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平成14年 管理業務主任者 試験問題 及び 解説

ページ1(問1より問25まで)

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*注: マンション標準管理規約(単棟型、団地型、複合用途型)は、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。

また、マンションの管理の適正化に関する指針も、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。

※ 出題当時以後の法令等の改正には、一部は対応していません。

解説者からのコメント:あやふやな出題、適切でない出題もあって、解答ができないのもあります。

*全体の注意:区分所有法は、平成14年に改正があった。また、マンション標準管理規約は、平成16年に改正があった。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。マンション標準管理委託契約書は、平成15年に改正があった。また、平成22年5月にも改正があった。
  過去の問題を解くときには、最新の法令にあっているかどうか、注意してください。

第 1問

【問 1】 マンション(マンションの管理の適正化の推進に関する法律(平成12年法律第149号。以下「マンション管理適正化法」という。)第2条第1号に規定するものをいう。以下同じ。)の管理委託契約に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1 マンションの管理委託契約は、契約当事者双方に債権債務が生じるから双務契約であり、また、一定の業務の対価として報酬が支払われるから有償契約である。

→○  適切。 民法での契約の類型は、平成18年 管理業務主任者 試験 「問1」平成13年 管理業務主任者試験 「問1」 も参考に。
   ★双務契約とは、契約によって当事者の双方がお互いに対して債権をもち、債務を負うものをいう。売買契約を例にとると、売主は買主に対して商品を引き渡す義務(債務)があり、買主は売主に対して代金を支払う義務(債務)がある。よって売主と買主の双方がお互いに債務を負っている(債権を有している)ため、売買契約は双務契約であるといえる。その他、賃貸借、請負、有償の寄託、有償の委任、雇用なども双務契約である。

 ★参考:対応するものとして、片務契約がある。片務契約とは当事者の一方だけが相手方に対して何らかの債務を負っている契約を言う。例えば贈与契約であれば、贈与をする者は物を相手方に引き渡す義務を負うが、物をもらう側の人間には何の義務もない。よって贈与契約は片務契約ということになる。この他にも、使用貸借、消費貸借、無償の寄託、無償の委任が片務契約の例である。

 ★有償契約とは、契約の当事者が互いに対価的な支出を伴う契約。双務契約は有償契約であるが、片務契約でも有償契約のものがある。具体的には、利息付消費貸借契約は契約成立に貸主の貸出行為が必要なため、契約成立後は貸主は債務を負わないので片務契約であるが、対価的な支出を伴うので有償契約である。

 ★参考:対応するものとして、無償契約がある。無償契約とは、契約の当事者が互いに対価的な支出を伴わない契約。片務契約のほとんどが無償契約である。

 そこで、マンションの「管理委託契約」は、マンションの管理組合と管理業者の契約当事者双方に債権債務が生じる双務契約であり、また、一定の業務の対価として報酬が支払われるので有償契約であるといえる。本肢は適切である。

2 マンションの管理委託契約に基づく業務のうち、法律行為以外の事務の委託に関する業務について、民法の委任の規定が準用されることはない。

→X 不適切。民法第656条によると「この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。」とあり、
法律行為の委託のみならず、法律行為以外のそれに準ずる行為の委託は、準委任契約として、民法の委任に関する規定が準用される。よって、マンションの管理委託契約に基づく業務のうち、法律行為以外の事務の委託に関する業務について、民法の委任の規定が準用されることはないとする本肢は不適切であり、本問の正解となる。

3 マンションの管理委託契約に基づく業務には、一般には準委任契約の性質を有する業務と、請負契約の性質を有する業務とがある。

→○  適切。マンションの管理委託契約に基づく業務のうち「事務管理業務」は、管理事務を継続的・反復的に処理するものであるから、委任契約(民法第643条)「委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。」
としての性質を有する。また、「管理員業務」、「清掃業務」、「設備管理業務」は、仕事の完成を目的とするものであるから、請負契約(民法第632条)「請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。」
としての性質を有する。よって、マンションの管理委託契約に基づく業務には、一般には準委任契約の性質を有する業務と、請負契約の性質を有する業務とがあるとする本肢は適切である。

4 マンションの管理委託契約に基づく業務のうち、契約当事者の一方が一定の仕事の完成を目的とし、他方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを契約の内容としている業務は、請負契約の性質を有している。

→○ 適切。選択肢3でも述べたように、委託業務のうち「管理員業務」、「清掃業務」、「設備管理業務」は、契約当事者の一方が一定の仕事の完成を目的とし、他方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを契約の内容とし、民法第632条に定める「請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。」の
請負契約の性質を有している。よって、本肢は適切である。

正解:2

第 2問

【問 2】 契約上の金銭債権の消滅時効に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 契約上の金銭債権についての時効期間が経過したときに、当該債権は、時効の利益を受ける者の時効の援用があってはじめて消滅する。

→○  正。 時効については、もう毎年出題があるのでまとめておくこと。
     民法第145条は、「時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。」とあり、当事者が援用(時効によって利益を受ける者が、その利益を受ける意思を表示すること)しなければ裁判所は時効が成立したことを前提として裁判をしてはならないと定める。この条文につき最高裁判所昭和61年3月17日の判決は、時効によって利益を受ける者が、時効が成立したことを援用して初めて消滅時効の効力が生ずるものと解している。この判決からすると、契約上の金銭債権についての時効期間が経過したときに、当該債権は、時効の利益を受ける者の時効の援用があってはじめて消滅する本肢は正しく、本問の正解となる。

2 契約上の金銭債権についての消滅時効の起算日は、契約の締結日であり、当該債権の弁済日ではない。

→X 誤。  民法第166条第1項によると、「消滅時効は、権利を行使することができる時から起算する。」とあり、「契約締結日」が起算日となるとは限らない。多くの場合債権の弁済日である。本肢は誤り。

3 契約上の金銭債権について、債務者が、債権者から金銭の支払いの催告を受け、支払う旨の返答をしただけでは消滅時効は中断しない。

→X 誤。  時効の中断(これまでの時効期間を無意味にする)事由として、民法第147条「時効は、次に掲げる事由によって中断する。
   一  請求
   二  差押え、仮差押え又は仮処分
   三  承認 」があり、
第三号は、消滅時効の中断事由のひとつとして承認を挙げる。設問の「支払う旨の返答」も承認に該当する。よって、本肢の場合、消滅時効は中断するので、本肢は誤り。

4 契約上の金銭債権のうち、年又はこれより短い時期をもって定めている定期給付債権の消滅時効期間は、3年である。

→X 誤。  民法第169条によれば、「年又はこれより短い時期によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権は、五年間行使しないときは、消滅する。 」とあり、年又はこれより短い期間をもって定めている定期給付債権の消滅時効期間は、5年で消滅時効にかかる。「3年」ではないので、本肢は誤り。 なお、マンションの滞納管理費などもここに該当し、「5年」で消滅時効となるので注意のこと。

正解:1

第 3問

【問 3】 マンションの専有部分が共有されている場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 マンションの専有部分の各共有者は、当該専有部分について分割請求をすることはできない。

→X  誤。  ここの設問は、民法だけを聞いている。区分所有法と混同しないように。 この設問に近いのは、平成21年管理業務主任者試験 「問4」 。
    民法第256条第1項本文によると、「各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。」とあり、特約がない限り、各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。

2 マンションの専有部分の各共有者の持分は、均一でなければならない。

→X  誤。  民法ではこのような規定はない。民法第250条によると、特に取り決めがなければ「各共有者の持分は、相等しいものと推定する。」とある。これはあくまで「推定」に過ぎず。当事者がこれと異なる持分を定めることができるので、マンションの専有部分の各共有者の持分は均一でなければならないとする本肢は誤り。

3 マンションの専有部分の各共有者は、自己の持分を他の共有者の承諾を得ることなく第三者に譲渡することができる。

→○  正。 民法第249条によると、「各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。 」とあり、処分(使用)も、自己の持分を他の共有者の承諾を得ることなく、第三者に譲渡することができる。つまり、所有権としての効力をもつ。本肢は正しく、本問の正解となる。

4 マンションの専有部分の変更については、共有者の4分の3以上の賛成によって決せられる。

→X 誤。  マンションの専有部分の変更は民法の共有物の変更に該当する。そして、民法第251条によると、「各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。」とあり、共有物の変更には、共有者の「全員」の賛成(同意)が必要である。共有者の4分の3以上の賛成によって決せられるとする本肢は誤り。 なお、共有関係では、管理行為は、過半数でおこない、保存行為は、単独でできます。(民法第252条)

