マンション生活での相談は、「マンション管理士 香川事務所」へ。



平成25年 管理業務主任者 試験問題 及び 解説

ページ2(問26より問50まで)

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謝辞:問題文の作成にあっては、「中村様」と「じゃが ろこぽん様」の協力を得ています。
テキスト文への変更など、ご助力を心から感謝いたします。

「マンション管理士 香川事務所」より。

ご質問は、 「マンション管理士 香川事務所」へ。


*注: マンション標準管理規約(単棟型、団地型、複合用途型)は、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。

 また、マンションの管理の適正化に関する指針も、平成28年3月に改正があり、解説においては、未対応ですから、注意してください。


※ 出題当時以後の法令等の改正には、一部は対応していません。

*試験に臨んで、お節介なアドバイス
  1.設問にあわせて、問題用紙に ○(まる)、X(ばつ)をつける。
    殆どの設問が、「正しい」か「間違い」かを訊いてきますので、設問により、問題の頭に、○かXをつけます。
    そして、各選択肢を読み、○かXをつけます。
    問題の○なりXと、選択肢の○かXが一致したものを、マークシートに記入してください。

  2.疑問な問題は、とりあえず飛ばす。
    回答の時間は限られています。
    そこで、回答として、○かXかはっきりしないものがでたら、「?」マークをつけて、次の問題に移ります。
    全部の回答が終わってから、再度戻って決定してください。

  3.複雑な問は、図を描く。
    甲、乙、A、B、Cなど対象が多い問題もでます。
    この場合、問題用紙の空いているところに、図を描いてください。
    重要な点が分かってきます。

(出題者からの注意) 1.答えは、各問題とも1つだけです。複数の解答をしたもの、判読が困難なものは、正解としません。
              2.問題中の法令等に関する部分は、平成25年4月1日現在で施行されている規定に基づいて出題されています。


解説者からのコメント:あやふやな出題、適切でない出題もあって、解答ができないのもあります。

※  マンション標準管理規約は、平成16年に改正があった。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。
   マンション標準管理委託契約書は、平成15年に改正があった。また、平成22年5月にも改正があった。

問26

【問26】建築基準法第12条第1項に規定される特殊建築物において、定期調査の調査項目に含まれないものは、次のうちどれか。ただし、特定行政庁の定めるものは除くものとする。

1 機械式駐車場の劣化及び損傷の状況

X 含まれない。 機械式駐車場の劣化及び損傷の状況は入っていない。  平成25年 管理業務主任者試験 「問21」 でも、建築基準法第12条は出ている。
 定期調査が出題される背景:平成18年6月の東京都港区の公共賃貸住宅のエレベーターにおける死亡事故、平成19年5月の大阪府吹田市の遊園地の コー スターにおける死亡事故等、エレベーターや遊戯施設の事故が相次ぎましたが、いずれも建築基準法第12条に基づく定期検査報告が適切に行われていなかったことが事故につながった可能性が指摘されています。
 このため、社会資本整備審議会建築分科会建築物等事故・災害対策部会での検討結果を踏まえ、建築基準法第12条に基づ く定期報告制度について見直しを実施しました。(平成20年4月1日施行)

 設問の建築基準法第12条1項は、平成25年の管理業務主任者試験 「問21」 でも出ていますが、あらためて、
 「(報告、検査等)
 第十二条  第六条第一項第一号に掲げる建築物その他政令で定める建築物(国、都道府県及び建築主事を置く市町村の建築物を除く。)で特定行政庁が指定するものの所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者。第三項において同じ。)は、当該建築物の敷地、構造及び建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は国土交通大臣が定める資格を有する者にその状況の調査(当該建築物の敷地及び構造についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含み、当該建築物の建築設備についての第三項の検査を除く。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。」です。

  そこで、具体的な様式などを定めた、建築基準法施行規則第5条
 「(建築物の定期報告)
 第五条  法第十二条第一項 (法第八十八条第一項 又は第三項 において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定による報告の時期は、建築物の用途、構造、延べ面積等に応じて、おおむね六月から三年までの間隔をおいて特定行政庁が定める時期(法第十二条第一項 の規定による指定があつた日以後の新築又は改築(一部の改築を除く。)に係る建築物について、建築主が法第七条第五項 (法第八十七条の二 又は法第八十八条第一項 において準用する場合を含む。第六条第一項において同じ。)又は法第七条の二第五項 (法第八十七条の二 又は法第八十八条第一項 において準用する場合を含む。第六条第一項において同じ。)の規定による検査済証の交付を受けた場合においては、その直後の時期を除く。)とする。
   2  法第十二条第一項 の規定による調査は、建築物の敷地、構造及び建築設備の状況について安全上支障がないことを確認するために十分なものとして行うものとし、当該調査の項目、方法及び結果の判定基準は国土交通大臣の定めるところによるものとする
   3  法第十二条第一項 の規定による報告は、別記第三十六号の二の四様式による報告書及び別記第三十六号の二の五様式による定期調査報告概要書に国土交通大臣が定める調査結果表を添えてするものとする。ただし、特定行政庁が規則により別記第三十六号の二の四様式、別記第三十六号の二の五様式又は国土交通大臣が定める調査結果表に定める事項その他の事項を記載する報告書の様式又は調査結果表を定めた場合にあつては、当該様式による報告書又は当該調査結果表によるものとする。
   4  法第十二条第一項 の規定による報告は、前項の報告書及び調査結果表に、特定行政庁が建築物の敷地、構造及び建築設備の状況を把握するため必要があると認めて規則で定める書類を添えて行わなければならない。 」とあり、

 その調査項目は、国土交通省告示282号 の別表としてあり、 http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/teikihoukoku/kekka1.pdf
 ます。
 その表を全部見ると、「機械式駐車場の劣化及び損傷の状況」は、ありませんから、適切ではありません。



2 擁壁の劣化及び損傷の状況

○ 適切である。
  選択肢1で引用した調査項目の表にあります。
  「1.敷地及び地盤  (8) 擁壁 擁壁の劣化及び損傷の状況」 から、適切です。



3 サッシ等の劣化及び損傷の状況

○ 適切である。
  選択肢1で引用した調査項目の表にあります。 
 「2.建築物の外部 (15)窓サッシ等 サッシ等の劣化及び損傷の状況」 から、適切です。



4 避雷針、避雷導線等の劣化及び損傷の状況 

○ 適切である。
  選択肢1で引用した調査項目の表にあります。
 「6.その他 (5)避雷設備 避雷針、避雷導線等の劣化及び損傷の状況」 から、適切です。



答え:1  まったく、実に細かな箇所からの出題で、不適切極まりない!

問27

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。


【問27】マンション標準管理規約のコメントにおける長期修繕計画の内容に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1 既存マンションの長期修繕計画は、計画期間が25年程度以上であることが必要である。

○ 適切である。 標準管理規約のコメントからの出題とは、かなり不適切だけど。 平成23年 管理業務主任者試験 「問12」 、 平成21年 管理業務主任者試験 「問26」 、 平成19年 管理業務主任者試験 「問32」  など。
 該当の箇所は、標準管理規約32条 コメント② 1
 「第32条関係
   ① 建物を長期にわたって良好に維持・管理していくためには、一定の年数の経過ごとに計画的に修繕を行っていくことが必要であり、その対象となる建物の部分、修繕時期、必要となる費用等について、あらかじめ長期修繕計画として定め、区分所有者の間で合意しておくことは、円滑な修繕の実施のために重要である。
   ② 長期修繕計画の内容としては次のようなものが最低限必要である。
     1 計画期間が25年程度以上であること。なお、新築時においては、計画期間を30年程度にすると、修繕のために必要な工事をほぼ網羅できることとなる。
     2 計画修繕の対象となる工事として外壁補修、屋上防水、給排水管取替え、窓及び玄関扉等の開口部の改良等が掲げられ、各部位ごとに修繕周期、工事金額等が定められているものであること。
     3 全体の工事金額が定められたものであること。
       また、長期修繕計画の内容については定期的な(おおむね5年程度ごとに)見直しをすることが必要である。
   ③ 長期修繕計画の作成又は変更及び修繕工事の実施の前提として、劣化診断(建物診断)を管理組合として併せて行う必要がある。
   ④ 長期修繕計画の作成又は変更に要する経費及び長期修繕計画の作成等のための劣化診断(建物診断)に要する経費の充当については、管理組合の財産状態等に応じて管理費又は修繕積立金のどちらからでもできる。
 ただし、修繕工事の前提としての劣化診断(建物診断)に要する経費の充当については、修繕工事の一環としての経費であることから、原則として修繕積立金から取り崩すこととなる。
   ⑤ 管理組合が管理すべき設計図書は、適正化法第103条に基づいて宅地建物取引業者から交付される竣工時の付近見取図、配置図、仕様書(仕上げ表を含む。)、各階平面図、2面以上の立面図、断面図又は矩計図、基礎伏図、小屋伏図、構造詳細図及び構造計算書である。ただし、同条は、適正化法の施行(平成13年8月1日)前に建設工事が完了した建物の分譲については適用されてないこととなっており、これに該当するマンションには上述の図書が交付されていない場合もある。他方、建物の修繕に有用な書類としては、上述以外の設計関係書類(数量調書、竣工地積測量図等)、特定行政庁関係書類(建築確認通知書、日影協定書等)、消防関係書類、機械関係設備施設の関係書類、売買契約書関係書類等がある。
このような各マンションの実態に応じて、具体的な図書を規約に記載することが望ましい。
   ⑥ 修繕等の履歴情報とは、大規模修繕工事、計画修繕工事及び設備改修工事等の修繕の時期、箇所、費用及び工事施工者等や、設備の保守点検、建築基準法第12条第1項及び第2項の特殊建築物等の定期調査報告及び建築設備(昇降機を含む。)の定期検査報告、消防法第8条の2の2の防火対象物定期点検報告等の法定点検など、維持管理の情報であり、整理して後に参照できるよう管理しておくことが今後の修繕等を適切に実施するために有効な情報である。
   ⑦ 管理組合が保管する書類等として、第三号に掲げる長期修繕計画書、第五号及び⑤に掲げる設計図書等、第六号及び⑥に掲げる修繕等の履歴情報があげられるが、その他に、理事長が保管する書類等としては、第49条第3項で定める総会議事録、第53条第2項の規定に基づき準用される第49条第3項で定める理事会議事録、第64条及び第64条関係コメントに掲げる帳票類、第72条で定める規約原本等があげられる。
このうち、総会議事録及び規約原本の保管は、区分所有法により管理者が保管することとされているものであり、この標準管理規約では理事長を管理者としていることから理事長が保管することとしている。
   ⑧ 管理組合が保管する長期修繕計画書、設計図書等及び修繕等の履歴情報についても、理事長が保管する書類等と同様に閲覧に関する規定を設置することが望ましい。また、保管方法についても、電磁的方法が利用可能な場合には、同方法によって保管することが考えられる。
   ⑨ 建替え等により消滅する管理組合は、管理費や修繕積立金等の残余財産を清算する必要がある。なお、清算の方法については、各マンションの実態に応じて規定を整備しておくことが望ましい。」とあり、

 ② 1 に 「長期修繕計画の内容として、計画期間が25年程度以上であること」とありますから、適切です。



2 計画修繕の対象となる工事として、外壁補修、屋上防水、給排水管取替え、窓及び玄関扉等の開口部の改良等が掲げられ、各部位ごとに修繕周期、工事金額等が定められていることが必要である。

○ 適切である。
 これは、選択肢1で引用しました、標準管理規約32条 コメント② 2
 「2 計画修繕の対象となる工事として外壁補修、屋上防水、給排水管取替え、窓及び玄関扉等の開口部の改良等が掲げられ、各部位ごとに修繕周期、工事金額等が定められているものであること」とありますから、適切です。



3 長期修繕計画の作成又は変更及び修繕工事の実施の前提として、劣化診断(建物診断)を管理組合として併せて行うことが必要である。

○ 適切である。
 これは、選択肢1で引用しました、標準管理規約32条 コメント③
 「③ 長期修繕計画の作成又は変更及び修繕工事の実施の前提として、劣化診断(建物診断)を管理組合として併せて行う必要がある」とありますから、適切です。



4 長期修繕計画の内容については、定期的な(おおむね10年程度ごとに)見直しをすることが必要である。

X 適切でない。  5年ごとに見直すこと。 
 これは、選択肢1で引用しました、標準管理規約32条 コメント② 3
 「また、長期修繕計画の内容については定期的な(おおむね5年程度ごとに)見直しをすることが必要である」とあり、長期修繕計画の内容は、外壁の傷み具合、屋上防水の劣化など、各部位によって異なっていますが、大体5年おき程度で、各部位を見て、必要となるコストの変動、新しい技術などの勉強もかねて、見直すといいでしょう。 10年ごとでは、多くの事項を比較するには、長いと思います。
 放置されている部位も出てきますから。



答え:4  過去問題をやっていれば、易しい。 しかし、国土交通省の役人が作成した、たんなる雛形にしか過ぎない「マンション標準管理規約」のしかも、そのコメントから出題するとは、国家資格の試験問題として、不適切です。

問28

問28】マンションの給水設備に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1 受水槽にマンホールを設置しなければならない場合には、そのマンホールは直径50cmの円が内接するものでなければならない。

X 適切でない。 マンホールの直径は 60cm 以上。  平成23年 マンション管理士試験 「問43」 など 出題は多い箇所。
 法的な規定は、建築基準法施行令第129条の2の5 
 「(給水、排水その他の配管設備の設置及び構造)
 第百二十九条の二の五  建築物に設ける給水、排水その他の配管設備の設置及び構造は、次に定めるところによらなければならない。
     一  コンクリートへの埋設等により腐食するおそれのある部分には、その材質に応じ有効な腐食防止のための措置を講ずること。
     二  構造耐力上主要な部分を貫通して配管する場合においては、建築物の構造耐力上支障を生じないようにすること。
     三  第百二十九条の三第一項第一号又は第三号に掲げる昇降機の昇降路内に設けないこと。ただし、地震時においても昇降機のかご(人又は物を乗せ昇降する部分をいう。以下同じ。)の昇降、かご及び出入口の戸の開閉その他の昇降機の機能並びに配管設備の機能に支障が生じないものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの及び国土交通大臣の認定を受けたものは、この限りでない。
     四  圧力タンク及び給湯設備には、有効な安全装置を設けること。
     五  水質、温度その他の特性に応じて安全上、防火上及び衛生上支障のない構造とすること。
     六  地階を除く階数が三以上である建築物、地階に居室を有する建築物又は延べ面積が三千平方メートルを超える建築物に設ける換気、暖房又は冷房の設備の風道及びダストシュート、メールシュート、リネンシュートその他これらに類するもの(屋外に面する部分その他防火上支障がないものとして国土交通大臣が定める部分を除く。)は、不燃材料で造ること。
     七  給水管、配電管その他の管が、第百十二条第十五項の準耐火構造の防火区画、第百十三条第一項の防火壁、第百十四条第一項の界壁、同条第二項の間仕切壁又は同条第三項若しくは第四項の隔壁(以下この号において「防火区画等」という。)を貫通する場合においては、これらの管の構造は、次のイからハまでのいずれかに適合するものとすること。ただし、第百十五条の二の二第一項第一号に掲げる基準に適合する準耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備で建築物の他の部分と区画されたパイプシャフト、パイプダクトその他これらに類するものの中にある部分については、この限りでない。
       イ 給水管、配電管その他の管の貫通する部分及び当該貫通する部分からそれぞれ両側に一メートル以内の距離にある部分を不燃材料で造ること。
       ロ 給水管、配電管その他の管の外径が、当該管の用途、材質その他の事項に応じて国土交通大臣が定める数値未満であること。
       ハ 防火区画等を貫通する管に通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後二十分間(第百十二条第一項から第四項まで、同条第五項(同条第六項の規定により床面積の合計二百平方メートル以内ごとに区画する場合又は同条第七項の規定により床面積の合計五百平方メートル以内ごとに区画する場合に限る。)、同条第八項(同条第六項の規定により床面積の合計二百平方メートル以内ごとに区画する場合又は同条第七項の規定により床面積の合計五百平方メートル以内ごとに区画する場合に限る。)若しくは同条第十三項の規定による準耐火構造の床若しくは壁又は第百十三条第一項の防火壁にあつては一時間、第百十四条第一項の界壁、同条第二項の間仕切壁又は同条第三項若しくは第四項の隔壁にあつては四十五分間)防火区画等の加熱側の反対側に火炎を出す原因となるき裂その他の損傷を生じないものとして、国土交通大臣の認定を受けたものであること。
     八  三階以上の階を共同住宅の用途に供する建築物の住戸に設けるガスの配管設備は、国土交通大臣が安全を確保するために必要があると認めて定める基準によること。
   2  建築物に設ける飲料水の配管設備(水道法第三条第九項 に規定する給水装置に該当する配管設備を除く。)の設置及び構造は、前項の規定によるほか、次に定めるところによらなければならない。
      一  飲料水の配管設備(これと給水系統を同じくする配管設備を含む。この号から第三号までにおいて同じ。)とその他の配管設備とは、直接連結させないこと
      二  水槽、流しその他水を入れ、又は受ける設備に給水する飲料水の配管設備の水栓の開口部にあつては、これらの設備のあふれ面と水栓の開口部との垂直距離を適当に保つ等有効な水の逆流防止のための措置を講ずること。
      三  飲料水の配管設備の構造は、次に掲げる基準に適合するものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものであること。
        イ 当該配管設備から漏水しないものであること。
        ロ 当該配管設備から溶出する物質によつて汚染されないものであること。
     四  給水管の凍結による破壊のおそれのある部分には、有効な防凍のための措置を講ずること。
     五  給水タンク及び貯水タンクは、ほこりその他衛生上有害なものが入らない構造とし、金属性のものにあつては、衛生上支障のないように有効なさび止めのための措置を講ずること。
     六  前各号に定めるもののほか、安全上及び衛生上支障のないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものであること。
   3  建築物に設ける排水のための配管設備の設置及び構造は、第一項の規定によるほか、次に定めるところによらなければならない。
     一  排出すべき雨水又は汚水の量及び水質に応じ有効な容量、傾斜及び材質を有すること。
     二  配管設備には、排水トラップ、通気管等を設置する等衛生上必要な措置を講ずること。
     三  配管設備の末端は、公共下水道、都市下水路その他の排水施設に排水上有効に連結すること。
     四  汚水に接する部分は、不浸透質の耐水材料で造ること。
     五  前各号に定めるもののほか、安全上及び衛生上支障のないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものであること。」とあります。

 この建築基準法施行令第129条の2の5の規定を受け、昭和50年5月30日に建設省の告示第1597号 が出ました。
 そして、同規定は、平成12年5月30日にも改定されて、建建設省告示第1406号があります。
 「◎昭和50年建設省告示第1597号 改正 昭和57年建設省告示第1674号 改正 昭和62年建設省告示第1924号 改正 平成12年建設省告示第1406号
 第1 飲料水の配管設備の構造は、次に定めるところによらなければならない。
     一 給水管
       イ ウォーターハンマーが生ずるおそれがある場合においては、エアチャンバーを設ける等有効なウォーターハンマー防止のための措置を講ずること。
       ロ 給水立て主管からの各階への分岐管等主要な分岐管には、分岐点に近接した部分で、かつ、操作を容易に行うことができる部分に止水弁を設けること。
     二 給水タンク及び貯水タンク
       イ 建築物の内部、屋上又は最下階の床下に設ける場合においては、次に定めるところによること。
        (1) 外部から給水タンク又は貯水タンク(以下「給水タンク等」という。)の天井、底又は周壁の保守点検を容易かつ安全に行うことができるように設けること。
        (2) 給水タンク等の天井、底又は周壁は、建築物の他の部分と兼用しないこと。
        (3) 内部には、飲料水の配管設備以外の配管設備を設けないこと。
        (4) 内部の保守点検を容易かつ安全に行うことができる位置に、次に定める構造としたマンホールを設けること。ただし、給水タンク等の天井が蓋を兼ねる場合においては、この限りでない。 
          (い) 内部が常時加圧される構造の給水タンク等(以下「圧力タンク等」という。)に設ける場合を除き、ほこりその他衛生上有害なものが入らないように有効に立ち上げること。
          (ろ) 直径60cm以上の円が内接することができるものとすること。ただし、外部から内部の保守点検を容易かつ安全に行うことができる小規模な給水タンク等にあっては、この限りでない。
        (5) (4)のほか、水抜管を設ける等内部の保守点検を容易に行うことができる構造とすること。 
        (6) 圧力タンク等を除き、ほこりその他衛生上有害なものが入らない構造のオーバーフロー管を有効に設けること。
        (7) 最下階の床下その他浸水によりオーバーフロー管から水が逆流するおそれのある場所に給水タンク等を設置する場合にあっては、浸水を容易に覚知することができるよう浸水を検知し警報する装置の設置その他の措置を講じること。
        (8) 圧力タンク等を除き、ほこりその他衛生上有害なものが入らない構造の通気のための装置を有効に設けること。ただし、有効容量が2m3未満の給水タンク等については、この限りでない。
        (9) 給水タンク等の上にポンプ、ボイラー、空気調和機等の機器を設ける場合においては、飲料」とあり、

 「二 (4) (ろ)」 によりますと、受水槽(貯水タンク)では、マンホールは、直径60cm以上の円が内接することができるものとありますから、50cmは適切ではありません。60cm以上です





2 ウォーターハンマーを防止するためには、各水栓器具に減圧弁を設けなければならない。

X 適切でない。 各水栓器具にまではいらない。 平成24年 マンション管理士試験 「問43」 。 
 ウォーターハンマー(現象)とは、水撃作用(すいげきさよう)ともよばれ、水圧管内の水流を急に閉め切ったときに、水の慣性で管内に衝撃と高水圧が発生する現象です。騒音や打撃音、また振動を伴います。シングル・レバーの混合栓を急に閉じたり、ポンプの急停止といった急激な圧力変化によって生じます。
 ウォーターハンマー(現象)を防止する方法として、減圧弁を設置する方法もありますが、ウォーターハンマー(現象)の発生原因として、給水の流れが速い場合があげられますから、この流速を1.5~2.0m/秒に抑えることによって、ウォーターハンマー(現象)の発生を防止できます。そこで、流速の遅いところには、減圧弁は不要ですから、各水栓器具にまで、減圧弁を設置するのは、適切ではありません。



3 飲料水の給水系統と消防用水の系統は、逆流を防止する装置などを利用すれば直接連結することができる。

X 適切ではない。 クロスコネクションとして、禁止されている。
 給水・給湯配管が、それ以外の配管や器具・装置に直接接続されることを、クロスコネクションといいます。例としては、飲料水と井戸水、飲料水と消防用水、飲料水と空調用水などを接続していることがあげられます。 たとえバルブ等で水の流れを遮断したとしても、バルブの微細な隙間からの漏れや故障などにより飲料水の汚染が起こる可能性がありますので、飲料水の配管を他の配管と直接つないではいけません。
 法的には、選択肢1で引用しました、建築基準法施行令第129条の2の5 の 2項1号
 「(給水、排水その他の配管設備の設置及び構造)
 第129条の2の5  建築物に設ける給水、排水その他の配管設備の設置及び構造は、次に定めるところによらなければならない。
   2 建築物に設ける飲料水の配管設備(水道法第3条第9項に規定する給水装置に該当する配管設備を除く。)の設置及び構造は、前項の規定によるほか、次に定めるところによらなければならない。
     一 飲料水の配管設備(これと給水系統を同じくする配管設備を含む。この号から第三号までにおいて同じ。)とその他の配管設備とは、直接連結させないこと。」に規定されていて、
 飲料水の給水系統と消防用水の系統は、逆流を防止する装置などを利用しても、直接連結することは、適切ではありません。



4 給水立て主管から各階への分岐管には、分岐点に近接した部分で、かつ、操作を容易にできる部分に止水弁を設けなければならない。

○ 適切である。 平成23年 マンション管理士試験 「問43」 
 選択肢1で引用しました、建設省告示第1597号(最終改正平成12年 5月30日:建設省告示第1406号)
 「第1 飲料水の配管設備の構造は、次に定めるところによらなければならない。
     一 給水管
       イ ウォーターハンマーが生ずるおそれがある場合においては、エアチャンバーを設ける等有効なウォーターハンマー防止のための措置を講ずること。
       ロ 給水立て主管からの各階への分岐管等主要な分岐管には、分岐点に近接した部分で、かつ、操作を容易に行うことができる部分に止水弁を設けること。」とあり、
  (ロ)により、適切です。



答え4  ここも過去問題をやっていると、答えは易しい?


