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平成15年 管理業務主任者 試験 解説

ページ1(問1より問25まで)

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ご質問は、 「マンション管理士 香川事務所」へ。


*注: マンション標準管理規約(単棟型、団地型、複合用途型)は、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。

※ 出題当時以後の法令等の改正には、一部対応していません。

*全体の注意:区分所有法は、平成14年に改正があった。また、マンション標準管理規約は、平成16年に改正があった。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。マンション標準管理委託契約書は、平成15年に改正があった。また、平成22年5月にも改正があった。
  過去の問題を解くときには、最新の法令にあっているかどうか、注意してください。

問 1
【問 1】請負契約に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 請負契約は、注文者と請負人との間の信頼関係を基礎としているから、請負人は、特約がない限り、自ら仕事を完成させなければならない。

→X 誤。 まず、マンションの管理委託契約は、民法の「準委任契約」と「請負契約」が混合した無名(非典型)契約と解されている。そこで、この近辺はよく出題される。
   請負契約(民法第632条以下)の目的は仕事の完成自体にあるので、必ずしも請負人自ら仕事を完成させる必要はなく下請けなど他人を使用してもよい。尤も、その者と請負契約を結ぶことは一定の信頼関係を前提とするから他人への再委託は程度問題。そのため多くの業法で再委託の制限規定がある(このことは民法自体では禁止されていないことの反映)。

2 注文者は、特約がない限り、請負人に対し、仕事に着手した時に報酬を支払わなければならない。

→X 誤。 請負契約の目的は仕事の完成にあるので完成物の引渡しと報酬の支払が対応し、後払いが原則(民法第633条)(報酬の支払時期)
  「第六百三十三条  報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければならない。ただし、物の引渡しを要しないときは、第六百二十四条第一項の規定を準用する。」

3 注文者は、請負人が仕事を完成する前であれば、いつでも損害を賠償して契約を解除することができる。

→○ 正。 ここは、平成21年管理業務主任者試験 「問2」 でも出た。
    仕事の完成は注文者のために行うものであり、注文者が不要になった仕事を完成しても意味はないから、請負人に対して費用と報酬を補償すれば途中の解約を認めてかまわない(民法第641条)(注文者による契約の解除)
  「第六百四十一条  請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。」

4 注文者が破産宣告を受けたときは、破産管財人は契約を解除することができるが、請負人は契約を解除することができない。

→X 誤。 注文者の破産は仕事の対価たる報酬の支払が困難となるから請負人に解除を認める必要がある(民法第642条)。(注文者についての破産手続の開始による解除)
  「第六百四十二条  注文者が破産手続開始の決定を受けたときは、請負人又は破産管財人は、契約の解除をすることができる。この場合において、請負人は、既にした仕事の報酬及びその中に含まれていない費用について、破産財団の配当に加入することができる。 」


答え:3
問 2
【問 2】民法の規定には、その法律行為又は意思表示を無効とするものと、取り消すことができるとするものがある。次のアからオまでの法律行為又は意思表示のうち、民法の規定によれば、無効とするとされているものはいくつあるか。

ア 公序良俗に反する事項を目的とする法律行為
イ 相手方と通じてなした虚偽の意思表示
ウ 詐欺による意思表示
工 強迫による意思表示
オ 要素の錯誤による意思表示

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ


 *無効と取り消しは、常識的な設問として、良く出る。整理しておくこと。平成20年 管理業務主任者 試験 「問2」、や 平成17年 管理業務主任者 試験 「問2」平成23年 管理業務主任者試験 「問1」 。
ア 無効である。 公序良俗に反する事項を目的とする法律行為は、法が最初から効力を認めることができないから無効(第90条)。(公序良俗)
  「第九十条  公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。」


イ 無効である。 相手方と通じてなした虚偽の意思表示は、当事者双方が法律上の効果を望んでいないから無効(第94条)。(虚偽表示)
  「第九十四条  相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする
  2  前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。」


ウ 無効でない。 詐欺による意思表示は、意思表示としては欠陥がなくその形成に他人の干渉があった点で表意者の保護が必要だから取り消し可能(第96条)。(詐欺又は強迫)
  「第九十六条  詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
  2  相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
  3  前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができない。 」


エ 無効でない。 ウの選択肢で説明したように、強迫による意思表示も詐欺の場合と同様に取り消し可能(第96条)。
  ただし、詐欺と異なり脅迫には、第三者の保護がないことにも留意のこと。


オ 無効である。 要素の錯誤とは、法律行為の重要な部分での勘違い、思い違いがあった場合を指し、この場合の意思表示は、当事者が内心で意図した法律上の効果を得られないので無効(第95条)。(錯誤)
  「第九十五条  意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。」

答え: 3 (三つ、 無効なのは、ア、イ、オ)
問 3
【問 3】次のA欄に掲げる事実とB欄に掲げる権利の組み合わせとして、最も不適切なものはどれか。

A欄   B欄
1 建物を担保に金銭を貸し付けている。  抵当権
2 建物についての修繕工事代金の債権を有している。 先取特権
3 建物を無償で借りている。   使用借権
4 自家用車を駐車するため更地のまま土地を使用している。 地上権

1 →○ 適切である。 建物という不動産を目的とする約定担保には、抵当権、質権、譲渡担保、仮登記担保がありB欄の抵当権が最もポピュラー(民法第369条第1項) 
2 →○ 適切である。 建物という不動産の財産価値を保全する債権には、法定担保物権(民法第325条第2号)としての先取特権が成立する。
3 →○ 適切である。 建物の無償使用は、使用貸借という契約(民法第593条)であり物権は設立せず、その使用権が使用借権である。
4 →X 適切でない。 駐車用地の更地の使用は、有償の場合は賃貸借、無償の場合は使用貸借という契約で地上権という物権は成立しない。民法第265条によると、地上権は他人の土地において工作物又は竹木を所有するためその土地を使用する権利である。

答え: 4
問 4
【問 4】AがBから建物を賃借している場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 Aは、建物賃借権についての登記がなくても、Bから建物の引渡しを受けていれば、その引渡し後にその賃借建物をBから買い受けた者に対して、建物賃借権を対抗することができる。

→○ 正しい。 借地借家法からの出題も時々ある。 平成20年 管理業務主任者 試験 「問43」 、 平成18年 管理業務主任者 試験 「問44」 など。
    借家権(建物賃借権)の対抗要件としては民法第 605条の登記の他、借地借家法第31条により引渡しも認められている。(建物賃貸借の対抗力等)
  「第三十一条  建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる。」

2 Aが賃借建物について有益費を支出したときは、BはAに対して、直ちに、その償還をしなければならない。

→X 誤っている。 借家人の必要費(雨漏り修繕費など)の支出は直ちに償還を要する(民法第 608 条 1 項)が、有益費(使いやすくするなど)の支出は契約終了時である(民法第 608 条 2 項)。(賃借人による費用の償還請求)
  「第六百八条  賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。
  2  賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、第百九十六条第二項の規定に従い、その償還をしなければならない。ただし、裁判所は、賃貸人の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。」

3 Aは、Bの承諾を得ることなく建物賃借権を第三者に譲渡することはできないが、賃借建物を第三者に転貸するときは、Bの承諾を要しない。

→X 誤っている。 ここは、良く出題されるので、注意の事。 平成20年 マンション管理士試験 「問3」、 平成20年 管理業務主任者試験 「問5」 など。
   賃借権の譲渡、転貸は賃貸人(大家)の承諾事項である(民法第 612 条)(賃借権の譲渡及び転貸の制限)
  「第六百十二条  賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
  2  賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。」

4 Bが賃貸建物の保存に必要な行為をしようとするときに、Aは、これを拒むことができる。

→X 誤っている。 賃借人は賃貸人の行う保存行為(修繕など)を受忍しなければならない(民法第 606条2項)(賃貸物の修繕等)
  「第六百六条  賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。
  2  賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない。」

答え: 1
問 5
【問 5】抵当権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、最も不適切なものはどれか。

1 抵当権者となるのは、債権者であるが、抵当権設定者となるのは、必ずしも債務者とは限らない。

→○ 正しい。 平成25年 マンション管理士試験 「問13」 。
 まず、抵当権とは、債権者が担保目的物である不動産の引渡しを受けることなく、その使用・収益を担保提供者(債務者または物上保証人)にさせておき、債務が弁済されない場合に、その物の価額から優先的に弁済を受ける制度です。これには、第三者が他人の債務のために抵当権を設定する場合(物上保証、 第372 条、 第351 条)もある。

