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平成13年  管理業務主任者 試験問題 及び 解説

ページ2(問26より問50まで)

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ご質問は、 「マンション管理士 香川事務所」へ。


*注: マンション標準管理規約(単棟型、団地型、複合用途型)は、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。
また、マンションの管理の適正化に関する指針も、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。

※ 出題当時以後の法令等の改正には、一部対応していません。

*全体の注意:区分所有法は、平成14年に改正があった。また、マンション標準管理規約は、平成16年に改正があった。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。マンション標準管理委託契約書は、平成15年に改正があった。また、平成22年5月にも改正があった。
  過去の問題を解くときには、最新の法令にあっているかどうか、注意してください。

第26問

【問 26】 建築構造に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1 鉄骨造(S造)は、構造上主要な骨組部分に、形鋼、鋼板等の鋼材を用いて組み立てた構造である。

→○ 適切。マンションの建築で使用される構造は基本なので、押さえておくこと。 ここらは、繰り返し出題される。 平成23年 マンション管理士試験 「問41」 など。
  鉄骨造(鉄骨構造S造)は、構造上主要な骨組み部分に、形鋼・鋼板などの鋼材を用いて組み立てた構造である。したがって、本肢は適切である。この鉄骨造は、高層建築や大スパン構造の建築が容易になるという長所がある。しかし、鉄は、錆と火力に弱い(500℃程度の火熱をうけると容易に変形する)ので、鉄骨造は、防錆処理とともに耐火被覆が不可欠である。

2 鉄筋コンクリート造(RC造)は、鉄筋とコンクリートの長所を生かすように合理的に組み合わせた構造で、一般的に鉄骨造に比べ耐火性に優れている。

→○ 適切。鉄筋は引っ張り力に強く、圧縮力に弱い。これに対し、コンクリートは圧縮力に強く、引っ張り力に弱い。(参考;平成13年 管理業務主任者 試験 「問25」)それぞれの長所を生かし、短所を補うために合理的に組み合わせた構造が、鉄筋コンクリート造である。鉄筋コンクリート構造は、火に弱い特性を持つ鉄が、コンクリートによって皮膜されているので、一般的に鉄骨造に比べ耐火性に優れているといえる。したがって、本肢は適切である。

3 鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)は、鉄骨骨組みの周りに鉄筋を配しコンクリートを打ち込んだ構造で、一般的に鉄筋コンクリート造に比べ耐火性には優れているが、耐震性には劣る構造である。

→X  不適切。鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)は、鉄骨骨組みの周囲に鉄筋を配しコンクリートを打ち込んだ構造である。鉄筋コンクリート造(RC造)に比べ、さらに強さとねばりをもつ構造である。したがって、鉄筋コンクリート造よりもさらに、耐火性に優れ、耐震性にも優れている。したがって、本肢は不適切であり、問の正解肢となる。

4 木造は、主要な構造部分に木材を用いた構造であり、建築基準法上必要な要件を満たせば3階建て建築物の建築が可能である。

→○ 適切。木造は、主要構造部に木材を用いた構造である。従来、防火の観点から3階建て以上の共同住宅では、木造が禁止されていたが、平成9年より一定の条件下で木造3階建て共同住宅が可能になった。ただし、現時点では、賃貸アパートでの採用が中心であり、分譲マンションでは希である。したがって、本肢は適切である。

正解 3

第27問

【問 27】 建築材料に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1 コンクリートの強度は、水とセメントの比率により大きな影響を受けるが、水分の比率が多いほど強度、耐久性が増大する。

→X  不適切。コンクリートの強度は、水とセメントの比率(W/C)により大きな影響を受ける。一般的には、水を多くするほど工事がしやすくなり、工事費も安くなるが、乾燥収縮による亀裂が生じやすくなり、強度が弱まり、耐久性も低下する。したがって、本肢は不適切であり、問の正解肢となる。

なお、固まる前のコンクリートの軟らかさを表す用語を「スランプ」といい、そのレベルを調べる試験をスランプ試験という。スランプコーンと呼ばれる上端のほうが狭い円筒形の容器にフレッシュコンクリート(生コン)をつめて、コーンを真上に抜き取った時に、コンクリート頂部の高さが何cm下がったかを測定する。数値が大きいほど軟らかく、施工しやすい。一般に建築用は15〜18cmの軟らかめ、土木用は5〜12cmの硬めのコンクリートが使用される。

2 コンクリート用骨材は、骨材の比重により、普通骨材、軽量骨材、重量骨材に分類される。

→○ 適切。コンクリートとは、セメントと水を練ったセメントペーストによって砂、砂利等の骨材を固めたものである。コンクリートは、セメント、水、骨材、混和材料、空隙からなる。コンクリート用骨材とは、コンクリートまたはモルタルに用いる砂、砂利をいう。骨材の比重によって普通骨材(川砂、砕石など)、軽量骨材(普通骨材よりも密度を小さくした天然軽量骨材や人口軽量骨材など)、重量骨材(鉄粉、磁鉄鉱など)に分類される。したがって、本肢は適切である。

3 木材は、湿気の多いところでは腐りやすいので、特に1階廻り床下地材に使用する場合には防腐処理を行うのが一般的である。

→○ 適切。木材は、湿気の多いところでは腐りやすく、害虫(シロアリなど)の被害を受け易いという欠点がある。そこで、木造1階廻りの床下地材に木材を採用する場合には、防腐処理を行うのが一般的である。本肢は適切である。

4 合板とは、単板を何枚も積み重ね、接着剤で張り合わせて1枚の板としたものである。

→○ 適切。合板とは、単板(ベニヤ)の繊維方向を縦方向と横方向に直行させ、何枚も、接着剤で貼り合わせたものである。単板に比べて温度による狂いや膨脹収縮が少ないという利点がある。本肢は適切である。

正解 1

第28問

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

【問 28】 修繕積立金に関する次の記述のうち、中高層共同住宅標準管理規約(単棟型)(以下「標準管理規約」という。)の定めによれば、正しいものはどれか。


(注:標準管理規約は平成16年に大幅に改正されている。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。原則は同じだが。ここは、旧のまま。)


1 修繕工事の前提としての劣化診断(建物診断)に要する経費は、原則として管理費から支出する。

→X 誤。中高層共同住宅標準管理規約〔単棟型〕(以下「単棟型」という。)第31条関係コメント(4)ただし書きによると、修繕工事の前提としての劣化診断(建物診断)に要する経費の充当については、修繕工事の一環としての経費であることから、原則として修繕積立金から取り崩すこととなるとされる。したがって、管理費から取り崩すとする本肢は誤りである。

2 不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕の費用は、管理費から支出しなければならない。

→X 誤。単棟型第27条第2項は、「修繕積立金は、次の各号に掲げる特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができる。」とした上で、その第2号において、「不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕」を挙げる。したがって、管理費から支出しなければならない、とする本肢は誤りである。

3 特別修繕費及び修繕積立金については、管理費とは区分して経理しなければならない。

→○ 正。単棟型第27条第4項は、「特別修繕費及び修繕積立金については、管理費とは区別して経理しなければならない。」と定める。本肢は、このとおりであり正しく、問の正解肢となる。

4 駐車場使用料は管理費に充当することができるが、修繕積立金として積み立てることはできない。

→X 誤。単棟型第28条は、「駐車場使用料その他の敷地及び共用部分等に係る使用料(以下「使用料」という。)は、それらの管理に要する費用に充てるほか、修繕積立金として積み立てる。」と定める。したがって、本肢は誤りである。

正解 3

第29問

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

【問 29】 長期修繕計画の内容に関する次の記述のうち、標準管理規約の定めによれぱ、最も不適切なものはどれか。


(注:標準管理規約は平成16年に大幅に改正されている。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。原則は同じだが。ここは、旧のまま。)