*2013年 12月 12日: これで、マンション管理士試験・管理業務主任者試験とも、設備関係の解説は終わりましたので、また、マンション管理士試験の解説「問14」に戻ります。

問29

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。


【問29】マンションの敷地上の駐車場に関する次の記述のうち、マンション標準管理規約によれば、不適切なものはいくつあるか。

ア 駐車場使用契約により使用者から使用料を徴収している以上、管理組合は必ず車両の保管責任を負わなければならない。

X 適切でない。 必ず車両の保管責任までは負うわけではない。
 駐車場使用は、標準管理規約15条
 「(駐車場の使用)
 第15条 管理組合は、別添の図に示す駐車場について、特定の区分所有者に駐車場使用契約により使用させることができる。
   2 前項により駐車場を使用している者は、別に定めるところにより、管理組合に駐車場使用料を納入しなければならない。
   3 区分所有者がその所有する専有部分を、他の区分所有者又は第三者に譲渡又は貸与したときは、その区分所有者の駐車場使用契約は効力を失う。」とあり、

 通常、管理組合が締結する「駐車場使用契約」では、車両の保管責任までは負わないと規定をいれますが、これに対する、標準管理規約15条
 コメント⑤ 第15条関係
   ① 本条は、マンションの住戸の数に比べて駐車場の収容台数が不足しており、駐車場の利用希望者(空き待ち)が多いという一般的状況を前提としている。
   ② ここで駐車場と同様に扱うべきものとしては、倉庫等がある。
   ③ 本条の規定のほか、使用者の選定方法をはじめとした具体的な手続き、使用者の遵守すべき事項等駐車場の使用に関する事項の詳細については、「駐車場使用細則」を別途定めるものとする。また、駐車場使用契約の内容(契約書の様式)についても駐車場使用細則に位置づけ、あらかじめ総会で合意を得ておくことが望ましい。
   ④ 駐車場使用契約は、次のひな型を参考とする。(雛形は、省略)
   ⑤ 車両の保管責任については、管理組合が負わない旨を駐車場使用契約又は駐車場使用細則に規定することが望ましい。
   ⑥ 駐車場使用細則、駐車場使用契約等に、管理費、修繕積立金の滞納等の規約違反の場合は、契約を解除できるか又は次回の選定時の参加資格をはく奪することができる旨の規定を定めることもできる。
   ⑦ 駐車場使用者の選定は、最初に使用者を選定する場合には抽選、2回目以降の場合には抽選又は申込順にする等、公平な方法により行うものとする。
また、マンションの状況等によっては、契約期間終了時に入れ替えるという方法又は契約の更新を認めるという方法等について定めることも可能である。
   ⑧ 駐車場が全戸分ない場合等には、駐車場使用料を近傍の同種の駐車場料金と均衡を失しないよう設定すること等により、区分所有者間の公平を確保することが必要である。」とあり、

 「⑤ 車両の保管責任については、管理組合が負わない旨を駐車場使用契約又は駐車場使用細則に規定することが望ましい」とありますから、規定することにより、管理組合は、使用料を徴収していても、責任を逃れることもできますから、一応、不適切とします。
 しかし、状況によっては、「車両の保管責任を負わない」の免責規定があっても、裁判官によっては、無効と判断されることもありそうです。



イ 駐車場使用者は、その専有部分を他の区分所有者に貸与した場合にあっても、区分所有者である以上、当該駐車場使用契約は効力を失わない。

X 適切でない。 失う。
 選択肢アで引用しました、標準管理規約15条3項
 「3 区分所有者がその所有する専有部分を、他の区分所有者又は第三者に譲渡又は貸与したときは、その区分所有者の駐車場使用契約は効力を失う。」とあり、
 適切ではありません。



ウ 駐車場使用者が、管理費、修繕積立金等の滞納等の規約違反をしている場合にあっても、駐車場使用細則、駐車場使用契約等に明文規定がなければ、管理組合は当該駐車場使用契約を解除することはできない。

○ 適切である。
  区分所有者(組合員)全員に共通した負担費である、管理費、修繕積立金等の性格と、多くの場合、一部の人が利用する駐車場の契約は、基本的に異なると考えることができます。
 裁判官によっては、管理費や修繕積立金の滞納金は、後からそのマンションを買った特定承継人等に対して、請求できますが、駐車場の滞納金は、特定承継人には請求できないとする考えもあります。
 標準管理規約を作成した人にもこの考え方があったようです。

 それが、選択肢アで引用しました標準管理規約15条 の コメント⑥
 「⑥ 駐車場使用細則、駐車場使用契約等に、管理費、修繕積立金の滞納等の規約違反の場合は、契約を解除できるか又は次回の選定時の参加資格をはく奪することができる旨の規定を定めることもできる。」 とやや遠慮した表現をさせています。
 設問は、適切なのですが、管理費、修繕積立金等の滞納があれば、必ずといっていいほど、駐車場使用料も滞納されますから、それが積み重なると、回収不能にもつながりますので、駐車場使用細則、駐車場使用契約等に「管理費、修繕積立金等の滞納があれば、駐車場使用契約を解除する」ことを明文化しておき、滞納金が増加することを防ぐ手立てが肝心です。



エ 賃借人等の占有者にも駐車場を使用させることができるようにするためには、管理規約を改正しなければならない。

○ 適切である。
 国土交通省が雛形として定めた、標準管理規約は、基本的に、マンション内に駐車を希望する全員の希望を叶える駐車場が無いことを前提にしていますから、選択肢アで引用しました標準管理規約15条
 「(駐車場の使用)
 第15条 管理組合は、別添の図に示す駐車場について、特定の区分所有者に駐車場使用契約により使用させることができる。」
 にみるように、駐車場を使用することのできるのは、区分所有者(組合員)に限定して規定されています。これを、賃借人等の占有者にも駐車場を使用させることができるようにするためには、管理規約を改正しなければなりませんから、適切です。
 これは、あくまでも、標準管理規約だけでの話です。各マンションに共通の規約ではありませんから運用にあたっては注意してください。



1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ


答え:2 不適切なのは、 ア と イ の2つ。  また、また、個数問題とは、平成25年の管理業務主任者試験の出題者は、非常に偏った出題をしています。

問30

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。


【問30】次の記述のうち、区分所有法及びマンション標準管理規約によれば、不適切なものはいくつあるか。

ア 管理組合が、大規模修繕工事の実施に向け、一級建築士事務所とコンサルティング契約を締結する場合において、理事会が、同契約の締結を管理組合の業務に関する重要事項であると判断したときは、契約の締結に関する決定を理事会の決議で行うことができる。

X 不適切である。 重要事項と判断したら、総会の決議事項である。
 管理組合の業務に関する重要事項となると、標準管理規約48条
 「(議決事項)
 第48条 次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければならない。
     一 収支決算及び事業報告
     二 収支予算及び事業計画
     三 管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法
     四 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止
     五 長期修繕計画の作成又は変更
     六 第28条第1項に定める特別の管理の実施並びにそれに充てるための資金の借入れ及び修繕積立金の取崩し
     七 第28条第2項に定める建物の建替えに係る計画又は設計等の経費のための修繕積立金の取崩し
     八 修繕積立金の保管及び運用方法
     九 第21条第2項に定める管理の実施
     十 区分所有法第57条第2項及び前条第3項第三号の訴えの提起並びにこれらの訴えを提起すべき者の選任
     十一 建物の一部が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
     十二 区分所有法第62条第1項の場合の建替え
     十三 役員の選任及び解任並びに役員活動費の額及び支払方法
     十四 組合管理部分に関する管理委託契約の締結
     十五 その他管理組合の業務に関する重要事項」とあり、
 48条15号に該当し、総会の決議が必要となりますから、理事会の決議ではできませんので、不適切です。

 

イ 管理組合に専門委員会を設置するには、理事会の決議で設置することができる場合がある。

○ 適切である。 
 専門委員会の設置は、標準管理規約55条
 「(専門委員会の設置)
 第55条 理事会は、その責任と権限の範囲内において、専門委員会を設置し、特定の課題を調査又は検討させることができる
  2 専門委員会は、調査又は検討した結果を理事会に具申する。」とあります。
 55条1項により、状況により、理事会は専門委員会を設置できますから、適切です。



ウ 理事長が管理費等の滞納者に対して、管理組合を代表して管理費等の支払請求訴訟を提起するには、マンション標準管理規約によれば、理事会の決議で行うことができる。

○ 適切である。 ここは、設問にあるように標準管理規約だけの判断。 平成24年 マンション管理士試験 「問28」 、 平成23年 マンション管理士試験 「問32」 選択肢2 平成23年 マンション管理士試験 「問28」 、 平成22年 管理業務主任者試験 「問36」 選択肢2 、 平成21年 管理業務主任者試験 「問34」 、参考: 平成21 マンション管理士試験 「問26」 。 
  ここは、私が、過去から問題があると指摘してきた、マンションおける「規約違反者に対する行為の中止」を裁判所に求める(差止め請求)と違って、
管理費等の滞納者を問題にしていますので、同67条3項の規定についての私からのコメントは今回は無しです。

 管理費については、標準管理規約60条3項。 
 「(管理費等の徴収)
 第60条 管理組合は、第25条に定める管理費等及び第29条に定める使用料について、組合員が各自開設する預金口座から自動振替の方法により第62条に定める口座に受け入れることとし、当月分は前月の○日までに一括して徴収する。ただし、臨時に要する費用として特別に徴収する場合には、別に定めるところによる。
  2 組合員が前項の期日までに納付すべき金額を納付しない場合には、管理組合は、その未払金額について、年利○%の遅延損害金と、違約金としての弁護士費用並びに督促及び徴収の諸費用を加算して、その組合員に対して請求することができる。
  3 理事長は、未納の管理費等及び使用料の請求に関して、理事会の決議により、管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行することができる。
  4 第2項に基づき請求した遅延損害金、弁護士費用並びに督促及び徴収の諸費用に相当する収納金は、第27条に定める費用に充当する。
  5 組合員は、納付した管理費等及び使用料について、その返還請求又は分割請求をすることができない。」とあります。

 この60条2項の「弁護士費用」も含めて滞納者に対して請求できるか、また規約違反に対しては、区分所有法第57条などの関係で、訴訟にするなら集会の決議事項ではないか、など、標準管理規約のあいまいさにについては議論が必要な箇所ですが、設問では、「マンション標準管理規約によれば」としていますから、だたそれだけなら同条3項により、適切とします。



エ 理事長が、外壁に穴を開けた区分所有者に対して、共同の利益に反することを理由に区分所有法第57条に基づき原状回復を請求するには、理事会の決議で行うことができる。

X 不適切である。 区分所有法第57条なら理事会の決議だけではできない。 
 共同の利益に反することを理由に区分所有法第57条に基づき原状回復を請求するなら、選択肢1で引用しました、総会の決議が必要と定めた標準管理規約48条10号
 「十 区分所有法第57条第2項及び前条第3項第三号の訴えの提起並びにこれらの訴えを提起すべき者の選任」とあり、総会の決議が必要で、理事会の決議だけでは、行うことはできませんから、適切ではありません。

 また、区分所有法第57条
 「(共同の利益に反する行為の停止等の請求)
 第五十七条  区分所有者が第六条第一項に規定する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。
  2  前項の規定に基づき訴訟を提起するには、集会の決議によらなければならない。
  3  管理者又は集会において指定された区分所有者は、集会の決議により、第一項の他の区分所有者の全員のために、前項に規定する訴訟を提起することができる。
  4  前三項の規定は、占有者が第六条第三項において準用する同条第一項に規定する行為をした場合及びその行為をするおそれがある場合に準用する。 」とあり、
 区分所有法第57条2項により、集会の決議が必要ですから、適切ではありません。


 2014年 1月 4日 追記: この設問は、曖昧です。 「共同の利益に反することを理由に区分所有法第57条に基づき原状回復を請求」が、区分所有法第57条1項での「裁判外の請求」ともとれるからです。 しかし、「原状回復の裁判外の請求」が、理事会の決議だけでできるかとなると、また、標準管理規約67条の規定の曖昧さにもどるのですが。
 参考:標準管理規約67条
 「(理事長の勧告及び指示等)
 第67条 区分所有者若しくはその同居人又は専有部分の貸与を受けた者若しくはその同居人(以下「区分所有者等」という。)が、法令、規約又は使用細則等に違反したとき、又は対象物件内における共同生活の秩序を乱す行為を行ったときは、理事長は、理事会の決議を経てその区分所有者等に対し、その是正等のため必要な勧告又は指示若しくは警告を行うことができる。
   2 区分所有者は、その同居人又はその所有する専有部分の貸与を受けた者若しくはその同居人が前項の行為を行った場合には、その是正等のため必要な措置を講じなければならない。
   3 区分所有者等がこの規約若しくは使用細則等に違反したとき、又は区分所有者等若しくは区分所有者等以外の第三者が敷地及び共用部分等において不法行為を行ったときは、理事長は、理事会の決議を経て、次の措置を講ずることができる。
     一 行為の差止め、排除又は原状回復のための必要な措置の請求に関し、管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行すること
     二 敷地及び共用部分等について生じた損害賠償金又は不当利得による返還金の請求又は受領に関し、区分所有者のために、訴訟において原告又は被告となること、その他法的措置をとること
   4 前項の訴えを提起する場合、理事長は、請求の相手方に対し、違約金としての弁護士費用及び差止め等の諸費用を請求することができる。
   5 前項に基づき請求した弁護士費用及び差止め等の諸費用に相当する収納金は、第27条に定める費用に充当する。
   6 理事長は、第3項の規定に基づき、区分所有者のために、原告又は被告となったときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならない。この場合には、第43条第2項及び第3項の規定を準用する。



1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ


答え:2 不適切なのは、ア 、 エ の2つ。  選択肢ウ の標準管理規約が、どうしてもめるのか、過去の標準管理規約67条3項での出題も参考にしてください。

●2014年 1月17日:一般社団法人マンション管理業協会の発表: 
正解:1、及び 2 。

 そこで、一般社団法人マンション管理業協会のお詫び文: http://www.syuninsya.jp/h25ans.html
 *問30のエについては、適切とも不適切ともとれる余地があるため、1および2のいずれも正解とすることといたしました。受験生の方々にご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げますとともに、再発防止に努めてまいります。

 *合否、試験問題および正解の根拠等に関するお問い合わせには一切応じられません。


*ひどい、一般社団法人マンション管理業協会の態度を糾弾します!
 上記のような、一般社団法人マンション管理業協会のお詫び文ということですが、こんな、お粗末な、マンション管理業協会のお詫び文に、納得している人がいるのでしょうか!
 ¥8,900-という高額な受験料を取っていて、管理業務主任者という重要な国家資格を決める立場を、国土交通省から指定されている試験機関としては、昨年(平成24年)の2問の出題ミスに続いて、また、平成25年にも出題ミスが発生したのです。
  
 参考:平成24年度の管理業務主任者試験について
 平成25年 2月15日付けで(旧)社団法人:高層住宅管理業協会(現在は、一般社団法人マンション管理業協会に名称変更)から「問6」と「問29」での出題ミスがあったとの発表で変更した。
  ★平成24年度管理業務主任者試験追加合格について :社団法人 高層住宅管理業協会
   平成24年度管理業務主任者試験問題の正解については、平成25年1月18日、当協会ホームページに掲載したところでありますが、その後、設問を精査した 結果、【問6】の正解肢「肢3」に加え「肢1」及び【問29】の正解肢「肢2」に加え「肢3」を正解肢として取扱うことといたしました。
   本取扱いによって、合格基準点に達した方を合格者といたします。
なお、今回の件で、受験生の皆様にご迷惑をおかけいたしましたことを深くお詫び申し上げますとともに、今後このようなことが起きることがないように努め、より一層、適切な管理業務主任者試験の実施に取り組んで参ります。


 多くの受験生(また解説者として貴重な時間を割いています、マンション管理士 香川 も含めて)が、精魂を尽くして、正解を追求しているのに、こんな、「再発防止に努めてまいります」のような役所言葉で終わりにできるのでしょうか。
 しかも、注意して読まなければ分からないような、解答表の下の方に記載するとは、まったく一般社団法人マンション管理業協会は反省していません。
 責任は、もっと重大です。
 これは、もう国土交通省から、指定試験機関の指定を取り下げてもらうより、他に道はないようです。

 また、マンション管理業協会の態度:合否、試験問題および正解の根拠等に関するお問い合わせには一切応じられません
 は、皆さんはどう思いますか?
 
 他の試験請負機関にしても、解答の根拠を示さないということは、この情報の開示を求める時代の要請に相変わらず背を向けた身勝手で傲慢な態度です。
 これからは、マンション管理士試験にしても、管理業務主任者試験でも、正解の根拠を開示して、正しい試験問題であるかどうか、多くの専門家に検討させるべきです。


●それにしても、この「問30」を、見直させた受験生は素晴らしい!
 私は、解説に集中していたので、「問30」の曖昧さだけを指摘するだけで、終わっていたのですが、誰かが、昨年のように、国土交通省または、試験を請け負った一般社団法人マンション管理業協会に対して抗議の行動をとったようですね。
 参考:平成24年の管理業務主任者試験「問6」 、 平成24年の管理業務主任者試験「問29」に対する質問状

 これからの受験生も、だまって正解発表を待つだけでなく、おかしいと思ったら、監督官庁の国土交通省に問い合わせの行動をしてください。
私も、過去、疑問な出題に対して、何度も一般社団法人マンション管理業協会に電話やメールで質問をしましたが、まったく、「木で鼻をくくる」態度でした。しかし、国土交通省の態度は真摯でした。


*2013年12月 5日:資格校での解答速報で、1 か 2 で分かれていたので、先に解説をしました。次は、資格校での解答が分かれています、「問35」も先にやります。
問31

【問31】団地管理組合の成立に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 一筆の土地である甲の上に建物A(区分所有建物)、建物B(区分所有建物)、建物C(区分所有建物)、建物D(区分所有建物)が存在する場合において、甲が建物A、建物B、建物C、建物Dの区分所有者全員の共有に属しているときは、団地管理組合が成立する。

○ 正しい。 平成23年 管理業務主任者試験 「問38」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問11」 、 平成19年 マンション管理士試験 「問12」 、 平成18年 マンション管理士試験 「問11」 、平成15年 管理業務主任者試験 「問36」 など。

 土地を「筆」で数えることに疑問がある人は、どこかで勉強してください。
 まず、団地という団体関係の成立は、区分所有法第65条
 「(団地建物所有者の団体)
 第六十五条  一団地内に数棟の建物があつて、その団地内の土地又は附属施設(これらに関する権利を含む。)がそれらの建物の所有者(専有部分のある建物にあつては、区分所有者)の共有に属する場合には、それらの所有者(以下「団地建物所有者」という。)は、全員で、その団地内の土地、附属施設及び専有部分のある建物の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。 」とあります。
 これを図示しますと下のようになります。




★団地管理団体(組合)の成立の要件は、
  ①一団地内(1つの区画内)に数棟の建物があること
  ②その団地内の土地又は附属施設がそれらの建物の所有者(専有部分のある建物にあつては、区分所有者)の共有に属すること とされています。
 注意しなければいけないのは、区分所有法での団地関係を構成するのは、区分所有建物だけでなく、戸建てがあってもいいということです。

 設問は、


 となりますから、区分所有法第65条の要件
  ①一団地内(1つの区画内)に数棟の建物があること、
  ②その団地内の土地がそれらの建物の所有者(専有部分のある建物にあつては、区分所有者)の共有に属すること をみたしていますから、正しい。



2 一筆の土地である甲の上に建物A(区分所有建物)、建物B(戸建て住宅)、建物C(戸建て住宅)が存在する場合において、建物A、建物B、建物Cの所有者全員が甲を共有するときは、団地管理組合が成立する。

○ 正しい。
 設問は、
 
 となり、区分所有建物と戸建てが、1つの土地の上に混在しても、区分所有法第65条の要件
  ①一団地内(1つの区画内)に数棟の建物があること、
  ②その団地内の土地がそれらの建物の所有者の共有に属すること をみたしていますから、正しい。



3 四筆の土地である甲、乙、丙、丁の上に、それぞれ、建物A(戸建て住宅)、建物B(戸建て住宅)、建物C(戸建て住宅)、集会所Dが存在する場合において、建物A、建物B、建物Cの所有者全員が集会所Dを共有していたとしても団地管理組合は成立しない。

X 誤っている。 団地関係が成立する。
 設問は、

 となり、戸建てでも、団地の附属施設である集会所Dが、ABCの共有ですから、区分所有法第65条の要件
  ①一団地内(1つの区画内)に数棟の建物があること、
  ②その団地内の附属施設がそれらの建物の所有者の共有に属すること をみたしており、団地関係が成立しますから、誤りです。



4 四筆の土地である甲、乙、丙、丁の上に、それぞれ、建物A(区分所有建物)、建物B(区分所有建物)、建物C(区分所有建物)、建物D(区分所有建物)が存在する場合において、建物Dの中に存在する管理事務室が建物A、建物B、建物C、建物Dの区分所有者全員の共有に属しているときは団地管理組合が成立する。

○ 正しい。
 設問は、

 附属施設の管理事務室が、ABCDの区分所有者全員の共有であれば、区分所有法第65条の要件
  ①一団地内(1つの区画内)に数棟の建物があること、
  ②その団地内の附属施設がそれらの建物の所有者(専有部分のある建物にあつては、区分所有者)の共有に属すること をみたしていますから、正しい。



答え:3  サービスとして、特別な図を入れました。 しかし、設問が込み入っていて、図を作るのも、時間がかかる。

問32

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

【問32】マンションの専有部分と共用部分に関する次の記述のうち、マンション標準管理規約によれば、最も適切なものはどれか。

1 各住戸の玄関扉の内部塗装部分及び窓ガラスの内側部分は専有部分である。

X 適切でない。 玄関扉の内部塗装部分は専有部分だが、窓ガラスの内側部分は専有部分ではない。
 窓ガラスの内側部分とは、一体どの部分を指すのか分かりませんが、マンションにおいては、専有部分とされる部分と共用部分とされる部分の区切りが非常に困難な状況が多く発生し、裁判でも揉めています。
 そこで、出題としては、標準管理規約によればとしていますので、これに従った判断をします。
 まず、専有部分と共用部分は、標準管理規約7条及び同8条にあります。
 「(専有部分の範囲)
 第7条 対象物件のうち区分所有権の対象となる専有部分は、住戸番号を付した住戸とする。
   2 前項の専有部分を他から区分する構造物の帰属については、次のとおりとする。
     一 天井、床及び壁は、躯体部分を除く部分を専有部分とする。
     二 玄関扉は、錠及び内部塗装部分を専有部分とする。
     三 窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれないものとする。
   3 第1項又は前項の専有部分の専用に供される設備のうち共用部分内にある部分以外のものは、専有部分とする。

 「(共用部分の範囲)
 第8条 対象物件のうち共用部分の範囲は、別表第2に掲げるとおりとする」です。
 そこで、共用部分の範囲を定めている別表第2は、
 「別表第2 共用部分の範囲
   1 エントランスホール、廊下、階段、エレベーターホール、エレベーター室、共用トイレ、屋上、屋根、塔屋、ポンプ室、自家用電気室、機械室、受水槽室、高置水槽室、パイプスペース、メーターボックス(給湯器ボイラー等の設備を除く。)、内外壁、界壁、床スラブ、床、天井、柱、基礎部分、バルコニー等専有部分に属さない「建物の部分」
   2 エレベーター設備、電気設備、給水設備、排水設備、消防・防災設備、インターネット通信設備、テレビ共同受信設備、オートロック設備、宅配ボックス、避雷設備、集合郵便受箱、各種の配線配管(給水管については、本管から各住戸メーターを含む部分雑排水管及び汚水管については、配管継手及び立て管)等専有部分に属さない「建物の附属物」
   3 管理事務室、管理用倉庫、清掃員控室、集会室、トランクルーム、倉庫及びそれらの附属物」です。

 設問の前半「各住戸の玄関扉の内部塗装部分」は、専有部分を定めた7条2項2号に該当しますから、この箇所は、適切です。

 次の後半の「窓ガラスの内側部分」は、専有部分を定めた7条2項3号「三 窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれないものとする」により、「窓ガラス」は、専有部分ではないとしていますから、「窓ガラスの内側部分」が、どの部分かは明らかではありませんが、専有部分ではないと考えて、適切ではありません。
 全体として、設問は後半が、適切ではありません。
 なお、窓ガラスは専有部分ではありませんが、割れた場合には、その専有部分の所有者の負担で、同じものを入れます。(では、勝手に、ペア・ガラスにしたら?)


