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平成27年(2015年) マンション管理士 試験問題 及び 解説


ページ2(問26より問50まで)
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謝辞:当問題の作成にあたっては、金井様、青木様のご協力を戴いております。

なお、テキスト文への変更にあたっては、青木様の多大なるご助力を得、感謝いたしております。

ご質問は、 「マンション管理士 香川事務所」へ。


*注: マンション標準管理規約(単棟型、団地型、複合用途型)は、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。(2016年 5月 3日:下線や取消し線で対応した。)
 また、「マンションの管理の適正化に関する指針」も平成28年3月に改正がありましたので、注意してください。

※ 出題当時以後の法令等の改正には、一部は対応していません。

*試験に臨んで、お節介なアドバイス
  1.設問にあわせて、問題用紙に ○(まる)、X(ばつ)をつける。
    殆どの設問が、「正しい」か「間違い」かを訊いてきますので、設問により、問題の頭に、○かXをつけます。
    そして、各選択肢を読み、○かXをつけます。
    問題の○なりXと、選択肢の○かXが一致したものを、マークシートに記入してください。

  2.疑問な問題は、とりあえず飛ばす。
    回答の時間は限られています。
    そこで、回答として、○かXかはっきりしないものがでたら、「?」マークをつけて、次の問題に移ります。
    全部の回答が終わってから、再度戻って決定してください。

  3.複雑な問は、図を描く。
    甲、乙、A、B、Cなど対象が多い問題もでます。
    この場合、問題用紙の空いているところに、図を描いてください。
    重要な点が分かってきます。

(出題者からの注意) 
次の注意事項をよく読んでから、始めてください。
(注意)
1 これは試験問題です。問題は、1ページから28ページまでの50問です。
2 試験開始の合図と同時に、問題のページ数を確認してください。
 もし落丁や乱丁があった場合は、ただちに試験監督員に申し出てください。
3 答は、別の解答用紙に記入してください。
 解答用紙に記入する際は、解答用紙の注意事項をよく読み、所定の要領で記入してください。
4 答は、各問題とも1つだけです。
 2つ以上の解答をしたもの、判読が困難なものは、正解としません。
5 問題中法令に関する部分は、平成27年4月1日現在施行中の規定に基づいて出題されています。


解説者からのコメント:あやふやな出題、適切でない出題もあって、解答ができないのもあります。


※  マンション標準管理規約は、平成16年に改正があった。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。
   マンション標準管理委託契約書は、平成15年に改正があった。また、平成22年5月にも改正があった。


問26
〔問 26〕 区分所有者が専有部分の売買又は賃貸借を行う場合における管理組合の対応に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切でないものはどれか。

*注: マンション標準管理規約(単棟型、団地型、複合用途型)は、平成28年3月に改正があり、対応した。(2016年 5月3日)


1 駐輪場を使用する者は使用料を管理組合に支払わなければならない旨が売買契約以前の総会で決議されていた場合において、規約に駐輪場使用料の規定がなく、売買契約時に駐輪場使用料に係る説明を受けなかった場合でも、買主である新区分所有者は、駐輪場を使用するときは、管理組合に駐輪場使用料を支払わなければならない。

○ 適切である。 新区分所有者は、特定承継人となる。
 通常の民法の債権・債務関係にあれば、専有部分を買った者(新区分所有者)は、契約で取決めがなかったことや規定されていない事項については、拘束されませんから、設問のような場合には、支払うことはありませんが、区分所有法ではマンションという特殊性から、売買で購入した者(特定承継人)に対して、区分所有者が負っていた債務を負わせることにしています。
 それが、区分所有法第8条

 「(特定承継人の責任)
 第八条  
前条第一項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。 」 です。
 区分所有法第8条で引用されています、前条(第7条)は、先取特権の規定です。 詳細は、マンション管理士 香川 が提供しています、「超解説 区分所有法」 の第8条を参考にしてください。
 区分所有法第7条
 「(先取特権) 第七条  区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは
集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権についても、同様とする。
 2  前項の先取特権は、優先権の順位及び効力については、共益費用の先取特権とみなす。
 3  民法 (明治二十九年法律第八十九号)第三百十九条 の規定は、第一項の先取特権に準用する。 」


 これをうけ、標準管理規約5条
 (注:平成28年3月の改正でも変更なし。)
 「(規約及び総会の決議の効力)
 第5条 
この規約及び総会の決議は、区分所有者の包括承継人及び特定承継人に対しても、その効力を有する
 2 占有者は、対象物件の使用方法につき、区分所有者がこの規約及び総会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。 」
 また、同コメント第5条関係 「包括承継は相続、特定承継は売買及び交換等の場合をいう。賃借人は、占有者に当たる。」
 とあるので、専有部分を新規に購入した者(新区分所有者)は、以前の総会で決議がなされていると、規約に記載がなくても、また、説明を受けていなくても、駐輪場を使用するなら、管理組合にその使用料を払わなければなりませんから、適切です。


 


2 管理費の滞納がある区分所有者が専有部分を売却する場合において、売買契約書に売主側が売買代金から滞納管理費を支払う旨の定めがあるときは、管理組合は、買主である新区分所有者に対し、滞納管理費の支払を請求することはできない。

X 適切でない。 当事者間の取決めは、第三者である管理組合を拘束しない。請求できる。
 選択肢1でも述べましたように、区分所有法では、滞納管理費等があれば、その支払義務は、買主である新区分所有者(特定承継人)に対してもあるとしていますから、例え売買契約書に売主側が売買代金から滞納管理費を支払う旨の定めがあっても、その取決めは、第三者である管理組合を拘束しませんから、管理組合は、新区分所有者に対し、滞納管理費の支払を請求することができますので、適切です。
 債権者である管理組合が、該当の取決めに対して合意していない以上、新区分所有者は、旧区分所有者が管理費等を滞納していれば、払わなければなりません。
  これは、標準管理規約なら、26条にあります。
 (注:平成28年3月の改正点。)
 「(承継人に対する債権の行使)
 第26条 管理組合が管理費等について有する債権は、区分所有者の 包括承継人及び 特定承継人に対しても行うことができる。」



3 組合員が専有部分を賃貸した場合において、当該組合員が総会招集通知のあて先の届出をしなかったときは、招集通知の内容をマンション内の掲示板に掲示すれば足りる。

○ 適切である。
 もう、区分所有法からの解説は飛ばして、直接、標準管理規約43条  (注:平成28年3月の改正点。)
 「(招集手続)
 第43条 総会を招集するには、少なくとも会議を開く日の2週間前(会議の目的が建替え決議 又はマンション敷地売却決議  であるときは2か月前)までに、会議の日時、場所及び目的を示して、組合員に通知を発しなければならない。
 2 前項の通知は、管理組合に対し組合員が届出をしたあて先に発するものとする。ただし、その届出のない組合員に対しては、対象物件内の専有部分の所在地あてに発するものとする。
 3 第1項の通知は、対象物件内に居住する組合員及び前項の届出のない組合員に対しては、その内容を所定の掲示場所に掲示することをもって、これに代えることができる。
 4 第1項の通知をする場合において、会議の目的が第47条第3項第一号、第二号若しくは第四号に掲げる事項の決議又は建替え決議 若しくはマンシ ョン敷地売却決議 であるときは、その議案の要領をも通知しなければならない。
  (以下、略)」  とあり、
 標準管理規約43条2項によれば、届出のない組合員に対しては、対象物件内の専有部分の所在地あてに出しますが、また3項により、その内容を所定の掲示場所に掲示することをもって、これに代えることができます、から適切です。



4 組合員が専有部分を賃貸するに際し、専有部分の模様替えについての承認申請があった場合に、承認の判断に際し調査等により特別な費用がかかるときは、申請者に費用の負担を求めることができる。

○ 適切である。
 専有部分の修繕では、標準管理規約17条  (注:平成28年3月の改正点。)
 「(専有部分の修繕等)
 第17条 区分所有者は、その専有部分について、修繕、模様替え又は建物 に定着する物件の取付け若しくは取替え(以下「修繕等」という。) であって共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのあるもの  を行 おうとするときは、あらかじめ、理事長(第35条に定める理事長をいう。 以下同じ。)にその旨を申請し、書面による承認を受けなければならない。
 2 前項の場合において、区分所有者は、設計図、仕様書及び工程表を添付した申請書を理事長に提出しなければならない。
 3 理事長は、第1項の規定による申請について、理事会(第51条に定める理事会をいう。以下同じ。)の決議により、その承認しようとするとき、又は不承認としようとするときは、理事会(第51条に定める理事会をいう。以下同じ。)の決議を決定し経なければならない。
   承認しようとするとき、 又は不承認としようとするときは、理事会(第51条に定める理事会をいう。以下同じ。)の決議を経なければならない。
 4 第1項の承認があったときは、区分所有者は、承認の範囲内において、 専有部分の修繕等に係る共用部分の工事を行うことができる。
 5 理事長又はその指定を受けた者は、本条の施行に必要な範囲内において、 修繕等の箇所に立ち入り、必要な調査を行うことができる。この場合において、区分所有者は、正当な理由がなければこれを拒否してはならない。 
  6  第1項の承認を受けた修繕等の工事後に、当該工事により共用部分又は他の専有部分に影響が生じた場合は、当該工事を発注した区分所有者の責任と負担により必要な措置をとらなければならない。
  7  区分所有者は、第1項の承認を要しない修繕等のうち、工事業者の立入り、工事の資機材の搬入、工事の騒音、振動、臭気等工事の実施中における共用部分又は他の専有部分への影響について管理組合が事前に把握する必要があるものを行おうとするときは、あらかじめ、理事長にその旨を届け出なければならない。
 」 とあり、

  「同コメント第17条関係 E 承認の判断に際して、調査等により特別な費用がかかる場合には、申請者に負担させることが適当である。
 とありますから、修繕を承認する判断において、調査等により特別な費用がかかる場合には、申請者に負担させることは、適切です。



答え:2

 標準管理規約は、区分所有法を基に作成されている、単なる「見本」であるということは、理解しておいてください。
 しかし、その内容が、あるマンションの「管理規約」となると絶大な拘束力を持つことになります。

《タグ》標準管理規約。 特定承継人、総会の通知、専有部分の修繕
問27
〔問 27 〕 監事に関する次の記述のうち、標準管理規約及び民法の規定によれば、適切なものはどれか。

*注: マンション標準管理規約(単棟型、団地型、複合用途型)は、平成28年3月に改正があり、対応した。(2016年 5月3日)


1 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況を監査し、監査結果について監査報告書を作成し、組合員に配布しなければならない。

 適切でない。 監査報告書の配布までは規定がない。
 標準管理規約での監事の規定は、41条 (注:平成28年3月の改正点。)
 「(監事)
 第41条 
監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況を監査し、その結果を総会に報告しなければならない
  2  監事は、いつでも、理事及び第38条第1項第二号に規定する職員に対して業務の報告を求め、又は業務及び財産の状況の調査をすることができる。
  3 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認めるときは、臨時総会を招集することができる。
  4 監事は、理事会に出席し 必要があると認めるときは、意見を述べなければならない ることができる
  5  監事は、理事が不正の行為をし、若しくは当該行為をするおそれがあると認めるとき、又は法令、規約、使用細則等、総会の決議若しくは理事会の決議に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると認めるときは、遅滞なく、その旨を理事会に報告しなければならない。
  6  監事は、前項に規定する場合において、必要があると認めるときは、理事長に対し、理事会の招集を請求することができる。
  7  前項の規定による請求があった日から5日以内に、その請求があった日から2週間以内の日を理事会の日とする理事会の招集の通知が発せられない場合は、その請求をした監事は、理事会を招集することができる。

  2 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認めるときは、臨時総会を招集することができる。
  3 監事は、理事会に出席して意見を述べることができる。
」 とあり、
 設問の、管理組合の業務の執行及び財産の状況を監査し、監査結果について必要なら、監査報告書を作成しますが、その結果を総会に報告すればよく、組合員に配布までは求められていませんから、適切ではありません。



2 監事を複数名選任している場合には、その複数名で協議のうえ、代表者を決めて監査結果を報告しなければならない。

 適切でない。 監事の代表者を定める規定はない。
 標準管理規約では、設問のような、監事を複数名選任している場合には、その複数名で協議のうえ、代表者を決めて監査結果を報告しなければならない、の規定はありませんから、適切ではありません。
 監事は、基本的に独立してその業務を行います。
 参考:標準管理規約35条 (注:平成28年3月の改正点。)
 「(役員)
 第35条 管理組合に次の役員を置く。
     一 理事長
     二 副理事長 ○名
     三 会計担当理事 ○名
     四 理事(理事長、副理事長、会計担当理事を含む。以下同じ。) ○名
     五 監事 ○名
 2 理事及び監事は、組合員のうちから、総会で選任する。

 3 理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事のうちから、 理事 会で の互選により 選任する。


3 監事は、管理組合の財産の状況又は業務の執行について、著しく不当な事項があると認める時は、臨時総会を招集し報告することができる。

○ 適切である。
 選択肢1で引用しました、標準管理規約41条3 2 
 「 3  
監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認めるときは、臨時総会を招集することができる
 とあり
 設問の「著しく不当な事項」と規約での「不正がある」の内容に少しばかり抵抗を感じますが、まあ、適切です。



4 総会で理事及び監事の合計人数分の役員を選任し、選任された役員の互選により理事長、副理事長及び監事を選任することができる。

X 適切でない。 監事は総会で決めること。 監事の役職を考えること。

 役員の選任は、標準管理規約35条 (注:平成28年3月の改正点。)
 「(役員)
 第35条 管理組合に次の役員を置く。
     一 理事長
     二 副理事長 ○名
     三 会計担当理事 ○名
     四 理事(理事長、副理事長、会計担当理事を含む。以下同じ。) ○名
     五 監事 ○名
 2 
理事及び監事は、組合員のうちから、総会で選任する
 3 理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事のうちから、 理事 会で の互選により 選任する。
 」 とあり、
 標準管理規約35条2項によれば、理事及び監事職は、当初から総会で選任される必要があります。理事間で理事長職や副理事長職は、総会後の理事の互選で選任できます(3項)が、監事はその役職から、総会でしか選任できませんから、適切ではありません。



答え:3

 選択肢1などはやや引っ掛け的な出題ですが、私が常に言っていますように、「問題は必ず条文から出題されること」に留意してください。

《タグ》
標準管理規約。 役員、互選、監事職。
問28
〔問 28〕 管理組合の理事長から、総会の運営に関する助言を求められたマンション管理士が行った次の発言のうち、標準管理規約によれば、適切でないものはどれか。

*注: マンション標準管理規約(単棟型、団地型、複合用途型)は、平成28年3月に改正があり、対応した。(2016年 5月3日)


1 総会での会議の目的につき専有部分の賃借人が利害関係を有する場合には、賃借人にも総会招集通知を発し、遅滞なくその通知の内容を所定の掲示場所に掲示しなければなりません。

 適切でない。 利害関係人(賃借人)には、総会招集通知を発しなくてもいい。掲示でいい。
 専有部分の賃借人が、総会(集会)の会議の目的について、利害関係を有していれば、その賃借人にも、総会があることを知らせなければいけません。
 そこで、総会(集会)の通知は、上の「問26」 選択肢3でも引用した、標準管理規約43条 8  項に (注:平成28年3月の改正点。)
 「(招集手続)
 第43条
 8 
 第45条第2項の場合には、第1項の通知を発した後遅滞なく、その通知の内容を、所定の掲示場所に掲示しなければならない。」 とあり、
 引用されています、45条2項は、
 「(出席資格)
 第45条 組合員のほか、理事会が必要と認めた者は、総会に出席すること ができる。
 
2 区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的につき利 害関係を有する場合には、総会に出席して意見を述べることができる。こ の場合において、総会に出席して意見を述べようとする者は、あらかじめ 理事長にその旨を通知しなければならない。」 です。
 そこで、利害関係人(賃借人)には、総会の内容を掲示すれば足りますから、賃借人にも総会招集通知を発するまでは、求められていませんので、適切ではありません。



2 委任状は、理事長に提出することになっていますが、組合員本人からも代理人からも提出することができます。

○ 適切である。
 委任状の提出は、標準管理規約46条 (平成28年3月の改正点)
 「(議決権)
 第46条 各組合員の議決権の割合は、別表第5に掲げるとおりとする。
 2 住戸1戸が数人の共有に属する場合、その議決権行使については、これ ら共有者をあわせて一の組合員とみなす。
 3 前項により一の組合員とみなされる者は、議決権を行使する者1名を選任し、その者の氏名をあらかじめ総会開会までに理事長に届け出なければならない。
 4 組合員は、書面又は代理人によって議決権を行使することができる。
 5  組合員が代理人により議決権を行使しようとする場合において、その代理人は、以下の各号に掲げる者でなければならない。
   一  その組合員の配偶者(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)又は一親等の親族
   二  その組合員の住戸に同居する親族
   三  他の組合員
 6  組合員又は代理人は、代理権を証する書面を理事長に提出しなければならない。

 
5 組合員又は代理人は、代理権を証する書面を理事長に提出しなければな らない。
   
(改正:旧5項の同居等の条件がなくなった。) 」 とあり、
 標準管理規約46条 6  項によれば、組合員又は代理人(受任者)は委任状を理事長に提出しますが、その方法は指定されていませんから、組合員本人からも代理人からも提出することができるため、適切です。



3 建替え決議を目的とする総会を招集する場合には、少なくとも総会開催日の1ヵ月前までに、招集の際に通知すべき事項について、組合員に対し、説明会を開催する必要があります。

○ 適切である。 建替えは重大な事項に付き、建替え決議の前に、必ず説明会を開催すること。
 建替え決議を目的とする総会となると、標準管理規約43条 7  項 (平成28年3月の改正点)
 「(招集手続)
 第43条
    7 建替え決議又はマンション敷地売却決議を目的とする総会を招集する場合、少なくとも会議を開く日の1か月前までに、当該招集の際に通知すべき事項について組合員に対し説明を行うための説明会を開催しなければならない。

 
6 建替え決議を目的とする総会を招集する場合、少なくとも会議を開く日の1か月前までに、当該招集の際に通知すべき事項について組合員に対し説明を行うための説明会を開催しなければならない。」 とあり、
 適切です。
 これは、建替えは重大な事項に付き、建替え決議の前に、必ず説明会を開催すると区分所有法でも、規定(区分所有法第62条)しているためです。


 


4 組合員総数及び議決権総数の各3/4以上で決する決議において組合員総数を計算する場合、一人の組合員が複数の住戸を所有しているときも、数人の組合員が一戸の住戸を共有しているときも、組合員は1人と計算します。

○ 適切である。
  区分所有法では、区分所有者(組合員)の数は、専有部分の個数です。しかし、一人が複数の専有部分を持っていても、区分所有者の数は1と計算します。また、専有部分が複数の人の共有となっていても、1ですから、適切です。
  そこで、1つの専有部分を数人で共有している場合には、誰か一人を議決権行使者として決める必要があります。

 参考:標準管理規約46条2項及び3項  (注:平成28年3月の改正点。)
 「(議決権)
 第46条 各組合員の議決権の割合は、別表第5に掲げるとおりとする。
 2 住戸1戸が数人の共有に属する場合、その議決権行使については、これ ら共有者をあわせて一の組合員とみなす。
 3 前項により一の組合員とみなされる者は、議決権を行使する者1名を選任し、その者の氏名をあらかじめ総会開会までに理事長に届け出なければならない。

 4 組合員は、書面又は代理人によって議決権を行使することができる。
 5  組合員が代理人により議決権を行使しようとする場合において、その代理人は、以下の各号に掲げる者でなければならない。
   一  その組合員の配偶者(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)又は一親等の親族
   二  その組合員の住戸に同居する親族
   三  他の組合員
 6 組合員又は代理人は、代理権を証する書面を理事長に提出しなければならない。


 
5 組合員又は代理人は、代理権を証する書面を理事長に提出しなければな らない。
   (改正:旧5項の同居等の条件がなくなった。)


答え:1

 易しい問題です。

《タグ》
標準管理規約 。 利害関係人、集会の通知、委任状、建替えの説明会、区分所有者の数
問29
〔問 29〕 管理組合で行う次のア〜キの各工事のうち、標準管理規約によれば、総会で組合員総数及び議決権総数の各3/4以上の決議が必要なものはいくつあるか。

*注: マンション標準管理規約(単棟型、団地型、複合用途型)は、平成28年3月に改正があり、対応した。(2016年 5月3日)



ア 防犯カメラの設置工事
イ 集会室の延べ床面積を2倍に増築する工事
ウ 不要となった高置水槽の撤去工事
エ 耐震改修工事に関し、柱やはりに炭素繊維シートや鉄板を巻き付けて補修する工事
オ 玄関扉の一斉交換工事
カ バリアフリー化工事に関し、階段室部分を改造し、エレベーターを新たに設置する工事
キ 計画修繕工事で行う給水管更生・更新工事


