行で改正があったので注意のこと。)


1 建物の保存に有害な行為

→○ 定められている。 中高層共同住宅標準管理委託契約書(以下「契約書」という。)第12条第1項は、「乙は、委託業務を行うため必要なときは、甲の組合員及びその所有する専有部分の占有者に対し、甲に代わって、次の各号に掲げる行為の中止を求めることができる。」と定め、その第2号において、「建物の保存に有害な行為」を挙げる。よって、建物の保存に有害な行為をする者に対しては、管理業者が管理組合に代わって、当該行為の中止を求めることができることになる。したがって本肢は定められている。

2 委託業務の適正な遂行に著しく有害な行為

→○ 定められている。 契約書第12条第1項は、「乙は、委託業務を行うため必要なときは、甲の組合員及びその所有する専有部分の占有者に対し、甲に代わって、次の各号に掲げる行為の中止を求めることができる。」と定め、その第4号において、「委託業務の適正な遂行に著しく有害な行為」を挙げる。よって、委託業務の適正な遂行に著しく有害な行為についても、管理業者が管理組合に代わって、当該行為の中止を求めることができることになる。したがって本肢は定められている。

3 組合員の共同の利益に反する行為

→○ 定められている。 契約書第12条第1項は、「乙は、委託業務を行うため必要なときは、甲の組合員及びその所有する専有部分の占有者に対し、甲に代わって、次の各号に掲げる行為の中止を求めることができる。」と定め、その第5号において、「組合員の共同の利益に反する行為」を挙げる。よって、組合員の共同の利益に反する行為についても、管理業者が管理組合に代わって、当該行為の中止を求めることができることになる。したがって本肢は定められている。

4 管理組合の承諾を得ないで専有部分を賃貸する行為

→X  定められていない。 専有部分は、区分所有者が単独で所有するものであり、本来、自由に賃貸できるものである。仮に、賃貸する場合には、管理組合の承諾を要する旨の管理規約が定められていたとしても、法律上の効力はないとされている。したがって、管理組合の承諾を得ないで専有部分を賃貸する行為について、その中止を求めることはできない。したがって本肢は定められておらず、問の正解肢となる。

正解 4

第 9問

【問 9】 マンションの管理費の滞納に関する次の記述のうち、民法及び建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。)等の規定によれば、正しいものはどれか。

1 管理組合は、中古マンションの買主に対し、前区分所有者の滞納管理費を請求することはできるが、その遅延損害金を請求することはできない。

→X  誤。 建物の区分所有等に関する法律(以下「法」という。)第8条は、「前条第1項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。」と定め、第7条第1項における債権には、管理費や修繕積立金が入る。したがって、区分所有者が管理費等を滞納した場合は、その特定承継人である買主もその債務を負う。そして、この滞納管理費については、管理費本体のみならず、遅延損害金(遅延利息)も含まれる。したがって、本肢は誤りである。

2 管理組合は、相続人に対し、被相続人である前区分所有者の滞納管理費とその遅延損害金を請求することができる。

→○ 正。 民法第896条本文によると、相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。滞納管理費とその遅延損害金も承継することになる。従って管理組合は、被相続人の滞納管理費と遅延損害金を相続人に請求することができる。よって、本肢は正しく、問の正解肢となる。

3 管理費の遅延損害金については、利息制限法が適用される。

→X  誤。 利息制限法からの出題は、平成20年 マンション管理士 試験 「問12」 にもある。
    利息制限法第1条第1項ならびに、第4条第1項によると、利息制限法は、金銭を目的とする消費貸借上の利息の契約及び同契約の債務の不履行による賠償額の予定について適用されることになる。管理費の滞納は、金銭を目的とする消費貸借契約ではないので同法は適用されない。したがって、本肢は誤りである。

4 管理組合は、管理規約に管理費の遅延損害金の定めがない場合は、遅延損害金を請求することができない。

→X  誤。 民法第415条によると債務者がその債務の本旨に従った履行をしなかったときは、債権者はその損害の賠償を請求することができる。管理組合は、規約に定めがなくとも、遅延損害金を請求することができる。その場合の利率は、管理規約にその旨の定めがあるときは、その利率によることになり、管理規約に定めがないときは、法定利率(民法第404条)により、年5分となる。したがって、管理規約に管理費の遅延損害金の定めがないときは、遅延損害金を請求することができない、とする本肢は誤りである。

正解 2

第10問

【問 10】 民事訴訟法の「少額訴訟に関する特則」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。(注:改正に対応すみ。)

1 原告である管理組合が、管理費の滞納額の一括払いを望んでも、裁判所は判決の言渡しの日から3年を超えない範囲内で、滞納額の分割払いの判決を言い渡すことができる。

→○ 正。 「少額訴訟に関する特則は」民事訴訟法(以下「法」という。)第368条以下にあるので、眼を通しておくこと。
 法第375条(判決による支払の猶予) 第1項「裁判所は、請求を認容する判決をする場合において、被告の資力その他の事情を考慮して特に必要があると認めるときは、判決の言渡しの日から三年を超えない範囲内において、認容する請求に係る金銭の支払について、その時期の定め若しくは分割払の定めをし、又はこれと併せて、その時期の定めに従い支払をしたとき、若しくはその分割払の定めによる期限の利益を次項の規定による定めにより失うことなく支払をしたときは訴え提起後の遅延損害金の支払義務を免除する旨の定めをすることができる。」とあり、
滞納額の分割払いを判決ができるとする本肢は正しく、問の正解肢となる。

2 少額訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述は、訴えの提起の際にする必要はない。

→X  誤。 法第368条第2項は、「少額訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述は、訴えの提起の際にしなければならない。」と定める。したがって、本肢は誤りである。