 


2 雑排水管及び汚水管については、配管枝管から配管継手部分までが専有部分である。

X 適切でない。 配管継手部分は共用部分になる。
 選択肢1で引用しました、別表第2 2 「雑排水管及び汚水管については、配管継手及び立て管等専有部分に属さない」とあり、配管の枝管は専有部分ですが、配管継手は共用部分で、適切ではありません。


3 給水管については、本管から各住戸メーターを含む部分までが共用部分である。

○ 適切である。
 これも、選択肢1で引用しました、別表第2 2 「給水管については、本管から各住戸メーターを含む部分等専有部分に属さない」とあり、共用部分として、適切です。


4 メーターボックス内にある給湯器ボイラーは共用部分である。

X 適切でない。 メーターボックス内にある給湯器ボイラーは共用部分から除く。 専有部分である。
 これも、選択肢1で引用しました、共用部分を定めた別表第2 1 「メーターボックス(給湯器ボイラー等の設備を除く。)」とあり、メーターボックス内にある給湯器ボイラーは共用部分から除かれますから、適切ではありません。


答え:3  各用語を読んで、その設備やある場所が想像できるといいでしょう。

問33

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。


【問33】あるマンションの管理組合(理事長A、理事B、理事C、理事D、監事E)において、理事Bが、自分以外の他の理事が不正に管理費等を使用しているなどと誹謗中傷する文書をばらまいたため、理事Cが辞任し、後任理事が未選任の場合に関する次の記述のうち、区分所有法及びマンション標準管理規約によれば、最も不適切なものはどれか。

1 理事Cは、総会又は理事会の承認がなくても辞任することができるが、後任の理事が就任するまでの間は引続きその職務を行わなければならない。

○ 適切である。
 まず、マンションの管理組合が法人化されていれば、区分所有法との関係において、理事や監事の法的な立場が明確になるのですが、法人化されていない、マンションの管理組合となると、理事長は区分所有法の管理者との定めがありますから(標準管理規約38条2項)区分所有法の管理者の規定を適用することが可能ですが、一般の理事においては、法的な立場はどうなのかという論争にもなります。
 でも、それらは置いといて、総会において選任された理事や監事は、民法での委任の規定が適用されると考えていいでしょう。

 参考:区分所有法第28条
 「(委任の規定の準用)
 第二十八条  この法律及び規約に定めるもののほか、管理者の権利義務は、委任に関する規定に従う。 」

 すると、民法第651条
 「(委任の解除)
 第六百五十一条  委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる
   2  当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは、その当事者の一方は、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。 」とあり、
 民法第651条1項により、設問の理事Cは、いつでも委任契約を解除できますから、いいかえますと、理事を辞任できますから、辞任において総会又は理事会の承認は不要です。

 しかし、理事が勝手に辞任されると、管理組合の運営に支障がでる恐れもありますから、標準管理規約では、対応策として、標準管理規約36条
 「(役員の任期)
 第36条 役員の任期は○年とする。ただし、再任を妨げない。
   2 補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。
   3 任期の満了又は辞任によって退任する役員は、後任の役員が就任するまでの間引き続きその職務を行う。
   4 役員が組合員でなくなった場合には、その役員はその地位を失う。」とあり、

 標準管理規約36条3項により、理事Cは、辞任しても、後任の理事が就任するまでの間は引続きその職務を行わなければならなりませんから、適切です。



2 理事長Aは、理事会の決議をもって、理事Bの理事解任を議題とする臨時総会を招集することができるが、この場合、辞任した理事Cも理事会の決議につき議決権を有する。

○ 適切である。
 まず、前半の「理事長Aは、理事会の決議をもって、理事Bの理事解任を議題とする臨時総会を招集すること」ですが、理事会で決議できる事項は、標準管理規約54条
 「(議決事項)
 第54条  理事会は、この規約に別に定めるもののほか、次の各号に掲げる事項を決議する。
     一 収支決算案、事業報告案、収支予算案及び事業計画案
     二 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止に関する案
     三 長期修繕計画の作成又は変更に関する案
     四 その他の総会提出議案
     五 第17条に定める承認又は不承認
     六 第58条第3項に定める承認又は不承認
     七 第60条第3項に定める未納の管理費等及び使用料の請求に関する訴訟その他法的措置の追行
     八 第67条に定める勧告又は指示等
     九 総会から付託された事項」とあり、
  54条4号により、「理事Bの理事解任を議題とする」事項を総会に提出する議案として理事会は決議できます。

 すると、理事長は、標準管理規約42条
 「(総会)
 第42条 管理組合の総会は、総組合員で組織する。
   2 総会は、通常総会及び臨時総会とし、区分所有法に定める集会とする。
   3 理事長は、通常総会を、毎年1回新会計年度開始以後2ケ月以内に招集しなければならない。
   4 理事長は、必要と認める場合には、理事会の決議を経て、いつでも臨時総会を招集することができる。
   5 総会の議長は、理事長が務める。」とあり、
 標準管理規約42条4項により、臨時総会を招集できますから、前半は、適切です。

 後半の「この場合、辞任した理事Cも理事会の決議につき議決権を有する」は、選択肢1でも引用しました、標準管理規約36条3項
 「3 任期の満了又は辞任によって退任する役員は、後任の役員が就任するまでの間引き続きその職務を行う」により、
 辞任を表明していましても、まだ後任の理事が決まるまでは理事職からは解放されていませんから、その見返りとして当然に理事会の決議につき議決権を有していますので、適切です。
 選択肢2は、全体として、適切です。



3 理事会決議が得られないことを知った理事Dほか10名の組合員は、理事長Aに対し、組合員の総会招集請求権の要件を満たしたとして、理事Bの理事解任を議題とする臨時総会の招集を請求したが、個人情報保護を理由に理事Dが10名の組合員の氏名を明らかにしない以上、理事長Aはこの総会を招集することができない。

○ 適切である。 臨時総会の招集を請求するなら、請求する組合員全員の氏名は、明らかにすること。 平成23年 管理業務主任者試験 「問32」 、 平成20年 管理業務主任者 試験 「問31」 。
 通常、総会や臨時総会は、選択肢2で引用しました、標準管理規約42条3項や4項の規定
 「(総会)
 第42条 管理組合の総会は、総組合員で組織する。
   2 総会は、通常総会及び臨時総会とし、区分所有法に定める集会とする。
   3 理事長は、通常総会を、毎年1回新会計年度開始以後2ケ月以内に招集しなければならない。
   4 理事長は、必要と認める場合には、理事会の決議を経て、いつでも臨時総会を招集することができる。
   5 総会の議長は、理事長が務める。」により、
 理事長が招集しますが、これでは、理事長にとって好ましくない事情がある時には、理事長が総会や臨時総会を招集しない場合もありますので、ある程度の区分所有者(組合員)が集まれば、臨時総会を招集できると定めています。
 それが、区分所有法第34条
 「(集会の招集)
 第三十四条  集会は、管理者が招集する。
   2  管理者は、少なくとも毎年一回集会を招集しなければならない。
   3  区分所有者の五分の一以上で議決権の五分の一以上を有するものは、管理者に対し、会議の目的たる事項を示して、集会の招集を請求することができる。ただし、この定数は、規約で減ずることができる。
   4  前項の規定による請求がされた場合において、二週間以内にその請求の日から四週間以内の日を会日とする集会の招集の通知が発せられなかつたときは、その請求をした区分所有者は、集会を招集することができる
   5  管理者がないときは、区分所有者の五分の一以上で議決権の五分の一以上を有するものは、集会を招集することができる。ただし、この定数は、規約で減ずることができる。 」です。

 この区分所有法第34条3項及び4項の規定を受けた、標準管理規約44条
 「(組合員の総会招集権)
 第44条  組合員が組合員総数の5分の1以上及び第46条第1項に定める議決権総数の5分の1以上に当たる組合員の同意を得て、会議の目的を示して総会の招集を請求した場合には、理事長は、2週間以内にその請求があった日から4週間以内の日(会議の目的が建替え決議であるときは、2か月と2週間以内の日)を会日とする臨時総会の招集の通知を発しなければならない
   2 理事長が前項の通知を発しない場合には、前項の請求をした組合員は、臨時総会を招集することができる
 (ア)電磁的方法が利用可能ではない場合
   3 前2項により招集された臨時総会においては、第42条第5項にかかわらず、議長は、総会に出席した組合員(書面又は代理人によって議決権を行使する者を含む。)の議決権の過半数をもって、組合員の中から選任する。」です。

 この、区分所有法や標準管理規約での「区分所有者の五分の一以上で議決権の五分の一以上を有するもの」または、「組合員が組合員総数の5分の1以上及び第46条第1項に定める議決権総数の5分の1以上に当たる組合員の同意を得て」の1/5の区分所有者(組合員)などを確認するには、当然ながら、彼らが正当な区分所有者であるかどうかを調査する作業も必要となります。そこで、「個人情報保護を理由に理事Dが10名の組合員の氏名を明らかにしない」のであれば、10名が真の組合員であるかどうか不明ですから、理事長Aはこの総会を招集することができなくて、適切です。



4 監事Eは、管理組合及び理事会の業務執行と財産の状況を調べ、理事B以外の理事には不正行為がなかった場合には、組合業務の妨害を行った理事Bの解任を議題とする臨時総会を招集することができる。

X 適切ではない。 監事の役目は 報告まで。 解任請求までは求められない。 平成23年 管理業務主任者試験 「問29」 。
 設問がかなり分かり難いのですが、要点は、監事の役目は何かということです。
 それは、標準管理規約41条。
 「(監事)
 第41条 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況を監査し、その結果を総会に報告しなければならない。
   2 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認めるときは、臨時総会を招集することができる。
   3 監事は、理事会に出席して意見を述べることができる。」とあり、

 41条2項によれば、「監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認めるときは、臨時総会を招集」し、内容を総会で説明することができます、がそれ以外の、「理事Bの解任を議題とする臨時総会」などの招集権限はありませんから、適切ではありません。
 理事Bの解任を議題とする臨時総会の招集は、通常、理事長が招集します。



答え:4  ここも、選択肢4 はすぐに分かる。

問34

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

【問34】管理組合の会計年度と役員の業務に関する次の記述のうち、マンション標準管理規約によれば、最も不適切なものはどれか。

1 新年度開始後も、前年度理事長及び理事は、新年度理事が選任されるまでの間、管理組合の業務を行わなければならない。

○ 適切である。 
 まったく、前の「問33」 と同じような設問で、面白くありません。
 本来なら、新年度が開始されるまでに、総会を開催して、新年度の役員(理事長及び理事、監事)を選任して、新理事会のもとで、新年度の事業計画及び収支予算などが、総会で決議されるのが望ましい方法ですが、現実的には、続けて2回も総会を開くまでもないと、標準管理規約を作った国土交通省の人は考えているようです。
 そこで、標準管理規約36条
 「(役員の任期)
 第36条 役員の任期は○年とする。ただし、再任を妨げない。
   2 補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。
   3 任期の満了又は辞任によって退任する役員は、後任の役員が就任するまでの間引き続きその職務を行う。
   4 役員が組合員でなくなった場合には、その役員はその地位を失う。」とあり、
  36条3項により、任期が満了しても、後任者が決まるまで、役員である理事長も理事も、新年度の役員が選任されるまで、その業務を行わなければなりませんから、適切です。



2 新年度の監事は、新年度開始後自分が就任するまでの間の管理組合の業務の執行及び財産の状況についても監査しなければならない。

○ 適切である? 当然といえば、当然ですが、根拠は?
 設問が適切ではないのですが、まず、監事の職務は、 標準管理規約41条
 「(監事)
 第41条 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況を監査し、その結果を総会に報告しなければならない。
   2 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認めるときは、臨時総会を招集することができる。
   3 監事は、理事会に出席して意見を述べることができる。」です。
 また、監事は、標準管理規約35条
 「(役員)
 第35条 管理組合に次の役員を置く。
     一 理事長
     二 副理事長 ○名
     三 会計担当理事 ○名
     四 理事(理事長、副理事長、会計担当理事を含む。以下同じ。) ○名
     五 監事 ○名
   2 理事及び監事は、組合員のうちから、総会で選任する。
   3 理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事の互選により選任する。」とあり、
 監事も総会で選任され、理事と並んで、管理組合の役員です。

 すると、選択肢1で引用しました、標準管理規約36条3項
 「3 任期の満了又は辞任によって退任する役員は、後任の役員が就任するまでの間引き続きその職務を行う。」
 
 により、設問のように、「新年度の監事は、新年度開始後自分が就任するまでの間の管理組合の業務の執行及び財産の状況について」は、前任の監事の仕事であると捉えやすいのですが、これでは、監査結果の責任が分散される恐れがあります。特に財産の状況の監査に該当する会計関係の監査は、会計年度全体の帳票の監査を必要とするため、新規に選任された監事は、新年度開始後自分が就任するまでの間の管理組合の業務の執行及び財産の状況についても監査すべきで、適切と判断します。

 なお、参考までに、標準管理規約59条
 「(会計報告)
 第59条 理事長は、毎会計年度の収支決算案を監事の会計監査を経て、通常総会に報告し、その承認を得なければならない。」とあります。しかし、これだけで、設問のように「新年度の監事は、新年度開始後自分が就任するまでの間の管理組合の業務の執行及び財産の状況についても監査しなければならない。」と言い切れるかは、多いに疑問があります。



3 新年度開始後に前年度理事長が理事会の承認を得て支出を行うことができるものは、経常的であり、かつ新年度の収支予算案が総会で承認する前に支出することがやむを得ないものに限られる。

X 適切でない。 限らない。1号と2号がある。 改正点。改正箇所は出題されやすい。 平成25年 マンション管理士試験 「問34」 。
 平成23年7月の標準管理規約で改正された規定です。改正箇所は出題されやすいの注意が必要と喚起した、標準管理規約58条
 「(収支予算の作成及び変更)
 第58条 理事長は、毎会計年度の収支予算案を通常総会に提出し、その承認を得なければならない
   2 収支予算を変更しようとするときは、理事長は、その案を臨時総会に提出し、その承認を得なければならない。
   3 理事長は、第56条に定める会計年度の開始後、第1項に定める承認を得るまでの間に、以下の各号に掲げる経費の支出が必要となった場合には、理事会の承認を得てその支出を行うことができる。
     一 第27条(注:管理費から充当される経費))に定める通常の管理に要する経費のうち、経常的であり、かつ、第1項の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるもの
     二 総会の承認を得て実施している長期の施工期間を要する工事に係る経費であって、第1項の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるもの

   4 理事長は、前項に定める支出を行ったときは、第1項に定める収支予算案の承認を得るために開催された通常総会において、その内容を報告しなければならない。この場合において、当該支出は、その他の収支予算とともに承認されたものとみなす。」とあり、

 設問の「新年度開始後に前年度理事長が理事会の承認を得て支出を行うことができるものは、経常的であり、かつ新年度の収支予算案が総会で承認する前に支出することがやむを得ないもの」は、58条3項1号に該当して、適正です。
 しかし、58条3項2号にも「総会の承認を得て実施している長期の施工期間を要する工事に係る経費であって、第1項の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるもの」が規定されていて、
標準管理規約58条には、1号だけでなく、2号もありますから、1号だけに「限られる」は、適切ではありません。



4 新年度理事長及び理事は、前年度理事会が通常総会に提出し承認された新年度の事業計画及び収支予算に拘束され、これを変更するには臨時総会で承認を得なければならない。

○ 適切である。
 選択肢1でも述べましたように、本来なら、新年度が開始されるまでに、総会を開催して、新年度の役員(理事長及び理事、監事)を選任して、新理事会のもとで、新年度の事業計画及び収支予算などが、総会で決議されるのが望ましい方法ですが、現実的には、続けて2回も総会を開くまでもないと、標準管理規約を作った国土交通省の人は考えているようです。
 すると、新年度理事長及び理事は、前年度理事会が通常総会に提出し承認された新年度の事業計画及び収支予算に拘束されるは、適切となります。
 なお、後半の「これを変更するには臨時総会で承認を得なければならない」は、選択肢3で引用しました、標準管理規約58条2項
 「2 収支予算を変更しようとするときは、理事長は、その案を臨時総会に提出し、その承認を得なければならない。」に該当していますから、選択肢4は全体として、適切です。



答え:3  この「問34」 の出題は、かなり不適切な内容を含んでいます。 標準管理規約の改正点を出題するために捻出したようですが、他の選択肢も、もっと、明確な規定がある箇所から出題すべきです。、

問35

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

【問35】管理組合で、セントラル給湯システム(一括給湯方式)の装置の老朽化とランニングコストの試算結果により、個別給湯方式に切り替えようとしている場合に関する次の記述のうち、区分所有法及びマンション標準管理規約によれば、最も不適切なものはどれか。

1 一括給湯方式を個別給湯方式に切り替えるには、各住戸内の給湯器装置への配管工事も必要になるから、この各住戸内の給湯器設置への配管工事も総会の決議を経れば、管理組合が行うことができる。

○ 適切である。
 各住戸内の給湯器装置への配管工事も必要となると、専有部分にも入ることになります。
 すると、総会の決議事項は、標準管理規約48条
 「(議決事項)
 第48条 次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければならない。
     一 収支決算及び事業報告
     二 収支予算及び事業計画
     三 管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法
     四 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止
     五 長期修繕計画の作成又は変更
     六 第28条第1項に定める特別の管理の実施並びにそれに充てるための資金の借入れ及び修繕積立金の取崩し
     七 第28条第2項に定める建物の建替えに係る計画又は設計等の経費のための修繕積立金の取崩し
     八 修繕積立金の保管及び運用方法
     九 第21条第2項に定める管理の実施
     十 区分所有法第57条第2項及び前条第3項第三号の訴えの提起並びにこれらの訴えを提起すべき者の選任
     十一 建物の一部が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
     十二 区分所有法第62条第1項の場合の建替え
     十三 役員の選任及び解任並びに役員活動費の額及び支払方法
     十四 組合管理部分に関する管理委託契約の締結
     十五 その他管理組合の業務に関する重要事項」とあり、
 48条9号が関係します。

 引用されています標準管理規約21条2項は、
 「(敷地及び共用部分等の管理)
 第21条 敷地及び共用部分等の管理については、管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとする。ただし、バルコニー等の管理のうち、通常の使用に伴うものについては、専用使用権を有する者がその責任と負担においてこれを行わなければならない。
  2 専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分の管理を共用部分の管理と一体として行う必要があるときは、管理組合がこれを行うことができる。」です。

 21条2項に該当するものとしては、配管や配線が考えられますから、各住戸内の給湯器設置への配管工事も総会の決議を経れば、管理組合が行うことができますので、適切です。



2 この切替え工事の実施には、総会で特別決議を経なければならない。

○ 適切である。 その形状又は効用の著しい変更を伴う工事である。
 総会における決議で、出席組合員の過半数で決するもの(普通決議)と、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する(特別決議)については、標準管理規約47条があります。
 「(総会の会議及び議事)
 第47条 総会の会議は、前条第1項に定める議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならない。
  2 総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。
  3 次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前項にかかわらず、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する
     一 規約の制定、変更又は廃止
     二 敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。
     三 区分所有法第58条第1項、第59条第1項又は第60条第1項の訴えの提起
     四 建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
     五 その他総会において本項の方法により決議することとした事項
  4 建替え決議は、第2項にかかわらず、組合員総数の5分の4以上及び議決権総数の5分の4以上で行う。 
 (ア)電磁的方法が利用可能ではない場合
  5 前4項の場合において、書面又は代理人によって議決権を行使する者は、出席組合員とみなす。
  6 第3項第一号において、規約の制定、変更又は廃止が一部の組合員の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。この場合において、その組合員は正当な理由がなければこれを拒否してはならない。
  7 第3項第二号において、敷地及び共用部分等の変更が、専有部分又は専用使用部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分を所有する組合員又はその専用使用部分の専用使用を認められている組合員の承諾を得なければならない。この場合において、その組合員は正当な理由がなければこれを拒否してはならない。
  8 第3項第三号に掲げる事項の決議を行うには、あらかじめ当該組合員又は占有者に対し、弁明する機会を与えなければならない。
  9 総会においては、第43条第1項によりあらかじめ通知した事項についてのみ、決議することができる。」です。

 そこで、この47条3項2号の「敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)」に、設問の「一括給湯方式を個別給湯方式に切り替える」が該当するかどうかの検討ですが、一括給湯方式を個別給湯方式に切り替えるには、現在あるセントラル給湯器やそこから出ている給湯用配管の撤去、各戸においては必要に応じてガス主管の増径などで大規模な工事を伴うため、47条3項2号の「敷地及び共用部分等の変更」に該当しますから、総会の特別決議が必要で、適切です。

 ★2014年 1月29日 追記: 「特別決議」とは何か?
  2013年12月 5日には、資格校での解答が分かれていたので、解説を先にしました。
 しかし、よく読むと、この設問「総会での特別決議」での「特別決議」については私が解説をしてしまいましたが、出題者は、「特別決議」の定義を忘れています。
 標準管理規約においても「特別決議」の定義や規定はなく、標準管理規約47条3項にありますように「3 次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前項にかかわらず、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する。」とあり、「特別決議」の言葉は使用していません。
 建替えでは、「組合員総数の5分の4以上及び議決権総数の5分の4以上」のさらに特別な決議も必要とされることを考慮しますと、「特別決議」とするだけでは、判断が曖昧になるこの出題は、不適切です。
 「特別決議」は、「組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上の決議」としなければなりません。