*毎年のように出題がある箇所です。
 これは、基本的に、区分所有法第17条でいう共用部分の変更での「
その形状又は効用の著しい変更を伴うもの(重大変更)」に該当すれば、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議(特別多数決議)が必要となりますが、それ以外(軽微な変更)であれば、過半数での普通決議でいいということに由来しています。
 だけど、何が「その形状又は効用の著しい変更を伴うもの」で、何が「その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの」かは、非常に判断が難しいので、標準管理規約の47条に関連した コメントを1つの判断材料として使ってはどうかという出題です。
 まず、標準管理規約47は、 (平成28年3月の改正点)
 「(総会の会議及び議事)
 第47条 総会の会議は、前条第1項に定める議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならない。
 2 
総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する
 3 次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、
前項にかかわらず、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する
     一 規約の制定、変更又は廃止
     二  敷地及び共用部分等の変更(
その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの 及び建築物の耐震改修の促進に関する法律第25条第2項に基づく認定を受けた建物の耐震改修 を除く。)

     
二 敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)

     三 区分所有法第58条第1項、第59条第1項又は第60条第1項の訴えの提起
     四 建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
     五 その他総会において本項の方法により決議することとした事項
 4 建替え決議は、第2項にかかわらず、組合員総数の5分の4以上及び議決権総数の5分の4以上で行う。

 (以下、略)」 

 コメント第47条関係 (平成28年3月の改正では変更なし。)
 D このような規定の下で、各工事に必要な総会の決議に関しては、例えば次のように考えられる。ただし、基本的には各工事の具体的内容に基づく個別の判断によることとなる。
   ア)バリアフリー化の工事に関し、建物の基本的構造部分を取り壊す等の加工を伴わずに階段にスロープを併設し、手すりを追加する工事は普通決議により、
階段室部分を改造したり、建物の外壁に新たに外付けしたりして、エレベーターを新たに設置する工事は特別多数決議により実施可能と考えられる。
   イ)耐震改修工事に関し、柱やはりに
炭素繊維シートや鉄板を巻き付けて補修する工事や、構造躯体に壁や筋かいなどの耐震部材を設置する工事で基本的構造部分への加工が小さいものは普通決議により実施可能と考えられる。
   ウ)防犯化工事に関し、オートロック設備を設置する際、配線を、空き管路内に通したり、建物の外周に敷設したりするなど共用部分の加工の程度が小さい場合の工事や、
防犯カメラ、防犯灯の設置工事は普通決議により、実施可能と考えられる。
   エ)IT化工事に関し、光ファイバー・ケーブルの敷設工事を実施する場合、その工事が既存のパイプスペースを利用するなど共用部分の形状に変更を加えることなく実施できる場合や、新たに光ファイバー・ケーブ ルを通すために、外壁、耐力壁等に工事を加え、その形状を変更するような場合でも、建物の躯体部分に相当程度の加工を要するものではなく、外観を見苦しくない状態に復元するのであれば、普通決議により実施可能と考えられる。
   オ)計画修繕工事に関し、鉄部塗装工事、外壁補修工事、屋上等防水工事、
給水管更生・更新工事、照明設備、共聴設備、消防用設備、エレベーター設備の更新工事は普通決議で実施可能と考えられる。
   カ)その他、
集会室、駐車場、駐輪場の増改築工事などで、大規模なものや著しい加工を伴うものは特別多数決議により、窓枠、窓ガラス、玄関扉等の一斉交換工事、既に不要となったダストボックスや高置水槽等の撤去工事は普通決議により、実施可能と考えられる。

 このコメントに従って、出題の各項目を見ると
 ア 防犯カメラの設置工事 は、コメント ウ)に該当し、普通決議で可
 
イ 集会室の延べ床面積を2倍に増築する工事 は、コメント カ)の特別多数決議が必要
   ただし、集会室の延べ床面積を2倍にするとなると、共有持分の変更としてかなり議論があるが。
 ウ 不要となった高置水槽の撤去工事 は、コメント カ)に該当し、普通決議で可
 エ 耐震改修工事に関し、柱やはりに炭素繊維シートや鉄板を巻き付けて補修する工事 は、コメント イ)に該当し、普通決議で可
 オ 玄関扉の一斉交換工事 は、コメント カ)に該当し、普通決議で可
 
カ バリアフリー化工事に関し、階段室部分を改造し、エレベーターを新たに設置する工事 は コメント ア)に該当し、特別多数決議が必要
 キ 計画修繕工事で行う給水管更生・更新工事 は、コメント オ)に該当し、普通決議で可

  よって、総会で組合員総数及び議決権総数の各3/4以上の決議が必要なものは、 
イ と カ の2つ


  1 一つ
  2 二つ
  3 三つ
  4 四つ


答え:2 二つ (イ と カ)

  過去から出題の多い設問で、易しい。

《タグ》
標準管理規約。  その形状又は効用の著しい変更を伴うもの(重大変更)、特別決議事項、普通決議事項 
問30
〔問 30〕 管理組合の理事会の運営等に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切でないものはどれか。

*注: マンション標準管理規約(単棟型、団地型、複合用途型)は、平成28年3月に改正があり、対応した。(2016年 5月3日)



1 収支決算案及び収支予算案を理事会において決議すべき場合において、理事全員の承諾があるときは、理事会を開催せずに書面による決議をすることができる。

X 適切でない。 理事会では、書面決議は認められない。(平成28年3月の改正で一部(54条1項5号)は、書面又は電磁的方法による決議ができるようになっている)
 総会については、総会を開催しなくても、書面での決議が認められていますが(標準管理規約50条)、理事会については、標準管理規約53条 (平成28年3月の改正点)
 「(理事会の会議及び議事)
 第53条 
理事会の会議は、理事の半数以上が出席しなければ開くことができず、その議事は出席理事の過半数で決する。
  2  次条第1項第五号に掲げる事項については、理事の過半数の承諾があるときは、書面又は電磁的方法による決議によることができる。
 3  前2項の決議について特別の利害関係を有する理事は、議決に加わることができない。

 (ア)電磁的方法が利用可能ではない場合
 4  議事録については、第49条(第4項を除く。)の規定を準用する。ただし、第49条第2項中「総会に出席した組合員」とあるのは「理事会に出席した理事」と読み替えるものとする。」 とあり
 理事会では、必ず理事が出席して討議しなさいとしていますから、適切ではありません。(平成28年3月の改正で一部(54条1項5号)は、書面又は電磁的方法による決議ができるようになっている)

 
  参考:標準管理規約54条 (平成28年3月の改正点)
 「(議決事項)
 第54条 理事会は、この規約に別に定めるもののほか、次の各号に掲げる 事項を決議する。
     一 収支決算案、事業報告案、収支予算案及び事業計画案
     二 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止に関する案
     三 長期修繕計画の作成又は変更に関する案
     四 その他の総会提出議案
     
五 第17条 、第21条及び第22条  に定める承認又は不承認
     六 第58条第3項に定める承認又は不承認
     七 第60条第 4 3 項に定める未納の管理費等及び使用料の請求に関する訴訟その他法的措置の追行
     八 第67条に定める勧告又は指示等
     九 総会から付託された事項
     十  災害等により総会の開催が困難である場合における応急的な修繕工事の実施等

 2  第48条の規定にかかわらず、理事会は、前項第十号の決議をした場合においては、当該決議に係る応急的な修繕工事の実施に充てるための資金の借入れ及び修繕積立金の取崩しについて決議することができる。

 参考:標準管理規約50条   (平成28年3月でも変更なし)
 「(書面による決議)
 第50条 規約により総会において決議をすべき場合において、組合員全員の承諾があるときは、書面による決議をすることができる。
 2 規約により総会において決議すべきものとされた事項については、組合員全員の書面による合意があったときは、書面による決議があったものとみなす。
 3 規約により総会において決議すべきものとされた事項についての書面による決議は、総会の決議と同一の効力を有する。
 4 前条 第3項及び第4項の規定は、書面による決議に係る書面について準用する。
 5 総会に関する規定は、書面による決議について準用する。



2 理事会の招集通知(建替え決議を会議の目的とする場合を除く。)は、理事会の1週間前までに理事長が発する旨を理事会で定めることができる。

○ 適切である。 原則;2週間前、変えられる。
 理事会の招集は、標準管理規約52条 (平成28年3月の改正点)
 「(招集)
 第52条 理事会は、理事長が招集する。
 2 理事が○分の1以上の理事の同意を得て理事会の招集を請求した場合には、理事長は速やかに理事会を招集しなければならない。
 3  前項の規定による請求があった日から○日以内に、その請求があった日から○日以内の日を理事会の日とする理事会の招集の通知が発せられない場合には、その請求をした理事は、理事会を招集することができる。

  4 理事会の招集手続については、第43条(建替え決議又はマンション敷地売却決議を会議の目的とする場合の第1項及び第4項から第8 7項までを除く。)の規定を準用する。この場合において、同条中「組合員」とあるのは「理事及び監事」と、同条第9項中「理事会の承認」とあるのは「理事及び監事の全員の同意」と読み替えるものとする。ただし、理事会において別段の定めをすることができる。

 
3 理事会の招集手続については、第43条(建替え決議を会議の目的とする場合の第1項及び第4項から第7項までを除く。)の規定を準用する。 ただし、理事会において別段の定めをすることができる

」 とあり、
 4  項で準用されています、43条 (平成28年3月の改正点)
 「(招集手続)
 第43条 
総会を招集するには、少なくとも会議を開く日の2週間前(会議の目的が建替え決議 又はマンション敷地売却決議 であるときは2か月前)までに、会議の日時、場所及び目的を示して、組合員に通知を発しなければならない。
 2 前項の通知は、管理組合に対し組合員が届出をしたあて先に発するものとする。ただし、その届出のない組合員に対しては、対象物件内の専有部分の所在地あてに発するものとする。
 3 第1項の通知は、対象物件内に居住する組合員及び前項の届出のない組合員に対しては、その内容を所定の掲示場所に掲示することをもって、これに代えることができる。
 4 第1項の通知をする場合において、会議の目的が第47条第3項第一号、第二号若しくは第四号に掲げる事項の決議又は建替え決議 若しくはマンシ ョン敷地売却決議 であるときは、その議案の要領をも通知しなければならない。
 5 会議の目的が建替え決議であるときは、前項に定める議案の要領のほか、次の事項を通知しなければならない。
   一 建替えを必要とする理由
   二 建物の建替えをしないとした場合における当該建物の効用の維持及び回復(建物が通常有すべき効用の確保を含む。)をするのに要する費用の額及びその内訳
   三 建物の修繕に関する計画が定められているときは、当該計画の内容
   四 建物につき修繕積立金として積み立てられている金額

 6  会議の目的がマンション敷地売却決議であるときは、第4項に定める議案の要領のほか、次の事項を通知しなければならない。
   一  売却を必要とする理由
   二  建築物の耐震改修の促進に関する法律(平成7年法律第123号)第2条第2項に規定する耐震改修(以下単に「耐震改修」という。)又はマンションの建替えをしない理由
   三  耐震改修に要する費用の概算額

 7  建替え決議 又はマンション敷地売却決議 を目的とする総会を招集する場合、少なくとも会議を開く日の1か月前までに、当該招集の際に通知すべき事項について組合員に対し説明を行うための説明会を開催しなければならない。
 8  第45条第2項の場合には、第1項の通知を発した後遅滞なく、その通知の内容を、所定の掲示場所に掲示しなければならない。
 9  第1項(会議の目的が建替え決議 又はマンション敷地売却決議 であるときを除く。)にかかわらず、緊急を要する場合には、理事長は、理事会の承認を得て、5日間を下回らない範囲において、第1項の期間を短縮することができる。」 とあり、
 招集通知は、理事会も総会と同様に、少なくとも会議を開く日の2週間前に発しますが、標準管理規約52条 4  項に、
ただし、理事会において別段の定めをすることができる、とあり、理事会の1週間前までに理事長が発する旨を理事会で定めることは、適切です。


3 専門委員会での検討に、理事会活動に認められている経費以上の費用が必要となる場合には、専門委員会の設置に総会の決議が必要である。

○ 適切である。 多くの経費がかかれば、もう理事会の決議ではできない。総会にかけること。
 専門委員会の設置は、標準管理規約55条   (平成28年3月でも変更なし)
 「(専門委員会の設置)
 第55条 理事会は、その責任と権限の範囲内において、専門委員会を設置 し、特定の課題を調査又は検討させることができる。
 2 専門委員会は、調査又は検討した結果を理事会に具申する。」 とあり、
 コメント第55条関係
    @
専門委員会の検討対象が理事会の責任と権限を越える事項である場合や、理事会活動に認められている経費以上の費用が専門委員会の検討に必要となる場合、運営細則の制定が必要な場合等は、専門委員会の設置に総会の決議が必要となる。
    A 専門委員会は、検討対象に関心が強い組合員を中心に構成されるものである。必要に応じ検討対象に関する専門的知識を有する者(組合員以外も含む。)の参加を求めることもできる。
 コメント@によれば、専門委員会での検討に、理事会活動に認められている経費以上の費用が必要となる場合には、専門委員会の設置に総会の決議が必要であるは、適切です。



4 理事長は、専有部分の賃借人から書面による理事会議事録の閲覧請求があったときは、これを閲覧させなければならない。

○ 適切である。 賃借人は利害関係人に当たる。

 理事会の議事録は、標準管理規約53条 4  項  (平成28年3月の改正点)
 「(理事会の会議及び議事)
 第53条 理事会の会議は、理事の半数以上が出席しなければ開くことができず、その議事は出席理事の過半数で決する。

 2  次条第1項第五号に掲げる事項については、理事の過半数の承諾があるときは、書面又は電磁的方法による決議によることができる。
 3  前2項の決議について特別の利害関係を有する理事は、議決に加わることができない。

    (ア)電磁的方法が利用可能ではない場合
 4  
議事録については、第49条(第4項を除く。)の規定を準用する。ただし、第49条第2項中「総会に出席した組合員」とあるのは「理事会に出席した理事」と読み替えるものとする。」 とあり、
 準用されています、49条(4項を除く)は、(平成28年3月でも変更なし)
 「(ア)電磁的方法が利用可能ではない場合
 (議事録の作成、保管等)
 第49条 総会の議事については、議長は、議事録を作成しなければならない。
 2 議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、議長及び議長の指名する2名の総会に出席した組合員がこれに署名押印しなければならない。
 
3 理事長は、議事録を保管し、組合員又は利害関係人の書面による請求が あったときは、議事録の閲覧をさせなければならない。この場合において 、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
 4 理事長は、所定の掲示場所に、議事録の保管場所を掲示しなければならない。」 です。
 標準管理規約49条3項によれば、総会議事録も理事会議事録も、組合員又は利害関係人の”書面による請求”が あったときは、議事録の閲覧をさせなければならないとあり、専有部分の賃借人は利害関係人であり、書面による理事会議事録の閲覧請求があったときは、これを閲覧させなければなりませんから、適切です。



答え:1

  ここもそれほど難しくはありません。 理事会の議事録の「書面による閲覧請求」、ではコピー(複写)請求は、どうなるか、追求してみてください。

《タグ》
標準管理規約。 理事会、 決議事項、招集、理事会議事録の閲覧請求
問31
〔問 31〕 甲マンション(会計年度は4月〜翌年3月)の理事会では、5月末に開催予定の通常総会までの新年度の経費の支出について協議している。この場合に関するA〜Dの各理事の次の発言のうち、標準管理規約によれば、適切でないものはどれか。

*注: マンション標準管理規約(単棟型、団地型、複合用途型)は、平成28年3月に改正があり、対応した。(2016年 5月3日)



1 A理事「理事長は、4月から新年度の収支予算案について通常総会で承認を得るまでの間、理事会の承認を得て、経常的であり、かつ、通常総会の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められる経費の支出を行うことができます。」

○ 適切である。
  平成27年 管理業務主任者試験 「問13」 でもでている。
 
  多くの管理組合では、会計年度が終了してから、2ヵ月以内に総会が開催されますから、新会計年度から総会が開催されるまでの期間は、新予算がまだ総会の未承認だという不備な点があります。
 しかし、清掃費、電気代などは、新会計年度においても発生し、これらの経費を支払わないと、訴えられることにもなりかねません。
 この不備な点は、以前から指摘されており、標準管理規約でも改正がありました。それが、58条です。 (平成28年3月の改正点)
 「(収支予算の作成及び変更)
 第58条 理事長は、毎会計年度の収支予算案を通常総会に提出し、その承認を得なければならない。
 2 収支予算を変更しようとするときは、理事長は、その案を臨時総会に提出し、その承認を得なければならない。
 3 理事長は、第56条に定める会計年度の開始後、第1項に定める承認を得るまでの間に、以下の各号に掲げる経費の支出が必要となった場合には、理事会の承認を得てその支出を行うことができる。
   一 第27条に定める通常の管理に要する経費のうち、経常的であり、かつ、第1項の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるもの
   二 総会の承認を得て実施している長期の施工期間を要する工事に係る経費であって、第1項の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるもの

 4 前項の規定に基づき行った支出は、第1項の規定により収支予算案の承認を得たときは、当該収支予算案による支出とみなす。

 4 理事長は、前項に定める支出を行ったときは、第1項に定める収支予算案の承認を得るために開催された通常総会において、その内容を報告しなければならない。この場合において、当該支出は、その他の収支予算とともに承認されたものとみなす。

 5  理事会が第54条第1項第十号の決議をした場合には、理事長は、同条第2項の決議に基づき、その支出を行うことができる。
 6  理事長は、第21条第6項の規定に基づき、敷地及び共用部分等の保存行為を行う場合には、そのために必要な支出を行うことができる。
 そして、コメント第58条関係
   @通常総会は、第42条第3項で新会計年度開始以後2か月以内に招集することとしているため、新会計年度開始後、予算案の承認を得るまでに一定の期間を要することが通常である。第3項及び第4項の規定は、このような期間において支出することがやむを得ない経費についての取扱いを明確化することにより、迅速かつ機動的な業務の執行を確保するものである。
     なお、第4項の規定については、公益法人における実務運用を参考として、手続の簡素化・合理化を図ったものである。
   A第3項第一号に定める経費とは、第27条各号に定める経費のうち、経常的であり、かつ、第1項の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるものであることから、前年の会計年度における同経費の支出額のおよその範囲内であることが必要である。
   B 第3項第二号に定める経費とは、総会の承認を得て実施している工事であって、その工事の性質上、施工期間が長期となり、二つの会計年度を跨ってしまうことがやむを得ないものであり、総会の承認を得た会計年度と異なる会計年度の予算として支出する必要があるものであって、かつ、第1項の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるものであることが必要である。
   C 第5項は、第54条第2項の決議に基づき、理事長が支出を行うことができることについて定めるものである。
   D 第6項は、第21条第6項の規定に基づき、災害等の緊急時において敷地及び共用部分等の保存行為を行う場合に、理事長が支出を行うことができることについて定めるものである。

 標準管理規約58条3項によれば、理事長は、4月から新年度の収支予算案について通常総会で承認を得るまでの間、理事会の承認を得て、経常的であり、かつ、通常総会の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められる経費の支出を行うことができますから、適切です。



2 B理事「理事会の承認を得て通常総会の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められる経常的な経費は、前年度の同経費の支出額のおよその範囲内であることが必要です。」

○ 適切である。
 これも、選択肢1で引用しました、標準管理規約58条のコメント (平成28年3月でも変更なし)
 「A第3項第一号に定める経費とは、第27条各号に定める経費のうち、経常的であり、かつ、第1項の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるものであることから、前年の会計年度における同経費の支出額のおよその範囲内であることが必要である。」 とあり、
 適切です。



3 C理事「総会の承認を得て実施している長期の施工期間を要する工事で年度を跨がることがやむを得ない工事に係る経費については、工事全体について総会の承認を得ているので、改めて新年度の経費の支出について理事会の承認は必要ありません。」

X 適切でない。 総会の承認を得ていても、総会の承認を得た会計年度と異なる予算となると理事会で承認して、総会にかけること。
 2016年 2月 6日:変更:よく読むと、以前の解説ほど、突っ込んだ設問ではなかったので、標準管理規約に従って、解説を変更します。

  設問は、選択肢1でも引用しました、標準管理規約58条3項2号
 (平成28年3月でも変更なし)
 「(収支予算の作成及び変更)
 第58条
 3項
  「 二 総会の承認を得て実施している長期の施工期間を要する工事に係る経費であって、第1項の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるもの」 とあり、
 同コメント: B 第3項第二号に定める経費とは、総会の承認を得て実施している工事であって、その工事の性質上、施工期間が長期となり、
二つの会計年度を跨ってしまうことがやむを得ないものであり、総会の承認を得た会計年度と異なる会計年度の予算として支出する必要があるものであって、かつ、第1項の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるものであることが必要である。」 とあり、
 総会の承認を得ていても、会計年度が異なる予算となれば、理事会で承認して、総会にかけなければなりませんから、適切ではありません。

 かなり分かり難い設問です。また、コメント第58条関係との関係においても、「かつ、第1項の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるものであること」で適切ではないが。


4 D理事「新年度の収支予算案について通常総会で承認を得るまでに支出した経費の支出については、当該通常総会において、その内容を報告しなければなりませんが、この場合においては、当該支出は、その他の収支予算とともに承認されたものとみなされます。」

