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平成22年 マンション管理士 試験問題 及び 解説

ページ2(問26より問50まで)

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  謝辞:問題文の作成には、松本さまの協力を得ています。

ご質問は、 「マンション管理士 香川事務所」へ。


*注: マンション標準管理規約(単棟型、団地型、複合用途型)は、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。

また、マンションの管理の適正化に関する指針も、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。

※ 出題当時以後の法令等の改正には、一部は対応していません。

解説者からのコメント:あやふやな出題、適切でない出題もあって、解答ができないのもあります。

※  マンション標準管理規約は、平成16年に改正があった。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。
   マンション標準管理委託契約書は、平成15年に改正があった。また、平成22年5月にも改正があった。

問26

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

〔問 26〕大規模修繕工事を行う予定の管理組合から相談を受けたマンション管理士が、3年後の大規模修繕工事の実施に向けて説明した次の内容のうち、標準管理規約の規定によれば、適切なものはどれか。


 注)マンション標準管理規約は、平成23年7月に役員資格や議決権など小幅な改正があったので、注意のこと。ここは、旧のまま。


1 大規模修繕工事の実施に当たっては、修繕委員会を設置し、専門家の参加を求めて特定の課題を調査検討させ、その結果を総会に具申させるという方法をとることができます。

X 適切でない。 前半の「修繕委員会を設置し、専門家の参加を求めて特定の課題を調査検討」は、標準管理規約第55条
 「(専門委員会の設置)
 第55条 理事会は、その責任と権限の範囲内において、専門委員会を設置し、特定の課題を調査又は検討させることができる。
   2 専門委員会は、調査又は検討した結果を
理事会に具申する。」とあり、
 1項により可能ですが、結果の具申は、2項によると、総会ではなく、理事会にします。専門委員会が直接、総会に報告した方が良い場合も想定されますが、標準管理規約では
専門委員会を設置したのは、理事会ですから、まず、理事会に具申すると規定したようです。


2 大規模修繕工事に要する費用については、修繕積立金では不足することから、必要な範囲の借入金で賄うことになりますが、その場合は、組合員総数及び議権総数のそれぞれ3/4以上の総会の決議が必要となります。

X 適切でない。 修繕積立金が充分な管理組合では不足しない場合もあるでしょうが、管理組合が借り入れをするのに、理事会で勝手にやられては困ります。そこで、標準管理規約第48条
 「(議決事項)
 第48条 次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければならない。
  一 収支決算及び事業報告
  二 収支予算及び事業計画
  三 管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法
  四 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止
  五 長期修繕計画の作成又は変更
  
六 第28条 第1項(注:修繕積立金の範囲)に定める特別の管理の実施並びにそれに充てるための資金の借入れ及び修繕積立金の取崩し
  七 第28条 第2項に定める建物の建替えに係る計画又は設計等の経費のための修繕積立金の取崩し
  八 修繕積立金の保管及び運用方法
  九 第21条 第2項に定める管理の実施
  十 区分所有法第57条 第2項及び前条 第3項第三号の訴えの提起並びにこれらの訴えを提起すべき者の選任
  十一 建物の一部が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
  十二 区分所有法第62条 第1項の場合の建替え
  十三 役員の選任及び解任並びに役員活動費の額及び支払方法
  十四 組合管理部分に関する管理委託契約の締結
  十五 その他管理組合の業務に関する重要事項」とあり、6号により総会決議が必要ですが、
 その決議は、標準管理規約第47条
 「(総会の会議及び議事)
  第47条 総会の会議は、前条 第1項に定める議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならない。
   
2 総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する
   3 次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前項にかかわらず、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する。
     一 規約の制定、変更又は廃止
     二 敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)
     三 区分所有法第58条 第1項、第59条 第1項又は第60条 第1項の訴えの提起
     四 建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
     五 その他総会において本項の方法により決議することとした事項
   4 建替え決議は、第2項にかかわらず、組合員総数の5分の4以上及び議決権総数の5分の4以上で行う。(以下略)」とあり、
 2項に該当するため、出席組合員の議決権の過半数で可能です。組合員総数及び議権総数のそれぞれ3/4以上の総会の決議まではいりません


3 大規模修繕工事において、共用部分の配管と構造上一体となった専有部分の配管の取替えが必要となった場合の専有部分に係る費用については、各区分所有者が実費に応じて負担することとなります。

○ 適切である。 共用部分の配管と構造上一体となった専有部分の配管の取替えが必要となった場合は、標準管理規約第21条
 「(敷地及び共用部分等の管理)
  第21条 敷地及び共用部分等の管理については、管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとする。ただし、バルコニー等の管理のうち、通常の使用に伴うものについては、専用使用権を有する者がその責任と負担においてこれを行わなければならない。
  
2 専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分の管理を共用部分の管理と一体として行う必要があるときは、管理組合がこれを行うことができる。」により、
 2項で管理組合が行えますが、その費用の負担は、同21条関係のコメントがあります。
 それによると、「第21条 関係
 ①駐車場の管理は、管理組合がその責任と負担で行う。
 ②バルコニー等の管理のうち、管理組合がその責任と負担において行わなければならないのは、計画修繕等である。
 ③本条 ただし書の「通常の使用に伴う」管理とは、バルコニーの清掃や窓ガラスが割れた時の入れ替え等である。
 ④第2項の対象となる設備としては、配管、配線等がある。
 ⑤配管の清掃等に要する費用については、第27条 第三号の「共用設備の保守維持費」として管理費を充当することが可能であるが、
配管の取替え等に要する費用のうち専有部分に係るものについては、各区分所有者が実費に応じて負担すべきものである。」の
 ⑤では、「配管の取替え等に要する費用のうち専有部分に係るものについては、各区分所有者が実費に応じて負担すべきものである。」とあります。
 適切です。(任意に設定できる管理規約のしかも、コメントからの出題は、適切でないと考えますが。)


4 大規模修繕工事に際し、専有部分への必要な範囲内での立入りが避けられない場合がありますが立入りをした箇所の原状復旧については、各区分所有者に行っていただきます。

X 適切でない。 工事内容により、専有部分への必要な範囲内での立入りは、認められています。それは、標準管理規約第23条
 「(必要箇所への立入り)
 第23条 前2条 により管理を行う者は、管理を行うために必要な範囲内において、他の者が管理する専有部分又は専用使用部分への立入りを請求することができる。
  2 前項により立入りを請求された者は、正当な理由がなければこれを拒否してはならない。
  3 前項の場合において、正当な理由なく立入りを拒否した者は、その結果生じた損害を賠償しなければならない。
 
 4 立入りをした者は、速やかに立入りをした箇所を原状に復さなければならない。」です。
 立入りをして、損害等が発生したら、当然に加害者が責任をもって原状回復をします。それが、4項です。立入りをした者が原状回復します。各区分所有者ではありません。

答え:3  (標準管理規約の、この辺りの出題は、基本です。)

問27

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

〔問 27〕管理組合の運営等に係る各種書類の作成、保管等に関する次の記述のうち、標準管理規約の規定によれば、適切なものはどれか。


 注)マンション標準管理規約は、平成23年7月に役員資格や議決権など小幅な改正があったので、注意のこと。ここは、旧のまま。


1 組合員から組合員総数及び議決権総数の1/5以上に当たる組合員の同意を得て、会議の目的を示して招集された臨時総会の議事録は、その総会で、役員以外の組合員から選任された議長が、議事録を作成し、保管することになる。

X 適切でない。 設問が込み入っている。
  まず、組合員総数及び議決権総数の1/5以上に当たる組合員の同意を得て、会議の目的を示して招集された臨時総会は可能です。
  これは、標準管理規約第44条
 「(組合員の総会招集権)
  第44条 組合員が組合員総数の5分の1以上及び第46条 第1項に定める議決権総数の5分の1以上に当たる組合員の同意を得て、会議の目的を示して総会の招集を請求した場合には、理事長は、2週間以内にその請求があった日から4週間以内の日(会議の目的が建替え決議であるときは、2か月と2週間以内の日)を会日とする臨時総会の招集の通知を発しなければならない。
   2 理事長が前項の通知を発しない場合には、前項の請求をした組合員は、臨時総会を招集することができる。

    〔※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定〕

  (ア)電磁的方法が利用可能ではない場合
    3 前2項により招集された臨時総会においては、第42条 第5項にかかわらず、
議長は、総会に出席した組合員(書面又は代理人によって議決権を行使する者を含む。)の議決権の過半数をもって、組合員の中から選任する。

  (イ)電磁的方法が利用可能な場合
    3 前2項により招集された臨時総会においては、第42条 第5項にかかわらず、議長は、総会に出席した組合員(書面、電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって次項に定めるものをいう。以下同じ。)又は代理人によって議決権を行使する者を含む。)の議決権の過半数をもって、組合員の中から選任する。
    4 前項の電磁的方法は、次に掲げる方法によるものとする。
     一 送信者の使用に係る電子計算機と受信者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用する方法であって、当該電気通信回線を通じて情報が送信され、受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該情報が記録されるもの
     二 磁気ディスクその他これに準ずる方法により一定の情報を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイルに情報を記録したもの(以下「電磁的記録」という。)を交付する方法」とあります。
 この場合の議長は、「組合員の中から選任」とありますから、組合員である「役員」が出席していれば、「役員」である理事長が選任されることも可能です。必ずしも、「役員以外」の組合員が議長になるとは限りません。
 次に、議事録の作成・保管は標準管理規約第49条
 「(議事録の作成、保管等)  (注:電磁的方法が利用可能ではない場合)
  第49条 総会の議事については、議長は、議事録を作成しなければならない。
   2 議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、議長及び議長の指名する2名の総会に出席した組合員がこれに署名押印しなければならない。
   3 
理事長は、議事録を保管し、組合員又は利害関係人の書面による請求があったときは、議事録の閲覧をさせなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
   4 理事長は、所定の掲示場所に、議事録の保管場所を掲示しなければならない。」とあります。
 1項により、議事録の作成義務は、通常総会でも、臨時総会でも、その総会の議長にありますが、作成された議事録の保管は、3項により、「理事長」にあります。議長ではありません。(注:電磁的方法が利用可能な場合には、該当の項が変わりますが、そこは勉強しておいてください。)


2 理事会議事録には、議事の経過の要領及び結果を記載し、議長である理事長と、理事会に出席した理事で議長が指名した者1人及び監事1人がそれぞれ署名押印しなければならない。

X 適切でない。 注意して設問を読むこと。「理事会議事録」となっています。
  理事会の会議と議事録については、標準管理規約第53条
 「(理事会の会議及び議事)
 第53条 理事会の会議は、理事の半数以上が出席しなければ開くことができず、その議事は出席理事の過半数で決する。
   (ア)電磁的方法が利用可能ではない場合
  2 
議事録については、第49条(第4項を除く。)の規定を準用する。ただし、第49条 第2項中「総会に出席した組合員」とあるのは「理事会に出席した理事」と読み替えるものとする。」とあり、準用される第49条は、
 「(議事録の作成、保管等) (注:電磁的方法が利用可能ではない場合
 第49条 総会の議事については、議長は、議事録を作成しなければならない。
   2 議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、議長及び議長の指名する2名の総会に出席した組合員がこれに署名押印しなければならない。
   3 理事長は、議事録を保管し、組合員又は利害関係人の書面による請求があったときは、議事録の閲覧をさせなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
   4 理事長は、所定の掲示場所に、議事録の保管場所を掲示しなければならない。」とあり、
 4項は除外され、2項は、「議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、議長及び議長の指名する2名の理事会に出席した理事がこれに署名押印しなければならない。」と読み替えられます。
 すると、議長と(理事長が欠席の場合も考えられますが、それはおいといて)、議長の指名する2名の理事会に出席した理事がこれに署名押印しなければならないであり、設問のように、監事(監事は役員ですが、理事ではありませんから常時理事会に出席していないこともある)の署名・押印ではありません。(現実での、理事会では、出席者の数が少なくて、監事の扱いでもめますが、それも、おいといて。)


3 会計帳簿や什器備品台帳は、会計担当理事がいる場合であっても、理事長が作成し、保管しなければならない。

○ 適切である。 会計帳簿や什器備品台帳の保管は、標準管理規約第64条
 「(帳票類の作成、保管)
  第64条 
理事長は、会計帳簿、什器備品台帳、組合員名簿及びその他の帳票類を作成して保管し、組合員又は利害関係人の理由を付した書面による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。」とあり、理事長の職務です


4 規約が規約原本の内容から総会決議により変更されたときは、当該規約の変更に係る総会の議事録を変更前の規約原本に添付することにより、新たな規約原本とすることができる。

X 適切でない。 設問内容が、曖昧ですが、ここは多分、標準管理規約第第72条3項
 「(規約原本等)第72条 
  3 規約が規約原本の内容から総会決議により変更されているときは、
理事長は、1通の書面に、現に有効な規約の内容と、その内容が規約原本及び規約変更を決議した総会の議事録の内容と相違ないことを記載し、署名押印した上で、この書面を保管する。」とのからみをきいているのでしょう。
 単に変更前の規約原本に変更の総会の議事録を添付では、ダメということでしょう。
 理事長が別の1通の書面に、現に有効な規約の内容と、その内容が規約原本及び規約変更を決議した総会の議事録の内容と相違ないことを記載し、署名押印することも必要ということですか。ここは、平成22年 管理業務主任者試験 「問31」 選択肢2 とも絡みます。

答え:3  (解説に時間のかかる出題だった!)