3 この切替え工事の実施に伴う規約の変更については、区分所有者全体に一律にその影響が及ぶから特定の区分所有者の承諾は不要である。

○ 適切である。 区分所有法第31条の解釈。
 工事で規約の変更になると、区分所有法第31条
 「(規約の設定、変更及び廃止)
 第三十一条  規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議によつてする。この場合において、規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない
  2  前条第二項に規定する事項についての区分所有者全員の規約の設定、変更又は廃止は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者の四分の一を超える者又はその議決権の四分の一を超える議決権を有する者が反対したときは、することができない。」に該当します。
 そこで、区分所有法第31条1項の「一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきとき」には、その区分所有者の承認を必要としていますが、設問のような、「区分所有者全体に一律にその影響が及ぶ」場合には、特定の区分所有者の承諾は不要と解されていますから、正しい。



4 各住戸内の給湯器設置については、もともとは共用部分に設置されていた給湯装置を変更することに伴い必要とされるものなので、修繕積立金から支出することができる。

X 不適切である。 専有部分では修繕積立金からの支出はだめ。 
 どうせ、各戸に給湯器設置が必要となるなら、みんなが積み立てた修繕積立金を取り崩して、使ってもいいじゃないかという人もいるでしょうが、マンションの管理費や修繕積立金は、共用部分の管理や修繕に使用される性格のものです。(標準管理規約を作成した国土交通省の人の考え方にすぎませんが)
 そこで、各住戸内の給湯器設置については、専有部分内につき、標準管理規約では、修繕積立金からの支出は不適切となります。
 また、住戸内の給湯器設置の選択としてガス式や電気式もありますから、全戸共通な給湯器設置となると別な問題も生じるでしょう。

 参考:区分所有法第19条;
 「(共用部分の負担及び利益収取)
 第十九条  各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。」

答え:4  2014年 1月29日 追記:選択肢2 の 「特別決議」 は 「組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上の決議」としないと出題として不適切だ。


*2013年12月 5日:これで、資格校で解答が分かれていた、「問30」 と「問35」の解説は終わりましたので、マンション管理士試験の解説に戻ります。

問36

【問36】管理組合法人に関する次の記述のうち、区分所有法によれば、誤っているものはどれか。

1 管理組合法人は、その名称中に管理組合法人という文字を用いなければならない。

○ 正しい。
 管理組合が法人化されると、区分所有法第47条
 「(成立等)
 第四十七条  第三条に規定する団体は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で法人となる旨並びにその名称及び事務所を定め、かつ、その主たる事務所の所在地において登記をすることによつて法人となる。
   2  前項の規定による法人は、管理組合法人と称する。
   3  この法律に規定するもののほか、管理組合法人の登記に関して必要な事項は、政令で定める。
   4  管理組合法人に関して登記すべき事項は、登記した後でなければ、第三者に対抗することができない。
   5  管理組合法人の成立前の集会の決議、規約及び管理者の職務の範囲内の行為は、管理組合法人につき効力を生ずる。
   6  管理組合法人は、その事務に関し、区分所有者を代理する。第十八条第四項(第二十一条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様とする。
   7  管理組合法人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
   8  管理組合法人は、規約又は集会の決議により、その事務(第六項後段に規定する事項を含む。)に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる。
   9  管理組合法人は、前項の規約により原告又は被告となつたときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならない。この場合においては、第三十五条第二項から第四項までの規定を準用する。
   10  一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 (平成十八年法律第四十八号)第四条 及び第七十八条 の規定は管理組合法人に、破産法 (平成十六年法律第七十五号)第十六条第二項 の規定は存立中の管理組合法人に準用する
   11  第四節及び第三十三条第一項ただし書(第四十二条第五項及び第四十五条第四項において準用する場合を含む。)の規定は、管理組合法人には、適用しない。
   12  管理組合法人について、第三十三条第一項本文(第四十二条第五項及び第四十五条第四項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定を適用する場合には第三十三条第一項本文中「管理者が」とあるのは「理事が管理組合法人の事務所において」と、第三十四条第一項から第三項まで及び第五項、第三十五条第三項、第四十一条並びに第四十三条の規定を適用する場合にはこれらの規定中「管理者」とあるのは「理事」とする。
   13  管理組合法人は、法人税法 (昭和四十年法律第三十四号)その他法人税に関する法令の規定の適用については、同法第二条第六号 に規定する公益法人等とみなす。この場合において、同法第三十七条 の規定を適用する場合には同条第四項 中「公益法人等(」とあるのは「公益法人等(管理組合法人並びに」と、同法第六十六条 の規定を適用する場合には同条第一項 及び第二項 中「普通法人」とあるのは「普通法人(管理組合法人を含む。)」と、同条第三項 中「公益法人等(」とあるのは「公益法人等(管理組合法人及び」とする。
   14  管理組合法人は、消費税法 (昭和六十三年法律第百八号)その他消費税に関する法令の規定の適用については、同法 別表第三に掲げる法人とみなす。」とあります。

 第47条2項により、管理組合法人は、その名称中に管理組合法人という文字を用いなければなりませんから、正しい。




2 管理組合法人は、理事及び監事の氏名、住所を登記しなければならない。

X 誤っている。 監事は登記事項ではない。
 選択肢1で引用しました、区分所有法第47条3項
 「3  この法律に規定するもののほか、管理組合法人の登記に関して必要な事項は、政令で定める。」を受けた政令は、組合等登記令です。
 その組合等登記令第2条
 「(設立の登記)
 第二条  組合等の設立の登記は、その主たる事務所の所在地において、設立の認可、出資の払込みその他設立に必要な手続が終了した日から二週間以内にしなければならない。
   2  前項の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。
     一  目的及び業務
     二  名称
     三  事務所の所在場所
     四  代表権を有する者の氏名、住所及び資格
     五  存続期間又は解散の事由を定めたときは、その期間又は事由
     六  別表の登記事項の欄に掲げる事項」とあり、
 組合等登記令第2条2項4号によれば、登記事項は、「代表権を有する者の氏名、住所及び資格」ですから、代表権を持つ理事は登記されますが、監事は登記事項ではないため、誤りです。



3 管理組合法人は、理事がその職務を行うについて第三者に損害を加えた場合には、その損害を賠償しなければならない。

○ 正しい。 区分所有法だけでなく、準用されている法律も出題として狙われやすい。 平成24年 マンション管理士試験 「問8」 。 
 管理組合法人の理事は区分所有法第49条
 「(理事)
 第四十九条  管理組合法人には、理事を置かなければならない。
   2  理事が数人ある場合において、規約に別段の定めがないときは、管理組合法人の事務は、理事の過半数で決する。
   3  理事は、管理組合法人を代表する。
   4  理事が数人あるときは、各自管理組合法人を代表する。
   5  前項の規定は、規約若しくは集会の決議によつて、管理組合法人を代表すべき理事 を定め、若しくは数人の理事が共同して管理組合法人を代表すべきことを定め、又は規約の定めに基づき理事の互選によつて管理組合法人を代表すべき理事を定めることを妨げない。
   6  理事の任期は、二年とする。ただし、規約で三年以内において別段の期間を定めたときは、その期間とする。
   7  理事が欠けた場合又は規約で定めた理事の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した理事は、新たに選任された理事(第四十九条の四第一項の仮理事を含む。)が就任するまで、なおその職務を行う。
   8  第二十五条の規定は、理事に準用する。 」とあり、

 第49条3項により、理事は管理組合法人を代表しています。
 そこで、法人の代表者である理事がその職務を行うについて第三者に損害を加えた場合には、選択肢1で引用しました区分所有法第47条10項
 「10  一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 (平成十八年法律第四十八号)第四条 及び第七十八条 の規定は管理組合法人に、破産法 (平成十六年法律第七十五号)第十六条第二項 の規定は存立中の管理組合法人に準用する。」とあり、

 準用されています、 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第78条
 「(代表者の行為についての損害賠償責任)
 第七十八条  一般社団法人は、代表理事その他の代表者がその職務を行うについて第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。」とあり、
  管理組合法人は、代表者である理事がその職務を行うについて第三者に損害を加えた場合には、その損害を賠償しなければなりませんから、正しい。



4 管理組合法人が、集会の特別決議によって解散する場合には、区分所有法第3条の団体としての管理組合はなお存続する。

○ 正しい。  平成19年 マンション管理士試験 「問11」 、平成15年 管理業務主任者試験 「問35」 。
  管理組合法人の解散は、区分所有法第55条
 「(解散)
 第五十五条  管理組合法人は、次の事由によつて解散する。
      一  建物(一部共用部分を共用すべき区分所有者で構成する管理組合法人にあつては、その共用部分)の全部の滅失
      二  建物に専有部分がなくなつたこと。
      三  集会の決議
   2  前項第三号の決議は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数でする。」とあり、

 第55条1項3号及び2項により、 集会の特別決議によって解散することはできます。
 そこで、この「集会の決議」での管理組合法人の解散の場合には第55条1項1号の「建物の全部滅失」や同2号の「専有部分の喪失」の場合と異なり、区分所有建物は物理的にも依然として残っており、区分所有者の団体である管理組合という団体自体(これが、区分所有法第3条の団体です)はまだ存在していますから、ただ法人格のみの解消ということになりますので、正しい。

 
2014年 1月30日 追記: ここでも、出題者は前の「問35」と同様に、「集会の特別決議」を使っていますが、「特別決議」とは、なんですか?
 区分所有法において「特別決議」の定義がどこにあるのでしょうか? 解説では私も使用していますが、国家資格の試験では、不適切な出題方法です。
 ここも、「問35」と同様に、「特別決議」ではなく「区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数の決議」とすべき箇所です。



答え:2  ここも、それほど難しくはない出題です。  2014年 1月30日 追記:何気なく使っている「特別決議」が定義されていないことに気がついた!

問37

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

【問37】次の記述のうち、マンション標準管理規約によれば、「正当な理由」が必要とされないものはどれか。

1 専有部分の修繕工事に関し、必要な調査を行うため、理事長が修繕箇所への立入りを請求したが、その専有部分の区分所有者がこれを拒否する場合。

○ 「正当な理由」は必要とされる。
 この設問は、単に標準管理規約を記憶しているだけかどうかです。
 専有部分の修繕工事は、標準管理規約17条5項
 「(専有部分の修繕等)
 第17条 区分所有者は、その専有部分について、修繕、模様替え又は建物に定着する物件の取付け若しくは取替え(以下「修繕等」という。)を行おうとするときは、あらかじめ、理事長(第35条に定める理事長をいう。以下同じ。)にその旨を申請し、書面による承認を受けなければならない。
   2 前項の場合において、区分所有者は、設計図、仕様書及び工程表を添付した申請書を理事長に提出しなければならない。
   3 理事長は、第1項の規定による申請について、承認しようとするとき、又は不承認としようとするときは、理事会(第51条に定める理事会をいう。以下同じ。)の決議を経なければならない。
   4 第1項の承認があったときは、区分所有者は、承認の範囲内において、専有部分の修繕等に係る共用部分の工事を行うことができる。
   5 理事長又はその指定を受けた者は、本条の施行に必要な範囲内において、修繕等の箇所に立ち入り、必要な調査を行うことができる。この場合において、区分所有者は、正当な理由がなければこれを拒否してはならない。」とあり、

 17条5項により、必要な調査を行うため、理事長が修繕箇所への立入りを請求すると、その専有部分の区分所有者がこれを拒否する場合には、正当な理由がなければなりません。



2 階段室をエレベーター室に改造することが専有部分の使用に特別の影響を及ぼす場合に、その専有部分の区分所有者が承諾を拒否するとき。

○ 「正当な理由」は必要とされる。
 階段室をエレベーター室に改造することは、共用部分の”その形状又は効用の著しい変更を伴う”変更に該当します。
 すると、標準管理規約47条7項
 「(総会の会議及び議事)
 第47条 総会の会議は、前条第1項に定める議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならない。
   2 総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。
   3 次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前項にかかわらず、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する。
     一 規約の制定、変更又は廃止
     二 敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。
     三 区分所有法第58条第1項、第59条第1項又は第60条第1項の訴えの提起
     四 建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
     五 その他総会において本項の方法により決議することとした事項
   4 建替え決議は、第2項にかかわらず、組合員総数の5分の4以上及び議決権総数の5分の4以上で行う。
〔※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定〕
  (ア)電磁的方法が利用可能ではない場合
   5 前4項の場合において、書面又は代理人によって議決権を行使する者は、出席組合員とみなす。
(  イ)電磁的方法が利用可能な場合
   5 前4項の場合において、書面、電磁的方法又は代理人によって議決権を行使する者は、出席組合員とみなす。
   6 第3項第一号において、規約の制定、変更又は廃止が一部の組合員の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。この場合において、その組合員は正当な理由がなければこれを拒否してはならない。
   7 第3項第二号において、敷地及び共用部分等の変更が、専有部分又は専用使用部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分を所有する組合員又はその専用使用部分の専用使用を認められている組合員の承諾を得なければならない。この場合において、その組合員は正当な理由がなければこれを拒否してはならない
   8 第3項第三号に掲げる事項の決議を行うには、あらかじめ当該組合員又は占有者に対し、弁明する機会を与えなければならない。
   9 総会においては、第43条第1項によりあらかじめ通知した事項についてのみ、決議することができる。」とあり、

 47条3項2号に該当し、同7項により、その専有部分の区分所有者が承諾を拒否するには、正当な理由が必要です。



3 管理組合がバルコニーの防水工事を行うため、区分所有者の住戸に接続するバルコニーへの立入りを請求したが、その区分所有者がこれを拒否する場合。

○ 「正当な理由」は必要とされる。
 標準管理規約 別表第2 の「共用部分の範囲」により、バルコニーは、専有部分ではありません。そこで、管理組合はバルコニーの防水工事を行うため、区分所有者の住戸に接続するバルコニーへの立入りを請求できます。それは、標準管理規約23条2項
 「(必要箇所への立入り)
 第23条 前2条(注:敷地及び共用部分等の管理、窓ガルス等の改良)により管理を行う者は、管理を行うために必要な範囲内において、他の者が管理する専有部分又は専用使用部分への立入りを請求することができる。
   2 前項により立入りを請求された者は、正当な理由がなければこれを拒否してはならない
   3 前項の場合において、正当な理由なく立入りを拒否した者は、その結果生じた損害を賠償しなければならない。
   4 立入りをした者は、速やかに立入りをした箇所を原状に復さなければならない。」とあり、

 23条2項により、立入りを請求された者は、正当な理由がなければこれを拒否できません。



4 組合員からの総会議事録の閲覧請求及び閲覧の日時、場所等の申出が不相当な場合に、理事長がこれを拒否するとき。

X 「正当な理由」は不要。
 組合員からの総会議事録の閲覧請求があれば、標準管理規約49条
 「〔※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定〕
 (ア)電磁的方法が利用可能ではない場合
 (議事録の作成、保管等)
 第49条 総会の議事については、議長は、議事録を作成しなければならない。
   2 議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、議長及び議長の指名する2名の総会に出席した組合員がこれに署名押印しなければならない。
   3 理事長は、議事録を保管し、組合員又は利害関係人の書面による請求があったときは、議事録の閲覧をさせなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
   4 理事長は、所定の掲示場所に、議事録の保管場所を掲示しなければならない。」とあり、

 49条3項によれば、理事長は組合員又は利害関係人の書面による請求があったときは、議事録の閲覧をさせなければなりません。
 設問が、組合員の閲覧請求に「正当な理由が必要」なのか、理事長が拒否するには、「正当な理由が必要」なのか分かり難いのですが、標準管理規約によれば、理事長は組合員の閲覧請求は拒否できません。ただ、日時、場所等の申出が不相当な場合には、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができるだけです。

 注:ただし、区分所有法第33条
 「(規約の保管及び閲覧)
 第三十三条  規約は、管理者が保管しなければならない。ただし、管理者がないときは、建物を使用している区分所有者又はその代理人で規約又は集会の決議で定めるものが保管しなければならない。
   2  前項の規定により規約を保管する者は、利害関係人の請求があつたときは、正当な理由がある場合を除いて、規約の閲覧(規約が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したものの当該規約の保管場所における閲覧)を拒んではならない。
   3  規約の保管場所は、建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。 」
 区分所有法第42条
 「(議事録)
 第四十二条  集会の議事については、議長は、書面又は電磁的記録により、議事録を作成しなければならない。
   2  議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、又は記録しなければならない。
   3  前項の場合において、議事録が書面で作成されているときは、議長及び集会に出席した区分所有者の二人がこれに署名押印しなければならない。
   4  第二項の場合において、議事録が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録された情報については、議長及び集会に出席した区分所有者の二人が行う法務省令で定める署名押印に代わる措置を執らなければならない。
   5  第三十三条の規定は、議事録について準用する。 」



答え:4  新しい出題形式です。

問38

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

【問38】管理組合が行った規約の変更又は取り扱いに関する次の記述のうち、区分所有法及びマンション標準管理規約によれば、最も適切なものはどれか。

1 専有部分の賃貸借契約において、管理費相当額の負担を約束した賃借人は、管理費の増額を議題とする集会で意見を述べるべき利害関係を有する者であると判断した。

X 適切でない。 管理費の増額では、賃借人には利害関係がないと解釈されている。 平成25年 マンション管理士試験 「問3」 、平成23年 管理業務主任者試験 「問31」 、 平成21年 管理業務主任者試験 「問35」 、 平成19年 マンション管理士試験 「問8」 、平成17年 管理業務主任者試験 「問29」 など。
 専有部分の占有者である賃借人にも集会(総会)に出席して、意見を述べることが認められています。
 それが、区分所有法第44条
 「(占有者の意見陳述権)
 第四十四条  区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して意見を述べることができる。
   2  前項に規定する場合には、集会を招集する者は、第三十五条の規定により招集の通知を発した後遅滞なく、集会の日時、場所及び会議の目的たる事項を建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。」とあり、
 第44条1項の「会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合」には、集会に出席して意見を述べることができます。

 そこで、「会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合」とは、どのような場合かという解釈となるわけですが、管理費を増額する場合には、管理費が値上げされれば、賃貸借契約上の賃料増額の1つの原因となりえますが、これは経済的な因果関係で、本来は、賃借人と賃貸人(大家)である区分所有者との協議が間に挟むためその影響も間接的という理由で、この場合には、賃借人には利害関係が認められませんから、適切ではありません。

 参考:標準管理規約45条
 「(出席資格)
 第45条 組合員のほか、理事会が必要と認めた者は、総会に出席することができる。
   2 区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的につき利害関係を有する場合には、総会に出席して意見を述べることができる。この場合において、総会に出席して意見を述べようとする者は、あらかじめ理事長にその旨を通知しなければならない。」



2 管理規約の変更についての集会における決議要件を、区分所有者及び議決権の各4分の3以上から各3分の2以上に改めた。

X 適切でない。 規約の設定・変更・廃止での決議要件は、変更を認めていない。 規約は重要なので、この要件は規約でも絶対変更できない。(注:区分所有法第17条の「共用部分の重大変更」での、区分所有者の定数だけが過半数に減らすことが許されているのと、混同した出題が多い。) 平成24年 マンション管理士試験 「問4」 、 平成22年 管理業務主任者試験 「問35」 、 平成20年 マンション管理士試験 「問16」 、 平成19年 管理業務主任者試験 「問33」 など。
 規約の変更となると、区分所有法第31条
 「(規約の設定、変更及び廃止)
 第三十一条  規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議によつてする。この場合において、規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。
   2  前条第二項に規定する事項についての区分所有者全員の規約の設定、変更又は廃止は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者の四分の一を超える者又はその議決権の四分の一を超える議決権を有する者が反対したときは、することができない。」とあり、

 第31条1項によれば、「区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議」以外の規約による別段の定めを認めていませんから、適切ではありません。





3 大規模修繕工事を円滑に実施するにあたり、集会における決議要件を「区分所有者及び議決権の各過半数」から「出席組合員の議決権の過半数」に改めた。

○ 適切である。 大規模修繕工事は、その形状又は効用の著しい変更に該当しない。
 まず、設問の背景にある、区分所有法第17条
 「 (共用部分の変更)
 第十七条  共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。
   2  前項の場合において、共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない。」の、
 第17条1項にある、 「共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)」という面倒な表現から解説します。

 平成14年の区分所有法の改正前には、共用部分の変更に関して「著しく多額の費用を要する」行為を実施するには、”区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議(特別決議)”を要するとの表現が条文にありましたが、何と比較して「著しく多額の費用を要する」のかがはっきりしませんでした。
 また、建物の維持・保全に過ぎない劣化した屋上の防水工事や外壁の修繕などいわゆる「大規模修繕」も多額の費用を要するため、特別決議が必要となり、反対者が多いと、「大規模修繕」も適切に行うことができない状況もありました。

 そこで、平成14年の区分所有法の改正では「著しく多額の費用を要する」の言葉を外し、「その形状または効用の著しい変更」を伴う行為には特別決議が必要と改正しました。
ただし、条文がかっこ書きでなお、「その形状または効用の著しい変更を伴わないものを”除く”」と通常とは異なった分かり難い表現になっていますから注意が必要です。
 というわけで、大規模修繕工事は区分所有法第17条での「(重大な)共用部分の変更」には該当しません。

 すると、区分所有法第18条
 「 (共用部分の管理)
 第十八条  共用部分の管理に関する事項は、前条の場合を除いて、集会の決議で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。
   2  前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。
   3  前条第二項の規定は、第一項本文の場合に準用する。
   4  共用部分につき損害保険契約をすることは、共用部分の管理に関する事項とみなす。」とあり、

 第18条1項により、共用部分の管理に関する事項は、原則集会の決議を要しますが、同2項により、「規約で別段の定め」ができますから、集会における決議要件を「区分所有者及び議決権の各過半数」から「出席組合員の議決権の過半数」に改めることは、適切です。

 参考:標準管理規約47条
 「(総会の会議及び議事)
 第47条 総会の会議は、前条第1項に定める議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならない。
   2 総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。
   3 次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前項にかかわらず、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する。
     一 規約の制定、変更又は廃止
     二 敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)
     三 区分所有法第58条第1項、第59条第1項又は第60条第1項の訴えの提起
     四 建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
      五 その他総会において本項の方法により決議することとした事項
   4 建替え決議は、第2項にかかわらず、組合員総数の5分の4以上及び議決権総数の5分の4以上で行う。
 ※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定〕 
 (ア)電磁的方法が利用可能ではない場合
   5 前4項の場合において、書面又は代理人によって議決権を行使する者は、出席組合員とみなす。
 (イ)電磁的方法が利用可能な場合
   5 前4項の場合において、書面、電磁的方法又は代理人によって議決権を行使する者は、出席組合員とみなす。
   6 第3項第一号において、規約の制定、変更又は廃止が一部の組合員の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。この場合において、その組合員は正当な理由がなければこれを拒否してはならない。
   7 第3項第二号において、敷地及び共用部分等の変更が、専有部分又は専用使用部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分を所有する組合員又はその専用使用部分の専用使用を認められている組合員の承諾を得なければならない。この場合において、その組合員は正当な理由がなければこれを拒否してはならない。
   8 第3項第三号に掲げる事項の決議を行うには、あらかじめ当該組合員又は占有者に対し、弁明する機会を与えなければならない。
   9 総会においては、第43条第1項によりあらかじめ通知した事項についてのみ、決議することができる。」