1 長期修繕計画の計画期間を20年程度以上とすること。

→○ 適切。中高層共同住宅標準管理規約〔単棟型〕(以下「単棟型」という。)第31条関係コメントの第2項は、「長期修繕計画の内容としては次のようなものが最低限必要である。」とし、その第1号に、「計画期間が20年程度以上であること。」を挙げる。したがって本肢は適切である。 (注:ここは、改定があり、新築時には、30年程度、経年時は25年程度以上に伸びた。)

2 長期修繕計画の対象となる工事として外壁補修、屋上防水、給排水管取替え等を掲げ、各部位ごとに修繕周期、工事金額等を定めるものとすること。

→○ 適切。単棟型第31条関係コメントの第2項は、「長期修繕計画の内容としては次のようなものが最低限必要である。」とし、その第2号に、「計画修繕の対象となる工事として外壁補修、屋上防水、給排水管取替え等が掲げられ、各部位ごとに修繕周期、工事金額等が定められているものであること。」を挙げる。したがって本肢は適切である。

3 長期修繕計画における全体の工事金額は、変動的であるため定めないものとすること。

→X 最も不適切。 単棟型第31条関係コメントの第2項は、「長期修繕計画の内容としては次のようなものが最低限必要である。」とし、その第3号前段に、「全体の工事金額が定められたものであること。」を挙げる。全体の工事金額が定められていないのでは、修繕積立金の額も決められないからである。したがって本肢は不適切で、問の正解肢となる。

4 長期修繕計画の内容については、定期的に(おおむね5年程度ごとに)見直しをするものとすること。

→○ 適切。単棟型第31条関係コメントの第2項は、「長期修繕計画の内容としては次のようなものが最低限必要である。」とし、その第3号後段に、「長期修繕計画の内容については、定期的な(おおむね5年程度ごとに)見直しをすることが必要である」とする。年数の経過とともに使用資材、施工方法、施工時期等に変化が生じるからである。したがって本肢は適切である。

正解 3

第30問

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

【問 30】 次の費用のうち、標準管理規約の定めによれぱ、修繕積立金から支出することができるものはどれか。


(注:標準管理規約は平成16年に大幅に改正されている。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。原則は同じだが。ここは、旧のまま。)


1 共用設備の保守維持費及び運転費

→X 誤。中高層共同住宅標準管理規約〔単棟型〕(以下「単棟型」という。)第26条は「管理費は、次の各号に掲げる通常の管理に要する経費に充当する。」と定め、その第3号において、「共用設備の保守維持費及び運転費」を挙げる。したがって、共用設備の保守維持費および運転費は、管理費から支出され、修繕積立金から支出することはできない。したがって本肢は誤り。

2 敷地及び共用部分等の変更に要する経費

→○ 正。単棟型第27条第2項は、「修繕積立金は、次の各号に掲げる特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができる。」と定め、その第3号において、「敷地及び共用部分等の変更」を挙げる。敷地および共用部分等を変更することは、通常の管理の範囲を超えているといえよう。それゆえ、敷地及び共用部分等の変更に要する経費は、管理費からではなく、修繕積立金から支出することになる。したがって本肢は正しく、問の正解肢となる。

3 共用部分等に係る火災保険料

→X 誤。建物の区分所有等に関する法律第18条4項は、「共用部分につき損害保険契約をすることは、共用部分の管理に関する事項とみなす。」と定める。単棟型第26条は「管理費は、次の各号に掲げる通常の管理に要する経費に充当する。」と定め、その第5号において、「共用部分等に係る火災保険料その他の損害保険料」を挙げる。それゆえ、共用部分等に係る火災保険料その他の損害保険料は、通常の管理に要する経費として、管理費から支出されることになり、修繕積立金から支出することはできない。したがって本肢は誤り。

4 経常的な補修費

→X 誤。単棟型第26条は「管理費は、次の各号に掲げる通常の管理に要する経費に充当する。」と定め、その第6号において、「経常的な補修費」を挙げる。経常的な補修費は、通常の管理に要する経費であり、管理費から支出され、修繕積立金から支出することはできない。(標準管理規約第26条6号)。したがって本肢は誤り。

正解 2

第31問

【問 31】 専有部分に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 専有部分は、構造上の独立性と利用上の独立性を備えていることが必要である。

→○ 正。建物の区分所有等に関する法律(以下「法」という。)第2条第3項は、「この法律において「専有部分」とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう。」と定める。そして、区分所有権の目的につき法第1条は、「1棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。」と定め、区分所有権の対象となるには、@構造上の独立性とA利用上の独立性の要件が必要とする。すなわち、専有部分の対象となるには、構造上の独立性と利用上の独立性が必要であることになる。したがって本肢は正しい。

2 専有部分とすることができる建物の部分は、用途が住居の場合に限られる。

→X 誤。選択肢1で述べたように、専有部分の対象は、独立して「住居、店舗、事務所または倉庫その他の建物としての用途」(法第1条)に供することができればよいことになる。住居以外の用途であっても、専有部分の対象にすることができる。したがって、専有部分とすることができる建物の部分は、用途が住居の場合に限られる、とする本肢は誤りで、問の正解肢となる。(注:「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」で定義されるのは、「住宅の用」であるので、混同しないように。)

3 専有部分と共用部分の共有持分は、この法律に別段の定めがある場合を除いて、分離して処分することができない。

→○ 正。ここが、区分所有法の特徴の1つ。法第15条第2項は、「共有者は、この法律に別段の定めがある場合を除いて、その有する専有部分と分離して持分を処分することができない。」と定める。したがって本肢は正しい。共用部分に対する権利は、専有部分を所有する上において不可欠な存在であるからである。

4 敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができないが、規約に別段の定めがあるときはこの限りでない。

→○ 正。ここも、区分所有法の特徴の2番目。法第22条第1項本文は、「敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。」と定める。しかし、同条ただし書は、「ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。」と定める。小規模な区分所有建物やタウンハウス(棟割長屋)形式の区分所有建物などでは、分離処分を望むことがあるので、規約に分離処分できる旨の別段の定めをなしうるとしたのである。したがって本肢は正しい。

正解 2  

第32問

〔【問 32】 管理者に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 管理者は、共用部分についての損害保険契約に基づく保険金額の請求及び受領について、区分所有者を代理する。

→○ 正。建物の区分所有等に関する法律(以下「法」という。)第26条第2項は、「管理者は、その職務に関し、区分所有者を代理する。第18条第4項(第21条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額の請求及び受領についても、同様とする。」と定める。したがって本肢は正しく、問の正解肢である。

2 管理者は、集会において毎年1回一定の時期にその事務に関する報告をしなければならないが、規約に別段の定めがあれば、理事会においてその事務に関する報告をすることで足りる。

→X 誤。法第43条は、「管理者は、集会において、毎年1回一定の時期に、その事務に関する報告をしなければならない。」と定める。この義務については、管理者の職務の適正を確保するために重要な意義を有し、強行法規的意味を有する。したがって、規約でもって別段の定めをすることはできないと解される(法第30条参照)。したがって本肢は誤りである。

3 管理者は、集会の決議がないと共用部分の保存行為をすることができない。

→X 誤。法第26第条第1項は、「管理者は、共用部分並びに第21条に規定する場合における建物の敷及び附属施設を保存し、集会の決議を実行し、並びに規約で定めた行為をする権利を有し、義務を負う。」と定める。これらは管理者に認められた法律上の権限である。したがって、共用部分の保存行為をするのに、集会の決議は要しない。したがって本肢は誤りである。