問28
*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

〔問 28〕組合員ではないA~Dが、事前の連絡もなく総会会場へ来て、総会への出席を求めてきた場合において、出席を認めなければならないものは、標準管理規約の規定によれば、次のうちどれか。ただし、A~Dは、理事会において総会に出席する必要があると認められた者ではないものとし、総会の招集手続きに瑕疵はないものとする。

 注)マンション標準管理規約は、平成23年7月に役員資格や議決権など小幅な改正があったので、注意のこと。ここは、46条5項が該当している。
     また、46条5項は、平成28年3月の改正にも該当しているので、注意のこと。


1 組合員甲の代理人として、隣室の組合員の同居人Dが、甲からの委任状を理事長に提出して出席を求めてきた場合

○ 出席を認める。 まず、民法の代理人の資格には制限がない(民法第102条)のに、標準管理規約では制限があることが、出題の基礎にあることに注意してください。そこで、ただし書きが多くなっています。例え弁護士であって、正規の委任状を持っていても、総会に出席できない場合もあるのです。
  似たような出題は、平成21年 管理業務主任者試験 「問35」 です。 平成21年 マンション管理士試験 「問25」 や、平成22年 管理業務主任者試験 「問30」
   とりあえず、総会に出席できるのは、標準管理規約第45条
 「(出席資格)
  第45条 組合員のほか、理事会が必要と認めた者は、総会に出席することができる。
   2 区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的につき利害関係を有する場合には、総会に出席して意見を述べることができる。この場合において、総会に出席して意見を述べようとする者は、あらかじめ理事長にその旨を通知しなければならない。」とあり、ここで、総会に出席出来るのは、組合員(区分所有者)以外では、
  
1.理事会が必要と認めた人
  2.総会の目的に利害関係をもつ正当な賃借人
 となります。
 そして、総会での、議決権行使者も総会に出席できますから、標準管理規約第46条
 「(議決権)
  第46条 各組合員の議決権の割合は、別表第5に掲げるとおりとする。
   2 住戸1戸が数人の共有に属する場合、その議決権行使については、これら共有者をあわせて一の組合員とみなす。
   3 前項により一の組合員とみなされる者は、議決権を行使する者1名を選任し、その者の氏名をあらかじめ総会開会までに理事長に届け出なければならない。
   4 組合員は、書面又は代理人によって議決権を行使することができる。
  
 5 組合員が代理人により議決権を行使しようとする場合において、その代理人は、その組合員と同居する者若しくはその組合員の住戸を借り受けた者、又は他の組合員若しくはその組合員と同居する者でなければならない。(注:平成23年の標準管理規約の改正で、この5項は削除された。)
   6 代理人は、代理権を証する書面を理事長に提出しなければならない。(以下略)」とあります。
  問題は、5項によって、代理での議決権行使者を限定したことです。
  5項によりますと、本人(組合員)以外の代理での議決権行使者は、
   
1.その区分所有者と同居する人
   2.その区分所有者の部屋を借りている人(賃借人)
   3.他の区分所有者
   4.他の区分所有者と同居している人
 です。
 標準管理規約では、単に委任状を持ってきても、上記の条件を満たさないと、例え、弁護士であっても、出席できないという、地元の自治活動を優先した発想があるようです。
 これを踏まえ、設問の人は、標準管理規約第46条5項の「他の区分所有者と同居している人」に該当しますから、総会に出席できます。 
 


2 管理費の増額を議案とする総会において、当該増額により賃借料の値上げを、余儀なくされるとする専有部分の賃借人Bが、意見を述べたいとして出席を求めてきた場合

X 出席できない。 管理費の増額は、賃料の値上げにもつながる可能性があるため、選択肢1で説明しました、標準管理規約第45条2項の「総会の目的に利害関係をもつ正当な賃借人に該当する」との考えもできますが、これは、区分所有法第44条(占有者の意見陳述権)との関係においても、「利害関係」には、建物の使用方法を変更する規約の改正など「直接的な影響を受ける場合」が該当し、管理費の値上げや修繕積立金の値上げなど、「間接的な影響」は該当しないと、考えられています。管理費の増額を議案とする総会に、賃借人は、出席できません。


3 組合員から、総会での発言と議決権の行使を依頼された近隣に居住する弁護士Cが、委任状を理事長に示して、代理人として出席を求めてきた場合

X 出席できない。 これも、選択肢1で述べたように、例え委任状を持つ弁護士であっても、近隣に住んでいては、出席できません。総会は訴訟とは違いますから、弁護士資格も無関係です。(注:ここも、平成23年の標準管理規約の改正で、46条5項が削除されたので、「出席できる」になる。)


4 区分所有者ではなくなったにもかかわらずその旨の届け出を出していないAが届出を出していない以上出席資格があるとして出席を求めてきた場合

X 出席できない。 まず、総会に出席できるのは、選択肢1で述べましたように標準管理規約第45条1項により、組合員であることが条件です。そこで、組合員とは、標準管理規約第30条
 「(組合員の資格)
  第30条 
組合員の資格は、区分所有者となったときに取得し、区分所有者でなくなったときに喪失する。」とあり、
 区分所有者でなくなれば、組合員の資格を失いますから、もう総会への出席はできません。
 でも、これは、理論上の回答で、区分所有者でなくなったとの届け出がなく、依然として、引っ越しもしないでそのマンションに住んでいれば、どうやって出席を拒否しますか?
 なお、届出の義務は、標準管理規約第31条
 「(届出義務)
  第31条 新たに組合員の資格を取得し又は喪失した者は、直ちにその旨を書面により管理組合に届け出なければならない。」とあります



答え:1  (ここは、易しい。)

問29

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

〔問 29〕管理組合の役員の選任に関する次の記述のうち、標準管理規約の規定によれば、適切なものはどれか。


 注)マンション標準管理規約は、平成23年7月に役員資格や議決権など小幅な改正があったので、注意のこと。ここは、旧のまま。


1 30階建てマンションの役員の選任について、役員選任細則で「1階から10階、11階から20階、21階から30階の三層ごとの組合員から、それぞれ推薦により選出された役員候補を総会で選任する。」と定めることができる。

○ 適切である。 役員の資格や選任については、標準管理規約第35条
 「(役員)
  第35条 管理組合に次の役員を置く。
     一 理事長
     二 副理事長○名
     三 会計担当理事○名
     四 理事(理事長、副理事長、会計担当理事を含む。以下同じ。)○名
     五 監事○名
   
2 理事及び監事は、○○マンションに現に居住する組合員のうちから、総会で選任する(注:この2項は、平成23年の標準管理規約の改正で、「○○マンションに現に居住する」の条件がなくなったので、注意のこと。)
   3 理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事の互選により選任する。」とあります。
  そして、役員の選任方法などについては、マンションごとに組合員数や形態が異なることもあるため標準管理規約とは別途に細則を設けることもできると解されています。
 設問は、最後には、総会で選任するとあり、適切です。

  また、標準管理規約70条
  「(細則)
  第70条 総会及び理事会の運営、会計処理、管理組合への届出事項等については、別に細則を定めることができる。」
    コメント 第70条 関係
  細則は他に、役員選出方法、管理事務の委託業者の選定方法、文書保存等に関するものが考えられる。」もあります。


2 役員が任期中に欠けた場合には、理事会が決定した補欠役員候補者について賛否を問う回覧板を回し、反対者がいても組合員数の過半数の賛成があれば補欠の役員とすることができる。

X 適切でない。 これは、選択肢1で引用しました、標準管理規約第35条2項
 「2 理事及び監事は、○○マンションに現に居住する組合員のうちから、
総会で選任する。」の規定に反しています。 補欠に係らず役員の選任は、総会で決めます。
 また、回覧版を標準管理規約第50条
 「(書面による決議)
  第50条 規約により総会において決議をすべき場合において、組合員全員の承諾があるときは、書面による決議をすることができる。
   2 規約により総会において決議すべきものとされた事項については、組合員全員の書面による合意があったときは、書面による決議があったものとみなす。
   3 規約により総会において決議すべきものとされた事項についての書面による決議は、総会の決議と同一の効力を有する。
   4 前条 第3項及び第4項の規定は、書面による決議に係る書面について準用する。
   5 総会に関する規定は、書面による決議について準用する。」で定める「書面決議」として扱うことができるかの問題がありますが、この設問では、回覧板で「組合員全員の承諾」や「組合員全員の書面による合意」が明らかでありませんから、適切とは言えません。



3 総会では、その合計人数に相当する役員を、役員の職務を決めずに選任し、その役員の互選により理事長、会計担当理事、理事及び監事を決定することができる。

X 適切でない。 選択肢1で引用しました標準管理規約第35条3項により
 「3 理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事の互選により選任する。」とありますから、互選により理事長、会計担当理事、理事までは正しい。しかし、監事は、互選が出来ません。監事は単独に総会で決めます。標準管理規約第35条2項)



4 総会で、定員より多い役員候補者を被選挙人として、各組合員一票の選挙を行い、得票数の多い者から順に定員に達するまで、比較多数を得た者を役員として選任することができる。

X 適切でない? この文章では、やり方が分からなく、出題の意図がつかめない。多分、ここ「問29」では、「総会の選任=出席組合員の議決権の過半数」がキーワードで、比較多数では、総会での選任ではないので、適切でないとするようだ。


答え:1 (設問が不適切過ぎます。もっと、明確に出題しなければ、解説が難しい。)

問30

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

〔問 30〕分譲後20年以上経過した甲マンションでは、高齢化等により利用者が少なくなったこともあり、老朽化した機械式立体駐車場を撤去しそこに平面駐車場を設ける計画がある。この場合の問題点に関するマンション管理士の理事会における次の発言のうち標準管理規約の規定によれば、適切でないものはどれか。ただし、機械式立体駐車場は敷地上にあり、組合員の共有に属するものとする。


 注)マンション標準管理規約は、平成23年7月に役員資格や議決権など小幅な改正があったので、注意のこと。ここは、旧のまま。


1 駐車場としては同じですが、機械式立体駐車場から平面駐車場への変更については、大規模で著しい加工を伴いますので、総会で組合員総数及び議決権総数の各3/4以上の決議が必要です。

○ 適切である。 何が、普通決議(出席組合員の議決権の過半数)で可能で、何が特別決議(組合員総数及び議決権総数の各3/4以上)を必要とするかの区分けは、共用部分の変更でも「その形状又は効用の著しい変更」の判断を巡って困難な場合もありますが、標準管理規約第47条
 「(総会の会議及び議事)
  第47条 総会の会議は、前条 第1項に定める議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならない。
   2 総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。
   3 次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前項にかかわらず、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する。
     一 規約の制定、変更又は廃止
     
二 敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)
     三 区分所有法第58条 第1項、第59条 第1項又は第60条 第1項の訴えの提起
     四 建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
     五 その他総会において本項の方法により決議することとした事項
   4 建替え決議は、第2項にかかわらず、組合員総数の5分の4以上及び議決権総数の5分の4以上で行う。(以下略)」とあります。
 設問での、「機械式立体駐車場から平面駐車場への変更」は確かに「大規模で著しい加工を伴います」から、ここは、3項の2号に該当し、総会で組合員総数及び議決権総数の各3/4以上の決議が必要です。


2 機械式立体駐車場使用料は駐車場会計として独立した会計処理が行われていましたが、平面駐車場使用料については、その管理に要する費用に充てて残額は、修繕積立金として積み立てることにします。

○ 適切である。 通常、機械式立体駐車場は、平面(平置きともいいます)駐車場に比べて、その維持・管理費用がかさ張るため、独立した会計処理をすることもありますから、前半の「独立した会計処理が行われていました」は、適切でしょう。
 また、駐車場の使用料の会計処理は、標準管理規約第29条
 「(使用料)
  第29条 駐車場使用料その他の敷地及び共用部分等に係る使用料(以下「使用料」という。)は、それらの管理に要する費用に充てるほか、修繕積立金として積み立てる。」とありますから、適切です。


3 機械式立体駐車場利用細則を廃止するとともに、平面駐車場の管理方法、使用料等に関する平面駐車場利用細則を制定する場合には、それぞれ総会の決議によることとなります。

○ 適切である。 設問を全部まとめて、利用(使用)細則を制定するのも、廃止するのも、標準管理規約第48条
 「(議決事項)
  第48条 次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければならない。
    一 収支決算及び事業報告
    二 収支予算及び事業計画
    三 管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法
    
四 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止
    五 長期修繕計画の作成又は変更
    六 第28条 第1項に定める特別の管理の実施並びにそれに充てるための資金の借入れ及び修繕積立金の取崩し
    七 第28条 第2項に定める建物の建替えに係る計画又は設計等の経費のための修繕積立金の取崩し
    八 修繕積立金の保管及び運用方法
    九 第21条 第2項に定める管理の実施
    十 区分所有法第57条 第2項及び前条 第3項第三号の訴えの提起並びにこれらの訴えを提起すべき者の選任
    十一 建物の一部が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
    十二 区分所有法第62条 第1項の場合の建替え
    十三 役員の選任及び解任並びに役員活動費の額及び支払方法
    十四 組合管理部分に関する管理委託契約の締結
    十五 その他管理組合の業務に関する重要事項」の4号に該当していますから、
  それぞれ総会にかけます。理事会だけでは、きめられません。



4 機械式立体駐車場から平面駐車場への変更については、専門家を加えた専門委員会を設置し検討することとし、同委員会の運営細則を理事会で制定すべきです。

X 適切でない。 前半の「専門委員会を設置」は、標準管理規約第55条
 「(専門委員会の設置)
  第55条 理事会は、その責任と権限の範囲内において、専門委員会を設置し、特定の課題を調査又は検討させることができる。
   2 専門委員会は、調査又は検討した結果を理事会に具申する。」の1項により、
 理事会で可能ですが、専門委員会の内容や、また運営細則の制定が必要な場合には、総会の決議を必要とします。それは、同条のコメント
  「第55条 関係
  ①専門委員会の検討対象が理事会の責任と権限を越える事項である場合や、理事会活動に認められている経費以上の費用が専門委員会の検討に必要となる場合、
運営細則の制定が必要な場合等は、専門委員会の設置に総会の決議が必要となる
  ②専門委員会は、検討対象に関心が強い組合員を中心に構成されるものである。必要に応じ検討対象に関する専門的知識を有する者(組合員以外も含む。)の参加を求めることもできる。」です。


答え:4  (選択肢4は、「問26」の選択肢1 とも絡んでいる。)

問31

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

〔問 31〕理事長がその職務を行うに当たって、理事会の決議を経て行わなければならないものは、標準管理規約の規定によれば、次のうちどれか。


 注)マンション標準管理規約は、平成23年7月に役員資格や議決権など小幅な改正があったので、注意のこと。ここは、旧のまま。


1 組合員が理事長に対し、組合員総数及び議決権総数の1/5以上に当たる組合員の同意を得て、監事の解任を目的とする総会の招集を請求した場合において、総会招集通知を発すること。

理事会の決議は不要である。 理事長が単独でできるもの、理事会にかけなければならないものを聞いている。
  この規定は、標準管理規約第44条
 「(組合員の総会招集権)
  第44条 組合員が組合員総数の5分の1以上及び第46条 第1項に定める議決権総数の5分の1以上に当たる組合員の同意を得て、会議の目的を示して総会の招集を請求した場合には、
理事長は、2週間以内にその請求があった日から4週間以内の日(会議の目的が建替え決議であるときは、2か月と2週間以内の日)を会日とする臨時総会の招集の通知を発しなければならない
   2 理事長が前項の通知を発しない場合には、前項の請求をした組合員は、臨時総会を招集することができる。(以下略)」により、理事長が単独でできます。



2 第三者である運転者の過失による自動車事故により、マンションの外壁に損害が生じた場合において、原状回復のための必要な措置の請求に関し、当該運転者に対して訴訟その他法的措置をとること。

