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平成19年 マンション管理士 試験問題 及び 解説

ページ2(問26より問50まで)

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ご質問は、 「マンション管理士 香川事務所」へ。


*注: マンション標準管理規約(単棟型、団地型、複合用途型)は、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。
また、マンションの管理の適正化に関する指針も、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。

※ 出題当時以後の法令等の改正には一部は対応していません。

※  マンション標準管理規約は、平成16年に改正があった。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。
   マンション標準管理委託契約書は、平成15年に改正があった。また、平成22年5月にも改正があった。

問26

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

〔問 26〕管理組合の理事長に関する次の記述のうち、標準管理規約及び民法の規定によれば、適切なものはどれか。


 注)マンション標準管理規約は、平成23年7月に役員資格や議決権など小幅な改正があったので、注意のこと。ここは、旧のまま。


1 理事長は、理事の互選により選任されるが、理事の承認を得ずにいつでも辞任することができる。

→○ 適切である。  このあたりは、よく出る。 平成20年 管理業務主任者 試験 「問29」 など。
    まず、理事の互選については、標準管理規約(単棟型)35条 (役員)
 「管理組合に次の役員を置く。
    一 理事長
    二 副理事長○名
    三 会計担当理事○名
    四 理事(理事長、副理事長、会計担当理事を含む。以下同じ。)○名
    五 監事○名
  2 理事及び監事は、○○マンションに現に居住する組合員のうちから、総会で選任する。
  3 理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事の互選により選任する。」とあり、3項により、理事長は理事の互選により選任される。前半は正しい。
  そして、標準管理規約(単棟型)38条2項「理事長は、区分所有法に定める管理者とする。」とあり、理事長は、区分所有法での「管理者」となる。
 すると、区分所有法第28条「(委任の規定の準用)
「この法律及び規約に定めるもののほか、管理者の権利義務は、委任に関する規定に従う。 」とあり、理事長=管理者には、民法の委任の規定が適用されることになる。

 そして、辞任については、民法第651条(委任の解除)
委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
  2  当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは、その当事者の一方は、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。 」とあり、1項により、理事の承認がなくても、いつでも辞任(解除)ができる。ほかの理事の承認は不要である。後半も正しい。

2 解任された理事長は、次の理事長が選任されるまでの間、引き続きその職務を行う。

→X 適切でない。 この設問も良く出る問題。鍵は「解任された」です。参考:平成15年マンション管理士 試験 問8 、平成20年 管理業務主任者 試験 「問29」
  標準管理規約(単棟型)36条(役員の任期)
 「役員の任期は○年とする。ただし、再任を妨げない。
  2 補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。
  3 任期の満了又は辞任によって退任する役員は、後任の役員が就任するまでの間引き続きその職務を行う
  4 役員が組合員でなくなった場合には、その役員はその地位を失う。」の3項との混同を狙っている。
  任期が満了したり、自らの辞任では、後任者が決まるまでは、そのまま継続して職務を行うが、「解任」は、もう仕事をさせないことを目的としているので、引き続き職務を行うことはできない。

3 その所有する住戸を他に売却した理事長は、次の理事長が選任されるまでの間、引き続きその職務を行う。

→X 適切でない。 選択肢2でも述べたように、標準管理規約(単棟型)36条4項では、「役員が組合員でなくなった場合には、その役員はその地位を失う。」とあり、理事長も組合員(区分所有者)でなければならない。所有する住戸を他に売却すると組合員としての資格を失う。また、資格の喪失は、標準管理規約(単棟型)36条3項で規定する「任期の満了又は辞任によって退任する役員は、後任の役員が就任するまでの間引き続きその職務を行う。」には該当しないため、次の理事長が選任されるまでの間、引き続きその職務を行うことはできない。

4 その所有する住戸を配偶者に贈与した理事長は、依然として理事長である。

→X 適切でない。 選択肢3もで述べたように、理事長は組合員(区分所有者)でなければならない。所有する住戸を配偶者に贈与した理事長は、区分所有者(組合員)の資格を失うから、理事長の資格も失う。

答え:1

問27

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

〔問 27〕理事会において、管埋組合の総会を当日欠席する者の議決権行使について、次のような方法を採用することとした場合、標準管理規約(電磁的方法が利用可能な場合とする。)によれば、適切でないものはどれか。


 注)マンション標準管理規約は、平成23年7月に役員資格や議決権など小幅な改正があったので、注意のこと。ここは、旧のまま。


1 署名押印はあるが、委任の相手方も委任の内容も記載のない委任状が提出された場合は、理事長への有効な委任状として取扱うこと。

→X 適切でない。 いわゆる白紙委任状を理事会でどう取り扱うかの問題である。この設問は、問題があると指摘したが、また平成20年 管理業務主任者 試験 「問30」 選択肢2で出ている。平成21年マンション管理士試験 「問25」 。
    単純に問題の流れから、【問 25】をやってくると、迷う。

  まず、白紙委任状が有効か無効かの議論がある。これは、民法の「組合」での議長や理事長に対する白紙委任についても同様の議論があったようだ。
 区分所有法でも、標準管理規約でも明確にしていない、その問題をマンション管理で検討する。

  ア.白紙委任状は無効であるという考え方
   標準管理規約(単棟型)46条5項は「組合員が代理人により議決権を行使しようとする場合において、その代理人は、その組合員と同居する者若しくはその組合員の住戸を借り受けた者、又は他の組合員若しくはその組合員と同居する者でなければならない。」と規定し、代理人の資格を厳しく制限している。
 そして、同46条関係のコメントでは、「なお、組合員は、代理人により議決権を行使する場合は、第46条 第5項に規定する者の中で、誰を代理人とするかについて主体的に決定することが望まれる。」とあり、この規定の意図するところは、「望まれる」とあり、明確ではないが、主体的に代理人を定めない白紙委任状を認めないものであると取れる。
 白紙委任状を理事長への一任とすると、多くの集会での案件は、理事会にて賛成・反対が決められたのと同じ結果となり、最高意思決定機関である集会での反対・賛成の議論が反映されない弊害が発生する。

  イ.白紙委任状は有効であるという考え方
   一方、現実のマンション管理での集会の実体をみると、組合員の殆どが集会(総会)に出席せず委任状で済ませている。本来なら、受任者(代理人)を指定し最低でも議決権行使書(議案の賛成・反対の明示)の提出を行うべきであるが、署名・押印だけ記入し、他は白紙が多い。この場合、白紙委任状を無効とすると、集会(総会)も成立せず、マンションの管理が行えない事態にも陥る。そこで、白紙委任状を、
有効として扱い、その論理的帰着として、理事長に委任されたものとみなさざるを得ないという消極的な理由もある。

  私は、白紙委任状を理事長への有効な委任状とすることの弊害の方を重視し、適切でないとする。

2 会議の目的が普通決議事項であっても、議案の要領を通知すること。

→○ 適切である。  標準管理規約(単棟型)43条(招集手続)
「総会を招集するには、少なくとも会議を開く日の2週間前(会議の目的が建替え決議であるときは2か月前)までに、会議の日時、場所及び目的を示して、組合員に通知を発しなければならない。
  2 前項の通知は、管理組合に対し組合員が届出をしたあて先に発するものとする。ただし、その届出のない組合員に対しては、対象物件内の専有部分の所在地あてに発するものとする。
  3 第1項の通知は、対象物件内に居住する組合員及び前項の届出のない組合員に対しては、その内容を所定の掲示場所に掲示することをもって、これに代えることができる。
  4 第1項の通知をする場合において、会議の目的が第47条 第3項第一号、第二号若しくは第四号に掲げる事項の決議又は建替え決議であるときは、その議案の要領をも通知しなければならない。
  5 会議の目的が建替え決議であるときは、前項に定める議案の要領のほか、次の事項を通知しなければならない。
  一 建替えを必要とする理由
  二 建物の建替えをしないとした場合における当該建物の効用の維持及び回復(建物が通常有すべき効用の確保を含む。)をするのに要する費用の額及びその内訳
  三 建物の修繕に関する計画が定められているときは、当該計画の内容四建物につき修繕積立金として積み立てられている金額
  6 建替え決議を目的とする総会を招集する場合、少なくとも会議を開く日の1か月前までに、当該招集の際に通知すべき事項について組合員に対し説明を行うための説明会を開催しなければならない。
  7 第45条 第2項の場合には、第1項の通知を発した後遅滞なく、その通知の内容を、所定の掲示場所に掲示しなければならない。
  8 第1項(会議の目的が建替え決議であるときを除く。)にかかわらず、緊急を要する場合には、理事長は、理事会の承認を得て、5日間を下回らない範囲において、第1項の期間を短縮することができる。」
  とあり、4項の規定(特別決議事項)に対しては、「会議の目的など」のほかに「議案の要綱」の通知も必要となっている。しかし、理事会で普通決議事項でも「議案の要綱」を通知することは、組合員に対する検討材料の提供が拡大するため、禁止されてはいない。可能である。

3 書面による議決権行使をやめて、電磁的方法による議決権の行使に変更すること。

→○ 適切である?  設問がかなり曖昧である。電磁的方法が利用可能な場合とは、標準管理規約(単棟型)50条(書面又は電磁的方法による決議)
「規約により総会において決議をすべき場合において、組合員全員の承諾があるときは、書面又は電磁的方法による決議をすることができる。ただし、電磁的方法による決議に係る組合員の承諾については、あらかじめ、組合員に対し、その用いる電磁的方法の種類及び内容を示し、書面又は電磁的方法による承諾を得なければならない
 2 前項の電磁的方法の種類及び内容は、次に掲げる事項とする。
  一 第44条 第4項各号に定める電磁的方法のうち、送信者が使用するもの
  二 ファイルへの記録の方式
 3 規約により総会において決議すべきものとされた事項については、組合員の全員の書面又は電磁的方法による合意があったときは、書面又は電磁的方法による決議があったものとみなす。
 4 規約により総会において決議すべきものとされた事項についての書面又は電磁的方法による決議は、総会の決議と同一の効力を有する。
 5 前条 第5項及び第6項の規定は、書面又は電磁的方法による決議に係る書面並びに第1項及び第3項の電磁的方法が行われた場合に当該電磁的方法により作成される電磁的記録について準用する。
 6 総会に関する規定は、書面又は電磁的方法による決議について準用する。」とある。
 この規定に絡めての、出題の意図と思われる。理事会が「書面による議決権行使をやめて、電磁的方法による議決権の行使に変更すること」を採用することにして、それから「組合員全員の承諾」を得るなら、可能であるが、理事会だけで、変更を決定することはできないともとれる。

→○ 適切である? 単純に、標準管理規約(単棟型)46条(議決権)
「各組合員の議決権の割合は、別表第5に掲げるとおりとする。
  2 住戸1戸が数人の共有に属する場合、その議決権行使については、これら共有者をあわせて一の組合員とみなす。
  3 前項により一の組合員とみなされる者は、議決権を行使する者1名を選任し、その者の氏名をあらかじめ総会開会までに理事長に届け出なければならない。
  4 組合員は、書面又は代理人によって議決権を行使することができる。
  5 組合員が代理人により議決権を行使しようとする場合において、その代理人は、その組合員と同居する者若しくはその組合員の住戸を借り受けた者、又は他の組合員若しくはその組合員と同居する者でなければならない。
  6 代理人は、代理権を証する書面を理事長に提出しなければならない。

〔※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定〕
  (ア)電磁的方法が利用可能ではない場合
   (規定なし)

 (イ)電磁的方法が利用可能な場合
  7 組合員は、第4項の書面による議決権の行使に代えて、電磁的方法によって議決権を行使することができる。」の、
  7項により、電磁的方法が可能な場合は、書面でも、電磁的方法でも議決権が行使できるようにすべきで、書面による議決権行使をやめて、電磁的方法による議決権の行使に変更のように、一方に限定することは、適切でない。

4 電磁的方法による議決権の行使は、電子メールの送信やウェブサイト(ホームページ)への書込みの利用による方法等とすること。

→○ 適切である。 電磁的な方法としては、選択肢3で述べた、標準管理規約(単棟型)50条2項1号の「一 第44条 第4項各号に定める電磁的方法のうち、送信者が使用するもの」で、44条4号の具体的なコメントとして、第44条 関係
   @電磁的方法による議決権行使の具体例には、電子メールの送信やウェブサイト(ホームページ)への書込みの利用、フロッピーディスクやCD-ROMの交付による方法等がある。
  A電磁的方法の一部のみ利用可能な管理組合は、電磁的方法の利用状況に応じた規約を制定することが望ましい。例えば、電子メールの送受信やウェブサイト(ホームページ)への書込みは利用できないが、フロッピーディスクに記録されている内容の読込み及び表示は可能な場合、第44条 において(イ)を選択した上で第44条 第4項第一号は規定しないことが望ましい。」
  
とあり、正しい。

答え:1? または 3? (設問が悪い。白紙委任状の扱いは問題が多く、標準管理規約では、明確にしていないのに取り上げたのはよくない。また、【問 25】の関係で1がX。)  マンション管理センターの正解:3


マンション管理センターの解答に納得できない方は、マンション管理センターは回答しませんから、監督官庁の国土交通省に、監督官庁としての、出題の不適正を問い合わせしましょう!