正解:3

第 4問

【問 4】 債務不履行に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 債務不履行を理由とする損害賠償請求が認められるためには、債務不履行について債務者に帰責事由があることが必要である。

→○  正。 平成26年管理業務主任者試験 「問10」。
  民法第415条「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。 」とあり、
履行不能については、「債務者の責に帰すべき事由」を要求するが、他の債務不履行形態につき、明言していない。しかし、民法が過失責任を原則とすることや、履行不能と他の債務不履行形態で差を設ける必要はないことから、債務不履行が成立するためには、債務者に債務者の責めに帰すべき事由(帰責事由)があることが要件とされる。よって、本肢は正しい。

2 債務不履行を理由とする損害賠償請求において、当事者はあらかじめ損害賠償の額を定めておくことはできない。

→X  誤。  民法第420条第1項「当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。この場合において、裁判所は、その額を増減することができない。 」
に定めているように、当事者は、債務不履行の場合に債務者が賠償すべき額を、あらかじめ定めておくことができる。損害の発生およびその額を債権者が立証する面倒を避け、それに関わる紛争を避けるためである。よって、本肢は誤りであり、本問の正解となる。 なお、「現実の損害」がその額と違っていても、予定した額になる。

3 債務不履行を理由に契約を解除した場合において、債権者は併せて損害賠償請求をすることができる。

→○  正。 民法第545条「1項 当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。
   2項  前項本文の場合において、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない。
   3項  解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。 」とあり、
第3項は、債務不履行を理由に契約を解除した場合においても、債権者は、併せて損害賠償請求をすることができると定めているので、本肢は正しい。

4 債務不履行を理由とする損害賠償請求において、特別事情によって生じた損害についても当事者が予見可能なものについては賠償請求をすることができる。

→○ 正。 民法第416条は、「1項 債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。
   2項 特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見し、又は予見することができたときは、債権者は、その賠償を請求することができる。」とあり、
その第1項で、現実に生じた損害のうち、債務不履行があれば通常生ずるであろう損害を賠償させるという相当因果関係の原則を表明し、その第2項では、その基礎とすべき特別の事情の範囲を示している。すなわち、特別の事情によって生じた損害であっても、債務者がその事情を予見していた場合、また当然予見できたと考えられる場合は、賠償を請求できるとする。よって、本肢は正しい。

正解:2

第 5問

【問 5】 AとBとの間で、Aが区分所有する中古マンションについて売買契約を締結する場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、最も適切なものはどれか。

1 Aのマンションについて、Cのために抵当権が設定されていたときは、AからBへの売却に当たりCの承諾が必要である。

→X  不適切。  平成25年 マンション管理士試験 「問13」 。
 抵当権の処分は、債務者Aに通知・承認が必要であるが、(参考「民法第377条((抵当権の処分の対抗要件)
 前条の場合には、第四百六十七条の規定に従い、主たる債務者に抵当権の処分を通知し、又は主たる債務者がこれを承諾しなければ、これをもって主たる債務者、保証人、抵当権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができない。 」)、 所有権に基づく、抵当権付の不動産を所有者A(=債務者)が第三者Bに売却する場合は、抵当権者Cの承諾は不要である。

2 Aのマンションについて、AからDに対して賃貸がなされていたときは、AからBへの売却に当たりDの承諾が必要である。

→X  不適切。賃借権の目的となっている不動産を第三者に売却する場合であっても、賃借権者Dの承諾は不要である。売主Aは、賃借人Dの承諾を得ることなく、Bへマンションを売却することができる。

3 AB間の売買契約に当たりEがAから当該契約締結の代理権を授与され、EがAを代理してBと契約を締結するためには、EはBに対し、自己がAの代理人である旨を示す必要がある。

→○  適切。民法上代理行為が成立するためには、本人より代理人に対して、適法に代理権の授与がなされ、かつ、代理人が代理行為をなす際に自己が代理人である旨を示す(顕名という。民法第99条第1項:(代理行為の要件及び効果) 代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。」)必要がある。よって、本肢は正しい。

4 AB間の売買契約が有効に成立するためには、AからBへの所有権の移転登記が必要である。

→X 不適切。民法第555条「売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。」とあり、
売買契約は、当事者の意思表示の合致により成立するとする。所有権の移転登記は、これがないと、第三者に所有権の移転を対抗できないという対抗要件にすぎず、不動産の物権変動が成立しないというものではない。

正解: 3

第 6問

【問 6】 中高層共同住宅標準管理委託契約書(昭和57年住宅宅地審議会答申。以下「標準管理委託契約書」という。)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。


(注:標準管理委託契約書は平成15年に改正があった。また、平成22年5月にも改正があった。以下は、変更前のまま。主旨は変っていない。)


1 管理組合は、組合員がその専有部分を第三者に貸与したときは、管理委託契約を締結している管理会社に対し、速やかにその旨を書面をもって通知しなければならない。

→○  適切。中高層共同住宅標準管理委託契約書(以下、標準管理委託契約書という。)第13条第2項第二号(新->第12条2項2号)によると、管理組合の組合員が、その専有部分を第三者に貸与したときは、管理組合は、速やかに、書面をもって、管理会社に通知しなければならない。よって、本肢は適切である。

2 管理会社は、管理の受託をしているマンションについて、滅失、き損、瑕疵等の事実を知った場合においては管理組合に対し、速やかにその状況を通知しなければならない。

→○  適切。標準管理委託契約書第13条第1項(新->第12条1項)によると、管理組合及び管理会社が、マンションについて滅失、き損、瑕疵等の事実を知った場合においては、速やかに、その状況を相手方に通知しなければならない。よって、本肢は適切である。

3 管理会社は、受託している業務を行うため必要があるときは、組合員の専有部分に立ち入ることができるが、防災等のため緊急を要するときを除き、あらかじめその旨を当該組合員又は当該専有部分の占有者に通知し、その承諾を得なければならない。

→○  適切。標準管理委託契約書第14条第1項によると、管理会社は、委託業務(受託している業務)を行うため必要がある場合には、組合員の専有部分又は専用使用部分に立ち入ることができる。そして同条第2項によると、防災等のため緊急を要するときを除いて、あらかじめその旨を当該組合員又は当該専有部分若しくは当該専用使用部分の占有者に通知し、その承諾を得なければならない。よって、本肢は適切である。

4 管理会社は、設備管理業務の一部を第三者に再委託することはできるが、当該業務の全部を第三者に再委託することはできない。

→X 不適切。標準管理委託契約書第4条第1項によると、管理会社は、同第3条第1項第二号、第三号、第四号の業務、すなわち「管理員業務」、「清掃業務」及び「設備管理業務」について、その業務の全部又は一部を第三者に再委託することができる。よって、設備管理業務の全部を第三者に再委託することはできないとする本肢は誤り。本問の正解となる。細かいが、事務管理業務(基幹事務)と他の業務の区別を理解しておくこと。

正解:4 (少し、難問か? 「マンション標準管理委託契約書」は必ず入手して、コメントまで読んでおくこと。)

第 7問

【問 7】 標準管理委託契約書における事務管理業務の定めに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。


(注:標準管理委託契約書は平成15年に改正があった。以下は、変更前のまま。ここも、主旨は変っていない。さらに、平成22年5月1日施行で改正があったので、注意のこと。ここは、改正前のまま。)


1 標準管理委託契約書は、水道料、冷暖房料、給湯料等の精算方法について、あらかじめ管理会社と管理組合とが協議することと定めている。

→○  適切。中高層共同住宅標準管理委託契約書(以下、標準管理委託契約書という。)別表第1では、水道料、冷暖房料、給湯料等の精算方法については、あらかじめ管理会社と管理組合が協議するものと定めている。よって、本肢は適切であり、本問の正解となる。

2 標準管理委託契約書は、未収納金の徴収方法について、管理会社が未収納者に対し、支払期限後に電話又は自宅訪問により支払の督促を行うことは定めているが、督促状による督促の方法は定めていない。

→X  不適切。標準管理委託契約書別表第1によると、標準管理委託契約書は、未収納者に対し、支払期限後○月の間、電話、自宅訪問、督促状の順により、その督促を行うこととしており、督促状による督促の方法も認めている。よって、督促状による督促の方法は定めていないという本肢は不適切である。