理事会の決議を要する。 第三者の不法行為に対して法的措置をとる場合は、標準管理規約第67条
 「(理事長の勧告及び指示等)
  第67条 区分所有者若しくはその同居人又は専有部分の貸与を受けた者若しくはその同居人(以下「区分所有者等」という。)が、法令、規約又は使用細則等に違反したとき、又は対象物件内における共同生活の秩序を乱す行為を行ったときは、
理事長は、理事会の決議を経てその区分所有者等に対し、その是正等のため必要な勧告又は指示若しくは警告を行うことができる。
   2 区分所有者は、その同居人又はその所有する専有部分の貸与を受けた者若しくはその同居人が前項の行為を行った場合には、その是正等のため必要な措置を講じなければならない。
   3 区分所有者等がこの規約若しくは使用細則等に違反したとき、又は区分所有者等若しくは
区分所有者等以外の第三者が敷地及び共用部分等において不法行為を行ったときは、理事長は、理事会の決議を経て、次の措置を講ずることができる。
     一 行為の差止め、排除又は原状回復のための必要な措置の請求に関し、管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行すること
     二 敷地及び共用部分等について生じた損害賠償金又は不当利得による返還金の請求又は受領に関し、区分所有者のために、訴訟において原告又は被告となること、その他法的措置をとること
   4 前項の訴えを提起する場合、理事長は、請求の相手方に対し、違約金としての弁護士費用及び差止め等の諸費用を請求することができる。
   5 前項に基づき請求した弁護士費用及び差止め等の諸費用に相当する収納金は、第27条に定める費用に充当する。
   6 理事長は、第3項の規定に基づき、区分所有者のために、原告又は被告となったときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならない。この場合には、第43条 第2項及び第3項の規定を準用する。」とあり、
 理事長は、理事会にかける必要があります。理事長は単独ではできません。(なお、私は、この標準管理規約67条3項の規定は、「規約」が曖昧であるので、改訂を、国土交通省へ要求しています。)



3 落雷により共用部分である電気設備について生じた損害について、管理組合が締結していた損害保険契約に基づき保険金額を請求し、受領すること。

理事会の決議は不要である。 損害保険契約に基づき保険金額を請求し、受領することは、標準管理規約第24条
 「(損害保険)
  第24条 区分所有者は、共用部分等に関し、管理組合が火災保険その他の損害保険の契約を締結することを承認する。
   2 
理事長は、前項の契約に基づく保険金額の請求及び受領について、区分所有者を代理する。」とあり、
 2項により、理事長は代理行為として、単独でできます。なお、どうして、共用部分の損害保険でこのような、別の規定があるのかは、勉強してください。)


4 専有部分の賃借人から、理由を付した書面により組合員名簿の閲覧請求があった場合において、請求された書面を閲覧に供すること。

理事会の決議は不要である。 組合員名簿の閲覧請求は、標準管理規約第64条
 「(帳票類の作成、保管)
  第64条 
理事長は、会計帳簿、什器備品台帳、組合員名簿及びその他の帳票類を作成して保管し、組合員又は利害関係人の理由を付した書面による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。」とあり、
 理事長は単独でできます。なお、利害関係人に、専有部分の賃借人が含まれるかという点ですが、標準管理規約第64条で規定される帳票類は、規約や総会議事録(標準管理規約第49条参照)の閲覧とは異なり、閲覧理由の内容に応じて判断する余地があります。


答え:2  (広く、標準管理規約を知らないと、迷う?)

問32

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

〔問 32〕施設担当の理事が、大規模修繕工事を行うため建物の事前調査を実施していたところある専有部分に面するバルコニーにおいて、避難ハッチを塞ぐようなかたちで大型物置が設置されているのを見つけた。それに対する管理組合の対応を協議するための理事会におけるマンション管理士の次の発言のうち、標準管理規約の規定によれば、適切でないものはどれか。


 注)マンション標準管理規約は、平成23年7月に役員資格や議決権など小幅な改正があったので、注意のこと。ここは、旧のまま。


1 使用細則には「バルコ二一に大型の物件等を設置してはならない。」という明文の規定がありませんが、大型物置の撤去を請求することができます。

○ 適切である。 標準管理規約は公表されているので、私は知っていますが、当該マンションの使用細則は公表されていないので、「使用細則には「バルコ二一に大型の物件等を設置してはならない。」という明文の規定」の有無までは、確認できませんが、通常、バルコニーなど共用部分は、区分所有法第13条
 「(共用部分の使用)
  第十三条  各共有者は、
共用部分をその用方に従つて使用することができる。」の規定により、階段は階段として、廊下は廊下として使用します。
 そこで、バルコニーの使用方法ですが、バルコニーは、通常、災害時においては、隣戸へ避難できるように隔て板があったり、他の階への避難ハッチが設置されていることがあります。そこで、設問のような避難ハッチを塞ぐようなかたちで大型物置がある場合には、それを撤去させることができます。

具体的な根拠は、共同の利益に反する行為として、標準管理規約66条
 「(義務違反者に対する措置)
  第66条 区分所有者又は占有者が建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、区分所有法第57条から第60条までの規定に基づき必要な措置をとることができる。」とあります。



2 賃貸人である区分所有者に無断で、専有部分の賃借人が大型物置を設置した場合は、賃貸人である区分所有者に対しては責任を問うことはできません。

X 適切でない。 専有部分の賃借人に対しては、標準管理規約第19条
 「(専有部分の貸与)
  第19条 区分所有者は、その専有部分を第三者に貸与する場合には、この規約及び使用細則に定める事項をその第三者に遵守させなければならない。
    2 前項の場合において、区分所有者は、その貸与に係る契約にこの規約及び使用細則に定める事項を遵守する旨の条項を定めるとともに、契約の相手方にこの規約及び使用細則に定める事項を遵守する旨の誓約書を管理組合に提出させなければならない。」により、
 賃貸人である区分所有者も責任を持っています。
 そして、標準管理規約第67条
 「(理事長の勧告及び指示等)
  第67条 区分所有者若しくはその同居人又は専有部分の貸与を受けた者若しくはその同居人(以下「区分所有者等」という。)が、法令、規約又は使用細則等に違反したとき、又は対象物件内における共同生活の秩序を乱す行為を行ったときは、理事長は、理事会の決議を経てその区分所有者等に対し、その是正等のため必要な勧告又は指示若しくは警告を行うことができる。
   
2 区分所有者は、その同居人又はその所有する専有部分の貸与を受けた者若しくはその同居人が前項の行為を行った場合には、その是正等のため必要な措置を講じなければならない。
   3 区分所有者等がこの規約若しくは使用細則等に違反したとき、又は区分所有者等若しくは区分所有者等以外の第三者が敷地及び共用部分等において不法行為を行ったときは、理事長は、理事会の決議を経て、次の措置を講ずることができる。
     一 行為の差止め、排除又は原状回復のための必要な措置の請求に関し、管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行すること
     二 敷地及び共用部分等について生じた損害賠償金又は不当利得による返還金の請求又は受領に関し、区分所有者のために、訴訟において原告又は被告となること、その他法的措置をとること
   4 前項の訴えを提起する場合、理事長は、請求の相手方に対し、違約金としての弁護士費用及び差止め等の諸費用を請求することができる。
   5 前項に基づき請求した弁護士費用及び差止め等の諸費用に相当する収納金は、第27条に定める費用に充当する。
   6 理事長は、第3項の規定に基づき、区分所有者のために、原告又は被告となったときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならない。この場合には、第43条 第2項及び第3項の規定を準用する。」とあり、
 2項により、責任を負っています。賃貸人である区分所有者に対して、責任を問うことができます。


3 大型物置の撤去に関するマンション管理士への相談料については、管理費から支出することができます。

○ 適切である。 ここでは、どんな費用項目が、管理費からでるのか、修繕積立金からでるのかをきいています。
 マンション管理士への相談費用は、標準管理規約第27条
 「(管理費)
  第27条 管理費は、次の各号に掲げる通常の管理に要する経費に充当する。
    一 管理員人件費
    二 公租公課
    三 共用設備の保守維持費及び運転費
    四 備品費、通信費その他の事務費
    五 共用部分等に係る火災保険料その他の損害保険料
    六 経常的な補修費
    七 清掃費、消毒費及びごみ処理費
    八 委託業務費
    
九 専門的知識を有する者の活用に要する費用
    十 地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成に要する費用
    十一 管理組合の運営に要する費用
    十二 その他敷地及び共用部分等の通常の管理に要する費用」とあり、
 9号に該当し、管理費から出します。(ついでに、修繕積立金の費用項目も勉強しておいてください。)



4 大型物置の設置の撤去を求める法的措置を行う場合、それに要する弁護士費用については、違約金として相手方に請求することができます。

○ 適切である?  法的措置(訴訟)において、弁護士費用を含んで良いのかは、現在多くの事例で、争いがある箇所で、毎年、私は、設問として不適切と指摘している部分です。 それは、現状は弁護士費用を勝訴者が敗訴者に請求できるのは不法行為に基づく訴訟に限られているからです。しかも、弁護士費用全額でなく、裁判所が認定した金額ですから、実際に支払った、あるいは支払い約束した金額より、かなり低額になります。 詳細は、平成17年 マンション管理士試験 「問28」 選択肢4
 でも、標準管理規約第67条4項は
 「
4 前項の訴えを提起する場合、理事長は、請求の相手方に対し、違約金としての弁護士費用及び差止め等の諸費用を請求することができる。」としたままです。
 あくまでも標準管理規約だけの世界でなら、適切としますが、この規約は改正が必要です。また、標準管理規約第67条で理事長が規約違反で、理事会の決定だけで法的措置がとれるのも、区分所有法との関係で、無理があります。ここは、平成21年 マンション管理士試験 「問26」、 平成21年 管理業務主任者試験 「問34」イ なども参照。



答え:2  (選択肢4は、これほど出題が続くと、多くのマンション管理士・管理業務主任者は、適切であると信じるので、出題元のマンション管理センターにも責任がある。早く対応しないと、弁護士費用も相手方から全額とれると信じた管理組合に損害を与えた時に、誰が責任を取るのか? 出題元のマンション管理センターは、標準管理規約に規定があると、逃げる状況がもう、眼に浮かびますが。)

問33

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

〔問 33〕住居・店舗併用の単棟型マンショシ(この問いにおいて「複合用途型」という。)及び住居専用のマンションが数棟所在する団地型マンション(この問いにおいて「団地型」という。)に関する次の記述のうち、区分所有法、マンション標準管理規約(複合用途型)及びマンション標準管理規約(団地型)の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、一部共用部分は、ないものとする。


 注)マンション標準管理規約は、平成23年7月に役員資格や議決権など小幅な改正があったので、注意のこと。ここは、旧のまま。


1 団地型において、区分所有法第57条に基づき共同利益背反行為の停止請求の訴訟を提起するとともに訴えを提起すべき区分所有者を選任する場合、停止請求の対象となる者の居住する棟の総会の決議による。

○ 適切である。 設問で、規約での正誤をきく時は、「適切である」とか「適切でない」の用語を使い、法文での正誤は、「正しい」「誤っている」を使用していたはずが、規約での設問で「誤っているもの」とは、統一性がない。
  それは、さておき、標準管理規約にも、①単棟型、②複合用途型 そして、③団地型 の3つが用意されています。これらの詳細は、別途、読んでください。
  そして、区分所有法第57条の規定が、ピンとこないと、解答ができません。
 区分所有法第57条は、共同の利益に反する行為の停止等の請求で、これは、区分所有法第66条でも、団地での条文には、準用がされていません。その理由は、居住者でのトラブルがあれば、その実情は、該当の棟の人達がよく知っているだろうから、その棟の居住者に任せて、団地全体で取り上げないです。そこで、訴訟も、該当の棟に任せています。
 これを受け、標準管理規約(団地型)第72条
 「(議決事項)
  第72条 次の各号に掲げる事項については、
棟総会の決議を経なければならない。
      一 区分所有法で団地関係に準用されていない規定に定める事項に係る規約の制定、変更又は廃止
      
二 区分所有法第57条第2項、第58条第1項、第59条第1項又は第60条 第1項の訴えの提起及びこれらの訴えを提起すべき者の選任
      三 建物の一部が滅失した場合の滅失した棟の共用部分の復旧
      四 建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査の実施及びその経費に充当する場合の各棟修繕積立金の取崩し
      五 区分所有法第62条 第1項の場合の建替え
      六 区分所有法第69条第7項の建物の建替えを団地内の他の建物の建替 えと一括して建替え承認決議に付すこと」とあり、
 2号に該当しています。
 


2 複合用途型において、店舗部分の区分所有者で組織される店舗部会も、住宅部分の区分所有者で組織される住宅部会も、いずれも区分所有法に定める集会である。

X 適切でない。 「区分所有法に定める”集会”である」とは、設問がもう常識からも当たり前を超えた低さで、かえって答えにくい。
  住居と店舗が併用しているマンション(「問2」 でも説明しました、「下駄ばきマンションです)では、住宅の部と店舗の部で、各々の部会があります。
  それは、標準管理規約(複合用途型)第60条
 「(住宅部会及び店舗部会)
  第60条管理組合に、住戸部分の区分所有者で構成する住宅部会及び店舗部分の区分所有者で構成する店舗部会を置く。
   2住宅部会及び店舗部会の組織及び運営については、別に部会運営細則に定めるものとする。」です。
  部会は、区分所有法での
「集会」ではありません。強いて言えば「組織」または「団体」でしょう。


3 団地型において、棟の建物の価格の1/2を超える部分が滅失した場合の滅失した共用部分を復旧する決議は、当該棟の総会において、組合員総数及び議決権総数の各3/4以上で決する。

○ 適切である。 棟の建物が滅失した場合の区分所有法の規定は、第61条です。そこで、建物の価格の1/2以下(小規模滅失)か。1/2超(大規模滅失)かで対応が異なります。(詳細は、私の「超解説 区分所有法」を参照してください。
 これを基本に、標準管理規約(団地型)第73条
 「棟総会の会議及び議事)
  第73条 棟総会の議事は、その棟の区分所有者総数の4分の3以上及び第71条第1項(注:議決権割合を決めている)に定める議決権総数の4分の3以上で決する。
  2 次の各号に掲げる事項に関する棟総会の議事は、前項にかかわらず、議決権総数の半数以上を有する区分所有者が出席する会議において、出席区分所有者の議決権の過半数で決する。
    一 区分所有法第57条 第2項の訴えの提起及び前条 第二号の訴えを提起すべき者の選任
    二 建物の価格の2分の1以下に相当する部分が滅失した場合の滅失した棟の共用部分の復旧
    三 建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査の実施及びその経費に充当する場合の各棟修繕積立金の取崩し
  3 前条第五号の建替え決議及び第六号の団地内の他の建物の建替えと一括して建替え承認決議に付する旨の決議は、第1項にかかわらず、その棟の
区分所有者総数の5分の4以上及び議決権総数の5分の4以上で行う。(以下略)」とあり、
 1項により、その棟の区分所有者総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決することになります。(2項の2号は、1/2以下で「かかわらず」と逆読みですよ。)



4 複合用途型において、店舗部分の利用に関する規約を制定する場合、総会において、組合員総数及び議決権総数の各3/4以上の決議を得なければならない。

○ 適切である。 規約の制定なら、標準管理規約(複合用途型)第51条
 「(総会の会議及び議事)
  第51条 総会の会議は、前条第1項に定める議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならない。
   2 総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。
   3 次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前項にかかわらず、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する。
     
一 規約の制定、変更又は廃止
     二 敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)
     三 区分所有法第58条第1項、第59条第1項又は第60条第1項の訴えの提起
     四 建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
     五 その他総会において本項の方法により決議することとした事項
   4 建替え決議は、第2項にかかわらず、組合員総数の5分の4以上及び議決権総数の5分の4以上で行う。(以下略)」とあり、
 3項1号に該当してます。



答え:2 (団地型と複合用途型が、一緒に出題だ。区分所有法の基本がわかれば、易しい?)