宛先;https://www.mlit.go.jp/hotline/hotline9999.html です。

大原やLECにも問い合わせをしたが、設問の悪さは認めている。

参考:平成16年 マンション管理士 問27
    ここでは、理事長に対して委任状を出しても、その理事長が急病で欠席となると、この委任状は無効と考えている。
    それなら、白紙委任状はなおさら、無効と考えるのが、正しくないかな。

 *なお、「マンション管理の知識 平成20年版」は、白紙委任状を、当然には無効と扱わず、議長(理事長がなる)に対する委任と通例取り扱う、と逃げている。(ページ237の中上参照)

*注;平成15年 マンション管理士 試験 「問28」 と混同しないように。

問28

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

〔問 28〕甲マンション管理組合でア〜エを議題とする総会が開催され、その席上、 組合員から出た意見のうち、議長が取り上げてこの総会に諮らなければならないものは、標準管理規約によれば、次のうちどれか。


 注)マンション標準管理規約は、平成23年7月に役員資格や議決権など小幅な改正があったので、注意のこと。ここは、旧のまま。


ア 大規模修繕工事の実施
イ 玄関の階段への車椅子用スロープの併設
ウ 共用廊下等への手すりの設置
エ ア〜ウの費用についての修繕積立金の取崩し

1 高齢者対策のみでなく、盗難防止対策こそ急を要するものであり、玄関等に防犯カメラを設置すべきであるという意見。

→X この総会では取り上げられない。  まず、総会(集会)は管理組合における最高の意思決定機関であり、そのために招集の通知手続きや決議事項が区分所有法第37条でも定められている。
 区分所有法第37条 (決議事項の制限)
 「第三十七条  集会においては、第三十五条の規定により
あらかじめ通知した事項についてのみ、決議をすることができる。
   2  前項の規定は、この法律に集会の決議につき特別の定数が定められている事項を除いて、規約で別段の定めをすることを妨げない。
   3  前二項の規定は、前条の規定による集会には適用しない。 」とあり、
これを、受け

標準管理規約(単棟型)47条9項「総会においては、第43条 第1項によりあらかじめ通知した事項についてのみ、決議することができる。」とあり、総会では「あらかじめ通知した事項についてのみしか、決議することできない」。とある
これは、通知していない議題を総会の当日に取り上げることは、招集なしに総会を開くのと同じであるために、禁止されている。
次に、総会では、議案をめぐって様々な意見が検討され必要な修正もなされる。これは許される範囲である。
そこで、意見が新提案か、議案の修正かを判断することになる。
「盗難防止対策こそ急を要するものであり、玄関等に防犯カメラを設置すべきであるという意見」は、今回の通知した事項から外れた新しい提案であるため、議長が取り上げて決議できない。

2 この議題が可決されると修繕積立金が少なくなるから、修繕積立金を1割値上げすべきであるという意見。

→X この総会では取り上げられない。  これも、選択肢1で述べた、標準管理規約(単棟型)47条9項で通知した内容(取崩し)とは異なり、値上げという新しい提案であり、議長が取り上げて決議できない。

3 スロープの併設と手すりの設置によりマンションの形状が変わるし多額の修繕積立金を取崩すのであるから、特別多数決議をすべきであるという意見。

→X この総会では取り上げられない? これは、標準管理規約(単棟型)47条関係のコメント「Dこのような規定の下で、各工事に必要な総会の決議に関しては、例えば次のように考えられる。ただし、基本的には各工事の具体的内容に基づく個別の判断によることとなる。
   ア)バリアフリー化の工事に関し、建物の基本的構造部分を取り壊す等の加工を伴わずに階段にスロープを併設し、手すりを追加する工事は普通決議により、階段室部分を改造したり、建物の外壁に新たに外付けしたりして、エレベーターを新たに設置する工事は特別多数決議により実施可能と考えられる。」
  とあり、普通決議で可能と考えられ、特別多数決議は不要であるが、個々の内容から検討して、特別多数決議となることもあり得る。
  しかし、議決の方法を通常の決議方法から特別多数決議に変更するとの提案は、総会での決議事項であるため、議案の修正ではなく、新規の提案となり、この総会では議長が取り上げて採決できない?(それでは、この場で特別多数の賛成があればいいのでは?)

4 この議題が可決されると修繕積立金が少なくなるから、手すりの設置箇所を半分に減らすべきであるという意見。

→○ 取り上げる。 これは、選択肢1で述べた、「あらかじめ通知した事項」内で(ウ)の具体的な修正意見であるため、議長が取り上げてこの総会に諮らなければならない

答え:4  (これも3の場合、内容によっては、判断が異なるので、設問が悪い。)  マンション管理センターの正解:4

問29

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

〔問 29〕管理者である理事長に管理費等の横領などの不正の疑いがあり、かつ、通常総会の招集すらしないので、他の役員や組合員は、理事長を解任する方法を検討している。この場合にとり得る方法等に関する次の記述のうち、標準管理規約及び区分所有法の規定によれば、適切でないものはどれか。


 注)マンション標準管理規約は、平成23年7月に役員資格や議決権など小幅な改正があったので、注意のこと。ここは、旧のまま。


1 組合員が、標準管理規約第44条の規定に基づき、理事長の解任を目的とする臨時総会の招集を請求したにもかかわらず、理事長が応じないときは、その者が臨時総会を招集して、その総会において理事長の解任の決議を行う方法。

→○ 適切である。 まず、管理者(理事長)の解任については、区分所有法第25条(選任及び解任)
「区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によつて、管理者を選任し、又は解任することができる。
  2  管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるときは、各区分所有者は、その解任を裁判所に請求することができる。」
  とあり、区分所有者は、集会(総会)の決議によっても、また単独で裁判所に請求して、管理者を解任できる。
  そして、集会を開くなら、集会の招集は、区分所有法第34条(集会の招集)
「集会は、管理者が招集する。
  2  管理者は、少なくとも毎年一回集会を招集しなければならない。
  3  区分所有者の五分の一以上で議決権の五分の一以上を有するものは、管理者に対し、会議の目的たる事項を示して、集会の招集を請求することができる。ただし、この定数は、規約で減ずることができる。
  4  前項の規定による請求がされた場合において、二週間以内にその請求の日から四週間以内の日を会日とする集会の招集の通知が発せられなかつたときは、その請求をした区分所有者は、集会を招集することができる。
  5  管理者がないときは、区分所有者の五分の一以上で議決権の五分の一以上を有するものは、集会を招集することができる。ただし、この定数は、規約で減ずることができる。 」
  とあり、集会(総会)は、原則、管理者(理事長)が招集するが、管理者(理事長)が応じない場合には、集会の招集を請求した区分所有者が招集できる。
 これを受け、標準管理規約(単棟型)44条(組合員の総会招集権)
「組合員が組合員総数の5分の1以上及び第46条 第1項に定める議決権総数の5分の1以上に当たる組合員の同意を得て、会議の目的を示して総会の招集を請求した場合には、理事長は、2週間以内にその請求があった日から4週間以内の日(会議の目的が建替え決議であるときは、2か月と2週間以内の日)を会日とする臨時総会の招集の通知を発しなければならない。
  2 理事長が前項の通知を発しない場合には、前項の請求をした組合員は、臨時総会を招集することができる。
  とあり、理事長が応じないときは、その者が臨時総会を招集して、その総会において理事長の解任の決議を行う方法は適切である。

2 理事会が、理事会決議により、理事長の職を解任し、かつ、理事としての資格を失わせ、改めて理事の互選により新たな理事長を選任する方法。

→X 適切でない。 区分所有法では、理事会に関する規定がなく、標準管理規約で定められた機関であることに注意。
   理事会の役員を定める標準管理規約(単棟型)35条(役員)
「管理組合に次の役員を置く。
    一 理事長
    二 副理事長○名
    三 会計担当理事○名
    四 理事(理事長、副理事長、会計担当理事を含む。以下同じ。)○名
    五 監事○名
  2 理事及び監事は、○○マンションに現に居住する組合員のうちから、総会で選任する。
  3 理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事の互選により選任する。」
  とあり、3項により、理事長は理事の互選であるため、理事会の決議により、理事長の職の解任は可能である。
  だが、2項にあるように、理事は総会で選任された資格であるため、理事長であった理事の資格の剥奪は、理事会の決議ではできない。不適切である。

3 監事が、臨時総会を招集して、理事長の不正について報告し、その総会において理事長の解任の方法について検討すること。

→○ 適切である。 区分所有法では、管理組合が法人組織でなければ、監事は必須なものではないことに注意のこと。
   監事の職務としては、標準管理規約(単棟型)41条(監事)
「監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況を監査し、その結果を総会に報告しなければならない。
  2 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認めるときは、臨時総会を招集することができる。
  3 監事は、理事会に出席して意見を述べることができる。」
  とあり、2項により、監事が、臨時総会を招集して、理事長の不正について報告し、その総会において理事長の解任の方法について検討することは、標準管理規約(単棟型)48条13号
   「十三 役員の選任及び解任並びに役員活動費の額及び支払方法」とあり、適切である。

4 一人の区分所有者が、裁判所に対し、理事長に不正な行為があるとしてその解任を請求する方法。

→○ 適切である。 選択肢1で述べたように、区分所有法第25条2項により、「一人の区分所有者が、裁判所に対し、理事長に不正な行為があるとしてその解任を請求する方法」は適切である。

答え:2

問30

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

〔問 30〕専門委員会の設置について、総会の決議を必要とするものは、標準管理規約によれば、次のうちどれか。


 注)マンション標準管理規約は、平成23年7月に役員資格や議決権など小幅な改正があったので、注意のこと。ここは、旧のまま。


1 理事会活動に認められている経費以上の費用が必要な特定事項の調査を行わせるために設置する場合

→○ 総会の決議を必要とする 標準管理規約からの出題は、規約本文だけでなく、それらに対する「コメント」からの出題が多くなっているので、コメントもあわせて読んでおくこと。
   まず、専門委員会の設置は、標準管理規約(単棟型)55条(専門委員会の設置)
「理事会は、その責任と権限の範囲内において、専門委員会を設置し、特定の課題を調査又は検討させることができる。
  2 専門委員会は、調査又は検討した結果を理事会に具申する。」とあり、理事会の責任と権限の範囲内で設置できる
 そして、同55条関係コメント
「@専門委員会の検討対象が理事会の責任と権限を越える事項である場合や、理事会活動に認められている経費以上の費用が専門委員会の検討に必要となる場合、運営細則の制定が必要な場合等は、専門委員会の設置に総会の決議が必要となる。
  A専門委員会は、検討対象に関心が強い組合員を中心に構成されるものである。必要に応じ検討対象に関する専門的知識を有する者(組合員以外も含む。)の参加を求めることもできる。」とある。
 設問の場合、「理事会活動に認められている経費以上の費用が必要」となると、これは、理事会の権限を越えるために、標準管理規約(単棟型)48条
(議決事項)
「次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければならない。
  一 収支決算及び事業報告
  二 収支予算及び事業計画
  三 管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法
  四 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止
  五 長期修繕計画の作成又は変更
  六 第28条 第1項に定める特別の管理の実施並びにそれに充てるための資金の借入れ及び修繕積立金の取崩し
  七 第28条 第2項に定める建物の建替えに係る計画又は設計等の経費のための修繕積立金の取崩し
  八 修繕積立金の保管及び運用方法
  九 第21条 第2項に定める管理の実施
  十 区分所有法第57条 第2項及び前条 第3項第三号の訴えの提起並びにこれらの訴えを提起すべき者の選任
  十一 建物の一部が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
  十二 区分所有法第62条 第1項の場合の建替え
  十三 役員の選任及び解任並びに役員活動費の額及び支払方法
  十四 組合管理部分に関する管理委託契約の締結
  十五 その他管理組合の業務に関する重要事項」
  となり、13号により、総会の決議事項となる。

2 区分所有者から提出された専有部分修繕等工事申請書を審査させるために設置する場合

→X 総会の決議は不要。 専有部分の修理は、標準管理規約(単棟型)17条(専有部分の修繕等)
「区分所有者は、その専有部分について、修繕、模様替え又は建物に定着する物件の取付け若しくは取替え(以下「修繕等」という。)を行おうとするときは、あらかじめ、理事長(第35条 に定める理事長をいう。以下同じ。)にその旨を申請し、書面による承認を受けなければならない。
  2 前項の場合において、区分所有者は、設計図、仕様書及び工程表を添付した申請書を理事長に提出しなければならない。
  3 理事長は、第1項の規定による申請について、承認しようとするとき、又は不承認としようとするときは、理事会(第51条 に定める理事会をいう。以下同じ。)の決議を経なければならない。
  4 第1項の承認があったときは、区分所有者は、承認の範囲内において、専有部分の修繕等に係る共用部分の工事を行うことができる。
  5 理事長又はその指定を受けた者は、本条 の施行に必要な範囲内において、修繕等の箇所に立ち入り、必要な調査を行うことができる。この場合において、区分所有者は、正当な理由がなければこれを拒否してはならない。」とあり、
  同17条関係コメント「D承認を行うに当たっては、専門的な判断が必要となる場合も考えられることから、専門的知識を有する者(建築士、建築設備の専門家等)の意見を聴く等により専門家の協力を得ることを考慮する。
特に、フローリング工事の場合には、構造、工事の仕様、材料等により影響が異なるので、専門家への確認が必要である。
  E承認の判断に際して、調査等により特別な費用がかかる場合には、申請者に負担させることが適当である。
  F工事の躯体に与える影響、防火、防音等の影響、耐力計算上の問題、他の住戸への影響等を考慮して、承認するかどうか判断する。」
  により、理事会の責任と権限の範囲内であれば、総会の決議は不要で、専門委員会を設置できる。

3 規約等に違反している区分所有者等に対する勧告又は指示等を行うための調査をさせるために設置する場合

→X 総会の決議は不要。 規約等に違反している区分所有者等に対する勧告又は指示等を行うことは、標準管理規約(単棟型)67条1項 (理事長の勧告及び指示等)
「区分所有者若しくはその同居人又は専有部分の貸与を受けた者若しくはその同居人(以下「区分所有者等」という。)が、法令、規約又は使用細則等に違反したとき、又は対象物件内における共同生活の秩序を乱す行為を行ったときは、理事長は、理事会の決議を経てその区分所有者等に対し、その是正等のため必要な勧告又は指示若しくは警告を行うことができる。
 とあり、理事会の責任と権限の範囲内であれば、総会の決議は不要で、専門委員会を設置できる。

4 専門委員会の委員として組合員以外の第三者を参加させて設置する場合

→X 総会の決議は不要。 選択肢1で述べた標準管理規約(単棟型)55条のコメントにもあるように、専門的知識を有する区分所有者(組合員)がいればいいが、いない場合には、外部の人を専門委員会の委員とすることは、妥当である。