4 管理者は、必ず集会の決議によって選任されなければならない。

→X 誤。法第25条第1項は、「区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によって、管理者を選任し、又は解任することができる。」と定める。したがって、規約で定めれば、必ずしも管理者を選任するのに集会の決議による必要はない。したがって本肢は誤りである。

正解 1  なお、区分所有法の解説は、別途「超解説 区分所有法」がありますので、こちらも参考にしてください。

第33問

【問 33】 区分所有法に規定する管理組合法人に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。


(注:区分所有法も改正されている。特に法人の規定は改正があり第47条の要件は変わった。ここは、旧のまま。)


1 管理組合法人は、区分所有者の数が50人以上でなければ成立しない。

→X 適切でない。建物の区分所有等に関する法律(以下「法」という。)第47条第1項(旧)は、「第3条に規定する団体で区分所有者の数が30人以上であるものは、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で法人となる旨並びにその名称及び事務所を定め、かつ、その主たる事務所の所在地において登記をすることによって法人となる。」と定める。区分所有者の数が、30人以上であれば成立し、50人以上である必要はない。したがって本肢は適切ではない。 (注:区分所有法も改正されている。特に第47条第1項の人数の要件」は要件は変わった。ここは、旧のまま。)

2 管理組合法人は、裁判の原告又は被告になることができない。

→X 適切でない。管理組合法人も法人である。法第47条第8項によると、「管理組合法人は、規約又は集会の決議により、その事務(第六項後段に規定する事項を含む。)に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる。」とあり、裁判の原告又は被告になる。これは、法人として民法第43条にあるように権利を有し、義務を負う。また、民事訴訟法第28条は、当事者能力につき民法等の規定に従うとする。よって、法人も当事者能力を持つ。したがって管理組合法人も原告となり、また被告となることができる。本肢は適切ではない。

3 管理組合法人は、理事を置かなければならないが、監事は必ずしも置く必要はない。

→X 適切でない。理事の設置は、法第49条第1項に「管理組合法人には、理事を置かなければならない。」とあり、必須である。そして、監事は法第50条第1項は、「管理組合法人には、監事を置かなければならない。」と定める。したがって本肢は同条に違反するので、適切ではない。(民法では、監事の設置は必須でないので注意の事。)

4 管理組合法人は、管理組合法人名義で不動産登記をすることができる。

→○ 適切。管理組合法人は法人である。したがって、民法(旧)第43条にあるように権利を有し、義務を負うことになる。したがって、管理組合法人名義で不動産登記をすることもできる。したがって本肢は適切であり、問の正解肢となる。

正解 4

第34問

【問 34】 建替え決議に関する次の記述うち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。


(注:区分所有法も改正されている。特に平成14年に建替えの第62条の要件は変わった。ここは、旧のまま。)


1 老朽により、建物の価額その他の事情に照らし、建物がその効用を維持し、又は回復するのに過分の費用を要するに至ったときは、集会において、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数で建替え決議をすることができる。

→X  誤。建物の区分所有等に関する法律(以下「法」という。)第62条第1項(旧)は、「老朽、損傷、一部の滅失その他の事由により、建物の価額その他の事情に照らし、建物がその効用を維持し、又は回復するのに過分の費用を要するに至ったときは、集会において、区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、建物の敷地に新たに主たる使用目的を同一とする建物を建築する旨の決議(以下「建替え決議」という。)をすることができる。」と定める。「区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数」とする本肢は誤り。 (注:区分所有法も改正されている。特に第62条の要件は変わった。ここは、旧のまま。)

2 建替え決議においては、新たに建築する建物(以下本問において「再建建物」という。)の設計の概要及び建設業者を定めなければならない。

→X  誤。法第62条第2項第1号によると、建替え決議においては、(1)新たに建築する建物(以下「再建建物」という。)の設計の概略、(2)建物の取壊し及び再建建物の建築に要する費用の概算額、(3)前号に規定する費用の分担に関する事項、(4)再建建物の区分所有権の帰属に関する事項、を定めなければならないことになる。しかし、建設業者を定める必要はない。したがって本肢は誤り。

3 建替え決議においては、建物の取壊し及び再建建物の建築に要する費用の概算額を定めなければならないが、当該費用の分担に関する事項は定める必要がない。

→X  誤。選択肢2でも述べたように、法第62条第2項第2号は、建替え決議において定めなければならない事項として、建物の取壊し及び再建建物の建築に要する費用の概算額を挙げる。したがって、本肢前段は正しい。しかし、同条同項第3号が、建替え決議において定めなければならない事項として「前号に規定する費用の分担に関する事項」を挙げるので、本肢後段は誤りである。結局、本肢は誤り。

4 建替え決議においては、再建建物の区分所有権の帰属に関する事項を定めなければならない。

→○ 正。選択肢2でも述べたように、法第62条第2項第4号は、建替え決議において定めなければならない事項として、「再建建物の区分所有権の帰属に関する事項」を挙げる。したがって本肢は正しく、問の正解肢となる。

正解 4

第35問

【問 35】 マンションの占有者(区分所有者以外の専有部分の占有者をいう。以下本問において同じ。)に関する次の記述うち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 マンションの占有者は、建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。

→○ 正。建物の区分所有等に関する法律(以下「法」という。)第6条は、「区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。」とした上で、同条第3項は、「第1項の規定は、区分所有者以外の専有部分の占有者(以下「占有者」という。)に準用する。」と定める。以上により、占有者も区分所有者と同様に、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならないことになる。したがって、本肢は正しい。

2 マンションの占有者は、専有部分について専ら住居として使用すべき旨の規約又は集会の決議がある場合、その専有部分を事務所として使用することができない。

→○ 正。法第46条第2項は、「占有者は、建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法につき、区分所有者が規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。」と定める。したがって、規約で専ら住居として使用すべきとなっているなら、事務所の使用はできない。本肢は正しい。

3 マンションの占有者は、専有部分を使用する以上管理費を支払う義務がある。

→X 誤。法第46条第2項は、「占有者は、建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法につき、区分所有者が規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。」と定める。このように、区分所有者と同一の義務を負うのは、建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法についてである。占有者は区分所有者と異なり、管理費の支払義務はない。したがって、本肢は誤りであり、問の正解肢となる。

4 マンションの占有者は、集会に出席して意見を述べることができる場合があるが、議決権は有しない。

→○ 正。法第38条は、「各区分所有者の議決権は、規約に別段の定めがない限り、第14条に定める割合による。」と定める。すなわち、議決権は区分所有者にあり、占有者にはない。法第44条第1項によると、占有者は、会議の目的たる事項について利害関係を有する場合に、集会に出席して意見を述べることができるだけである。したがって、本肢は正しい。

正解 3 (占有者の義務をまとめておくこと。)

第36問

【問 36】 管理組合で行われた集会に関する次の手続のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 集会の招集通知に、集会の日時、場所及び会議の目的たる事項を記載して規約の定めるところにより、会日の1週間前に各組合員に通知した。

→○ 正。建物の区分所有等に関する法律(以下「法」という。)第35条第1項本文は、「集会の招集の通知は、会日より少なくとも1週間前に、会議の目的たる事項を示して、各区分所有者に発しなければならない。」と定める。本肢の招集手続はこれに則るものであり、適法である。本肢は正しい。

2 集会を招集するに当たり、区分所有者が管理者に対して招集通知を受けるべき場所を通知しなかったので、区分所有者の所有する専有部分が所在する場所にあてて通知した。

→○ 正。法第35条第3項は、「第1項の通知は、区分所有者が管理者に対して通知を受けるべき場所を通知したときはその場所に、これを通知しなかったときは区分所有者の所有する専有部分が所在する場所にあててすれば足りる。この場合には、同項の通知は、通常それが到達すべき時に到達したものとみなす。」と定める。本肢の手続はこれに則るものであり適法である。したがって本肢は正しい。