3 管理費の滞納額を請求する管理組合は、管理費を50万円滞納している者に対し、その全額について少額訴訟の訴えを提起することができる。

→X  誤。 法第368条第1項によると、少額訴訟は、訴訟の目的の価額が30万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて認められる。したがって、50万円の滞納管理費請求の訴訟は、少額訴訟ではできないことになるので本肢は誤りである。 (注:ここは、改正があり、現在60万円以下が限度になり、○になる。)

4 少額訴訟においては、原則として1回の期日だけで審理を終了し、その後1月後に判決の言渡しをするものとされている。

→X  誤。 法第370条第1項は、「少額訴訟においては,特別の事情がある場合を除き,最初にすべき口頭弁論の期日において,審理を完了しなければならない。」と定める。よって、少額訴訟においては、原則として1回の期日により審理を終了し、という本肢前段は正しい。しかし、法第374条第1項は、「判決の言渡しは,相当でないと認める場合を除き,口頭弁論の終結後直ちにする。」とする。したがって、審理終了後1ヶ月後に判決の言い渡しをすることができるとする本肢後段は誤りである。結局、本肢は誤りである。

正解 1

第11問

【問 11】 管理組合の税務に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1 法人税法上、法人格のない管理組合は、公益法人と同様の取扱いがなされている。

→○ 適切。 建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。)では、第3条で、マンションの管理組合は、単に「区分所有者の団体」と規定されているだけで、法人格がない。法人格がない団体でも収益事業を営むと税金はとられることがあるわけで、その場合には、「人格のない社団等」として扱われ、法人税法2条8号
 「(定義)
  第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
    八  人格のない社団等 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものをいう。 」とあり、
 法人税法第3条
 「(人格のない社団等に対するこの法律の適用)
  第三条  人格のない社団等は、法人とみなして、この法律(別表第二を除く。)の規定を適用する。 」とあり、
  管理組合法人と同様の取り扱いがされる。そこで、管理組合法人の法人税の扱いは、区分所有法第47条第13項(旧10項:改正)
 「13  管理組合法人は、法人税法 (昭和四十年法律第三十四号)その他法人税に関する法令の規定の適用については、同法第二条第六号 に規定する公益法人等とみなす。この場合において、同法第三十七条 の規定を適用する場合には同条第四項 中「公益法人等(」とあるのは「公益法人等(管理組合法人並びに」と、同法第六十六条 の規定を適用する場合には同条第一項 及び第二項 中「普通法人」とあるのは「普通法人(管理組合法人を含む。)」と、同条第三項 中「公益法人等(」とあるのは「公益法人等(管理組合法人及び」とする。 」と定める。
 したがって本肢は適切で問の正解肢となる。(2011年 1月31日:追記)

2 法人税法上、管理組合法人(区分所有法第47条第1項に規定する管理組合法人)は、株式会社と同様の取扱いがなされている。

→X  不適切。 選択肢1で述べたように、区分所有法第47条第13項(旧10項:改正)本文により、管理組合法人は、法人格のない管理組合と同様に、公益法人と同様の取扱いがなされる。したがって、法人税法上、管理組合法人は、株式会社と同様の取扱いがなされている、とする本肢は不適切である。

3 管理組合の収入となる管理費及び特別修繕費を管理組合が徴収する場合、当該収入は消費税の課税対象となる。

→X  不適切。 管理費の収入となる管理費及び特別修繕費を管理組合が徴収する場合、管理費および特別修繕費は不課税収入(課税対象外)である。したがって、当該収入は消費税の課税対象となる、とする本肢は不適切である。参照:取引等に係る税務上の取扱い等に関する照会(同業者団体等用)http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/bunshokaito/hojin/120117/index.htm

4 管理組合の課税期間に係る基準期間における課税売上高が5,OOO万円の場合は、消費税の納税義務は免除される。

→X  不適切。 消費税法第9条1項によると、管理組合の課税期間に係る基準期間における課税売上高が1,000万円以下の場合は、消費税の納税義務は免除される。したがって、課税売上高が5,000万円の場合は、消費税の納税義務は免除される、とする本肢は不適切である。(訂正:1,000万円に。2008年10月7日)

正解 1 

第12問

【問 12】 管理組合の会計に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1 管理組合の会計は、予算と決算を対比し差異を分析することによって、予算執行の評価をすることに重きをおいている。

→○ 適切。 管理組合会計は、決められた予算内でいかに効率よくその目的を達成するかを追求するものであり、予算が重要な役割をはたす。そして、予算と決算を対比し、差異を分析することによって、予算執行の評価をする等、管理費の合理化を図ることが可能となる。したがって、本肢は適切である。

2 企業会計原則の「一般原則」は、その多くが管理組合の会計においても適用されている。

→○ 適切。 管理組合会計の会計処理について特別な定めは存在しない。しかし、企業会計原則の「一般原則」は会計に関する基本的な事項であるため、その多くが管理組合会計においても適用されており、これをベースとして、公益法人会計の原則が取り入れられている。したがって、本肢は適切である。

3 管理組合の会計においては、目的に応じた会計処理を行うべきであり、管理規約等において管理組合の会計処理方針を明確に定めておくことが望ましい。

→○ 適切。 管理組合では特定の目的のために特別会計を設け、一般会計と区分経理しなければならない。同時に管理規約等において、費目ごとに支出項目を明確に規定し、他費目への流用を原則として禁止することが重要である。したがって、本肢は適切である。(注:現実には、管理費会計と修繕積立金会計は分けて処理されている。)

4 管理組合の会計も、営利企業の会計と同様に損益を計算することを目的としている。

→X  最も不適切。 管理組合の会計は、営利を目的とした企業会計ではなく、公益法人や官庁等のような非営利会計に含まれる。この非営利会計は管理目的を達成するための会計という性格を持つ。したがって、損益を計算することを目的としない。したがって、本肢は最も不適切であり、問の正解肢となる。