問34

〔問 34〕甲マンション管理組合の平成21年度(平成21年4月1日~平成22年3月31日)の決算を迎えるに当たって、会計担当理事が未払金の内訳を検証したところ、既に工事が終了し、代金も支払済みであるはずのA工事業者に対する修繕工事費、10,000円が未払金残高として残っていることが判明した。会計担当理事が調査したところ、工事完了時に未払金が計上され、平成22年3月にA工事業者に対して現金で支払が行われていたが、支払時の仕訳において相手科目を修繕費としてしまったことが判明した。その場合の平成21年度決算に当たっての修正仕訳として適切なものはどれか。ただし、会計処理は発生主義の原則によるものとする。


 注:会計関係も、必ず2問は出題されますから、過去問題をやっておけば、曖昧な会計処理のルールながら、感じはつかめるでしょう。

*毎年の説明で、過去問題をやってきている人には、分かり切ったことでしょうが、初めての人もいますので、

 ★マンションの会計処理で
発生主義ということの重要性は、

  全ての費用・収益は、その支出・収入に基づいて計上し、その発生した期間
     *収入については、請求権が生じた月、
     *支出については、支出が労役などの提供又は工事などである場合は、その労役などの提供又は工事等が完了した月、物品の購入なら、その物品が納入された月
    に正しく割り当てるように処理すること。

 これにより、管理費や修繕積立金は該当月に徴収することになっているなら、未収入金(滞納)があっても、全額計上されている。

 この辺りが、企業の会計処理を知っている人には、なかなか理解できない個所です。(そこで、出題者は、差をつける意味で、出題するのですが。)

 
  これを踏まえ、各々の仕訳をおっていくと、
 1.工事完了時には、未払金として計上した。つまり、元の仕訳は、

 (借方)  (貸方)
修繕費  10,000円
(費用の発生)
未払金 10,000円
(負債の増加)

 2.ところが、3月には、現金(預金)で支払い、相手勘定を未払金とすべきところを、修繕費とした。その誤った仕訳(A)は、.

(借方) (貸方)
修繕費  10,000円 現金預金  10,000円
 
 で、正しい仕訳(B)は、

(借方) (貸方)
未払金  10,000円 現金預金  10,000円

 3.誤った仕訳(A)は訂正ですから、Aの反対(借方/貸方)仕訳をします。(C)

(借方) (貸方)
現金預金  10,000円 修繕費  10,000円

 4.次に、正しい仕訳(B)と、誤った仕訳の反対(C)を一緒にします。
  
   (借方) (貸方)
未払金  10,000円 現金預金  10,000円
現金    10,000円 修繕費   10,000円

 5.ここで、現金預金は借方/貸方で相殺され、残ったのは、

 (借方)  (貸方)
未払金  10,000円 修繕費  10,000円

 で正解は 4 となります。

答え:4  (今年の会計は、いつもの出題と違ってすごくノーマル。) (借方/貸方をテーブルで表現したから、時間がかかった!)
 なお、会計も毎年出題がありますから、私の「超解説 区分所有法」に会計処理として説明していますので、利用ください。

問35

〔問 35〕甲マンション管理組合の理事会において、会計担当理事が平成21年度(平成21年4月1日~平成22年3月31日)決算の管理費会計の比較貸借対照表について行った次の説明のうち、収支報告書又は貸借対照表に関する説明として適切でないものは、次のうちどれか。ただし、会計処理は発生主義の原則によるものとし、資金の範囲は、現金預金、未収金、未払金、前受金及び前払金とする。
  

1 平成21年度収支報告書の次期繰越収支差額は700,000円であり、当期収支差額は100,000円のプラスでした。

○ 適切である。 会計処理での発生主義の原則の重要性は、前問「問34」を参照のこと。また、資金の範囲という言葉も、重要ですから、記憶しておいてください。
  「貸借対照表」だけでなく、「収支計算書(企業の損益計算書にあたる)」も同時に想定できることが、必要です。平成23年 マンション管理士試験 「問35」 など 似たような出題は多い。
  「貸借対照表」の 正味財産は、[資産 - 負債] で算出されます。通常、正味財産は、収支報告書の次期繰越収支差額に一致します。 そこで、平成20年度も、平成21年度も資金外の取引がないので、平成21年度の正味財産は、700千円で、前年平成20年度は、600千円でしたから、前年に対して、プラス100千円となります。


2 平成21年度収支報告書の管理費収入は予算を下回っていますが、管理費の未収金の増加が前受金の増加より大きかったことが原因です。

X 適切でない。 ここが、発生主義たる箇所です。
  管理費の未収があっても、収支計算書では、管理費収入として全額会計処理されます。未収金は、収支計算書には、表れていませんから、増加しても収支報告書には影響しません。
また、前受金も、収支報告書には影響しません。


3 未収金がいくら増加したかどうかは、収支報告書ではわかりません。

○ 適切である。 選択肢2 で述べたように、未収金は「貸借対照表」でしか分かりません。


4 平成20年度に比較して平成21年度では現金預金が減少していますが、未払金が減少したことは、減少要因の一つです。

○ 適切である。 未払金の減少は、支払ったために、現金預金が減ります。

答え:2  (今年の会計の出題は、本当に素直だ。 ついでながら、過去、平成21年 マンション管理士試験 「問34」 や 同じく 「問35」 を読んでくれると、珍問・奇問の会計処理問題の解説で、資金の範囲など、ズーット、私がいかに苦労したか、分かるでしょう。)

問36

〔問 36〕マンションの建物に関わる法令に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 「住宅の品質確保の促進等に関する法律」においては、既存住宅の性能評価項目の一つとして、建物の劣化の状況を評価した現況検査が含まれる。

○ 正しい。 「住宅の品質確保の促進等に関する法律」2条
 「(定義)
  第二条  この法律において「住宅」とは、人の居住の用に供する家屋又は家屋の部分(人の居住の用以外の用に供する家屋の部分との共用に供する部分を含む。)をいう。
   2  この法律において「新築住宅」とは、新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事の完了の日から起算して一年を経過したものを除く。)をいう。
   
3  この法律において「日本住宅性能表示基準」とは、住宅の性能に関し表示すべき事項及びその表示の方法の基準であって、次条の規定により定められたものをいう
   4  この法律において「住宅購入者等」とは、住宅の購入若しくは住宅の建設工事の注文をし、若しくはしようとする者又は購入され、若しくは建設された住宅に居住をし、若しくはしようとする者をいう。 」とあり、
 3項により、「日本住宅性能表示基準」を国土交通大臣及び内閣総理大臣が定めることになっています(第3条以下)。そして、「日本住宅性能表示基準」に従った、「評価方法基準」があり、それに基づいて評価をすると「住宅性能評価書」(第5条)が交付されます。
 「住宅性能評価書」には、①設計住宅性能評価書 と、②建設住宅性能評価書 があります。 新築住宅が中心(10分野32事項)ですが、既存住宅でも7分野22事項が定められています。
 そして、既存住宅では、「現況検査により認められる劣化等の状況に関すること」が、最終改正 平成18 年国土交通省告示第1129 号に定められています。


2 「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」においては、住宅瑕疵担保責任保険法人の行う業務の一つとして、既存マンションの大規模修繕工事に係る瑕疵に関する保険契約の引受けを定めている。

○ 正しい。 「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」は、平成17年に問題となった、姉歯元一級建築士の構造計算書偽造でマンションの購入者が、売主に瑕疵担保責任を追及しましたが、その売主が倒産してしまい、誰も損害賠償しない事態に対して、新築住宅の売主に、保証金の供託または保険への加入を義務つけました。平成19年5月30日に公布され、平成21年10月1日から施行されました。
 そして、住宅瑕疵担保責任保険法人の行う業務は、同法19条
 「(業務)
  第十九条  保険法 人は、次に掲げる業務を行うものとする。
    一  住宅建設瑕疵担保責任保険契約及び住宅販売瑕疵担保責任保険契約(以下「住宅瑕疵担保責任保険契約」という。)の引受けを行うこと。
    
二  民法第六百三十四条第一項 若しくは第二項 前段又は同法第五百七十条 において準用する同法第五百六十六条第一項 に規定する担保の責任の履行によって生じた住宅の建設工事の請負人若しくは住宅の売主の損害又はこれらの規定に規定する瑕疵若しくは隠れた瑕疵によって生じた住宅の建設工事の注文者若しくは住宅の買主の損害をてん補することを約して保険料を収受する保険契約(住宅瑕疵担保責任保険契約を除く。)の引受けを行うこと。
    三  他の保険法 人が引き受けた住宅瑕疵担保責任保険契約又は前号の保険契約に係る再保険契約の引受けを行うこと。
    四  住宅品質確保法第九十四条第一項 又は第九十五条第一項 に規定する瑕疵又は隠れた瑕疵(以下この条において「特定住宅瑕疵」という。)の発生の防止及び修補技術その他特定住宅瑕疵に関する情報又は資料を収集し、及び提供すること。
    五  特定住宅瑕疵の発生の防止及び修補技術その他特定住宅瑕疵に関する調査研究を行うこと。
    六  前各号の業務に附帯する業務を行うこと。」とあり、
 2号の民法第634条 は、
 「(請負人の担保責任)
  第六百三十四条  仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者は、請負人に対し、相当の期間を定めて、その瑕疵の修補を請求することができる。ただし、瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、この限りでない。
  2  注文者は、瑕疵の修補に代えて、又はその修補とともに、損害賠償の請求をすることができる。この場合においては、第五百三十三条の規定を準用する。」で、
 設問の 「既存マンションの大規模修繕工事に係る瑕疵に関する保険契約の引受け」も業務です。住宅瑕疵担保責任保険法人も、マンション・リホーム瑕疵保険として宣伝しています。

 

3 「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」においては、長期優良住宅建築等計画の認定基準として、建築後の住宅の維持保全の期間を25年以上と定めている。

X 誤っている。 建築後の住宅の維持保全の期間は、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」第6条
 「(認定基準等)
  第六条  所管行政庁は、前条第一項から第三項までの規定による認定の申請があった場合において、当該申請に係る長期優良住宅建築等計画が次に掲げる基準に適合すると認めるときは、その認定をすることができる。
    一  建築をしようとする住宅の構造及び設備が長期使用構造等であること。
    二  建築をしようとする住宅の規模が国土交通省令で定める規模以上であること。
    三  建築をしようとする住宅が良好な景観の形成その他の地域における居住環境の維持及び向上に配慮されたものであること。
    四  前条第一項又は第二項の規定による認定の申請に係る長期優良住宅建築等計画にあっては、次に掲げる基準に適合すること。
      イ 建築後の住宅の維持保全の方法が当該住宅を長期にわたり良好な状態で使用するために誘導すべき国土交通省令で定める基準に適合するものであること。
      
ロ 建築後の住宅の維持保全の期間が三十年以上であること。
      ハ 資金計画が当該住宅の建築及び維持保全を確実に遂行するため適切なものであること。
    五  前条第三項の規定による認定の申請に係る長期優良住宅建築等計画にあっては、次に掲げる基準に適合すること。
      イ 建築後の住宅の維持保全の方法の概要が当該住宅を三十年以上にわたり良好な状態で使用するため適切なものであること。
      ロ 資金計画が当該住宅の建築を確実に遂行するため適切なものであること。
    六  その他基本方針のうち第四条第二項第三号に掲げる事項に照らして適切なものであること。(以下略)」とあり、
 4号ロ により、30年です。25年ではありません。(こんな5年違いの期間まで、知るわけない。)


4 「建築基準法」においては、昇降機で特定行政庁が指定するものの所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者。)は、当該昇降機について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一定の資格を有する者に検査をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならないと定めている。


○ 正しい。 建築基準法第21条は良く出る。ここは、平成19年 マンション管理士試験 「問20」 。
 昇降機の報告は、建築基準法第12条
 「(報告、検査等)
  第十二条  第六条第一項第一号に掲げる建築物その他政令で定める建築物(国、都道府県及び建築主事を置く市町村の建築物を除く。)で特定行政庁が指定するものの所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者。第三項において同じ。)は、当該建築物の敷地、構造及び建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は国土交通大臣が定める資格を有する者にその状況の調査(当該建築物の敷地及び構造についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含み、当該建築物の建築設備についての第三項の検査を除く。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。
   2  国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物(第六条第一項第一号に掲げる建築物その他前項の政令で定める建築物に限る。)の管理者である国、都道府県若しくは市町村の機関の長又はその委任を受けた者(以下この章において「国の機関の長等」という。)は、当該建築物の敷地及び構造について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は同項の資格を有する者に、損傷、腐食その他の劣化の状況の点検をさせなければならない。
   3  
昇降機及び第六条第一項第一号に掲げる建築物その他第一項の政令で定める建築物の昇降機以外の建築設備(国、都道府県及び建築主事を置く市町村の建築物に設けるものを除く。)で特定行政庁が指定するものの所有者は、当該建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は国土交通大臣が定める資格を有する者に検査(当該建築設備についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含む。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。 (以下略)」とあり、
 3項により、正しい。

答え:3 (ここは、新しい法律もからみ、難しい。 選択肢4は、正しいと分かるが、選択肢2 は 迷うところ。 根拠となる法律の該当の条文を探すのに、時間がかかる!)

問37

〔問 37〕マンションの建物(鉄筋コンクリート造)に生じた劣化や不具合の現象とその原因について、適切でないものはどれか。

1 さび汚れは、コンクリートの中性化が原因の一つと考えられる。

○ 適切である。 この辺りの基礎知識は「マンション管理の知識」にある。
  「さび汚れ」とは、コンクリートの表面に鉄のさびがでている状態のことで、鉄筋を保護しているコンクリートが中性化したか、ひび割れを起こし、そこから水がしみ込んで、さびができたと考えられます。


2 ひび割れは、建物の不同沈下が原因の一つと考えられる。 

○ 適切である。 コンクリートのひび割れの原因は、ひび割れの場所により、鉄筋が原因か、伸縮のせいかなど様々な原因が考えられますが、建物の不同沈下も原因になるでしょう。    


3 床のたわみは、コンクリート強度の不足が原因の一つと考えられる。

○ 適正である。 床がたわむ原因も鉄筋の強度不足など、いろいろと原因が考えられますが、コンクリート強度の不足もあるようです。なお、コンクリートの強度は、水/セメント比で決まります。水/セメント比が小さいほど、強度が高くなります。


4 ホップアウトは、コンクリートの乾燥収縮が原因の一つと考えられる。

X 適切でない? ここは、平成20年 管理業務主任者試験 「問26」
  ポップアウトは、コンクリートの表面が、くぼんではがれおちる状態で、この原因としては、コンクリートに含まれた水分が凍結して膨張したり、内部の骨材が膨張する場合が考えられます。(それなら、広い意味では、コンクリートの乾燥・収縮では?)