3 標準管理委託契約書は、管理組合の会計帳簿、請求書、領収書等の管理について、管理会社は、これらの帳簿等を3年間保管しなければならないと定めている。

→X 不適切。標準管理委託契約書別表第1において、管理組合の会計帳簿、請求書、領収書等を整理・保管する旨の定めがある。しかし、それを3年間保管しなければならないとする旨の規定は、標準管理委託契約書では特に存在しない。よって、本肢は不適切である。

4 標準管理委託契約書は、管理組合の予算案作成の補助について、管理会社は、管理組合の総会の前までに予算案の素案を作成し、管理組合に提出しなければならないと定めている。

→X 不適切。標準管理委託契約書別表第1によると、管理組合の予算案の作成の補助については、管理組合の事業年度開始の○月前までに、管理組合の当該事業年度の予算案の素案を作成し、管理組合に提出することとされている。「管理組合の総会の前」までに素案の作成と管理組合への提出があればよいわけでないので、本肢は不適切である。

正解:1 (選択肢3が迷うかも。)

第 8問

【問 8】 標準管理委託契約書は、管理会社が委託業務を行うため必要とする費用のうち、その負担方法が定額で、かつ精算を伴わない費用(以下本問において「定額管理費」という。)を、管理組合が管理会社に対し、毎月支払うものと定めているが、その定めに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。


(注:標準管理委託契約書は平成15年に改正があった。以下は、変更前のまま。ここも、主旨は変っていない。さらに、平成22年5月1日施行で改正があったので、注意のこと。ここは、改正前のまま。)


1 標準管理委託契約書は、定額管理費の支払期日について、毎月末日までその翌月分を支払うものと定めている。

→X  不適切。中高層共同住宅標準管理委託契約書(以下、標準管理委託契約書という。)第6条第2項第二号によると、定額管理費の支払期日については、標準管理委託契約書では、「毎月○日」までに支払うとしか定めている。必ずしも「毎月末日」が期限であるのではなく、本肢は不適切である。

2 標準管理委託契約書は、定額管理費を支払うべき期間が1月に満たない場合は、日割計算を行うものと定めている。

→○  適切。標準管理委託契約書第6条第2項第三号によると、定額管理費を支払うべき期間が1月に満たない場合は、1月を○日として日割計算を行う。よって、本肢は適切であり、本問の正解となる。

3 標準管理委託契約書は、契約期間中の定額管理費の額の見直しについて、管理組合及び管理会社が協議して定めるものとしている。

→X  不適切。標準管理委託契約書第6条第3項によると、管理組合が負担する管理業務を行うために必要とする一切の費用のうち、「定額管理費以外」の費用の支払方法は、管理組合と管理会社が協議して定めることとしている。しかし、契約期間中の定額管理費の額の見直しについて、管理組合及び管理会社が協議して定めるものとはしていないので、本肢は不適切である。

4 標準管理委託契約書は、管理組合が定額管理費の支払を遅延した場合は、年率5パーセントの損害金を管理会杜に対し支払うものと定めている。

→X 不適切。標準管理委託契約書では、管理組合が定額管理費の支払いを遅延した場合の遅延利息について定めた規定は特に存在しない。よって、本肢は不適切である。ただし、管理組合が定額管理費の支払を遅延した場合には、管理組合には、法律上、損害賠償責任が発生し、管理会社に年率5パーセントの遅延賠償をしなければならないといえる。

正解:2 (かなりの難問。標準管理委託契約書の内容を読んでないと解答できない。

第 9問

【問 9】 管理費の滞納に対する対策及び法的手続について、管理業務主任者(マンション管理適正化法第2条第9号に規定するものをいう。以下同じ。)が管理者等(マンション管理適正化法第2条第4号に規定するものをいう。以下同じ。)に対して説明した次のア〜オのうち、不適切なもののみの組合せはどれか。

ア 初めての滞納であっても、速やかに督促を行うことが妥当でしょう。

→○  適切である。 初めての滞納であっても、長期にわたる滞納を防止するためには、初期の段階で速やかに督促を行うことが妥当であるとするアの記述は適切である。

イ 文書で督促する場合、内容証明郵便でも普通郵便でも、将来訴訟になったときの証拠の価値は同じですから、あえて内容証明郵便にする必要はないでしょう。

→X  不適切である。 ここから後の設問に近いのは、平成21年管理業務主任者試験 「問10」 。
    普通郵便による督促では、文書が紛失した場合に督促した証拠が残らず、後日訴訟になった時に相手に出したかどうかの証明が困難である。将来訴訟になったときに備え、確実に証拠を残すためにも、郵便局にその文書及び日付が保管される内容証明郵便により督促することが妥当である。したがって、あえて内容証明郵便にする必要はないとするイの記述は不適切である。

ウ 30万円以下の金額であれば、少額訴訟制度(民事訴訟法(平成8年法律第109号)の「少額訴訟に関する特則」)を利用でき、訴えられた滞納者もこの制度による手続を拒否することはできません。

→X  不適切である。民事訴訟法第368条第1項によると、30万円以下(改正->60万円以下)の金銭の支払いを目的とする請求については、少額訴訟の制度を利用することができ、記述前段は正しい。しかし、民事訴訟法第373条「1項 被告は、訴訟を通常の手続に移行させる旨の申述をすることができる。ただし、被告が最初にすべき口頭弁論の期日において弁論をし、又はその期日が終了した後は、この限りでない。
  2項 訴訟は、前項の申述があった時に、通常の手続に移行する。」とあり、
第1項によると、訴えられた滞納者(被告)が、通常訴訟の手続に移行させる旨の申述をして少額訴訟の手続を拒否することができるので、記述後段が誤り。

エ 支払督促の申立ては、滞納者の住所地の簡易裁判所に行い、通常の訴訟に比べ簡単な手続ですが、裁判所の支払督促について、送達後2週間以内にその滞納者から督促異議の申立てがなされれば、支払督促はその督促異議の限度で効力を失ってしまいます。

→○  適切である。 民事訴訟法第387条「支払督促には、次に掲げる事項を記載し、かつ、債務者が支払督促の送達を受けた日から二週間以内に督促異議の申立てをしないときは債権者の申立てにより仮執行の宣言をする旨を付記しなければならない。
   一  第三百八十二条の給付を命ずる旨
   二  請求の趣旨及び原因
   三  当事者及び法定代理人」とあり、
支払督促は、その送達後2週間以内に滞納者から督促異議の申立てがなされた場合には、その督促意義の限度で効力を失うことになるので、エの記述は適切である。

オ 通常の訴訟を提起する方法がありますが、滞納者が行方不明の場合は、その訴えを提起することはできません。

→X  不適切である。 民事訴訟法4条「1項 訴えは、被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所の管轄に属する。
   2 項 人の普通裁判籍は、住所により、日本国内に住所がないとき又は住所が知れないときは居所により、日本国内に居所がないとき又は居所が知れないときは最後の住所により定まる。」とあり、
通常の訴訟は、滞納者が行方不明の場合であっても、滞納者の居所が判明していれば、その居所に提起することができるので、オの記述は不適切である。また、公示送達(民事訴訟法第110条)によることもできます。

1 ア、イ、エ
2 イ、ウ、オ
3 イ、エ、オ
4 ウ、エ、オ

正解:2  (イ、ウ、オ が不適切)

第10問

【問10】 マンションの管理費の支払義務を負う者に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1 専有部分について賃貸借契約が締結され、その旨の通知が管理組合に対してなされた場合は、通知が到達した日の翌日から賃借人が管理費の支払義務を負うことになる。

→X  不適切。このような規定はない。 建物の区分所有等に関する法律(以下、区分所有法という。)第19条は、「各共有者は、規約に定めのない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する」と定める。したがって、管理費の支払い義務を負うのは各共有者(区分所有者)である。賃借人が支払義務を負うわけではないので、専有部分について賃貸借契約が締結され、その旨の通知が管理組合に対してなされても、通知が到達した日の翌日から賃借人が管理費の支払義務を負うことになるわけでない。本肢は不適切である。

2 専有部分について賃貸借契約が締結され、当該賃貸借契約において、管理費の支払義務を負う者を賃借人と約定で定めた場合は、賃貸人である区分所有者は、当該約定をもって管理組合に対抗することができる。

→X  不適切。選択肢1でも述べたように、区分所有法第19条の規定からも明らかなとおり、管理費の支払義務を負うのは各共有者(区分所有者)である。区分所有者と賃借人との間で、管理費の支払義務を負う者を賃借人と定めても、それは当事者間で効力を有するに過ぎず、この定めをもって管理組合に対抗することはできない。