2 土地に抵当権を設定した場合において、その土地の上に建物があるときに、その抵当権の効力は建物には及ばない。

→○ 正しい。 民法においては、土地と建物は別箇の不動産のため抵当権の効力(優先弁済権、 第370 条)は互いに独立している。(抵当権の効力の及ぶ範囲)
  「第三百七十条  抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産(以下「抵当不動産」という。)に付加して一体となっている物に及ぶ。ただし、設定行為に別段の定めがある場合及び第四百二十四条の規定により債権者が債務者の行為を取り消すことができる場合は、この限りでない。 」

3 抵当権設定当時、土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、競売の結果、その土地と建物の所有権が別人に属することとなったときには、地上権を設定したものとみなされる。

→○ 正しい。 現行法では一般的な自己借地権は認められていないため、設問のように土地と建物の所有権が別の人に属するような状況の場合、建物は、法的な権原がなくなり、他人の土地の上に存在することになり、撤去することになります。そこで、建物の存続という社会的利益を図るためこの場合には地上権(法定)が成立するようにしています。( 第388 条)(法定地上権)
  「第三百八十八条  土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合において、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。 」

4 抵当権の目的となるのは不動産であって、地上権や永小作権が抵当権の目的となることはない。

→X 不適切である。 抵当権は民法上、不動産の他、地上権、永小作権も目的にできる( 第369 条 2 項)し、特別法により自動車、船舶、農機具等の動産や工場、企業等の集合体も目的にできる。(抵当権の内容)
  「第三百六十九条  抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
  2  地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる。この場合においては、この章の規定を準用する。 」

答え: 4
問 6
【問 6】マンション標準管理委託契約書における管理事務の定めに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

(注:財産の分別管理を中心に一部改正されたマンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則の平成22年5月1日施行をうけ、マンション標準管理委託契約書も改正があったので、注意のこと。
 ここは、改正前のままです。)


1 マンション標準管理委託契約書では、管理事務の内容として、事務管理業務、管理員業務、清掃業務及び建物・設備管理業務が掲げられているが、警備業務についても管理員業務の中に含まれている。

→X 不適切である。 警備業務が、マンション標準管理委託契約書に入っているか、いないかは、よく出題される。平成21年管理業務主任者試験 「問7」 など。
   管理事務の内容について、マンション標準管理委託契約書は、第3条において、
  (管理事務の内容及び実施方法)
  「第3条 管理事務の内容は、次のとおりとし、別表第1から第4に定めるところにより実施する。
   一 事務管理業務(別表第1に掲げる業務)
   ニ 管理員業務(別表第2に掲げる業務)
   三 清掃業務(別表第3に掲げる業務)
   四 建物・設備管理業務(別表第4に掲げる業務) 」
 とし、管理員業務の内容を示す別表第2には警備業務は含まれていない。なお、警備業務を営業とする場合には都道府県公安委員会の認定が必要となります。(参照:警備業法が別にある。)また、防火管理者の業務も、管理事務には入っていません。

2 マンション標準管理委託契約書では、事務管理業務の中に、マンション(専有部分を除く。)の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整は含まれていない。

→X 不適切である。 事務管理業務の内容を示す 別表第1に 基幹事務の( 3 )としてマンション(専有部分を除く。)の維持又は修繕に関する企画又は調整は含まれている。

3 マンション標準管理委託契約書では、基幹事務以外の事務管理業務の中に、マンションに係る設計図書、管理規約の原本等の保管に関する業務が含まれている。

→○ 適切である。 事務管理業務の内容を示す 別表第1に 2 基幹事務以外の事務管理業務のBとしてマンションに係る設計図書、管理規約の原本等の保管に関す る業務が含まれている。

4 マンション標準管理委託契約書では、管理会社は、基幹事務以外の事務管理業務について、その全部又は一部を第三者に再委託することができるものとしている。

→X 不適切である。 契約書第4条で、
  (第三者への再委託)
   「第4条 乙(管理会社)は、前条第ニ号、第三号又は第四号の管理業務の全部又は一部を、第三者に再委託することができる。
   2 乙が前項の規定に基づき管理業務を第三者に再委託した場合においては、乙は、再委託した管理事務の適正な処理について、甲に対して、責任を負う。」
   とあり、管理会社が再委託を認められるのは、@管理員業務、A清掃業務、B建物・設備管理業務のみであり、基幹事務を含んだ事務管理業務については全体としてその再委託は認められていない。(前条=第3条については、選択肢1を参照。)

答え: 3
問 7
【問 7】マンション標準管理委託契約書における管理組合及び管理組合の組合員等に対する管理会社の免責の定めに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

(注:財産の分別管理を中心に一部改正されたマンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則の平成22年5月1日施行をうけ、マンション標準管理委託契約書も改正があったので、注意のこと。
 ここは、改正前のままです。)


1 マンション標準管理委託契約書では、災害又は事故等による損害について、その損害額が一定額を超えるときは、管理会社は、その一定額を超える損害額については、賠償する責任を負わないものとしている。

→X 不適切である。 平成25年 管理業務主任者試験 「問7」 。
 契約書第 17 条には、「乙(管理会社)は、甲(管理組合)又は甲の組合員等が、第8条第1項各号に掲げる災害又は事故等(乙の責めによらない場合に限る)による損害及び次の各号に掲げる損害を受けたときは、その損害を賠償する責任を負わないものとする。
  一 乙が善良なる管理者の注意をもって管理事務を行ったにもかかわらず生じた管理対象部分の異常又は故障による損害
  ニ 乙が、書面をもって注意喚起したにもかかわらず、甲が承認しなかった事項に起因する損害
  三 前各号に定めるもののほか、乙の責めに帰することができない事由による損害」
とあるが、設問のような賠償額の上限を定める規定はない。

2 マンション標準管理委託契約書では、管理会社が善良なる管理者の注意をもって管理事務を行ったにもかかわらず生じた管理対象部分の異常又は故障による損害については、管理会社は、その賠償の責任を負わないものとしている。

→○ 適切である。 選択肢1で説明した契約書第 17 条第 1 号の免責事由である。

3 マンション標準管理委託契約書では、管理会社が書面をもって注意を喚起したにもかかわらず、管理組合が承認をしなかった事項に起因する損害については、管理会社は、その賠償の責任を負わないものとしている。

→○ 適切である。 選択肢1で説明した契約書第 17 条第 2 号の免責事由である。

4 マンション標準管理委託契約書では、管理会社の責めに帰することができない事由による損害については、管理会社は、その賠償の責任を負わないものとしている。

→○ 適切である。 選択肢1で説明した契約書第 17 条本文前段の免責事由である。

答え 1
問 8
【問 8】マンション標準管理委託契約書における契約の解除等の定めに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

(注:財産の分別管理を中心に一部改正されたマンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則の平成22年5月1日施行をうけ、マンション標準管理委託契約書も改正があったので、注意のこと。
 ここは、改正前のままです。)

1 マンション標準管理委託契約書では、管理会社が管理組合の債務不履行を理由に管理委託契約を解除する場合には、あらかじめ履行の催告をする必要があるが、管理組合が管理会社の債務不履行を理由に管理委託契約を解除する場合には、催告をする必要はないものとしている。

→X 適切でない。 平成23年 管理業務主任者試験 「問7」 、 平成20年 管理業務主任者試験 「問9」 、平成18年 マンション管理士試験 「問33」 、平成16年 管理業務主任者試験 「問7」 
    契約書第 18 条第 1 項 「甲(管理組合)及び乙(管理会社)は、その相手方が、本契約に定められた義務の履行を怠った場合は、相当の期間を定めてその履行を催告し、相手方が当該期間内に、その義務を履行しないときは、本契約を解除することができる。この場合、甲又は乙は、その相手方に対し、損害賠償を請求することができる。」と定める。よって、管理組合が管理会社の債務不履行を理由に管理委託契約を解除する場合も、あらかじめ履行の催告をする必要がある。

2 マンション標準管理委託契約書では、管理委託契約の更新について申出があった場合において、その契約の有効期間が満了する日までに更新に関する協議がととのう見込みがないときは、管理組合及び管理会社は、その契約と同一の条件で暫定契約を締結することができるものとしている。