正解 4

第13問

【問 13】 管理組合の活動による次の取引に関し、取引が発生したときの正しい勘定科目の仕訳はどれか。ただし、管理組合の会計年度は、4月1日から翌年の3月31日とし、期中の取引において、企業会計原則に基づき厳格に発生主義の原則によって経理しているものとする。

(取引)

平成13年3月に、平成13年4月分の管理費等のうち、管理費300万円、特別修繕費30万円を徴収し、普通預金に預け入れた。

★発生主義ということ

  全ての費用・収益は、その支出・収入に基づいて計上し、その発生した期間
     *収入については、請求権が生じた月、
     *支出については、支出が労役などの提供又は工事などである場合は、その労役などの提供又は工事等が完了した月、物品の購入なら、その物品が納入された月
    に正しく割り当てるように処理すること。

 これにより、管理費や修繕積立金は該当月に徴収することになっているなら、未収入金(滞納)があっても、全額計上されている。

1 正。 普通預金への預け入れは資産の増加、翌会計年度の収入である平成13年4月分の管理費等を当会計年度に徴収した場合は、管理費や特別修繕費の個々の明細はなく全体の前受金として負債の増加となる。資産の増加は借方に、負債の増加は貸方に記載するので、本肢は正しい。したがって、本肢は正しく、問の正解肢となる。 参考:翌4月には、この前受金が、個々の科目に分けられて処理される。

2 誤。 前受金は負債であるから、これが発生・増加する場合は、貸方に計上されることになる。また、普通預金への預入は資産の増加であり借方に記入される。本肢は、借方と貸方の記入が逆であり、誤りである。

3 誤。 収入と対応する費目が同時期の場合はこのように管理費収入と特別修繕費収入を分けて記入することになるが、前受金の場合はこのように費目を分ける必要はない。したがって、本肢は誤りである。選択肢1も参照のこと。

4 誤。 選択肢2で述べたように、負債の発生・増加は、貸方に記入され、資産の増加は、借方に記入される。本肢は、借方と貸方が逆であり、また、前受金の場合であるから、管理費収入と特別修繕費収入とに分ける必要はない。したがって、本肢は誤りである。

正解 1

第14問

【問 14】 管理組合の活動による次の取引に関し、取引が発生したときの正しい勘定科目の仕訳はどれか。ただし、期中の取引において、企業会計原則に基づき厳格に発生主義の原則によって経理しているものとする。

(取引)

マンションの大規模修繕を行うために、金融機関から3,000万円を借り入れ、普通預金に預け入れた。

★発生主義ということ

  全ての費用・収益は、その支出・収入に基づいて計上し、その発生した期間
     *収入については、請求権が生じた月、
     *支出については、支出が労役などの提供又は工事などである場合は、その労役などの提供又は工事等が完了した月、物品の購入なら、その物品が納入された月
    に正しく割り当てるように処理すること。

 これにより、管理費や修繕積立金は該当月に徴収することになっているなら、未収入金(滞納)があっても、全額計上されている。

1 誤。 簿記のルール上仕訳は、その時点の最後の結果を計上するものである。修繕積立金は現時点で預金されているので、普通預金として計上されることになる。したがって、修繕積立金として計上している本肢は誤りである。

2  誤。 金融機関からの借入は、負債の増加として貸方に記入され、普通預金への預入は、資産として借方に記入される。したがって、本肢は仕訳が逆であり、誤りである。

3  誤。 選択肢1で述べたように、簿記のルール上仕訳は、その時点の最後の結果を計上するものである。修繕積立金は現時点で預金されているので、普通預金として計上される。また、金融機関からの借入は、負債の増加として貸方に記入され、普通預金への預入は、資産として借方に記入される。したがって、本肢は仕訳が逆である。本肢は、二重の意味で誤りである。

4 正。 肢1で述べたように、簿記のルール上仕訳は、その時点の最後の結果を計上するものである。修繕積立金は現時点で預金されているので、普通預金として計上されることになる。普通預金への預け入れは資産の増加となり、金融機関からの借入れは借入金として負債の増加となる。資産の増加は借方に、負債の増加は貸方に記入されることになる。したがって、本肢は正しく、問の正解肢となる。

正解 4

第15問

【問 15】 管理組合の活動による次の取引に関し、取引が発生したときの正しい勘定科目の仕訳はどれか。ただし、管理組合の会計年度は、4月1日から翌年の3月31日とし、期中の取引において、企業会計原則に基づき厳格に発生主義の原則によって経理しているものとする。

(取引)

平成13年4月に、平成13年3月分の管理費の未収入金5万円を回収し、普通預金に預け入れた。


★発生主義ということ

  全ての費用・収益は、その支出・収入に基づいて計上し、その発生した期間
     *収入については、請求権が生じた月、
     *支出については、支出が労役などの提供又は工事などである場合は、その労役などの提供又は工事等が完了した月、物品の購入なら、その物品が納入された月
    に正しく割り当てるように処理すること。

 これにより、管理費や修繕積立金は該当月に徴収することになっているなら、未収入金(滞納)があっても、全額計上されている。

1 誤。 普通預金は、資産である。本肢では、これが発生・増加している場合なので、普通預金が借方へ計上されている点は正しい。一方、未収入金は資産であるが、これを回収することは、未収入金という、過去の債権の実現(現金化)である。したがって、未収金という財産が現金化によって減少していることになるので、未収金という費目で貸方へ計上されることとなる。貸方に管理費収入という費目で計上している、本肢は誤りである。