 

答え:4? 
マンション管理センターの答え:4

問38

〔問 38〕マンションの建物の調査・診断に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 タイルの浮きの調査を行うに当たって、打診調査と赤外線調査を併用し、同一箇所において両者の調査結果を照合した。

○ 適切である。 この辺りの出題は、もう数多い。 平成20年 管理業務主任者試験 「問27」 、 平成18年 マンション管理士試験 「問37」 平成23年 マンション管理士試験 「問36」 など。
  タイルの浮きの調査方法には、ハンマーを使って音の違いを聞く打診調査と非破壊の赤外線カメラを使って温度差を見る調査があります。両方の調査を照合するのは、精度が高まるでしょう。




2 シーリング材の劣化状況の調査に当たって、目視による劣化度の調査のほか必要に応じてシーリング材の一部を切断して試験体を作り、引張り試験を行った。

○ 適切である。 目視により、ひび割れや、剥離・破断を確認し、必要に応じて、シーリング材を切断し、試験場で引っ張り強度、伸びなどの試験を行います。


3 コンクリートの中性化深さの調査に当たって、コア抜きしたコンクリートにフェノールフタレイン溶液を噴霧し、赤色に変化した部分を中性化部分として測定した。 

X 適切でない。 ここは、平成18年 マンション管理士試験 「問37」
  コンクリートの中性化が進むと、鉄筋が腐食しやすくなるので、コンクリートの中性化の調査は重要です。
  調査の方法としては、測定部のコンクリートの一部を円筒状にコア抜きして、そこに、フェノールフタレイン溶液を噴霧します。無色の部分がペーハー(pH)値8.2以下で、アルカリ性が低い部位(中性化している)となります。赤い色の部分ではありません。反応しない白い部分です。

                 
4 外壁塗装の白亜化(チョーキング)の調査に当たって、指先や手のひらで塗装部分に触って付着する塗料の粉の状態で、劣化の程度を判断した。

○ 適切である。 ここは、平成20年 管理業務主任者試験 「問26」
  外壁塗装の表面の劣化現象には、汚れの付着、光沢度の低下、白亜化(チョーキング)などがあります。白亜化は、塗膜の表面が風雨など環境の変化で樹脂の成分などが劣化して白墨(チョーク)のように白い粉状になる物です。対候性劣化の目安になります。なお、エフロレッセンス(白華現象)との違いも、まとめておくこと。


答え:3 (あわてなければ、わかる?)

問39

〔問 39〕マンションの維持管理に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 住宅金融支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資」を利用できる条件として、修繕積立金が1年以上定期的に積み立てられており、管理費や組合費と区分して経理されていること、修繕積立金の滞納割合が10%以下であること等が挙げられている。

○ 適切である。 住宅金融支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資」の出題は新しい。
  この融資の条件として、「管理組合の総会の決議があること、や修繕積立金が、一年以上定期的に積み立てられており、管理費や組合費と区分して経理されていること。また、修繕積立金が適正に保管されており、滞納割合が10%以内であること。」
が入っています。(参考:紛らわしい「マンションすまい・る債」との違い 平成23年 マンション管理士試験 「問39」。) 
 


2 マンション管理適正化法第103条に規定する宅地建物取引業者が交付しなければならないマンションの設計に係る図書には、工事が完了した時点の構造計算書及び構造詳細図が含まれる。

○ 適切である。 これは、マンション管理適正化法第103条
 「(設計図書の交付等)
  第百三条  宅地建物取引業者(宅地建物取引業法 (昭和二十七年法律第百七十六号)第二条第三号 に規定する宅地建物取引業者をいい、同法第七十七条第二項 の規定により宅地建物取引業者とみなされる者(信託業務を兼営する金融機関で政令で定めるもの及び宅地建物取引業法第七十七条第一項 の政令で定める信託会社を含む。)を含む。以下同じ。)は、自ら売主として人の居住の用に供する独立部分がある建物(新たに建設された建物で人の居住の用に供したことがないものに限る。以下同じ。)を分譲した場合においては、国土交通省令で定める期間内に当該建物又はその附属施設の管理を行う管理組合の管理者等が選任されたときは、速やかに、当該管理者等に対し、当該建物又はその附属施設の設計に関する図書で国土交通省令で定めるものを交付しなければならない。
   2  前項に定めるもののほか、宅地建物取引業者は、自ら売主として人の居住の用に供する独立部分がある建物を分譲する場合においては、当該建物の管理が管理組合に円滑に引き継がれるよう努めなければならない。 」とあり、
 1項での「国土交通省令で定めるもの」は、同規則102条
 「(法第百三条第一項 の国土交通省令で定める図書)
  第百二条  法第百三条第一項 の国土交通省令で定める図書は、次の各号に掲げる、工事が完了した時点の同項 の建物及びその附属施設(駐車場、公園、緑地及び広場並びに電気設備及び機械設備を含む。)に係る図書とする。
    一  付近見取図
    二  配置図
    三  仕様書(仕上げ表を含む。)
    四  各階平面図
    五  二面以上の立面図
    六  断面図又は矩計図
    七  基礎伏図
    八  各階床伏図
    九  小屋伏図
    
十  構造詳細図
    十一  構造計算書
」とあり、
 10号、11号に該当しています。

 
3 「長期修繕計画作成ガイドライン」(平成20年6月 国土交通省公表)では長期修繕計画の作成(見直しを含む。)の前提条件として、推定修繕工事は、建物及び設備の機能を新築時と同等水準に維持回復させる修繕工事を対象とし、性能を向上させる改修工事は対象としないこととしている。

X 適切でない。 「長期修繕計画作成ガイドライン」の 
 第2章 長期修繕計画の作成の基本的な考え方 
  第1節 長期修繕計画の作成及び修繕積立金の額の設定の目的等 の 
   2 基本的な考え方 の 
     二 長期修繕計画の作成の前提条件 の 
        ②区分所有者の要望など必要に応じて、
建物及び設備の性能を向上をさせる改修工事を設定する。」 とあり、
  性能の向上も含まれています。


4 「長期修繕計画作成ガイドライン」(平成20年6月 国土交通省公表)では、長期修繕計画の計画期間について、新築マンションの場合は30年以上、既存マンションの場合には25年以上とされており、これは大規模修繕工事が2回行われることが想定されている。

○ 適切である。 これは、平成21年 マンション管理士試験 「問36」選択肢1 と同様。
  「長期修繕計画作成ガイドライン」 第3章 第1節 5 計画期間の設定
  計画期間は、新築マンションの場合は、30年以上とし、既存マンションの場合は、25年以上とします。」とあり、基本的な考え方として、大規模修繕(周期12年程度)が2回含まれる期間 とのことです。


答え:3  (ここは、新しい出題分野の住宅金融支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資」は知らなくても、選択肢3 は分かる?)

問40

〔問 40〕マンションの供給方式に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 センチュリー・ハウジング・システムは、長期間にわたり快適に住み続けられる住宅を提供するための設計・生産・維持管理にわたるトータルシステムの考え方である。

○ 適切である。 ここも、出典は「マンション管理の知識」にある。
   設問のように、センチュリー・ハウジング・システム(CHS)は、旧建設省(国土交通省)が1980年(昭和55年)度から「住機能高度化推進プロジェクト」の一環として進めたもの。住宅が100年間(センチュリー)もつように耐久性の高い住宅を供給して、住まいの資産価値を維持し、良質な住宅ストックの充実を目指している とのこと。(何と高邁なアイデアだ。)


2 スケルトン・インフィル住宅は、建物を躯体と内装・設備に分離して計画する方式で、維持・補修、交換・更新等の容易性が確保されるように配慮されている。

○ 適切である。 スケルトン・インフィル住宅(SI住宅)の、スケルトンとは、建物の躯体部分を指し、インフィルは、内装設備を指します。 躯体は100年持たせ、内装は変更が可能なようにして、住まいのニーズの変化と多様性に応える とのこと。(素晴らしい!)。でもこのSI住宅も、発想はいいのですが、内装を購入者が決めるため、ある程度、建築前に、購入者を決めておかなければならないこと。また、建築基準法での建築確認の時期・消防法など現行の建築関係の法律の規制が厳しくて、アイデア倒れになっています。


3 環境共生住宅は、地域の特性に応じ、エネルギー、資源、廃棄物等の面で適切な配慮がなされるとともに、暖冷房設備を設置しなくても快適に生活できるように工夫された住宅をいう。

X 適切でない。 環境共生住宅は、地球温暖化防止等を目指していますから、前半の「地域の特性に応じ、エネルギー、資源、廃棄物等の面で適切な配慮」をするのは、そうでしょうが、後半の「暖冷房設備を設置しなくても快適に生活できるように工夫された住宅」は、いくらなんでも、現在の日本では無理です。省エネルギー性能の向上や耐久性の高い機器は可能ですね


4 建物のコンバージョンは、既存のオフィスビルを改修してマンションとする等既存建物の利用目的を、別の用途に変えることをいう。

○ 適切である。 コンバージョンとは、「変更・転用」のことです。 都心では、どんどん新しいオフィスビルが建ち、古いオフィスで空きが目立ち、それを居住用のマンションに改修するケースもありますが、これも、建築基準法での居住用に要求される規定の厳しさなど法律の壁と、また費用がかるため、なかなか進みません。(これが、うまくいくと都市が再生される?


答え:3  (ここも、「マンション管理の知識」でなんとなく、読んだ人は、なんとなく、選択肢3 が分かる?

  余談ながら:住宅や設備に対して、設問のような、いいアイデアがあるのですが、法律の規制が厳しくそれらの実現に向けて関係法律の改正の遅さが実現を阻んでいます。

問41

問 41〕平成7年6月に建設省(現国土交通省)が公表した「長寿社会対応住宅設計指針」及び「長寿社会対応住宅設計指針の補足基準」における傾斜路の基準に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 傾斜路は、できる限り1/8以下の勾配とする。

X 適切でない。 「長寿社会対応住宅設計指針」及び「長寿社会対応住宅設計指針の補足基準」からの出題とは、根拠を探すのが、大変。 バリアフリー新法からは、過去も出たが。
  傾斜路の、勾配は、長寿社会対応住宅設計指針 では、
 Ⅱ 指針第3(集合住宅の屋外空間及び共用部分の設計指針)について
   1 アプローチ等
     
・ 傾斜路は、できる限り1/12以下の勾配とし、高低差75㎝毎に 1.5m以上の踊り場を 設ける。 」とあり、
 適切ではありません。1/8(原点から水平に8m進んで1m直角に立ち上がった点までを直線で結んだ直角三角形の斜辺傾き)でなく、1/12以下です。勾配1/12の方が勾配1/8よりは、緩やかということです。
  なお、参考ながら、勾配 1/8以下は、建築基準法施行令第26条
 「(階段に代わる傾斜路)
  第二十六条  階段に代わる傾斜路は、次の各号に定めるところによらなければならない。
   
一  勾配は、八分の一をこえないこと
   二  表面は、粗面とし、又はすべりにくい材料で仕上げること。
  2  前三条の規定(けあげ及び踏面に関する部分を除く。)は、前項の傾斜路に準用する。 」にありました。私は、こちらを憶えていた。


2 傾斜路は、高低差75 cmごとに1.5m以上の踊り場を設ける。
 
○ 適切である。 選択肢1で引用した
   ・ 傾斜路は、できる限り1/12以下の勾配とし、
高低差75㎝毎に 1.5m以上の踊り場を 設ける。 」とあり、適切です。


3 傾斜路の手すりの設置高さは、床面から75 cmを標準とする。

○ 適切である。 長寿社会対応住宅設計指針
  Ⅱ 指針第3(集合住宅の屋外空間及び共用部分の設計指針)について
   4 床の仕上げ・手すり
     ・ 階段及び傾斜路には、少なくとも片側に手すりを設けるとともに、その端部は、で きる限り20㎝以上水平に延ばす。
     ・ 共用廊下には、少なくとも片側に手すりを設ける。
     
・ 手すりの設置高さは、床面から75㎝を標準とし、端部はできる限り壁側又は下側に曲げる。 」に該当します。


4 傾斜路の手すりの端部は、できる限り20cm以上水平に延ばす。
 
○ 適切である。 選択肢3で引用した、
   4 床の仕上げ・手すり
     ・ 階段及び傾斜路には、少なくとも片側に手すりを設けるとともに、
その端部は、できる限り20㎝以上水平に延ばす。」に該当します。

答え:1 (何という、不適切で、知らなくてもいい、枝葉末節的な出題。マンション管理士は、巻尺を持って歩くのか? ここを、正解にできた人は、運がいい? なお、「てすり」の問題は、「問20」にもある。)

問42

〔問 42〕マンションの建物の耐震診断及び耐震改修に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 昭和56年6月より前の耐震基準(この問いにおいて「旧耐震基準」という。)により建設された鉄筋コンクリート造マンションのうち、昭和46年5月より前に建設されたものは、耐震診断及び耐震改修を行う必要性が一層高い。

○ 適切である。 どうして、昭和56年6月かというと、これは、耐震基準の歴史が絡みます。平成22年 管理業務主任者試験 「問40」 も参考に。
   昭和46年(1971年)には、新潟地震と十勝沖地震における被害の反省から、建築基準法施行令が改正され、また、昭和56年(1981年)には、その後の宮城県沖地震(1978年)で多くの建物が全・半壊した被害を踏まえて、施行令が改正されています。震度でいえば、6強から7程度に耐える事です。なお、阪神淡路大震災は平成7年(1995年)に発生しています。 
 そこで、設問のように、昭和46年5月以前の建物は、耐震基準が現在より低いため、耐震診断及び耐震改修を行う必要性が一層高いと言えます。


2 1階部分に広い駐車場やピロティがある旧耐震基準により建設された鉄筋コンクリート造マンションは、構造耐力の向上を図るための耐震壁の増設・補強、柱のじん性(ねばり強さ)の向上を図るための柱の鋼板巻立て等の耐震改修を行う必要性が高い。

○ 適切である。 ここは、もう過去から、お馴染みの設問。
   1階がピロティ形式(建物を柱だけで支え、壁のない階をもつ建物のこと)の建物の多くは、その部分を駐車場や駐輪場として利用しています。また、1階部分が自由に通り抜けできるようになった建築スタイルのことも「ピロティ」といいます。なお、ピロティとはフランス語で「杭(くい)」の意です。
 1階部がピロティになっていると、揺れに弱いため、耐震壁や補強ブレース(ななめの筋交い)、また、柱の鋼板巻立て等の耐震改修で強化する必要性があります。平成22年管理業務主任者試験 「問26」 も参考に。




3 旧耐震基準により建設されたマンションについて、一定の方法による耐震診断がある場合は宅地建物取引業者は、宅地建物取引主任者にその内容を重要事項として購入者等に対して説明させることが必要である。