3 区分所有者が破産宣告を受けたときは、当該区分所有者は、宣告の日の翌日以降の管理費の支払義務を免れる。

→X  不適切。この設問と次の選択肢4 に近いのは、平成21年管理業務主任者試験 「問11」 選択肢ウ と エ 。
    区分所有者が破産宣告を受けたとしても、当該宣告の日以降の管理費の支払義務を免れることはできない。なお、破産の効力は、破産宣告の時より生じるものとされる。(破産法第1条参照)

4 専有部分の売買契約によって、区分所有権を取得した買主は、売主が滞納していた管理費の支払義務を承継するが、売主の支払義務も存続する。

→○ 適切。買主は特定承継人となる。そして、区分所有法第8条の規定によれば、管理者又は管理組合法人がその職務または業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。しかし、この規定により前の区分所有者(売主)の滞納管理費の支払義務が消滅するわけでない。売主と買主に支払義務はある。よって、売主の支払義務も存続するという本肢は適切である。

正解:4

第11問

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

【問11】 管理組合が徴収した管理費及び特別修繕費に関する次の記述のうち、中高層共同住宅標準管理規約(単棟型)(昭和57年住宅宅地審議会答申。以下「標準管理規約」という。)によれば、最も適切なものはどれか。


(注:標準管理規約は、平成16年に大幅に改正されている。また、平成23年7月に小幅な改正があった。ここは、改正前のまま。主旨は変わっていない。)


1 管理費と特別修繕費は、いずれも敷地及び共用部分等の管理に要する経費に充てるものであるので、区分して経理する必要はない。

→X  不適切。中高層共同住宅標準管理規約(以下、標準管理規約という。)(単棟型)第27条第4項によれば、特別修繕費及び修繕積立金については、管理費とは区分して経理しなければならないとされている。区分して経理する必要はないとする本肢は、不適切である。

2 管理費と特別修繕費は、いずれも敷地及び共用部分等の管理に要する経費に充てるものであるが、管理組合の理事会の決議があれば他の用途にも充てることができる。

→X  不適切。標準管理規約第26条によると、管理費は、通常の管理に要する経費に充当し、標準管理規約第27条によると、特別修繕費は、特別の管理に要する経費に充当するとされる。よって、管理費と特別修繕費につき、他の用途に充てることはできず、本肢は不適切である。

3 管理費は、区分所有者全員の利益のための役員活動費に充てることができる。

→○  適切。標準管理規約(単棟型)第26条関係コメントは、「管理組合の運営に要する費用には役員活動費も含まれ、これについては一般の人件費を勘案して定めるものとするが、役員は、区分所有者全員の利益のために活動することをかんがみ、適正な水準を設定することとする。」と定める。よって、管理費は、区分所有者全員の利益のための役員活動費に充てることができるとする本肢は適切である。本問の正解となる。

4 特別修繕費は、修繕積立金として積み立てられるが、管理費の滞納より通常の管理に要する経費が不足する場合は、理事会の決議により当該経費に流用できる。

→X 不適切。標準管理規約(単棟型)第52条は、管理費に不足が生じた場合は、管理費等の負担割合により、その都度必要な金額を組合員に求めることができると定める。しかし、理事会の決議により特別修繕費を通常の管理に要する経費に流用することができる旨の定めは、存在せず、本肢は不適切である。

正解:3

第12問

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

【問12】 管理組合が徴収する管理費及び特別修繕費(以下本問において「管理費等」という。)に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、最も不適切なものはどれか。


(注:標準管理規約は平成16年に大幅に改正されている。また、平成23年7月に小幅な改正があった。ここは、改正前のまま。ここも、主旨は変っていない。)


1 管理組合に納付した管理費等について、管理組合が当該組合員からの返還請求を認めること。

→X  不適切。中高層共同住宅標準管理規約(以下、標準管理規約という。)(単棟型)第57条第4項は、「組合員は、納付した管理費等及び使用料について、その返還請求又は分割請求をすることができない。」と定める。よって、管理組合に納付した管理費等について、管理組合が当該組合員からの返還請求を認めることは最も不適切である。

2 管理費等の徴収方法について、組合員が各自開設する預金口座から自動振替の方法により徴収すること。

→○  適切。標準管理規約(単棟型)第57条第1項本文は、「管理組合は、第24条に定める管理費等及び第28条に定める使用料について、組合員が各自開設する預金口座から自動振替の方法により第59条に定める口座に受け入れることとし、当月分は前月の○日までに一括して徴収する。」と定める。よって、本肢は適切である。

3 管理費等の額を、各区分所有者の共用部分の共有持分に応じて算出すること。

→○  適切。標準管理規約(単棟型)第24条第2項は、「管理費等の額については、各区分所有者の共用部分の共有持分に応じて算出するものとする。」と定める。よって、本肢は適切である。

4 組合員が納付すべき管理費等を期日までに納付しない場合に、管理組合が未払金額について遅延損害金を請求すること。

→○ 適切。標準管理規約(単棟型)第57条第2項は、「組合員が、前項の期日までに納付すべき金額を納付しない場合には、管理組合は、その未払金額について年利○パーセントの遅延損害金を加算して、その組合員に対して請求する。」と定める。よって、本肢は適切である。

正解:1

第13問

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

【問13】 管理組合の会計に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、最も不適切なものはどれか。


(注:標準管理規約は平成16年に大幅に改正されている。また、平成23年7月に小幅な改正があった。ここは、改正前のまま。ここも、主旨は変っていない。)


1 毎会計年度の収支決算案は、監事の会計監査を経て、通常総会に報告し、その承認を得なければならない。

→○  適切。中高層共同住宅標準管理規約(以下、標準管理規約という。)(単棟型)第56条は、「理事長は、毎会計年度の収支決算案を監事の会計監査を経て、通常総会に報告し、その承認を得なければならない。」と定める。よって、本肢は適切である。

2 収支決算の結果、管理費に余剰を生じた場合には、その余剰は翌年度における管理費に充当する。

→○  適切。標準管理規約(単棟型)第58条第1項は、「収支決算の結果、管理費に余剰を生じた場合には、その余剰は翌年度における管理費に充当する。」と定める。よって、本肢は適切である。

3 管理組合は、一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕の経費に不足を生じた場合、必要な範囲内において、理事会の決議により借入れをすることができる。

→X  不適切。標準管理規約(単棟型)第60条第1項によれば、管理組合は、「一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕」(第27条第2項第一号)等の一定の業務を行うため必要な範囲内において、借入をすることができる。一定の業務を行うための経費に不足が生じた場合も、管理組合は、必要な範囲内において借入をすることができる。理事会の決議によるのではない。総会の決議が必要。よって、本肢は不適切であり、本問の正解となる。

4 通常総会において承認された収支予算を変更しようとするときは、その変更案について臨時総会の承認を得なければならない。

→○ 適切。標準管理規約(単棟型)第55条第2項は、「収支予算を変更しようとするときは、理事長は、その案を臨時総会に提出し、その承認を得なければならない。」と定める。よって、本肢は適切である。

正解:3

第14問

【問14】 管理組合の活動における以下の取引に関し、次の記述のうち平成14年3月分の仕訳として正しいものはどれか。ただし、この管理組合の会計年度は、4月1日から翌年の3月31日までとし、期中の取引において、企業会計原則に基づき厳格に発生主義の原則によって経理しているものとする。

(取引)
管理会社から平成14年4月5日に、平成14年3月分の次の費用の請求があり、平成14年4月25日に普通預金から支払った。
   特別清掃費  30万円
   小修繕費    18万円


★発生主義ということ

  全ての費用・収益は、その支出・収入に基づいて計上し、その発生した期間
     *収入については、請求権が生じた月、
     *支出については、支出が労役などの提供又は工事などである場合は、その労役などの提供又は工事等が完了した月、物品の購入なら、その物品が納入された月
    に正しく割り当てるように処理すること。

 これにより、管理費や修繕積立金は該当月に徴収することになっているなら、未収入金(滞納)があっても、全額計上されている。

*設問は、3月の仕訳を求めている事に注意。

1→X 不適切。当期中(平成14年3月)に当期(平成14年3月)の特別清掃費と小修繕費が発生したが、これに対する支払いは翌期(平成14年4月)に行われたため、貸方は「未払金」(負債の増加)となる。借方を「普通預金」としている本肢は誤り。