2  誤。 選択肢1で述べたように、未収金という財産が現金化によって減少しているので、未収金という費目で貸方へ計上されることとなる。貸方に管理費収入という費目で計上している点で、本肢は誤りである。また、普通預金は、資産の増加であり、借方に記入され、資産の減少は貸方に記入される。本肢は仕訳が逆であり、この点でも誤り。したがって、本肢は誤りである。

3 正。 選択肢1で述べたように、普通預金は、資産である。本肢では、これが発生・増加している場合なので、普通預金が借方へ計上されている点は正しい。一方、未収入金は資産であるが、これを回収することは、未収入金という、過去の債権の実現(現金化)である。したがって、未収金という財産が現金化によって減少していることになるので、未収金という費目で貸方へ計上されることとなる。すなわち、本肢は未収入金の減少(資産)と普通預金の入れ替わりによる仕訳計上である。したがって、本肢は正しく、問の正解肢となる。

4  誤。 本肢は、普通預金という資産の増加が貸方に記入され、他方、未収入金の減少という資産の減少が借方に記入されている逆の仕訳であり、誤りである。

正解 3

第16問   

【問 16】 建築基準法第2条の用語の定義に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。


(注:建築基準法も改正があったが、この基本部分は改正に影響されていない。)


1 特殊建築物には、学校、体育館、病院、劇場、集会場は含まれるが、共同住宅は含まれない。

→X  誤。 建築基準法(以下「法」という。)第2条第2号は、「特殊建築物」の定義を定める。それによると、「学校(専修学校及び各種学校を含む。以下同様とする。)、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、市場、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、旅館、共同住宅、寄宿舎、下宿、工場、倉庫、自動車車庫、危険物の貯蔵場、と畜場、火葬場、汚物処理場その他これらに類する用途に供する建築物をいう。」
したがって、共同住宅も含まれ、本肢は誤りで、問の正解肢となる。なお、特殊建築物とは、不特定多数の人が利用する建築物などをいい、一般の建築物と区別して、防耐火、避難及び消火関係、内装制限、敷地と道路の関係などにつき規制が強化されている。

2 建築設備とは、建築物に設ける電気、ガス、給水、排水、換気、暖房、冷房、消火、排煙若しくは汚物処理の設備又は煙突、昇降機若しくは避雷針をいう。

→○ 正。 法第2条3号は、「建築設備」の定義を定める。それによると「建築設備」とは、建築物に設ける電気、ガス、給水、排水、換気、暖房、冷房、消火、排煙若しくは汚物処理の設備又は煙突、昇降機若しくは避雷針をいう。したがって、本肢は正しい。

3 居室とは、居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室をいう。

→○ 正。 法第2条4号は、「居室」の定義を定める。それによると、「居室」とは、居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室をいう。したがって本肢は正しい。なお、「玄関」「便所」「浴室」「脱衣室」「洗面所」「押入れ」「納戸」「廊下」は居室ではない。 また、建築基準法では、居住の目的のための居室については、採光に関する基準(建築基準法第28条第1項)と換気に関する基準(建築基準法第28条第2項)をクリアーすることを必要としている。 ただし居室として使用する地下室については、採光の基準が適用されず、その代わりに衛生上必要な防湿の措置等を行なうことが必要とされている(建築基準法第29条)

4 建築とは、建築物を新築し、増築し、改築し、又は移転することをいう。

→○ 正。 法第2条13号は、「建築」の定義を定める。それによると、「建築」とは、建築物を新築し、増築し、改築し、または移転することをいう。したがって本肢は正しい。

正解 1

第17問

【問 17】 建築物の敷地、構造及び建築設備の維持保全に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれぱ、正しいものはどれか。


(注:建築基準法も改正があったが、この基本部分は改正に影響されていない。)


1 建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するよう努めなければならないのは、その建築物の所有者又は管理者で占有者は含まれない。

→X  誤。 建築基準法(以下「法」という。)第8条第1項は、「建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない。」と定める。よって、常時適法な状態に維持する義務を負う者には、占有者も含まれる。したがって本肢は誤り。

2 必要に応じ建築基準法第12条第1項に規定する建築物(以下本問において「建築物」という。)の維持保全に関する準則又は計画を作成しなければならないのは、建築物の所有者で管理者は含まれない。

→X  誤。 法第8条第2項前段は、「第12条第1項に規定する建築物の所有者又は管理者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するため、必要に応じ、その建築物の維持保全に関する準則又は計画を作成し、その他適切な措置を講じなければならない。」と定める。建築物の維持保全に関する準則又は計画を作成しなければならない者に、建築物の管理者も含まれる。したがって本肢は誤り。

3 建築物の維持保全に関する準則又は計画の作成に関し必要な指針を定めることができるのは、都道府県知事である。

→X  誤。 法第8条第2項後段は、「この場合において、国土交通大臣は、当該準則又は計画の作成に関し必要な指針を定めることができる。」と定める。したがって、国土交通大臣は、法第12条第1項に規定する建築物の維持保全に関する準則または計画の作成に関し必要な指針を定めることができる。都道府県知事が定めるのではない。したがって本肢は誤り。

4 複数の建築物が一団地を形成している場合には、建築物の維持保全に関する準則又は計画は当該一団地について作成することができる。

→○ 正。 昭和60年3月19日建設省告示第606号によると、法第12条第1項に規定する建築物の維持保全に関する準則または計画は、複数の建築物が1団地を形成している場合は、当該1団地について作成することができるとされる。したがって本肢は正しく、問の正解肢となる。

  参考:さらに勉強の好きな人へ。(昭和60年3月19日建設省告示第606号 )
建築基準法第12条第1項に規定する建築物の維持保全に関する準則又は計画の作成に関し必要な指針
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建築基準法(昭和25年法律第201号)第8条第2項の規定に基づき、同法第12条第1項に規定する建築物の維持保全に関する準則又は計画の作成に関し必要な指針を次のように定め、公布の日から施行する。
第1 総則