○ 適切である。  宅地建物取引業者は、マンションの購入者に対して、宅地建物取引主任者をして、重要な内容を説明させること(重要事項説明)が規定されています。
 そして、構造計算書偽装問題を受け、耐震診断がある場合は、平成18年に、宅地建物取引業法宅地建物取引業法第35条第1項第12号の規定に基づく宅地建物取引業法施行規則第16条の4の2が改正され、アスベスト調査とともに、
 「昭和56年5月31日以前に新築の工事に着手した建物について、建築物の耐震改修の促進に関する法律第4条第2項第3号の技術上の指針となるべき事項に基づいて指定確認検査機関、建築士、登録住宅性能評価機関又は地方公共団体が行った耐震診断がある場合は、その内容を説明することとすること」を新たに規定し、重要事項説明として建物の購入者等に対して説明することとなりました。なお、宅地建物取引業者が耐震診断を「自ら行う」ものではありません。平成22年 管理業務主任者試験 「問40」 選択肢3 。



4 耐震改修を行う場合は、建築物の耐震改修の促進に関する法律に基づき耐震改修計画の認定手続きを経た後、建築基準法に基づき建築確認の申請の手続きが必要である。

X適切でない。 ここは、平成20年 管理業務主任者試験 「問28」 、平成20年 管理業務主任者試験 「問22」 や 平成16年 管理業務主任者試験 「問26」 選択肢4 など。
  建築物の耐震改修の促進に関する法律第8条8項
  「8  第一項の申請に係る建築物の耐震改修の計画が建築基準法第六条第一項 の規定による確認又は同法第十八条第二項 の規定による通知を要するものである場合において、所管行政庁が計画の認定をしたときは、
同法第六条第一項 又は第十八条第三項 の規定による確認済証の交付があったものとみなす。この場合において、所管行政庁は、その旨を建築主事に通知するものとする。 」とあり、
 所管行政庁が計画の認定をしたときには、建築基準法第6条の建築確認済証の交付があったものとみなされます、別途に建築確認申請は不要です。


答え:4 (ここは、易しい。)

問43

〔問 43〕マンションの給水設備に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 受水槽から給水管への逆流を防ぐには、流人口の端部からオーバーフロー管の下端(あふれ縁)までの吐水口空間を設ける必要がある。

○ 適切である。 受水槽については、過去問題をやって人には、もう、易しい。平成18年 マンション管理士試験 「問43」 など。
    建築基準法施行令129条2の5、2項2号の規定のとおり。吐水口空間を設けないと、水が逆流します。図を参照してください。


2 水道用硬質塩化ビニル管は、耐衝撃性が高く、住戸内に使用される、さや管ヘッダー方式の給水配管として用いられる。

X 適切でない。 出たか! さや管ヘッダー方式は、平成17年 マンション管理士試験 「問44」  また、平成22年 管理業務主任者試験 「問23」 と 「問24」 があった。
  
まず、さや管とは、日本刀の「さや」と同じ意味で、中身を保護するためにかぶせる筒(つつ)と考えてください。従来工法の給湯機から一本の給湯配管が伸びて、途中で台所や浴室に分岐する工法とは異なり、さや管ヘッダー方式は、ヘッダー(一本の配管と多数の配管を分岐・合流させる装置)を給湯器やパイプシャフト周辺に設け、予めヘッダーから各給水栓までタコ足状に敷設したサヤ管(中に給湯管を通すための管)に、後から樹脂管を通管する工法をいいます。「ヘッダー」で分岐するため、在来工法に比べて、複数の水栓を同時使用したときの流量変動が小さいという特徴があります。
 そこで、設問の水道用硬質塩化ビニル管は衝撃に弱く、高温にも弱いようで、また、曲げにくいので、曲がりの多いさや管ヘッダー方式では、水道用架橋ポリエチレン管や水道用ポリブテン管が使用されているようです。

 水道用ポリブテン管、水道用架橋ポリエチレン管は、耐熱、耐寒、耐食性に優れています。そこで、給水湯配管、主にヘッダー集中配管に使用されます。なお、架橋ポリエチレン管とは、熱可塑性プラスチックとしての鎖状構造ポリエチレンの分子どうしのところどころを結合させ、立体の網目構造にした超高分子量ポリエチレンをいう。従って、架橋反応が終了した時点で、ポリエチレンはあたかも熱硬化性樹脂のような立体網目構造となり、耐熱性、クリープ性能とも向上する、のです。
  


3 ポンプ直送方式の運転制御方法には、ポンプの運転台数を制御する方法と回転数を制御する方法がある。

○ 適切である。 ポンプ直送方式とは、水道本管から引き込んだ水を一度受水槽に貯めて受水槽から給水ポンプを使用して各戸に給水する方式です。 この方式には、ポンプの吐水口側に取り付けた給水管内の圧力や流量を感知してポンプの運転台数を制御する「定速ポンプ方式」と、ポンプの吐水口側の圧力を感知してポンプの回転数の制御をする「変速ポンプ方式」があります。最近のマンションでは「変速ポンプ方式」が採用されているようです。


4 給水器具の最低必要圧力は、一般の給水栓に比べ、ガス給湯器(22~30号)の方が高い。 

○ 適切である。 こんなの知らない。「マンション管理の知識」にあるようだ。
    給水の圧力は、低いと水の流れが弱くなり、強すぎると出過ぎで困ることになります。
   そこで、一般水栓:30kPa(キロ・パスカル)、シャワー:40~160kPa、ガス瞬間式給湯器(22~30号):80kPa とある。でも、給水圧力は、平成21年 マンション管理士試験 「問43」 選択肢3 等でも出ている。パスカルは、そちらを参照してください。

答え:2  (根拠を探すのに、時間がかかるッー。ポンプ直送方式は、図も造ったので、この「問43」の解説だけで、3時間かかった。少し、オーバーかな?)

問44

〔問 44〕マンションの設備計画に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 自然冷媒ヒートポンプ式給湯機は、エネルギー消費効率が高く貯湯タンクも必要としないので、省スペースが図れる。

X 適切でない。  ここは、平成18年 マンション管理士試験 「問45」。
  自然冷媒ヒートポンプ式給湯機は、空気の熱を熱交換器で冷媒に集めて、その冷媒を圧縮機でさらに高温にし、お湯を沸かします。エコキュートとも呼ばれています。エネルギー消費効率はいいが、貯湯タンク(下図では貯湯ユニット)は必要です。




2 浴室等で使用する第三種換気方式は、必要換気量を確保するため、換気扇の運転時に十分に給気を確保できるように給気口を設置する必要がある。

○ 適切である。 まず、換気については、①自然換気 と ②機械換気 があり、機械換気には、ア.第1種換気、 イ.第2種換気、 ウ.第3種換気があります。この詳細は、私の、過去問題の「建築基準法」 の平成15年 マンション管理士試験 「問44」 にありますので、そちらを、見てください。
 第三種換気方式とは、排気機(ファン)を設置するため、室内の圧力が負圧に保たれます(他の部屋より低い圧力になる)。汚染質が発生し易い部屋等に多く用いられます。マンションでは、台所、トイレや浴室に設置されています。充分な給気がないと、室圧がマイナス(負圧)になり、ドアや窓の開閉が困難になりますから、給気にも気をつけてください。




3 特殊継手排水システムは、複数の排水横枝管からの排水を一つの継手に合流させて排水させる機能があり、排水立て管の数を減らすことができる。

○ 適切である。 ここは、平成19年 マンション管理士試験 「問45」平成14年 マンション管理士試験 「問44」 にもある。
 特殊継手排水システムは、特殊な継ぎ手を用いて、排水をらせん状にすることにより、真中に空気のコアをつくり排水の流れをスムーズにします。そこで、汚水・雑排水など複数の排水管横枝管を一つの立て管へ集約することができます。リホームの際には、検討していいシステムです。高層の建物では、排水管内の圧力と通気が非常に大切です。


4 高置水槽方式の給水方式では、一般的に、高置水槽の有効容量は、1日の使用水量の1/10程度を目安に計画する。

○ 適切である。 過去から良く出ている。 平成18年 マンション管理士試験 「問44」 など。
  マンションでの、受水槽の容量は、1日の使用量の1/2程度で、高置水槽は、使用量の1/10程度で設定されます。また、
1住戸(4人家族)の1日の使用水量の平均は、1m3(1,000リットル)程度です。



答え:1 (ここは、過去問題をやっていれば、易しい。でも、解説は、時間がかかる。特殊継手排水システムの図を造ろうと思ったが、余りにも時間がかるのでやめました。ネットで勉強してください。誰か造って、連絡してください。)

問45

〔問 45〕マンションの消防用設備に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 連結送水管は、火災時に消防隊が到着するまでの間、居住者(自衛消防隊等)が消火活動を行うために使用される。

X 適切でない。 ここは、平成19年 マンション管理士試験 「問44」
  連結送水管は1階などに設けられた送水管と配管、3階以上の階に設けられた放水口から構成される、消防隊が使用する消防隊専用の設備です。火災時には消防ボンプ自動車から、送水管に繋いで放水口から消火活動をします。火災時に消防隊が到着するまでの間、居住者(自衛消防隊等)が消火活動を行うために使用されるものではありません。


2 自動火災報知設備には、熱感知方式(定温式、差動式等)、煙感知方式(イオン化式、光電式等)等がある。

○ 適切である。 消防用火災警報装置には、人が火災を知らせるか、自動的に火災を感知して警報する装置もあります。自動で感知する方法として、①熱感知方式(定温式、差動式等) と ②煙感知方式(イオン化式、光電式等)があります。


3 屋内消火栓設備において、易操作性1号消火栓及び2号消火栓は、火災時に1名でも操作ができる。

○ 適切である。 1号消火栓は構造上、操作のために通常2名以上を必要とし、その上消火栓箱内のホースを全部取り出さないと放水ができない構造になっていました。そこで、居住者などが一人でも操作できるようにしたのが、易操作性1号消火栓及び2号消火栓です。易操作性1号消火栓では、開閉弁の開放、ホース収納装置からの消防用ホースの延長操作、放水等の一連の操作を一人で円滑に行うことが可能になりました。 


4 泡消火設備は、泡による窒息作用と冷却作用により消火する設備で、屋内駐車場等に設置される。

○ 適切である。 泡消火設備は、泡による窒息作用と冷却作用により消火する設備で、水だけでは消火が困難な場所、屋内駐車場また機械式駐車場(収容台数10台以上)で設置します。


答え:1 (過去問題をやっていると、超簡単。)

問46

〔問 46〕マンション管理士に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法の規定によれば、誤っているものはどれか。


  *注:問46から問50までは、マンション管理士試験か管理業務主任者試験の合格者には免除される部分 です。また、この問46から問50は、「マンション管理適正化法」と同指針からの出題と決まっていますので、出題は似たような内容となります。過去問題は やっておくと楽です。


1 国土交通大臣は、マンション管理士が、その信用を傷つけるような行為をしたときは、その登録を取り消し、又は期間を定めてマンション管理士の名称の使用の停止を命ずることができる。

○ 正しい。 マンション管理士が、その信用を傷つけるような行為をしたときは、マンション管理適正化法第40条
 「(信用失墜行為の禁止)
  
第四十条  マンション管理士は、マンション管理士の信用を傷つけるような行為をしてはならない。」に該当します。
 すると、同法第33条
 「(登録の取消し等)
  第三十三条  国土交通大臣は、マンション管理士が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消さなければならない。
     一  第三十条第一項各号(第四号を除く。)のいずれかに該当するに至ったとき。
     二  偽りその他不正の手段により登録を受けたとき。
   2  国土交通大臣は、マンション管理士が
第四十条から第四十二条までの規定に違反したときは、その登録を取り消し、又は期間を定めてマンション管理士の名称の使用の停止を命ずることができる。」の2項に該当して、
  マンション管理士の登録が取り消され、又は期間を定めてマンション管理士の名称の使用の停止を命じられます。



2 国土交通大臣は、マンション管理士が、5年ごとに、国土交通大臣の登録を受けた者が国土交通省令で定めるところにより行う講習を受けなかったときは、その登録を取り消し、又は期間を定めてマンション管理士の名称の使用の停止を命ずることができる。

○ 正しい。 マンション管理士として、登録を受けると、マンション管理適正化法第41条
 「(講習)
  
第四十一条  マンション管理士は、国土交通省令で定める期間ごとに、次条から第四十一条の四までの規定により国土交通大臣の登録を受けた者(以下この節において「登録講習機関」という。)が国土交通省令で定めるところ(注:施行規則41条で5年)により行う講習(以下この節において「講習」という。)を受けなければならない。」とあり、
 この講習を受けないと、選択肢1で引用しました、 同法第33条2項にこの
第41条も入っていますから、マンション管理士の登録が取り消され、又は期間を定めてマンション管理士の名称の使用の停止を命じられます。(5年ごとの講習の目的は、法改正に合わせた最新の専門的知識水準を確保するためというけど、講習機関が、国土交通省の天下り先ではね。)


3 マンション管理士の試験に合格した者であっても、偽りその他不正の手段により管理業務主任者の登録を受け、その登録を取り消された者は、当該取消しの日から2年を経過しなければ、マンション管理士の登録を受けることができない。

○ 正しい。 マンション管理士試験も管理業務主任者試験も、受験に当たっては、特に資格等の制限がありませんが、試験に合格して、いざ登録しようと申請すると、この段階で資格検査があり、それをパスした人だけに、登録証が交付されます。
 それには、マンション管理適正化法第30条で羅列されている要件に該当しないことです。
 「(登録) 
  第三十条  マンション管理士となる資格を有する者は、国土交通大臣の登録を受けることができる。ただし、次の各号のいずれかに該当する者については、この限りでない。
     一  成年被後見人又は被保佐人
     二  禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
     三  この法律の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
     四  第三十三条第一項第二号又は第二項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者
     
五  第六十五条第一項第二号から第四号まで又は同条第二項第二号若しくは第三号のいずれかに該当することにより第五十九条第一項の登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者
     六  第八十三条第二号又は第三号に該当することによりマンション管理業者の登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者(当該登録を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しの日前三十日以内にその法人の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう。第三章において同じ。)であった者で当該取消しの日から二年を経過しないもの)
  2  前項の登録は、国土交通大臣が、マンション管理士登録簿に、氏名、生年月日その他国土交通省令で定める事項を登載してするものとする。」とあり、
 設問の「偽りその他不正の手段により管理業務主任者の登録を受け、その登録を取り消された者」は、1項5号に該当します。
 同法第65条、管理業務主任者の規定です。
 「(登録の取消し)
 第六十五条  国土交通大臣は、
管理業務主任者が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消さなければならない。
     一  第五十九条第一項各号(第五号を除く。)のいずれかに該当するに至ったとき。
     二  偽りその他不正の手段により登録を受けたとき。
     