3 集会の招集通知を、専有部分が数人の共有に属していたので、議決権を行使すべき者として定められた一人に通知した。

→○ 正。法第40条によると、1つの専有部分を数人で共有しているときは、共有者は、あらかじめ議決権行使者を1名定めておかなければならない。そして法第35条第2項は、「専有部分が数人の共有に属するときは、前項の通知は、法第40条の規定により定められた議決権を行使すべき者(その者がないときは、共有者の1人)にすれば足りる。」と定める。本肢の手続きはこれに則るものであり、適法である。したがって本肢は正しい。

4 集会議事録には、議長のみ署名押印し保管した。

→X 誤。法第42条第3項は、「議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、議長及び集会に出席した区分所有者の2人がこれに署名押印しなければならない。」と定める。議長のみの署名押印では、同条に則るものとはいえず、違法である。したがって本肢は誤りで、問の正解肢である。

正解 4

第37問

【問 37】 規約の改正に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 規約の改正は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議によるが、規約に別段の定めをすれば、区分所有者の定数は、過半数まで減ずることができる。

→X 誤。建物の区分所有等に関する法律(以下「法」という。)第31条第1項前段は、「規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議によってする。」と定める。この定数を規約で過半数まで減ずることができるという規定はない。しかも、本条は、強行規定であると解されている。したがって「規約に別段の定めをすれば、区分所有者の定数は、過半数まで減ずることができる」とする本肢は誤り。規約は、マンションの最高自治規範であるから、設定、変更、廃止には慎重さが求められる。過半数で規約の変更、廃止をすることは慎重さを欠くことになり許されない。(注:ここは、同法第17条の「共用部分の変更」での区分所有者の定数が減じられることとの、混同を狙っている。)

2 規約の改正を目的として集会を開催するときは、会議の目的たる事項を通知すれば足り、その議案の要領は通知しなくてもよい。

→X 誤。法第35条第5項によると、集会の通知をする場合において、会議の目的たる事項が「規約の設定、変更又は廃止である場合」(法第31条第1項)には、会議の目的たる事項のほかにその議案の要領も通知しなければならないことになる。したがって本肢は誤り。

3 規約の改正が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その者の承諾を得なければならない。

→○ 正。法第31条第1項後段は、「この場合において、規約の設定、変又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすときは、その承諾を得なければならない。」と定める。したがって本肢は正しく、問の正解肢となる。

4 区分所有者全員の利害に関係しない一部共用部分に関する事項についての区分所有者全員の規約の改正は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者の5分の1を超える者又はその議決権の5分の1を超える議決権を有する者が反対したときは、することができない。

→X 誤。まず、法第30条第2項は、「一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものは、区分所有者全員の規約に定めがある場合を除いて、これを共用すべき区分所有者の規約で定めることができる。」とする。しかし、法第31条第2項によると、このような一部区分所有者により設定された規約についても、区分所有者全員で規約の設定、変更又は廃止をすることができるとする。ただし、同条同項は、その際の制限を設けていて「当該一部共用部分を共用すべき区分所有者の4分の1を超える者又はその議決権の4分の1を超える議決権を有するものが反対したときは、することができない。」とする。「4分の1」であり「5分の1」ではない。したがって本肢は誤り。

正解 3

第38問

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

【問 38】 次の記述のうち、標準管理規約の定めに反するものはどれか。


(注:標準管理規約も平成16年に大幅に改正されている。また、平成23年7月に役員の資格等も改正されているので、注意のこと。ここは、旧のまま。)


1 理事の資格を、現に居住する組合員に限定するものとすること。

→○ 反しない。中高層共同住宅標準管理規約〔単棟型〕(以下「単棟型」という。)第33条第2項は、「理事及び監事は、 ○○マンションに現に居住する組合員のうちから、総会で選任する。」とする。役員としての任務を円滑かつ的確に遂行するためには、現に居住する区分所有者であることが必要と解されるからである。したがって理事の資格を、現に居住する組合員に限定することは、標準管理規約に反しない。(注:ここは、平成23年7月の改正で、「○○マンションに現に居住する組合員」が単に「組合員」と変更されたので、「反する」となるので注意のこと。2012年 4月10日追記)

2 組合員のほか、理事会が必要と認めた者は、総会に出席できるものとすること。

→○ 反しない。単棟型第43条第1項は、「組合員のほか、理事会が必要と認めた者は、総会に出席することができる。」と定める。したがって本肢は、標準管理規約に反しない。

3 総会の会議は、議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならないものとすること。

→○ 反しない。単棟型第45条第1項は、「総会の会議は、前条第1項に定める議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならないとされている。」と定める。したがって本肢は、反しない。

4 監事は、理事会の決議により選任するものとすること。

→X 反する。 単棟型第33条第2項は、「理事及び監事は、○○マンションに現に居住する組合員のうちから、総会で選任する。」とする。したがって、監事を理事会の決議により選任するものとすることは、標準管理規約に反することになり、本肢が問の正解肢となる。

正解 4

第39問

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

【問 39】 次の記述のうち、標準管理規約の定めに反するものはどれか。


(注:標準管理規約も平成16年に大幅に改正されている。また、平成23年7月に理事の資格等も改正されているので、注意のこと。ここは、旧のまま。)

1 各組合員の議決権は、組合員が有する共用部分の共有持分の割合によるものとすること。

→○ 反しない。中高層共同住宅標準管理規約〔単棟型〕(以下「単棟型」という。)第44条第1項は、「各組合員の議決権の割合は、別表第5に掲げるとおりとする。」とする。そして、単棟型第44条関係コメント(1)は、「議決権については、共用部分の共有持分の割合、あるいはそれを基礎としつつ多数を算定しやすい数字に直した割合によることが適当である。」とする。したがって、各組合員の議決権は、組合員が有する共用部分の共有持分の割合によるものとすることは、標準管理規約に反しない。

2 住戸1戸につき二の組合員が存在する場合、二の議決権としてその行使を認めるものとすること。

→X 反する。 単棟型第44条第2項は、「住戸1戸につき2以上の組合員が存在する場合のこれらの者の議決権の行使については、あわせて1の組合員とみなす。」と定める。したがって、2つの議決権としてその行使を認めるものとすることはできない。本肢は、標準管理規約に反する。問の正解肢となる。

3 代理人は、代理権を証する書面を理事長に提出しなければならないものとすること。

→○ 反しない。単棟型第44条第6項は、「代理人は、代理権を証する書面を理事長に提出しなければならない。」とする。したがって、本肢は、標準管理規約に反しない。

4 議決権は、書面又は代理人によって行使することができるものとすること。

→○ 反しない。単棟型第44条第4項は、「組合員は、書面または代理人によって議決権を行使することができる。」と定める。したがって、本肢は、標準管理規約に反しない。

正解 2

第40問

【問 40】 あるマンションの管理規約の定めに関する次の記述のうち、区分所有法の規定に違反するものはどれか。

1 集会において決議すべきものとされた事項については、区分所有者全員の書面による合意があったときは、集会の決議があったものとみなす。

→○ 違反しない。建物の区分所有等に関する法律(以下「法」という。)第45条第2項は、「この法律又は規約により集会において決議すべきものとされた事項については、区分所有者全員の書面による合意があったときは、集会の決議があったものとみなす。」と定める。このような場合を書面決議といい、同法においても認められている。したがって本肢は違反とならない。

2 共用部分の変更(改良を目的とし、かつ、著しく多額の費用を要しないものを除く)は、区分所有者及び議決権の各過半数による集会の決議で決する。

→X 違反する。 法第17条第1項(旧)は、「共用部分の変更(改良を目的とし、かつ、著しく多額の費用を要しないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。」と定めている。規約による多数決要件の緩和については、区分所有者の数の過半数まで減ずることができるとするのみで、本肢のように「区分所有者及び議決権の各過半数」することはできない。したがって本肢は同条に違反することになり、問の正解肢となる。 (区分所有法第17条は改正された。ここは、旧のまま。)