1 建築基準法第12条第1項に規定する建築物(以下単に「建築物」という。)の維持保全に関する準則(以下「準則」という。)又は建築物の維持保全に関する計画(以下「計画」という。)は、建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するため、この指針に従つて作成するものとする。

2 準則は、建築物について計画を作成する権限を有する者が複数ある場合において、計画相互の整合性を確保する必要があると認められるときに、それらの者の合意により当該建築物について作成するものとする。ただし、複数の建築物が一団地を形成している場合は、当該一団地について作成することができる。

3 計画は、建築物の維持保全を行う上で採るべき措置を定める必要があると認められる場合において、当該建築物の所有者又は管理者が当該建築物又はその部分について作成するものとする。ただし、複数の建築物が一団地を形成している場合は、当該一団地について作成することができる。

  (以下、略)

正解 4 

第18問

【問 18】 建築基準法第12条第1項及び第2項に規定する建築物及び建築設備についての定期調査・検査に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。


(注:建築基準法も改正があったが、この基本部分は改正に影響されていない。)

また、建築基準法第12条は、平成28年6月施行で、改正があった。ここは、未対応。


1 定期調査・検査を行うことができるのは、一級建築士若しくは二級建築士又は国土交通大臣が定める資格を有する者である。

→○ 正。 建築基準法(以下「法」という。)第12条第1項と同条第2項(新->3項)(下記参照)によると、建築基準法第12条第1項及び第2項に規定する建築物及び建築設備についての定期調査・検査を行うことができるのは、一級建築士若しくは二級建築士又は国土交通大臣が定める資格を有する者である、ことになる。本肢は、このとおりであり、正しい。
 建築基準法(報告、検査等)
第十二条1項 第六条第一項第一号に掲げる建築物その他政令で定める建築物(国、都道府県及び建築主事を置く市町村の建築物を除く。)で特定行政庁が指定するものの所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者。第三項において同じ。)は、当該建築物の敷地、構造及び建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は国土交通大臣が定める資格を有する者にその状況の調査(当該建築物の敷地及び構造についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含み、当該建築物の建築設備についての第三項の検査を除く。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。
  3項  昇降機及び第六条第一項第一号に掲げる建築物その他第一項の政令で定める建築物の昇降機以外の建築設備(国、都道府県及び建築主事を置く市町村の建築物に設けるものを除く。)で特定行政庁が指定するものの所有者は、当該建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は国土交通大臣が定める資格を有する者に検査(当該建築設備についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含む。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。

2 昇降機を除く建築設備については、定期検査を行う必要はない。

→X  誤。 選択肢1でも引用したように、法第12条2項(新->3項)によると昇降機以外の建築設備についても定期検査を行う必要がある。したがって本肢は誤りで、問の正解肢となる。

3 建築物の敷地及び構造については、定期調査を行う必要がある。

→○ 正。 選択肢1でも引用したように、法第12条第1項によると、建築物の敷地および構造につき定期調査を行う必要があることになる。本肢もこのとおりであり、正しい。

4 昇降機の定期検査は、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。

→○ 正。 選択肢1でも引用したように、法第12条第2項(新->3項)によると、昇降機の定期調査・定期検査の結果につき特定行政庁に報告しなければならないことになる。本肢もこのとおりであり、正しい。

正解 2

第19問

【問 19】 防火管理者に関する次の記述のうち、消防法の規定によれぱ、正しいものはどれか。

1 共同住宅の居住者が30人の場合は、防火管理者を選任する必要がある。

→X  誤。 ここは、よく出題される。参考:平成20年 マンション管理士 試験 「問24」 など。
   共同住宅は非特定防火対象物である。(消防法施行令別表第1・(5)項、ロ)。同施行令1条の2第3項によると、非特定防火対象物においては、収用人員が50人未満ならば防火管理者を選任する必要はないことになる。したがって本肢は誤り。

2 防火管理者の業務には、消防用設備等の点検及び整備は含まれるが、火気の使用又は取扱いに関する監督は含まれない。

→X  誤。 消防法(以下「法」という。)第8条第1項によると、「防火管理者を定め、当該防火対象物について消防計画の作成、当該消防計画に基づく消火、通報及び避難の訓練の実施、消防の用に供する設備、消防用水又は消火活動上必要な施設の点検及び整備、火気の使用又は取扱いに関する監督、避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理並びに収容人員の管理その他防火管理上必要な業務を行なわせなければならない。」とあり、
防火管理者の業務には消防用設備等の点検および整備はもちろん、火気の使用または取扱いに関する監督も含まれることになる。したがって本肢は誤り。

3 防火管理者の業務には、避難訓練の実施は含まれない。

→X  誤。 選択肢2でも述べたように、法第8条第1項によると、防火管理者の業務には、消防計画に基づく避難訓練の実施も含まれることになる。したがって本肢は誤り。

4 一定の防火対象物の管理の権原を有する者は、防火管理者を解任したときは、遅滞なくその旨を所轄消防長又は消防署長に届け出なければならない。

→○ 正。 法第8条第2項は、「前項の権原を有する者は、同項の規定により防火管理者を定めたときは、遅滞なくその旨を所轄消防長又は消防署長に届け出なければならない。これを解任したときも、同様とする。」とする。したがって本肢は正しく、問の正解肢となる。

正解 4

第20問

【問 20】 排水及び浄化槽に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1 マンションの排水は、汚水、雑排水、雨水に大別される。

→○ 適切。 マンションの排水は、汚水(トイレ排水)、雑排水(キッチン・風呂・洗面)、雨水に大別される。したがって、本肢は適切である。

2 マンション敷地内の排水方法には、汚水と雑排水を同一の系統で排水する合流式と、汚水と雑排水を別々の系統で排水する分流式がある。

→○ 適切。 マンションの敷地内の排水方法には、汚水・雑排水を同一の系統で排水させる合流式と、汚水と雑排水を別々の系統で排水する分流式がある。したがって、本肢は適切である。