2→○ 適切。発生主義によれば、平成14年3月には、特別清掃費及び小修繕費については請求があったが、実際の支払いがないので、これらは3月分としては「未払金」として計上されている。
未払金は、負債科目となる。そして負債が増加したので、貸方に「未払金480,000」と仕訳し、借方に「特別清掃費300,000 小修繕費180,000」と仕訳する。

          借方     /       貸方
  特別清掃費 300,000   /  未払金  480,000
  小修繕費  180,000

なお、実際に支払ったときの、平成14年4月の仕訳は、以下のようになる。
        借方     /       貸方
    未払金 480,000 / 普通預金 480,000

3→X 不適切。発生主義によれば、平成14年3月には、特別清掃費及び小修繕費についての支払いがないので、これらは「未払金」として計上することになる。未払金は、負債科目となる。そして負債が増加したので、貸方に「未払金480,000」と仕訳し、借方に「特別清掃費300,000 小修繕費180,000」と仕訳しなければならない。本肢は、借方と貸方の仕訳が逆である上、「未払金」とすべきところを、「銀行預金」としている誤りがある。

4→X 不適切。本肢は、借方と貸方の仕訳が逆である。

正解:2

第15問

【問15】 管理組合の税務に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1 管理組合の収入のうち管理費及び修繕積立金は、消費税の課税対象外であるが、組合員からのマンション敷地内の駐車場収入は、消費税の課税対象となる。

→X  不適切。組合員からのマンション敷地内の駐車場収入は、消費税の取扱い上不課税とされる(消費税法基本通達5-5-3)。よって、本肢は不適切である。打だし、組合員以外の駐車場使用料は、消費税の課税対象となるので、注意。(参考:取引等に係る税務上の取扱い等に関する照会(同業者団体等用)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/bunshokaito/hojin/120117/index.htm

2 管理組合は、消費税法(昭和63年法律第108号)上、公益法人と同様に取扱われるため、消費税の納税義務者とはならない。

→X  不適切。消費税法第2条第1項第七号、同法第3条によると、管理組合は、消費税法上、公益法人と同様に取り扱われ、「人格のない社団等は、法人とみなして、この法律(第十二条の二及び別表第三を除く。)の規定を適用する。」の規定により、管理組合は公益法人ではなく一般事業者扱いで、消費税の納税義務者となる。消費税の納税義務者となる。よって、本肢は不適切である。
    2020年10月18日 訂正。

3 管理組合が、組合員以外の第三者に敷地内の駐車場を賃貸した場合の収入は、消費税の課税対象となる。

→○  適切。消費税法第4条によると、組合員以外の第三者からのマンション敷地内の駐車場収入は、消費税法上資産の譲渡等に該当し、課税対象となる。よって、本肢は適切であり、本問の正解となる。

4 管理組合の管理費及び修繕積立金の預貯金に対する受取利息には、消費税が課される。

→X  不適切。消費税法第6条第1項、別表第1によると、預貯金に対する受取利息は、非課税として消費税を課さないこととしている。よって、本肢は不適切である。

正解:3

第16問   

【問16】 建築基準法(昭和25年法律第201号)第8条第2項に基づく建築物の維持保全に関する準則又は計画の作成に関し必要な指針(昭和60年建設省告示第606号)によれば、計画に掲げる項目とされているものは、次のア〜工のうち、いくつあるか。

ア 建築物の利用計画
イ 点検
ウ 建築物の建替え方針
エ 資金計画

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ

★何と細かな出題!。
  建築基準法第12条第1項に規定する建築物の維持保全に関する準則又は計画の作成に関し必要な指針
(昭和60年3月19日建設省告示第606号)

建築基準法(昭和25年法律第201号)第8条第2項の規定に基づき、同法第12条第1項に規定する建築物の維持保全に関する準則又は計画の作成に関し必要な指針を次のように定め、公布の日から施行する。

第1 総則

1 建築基準法第12条第1項に規定する建築物(以下単に「建築物」という。)の維持保全に関する準則(以下「準則」という。)又は建築物の維持保全に関する計画(以下「計画」という。)は、建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するため、この指針に従つて作成するものとする。

2 準則は、建築物について計画を作成する権限を有する者が複数ある場合において、計画相互の整合性を確保する必要があると認められるときに、それらの者の合意により当該建築物について作成するものとする。ただし、複数の建築物が一団地を形成している場合は、当該一団地について作成することができる。

3 計画は、建築物の維持保全を行う上で採るべき措置を定める必要があると認められる場合において、当該建築物の所有者又は管理者が当該建築物又はその部分について作成するものとする。ただし、複数の建築物が一団地を形成している場合は、当該一団地について作成することができる。

第2 準則に定めるべき事項

準則には、第3の各号に掲げる事項のうち計画相互の整合性を確保する上で必要があると認められる事項を定めるものとする。

第3 計画に定めるべき事項

計画には、おおむね次の各号に掲げる項目につき、それぞれ当該各号に掲げる事項を定めるものとする。

  一 建築物の利用計画 建築物又はその部分の用途等、将来の増改築の予定等に関する事項

  二 維持保全の実施体制 維持保全を行うための組織、維持保全業務の委託、建築士その他専門技術者の関与等に関する事項

  三 維持保全の責任範囲 計画作成者の維持保全の責任範囲に関する事項

  四 占有者に対する指導等 建築物の破損時等における通報、使用制限の遵守等に関する事項

  五 点検 点検箇所、点検時期、点検者、点検に当たつての判断基準、結果の報告等に関する事項

  六 修繕 修繕計画の作成、修繕工事の実施等に関する事項

  七 図書の作成、保管等 維持保全計画書、確認通知書、竣工図、設備仕様書等の作成、保管、廃棄等に関する事項

  八 資金計画 点検、修繕等の資金の確保、保険等に関する事項

  九 計画の変更 計画の変更の手続等に関する事項

  十 その他 前各号に掲げるもののほか、維持保全を行うため必要な事項

によれば、計画に掲げる項目とされているものとして、@「建築物の利用計画」、A「点検」及びB「資金計画」が掲げられている。しかし、「建築物の建替え方針」は、計画に掲げる項目に含まれていない。よって、計画に掲げる項目とされているものは3つである。

正解:3 (3つ。ウを除く。) こんなものからも出題されるとは! 不適切な出題。

第17問

【問17】 建築基準法第2条の用語の定義に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 主要構造部とは、壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない部分を除く。

→○  正。 用語の定義は、平成20年 管理業務主任者 試験 「問17」 でも出た。
  建築基準法の定義もよく出題されるので、注意のこと。
  建築基準法第2条第五号は、「主要構造部」の定義として「壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、附け柱、揚げ床、最下階の床、廻り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとする。」と定める。本肢は、「主要構造部」の定義として適切である。この規定は、防火を意識した主要構造部です。

2 大規模の修繕とは、建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕をいう。

→○  正。 建築基準法第2条第十四号は、「大規模の修繕」の定義として「建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕をいう。」と定める。本肢は、「大規模の修繕」の定義として適切である。

3 設計図書とは、建築物、その敷地又は一定の工作物に関する工事用の図面(現寸図その他これに類するものを除く。)及び仕様書をいう。

→○  正。 建築基準法第2条第十二号は、「設計図書」の定義として「建築物、その敷地又は第八十八条第一項から第三項までに規定する工作物に関する工事用の図面(現寸図その他これに類するものを除く。)及び仕様書をいう。」と定める。「設計図書」の定義として適切)

4 建築物とは、土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱又は壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)をいい、建築設備を含まない。

→X 誤。  建築基準法第2条第一号は、「建築物」の定義として「土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(略)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(略)をいい、建築設備を含むものとする。」と定める。「建築物」には、建築設備も含まれるので、これを含まないとする本肢は誤り。本問の正解となる。

正解:4  (参考:建築基準法の解説

第18問

【問18】 マンションの昇降機の維持・運行管理及び定期検査に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。


(注:建築基準法は、大幅に改正されている。新法に対応済み。)


1 建築基準法によれば、建築基準法第12条第2項(新->3項)の特定行政庁が指定する昇降機の定期検査の報告の時期は、原則としておおむね6月から1年までの間隔をおいて特定行政庁が定めるものとされている。