→○ 適切である。 契約書第 21 条第 2 項「本契約の更新について申出があった場合において、その有効期間が満了する日までに更新に関する協議がととのう見込みがないときは、甲及び乙は、本契約と同一の条件で、期間を○月間とする暫定契約を締結することができる。」と定める。この場合に暫定契約を締結することができるものとしている。

3 マンション標準管理委託契約書では、管理会社が銀行の取引を停止されたときは、管理組合は、管理会社に対し、書面により解約の申入れを行うことにより、管理委託契約を解約の申入れの日から3月経過後に終了させることができるものとしている。

→X 適切でない。 契約書第 18 条第 2 項「甲は、乙が次の各号のいずれかに該当するときは、本契約を解除することができる。」とした上で、その第1号において「乙が銀行の取引を停止されたとき、若しくは破産、会社更生、会社整理、民事再生の申立てをしたとき、又は乙が破産、会社更生、会社整理の申立てを受けたとき」と定める。第 1 号によれば、この場合無催告で直ちに解除できるものとしている。

4 マンション標準管理委託契約書では、「本契約の有効期間は、○○年○月○日から○○年○月○日までとする。」と定め、その上で、期間満了前までに両者から管理委託契約の更新の申出がない場合には、自動更新されるものとしている。

→X 適切でない。 契約書第 20 条、第 21 条第 1 項によれば、契約または期間は自動更新されない。自動更新は認められていない。(この自動更新の項目は、以前に自動更新ばかりされて、いつの間にか契約内容が不明になった反省が入っている。)

答え 2
問 9
【問 9】マンション(マンション管理適正化法第2条第1号に規定するものをいう。)の管理費の滞納に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 管理費を滞納している区分所有者が、マンションの専有部分を売却した場合、当該売買契約において、「買主は、売主が滞納している管理費に係る支払債務を承継しない」旨の明確な合意がなされているときでも、買主はその滞納している管理費の支払義務を負う。

→○ 正しい。 売買でマンションを買った人は、特定承継人となり、区分所有法第8条「前条第1項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。」と定める。これにより滞納区分所有者の特定承継人(買主)は滞納区分所有者と不真正の連帯債務を負い、売買当事者間の取り決めは管理組合に主張できない。

2 管理費を滞納している区分所有者が、勤務先である会社の倒産によって収入がないためその管理費を支払うことができない事情にあることが真実であれば、当該区分所有者は債務不履行にならない。

→X 誤っている。 事例の事実では滞納は心情的にはやむを得ないが、法律では管理費支払債務等の金銭債務については不可抗力でも責任を免れない(民法 第419 条2項( ->3項)。(金銭債務の特則)
  「第四百十九条  金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、法定利率(注:年5%)によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。
  2  前項の損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しない。
  3  第一項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。

3 区分所有者が管理費を納付すべき期日に納付しなかった場合、規約に特別の定めをしていない限り、当該区分所有者は、遅延損害金の支払義務を負わない。

→X 誤っている。 確定期限のある債務は期限到来により遅滞となる(民法第 412 条 1 項)(履行期と履行遅滞)
  「第四百十二条  債務の履行について確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した時から遅滞の責任を負う。
  2  債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来したことを知った時から遅滞の責任を負う。
  3  債務の履行について期限を定めなかったときは、債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。
  そして、債務不履行による損害賠償責任が発生し(同法第415条)、(債務不履行による損害賠償)
  「第四百十五条  債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。」とある。
 また、管理費は、金銭債務であるため、特に定めがないと、
法定利率の5%の遅延損害金を払う義務がある。(同法第419条)(金銭債務の特則)
  「第四百十九条  金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。
  2  前項の損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しない。
  3  第一項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。」


4 管理費を滞納している区分所有者が死亡した場合、遺産分割により当該区分所有者の区分所有権を取得する相続人が決定するまでは、管理組合はその滞納している管理費を請求することができない。

→X 誤っている。 区分所有者が死亡した場合、滞納管理費債務は相続人に承継(包括承継といいます)される。この債務は、被相続人の生前に発生した具体的なものである以上、遺産分割により当該区分所有権を誰が取得するかとは別に、相続人全員に承継されているので、管理組合は、相続人に対し、滞納管理費債権を請求することができる。相続は死亡と同時に開始し(民法第 896 条)、相続債務は区分建物の帰属如何にかかわらず相続分に応じて当然に承継される(民法第 899 条)
  「第八百九十九条  各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。」

答え 1 (なお、区分所有法の解説は、別途「超解説 区分所有法」がありますので、こちらも参考にしてください。)
問 10
【問10】マンションの管理費の支払債務についての消滅時効に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 管理費を滞納している区分所有者が、「必ず支払いますから、しばらく待って欲しい」と管理者に告げた場合、その支払債務の時効は中断する。

→○ 正しい。 時効についてもよく出題される。中断事由は理解しておくこと。
   管理費を滞納している区分所有者が、「必ず支払いますから、しばらく待って欲しい」と管理者に告げた場合は、債務の存在を認め支払い意思を表明しており承認(民法第 147 条)にあたり時効は中断する。(時効の中断事由)
  「第百四十七条  時効は、次に掲げる事由によって中断する。
   一  請求
   二  差押え、仮差押え又は仮処分
   三  承認

2 管理費の支払債務の時効の起算日は、その管理費の支払期日が経過した時である。

→○ 正しい。 消滅時効の起算日は、債権者が権利行使できるときであり(民法 第166 条 1 項)、管理費の支払い債務は、その支払期日が到来すれば権利を行使することができる。(消滅時効の進行等)
  「第百六十六条  消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する。
  2  前項の規定は、始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占有する第三者のために、その占有の開始の時から取得時効が進行することを妨げない。ただし、権利者は、その時効を中断するため、いつでも占有者の承認を求めることができる。」

3 管理者が病気で長期入院したときは、管理費の支払債務の時効は中断する。

→X 誤っている。 心情的なことと、法律の規定は無関係である。選択肢1でも引用した民法第147条は時効の中断事由として、請求、差押、仮差押、仮処分、承認を挙げている。管理者が長期入院という事由は時効中断事由として挙げられていない。中断事由には個人的な事由は含まれない。

4 管理費を滞納している区分所有者に対し、訴えを提起したとしても、その訴えを取り下げた場合は、時効の中断の効力は生じない。

→○ 正しい。 裁判上の請求は訴えの却下又は取り下げがあった場合には、時効の中断の効力を生じないとする。訴えの中断効は取下げで失効する(民法第 149 条)(裁判上の請求)
  「第百四十九条  裁判上の請求は、訴えの却下又は取下げの場合には、時効の中断の効力を生じない。 」

答え 3
問11
*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

【問11】管理組合が徴収する管理費及び特別修繕費に関する次の記述のうち、中高層共同住宅標準管理規約(単棟型)(昭和57 年住宅宅地審議会答申。以下「標準管理規約」という。)によれば、最も適切なものはどれか。
(注:標準管理規約は、平成16年に大幅な改正があった。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。ここは、元のまま。主旨は、変わっていない。)
1 管理費及び特別修繕費の負担割合を定めるに当たっては、各区分所有者の敷地及び共用部分等の使用頻度等を勘案して決めることとしている。

→X 適切でない。 「管理費等の負担割合を定めるに当たっては、使用頻度は勘案しない」(中高層共同住宅標準管理規約コメント第 24 条関係@)

2 管理費のうち、管理組合の運営に要する費用については、組合費として他の管理費とは分離して徴収することができる。

→○ 適切である。 「管理費のうち、管理組合の運営に要する費用については、組合費として管理費とは分離して徴収することもできる。」(中高層共同住宅標準管理規約コメント第 24 条関係A)

3 自治会費及び町内会費については、管理費から支出する。

→X 適切でない。 「自治会費、町内会費等は地域コミュニティの維持・育成のため居住者が任意に負担するものであり、マンションという共有財産を維持・管理していくための費用である管理費等とは別のものである。」(中高層共同住宅標準管理規約コメント第 24 条関係B)

4 管理組合は、管理費及び特別修繕費に不足が生じた場合でも、組合員に対して追加負担を求めることができない。

→X 適切でない。 「管理費等に不足を生じた場合には、管理組合は組合員に対して第 24 条第2項に定める管理費等 の負担割合により、その都度必要な金額の負担を求めることができる。」(中高層共同住宅標準管理規約第 58 条第2項)