4 管理者の都合で、年1回の集会での事務報告ができなくなったので、書面による報告を区分所有者全員に送付する方法を採用した。

X 適切でない。 管理者は少なくとも年1回は集会を招集して、事務報告をすること。 これは、書面を送付する方法に変更できない。 平成22年 管理業務主任者試験 「問37」 。
 管理者の事務報告義務は、区分所有法第43条
 「(事務の報告)
 第四十三条  管理者は、集会において、毎年一回一定の時期に、その事務に関する報告をしなければならない。」とあり、
  管理者の責務として、必ず年1回は集会を開いて、事務の報告をすることになっています。この規定は、規約では免除・軽減できません。書面を送付しただけの報告は、認められていませんから、適切ではありません。
 この規定の意図は、せめて年1回ぐらいは、集会(総会)を開いて、マンションの管理に無関心な区分所有者も集まり、管理に注目しましょうとしたのですが、「議決権行使書」を使用し、集会の欠席者が多い現状では、残念なことです。





答え:3  ここも、過去問題をやっていれば、易しい。

問39

【問39】マンションに関する次の記述のうち、最高裁判所の判例によれば、正しいものはどれか。

1 構造上及び機能上、独立性を有する建物部分ではあるが、その一部に他の区分所有者らの共用に供される設備が設置されている以上、当該建物部分は、専有部分として区分所有権の目的とはなり得ない。

X 誤っている。 区分所有法第1条 解釈。 平成22年 管理業務主任者試験 「問39」 、 平成16年 管理業務主任者試験 「問40」  
 区分所有法を勉強されている人には、マンションの専有部分と共用部分の区分けが難しいことは、お分かりかと思いますが、専有部分とは、区分所有法第2条3項
 「3  この法律において「専有部分」とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう。 」とあり、
 では、区分所有権とは、同じく第2条1項
 「この法律において「区分所有権」とは、前条に規定する建物の部分(第四条第二項の規定により共用部分とされたものを除く。)を目的とする所有権をいう。 」とあり、
 引用されています、前条は、同法第1条
 「(建物の区分所有)
 第一条  一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。」となります。

 そこで、専有部分は、
  第1条で規定される、
  「一棟の建物のうち
   ①構造上区分され(構造上の独立性)
   ②独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができる(利用上の独立性)
   数個の建物の部分で、
   さらに、この建物の部分であっても、規約により共用部分とされた部分(区分所有法第4条2項)を除いた物が、専有部分となります。

 これを前提にして、設問の専有部分か、どうかというのは、①昭和56年6月18日の最高裁判決 、また、②同日の同じような 最高裁の別の判決、また ③昭和61年4月25日の最高裁判決 でもあります。
 ①の判決文例として、 共用設備が設置されている倉庫が建物の区分所有等に関する法律にいう”専有部分にあたらないとは断じられない”とされた事例」で、
 趣旨は、「構造上他の建物部分と区分され、それ自体として独立の建物としての用途に供することができる外形を有する倉庫内の床から約二・〇五メートルの高さの部分に共用設備として大小の電気、水道等のパイプが通つている場合において、右共用設備の利用管理によつて右倉庫の排他的使用に格別の制限ないし障害を生じないときは、右倉庫は建物の区分所有等に関する法律にいう専有部分にあたる。」とあり、一部に共用の設備があっても、専有部分になりうることもありますから、誤りです。
 ただし、専有部分か共用部分かの判断は事例によって異なりますから、注意してください。



2 専有部分が賃貸され暴力団事務所として使用されていることを理由に、賃貸借契約の解除及びその専有部分の引渡しを請求する訴えを提起するために集会の決議をするには、あらかじめ賃借人と共に賃貸人たる区分所有者に対して弁明の機会を与えなければならない。

X 誤っている。 区分所有法第60条では、賃貸人(区分所有者)には弁明の機会を与えることは不要。 平成24年 マンション管理士試験 「問26」 、 平成22年 管理業務主任者試験 「問30」 、 平成14年 マンション管理士試験 「問5」 。
 この設問に対する区分所有法は第60条が基本になります。
 「(占有者に対する引渡し請求)
 第六十条  第五十七条第四項に規定する場合において、第六条第三項において準用する同条第一項に規定する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によつてはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもつて、当該行為に係る占有者が占有する専有部分の使用又は収益を目的とする契約の解除及びその専有部分の引渡しを請求することができる。
   2  第五十七条第三項の規定は前項の訴えの提起に、第五十八条第二項及び第三項の規定は前項の決議に準用する。
   3  第一項の規定による判決に基づき専有部分の引渡しを受けた者は、遅滞なく、その専有部分を占有する権原を有する者にこれを引き渡さなければならない。 」とあり、

 引用されています、区分所有法第57条と第58条は、
 「(共同の利益に反する行為の停止等の請求)
 第五十七条  区分所有者が第六条第一項に規定する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。
   2  前項の規定に基づき訴訟を提起するには、集会の決議によらなければならない。
   3  管理者又は集会において指定された区分所有者は、集会の決議により、第一項の他の区分所有者の全員のために、前項に規定する訴訟を提起することができる。
   4  前三項の規定は、占有者が第六条第三項において準用する同条第一項に規定する行為をした場合及びその行為をするおそれがある場合に準用する。 」。
 第58条
 「(使用禁止の請求)
 第五十八条  前条第一項に規定する場合において、第六条第一項に規定する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、前条第一項に規定する請求によつてはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもつて、相当の期間の当該行為に係る区分所有者による専有部分の使用の禁止を請求することができる。
   2  前項の決議は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数でする。
   3  第一項の決議をするには、あらかじめ、当該区分所有者に対し、弁明する機会を与えなければならない。
   4  前条第三項の規定は、第一項の訴えの提起に準用する。」とあります。

 まず、第60条により、専有部分の占有者である賃借人が、共同の利益を守らないときには、区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもつて、占有者が占有する専有部分の使用又は収益を目的とする契約の解除及びその専有部分の引渡しを請求することができます。
 そこで、設問の「専有部分が賃貸され暴力団事務所として使用されていることを理由に、賃貸借契約の解除及びその専有部分の引渡しを請求する訴えを提起するために集会の決議をする」はこの規定によっていますから、適切です。
 肝心なのは、第60条2項によって準用されています第58条3項での「3  第一項の決議をするには、あらかじめ、当該区分所有者に対し、弁明する機会を与えなければならない。」の規定の解釈です。
 これを、文面の通りに適用すれば、当然に、第60条でも、区分所有者である賃貸人と賃借人に弁明する機会を与えなければなりませんが、昭和62年7月17日の最高裁の判決 では、判決の趣旨として、「建物の区分所有等に関する法律六〇条一項に基づき、占有者が占有する専有部分の使用又は収益を目的とする契約の解除及びその専有部分の引渡しを請求する訴えを提起する前提として、集会の決議をするには、あらかじめ当該占有者に対して弁明の機会を与えれば足り、当該専有部分の区分所有者に対して弁明の機会を与えることを要しない。」として、賃貸人たる区分所有者に対して弁明の機会を与えることは、不要としましたから、誤りです。



3 管理規約の規定に基づいて、区分所有者に対し管理費の支払いが義務づけられ、月ごとに所定の方法でそれが支払われる場合に、その管理費の債権は、基本権たる定期金債権から派生する支分権として消滅時効にかかる。

○ 正しい。 管理費や修繕積立金の消滅時効は5年。 平成21年 管理業務主任者試験 「問39」 、平成22年 マンション管理士試験 「問7」 。
 管理費や修繕積立金の支払いに対する消滅時効としては、10年説と5年説があり争われていましたが、 平成16年4月23日の最高裁の判決 により、5年となりました。
 判決文の趣旨は、「本件の管理費等の債権は,前記のとおり,管理規約の規定に基づいて,区分所有者に対して発生するものであり,その具体的な額は総会の決議によって確定し,月ごとに所定の方法で支払われるものである。このような本件の管理費等の債権は,基本権たる定期金債権から派生する支分権として,民法169条所定の債権に当たるものというべきである。」です。

 また、民法第169条
 「(定期給付債権の短期消滅時効)
 第百六十九条  年又はこれより短い時期によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権は、五年間行使しないときは、消滅する。 」とあり、設問は、正しい。

 なお、基本権(基本債権)と支分権(支分債権)とは、例えば、消費貸借契約で、毎月末に利息を払う約束をした場合に、毎月払う利息を支分権といい、利息を請求できる基礎となるものを基本権といいます。支分権(支分債権)は基本債権から生みだされますが、一度発生すると、基本債権とは別な存在となり、その移転や消滅は、基本債権と別の扱いを受けます。


4 法人格を取得していない権利能力なき社団であるマンション管理組合について原告適格が認められることはなく、訴訟担当が認められるのは、管理者又は集会の決議により指定された区分所有者のみである。

X 誤っている。 法人格を取得していない権利能力なき社団であるマンション管理組合について原告適格は認められる。
 まず、裁判制度で問題となる訴訟要件は当事者適格といわれるもので、これは当該紛争の判決による解決にあたって最も妥当な当事者が裁判に携わっているかどうかを判断して認められる原告(訴訟提議者)または被告(訴訟の相手方)としての地位です。
 そこで、判決によって保護されるべき法的な利益が帰属する原告についての当事者適格を「原告適格」といい、逆に、判決によって原告に法的な利益を帰属させる被告についての当事者適格を「被告適格」といいます。

 そして、マンションの管理組合という区分所有者の団体の法的な存在ですが、これは、区分所有法第3条
 「 (区分所有者の団体)
 第三条  区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも、同様とする。」とあり、
 区分所有法では、管理組合という名称はありません。ただし、法人化されれば「管理組合法人」の名称があります。
 区分所有法第3条で規定されます「区分所有者の団体」は、マンションの管理又は使用という一定の目的のもとに結合した人の集合体として、「社団」ともみなす事ができます。

 そこで、設問のように、「法人格を取得していない権利能力なき社団であるマンション管理組合」においては、裁判上の原告適格があるのか、どうかの検討ですが、これに対しては、 平成23年2月15日の最高裁の判決 があります。
 判決文の該当部;「給付の訴えにおいては,自らがその給付を請求する権利を有すると主張する者に”原告適格”があるというべきである。本件各請求は,上告人が,被上告人らに対し,上告人自らが本件各請求に係る工作物の撤去又は金員の支払を求める権利を有すると主張して,その給付を求めるものであり,上告人が,本件各請求に係る訴えについて,原告適格を有することは明らかである。」とあります。
 この事件では、上告人(管理組合)を、権利能力のない社団と認めて、原告適格を認めていますから、誤りです。

 なお、後半の「訴訟担当が認められるのは、管理者又は集会の決議により指定された区分所有者」は、区分所有法第26条4項や、第57条3項などにより、正しいのですが、選択肢4は、前半部分が誤りです。

 参考:区分所有法第26条4項「4  管理者は、規約又は集会の決議により、その職務(第二項後段に規定する事項を含む。)に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる。」
 区分所有法第57条3項「3  管理者又は集会において指定された区分所有者は、集会の決議により、第一項の他の区分所有者の全員のために、前項に規定する訴訟を提起することができる。」
 また、区分所有法での区分所有者の団体の規定の曖昧さについては、民法第717条の「土地の工作物の責任」との関係など、私の「超解説 区分所有法」 第3条の解説も参考にして、追求してください。



答え:3  解説は、かなり細かくなりましたが、この出題も、易しい。 「問39」はいつも判例からの出題。 なお、一部の判決文は、判例検索システム、http://www.courts.go.jp/search/jhsp0010?action_id=first&hanreiSrchKbn=02 で調べられます。判決文の全文も確認しておいてください。

問40

【問40】宅地建物取引業者A(以下、本問において「A」という。)が、宅地建物取引業者でないB(以下、本問において「B」という。)に対し、中古マンションを売却した場合における瑕疵担保責任についての特約に関する次の記述のうち、民法及び宅地建物取引業法の規定によれば、有効なものはいくつあるか。

ア 「売主Aは、買主Bとの売買契約締結の日から2年間瑕疵担保責任を負う」旨の特約

X 無効である。 売買契約締結の日から2年間は、買主にとって不利である。 瑕疵担保責任はもう出題でも定番。 平成24年 管理業務主任者試験 「問40」 、 同「問41」 平成23年 管理業務主任者試験 「問41」 、 平成23年 マンション管理士試験 「問12」 、 平成22年 管理業務主任者試験 「問42」 
 まず、宅地建物取引業者が宅地建物取引業者でない者に中古マンションを売却した場合となると、宅地建物取引業法第40条
 「 (瑕疵担保責任についての特約の制限)
 第四十条  宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物の瑕疵を担保すべき責任に関し、民法 (明治二十九年法律第八十九号)第五百七十条 において準用する同法第五百六十六条第三項 に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から二年以上となる特約をする場合を除き、同条 に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない
   2  前項の規定に反する特約は、無効とする。」とあり、

 引用されています、民法第570条
 「 (売主の瑕疵担保責任)
 第五百七十条  売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第五百六十六条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。」
 また、準用の民法第566条は
 「 (地上権等がある場合等における売主の担保責任)
 第五百六十六条  売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。
   2  前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。
   3  前二項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。」です。

 そこで、宅地建物取引業法第40条1項によれば、設問の「売主Aは、買主Bとの”売買契約締結の日から2年間”瑕疵担保責任を負う旨の特約」は、 「その目的物の”引渡しの日から二年以上”となる特約をする場合を除き、同条 に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない」の”引渡しの日”に該当し、買主に不利な内容ですから、これは、宅地建物取引業法第40条2項により、無効となります。なお、地建物取引業者が負う瑕疵担保責任は、新築でも中古でも適用があります。



イ 「瑕疵がある場合、買主Bは損害賠償請求と瑕疵の修補請求をすることができるが、いかなる場合でも契約の解除はできない」旨の特約

X 無効である。 いかなる場合でも契約の解除はできないは、買主にとって不利。
 選択肢アで引用しました、民法第566条1項では、
 「売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。」とあり、
 責任の内容として、買主には、①契約の解除をすること ②契約の解除ができないときは、損害賠償請求 を認めています。
 設問の「瑕疵がある場合、買主Bは損害賠償請求と瑕疵の修補請求をすることができるが、いかなる場合でも契約の解除はできない旨の特約」の「損害賠償請求と瑕疵の修補請求をすることができる」は、民法の定めより修補請求が追加されていて不利ではないのですが、次の「いかなる場合でも契約の解除はできない」は、民法で定める「契約の解除ができる」に対して、買主にとって不利な内容となり、これも、選択肢アで引用しました宅地建物取引業法第40条2項
 「2  前項の規定に反する特約は、無効とする。」により、無効となります。



ウ 「売主Aは、買主Bが売買契約締結当時に知っていた瑕疵については、その責任を負わない」旨の特約

○ 有効である。 民法と同じ。買主にとって不利ではない。
 売主の瑕疵担保責任は、通常人の注意を払っても発見できない隠れた瑕疵(キズ)が存在する時の売主の責任を追求するものです。
 そこで、選択肢アで引用しました、民法第566条1項
 「売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。」とありますように、「買主がこれを知らないとき」の瑕疵が責任の対象ですから、「売主Aは、買主Bが売買契約締結当時に知っていた瑕疵については、その責任を負わない旨の特約」は、民法と同様の規定で、買主にとって不利ではありませんから、有効です。



エ 「売主Aは、その瑕疵についてAに何らの過失もない場合は、その責任を負わない」旨の特約

X 無効である。 売主の瑕疵担保責任は、無過失責任。 売主に故意・過失がなくても責任がある。
 民法で規定する売主の瑕疵担保責任は、売買契約の締結時に、対象物件に隠れた瑕疵があると、売買代金に不公平があるため、売主に故意・過失がなくても責任を負わせるもの(無過失責任)ですから、「売主Aは、その瑕疵についてAに何らの過失もない場合は、その責任を負わない旨の特約」は、無効です。


1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ


答え:1 有効なのは ウ だけ。  この出題も易しい。 売主の瑕疵担保責任などのまとめは、別サイト 「瑕疵担保責任のまとめ」 もありますから、参考にしてください。

問41

【問41】個人情報取扱事業者であるマンション管理業者に関する次の記述のうち、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号。以下、本問において「個人情報保護法」という。)の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

ア マンション管理業者は、管理組合の組合員の個人情報を取得した場合には、あらかじめその利用目的を公表している場合を除き、速やかに、その利用目的を本人に通知し又は公表しなければならない。

○ 正しい。 個人情報の保護に関する法律からの出題は、平成22年 管理業務主任者試験 「問45」 、 平成20年 管理業務主任者試験 「問44」 や、 平成17年 管理業務主任者試験 「問45」 。
 通常、個人情報の保護に関する法律の適用対象として、特定の個人の数が過去6ヶ月以内のいずれの日においても、5,000を超えない場合には、個人情報取扱事業者には該当しませんから、多くの管理組合には、適用がないと考えられますが、マンション管理業者の中には、複数の管理組合の区分所有者のデータを扱う場合もありますから、設問は、もう既に、個人情報取扱事業者であるマンション管理業者としています。

 個人情報取扱事業者であるマンション管理業者が管理組合の組合員の個人情報を取得した場合は、個人情報の保護に関する法律第18条
 「(取得に際しての利用目的の通知等)
 第十八条  個人情報取扱事業者は、個人情報を取得した場合は、あらかじめその利用目的を公表している場合を除き、速やかに、その利用目的を、本人に通知し、又は公表しなければならない
   2  個人情報取扱事業者は、前項の規定にかかわらず、本人との間で契約を締結することに伴って契約書その他の書面(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録を含む。以下この項において同じ。)に記載された当該本人の個人情報を取得する場合その他本人から直接書面に記載された当該本人の個人情報を取得する場合は、あらかじめ、本人に対し、その利用目的を明示しなければならない。ただし、人の生命、身体又は財産の保護のために緊急に必要がある場合は、この限りでない。
   3  個人情報取扱事業者は、利用目的を変更した場合は、変更された利用目的について、本人に通知し、又は公表しなければならない。
   4  前三項の規定は、次に掲げる場合については、適用しない。
     一  利用目的を本人に通知し、又は公表することにより本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合
     二  利用目的を本人に通知し、又は公表することにより当該個人情報取扱事業者の権利又は正当な利益を害するおそれがある場合
     三  国の機関又は地方公共団体が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、利用目的を本人に通知し、又は公表することにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。
     四  取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合」とあり、
 第18条1項に該当し、正しい。



イ 管理組合の組合員の氏名、電話番号等が記載されている組合員名簿が、紙面で処理された個人情報であっても、個人情報保護法上の「個人情報データベース等」に該当する場合がある。

○ 正しい。 
 個人情報データベース等とは、個人情報の保護に関する法律第2条
 「(定義)
 第二条  この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。
   2  この法律において「個人情報データベース等」とは、個人情報を含む情報の集合物であって、次に掲げるものをいう
     一  特定の個人情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したもの
     二  前号に掲げるもののほか、特定の個人情報を容易に検索することができるように体系的に構成したものとして政令で定めるもの

   3  この法律において「個人情報取扱事業者」とは、個人情報データベース等を事業の用に供している者をいう。ただし、次に掲げる者を除く。
     一  国の機関
     二  地方公共団体
     三  独立行政法人等(独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律 (平成十五年法律第五十九号)第二条第一項 に規定する独立行政法人等をいう。以下同じ。)
     四  地方独立行政法人(地方独立行政法人法 (平成十五年法律第百十八号)第二条第一項 に規定する地方独立行政法人をいう。以下同じ。)
     五  その取り扱う個人情報の量及び利用方法からみて個人の権利利益を害するおそれが少ないものとして政令で定める者
4  この法律において「個人データ」とは、個人情報データベース等を構成する個人情報をいう。
   5  この法律において「保有個人データ」とは、個人情報取扱事業者が、開示、内容の訂正、追加又は削除、利用の停止、消去及び第三者への提供の停止を行うことのできる権限を有する個人データであって、その存否が明らかになることにより公益その他の利益が害されるものとして政令で定めるもの又は一年以内の政令で定める期間以内に消去することとなるもの以外のものをいう。
   6  この法律において個人情報について「本人」とは、個人情報によって識別される特定の個人をいう。 」とあり、

 政令は、個人情報の保護に関する法律施行令第1条
 「(個人情報データベース等)
 第一条  個人情報の保護に関する法律 (以下「法」という。)第二条第二項第二号 の政令で定めるものは、これに含まれる個人情報を一定の規則に従って整理することにより特定の個人情報を容易に検索することができるように体系的に構成した情報の集合物であって、目次、索引その他検索を容易にするためのものを有するものをいう。」とあり、

 個人情報の保護に関する法律第2条2項と同施行令第1条により、電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものや、それ以外の紙面で処理されても、体系的に構成し、検索が容易であれば、個人情報データベース等に該当することもありますから、正しい。
 


ウ マンション管理業者は、特定の組合員から当該本人が識別される保有個人データの開示を求められたときは、無償で開示しなければならない。

X 誤っている。 手数料を徴収できる。 平成17年 管理業務主任者試験 「問45」 。 
 特定の組合員から当該本人が識別される保有個人データの開示を求められたときの手数料は、個人情報の保護に関する法律第30条
 「(手数料)
 第三十条  個人情報取扱事業者は、第二十四条第二項の規定による利用目的の通知又は第二十五条第一項の規定による開示を求められたときは、当該措置の実施に関し、手数料を徴収することができる。
   2  個人情報取扱事業者は、前項の規定により手数料を徴収する場合は、実費を勘案して合理的であると認められる範囲内において、その手数料の額を定めなければならない。 」とあり、

 引用されています、第24条2項
 「2  個人情報取扱事業者は、本人から、当該本人が識別される保有個人データの利用目的の通知を求められたときは、本人に対し、遅滞なく、これを通知しなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
     一  前項の規定により当該本人が識別される保有個人データの利用目的が明らかな場合
     二  第十八条第四項第一号から第三号までに該当する場合」
 同第25条1項
 「第二十五条  個人情報取扱事業者は、本人から、当該本人が識別される保有個人データの開示(当該本人が識別される保有個人データが存在しないときにその旨を知らせることを含む。以下同じ。)を求められたときは、本人に対し、政令で定める方法により、遅滞なく、当該保有個人データを開示しなければならない。ただし、開示することにより次の各号のいずれかに該当する場合は、その全部又は一部を開示しないことができる。
     一  本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合
     二  当該個人情報取扱事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合
     三  他の法令に違反することとなる場合」です。

 個人情報の保護に関する法律第30条によれば、個人情報取扱事業者は、本人から、当該本人が識別される保有個人データの開示を求められれば、合理的な範囲の額の手数料を徴収できますから、無償で開示は、誤りです。



エ マンションの防犯カメラに映る映像は、特定の個人が判別できるものであっても、個人情報保護法上の「個人情報」ではない。

X 誤っている。 特定の個人が判別できるものは、個人情報保護法上の「個人情報」である。
 個人情報の保護に関する法律における「個人情報」とは、選択肢イで引用しました同法第2条
 「この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。」とあり、
 設問の「マンションの防犯カメラに映る映像で、特定の個人が判別できるもの」ならば、これは、個人情報の保護に関する法律における”それにより特定の個人を識別することができる”「個人情報」に該当しますから、誤りです。



1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ


答え:2 正しいのは、ア と イ の2つ。  個人情報の保護に関する法律からも時々、出題があります。 ここは、常識からは、多分、正しいのは、ア と イ が推定できるか、しかし、個数問題でもあり、少し難か。
 個人情報の保護に関する法律については、国土交通省からの ガイドライン 解説 も参考にしたらいい。