3 集会における議長は、管理者以外の区分所有者とする。

→○ 違反しない。法第41条は、「集会においては、規約に別段の定めがある場合及び別段の決議をした場合を除いて、管理者又は集会を招集した区分所有者の1人が議長となる。」と定める。よって、規約の定めによって管理者以外の区分所有者を議長とすることもできる。したがって本肢は違反とならない。

4 区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有するものは、管理者に対し、会議の目的たる事項を示して、集会の招集を請求することができる。

→○ 違反しない。法第34条第3項は、「区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有する者は、管理者に対し、会議の目的たる事項を示して、集会の招集を請求することができる。ただし、この定数は、規約で減ずることができる。」と定める。したがって本肢は違反とならない。

正解 2

第41問   

【問 41】 中古マンションの売却依頼を受けた宅地建物取引業者は、買主となろうとする者に対し契約が成立するまでの間に、一定の重要事項を説明しなければならないが、次の事項のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、説明すべき事項とされていないものはどれか。

1 専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定めがあるときは、その内容

→○ 説明事項である。 宅地建物取引業法第35条においては、「宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(以下「宅地建物取引業者の相手方等」という。)に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、取引主任者をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第5号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。」と定める。そして、その第5項の2によると、共用部分に関する規約の定め、専有部分の利用制限に関する規約の定め等が重要事項の説明の対象となる。さらに、宅地建物取引業法施行規則(以下「規則」という。)第16条の2第3号によると、「専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定めがあるときは、その内容」とある。したがって本肢は説明事項である。

2 一棟の建物の維持修繕の実施状況が記録されているときは、その内容

→○ 説明事項である。 規則第16条の2第9号によると、一棟の建物の維持修繕の実施状況が記録されているときは、その内容を説明しなければならない。したがって本肢は説明事項である。

3 管理が委託されているときは、管理委託契約のうち管理事務の内容及びその実施方法

→X 説明事項でない。 規則第16条の2第8号によると、当該1棟の建物及びその敷地の管理が委託されているときは、その委託を受けている者の氏名(法人にあっては、その商号又は名称)及び住所(法人にあっては、その主たる事務所の所在地)を説明しなければならない。しかし、管理事務の内容および実施方法までは説明する法的義務はない。したがって本肢は説明事項でなく、問の正解肢となる。

4 修繕積立金に関する規約の定めがあるときは、その内容

→○ 説明事項である。 規則第16条の2第6号によると、当該1棟の建物の計画的な維持修繕のための費用の積立てを行う旨の規約の定めがあるときは、その内容及び既に積み立てられている額についても説明しなければならない。したがって本肢は説明事項である。

正解 3

第42問

【問 42】 マンションを分譲した場合の「アフターサービス」に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1 アフターサービスは、売買契約締結後、契約で定めた一定期間、一定の部位について売主が無償で補修するという内容のサービスを行うことが一般的である。

→○ 適切。アフターサービスは、出題傾向が高いので、注意の事。
    アフターサービスとは、売買や請負等の契約において、当該契約に基づいて物件の欠陥箇所の補修を無償で行うものをいい、いわば契約当事者間における契約内容をなすものである。したがって、本肢は適切である。

2 アフターサービスの内容については、不動産業者の団体が標準的な規準を制定している。

→○ 適切。新築分譲マンションのアフターサービス規準は、昭和51年12月の建設省(現、国土交通省)の通達を受けて、不動産等関係8団体が消費者サービスの一環として標準的な「アフターサービス規準」を作成した。したがって、本肢は適切である。この基準は、翌年4月から実施するように所属会員に指導されており、今日、これをベースにしたものが広く用いられている。

3 アフターサービスは、天災地変等の不可抗力による損壊の場合も、その対象としていることが多い。

→X  最も不適切。アフターサービスは、契約で定めた一定の欠陥で契約期間内に発生した者を対象とするが、天災地変等不可抗力による場合は適用除外となる。したがって、本肢は最も不適切であり、問の正解肢となる。

4 アフターサービスは、対象となる部位や種類により、サービス期間とその起算日を異にしている場合が多い。

→○ 適切。アフターサービスは、対象となる工事の種目、部位や設備により、サービス期間とその起算日を異にしている場合が多い。したがって、本肢は適切である。

正解 3  (参考;アフターサービスは、出題傾向が高いので、平成19年 管理業務主任者 試験 「問41」 に詳細を載せた。)

第43問

【問 43】 宅地建物取引業者が売主となり、宅地建物取引業者でない者が買主となる中古マンションの売買契約における、瑕疵担保責任に関する次の記述のうち、民法及び宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 「売主は、民法の規定に基づく責任を負うと共に、買主からの瑕疵の補修の請求にも応ずる」旨の特約は有効である。

→○ 正。瑕疵担保責任は、民法、住宅の品質確保の促進等に関する法律、宅地建物取引業法、そして、アフター・サービス規準において、いつも出題される。期間、対象を明確にしておくこと。
    宅地建物取引業法(以下「法」という。)第40条第1項は、「宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物の瑕疵を担保すべき責任に関し、民法第570条において準用する同法第566条第3項に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除き、同条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。」と定める。そのうえで、同条第2項が、「前項の規定に反する特約は、無効とする。」と定める。すなわち、宅建業者は自ら売主となり、宅建業者でない者と売買契約を締結する場合には、瑕疵担保責任に関し、民法の規定により買主に不利となる特約をしてはならない。売主が民法の規定に基づく責任を負うとともに、買主からの瑕疵の補修の請求にも応ずる旨の特約は民法より買主に不利ではないため、有効である。したがって、本肢は正しく、問の正解肢となる。

2 「売主は、物件の引渡しの日から1年間のみ瑕疵担保責任を負う」旨の特約をした場合、買主に対し、引渡しの日から2年間責任を負うことになる。

→X 誤。選択肢1で述べたように、法第40条第1項は、「宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物の瑕疵を担保すべき責任に関し、民法第570条において準用する同法第566条第3項に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除き、同条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。」と定める。そのうえで、同条第2項が、「前項の規定に反する特約は、無効とする。」と定める。本肢は、引き渡しの日から1年間のみ瑕疵担保責任を負うとするもので、瑕疵を知りたるときより1年間は同責任を負うことになる民法より買主に不利な特約であり、無効である。特約が無効となった場合、原則規定である民法が適用されることになる。したがって、民法第570条による同法第566条第3項により、買主が瑕疵を知ってから1年間責任を負わなければならない。引渡しの日から2年間ではない。したがって、本肢は誤りである。

3 買主は、その売買契約の締結時に知っていた瑕疵についても、売主に対し、その責任追及をすることができる。

→X 誤。民法第570条は、「隠れたる瑕疵」についての責任を定める。「隠れたる瑕疵」とは買主が取引上一般に要求される注意をしても発見できないような瑕疵、あるいは、目的物に瑕疵のあることを知らずまたは知らないことにつき過失のないような場合の瑕疵である。したがって、買主が契約時に知っていた瑕疵については、売主に責任追及をすることはできない。したがって、本肢は誤りである。

4 「買主は、瑕疵の補修の請求を物件引渡しの日から3年間行うことができるが、損害賠償請求は売主が認めるときに限りできる」旨の特約は有効である。

→X 誤。民法第570条は買主の瑕疵修補責任を定めていないので、特約において買主の瑕疵修補請求権を引き渡しから3年間に限り認める特約であっても有効である。しかし、民法上瑕疵担保責任につき、売主が認めるときに限らずとも損害賠償請求を認めており、これを売主が認めるときに限り損害賠償を認めるとする本肢特約は、買主に不利となるため無効となる。

