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平成26年 マンション管理士 試験問題 及び 解説

ページ2(問26より問50まで)

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謝辞:当問題の作成にあたっては、水流様、山崎様、岩田様及び高木様のご協力を戴いております。
テキスト文への変更など、ご助力を心から感謝いたします。
  「マンション管理士 香川事務所」より。

*注: マンション標準管理規約(単棟型、団地型、複合用途型)は、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。 → 2017年 4月 9日:平成28年3月改正の標準管理規約に対応した。
 また、「マンションの管理の適正化に関する指針」も平成28年3月に改正がありましたので、注意してください。


※ 出題当時以後の法令等の改正には、一部は対応していません

*試験に臨んで、お節介なアドバイス
  1.設問にあわせて、問題用紙に ○(まる)、X(ばつ)をつける。
    殆どの設問が、「正しい」か「間違い」かを訊いてきますので、設問により、問題の頭に、○かXをつけます。
    そして、各選択肢を読み○かXをつけます。
    問題の○なりXと、選択肢の○かXが一致したものを、マークシートに記入してください。

  2.疑問な問題は、とりあえず飛ばす。
    回答の時間は限られています。
    そこで、回答として、○かXかはっきりしないものがでたら、「?」マークをつけて、次の問題に移ります。
    全部の回答が終わってから、再度戻って決定してください。

  3.複雑な問は、図を描く。
    甲、乙、A、B、Cなど対象が多い問題もでます。
    この場合、問題用紙の空いているところに、図を描いてください。
    重要な点が分かってきます。

(出題者からの注意) 1.答えは、各問題とも1つだけです。2つ以上の解答をしたもの、判読が困難なものは、正解としません。
              2.問題中法令に関する部分は、平成26年4月1日現在施行中の規定に基づいて出題されています。


解説者からのコメント:あやふやな出題、適切でない出題もあって、解答ができないのもあります。

※  マンション標準管理規約は、平成16年に改正があった。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。
   マンション標準管理委託契約書は、平成15年に改正があった。また、平成22年5月にも改正があった。

問26

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事

〔問 26〕 マンションの敷地の一部を隣接する民間駐車場の所有者に売却することになった。この場合において、管理組合の理事長から相談を受けたマンション管理士の次の発言のうち、区分所有法及び民法の規定並びに標準管理規約によれば、適切でないものはどれか。ただし、マンションの敷地は一筆で登記されており、かつ、区分所有者全員の共有に属するものとする。

1 規約で専有部分と敷地利用権の分離処分が禁止されていますが、規約に別段の定めをすれば分離処分は可能になります。

○ 適切である。 規約に別段の定めをすれば分離処分は可能.。 平成26年マンション管理士試験 「問2」 平成24年マンション管理士試験 「問10」、 平成22年マンション管理士試験 「問5」 など。
 専有部分と敷地利用権の分離処分の禁止は、区分所有法第22条
 「(分離処分の禁止)
 第二十二条  敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。
ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。
   2  前項本文の場合において、区分所有者が数個の専有部分を所有するときは、各専有部分に係る敷地利用権の割合は、第十四条第一項から第三項までに定める割合による。ただし、規約でこの割合と異なる割合が定められているときは、その割合による。
   3  前二項の規定は、建物の専有部分の全部を所有する者の敷地利用権が単独で有する所有権その他の権利である場合に準用する。」 
とあり、
 1項によれば、原則:区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができませんが、規約での別段の定めもできますから、適切です。


 参考:標準管理規約11条
 「(分割請求及び単独処分の禁止)
 第11条 区分所有者は、敷地又は共用部分等の分割を請求することはできない。
   2 区分所有者は、専有部分と敷地及び共用部分等の共有持分とを分離して 譲渡、抵当権の設定等の処分をしてはならない。」

 *ここは、平成28年3月の標準管理規約の改正には、該当しません。


2 このマンションの敷地の一部を売却するには分筆登記が必要ですが、区分所有者全員の同意がなければ分筆登記はできません。

○ 適切である。民法の共有になる。 平成24年マンション管理士試験 「問10」 、平成21年管理業務主任者試験 「問4」、 平成20年マンション管理士試験 「問15」 など。
 設問のように、一筆で登記された敷地の一部を、隣接する民間駐車場の所有者に売却するには、対象の土地に新しく所有権を発生させる必要がありますから、元の土地を分筆(土地の区画は1筆のように、筆とよばれます)する必要があります。
 区分所有法では、建物については共有であれば、多くの事項は多数決で決められますが、土地(敷地)が共有の場合における売却などの処分行為は、区分所有法の適用から外れ、民法の共有の規定が適用されます。
 すると、設問は、民法251条
 「(共有物の変更)
 第二百五十一条  
各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。」 とあり、
  敷地の一部を売却する行為は、共有物の変更行為となりますから、他の共有者の同意、つまり、区分所有者全員の同意が必要となり、適切です。

 
 