答え:1

問31

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

〔問 31〕区分所有者Aの同居人Bがほとんど毎日ピアノ演奏を行い、周囲の住民からたびたび苦情が寄せられている。この場合に管理組合としてとり得る措置に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切でないものはどれか。


 注)マンション標準管理規約は、平成23年7月に役員資格や議決権など小幅な改正があったので、注意のこと。ここは、旧のまま。


1 総会において、楽器の演奏時間等を制限する使用細則を制定すること。

→○ 適切である。 マンションのある居住者が他の居住者に迷惑行為をすると、その行為は、「共同の利益に反する行為」として、標準管理規約(単棟型)66条(義務違反者に対する措置)
「区分所有者又は占有者が建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、区分所有法第57条から第60条までの規定に基づき必要な措置をとることができる。」とあるが、この規定をまつまでもなく、近隣の住民とのトラブルが多発している原因がそのマンションにあるなら、社会常識として、マンション全体として検討することは、当然である。
 なお、根拠としては、標準管理規約(単棟型)18条 (使用細則)
「対象物件の使用については、別に使用細則を定めるものとする。」とあり、同コメント「第18条 関係
  @使用細則で定めることが考えられる事項としては、動物の飼育やピアノ等の演奏に関する事項等専有部分の使用方法に関する規制や、駐車場、倉庫等の使用方法、使用料等敷地、共用部分の使用方法や対価等に関する事項等があげられ、このうち専有部分の使用に関するものは、その基本的な事項は規約で定めるべき事項である。
なお、使用細則を定める方法としては、これらの事項を一つの使用細則として定める方法と事項ごとに個別の細則として定める方法とがある。
  A犬、猫等のペットの飼育に関しては、それを認める、認めない等の規定は規約で定めるべき事項である。基本的な事項を規約で定め、手続き等の細部の規定を使用細則等に委ねることは可能である。」
  がある。

2 理事長が、理事会の決議を経て、Bに対し、周囲に迷惑をかけないよう音量、演奏時間等に配慮するよう警告すること。

→○ 適切である。 ここは、同居人Bに対しても、管理組合が対処できるかが問われている。
  標準管理規約(単棟型)67条 (理事長の勧告及び指示等)
「区分所有者若しくはその同居人又は専有部分の貸与を受けた者若しくはその同居人(以下「区分所有者等」という。)が、法令、規約又は使用細則等に違反したとき、又は対象物件内における共同生活の秩序を乱す行為を行ったときは、理事長は、理事会の決議を経てその区分所有者等に対し、その是正等のため必要な勧告又は指示若しくは警告を行うことができる。
  2 区分所有者は、その同居人又はその所有する専有部分の貸与を受けた者若しくはその同居人が前項の行為を行った場合には、その是正等のため必要な措置を講じなければならない。
  3 区分所有者等がこの規約若しくは使用細則等に違反したとき、又は区分所有者等若しくは区分所有者等以外の第三者が敷地及び共用部分等において不法行為を行ったときは、理事長は、理事会の決議を経て、次の措置を講ずることができる。
    一 行為の差止め、排除又は原状回復のための必要な措置の請求に関し、管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行すること
     二 敷地及び共用部分等について生じた損害賠償金又は不当利得による返還金の請求又は受領に関し、区分所有者のために、訴訟において原告又は被告となること、その他法的措置をとること
  4 前項の訴えを提起する場合、理事長は、請求の相手方に対し、違約金としての弁護士費用及び差止め等の諸費用を請求することができる。
  5 前項に基づき請求した弁護士費用及び差止め等の諸費用に相当する収納金は、第27条に定める費用に充当する。
  6 理事長は、第3項の規定に基づき、区分所有者のために、原告又は被告となったときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならない。この場合には、第43条 第2項及び第3項の規定を準用する。」
  とあり、理事長が、理事会の決議を経て、同居人であるBに対しても、周囲に迷惑をかけないよう音量、演奏時間等に配慮するよう警告することは適切である。

3 理事長が、理事会の決議を経て、Aに対し、周囲に迷惑をかけないよう防音の措置を講ずるよう勧告すること。

→○ 適切である。 ここは、今度は、問題を直接起していないが、区分所有者Aにも対処できるかが問われている。
    選択肢2で述べたように、標準管理規約(単棟型)67条2項「区分所有者は、その同居人又はその所有する専有部分の貸与を受けた者若しくはその同居人が前項の行為を行った場合には、その是正等のため必要な措置を講じなければならない。」とあり、適切である。

4 理事会の決議を経て、監事がBに対し、当該行為の差止めの訴訟を提起すること。

→X 適切でない。 選択肢2で述べた、標準管理規約(単棟型)67条の規定は、理事長の権限であり、理事会の決議を経て「監事」ができる規定ではない。(監事の役職をまとめておくこと。)
   また、行為の差止めの訴訟を提起することは、区分所有法第57条(共同の利益に反する行為の停止等の請求)
「区分所有者が第六条第一項に規定する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。
  2  前項の規定に基づき訴訟を提起するには、集会の決議によらなければならない。
  3  管理者又は集会において指定された区分所有者は、集会の決議により、第一項の他の区分所有者の全員のために、前項に規定する訴訟を提起することができる。
  4  前三項の規定は、占有者が第六条第三項において準用する同条第一項に規定する行為をした場合及びその行為をするおそれがある場合に準用する。」
 とあり、集会の決議が必要。これをうけて、
   標準管理規約(単棟型)48条(議決事項)
「次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければならない。
  一 収支決算及び事業報告
  二 収支予算及び事業計画
  三 管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法
  四 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止
  五 長期修繕計画の作成又は変更
  六 第28条 第1項に定める特別の管理の実施並びにそれに充てるための資金の借入れ及び修繕積立金の取崩し
  七 第28条 第2項に定める建物の建替えに係る計画又は設計等の経費のための修繕積立金の取崩し
  八 修繕積立金の保管及び運用方法
  九 第21条 第2項に定める管理の実施
  十 区分所有法第57条 第2項及び前条 第3項第三号の訴えの提起並びにこれらの訴えを提起すべき者の選任
  十一 建物の一部が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
  十二 区分所有法第62条 第1項の場合の建替え
  十三 役員の選任及び解任並びに役員活動費の額及び支払方法
  十四 組合管理部分に関する管理委託契約の締結
  十五 その他管理組合の業務に関する重要事項」
 とあり、総会の決議事項。理事会の決議だけではできない。(注:理事と監事の役目の違いは、まとめておくこと。)

答え:4

問32

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

〔問 32〕管理組合の書類等について閲覧請求があった場合の理事長の対応に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切なものはどれか。


 注)マンション標準管理規約は、平成23年7月に役員資格や議決権など小幅な改正があったので、注意のこと。ここは、旧のまま。


1 組合員から組合員名簿の閲覧を請求された場合、理由を付した書面を求める必要がある。

→○ 適切である。 管理組合の書類等の保管・閲覧については、あちらこちらに規定がある。組合員名簿については、標準管理規約(単棟型)64条(帳票類の作成、保管)
「理事長は、会計帳簿、什器備品台帳、組合員名簿及びその他の帳票類を作成して保管し、組合員又は利害関係人の
理由を付した書面による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。」
  とあり、適切である。
  ただし、組合員名簿については、情報保護(プライバシー保護)の観点からも注意が必要である。関係のコメントもある。第64条 関係
 @作成、保管すべき帳票類としては、第64条 に規定するものの他、領収書や請求書、管理委託契約書、修繕工事請負契約書、駐車場使用契約書、保険証券などがある。
 A組合員名簿の閲覧に際しては、組合員のプライバシーに留意する必要がある。
 
ここは、選択肢3での、「理由を付した書面」との違いに注意のこと。

2 組合員の専有部分に対する担保権者から総会議事録の閲覧を書面により請求された場合であっても、これを閲覧させる必要はない。

→X 適切でない。 総会の議事録の保管・閲覧は、標準管理規約(単棟型)49条(ア)電磁的方法が利用可能ではない場合(議事録の作成、保管等)
「総会の議事については、議長は、議事録を作成しなければならない。
  2 議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、議長及び議長の指名する2名の総会に出席した組合員がこれに署名押印しなければならない。
  3 理事長は、議事録を保管し、組合員又は利害関係人の書面による請求があったときは、議事録の閲覧をさせなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
  4 理事長は、所定の掲示場所に、議事録の保管場所を掲示しなければならない。」とある。
  ここで、専有部分の担保権者が利害関係人に該当するかが問われている。
   利害関係人とは、区分所有法第33条2項の規約の保管・閲覧と同じ規定で、これが、総会議事録でも準用されているので、「規約」での解釈と同じである。
 その規約の利害関係人とは、 規約の規定内容について法律上の利害関係、すなわちその者の権利義務に何らかの影響が認められる者をいい、事実上の影響のある者は含まないとされている。
別に誰に見せても減るものではないが、この閲覧権者の制限は規約が管理組合という団体の内部規則であり、その団体のプライバシーや閲覧事務の手間との関係で法律上閲覧の利益を保護すべき者との調整の結果である。
  そこで、法律上の利害関係人に誰があたるかが問題となる。
   @ 区分所有者は管理組合の構成員として当然これに該当する。
   A 特定承継人は規約の適用を受け、占有者も建物の使用に関し区分所有者と同様な義務を負担するため(区分所有法第46条)当然法律上の利害関係がある。
   B 区分建物の担保権者も規約の規定が担保価値に影響するので当然である
   C区分所有者から媒介の依頼を受けた宅地建物取引業者も利害関係者に入る。
  これにより、組合員の専有部分に対する担保権者から総会議事録の閲覧を書面により請求された場合は、これを閲覧させる必要がある。

3 組合員からの媒介の依頼を受けた宅地建物取引業者から現に有効な規約の内容を記載した書面の閲覧を請求された場合、理由を付した書面を求める必要がある。

→X 適切でない。 規約をだれが閲覧できるかであるが、規約の保管・閲覧は、標準管理規約(単棟型)72条(ア)電磁的方法が利用可能ではない場合(規約原本等)
「この規約を証するため、区分所有者全員が記名押印した規約を1通作成し、これを規約原本とする。
  2 規約原本は、理事長が保管し、区分所有者又は利害関係人の書面による請求があったときは、規約原本の閲覧をさせなければならない。
  3 規約が規約原本の内容から総会決議により変更されているときは、理事長は、1通の書面に、現に有効な規約の内容と、その内容が規約原本及び規約変更を決議した総会の議事録の内容と相違ないことを記載し、署名押印した上で、この書面を保管する。
  4 区分所有者又は利害関係人の書面による請求があったときは、理事長は、規約原本、規約変更を決議した総会の議事録及び現に有効な規約の内容を記載した書面(以下「規約原本等」という。)の閲覧をさせなければならない。
  5 第2項及び前項の場合において、理事長は、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
  6 理事長は、所定の掲示場所に、規約原本等の保管場所を掲示しなければならない。」
  とあり、組合員からの媒介の依頼を受けた宅地建物取引業者は、選択肢2でも述べたように、利害関係人に該当するので、閲覧できる。また、この規定では、請求は「書面」であることとなっているが、そこには、「理由を付した書面」までは求められていない
「規約」の閲覧と、選択肢1での、「会計帳簿、什器備品台帳、組合員名簿及びその他の帳票類」での閲覧は違っていることに注意。

4 組合員の専有部分の賃借人から理事会の議事録の閲覧を書面により請求された場合であっても、これを閲覧させる必要はない。

→X 適切でない。 こんどは、総会の議事録よりも、扱う範囲が狭いと考えられる「理事会の議事録」までを占有者(賃借人)が閲覧できるかである。理事会の議事録の保管・閲覧は、標準管理規約(単棟型)53条2項(ア)電磁的方法が利用可能ではない場合
 「議事録については、第49条(第4項を除く。)の規定を準用する。ただし、第49条 第2項中「総会に出席した組合員」とあるのは「理事会に出席した理事」と読み替えるものとする。」
  とあり、選択肢2で説明した「総会の議事録」と同じ扱いとなり、組合員の専有部分の賃借人(占有者)も利害関係人であるから、閲覧できる。

答え:1

問33

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

〔問 33〕1階は店舗部分で2階から5階が住宅部分であるマンションの管理組合から規約の作成を依頼されたマンション管理士が同マンションの区分所有者に説明した次の記述のうち、マンション標準管理規約(複合用途型)によれば、適切でないものはどれか。


 注)マンション標準管理規約は、複合用途型を含め、平成23年7月に役員資格や議決権など小幅な改正があったので、注意のこと。ここは、旧のまま。


1 規約の対象物件のうち共用部分については、全体共用部分、住宅一部共用部分及び店舗一部共用部分に区分しますが、一部共用部分も含めて全体を管理組合が一元的に管理します。

→○ 適切である。 平成27年 マンション管理士試験 「問33」 
 まず、標準管理規約には、@単棟型、A団地型、B複合用途型 の3種があることを知っておくこと。ここは、そのうちのB複合用途型(低層階に店舗があり、上が住宅のいわゆる下駄履きマンション)を対象とした標準管理規約である。今までは、団地型の出題はあるが、複合用途型からの出題はなかった。新しい出題である。
  基本構成は、単棟型と同じであるが、共用部分、管理費、部会などが違い、そこが当然、出題される。

  標準管理規約(複合用途型)8条(共用部分の範囲)
「対象物件のうち共用部分を次のとおり区分し、その範囲は別表第2に掲げるとおりとする。
  一 全体共用部分    共用部分のうち次号及び第三号に規定する部分以外の部分をいう。
  二 住宅一部共用部分 共用部分のうち住戸部分の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな部分をいう。
  三 店舗一部共用部分 共用部分のうち店舗部分の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな部分をいう。」とあり、前半は正しい。
 そして、標準管理規約(複合用途型)21条 (敷地及び共用部分等の管理)
「敷地及び共用部分等の管理については、管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとする。ただし、バルコニー等の管理のうち、通常の使用に伴うものについては、専用使用権を有する者がその責任と負担においてこれを行わなければならない。
  2 専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分の管理を共用部分の管理と一体として行う必要があるときは、管理組合がこれを行うことができる。」
 とあり、後半も正しい。