→○  適切。 昇降機(エレベーター)についての出題も多い。 平成20年 管理業務主任者 試験 「問25」 、平成15年 管理業務主任者 試験 「問20」 など。
  建築基準法施行規則第6条第1項「法第十二条第三項 (法第八十八条第一項 又は第三項 において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定による報告の時期は、建築設備、法第六十六条 に規定する工作物(高さ四メートルを超えるものに限る。)又は法第八十八条第一項 に規定する昇降機等(以下この条において「建築設備等」という。)の種類、用途、構造等に応じて、おおむね六月から一年までの間隔をおいて特定行政庁が定める時期(法第十二条第三項 の規定による指定があつた日以後の設置又は築造に係る建築設備等について、設置者又は築造主が法第七条第五項 又は法第七条の二第五項 の規定による検査済証の交付を受けた場合においては、その直後の時期を除く。)とする。」とあり、
昇降機の定期検査の報告の時期は、昇降機の種類、用途、構造等に応じて、おおむね6月から1年までの間隔をおいて特定行政庁が定める時期とすされる。よって、本肢は適切である。

2 建築基準法によれば、建築基準法第12条第3項の特定行政庁が指定する昇降機の定期検査項目については、昇降機の種類、用途、構造等に応じて特定行政庁がこれを定めるものとされている。(注:ここは旧法のまま。該当項目が大幅に変更されている。)

→X  不適切。建築基準法施行規則第6条第2項は、「法第12条第2項(新->3項)の規定により報告すべき事項は、建築設備等の安全、衛生、防火及び避難に関する事項で特定行政庁が定めるものとする。」と定める。したがって、昇降機の定期検査項目については、「建築設備等の安全、衛生、防火及び避難に関する事項で」特定行政庁が定めるものとなり、昇降機の種類、用途、構造等に応じて特定行政庁がこれを定めるとする本肢は誤りである。(注:この規定が無い。)

3 建築基準法には、昇降機の運行管理について詳細な規定がある。

→X  不適切。建築基準法には、昇降機の「運行管理」については規定していない。よって、同法には、昇降機の運行管理について詳細な規定があるとする本肢は誤り。そのため、(財)日本昇降機安全センター(現(財)日本建築設備・昇降機センター)が「昇降機の維持及び運行の管理に関する指針」を設けている。

4 建築基準法によれば、昇降機について定期に検査をする資格を有する者を、建築設備検査資格者という。

→X  不適切。建築基準法施行規則第4条の20第4項(新->2項)によれば、昇降機について定期に検査をする資格を有する者を、「昇降機検査資格者」という。「建築設備検査資格者」というとの本肢は不適切である。

正解:1

第19問

【問19】 消防法(昭和23年法律第186号)で定める「消防用設備等」に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 消防の用に供する設備には、消火設備、警報設備及び避難設備がある。

→○  正。 消防法施行令第7条第1項は、「法第17条第1項 の政令で定める消防の用に供する設備は、消火設備、警報設備及び避難設備とする。」と定める。本肢はこのとおりであり正しい。

2 消防用水には、防火水槽又はこれに代わる貯水池その他の用水がある。

→○  正。 消防法施行令第7条第5項は、「法第17条第1項 の政令で定める消防用水は、防火水槽又はこれに代わる貯水池その他の用水とする。」と定める。本肢はこのとおりであり正しい。

3 消火活動上必要な施設には、排煙設備、連結散水設備、連結送水管、非常コンセント設備及び無線通信補助設備がある。

→○  正。 消防法施行令第7条第6項は、「法第17条第1項 の政令で定める消火活動上必要な施設は、排煙設備、連結散水設備、連結送水管、非常コンセント設備及び無線通信補助設備とする。」と定める。本肢は、このとおりであり正しい。 なお、連結散水設備とは、消火設備とは異なり、「消火活動上必要な施設」の一つで、火災が発生した場合、煙や熱が充満することによって消防活動が難しくなることが予想される地下街や地下階に設置される設備です。

4 避難設備には、避難器具、誘導灯、誘導標識及び自動火災報知設備がある。

→X 誤。  消防法施行令第7条第4項は、「第1項の避難設備は、火災が発生した場合において避難するために用いる機械器具又は設備であつて、次に掲げるものとする。」とし、
   第一号において「すべり台、避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋その他の避難器具」、
   第二号において、「誘導灯及び誘導標識」を挙げる。
  したがって、自動火災報知設備は、「避難設備」には含まれていない。自動火災報知設備は「警報設備」に該当する。この点で本肢は誤りであり、本問の正解となる。

正解:4 (消防法からの出題もあるが、毎年細かくて対応ができない。)

第20問

【問20】 マンションの給水設備に関する次の記述のうち、建築基準法によれば、誤っているものはどれか。

1 飲料水用の給水タンクを建築物の内部、屋上又は最下階の床下に設ける場合は、外部から給水タンクの天井、底又は周壁の保守点検を容易かつ安全に行うことができるように設けなければならない。

→○  正。 この項目は、建設省告示にある。「建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第129条の2の5第2項第六号及び第3項第五号の規定に基づき、建築物に設ける飲料水の配管設備及び排水のための配管設備を安全上及び衛生上支障のない構造とするための構造方法を次のように定める。 」によると、
飲料水用の給水タンクを建築物の内部、屋上又は最下階の床下に設ける場合は、外部から給水タンクの天井、底又は周壁の保守点検を容易かつ安全に行うことができるように設けなければならない(昭和50年建設省告示第1597号)。よって、本肢は正しい。

2 飲料水用の給水タンクを建築物の内部、屋上又は最下階の床下に設ける場合は、内部が常時加圧される構造のもの及び有効容量が2立方メートル未満のものを除き、ほこりその他衛生上有害なものが入らない構造の通気のための装置を有効に設けなければならない。

→○  正。 飲料水用の給水タンクを建築物の内部、屋上又は最下階の床下に設ける場合は、内部が常時加圧される構造の給水タンク(圧力タンク等)及び有効容量が2立方メートル未満の給水タンクを除き、ほこりその他衛生上有害なものが入らない構造の通気のための装置を有効に設けなければならない(昭和50年建設省告示第1597号)。よって、本肢は正しい。

3 飲料水用の給水タンクを建築物の内部、屋上又は最下階の床下に設ける場合は、外部から内部の保守点検を容易かつ安全に行うことができる小規模なもの及び天井がふたを兼ねるものを除き、直径50cm以上の円が内接することができるマンホールを設けなければならない。

→X  誤。  飲料水用の給水タンクを建築物の内部、屋上又は最下階の床下に設ける場合は、直径「60cm以上の円が内接することができる」マンホールを設けなければならない(昭和50年建設省告示第1597号)。「直径50cm以上の円が内接することができる」マンホールを設けなければならないとする本肢は誤りであり、本問の正解となる。

4 建築物に設ける給水管については、構造耐力上主要な部分を貫通して配管する場合、建築物の構造耐力上支障を生じないように設置しなければならない。

→○ 正。 建築基準法施行令第129条の2の5第1項第二号によると、建築物に設ける給水管等を、構造耐力上主要な部分を貫通して配管する場合においては、建築物の構造耐力上支障を生じないように設置しなければならないとされる。よって、本肢は正しい。

正解:3  (これもまた、細かな出題だ。)

第21問

【問21】 マンションの排水設備に関する次の記述のうち、建築基準法によれば、誤っているものはどれか。

1 給水タンクの水抜管及びオーバーフロー管は、排水管に直接連結してはならない。

→○  正。 ここは、平成21年管理業務主任者試験 「問25」 でも出た。
    この項目は、建設省告示にある。「建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第129条の2の5第2項第六号及び第3項第五号の規定に基づき、建築物に設ける飲料水の配管設備及び排水のための配管設備を安全上及び衛生上支障のない構造とするための構造方法を次のように定める。 」によると、
給水タンクの水抜管及びオーバーフロー管を排水管に直接連結させると、排水管から逆流した排水により給水タンクが汚染されることがあるので、排水管に直接連結してはならない。(昭和50年建設省告示第1597号)。つまり、排水口空間を設けること

2 排水槽(排水を一時的に滞留させるための槽をいう。)の底の勾配は、吸い込みピットに向かって15分の1以上10分の1以下とする等内部の保守点検を容易かつ安全に行うことができる構造としなければならない。

→○  正。 排水槽の底には吸い込みピット等を設け、勾配は吸い込みピットに向かって15分の1以上10分の1以下とする等、内部の保守点検を容易かつ安全に行うことができる構造とすることとされている。(昭和50年建設省告示第1597号)