○ 適切である。
 これは、選択肢1で引用しました、標準管理規約58条4項 (平成28年3月の改正点)
 ここは、改正前の規定です。
 「
4 理事長は、前項に定める支出を行ったときは、第1項に定める収支予算案の承認を得るために開催された通常総会において、その内容を報告しなければならない。この場合において、当該支出は、その他の収支予算とともに承認されたものとみなす。」 とあり
 適切です。
 参考:平成28年3月の改正では、
  「4 前項の規定に基づき行った支出は、第1項の規定により収支予算案の承認を得たときは、当該収支予算案による支出とみなす。」 
  と簡単になっています。


答え:3

 標準管理規約で改正があったので、勉強していた箇所でしょう。

《タグ》
標準管理規約。 会計、新年度と総会まで。
問32
〔問 32〕 専有部分のある建物であるA棟〜D(専有部分の床面積は同一でないものとする。)からなる団地の管理に要する費用と団地総会の普通決議(出席組合員の議決権の過半数による決議をいう。)に関する次の記述のうち、マンション標準管理規約(団地型)によれば、適切なものはどれか。

*注: マンション標準管理規約(単棟型、団地型、複合用途型)は、平成28年3月に改正があり、対応した。(2016年 5月3日)



1 施設損害賠償保険の更新に伴い、保険料が15%アップするため一括払いにすることとし、団地総会の普通決議により、団地修繕積立金を取り崩した。

X 適切でない。 支出は項目により、決められた会計勘定からしか出せない。 保険料は、管理費から出す。
   
マンション標準管理規約(団地型) は、 平成27年 管理業務主任者試験 「問32」 も
 
  マンションの会計では、規約でどの費用なら管理費から出すのか、修繕積立金から取り崩すのか決められています。
 そこで、マンション標準管理規約(団地型)27条  (平成28年3月の改正点)
 「(管理費)
 第27条 管理費は、次の各号に掲げる通常の管理に要する経費に充当する。
     一 管理員人件費
     二 公租公課
     三 共用設備の保守維持費及び運転費
     四 備品費、通信費その他の事務費
     
五 共用部分等に係る火災保険料 、地震保険料 その他の損害保険料
     六 経常的な補修費
     七 清掃費、消毒費及びごみ処理費
     八 委託業務費
     九 専門的知識を有する者の活用に要する費用
     十 地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成に要する費用
     十  管理組合の運営に要する費用
     十一  その他 第34条に定める業務 土地及び共用部分等の通常の管理 に要する費用 (次条及び第29条に規定する経費を除く。)  」 とあり、
 施設損害賠償保険は、マンション標準管理規約(団地型)27条5号に該当しますから、団地修繕積立金を取り崩すのは、適切ではありません。
 なお、団地総会の普通決議によることは、適切です。

 
 参考;(団地総会の会議及び議事) (平成28年3月の改正点) 
 第49条 団地総会の会議は、前条第1項に定める議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならない。
 
2 団地総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。
 3 次の各号に掲げる事項に関する団地総会の議事は、前項にかかわらず、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する。
    一 規約の制定、変更又は廃止(第72条第一号の場合を除く。)
    二 土地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの 及び建築物の耐震改修の促進に関する法律第25条第2項に基づく認定を受けた建物の耐震改修  を除く。)
    三 その他団地総会において本項の方法により決議することとした事項
 4 建替え承認決議は、第2項にかかわらず、議決権(第48条第1項にかかわらず、建替えを行う団地内の特定の建物(以下「当該特定建物」という。)の所在する土地(これに関する権利を含む。)の持分の割合による。第6項において同じ。)総数の4分の3以上で行う。
 5 当該特定建物の建替え決議又はその区分所有者の全員の合意がある場合における当該特定建物の団地建物所有者は、建替え承認決議においては、いずれもこれに賛成する旨の議決権を行使したものとみなす。
 6 建替え承認決議に係る建替えが当該特定建物以外の建物(以下「当該他の建物」という。)の建替えに特別の影響を及ぼすべきときは、建替え承認決議を会議の目的とする総会において、当該他の建物の区分所有者全員の議決権の4分の3以上の議決権を有する区分所有者が、建替え承認決議に賛成しているときに限り、当該特定建物の建替えをすることができる。
 7 一括建替え決議は、第2項にかかわらず、組合員総数の5分の4以上及び議決権(第48条第1項にかかわらず、当該団地内建物の敷地の持分の割合による。)総数の5分の4以上で行う。ただし、当該団地総会において、当該各団地内建物ごとに、それぞれその区分所有者の3分の2以上及び議決権(第48条第1項に基づき、別表第5に掲げる議決権割合による。)総数の3分の2以上の賛成がなければならない。
 (以下、略)」



2 地震で損傷したA棟及びD棟の外壁並びにB棟にある団地管理事務所のフローリング床を補修するため、団地総会の普通決議により、それぞれの棟の修繕積立金を取り崩した。

X 適切でない。 地震で損傷したA棟及びD棟の外壁補修では、棟の修繕積立金を使うが、B棟にある団地管理事務所(団地共用部分)のフローリング床の補修は、団地修繕積立金からだす。
 
 平成21年 管理業務主任者試験 「問34」
 
  設問が入り組んでいることに注意。
 各棟の外壁と、団地共用部分であるB棟にある団地管理事務所では扱いが異なります。

 まず、団地修繕積立金から取り崩せるのは、マンション標準管理規約(団地型)28条 (平成28年3月の改正点)  
 「(団地修繕積立金)
 第28条 管理組合は、各団地建物所有者が納入する団地修繕積立金を積み立てるものとし、
積み立てた団地修繕積立金は、土地、附属施設及び団地共用部分の、次の各号に掲げる特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができる。
    一 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕
    
二 不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕
    三 土地、附属施設及び団地共用部分の変更
    四 建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査
    五 その他土地、附属施設及び団地共用部分の管理に関し、団地建物所有者全体の利益のために特別に必要となる管理
 2 前項にかかわらず、区分所有法第70条第1項の一括建替え決議(以下「一括建替え決議」という。)又は一括建替えに関する団地建物所有者全員の合意の後であっても、マンションの建替えの円滑化等に関する法律( 平成14年法律第78号。 以下本項 及び次条  において「円滑化法」という。)第9条のマンション建替組合(以下「建替組合」という。)の設立の認可又は円滑化法第45条のマンション建替事業の認可までの間において、建物の建替えに係る計画又は設計等に必要がある場合には、その経費に充当するため、管理組合は、団地修繕積立金から管理組合の消滅時に建替え不参加者に帰属する団地修繕積立金相当額を除いた金額を限度として、団地修繕積立金を取り崩すことができる。
 3 管理組合は、第1項各号の経費に充てるため借入れをしたときは、団地修繕積立金をもってその償還に充てることができる。」 とあり、
 団地修繕積立金から取り崩せるのは、土地、附属施設及び団地共用部分の修繕などですから、”B棟にある団地共用部分”である団地管理事務所のフローリング床を補修するには、団地修繕積立金を取り崩しますから、適切ではありません。


 なお、各棟修繕積立金は、マンション標準管理規約(団地型)29条  (平成28年3月でも変更なし) 
 「(各棟修繕積立金)
 第29条 管理組合は、それぞれの棟の各区分所有者が納入する各棟修繕積立金を積み立てるものとし、積み立てた
各棟修繕積立金は、それぞれの棟の棟の共用部分の、次の各号に掲げる特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができる。
    一 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕
    
二 不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕
    三 棟の共用部分の変更
    四 建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査
    五 その他棟の共用部分の管理に関し、その棟の区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理
 2 前項にかかわらず、区分所有法第62条第1項に規定する建替え決議(以下「建替え決議」という。)、一括建替え決議又は建替えに関する区分所有者全員の合意の後であっても、円滑化法第9条の建替組合の設立の認可又は円滑化法第45条のマンション建替事業の認可までの間において、建物の建替えに係る計画又は設計等に必要がある場合には、その経費に充当するため、管理組合は、各棟修繕積立金から建物の取壊し時に建替え不参加者に帰属する各棟修繕積立金相当額を除いた金額を限度として、各棟修繕積立金を取り崩すことができる。
 3 管理組合は、第1項各号の経費に充てるため借入れをしたときは、各棟修繕積立金をもってその償還に充てることができる。 」とあり、
 地震で損傷したA棟及びD棟の外壁の修繕は、各棟修繕積立金を取り崩すことは、適切です。

 
 次に、団地総会の普通決議で可能かですが、これは、マンション標準管理規約(団地型)50条 (平成28年3月でも変更なし)
 「(議決事項)
 第50条 次の各号に掲げる事項については、団地総会の決議を経なければならない。
    一 収支決算及び事業報告
    二 収支予算及び事業計画
    三 管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法
    四 規約(第72条第一号の場合を除く。)及び使用細則等の制定、変更又は廃止
    五 長期修繕計画の作成又は変更
    
六 第28条第1項又は第29条第1項に定める特別の管理の実施(第72条第三号及び第四号の場合を除く。)並びにそれに充てるための資金の借入れ及び団地修繕積立金又は各棟修繕積立金の取崩し
    七 第28条第2項又は第29条第2項に定める建物の建替えに係る計画又は設計等の経費のための団地修繕積立金又は各棟修繕積立金の取崩し
    八 団地修繕積立金及び各棟修繕積立金の保管及び運用方法
    九 第21条第2項に定める管理の実施
    十 区分所有法第69条第1項の場合の建替えの承認
    十一 区分所有法第70条第1項の場合の一括建替え
    十二 役員の選任及び解任並びに役員活動費の額及び支払方法
    十三 組合管理部分に関する管理委託契約の締結
    十四 その他管理組合の業務に関する重要事項」 とあり、
 団地積立金の修繕による取り崩し(28条1項に該当)、と各棟修繕積立金からの修繕による取り崩し(29条1項)は、共にマンション標準管理規約(団地型)50条6号に該当していますから、団地総会の決議を経て行います。


 団地総会の会議と議事は、マンション標準管理規約(団地型)49条  (平成28年3月の改正点)
 「(団地総会の会議及び議事)
 第49条 団地総会の会議は、前条第1項に定める議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならない。
 
2 団地総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。
 3 次の各号に掲げる事項に関する団地総会の議事は、前項にかかわらず、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する。
    一 規約の制定、変更又は廃止(第72条第一号の場合を除く。)
    二 土地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの 及び建築物の耐震改修の促進に関する法律第25条第2項に基づく認定を受けた建物の耐震改修 を除く。)
    三 その他団地総会において本項の方法により決議することとした事項
 4 建替え承認決議は、第2項にかかわらず、議決権(第48条第1項にかかわらず、建替えを行う団地内の特定の建物(以下「当該特定建物」という。)の所在する土地(これに関する権利を含む。)の持分の割合による。第6項において同じ。)総数の4分の3以上で行う。
  (以下、略) 」 とあり、
 マンション標準管理規約(団地型)49条2項によれば、団地修繕積立金と各棟修繕積立金の取り崩しは、団地総会の普通決議(出席組合員の議決権の過半数)で決する事項であるため、可能です。


 選択肢2は、団地管理事務所のフローリング床の補修は、団地修繕積立金を取り崩しますから、それぞれの棟の修繕積立金を取り崩すが、適切ではありません。


3 今後の消費税増税に対処するため、団地総会の普通決議により、各棟の管理に相当する管理費に係る各組合員の額を一律に現在の額に1,000円を加えた額に値上げした。

X 適切でない。 ”一律”定額値上げはだめ。 各棟なら共用部分の共有持分の割合で値上げする。
 
 平成24年 マンション管理士試験 「問32」 
 
  まず、管理費は、マンション標準管理規約(団地型)25条  
(平成28年3月でも変更なし)
 「(管理費等)
 第25条 団地建物所有者は、土地及び共用部分等の管理に要する経費に充てるため、次の費用(以下「管理費等」という。)を管理組合に納入しなければならない。
    一 管理費
    二 団地修繕積立金
    三 各棟修繕積立金
 2 
管理費の額については、棟の管理に相当する額はそれぞれの棟の各区分所有者の棟の共用部分の共有持分に応じ、それ以外の管理に相当する額は各団地建物所有者の土地の共有持分に応じて算出するものとする
 3 団地修繕積立金の額については、各団地建物所有者の土地の共有持分に応じて算出するものとする。
 4 各棟修繕積立金の額については、それぞれの棟の各区分所有者の棟の共用部分の共有持分に応じて算出するものとする。」 とあり、
 マンション標準管理規約(団地型)25条2項によれば、管理費の額については、棟の管理に相当する額はそれぞれの棟の各区分所有者の棟の共用部分の共有持分に応じて、算出することになっていますから、一律に現在の額に1,000円を加えた額に値上げすることは、適切ではありません。


 なお、管理費の値上げは、選択肢2で引用しています、マンション標準管理規約(団地型)50条 「(議決事項)」 及び、同49条(団地総会の会議及び議事)により、団地の総会の普通決議によるのは、適切です。


4 C棟にある団地集会所に係る電気料金の値上げに備え、団地総会の普通決議により、各団地建物所有者の土地の共有持分に応じて管理費を値上げした。

○ 適切である。
 団地全体の共用部分なら、土地の共有持分で負担する。
 団地集会所の管理費なら、選択肢3で引用しました、マンション標準管理規約(団地型)25条2項、(平成28年3月でも変更なし)
 「2 管理費の額については、棟の管理に相当する額はそれぞれの棟の各区分所有者の棟の共用部分の共有持分に応じ、
それ以外の管理に相当する額は各団地建物所有者の土地の共有持分に応じて算出するものとする。」 とあり、
 各団地建物所有者の土地の共有持分に応じて管理費を値上げすることは、適切です。


 なお、団地総会の普通決議によることは、選択肢2で引用しています、マンション標準管理規約(団地型)50条 「(議決事項)」 及び、同49条(団地総会の会議及び議事)により、適切です。


答え:

 国土交通省が作成しているマンション標準管理規約には、@単棟型、 A団地型 と 次の 「問33」 に出てくる、 B複合用途型 があることは、もう勉強していますね。 
 少しばかり、面倒ですが、難しくは無いでしょう。

《タグ》
マンション標準管理規約(団地型)。 普通決議、 管理費、修繕積立金、 
問33
〔問 33〕 複合用途型マンションの管理組合に関する次の記述のうち、マンション標準管理規約(複合用途型)によれば、適切なものはどれか。

*注: マンション標準管理規約(単棟型、団地型、複合用途型)は、平成28年3月に改正があり、対応した。(2016年 5月3日)



1 収支決算を行った結果、全体管理費、住宅一部管理費、店舗一部管理費に余剰が生じた場合には、その余剰は翌年度におけるそれぞれの費用に充当する。

○ 適切である。 管理費が余ったからといって、修繕積立金勘定に移してはいけない。
 管理費の余剰は、マンション標準管理規約(複合用途型)66条  (平成28年3月でも変更なし)
 「(管理費等の過不足)
 第66条 
収支決算の結果、全体管理費、住宅一部管理費又は店舗一部管理費に余剰を生じた場合には、その余剰は翌年度におけるそれぞれの費用に充当する。
 2 管理費等に不足を生じた場合には、管理組合は組合員に対して第25条第2項及び第26条第2項に定める管理費等の負担割合に応じて、その都度必要な金額の負担を求めることができる。」 とあり、
 マンション標準管理規約(複合用途型)66条1項によれば、収支決算を行った結果、全体管理費、住宅一部管理費、店舗一部管理費に余剰が生じた場合には、その余剰は翌年度におけるそれぞれの費用に充当するは、適切です。


 

参考:マンション標準管理規約(複合用途型)
 「(区分経理) 
 (平成28年3月でも変更なし)
 第32条 管理組合は、次の各号に掲げる費用ごとにそれぞれ区分して経理しなければならない。
    一 全体管理費
    二 住宅一部管理費
    三 店舗一部管理費
    四 全体修繕積立金
    五 住宅一部修繕積立金
    六 店舗一部修繕積立金



2 店舗のための看板等の設置については、内容、手続等について、店舗部会において、使用細則を定める。

X 適切でない。 店舗のための看板は、全体の管理に入るため、店舗部会において、使用細則を定められない。
  
平成19年 マンション管理士試験 「問33」 
 
   店舗のための看板等の設置が、マンションの全体の管理として外壁にまで影響を及ぼすのか、それとも店舗前におく程度の小さな物なのか、程度が分からない疑念はありますが、全体の共用部分ということで、 
 マンション標準管理規約(複合用途型)8条  (平成28年3月でも変更なし)
 「(共用部分の範囲)
 第8条 対象物件のうち共用部分を次のとおり区分し、その範囲は
別表第2に掲げるとおりとする。
    一
全体共用部分 共用部分のうち次号及び第三号に規定する部分以外の部分をいう。
    二 住宅一部共用部分 共用部分のうち住戸部分の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな部分をいう。
    三 店舗一部共用部分 共用部分のうち店舗部分の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな部分をいう。」 とあり、
 
 別表第2は、
 「別表第2 共用部分の範囲
 1 全体共用部分
   ○共用玄関ホール、共用廊下、共用階段、共用エレベーターホール、共用エレベーター室、電気室、機械室、パイプスペース、メーターボックス(給湯器ボイラー等の設備を除く。)、内外壁、界壁、床スラブ、基礎部分、バルコニー、ベランダ、屋上テラス、車庫等専有部分に属さない「建物の部分」
   ○共用エレベーター設備、電気設備、給排水衛生設備、ガス配管設備、火災警報設備、インターネット通信設備、ケーブルテレビ設備、オートロック設備、宅配ボックス、避雷設備、塔屋、集合郵便受箱、配線配管(給水管については、本管から各住戸メーターを含む部分、雑排水管及び汚水管については、配管継手及び立て管)等専有部分に属さない「建物の附属物」
   ○管理事務室、管理用倉庫、集会室及びそれらの附属物
 2 住宅一部共用部分
   ○住宅用玄関ホール、住宅用階段、住宅用廊下(○階〜○階)、住宅用エレベーターホール、住宅用エレベーター室、住宅用エレベーター設備
 3 店舗一部共用部分
  ○店舗用階段、店舗用廊下(○階〜○階)」 です。
  別表第2によれば、共用部分であれば、住宅一部共用部分も店舗一部共用部分も全て全体の管理に入るとしていますから、内容、手続等について、店舗部会において、使用細則を定めることはできないため、適切ではありません。


 マンション標準管理規約(複合用途型)では、マンション全体を一元で管理する発想を採用し、店舗部(居住部も)だけの規約とか、細則は認めていません。

 参考:マンション標準管理規約(複合用途型)18条   (平成28年3月でも変更なし)
 「(使用細則)
 第18条 対象物件の使用については、別に使用細則を定めるものとする。」



3 規約を変更しようとする場合には、総会の決議に加え、住宅部会及び店舗部会でのそれぞれの承認決議を必要とする。

X 適切でない。 規約の変更は、総会の決議だけでいい。 住宅部会及び店舗部会でのそれぞれの承認決議は不要。
 選択肢2でも述べましたが、マンション標準管理規約(複合用途型)では、全体を一元で管理する発想を採用していて、運営上の住宅部会及び店舗部会は存在しても、その部会が独自の決議をするやり方は採用していません。
 住宅部会及び店舗部会においては、その部に関する事項があれば、各部会で協議はできても、規約の設定や、変更はできず、全体の総会で決めましょうというように国土交通省の者は考えています。
 そこで、規約の変更は、マンション標準管理規約(複合用途型)51条  (平成28年3月の改正点)
 「総会の会議及び議事)
 第51条 総会の会議は、前条第1項に定める議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならない。
 2 総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。
 3 次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前項にかかわらず、
組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する
    
一 規約の制定、変更又は廃止
    二 敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの 及び建築物の耐震改修の促進に関する法律第25条第2項に基づく認定を受けた建物の耐震改修 を除く。)
    三 区分所有法第58条第1項、第59条第1項又は第60条第1項の訴えの提起
    四 建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
    五 その他総会において本項の方法により決議することとした事項
 4 建替え決議は、第2項にかかわらず、組合員総数の5分の4以上及び議決権総数の5分の4以上で行う。

 5 マンション敷地売却決議は、第2項にかかわらず、組合員総数、議決権総数及び敷地利用権の持分の価格の各5分の4以上で行う。

   (ア)電磁的方法が利用可能ではない場合
 6  前4項の場合において、書面又は代理人によって議決権を行使する者は、出席組合員とみなす。
 7  第3項第一号において、規約の制定、変更又は廃止が一部の組合員の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。この場合において、その組合員は正当な理由がなければこれを拒否してはならない。
 8  第3項第一号において、一部共用部分に関する事項で組合員全員の利害に関係しないものについての規約の変更は、当該一部共用部分を共用すべき組合員の4分の1を超える者又はその議決権の4分の1を超える議決権を有する者が反対したときは、することができない。
 9  第3項第二号において、敷地及び共用部分等の変更が、専有部分又は専用使用部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分を所有する組合員又はその専用使用部分の専用使用を認められている組合員の承諾を得なければならない。この場合において、その組合員は正当な理由がなければこれを拒否してはならない。
 10  第3項第三号に掲げる事項の決議を行うには、あらかじめ当該組合員又は占有者に対し、弁明する機会を与えなければならない。
 11 10 総会においては、第47条第1項によりあらかじめ通知した事項についてのみ、決議することができる。 」 です。
 マンション標準管理規約(複合用途型)51条3項1号により、規約の変更は、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決しますから、総会の決議に加え、住宅部会及び店舗部会でのそれぞれの承認決議は不要で、適切ではありません。



4 敷地上にある店舗用駐車場の使用料は、駐車場の管理に要する費用に充てるほか、店舗一部修繕積立金として積み立てられる。

X 適切でない。 駐車場の使用料は、余ったら全体修繕積立金として積み立てる。
 敷地上にある店舗用駐車場の使用料であっても、マンション標準管理規約(複合用途型)33条、 (平成28年3月でも変更なし)
 「(使用料)
 第33条 
駐車場使用料その他の敷地及び共用部分等に係る使用料(以下「使用料」という。)は、それらの管理に要する費用に充てるほか、全体修繕積立金として積み立てる。」 とあり、
 駐車場の管理に要する費用に充てるほか、”全体”繕積立金として積み立てますから、”店舗一部”修繕積立金として積み立てるは、適切ではありません。



答え:1

 特に、マンション標準管理規約(複合用途型)を知らなくても、他のマンション標準管理規約(単棟型)を知っていれば、管理費と修繕積立金の区分経理から、選択肢1は推論できたか?