三  偽りその他不正の手段により管理業務主任者証の交付を受けたとき
     四  前条第一項各号のいずれかに該当し情状が特に重いとき、又は同条第二項の規定による事務の禁止の処分に違反したとき。
   2  国土交通大臣は、第五十九条第一項の登録を受けている者で管理業務主任者証の交付を受けていないものが次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消さなければならない。
     一  第五十九条第一項各号(第五号を除く。)のいずれかに該当するに至ったとき。
     二  偽りその他不正の手段により登録を受けたとき。
     三  管理業務主任者としてすべき事務を行った場合(第七十八条の規定により事務所を代表する者又はこれに準ずる地位にある者として行った場合を除く。)であって、情状が特に重いとき。」とあり、
 管理業務主任者として、登録が取り消されると、2年間は、なんと、マンション管理士としても登録されないのです。



4 国土交通大臣から期間を定めてマンション管理士の名称の使用の停止を命ぜられた者で、当該停止を命ぜられた期間中に、マンション管理士の名称を使用した者は、10万円以下の過料に処せられる。

X 誤っている。 選択肢1の説明のように、マンション管理適正化法第33条2項違反で、期間を定めてマンション管理士の名称の使用の停止を命ぜられたのに、これに従わないと、罰則が用意されています。それが、マンション管理適正化法第109条
 「第百九条  次の各号のいずれかに該当する者は、
三十万円以下の罰金に処する。
    一  第三十三条第二項の規定によりマンション管理士の名称の使用の停止を命ぜられた者で、当該停止を命ぜられた期間中に、マンション管理士の名称を使用したもの
    二  第四十三条の規定に違反した者
    三  第四十八条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
    四  第五十六条第三項の規定に違反した者
    五  第九十八条の規定に違反して契約を締結した者」とあり、
 1項に該当し、
罰金30万円以下です。10万円以下ではありません。これは、刑事罰(科料)ではないため、過料と呼ばれます。


答え:4 (ここらは、基本です。)

問47

〔問 47〕マンション管理業に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 マンションの区分所有者である管理者が、自ら当該マンションの管理事務を業として行う場合は、マンション管理業に該当しない。

○ 正しい。 マンション管理業の定義です。マンション管理適正化法第2条
 「(定義) 
第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号の定めるところによる。
  一  マンション 次に掲げるものをいう。
     イ 二以上の区分所有者(建物の区分所有等に関する法律 (昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第二条第二項 に規定する区分所有者をいう。以下同じ。)が存する建物で人の居住の用に供する専有部分(区分所有法第二条第三項 に規定する専有部分をいう。以下同じ。)のあるもの並びにその敷地及び附属施設
     ロ 一団地内の土地又は附属施設(これらに関する権利を含む。)が当該団地内にあるイに掲げる建物を含む数棟の建物の所有者(専有部分のある建物にあっては、区分所有者)の共有に属する場合における当該土地及び附属施設
  二  マンションの区分所有者等 前号イに掲げる建物の区分所有者並びに同号ロに掲げる土地及び附属施設の同号ロの所有者をいう。
  三  管理組合 マンションの管理を行う区分所有法第三条 若しくは第六十五条 に規定する団体又は区分所有法第四十七条第一項 (区分所有法第六十六条 において準用する場合を含む。)に規定する法人をいう。
  四  管理者等 区分所有法第二十五条第一項 (区分所有法第六十六条 において準用する場合を含む。)の規定により選任された管理者又は区分所有法第四十九条第一項 (区分所有法第六十六条 において準用する場合を含む。)の規定により置かれた理事をいう。
  五  マンション管理士 第三十条第一項の登録を受け、マンション管理士の名称を用いて、専門的知識をもって、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者等の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うことを業務(他の法律においてその業務を行うことが制限されているものを除く。)とする者をいう。
  六  管理事務 マンションの管理に関する事務であって、基幹事務(管理組合の会計の収入及び支出の調定及び出納並びにマンション(専有部分を除く。)の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整をいう。以下同じ。)を含むものをいう。
  
七  マンション管理業 管理組合から委託を受けて管理事務を行う行為で業として行うもの(マンションの区分所有者等が当該マンションについて行うものを除く。)をいう
  八  マンション管理業者 第四十四条の登録を受けてマンション管理業を営む者をいう。
  九  管理業務主任者 第六十条第一項に規定する管理業務主任者証の交付を受けた者をいう。」とあり、
 7号で、(マンションの区分所有者等が当該マンションについて行うものを除く)とありますから、正しい。なお、この状況は、自主管理です。


2 2以上の区分所有者が存する居住の用に供する建物であるが、そのすべてが賃貸されている建物の管理組合から委託を受けて管理事務を行う行為で業として行うものは、マンション管理業に該当しない。

X 誤っている。 マンションとは、選択肢1で引用しました、マンション管理適正化法第2条1号イ
 「イ 二以上の区分所有者(建物の区分所有等に関する法律 (昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第二条第二項 に規定する区分所有者をいう。以下同じ。)が存する建物で人の居住の用に供する専有部分(区分所有法第二条第三項 に規定する専有部分をいう。以下同じ。)のあるもの並びにその敷地及び附属施設」です。
 これに、よりますと、
マンションとは、 ①2人以上の区分所有者がいること、 ②居住用の専有部分があること だけです。その全てが賃貸に出されていても、マンション管理適正化法では、マンションです。なお、区分所有法では、法律用語として、「マンション」は、出て来ませんから、明確に区別しておいてください。


3 2以上の区分所有者が存する建物であるが、人の居住の用に供されていない建物の管理組合から委託を受けて管理事務を行う行為で業として行うものはマンション管理業に該当しない。

○ 正しい。 ここは、段階を分けて説明します。
   まず、マンション管理業は、選択肢1で引用しました、マンション管理適正化法第2条7号
 「七  
マンション管理業 管理組合から委託を受けて管理事務を行う行為で業として行うもの(マンションの区分所有者等が当該マンションについて行うものを除く。)をいう。」です。
 では、ここでの、「管理組合」は、同法第2条3号
 「 三  
管理組合 マンションの管理を行う区分所有法第三条 若しくは第六十五条 に規定する団体又は区分所有法第四十七条第一項 (区分所有法第六十六条 において準用する場合を含む。)に規定する法人をいう。」とあります。
  「マンション」の管理ですから、ここの「マンション」は、選択肢2 で説明しました「マンション」の、①2人以上の区分所有者がいること、 ②居住用の専有部分があること が必要です。
 設問は、「人の居住の用に供されていない建物の管理組合」とありますから、
②居住用の専有部分があること の要件がありません。そこで、マンション管理適正化法でのマンションに該当しません。そして、マンション管理適正化法での「マンション管理業」には該当しません。


4 マンションの管理に関する事務であって、マンションの維持又は修繕に関する企画又は実施の調整が含まれないものは、管理組合から委託を受けて管理に関する事務を業として行うものであっても、マンション管理業に該当しない。

○ 正しい。 マンション管理業は、選択肢3で引用しましたように、
 「七  マンション管理業 管理組合から委託を受けて管理事務を行う行為で業として行うもの(マンションの区分所有者等が当該マンションについて行うものを除く。)をいう。」です。
 ここでの、「管理事務」とは、同法第2条
 「 六  
管理事務 マンションの管理に関する事務であって、基幹事務(管理組合の会計の収入及び支出の調定及び出納並びにマンション(専有部分を除く。)の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整をいう。以下同じ。)を含むものをいう。」です。
 設問は、「マンションの維持又は修繕に関する企画又は実施の調整が含まれないもの」ですから、マンション管理適正化法でのマンション管理業には該当しません。正しい。

答え:2  (ここは、定義を正しく覚えているか、どうかです。)

問48

〔問 48〕管理業務主任者に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 マンション管理業者は、既存の事務所がマンション管理適正化法第56条第1項の管理業務主任者の設置に関する規定に抵触するに至ったときは、1月以内に、同項の規定に適合させるため必要な措置をとらなければならない。

X 誤っている。 マンション管理適正化法第56条
 「(管理業務主任者の設置)
  第五十六条  マンション管理業者は、その事務所ごとに、事務所の規模を考慮して国土交通省令で定める数の成年者である専任の管理業務主任者を置かなければならない。ただし、人の居住の用に供する独立部分(区分所有法第一条 に規定する建物の部分をいう。以下同じ。)が国土交通省令で定める数以上である第二条第一号イに掲げる建物の区分所有者を構成員に含む管理組合から委託を受けて行う管理事務を、その業務としない事務所については、この限りでない。
   2  前項の場合において、マンション管理業者(法人である場合においては、その役員)が管理業務主任者であるときは、その者が自ら主として業務に従事する事務所については、その者は、その事務所に置かれる成年者である専任の管理業務主任者とみなす。
   3  マンション管理業者は、第一項の規定に抵触する事務所を開設してはならず、既存の事務所が同項の規定に抵触するに至ったときは、
二週間以内に、同項の規定に適合させるため必要な措置をとらなければならない。」とあり、
 1項に抵触すると、3項により、2週間以内に適合させるため必要な措置をとらなければなりません。なお、変更の届け出は、その日から30日以内です。(同法第48条1項参照
 「(登録事項の変更の届出)
  第四十八条  マンション管理業者は、第四十五条第一項各号に掲げる事項に変更があったときは、その日から三十日以内に、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。 (以下略)


2 管理業務主任者は、マンション管理適正化法第72条第1項に定める重要事項の説明をするときは、説明の相手方に対し、必ず管理業務主任者証を提示しなければならない。 

○ 正しい。 管理業務主任者が重要事項を説明する際には、マンション管理適正化法第72条
 「(重要事項の説明等)
  第七十二条  マンション管理業者は、管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする契約(新たに建設されたマンションの当該建設工事の完了の日から国土交通省令で定める期間を経過する日までの間に契約期間が満了するものを除く。以下「管理受託契約」という。)を締結しようとするとき(次項に規定するときを除く。)は、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより説明会を開催し、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等に対し、管理業務主任者をして、管理受託契約の内容及びその履行に関する事項であって国土交通省令で定めるもの(以下「重要事項」という。)について説明をさせなければならない。この場合において、マンション管理業者は、当該説明会の日の一週間前までに、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等の全員に対し、重要事項並びに説明会の日時及び場所を記載した書面を交付しなければならない。
   2  マンション管理業者は、従前の管理受託契約と同一の条件で管理組合との管理受託契約を更新しようとするときは、あらかじめ、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等全員に対し、重要事項を記載した書面を交付しなければならない。
   3  前項の場合において当該管理組合に管理者等が置かれているときは、マンション管理業者は、当該管理者等に対し、管理業務主任者をして、重要事項について、これを記載した書面を交付して説明をさせなければならない。
   
4  管理業務主任者は、第一項又は前項の説明をするときは、説明の相手方に対し、管理業務主任者証を提示しなければならない
   5  マンション管理業者は、第一項から第三項までの規定により交付すべき書面を作成するときは、管理業務主任者をして、当該書面に記名押印させなければならない。」とあり、
 4項により、 提示を求められなくても、必ず、説明の相手方に対し、管理業務主任者証を提示しなければなりません



3 管理業務主任者は、その登録が消除されたとき、又は管理業務主任者証がその効力を失ったときは、速やかに、管理業務主任者証を国土交通大臣に返納しなければならない。

○ 正しい。 管理業務主任者が、その登録を消除されたとき、又は管理業務主任者証がその効力を失ったときは、マンション管理適正化法第60条
 「(管理業務主任者証の交付等)
  第六十条  前条第一項の登録を受けている者は、国土交通大臣に対し、氏名、生年月日その他国土交通省令で定める事項を記載した管理業務主任者証の交付を申請することができる。
   2  管理業務主任者証の交付を受けようとする者は、第六十一条の二において準用する第四十一条の二から第四十一条の四までの規定により国土交通大臣の登録を受けた者(以下この節において「登録講習機関」という。)が国土交通省令で定めるところにより行う講習(以下この節において「講習」という。)で交付の申請の日前六月以内に行われるものを受けなければならない。ただし、試験に合格した日から一年以内に管理業務主任者証の交付を受けようとする者については、この限りでない。
   3  管理業務主任者証の有効期間は、五年とする。
   
4  管理業務主任者は、前条第一項の登録が消除されたとき、又は管理業務主任者証がその効力を失ったときは、速やかに、管理業務主任者証を国土交通大臣に返納しなければならない
   5  管理業務主任者は、第六十四条第二項の規定による禁止の処分を受けたときは、速やかに、管理業務主任者証を国土交通大臣に提出しなければならない。
   6  国土交通大臣は、前項の禁止の期間が満了した場合において、同項の規定により管理業務主任者証を提出した者から返還の請求があったときは、直ちに、当該管理業務主任者証を返還しなければならない。 」とあり、
 4項により、速やかに、管理業務主任者証を国土交通大臣に返納します。いつまでも無効の管理業務主任者証を持っていたら、また使用されますから。

 

4 40の管理組合(いずれも人の居住の用に供する独立部分が6以上のマンションとする。)から管理事務の委託を受けている事務所について、マンション管理業者が、当該事務所に置かなければならない成年者である専任の管理業務主任者の数は2名以上である。

○ 正しい。 事務所に置かなければならない成年者である専任の管理業務主任者の数は、選択肢1 で引用しました、 マンション管理適正化法第56条1項
 「(管理業務主任者の設置)
  第五十六条  マンション管理業者は、その事務所ごとに、事務所の規模を考慮して国土交通省令で定める数の成年者である専任の管理業務主任者を置かなければならない。ただし、人の居住の用に供する独立部分(区分所有法第一条 に規定する建物の部分をいう。以下同じ。)が国土交通省令で定める数以上である第二条第一号イに掲げる建物の区分所有者を構成員に含む管理組合から委託を受けて行う管理事務を、その業務としない事務所については、この限りでない。」とあり、
 この中の「国土交通省令で定める数の成年者である専任の管理業務主任者」は、
 、マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則第61条
 「(法第五十六条第一項 の国土交通省令で定める管理業務主任者の数)
  第六十一条  法第五十六条第一項 の国土交通省令で定める
管理業務主任者の数は、マンション管理業者が管理事務の委託を受けた管理組合の数を三十で除したもの(一未満の端数は切り上げる。)以上とする。」とあり、
 40÷30=1.33 で 切り上げで 
2 名以上です。

 なお、 国土交通省令で定める人の居住の用に供する独立部分の数は 6 です。(マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則第62条)

答え:1 (選択肢1 のように 「届出」と、「必要な措置」 は違います。)

問49

〔問 49〕マンション管理業者の業務に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法の規定によれば、誤っているものは、いくつあるか。

ア マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれているときは、国土交通省令で定めるところにより、定期に、当該管理者等に対し、管理業務主任者をして、当該管理事務に関する報告をさせなければならない。

○ 正しい。 マンション管理士試験では、管理業務主任者試験より個数問題は少ない。
  それは、さておき、設問は、マンション管理適正化法第77条
 「(管理事務の報告)
  第七十七条  
マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれているときは、国土交通省令で定めるところにより、定期に、当該管理者等に対し、管理業務主任者をして、当該管理事務に関する報告をさせなければならない。
   2  マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれていないときは、国土交通省令で定めるところにより、定期に、説明会を開催し、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等に対し、管理業務主任者をして、当該管理事務に関する報告をさせなければならない。
   3  管理業務主任者は、前二項の説明をするときは、説明の相手方に対し、管理業務主任者証を提示しなければならない。 」とあり、
 1項により、正しい。