答え 2
問12
【問12】管理事務に要する費用の負担及び支払方法に関する次の記述のうち、マンション標準管理委託契約書によれば、最も不適切なものはどれか。

(注:財産の分別管理を中心に一部改正されたマンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則の平成22年5月1日施行をうけ、マンション標準管理委託契約書も改正があったので、注意のこと。
 ここは、改正前のままです。)


1 定額委託業務費(委託業務費のうち、その負担方法が定額でかつ精算を要しない費用)については、管理事務の範囲・内容との関係を明確にするため、原則として管理委託契約書において内訳を明示しなければならない。

→○ 適切である。  平成23年 管理業務主任者試験 「問8」 平成20年 マンション管理士試験 「問33」 平成20年 管理業務主任者試験 「問13」 、平成19年 管理業務主任者試験 「問8」 、平成16年 管理業務主任者試験 「問13」 。
   マンション標準管理委託契約書第6条第2項第1号によると、定額委託業務費については、管理事務の範囲・内容との関係を明確にするため、管理委託契約書に添付した別紙で内訳を明示するとされている。また、「定額委託業務費の内訳を明示することにより、(中略)管理事務の範囲・内容と定額委託業務費の関係を明確化することとしたものである。ただし、(中略)管理委託契約締結前に行う重要事項説明等の際に、マンション管理業者が管理組合に対して見積書等であらかじめ定額委託業務費の内訳を明示している場合であって、当事者間で合意しているときは、管理委託契約に定額委託業務費の内訳を記載しないことができる。」(マンション標準管理委託契約書コメント6第6条関係@)

2 委託業務費のうち、定額委託業務費以外の費用の額についても、原則として管理委託契約書において内訳を明示しなければならない。

→○ 適切である。 「定額委託業務費以外の費用の額(消費税額等を含む。)は 別紙二のとおり」として別紙二「定額委託業務費以外の業務費の内訳明示例」が示されている。(マンション標準管理委託契約書第5条第3項、及び別紙二)

3 委託業務費の中には、管理会社の管理事務の実施に伴い必要となる水道光熱費、通信費、消耗品費等の諸費用は含まれていない。

→○ 適切である。 「委託業務料のほか、甲(マンション管理組合)は乙(マンション管理会社)が管理事務を実施するのに必要となる共用部分の水道光熱費や通信費等の費用も負担するものとしている。」(マンション標準管理委託契約書コメント6第6条関係A)  「管理会社の水道光熱費、通信費、消耗品費等の諸費用」ではない。

4 定額委託業務費の中には、管理会社の一般管理費や利益は含まれていない。

→X 適切でない。 マンション標準管理委託契約書コメント 19 別紙 1 関係に「定額委託 業務費の構成は一様ではないので、内訳明示の方法を三つ例示している」とあるように、定額委託業務費の内訳「別紙一」として、業務費に「一般管理費及び利益」が含まれておらず管理報酬を別途計上しているもの 1 例、ならびに同費用が含まれているもの 2 例が例示されている。業務費に含まれない例では管理報酬として別途計上されており、いずれも委託業務費に「一般管理費及び利益」が含まれている。

答え 4
問13
*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

【問13】管理組合の会計等に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、最も不適切なものはどれか。

(注:標準管理規約は、平成16年に大幅な改正があった。ここは、元のまま。主旨の変更はない。)

1 管理組合には、役員として会計担当理事を置くことになっている。

→○ 適切である。 「管理組合に次の役員を置く。
   一 理事長
   二 副理事長 →○名
   三 会計担当理事 →○名
   四 理事(理事長、副理事長、会計担当理事を含む。以下、同じ。)→○名
   五 監事 →○名                         」
   (中高層共同住宅標準管理規約(単棟型)第 33 条、同(団地型)第 35 条、同(複合用途型)第 37 条)

2 管理組合の監事は、財産状況の監査を行うが、業務執行状況の監査は行わない。

→X 適切でない。 「監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況を監査し、その結果を総会 (団地型では、団地総会と読み替える。)に報告しなければならない。」(中高層共同住宅標準管理規約(単棟型)第 39 条、同(団地型)第 41 条、同(複合用途型)第 43 条)

3 理事長は、会計帳簿、什器備品台帳、組合員名簿及びその他の帳票類を作成して保管しなければならない。

→○ 適切である。 「理事長は、会計帳簿、 什器備品台帳、組合員名簿及びその他の帳票類を作成して保管し(中略)なければならない。」
(中高層共同住宅標準管理規約(単棟型)第 61 条、同(団地型)第 63 条、同(複合用途型)第 66 条)

4 組合員が駐車場使用料その他の敷地及び共用部分等に係る使用料を滞納した場合、管理組合は、遅延損害金を加算して請求し、収受した遅延損害金は通常の管理に要する費用に充当する。

→○ 適切である。 「組合員が(中略)納付すべき金額を納付しない場合には、管理組合は、その未払金額について年利→○%の遅延損害金を加算して、その組合員に対して請求する。」「前項の遅延損害金は、第 26 条 ( 複合型では、第 27 条と読み替える。)に定める費用(管理費)に充当する。」
(中高層共同住宅標準管理規約(単棟型)第 57 条第2項、第3 項、同(団地型)第 59 条第2項、第3項、 同(複合用途型)第 62 条第2項、第3項)

答え 2
問14
問14】管理組合の活動における以下の取引に関し、次の記述のうち平成15年3月分の仕訳として正しいものはどれか。ただし、この管理組合の会計年度は、4月1日から翌年の3月31日までとし、期中の取引において、企業会計原則に基づき厳格な発生主義によって経理しているものとする。

(取引)

 平成15年3月に、平成15年4月1日から新規に使用開始する予定になっている敷地内駐車場の使用者から、敷金として1万円、4月分の駐車場使用料として1万円の入金が管理組合の普通預金にあった。




*初めてマンションの会計処理の設問を読むと、戸惑うが、キーワードは、「発生主義ということ」 
    発生主義とは、全ての費用・収益は、その支出・収入に基づいて計上し、その発生した期間
     *収入については、請求権が生じた月、
     *支出については、支出が労役などの提供又は工事などである場合は、その労役などの提供又は工事等が完了した月、物品の購入なら、その物品が納入された月
    に正しく割り当てるように処理すること。

   これにより、管理費や修繕積立金は該当月に徴収することになっているなら、未収入金(滞納)があっても、全額計上されている。

 敷金の扱いなど、似たような出題は、平成21年管理業務主任者試験 「問15」 にある。

*入金であるので、普通預金の借方に ¥20,000
  その明細は、
   敷金 ¥10,000 は解約時には返金の対象となるので、「預り金」勘定で処理。
   駐車場使用料 ¥10,000 は、次月の4月分なので「前受金」とする。

 (単位:円)
      (借方)       |       (貸方)
  普通預金 20,000   |   預り金  10,000
                  |   前受金 10,000

答え 1
問15
【問15】管理組合の支出に関する次の記述のうち、消費税法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 大規模修繕を行うための借入金の支払利息は、消費税の課税対象となる。

→X ならない。 消費税の課税の対象とは、国内において事業者が事業として対価を得て行う試算の譲渡等と輸入取引である。ここに「資産の譲渡等」とは、事業として有償で行われる商品や製品の販売、資産の貸付けとサービスの提供である。預貯金や貸付金の利子は、このいずれにもあたらない。大規模修繕を行うための借入金の支払利息は、消費税の課税対象とならない。(非課税取引)

2 管理組合が支払う水道光熱費、電話料は、消費税の課税対象とはならない。

→X なる。 水道光熱費、電話料は、事業として行われるサービスの提供の対価にあたるので、消費税の課税対象である「資産の譲渡」にあたる。管理組合が支払う水道光熱費、電話料は、消費税の課税対象となる。 ( 課税取引 )

3 管理組合が雇用している従業員に支払う給与は、消費税の課税対象となる。

→X ならない。 雇用契約に基づく労働の対価であり、「事業」として行う資産の譲渡等の対価に当たらない。管理組合が雇用している従業員に支払う給与は、消費税の課税対象とならない。(不課税取引)