3 排水トラップは、排水管内の臭気、衛生害虫の移動を有効に防止するため、二重に設けることが望ましい。

→X  誤。  排水トラップを直列に二重に設けるいわゆる「二重トラップ」は、二つのトラップの間の圧力変動をもたらし、いわゆる空気だまりを生じ、排水障害を生ずることになるため禁止される。(昭和50年建設省告示第1597号)

4 通気管は、配管内の空気が屋内に漏れることを防止する装置を設けた場合を除き、直接外気に衛生上有効に開放しなければならない。

→○ 正。 通気管は、トラップの封水を保持したり、排水の流れを円滑にするために設ける設備であるが、配管内の空気が屋内に漏れることを防止する装置を設けた場合を除き、直接外気に衛生上有効に開放しなければならない。(昭和50年建設省告示第1597号)

正解:3  (こんな細かい出題は、コメントのしようがない。)

第22問

【問22】 建築設備に関する次の記述のうち、建築基準法によれば、誤っているものはどれか。

1 居室には、一定の換気設備を設けた場合を除いて、換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、30分の1以上としなければならない。

→X  誤。  建築基準法第28条第2項「居室には換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、二十分の一以上としなければならない。ただし、政令で定める技術的基準に従つて換気設備を設けた場合においては、この限りでない。 」とあり、換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、「20分の1以上」としなければならない。30分の1としなければならないとする本肢は誤りで、本問の正解となる。

2 建築物(換気設備を設けるべき調理室等を除く。)に設ける自然換気設備において、給気口は、居室の天井の高さの2分の1以下の高さの位置に設け、常時外気に開放された構造としなければならない。

→○  正。 建築基準法施行令第129条の2の6「建築物(換気設備を設けるべき調理室等を除く。以下この条において同じ。)に設ける自然換気設備は、次に定める構造としなければならない。
   一  換気上有効な給気口及び排気筒を有すること。
   二  給気口は、居室の天井の高さの二分の一以下の高さの位置に設け、常時外気に開放された構造とすること。
   三  排気口(排気筒の居室に面する開口部をいう。以下この項において同じ。)は、給気口より高い位置に設け、常時開放された構造とし、かつ、排気筒の立上り部分に直結すること。
   四  排気筒は、排気上有効な立上り部分を有し、その頂部は、外気の流れによつて排気が妨げられない構造とし、かつ、直接外気に開放すること。
   五  排気筒には、その頂部及び排気口を除き、開口部を設けないこと。
   六  給気口及び排気口並びに排気筒の頂部には、雨水又はねずみ、虫、ほこりその他衛生上有害なものを防ぐための設備をすること。 」とある。
第1項第二号によると、自然換気設備の給気口は、居室の天井の高さの2分の1以下の高さの位置に設け、常時外気に開放された構造としなければならない。よって、本肢は正しい。

3 3階以上の階を共同住宅の用途に供する建築物の住戸に設けるガスせん(バルコニーその他漏れたガスが滞留しない場所に設けるものを除く。以下同じ。)を、国土交通大臣が定める基準に適合する構造とした場合には、ガス漏れを検知し、警報する設備(以下「ガス漏れ警報設備」という。)を設ける必要はない。

→○  正。 建築基準法施行令第129条の2の5第八号は、「3階以上の階を共同住宅の用途に供する建築物の住戸に設けるガスの配管設備は、国土交通大臣が安全を確保するために必要があると認めて定める基準によること。」と定める。そして、昭和56年建設省告示第1099号によると、3階以上の階を共同住宅の用途に供する建築物の住戸に設けるガスせん(ガスの配管設備)の基準に適合する構造とした場合には、ガス漏れ警報設備を設ける必要はないとされる。よって、本肢は正しい。

★特に勉強したい人へ、参考までに、
 3階以上の階を共同住宅の用途に供する建築物の住戸に設けるガスの配管設備の基準を定める件
   (昭和56年6月1日建設省告示第1099号) 最終改正。 昭和62年11月14日建設省告示第1925号

  建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第129条の2の2第1項第九号(現行では第129条の2の5第1項第八号)の規定に基づき、3階以上の階を共同住宅の用途に供する建築物の住戸に設けるガスの配管設備の基準を次のように定める。

第1 ガスせんの構造
  3階以上の階を共同住宅の用途に供する建築物の住戸に設けるガスせん(バルコニーその他漏れたガスが滞留しない場所に設けるものを除く。以下同じ。)の構造は、次の第一号又は第二号に定めるところによらなければならない。

   一 ガスを使用する設備又は器具に接続する金属管、金属可とう管又は強化ガスホース(金属線入りのものに限る。)とねじ接合することができるものであること。
   二 過流出安全弁その他のガスが過流出した場合に自動的にガスの流出を停止することができる機構を有するものであること。

第2 適用の除外

ガス漏れを検知し、警報する設備(以下「ガス漏れ警報設備」という。)をガスの種類に応じて次の第一号又は第二号に定める設置の基準に適合するように設けた場合においては、第1は適用しない。

   一 空気に対する比重が1より小さいガスのガス漏れ警報設備の設置の基準は、次のとおりとする。

     (1) 検知部は、次に定めるところにより設けられていること。

     イ ガスの濃度が爆発下限界の1/4以下のとき確実に作動し、低濃度のガス、調理等の際に発生する湯気等に対して容易に作動せず、防爆性能その他ガス漏れ検知上有効な性能を有するものであること。

     ロ 一般の者が容易に取り外すことができないように取り付けるものとすること。ただし、(2)ニの(イ)又は(ロ)に掲げる場所に設けられた警報部から発する音により検知部の取外しが行われた住戸を確知することができる場合においては、この限りでない。

     ハ 次に掲げる場所に設けるものであること。

      (イ) ガスせんからの水平距離が8m以内で、かつ、ガスせんと検知部との間に間仕切壁、天井から60cm以上下方に突出したたれ壁等又は戸がない場所

      (ロ) 天井面から30cm以内の場所

      (ハ) 次に掲げる場所以外の場所

       (i) ガスを使用する設備又は器具の直上の場所

       (ii) 換気口等の空気吹出口に近接する場所

       (iii) 水蒸気、煙等が直接当たるおそれのある場所

       (iv) 家具のかげ等漏れたガスが流通しにくい場所

       (v) 周囲温度又は輻射温度が50度以上になるおそれのある場所

   (2) 警報部は、次に定めるところにより設けられていること。

     イ 検知部に有効に連動すること。

     ロ 通電している旨の表示灯が、設けられていること。

     ハ ガス漏れを検知した場合に発する警報音が、警報部から1m離れた場所において70dB以上となること。

     ニ 住戸内の場所及び次の(イ)又は(ロ)に掲げる場所に設けること。

       (イ) 当該住戸に係る共用の廊下又は階段その他これらに類する場所

       (ロ) 管理事務所、守衛所その他常時建築物を管理する者が勤務する場所

    ホ ニ(イ)又は(ロ)に掲げる場所に設けるものにあつては、ガス漏れが発生した住戸を確知することができること。

   (3) ガス漏れ警報設備に係る電気配線は、次に定めるところによること。ただし、(2)ニの(イ)又は(ロ)に掲げる場所に設けられた警報部から発する音により断線等が発生した住戸を確知することができる場合においては、この限りでない。

    イ 住戸内の全ての電気回路を同時に電源から遮断することができる開閉器に接続すること。

    ロ イに定める開閉器の負荷側において、次に定めるところによること。

      (イ) 電線管を用いること、天井の裏面に配線すること等により一般の者が容易に電流を遮断することのできない構造とすること。

      (ロ) 一般の者が容易に電流を遮断することのできる開閉器等を設けていないこと。

      (ハ) 専らガス漏れ警報設備に用いられること。

   二 空気に対する比重が1より大きいガスのガス漏れ警報設備の設置の基準は、次のとおりとする。

     (1) 液化石油ガスのガス漏れを検知するものにあつては、次に定める基準により設けられていること。

       イ 液化石油ガスの保安の確保及び取引きの適正化に関する法律(昭和42年法律第149号)第80条の4第1項の規定に基づく液化石油ガス器具等の検定等に関する省令(昭和43年通商産業省令第23号)第44条の規定による液化石油ガス用ガス漏れ警報器の技術上の基準に適合するガス漏れ警報器が設けられていること。