3 浄化槽法の規定によれば、浄化槽の所有者、占有者その他の者で浄化槽の管理について権原を有するものは、浄化槽の保守点検が義務づけられているが、清掃は義務づけられていない。

→X  不適切。 浄化槽法(以下「法」という。)第10条第1項は、「浄化槽管理者は、環境省令で定めるところにより、毎年1回(環境省令で定める場合にあっては、環境省令で定める回数)、浄化槽の保守点検及び浄化槽の清掃をしなければならない。」と定める。したがって、浄化槽の所有者、占有者、使用者、その他の者で浄化槽の管理について権原を有する者(浄化槽管理者)には、浄化槽の保守点検および清掃を行うことが義務づけられている。本肢は不適切であり、問の正解肢となる。

4 浄化槽法の規定によれば、処理対象人員が501人以上の浄化槽の管理者は、原則として環境省令で定める資格を有する技術管理者を置かなければならない。

→○ 適切。 法第10条第2項本文は、「政令で定める規模の浄化槽の浄化槽管理者は、当該浄化槽の保守点検及び清掃に関する技術上の業務を担当させるため、環境省令で定める資格を有する技術管理者(以下「技術管理者」という。)を置かなければならない。」と定める。そして、同法施行令1条「浄化槽法 (以下「法」という。)第十条第二項 の政令で定める規模の浄化槽は、建築基準法施行令 (昭和二十五年政令第三百三十八号)第三十二条第一項第一号 の表に規定する方法により算定した処理対象人員が五百一人以上の浄化槽とする。 」とあり、
処理対象人員が501人以上の浄化槽の管理者は、当該浄化槽の保守点検および清掃に関する技術上の業務を担当させるため、浄化槽管理士の資格を有し、かつ環境大臣の認定する講習を修了した技術管理者を原則として、置かなければならないことになる。したがって、本肢は適切である。
 なお、法第2条第11号によると、浄化槽管理士とは、浄化槽の保守点検の業務に従事する者として、環境大臣より浄化槽管理士免状の交付を受けている者をいう。

正解 3

第21問

【問 21】 給水方式・給水設備等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1 給水方式のうち、水道本管から増圧給水設備(ポンプ等)を経て建物内の必要な箇所に給水する方式を増圧直結給水方式といい、受水槽を必要としない。

→○ 適切。 給水方式の出題は多い。 ここに近いのは、平成21年マンション管理士試験 「問43」 選択肢3 。
    給水方式のうち、増圧直結給水方式は、水道本管から分岐して引き込んだ水を、直接増圧給水設備(ポンプ)を経て各住戸に給水する方式である。受水槽・高置水槽が不要であるため、省スペース化や設備コストの低減等が図れる等メリットも多い。したがって、本肢は適切である。中規模程度のマンションまでが対象であり、最近一部の地方公共団体などで採用されている。下の図A参照。

2 給水方式のうち、マンションの屋上その他高い場所に水槽を設置して、各階の住戸に重力により給水する方式を高置(高架)水槽方式又は重力方式という。

→○ 適切。 高置(高架)水槽方式は、水道本管から分岐して引き込んだ水を一度受水槽(受水タンク)に貯水した後、揚水ポンプでマンション屋上等に設置された高置水槽(高置タンク)に揚水して、水の重力により各階の住戸に給水する方式で、重力方式ともいう。したがって、本肢は適切である。マンションに最も多く採用されてきた。圧力変動はほとんどなく一定で、断水時でも受水槽と高置水槽の残留水が使用できる利点がある。選択肢1での図B参照。

3 水道法の規定によれば、簡易専用水道とは、寄宿舎、社宅、療養所等における自家用の水道その他水道事業の用に供する水道以外の水道であって、100人を超える者にその居住に必要な水を供給するものをいう。

→X  不適切。 簡易専用水道とは、水道法第3条第7項本文によると、「この法律において「簡易専用水道」とは、水道事業の用に供する水道及び専用水道以外の水道であって、水道事業の用に供する水道から供給を受ける水のみを水源とするもの」であり、かつ、貯水槽(受水槽)の有効容量が10立方メートルを超えるものである(水道法施行令第1条第2項)。したがって、本肢は不適切であり、問の正解肢となる。なお、寄宿舎、社宅、療養所等における自家用の水道その他水道事業の用に供する水道以外の水道であって、100人を超える者にその居住に必要な水を供給するものは専用水道のものである。

4 給水管に使用されている鋼管が、経年変化で腐食すると赤水が発生しやすくなる。

→○ 適切。 給水管に使用されている鋼管が、経年劣化により腐食が進むと、錆水による赤水が発生する。したがって、本肢は適切である。なお、この給水管の赤水対策としては、新規配管工事、ライニング更生工事、防錆剤の使用等の対策がある。

正解 3

第22問

【問 22】 昇降機設備に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1 昇降機設備の保守契約におけるフルメンテナンス契約とは、昇降機器の部品取替え、機器の修理を状況に合わせて行うことを内容とした契約方式であるが、乗場扉・三方枠の塗装、意匠変更による改造等一定のものは含まれない。

→○ 適切。 昇降機の保守契約は、よく出題される。 平成23年 マンション管理士 試験 「問45」選択肢3、 平成14年 管理業務主任者試験 「問29」 など。
 マンションなどで使用される昇降機(エレベーター)設備の保守管理方式には、大きく分けてフルメンテナンス方式と、下の選択肢2でのPOG方式がある。
    昇降機設備の保守契約におけるフルメンテナンス(Full Maintenance)契約とは、昇降機器の部品取替え、機器の修理を状況に合わせて行うことを内容とした契約方式であるが、乗場扉・三方枠の塗装、意匠変更による改造等一定のものは含まれない。本肢は、そのとおりであり、適切である。