*2017年 4月14日 追記:
 個人情報保護法は、平成27年9月に改正があり、平成29年 5月30日施行で、
 適用対象となる「個人情報取扱事業者」の定義から、過去6ヶ月以内のいずれの時点でも取り扱う個人情報が5,000件以下である小規模取扱事業者が除外されていました。(5,000件ルール、旧施行令2条)
これにより、小規模取扱事業者には、これまで個人情報保護法が適用されていませんでした。

 しかし、今回の改正では、小規模取扱事業者への適用除外規定が削除されたため、これまで適用を受けなかった小規模取扱事業者も(マンションの管理組合も)改正後は個人情報保護法の適用を受けることになりますので、注意してください。
 組合員名簿の取り扱い、管理委託業者の監督責任、また、「個人識別符号」の定義も新しくありますから、出題の可能性が大ですので、勉強しておいてください。

問42

【問42】区分所有者A(以下、本問において「A」という。)が、自己所有のマンションの専有部分をBに賃貸した場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、当該賃貸借契約は、定期建物賃貸借契約ではないものとする。

1 AB間において、Aが当該区分所有権を第三者に譲渡したときは、その時から6月後にAB間の賃貸借契約は終了する旨の特約は有効である。

X 誤っている。 賃借人に不利な特約は無効となる。  平成24年 管理業務主任者試験 「問43」 、  平成23年 管理業務主任者試験 「問44」 、 平成22年 管理業務主任者試験 「問44」 、平成21年 管理業務主任者試験 「問45」 、 平成18年 管理業務主任者試験 「問44」 など。
 建物賃貸借契約で、賃貸人からの契約の解約となると、借地借家法第27条
 「(解約による建物賃貸借の終了)
 第二十七条  建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から六月を経過することによって終了する
   2  前条第二項及び第三項の規定は、建物の賃貸借が解約の申入れによって終了した場合に準用する。 」とあり、

 第27条1項によれば、期間の定めのない建物の賃貸借でも期間の定めのある建物の賃貸借で、賃貸借の期間中に解約の申入れができる旨の特約があっても、”解約の申し入れ”をすることになっています。

 そして、借地借家法第30条
 「(強行規定)
 第三十条  この節の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。」とあり、
 この節とは、借地借家法の第26条から第30条までが該当していますから、上で引用しました、第27条も該当しています。

 そこで、設問の「Aが当該区分所有権を第三者に譲渡したときは、その時から6月後にAB間の賃貸借契約は終了する旨の特約」が賃借人にとって不利かどうかの検討ですが、第27条では、”解約の申入れ”を条件としていますが、特約では、譲渡によって解約の申し入れをしなくても”自動的”に、6ヵ月後には賃貸借契約が終了するのは、賃借人にとって不利な特約と判断されますから、無効となり、誤りです。



2 AB間の賃貸借契約の期間について1年未満の期間を定めた場合は、その期間について無効であり、契約期間1年の賃貸借とみなされる。

X 誤りである。 ”期間の定めがない”建物の賃貸借とみなされる。
 借地借家法では、賃貸借契約の期間は、第29条
 「(建物賃貸借の期間)
 第二十九条  期間を一年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなす
   2  民法第六百四条 の規定は、建物の賃貸借については、適用しない。」とあり、

  第29条1項によれば、期間を一年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなされますから、誤りです。

 なお、「期間の定めがない建物の賃貸借とみなす」ことにより、民法第617条
 「(期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ)
 第六百十七条  当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。
     一  土地の賃貸借 一年
     二  建物の賃貸借 三箇月
     三  動産及び貸席の賃貸借 一日
   2  収穫の季節がある土地の賃貸借については、その季節の後次の耕作に着手する前に、解約の申入れをしなければならない。」の規定を受けます。
  借地借家法は民法の特別法であることが基本にあります。



3 AB間において、一定期間、賃料を増額しない旨の特約をした場合でも、当該賃料が不相当になったときは、Aは増額請求をすることができる。

X 誤っている。 特約が優先する。
 賃料が不相当になると、借地借家法第32条
 「(借賃増減請求権)
 第三十二条  建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う
   2  建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年一割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。
   3  建物の借賃の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた建物の借賃の額を超えるときは、その超過額に年一割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。」とあり、

 第32条1項の但し書き「ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う」により、 一定期間、賃料を増額しない旨の特約は有効で、Aは増額請求をすることができませんから、誤りです。



4 Bが転勤により第三者Cに建物賃借権を譲渡しようとする場合に、Aがその譲渡を承諾しないときにおいて、Bは、裁判所にAの承諾に代わる許可の裁判を申し立てることはできない。

○ 正しい。
 賃貸人(大家)が承諾すれば、賃借人は、その借家権や借家を又貸し(転貸)できますが、賃貸人の承諾がないと民法第612条
 「(賃借権の譲渡及び転貸の制限)
 第六百十二条  賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない
   2  賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。 」の適用となります。
 賃貸人の承諾がない場合でも裁判所にAの承諾に代わる許可の裁判を申し立てることはできませんから、正しい。

 なお、借地であれば、借地借家法第19条
 「(土地の賃借権の譲渡又は転貸の許可)
 第十九条  借地権者が賃借権の目的である土地の上の建物を第三者に譲渡しようとする場合において、その第三者が賃借権を取得し、又は転借をしても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。この場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、賃借権の譲渡若しくは転貸を条件とする借地条件の変更を命じ、又はその許可を財産上の給付に係らしめることができる。
   2  裁判所は、前項の裁判をするには、賃借権の残存期間、借地に関する従前の経過、賃借権の譲渡又は転貸を必要とする事情その他一切の事情を考慮しなければならない。
   3  第一項の申立てがあった場合において、裁判所が定める期間内に借地権設定者が自ら建物の譲渡及び賃借権の譲渡又は転貸を受ける旨の申立てをしたときは、裁判所は、同項の規定にかかわらず、相当の対価及び転貸の条件を定めて、これを命ずることができる。この裁判においては、当事者双方に対し、その義務を同時に履行すべきことを命ずることができる。
   4  前項の申立ては、第一項の申立てが取り下げられたとき、又は不適法として却下されたときは、その効力を失う。
   5  第三項の裁判があった後は、第一項又は第三項の申立ては、当事者の合意がある場合でなければ取り下げることができない。
   6  裁判所は、特に必要がないと認める場合を除き、第一項又は第三項の裁判をする前に鑑定委員会の意見を聴かなければならない。
   7  前各項の規定は、転借地権が設定されている場合における転借地権者と借地権設定者との間について準用する。ただし、借地権設定者が第三項の申立てをするには、借地権者の承諾を得なければならない。」とありますが。



答え:4  このあたりの出題は、宅地建物取引主任者の受験生でないと、かなり難しいか? 

問43

【問43】不動産登記法(平成16年法律第123号)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 区分建物が属する一棟の建物が新築された場合における各区分建物についての表題登記の申請は、当該建物に属する他の区分建物についての表題登記の申請と併せてしなければならない。

○ 正しい。
 表題登記とは、新しく建物が建てられた場合には必ずしなければいけない、人間で言えば、出生届けのようなものです。新築の建物は、登記の記録がありませんから、この表題登記によって、今後の権利関係などが登記されます。
 なお区分建物では、各専有部分が1個の建物として扱われ、専有部分ごとに登記記録が作成されます。

 そこで、不動産登記法第48条
 「(区分建物についての建物の表題登記の申請方法)
 第四十八条  区分建物が属する一棟の建物が新築された場合又は表題登記がない建物に接続して区分建物が新築されて一棟の建物となった場合における当該区分建物についての表題登記の申請は、当該新築された一棟の建物又は当該区分建物が属することとなった一棟の建物に属する他の区分建物についての表題登記の申請と併せてしなければならない
   2  前項の場合において、当該区分建物の所有者は、他の区分建物の所有者に代わって、当該他の区分建物についての表題登記を申請することができる。
   3  表題登記がある建物(区分建物を除く。)に接続して区分建物が新築された場合における当該区分建物についての表題登記の申請は、当該表題登記がある建物についての表題部の変更の登記の申請と併せてしなければならない。
   4  前項の場合において、当該区分建物の所有者は、当該表題登記がある建物の表題部所有者若しくは所有権の登記名義人又はこれらの者の相続人その他の一般承継人に代わって、当該表題登記がある建物についての表題部の変更の登記を申請することができる。」とあり、

 不動産登記法第48条1項によれば、区分建物が1棟新築されれば、その区分建物に属する他の区分建物(専有部分)もまとめて表題登記をすることになっていますから、正しい。

 なお、この場合の表題登記は、参考:不動産登記法第47条
 (建物の表題登記の申請)
 第四十七条  新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない
   2  区分建物である建物を新築した場合において、その所有者について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人も、被承継人を表題部所有者とする当該建物についての表題登記を申請することができる。」



2 区分建物を売買により取得した者は、取得した日から1月以内に所有権移転の登記を申請しなければならない。

X 誤っている。 権利の登記は、任意である。 ただし、登記していないと、第三者に対して対抗できない。
 不動産登記法では、選択肢1で説明しました表題登記(登記に際し手数料はかかりません)と異なり、権利の登記(権利の内容によって異なりますが、手数料=登録免許税がかかります)は任意となっていますから、特に、区分建物を売買により取得した者は、取得した日から1ヶ月以内に所有権移転の登記を申請しなければならないという規定はありませんので、誤りです。


3 権利に関する登記を申請する場合には、登記識別情報を申請情報と併せて提供しなければならず、これを提供できないときには、登記申請をすることができない。

X 誤っている。 例外もある。
 まず、登記識別情報とは、登記の申請がされた場合に、当該登記により登記名義人となる申請人に、その登記に係る物件及び登記の内容とともに、登記所から通知される情報をいいます。
 以前は、権利証(登記済証)といわれたものが、平成17年の不動産登記法の改正により切り替わりました。
 登記識別情報は、アラビア数字その他の符号の組合せからなる12桁の符号で、不動産及び登記名義人となった申請人ごとに定められるもので、一般的には「暗証番号」といわれるものです。
 

 この登記識別情報は、本人確認手段の一つであり、登記名義人本人による申請であることを登記官が確認するため、登記所に提供してもらうことになります。


 そこで、権利関係を登記したいなら、不動産登記法第22条
 「(登記識別情報の提供)
 第二十二条  登記権利者及び登記義務者が共同して権利に関する登記の申請をする場合その他登記名義人が政令で定める登記の申請をする場合には、申請人は、その申請情報と併せて登記義務者(政令で定める登記の申請にあっては、登記名義人。次条第一項、第二項及び第四項各号において同じ。)の登記識別情報を提供しなければならないただし、前条ただし書の規定により登記識別情報が通知されなかった場合その他の申請人が登記識別情報を提供することができないことにつき正当な理由がある場合は、この限りでない。」とあり、

 不動産登記法第22条1項によれば、申請人は、その申請情報と併せて登記義務者の登記識別情報を提供しなければならないのですが、但し書きがあり「ただし、前条ただし書の規定により登記識別情報が通知されなかった場合その他の申請人が登記識別情報を提供することができないことにつき正当な理由がある場合は、この限りでない。」により、
 不動産登記法の改正との関係もあり、登記識別情報を提供できないときでも、但し書きにより、例えば、登記済証などで、登記申請はできますから、誤りです。

 なお、登記識別情報は本人確認だけの手段であり、権利証(登記済証)では、権利の確認もできます。



4 登記の前後は、登記記録の同一の区にした登記相互間においても、別の区にした登記相互間においても、ともに順位番号による。

X 誤っている。 同一の区なら、順位番号だが、別の区もからむと受付番号による。
 登記記録は、表題部と権利部に別れ、権利部は甲区(所有権に関する登記)、乙区(所有権以外の権利に関する登記)のそれぞれにおいて、登記順序に従って付けられる「順位番号」と、それぞれの登記所で登記申請を受け付けた順序に従って、通し番号でその登記に付けていく「受付番号」があります。

 そこで、登記した権利の順位は、不動産登記法第4条
 「(権利の順位)
 第四条  同一の不動産について登記した権利の順位は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記の前後による
   2  付記登記(権利に関する登記のうち、既にされた権利に関する登記についてする登記であって、当該既にされた権利に関する登記を変更し、若しくは更正し、又は所有権以外の権利にあってはこれを移転し、若しくはこれを目的とする権利の保存等をするもので当該既にされた権利に関する登記と一体のものとして公示する必要があるものをいう。以下この項及び第六十六条において同じ。)の順位は主登記(付記登記の対象となる既にされた権利に関する登記をいう。以下この項において同じ。)の順位により、同一の主登記に係る付記登記の順位はその前後による。 」とあり、

 不動産登記法第4条1項によれば、登記の前後によりますが、具体的には、不動産登記規則第2条
 (登記の前後)
 第二条  登記の前後は、登記記録の同一の区(第四条第四項の甲区又は乙区をいう。以下同じ。)にした登記相互間については順位番号別の区にした登記相互間については受付番号による
   2  法第七十三条第一項 に規定する権利に関する登記であって、法第四十六条 の規定により敷地権である旨の登記をした土地の敷地権についてされた登記としての効力を有するものと当該土地の登記記録の権利部にした登記との前後は、受付番号による。 」とあり、

 不動産登記規則第2条1項によれば、同一の区(甲区なら甲区、乙区なら乙区)にした登記相互間については”順位番号”、別の区にした登記相互間については”受付番号”によるとありますから、設問の順位番号によるは、誤りです。

 「順位番号」では、甲区、乙区間における登記の前後が分かりませんから、区を越えた登記の前後を知るには、その登記所で受け付けた番号の「受付番号」も必要となります。



答え:1    不動産登記法についても、出題は多いので、 「超解説 区分所有法」  の中で、解説をしていますから、ご利用ください。

問44

【問44】各種の法令に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 「警備業法」(昭和47年法律第117号)によれば、成年被後見人、被保佐人若しくは被補助人又は破産者で復権を得ないものは、警備業を営んではならない。

X 誤っている。 被補助人は入っていない。
 警備業を営む要件なら、警備業法第3条
 「(警備業の要件)
 第三条  次の各号のいずれかに該当する者は、警備業を営んではならない。
     一  成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
     二  禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して五年を経過しない者
     三  最近五年間に、この法律の規定、この法律に基づく命令の規定若しくは処分に違反し、又は警備業務に関し他の法令の規定に違反する重大な不正行為で国家公安委員会規則で定めるものをした者
     四  集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で国家公安委員会規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者
     五  暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律 (平成三年法律第七十七号)第十二条 若しくは第十二条の六 の規定による命令又は同法第十二条の四第二項 の規定による指示を受けた者であつて、当該命令又は指示を受けた日から起算して三年を経過しないもの
     六  アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者
     七  心身の障害により警備業務を適正に行うことができない者として国家公安委員会規則で定めるもの
     八  営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者。ただし、その者が警備業者の相続人であつて、その法定代理人が前各号及び第十号のいずれにも該当しない場合を除くものとする。
     九  営業所ごと及び当該営業所において取り扱う警備業務の区分(前条第一項各号の警備業務の区分をいう。以下同じ。)ごとに第二十二条第一項の警備員指導教育責任者を選任すると認められないことについて相当な理由がある者 
     十  法人でその役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。)のうちに第一号から第七号までのいずれかに該当する者があるもの
     十一  第四号に該当する者が出資、融資、取引その他の関係を通じてその事業活動に支配的な影響力を有する者」とあり、

 警備業法第3条1号によれば、「成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの」ですから、設問の「被補助人」は入っていませんから、誤りです。

 参考:成年被後見人...知的障害や精神上の障害により判断能力を欠く状況にあることを理由として、本人、配偶者、4親等内の親族、または検察官の請求に基づいて、家庭裁判所の後見開始の審判を受けた者。 (民法第7条、第8条参照)
 被保佐人...精神上の障害により判断能力が不十分であるとして、家庭裁判所から保佐開始の審判を受けた人。財産上の重要な法律行為について、保佐人の同意が必要となる。(民法第11条、第12条など参照)
 被補助人...精神上の障害により判断能力が不十分であるとして、家庭裁判所から補助開始の審判を受けた人。後見や保佐よりも障害の程度が軽微な場合に認定され、特定の法律行為について、補助人の同意または代理が必要となる。(民法第15条など参照)



2 「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(平成18年法律第91号)によれば、学校や共同住宅等の特定建築物の建築をしようとするときは、当該特定建築物を建築物移動等円滑化基準に適合させるための措置を講ずる努力義務が課せられているが、特別特定建築物の政令で定める規模以上の建築をしようとするときは、当該特別特定建築物を建築物移動等円滑化基準に適合させる義務が課されている。

○ 正しい。
 ”特定建築物”と”特別特定建築物”は違います。
 まず、言葉の定義に注意のこと。 そこで、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律第2条16号、17号によりますと、
 「(定義)
 第二条  十六  特定建築物 学校、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、ホテル、事務所、共同住宅、老人ホームその他の多数の者が利用する政令で定める建築物又はその部分をいい、これらに附属する建築物特定施設を含むものとする。
 十七  特別特定建築物 不特定かつ多数の者が利用し、又は主として高齢者、障害者等が利用する特定建築物であって、移動等円滑化が特に必要なものとして政令で定めるものをいう。」とあり、

  特定建築物は、学校や共同住宅等で、特別特定建築物は、特定建築物であってなお、不特定かつ多数の者が利用し、又は主として高齢者、障害者等が利用するもので、移動等円滑化が特に必要なものとして政令で定めるものです。

 そこで、設問の前半の、学校や共同住宅等の特定建築物の建築主は、第16条、
 「(特定建築物の建築主等の努力義務等)
 第十六条  建築主等は、特定建築物(特別特定建築物を除く。以下この条において同じ。)の建築(用途の変更をして特定建築物にすることを含む。次条第一項において同じ。)をしようとするときは、当該特定建築物を建築物移動等円滑化基準に適合させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
   2  建築主等は、特定建築物の建築物特定施設の修繕又は模様替をしようとするときは、当該建築物特定施設を建築物移動等円滑化基準に適合させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
   3  所管行政庁は、特定建築物について前二項に規定する措置の適確な実施を確保するため必要があると認めるときは、建築主等に対し、建築物移動等円滑化基準を勘案して、特定建築物又はその建築物特定施設の設計及び施工に係る事項について必要な指導及び助言をすることができる。 」とあり、

 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律第16条1項により、「特定建築物を建築物移動等円滑化基準に適合させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない」とあり、努力義務が課せられていますから、前半は、正しい。

 では、設問の後半の、特別特定建築物の建築主は、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律第14条
 「(特別特定建築物の建築主等の基準適合義務等)
 第十四条  建築主等は、特別特定建築物の政令で定める規模以上の建築(用途の変更をして特別特定建築物にすることを含む。以下この条において同じ。)をしようとするときは、当該特別特定建築物(次項において「新築特別特定建築物」という。)を、移動等円滑化のために必要な建築物特定施設の構造及び配置に関する政令で定める基準(以下「建築物移動等円滑化基準」という。)に適合させなければならない。
   2  建築主等は、その所有し、管理し、又は占有する新築特別特定建築物を建築物移動等円滑化基準に適合するように維持しなければならない。
   3  地方公共団体は、その地方の自然的社会的条件の特殊性により、前二項の規定のみによっては、高齢者、障害者等が特定建築物を円滑に利用できるようにする目的を十分に達成することができないと認める場合においては、特別特定建築物に条例で定める特定建築物を追加し、第一項の建築の規模を条例で同項の政令で定める規模未満で別に定め、又は建築物移動等円滑化基準に条例で必要な事項を付加することができる。
   4  前三項の規定は、建築基準法第六条第一項 に規定する建築基準関係規定とみなす。
   5  建築主等(第一項から第三項までの規定が適用される者を除く。)は、その建築をしようとし、又は所有し、管理し、若しくは占有する特別特定建築物(同項の条例で定める特定建築物を含む。以下同じ。)を建築物移動等円滑化基準(同項の条例で付加した事項を含む。第十七条第三項第一号を除き、以下同じ。)に適合させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」とあり、

 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律第14条1項に該当し、特別特定建築物の政令で定める規模以上の建築をしようとするときは、当該特別特定建築物を建築物移動等円滑化基準に適合させる義務が課せられていますから、後半も正しい。
 そこで、選択肢2は、全体として、正しい。



3 「住生活基本法」(平成18年法律第61号)によれば、国土交通大臣は、関係行政機関の長に対し、住生活の安定の確保及び向上の促進に関する施策の実施状況について報告を求めることができる。

○ 正しい。
 住生活基本法とは、今までの造っては壊すという住宅政策を改め、改修などで良質な住宅を未来に残すように平成18年6月8日に公布・施行された法律です。
 そして、平成18年9月19日の閣議で、住生活基本計画が決定されています。
 この中から、過去も、出題があります。

 
 そこで、設問は、住生活基本法第21条
 「(住生活の安定の確保及び向上の促進に関する施策の実施状況の公表)
 第二十一条  国土交通大臣は、関係行政機関の長に対し、住生活の安定の確保及び向上の促進に関する施策の実施状況について報告を求めることができる。
   2  国土交通大臣は、毎年度、前項の報告を取りまとめ、その概要を公表するものとする。」とあり、
 住生活基本法第21条1項に該当していますから、正しい。



4 「自動車の保管場所の確保等に関する法律」(昭和37年法律第145号)によれば、法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し本法に関する違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、罰金刑を科する。

○ 正しい。
 設問は、 自動車の保管場所の確保等に関する法律第18条 
 「第十八条  法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、同条の罰金刑を科する。」とあり、
 正しい。



答え:1   こんな、管理業務主任者試験の出題範囲というだけで、体裁をつくろう、1問づつの設問を作ることはもう止めて、もっと、管理業務主任者として求められる重要な出題の設定が望ましい。

問45

注:宅地建物取引業法第35条の重要事項説明について、これまでは相手方等が宅地建物取引業者であっても「宅地建物取引士による説明」が必要とされていましたが、平成29年4月1日施行の改正により、宅地建物取引業者が宅地又は建物の取得者又は借主となる場合における重要事項説明については、説明は不要で書面交付のみで足りるものとされました(第35条第6項・第7項の新設)。ここの設問は、改正前のままです。


【問45】宅地建物取引業者A(以下、本問において「A」という。)が自ら売主としてマンションの売買を行う場合に、宅地建物取引業法第35条の規定により行う重要事項の説明に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 Aは、天災その他不可抗力による損害の負担に関する事項を説明しなければならない。