正解 1  参考:瑕疵担保責任のまとめ

第44問

【問 44】 マンションを分譲した場合における、売主の瑕疵担保責任と「アフターサービス」の相違に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1 瑕疵担保責任の対象は、売買契約締結時に存在したものであるのに対し、アフターサービスの対象は、これに限らず契約で定めた期間内に生じたものである。

→○ 適切。上の「問43」にもあるように、瑕疵担保責任は、民法、住宅の品質確保の促進等に関する法律、宅地建物取引業法、そして、アフター・サービス規準において、いつも出題される。期間、対象を明確にしておくこと。
    瑕疵担保責任は、民法、宅地建物取引業法、住宅の品質の確保等に関する法律等による売主等の法定責任であり、契約締結時に存在していた瑕疵が対象である。これに対し、アフターサービスは、契約で定めた期間内に発生した欠陥であれば責任が生ずる。したがって、本肢は適切である。

2 瑕疵担保責任を負う期間は、特約のない限り、目的物の引渡しの日から1年間であるのに対し、アフターサービスの期間は部位別に異なることが多い。

→X 最も不適切。民法第570条により準用される同法第566条第3項によれば民法の売主の担保責任を負う期間は、特約のない限り、瑕疵を知ってから1年であり、引渡しから1年ではない。また、住宅の品質の確保等に関する法律によれば、同法上の責任は引渡しから10年である。したがって、本肢は最も不適切であり、問の正解肢となる。なお、アフターサービスについては、工事費目や部位等によりその期間は異なっている。この点は正しい。

3 瑕疵担保責任は、民法上の法定責任であるのに対し、アフターサービスは売買契約上の約定の責任である。

→○ 適切。瑕疵担保責任は民法上の法定責任である。これに対し、アフターサービスとは、売買契約や請負契約につき特約として約定するものである。したがって、本肢は適切である。

4 瑕疵担保責任は、目的物の隠れた瑕疵について負うのに対し、アフターサービスは隠れた瑕疵に限定されないのが通常である。

→○ 適切。アフターサービスは、契約で定めた期間内に発生した一定の欠陥が発生すれば責任が生ずるものであり、隠れた瑕疵に限らない。よって、本肢は適切である。

正解 2  参考:瑕疵担保責任のまとめ

第45問

【問 45】 住宅の品質確保の促進等に関する法律(以下本問において「品確法」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。


(注:品確法も改正があった。新として変更した。)


1 新築住宅の請負契約又は売買契約における瑕疵担保責任の期間は、構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分(構造耐力又は雨水の浸入に影響のないものを除く。)については、引き渡した時から10年間とされている。

→○ 正。上の「問43」にもあるように、瑕疵担保責任は、民法、住宅の品質確保の促進等に関する法律、宅地建物取引業法、そして、アフター・サービス規準において、いつも出題される。期間、対象を明確にしておくこと。
    住宅の品質の確保等に関する法律(以下「法」という。)第87条(新->第94条)第1項は、「住宅を新築する建設工事の請負契約(以下「住宅新築請負契約」という。)においては、請負人は、注文者に引き渡した時から10年間、住宅のうち構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるもの(次条において「住宅の構造耐力上主要な部分等」という。)の瑕疵(構造耐力又は雨水の浸入に影響のないものを除く。次条において同じ。)について、民法第634条第1項及び第2項前段に規定する担保の責任を負う。」と定める。また、法第88条(新->第95条)第1項前段は、「新築住宅の売買契約においては、売主は、買主に引き渡した時(当該新築住宅が住宅新築請負契約に基づき請負人から当該売主に引き渡されたものである場合にあっては、その引渡しの時)から10年間、住宅の構造耐力上主要な部分等の隠れた瑕疵について、民法第570条において準用する同法第566条第1項並びに同法第634条第1項及び第2項前段に規定する担保の責任を負う。」と定める。すなわち、新築住宅の請負契約又は売買契約における瑕疵担保責任の期間は、構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分については、引渡しの時から10年間となる。したがって、本肢は正しく、問の正解肢となる。

2 品確法の対象とする「新築住宅」とは一戸建住宅をいい、マンションはこれに含まれない。

→X 誤。法第2条1項は、この法律において「住宅」とは、人の居住の用に供する家屋又は家屋の部分(人の居住の用以外の用に供する家屋の部分との共用に供する部分を含む。)をいう。」と定める。特に一戸建てに限るものではないので、同法の適用につき一戸建だけでなくマンションの専有部分も含まれる。したがって、本肢は誤りである。

3 新築住宅の瑕疵について、売買契約の場合は請負契約の場合と異なり、その修補の請求はできない。

→X 誤。選択肢1で述べたように、法第88条(新->第95条)第1項によると、新築住宅の瑕疵については、売買契約の場合であっても、瑕疵担保責任の内容として、損害賠償及び契約の解除に加え、瑕疵の修補請求も可能である。したがって、本肢は誤りである。

4 品確法が施行された平成12年4月1日より前に締結されていた請負契約又は売買契約であっても、同日以後1年以内に発見された瑕疵については、同法上の責任を負わなければならない。

→X 誤。同法附則第2条第2項によると、施行日より前に締結された住宅新築請負契約又は新築住宅の売買契約については、住宅品確法による瑕疵担保責任の特例は適用されない。したがって、本肢は誤りである。 通常、法律は施行前には遡っては適用されない。(法律不遡及の原則)

正解 1  参考:瑕疵担保責任のまとめ

第46問

【問 46】 マンションの定義に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法の規定によれば、誤っているものはどれか。


  *注:問46から問50までは、マンション管理士試験か管理業務主任者試験の合格者には免除される部分 です。また、この問46から問50は、「マンション管理適正化法」と同指針からの出題と決まっていますので、出題は似たような内容となります。過去問題は やっておくと楽です。


1 マンションには、専有部分、共用部分、その敷地のほかに、集会所、駐車場等の附属施設も含まれる。

→○ 正。マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下「法」という。)第2条第1号イは、「二以上の区分所有者(建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号。以下「区分所有法」という。)第2条第2項に規定する区分所有者をいう。以下同じ。)が存する建物で人の居住の用に供する専有部分(区分所有法第2条第3項に規定する専有部分をいう。以下同じ。)のあるもの並びにその敷地及び附属施設」はマンションに含まれるとする。よって、マンションには、専有部分、共用部分、その敷地のほかに、集会所、駐車場等の付属施設も含まれることになる。本肢は正しい。

2 二以上の賃借人が入居している一の区分所有者の所有に属する建物並びにその敷地及び附属施設は、マンションである。

→X 誤。マンションとは、法第2条第1号イによると、2以上の区分所有者が存する建物であるから、区分所有者の数が1人の建物等は、たとえ2以上の賃借人が居住していても、マンションに該当しない。したがって本肢は誤りで、問の正解肢となる。

3 一団地内において、二以上の区分所有者が存する建物で人の居住の用に供する専有部分のあるものを含む数棟の建物の所有者の共有に属する土地は、マンションに含まれる。

→○ 正。法第2条第1号ロは、「一団地内の土地又は附属施設(これらに関する権利を含む。)が当該団地内にあるイに掲げる建物を含む数棟の建物の所有者(専有部分のある建物にあっては、区分所有者)の共有に属する場合における当該土地及び附属施設」はマンションに含まれるとする。よって、一団地内において、二以上の区分所有者が存する建物で人の住居の用に供する専有部分のあるものを含む数棟の建物の所有者の共有に属する土地は、マンションに含まれる。本肢は正しい。