《タグ》
マンション標準管理規約(複合用途型)。 全体管理費、住宅一部管理費、店舗一部管理費、全体管理、店舗部会、住宅部会、駐車場の使用料
問34
〔問 34〕 甲マンション管理組合の理事会(平成27年4月開催)において、会計担当理事が行った平成26年度決算(平成26年4月1日〜平成27年3月31日)に関する次の説明のうち、適切なものはどれか。たたし、会計処理は発生主義の原則によるものとし、資金の範囲は、現金預金、未収金、前払金、未払金及び前受け金とする。


1 平成27年3月に行ったエレベーター点検に係る費用8万円については、4月に支払ったため、収支報告書の支出の部には計上されておりません。

X 適切でない。 3月の未払金として、収支報告書の支出の部に計上されている。 
 会計は、例年2問、仕訳と比較貸借対照表が出ていたが、最近、この傾向が変わってきた。 平成27年では、仕訳は1問の出題だ。 平成27年 管理業務主任者試験 「問14」 、 平成26年 マンション管理士試験 「問33」 、 平成25年 マンション管理士試験 「問35」 など

 *私の過去問題の解説を読んでいる人には、度々の重なる説明で恐縮ですが、マンションの管理組合では、明確な会計基準がありません。
 でも、営利を目的とした企業活動ではないことは明らかです。そこで、非営利団体と似ている公益法人の会計方法を基にしています。
 その最大の特徴が、「発生主義」の採用です。
 
 
★マンションの会計処理で発生主義ということの重要性は、
   まず、発生主義とは、全ての費用・収益は、その支出・収入に基づいて計上し、その発生した期間
     *収入については、請求権が生じた月、
     *支出については、支出が労役などの提供又は工事などである場合は、その労役などの提供又は工事等が完了した月、物品の購入なら、その物品が納入された月に正しく割り当てるように処理すること です。

 この発生主義により、管理費や修繕積立金は該当月に徴収することになっているなら、未収入金(滞納)があっても、全額計上されている。
 この辺りが、企業の会計処理を知っている人には、なかなか理解できない個所です。
 
 また、「資金の範囲は、現金預金、未収金、未払金、前受金及び前払金とする」も、重要な前提です。資金の範囲同士の取引は、「収支計算書」には、反映されません。
 収支決算書に反映されるのは、収入の発生と費用の発生です。


 ●そこで、発生主義により、平成27年3月において行ったエレベーター点検に係る費用8万円は、4月に支払っても、3月の当期会計年度に支払うべき修繕費として収支決算書の費用科目(支出の部)に計上されていますから、収支報告書の支出の部には計上されていないは、適切ではありません。
 なお、3月での相手勘定は未払金として計上しています。

借方 貸方
修繕費 ¥80,000
(費用の発生)
未払金  ¥80,000
(負債の増加)
 

2 平成27年3月に、平成27年4月分の管理費8万円の入金がありましたが、貸借対照表の正味財産額の増減には影響はありません。

○ 適切である。 次期会計年度の収入として計上する。
 「貸借対照表」の 正味財産は、[資産 - 負債] で算出されます。通常、正味財産は、収支報告書の次期繰越収支差額に一致します。 
 発生主義なら、4月分の管理費を3月に処理しても、それは、次期会計年度に処理をすべき収入として、前受金と処理しますから、貸借対照表の正味財産額の増減には影響はありませんので、適切です。

借方 貸方
現金預金 ¥80,000
(資産の増加)
前受金  ¥80,000
(負債の増加)


3 平成27年3月分の管理費のうち、3月末時点で、1名の組合員から入金されていませんが、これについては、入金がされた時点の年度の収支報告書の収入の部に計上することになります。

X 適切でない。 未入金であっても、既に3月に計上されていて、3月での年度の収支報告書の収入の部に計上されている。
 発生主義によれば、3月分の管理費の請求が行われて、該当月に未入金であっても、3月の年度の収支報告書の収入の部に計上されていますから、入金がされた時点の年度の収支報告書の収入の部に計上することになりますは、適切ではありません。
 この場合、相手勘定は、未収金となり、入金があった時点で、現金預金と相殺されます。

 
借方 貸方
未収金 ¥xxxxxx
(資産 負債 の増加)
管理費  ¥xxxxxx
(収入の発生)


4 平成27年3月に支払った大規模修繕工事(完成時期は6月)の着手金については、貸借対照表の負債の部に計上されています。

X 適切でない。 前払金は資産勘定。
 発生主義により、大規模修繕工事の着手金は、現実には発生していない内金であるため、次期年度以降に計上すべき費用として、前払金として計上され、貸借対照表の資産の部に計上されますから、貸借対照表の負債の部に計上されるは、適切ではありません。
 
借方 貸方
前払金  ¥xxxxxx
(資産の増加)
銀行預金  ¥xxxxxx
(資産の減少)

 大規模修繕工事が完成した時点で、前払金の全額が、修繕費と相殺されます。


答え:2

 受験者の中には、この管理組合の会計が分かりにくくて、最初から放棄する人がいるようですが、合格するには、他の受験者に差をつける必要があります。
 仕訳など会計も理解ください。

《タグ》会計 仕訳。 発生主義、 前払金、未払金
問35
〔問 35〕 管理組合の税金に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。ただし、「収益事業」とは、法人税法第2条第13号及び同施行令第5条第1項に規定されている事業を継続して事業場を設けて行うものをいう。

1 恒常的に空き駐車場が生じているため、区分所有者及び区分所有者以外の者に対し、募集方法は両者を分けずに広く行い、使用方法は区分所有者の優先性を設けずに同一条件で駐車場を使用させている管理組合は、区分所有者以外の者の使用料収入のみが収益事業に該当し、法人税が課税される。

X 適切でない。 この場合には、全体の使用料収入が収益事業たる駐車場業に該当する。
  
平成27年 管理業務主任者試験 「問16」 、 平成24年 マンション管理士試験 「問34」 、管理業務主任者試験で多い個所でした。 平成23年 管理業務主任者試験 「問16」 、 平成22年 管理業務主任者試験 「問16」 、 平成19年 管理業務主任者試験 「問16」 など。
  
  税との関係で、管理組合の管理費・修繕積立金は非課税と判断されるようになったものの(選択肢4参照)、駐車場の収入などで特に、マンション外の人に使用させ、駐車場料をとる場合に、内部(組合員)の使用なら、課税の対象にならないまでは、一応国税庁の判断がありましたが、これらを纏めて、国土交通省から平成24年2月3日に国税庁に確認をし、その回答があります。
 http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/bunshokaito/hojin/120117/besshi.htm#a01

 該当の国土交通省からの問合せでは、ケース1から、ケース3まで、3つのケースがあり、設問は、問合せのケース1 に該当しています。
  ケース1:Aマンションにおいては、恒常的に相当な台数分の空き駐車場が生じており、マンション管理組合(以下「A組合」といいます。)が区分所有者に対して駐車場需要を確認したところ、当面は空き駐車場が解消する予定がないことが判明しました。
 仮に、この状態が継続し、現行の管理費等(駐車場使用料、管理費及び修繕積立金をいいます。以下同じです。)の金額を増額することなく維持すれば、管理費又は修繕積立金が不足することは明らかなため、A組合では駐車場の外部使用を行うこととなりました。
 この外部使用を開始するに際して、募集は区分所有者と外部者とを分けずに広く行い、使用は区分所有者であるかどうかを問わず申込み順とし、使用料や使用期間などの使用条件についても区分所有者と同様の条件とする予定です。
 したがって、外部使用を行うことにより空き駐車場が解消している状態で、区分所有者から駐車場の使用希望があった場合でも、外部使用を受けている者に対して早期退去を求めるようなことはありません。


 この照会に対して、理由(照会者の求める見解となることの根拠)、見解は、
 「ケース1:A組合が行う外部使用は、募集は外部に対しても広く行い外部使用の条件も区分所有者に対するものと同様の条件とすることとしています。また、外部使用を行っている状態で、区分所有者から駐車場の使用希望があったとしても、外部使用を受けている者に対して早期明け渡しを求めません。
 これらのことからすれば、区分所有者に対する優先性がまったく見られず、Aマンションの敷地内にあるものの、管理業務の一環としての「共済的事業」とは認められず、市中の有料駐車場と同様の駐車場業を行っているものと考えられます。
 
したがって、ケース1の場合には、区分所有者に対する使用と区分所有者以外の者に対する使用を区分することなく、その全体が収益事業たる駐車場業に該当することとなると考えております。」  とあり、
 設問の場合には、”その全体”が収益事業たる駐車場業に該当することとなりますから、”区分所有者以外の者の使用料収入のみ”が収益事業に該当し、法人税が課税されるは、適切ではありません。

 なお、収益事業に該当する事業を営んでおり、これにより課税所得が発生する場合には、法人税(国税)、事業税(地方税)及び地方法人特別税(一定の要件に該当する場合には消費税等も)を納税する義務が生じます(選択肢2参照)から、注意してください。

 上の他のケース2やケース3についても勉強は必要ですよ。



2 管理組合が収益事業を行っている場合は、法人税に加え事業税も課税される。

○ 適切である。 収益事業を行えば、法人税(国税)はかかるし、事業税(地方税)も課税される。
 法人化されていない管理組合は、
  法人税法2条8号で「八  
人格のない社団等 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものをいう。」とあり「人格のない社団等」として扱われることを理解して下さい。
 すると、法人税法第4条1項
 「第四条  内国法人は、この法律により、法人税を納める義務がある。ただし、公益法人等又は人格のない社団等については、収益事業を行う場合、法人課税信託の引受 けを行う場合又は第八十四条第一項(退職年金等積立金の額の計算)に規定する退職年金業務等を行う場合に限る。 」
 とあり、
 「公益法人等又は人格のない社団等については、”
収益事業を行う場合”」等では法人税を納める義務があります。逆に、”収益事業を行わない場合”には、法人税は収める必要がないということです。

 また、事業税とは、道府県が課することができる税の1つです。(地方税法第4条2項2号)
 具体的には、個人が行う一定の事業や、法人の事業に対し、その事業の事務所またはその所在する都道府県が課す税金(地方税)です。一般に、個人事業税、法人事業税とよばれています。法人事業税は、大法人については、所得割や収入割等に加え、外形標準(付加価値割や資本割)で課税されます。また、地方法人特別税が導入され、暫定的に都市圏の法人事業税収の一部が地方圏の道府県に再分配されます。
 事業税は、管理組合のように「人格のない社団」でも、収益事業を行っている場合には、課されますから、適切です。 

 参考:(地方税法第72条の5 2項
 「(法人の事業税の非課税所得等の範囲)
 第七十二条の五
 2 道府県は、人格のない社団等の事業の所得で
収益事業に係るもの以外のものに対しては、事業税を課することができない。」 


3 移動体通信業者との間で携帯電話基地局設置のため、屋上の使用を目的とした建物賃貸借契約を結び設置料収入を得ている管理組合の行為は、収益事業の不動産貸付業には該当しない。

X 適切でない。 携帯電話基地局を設置して、設置料収入を得ている管理組合の行為は、収益事業の不動産貸付業に該当する。
 設問に対しては、質疑応答事例 「マンション管理組合が携帯電話基地局の設置場所を貸し付けた場合の収益事業判定」(平成26年7月25日)があります。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/21/11-2.htm

 この場合の、【照会要旨】
  「Aマンション管理組合は、移動体通信業者Xとの間で、携帯電話基地局(アンテナ)設置のためにマンション屋上(共用部分)の使用を目的として、建物賃貸借契約を締結することとなりました。今後、Aマンション管理組合は、当該建物賃貸借契約に基づきマンション屋上の使用の対価として設置料収入を得ることとなりますが、当該設置料収入は、法人税法上の収益事業(不動産貸付業)に該当することとなりますか。
  なお、Aマンション管理組合は、法人税法上、人格のない社団等又は公益法人等に該当することを照会の前提とします。
 そして、【回答要旨】
  
収益事業たる不動産貸付業に該当します
  (理由)
   1 人格のない社団等及び公益法人等の課税関係
     法人税法上、内国法人(人格のない社団等を含みます。)に対しては、各事業年度の所得について法人税を課することとされており(法法3、5)、このうち人格のない社団等及び公益法人等に対しては、各事業年度の所得のうち収益事業から生じた所得以外の所得には法人税を課さないこととされています(法法7)。
    したがって、マンション管理組合(人格のない社団等又は公益法人等)に対する法人税は、収益事業から生じた所得にのみ課されることとなります。
  2 収益事業の範囲
   法人税法上の収益事業とは、販売業、製造業その他の一定の事業で、継続して事業場を設けて行われるものをいい(法法2十三)、この一定の事業には不動産貸付業が含まれています(法令51五)。
   したがって、マンション管理組合が賃貸借契約に基づいてマンション(建物)の一部を他の者に使用させ、その対価を得た場合には、収益事業(不動産貸付業)に該当し、その収益事業から生じた所得に対して法人税が課されることになります。」  とありますから、
 設問の、移動体通信業者との間で携帯電話基地局設置のため、屋上の使用を目的とした建物賃貸借契約を結び設置料収入を得ている管理組合の行為は、収益事業の不動産貸付業には該当しないは、適切ではありません。 
 収益事業の不動産貸付業には該当します。



4 管理組合に組合員が支払う管理費及び修繕積立金は、消費税の課税対象である。

X 適切でない。 管理組合に組合員が支払う管理費及び修繕積立金は、消費税の課税対象では、ない。不課税である。
 この設問は、
  https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shohi/02/26.htm 
 にあります。

 「【照会要旨】: マンション管理組合の課税関係はどうなるのでしょうか。
 【回答要旨】: マンション管理組合は、その居住者である区分所有者を構成員とする組合であり、その組合員との間で行う取引は営業に該当しません。
 したがって、マンション管理組合が収受する金銭に対する消費税の課税関係は次のとおりとなります。
  イ 駐車場の貸付け………組合員である区分所有者に対する貸付けに係るものは不課税となりますが、組合員以外の者に対する貸付けに係るものは消費税の課税対象となります。
  
ロ 管理費等の収受………不課税となります
  【関係法令通達】:消費税法第2条第1項第8号」  とあり、
 管理費(管理費、修繕積立金)等の収受、は、消費税では、不課税と判断されていますから、適切ではありません。



答え:2 

  過去の管理業務主任者試験などもやっていると、正解は早い。

《タグ》
税、 法人税、事業税、消費税。 駐車場収入、収益事業、管理費等
問36
〔問 36〕 マンションの建物(鉄筋コンクリート造)の調査・診断結果に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

1 コンクリート中の塩化物イオンは、鉄筋腐食に影響を与えるほどの濃度ではない場合(1.2kg/m3未満)でも、コンクリートの強度に直接影響を与えるので注意が必要である。 

X 適切でない。 コンクリート中の塩化物イオン(塩分量)が多いと、鉄筋が腐食しやすくなる。コンクリートの強度には影響しない。
  
平成26年マンション管理士試験 「問37」平成24年マンション管理士試験 「問38」、 平成20年マンション管理士試験 「問37」平成15年マンション管理士試験 「問39」
  
  コンクリート中の鉄筋は、アルカリ性のコンクリートの中にあれば、腐食を生じませんが、元々はアルカリ性であったコンクリートが中性化すると、水と酸素によって鉄筋表面の皮膜が破壊されて、鉄がイオン化して溶け出してしまいます。コンクリート中の鉄筋が溶けると鉄筋は、面積が少なくなり、耐力が低下します。また、腐食部分は、膨張してかぶりコンクリート部分にひび割れが生じ、水と酸素の供給が促されて、さらに鉄筋の腐食が進んで、かぶりコンクリートの部分が剥離したり、剥落します。
 コンクリート中の塩化イオン量の調査には、ドリルを使用して、所定の深さごとにコンクリートの粉末を採取する方法や、コアで抜き取るコア法があります。採取した試料を温水に浸し、上澄溶液を、塩化物測定器や塩化物試験紙を入れて可溶性イオン量を測定します。
 評価の基準は、塩化物イオン量の限界とされる 1.2kg/m3 未満であれば、鉄筋の発錆の危険性はないとされ、限界塩化物イオン量の1.2kg/m3 以上なら鉄筋の腐食が考えれますから、対策が必要です。

 そこで、設問の「コンクリート中の塩化物イオンは、鉄筋腐食に影響を与えるほどの濃度ではない場合(1.2kg/m3未満)でも、コンクリートの強度に直接影響を与える」は、コンクリート中の塩化物イオン量が多いと、鉄筋が腐食しやすくなりますが、コンクリートの強度には影響しないため、適切ではありません。

 

 なお、コンクリートの中性化深さを調査する採取方法には、@コア採取法、Aドリル粉末法、Bはつり による方法があります。



2 外壁に張られたタイルのひび割れは、タイル自体が原因であることがほとんどであり、その下地のモルタルやコンクリートが原因であることは少ない。

X 適切でない。 外壁に張られたタイルのひび割れは、下地のコンクリート躯体やモルタルのひび割れの発生に伴って起きる場合が多い。
 
 平成16年マンション管理士試験 「問37」
 
  タイルの主な劣化現象としては、ひび割れ、浮き、欠損があります。
 そして、外壁に張られたタイルのひび割れは、下地のコンクリート躯体やモルタルのひび割れの発生に伴って起きる場合が多いため、適切ではありません。
 なお、タイルのひび割れが発生すると、その周囲から白華(白くなる)して、美観を損ないます。



3 外壁のコンクリートのひび割れの調査の結果、ひび割れ幅が0.2mm〜0.4mmの範囲だったので、漏水の可能性があると判断した。

○ 適切である。 コンクリートのひび割れが、0.2mm〜0.4mm程度でも漏水する。
   平成26年マンション管理士試験 「問37」 、 平成24年管理業務主任者試験 「問27」 、 平成20年マンション管理士試験 「問37」 

  コンクリートは、使用された材料、施工の不備、地盤沈下、使用環境、外力など、様々な要因でひび割れを生じますから、目視やルーペ、クラック・スケール、物指しなどで調査します。
  その結果、ひび割れ幅が、0.3mm以下であっても、内部に雨水などが入って、漏水や鉄筋の腐食の原因となりますから、適切です。

  


4 ひび割れやはく離が梁の補強筋に沿って発生していたので、コンクリートの乾燥収縮によるものと判断した。

X 適切でない。 ひび割れやはく離が梁の補強筋に沿って発生していたなら、コンクリートの乾燥収縮によるものではなく、鉄筋の腐食によるものと判断される。
 ひび割れやはく離が、コンクリートの乾燥収縮によるものなら、梁の補強筋に沿って発生はしませんから、適切ではありません。
 梁の補強筋に沿って発生していたのなら、鉄筋の腐食によるものと判断されます。

 


答え:3

 
選択肢1では、塩化物イオンということで、過去問題よりも、解説を詳細にしたので、時間がかかった。 問題としては、易しい。

《タグ》
設備 コンクリート。 劣化診断、塩化物イオン、タイルのひび割れ、コンクリートのひび割れ、ひび割れ幅 0.3mm、乾燥収縮
問37
〔問 37〕 マンションの建物の診断における調査の目的と方法に係るア〜エの組合せのうち、適切なものの組合せは1〜4のうちどれか。
 
    (調査の目的)                (調査の方法)

ア 給水管内のさびの状態   -------  抜管(サンプリング)法

○ 適切である。 
 配管の劣化を調べる方法には、目視、非破壊検査がありますが、精密に行うには、サンプル(資料)を切り取る=抜き管 方法があります。 
 給水管内のさびの状態を調査する方法で、破壊調査として、さびが発生しやすい異種金属との接続部分や量水器などを切り取る「抜管(サンプリング=資料)法」は、内部の状況を直接観察、測定する方法として、適切です。
 なお、具体的な、抜管(サンプリング)法のやりかたは、まず、配管の一部分を抜管し、配管を縦割り(半分に分けます=半割り)します。半割りした片側は現状のままで、もう1つの側を酸で洗い、錆や付着物をきれいに落とし、内面の錆や汚れの状況と管厚の減肉状況を確認します。
 酸で洗った方に管が薄くなった部分(肉減)あれば、その肉厚がいくらかを測定して、配管の経過年数をもとに推定残存寿命を知ることができます。抜管(サンプリング)法では、配管の一部を切断するために工事中は、その配管を使用することができません。