 

2 全体共用部分は区分所有者全員の、住宅一部共用部分は住戸部分の区分所有者のみの、店舗一部共用部分は店舗部分の区分所有者のみの共有として、それぞれの共有持分を定めます。

→○ 適切である。 共用部分の共有は、標準管理規約(複合用途型)9条(共有)
「対象物件のうち敷地、全体共用部分及び附属施設は、区分所有者の共有とする。
  2 住宅一部共用部分は、住戸部分の区分所有者のみの共有とする。
  3 店舗一部共用部分は、店舗部分の区分所有者のみの共有とする。」
 とあり、正しい。
  そして、共有持分は、10条(共有持分)
「各区分所有者の共有持分は、別表第3に掲げるとおりとする。」
  とあり、これも正しい。

3 店舗の前面の敷地については、当該店舗の区分所有者に専用使用権を設定しますが、使用料については、その管理に要する費用に充てるほか、店舗一部修繕積立金として積み立てます。

→X 適切でない。 専用使用権については、標準管理規約(複合用途型)14条(バルコニー等の専用使用権)
「区分所有者は、別表第4に掲げるバルコニー、玄関扉、シャッター、窓枠、窓ガラス、一階に面する庭、店舗前面敷地及び屋上テラス(以下この条、第21条第1項及び別表第4において「バルコニー等」という。)について、同表に掲げるとおり、専用使用権を有することを承認する。
  2 一階に面する庭又は店舗前面敷地について専用使用権を有している者は、別に定めるところにより、管理組合に専用使用料を納入しなければならない。
  3 区分所有者から専有部分の貸与を受けた者は、その区分所有者が専用使用権を有しているバルコニー等を使用することができる。
 とあり、前半は正しい。
  しかし、使用料については、標準管理規約(複合用途型)33条では、(使用料)
「駐車場使用料その他の敷地及び共用部分等に係る使用料(以下「使用料」という。)は、それらの管理に要する費用に充てるほか、全体修繕積立金として積み立てる。」
 とあり、店舗一部修繕積立金として積み立てないで、全体修繕積立金として積み立てる。

4 住宅部分について住戸部分の区分所有者で構成する住宅部会を設け、店舗部分について店舗部分の区分所有者で構成する店舗部会を設けることとします。

→○ 適切である。 標準管理規約(複合用途型)60条(住宅部会及び店舗部会)
「管理組合に、住戸部分の区分所有者で構成する住宅部会及び店舗部分の区分所有者で構成する店舗部会を置く。
  2 住宅部会及び店舗部会の組織及び運営については、別に部会運営細則に定めるものとする。」
 とあり正しい。

答え:3 (ついに、複合用途型からの出題。)

問34

〔問 34〕甲マンション管理組合の理事会において、会計担当理事が平成18年度(平成18年4月1日〜平成19年3月31日)決算の管理費会計の収支報告書案について行った次の説明のうち、収支報告書又は貸借対照表作成の考え方として適切なものはどれか。ただし、会計処理は発生主義の原則によるものとし、資金の範囲は、現金預金、未収金、未払金、前受金及び前払金とする。

1 3月分の管理費の一部に未収金が発生したため、管理費収入が当初の予算を下回っています。

→X 適切でない。 初めてマンションの会計処理の設問を読むと、戸惑うが、キーワードは、「発生主義ということ 
    発生主義とは、全ての費用・収益は、その支出・収入に基づいて計上し、その発生した期間
     *収入については、請求権が生じた月、
     *支出については、支出が労役などの提供又は工事などである場合は、その労役などの提供又は工事等が完了した月、物品の購入なら、その物品が納入された月
    に正しく割り当てるように処理すること。

   これにより、管理費や修繕積立金は該当月に徴収することになっているなら、未収入金(滞納)があっても、全額計上されている。これには、注意が必要です。
 未収金は、貸借対照表上に記載されますが、収支報告書では、未収があっても全額 管理費収入 として扱われます。

    管理費の未収金があっても、収支報告書での、管理費収入には影響がない。

2 管理費の前受金が前期に比べて増加したことは、当期収支差額の減少要因となっています。

→X 適切でない。 貸借対照表の勘定である前受金(負債勘定)が増加(平成19年度の管理費が平成18年度に入金があったこと)しても、発生主義により、この前受金は、平成19年度の管理費収入となるので収支報告書には影響がない。

3 収支報告書上の当期収支差額がマイナスになった場合は、次期繰越収支差額は前期繰越収支差額より必ず減少します。

→○ 適切である。 どうして、必ず減少するのか?

   収支報告書(管理費会計と修繕積立金会計は別々に管理する)の構成の概要は、次のようになっている。(詳細項目は省略してある。)

管理費会計収支報告書

自:平成xx年4月1日
至:平成yy年3月31日
                                    単位:円
項目 予算 決算 差額 備考
*収入の部        
管理費 1,000,000 1,000,000 0  
雑収入 10,000 5,000 -5,000  
1,010,000 1,005,000 -5,000  
*支出の部        
管理委託料 800,000 800,000 0  
xxx 200,000 300,000 100,000  
xxx 10,000 110,000 100,000  
         
1,010,000 1,210,000 200,000  
当期収支差額 0 -205,000 205,000 (A)=収入-支出
前期繰越収支差額   512,000   (B)
次期繰越収支差額   307,000   (C)=(A)+(B)

  この構成から分かるように、次期繰越収支差額(C)は、当期収支差額(A)から前期繰越収支差額(B)を±するため、当期収支がマイナスになると、当然に次期繰越収支差額(C)は、前期繰越収支差額より、減少する。

4 5年満期の積立型の損害保険料を一括払いしているが、これは5年後には戻ってくるので、貸借対照表には記載されるが、収支報告書には記載されません。

→X 適切でない。 5年満期の積立型の損害保険料の一括払いは、
   @当期掛捨て保険料部分=損害保険料(費用勘定)と 
   A次期掛捨て保険料部分=前払金(資産勘定) と 
   B満期払戻部分=積立保険料(資産勘定)、に分けられ、
   @当期分保険料は当期収支報告書の支出科目に、A次期掛捨て保険料部分は、次期の年間(第2年度〜第5年度まで)、貸借対照表だけでなく、前払金から(当期)損害保険料と振替処理がなされ、損害保険料として収支報告書に記載される。 (平成22年1月30日;補説)

 (と解説しましたが、資金の範囲が、現金預金、未収金、未払金、前受金及び前払金 の場合には、積立保険料(満期払戻金)の部分が資金の外にあり、貸借対照表の正味財産と収支報告書の収支差額が一致しないとの問題提起があります。) 参考:平成20年マンション管理士試験 「問34」 選択肢2 、や 平成21年マンション管理士試験 「問34」 選択肢4 。) 

★会計は、曖昧な部分が多くて、検討に時間がかかる。だれか代わりにやって!解答は、http://plaza.rakuten.co.jp/honki4982/ の「コメントを書く」を利用してください。

答え: 3 (しかし、難しい! 3のこれだけの記述だけで、すぐに「当然」と分かる人が何人いるやら。)

問35

〔問 35〕甲マンション管理組合の平成18年度(平成18年4月1日〜平成19年3月31日)の決算に当たって、次のア及びイの事実が判明したため、適切な会計処理を行った。この処理を行ったことによる、甲マンション管理組合の収支報告書又は貸借対照表に与える影響について、適切でないものはどれか。ただし、会計処理は発生主義の原則によるものとし、資金の範囲は、現金預金、未収金、未払金、前受金及び前払金とする。

ア 平成19年3月に実施された修繕工事に係る費用100,000円については、平成19年3月に未払金が計上されているが、当該工事は業者の都合で平成19年4月に実施されたことが判明した。

イ 前会計期問の決算において前払金として処理されてきた修繕工事の代金100,000円については、当該工事が本会計年度の平成18年4月に実施されているが、前払金残高がそのまま残っていることが判明した。

★発生主義ということ

  全ての費用・収益は、その支出・収入に基づいて計上し、その発生した期間
     *収入については、請求権が生じた月、
     *支出については、支出が労役などの提供又は工事などである場合は、その労役などの提供又は工事等が完了した月、物品の購入なら、その物品が納入された月
    に正しく割り当てるように処理すること。

 これにより、管理費や修繕積立金は該当月に徴収することになっているなら、未収入金(滞納)があっても、全額計上されている。

*仕訳は以下のようになる。

  ア.修正仕訳  平成19年3月(平成18年度)に計上した修繕費の未払金仕訳が、発生主義により、行っていないために、逆の仕訳で、取り消され、訂正される。次期(平成19年度)の4月には、別途新しく、計上される。

  借方 貸方
元(間違い仕訳) 修繕費 ¥100,000 未払金 ¥100,000
修正(取り消し仕訳) 未払金 ¥100,000 修繕費 ¥100,000 仕訳(1)

  イ.前年度(平成17年度)の修繕費が前払処理されていて、今年度(平成18年4月実施で)は修繕費として、計上される。

  借方 貸方
前年度の処理 前払金 ¥100,000 現金預金 ¥100,000
今年度の処理 修繕費 ¥100,000 前払金 ¥100,000 仕訳(2)

 

1 修繕費は増減がない。

→○ 適切である。  仕訳(1)と、仕訳(2)により、修繕費勘定は、±0 となり増減しない。

2 未払金は100,000円減少する。

→○ 適切である? 仕訳(1)により、未払金は -100,000円の減少とする。

3 前払金は100,000円減少する。

→○ 適切である。 仕訳(2)により、前払金は未処理から、処理に変更となり、100,000円減少する。

4 収支報告書の当期収支差額は200,000円増加する。

→X 適切でない ? 増加しない? 収支報告書に影響する収入に変動はなく、支出として影響するのは、修繕費であるが、修繕費は±0で、収支報告書には影響がない。

★会計は、曖昧な部分が多くて、検討に時間がかかる。だれか代わりにやって!解答は、http://plaza.rakuten.co.jp/honki4982/ の「コメントを書く」を利用してください。(2011年11月28日:追記したが、どうも自分でもすっきりしない。)

答え: 2 または 4 ?  (いつも、会計の設問はよくない。専門家でもできない。また、資格校の解説もバラバラで、おかしい。正解は4としながら、一致していない。) マンション管理センターの正解:4

問36

〔問 36〕マンションの修繕工事のための一般的な調査・診断に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 長期修繕計画による大規模修繕工事の実施予定時期のおよそ1年半前になったので、専門家を選定して調査・診断を依頼することとした。

→○ 適切である このあたりになると、根拠・理由が不明です。設問は、1年半前と、かなり具体的である。2年前とか、1年前ではいけないのか?
     単純には、適切な行為ではあるが。長期修繕計画を5年ごとに見直すので、実施予定が近くなったので、専門家を選定して調査・診断を依頼しろということか。

2 建物や設備の現状を把握するため、設計図書や過去の修繕等の履歴の調査、現地の目視調査及び居住者に対するアンケート調査を行うこととした。

→○ これは適切。 妥当な行為です。

3 調査・診断において、詳細な調査が必要な劣化症状があったので、劣化症状に応じたサンプリング試験等を行い、その原因を推定し、修繕の要否を判断することとした。

→○ これは適切。 妥当な行為です。

4 調査・診断により修繕工事が必要となったので、修繕工事の詳細な仕様・工法、修繕工事費の積算価額等について記載した修繕基本計画書を作成することとした。

→X 適切でない?  ここまで、詳細に作成するのか?
     手順が違っているようだ。@調査・診断により修繕工事が必要となれば、A修繕基本計画書を作成し、その後、B詳細な
仕様・工法、修繕工事費の積算価額を積算する。
     (しかし、この文章では区切りが悪く、内容が不明確である。参照:「マンション管理の知識 平成20年版 ページ803 あたりかな)

答え:4? (どこに、解答があるのか、根拠が分かりません。つまり、設問がよくないということです。)  マンション管理センターの正解:4

問37

〔問 37〕マンションの建物(鉄筋コンクリート造)の劣化の原因と症状に関する次の組合せのうち、適切でないものはどれか。

1 コンクリートのアルカリ骨材反応 ----------- エフロレッセンス

→X これは不適切。 この辺りは、平成20年 管理業務主任者 試験 「問26」 や、 平成16年 マンション管理士 試験 「問37」 など。
    エフロレッセンスは、よく出題されている。
  コンクリートのアルカリ骨材反応とは、コンクリートにおける劣化現象の一つで、コンクリートに含まれるアルカリ分が、骨材(砂利や砂)の特定成分と反応し、異常膨張やひび割れなどを引き起こす。アル骨と略されることもある。

 一方、 エフロレッセンス(efflorescence=開花)とは、白華現象ともよばれ、コンクリート中の可溶性物質やコンクリート周辺に存在する可溶性物質が、水分とともに貫通したひび割れを通ってコンクリート表面に移動し、水分の逸散や空気中の炭酸ガスとの反応によって析出したものある。エフロレッセンスの発生そのものが、コンクリート構造物の耐荷力などの信頼性を大きく低下させるものではないが、エフロレッセンスは水分が移動した結果として現れるため、水密性が求められる構造物ではその性能が低下していることを示していると思われる。
コンクリートのアルカリ骨材反応が原因でエフロレッセンスは起こらない。

2 コンクリート内部の部分的な膨張圧---------- ポップアウト

→○ これは適切。 コンクリート内部の部分的な膨張圧によって、コンクリートの表面の小部分が円錐状のくぼみ上に破壊された状態が、ポップアウトと呼ばれる。原因と症状が結びつく。

3 コンクリートの乾燥収縮 ------------------- ひび割れ

→○ これは適切。 コンクリートが乾燥収縮すると、ひび割れが発生する。原因と症状が結びつく。

4 コンクリートの中性化による鉄筋の腐食 ------ 剥落

→○ これは適切。 コンクリートの中性化による鉄筋の腐食により鉄筋が膨張し、浮いていたコンクリートは剥落(はくらく、はがれおちること)する。原因と症状が結びつく。