4 管理組合が修繕工事代金の振込みを行う際、金融機関に支払う振込手数料は、消費税の課税対象となる。

→○ なる。 金融機関に支払う払込手数料は、振込みという事業として行われるサービスに対する対価にあたり、消費税の課税対象である「資産の譲渡」にあたる。管理組合が修繕工事代金の振込みを行う際、金融機関に支払う振 込手数料は、消費税の課税対象となる。(課税取引)

答え 4
問16
【問16】階段等に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 回り階段の部分における踏面の寸法は、踏面の狭い方の端から30cmの位置において測る。

→○ そのとおり。 回り階段では、内側と外側で長さが異なる。そこで、建築基準法法施行令第23条第2項は、「回り階段の部分における踏面の寸法は、踏面の狭い方の端から30cmの位置において測るものとする。」と定める。



2 高さが50cm以下で幅が10cm以下の手すりを設けた場合、階段の幅は、手すりがないものとみなして算定する。

→○ そのとおり。 同法施行令第23条第3項は、「階段及びその踊場に手すり及び階段の昇降を安全に行うための設備でその高さが50cm以下のものが設けられた場合における第1項の階段及びその踊場の幅は、手すり等の幅が10cmを限度として、ないものとみなして算定する。」と定める。

3 高さ2mの階段の場合、両側に側壁を設ければ手すりを設けなくてよい。

→X 誤っている。 同法施行令第25条第1項は、「階段には、手すりを設けなければならない。」と定める。ただし同条第4項は、高さ1m以下の階段の部分には、適用しないとする。両側に側壁を設ければ手すりを設ける必要はないとはされていないので、本肢は誤りである。 ここは、平成22年 マンション管理士試験 「問20」 でもでた。

4 階段に代わる傾斜路の勾配は、8分の1をこえてはならない。

→○ そのとおり。 同法施行令第26条第1項第1号によると、階段に代わる傾斜路の勾配は、8分の1を超えてはならないとされる。


答え  3
問17
【問17】建築基準法第12条第1項及び第2項に規定する建築物の定期調査及び建築設備の定期検査を行う者に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

*注意: 建築基準法第12条は、改正があった。施行:平成28年6月1日。ここは未対応です。

1 一級建築士、二級建築士であれば、建築物の定期調査及び建築設備の定期検査のすべてを行うことができる。

→○ そのとおり。

2 建築基準適合判定資格者で国土交通大臣が定める要件を満たしているものは、建築物の定期調査及び建築設備の定期検査のすべてを行うことができる。

→○ そのとおり。

3 国土交通大臣が指定した特殊建築物等調査資格者講習の修了者で国土交通大臣が定める要件を満たしているものは、建築物の定期調査を行うことができるが、建築設備の定期検査を行うことはできない。

→○ そのとおり。

4 国土交通大臣が指定した建築設備検査資格者講習の修了者で国土交通大臣が定める要件を満たしているものは、建築設備の定期検査のすべてを行うことができる。

→X 出来ない。


*参考:建築基準法施行規則 4 条の 20
 「第四条の二十  法第十二条第一項 に規定する法第六条第一項第一号 に掲げる建築物その他政令で定める建築物の敷地、構造及び建築設備について調査を行う国土交通大臣が定める資格を有する者(以下「特殊建築物等調査資格者」という。)は、国土交通大臣が定める要件を満たし、かつ、次のいずれかに該当する者とする。
   一  建築基準適合判定資格者
   二  特殊建築物等調査資格者として必要な知識及び技能を修得させるための講習で、国土交通大臣が指定するものを修了した者
   三  前二号に掲げる者のほか国土交通大臣の定める資格を有する者
2  前項第二号の規定による講習の指定は、次に掲げる基準に適合すると認められる者が実施する講習について行う。
   一  職員、講習の実施の方法その他の事項についての講習の実施に関する計画が講習の適正かつ確実な実施のために適切なものであること。
   二  前号の講習の実施に関する計画を適正かつ確実に実施するに足りる経理的基礎及び技術的能力があること。
   三  講習以外の業務を行つている場合には、その業務を行うことによつて講習が不公正になるおそれがないこ と。
3  第一項第二号の規定による指定を受けた講習を実施する者の名称及び主たる事務所の所在地並びに講習の名称は、次のとおりとする。
   講習を実施する者 講習の名称
   名称 主たる事務所の所在地
   財団法人日本建築防災協会 東京都港区虎ノ門二丁目三番二十号 特殊建築物等調査資格者講習


4  法第十二条第二項 の規定に基づき昇降機(法第八十八条第一項 に規定する昇降機等を含む。以下この条及び第六条において同じ。)について検査を行う国土交通大臣の定める資格を有する者(以下「昇降機検査資格者」という。)は、 国土交通大臣が定める要件を満たし、かつ、次のいずれかに該当する者とする。
   一  建築基準適合判定資格者
   二  昇降機検査資格者として必要な知識及び技能を修得させるための講習で、国土交通大臣が指定するものを修了した者
   三  前二号に掲げる者のほか国土交通大臣の定める資格を有する者
5  前項第二号の規定による講習の指定は、次に掲げる基準に適合すると認められる者が実施する講習について行う。
   一  職員、講習の実施の方法その他の事項についての講習の実施に関する計画が講習の適正かつ確実な実施のために適切な ものであること。
   二  前号の講習の実施に関する計画を適正かつ確実に実施するに足りる経理的基礎及び技術的能力があること。
   三  講習以外の業務を行つている場合には、その業務を行うことによつて講習が不公正になるおそれがないこと。
6  第四項第二号の規定による指定を受けた講習を実施する者の名称及び主たる事務所の所在地並びに講習の名称は、次のとおりとする。
   講習を実施する者 講習の名称
   名称 主たる事務所の所在地
   財団法人日本建築設備・昇降機センター 東京都港区虎ノ門一丁目十三番五号 昇降機検査資格者 講習


7  法第十二条第二項 の規定に基づき法第六条第一項第一号 に掲げる建築物その他法第十二条第一項 の政令で定める建築物の昇降機以外の建築設備について検査を行う国土交通大臣が定める資格を有する者(以下「建築設備検査資格者」という。)は、国土交通大臣が定める要件を満たし、かつ、次のいずれかに該当する者とする。
   一  建築基準適合判定資格者
   二  建築設備検査資格者として必要な知識及び技能を修得させるための講習で、国土交通大臣が指定するものを修了した者
   三  前二号に掲げる者のほか国土交通大臣の 定める資格を有する者
8  前項第二号の規定による講習の指定は、次に掲げる基準に適合すると認められる者が実施する講習について行う。
   一  職員、講習の実施の方法その他の事項についての講習の実施に関する計画が講習の適正かつ確実な実施のために適切なものであること。
   二  前号の講習の実施に関する計画を適正かつ確実に実施するに足りる経理的基礎及び技術的能力があること。
三     講習以外の業務を行つている場合には、その業務を行うことによつて講習が不公正になるおそれがないこと。
9  第七項第二号の規定による 指定を受けた講習を実施する者の名称及び主たる事務所の所在地並びに講習の名称は、次のとおりとする。
   講習を実施する者 講習の名称
   名称 主たる事務所の所在地
   財団法人日本建築設備・昇降機センター

★定期報告と資格者、時期のまとめ

定期報告が必要な建築物など 調査、検査をする資格者 報告時期
6条1項1号など 一級建築士、二級建築士、特殊建築物等調査資格者 6ヵ月〜
3年
昇降機 一級建築士、二級建築士、昇降機検査資格者 6ヵ月〜
1年
建築設備 一級建築士、二級建築士、建設設備検査資格者


答え 4  特殊建築物等調査資格者、昇降機検査資格者及び建築設備検査資格者と建築基準適合判定資格者 がなにをする人かを知っていれば、答 えは得られそうです。
問18
【問18】建築構造に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1 直接基礎とは、上部構造からの荷重を杭などを用いずに直接地盤に伝える基礎をいう。

→○ そのとおり。 この直接基礎は、建築物が比較的軽量である場合や、良質の土質が地表近くに存在している場合に用いられる。


2 鉄筋コンクリート構造は一体式構造であり、トラス構造によるものが一般的である。

→X 誤りである。  鉄筋コンクリート構造は、鉄筋とコンクリートの長所を生かすように合理的に組み合わせた構造であり、柱・梁によるラーメン構造をとる場合と、柱型・梁型をなくして壁式構造をとる場合が一般的ある。トラス構造によるものは一般的とはいえず、本肢は不適切である。
 トラス構造とは、三角形を単位とした骨組構造のこと。木材や鋼材などの部材をピン接合で三角形を単位としてつなぎ合わせたもので、大スパンの梁・橋梁・洋小屋組などに用いられる。