 


イ タイルの浮きやはく離    -------  放射線(X線)透過法

X 適切でない。 タイルの浮きやはく離の調査には、放射線(X線)透過法は適していない。赤外線法を使用する。
 
 平成26年マンション管理士 試験「問36」 平成23年管理業務主任者 試験「問28」 、 平成21年マンション管理士試験 「問38」 、 平成18年マンション管理士試験 「問37」 など。
 
 タイルの浮きやはく離の調査は、もう過去問題をやった人には、お馴染みの出題。

 タイルの浮きやはく離を調査・診断するには、ハンマーで打診する方法や非破壊試験として、反発法や赤外線を利用した方法があります。
 赤外線法は、外壁に赤外線を照射し、センサーを用いて温度を測定して、モルタルやタイルの浮いている部分を特定する、モルタルやタイルの浮き部分の調査方法です。
赤外線法で調査をするには、日照及び温度変化の大きい日が適しています。外壁面は直射日光が当たると表面温度が上昇します。外壁の仕上げがモルタルやタイルの場合、この温度上昇の度合いは、モルタルやタイルの浮いている部分の方が、浮いていない健全な部分よりも、大きくなります。下地と仕上げのモルタルやタイルとの間に生じた 空気層は熱伝導が小さいため、表面仕上材のモルタルやタイルの熱エネルギーが伝達されずに蓄積されるためです。
 そこで、タイルの浮きやはく離を調査するには、放射線(X線)透過法ではなく、赤外線法が適していますから、設問は適切ではありません。




ウ 鉄筋の位置やかぶり厚さ  -------  自然電位法

X 適切でない。 鉄筋の位置やかぶり厚さの調査には、非破壊検査として、電磁波レーダー法、電磁波誘導法、放射線(X線)が適切。 自然電位法は、鉄筋の腐食を診断する方法。
 
平成27年 管理業務主任者試験 「問17」選択肢4 、
 平成23年 マンション管理士試験 「問36」。
 
  鉄筋のかぶり厚さとは、鉄筋を覆っているコンクリートの厚さのことです。このコンクリートの厚さは、経年により劣化し薄くなっていきます。すると、中の鉄筋が錆びたり防火性能も劣ってきますから、調査します。建築基準法でも基準があります。また、その調査方法 としては、局部破壊法として、コンクリートを削(はつり)ったり、 非破壊検査として、電磁波レーダー法、電磁波誘導法、放射線(X線)による方法があります。

 
 
 

  

  また、自然電位法とは、腐食により変化する鉄筋の電位を測定することによって、鉄筋の腐食度を診断する電気化学的方法です。
 原理としては、鉄筋が腐食することによって変化する鉄筋表面の電位から、鋼材の腐食度を診断します。
 構造物が利用を開始してから内部鉄筋が腐食し、腐食によりかぶりコンクリートにひび割れが発生するまでの、コンクリート構造物が腐食劣化する初期の段階での診断に有効です。

 そこで、鉄筋の位置やかぶり厚さを調査するには、自然電位法は適切ではありません。
 鉄筋の位置やかぶり厚さの調査には、非破壊検査として、電磁波レーダー法、電磁波誘導法、放射線(X線)が適切です。



エ  コンクリートの中性化の深さ ------   ドリル削孔(粉末)法

○ 適切である。  コンクリートの中性化の深さを調べるには、ドリル削孔(粉末)法もある。
 上の「問36」 選択肢1でも説明しましたように、コンクリートの中性化とは、元々アルカリ性であったコンクリートが、大気中の二酸化炭素(CO2)がコンクリート内に侵入し、炭酸化反応を引き起こすことにより、本来アルカリ性であるコンクリートのph(ペーハー)値を下げる現象です。このコンクリートの中性化が鉄筋位置まで達すると、鉄筋の被膜が破壊され、水や酸素の浸透によって鉄筋が錆び構造物の耐久性が損なわれますから、コンクリートの中性化を調査することは大切です。
 コンクリートの中性化深さを調査する方法には、@コア採取法、Aドリル削孔(粉末)法、Bはつり による方法があり、ドリル削孔(粉末)法は、適切です。
なお、pH値が10を下回ると中性化と判断されます。

 従来からあった、コンクリート・コア採取法や、はつり法によって得られた試料の試験結果は、信頼性は高いのですが、小規模ではありますが破壊を伴う試験であるため、構造耐力上問題となる事があります。破壊が軽微な範囲でも構造物の所有者の心理的抵抗、大がかりな作業、補修そして高価な費用となることから、多くのデータを得る事は出来ず、点としての情報を得るにすぎない不備がありました。
 そこで、(社)日本非破壊検査協会より、直径10mmのドリルの削孔粉を用いて中性化深さを試験する方法が、NDIS 3419「ドリル削孔粉を用いたコンクリート構造物の中性化深さ試験方法」として提案されています。
 以下が、ドリル削孔(粉末)法の概要です。


 
 
  このように、ドリル削孔(粉末)法によって測定された中性化深さは、コンクリート・コア法を用いる深さと等しく、破壊程度、作業量、補修量の面で、コンクリート・コア法よりも大幅な改善が期待できます。


  1 アとイ
  2 イとウ
  3 ウとエ
  4 エとア

答え:4 (適正なのは、エ と ア (ア、エ)

 
設備関係の出題は、過去の出題に加えて、今回の抜管(サンプリング)法やドリル削孔(粉末)法のように、一部の用語を新しくして出題されますから、あわてないように。
 解説を詳細に図まで作成したので、時間がかかる!
 新しい言葉であっても、過去問題から、消去法で、正解は得られた?

《タグ》設備 劣化 診断 調査。 配水管のさび、抜管(サンプリング)法、タイルの浮きやはく離、 反発法や赤外線法、鉄筋の位置やかぶり厚さ 、電磁波レーダー法、電磁波誘導法、放射線(X線)、コンクリートの中性化の深さ、@コア採取法、Aドリル削孔(粉末)法、Bはつり

問38
〔問 38〕 マンションの建物の防水に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 屋上防水のアスファルト防水コンクリート押え工法は、防水層の上にコンクリートの保護層(縦横3m程度の間隔で、伸縮目地を設ける。)を設けるもので、耐久性が高く、屋上を歩行用に開放する場合の防水工法として適している。

○ 適切である。
   
平成21年管理業務主任者試験 「問18」 、平成19年マンション管理士試験 「問39」 、平成18年管理業務主任者試験 「問26」 平成17年マンション管理士試験 「問38」 、平成15年マンション管理士試験 「問38」 。
 
  屋上防水工事には、大きく分けると、@アスファルト押え防水工法、Aアスファルト露出防水工法、Bシート防水工法、C塗膜防水工法 の4つに分類できます。
 アスファルト防水(保護)コンクリート押え工法とは、アスファルトで防水した上側にアスファルトを保護するため、押えのコンクリートを60〜100mmの厚さで打設したものです。
また、コンクリートは、寒暖により伸縮しますから、縦・横3m程度の間隔で、幅2cm程度の伸縮目地を設けます。歩行用アスファルト防水とも言われ、ルーフ・テラスや屋上を利用する部分(全面でも)採用されます。耐久性も高く、30年経っても雨漏りがしないという例もあります。ただし、目地材の補修は必要です。



 


2 シリコーン系シーリング材は、耐久性及び接着性が高く、目地周辺を汚染しないので、使用箇所が限定されない。

X 適切でない。 シリコーン系シーリング材は、目地の周辺の壁面などを汚染させるため、使用箇所が限定される。
 
 平成17年マンション管理士試験 「問39」 、 平成16年マンション管理士試験 「問39」 平成14年マンション管理士試験 「問37」 。
 
  まず、シーリング(Sealing)とは、建築物の外壁や窓枠など部材と部材の接合部(継ぎ目や隙間)を雨水が入ってこないように、また気密性を高めるために埋めることです。そこで使用される埋め物が、シーリング材と呼ばれます。
 シーリング材は、当初はペースト状をして、ガン(拳銃)の形をしたシーリング・ガンで、目地や継ぎ目など使用箇所に埋め込みます。当初の柔らかいペースト状態から時間の経過により固まり、ゴム状に変化します。
 シーリング材には、その用途に応じて様々な種類があり、@シリコーン系、A変形シリコーン系、Bポリサルファイド系、Cアクリルウレタン系、Dポリウレタン系、Eアクリル系などがあり、各成分系統により最適な施工箇所が異なっていますから、各シーリング材の特徴・特性に応じて使い分けなければ、施工中の失敗や施工後に耐久性や美観の問題が生じることになります。

 そこで、設問のシリコーン系シーリング材ですが、シリコーン系シーリング材の特徴としては、ポリウレタン系など、他のシーリング材よりも、高性能で、紫外線に強く、耐水性・耐熱性・耐久性にも優れています。
 使用箇所としては、 アルミサッシ回り、金属、金物回り、大理石、モルタル、コンクリート、ガラス回りなど多くの箇所で使えますが、目地の周辺の壁面などを汚染させる傾向があるため、使用箇所が限定されますから、適切ではありません。



3 屋根防水層の改修におけるかぶせ工法は、既存の防水層を撤去せずに新たな防水層をかぶせるので、その適否は、既存の防水工法の種類の影響を考慮して判断しなければならない。

○ 適切である。
 屋上や屋根の防水を改修する方法としては、既存の防水層を全部撤去して、新しく防水層を施行する「撤去工法」と、既存の保護コンクリートなど不良部分だけを除去し、新規に各種の防水層をかぶせる「かぶせ工法」があります。
 費用や産業廃棄物が少ないなどから、かぶせ工法が多く採用されています。
 しかし、かぶせ工法では、既存の防水工法や断熱材の有無などを考慮する必要があり、新規にアスファルト防水、シート防水、ウレタン塗膜防水などを選択しますので、適切です。



4 ポリウレタン系シーリング材は、ガラスを透過した紫外線により接着性が低下しやすいので、接着面にガラス越しの紫外線を受けるガラス面には用いない。 

○ 適切である。
  平成14年マンション管理士試験 「問37」。 
 
 選択肢2でも説明しましたように、シーリング材のポリウレタン系は、固まるとゴムのような弾力性を持ち、標準的な性能も有していますから、価格面からも多く使用されています。
 ポリウレタン系シーリング材の特徴は、紫外線に弱いので、住宅の外観箇所には向いていません。伸縮性も大きくは無いので、コンクリートの目地やサッシ枠回りなどに使用されますから、適切です。
 またホコリを吸い付けてしまう性質があります。従って使用する際は、上から塗装する必要があります。



答え:2

 
少し、難しいか? 過去問題を調べていたら、かなり似たような出題があった。

《タグ》
設備 防水。 @アスファルト押え防水工法、Aアスファルト露出防水工法、Bシート防水工法、C塗膜防水工法、シーリング材、ポリウレタン系、シリコーン系、かぶせ工法
 
問39
〔問 39〕「マンションの修繕積立金ガイドライン」(平成23年4月 国土交通省公表)に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 修繕積立金の均等積立方式は、安定的な積立てが可能な方式であるが、多額の資金を管理する状況が生じる点に留意が必要である。

○ 適切である。 最近、よく出題がある。
 
 平成26年 マンション管理士試験 「問39」 、 平成25年 マンション管理士試験 「問37」 
 
 もう、常識の範囲。 
 マンションの修繕積立金ガイドライン P.9
 修繕積立金の積立方法には、長期修繕計画で計画された修繕工事費の累計額を、計画期間中均等に積み立てる方式(均等積立方式)の他、当初の積立額を抑え段階的に積立額を値上げする方式(段階増額積立方式)があります。また、購入時にまとまった額の基金(「修繕積立基金」と呼ばれます。)を徴収することや、修繕時に一時金を徴収する又は金融機関から借り入れたりすることを前提とした積立方式を採用している場合もあります。
 段階増額積立方式や修繕時に一時金を徴収する方式など、将来の負担増を前提とする積立方式は、増額しようとする際に区分所有者間の合意形成ができず修繕積立金が不足する事例も生じていることに留意が必要です。
 将来にわたって安定的な修繕積立金の積立てを確保する観点からは、均等積立方式が望ましい方式といえます。

 そして、マンションの修繕積立金ガイドライン  P.10
 ○均等積立方式
  
(1)特 長  :将来にわたり定額負担として設定するため、将来の増額を組み込んでおらず、安定的な修繕積立金の積立てができる。
  (2)留 意 点:修繕資金需要に関係なく均等額の積立金を徴収するため、段階増額積立方式に比べ、多額の資金を管理する状況が生じる。

  均等積立方式であっても、その後の長期修繕計画の見直しにより増額が必要になる場合もある。
  とあり、適切です。



2 建物に比べて屋外部分の広いマンションでは、給水管や排水管等が長くなるほか、アスファルト舗装や街灯等も増えるため、これらに要する修繕工事費が高くなる傾向がある。

○ 適切である。
 マンションの修繕積立金ガイドライン P.11
 5 修繕積立金の主な変動要因について
  ・
建物に比べて屋外部分の広いマンションでは、給水管や排水管等が長くなるほか、アスファルト舗装や街灯等も増えるため、これらに要する修繕工事費が高くなる傾向があります
 とあり、適切です。
  よく、問題を読めば、常識でも分かります。



3 超高層マンション(一般に20階以上)は、外壁等の修繕のために建物周りに設置する仮設足場やゴンドラ等の設置費用が高くなるほか、施工期間が長引くなど、修繕工事費が高くなる傾向がある。

○ 適切である。
 マンションの修繕積立金ガイドライン P.11
 5 修繕積立金の主な変動要因について
 ・建物が階段状になっているなど複雑な形状のマンションや
超高層マンションでは、外壁等の修繕のために建物の周りに設置する仮設足場やゴンドラ等の設置費用が高くなるほか、施工期間が長引くなどして、修繕工事費が高くなる傾向があります
 とあり、適切です。



4 近年の新築マンションでは、配管にステンレス管やプラスチック管が使用されているので給排水管の修繕工事費は高くなる傾向がある。

X 適切でない。 給排水管の修繕工事費は少なくなる。高くならない。
 マンションの修繕積立金ガイドライン P.12
 ・共用の給水管や排水管については、配管や継手部分の内部が腐食することから、これらを洗浄・研磨し、再度コーティングする“更生工事”や、“更新(取替え)工事”が必要になります。
 
近年の新築マンションでは、ステンレス管やプラスチック管等の腐食しにくい材料が使われるようになり、更生工事が必要無くなり、取替え工事も遅らせることができるようになり、給排水管に関する修繕工事費は少なくて済むようになる傾向があります。
 とあり、配管にステンレス管やプラスチック管が使用されているので給排水管の修繕工事費は少なくなる傾向にありますから、高くなる傾向がある、は適切ではありません。



答え:4

 まるで常識を纏めた「マンションの修繕積立金ガイドライン」ですが、この作成にあたって国土交通省は、私たちの貴重な血税からかなりの予算を使ったようで、最近、よく出題があります。
 まあ、サービス問題ですが、これを落とす受験生はいないでしょう。 まったく無駄な出題です。

《タグ》マンションの修繕積立金ガイドライン。 常識の範囲、税金の無駄。
問40
〔問 40〕マンションの遮音性能に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 JIS(日本工業規格)によると、床の遮音等級はL値で示し、値が小さいほど遮音性が高く、界壁の遮音等級はD値で示し、値が大きいほど遮音性が高い。

○ 適切である。 床の遮音等級のL値は、小さいほど、遮音性が高いが、界壁の遮音等級のD値は、大きいほど遮音性が高い。
 平成21年 マンション管理士試験 「問42」 、平成21年管理業務主任者試験 「問23」 選択肢2、3、平成18年マンション管理士試験 「問42」 、 平成15年 マンション管理士試験 「問40」

 床の遮音等級についてJISでは、以下のような「L値」での等級を定めていて、L−40は、L−60よりも遮音性が高くなっています。

床の遮音等級  L−40  L−45  L−50  L−55 L−60
人の飛び跳ね 歩行音
(重量衝撃音 LH)
かすかに聞こえるが、遠くから聞こえる感じ。   聞こえるが意識することはない。  小さく聞こえる。  聞こえる。 よく聞こえる。
物の落下音、イスの移動音
(軽量衝撃音 LL)
 ほとんど聞こえない。  小さく聞こえる。  聞こえる。  気になる。
かなり聞こえる。
生活実感  気配は感じるが気にならない。  スプーンを落とすとかなり聞こえる。  イスを引きずる音は聞こえる。  イスを引きずる音がうるさく感じる。 スリッパ歩行音が良く聞こえる。

 また、界壁の遮音は、主に壁の密度と厚さによって決まります。
 その遮音等級は、「D(Differrence of Sound Level=音圧レベル差)値」で表し、床の衝撃音では、L-40のように、L値の少ない方が優れていましたが、界壁の遮音では、反対に等級の大きい(D-65〜D−15)ほど、遮音性が優れています。D-40 では、L-60 に相当し、うるさく感じます。 せめて、D-55 ぐらいは必要です。

界壁の遮音等級

D-65

D-60

D-55

D-50

D-45

D-40

D-35

D-30

D-25

D-20

D-15

ピアノ、ステレオ等の大きい音

通常では聞こえない

ほとんど聞こえない

かすかに聞こえる

小さく聞こえる

かなり聞こえる

曲がはっきり分かる

よく聞こえる

大変よく聞こえる

うるさい

かなりうるさい

大変うるさい


 よって、設問は、適切です。
 下の選択肢2も参考にしてください。


2 外部騒音による生活への影響が低減されるよう開口部の遮音性能を高めるには、2枚の建具の間隔をあけた二重サッシにする方法がある。

○ 適切である。
  平成21年 マンション管理士試験 「問42」 、平成16年 マンション管理士試験 「問38」 。
 
  外部騒音は開口部(窓・玄関など)での遮音が有効です。そこで、遮音型サッシ、二重サッシ、遮音ドア、消音タイプの換気スリーブの採用等が有効ですから、適切です。



3  同じ厚さのコンクリート床の場合、普通コンクリートは、軽量コンクリートに比べ重量床衝撃音に対する遮音性能は低くなる。

X 適切でない。 普通コンクリートの方が、軽量コンクリートに比べ重量床衝撃音に対する遮音性能は高くなる。また、同じ程度?
 まず、普通コンクリートとは、砂、川砂利、砕石などを骨材としています。
 そして、軽量コンクリートとは、普通コンクリートよりも密度(普通コンクリート;2.3t/m3、 軽量コンクリート;1.9t/m3)を小さくしたものです。天然軽量骨材や人工軽量骨材を使用しています。多量の気泡を混入または発生させて軽くしたコンクリートです。


  そして、床の衝撃音には、 @重量床衝撃音 と、 A軽量床衝撃音 があります。
   @重量床衝撃音は、子供が飛び跳ねるときに生じる音のように、大きく下の階に伝わる鈍くて低い音です。床の材質が固くて重いほど遮音効果は高くなります。マンションでは床のコンクリートスラブが厚いほど遮音性はよく、また、梁で囲まれたスラブ面積の広さも関係します。なお、遮音等級は「LH-45」「LH-50」(Hは「Heavy-Weight」を意味する)という形で表し、数値が少ないほうが遮音性能は高くなります。
   A軽量床衝撃音は、スプーンなどを床に落として「コツン」といったり、スリッパで歩いて「パタパタ」するように、比較的軽めで高音域の音です。軽量衝撃音の遮音性能は、床の構造や表面仕上げによって変わります。構造は直床よりも二重床、仕上げ材はカーペットのように吸音性が高いものほど良くなります。遮音等級は「LL-45」「LL-50」(Lは「Light-Weight」を意味する)などと表し、数値が少ないほうが遮音性能は高くなります。

 
 そこで、 重量床衝撃音に対する遮音性能は、コンクリート床の厚さ、密度、剛性等によって決まりますから、同じ厚さのコンクリートなら、普通コンクリートの方が軽量コンクリートに比べ密度が高いので、重量床衝撃音に対する遮音性能は、普通コンクリートの方が高くなるため、適切ではありません。
 
 また、調べると、普通コンクリートと軽量コンクリートの重量床衝撃音に対する遮音性能は、ほぼ同じとの調査データがあった。

 参考;
 【1】 遮音性能(重量床衝撃)
  関西圏において、3件の集合住宅を対象に、居室形態・面積・スラブ厚さ・梁せい等の躯体条件が全く同一な条件において、170mm厚スラブの重量床衝撃音レベルの実測値によると、軽量コンクリートと普通コンクリートは、コンクリート単版で評価した場合よりも差は小さく、2dB程度の差となっており、遮音性能はほぼ同程度であったことが確認されている。
 
 【2】 遮音性能(軽量床衝撃音)
  軽量床衝撃音の遮音性能についても普通コンクリートと同一クラスであることが確認されています。
 なお、軽量床衝撃音の場合、基本的にコンクリートそのものの性能だけで評価するのではなく、床の仕上げを行った状態で評価することになっています。