答え:1

問38

〔問 38〕マンションの標準的な長期修繕計画に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 平成18年9月に閣議決定された住生活基本計画(全国計画)では、計画期間が25年以上の長期修繕計画に基づく修繕積立金額を設定している分譲マンション管理組合の割合を、平成27年度において50%に引き上げることを目標としている。

→○ これは適切。 住生活基本計画(全国計画)の適切な維持管理(長寿命化)D25年以上の長期修繕計画に基づく修繕積立金額を設定している分譲マンション管理組合の割合 [20%(H15)→50%(H27)]とある。

2 鉄部の塗装工事の修繕周期について、雨掛り部分は4年、非雨掛り部分は6年とした。

→○ これは適切。 鉄部改修と塗装工事の修繕周期は、開放廊下の手すり、バルコニーの手すりなど雨がかかる部分(雨掛り部)は4年、住戸の玄関扉など雨がかららない部分(非雨掛り部)は6年である。

3 修繕工事のために行う調査・診断、修繕設計及び工事監理に係る費用については、管理費を充当することとした。

→X これは不適切。 標準管理規約(単棟型)28条(修繕積立金)
「管理組合は、各区分所有者が納入する修繕積立金を積み立てるものとし、積み立てた修繕積立金は、次の各号に掲げる特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができる。
  一 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕
  二 不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕
  三 敷地及び共用部分等の変更
  四 建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査
  五 その他敷地及び共用部分等の管理に関し、区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理
2 前項にかかわらず、区分所有法第62条 第1項の建替え決議(以下「建替え決議」という。)又は建替えに関する区分所有者全員の合意の後であっても、マンションの建替えの円滑化等に関する法律(以下本項において「円滑化法」という。)第9条 のマンション建替組合(以下「建替組合」という。)の設立の認可又は円滑化法第45条 のマンション建替事業の認可までの間において、建物の建替えに係る計画又は設計等に必要がある場合には、その経費に充当するため、管理組合は、修繕積立金から管理組合の消滅時に建替え不参加者に帰属する修繕積立金相当額を除いた金額を限度として、修繕積立金を取り崩すことができる。
3 管理組合は、第1項各号の経費に充てるため借入れをしたときは、修繕積立金をもってその償還に充てることができる。
4 修繕積立金については、管理費とは区分して経理しなければならない。」
 とあり、
修繕工事のために行う調査・診断、修繕設計及び工事監理に係る費用は、1号に該当し、管理費からではなく、修繕積立金から充当する。

4 長期修繕計画について、前回の見直しから5年経過したが、現在大規模修繕の工事中であるため、この工事が完了する翌年3月に見直しを行うこととした。

→○ これは適切。 原則として、長期修繕計画は5年ごとに見直しをおこなう。しかし、現在大規模修繕の工事中であれば、工事が完了するまでまち、その完了具合により見直す方が適切である。

答え:3

問39

〔問 39〕マンションの大規模修繕工事に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 工事中の煙や臭いの発生を少なくするため、溶融温度が低いタイプの防水工事用アスファルトを用いた。

→○ これは適切。 建物は経年により必ず劣化し、不都合な箇所が出て来ますから、マンションでは、外壁の修理や防水工事は避けられません。重要な工事です。
   ここ、防水工法は、平成21年管理業務主任者試験 「問18」 でも出ている。
   アスファルト防水工事において、アスファルトを加熱溶融する際には、煙と独特の臭い(いわゆるアスファルト臭)が発生します。この臭いはアスファルト中に微量に含まれている硫黄化合物、窒素化合物、炭化水素系化合物等が加熱により分解反応で生ずる比較的に低分子気体の複合臭です。(温泉地での腐敗した卵のような臭い、自然界では生ゴミや下水からも放出されています。)
 しかし、これらガスの発生量はきわめて微量であり、臭気を感じる場合でも濃度的には極めて低く、問題の無い場合がほとんどです。アスファルトの溶融時に発生する煙や臭気を完全に無くすことは困難です。しかしながら、現在は環境問題が地球規模で取りあげられておりその一つとして、在来のアスファルトの溶融温度は約270℃(軟化点+170℃)とされていましたが、低煙・低臭タイプのアスファルトとして約240℃にて溶融施工のできるアスファルトがあり、これを利用することは適切である。

2 工事による騒音が、室内において40dB程度になると、不快感を訴える人が多くなる。

→X これは不適切。 音に関しては、個人差があるが、一般に室内において40dB(デシベル)程度では、不快感にならないようだ。普通、生活騒音の音の強さは、掃除機をかける音60〜70デシベル、子供の騒ぐ音50〜66デシベル、電話のベル64〜70デシベル、目覚ましの音64〜75デシベル、音楽70〜86デシベル、人の話し声88〜99デシベルだそうです。
 <参考までに>
環境基本法第16条第1項の規定に基づく、騒音に係る環境上の条件について生活環境を保全し、人の健康の保護に資する上で維持されることが望ましい基準(以下「環境基準」という。)は、別に定めるところによるほか、次のとおりとする。

第1 環境基準
 環境基準は、地域の類型及び時間の区分ごとに次表の基準値の欄に掲げるとおりとし、各類型を当てはめる地域は、都道府県知事が指定する。

地域の類型 基  準  値
昼  間 夜  間
AA 50デシベル以下 40デシベル以下
A及びB 55デシベル以下 45デシベル以下
60デシベル以下  50デシベル以下

(注)1  時間の区分は、昼間を午前6時から午後10時までの間とし、夜間を午後10時から翌日の午前6時までの間とする。
   2  AAを当てはめる地域は、療養施設、社会福祉施設等が集合して設置される地域など特に静穏を要する地域とする。
   3  Aを当てはめる地域は、専ら住居の用に供される地域とする。
   4  Bを当てはめる地域は、主として住居の用に供される地域とする。
   5 Cを当てはめる地域は、相当数の住居と併せて商業、工業等の用に供される地域とする。 」
  とあり、昼間でも、住居では55デシベル
以下なら、問題ないとされている。(参照:「マンション管理の知識 平成20年版 ページ698)

3 新築後12年目に行う外壁塗装工事においては、既存の塗膜の全面除去を行わないことが多い。

→○ これは適切。 外壁塗装工事は、10年〜15年を目安に行うが、最初の塗装工事では、まだ下地が使用可能な場合が多く、既存の塗膜を全部取らなくてもいいようだ。

4 窓のアルミサッシの交換工事において、工期を短縮するためにかぶせ工法を採用した。

→○ これは適切。 ここは、平成20年 マンション管理士 試験 「問39」 選択肢4 、平成21年管理業務主任者試験 「問27」 も参照。
  アルミサッシの交換工事は、大きくわけて2つある。
  一つが「かぶせ工法」という既存サッシ枠の上に新しいサッシ枠をかぶせる方法。
この工事のメリットは、工事が簡単で時間もかからず、ある程度安価で出来る。デメリットは窓枠が既存の上にかぶるので枠自体が少し出っ張ってしまうことと、ガラス面が少し小さくなってしまうこと。
工期短縮での「かぶせ工法」の採用は妥当である。

  もう一つが「撤去工法」で、文字通り既存サッシを枠ごと外す方法。
この、メリットは完全に新品に交換できるので出っ張りなどもなくスッキリ収まること。デメリットはサッシ枠廻りのコンクリートも一部壊したりするのため、埃も出るし産廃も大量に出るし、部屋内の木枠も交換しなきゃいけないなど手間と時間とお金がかかること。

答え:2  (だけど、個人差がある、音を設問として出すことは、不適切である。)

問40

〔問 40〕マンションの建物(鉄筋コンクリート造)の一般的な耐震改修工法とその目的に関する次の組合せのうち、適切でないものはどれか。

1 外付け鉄骨フレームによる柱・梁の補強 --------- 地震力の低減

→X これは不適切。 建物の構造ついては、専門用語の勉強も必要。 耐震は、よく出題される。平成22年 管理業務主任者試験 「問26」 、平成21年 マンション管理士試験 「問41」 など。
   地震による対策として、柱や梁を補強・増設することは建物を安定させ、強度の向上としては有効である。地震に対して”がんばる”ことにはなる。
   しかし、これらは、「地震力」の低減まではできない。地震力を低減させるためには、制震構造
や免震構造が必要となる。


 

2  枠付き鉄骨ブレースによる柱・梁の補強 --------- 構造耐力の向上

→○ 適切である。 ブレースとは、軽量鉄骨構造などにおける対角線状の筋かいのことで、これを補強すると、建築物の構造耐力の向上になる。この工法の利点は、採光、通風を阻害することが少なく、軽量であるため建物への影響も少ない。

3 鋼板巻き立てによる柱の補強 ----------------- 柱のじん性(粘り強さ)の向上

→○ 適切である。 柱に鋼板や炭素繊維のシートを巻くことにより、柱のじん性(粘り強さ)は向上する。この工法の利点は、柱を鋼板で包み込むので、強度がでやすく、安価であること。

4 鉄筋コンクリート造耐震壁の増設 --------------- 構造上のバランスの改善

→○ 適切である。 耐震壁の増設は、建物の構造上バランスが良くなる。これにより、偏心や高さの方向の耐力や剛性の不均衡が改善される。

答え: 1  (だけど、限られた時間内で、地震力の低減まで理解できない? 4も迷う? )

問41

〔問 41〕マンションの大規模の修繕の工事を行う場合の石綿対策に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 平成18年9月1日以降、石綿及び石綿をその重量の0.1%を超えて含有する建築材料の製造等は禁止されている。

→○ 適切である。 石綿(アスベスト)については、平成18年度の「管理業務主任者試験 問19」でも出題されているので、参考のこと。
  <ウンチク>歴史的に、石綿は工業材料として優れた特質を持っていることから1950年代に入ると、「奇跡の繊維」ともてはやされ、大量に使用されるようになった。
   90%以上が建材製品に使用され、具体的には、スレート材、自動車のブレーキライニングやブレーキパッド、防音材、断熱材、保温材、吸湿材など多くの製品で使用された。
   石綿は1ミクロン以下の非常に細い天然の鉱物繊維で、指で擦っても砕けず、細くて長い繊維に分かれ、石綿が原因の中皮腫は平均35年前後(30年から40年、または20年から50年)という長い潜伏期間の後発病することが多い。発ガン性がある。
  そして、厚生労働省の近年における主な対応は、
   *政省令改正(労働安全衛生法令関係)
    平成16年  労働安全衛生法施行令の改正により、建材、摩擦材等の石綿含有製品の製造、輸入、譲渡、提供又は使用の禁止(10月1日より施行)
    平成17年  特定化学物質等障害予防規則より分離し、単独の規則である石綿障害予防規則を制定
    平成18年  労働安全衛生法施行令の改正により、石綿等の製造等の全面禁止、石綿障害予防規則の改正によりさらなる石綿ばく露防止対策の充実(9月1日より施行)
    平成19年 石綿等の製造等の全面禁止が当分の間猶予されている製品等のうち、非石綿製品への代替化が可能となった一部の製品の製造等の禁止(10月1日より施行)
           労働安全衛生規則の改正により、石綿健康管理手帳の交付要件を拡大(10月1日より施行)
  これを、法律的にみると、労働安全衛生法第55条(製造等の禁止)
「黄りんマツチ、ベンジジン、ベンジジンを含有する製剤その他の労働者に重度の健康障害を生ずる物で、政令で定めるものは、製造し、輸入し、譲渡し、提供し、又は使用してはならない。ただし、試験研究のため製造し、輸入し、又は使用する場合で、政令で定める要件に該当するときは、この限りでない。」」とあり、
  これを受けた政令、労働安全衛生法施行令16条(製造等が禁止される有害物等)
「法第五十五条 の政令で定める物は、次のとおりとする。
   一  黄りんマツチ
   二  ベンジジン及びその塩
   三  四―アミノジフエニル及びその塩
   四  石綿
   五  四―ニトロジフエニル及びその塩
   六  ビス(クロロメチル)エーテル
   七  ベータ―ナフチルアミン及びその塩
   八  ベンゼンを含有するゴムのりで、その含有するベンゼンの容量が当該ゴムのりの溶剤(希釈剤を含む。)の五パーセントを超えるもの
   九  第二号、第三号若しくは第五号から第七号までに掲げる物をその重量の一パーセントを超えて含有し、又は第四号に掲げる物をその重量の〇・一パーセントを超えて含有する製剤その他の物
  2  法第五十五条 ただし書の政令で定める要件は、次のとおりとする。
   一  製造、輸入又は使用について、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、都道府県労働局長の許可を受けること。この場合において、輸入貿易管理令 (昭和二十四年政令第四百十四号)第九条第一項 の規定による輸入割当てを受けるべき物の輸入については、同項 の輸入割当てを受けたことを証する書面を提出しなければならない。
   二  厚生労働大臣が定める基準に従つて製造し、又は使用すること。 」とあり、
 平成18年9月1日以降、石綿及び石綿をその重量の0.1%を超えて含有する製剤その他の物」の製造、輸入、譲渡、提供又は使用を禁止されている。

2 既存建築物に使用されている石綿の種類は、一般的にクリソタイル、アモサイト、クロシドライトである。

→○ 適切である。 石綿の種類としては、 クロシドライト(青石綿)やアモサイト(茶石綿)は先カンブリア紀の縞状鉄鉱層中に生成、クリソタイル(白石綿)はかんらん石等の起塩基性岩が変性作用をうけ蛇紋岩化、また石灰岩-苦灰岩の蛇紋岩化したものである。
 そして、厚生労働省のコメントとしても、労働安全衛生法施行令関係 第16条関係 ア  第4号の「石綿」とは、繊維状を呈しているアクチノライト、アモサイト、アンソフィライト、クリソタイル、クロシドライト及びトレモライト(以下「クリソタイル等」という。)をいうこと。 」とある。

3 大規模の修繕の工事都分において、吹付け石綿が使用されているときは、当該吹付け石綿について、可能な限り除去し、除去が困難な部分は封じ込め又は囲い込みの措置を行わなければならない。