3 鉄筋コンクリート構造は、一般には、鉄骨鉄筋コンクリート構造よりさらに靭性(粘り強さ)の高い耐震耐火構造である。

→X 誤りである。 鉄骨鉄筋コンクリートは、鉄骨構造を鉄筋コンクリートで皮膜したものであり、鉄筋コンクリート構造よりさらに靭性(粘り強さ)が高い耐震耐火構造である。

4 壁は、柱・梁と一体であっても耐震要素として期待できない。

→X 誤りである。 柱・梁と一体になった壁は、地震時の水平荷重による骨組みの変形を防ぎ、建築物全体の剛性を高めるので、耐震要素として非常に重要な構造部材となる。




答え  1  1は マンション管理の知識「3訂版」 p 478 参照 基礎の大別:直接基礎・杭基礎
問19
【問19】コンクリートに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1 ワーカビリチーとは、コンクリートの打込み作業の難易程度をいい、スランプ試験などによって評価される。

→○ そのとおり。  ワーカビリチー(=ワーカビリティー)とは、コンクリートの打ち込み作業(コンクリートを完全に流し込むための作業)の難易程度をいう。また、その難易程度はスランプ試験、落下試験などにより評価される。



2 フレッシュコンクリート(生コン)に含まれるセメントペースト中のセメントに対する水の容積比を水セメント比という。

→X 誤りである。  水セメント比(W/C)は、フレッシュコンクリート(生コン)に含まれるセメントペースト中のセメントに対する水の重量比を言う。容積比ではない。液体と粉との量を比べるには、重量の方が便利です。

3 セメントと水との反応は発熱反応であり、この反応熱を水和熱という。

→○ そのとおり。 セメントは水と混錬すると発熱する。従って水とセメントの反応は発熱反応であり、その反応熱を水和熱という。

4 コンクリート中の空隙は、練り混ぜ・打込みの際に発生するものや、コンクリートの打込み後に混練水の一部が乾燥により失われることなどにより発生するものがある。

→○ そのとおり。  コンクリート中の空隙は、練り混ぜ・打ち込みの際に発生するものと、コンクリートの打ち込み後に混錬水の一部が乾燥により失われることなどにより発生するものがある。


答え  2  
問20
【問20】(財)日本昇降機安全センター(現(財)目本建築設備・昇降機センター)が平成5年6月に策定した「昇降機の維持及び運行の管理に関する指針」において、運行管理者の業務に含まれないものは、次のうちどれか。

1 定期点検・整備

→X 含まれない。 「昇降機の維持及び運行の管理に関する指針」については、平成20年 管理業務主任者 試験 「問25」 、平成14年 管理業務主任者 試験 「問18」 など出題は多い。
   まず、昇降機(エレベーター)の運行管理については、建築基準法ではなんら規定がないことに注意。(財)日本昇降機安全センター(現(財)目本建築設備・昇降機センター)の策定した指針を国土交通省でも勧めている。そこで、この設問になる。

「 昇降機の維持及び運行の管理に関する指針」

第1 目的
 この指針は、建築基準法(以下「法」という。)第8条による昇降機の維持及び運行の管理に関して必要な事項を定め、昇降機の安全を確保することを目的とする

第2 用語の定義
 この指針において、用語の定義は、次のとおりとする。

  一 所有者等 昇降機の所有者又は管理者をいう。
  二 運行管理者 直接、昇降機の運行業務を管理する者をいう。
  三 運行管理者等 運行管理者、運転者その他昇降機の運行又は管理に係る業務に従事する者をいう。
  四 専門技術者 昇降機の保守・点検を専門に行う者をいう。
  五 運転者 直接、昇降機を運転する者をいう。


第3 運行管理者の選任
 所有者等は、昇降機の運行を直接管理させるために、昇降機の運行に関して十分な知識を有する運行管理者を原則として建物ごとに選任するものとする。ただし、昇降機の用途、構造及び設置台数その他の状況により管理上支障がない場合は、複数の建物に1人とすることができる。

第4 運転者の選任
 所有者等は、昇降機の運行に当たり、操作方式その他構造上運転者を必要とする場合又は昇降機の用途及び利用者の利用状況その他の理由により専任の運転者が必要と判断される場合は、運行管理者の意見を聞いて、次の要件を満す者を迎転者として選任するものとする。

  一 満18才以上の者
  二 昇降機の運転について必要な知識を有する者


第5 運行管理者等の教育
 所有者等は、運行管理者等に対して、当該業務の遂行上必要な、次の教育を行うものとする。

  一 昇降機に関する一般知識
  二 昇降機に関する法令等の知識
  三 昇降機の運行及び取扱いに関する知識
  四 火災発生時又は地震発生時に講ずべき措置
  五 故障時又は停電時に講ずべき措置
  六 人身事故発生時に講ずべき応急措置
  七 その他昇降機の安全な運行に必要な事項


第6 運行管理規程の作成及び遵守
 所有者等は、運行管理者等が運行の安全確保のために守るべき、次の事項について、運行管理規程を定め遵守するものとする。

  一 日常の運行管理に関する事項
  二 運行管理日誌の作成及び保存に関する事項
  三 定期点検・整備及び修理に関する事項
  四 法第12条第2項の規定に基づく定期検査に関する事項
  五 事故・故障発生時の措置及び報告に関する事項
  六 教育に関する事項


第7 救急体制
 所有者等は、昇降機に係る人身事故が発生した場合、これに適切に対処するため、あらかじめ次の措置を講じ、運行管理者等に熟知させる必要がある。

  一 医薬品、担架、梯子等の救急用具を常備し、定置場所を明示すること。
  二 救急のための医療機関との連携方法を定めること。
  三 専門技術者への連絡方法を定めること。


第8 人身事故発生時の措置
1  所有者等は、昇降機に係る人身事故等が発生したときは、速やかに次の措置を講じる必要がある。

  一 応急手当等必要な措置
  二 消防署及び医療機関への連絡
  三 被害者の家族への連絡
  四 専門技術者への連絡
  五 特定行政庁その他関係官公署への連絡


2  所有者等は、前項の事故が発生した場合においては、次のとおり特定行政庁に別記様式により報告するものとする。

  一 昇降機事故速報 事故が発生した時から24時間以内
  二 昇降機事故詳報 事故処理が解決した日から起算して7日以内


第9 定期検査及び報告
1 法第12条第2項の規定に基づき指定された昇降機の所有者等は、1年に1回以上、定期に、 建設大臣の定める資格を有する者(以下「昇降機検査資格者」という。) 等に当該昇降機の検査を行わせ、その結果を、昇降機定期検査報告書に作成し、 昇降機に関する地域法人等を経由して特定行政庁に報告するものとする。
2  所有者等は、前項の昇降機定期検査報告書の写しを3年以上保存するものとする。

第10 定期検査報告済証の掲示
 所有者等は、昇降機ごとに、第9の定期検査の報告を証明する「定期検査報告済証」を、エレベーターにあっては、かご内の見やすい位置に、 エスカレーター又は小荷物専用昇降機にあっては、見やすい適切な位置に掲示するものとする。

第11 標識の掲示等
 所有者等は、昇降機ごとの見やすい適切な位置に、必要な次の標識の掲示等を行うものとする。

  一  一般エレベーター
    (イ) 用途、積載荷重、定員及び禁煙
    (ロ) 利用方法及び非常連絡装置の使用方法
    (ハ) 荷物専用のものにあっては、荷扱い者以外の人の搭乗禁止

  二  非常用エレベーター
    (イ) 用途(非常用)、積載荷重、定員及び禁煙
    (ロ) 利用方法及び非常連絡装置の使用方法
    (ハ) 避難階における避難経路その他必要な事項