4 一般的には、床仕上げ材を木質フローリングからカーペットにリフォームすることで、軽量床衝撃音に対する遮音性能を高めることができる。

○ 適切である。 
 選択肢3で説明しましたように、軽量床衝撃音に対する遮音性能を高めるには、衝撃力を少なくすればいいわけです。
 つまり、より表面が柔らかくて弾力性のあるものの方が、軽量床衝撃音に対する遮音性能が高くなるということです。
 そこで、床仕上げ材を硬い木質フローリングから柔らかいカーペットにリフォームすることは、軽量床衝撃音に対する遮音性能を高めることができるので、適切です。



答え:3
 
 遮音に関する過去問題も、かなり出ています。選択肢3は、専門的で悩むかも。でも、消去法で正解は、選べる。

《タグ》設備 遮音。 L値、D値、 
重量床衝撃音、軽量床衝撃音
問41
〔問 41〕 昭和56年5月以前の耐震基準(旧耐震基準)に基づいて建てられたマンションの耐震性に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 1階に大区画の店舗等があるマンションは、一般に剛性率が大きいため、層崩壊等の大被害が生じるおそれは少ない。

X 適切でない。  1階に大区画の店舗等があるマンションは、一般に剛性率が小さくて、層崩壊等の大被害が生じるおそれは大きい。 
  平成22年 管理業務主任者試験 「問26」 、 平成17年マンション管理士試験 「問41」 平成16年マンション管理士試験 「問40」 。
  
  まず、 昭和56年(1981年)5月という数字は大切です。
 ご承知のように、地震大国:日本では、大正時代の関東大震災や戦後でも十勝沖地震、宮城県沖地震、また最近では平成23年(2011年)3月に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)など大きな地震に度々遭遇し、家屋の倒壊で甚大な被害がでています。それらをうけ、建築基準法も度々改正され、昭和56年6月1日から耐震基準が大幅に改正され、この耐震基準は、新耐震基準と呼ばれています。
 新耐震基準の考え方は、中規模の地震(震度5強程度)に対しては、ほとんど損傷を生じず、極めて稀にしか発生しない大規模の地震(震度6強から震度7程度)に対しては、人命に危害を及ぼすような倒壊等の被害を生じないことを目標としています。
 その後、最大震度7であった阪神・淡路大震災(平成7年(1995年)1月)における建物の倒壊においては、昭和56年以前の旧耐震基準によって建てられた家屋に被害が集中しているという調査報告があります。
 また、阪神・淡路大震災を機に、「建築物の耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促進法)」も制定され、その後も、平成25年11月施行では、マンションなど区分所有建築物については、耐震改修の必要性の認定を受けた建築物について、大規模な耐震改修を行おうとする場合の決議要件を緩和し、区分所有法における決議要件が3/4以上の特別多数決議から1/2超(過半数=普通決議)に軽減されています。
 関連して、マンションの建替えの円滑化等に関する法律も改正されています。
 
 そこで、まず、設問の剛性率(ごうせいりつ)とは、建築物の構造設計を行う際に、建物の剛性の上下方向のバラつきを評価するための指標です。各階の剛性(層間変形角の逆数=階高/地震荷重時の層間変形量)を全階の剛性の平均値で除した値だそうです。(詳細は、各自調べてください)
 具体的には、剛性率は各階の水平方向への変形のしにくさが、建築物全体のそれと比べてどの程度大きいか、小さいかを示します。
 この値が 1.0 より大きくなるほど、その階は建築物全体からみて変形しにくい(相対的に剛性が大きい)階であり、1.0 より小さな値になるほど変形しやすい(相対的に剛性が小さい)階であることを示します。剛性率の特に小さい階を含む建築物の地震時の振動性状は、その階に地震のエネルギーが集中し過大な水平変形が生じます。
 というわけで、1階に大区画の店舗があるマンションなら、その1階の剛性率は小さくて、1階に地震エネルギーが集中し、層崩壊等の大被害が生じるおそれは大きいため、適切ではありません。

 同じような状況は、ピロティ形式のマンションでもいえます。
 参考:ピロテュ形式:建物を柱だけで支え、壁のない階をもつ建物のこと。ピロティ形式の建物の多くは、その部分を駐車場や駐輪場として利用する。また、1階部分が自由に通り抜けできるようになった建築スタイルのことも「ピロティ」という。なお、ピロティとはフランス語で「杭(くい)」の意。1階部がピロティになっていると、揺れに弱い。そこで、耐震壁や補強ブレース(ななめの筋交い)で強化する。

   



2 中層の鉄筋コンクリート造の壁式構造のマンションは、壁量が多いため、一般に耐震性は高く、過去の大地震でも大きな被害を受けたものは少ない。

○ 適切である。
  平成26年マンション管理士試験 「問40」
 
  壁式構造とは、鉄筋コンクリート造りの壁と床板によって、箱状の構造を作り、荷重や外力に対応します。柱や梁がないのが特徴です。
 柱と梁で支えるラーメン構造に比べて開口部(窓、扉など)のとり方が限定されますが、柱や梁が室内に出ないため、室内を広く使えるメリットがあります。通常、5階建てまでのマンションでも採用され、昭和56年以前でも利用されています。




 そこで、壁式構造の建物の耐震性ですが、国土交通省が作成しています、「マンション耐震化マニアル」(平成19年6月、平成26年7月再改訂)のページ6
 「RC造:壁式構造の住棟(4階建て)築後30年程度以上は経過していると思われるが、被害は全く見られない。一方で、隣の鉄道の高架は圧壊している。」 
  とあり、中層の鉄筋コンクリート造の壁式構造のマンションでも、一般に耐震性は高く、過去の大地震でも大きな被害を受けたものは少なく、適切です。

 


3 上層部と下層部で構造形式が異なるマンション(例えば下層階が鉄骨鉄筋コンクリート造・上層部が鉄筋コンクリート造)では、構造形式が切り替わる付近の階で、層崩壊等の被害が集中するおそれがある。

○ 適切である。
 上層部と下層部で構造形式が異なるマンションの場合は、設問のように、構造形式が切り替わる付近の階で、層崩壊等の被害が集中するおそれがあり、適切です。


4 耐力壁がバランス良く配置されていないマンションは、重心と剛心の位置が異なるため、剛心を中心にねじれが生じる。

○ 適切である。
  まず、重心とは建物平面形状の中心をいい、剛心とは水平力に対抗する力の中心をいいます。建物の重心と剛心が離れていると地震時に建物が捩じられて揺れが大きくなり、耐震性能に悪影響を及ぼすことがあります。建物の耐震性能は、重心と剛心の距離が小さいほう(できるだけ近づける)が、より優れています。



 そこで、耐力壁がバランス良く配置されていない建物は、重心(建物重量の中心)と剛心(柱、梁、耐力壁等の耐震要素の中心)の位置が異なるため、剛心を中心にねじれ(回転変位)が生じる。ねじれによる変位が大きくなる剛心から遠い部分が、局所的に崩壊したり、地震力の集中する剛心近くが、崩壊してしまうことがありますから、適切です。

答え:1
 
 
易しい問題です。ここの設問は、全部、国土交通省が作成しています、「マンション耐震化マニアル」(平成19年6月、平成26年7月再改訂)にある文章と同じだった。

《タグ》耐震。 新耐震基準、 1階がピロティ形式、大区画の店舗、剛性率、重心、剛心、マンション耐震マニュアル

問42
〔問 42〕 マンションの住棟型式に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
 
1 階段室型は、階段室から直接各住戸に入る型式で、廊下型に比べ各住戸の独立性は高い。

○ 適切である。
  マンションという、複数階の建物であることを図としてイメージしてください。
 各住戸への入り方からマンションを見ると、階段室型と呼ばれている方式は、階段室又はエレベーターから直接各住戸に入る型式です。
 また、廊下型と呼ばれるのは、片方の廊下から各住戸に入る @片廊下型と、中央に設けられた廊下を挟んで住戸がある A中廊下型があります。
 さらに、選択肢4で出てきます、コア型と呼ばれる、高層マンションによくある中央(コア=核)にエレベーターや廊下があるタイプもあります。


 
   
 そこで、階段室型は、廊下型よりも出入りに関係する住戸が少ないため、独立性は高くなりますから、適切です。
 なお、階段室型は、エレベーターを設置すると1基当りのサービス効率が悪いため、歩いて登る設計が多いため、低層向きです。



2 タウンハウス型は、各住戸に専用庭を持ち、ほかにコモンスペース(共用の広場、庭、駐車場など)を持つ低層の集合住宅である。

○ 適切である。
 タウンハウス型は、別称:棟割長屋とも呼ばれ建物は1棟として横に繋がっていますが、通常のマンションと異なり、各部屋の敷地は、各専有部分ごとに分筆し、各区分所有者がその敷地を単独に所有している形式です。この場合の土地は、分有と呼ばれ、土地と建物は分離して処分できます。
 多くの場合、2階建て程度の低層の集合住宅で、また、コモン・スペースと呼ばれる共用の広場、庭、駐車場などがありますから、適切です。
 戸建てのような独立性と共用部分を持つことによって経済性があります。


 
 

3 メゾネット型は、2階おき程度にエレベーターの停止階及び共用廊下を設け、エレベーターの停止階以外の階には階段によって各住戸へ達する型式である。

X 適切でない。 2階おき程度にエレベーターの停止階及び共用廊下を設け、エレベーターの停止階以外の階には階段によって各住戸へ達する型式は、スキップ・フロア型である。
 メゾネット型は、各住戸が通常2階部分を持っている形式です。つまり、戸建ての2階建てがマンションの室内にあるという、かなり広い専有面積を持つ豪華な(?)造りとなっています。
 そこで、共用廊下は2階おきにあり、エレベーターも1階飛ばしで設置されることになります。
 共用の廊下がない階では、両面に開口部がとれる為、採光や通風さらにプライバシーの面など利点が多くあります。


 一方、このメゾネット型とは異なり、各住戸は、フラット(2階建てではなく)ですが、共用廊下は、普通、2階ごと設け、エレベーターもその廊下のある階に停まり、エレベターが停まらない階の住戸の人は、階段を利用するという、健康にいい、経済的な建て方があり、これは、「スキップ・フロア型」と呼ばれます。
 設問の「2階おき程度にエレベーターの停止階及び共用廊下を設け、エレベーターの停止階以外の階には階段によって各住戸へ達する型式」とは、この「スキップ・フロア型」ですから、適切ではありません。
 なお、「スキップ・フロア型」でも、共用廊下の無い階では、メゾネット型のように、両面に開口部がとれる為、採光や通風さらにプライバシーの面など利点はあります。

 
 


4 コア型は、20階以上の超高層住宅で多く用いられ、エレベーター・階段室などを中央に置き、その周辺に多くの住戸を配置する型式で、方位によって居住性(採光・通風)に不利な住戸ができる。

○ 適切である。
 選択肢1でも説明しましたが、コア型は、超高層マンションでよく利用され、建物の中央(Core コア=核)に、エレベーター・階段室などを置き、その周辺に多くの住戸を配置する型式です。
コア型は、コア(中央)部分に集中的にエレベーター・階段室などの動線を配置できますから、建設費や設備費からみると利点がありますが、角部屋を除き、1方向にしか面していないことが多く、北側に面しているだけの部屋なら常に日照が悪く、また、窓が1方向にしかないため、風通しも悪くなり、エレベーター・ホールは閉鎖的など、居住性に不利な住戸ができますから、適切です。
  



答え:

 
ラフに出題を読むと、選択肢3は、迷う? なお、タウンハウスの区分所有法での詳細は、「マンション管理士 香川事務所」が無料で提供しています、「超解説 区分所有法」の第10条あたりも参考にしてください。

《タグ》住棟形式。 階段室型、廊下型、片廊下型、中廊下型、コア型、タウン・ハウス型、メゾネット型、スキップ・フロア型
問43
〔問 43〕 マンションの給水設備に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

1 給水設備の計画において、居佳者1人当たりの1日の使用水量を75〜150リットルとする。

X 適切でない。 居住者1人当たりの1日の使用水量は、200リットル〜350リットルが目安
 
 平成24年マンション管理士試験 「問43」 、平成20年マンション管理士試験 「問43」 、 平成19年マンション管理士試験 「問45」 。
 
  給水設備の計画において、居佳者1人当たりの1日の使用水量は、200リットル〜350リットルが目安ですから、適切ではありません。


2 飲料用受水槽のマンホール面は、ほこりやその他衛生上有害なものが入らないように、受水槽の天井面より5cm程度立ち上げる。

X 適切でない。 飲料用受水槽のマンホール面は、受水槽の天井面より5cm程度ではなく、10cm程度立ち上げる
  平成23年 マンション管理士試験 「問43」
 
  飲料用受水槽のマンホールは、直径60cm以上とし、周囲から10cm以上立ち上げて設け、防水パッキン入り、カギ付きとしますから、適切ではありません。。
 飲料用受水槽(給水タンク)については、平成12年5月30日建設省告示1406号があるが、「内部が常時加圧される構造の給水タンク等(以下「圧力タンク等」という。)に設ける場合を除き、ほこりその他衛生上有害なものが入らないように有効に立ち上げること。」とあるだけで、設問のような5cmとか10cm以上となると、過去の問題においても根拠となる法令は、見当たらなかったが、今般詳細に根拠を調べると、大阪市水道局のHPに10cmの記載があった。

1 給水設備の構造 (大阪市水道局のHPより
(貯水槽)
 (1)飲料水を貯水する受水槽の有効容量は、1日使用水量の1/2を標準とする。
 (2)飲料水を貯水する高置水槽の有効容量は、1日使用水量の1/10を標準とする。
 (3)飲料水を貯水する受水槽及び高置水槽等(以下「貯水槽」という。)の周囲の保守点検に必要な間隔は、原則として60cm以上とし、貯水槽の点検口を設けた面の間隔は、100cmとすること。
 (4)貯水槽は、清掃時の断水を避ける必要のある場合、又は貯水槽の容量が大きく、清掃に長時間を要する場合には、2槽式にする等の措置を講ずること。
 (5)貯水槽内は清掃作業が容易な構造とし、底部には1/100を標準とする勾配及び集水ピット等を設け、完全な水抜きができる構造とすること。
 
(6)貯水槽の上面は適当な勾配をとり、水はけを良くすると共に、マンホール面は周囲より約10cm高くすること。
 (7)貯水槽は完全な水密性を保ち、かつ直射日光を受ける場合は、光により水質に悪影響を受けない材質とすること。
 (8)貯水槽は、滞留水を生じないよう次の点に留意すること。
     ア 貯水槽の流入口と流出口は、対称の位置に設置すること。
     イ 貯水槽の形状によっては、迂回路を設けること。
 (9)貯水槽は、満減水警報装置を設けること。
 (10)貯水槽には、飲料水を供給する設備以外の管を貫通させないこと。
 (11)貯水槽の上面には、原則としてポンプ、排水管等を設置しないこと。
 (12)飲料水を貯水する高置水槽は、飲料水を供給する設備以外の設備と直接させないこと。
    ただし、消防用高置水槽がやむをえず設置できない場合は、有効な逆流防止装置を取付直結することができる。
 
 このあたりを、根拠としているようですが、もっと明確な根拠が欲しい出題です。



3 水道水の水質を確保するためには、給水栓における遊離残留塩素の濃度が、通常0.01mg/リットル以上にしなければならない。

X 適切でない。 給水栓における遊離残留塩素の濃度は、0.1mg/リットル 以上にする。
  平成20年 マンション管理士試験 「問43」 平成18年 管理業務主任者 試験 「問22」 選択肢1 のまま。
 
  水道法施行規則17条1項3号「給水栓における水が、
遊離残留塩素を〇・一mg/リットル(結合残留塩素の場合は、〇・四mg/リットル)以上保持するように塩素消毒をすること。」とあり、給水栓における遊離残留塩素の濃度は、0.01mg/リットル以上ではなく、0.1mg/リットルですから、適切ではありません。


4 給水器具の最低必要圧力は、一般の給水栓の30kPaに比べ、ロータンクを持たない洗浄弁方式の大便器の方が高い。

○ 適切である。
 まず、マンションの住戸では、給水管の給水圧力の上限は、300〜400kPa(パスカル)に設定してあるようです。
  そこで、一般の水栓では 30kPa、 シャワーでは 40〜160kPa の圧力とするそうです。


  そして、水洗式の便器の種類での、ロータンク式水洗方式とは、洗浄水を便器より1m以内の高さで便器奥に設けたロータンクに貯水し、排水弁を一気に抜いて洗浄する方式です。
 水圧が低いため、洗浄管を太くして抵抗を減らし短時間で大量給水できるようにしてあります。利点としては、水洗時の音が小さく、修理が容易ですが、連続使用する場合はロータンク内に水が貯まるまで洗浄できません。住宅で採用されているのは、ほとんどがこの形式です。
 また、洗浄弁方式の大便器の、洗浄弁とは、フラッシュバルブの事です。
 洗浄弁(フラッシュバルブ)方式の大便器では、便器に接続された給水管の水圧をそのまま利用してフラッシュバルブで給水して洗浄します。水を貯めるタンク(ロータンク)が不要のため省スペースで連続使用が可能ですが、水圧も一般の30kPaよりも70kPaと高くする必要があり、適切です。


 


答え:4

 
選択肢4は、よく読めば、分かるか。でも選択肢2の5cmはだめで10cm以上が必要は、もっと明確な根拠が欲しい出題です。

《タグ》
給水設備 。 居住者1人当たりの1日の使用水量は200リットル〜350リットル、飲料用受水槽のマンホール、給水栓における遊離残留塩素の濃度、便器の水圧 
問44
〔問  44〕 マンションの排水設備に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

1 サイホン式トラップは、排水が流水路を満流状態で流下するので、自己サイホン作用を生じやすいが、排水と排水中に含まれる固形物を同時に排出できる。

○ 適切である。
  
平成27年 管理業務主任者試験 「問20」 、 平成26年 マンション管理士試験 「問44」 、平成21年 管理業務主任者試験 「問25」 、平成18年 マンション管理士試験 「問44」、 平成16年 管理業務主任者試験 「問23」 。
 
  まず、トラップ(Trap=わな)とは、排水管や下水道からの悪臭、有毒ガス、虫などが室内に侵入するのを防ぐためのもので、具体的には、洗面器など衛生器具の排水管の途中や排水系統に設けられ、水がたまった部分のことです。トラップの種類としては、サイホン式と非サイホン式に大別できます。
 そこで、サイホン式トラップとは、排水管をS字型(Sトラップ)やU字型(Uトラップ)などに形成し、排水が満水状態で通過するときのサイホン作用を利用し水封部分の固形物を排出しますが、自己サイホン作用によって、破封(封水が破られる)しやすい欠点もあり、適切です。
 なお、封水の深さは、50mmから100mmと決められていますから、注意してください。
 破封の原因は、別途勉強してください。

 



2 高層や超高層のマンションで採用されることが多い特殊継手排水システムは、伸頂通気管と通気立て管を設置することなく、汚水や雑排水を排水できる。

X 適切でない。 特殊継手排水システムでは、通気立て管は省けるが、伸頂通気管は設置する。
  平成22年 マンション管理士試験 「問45」 、平成19年 マンション管理士試験 「問45」 平成15年 管理業務主任者試験 「問23」 、平成14年 マンション管理士試験 「問44」 
 
  空気圧を調節する通気管が何故必要となるのか、上の階から流れる水圧が下の階にどのような影響を与えるのか、このあたりの原理を知ることです。

 
 特殊継手(つぎて)排水システムとは、排水がスムーズに行われるように開発された特殊な継ぎ手を用いて、衛生器具等からの排水が流れる横枝管と排水立て管が合流する時に、排水を減速して旋回させ排水立て管に沿ってらせん状に落下させることにより、排水立て管の真中に空気のコアをつくることで通気を確保し、大量の排水の流れをスムーズにします。
 つまり排水管内部を通気管としても利用できるようにしたものです。そこで、汚水・雑排水など複数の排水管横枝管を一つの立て管へ集約することができ、スペースが節約できます。主に、高層や超高層のマンションで採用されることが多いシステムです。
 特殊継手排水システムでは、通気立て管は省略できますが、上方を開放しないと通気がされないため、伸頂通気管は省略できませんから、適切ではありません。


 

  なお、排水管において、通気管は、排水管内の気圧と外の気圧の差を出来るだけ少なくするため、また排水の流れを良くするために欠かせませんので、注意してください。


3 クロスコネクションとは、排水立て管と通気立て管を接続するもので、排水立て管内の圧力変動の緩和のために設置される。

X 適切でない。 クロスコネクションとは、水道を給水する「給水管」と井戸水などの「水道以外の管」が直接接続されていること。
  平成25年 管理業務主任者試験 「問28」
 
  クロスコネクション(Cross Conection =交差して繋げる)とは、給水・給湯配管が、それ以外の配管や器具・装置に直接接続されることですから、適切ではありません。

 クロスコネクションの例としては、飲料水と井戸水、飲料水と消防用水、飲料水と空調用水などを接続していることがあげられます。 たとえバルブ等で水の流れを遮断したとしても、バルブの微細な隙間からの漏れや故障などにより飲料水の汚染が起こる可能性がありますので、飲料水の配管を他の配管と直接つないではいけません。