       ロ 検知部は、次に定めるところにより設けられていること。

        (イ) 前号(1)ロに定めるところによるものであること。

        (ロ) 次に掲げる場所に設けられていること。

           (i) ガスせんからの水平距離が4m以内で、かつ、ガスせんと検知部との間に間仕切壁又は戸がない場所

           (ii) 床面からの高さが30cm以内の場所

           (iii) 前号(1)ハ(ハ)の(i)から(iv)までに掲げる場所以外の場所

          (iv) 周囲温度又は輻射温度が40度以上になるおそれのない場所

     ハ 警報部及び電気配線は、前号(2)及び(3)に定めるところによるものであること。

   (2) 液化石油ガス以外のガス漏れを検知するものにあつては、次に定める基準により設けられていること。

     イ 前号(1)イに定める検知部が設けられていること。

     ロ 検知部は、(1)ロに定めるところにより設けられていること。

     ハ 警報部及び電気配線は、前号(2)及び(3)に定めるところによるものであること。

 

4 3階以上の階を共同住宅の用途に供する建築物の住戸に設けるガスせんの構造が、国土交通大臣の定める基準に適合しない場合に設けるガス漏れ警報設備は、警報部に通電している旨の表示灯が設けられていなければならない。

→○ 正。 建築基準法施行令第129条の2の5第八号は、「3階以上の階を共同住宅の用途に供する建築物の住戸に設けるガスの配管設備は、国土交通大臣が安全を確保するために必要があると認めて定める基準によること。」と定める。そして、昭和56年建設省告示第1099号によるとガスせんの構造が国土交通大臣の定める基準に適合しない場合に設けるガス漏れ警報設備については、警報部に通電している旨の表示灯が設けられていなければならないものとされる。よって、本肢は正しい。

正解:1  (こんな古い建設省時代の告示からも、出題されるとは。)

第23問

【問23】 避雷設備に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 高さ20mをこえる建築物には、周囲の状況のいかんにかかわらず、有効に避雷設備を設けなければならない。

→X  誤。  建築基準法第33条「高さ二十メートルをこえる建築物には、有効に避雷設備を設けなければならない。ただし、周囲の状況によつて安全上支障がない場合においては、この限りでない。 」とある。高さ20mをこえる建築物には、避雷設備を設けなければならないが、周囲の状況によって安全上支障がない場合においては設けなくてよい。

2 避雷設備は、建築物の高さ20mをこえる部分を雷撃から保護するように設けなければならない。

→○  正。 建築基準法施行令第129条の14「法第三十三条 の規定による避雷設備は、建築物の高さ二十メートルをこえる部分を雷撃から保護するように設けなければならない。 」とあり、
本肢は正しい。

3 避雷設備の構造は、雷撃によって生ずる電流を建築物に被害を及ぼすことなく安全に地中に流すことができるものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものでなければならない。

→○  正。 建築基準法施行令第129条の15「前条の避雷設備の構造は、次に掲げる基準に適合するものとしなければならない。
   一  雷撃によつて生ずる電流を建築物に被害を及ぼすことなく安全に地中に流すことができるものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものであること
   二  避雷設備の雨水等により腐食のおそれのある部分にあつては、腐食しにくい材料を用いるか、又は有効な腐食防止のための措置を講じたものであること。」とあり、
第1号により正しい。

4 避雷設備の構造は、雨水等により腐食のおそれのある部分にあっては、腐食しにくい材料を用いるか、又は有効な腐食防止のための措置を講じたものでなければならない。

→○ 正。 建築基準法施行令第129条の15第2号によると、避雷設備の雨水等により腐食のおそれのある部分にあっては、腐食しにくい材料を用いるか、又は有効な腐食防止のための措置を講じたものである必要がある。よって、本肢は正しい。

正解:1

第24問

【問24】 建築物の耐震改修の促進に関する法律(平成7年法律第123号)に関する次の記述のうち、最も不適切なもはどれか。


(注:この法律も大幅に改正されている。)


1 この法律は、阪神・淡路大震災を契機として制定された。

→○  適切。
     建築物の耐震改修の促進に関する法律からの出題は、このあと、平成20年 管理業務主任者 試験 「問22」 までない。
     建築物の耐震改修の促進に関する法律(以下、耐震改修促進法という。)は、平成7年1月の阪神・淡路大震災を受け、建築物の地震に対する安全性を確保するため、同年10月に制定されたので、本肢は正しい。

2 マンションを耐震改修しようとする者は、建築物の耐震改修の計画について所管行政庁に認定を申請できる。

→○  適切。耐震改修促進法第5条(新->第8条)第1項によると、建築物の耐震改修をしようとする者は、一定の事項を記載した耐震改修の計画を作成し、所管行政庁に、その認定を申請することができることになるので、本肢は正しい。

3 所管行政庁の認定の対象となる建築物の耐震改修の計画には、構造耐力上主要な部分を含むが、建築設備は含まない。

→X  不適切。耐震改修促進法施行規則第2条第3項によると、所管行政庁の認定の対象となる建築物の耐震改修の計画には、構造耐力上主要な部分のほか、エレベーター等の建築設備が含まれる。よって、建築設備は含まないという本肢は誤りであり、本問の正解となる。

4 建築基準法第3条第2項の規定の適用を受けている建築物(以下本問において「既存不適格建築物」という。)について、耐震改修の計画の認定を受けて当該計画に基づき大規模な修繕を行う場合には、当該工事後になお耐震関係規定以外の建築基準法等の規定に適合しない場合にも、引き続き既存不適格建築物と認められる。

→○ 適切。耐震改修促進法第律5条(新->第8条)第6項によると、所管行政庁が計画の認定をしたときは、耐震関係規定以外の建築基準法等の規定に適合しない場合にも、引き続き既存不適格建築物と認められるので、本肢は正しい。

正解:3 (難問である。)

第25問

【問25】 建築構造に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1 耐震壁は、主として鉛直荷重を負担する。

→X  不適切。耐震壁とは、筋違い(筋交い)や構造用合板などを用いて、横揺れに対抗できる強度を確保した壁のこと。鉛直荷重(えんちょくかじゅう)とは、建物に重力と同じ方向に、つまり重量によって下向きに働く荷重。建物自体の重さ、家具、人などの荷重、積雪荷重など。耐震壁は、自重などの鉛直荷重を負担するが、主として地震時における水平荷重も負担するものである。よって、本肢はもっとも不適切であり本問の正解となる。

2 柱には、一般に圧縮力、曲げモーメント及びせん断力が作用する。

→○  適切。柱には、一般に荷重による物体をつぶそうとする圧縮力、部材を曲げようとする曲げモーメント、部材を切断しようとするせん断力などが作用する。よって、本肢は正しい。

3 同一の建築物では、支持杭と摩擦杭の混用は避けるべきである。

→○  適切。基礎構法には、直接基礎(布基礎、べた基礎)、杭基礎(支持杭基礎、摩擦杭基礎)、浮き基礎、地盤改良などがあります。中でも一般的に住宅建設に用いられているのは直接基礎と杭基礎です。支持層が深く、地耐力が不足している場合、一般的に杭基礎が用いられます。杭基礎には支持杭、摩擦杭、さらに支持力と摩擦力の両方を考慮した杭基礎があります。支持杭は、支持層に杭を打ち込み建物を支える方法で、支持層まで杭が届かない場合には、杭の周面摩擦力で建物を支える摩擦杭が用いられます。同一の建物に支持杭と摩擦杭とを混用することは、不同沈下を発生させ、建築物の損傷のおそれがあるので避けるべきである。よって、本肢は正しい。

4 梁(はり)には大梁と小梁があり、一般に小梁の支える床荷重は、大梁に伝達される。

→○ 適切。梁【はり】には大梁【おおばり】と小梁【こばり】がある。マンションなどのラーメン構造では、柱に直接つながっている主要な梁を「大梁」、大梁でささえる梁を「小梁」という。 また、床荷重は床、小梁、大梁、柱、基礎、地盤の順に伝達される。一般に小梁の支える床荷重は、大梁に伝達されることになる。よって、本肢は正しい。

正解:1

ここまで、問25


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最終更新日:
2020年10月18日:問15 選択肢2:「公益法人でない」に訂正した。
2012年 4月10日:正解を太字・ピンク色統一した。また、平成23年7月の標準管理規約の改正を入れた。
2011年 4月29日:再確認済。
2011年 2月11日:「問7」、「問8」に委託契約書の改正文入。
2010年1月1日:問9に公示送達追加
2008年10月4日

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