2 昇降機設備の保守契約におけるPOG契約とは、消耗部品付契約のことで、定期点検、管理仕様範囲内の消耗品の交換は含まれるが、それ以外の部品の取替え、修理は含まれない契約方式である。

→○ 適切。 昇降機設備の保守契約におけるPOG(Parts Oil and Grease)契約とは、消耗部品付契約のことで、定期点検、管理使用範囲内の消耗品の交換は含まれるが、それ以外の部品の取替え、修理は含まれない契約方式である。本肢は、そのとおりであり、適切である。そのためこのPOG契約方式にあっては、契約外の修理費等はあらかじめ、管理組合で予算計上しておく必要がある。

3 昇降機の維持及び運行の管理に関する指針(平成5年(財)日本昇降機安全センター。(現(財)日本建築設備・昇降機センター)策定。以下本問において「指針」という。)によれば、建築基準法第12条第2項の特定行政庁が指定する昇降機の所有者(以下本問において「昇降機の所有者」という。)は2年に1回検査を受けなければならないとされている。(注:建築基準法は改正があった。第12条2項は、新->3項)

→X  不適切。 なんでもかんでも規定する建築基準法が、昇降機の運行・管理については規定しておらず、昇降機の維持および運行の管理に関する指針(平成5年(財)日本昇降機安全センター<現(財)建築設備・昇降機センター>策定、以下「指針」という。)に基づいて行うように通知がある。
 同指針 第9 定期検査及び報告
   1 法第12条第2項(新->3項)の規定に基づき指定された昇降機の所有者等は、1年に1回以上、定期に、 建設大臣(現:国土交通大臣)の定める資格を有する者(以下「昇降機検査資格者」という。) 等に当該昇降機の検査を行わせ、その結果を、昇降機定期検査報告書に作成し、 昇降機に関する地域法人等を経由して特定行政庁に報告するものとする。
   2  所有者等は、前項の昇降機定期検査報告書の写しを3年以上保存するものとする。 」とある。
同第9.1.によれば、建築基準法第12条第2項(新->3項)の規定に基づき指定された昇降機の所有者等は、1年に1回以上、定期に、国土交通大臣の定める資格を有する者(昇降機検査資格者)等による当該昇降機の検査を受けなければならないとされている。したがって、2年に1回検査を受けなければならない、とする本肢は不適切であり、問の正解肢となる。

4 指針によれば、昇降機の所有者は、定期検査報告書の写しを3年以上保存することとされている。

→○ 適切。 選択肢3でも述べたように、同指針第9.2.によれば、所有者等は、昇降機定期検査報告書の写しを3年以上保存するものとされている。したがって、本肢は適切である。

正解 3 (一般団体が決めた、指針が出題の対象では、不適切な設問だ。)

第23問

【問 23】 建築設備に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1 建築基準法の規定によれば、高さ20mを超える建築物(一定のものを除く。)には、非常用の昇降機を設けなければならない。

→X  不適切。 建築基準法(以下「法」という。)第34条第2項によると、高さ31mを超える建築物には、原則として、非常用の昇降機を設けなければならない。したがって、高さ20mを超える建築物には非常用昇降機を設けなければならないとする本肢は不適切である。 (注:避雷設備は、20mを超えると設けること。混同しないように。)

2 建築基準法の規定によれば、高さ20mを超える建築物には、周囲の状況により安全上支障がない場合を除いて、有効に避雷設備を設けなければならない。

→○ 最も適切。 法第33条によると高さ20mを超える建築物には、有効に避雷設備を設けなければならない。ただし、周囲の状況によって安全上支障がない場合においては、この限りでないことになる。本肢はこのとおりであり、問の正解肢となる。

3 建築物への電力の供給は、供給電圧により、「低圧引き込み」及び「高圧引き込み」の2種類のどちらかに分けられる。

→X  不適切。 建物への電源供給は供給電圧によって@低圧引き込み(総量50kw未満)、A高圧引き込み(総量50kw以上 2,000kw未満)、B特別高圧引き込み(総量2,000kw以上)の3種類に分けられる。したがって、「低圧引き込み」及び「高圧引き込み」の2種類に分けられるとする本肢は不適切である。

4 マンションに「高圧引き込み」で電力を供給する場合には、借室変電設備(借室電気室)を設置するが、借室変電設備の維持管理は、管理組合で行わなければならない。

→X  不適切。 一定規模以上のマンションでは、各住戸ごとの契約電力と共用部分の契約電力の総量が50kW以上となるため「高圧引き込み」となる。マンションに「高圧引き込み」で電力を供給する場合には、電力会社の要望により借室変電設備(借室電気室)を設けるが、その維持管理いっさいが電力会社の責任で行われる。したがって、管理組合で行わなければならない、とする本肢は不適切である。 また、選択肢3での、特別高圧引き込みとなると、 借室電気室のほかに特別高圧電気室も必要となる。)

正解 2

第24問

【問 24】 建築物の耐震改修の促進に関する法律に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。


(注:建築物の耐震改修の促進に関する法律は改正があった。新法に対応済。)