 法的には、建築基準法施行令第129条の2の5 の 2項1号
 「(給水、排水その他の配管設備の設置及び構造)
 第129条の2の5  建築物に設ける給水、排水その他の配管設備の設置及び構造は、次に定めるところによらなければならない。
   2 建築物に設ける飲料水の配管設備(水道法第3条第9項に規定する給水装置に該当する配管設備を除く。)の設置及び構造は、前項の規定によるほか、次に定めるところによらなければならない。
     
一 飲料水の配管設備(これと給水系統を同じくする配管設備を含む。この号から第三号までにおいて同じ。)とその他の配管設備とは、直接連結させないこと。」 とあり、
 また、参考までに、水道法施行令第5条1項6号もあります。
 「(給水装置の構造及び材質の基準)
 第五条  法第十六条 の規定による給水装置の構造及び材質は、次のとおりとする。
     一  配水管への取付口の位置は、他の給水装置の取付口から三十センチメートル以上離れていること。
     二  配水管への取付口における給水管の口径は、当該給水装置による水の使用量に比し、著しく過大でないこと。
     三  配水管の水圧に影響を及ぼすおそれのあるポンプに直接連結されていないこと。
     四  水圧、土圧その他の荷重に対して充分な耐力を有し、かつ、水が汚染され、又は漏れるおそれがないものであること。
     五  凍結、破壊、侵食等を防止するための適当な措置が講ぜられていること。
     
六  当該給水装置以外の水管その他の設備に直接連結されていないこと
     七  水槽、プール、流しその他水を入れ、又は受ける器具、施設等に給水する給水装置にあつては、水の逆流を防止するための適当な措置が講ぜられていること。
  2  前項各号に規定する基準を適用するについて必要な技術的細目は、厚生労働省令で定める。


 なお、設問の「排水立て管と通気立て管を接続するもので、排水立て管内の圧力変動の緩和のために設置される」のは、「結合通気管」です。 平成25年 マンション管理士試験 「問43」 選択肢3。


4 マンションの排水には、汚水、雑排水、雨水の3系統があるが、雨水と雑排水は、同一の排水立て管を用いることがある。

X 適切でない。 排水の内”雨水”は、他の排水とは別にすること。 雨水と雑排水は、同一の排水立て管にしてはいけない。
  平成25年 マンション管理士試験 「問43」 平成16年 管理業務主任者試験 「問23」、 平成14年 マンション管理士試験 「問44」、 平成13年 マンション管理士試験 「問38」
 
  まず、マンションの排水には、@汚水(トイレ汚水)、A雑排水(台所、風呂、洗面所)、B雨水の3系統に分けられるは適切です。

 そこで、排水方式のうち、汚水と雑排水を同一系統で排出させる方式を合流式といい、汚水と雑排水は、同一の排水立て管を用いることはありますが、雨水と他の排水との立て管は一緒にできませんから、この部分が適切ではありません。
 雨水と雑排水を、同一の排水立て管に出来ないのは、大雨の時など、他の排水管への逆流を防ぐためです。

 また、参考までに、マンション内での、排水で汚水と雑排水を別々の系統で排水する方式を分流式という。一方、マンション(家庭)からの排水を受ける公共下水道での分流式とは、家庭からの汚水と雑排水を汚水管に受け、雨水を雨水管に受ける方式で、下水道の合流式とは、マンション(家庭)からの汚水も雑排水も雨水もすべてを1つの管で受ける方式です。区別しておいてください。




 なお、建設省告示第1597号もあります。
 建築物に設ける飲料水の配管設備及び排水のための配管設備を安全上及び衛生上支障のない構造とするための基準(抄)
(昭和50年12月20日建設省告示第1597号) 最終改正 平成12年5月30日建設省告示第1406号

 第2 排水のための配管設備の構造は、次に定めるところによらなければならない。
    一 排水管
      イ 掃除口を設ける等保守点検を容易に行うことができる構造とすること。
      ロ 次に掲げる管に直接連結しないこと。
        (1) 冷蔵庫、水飲器その他これらに類する機器の排水管
        (2) 滅菌器、消毒器その他これらに類する機器の排水管
        (3) 給水ポンプ、空気調和機その他これらに類する機器の排水管
        (4) 給水タンク等の水抜管及びオーバーフロー管
     
ハ 雨水排水立て管は、汚水排水管若しくは通気管と兼用し、又はこれらの管に連結しないこと。


答え:1
 
 
ここは、過去問題をやっていれば、易しい? しかし、この解説では、特殊継手排水システムの図を作成したために、時間がかかった。

《タグ》
給水 排水。 トラップ、特殊継手排水システム、通気管、クロス・コネクション、排水系統
問45
〔問  45〕 マンションの設備に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

1 電気設備おいて、100V用の照明機器やコンセントのほか、200V用の電磁誘導加熱式調理器(IHクッキングヒーター)に対応するため、住戸内配線を三相3線式とした。

X 適切でない。 100Vと200Vに対応するなら、単相3線方式。
  平成22年 管理業務主任者試験 「問21」 、平成20年 マンション管理士 試験 「問45」 選択肢1 、 平成19年 マンション管理士試験「問45」 、平成14年 マンション管理士 試験 「問45」
 
  100Vも使えて、なお200V用の電気器具に対応するには三相3線式ではだめです。単相3線方式とします。
 単相3線方式は3本線で構成され、100Vと200Vを併用できる方式です。3本の線のうち、1本はアース、残る2本のうち1本は +100V、もう1本は−100Vです。+100Vと−100の電位差は200V、従ってこの結線を使えば200V機器は簡単に使うことができるのです。これは分電盤で確認できます。分電盤に引き込まれている線が3本あれば単相3線方式です。単相3線方式は、IHクッキング・ヒーターやエアコンで採用されています。

 
 なお、三相3線式とは、三相交流電力を3本の電線・ケーブルを用いて供給する配電方式で、各線で200Vが得られます。ポンプなどの動力用に使用されます。


2 換気設備において、換気による外気の熱負荷を軽減するため、第1種換気方式となる熱交換型換気扇を用いた。

○ 適切である。 
 
 平成18年 マンション管理士試験 「問45

   まず、機械換気の方法は、第一種換気、第二種換気、第三種換気設備の3種類に分類されます。
 第1種換気設備
 交換型換気システムや給気と排気のための換気機械を組み合わせ、同時給排を行う換気設備を第1種換気設備と言います。 両者とも送風機と排風機を併用する方法で、給気量と排気量の調整により室内の気圧を外気圧に対して正圧(プラス圧)に、あるいは負圧(マイナス圧)に保つことが出来るなどの利点があります。

 なお、1台で、同時給排気を行う換気設備もあります。

 

 第2種換気設備
 送風機で室内に外気を供給し、排気は排気口から自然排気で押し出して行う換気設備を第2種換気設備と言います。 この方法では室内がプラス圧となり、出入口のドアを開けても他の部屋から汚染した空気が入ってこないという利点があります。 もともとは無菌室や手術室などクリーンルームに採用されてきた特殊な換気方法で、気密性能が高くない住宅では隙間から室内の水蒸気を含んだ空気が外部側に流れるために、冬季間に壁体内結露を起こす可能性が高く危険です。


 

 第3種換気設備
 居室に設けた給気口から自然に空気を導入し、ダーティゾーンを中心としたところから排気ファンで排気する換気システムを第3種換気設備と言います。 室内の空気は外気に対して負圧になり、出入り口のドアを開けた時も室内空気が流出しない特長があります。 従来は、トイレや厨房等、大量の水蒸気や湿気、臭い発生するところ汚れた空気が外に流れないようにするように排気ファンが局所で設置されてきました。


 

  そして、熱交換型換気扇とは、熱交換器の働きで、換気(排気)で逃げる熱エネルギーの約70%を回収し、外気を室温に近づけて部屋に取り込む(給気)ことを、1台で行う同時給排気式の換気扇です。
 冷暖房時に換気をしても、部屋の涼しさや暖かさを逃がしません。
 具体的には、室内の空気の入れ替えは、熱交換フィンによって熱を交換します。そのため、冷房時や暖房時の換気の際も、外気の温度を調節して室内に入れるため、室温が大きく変化することがなく、室温を一定に保ちます。


  
 
 そこで、第1種換気(給排気を機械を使用して行う)の場合に、外気の熱負荷を軽減するために、排出する室内空気の熱と屋外から取り入れる空気の熱とを熱交換器で中和する熱交換機型換気扇が使われますから、適切です。


3 ガス配管の土中に埋設されている白ガス管(亜鉛メッキ鋼管)は、30年程度経過すると漏洩(ろうえい)しやすくなる。

X 適切でない。 土中に埋設されている白ガス管(亜鉛メッキ鋼管)は、20年程度で腐食して漏洩しやすくなる。30年ではない。
 
 平成25年 マンション管理士試験 「問44」 、 平成19年 マンション管理士試験 「問43」 
 
  埋設ガス管としては、1970年頃までは、白ガス管とよばれる亜鉛メッキ鋼管が使用されていましたが、埋設後20年程度すると、地中の微弱な電流などの影響で管が腐食し、ガス漏れが発生する危険性があり、30年程度は適切ではありません。
 なお、白ガス管は、現在は埋設部には使用が禁止されていて、耐久性や耐震性にも優れたガス用ポリエチレン管が使用されています。
 しかし、地中に埋設しない場合には、ほとんど腐食が進行しないので、使用されます。



4 ガス瞬間式給湯器の能力表示には「号」が一般に用いられ、1号は流量1リットル/minの水の温度を20℃上昇させる能力をいう。

X 適切でない。 ガス瞬間式給湯器の能力表示の1号とは、入水温度を25℃上昇させた湯を毎分1リットル出湯できる能力をいう。20℃上昇ではない。 平成17年 管理業務主任者試験 「問25」   平成15年 管理業務主任者 試験 「問22」 
 ガス瞬間式給湯器の能力表示には「号」が一般に用いられていますが、能力表示の1号とは、入水温度を25℃上昇させた湯を毎分1リットル出湯できる能力で、20℃上昇では、適切ではありません。


答え:2

 
ここは、ほとんど過去問題(管理業務主任者の試験も含めて)をやっていれば、易しい。


 ★受験生から、選択肢3の白ガス管(亜鉛メッキ鋼管)の30年程度で漏洩しやすいも適切ではという問合せがあるが、「マンション管理の知識 (平成20年版)」 P.737 にしても、「マンション 維持修繕技術 ハンドブック(3版) 平成25年8月1日 発行」 P.490 にしても、「埋設後おおむね20年を経過した亜鉛メッキ鋼管は、取替えの対象として改修計画を立てる時期にきていると思われる」などとあり、土中に埋設されている白ガス管(亜鉛メッキ鋼管)の漏洩年数を20年から、30年も適切とするなら、これは、根拠となる文章を、早急に、出題元の:公益財団法人 マンション管理センター と 公益財団法人 マンション管理センターを所轄している、 国土交通省 住宅局 宛てに出すべきです。

 出題元の:公益財団法人 マンション管理センターも度々出題ミスを起こしています。 平成24年 マンション管理士試験 「問24」 を参考にしてください。

 質問文もあります。http://www.higuchi-fit.co.jp/mezase/kako-mon/H24/H24-man-q24-shitumon.htm

 受験生同士の間で、ごちゃごちゃといってるだけでは、誰も相手にしませんから、公式に文書で問合せをし、回答を貰ってください。
 なお、公益財団法人 マンション管理センターが、「試験内容については、回答しません」といってきたら、再度、国土交通省 住宅局 宛に、高額の受験料を取っていながら傲慢な公益財団法人 マンション管理センターの態度を糾弾する文章を送ってください。




《タグ》電気設備 換気設備 白ガス管 ガス瞬間式給湯器 。 100V、200V、熱交換型換気扇、


● 2015年12月25日:これで、平成27年のマンション管理士試験での、設備関係の解説が終わったので、次は、飛ばして、平成27年の管理業務主任者試験の設備関係 「問20」 から解説します。
問46

 *注:問46から問50までは、マンション管理士試験か管理業務主任者試験の合格者には免除される部分です。また、この問46から問50は、「マンション管理適正化法」と同指針からの出題と決まっていますので、出題は似たような内容となります。過去問題はやっておくと楽です。

 *注:「マンションの管理の適正化に関する指針」も平成28年3月に改正がありましたので、注意してください。

〔問 46〕 マンション管理適正化法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
 
1 全戸が事務所又は店舗の用に供されている建物であっても、非木造3階以上の建物はマンションである。

X 誤っている。 区分所有法とマンション管理適正化法の違いを理解すること。 マンション管理適正化法でのマンションは、居住用に限っている。
  参考::平成27年 マンション管理士試験 「問1」 
  
  まず、マンション管理適正化法でのマンションとは、マンション管理適正化法第2条1号

 「(定義) 
 第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号の定めるところによる。
  一  
マンション 次に掲げるものをいう。
     イ 二以上の区分所有者(建物の区分所有等に関する法律 (昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第二条第二項 に規定する区分所有者をいう。以下同じ。)が存する建物で人の居住の用に供する専有部分(区分所有法第二条第三項 に規定する専有部分をいう。以下同じ。)のあるもの並びにその敷地及び附属施設
     ロ 一団地内の土地又は附属施設(これらに関する権利を含む。)が当該団地内にあるイに掲げる建物を含む数棟の建物の所有者(専有部分のある建物にあっては、区分所有者)の共有に属する場合における当該土地及び附属施設」 
です。
 マンション管理適正化法第2条1号イによれば、「マンション」であるための要件は、
    
@2人以上の区分所有者 がいて、 
    A人の居住用の専有部分が1つでもあればいい 

 です。マンションの建物には、専有部分と共用部分しかなく、そして、マンションは専有部分と共用部分を含んだ建物と敷地及び附属施設の全体的なものであることに注意してください。

 
 そこで、設問の全戸が事務所又は店舗の用に供されている建物となると、居住用ではないため、誤りです。
 なお、居住用が1つでもあり、2人以上の区分所有者がいれば、木造でも鉄筋コンクリート造りでも造りに関係なく、マンション管理適正化法でのマンションになります。



2 2以上の区分所有者が存する建物であっても、住居部分に現に居住している者が全て賃借人であれば、マンション管理適正化法上はマンションではない。

X 誤っている。 2人以上の区分所有者がいて、居住部分があれば、全て賃借人でも、マンション管理適正化法上はマンションとなる。
 選択肢1で説明しましたように、マンション管理適正化法でのマンションとは、
   @2人以上の区分所有者 がいて、 
   A人の居住用の専有部分が1つでもあればいい
 ですから、その住居部分に現に居住している者が全て賃借人であっても、マンション管理適正化法でのマンションの要件
  ・2以上の区分所有者
  ・住居部分の専有部分がある
 を満たしていますから、誤りです。



3 住居と店舗とが混在し、それらの区分所有者が異なる建物は、マンション管理適正化法の適用を受けない。

X 誤っている。 これもマンション管理適正化法でのマンションである。
  選択肢1で説明しましたように、マンション管理適正化法でのマンションとは、
   @2人以上の区分所有者 がいて、 
   A人の居住用の専有部分が1つでもあればいい
 ですから、住居と店舗とが混在し、それらの区分所有者が異なる建物なら、2人以上の区分所有者がいて、住居部分もありますから、マンション管理適正化法でのマンションの要件を満たしていますから、誤りです。



4 人の居住の用に供される専有部分が1戸あるが、他の専有都分は別の区分所有者が事務所として使用している建物は、マンションである。

○ 正しい。
  選択肢1で説明しましたように、マンション管理適正化法でのマンションとは、
   @2人以上の区分所有者 がいて、 
   A人の居住用の専有部分が1つでもあればいい
 です。
 他の専有都分は別の区分所有者が事務所として使用している建物なら、区分所有者は2人以上で、人の居住の用に供される専有部分が1戸ありますから、マンション管理適正化法でのマンションの要件を満たしていますから、正しい。



答え:4

  ちゃんと、マンション管理適正化法でのマンションの要件を理解しているか、どうかの易しい問題でした。

《タグ》マンション管理適正化法。 定義。 マンションとは、区分所有法との違い。
問47
〔問  47〕 マンション管理士Aは、甲マンション管理組合の管理者である。この場合に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法の規定によれば、正しいものはどれか。

1  Aは、道路交通法に違反し、懲役の刑に処せられ、その刑の執行を猶予されたときは、マンション管理士の登録を取り消される。

○ 正しい。 禁錮刑以上だと、たとえ執行猶予でも、マンション管理士の登録を取り消される。
  
平成24年 マンション管理士試験 「問47」 
  
  マンション管理士の登録を取り消されるのは、マンション管理適正化法第33条及び第30条

 「(登録の取消し等)
 第三十三条  国土交通大臣は、マンション管理士が次の各号のいずれかに該当するときは、その
登録を取り消さなければならない
    一  
第三十条第一項各号(第四号を除く。)のいずれかに該当するに至ったとき
    二  偽りその他不正の手段により登録を受けたとき。
 2  国土交通大臣は、マンション管理士が第四十条から第四十二条までの規定に違反したときは、その登録を取り消し、又は期間を定めてマンション管理士の名称の使用の停止を命ずることができる。 」
 
マンション管理適正化法第33条1項1号で引用されています、第30条は、
 「(登録) 
 第三十条  マンション管理士となる資格を有する者は、国土交通大臣の登録を受けることができる。ただし、次の各号のいずれかに該当する者については、この限りでない。
    一  成年被後見人又は被保佐人
    
二  禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
    三  この法律の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
    四  第三十三条第一項第二号又は第二項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者
    五  第六十五条第一項第二号から第四号まで又は同条第二項第二号若しくは第三号のいずれかに該当することにより第五十九条第一項の登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者
    六  第八十三条第二号又は第三号に該当することによりマンション管理業者の登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者(当該登録を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しの日前三十日以内にその法人の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう。第三章において同じ。)であった者で当該取消しの日から二年を経過しないもの)
 2  前項の登録は、国土交通大臣が、マンション管理士登録簿に、氏名、生年月日その他国土交通省令で定める事項を登載してするものとする。 」 
です。

 そこで、日本における刑事罰の種類ですが、重い順に
 @死刑...刑事施設内において絞首
 
A懲役...刑事施設に拘置して所定の作業を行わせる
 B禁錮...刑事施設に拘置する
 --------------------------------------------------------
 C罰金...原則一万円以上の財産刑
 D拘留...一日以上三十日未満刑事施設に拘置する
 E科料...千円以上一万円未満の財産刑
 となっています。

 設問の「懲役の刑に処せられ、その刑の執行を猶予されたとき」とは、執行猶予判決ということで、罪を犯して判決で刑を言い渡された者が、執行猶予期間中に他の刑事事件を起こさずにすめば、その刑の言渡し自体がなかったことになる制度です。
 この執行猶予の期間中であれば、依然として懲役刑を受けた状態にあります。

 そこで、マンション管理適正化法第30条1項2号「二  禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は
執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者」 とあり、道路交通法に違反し、懲役の刑に処せられ、その刑の執行を猶予されたときは、依然として執行を受けていますから、マンション管理士の登録を取り消されるは、正しい。


2 Aは、甲マンション以外の管理組合の相談に応じることはできるが、甲マンションの区分所有者等に対する助言、指導等を行うことはできない。

X 誤っている。 こんな規定はない。 
 平成23年 マンション管理士試験 〔問47」 平成18年 マンション管理士試験 〔問47」 など

   マンション管理士の業務は、マンション管理適正化法第2条5号
 「(定義) 
 第二条
    五  マンション管理士 第三十条第一項の登録を受け、マンション管理士の名称を用いて、専門的知識をもって、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者等の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うことを業務(他の法律においてその業務を行うことが制限されているものを除く。)とする者をいう。 」
 です。
 Aは、甲マンション管理組合の管理者ですが、甲マンション以外の管理組合の相談に応じることもでき、また、甲マンションの区分所有者等に対する助言、指導等を行うこともできますから、誤りです。


3 Aは、管理者の実務を3年間経験した証明があれば、5年ごとの講習の受講義務を免除される。

X 誤っている。 受講免除で、こんな規定はない。
 
 平成24年 マンション管理士試験 〔問50」 、 平成22年 マンション管理士試験 〔問46」 など
 
   マンション管理士としての講習の義務は、マンション管理適正化法第41条
 「(講習)
 第四十一条  マンション管理士は、国土交通省令で定める期間ごとに、次条から第四十一条の四までの規定により国土交通大臣の登録を受けた者(以下この節において「登録講習機関」という。)が国土交通省令で定めるところにより行う講習(以下この節において「講習」という。)を受けなければならない。」 

とあり、

 政令は、マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則第41条
 「(法第四十一条 の国土交通省令で定める期間)
 第四十一条  法第四十一条 の国土交通省令で定める期間は、
五年とする。 」
 です。
 これらによれば、マンション管理士であれば、講習を5年ごとに受けなければならず、管理者の実務を3年間経験した証明があれば、5年ごとの講習の受講義務を免除されるという規定がないため、誤りです。
 ただし、講習を受けないときの罰則はありません。



4 Aは、マンション管理士登録証を紛失したときは、マンション管理士の名称を使用することができない。

X 誤っている。 マンション管理士登録証を紛失しても、マンション管理士の名称は使える。こんな規定はない。
 選択肢2でも引用しましたように、登録を受ければ、マンション管理士の名称は使えますから、たとえ、マンション管理士登録証を紛失したときでも、マンション管理士の名称を使用することができますから、誤りです。
 なお、登録証は再交付を受けることができますから、安心してください。