イ マンション管理業者は、国土交通省令で定めるところにより、当該マンション管理業者の業務及び財産の状況を記載した書類を、管理業務主任者をして作成させ、その事務所ごとに備え置かなければならない。

X 誤っている。 マンション管理業者の業務及び財産の状況を記載した書類は、同法第79条
 「(書類の閲覧)
  第七十九条  マンション管理業者は、国土交通省令で定めるところにより、当該マンション管理業者の業務及び財産の状況を記載した書類をその事務所ごとに備え置き、その業務に係る関係者の求めに応じ、これを閲覧させなければならない。」とあり、
 特に「管理業務主任者をして作成 」させなくても、可能です。
 ちなみに、「国土交通省令で定めるところ」は、マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則第90条
 「(書類の閲覧)
  第九十条  
法第七十九条 に規定するマンション管理業者の業務及び財産の状況を記載した書類は、別記様式第二十七号による業務状況調書、貸借対照表及び損益計算書又はこれらに代わる書面(以下この条において「業務状況調書等」という。)とする。
   2  業務状況調書等が、電子計算機に備えられたファイル又は磁気ディスク等に記録され、必要に応じ事務所ごとに電子計算機その他の機器を用いて明確に紙面に表示されるときは、当該記録をもって法第七十九条 に規定する書類への記載に代えることができる。この場合における法第七十九条 の規定による閲覧は、当該業務状況調書等を紙面又は当該事務所に設置された入出力装置の映像面に表示する方法で行うものとする。
   3  マンション管理業者は、第一項の書類(前項の規定による記録が行われた同項のファイル又は磁気ディスク等を含む。次項において同じ。)を事業年度ごとに当該事業年度経過後三月以内に作成し、遅滞なく事務所ごとに備え置くものとする。
   4  第一項の書類は、事務所に備え置かれた日から起算して三年を経過する日までの間、当該事務所に備え置くものとし、当該事務所の営業時間中、その業務に係る関係者の求めに応じて閲覧させるものとする。」です。


 
ウ マンション管理業者は、管理組合から委託を受けた管理事務について、国土交通省令で定めるところにより、管理業務主任者をして帳簿を作成させ、これを保存しなければならない。

X 誤っている。 ここらは、平成23年 管理業務主任者試験 「問48」 、平成23年 マンション管理士試験 「問49」 でも。
  帳簿の作成となると、同法第75条
 「(帳簿の作成等)
  第七十五条  マンション管理業者は、管理組合から委託を受けた管理事務について、国土交通省令で定めるところにより、帳簿を作成し、これを保存しなければならない。」とあり、
 これも、「管理業務主任者をして帳簿を作成」させなくても可能です。(会社の帳簿まで管理業務主任者が作成するのなら、一般従業員がマンション管理会社に就職できない。)
 なお、「国土交通省令で定めるところ」は、マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則第86条
 「(帳簿の記載事項等)
  第八十六条  マンション管理業者は、管理受託契約を締結したつど、
法第七十五条 の帳簿に次に掲げる事項を記載し、その事務所ごとに、その業務に関する帳簿を備えなければならない。
     一  管理受託契約を締結した年月日
     二  管理受託契約を締結した管理組合の名称
     三  契約の対象となるマンションの所在地及び管理事務の対象となるマンションの部分に関する事項
     四  受託した管理事務の内容
     五  管理事務に係る受託料の額
     六  管理受託契約における特約その他参考となる事項
   2  前項各号に掲げる事項が、電子計算機に備えられたファイル又は磁気ディスク等に記録され、必要に応じ当該事務所において電子計算機その他の機器を用いて明確に紙面に表示されるときは、当該記録をもって法第七十五条 に規定する帳簿への記載に代えることができる。
   3  マンション管理業者は、法第七十五条 に規定する帳簿(前項の規定による記録が行われた同項のファイル又は磁気ディスク等を含む。)を各事業年度の末日をもって閉鎖するものとし、閉鎖後五年間当該帳簿を保存しなければならない。 」です


エ マンション管理業者は、従前の管理受託契約と同一の条件で管理組合との管理受託契約を更新しようとするときは、あらかじめ区分所有者等全員に対し、説明会を開催して、管理業務主任者をして、重要事項について説明させなければならない。

X 誤っている。 従前の管理受託契約と同一の条件で管理組合との管理受託契約を更新しようとするときは、マンション管理適正化法第72条
 「(重要事項の説明等)
  第七十二条  マンション管理業者は、管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする契約(新たに建設されたマンションの当該建設工事の完了の日から国土交通省令で定める期間を経過する日までの間に契約期間が満了するものを除く。以下「管理受託契約」という。)を締結しようとするとき(次項に規定するときを除く。)は、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより説明会を開催し、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等に対し、管理業務主任者をして、管理受託契約の内容及びその履行に関する事項であって国土交通省令で定めるもの(以下「重要事項」という。)について説明をさせなければならない。この場合において、マンション管理業者は、当該説明会の日の一週間前までに、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等の全員に対し、重要事項並びに説明会の日時及び場所を記載した書面を交付しなければならない。
   
2  マンション管理業者は、従前の管理受託契約と同一の条件で管理組合との管理受託契約を更新しようとするときは、あらかじめ、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等全員に対し、重要事項を記載した書面を交付しなければならない。
   
3  前項の場合において当該管理組合に管理者等が置かれているときは、マンション管理業者は、当該管理者等に対し、管理業務主任者をして、重要事項について、これを記載した書面を交付して説明をさせなければならない。
   4  管理業務主任者は、第一項又は前項の説明をするときは、説明の相手方に対し、管理業務主任者証を提示しなければならない。
   5  マンション管理業者は、第一項から第三項までの規定により交付すべき書面を作成するときは、管理業務主任者をして、当該書面に記名押印させなければならない。 」とあり、
 2項及び3項により、「区分所有者等全員に対し、重要事項を記載した書面を交付」しますが、説明は、管理者等がいないなら、不要です。これは、従前の管理受託契約と同一の条件の場合には、特に管理組合に不利にならないと、立法者が考えたためです。



1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ

答え:3 (誤っているのは、 イ・ウ・エの3つ) 

問50

〔問 50〕マンション管理業者Aが管理組合Bから委託を受けて、マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則第87条第2項第1号イに規定する「マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金等金銭を収納口座に預入し、毎月、その月分として徴収された修繕積立金等金銭から当該月中の管理事務に要した費用を控除した残額を、翌月末日までに収納口座から保管口座に移し換え、当該保管口座において預貯金として管理する方法」をとっている場合に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法の規定によれば、正しいものはどれか。ただし、BにはA以外の者が管理者として置かれているものとする。 

1 Aは、いかなる場合であっても収納口座の名義人となることはできない。

X 誤っている。 収納口座なら、管理業者も名義人になれる。
 平成22年 管理業務主任者試験 「問13」 また、平成28年 管理業務主任者試験 「問49」 に詳細に解説した。

 やっと、平成22年の出題範囲が、通常の年なら、その年の4月に施行されている法令となっているのに、5月施行に変更された箇所が出てきた。
  それは、マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則第87条2項以下です。この改正理由は、マンション管理業者が管理組合から委託を受けて行う出納業務において、一部のマンション管理業者の横領事件等により管理組合の財産が毀損されるという事態が依然生じているためです。 そこで、マンション管理業者に、自社の財産と管理組合の財産を明確に分けて管理しなさいと指導しています。
  まず、ここでは、①「収納口座」、②「保管口座」そして、③「収納・保管口座」の区別があります。その区別は、同施行規則第87条6項
 「6  この条において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
   一  
収納口座 マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金等金銭又は第一項に規定する財産を預入し、一時的に預貯金として管理するための口座をいう。
   二  
保管口座 マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金を預入し、又は修繕積立金等金銭若しくは第一項に規定する財産の残額(第二項第一号イ若しくはロに規定するものをいう。)を収納口座から移し換え、これらを預貯金として管理するための口座であって、管理組合等を名義人とするものをいう。
   三  
収納・保管口座 マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金等金銭を預入し、預貯金として管理するための口座であって、管理組合等を名義人とするものをいう。」です。
 ★「収納口座」は、一時的に管理費・修繕積立金が預けられる口座です。この「収納口座」から、管理に必要な費用を差し引いて、残ったお金は「保管口座」へ預け入れられます。「収納・保管口座」は、1つの口座で上の「収納口座」と「保管口座」の働きをする口座です。
 そこで、①「収納口座」の名義人は、指定されていませんから管理組合だけでなくマンション管理業者でも可能ですが、②「保管口座」及び③「収納・保管口座」の名義人は、必ず管理組合であることが規定されています(2号及び3号)。そして、「収納口座」では、マンション管理業者が通帳や印鑑を管理できますが、「保管口座」と「収納・保管口座」では、マンション管理業者は、通帳や印鑑を管理できません(4項)
 
 これを踏まえ、同施行規則第87条第2項第1号イ
 「 マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金等金銭を収納口座に預入し、毎月、その月分として徴収された修繕積立金等金銭から当 該月中の管理事務に要した費用を控除した残額を、翌月末日までに収納口座から保管口座に移し換え、当該保管口座において預貯金として管理する方法」では、マンション管理業者Aが、「収納口座」の名義人になる場合もあるため、「いかなる場合であっても収納口座の名義人となることはできない」は誤りです。


2 Aは、マンションの区分所有者等から徴収される1月分の修繕積立金等金銭の額の合計額以上の額につき有効な保証契約(この問いにおいて「保証契約」という。)を締結していれば、保管口座の名義人となることができる。

X 誤っている。 保証契約を締結しても、管理業者は「保管口座」の名義人にはなれない。
 マンション管理業者の保証契約が必要なのは、同施行規則第87条3項
 「3  マンション管理業者は、前項第一号イ又はロに定める方法により修繕積立金等金銭を管理する場合にあっては、マンションの区分所有者等から徴収される一月分の修繕積立金等金銭又は第一項に規定する財産の合計額以上の額につき有効な保証契約を締結していなければならない。ただし、次のいずれにも該当する場合は、この限りでない。
   一  修繕積立金等金銭若しくは第一項に規定する財産がマンションの区分所有者等からマンション管理業者が受託契約を締結した管理組合若しくはその管理者等(以下この条において「管理組合等」という。)を名義人とする収納口座に直接預入される場合又はマンション管理業者若しくはマンション管理業者から委託を受けた者がマンションの区分所有者等から修繕積立金等金銭若しくは第一項に規定する財産を徴収しない場合
   二  マンション管理業者が、管理組合等を名義人とする収納口座に係る当該管理組合等の印鑑、預貯金の引出用のカードその他これらに類するものを管理しない場合」とあり、
 選択肢1で説明しましたように、保証契約を締結しても、「保管口座」の名義人にはなれません。
 ちなみに、「前項第一号イ又はロに定める方法」とは、
 「 一  修繕積立金等が金銭である場合 次のいずれかの方法
     イ マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金等金銭を収納口座に預入し、毎月、その月分として徴収された修繕積立金等金銭から当該月中の管理事務に要した費用を控除した残額を、翌月末日までに収納口座から保管口座に移し換え、当該保管口座において預貯金として管理する方法
     ロ マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金(金銭に限る。以下この条において同じ。)を保管口座に預入し、当該保管口座において預貯金として管理するとともに、マンションの区分所有者等から徴収された前項に規定する財産(金銭に限る。以下この条において同じ。)を収納口座に預入し、毎月、その月分として徴収された前項に規定する財産から当該月中の管理事務に要した費用を控除した残額を、翌月末日までに収納口座から保管口座に移し換え、当該保管口座において預貯金として管理する方法」です。
 イとロの違いは、修繕積立金が、管理費と共に収納口座に入っている(イ)か、修繕積立金は最初から保管口座に分けて入っている(ロ)かです。

 
 
3 Aは、保証契約を締結していれば、保管口座に係る印鑑、預貯金の引出用のカードその他これらに類するものを管理することができる。

X 誤っている。 「保管口座」又は「収納・保管口座」では、印鑑、預貯金の引出用のカードその他これらに類するものを管理することは禁止されている。
 設問の場合は、同施行規則第87条4項
 「4  マンション管理業者は、第二項第一号イからハまでに定める方法により修繕積立金等金銭を管理する場合にあっては、
保管口座又は収納・保管口座に係る管理組合等の印鑑、預貯金の引出用のカードその他これらに類するものを管理してはならない。ただし、管理組合に管理者等が置かれていない場合において、管理者等が選任されるまでの比較的短い期間に限り保管する場合は、この限りでない。 」とあり、
 「保管口座」又は「収納・保管口座」では、印鑑、預貯金の引出用のカードその他これらに類するものを管理することは禁止されています。


4 Aは、Bを名義人とする収納口座に係る印鑑、預貯金の引出用のカードその他これらに類するものを管理する場合、保証契約を締結していなければならない。

○ 正しい。 管理組合を名義人とする「収納口座」に係る印鑑、預貯金の引出用のカードその他これらに類するものを管理する場合には、保証契約を締結しなければない。
 同施行規則第87条3項
 「3  マンション管理業者は、前項第一号イ又はロに定める方法により修繕積立金等金銭を管理する場合にあっては、マンションの区分所有者等から徴収される一月分の修繕積立金等金銭又は第一項に規定する財産の合計額以上の額につき有効な保証契約を締結していなければならない。ただし、次のいずれにも該当する場合は、この限りでない
    一  修繕積立金等金銭若しくは第一項に規定する財産がマンションの区分所有者等からマンション管理業者が受託契約を締結した管理組合若しくはその管理者等(以下この条において「管理組合等」という。)を名義人とする収納口座に直接預入される場合又はマンション管理業者若しくはマンション管理業者から委託を受けた者がマンションの区分所有者等から修繕積立金等金銭若しくは第一項に規定する財産を徴収しない場合
    二
 マンション管理業者が、管理組合等を名義人とする収納口座に係る当該管理組合等の印鑑、預貯金の引出用のカードその他これらに類するものを管理しない場合」です。
  マンション管理業者が第一号イ又はロに定める方法により修繕積立金等金銭を管理する場合には、保証契約をする必要があり、2号の逆の解釈により、管理組合Bを名義人とする収納口座に係る印鑑、預貯金の引出用のカードその他これらに類するものを
管理する場合には、保証契約を締結しなければなりません。
  
 

答え:4 

ここまで、問50


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最終更新日:
2018年 8月30日:「問50」を見やすくした。
2017年 8月13日:問33 選択肢1、72条の「六」が抜けていたので、入れた。
2012年 6月22日:「問26」、「問27」、「問28」、「問29」、「問30」「問31」、「問32」、「問33」に平成23年の標準管理規約の改正入れた。
2011年 2月16日:「問29」に追記。
2011年 1月24日:再チェック。図など入。
2011年 1月15日:マンション管理センターの答えを入
2011年 1月 9日:ちょろちょろと。
2010年12月18日
開始:2010年12月12日

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