→X 適切でない? 選択肢4の工事部分以外とも絡めた、面倒な出題である。具体的な、法律(建築基準法、石綿障害予防規則、大気汚染防止法など)や、厚生労働省、国土交通省告示など時間をかけて調べたが、該当の項目がない。しかし、吹付け石綿についての工法のまとめとしては、次のものがあった。

1 除去工法 既存のアスベスト含有吹付け材の層を下地から取り除く工法。リムーバル工法とも呼ばれる。
2 封じ込め工法 既存のアスベスト含有吹付け材の層はそのまま残し、アスベスト層へ薬剤の含浸若しくは造膜材の散布等を施すことにより、アスベスト含有吹付け材の層の表層部又は全層を完全に被覆または固着・固定化して、粉じんが使用空間内ヘ飛散しないようにする工法。エンカプスレーション工法とも呼ばれる。
3 囲い込み工法 既存のアスベスト含有吹付け材の層はそのまま残し、アスベスト含有吹付け材の層が使用空間に露出しないよう、板状材料等で完全に覆うことによって粉じんの飛散防止、損傷防止等を図る工法。カバーリング工法とも呼ばれる。

 そこで、設問での検討だが、「当該吹付け石綿について、可能な限り除去し、除去が困難な部分は封じ込め又は囲い込みの措置を行わなければならない。」とあり、石綿の危険性から工事部分では「可能な限り」が間違いであると思われる。除去が基本だろう。
  <参考>設問と同様な文章をさがしたが、該当の文章を探せない。
 設問の意図は、平成18年10月1日付けの、国土交通省の「石綿による健康被害を防止するため、建築物における石綿の使用を規制する。」の中の文章「飛散することにより著しく衛生上有害な物質として石綿を定めること。
  増改築時には、原則として石綿の除去を義務づけるが、増改築部分の床面積が増改築前の床面積の1/2を超えない増改築時には、増改築部分以外の部分について、封じ込めや囲い込みの措置を許容すること。
  大規模修繕・模様替時には、大規模修繕・模様替部分以外の部分について、封じ込めや囲い込みの措置を許容すること。
工作物についても、石綿に関して建築物同様の規制を行うこと等。」がある。

その後も、適正な法文を探しましたよ。そして、建築基準法施行令137条の4の3(石綿関係)
「法第三条第二項 の規定により法第二十八条の二 (前条に規定する基準に係る部分に限る。第百三十七条の十二第三項において同じ。)の規定の適用を受けない建築物について法第八十六条の七第一項 の規定により政令で定める範囲は、増築及び改築については、次に定めるところによる。
  一  増築又は改築に係る部分の床面積の合計が基準時における延べ面積の二分の一を超えないこと。
  二  増築又は改築に係る部分が前条に規定する基準に適合すること。
  三  増築又は改築に係る部分以外の部分が、建築材料から石綿を飛散させるおそれがないものとして石綿が添加された建築材料を被覆し又は添加された石綿を建築材料に固着する措置について国土交通大臣が定める基準に適合すること。 」を見つけました。
 そして、その告示は、
 平成18年9月29日 国土交通省告示第1173号(平成18年10月1日施行)
 建築材料から石綿を飛散させるおそれがないものとして石綿が添加された建築材料を被覆し又は添加された石綿を建築材料に固着する措置について国土交通大臣が定める基準を定める件
 
建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第137条の4の3第三号の規定に基づき、建築材料から石綿を飛散させるおそれがないものとして石綿が添加された建築材料を被覆し又は添加された石綿を建築材料に固着する措置について国土交通大臣が定める基準を次のように定める。

  建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第137条の4の3第三号の規定に基づき、建築材料から石綿を飛散させるおそれがないものとして石綿が添加された建築材料を被覆し又は添加された石綿を建築材料に固着する措置について国土交通大臣が定める基準は、建築基準法(昭和25年法律第201号)第28条の2第一号及び第二号に適合しない建築材料であって、人が活動することが想定される空間に露出しているもの(以下「対象建築材料」という。)に対して、次の各号のいずれかに掲げる措置を講じるものとする。

 一  次のイからヘに適合する方法により対象建築材料を囲い込む措置
   イ  対象建築材料を板等の材料であって次のいずれにも該当するもので囲い込むこと。
     
(1)  石綿を透過させないものであること。
     
(2)  通常の使用状態における衝撃及び劣化に耐えられるものであること。
  
ロ  イの囲い込みに用いる材料相互又は当該材料と建築物の部分が接する部分から対象建築材料に添加された石綿が飛散しないよう密着されていること。
  
ハ  維持保全のための点検口を設けること。
  
ニ  対象建築材料に劣化又は損傷の程度が著しい部分がある場合にあっては、当該部分から石綿が飛散しないよう必要な補修を行うこと。
  
ホ  対象建築材料と下地との付着が不十分な部分がある場合にあっては、当該部分に十分な付着が確保されるよう必要な補修を行うこと。
  
へ  結露水、腐食、振動、衝撃等により、対象建築材料の劣化が進行しないよう必要な措置を講じること。
 
二  次のイからニに適合する方法により対象建築材料に添加された石綿を封じ込める措置
  
イ  対象建築材料に建築基準法第37条第2項に基づく認定を受けた石綿飛散防止剤(以下単に「石綿飛散防止剤」という。)を均等に吹き付け又は含浸させること。
  
ロ  石綿飛散防止剤を吹き付け又は含浸させた対象建築材料は、通常の使用状態における衝撃及び劣化に耐えられるものであること。
  
ハ  対象建築材料に石綿飛散防止剤を吹き付け又は含浸させることによって当該対象建築材料の撤去を困難にしないものであること。
  
ニ  第一号ニからヘまでに適合すること。
 
附則
 
  この告示は、建築基準法施行令の一部を改正する政令の施行の日(平成18年10月1日)から施行する。

4 大規模の修繕の工事部分以外の部分において、吹付け石綿が使用されているときは、当該吹付け石綿について、除去又は封じ込め若しくは囲い込みの措置を行わなければならない。

→○ 適切である。 選択肢3からも分かるように、石綿の危険性から、工事部分以外でも除去又は封じ込め若しくは囲い込みの措置が基本だろう。

答え:3  (設問が、細かい。石綿の概要は知っていても、ここまで、出題するか! 根拠となっている(多分、告示?)が探せない。)  マンション管理センターの正解:3
(参照:「マンション管理の知識 平成20年版 ページ464)

問42

〔問 42〕エネルギーの使用の合理化に関する法律に基づく「住宅に係るエネルギーの使用の合埋化に関する建築主等及び特定建築物の所有者の判断の基準」において、特定建築物の所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者。)が配慮する必要がある事項に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 外壁、屋根、床、窓及び開口部の清掃、補修等により、これらの断熱性の維持保全をすること。

→○ 適切である。 「エネルギーの使用の合理化に関する法律」は改正され、「住宅に係るエネルギーの使用の合埋化に関する建築主等及び特定建築物の所有者の判断の基準」も、平成18年に改正されている。
  まず、エネルギーの使用の合理化に関する法律第72条は、(建築物の建築をしようとする者等の努力)
「次に掲げる者は、基本方針の定めるところに留意して、建築物の外壁、窓等を通しての熱の損失の防止及び建築物に設ける空気調和設備その他の政令で定める建築設備(以下「空気調和設備等」という。)に係るエネルギーの効率的利用のための措置を適確に実施することにより、建築物に係るエネルギーの使用の合理化に資するよう努めなければならない。」とあり、
  これを受け、エネルギーの使用の合理化に関する法律施行令14条(空気調和設備等)
「法第七十二条 の政令で定める建築設備(以下「空気調和設備等」という。)は、次のとおりとする。
   一  空気調和設備その他の機械換気設備
   二  照明設備
   三  給湯設備
   四  昇降機 」
  
とある。
  そして、平成18年経済産業省・国土交通省告示第5号によると、
 「 1−5 特定建築物の所有者(所有者と管理者が異なる場合にあたっては、管理者。以下同じ)は、次に掲げる事項に配慮し、建築物の外壁、窓等を通しての熱の損失の防止を図ること。
   (1)熱の損失が増大しないよう採用した室の配置等の維持保全をすること。
   (2)外壁、屋根、床、窓及び開口部の清掃、補修等により、これらの断熱性の維持保全をすること。
   (3)窓からの日射の制御の状態の点検、緑化施設の保全等により、日射による熱負荷の低減措置の維持保全をすること。」
  とあり、(2)により正しい。

2 受変電設備の制御システムの点検等により、採用した制御システムのエネルギーの利用効率を維持すること。

→X 適切でない。 選択肢1で述べたように、建築設備(以下「空気調和設備等」という。)は、
   一  空気調和設備その他の機械換気設備
   二  照明設備
   三  給湯設備
   四  昇降機 」
  であり、受変電設備の制御システムは、ここには入っていない。

3 空気調和設備の熱源システムの点検等により、採用した熱源システムのエネルギーの利用効率を維持すること。

→○ 適切である。 選択肢1で述べた、平成18年経済産業省・国土交通省告示第5号によると、
 「2−5  特定建築物の所有者は、次に掲げる事項に配慮し、空気調和設備に係わるエネルギーの効率的利用を図ること。
   (1)室等の空気調和負荷の特性等に配慮して採用した空気調査設備のシステムの維持保全をすること。
   (2)風道、配管等の点検、補修等により、エネルギーの損失が増大しないように採用した熱搬送設備の維持保全をすること。
   (3)熱源機器、ポンプ、空気調和機等の作動状況の点検等により、採用した空気調和設備の制御方法の維持保全をすること。
   (4)熱源システムの点検等により、採用した熱源システムのエネルギーの利用効率を維持すること。
  とあり、(4)により正しい。

4 昇降機の駆動装置の点検等により、採用した駆動装置のエネルギーの利用効率を維持すること。

→○ 適切である。 選択肢1で述べた、平成18年経済産業省・国土交通省告示第5号によると、
 「 6−5 特定建築物の所有者は、次に掲げる事項に配慮し、昇降機に係わるエネルギーの効率的利用を図ること。
   (1)昇降機の作動状況の点検等により、採用した昇降機の制御方法の維持保全をすること。
   (2)駆動装置の点検等により、採用した駆動方式のエネルギーの利用効率を維持すること。
  とあり、(2)により正しい。

答え:2  (こんな細かなところまで、出題されていいのか? 実に、紛らわしい選択肢だ。根拠を探すのだけでも、時間がムチャクチャかかった。参照:「マンション管理の知識 平成20年版 ページ702)

問43

〔問 43〕マンションの設備に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 地上デジタルテレビ放送を受信するため、UHF対応のアンテナを新設した。

→○ 適切である。 ここは、平成21年管理業務主任者試験 「問22」 でも出ている。
    現在のアナログ・テレビ放送は、VHF帯域で送られていますが、地上デジタルテレビ放送は、UHF帯域で送られるために、地上デジタルテレビを見るにはUHF対応のアンテナも必要です。いまのアナログ放送は2011年7月24日には地上デジタル放送に移行します。

2 土中に埋設されていたガス管が腐食したため、白ガス管(亜鉛めっき鋼管)に交換して再び埋設した。

→X 不適切である。 ガス管の白ガス管は埋設後20年ほどが経過すると腐食が発生する可能性があるため、埋設部に新設することは禁止されている。

3 地震時のエレベーター内への閉じ込めの防止策の一つとして、初期微動(P波)感知型地震時管制運転装置を設置した。

→○ 適切である。 地震は、初期にかすかな微動があり、その後に大きな揺れがきます。「P波感知器付地震時管制運転装置」は、地震の初期微動(P波=Primary wave(最初の波))を感知することで、地震の本震(S波=Secondary wave(二番目の波))が到達する前に地震時管制運転を開始し、乗りかごを最寄階に退避させる機能です。一般的なS波感知器付地震時管制運転に比べ、より早い退避運転とエレベーター内の閉じ込め防止を行うことができます。

 なお、地震とエレベーターの関係は、2005年7月、千葉県北西部を震源とする地震が発生し、首都圏を中心に約64,000台のエレベーターが安全確保のため運転休止し、このうち78台において閉じ込めが発生しました。これらのエレベーターの7割以上は市町村震度4以下の地域に存していたものであり、比較的震度が小さかったにも関わらず、多くの閉じ込めや運転休止を生じたことが、大きな社会問題となりました。こうした中で、国土交通省の諮問機関である社会資本整備審議会建築分科会建築物等事故・災害対策部会において、エレベーターの地震防災対策の推進について議論が行われ、「閉じ込めの発生」「閉じ込めからの救出の遅れ」「運転休止からの復旧の遅れ」「適時適切な情報の不足」などの課題抽出やエレベーターにおける地震防災対策が検討されてきた。

4 省エネルギーのため、外気に開放された共用廊下、階段等の照明器具に、人感センサー及び照度センサーを組み合せた制御装置を取り付けた。

→○ 適切である。 ここは、平成20年 マンション管理士 試験 「問45」 で出た。
   人の動きや照度(光の明るさ)を感知して自動的に点灯・消灯するセンサー付き照明器具は省エネルギーのためいい。なお、照明器具の点灯・消灯の制御装置には、時計を利用した「タイマー式」もあります。これだと、外部が明るくても、時間がくれば点灯したり、暗くても消灯します。

答え:2

問44

〔問 44〕消防法に基づくマンションの消防用設備等に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 消火器で対応する火災の種類には、普通火災、油火災及び電気火災があるが、消火器には、いずれの種類の火災にも有効なものがある。

→○ 適切である。 ここらは、過去にも出題されたものである。(平成17年 マンション管理士試験 「問45」
    消火器には粉末消火器(ABC粉末)という、普通火災(A火災用)、油火災(B火災用)、電気火災(C火災用)に対応した消火器がある。

2 屋内消火栓設備は、居住者による初期消火に使用されるものであり、2号消火栓は1人でも操作することができる。

→○ 適切である。 屋内消火栓は、居住者による初期消火に使用され、1号消火栓より、2号消火栓は小型で、1人でも操作することができるように作られている。

 