1 特定建築物の所有者は、耐震診断を行い、必要に応じ、耐震改修を行うよう努めなければならない。

→○ 正。 建築物の耐震改修の促進に関する法律(以下「法」という。)第2条(新->第6条1号)は、「学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所その他多数の者が利用する建築物で政令で定めるものであって政令で定める規模以上のもののうち、地震に対する安全性に係る建築基準法(昭和25年法律第201号)又はこれに基づく命令若しくは条例の規定(第5条において「耐震関係規定」という。)に適合しない建築物で同法第3条第2項の規定の適用を受けているもの(以下この章において「特定建築物」という。)の所有者は、当該特定建築物について耐震診断(地震に対する安全性を評価することをいう。以下同じ。)を行い、必要に応じ、当該特定建築物について耐震改修(地震に対する安全性の向上を目的とした増築、改築、修繕又は模様替をいう。以下同じ。)を行うよう努めなければならない。」と定める。したがって、特定建築物の所有者は、耐震診断を行い、必要に応じ、耐震改修を行うよう努める必要があることになり、本肢は正しい。なお、マンション(共同住宅)はこの「特定建築物」には含まれていない。

2 国土交通大臣は、特定建築物の耐震診断及び耐震改修に関する指針を定め、これを公表するものとする。

→○ 正。 法第3条(新->第4条)は、「国土交通大臣は、特定建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図るため、特定建築物の耐震診断及び耐震改修に関する指針を定め、これを公表するものとする。」と定める。本肢は、そのとおりであり正しい。

3 所管行政庁は、特定建築物の所有者に対し、特定建築物の耐震診断及び耐震改修について必要な指導及び助言をすることができる。

→○ 正。 法第4条第1項(新→第7条)は、「所管行政庁(建築主事を置く市町村又は特別区の区域については当該市町村又は特別区の長をいい、その他の市町村又は特別区の区域については都道府県知事をいう。ただし、建築基準法第97条の2第1項又は第97条の3第1項の規定により建築主事を置く市町村又は特別区の区域内の政令で定める建築物については、都道府県知事とする。以下同じ。)は、特定建築物の耐震診断及び耐震改修の適確な実施を確保するため必要があると認めるときは、特定建築物の所有者に対し、前条の指針を勘案して、特定建築物の耐震診断及び耐震改修について必要な指導及び助言をすることができる。」と定める。したがって、所管行政庁は、特定建築物の所有者に対し、特定建築物の耐震診断及び耐震改修について必要な指導及び助言をすることができ、本肢は正しい。

4 マンションの耐震改修をしようとする者は、建築物の耐震改修の計画を作成し、所管行政庁に認定を申請しなければならない。

→X  誤。 法第2条に定める、耐震改修を行うことを義務付けられているマンションについて、それが分譲共同住宅であれば、特定建築物に含まれない(同法施行令第1条)。このようなマンションにおいては、その耐震改修をしようとする者は、法第5条により、建築物の耐震改修の計画を作成し、所管行政庁に認定を申請することができるのであって、認定を申請しなければならないのではない。したがって、本肢は誤りであり、問の正解肢となる。

正解 4 (少し、難問。選択肢4が悩むか。)

第25問

【問 25】 鉄筋コンクリート造に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1 鉄筋コンクリート造の建築物には、一般的に柱と梁を一体化した骨組みである「ラーメン構造」が多くみられる。

→○ 適切。 マンション建築の基本である、「ラーメン構造」と下の「壁式構造」は、これからも繰り返して出題されるので、覚えておくこと。 平成23年 マンション管理士試験 「問41」 など。
  鉄筋コンクリート造の建築物には、一般的に、ラーメン構造が多くみられる。ラーメン構造とは、柱・梁・床・壁で構成され、接点は剛に接合されていて、柱・梁は、主として曲げで外力に抵抗する。剛接骨組構造、剛接架構とも訳される。ラーメン(rahmen)はドイツ語で「額縁」という意味。耐力壁や筋交いを入れなくても、地震などの横揺れに耐えられる構造なので、壁のない自由な空間を作ることができる。低層から超高層まで幅広く対応できる構造で、鉄骨造や鉄筋コンクリート造が一般的。 したがって、本肢は適切である。

2 鉄筋コンクリート造のなかで「壁式構造」は、低層住宅に適した構造といえる。

→○ 適切。 鉄筋コンクリート造のうち、壁式構造は、鉄筋コンクリートの壁・床を一体にして構成し、荷重や外力に対応する。壁の多い中低層のマンションに適する。壁面や床板などの平面的な構造材を組み合わせた、柱を持たない箱状の骨組のこと。板状の薄い壁梁は付くが、柱や梁型が室内に出っ張らないので、すっきりした空間ができる。ただし、壁で構造を支えるために、室内空間に耐力壁(構造壁)を設ける必要があり、ラーメン構造に比べると空間構成の自由度は低く、大空間はできない。通常は、鉄筋コンクリート造で5階建て以下の中低層マンションに多い。規模も比較的小さい。したがって、低層住宅に適しているとする本肢は適切である。

 

3 鉄筋は、火に弱いためコンクリートで覆うことにより、鉄筋を火から保護している。

→○ 適切。 被覆のない鉄筋は、500度以上の火熱を受けると、その強度の大半を失い、容易に変形する。そこでコンクリートで被覆することにより、鉄筋を火から保護することができる。したがって、本肢は適切である。

4 コンクリートは、引っ張りに強く、鉄筋は、圧縮に強い特性を持っている。

→X  不適切。 コンクリートは、引っ張りに弱く、圧縮に強い特性を持っている。逆に鉄筋は、引っ張りに強く、圧縮に弱い特性を持っている。そこで鉄筋とコンクリートを組み合わせることによりお互いの長所を生かし、短所を補うことができる。したがって、本肢は不適切であり、問の正解肢となる。

正解 4

ここまで、問25


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最終更新日:
2018年 3月17日:建築基準法第12条の改正を入れた。
2012年 4月 9日:体裁を統一した。
2011年 5月 1日:再再確認済。
2011年 2月11日:「問6」、「問7」、「問8」に委託契約書の改正文入。
2011年 1月31:「問11」選択肢1 追記
2010年2月9日:リンクなど入
2008年10月7日

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