  三  エスカレーター
    (イ) 正しい乗り方
    (ロ) 必要に応じ、利用者に注意を促す放送等

  四  小荷物専用昇降機
    (イ) 人の搭乗禁止
    (ロ) 積載荷重

第12 定期点検・整備等

  一  所有者等は、昇降機の維持及び運行の安全を確保するため、使用頻度等に応じて専門技術者に、おおむね1月以内ごとに、点検その他必要な整備又は補修を行わせるものとする。
  二  所有者等は、前項の点検等を行った場合は、その記録を3年以上保存すること。


第13 防火管理
 所有者等は、危険物の規制に関する政令等に準拠し、油圧エレベーターに関し防火管理上必要な事項を定めるとともに防火管理の万全を期すものとする。

  一 所有者等は、昇降機の維持及び運行の安全を確保するため、使用頻度等に応じて専門技術者に、おおむね1月以内ごとに、点検その他必要な整備又は補修を行わせるものとする。
  二 所有者等は、前項の点検等を行った場合は、その記録を3年以上保存すること。


第14 巡回管理

一 運行管理者は、昇降機の運行中随時巡回し、運行に支障が無いことを確認するものとする。
二 運行管理者は、前項において昇降機の運行に支障があると認めたときは、直ちに運行を中止して所有者等に報告し、専門技術者に整備させるものとする。


第15 災害発生時又は停電時の措置
 運行管理者は、災害発生時又は停電時には、次の措置を講じるものとする。

  一 地震又は火災が発生したときは、直ちにかご内の人を誘導避難させ、その後電源を切り、運行を中止すること。ただし、非常用エレベーターで非常用として使用する場合はこの限りでない。
  二 前号により運行を中止した昇降機については、専門技術者に連絡し運行再開前に点検及び試運転を行うこと。
  三 運行管理者は、利用者がエレベーターのかご内に閉じ込められたときは、かごを移動することなく戸を開くことにより、安全に救出できる場合を除き、専門技術者に救出させること。ただし、火災等の緊急時はこの限りでない。


第16 鍵等の管理

  一 運行管理者は、昇降機の機械室、操作盤等の鍵及び乗場の戸の非常解錠用鍵を関係者以外の者に使用又は管理させないこと。
  二 前項の鍵の他、モーターハンドル、ブレーキ開放レバー等の非常用器具は、保管場所を定めて厳重に保管し、非常時の使用に支障のないようにすること。


第17 運転者の心得
 運転者は、昇降機の運転をする場合においては、運行管理規程を遵守するものとする。


  「昇降機の維持及び運行の管理に関する指針」において、所有者等は、昇降機の維持及び運行の安全を確保するため、使用頻度に応じて資格を有する専門技術者に、おおむね1月以内ごとに点検その他必要な整備又は補修を行わせるものとする。よって、昇降機の定期点検・整備は所有者が専門技術者に行わせるものであり、運行管理者の業務には含まれない。 所有者等の責務

2 巡回管理

→○ 含まれる。 同指針第14条第1項によると、運行管理者は、昇降機の運行中随時巡回し、運行に支障がないことを確認することとされる。運行管理者の業務

3 災害発生時又は停電時の措置

→○ 含まれる。 同指針第15条によると、運行管理者は、災害発生時又は停電時には一定の措置を講じるものとされている。運行管理者の業務

4 昇降機の機械室、操作盤等の鍵の管理

→○ 含まれる。 同指針第16条第1項によると、運行管理者は、昇降機の機械室、操作盤等の鍵及び乗り場の戸の非常施錠鍵を関係者以外の者に使用又は管理させないものとされている。 運行管理者の業務


答え  1 所有者 と運行管理者と専門技術者の存在を知っていれば、答えできそうです。 (しかし、こんなところからの設問は、ひどい!)
問21
【問21】消防法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。(新法に対応すみ。

1 消防法の目的には、地震等の災害による被害の軽減が含まれる。

→○ 正しい。 平成25年 管理業務主任者試験 「問24」 。
 消防法は単に火災に関する規定だけでなく、地震等の災害に因る被害を軽減も含んで制定されてます。それは、消防法第 1 条 「この法律は、火災を予防し、警戒し及び鎮圧し、国民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに、火災又は地震等の災害に因る被害を軽減し、もつて安寧秩序を保持し、社会公共の福祉の増進に資することを目的とする。 」

2 マンションの大規模の修繕若しくは大規模の模様替えで建築基準法第6条第1項による確認を必要とする場合には、当該マンションの所在地を管轄する消防長又は消防署長による同意が必要である。

→○ 正しい。 消防法第 7 条 「 建築物の新築、増築、改築、移転、修繕、模様替、用途の変更若しくは使用について許可、認可若しくは確認をする権限を有する行政庁若しくはその委任を受けた者又は建築基準法 (昭和二十五年法律第二百一号)第六条の二第一項 (同法第八十七条第一項 において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定による確認を行う指定確認検査機関(同法第七十七条の二十一第一項 に規定する指定確認検査機関をいう。以下この条において同じ。)は、当該許可、認可若しくは確認又は同法第六条の二第一項 の規定による確認に係る建築物の工事施工地又は所在地を管轄する消防長又は消防署長の同意を得なければ、当該許可、認可若しくは確認又は同項 の規定による確認をすることができない。ただし、確認(同項 の規定による確認を含む。)に係る建築物が都市計画法 (昭和四十三年法律第百号)第八条第一項第五号 に掲げる防火地域及び準防火地域以外の区域内における住宅(長屋、共同住宅その他政令で定める住宅を除く。)である場合又は建築主事が建築基準法第八十七条の二 において準用する同法第六条第一項 の規定による確認をする場合においては、この限りでない。 」

3 火を使用する設備の位置、構造及び管理その他火の使用に関し火災の予防のために必要な事項は、政令で定める基準に従い市町村条例でこれを定めている。

→○ 正しい。 消防法第 9 条 「かまど、風呂場その他火を使用する設備又はその使用に際し、火災の発生のおそれのある設備の位置、構造及び管理、こんろ、こたつその他火を使用する器具又はその使用に際し、火災の発生のおそれのある器具の取扱いその他火の使用に関し火災の予防のために必要な事項は、政令で定める基準に従い市町村条例でこれを定める。」とある。

4 消火器及び避難器具についての技術上の基準を定めた政令等の規定が施行又は適用される際、現に存する消火器及び避難器具が当該規定に適合しないときは、当該規定は適用されず、従前の規定が適用される。

→X 誤っている。 消防用設備等の技術上の基準を定めた政令等の規定が施行又は適用される際、現に存する消防用設備等が当該規定に適合しないときは、当該規定は適用されず、従前の規定が適用されるはずである。これは法律不遡及の原則からも当然である。しかしながら、消防法第17条の2第1項により例外的に、消火器、非難器具については、従前の規定ではなく当該規定が適用される。
  消防法第 17 条の 2の5 「第十七条第一項の消防用設備等の技術上の基準に関する政令若しくはこれに基づく命令又は同条第二項の規定に基づく条例の規定の施行又は適用の際、現に存する同条第一項の防火対象物における消防用設備等(消火器、避難器具その他政令で定めるものを除く。以下この条及び次条において同じ。)又は現に新築、増築、改築、移転、修繕若しくは模様替えの工事中の同条同項の防火対象物に係る消防用設備等がこれらの規定に適合しないときは、当該消防用設備等については、当該規定は、適用しない。この場合においては、当該消防用設備等の技術上の基準に関する従前の規定を適用する。

  適用除外から、消火器、避難器具その他政令で定めるものは除外され、適用される。
  施行令 34 条 が政令条文。

答え  4 (これもまた、設問が細かすぎる。解説書にない。)
問22
【問22】住戸中央(セントラル)方式給湯設備に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1 給湯機には、料金の安い深夜電力を利用し夜間に一定量の水を加熱して貯湯する方式のものがある。

→○ そのとおり。 住戸中央(セントラル)方式給湯設備とは、各住戸に設けた給湯器から各給湯箇所(風呂、洗面、キッチン等)へ配管で給湯する方式である。マンションでは一般的に採用されている。この熱源として、ガスを利用したガス瞬間湯沸器型と、料金の安い深夜電力を利用し、夜間に一日分を85℃〜90℃に加熱して貯湯する電気式がある。