3 連結送水管は、送水口、配管、放水口等から構成され、消防ポンプ自動車から送水口に送水し、消防隊が放水口に放水用器具を接続して消火活動を行うものである。

→○ 適切である。 記述の通りで、1階に設けた送水口、耐水圧の配管、そして、3階以上の各階に放水口が設けられる。

4 消防用設備等は、消防設備士等の資格者により、6カ月に1回の機器点検及び1年に1回の総合点検を行い、その都度、消防長又は消防署長に報告しなければならない。

→X 適切でない。 ここは、平成20年 マンション管理士 試験 「問36」 でもでた。
   消防法第十七条の三の三 「第十七条第一項の防火対象物(政令で定めるものを除く。)の関係者は、当該防火対象物における消防用設備等又は特殊消防用設備等(第八条の二の二第一項の防火対象物にあつては、消防用設備等又は特殊消防用設備等の機能)について、総務省令で定めるところにより、定期に、当該防火対象物のうち政令で定めるものにあつては消防設備士免状の交付を受けている者又は総務省令で定める資格を有する者に点検させ、その他のものにあつては自ら点検し、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない。 」とあり、
 消防法施行規則31条の6 (消防用設備等又は特殊消防用設備等の点検及び報告)
「法第十七条の三の三 の規定による消防用設備等の点検は、種類及び点検内容に応じて、一年以内で消防庁長官が定める期間ごとに行うものとする。
 2  法第十七条の三の三 の規定による特殊消防用設備等の点検は、第三十一条の三の二第六号の設備等設置維持計画に定める点検の期間ごとに行うものとする。
 3  防火対象物の関係者は、前二項の規定により点検を行つた結果を、維持台帳(第三十一条の三第一項及び第三十三条の十八の届出に係る書類の写し、第三十一条の三第四項の検査済証、次項の報告書の写し、消防用設備等又は特殊消防用設備等の工事、整備等の経過一覧表その他消防用設備等又は特殊消防用設備等の維持管理に必要な書類を編冊したものをいう。)に記録するとともに、次の各号に掲げる防火対象物の区分に従い、当該各号に定める期間ごとに消防長又は消防署長に報告しなければならない。ただし、特殊消防用設備等にあつては、第三十一条の三の二第六号の設備等設置維持計画に定める点検の結果についての報告の期間ごとに報告するものとする。
   一  令別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項、(九)項イ、(十六)項イ、(十六の二)項及び(十六の三)項に掲げる防火対象物 一年に一回
   二  令別表第一(五)項ロ注: ロ 寄宿舎、下宿又は共同住宅 とありマンションはここに該当している)、(七)項、(八)項、(九)項ロ、(十)項から(十五)項まで、(十六)項ロ、(十七)項及び(十八)項までに掲げる防火対象物 三年に一回
とあり、消防庁告示により、6カ月に1回の機器点検及び1年に1回の総合点検を行うが、その報告は、特定防火対象物は1年に1回、非特定防火対象物は3年に1回でいい。その都度の報告ではない。

答え:4  (参考:マンション管理の知識 平成20年版 ページ752〜)

問45

〔問 45〕マンションの設備計画に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 1住戸(4人家族〉の1日の使用水量を約1m3程度とした。

→○ 適切である。 この設問に近いものは、過去にも、出題されている。平成20年 マンション管理士 試験 「問43」 でも出た。
  1住戸(4人家族)の1日の使用水量の平均は、1m3(1,000リットル)程度である。
  これを元に、受水槽では、全戸使用量の1/2程度の容量にする。

2 高層マンションにおける排水立て管の通気方式について、排水を管壁に沿って旋回させて排水の流下速度を抑え管の中心に通気を確保する機能を持つ排水用特殊継手を用いた、伸頂通気方式とした。

→○ 適切である。 この方式は伸頂通気方式のうち、特殊継ぎ手方式とよばれ、系統別に複数の排水管を1本の立て管に集約することができ、主に高層マンションや超高層マンションで採用される。この方式は、配管スペースの縮小もできる。

3 中層マンションにおける給水方式について、水道本管から分岐した水を受水槽を用いず増圧給水ポンプにより直接各住戸に給水する、増圧直結給水方式とした。

→○ 適切である。 まず、給水方法には、次の3種類がある。

 (1)配水管からの水圧で給水する直圧直結給水方式
 (2)増圧ポンプにより給水する増圧直結給水方式
 (3)受水タンクに貯めて給水する受水タンク方式

  選択肢3は、(2)に該当し、正しい。この方式は、受水槽(タンク)や高置水槽(タンク)が不要で設置場所が省ける。また、空気に開放されないので、水質も低下し難い。 平成22年 管理業務主任者試験 「問23」 も参考に。

4 100V用の照明器具やコンセントのほか200V用の暖冷房機器に対応するため、住戸内配線を単相2線方式とした。

→X 適切でない。  単相3線方式は、平成20年 マンション管理士 試験 「問45」 選択肢1 でも出た。平成22年 管理業務主任者試験 「問21」 もあり。
    200V用の電気器具に対応するには、単相2線方式ではだめです。単相3線方式とします。電柱から各家庭に電気を引き込む方法には「単相2線方式」と「単相3線方式」があります。単相2線方式とは電柱から2本線で引き込む方式で、100V機器しか使えません。単相3線方式は3本線で構成され、100Vと200Vを併用できる方式です。3本の線のうち、1本はアース、残る2本のうち1本は +100V、もう1本は−100Vです。+100Vと−100の電位差は200V、従ってこの結線を使えば200V機器は簡単に使うことができるのです。これは分電盤で確認できます。分電盤に引き込まれている線が3本あれば単相3線方式です。単相3線方式は、IHクッキング・ヒーターやエアコンで採用されています。(参考 単相3線 :平成14年 マンション管理士 試験 「問45」

答え:4

問46

〔問 46〕次の記述は、「マンションの管理の適正化に関する指針」において定められている「マンションの管理の適正化の推進のために管理組合が留意すべき基本的事項」に関するものである。空自となっているA〜Dに下欄のア〜クの語句を選んで文章を完成させた場合において、正しい組合せは、どれか。


  *注:問46から問50までは、マンション管理士試験か管理業務主任者試験の合格者には免除される部分 です。また、この問46から問50は、「マンション管理適正化法」と同指針からの出題と決まっていますので、出題は似たような内容となります。過去問題は やっておくと楽です。


管理規約は、マンション管理の{A}であることから、その作成にあたっては、管理組合は、{B}に則り、(中略)、当該マンションの実態及びマンションの区分所有者等の意向を踏まえ、適切なものを作成し、{C}、その改正を行うことが重要である。さらに、{D}を目指し、マンションの区分所有者等間のトラブルを末然に防止するために、使用細則等マンションの実態に即した具体的な住まいのルールを定めておくことが肝要である。

ア 基礎的な規範    イ 自立的な管理組合の運営  ウ 必要に応じ
エ マンションの管理の適正化に関する法律
オ 建物の区分所有等に関する法律   カ 快適な居住環境
キ 最高自治規範   ク 5年ごとに

1 Aはア  Bはエ  Cはク  Dはイ
2 Aはキ  Bはオ  Cはウ  Dはカ
3 Aはア  Bはオ  Cはウ  Dはイ
4 Aはキ  Bはエ  Cはク  Dはカ

*「マンションの管理の適正化に関する指針」からの出題は久し振り。もう、出題の種が切れたと思っていたら、出された。
 「マンションの管理の適正化の推進のために管理組合が留意すべき基本的事項」の全文は以下のようになっている。
 2 管理規約
   管理規約は、マンション管理の{A}最高自治規範=キ であることから、その作成にあたっては、管理組合は、{B}建物の区分所有等に関する法律=オ に則り、「中高層共同住宅標準管理規約」を参考として、当該マンションの実態及びマンションの区分所有者等の意向を踏まえ、適切なものを作成し、{C}必要に応じ=ウ、その改正を行うことが重要である。さらに、{D}快適な居住環境=カ を目指し、マンションの区分所有者等間のトラブルを未然に防止するために、使用細則等マンションの実態に即した具体的な住まい方のルールを定めておくことが肝要である。

答え:2  (Aはキ  Bはオ  Cはウ  Dはカ)

問47

〔問 47〕マンション管理士登録証に関する次の記述のうち、マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下「マンション管理適正化法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。ただし、国土交通大臣の登録を受けた者(以下「登録講習機関」という。)にマンション管理士の講習に関する事務を行わせているものとする。

1 マンション管理士は、その業務を行うに際し、マンションの区分所有者等その他関係者からの請求の有無にかかわらず、マンション管理士登録証を提示しなければならない。

→X 誤。 管理業務主任者の登録と管理業務主任者証、そして、マンション管理士の登録証は、「平成19年 管理業務主任者 試験 問47」と比べておくこと。
    「マンション管理適正化法」には、管理業務主任者に対しては、管理業務主任者業務証の提示の規定があるが、マンション管理士に対してはこのような規定はない。(因みに、「マンション管理士
登録証」は、A4版大の紙切れ1枚です。こんなものは、常時携帯できません。ここには、免許証大で顔写真が載っている「管理業務主任者証」と違って写真も求められていません。そこで、別途、任意に、写真をはったカード型の「マンション管理士証」を、(財)マンション管理センターが手数料 ¥2,500−で交付してます。)

2 マンション管理士は、5年ごとに登録講習機関が行う講習を受けて、マンション管理士登録証を更新しなければならない。

→X 誤。 マンション管理士は、マンション管理適正化法第41条(講習)
「マンション管理士は、国土交通省令で定める期間ごとに、次条から第四十一条の四までの規定により国土交通大臣の登録を受けた者(以下この節において「登録講習機関」という。)が国土交通省令で定めるところにより行う講習(以下この節において「講習」という。)を受けなければならない。 」とあり、
 定める期間は、 マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則41条(法第四十一条 の国土交通省令で定める期間)
「法第四十一条 の国土交通省令で定める期間は、五年とする。」
  とある。
 これにより、マンション管理士として登録を受けると、5年ごとに講習をうけなければならないが、これは「マンション管理士登録証の更新」ではない。マンション管理士登録証に有効期限はなく更新はない。登録が取り消されない限り有効です。

 なお、登録の取り消しは、同法第33条(登録の取消し等)
「  国土交通大臣は、マンション管理士が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消さなければならない。
  一  第三十条第一項各号(第四号を除く。)のいずれかに該当するに至ったとき。
  二  偽りその他不正の手段により登録を受けたとき。
 2  国土交通大臣は、マンション管理士が第四十条から第四十二条までの規定に違反したときは、その登録を取り消し、又は期間を定めてマンション管理士の名称の使用の停止を命ずることができる。」
 で、講習を受けないと、登録は取り消しになることがありますよ。

3 マンション管理士は、住所を移転した場合は、遅滞なくマンション管理士登録証を添えて国土交通大臣に届け出て、その訂正を受けなければならない。

→○ 正。 マンション管理適正化法第32条(登録事項の変更の届出等)
「マンション管理士は、第三十条第二項に規定する事項に変更があったときは、遅滞なく、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。
  2  マンション管理士は、前項の規定による届出をするときは、当該届出に登録証を添えて提出し、その訂正を受けなければならない。 」とあり、
 マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則26条 (マンション管理士登録簿の登載事項)
「法第三十条第二項 に規定する国土交通省令で定める事項は、次に掲げるものとする。
   一  住所 
   二  本籍(日本の国籍を有しない者にあっては、その者の有する国籍)及び性別
   三  試験の合格年月日及び合格証書番号
   四  登録番号及び登録年月日 」
  とある。
 よって、住所を移転した場合は、記載事項の変更であるため、遅滞なくマンション管理士登録証を添えて国土交通大臣に届け出て、その訂正を受けなければならない。

4 マンション管理士は、マンション管理士登録証を亡失した場合においては、国土交通大臣にすみやかに再交付の申請をしなければならない。

→X 誤。 マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則29条(登録証再交付の申請等)
「マンション管理士は、登録証を亡失し、滅失し、汚損し、又は破損したときは、国土交通大臣に登録証の再交付を申請することができる
  2  前項の規定による再交付を申請しようとする者は、別記様式第八号による登録証再交付申請書(以下この節において「再交付申請書」という。)を提出しなければならない。
  3  汚損又は破損を理由とする登録証の再交付は、汚損し、又は破損した登録証と引換えに新たな登録証を交付して行うものとする。
  4  マンション管理士は、登録証の亡失によりその再交付を受けた後において、亡失した登録証を発見したときは、速やかに、発見した登録証を国土交通大臣に返納しなければならない。」
  とあり、特に再交付の申請で「すみやか」は求められていない。たとえ登録証をなくしても、再交付の申請は任意。なくしても、マンション管理士の登録は失効しないから安心して。

答え:3  (少しばかり、とまどう人もいるか?)