X 誤っている。 天災その他不可抗力による損害の負担に関する事項は、宅地建物取引業者としての記載事項だが、説明事項ではない。
 まず、宅地建物取引業者は宅地建物取引主任者をして、重要な事項を記載した書面を交付して、説明をさせなければいけない規定が、宅地建物取引業法第35条
 「(重要事項の説明等)
 第三十五条  宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(以下「宅地建物取引業者の相手方等」という。)に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、取引主任者をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない
     一  当該宅地又は建物の上に存する登記された権利の種類及び内容並びに登記名義人又は登記簿の表題部に記録された所有者の氏名(法人にあつては、その名称)
     二  都市計画法 、建築基準法 その他の法令に基づく制限で契約内容の別(当該契約の目的物が宅地であるか又は建物であるかの別及び当該契約が売買若しくは交換の契約であるか又は貸借の契約であるかの別をいう。以下この条において同じ。)に応じて政令で定めるものに関する事項の概要
     三  当該契約が建物の貸借の契約以外のものであるときは、私道に関する負担に関する事項
     四  飲用水、電気及びガスの供給並びに排水のための施設の整備の状況(これらの施設が整備されていない場合においては、その整備の見通し及びその整備についての特別の負担に関する事項)
     五  当該宅地又は建物が宅地の造成又は建築に関する工事の完了前のものであるときは、その完了時における形状、構造その他国土交通省令・内閣府令で定める事項
     六  当該建物が建物の区分所有等に関する法律 (昭和三十七年法律第六十九号)第二条第一項 に規定する区分所有権の目的であるものであるときは、当該建物を所有するための一棟の建物の敷地に関する権利の種類及び内容、同条第四項 に規定する共用部分に関する規約の定めその他の一棟の建物又はその敷地(一団地内に数棟の建物があつて、その団地内の土地又はこれに関する権利がそれらの建物の所有者の共有に属する場合には、その土地を含む。)に関する権利及びこれらの管理又は使用に関する事項で契約内容の別に応じて国土交通省令・内閣府令で定めるもの
     七  代金、交換差金及び借賃以外に授受される金銭の額及び当該金銭の授受の目的
     八  契約の解除に関する事項
     九  損害賠償額の予定又は違約金に関する事項
     十  第四十一条第一項に規定する手付金等を受領しようとする場合における同条又は第四十一条の二の規定による措置の概要
     十一  支払金又は預り金(宅地建物取引業者の相手方等からその取引の対象となる宅地又は建物に関し受領する代金、交換差金、借賃その他の金銭(第四十一条第一項又は第四十一条の二第一項の規定により保全の措置が講ぜられている手付金等を除く。)であつて国土交通省令・内閣府令で定めるものをいう。以下同じ。)を受領しようとする場合において、第六十四条の三第二項の規定による保証の措置その他国土交通省令・内閣府令で定める保全措置を講ずるかどうか、及びその措置を講ずる場合におけるその措置の概要
     十二  代金又は交換差金に関する金銭の貸借のあつせんの内容及び当該あつせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置
     十三  当該宅地又は建物の瑕疵を担保すべき責任の履行に関し保証保険契約の締結その他の措置で国土交通省令・内閣府令で定めるものを講ずるかどうか、及びその措置を講ずる場合におけるその措置の概要
     十四  その他宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護の必要性及び契約内容の別を勘案して、次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める命令で定める事項
       イ 事業を営む場合以外の場合において宅地又は建物を買い、又は借りようとする個人である宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護に資する事項を定める場合 国土交通省令・内閣府令
       ロ イに規定する事項以外の事項を定める場合 国土交通省令
   2  宅地建物取引業者は、宅地又は建物の割賦販売(代金の全部又は一部について、目的物の引渡し後一年以上の期間にわたり、かつ、二回以上に分割して受領することを条件として販売することをいう。以下同じ。)の相手方に対して、その者が取得しようとする宅地又は建物に関し、その割賦販売の契約が成立するまでの間に、取引主任者をして、前項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面を交付して説明をさせなければならない。
     一  現金販売価格(宅地又は建物の引渡しまでにその代金の全額を受領する場合の価格をいう。)
     二  割賦販売価格(割賦販売の方法により販売する場合の価格をいう。)
     三  宅地又は建物の引渡しまでに支払う金銭の額及び賦払金(割賦販売の契約に基づく各回ごとの代金の支払分で目的物の引渡し後のものをいう。第四十二条第一項において同じ。)の額並びにその支払の時期及び方法
   3  宅地建物取引業者は、宅地又は建物に係る信託(当該宅地建物取引業者を委託者とするものに限る。)の受益権の売主となる場合における売買の相手方に対して、その者が取得しようとしている信託の受益権に係る信託財産である宅地又は建物に関し、その売買の契約が成立するまでの間に、取引主任者をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。ただし、その売買の相手方の利益の保護のため支障を生ずることがない場合として国土交通省令で定める場合は、この限りでない。
     一  当該信託財産である宅地又は建物の上に存する登記された権利の種類及び内容並びに登記名義人又は登記簿の表題部に記録された所有者の氏名(法人にあつては、その名称)
     二  当該信託財産である宅地又は建物に係る都市計画法 、建築基準法 その他の法令に基づく制限で政令で定めるものに関する事項の概要
     三  当該信託財産である宅地又は建物に係る私道に関する負担に関する事項
     四  当該信託財産である宅地又は建物に係る飲用水、電気及びガスの供給並びに排水のための施設の整備の状況(これらの施設が整備されていない場合においては、その整備の見通し及びその整備についての特別の負担に関する事項)
     五  当該信託財産である宅地又は建物が宅地の造成又は建築に関する工事の完了前のものであるときは、その完了時における形状、構造その他国土交通省令で定める事項
     六  当該信託財産である建物が建物の区分所有等に関する法律第二条第一項 に規定する区分所有権の目的であるものであるときは、当該建物を所有するための一棟の建物の敷地に関する権利の種類及び内容、同条第四項 に規定する共用部分に関する規約の定めその他の一棟の建物又はその敷地(一団地内に数棟の建物があつて、その団地内の土地又はこれに関する権利がそれらの建物の所有者の共有に属する場合には、その土地を含む。)に関する権利及びこれらの管理又は使用に関する事項で国土交通省令で定めるもの
     七  その他当該信託の受益権の売買の相手方の利益の保護の必要性を勘案して国土交通省令で定める事項
   4  取引主任者は、前三項の説明をするときは、説明の相手方に対し、取引主任者証を提示しなければならない。
   5  第一項から第三項までの書面の交付に当たつては、取引主任者は、当該書面に記名押印しなければならない。」とあり、
 設問の「 天災その他不可抗力による損害の負担に関する事項」は、重要事項の説明には該当しないため、誤りです。

 なお、「天災その他不可抗力による損害の負担に関する事項」は、契約成立時に交付する書面の記載事項です
 参考:宅地建物取引業法第37条10号
 「(書面の交付)
 第三十七条  宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換に関し、自ら当事者として契約を締結したときはその相手方に、当事者を代理して契約を締結したときはその相手方及び代理を依頼した者に、その媒介により契約が成立したときは当該契約の各当事者に、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない
     一  当事者の氏名(法人にあつては、その名称)及び住所
     二  当該宅地の所在、地番その他当該宅地を特定するために必要な表示又は当該建物の所在、種類、構造その他当該建物を特定するために必要な表示
     三  代金又は交換差金の額並びにその支払の時期及び方法
     四  宅地又は建物の引渡しの時期
     五  移転登記の申請の時期
     六  代金及び交換差金以外の金銭の授受に関する定めがあるときは、その額並びに当該金銭の授受の時期及び目的
     七  契約の解除に関する定めがあるときは、その内容
     八  損害賠償額の予定又は違約金に関する定めがあるときは、その内容
     九  代金又は交換差金についての金銭の貸借のあつせんに関する定めがある場合においては、当該あつせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置
     十  天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがあるときは、その内容
     十一  当該宅地若しくは建物の瑕疵を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置についての定めがあるときは、その内容
     十二  当該宅地又は建物に係る租税その他の公課の負担に関する定めがあるときは、その内容
   2  宅地建物取引業者は、宅地又は建物の貸借に関し、当事者を代理して契約を締結したときはその相手方及び代理を依頼した者に、その媒介により契約が成立したときは当該契約の各当事者に、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。
     一  前項第一号、第二号、第四号、第七号、第八号及び第十号に掲げる事項
     二  借賃の額並びにその支払の時期及び方法
     三  借賃以外の金銭の授受に関する定めがあるときは、その額並びに当該金銭の授受の時期及び目的
   3  宅地建物取引業者は、前二項の規定により交付すべき書面を作成したときは、取引主任者をして、当該書面に記名押印させなければならない。」



2 Aは、当該マンションの管理が委託されているときは、その管理委託契約の内容について説明しなければならない。

X 誤っている。 管理委託契約の内容までの説明はない。
 選択肢1で引用しました、宅地建物取引業法第35条1項14号を受けて、宅地建物取引業法施行規則第16条の4の3 
 「(法第三十五条第一項第十四号 イの国土交通省令・内閣府令及び同号 ロの国土交通省令で定める事項)
 第十六条の四の三  法第三十五条第一項第十四号 イの国土交通省令・内閣府令及び同号 ロの国土交通省令で定める事項は、宅地の売買又は交換の契約にあつては第一号から第三号までに掲げるもの、建物の売買又は交換の契約にあつては第一号から第六号までに掲げるもの、宅地の貸借の契約にあつては第一号から第三号まで及び第八号から第十三号までに掲げるもの、建物の貸借の契約にあつては第一号から第五号まで及び第七号から第十二号までに掲げるものとする。
     一  当該宅地又は建物が宅地造成等規制法 (昭和三十六年法律第百九十一号)第二十条第一項 により指定された造成宅地防災区域内にあるときは、その旨
     二  当該宅地又は建物が土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律 (平成十二年法律第五十七号)第六条第一項 により指定された土砂災害警戒区域内にあるときは、その旨
     三  当該宅地又は建物が津波防災地域づくりに関する法律 (平成二十三年法律第百二十三号)第五十三条第一項 により指定された津波災害警戒区域内にあるときは、その旨
     四  当該建物について、石綿の使用の有無の調査の結果が記録されているときは、その内容
     五  当該建物(昭和五十六年六月一日以降に新築の工事に着手したものを除く。)が建築物の耐震改修の促進に関する法律 (平成七年法律第百二十三号)第四条第一項 に規定する基本方針のうち同条第二項第三号 の技術上の指針となるべき事項に基づいて次に掲げる者が行う耐震診断を受けたものであるときは、その内容
       イ 建築基準法 (昭和二十五年法律第二百一号)第七十七条の二十一第一項 に規定する指定確認検査機関
       ロ 建築士法 (昭和二十五年法律第二百二号)第二条第一項 に規定する建築士
       ハ 住宅の品質確保の促進等に関する法律 (平成十一年法律第八十一号)第五条第一項 に規定する登録住宅性能評価機関
       ニ 地方公共団体
     六  当該建物が住宅の品質確保の促進等に関する法律第五条第一項 に規定する住宅性能評価を受けた新築住宅であるときは、その旨
     七  台所、浴室、便所その他の当該建物の設備の整備の状況
     八  契約期間及び契約の更新に関する事項
     九  借地借家法 (平成三年法律第九十号)第二条第一号 に規定する借地権で同法第二十二条 の規定の適用を受けるものを設定しようとするとき、又は建物の賃貸借で同法第三十八条第一項 若しくは高齢者の居住の安定確保に関する法律 (平成十三年法律第二十六号)第五十二条 の規定の適用を受けるものをしようとするときは、その旨
     十  当該宅地又は建物の用途その他の利用に係る制限に関する事項(当該建物が区分所有法第二条第一項 に規定する区分所有権の目的であるときにあつては、第十六条の二第三号に掲げる事項を除く。)
     十一  敷金その他いかなる名義をもつて授受されるかを問わず、契約終了時において精算することとされている金銭の精算に関する事項
     十二  当該宅地又は建物(当該建物が区分所有法第二条第一項 に規定する区分所有権の目的であるものを除く。)の管理が委託されているときは、その委託を受けている者の氏名(法人にあつては、その商号又は名称)及び住所(法人にあつては、その主たる事務所の所在地)
     十三  契約終了時における当該宅地の上の建物の取壊しに関する事項を定めようとするときは、その内容」とあり、

  12号には、「当該宅地又は建物(当該建物が区分所有法第二条第一項 に規定する区分所有権の目的であるものを除く。)の管理が委託されているときは、その委託を受けている者の氏名(法人にあつては、その商号又は名称)及び住所(法人にあつては、その主たる事務所の所在地)」とあり、設問の「その管理委託契約の内容について説明」までは、求められていませんから、誤りです



3 Aは、台所、浴室、便所その他の当該マンションの設備の整備の状況について、説明しなければならない。

X 誤っている。 台所、浴室、便所その他の当該マンションの設備の整備の状況は、賃貸なら説明するが、売買では不要。
 設問は、選択肢2で引用しました、宅地建物取引業法施行規則第16条の4の3 
 「建物の売買又は交換の契約にあつては第一号から第六号までに掲げるもの」とあり、
 「七  台所、浴室、便所その他の当該建物の設備の整備の状況」は、7号にあり、売買では不要ですから、誤りです。
 なお、賃貸では「建物の貸借の契約にあつては第一号から第五号まで及び第七号から第十二号までに掲げるものとする。」とあり、該当します。



4 Aは、当該マンションが津波防災地域づくりに関する法律(平成23年法律第123号)第53条第1項により指定された津波災害警戒区域内にあるときは、その旨を説明しなければならない。

○ 正しい。
 設問は、選択肢2で引用しました、宅地建物取引業法施行規則第16条の4の3 3号
 「建物の売買又は交換の契約にあつては第一号から第六号までに掲げるもの
  三  当該宅地又は建物が津波防災地域づくりに関する法律 (平成二十三年法律第百二十三号)第五十三条第一項 により指定された津波災害警戒区域内にあるときは、その旨」とあり、
 該当していますから、正しい。



答え:4  出題が、かなり細かくて、宅地建物取引主任者試験関係者でないと、すぐには分からない? でも、なんとなく、選択肢4 が、改正点で、正しいとは分かるか?

問46


 *注:問46から問50までは、マンション管理士試験か管理業務主任者試験の合格者には免除される部分です。また、この問46から問50は、「マンション管理適正化法」と同指針からの出題と決まっていますので、出題は似たような内容となります。過去問題はやっておくと楽です。


【問46】次の記述のうち、マンションの管理の適正化に関する指針(平成13年国土交通省告示第1288号)によれば、不適切なものはいくつあるか。

ア 集会は、管理組合の最高意思決定機関であるため、管理組合の管理者等は、その意思決定にあたっては、事前に必要な資料を整備し、集会において適切な判断が行われるよう配慮する必要がある。

○ 適切である。 平成21年 管理業務主任者試験 「問46」 、 平成20年 マンション管理士試験 「問46」 、 平成13年 マンション管理士試験 「問50」 。
 マンションの管理の適正化に関する指針: http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/mankantekiseikasisin.pdf
 「二 マンションの管理の適正化の推進のために管理組合が留意すべき基本的事項
   1 管理組合の運営
    また、集会は、管理組合の最高意思決定機関である。したがって、管理組合の管理者等は、その意思決定にあたっては、事前に必要な資料を整備し、集会において適切な判断が行われるよう配慮する必要がある。」とあり、適切です。



イ 長期修繕計画の実効性を確保するためには、修繕内容、資金計画を適正かつ明確に定め、それらをマンションの区分所有者等に十分周知させることが必要である。

○ 適切である。 平成16年 管理業務主任者試験 「問46」 。
  マンションの管理の適正化に関する指針
 「二 マンションの管理の適正化の推進のために管理組合が留意すべき基本的事項
   5 長期修繕計画の策定及び見直し等
    長期修繕計画の実効性を確保するためには、修繕内容、資金計画を適正かつ明確に定め、それらをマンションの区分所有者等に十分周知させることが必要である。」とあり、適切です。



ウ マンションの区分所有者等は、マンションの快適かつ適正な利用と資産価値の維持を図るため、進んで管理者に管理組合の運営を一任することが必要である。

X 適切でない。 「進んで管理者に管理組合の運営を一任することが必要」の文言はない。 平成22年 管理業務主任者試験 「問46」 、 平成14年 マンション管理士試験 「問48」 。
 設問に近いのは、マンションの管理の適正化に関する指針
 「三 マンションの管理の適正化の推進のためにマンションの区分所有者等が留意すべき基本的事項等
   また、マンションの区分所有者等は、マンションの居住形態が戸建てのものとは異なり、相隣関係等に配慮を要する住まい方であることを十分に認識し、その上で、マンションの快適かつ適正な利用と資産価値の維持を図るため、管理組合の一員として、進んで、集会その他の管理組合の管理運営に参加するとともに、定められた管理規約、集会の決議等を遵守する必要がある。そのためにも、マンションの区分所有者等は、マンションの管理に関する法律等に関する理解を深める必要がある。」とあり、
 設問の「進んで管理者に管理組合の運営を一任することが必要である」の文言はないので、適切ではありません。



エ 管理組合の経理について、管理組合の管理者等は、必要な帳票類を作成してこれを保管するとともに、マンションの区分所有者等の請求があった時は、これを速やかに開示することにより、経理の透明性を確保する必要がある。

○ 適切である。  平成17年 管理業務主任者試験 「問46」 、平成15年 管理業務主任者試験 「問47」 。
  マンションの管理の適正化に関する指針
 「二 マンションの管理の適正化の推進のために管理組合が留意すべき基本的事項
   4 管理組合の経理
   また、管理組合の管理者等は、必要な帳票類を作成してこれを保管するとともに、マンションの区分所有者等の請求があった時は、これを速やかに開示することにより、経理の透明性を確保する必要がある。」とあり、適切です。



1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ


答え:1 不適切なのは、 ウ の1つだけ。  ここは、もう基本です。 でも、また個数問題とは、平成25年の管理業務主任者試験の特徴だ。

問47

【問47】マンション管理業者が行う重要事項の説明及び契約成立時の書面の交付に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法によれば、誤っているものはいくつあるか。

ア マンション管理業者は、管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする契約を締結した場合、当該管理組合に管理者等が置かれていないときは、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等全員に対し、遅滞なく、契約の成立時の書面を交付しなければならない。

○ 正しい。 平成23年 管理業務主任者試験 「問47」 、 平成18年 管理業務主任者試験 「問49」 、平成16年 管理業務主任者試験 「問50」 、 平成14年 管理業務主任者試験 「問48」 、 平成13年 管理業務主任者試験 [問48」 
 管理組合に管理者等が置かれていないときの契約の成立時の書面の交付は、マンションの管理の適正化の推進に関する法律(この解説では、「マンション管理適正化法」といいます)第73条
 「(契約の成立時の書面の交付)
 第七十三条  マンション管理業者は、管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする契約を締結したときは、当該管理組合の管理者等(当該マンション管理業者が当該管理組合の管理者等である場合又は当該管理組合に管理者等が置かれていない場合にあっては、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等全員)に対し、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。
     一  管理事務の対象となるマンションの部分
     二  管理事務の内容及び実施方法(第七十六条の規定により管理する財産の管理の方法を含む。)
     三  管理事務に要する費用並びにその支払の時期及び方法
     四  管理事務の一部の再委託に関する定めがあるときは、その内容
     五  契約期間に関する事項
     六  契約の更新に関する定めがあるときは、その内容
     七  契約の解除に関する定めがあるときは、その内容
     八  その他国土交通省令で定める事項
   2  マンション管理業者は、前項の規定により交付すべき書面を作成するときは、管理業務主任者をして、当該書面に記名押印させなければならない。」とあり、
 正しい。



イ マンション管理業者は、契約の成立時の書面をマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等の見やすい場所に掲示しなければならない。

X 誤っている。 このような規定はない。
 設問の「契約の成立時の書面をマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等の見やすい場所に掲示しなければならない」の規定は、マンション管理適正化法にはありませんから、誤りです。


ウ マンション管理業者は、管理業務主任者をして、重要事項として免責に関する事項を説明させなければならないが、契約の成立時の書面には免責に関する事項を記載する必要はない。

X 誤っている。 免責に関する事項は、重要事項として説明が必要で、また、契約の成立時の書面の記載事項である。
 管理業務主任者が行う重要事項は、マンション管理適正化法第72条
 「(重要事項の説明等)
 第七十二条  マンション管理業者は、管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする契約(新たに建設されたマンションの当該建設工事の完了の日から国土交通省令で定める期間を経過する日までの間に契約期間が満了するものを除く。以下「管理受託契約」という。)を締結しようとするとき(次項に規定するときを除く。)は、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより説明会を開催し、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等に対し、管理業務主任者をして、管理受託契約の内容及びその履行に関する事項であって国土交通省令で定めるもの(以下「重要事項」という。)について説明をさせなければならない。この場合において、マンション管理業者は、当該説明会の日の一週間前までに、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等の全員に対し、重要事項並びに説明会の日時及び場所を記載した書面を交付しなければならない。
   2  マンション管理業者は、従前の管理受託契約と同一の条件で管理組合との管理受託契約を更新しようとするときは、あらかじめ、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等全員に対し、重要事項を記載した書面を交付しなければならない。
   3  前項の場合において当該管理組合に管理者等が置かれているときは、マンション管理業者は、当該管理者等に対し、管理業務主任者をして、重要事項について、これを記載した書面を交付して説明をさせなければならない。
   4  管理業務主任者は、第一項又は前項の説明をするときは、説明の相手方に対し、管理業務主任者証を提示しなければならない。
   5  マンション管理業者は、第一項から第三項までの規定により交付すべき書面を作成するときは、管理業務主任者をして、当該書面に記名押印させなければならない。」とあり、

 マンション管理適正化法第72条1項の「重要事項」を受けた 「マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則(以下、この解説では、「マンション管理適正化法施行規則」といいます)第84条
 「(重要事項)
 第八十四条  法第七十二条第一項 の国土交通省令で定める事項は、次に掲げるものとする。
     一  マンション管理業者の商号又は名称、住所、登録番号及び登録年月日
     二  管理事務の対象となるマンションの所在地に関する事項
     三  管理事務の対象となるマンションの部分に関する事項
     四  管理事務の内容及び実施方法(法第七十六条 の規定により管理する財産の管理の方法を含む。)
     五  管理事務に要する費用並びにその支払の時期及び方法
     六  管理事務の一部の再委託に関する事項
     七  保証契約に関する事項
     八  免責に関する事項
     九  契約期間に関する事項
     十  契約の更新に関する事項
     十一  契約の解除に関する事項 」とあり、

 設問の前半の「免責に関する事項」は、マンション管理適正化法施行規則第84条8号に該当し、重要事項の説明事項ですから、正しい。

 設問の後半「契約の成立時の書面には免責に関する事項を記載する必要」は、選択肢アで引用しました、マンション管理適正化法第73条1項8号
 「八  その他国土交通省令で定める事項」を受けた、マンション管理適正化法施行規則第85条
 「(法第七十三条第一項第八号 の国土交通省令で定める事項)
 第八十五条  法第七十三条第一項第八号 の国土交通省令で定める事項は、次に掲げるものとする。
     一  管理受託契約の当事者の名称及び住所並びに法人である場合においては、その代表者の氏名
     二  マンション管理業者による管理事務の実施のため必要となる、マンションの区分所有者等の行為制限又はマンション管理業者によるマンションの区分所有者等の専有部分への立入り若しくはマンションの共用部分(建物の区分所有等に関する法律 (昭和三十七年法律第六十九号)第二条第四項 に規定する共用部分をいう。)の使用に関する定めがあるときは、その内容
     三  法第七十七条 に規定する管理事務の報告に関する事項
     四  マンションの滅失し又は毀損した場合において、管理組合及びマンション管理業者が当該滅失又は毀損の事実を知ったときはその状況を契約の相手方に通知すべき旨の定めがあるときは、その内容
    五  宅地建物取引業者からその行う業務の用に供する目的でマンションに関する情報の提供を要求された場合の対応に関する定めがあるときは、その内容
    六  毎事業年度開始前に行う当該年度の管理事務に要する費用の見通しに関する定めがあるときは、その内容
    七  管理事務として行う管理事務に要する費用の収納に関する事項
    八  免責に関する事項」とあり、

 マンション管理適正化法施行規則第85条8号に該当していますから、 免責に関する事項は、契約の成立時の書面にも記載しますから、誤りです。
 そこで、選択肢ウは、前半は、正しいのですが、後半が誤りですから、全体として誤りです。


エ マンション管理業者は、重要事項を記載した書面及び契約の成立時の書面を作成するときは、管理業務主任者をして、そのいずれの書面にも記名押印をさせなければならない。