 マンション管理適正化法第35条
 「(登録免許税及び手数料)
 第三十五条  マンション管理士の登録を受けようとする者は、登録免許税法 (昭和四十二年法律第三十五号)の定めるところにより登録免許税を国に納付しなければならない。
 2  
登録証の再交付又は訂正を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を国に納付しなければならない。

 また、マンション管理士の名称の使用の停止は、マンション管理適正化法第33条2項 にありますが、マンション管理士登録証をの紛失は該当していません。
 「(登録の取消し等)
 第三十三条  国土交通大臣は、マンション管理士が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消さなければならない。
    一  第三十条第一項各号(第四号を除く。)のいずれかに該当するに至ったとき。
    二  偽りその他不正の手段により登録を受けたとき。
 2  国土交通大臣は、マンション管理士が第四十条から第四十二条までの規定に違反したときは、その登録を取り消し、又は期間を定めて
マンション管理士の名称の使用の停止を命ずることができる。 」



答え:1

  選択肢1の執行猶予は、記憶しておいてください。
  易しい問題でした。

《タグ》マンション管理適正化法。 刑の種類、禁錮刑以上、執行猶予判決、講習会
問48
問  48〕 マンション管理業に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 マンション管理業者がその事務所ごとに置く専任の管理業務主任者については、管理事務の委託を受けた管理組合(人の居住の用に供する独立部分が6以上)の数が100であった場合、管理業務主任者を4名(すべて成年者)以上置かなければならない。

○ 正しい。 
   
平成27年 管理業務主任者試験 「問49」 、 平成26年 管理業務主任者試験 「問48」 、平成24年 マンション管理士試験 「問48」 、 平成22年 マンション管理士試験 「問48」
  
  よく出題がある。マンション管理業者がその事務所ごとに置く専任の管理業務主任者の数は、マンション管理適正化法第56条

 「(管理業務主任者の設置)
 第五十六条  マンション管理業者は、その事務所ごとに、
事務所の規模を考慮して国土交通省令で定める数の成年者である専任の管理業務主任者を置かなければならない。ただし、人の居住の用に供する独立部分(区分所有法第一条 に規定する建物の部分をいう。以下同じ。)が国土交通省令で定める数以上である第二条第一号イに掲げる建物の区分所有者を構成員に含む管理組合から委託を受けて行う管理事務を、その業務としない事務所については、この限りでない。
 2  前項の場合において、マンション管理業者(法人である場合においては、その役員)が管理業務主任者であるときは、その者が自ら主として業務に従事する事務所については、その者は、その事務所に置かれる成年者である専任の管理業務主任者とみなす。
 3  マンション管理業者は、第一項の規定に抵触する事務所を開設してはならず、既存の事務所が同項の規定に抵触するに至ったときは、二週間以内に、同項の規定に適合させるため必要な措置をとらなければならない。 」 
とあり、
 政令は、マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則第61条及び第62条

 「(法第五十六条第一項 の国土交通省令で定める管理業務主任者の数)
 第六十一条  法第五十六条第一項 の国土交通省令で定める管理業務主任者の数は、マンション管理業者が管理事務の委託を受けた
管理組合の数を三十で除したもの(一未満の端数は切り上げる。)以上とする。 」 
 「(法第五十六条第一項 の国土交通省令で定める人の居住の用に供する独立部分の数)
 第六十二条  法第五十六条第一項 の国土交通省令で定める
人の居住の用に供する独立部分の数は、六とする。 」 
です。

 これらによれば、人の居住の用に供する独立部分が 6以上 の管理組合の数が 30 につき 1名の専任の管理業務主任者が必要です。

 そこで、設問の 人の居住の用に供する独立部分が6以上の数が100なら、その事務所ごとに置く専任の管理業務主任者の数は、
 100(管理組合数) ÷ 30 =3.33 → 4人 以上 となり、 正しい。



2 マンション管理業者がマンション管理適正化法施行規則第87条第2項に基づく修繕積立金等の金銭を管理する場合の保管口座、又は収納・保管口座に係る管理組合等の印鑑等については、管理者が置かれていない場合であっても管理業者が保管してはならない。

X 誤っている。 短期間の例外がある。 
   平成24年 管理業務主任者試験 「問48」 、平成22年 マンション管理士試験 「問50」
  
   まず、マンション管理適正化法施行規則第87条
 「(財産の分別管理)
 第八十七条  法第七十六条 の国土交通省令で定める財産は、管理組合又はマンションの区分所有者等から受領した管理費用に充当する金銭又は有価証券とする。
 2  法第七十六条 に規定する国土交通省令で定める方法は、次の各号に掲げる場合に応じ、それぞれ当該各号に定める方法とする。
    一  修繕積立金等が金銭である場合 次のいずれかの方法
      イ マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金等金銭を収納口座に預入し、毎月、その月分として徴収された修繕積立金等金銭から当該月中の管理事務に要した費用を控除した残額を、翌月末日までに収納口座から保管口座に移し換え、当該保管口座において預貯金として管理する方法
      ロ マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金(金銭に限る。以下この条において同じ。)を保管口座に預入し、当該保管口座において預貯金として管理するとともに、マンションの区分所有者等から徴収された前項に規定する財産(金銭に限る。以下この条において同じ。)を収納口座に預入し、毎月、その月分として徴収された前項に規定する財産から当該月中の管理事務に要した費用を控除した残額を、翌月末日までに収納口座から保管口座に移し換え、当該保管口座において預貯金として管理する方法
      ハ マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金等金銭を収納・保管口座に預入し、当該収納・保管口座において預貯金として管理する方法
   二  修繕積立金等が有価証券である場合 金融機関又は証券会社に、当該有価証券(以下この号において「受託有価証券」という。)の保管場所を自己の固有財産及び他の管理組合の財産である有価証券の保管場所と明確に区分させ、かつ、当該受託有価証券が受託契約を締結した管理組合の有価証券であることを判別できる状態で管理させる方法
 3  マンション管理業者は、前項第一号イ又はロに定める方法により修繕積立金等金銭を管理する場合にあっては、マンションの区分所有者等から徴収される一月分の修繕積立金等金銭又は第一項に規定する財産の合計額以上の額につき有効な保証契約を締結していなければならない。ただし、次のいずれにも該当する場合は、この限りでない。
    一  修繕積立金等金銭若しくは第一項に規定する財産がマンションの区分所有者等からマンション管理業者が受託契約を締結した管理組合若しくはその管理者等(以下この条において「管理組合等」という。)を名義人とする収納口座に直接預入される場合又はマンション管理業者若しくはマンション管理業者から委託を受けた者がマンションの区分所有者等から修繕積立金等金銭若しくは第一項に規定する財産を徴収しない場合
    二  マンション管理業者が、管理組合等を名義人とする収納口座に係る当該管理組合等の印鑑、預貯金の引出用のカードその他これらに類するものを管理しない場合
 
4  マンション管理業者は、第二項第一号イからハまでに定める方法により修繕積立金等金銭を管理する場合にあっては、保管口座又は収納・保管口座に係る管理組合等の印鑑、預貯金の引出用のカードその他これらに類するものを管理してはならない。ただし、管理組合に管理者等が置かれていない場合において、管理者等が選任されるまでの比較的短い期間に限り保管する場合は、この限りでない。
 5  マンション管理業者は、毎月、管理事務の委託を受けた管理組合のその月(以下この項において「対象月」という。)における会計の収入及び支出の状況に関する書面を作成し、翌月末日までに、当該書面を当該管理組合の管理者等に交付しなければならない。この場合において、当該管理組合に管理者等が置かれていないときは、当該書面の交付に代えて、対象月の属する当該管理組合の事業年度の終了の日から二月を経過する日までの間、当該書面をその事務所ごとに備え置き、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等の求めに応じ、当該マンション管理業者の業務時間内において、これを閲覧させなければならない。
 6  この条において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
   一  収納口座 マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金等金銭又は第一項に規定する財産を預入し、一時的に預貯金として管理するための口座をいう。
   二  保管口座 マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金を預入し、又は修繕積立金等金銭若しくは第一項に規定する財産の残額(第二項第一号イ若しくはロに規定するものをいう。)を収納口座から移し換え、これらを預貯金として管理するための口座であって、管理組合等を名義人とするものをいう。
   三  収納・保管口座 マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金等金銭を預入し、預貯金として管理するための口座であって、管理組合等を名義人とするものをいう。」 
です。

  

  設問は、第87条4項の規定の但し書き
 「
ただし、管理組合に管理者等が置かれていない場合において、”管理者等が選任されるまでの比較的短い期間に限り保管する場合は、この限りでない”。」とあり、マンション管理業者がマンション管理適正化法施行規則第87条第2項に基づく修繕積立金等の金銭を管理する場合の保管口座、又は収納・保管口座に係る管理組合等の印鑑等については、管理者が置かれていない場合であっても管理業者が保管してはならないは、誤りです。


3 マンションの区分所有者である管理者が、自ら当該マンションの管理事務を業として行う場合は、マンション管理業に該当しない。

○ 正しい。 マンションの区分所有者である管理者が、自ら当該マンションの管理事務を業として行う場合は、マンション管理業から除く。
  マンション管理業とは、マンション管理適正化法第2条7号
 「(定義) 
 第二条
   七  マンション管理業 管理組合から委託を受けて管理事務を行う行為で業として行うもの(
マンションの区分所有者等が当該マンションについて行うものを除く。)をいう。 」
 とあり、
 マンションの区分所有者である管理者が、自ら当該マンションの管理事務を業として行う場合は、カッコ書きの、マンションの区分所有者等が当該マンションについて行うものを除くに該当し、正しい。



4 マンション管理業者は、毎月、管理事務の委託を受けた管理組合のその月における会計に関する書面を作成し、翌月末日までに管理者等に交付しなければならないが、管理者等が置かれていない場合は、当該書面を当該マンション管理業者の事務所ごとに備え置き、マンションの区分所有者等の求めに応じ、マンション管理業者の業務時間内において、これを閲覧させなければならない。

○ 正しい。
  平成24年 マンション管理士試験 「問48」 、平成22年 管理業務主任者試験 「問47」 
  
  管理事務の報告は、選択肢2でも引用しました、マンション管理適正化法第87条5項

 「(財産の分別管理)
 第八十七条
 5 マンション管理業者は、毎月、管理事務の委託を受けた管理組合のその月(以下この項において「対象月」という。)における会計の収入及び支出の状況に関する書面を作成し、翌月末日までに、当該書面を当該管理組合の管理者等に交付しなければならない。この場合において、当該管理組合に管理者等が置かれていないときは、当該書面の交付に代えて、対象月の属する当該管理組合の事業年度の終了の日から二月を経過する日までの間、当該書面をその事務所ごとに備え置き、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等の求めに応じ、当該マンション管理業者の業務時間内において、これを閲覧させなければならない。」 
とあり、
 正しい。



答え:2

  管理者が置かれている場合と、管理者が置かれていない場合は、よく出題されるので、纏めておくこと。 すこし、難しい?

《タグ》
マンション管理適正化法。 専任の管理業務主任者数、財産の分別管理、管理者が置かれている場合、管理者が置かれていない場合
問49
〔問  49〕 マンション管理適正化法の罰則に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 マンション管理士は、マンション管理士でなくなった後においても、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た秘密を漏らしたときは、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられる。

○ 正しい。 マンション管理士でなくなっても、業務上の秘密は守ること。 違反は、1年以下の懲役又は、30万円以下の罰金。
  平成26年 マンション管理士試験 「問49」 、平成24年 マンション管理士試験 「問50」 、平成18年 マンション管理士試験 「問48」
 
  マンション管理士の秘密保持義務は、マンション管理適正化法第42条
 「(秘密保持義務)
 第四十二条  マンション管理士は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
マンション管理士でなくなった後においても、同様とする。」
 とあり、
 罰則は、同第107条

 「第百七条  次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する
    一  第十八条第一項(第三十八条、第五十八条第三項及び第九十四条において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
    
二  第四十二条の規定に違反した者
 2  前項第二号の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。」 
です。
 マンション管理適正化法第107条1項2号により、マンション管理士は、マンション管理士でなくなった後においても、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た秘密を漏らしたときは、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられますから、正しい。


2 マンション管理業者が、自己の名義をもって、他人にマンション管理業を営ませたときは、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる。

○ 正しい。 管理業者の名義貸しは、1年以下の懲役又は、50万円以下の罰金。
 マンション管理業者の名義貸しの禁止は、マンション管理適正化法第54条
 「(名義貸しの禁止)
 第五十四条  
マンション管理業者は、自己の名義をもって、他人にマンション管理業を営ませてはならない。 」 とあり、
 罰則は、同第106条3号

 「第百六条  次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する
    一  偽りその他不正の手段により第四十四条第一項又は第三項の登録を受けた者
    二  第五十三条の規定に違反して、マンション管理業を営んだ者
    
三  第五十四条の規定に違反して、他人にマンション管理業を営ませた者
    四  第八十二条の規定による業務の停止の命令に違反して、マンション管理業を営んだ者」
  です。
 そこで、マンション管理適正化法第106条3号によれば、マンション管理業者が、自己の名義をもって、他人にマンション管理業を営ませたときは、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられますから、正しい。


3 マンション管理業者の登録を受けない者がマンション管理業を営んだときは、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる。

○ 正しい。 無登録の営業なら、1年以下の懲役又は、50万円以下の罰金。
 マンション管理業者が無登録なら、マンション管理適正化法第53条
 「(無登録営業の禁止)
 第五十三条  
マンション管理業者の登録を受けない者は、マンション管理業を営んではならない。」 

とあり、
 罰則は、選択肢2でも引用しました、同第106条2号。

 「 第百六条  次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する
   
二  第五十三条の規定に違反して、マンション管理業を営んだ者」 
とあり、
 マンション管理適正化法第106条2号によれば、マンション管理業者の登録を受けない者がマンション管理業を営んだときは、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられますから、正しい。



4 国土交通大臣が、マンション管理業の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、その必要な限度で、マンション管理業を営む者に対し、報告をさせることができ、その場合において、そのマンション管理業を営む者が虚偽の報告をしたときは、10万円以下の罰金に処せられる。

X 誤っている。 虚偽の報告なら、罰金は30万円以下で、10万円以下ではない。
 マンション管理業の報告は、マンション管理適正化法第85条
 「(報告) 
 第八十五条  国土交通大臣は、マンション管理業の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、その必要な限度で、マンション管理業を営む者に対し、報告をさせることができる。 」 
とあり、
 前半は、正しい。
 その罰則は、同第111条

 「第百十一条  次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する
    一  第六十七条又は
第八十五条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
    二  第七十三条第一項の規定に違反して、書面を交付せず、又は同項各号に掲げる事項を記載しない書面若しくは虚偽の記載のある書面を交付した者
    三  第七十三条第二項の規定による記名押印のない書面を同条第一項の規定により交付すべき者に対し交付した者
    四  第八十条又は第八十七条の規定に違反した者
    五  第八十六条第一項の規定による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者
    六  第八十八条第一項の規定に違反した者
    七  第九十九条第一項の規定による事業計画書若しくは収支予算書若しくは同条第二項の規定による事業報告書若しくは収支決算書の提出をせず、又は虚偽の記載をした事業計画書、収支予算書、事業報告書若しくは収支決算書を提出した者
   前項第四号の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。 」 
です。
 マンション管理適正化法第111条1号によれば、国土交通大臣がマンション管理業に求めた報告が虚偽だと、罰金は
30万円以下ですから、10万円以下は、誤りです。


答え:4

 最近、出題のネタがなくなったようで、罰則もよく出ますから、金額などは纏めた方がいいでしょう。

《タグ》
マンション管理適正化法。 罰則
問50
〔問  50〕 マンション管理適正化法第95条の規定により国土交通大臣の指定を受けたマンション管理業者の団体が行う業務として、同法に規定されているものは、次のうちどれか。

1 社員に対する指導及び勧告を行うため必要があると認めるときに、その必要な限度で、社員の事務所に立ち入り、帳簿、書類その他必要な物件について検査を行うこと。

X 規定されていない。 立ち入り検査はできない。 
 
 平成19年 マンション管理士試験 「問49」 、 平成15年 マンション管理士試験 「問49」
 
   時々、こんなマンション管理業者の団体なんて、まったくマンション管理士試験の出題範囲としては、実に不適切な条文からの出題がある。
 マンション管理適正化法第95条とは、

 「 第五章 マンション管理業者の団体
 (指定) 
 第九十五条  国土交通大臣は、マンション管理業者の業務の改善向上を図ることを目的とし、かつ、マンション管理業者を社員とする一般社団法人であって、次項に規定する業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、同項に規定する業務を行う者として指定することができる。
 
2  前項の指定を受けた法人(以下「指定法人」という。)は、次に掲げる業務を行うものとする。
    一  社員の営む業務に関し、社員に対し、この法律又はこの法律に基づく命令を遵守させるための指導、勧告その他の業務を行うこと。
    二  社員の営む業務に関する管理組合等からの苦情の解決を行うこと。
    三  管理業務主任者その他マンション管理業の業務に従事し、又は従事しようとする者に対し、研修を行うこと。
    四  マンション管理業の健全な発達を図るための調査及び研究を行うこと。
    五  前各号に掲げるもののほか、マンション管理業者の業務の改善向上を図るために必要な業務を行うこと。
 3  指定法人は、前項の業務のほか、国土交通省令で定めるところにより、社員であるマンション管理業者との契約により、当該マンション管理業者が管理組合又はマンションの区分所有者等から受領した管理費、修繕積立金等の返還債務を負うこととなった場合においてその返還債務を保証する業務(以下「保証業務」という。)を行うことができる。 」 
です。
 マンション管理適正化法第95条2項によれば、社員に対する指導及び勧告を行うため必要があると認めるときに、その必要な限度で、社員の事務所に立ち入り、帳簿、書類その他必要な物件について検査を行うの規定はありません。
 だいたい、立ち入り検査が出来るとは、かなり強権ですから、平凡な団体である、マンション管理業者の団体程度では認めません。



2 マンションの管理の適正化の推進に資する啓発活動及び広報活動を行うこと。

X 規定されていない。 マンション管理適正化推進センターの業務。
 選択肢1で引用しています、マンション管理適正化法第95条には、規定がありません。
 これは、マンション管理適正化推進センター(=(公財)マンション管理センター)が、行う業務の1つです。
 参考:マンション管理適正化法第92条

 「(業務) 
 第九十二条  センターは、次に掲げる業務を行うものとする。
    一  マンションの管理に関する情報及び資料の収集及び整理をし、並びにこれらを管理組合の管理者等その他の関係者に対し提供すること。
    
二  マンションの管理の適正化に関し、管理組合の管理者等その他の関係者に対し技術的な支援を行うこと。
    三  マンションの管理の適正化に関し、管理組合の管理者等その他の関係者に対し講習を行うこと。
    四  マンションの管理に関する苦情の処理のために必要な指導及び助言を行うこと。
    五  マンションの管理に関する調査及び研究を行うこと。
    
六  マンションの管理の適正化の推進に資する啓発活動及び広報活動を行うこと。
    七  前各号に掲げるもののほか、マンションの管理の適正化の推進に資する業務を行うこと。」



3 社員の営む業務に関し、社員に対し、この法律又はこの法律に基づく命令を遵守させるための指導、勧告その他の業務を行うこと。

○ 規定されている。
  選択肢1で引用しています、マンション管理適正化法第95条2項1号に
 「一  社員の営む業務に関し、社員に対し、この法律又はこの法律に基づく命令を遵守させるための指導、勧告その他の業務を行うこと。」 とあります。 



4 マンションの管理の適正化に関し、管理組合の管理者等その他の関係者に対し技術的支援を行うこと。

X 規定されていない。 マンション管理適正化推進センターの業務。
 選択肢1で引用しています、マンション管理適正化法第95条には、規定がありません。
  これも、マンション管理適正化推進センター(=(公財)マンション管理センター)が、行う業務の1つです。

答え:3 

 第95条のマンション管理業者の団体から出題とは、もう出題のネタが尽きたということか。 
 だいたい、マンション管理士の資格において、マンション管理業者の団体が行う業務からの出題は、不適切です。

《タグ》マンション管理適正化法。 マンション管理業者の団体が行う業務
ここまで、問50。 出題・解説終わり。

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2016年 8月27日:標準管理規約の改正を見直し(問30肢1など)した。
2016年 5月 3日:3月の標準管理規約の改正に伴い、変更箇所を入れたが、これが大変な作業だ。
取りあえず、平成27年のマンション管理士試験だけやる。
2016年 3月14日:再度見直した。
2016年 3月 3日;設備のリンクを入れた。
2016年 2月6日:解説 第2版 として見直した。終了。
2016年 2月 6日:「問31」の選択肢3の解説を、発生主義から単純に標準管理規約に変更。
2016年 1月30日:〔問26」から「問50」まで、校正終わり。
解説 第一版 終わり:2016年 1月 6日
解説開始:2015年12月31日
問題文Up:2015年12月16日

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