問48

〔問 48〕マンション管理業者の業務に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 マンション管理業者は、管理組合から委託を受けた管理事務のうち基幹事務の一部を、他人に委託することができる。

→○ 正。 よく出る問題です。 平成19年管理業務主任者 「問48」。 平成21年管理業務主任者試験 「問49」 選択肢2 でも出ている。
   まず、管理業務と基幹事務とは、マンション管理適正化法第2条6号
 「  管理事務 マンションの管理に関する事務であって、基幹事務(管理組合の会計の収入及び支出の調定及び出納並びにマンション(専有部分を除く。)の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整をいう。以下同じ。)を含むものをいう。 」
  である。
 そして、同法第74条 (再委託の制限)
「マンション管理業者は、管理組合から委託を受けた管理事務のうち基幹事務については、これを一括して他人に委託してはならない。 」
  とあり、一括して他人への委託は禁止されているが、一部の委託は許されている。

2 マンション管理業者は、あらかじめ国土交通大臣に届け出れば、マンションの区分所有者等に対して、管理業務主任者をしてする重要事項説明を、当該事務所に所属するマンション管理士にさせることができる。

→X 誤。 まず、マンション管理士と管理業務主任者の役割の違いは、理解しておくこと。
   重要事項説明は、マンション管理適正化法第72条(重要事項の説明等)
「マンション管理業者は、管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする契約(新たに建設されたマンションの当該建設工事の完了の日から国土交通省令で定める期間を経過する日までの間に契約期間が満了するものを除く。以下「管理受託契約」という。)を締結しようとするとき(次項に規定するときを除く。)は、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより説明会を開催し、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等に対し、管理業務主任者をして、管理受託契約の内容及びその履行に関する事項であって国土交通省令で定めるもの(以下「重要事項」という。)について説明をさせなければならない。この場合において、マンション管理業者は、当該説明会の日の一週間前までに、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等の全員に対し、重要事項並びに説明会の日時及び場所を記載した書面を交付しなければならない。
  2  マンション管理業者は、従前の管理受託契約と同一の条件で管理組合との管理受託契約を更新しようとするときは、あらかじめ、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等全員に対し、重要事項を記載した書面を交付しなければならない。
  3  前項の場合において当該管理組合に管理者等が置かれているときは、マンション管理業者は、当該管理者等に対し、管理業務主任者をして、重要事項について、これを記載した書面を交付して説明をさせなければならない。
  4  管理業務主任者は、第一項又は前項の説明をするときは、説明の相手方に対し、管理業務主任者証を提示しなければならない。
  5  マンション管理業者は、第一項から第三項までの規定により交付すべき書面を作成するときは、管理業務主任者をして、当該書面に記名押印させなければならない。 」
 とあり、管理業務主任者の仕事であり、マンション管理士の仕事ではない。

3 マンション管理業者は、管理事務の委託を受けたマンションの住戸の数にかかわらず、全ての事務所に専任の管理業務主任者を置かなければならない。

→X 誤。 専任の管理業務主任者については、マンション管理適正化法第56条(管理業務主任者の設置)
「マンション管理業者は、その事務所ごとに、事務所の規模を考慮して国土交通省令で定める数の成年者である専任の管理業務主任者を置かなければならない。ただし、人の居住の用に供する独立部分(区分所有法第一条 に規定する建物の部分をいう。以下同じ。)が国土交通省令で定める数以上である第二条第一号イに掲げる建物の区分所有者を構成員に含む管理組合から委託を受けて行う管理事務を、その業務としない事務所については、この限りでない。
   2  前項の場合において、マンション管理業者(法人である場合においては、その役員)が管理業務主任者であるときは、その者が自ら主として業務に従事する事務所については、その者は、その事務所に置かれる成年者である専任の管理業務主任者とみなす。
   3  マンション管理業者は、第一項の規定に抵触する事務所を開設してはならず、既存の事務所が同項の規定に抵触するに至ったときは、二週間以内に、同項の規定に適合させるため必要な措置をとらなければならない。 」
  とあり、
 これをうけ、 マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則61条(法第五十六条第一項 の国土交通省令で定める管理業務主任者の数)
「法第五十六条第一項 の国土交通省令で定める管理業務主任者の数は、マンション管理業者が管理事務の委託を受けた管理組合の数を三十で除したもの(一未満の端数は切り上げる。)以上とする。
 そして、同法第62条 (法第五十六条第一項 の国土交通省令で定める人の居住の用に供する独立部分の数)
「法第五十六条第一項 の国土交通省令で定める人の居住の用に供する独立部分の数は、六とする。」
  とある。
 よって、原則、管理組合数30組合につき1人以上の成年者である管理業務主任者を置かなければならないが、管理事務の委託を受けたマンションの住戸が5以下の事務所では、専任の管理業務主任者は不要である。

4 マンション管理業者は、自社に所属する管理業務主任者が居住するマンションの管理組合から、管理事務の委託を受けてはならない。

→X 誤。 こんな規定はない。現実には、どこかのマンションでは設問の事態があって、マンション管理業者が好き勝手にやって問題になったようだ。

答え:1

問49

〔問 49〕マンション管理業者が、管理組合と管理受託契約を締結又は更新しようとする場合の重要事項説明に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 管理受託契約を締結しようとする場合、区分所有者等全員に対して、管理業務主任者をして重要事項の説明をさせ、重要事項を記載した書面に区分所有者等全員に記名押印させなければならない。

→X 誤。 重要事項の説明は、平成20年 管理業務主任者 試験 「問49」 、 平成19年 管理業務主任者 試験 「問49」 など。
   マンション管理適正化法
第72条(重要事項の説明等)
「マンション管理業者は、管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする契約(新たに建設されたマンションの当該建設工事の完了の日から国土交通省令で定める期間を経過する日までの間に契約期間が満了するものを除く。以下「管理受託契約」という。)を締結しようとするとき(次項に規定するときを除く。)は、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより説明会を開催し、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等に対し、管理業務主任者をして、管理受託契約の内容及びその履行に関する事項であって国土交通省令で定めるもの(以下「重要事項」という。)について説明をさせなければならない。この場合において、マンション管理業者は、当該説明会の日の一週間前までに、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等の全員に対し、重要事項並びに説明会の日時及び場所を記載した書面を交付しなければならない。
  2  マンション管理業者は、従前の管理受託契約と同一の条件で管理組合との管理受託契約を更新しようとするときは、あらかじめ、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等全員に対し、重要事項を記載した書面を交付しなければならない。
  3  前項の場合において当該管理組合に管理者等が置かれているときは、マンション管理業者は、当該管理者等に対し、管理業務主任者をして、重要事項について、これを記載した書面を交付して説明をさせなければならない。
  4  管理業務主任者は、第一項又は前項の説明をするときは、説明の相手方に対し、管理業務主任者証を提示しなければならない。
  5  マンション管理業者は、第一項から第三項までの規定により交付すべき書面を作成するときは、管理業務主任者をして、当該書面に記名押印させなければならない。」
  とあり、重要事項を記載した書面に記名押印するのは、管理業務主任者であり、区分所有者等全員ではない。

2 従前の管理受託契約に比して更新後の契約期間を伸長しようとする場合の区分所有者等全員に対する重要事項の説明会は、開催日の3日前までに重要事項を記載した書面を交付して行わなければならない。

→X 誤。 ここは、従前の管理受託契約に比して更新後の契約期間を「伸長しようとする場合」がマンション管理適正化法第72条2項の「マンション管理業者は、従前の管理受託契約と同一の条件」に該当するかどうかをも訊いている。
 「同一の条件」かどうかについては、
  施行通達第一5によると、@)費用の減額、A)管理事務は拡大するが費用は減額、B)費用支払を後にする、C)契約期間を短縮する、D)対象マンションの名称変更 
  とあり、契約期間を短縮は、該当するが、伸長は「従前の管理受託契約と同一の条件」に該当しない。よって、同法第72条1項に該当し、マンション管理業者は、当該説明会の日の一週間前までに重要事項の説明会を開催することになる。開催日の3日前では適切でない。

3 重要事項の説明は、管理事務の委託を受けた事務所に所属する管理業務主任者にさせなければならない。

→X 誤。 この設問も、良く出る問題。宅地建物取引主任者でも考え方は同じ。
   選択肢1で述べたように、マンション管理適正化法第72条は「管理業務主任者をして」とあり、特に「管理事務の委託を受けた事務所に所属する管理業務主任者」に限定していない。どこの管理業務主任者でも重要事項の説明はできる。通達では、専任の管理業務主任者が行うことが望ましいらしいが。

4 従前の管理受託契約と同一の条件で契約を更新しようとする場合、あらかじめ区分所有者等全員に対し重要事項を記載した書面を交付するとともに、管理業務主任者をして、管理者等に対し重要事項を記載した書面を交付して説明をさせなければならない。

→○ 正。 選択肢1で述べた、マンション管理適正化法第72条2項及び3項
 「2  マンション管理業者は、従前の管理受託契約と同一の条件で管理組合との管理受託契約を更新しようとするときは、あらかじめ、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等全員に対し、重要事項を記載した書面を交付しなければならない。
  3  前項の場合において当該管理組合に管理者等が置かれているときは、マンション管理業者は、当該管理者等に対し、管理業務主任者をして、重要事項について、これを記載した書面を交付して説明をさせなければならない。 」
  により、正しい。

答え:4

問50

〔問 50〕Aマンション管理業者が、B管理組合から委託を受けて区分所有者等から徴収した修繕積立金等金銭をA名義の口座に預入し、当該口座から払出した金銭により管理事務を行っている場合に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法の規定によれば、誤っているものはどれか。


(注:平成22年5月1日施行で、マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則87条は、大幅に改正がなされた。ここは、もうやらない方がいいかも。)

1 この方法は、収納代行方式である。

→○ 正。 まず、管理費や修繕積立金などの管理組合財産を、マンション管理業者が自己の財産と区分せずに一緒に混ぜて管理していたために、マンション管理業者が勝手に運用したり倒産などで問題が発生した。これを受け、業者の財産と委託を受けているマンション管理組合財産との分別管理が、建設省(当時)からマンション管理業者に指導された。それが、マンションの管理の適正化の推進に関する法律第76条と施行規則87条に規定され、@原則方式(2項および4項)、A収納代行方式(3項)、B支払一任方式(5項) と呼ばれる。
  マンション管理適正化法第76条(財産の分別管理)
「マンション管理業者は、管理組合から委託を受けて管理する修繕積立金その他国土交通省令で定める財産については、整然と管理する方法として国土交通省令で定める方法により、自己の固有財産及び他の管理組合の財産と分別して管理しなければならない
 また、 施行規則87条(財産の分別管理)
「法第七十六条 の国土交通省令で定める財産は、管理組合又はマンションの区分所有者等から受領した管理費用に充当するものとする。
  2  法第七十六条 に規定する国土交通省令で定める方法は、修繕積立金等が金銭の場合にあっては、修繕積立金等金銭を、マンション管理業者が受託契約を締結した管理組合又はその管理者等(以下この条において「管理組合等」という。)を名義人とする口座において預貯金として管理する方法とし、修繕積立金等が有価証券の場合にあっては、金融機関又は証券会社に、当該有価証券(以下この条において「受託有価証券」という。)の保管場所を自己の固有財産及び他の管理組合の財産である有価証券の保管場所と明確に区分させ、かつ、当該受託有価証券が受託契約を締結した管理組合の有価証券であることを判別できる状態で管理させる方法とする。
  3  マンション管理業者が保証契約を締結した場合において、当該マンション管理業者が、収納代行方式(マンション管理業者が、管理組合から委託を受けてマンションの区分所有者等から徴収した修繕積立金等金銭を当該マンション管理業者を名義人とする口座に預入し、当該口座から払出した金銭により管理事務を行うこととする当該修繕積立金等金銭の管理方法をいう。)により修繕積立金等金銭を管理するときは、マンション管理業者がマンションの区分所有者等から当該修繕積立金等を徴収してから一月以内に、当該一月以内の期間に管理事務に要した費用を当該修繕積立金等金銭から控除した残額を、管理組合等を名義人とする口座に移し換えるときに限り、前項の規定は適用しない。
  4  マンション管理業者は、修繕積立金等金銭を管理する場合において、当該修繕積立金等金銭を管理するための管理組合等を名義人とする預貯金通帳と当該預貯金通帳に係る管理組合等の印鑑を同時に管理してはならない。ただし、管理組合に管理者等が置かれていない場合において、管理者等が選任されるまでの比較的短い期間に限り、当該管理組合の預貯金通帳と当該預貯金通帳に係る印鑑を同時に保管する場合は、この限りでない。
  5  マンション管理業者が保証契約を締結した場合において、当該マンション管理業者が、支払一任代行方式(管理組合等がマンションの区分所有者等から徴収した修繕積立金等金銭を管理組合等を名義人とする口座に預入し、マンション管理業者が管理組合から委託を受けて当該口座から払出した金銭により管理事務を行うこととする当該修繕積立金等金銭の管理方式をいう。)により当該修繕積立金等金銭を管理するときは、管理組合等がマンションの区分所有者等から当該修繕積立金等を徴収してから一月以内に、このうち修繕積立金を、当該管理組合等を名義人とする修繕積立金を管理するための別の口座に移し換えるときに限り、前項の規定は適用しない。
  6  マンション管理業者は、受託有価証券を管理する場合にあっては、受託有価証券の預り証を保管してはならない。ただし、管理組合に管理者等が置かれていない場合において、管理者等が選任されるまでの比較的短い期間に限り保管する場合は、この限りでない。 」
  と規定される。
  選択肢1は、3項に該当し、収納代行方式である。

2 この方法は、Bに管理者が選任されるまでの比較的短い期間に限られる。

→X 誤。 収納代行方式に限らず、分別管理の方式は、特に管理者が選任されるまでの比較的短い期間に限らない。(選択肢1でのべた、マンション管理適正化法施行規則第87条4項の「ただし書き」との混同を狙っている。)

3 この方法による場合、Aは保証契約を締結しなければならない。

→○ 正。 選択肢1で述べた、マンション管理適正化法施行規則第87条3項「マンション管理業者が保証契約を締結した場合において」により、正しい。

4 この方法による場合、Aは、管理事務に要した費用を控除した残額を、徴収後1月以内にB名義の口座へ移し換えなければならない。

→○ 正。 選択肢1で述べた、マンション管理適正化法施行規則第87条3項「マンション管理業者がマンションの区分所有者等から当該修繕積立金等を徴収してから一月以内に、当該一月以内の期間に管理事務に要した費用を当該修繕積立金等金銭から控除した残額を、管理組合等を名義人とする口座に移し換える」とあり、正しい。

答え:2 

終わり


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最終更新日:
2012年 5月 9日:正解肢をピンク・太字に統一。平成23年7月の標準管理規約の改正を、「問26」〜「問33」に入。
2011年11月28日:問35を追記。
2011年 2月15日:再チェック
2011年 1月15日:ちょろちょろと。
2010年11月 3日:問50に規則87条の改正を追記。
2010年1月30日:問34補説
2009年3月15日

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