4 二以上の区分所有者が存する建物で人の居住の用に供する専有部分のあるものは、マンションである。

→○ 正。法第2条第1号イは、「二以上の区分所有者(建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号。以下「区分所有法」という。)第2条第2項に規定する区分所有者をいう。以下同じ。)が存する建物で人の居住の用に供する専有部分(区分所有法第2条第3項に規定する専有部分をいう。以下同じ。)のあるもの並びにその敷地及び附属施設」はマンションに含まれるとする。よって、2以上の区分所有者が存する建物で人の居住の用に供する専有部分のあるものは、マンションである。本肢は正しい。

正解 2

第47問

【問 47】 次の記述のうち、マンションの管理の適正化に関する指針の「マンションの管理の適正化の基本的方向」に定められていないものはどれか。

1 マンションの管理の主体は、マンションの区分所有者等で構成される管理組合であり、管理組合は、マンションの区分所有者等の意見が十分に反映されるよう、また、長期的な見通しをもって、適正な運営を行うことが重要である。

→○ 定められている。 管理業務主任者試験では、マンションの管理の適正化に関する指針からも、必ず1問は出題があるので、マンションの管理の適正化に関する指針も全文を入手して、読んでおくこと。 ここに、近いのは、平成19年 管理業務主任者試験 「問46」
   マンションの管理の適正化に関する指針(以下「指針」という。)の一「マンション管理の適正化の基本的方向」において、「マンションの管理の主体は、マンションの区分所有者等で構成される管理組合であり、管理組合は、マンションの区分所有者等の意見が十分に反映されるよう、また、長期的な見通しに立って、適正な運営を行うことが重要である。」と指摘する。したがって、本肢の記述は定められている。

2 管理組合を構成するマンションの区分所有者等は、管理組合の一員としての役割を十分認識して、管理組合の運営に関心を持ち、積極的に参加する等、その役割を適切に果たすよう努める必要がある。

→○ 定められている。 指針の一「マンション管理の適正化の基本的方向」において、「管理組合を構成するマンションの区分所有者等は、管理組合の一員としての役割を十分認識して、管理組合の運営に関心を持ち、積極的に参加する等、その役割を適切に果たすよう努める必要がある。」と指摘する。したがって、本肢の記述は定められている。

3 マンションの管理は、専門的な知識を必要とすることが多いことから、管理組合は、あらゆる事項について、いかなる場合もマンション管理士等専門的知識を有する者の指導を得ながら対応する必要がある。

→X  定められていない。 指針の一「マンション管理の適正化の基本的方向」において、「マンションの管理は、専門的な知識を必要とすることが多いため、管理組合は、問題に応じ、マンション管理士等専門的知識を有する者の支援を得ながら、主体性をもって適切な対応をするよう心がけることが重要である。」と指摘する。しかし、あらゆる事項について、いかなる場合も指導等の必要があるとは定めていない。したがって、本肢は定められておらず、問の正解肢となる

4 マンションの管理の適正化を推進するため、国、地方公共団体及びマンション管理適正化推進センターは、その役割に応じ、必要な情報提供等を行うよう、支援体制を整備・強化することが必要である。

→○ 定められている。 指針の一「マンション管理の適正化の基本的方向」において、「マンションの管理の適正化を推進するため、国、地方公共団体及びマンション管理適正化推進センターは、その役割に応じて、必要な情報提供等を行うよう、支援体制を整備・強化することが必要である。」と指摘する。したがって、本肢は定められている。

正解 3

第48問

【問 48】 管理業者の行う重要事項説明及び契約成立時の書面の交付に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 管理業者は、重要事項の説明会を行うときは、説明会の前日までに重要事項並びに説明会の日時及び場所を記載した書面をマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等の全員に対し交付するとともに、説明会の日時及び場所を記載した書面を見やすい場所に掲示しなければならない。

→X 誤。マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下「法」という。)第72条第1項によると、マンション管理業者は、管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする管理受託契約(新たに建設されたマンションの当該建設工事の完了の日から国土交通省令で定める期間を経過する日までの間に契約期間が満了するものを除く。)を締結しようとするとき(更新するときを除く。)は、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより説明会を開催し、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等に対し、管理業務主任者をして、管理受託契約の内容及びその履行に関する国土交通省令で定める重要事項について説明をさせなければならない、ことになる。この場合において、マンション管理業者は、当該説明会の日の1週間前までに、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等の全員に対し、重要事項並びに説明会の日時及び場所を記載した書面を交付しなければならない。すなわち、重要事項等を記載した書面は、説明会の日の1週間前までに交付しなければならない。説明会の前日まで、とする本肢は誤りであり、また、交付が必要で、見やすい場所に掲示ではいけない。

2 管理業者は、従前の管理受託契約と同一の条件で管理組合との管理受託契約を更新しようとするときは、必ずしも説明会を開催する必要はない。

→○ 正。法第72条第2項は、「マンション管理業者は、従前の管理受託契約と同一の条件で管理組合との管理受託契約を更新しようとするときは、あらかじめ、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等全員に対し、重要事項を記載した書面を交付しなければならない。」と定める。また、同条第3項は、「前項の場合において当該管理組合に管理者等が置かれているときは、マンション管理業者は、当該管理者等に対し、管理業務主任者をして、重要事項について、これを記載した書面を交付して説明をさせなければならない。」と定める。すなわち、従前の管理受託契約と同一の条件で当該契約を更新しようとするときは、管理者等区分所有者等全員に重要事項を記載した書面を交付し、管理者等にのみ説明すれば足りる。したがって、本肢は正しい。新たな契約を結ぶ場合と異なり、説明会を開催する必要はない。

3 管理業者は、新たに建設されたマンションの分譲開始の日から1年以内に契約期間が満了する管理事務の委託を受けることを内容とする契約を締結する場合は、説明会を開催して重要事項を説明する義務はない。

→X  誤。肢1で述べたように、法第72条第1項によると、マンション管理業者は、管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする管理受託契約(新たに建設されたマンションの当該建設工事の完了の日から国土交通省令で定める期間を経過する日までの間に契約期間が満了するものを除く。)を締結しようとするときは、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより説明会を開催し、区分所有者及び管理組合の管理者等に対し、管理業務主任者をして、管理受託契約の内容及びその履行に関する重要事項について説明をさせなければならないことになる。新たに建設されたマンションの当該建設工事の完了の日から国土交通省令で定める期間を経過する日までの間に契約期間が満了するものは除かれるが、この国土交通省で定める期間は、マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則第82条によると、1年である。したがって、説明会を開催して重要事項を説明しなくてもよいのは、建設工事完了の日から1年以内に契約期間が満了する場合である。本肢は、この期間をマンションの分譲の日から1年以内としており誤りである。平成23年 管理業務主任者試験 「問47」選択肢2 でも出た。

4 管理業者は、管理組合に管理者等が置かれていない場合には、管理受託契約の成立時の書面の交付は義務づけられていない。

→X 誤。法第73条は、「マンション管理業者は、管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする契約を締結したときは、当該管理組合の管理者等(当該マンション管理業者が当該管理組合の管理者等である場合又は当該管理組合に管理者等が置かれていない場合にあっては、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等全員)に対し、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。」と定める。したがって、管理組合に管理者等が置かれていない場合には、管理業者は、区分所有者等の全員に管理受託契約の成立時の書面を交付しなければならない。よって、管理業者は、管理組合に管理者等が置かれていない場合には、管理受託契約の成立時の書面の交付は義務づけられていない、とする本肢は誤りである。