○ 正しい。
 まず、管理業務主任者が重要事項を記載した書面に記名押印は、選択肢ウで引用しました、マンション管理適正化法第72条5項
 「5  マンション管理業者は、第一項から第三項までの規定により交付すべき書面を作成するときは、管理業務主任者をして、当該書面に記名押印させなければならない。」とあり、
 正しい。

 次の「契約の成立時の書面」は、選択肢アで引用しました、マンション管理適正化法第73条2項
 「2  マンション管理業者は、前項の規定により交付すべき書面を作成するときは、管理業務主任者をして、当該書面に記名押印させなければならない。」とあり、
 契約の成立時の書面にも、管理業務主任者の記名押印は必要ですから、選択肢エは全体として、正しい



1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ


答え:2 誤っているのは、イ と ウ の2つ。  また、ここに来てまで、個数問題とは、平成25年の管理業務主任者試験の問題作成者のこだわりには、恐れ入る。

問48

【問48】管理業務主任者に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法によれば、空欄に当てはまる言葉の組み合わせとして正しいものはどれか。
 (解説者注:本試験では、空欄は四角(□)で囲まれていますが、NETでは、表示できないため [ ] で表しています。)

ア マンション管理業者がその事務所ごとに置かなければならない成年者である専任の管理業務主任者の数は、管理事務の委託を受けた管理組合の数を [A] で除したもの(1未満の端数は切り上げる。)以上とする。

 Aは ”30”
 マンション管理適正化法第56条1項
 「(管理業務主任者の設置)
 第五十六条  マンション管理業者は、その事務所ごとに、事務所の規模を考慮して国土交通省令で定める数の成年者である専任の管理業務主任者を置かなければならない。ただし、人の居住の用に供する独立部分(区分所有法第一条 に規定する建物の部分をいう。以下同じ。)が国土交通省令で定める数以上である第二条第一号イに掲げる建物の区分所有者を構成員に含む管理組合から委託を受けて行う管理事務を、その業務としない事務所については、この限りでない。
   2  前項の場合において、マンション管理業者(法人である場合においては、その役員)が管理業務主任者であるときは、その者が自ら主として業務に従事する事務所については、その者は、その事務所に置かれる成年者である専任の管理業務主任者とみなす。
   3  マンション管理業者は、第一項の規定に抵触する事務所を開設してはならず、既存の事務所が同項の規定に抵触するに至ったときは、二週間以内に、同項の規定に適合させるため必要な措置をとらなければならない。」とあり、

 マンション管理適正化法第56条1項1項を受けた、政令:マンション管理適正化法施行規則第61条
 「(法第五十六条第一項 の国土交通省令で定める管理業務主任者の数)
 第六十一条  法第五十六条第一項 の国土交通省令で定める管理業務主任者の数は、マンション管理業者が管理事務の委託を受けた管理組合の数を三十で除したもの(一未満の端数は切り上げる。)以上とする。」とあり、Aは”30”です。



イ 管理業務主任者証の交付を受けようとする者で、管理業務主任者試験に合格した日から [B] に交付を受けようとする者については、国土交通大臣の登録を受けた者(登録講習機関)が行う講習を受けなくても交付を申請することができる。

  Bは”1年以内” 
 マンション管理適正化法第60条2項
 「(管理業務主任者証の交付等)
 第六十条  前条第一項の登録を受けている者は、国土交通大臣に対し、氏名、生年月日その他国土交通省令で定める事項を記載した管理業務主任者証の交付を申請することができる。
   2  管理業務主任者証の交付を受けようとする者は、第六十一条の二において準用する第四十一条の二から第四十一条の四までの規定により国土交通大臣の登録を受けた者(以下この節において「登録講習機関」という。)が国土交通省令で定めるところにより行う講習(以下この節において「講習」という。)で交付の申請の日前六月以内に行われるものを受けなければならない。ただし、試験に合格した日から一年以内に管理業務主任者証の交付を受けようとする者については、この限りでない
   3  管理業務主任者証の有効期間は、五年とする。
   4  管理業務主任者は、前条第一項の登録が消除されたとき、又は管理業務主任者証がその効力を失ったときは、速やかに、管理業務主任者証を国土交通大臣に返納しなければならない。
   5  管理業務主任者は、第六十四条第二項の規定による禁止の処分を受けたときは、速やかに、管理業務主任者証を国土交通大臣に提出しなければならない。
   6  国土交通大臣は、前項の禁止の期間が満了した場合において、同項の規定により管理業務主任者証を提出した者から返還の請求があったときは、直ちに、当該管理業務主任者証を返還しなければならない。 」とあり、
 2項により、Bは”1年以内”です。



ウ 管理業務主任者試験に合格した者で、管理事務に関し [C] の実務の経験を有する者は、国士交通大臣の登録を受けることができる。

 Cは”2年以上” 
 マンション管理適正化法第59条1項
 「(登録) 
 第五十九条  試験に合格した者で、管理事務に関し国土交通省令で定める期間以上の実務の経験を有するもの又は国土交通大臣がその実務の経験を有するものと同等以上の能力を有すると認めたものは、国土交通大臣の登録を受けることができる。ただし、次の各号のいずれかに該当する者については、この限りでない。
     一  成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
     二  禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
     三  この法律の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
     四  第三十三条第一項第二号又は第二項の規定によりマンション管理士の登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者
     五  第六十五条第一項第二号から第四号まで又は同条第二項第二号若しくは第三号のいずれかに該当することにより登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者
     六  第八十三条第二号又は第三号に該当することによりマンション管理業者の登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者(当該登録を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しの日前三十日以内にその法人の役員であった者で当該取消しの日から二年を経過しないもの)
   2  前項の登録は、国土交通大臣が、管理業務主任者登録簿に、氏名、生年月日その他国土交通省令で定める事項を登載してするものとする。 」とあり、

 マンション管理適正化法第59条1項を受けた政令:マンション管理適正化法施行規則第68条
 「(法第五十九条第一項 の国土交通省令で定める期間)
 第六十八条  法第五十九条第一項 の国土交通省令で定める期間は、二年とする。」とあり、
  Cは”2年以上”です。



エ 管理業務主任者が、管理業務主任者として行う事務に関し、不正又は著しく不当な行為をしたときは、国士交通大臣は、その者に対し、 [D] の期間を定めて、管理業務主任者としてすべき事務を行うことを禁止することができる。

 Dは ”1年以内” 
 設問は、マンション管理適正化法第64条
 「(指示及び事務の禁止)
 第六十四条  国土交通大臣は、管理業務主任者が次の各号のいずれかに該当するときは、当該管理業務主任者に対し、必要な指示をすることができる。
     一  マンション管理業者に自己が専任の管理業務主任者として従事している事務所以外の事務所の専任の管理業務主任者である旨の表示をすることを許し、当該マンション管理業者がその旨の表示をしたとき。
     二  他人に自己の名義の使用を許し、当該他人がその名義を使用して管理業務主任者である旨の表示をしたとき。
     三  管理業務主任者として行う事務に関し、不正又は著しく不当な行為をしたとき。
   2  国土交通大臣は、管理業務主任者が前項各号のいずれかに該当するとき、又は同項の規定による指示に従わないときは、当該管理業務主任者に対し、一年以内の期間を定めて、管理業務主任者としてすべき事務を行うことを禁止することができる。 」とあり、
 マンション管理適正化法第64条1項3号及び同2項により、Dは”1年以内”です。






答え:4  A=30、 B=1年以内、 C=2年以上、 D=1年以内。  個数問題を組み合わせ問題に変化させるとは、個数問題と面倒さは、同じです。

問49

【問49】管理事務の報告に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法によれば、正しいものはどれか。

1 管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれている場合、マンション管理業者は、当該管理組合の事業年度終了後、遅滞なく、管理者等に管理事務に関する報告をしなければならないが、管理事務報告書を区分所有者等の見やすい場所に掲示することで、管理者等への報告を省略することができる。

X 誤っている。 報告の省略はできない。
  管理事務の報告は、管理者等が置かれている場合と、管理者等が置かれていない場合によって、違っています。
 それが、マンション管理適正化法第77条
 「(管理事務の報告)
 第七十七条  マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれているときは、国土交通省令で定めるところにより、定期に、当該管理者等に対し、管理業務主任者をして、当該管理事務に関する報告をさせなければならない。
   2  マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれていないときは、国土交通省令で定めるところにより、定期に、説明会を開催し、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等に対し、管理業務主任者をして、当該管理事務に関する報告をさせなければならない。
   3  管理業務主任者は、前二項の説明をするときは、説明の相手方に対し、管理業務主任者証を提示しなければならない。 」とあり、

 「管理組合に管理者等が置かれているとき」のマンション管理適正化法第77条1項を受けた政令は、マンション管理適正化法施行規則第88条
 「(管理事務の報告)
 第八十八条  マンション管理業者は、法第七十七条第一項 の規定により管理事務に関する報告を行うときは、管理事務を委託した管理組合の事業年度終了後、遅滞なく、当該期間における管理受託契約に係るマンションの管理の状況について次に掲げる事項を記載した管理事務報告書を作成し、管理業務主任者をして、これを管理者等に交付して説明をさせなければならない
     一  報告の対象となる期間
     二  管理組合の会計の収入及び支出の状況
     三  前二号に掲げるもののほか、管理受託契約の内容に関する事項」とあり、

 マンション管理業者は、当該管理組合の事業年度終了後、遅滞なく、管理者等に管理事務に関する報告を、管理業務主任者をして説明させることになっており、報告を省略する規定はありませんから、誤りです。



2 管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれていない場合、マンション管理業者は、区分所有者等からの求めがあったときのみ、管理事務の報告を行う説明会の開催日の1週間前までに、説明会の開催の日時及び場所を当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等の見やすい場所に掲示しなければならない。

X 誤っている。 説明会開催の掲示は、区分所有者等からの求めがなくても行う。
 「管理者等が置かれていない場合」の管理事務の報告は、選択肢1で引用しました、マンション管理適正化法第77条2項
 「2  マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれていないときは、国土交通省令で定めるところにより、定期に、説明会を開催し、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等に対し、管理業務主任者をして、当該管理事務に関する報告をさせなければならない。」とあり、

 これを受けた政令は、マンション管理適正化法施行規則第89条
 「第八十九条  マンション管理業者は、法第七十七条第二項 の規定により管理事務に関する報告を行うときは、管理事務を委託した管理組合の事業年度の終了後、遅滞なく、当該期間における管理受託契約に係るマンションの管理の状況について前条各号に掲げる事項を記載した管理事務報告書を作成し、法第七十七条第二項 に規定する説明会を開催し、管理業務主任者をして、これを当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等に交付して説明をさせなければならない。
   2  前項の説明会は、できる限り説明会に参加する者の参集の便を考慮して開催の日時及び場所を定め、管理事務の委託を受けた管理組合ごとに開催するものとする。
   3  マンション管理業者は、前項の説明会の開催日の一週間前までに説明会の開催の日時及び場所について、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等の見やすい場所に掲示しなければならない。 」とあり、

 管理事務報告の説明会の開催は、必ずしなければならず、マンション管理適正化法施行規則第89条3項によれば、説明会の開催の日時及び場所の掲示は、区分所有者等の求めがなくても行うことになっていますから、設問の「区分所有者等からの求めがあったときのみ」は、正しくありません。誤りです。



3 管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれている場合、マンション管理業者が管理事務に関する報告を行うときは、報告の対象となる期間、管理組合の会計の収入及び支出の状況及び管理受託契約の内容に関する事項を記載した管理事務報告書を作成し、管理業務主任者をして、これを管理者等に交付して説明をさせなければならないが、当該書面に記名押印することまでは求められていない。

○ 正しい。
 管理者等が置かれている場合の管理事務の報告は、選択肢1で引用しました、マンション管理適正化法第77条1項
 {マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれているときは、国土交通省令で定めるところにより、定期に、当該管理者等に対し、管理業務主任者をして、当該管理事務に関する報告をさせなければならない。」とあり、

 これを受けた、マンション管理適正化法施行規則第88条
 「(管理事務の報告)
 第八十八条  マンション管理業者は、法第七十七条第一項 の規定により管理事務に関する報告を行うときは、管理事務を委託した管理組合の事業年度終了後、遅滞なく、当該期間における管理受託契約に係るマンションの管理の状況について次に掲げる事項を記載した管理事務報告書を作成し、管理業務主任者をして、これを管理者等に交付して説明をさせなければならない
     一  報告の対象となる期間
     二  管理組合の会計の収入及び支出の状況
     三  前二号に掲げるもののほか、管理受託契約の内容に関する事項」とあり、

  ①報告の対象となる期間、②管理組合の会計の収入 及び ③支出の状況及び管理受託契約の内容に関する事項を記載した管理事務報告書を作成し管理業務主任者をして、これを管理者等に交付して説明をさせなければなりませんが、当該書面に管理業務主任者が記名押印することまでは、求められていませんから、正しい。



4 管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれていない場合、マンション管理業者は、当該管理組合の事業年度終了後、遅滞なく、管理事務報告書を作成し説明会を開催しなければならないが、管理事務報告書については、説明会の日の1週間前までに区分所有者等全員に配布しなければならない。

X 誤っている。 管理事務報告書は、遅滞なく作成するが、「説明会の日の1週間前までに区分所有者等全員に配布する」の規定はない。
 管理者等が置かれていない場合には、選択肢1で引用しました、マンション管理適正化法第77条2項
 「2  マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれていないときは、国土交通省令で定めるところにより、定期に、説明会を開催し、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等に対し、管理業務主任者をして、当該管理事務に関する報告をさせなければならない。」とあり、

 これを受けた政令:マンション管理適正化法施行規則第89条
 「第八十九条  マンション管理業者は、法第七十七条第二項 の規定により管理事務に関する報告を行うときは、管理事務を委託した管理組合の事業年度の終了後、遅滞なく、当該期間における管理受託契約に係るマンションの管理の状況について前条各号に掲げる事項を記載した管理事務報告書を作成し、法第七十七条第二項 に規定する説明会を開催し、管理業務主任者をして、これを当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等に交付して説明をさせなければならない。
   2  前項の説明会は、できる限り説明会に参加する者の参集の便を考慮して開催の日時及び場所を定め、管理事務の委託を受けた管理組合ごとに開催するものとする。
   3  マンション管理業者は、前項の説明会の開催日の一週間前までに説明会の開催の日時及び場所について、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等の見やすい場所に掲示しなければならない。」とあり、

 マンション管理業者は、当該管理組合の事業年度終了後、遅滞なく、管理事務報告書を作成し説明会を開催しなければなりませんが、管理事務報告書を、説明会の日の1週間前までに区分所有者等全員に配布しなければならないの規定はありませんから、誤りです。



答え:3  設問が長く、また前半・後半で別れているため、文章を読むだけでも、かなり時間がかかる。

問50

【問50】マンション管理業者に対する監督に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

ア マンション管理業者が、偽りその他不正の手段によりマンション管理業の登録を受けたときは、国士交通大臣は、当該マンション管理業者に対し、業務停止命令をすることができる。

X 誤っている。 登録は取消しとなる。
 マンション管理業者が、偽りその他不正の手段によりマンション管理業の登録を受けたとなると、マンション管理適正化法第83条
 「(登録の取消し)
 第八十三条  国土交通大臣は、マンション管理業者が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消さなければならない
     一  第四十七条第一号、第三号又は第五号から第八号までのいずれかに該当するに至ったとき。
     二  偽りその他不正の手段により登録を受けたとき
     三  前条各号のいずれかに該当し情状が特に重いとき、又は同条の規定による業務の停止の命令に違反したとき。」とあり、

 マンション管理適正化法第83条2号により、取消しとなりますから、誤りです。
 いくらなんでも、偽りその他不正の手段でマンション管理業の登録を受ければ、これは、登録を取り消さなければ、だめです。



イ マンション管理業者が、マンション管理業に関し、不正又は著しく不当な行為をしたときは、国士交通大臣は、当該マンション管理業者に対し、2年以内の期間を定めて、その業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。

X 誤っている。 業務停止の期間は1年以内。
 マンション管理業者が、マンション管理業に関し、不正又は著しく不当な行為をしたときは、マンション管理適正化法第82条
 「(業務停止命令)
 第八十二条  国土交通大臣は、マンション管理業者が次の各号のいずれかに該当するときは、当該マンション管理業者に対し、一年以内の期間を定めて、その業務の全部又は一部の停止を命ずることができる
     一  前条第三号又は第四号に該当するとき。
     二  第四十八条第一項、第五十四条、第五十六条第三項、第七十一条、第七十二条第一項から第三項まで若しくは第五項、第七十三条から第七十六条まで、第七十七条第一項若しくは第二項、第七十九条、第八十条又は第八十八条第一項の規定に違反したとき。
     三  前条の規定による指示に従わないとき。
     四  この法律の規定に基づく国土交通大臣の処分に違反したとき。
     五  マンション管理業に関し、不正又は著しく不当な行為をしたとき。
     六  営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者である場合において、その法定代理人(法定代理人が法人である場合においては、その役員を含む。)が業務の停止をしようとするとき以前二年以内にマンション管理業に関し不正又は著しく不当な行為をしたとき。
     七  法人である場合において、役員のうちに業務の停止をしようとするとき以前二年以内にマンション管理業に関し不正又は著しく不当な行為をした者があるに至ったとき。」とあり、

 マンション管理適正化法第82条5号に該当し、一年以内の期間を定めて、その業務の全部又は一部の停止を命じますから、設問の「2年以内の期間を定めて」は、誤りです。1年以内です



ウ 業務の停止の命令を受けたマンション管理業者が、その業務停止命令に違反したとき、国土交通大臣はその登録を取り消さなければならない。

○ 正しい。
 国土交通大臣は、選択肢イでも引用しました、マンション管理適正化法第82条に該当すれば、一年以内の期間を定めて、その業務の全部又は一部の停止を命ずることができます。
 その業務停止命令にさらに違反すると、今度は、登録の取消しとなります。それが、マンション管理適正化法第83条
 「(登録の取消し)
 第八十三条  国土交通大臣は、マンション管理業者が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消さなければならない
     一  第四十七条第一号、第三号又は第五号から第八号までのいずれかに該当するに至ったとき。
     二  偽りその他不正の手段により登録を受けたとき。
     三  前条各号のいずれかに該当し情状が特に重いとき、又は同条の規定による業務の停止の命令に違反したとき。」とあり、

 マンション管理適正化法第83条3号後半の適用を受け、業務の停止の命令を受けたマンション管理業者が、その業務停止命令に違反したときは、国土交通大臣により、その登録を取り消されますから、正しい。



エ 法人であるマンション管理業者の役員が、破産者で復権を得ないものとなったときは、国土交通大臣はそのマンション管理業者に対し、必要な指示をすることができる。

X 誤っている。 登録の取消しとなる。
 法人であるマンション管理業者の役員が最初から、破産者で復権を得ないものであれば、この場合には、登録を拒否されます。
 それは、マンション管理適正化法第47条
 「(登録の拒否)
 第四十七条  国土交通大臣は、登録申請者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は登録申請書若しくはその添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない
     一  成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
     二  第八十三条の規定により登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者
     三  マンション管理業者で法人であるものが第八十三条の規定により登録を取り消された場合において、その取消しの日前三十日以内にそのマンション管理業者の役員であった者でその取消しの日から二年を経過しないもの
     四  第八十二条の規定により業務の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者
     五  禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
     六  この法律の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
     七  マンション管理業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人(法定代理人が法人である場合においては、その役員を含む。)が前各号のいずれかに該当するもの
     八  法人でその役員のうちに第一号から第六号までのいずれかに該当する者があるもの
     九  事務所について第五十六条に規定する要件を欠く者
     十  マンション管理業を遂行するために必要と認められる国土交通省令で定める基準に適合する財産的基礎を有しない者」とあり、

 法人の役員はマンション管理適正化法第47条8号に該当し、そして「破産者で復権を得ないもの」同1号に該当します。

 そこで、設問のような、既に登録された法人であるマンション管理業者の役員が途中で、破産者で復権を得ないものとなったときの対応ですが、これは、マンション管理適正化法第83条
 「(登録の取消し)
 第八十三条  国土交通大臣は、マンション管理業者が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消さなければならない
     一  第四十七条第一号、第三号又は第五号から第八号までのいずれかに該当するに至ったとき。
     二  偽りその他不正の手段により登録を受けたとき。
     三  前条各号のいずれかに該当し情状が特に重いとき、又は同条の規定による業務の停止の命令に違反したとき。 」とあり、

 マンション管理適正化法第83条1号で引用されています第47条8号は、「八  法人でその役員のうちに第一号から第六号までのいずれかに該当する者があるもの」で、さらに引用されています1号は、「一  成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの」ですから、
 設問の「法人であるマンション管理業者の役員が、破産者で復権を得ないものとなったとき」は、第83条1号に該当して登録の取消しとなりますから、「国土交通大臣は、必要な指示をする」は、誤りです。



1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ


答え:1。 正しいのは、 ウ 1つだけ。 


2014年 1月13日: やっと、平成25年の管理業務主任者試験の解説の第1稿が終わった。これから、また、過去問題とのリンクや解説文の推敲をします。

 それにしても、平成25年の管理業務主任者試験は、「問1」の個数問題で始まり、最後の「問50」の個数問題で終わるとは、もう、異常な出題者としかいいようがありません。 
 まったく、選択肢が4つといいながら、確率としても、1/4 の 正解率25% よりも高い精度を求められていて、この出題方法は、過去の出題方法からも、逸脱したもので、適切な出題方法ではありません。

ここまで、問50

★平成25年の管理業務主任者試験問題の解説を終えての感想: 2014年 1月30日
 
●やたら個数問題と組み合わせの問題が多すぎる。 
 解説の中でもたびたび指摘したが、全部で50問中、個数問題は12問、組み合わせ問題が3問、合計で15問とは、もう異常だ。
 また、1つの選択肢の中で、前半・後半の正誤をきくものもありで、全体としての問題文を読むだけでも時間がかかる。

 平成13年からのマンション管理士・管理業務主任者試験問題を解説してきた、試験問題のベテランである 「マンション管理士 香川」 であっても、平成25年の管理業務主任者試験問題を規定の2時間以内に終えるのは、ぎりぎりで、正誤の確認までの時間がなかった。

 だいたい、他の年度の管理業務主任者試験では、1時間30分から40分以内で回答を終えています。

 各問題の内容は易しいが、正解にたどりつくには、時間の制約と、確率から、かなり難しい。

 この結果、平成25年の管理業務主任者試験の合格点は、50問中 32点以上 という、平成13年に管理業務主任者試験が開始されて以来の、低い合格点となった。

 出題元の一般社団法人マンション管理業協会は、出題ミスを反省すると同時に、個数問題の多さと、問題の前後で正誤をきく出題方法を改めるべきだ。


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更新記録:
2017年 4月14日:「問41に個人情報保護法の改正を入れた。
2014年 2月21日:また検討した。
2014年 2月 9日:再々検討。リンクも入れた。
2014年 1月30日:再検討の続きとして、[問27」から「問50」まで、長文の引用には、1行入れた。

2014年 1月29日:再検討して、「問26」から「問35」まで、長文の引用には、1行入れた。
また「問35」の「特別決議」の不適切を入れた。

2014年 1月18日:一般社団法人マンション管理業協会の合格発表を受けて、「問30」に加筆。
2014年 1月13日:第1稿としての解説は終わる。
2014年 1月 4日:「問26」からの解説着手。
2013年12月12日:設備の「問28」を先に解説した。
解説開始:2013年12月 5日:解答が分かれている「問30」と「問35」だけ先に解説した。

問題文Up:2013年12月 5日

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