2 ガス給湯機の給排気方式には、密閉式で送風機を用いない自然給排気式(BF式)や、密閉式で送風機を用いる強制給排気式(FF式)がある。

→○ そのとおり。 ガス給湯機の給排気方式には、密閉式で送風機を用いない自然給排気式や、密閉式で送風機を用いる強制給排気式がある。

3 ガス瞬間式給湯機の能力表示に用いられる単位の1号は、流量1リットル/minの水の温度を10℃上昇させる能力をいい、1.5kWに相当する。

→X 不適切である。 マンション管理の知識「3訂版」 P 513  Aガス瞬間湯沸器より、「 1 号とは、入水を 25 ℃ / 分 上昇させ、 1 L出湯できる能力をいう。」。温度を10 ℃/分ではなく、25 ℃ / 分です。(こんな細かい設問だけど、平成17年 管理業務主任者 試験 「問25」でも出ている。)

4 ガス瞬間式給湯機には、常に最良の空気・ガスの比率で燃焼させる空燃比制御方式や、種火のないダイレクト着火方式のものがある。

→○ そのとおり。 ガス瞬間給湯器には、空燃比制御方式やダイレクト着火方式等とがある。空燃比制御方式とは、常に最良の空気・ガスの比率で燃焼させる方式である。ダイレクト着火方式とは、種火なしで直接着火する方式である。

答え  3 (実に細かな設問だ。これで適切な出題かな。)
問23
【問23】排水設備に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1 排水トラップ内部のたまり水を封水といい、封水深は25o以上125o以下とする。

→X 適切でない。 トラップ内部のたまり水を封水、ためた部分を水封部という。封水の深さ(封水深)は5cm(50mm)〜10cm(100mm)とされる(平成12年5月30日告示1406号による)。封水深さ 25mm以上〜125mm以下は間違い

2 排水横管の必要最小勾配は、管径が太くなるほど小さくなる。

→○ 適切である。 排水管と通気管は、どうも素人には分かり難いが、これもよく出題されるので、整理しておくこと。
  排水管は自然流下方式であり、その勾配が重要である。一般に排水横管の管径が太いものほど緩やかな勾配とする。マンション管理の知識「3訂版」 P 512 表  512  表 3-1-5  参照

管径(mm) 勾配
65以下 最小 1/50
75、100 最小 1/100
125 最小 1/150
150以上 最小 1/200

 *チョット勉強:トラップごとに通気管を設置すれば自己サイホン作用は起こらないし、通気管を設けて排水管内に大気圧を導入すれば誘導サイホン作用、跳ね出し作用による封水の減少(破封)を防止できます。
通気管の主たる設置目的は破封防止です。
さらに、通気管を設置することで、排水管内の流れが円滑化し、排水管系統の換気にもなります。
通気管には、 @ループ通気管  A各個通気管  B伸頂通気管 があります。
 @ループ通気方式 : 排水横枝管の最上流部の個別器具排水管接続部から通気管を立ち上げて、器具グループで通気する。最下流の器具排水管接続部と排水立て管接続部間に逃し通気管を接続する。日本で一般的に用いられている。
 A各個通気方式 : 個別の器具排水管に各個通気管を立ち上げ排水横枝管に接続しそれを通気立て管に接続する。確実な動作が可能であるが、個別器具ごとに接続するため配管費用が高い。
 B伸頂通気方式 : 排水立ての管径を縮小することなく延長しそのまま大気中に開放する。通気立て管近傍のみに器具が集中している場合に用いられる。




3 特殊継手排水システムでは、一般にループ通気管のみを有している。

→X 適切でない。 平成27年 マンション管理士試験 「問44」 。
  特殊継手排水システムの特徴は一般に通気管としては伸頂通気管のみを有し、各階の横枝管接続部に特殊形状の継手を用いている。よって、一般にループ通気管のみを有しているという本肢は不適切である。

4 排水立て管に流れる流量は下層階ほど多くなるので、上層階の排水立て管の管径は、最下部の最も大きな排水負荷を負担する部分の管径より小さくすることができる。

→X 適切でない。 排水立て管は上層階も下層階も同一の管径にするのが適切である。上層階の排水立て管の管径を下層階の排水立て管の管径に比して細くするのは不適切である。

マンション管理の知識「3訂版」 P 512 参照

答え  2
問24
【問24】建築基準法に基づく居室内における化学物質の発散に対する衛生上の措置(シックハウス対策)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

(注:新法に対応していない。設問の建築基準法第28条の2 は改正があり、現在は、石綿も入っている。)

1 居室を有する建築物は、その居室内において政令で定める化学物質の発散による衛生上の支障がないよう、建築材料及び換気設備について政令で定める技術的基準に適合するものとしなければならない。

→○ 適切である。 似たような出題は、平成23年 管理業務主任者試験 「問18」 や 平成16年 管理業務主任者試験 「問24」 。
   そのとおり。(旧:建築基準法第28条の2。 居室を有する建築物は、その居室内において政令で定める化学物質の発散による衛生上の支障がないよう、建築材料及び換気設備について政令で定める技術的基準に適合するものとしなければならない。」と定める。現在は、石綿も入っている。)

2 規制対象物質は、クロルピリホス及びホルムアルデヒドである。

→○ 適切である。 旧:同法施行令第20条の4は、「法第28条の2の政令で定める化学物質は、クロルピリホス及びホルムアルデヒドとする。」と定める。

3 居室に機械換気設備を設ける場合にも、天井裏、床裏などから居室へのホルムアルデヒドの流入を抑制するための措置を講ずるなど、衛生上の支障がないようにしなければならない。

→○ 適切である。 

4 居室の内装の仕上げにクロルピリホスの発散速度が0.005mg/uh以下の材料のみを用いる場合、政令で定める面積以下であれば、その使用が可能である。

→X 不適切である。 建築基準法 第28 条の 2 、同施行令 20 条の 5、 クロルピリホスは、使用禁止とされた。

答え  4
問25
【問25】住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく住宅の性能に関する表示基準及びこれに基づく評価の制度に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1 日本住宅性能表示基準は、住宅の性能に関し「構造の安定に関すること」「火災時の安全に関すること」などの項目について、等級や数値等で表示することを定めている。

→○ 適切である。

2 指定住宅性能評価機関は、住宅性能評価を行うときは、国土交通省令で定める要件を備える評価員に住宅性能評価を実施させなければならない。

→○ 適切である。  住宅の品質の確保の促進等に関する法律第12条第1項は、「指定住宅性能評価機関は、住宅性能評価を行うときは、建設省令で定める方法に従い、評価員に住宅性能評価を実施させなければならない。」と定める。

3 建設住宅性能評価書の交付を受けた住宅について、建設工事の請負契約又は売買契約に関する紛争が生じた場合、当該紛争の当事者は、指定住宅紛争処理機関に対し、当該紛争のあっせん、調停及び仲裁を申請することができる。

→○ 適切である。  同法第63条第1項によると、指定住宅紛争処理機関は、建設住宅性能評価書が交付された住宅(評価住宅)の建設工事の請負契約又は売買契約に関する紛争の当事者の双方又は一方からの申請により、当該紛争のあっせん、調停及び仲裁(住宅紛争処理)の業務を行うとされる。従って、建設住宅性能評価書が交付された住宅(評価住宅)につき、建設工事の請負契約又は売買契約に関し紛争が生じた場合、紛争の当事者は、指定住宅紛争処理機関に当該紛争のあっせん、調停及び仲裁を申請することができることになる。

4 住宅性能評価の制度は、新築住宅のみを対象とし、既存住宅には適用されない。

→X 不適切である。 同法第5条第1項に、住宅性能評価とは、設計された住宅又は建設された住宅について、日本住宅性能表示基準に従って表示すべき性能に関し、評価方法基準に従って評価することをいうとの記述がある。ここには新築住宅に限る旨の記載はないので、住宅性能基準の制度は、既存住宅にも適用がある。住宅性能評価の制度は、新築住宅のみでなく、中古住宅の性能表示制度があり、既存住宅にも適用される。

答え 4  (こんな法律からも出題があるとは!)
ここまで、問25

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最終更新日:
2018年 8月20日:リンク先を「higuchi」へ変更。建築基準法第12条の改正を入。
2012年 4月14日:正解の太字・ピンク色での統一。平成23年7月の標準管理規約の改正を入。
2011年 4月24日:再確認中
2011年 2月11日:「問6」、「問7」、「問8」、「問12」に委託契約書の改正注意文入
2010年 3月 2日:ちょろちょろと加筆など
2008年11月 9日

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