正解 2

第49問

【問 49】 株式会社甲はA・B・C・Dの4つの事務所(マンション管理適正化法第45条第1項第2号に規定する事務所をいう。以下本問において同じ。)を有する管理業者である。A事務所はマンションの管理組合45組合から委託を受けた管理事務をその業務としており、当該管理組合に係るマンションは、すべて人の居住の用に供する独立部分(以下本問において「独立部分」という。)が6以上である。B事務所は独立部分が5以下のマンションの管理組合2組合から、C事務所は独立部分が6以上であるマンションの管理組合20組合及び独立部分が5以下のマンションの管理組合1組合から、D事務所は独立部分が6以上であるマンションの管理組合110組合から委託を受けた管理事務をそれぞれその業務としている。この場合において、次の記述のうち、マンション管理適正化法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 A事務所に設置すべき成年者である専任の管理業務主任者の数は2人である。

→○ 正。マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下「法」という。)第56条第1項本文は、「マンション管理業者は、その事務所ごとに、事務所の規模を考慮して国土交通省令で定める数の成年者である専任の管理業務主任者を置かなければならない。」と定める。
 マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則(以下「規則」という。)第61条は、この専任の管理業務主任者の数を管理組合数30組に1人とする。よってマンション管理業者は、事務所ごとに、管理事務の委任を受けた管理組合数30組合に1人の割合で、成年者である専任の管理業務主任者を設置しなければならないことになる。
 ただし、規則62条によれば、人の居住の用に供する独立部分が5戸以下であるマンションについては、専任の管理業務主任者を設置しなくてもよい。

 これを本肢についてみればA事務所は、すべて人の居住の用に供する独立部分が6戸以上である管理組合45組合から委託を受けている。よって、規則第62条の適用はない。法第56条第1項、規則第61条の原則が適用され、委託を受けた管理組合の数 45÷30=1.5 で 端数は切り上げとなり、専任の管理業務主任者の数は2人となる。A事務所に必要な専任の管理業務主任者の数は、2である。したがって本肢は正しい。

2 B事務所には成年者である専任の管理業務主任者を設置する必要はなく、当該事務所を代表する者は管理業務主任者に代わり管理業務主任者としてすべき事務を行うことができる。

→○ 正。法第78条によると、人の居住の用に供する独立部分が、6(規則第62条)以上であるマンションの管理組合から委託を受けて行う管理事務(第56条第1項ただし書に規定する管理事務)以外の管理事務については、管理業務主任者に代えて、当該事務所を代表する者又はこれに準ずる地位にある者をして、管理業務主任者としてすべき事務を行わせることができる。B事務所は独立部分が5以下のマンションの管理組合から管理業務を受託しているので法第78条が適用される。したがって本肢のように、管理業務主任者に代え当該事務所を代表する者を管理業務主任者としてすべき事務を行わせることができる。本肢は正しい。

3 C事務所に設置すべき成年者である専任の管理業務主任者の数は1人である。

→○ 正。C事務所は、人の居住の用に供する独立部分が6戸以上の20組合から委託を受けている。よって選択肢1のように、法第56条第1項、規則第61条の原則が適用され、委託を受けた管理組合の数30組合に対し、20÷30=0.6 で端数は切り上げとなり、専任の管理業務主任者の数は1人となる。
 また、1組合は、独立部分が5以下でこちらには、専任の管理業務主任者は不要である。これによると、C事務所に必要な専任の管理業務主任者の数は、1である。したがって本肢は正しい。

4 D事務所に設置すべき成年者である専任の管理茉務主任者の数は3人である。

→X  誤。 D事務所は、人の居住の用に供する独立部分が6戸以上の110組合から委託を受けている。すると、法第56条第1項、規則第61条の原則が適用され、委託を受けた管理組合の数30組合に対し、110÷30=3.6 で、端数は切り上げとなり、D事務所に必要な専任の管理業務主任者の数は、4である。したがって本肢は誤りで、問の正解肢となる。

正解 4

第50問

【問 50】 管理業者の行う財産の分別管理に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法の規定によれば、正しいものはどれか。


(注:平成22年5月1日施行で、マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則87条は、大幅に改正がなされた。ここは、改正前のまま。)


1 支払一任代行方式とは、管理組合等がマンションの区分所有者等から徴収した修繕積立金等金銭を管理組合等を名義人とする口座に預入し、管理業者が管理組合から委託を受けて当該口座から払出した金銭により管理事務を行うこととする当該修繕積立金等金銭の管理方式をいう。

→○ 正。マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則(以下「規則」という。)第87条(財産の分別管理)5項かっこ書によると、支払一任代行方式とは、「管理組合等がマンションの区分所有者等から徴収した修繕積立金等金銭を管理組合等を名義人とする講座に預入し、マンション管理業者が管理組合から委託を受けて当該口座から払出した金銭により管理事務を行うこととする当該修繕積立金等金銭の管理方式をいう」とされる。本肢もほぼこのとおりである。したがって本肢は正しく、問の正解肢である。

2 管理業者は、修繕積立金等を管理するための管理組合等を名義人とする預貯金通帳と当該預貯金通帳に係る管理組合等の印鑑を同時に管理してはならないが、管理業者が保証契約(マンション管理適正化法施行規則第53条第1項第12号に規定する保証契約をいう。以下本問において同じ。)を締結し、収納代行方式により修繕積立金等を管理する場合に限り、管理組合名義の通帳及び印鑑を同時に保管することができる。

→X 誤。規則第87条第4項本文は、管理業者が管理組合名義の通帳と印鑑を同時に保管することを原則として禁止する。したがって、本肢前段は正しい。しかし、例外的に管理組合に管理者等が置かれていない場合において、管理者等が選任されるまでの比較的短い期間と支払一任代行方式の場合に管理業者が管理組合名義の通帳と印鑑を同時に保管することを認める(同条同項ただし書・同条第5項)。したがって、「管理業者が保証契約を締結し、収納代行方式により修繕積立金等を管理する場合に限り、管理組合名義の通帳及び印鑑を同時に保管することができる。」とする本肢後段は誤り。結局、本肢は誤りである。

3 管理業者は、保証契約を締結した後でなければ、管理組合から委託を受けて修繕積立金等を管理することができない。

→X 誤。マンションの管理の適正化の推進に関する法律第76条は、「マンション管理業者は、管理組合から委託を受けて管理する修繕積立金その他国土交通省令で定める財産については、整然と管理する方法として国土交通省令で定める方法により、自己の固有財産及び他の管理組合の財産と分別して管理しなければならない。」とする。そして、収納代行方式(規則第87条第3項)および支払一任代行方式(同条第5項)の場合に、保証契約を締結しなければならないとされるから、その他の方式にあっては、管理業者は、保証契約を締結しなくても、修繕積立金等を管理できることになると解される。したがって、「管理業者は、保証契約を締結した後でなければ、管理組合から委託を受けて修繕積立金等を管理することができない。」とする本肢は誤り。

4 管理業者は、受託有価証券を管理する場合にあっては、受託有価証券の預り証を保管してはならないが、保証契約を締結した場合はこの限りでない。

→X  誤。規則第87条第6項本文は、「マンション管理業者は、受託有価証券を管理する場合にあっては、受託有価証券の預り証を保管してはならない。」と定める。本肢前段は、正しい。しかし、同条同項ただし書きは、「管理組合に管理者等が置かれていないときで、管理者等が選任されるまでの比較的短い期間に限り保管する場合はこの限りではない。」とする。したがって「保証契約を締結した場合はこの限りでない。」とする本肢は誤り。

正解 1

ここまで、問50


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最終更新日:
2018年 8月19日:リンク先を「higuchi」に変更した。
2012年 4月 9日:体裁を統一した。
2011年10月24日:改正前の区分所有法の項を確認
2011年 5月4日:再再確認した。
2011年 2月11日:「問50」に法改正文入。
2010年2月9日:リンクなど入
2008年10月7日

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