3 分筆登記をすることにより土地が分割され、売却予定の土地は建物が所在する土地以外の土地となりますので、建物の敷地ではなくなります。

X 適切でない。 分割されても「みなしで規約敷地」となっている。 規約の変更も必要となる。 平成26年管理業務主任者試験 「問34」平成24年マンション管理士試験 「問10」、 平成15年マンション管理士試験 「問3」 。
 元々1筆の土地の一部を分割する行為は、区分所有法第5条2項
 「(規約による建物の敷地)
 第五条  区分所有者が建物及び建物が所在する土地と一体として管理又は使用をする庭、通路その他の土地は、
規約により建物の敷地とすることができる
   2  建物が所在する土地が建物の一部の滅失により建物が所在する土地以外の土地となつたときは、その土地は、前項の規定により規約で建物の敷地と定められたものとみなす。
建物が所在する土地の一部が分割により建物が所在する土地以外の土地となつたときも、同様とする。 とあり、
 2項は分かりにくいのですが、区分所有法で規定するマンションが建っている下の敷地(法定敷地といいます)という概念は、もともと建物の専有部分の権利と一体化した敷地として管理・使用されていた土地ですから、滅失などの状況の変化で建物の一部がなくなり、もとの法定敷地の規定に該当しなくなった土地となっても原則として建物の敷地の要件は満たすものと考えられます。
 このような考えから、第5条2項では建物の一部滅失や土地の分割により、その土地の上に建物がなくなった土地の場合にはその土地は、区分所有法での法定敷地には該当しなくなりますが、それに準じた規約敷地として扱うことにしたものです。
 「その土地は、前項の規定により規約で建物の敷地と定められたものとみなす」の規定は、法律上での「みなし規定」の効力がありますから、別途規約を特別に定めなくても法律上当然に規約敷地が生じることになります。
 設問は、この区分所有法第5条2項の後段の「建物が所在する土地の一部が分割により建物が所在する土地以外の土地となつたときも、同様とする」の規定により、分筆登記をすることにより土地が分割され、売却予定の土地は建物が所在する土地以外の土地となっても、依然として、建物の「みなし規約敷地」となっていますので、適切ではありません。


 なお、この規定により、法定敷地であった一部を分割して処分しようとするときには、区分所有法第31条1項(規約の廃止)に該当するため、この「みなされた規約」を区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による特別決議により廃止する必要があります。

 

 
4 売却により敷地面積が変わることになれば、規約にある対象物件の敷地面積の変更も必要になります。

○ 適切である。 
 標準管理規約によれば、管理対象の物件として、敷地の所在地や敷地面積も表示されていますから、敷地面積が変われば、規約にある対象物件の敷地面積の変更も必要になりますので、適切です。
 なお、分筆登記により、土地の所在地も変更になります。

 参考:標準管理規約4条
 「(対象物件の範囲)
 第4条 この規約の対象となる物件の範囲は、別表第1に記載された敷地、 建物及び附属施設(以下「対象物件」という。)とする。」 

  別表第1




答え:3  みなし規約敷地を理解しているかどうかです。

《タグ》民法、区分所有法、多数決、共有、みなし規約敷地、管理対象物件、 民法 + 区分所有法 + 標準管理規約

問27

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事

〔問 27〕 マンションにおける平面式駐車場の使用契約に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切でないものはどれか。

1 駐車場使用契約には、管理費、修繕積立金の滞納等の規約違反の場合は、次回の選定時の参加資格をはく奪することができる旨の規定を設けることができる。

○ 適切である。 平成24年管理業務主任者試験 「問35」、 平成21年マンション管理士試験 「問28」
 管理費や修繕積立金が滞納される状態だと、当然、駐車場使用料も滞納されます。そこで、標準管理規約15条
 「(駐車場の使用)
 第15条 管理組合は、別添の図に示す駐車場について、特定の区分所有者に駐車場使用契約により使用させることができる。
   2 前項により駐車場を使用している者は、別に定めるところにより、管理組合に駐車場使用料を納入しなければならない。
   3 区分所有者がその所有する専有部分を、他の区分所有者又は第三者に譲渡又は貸与したときは、その区分所有者の駐車場使用契約は効力を失う。」
 とあり、
 これに対するコメントとして、コメント第15条関係
 
「E 駐車場使用細則、駐車場使用契約等に、管理.、修繕積立金の滞納等の規約違反の場合は、契約を解除できるか又は次回の選定時の参加資格をはく奪することができる旨の規定を定めることもできる。」 とあり
 適切です。
 なお、管理費、修繕積立金の滞納等の場合は、今後とも滞納金が増えない対応をとる必要があるため、”次回の選定時の参加資格をはく奪”よりも、”駐車場使用契約の解除”を記載することを、勧めます。

 *ここは、平成28年3月の標準管理規約の改正には、該当しません。


2 管理組合と駐車場使用契約を締結している区分所有者が、その所有する専有部分を第三者に貸与したときは、その区分所有者が契約している駐車場使用契約は効力を失う。

○ 適切である。
 選択肢1でも引用しました、標準管理規約15条3項
 「(駐車場の使用)
   
3 区分所有者がその所有する専有部分を、他の区分所有者又は第三者に譲渡又は貸与したときは、その区分所有者の駐車場使用契約は効力を失う。」 とあり、
 3項に該当し、適切です。

 *ここは、平成28年3月の標準管理規約の改正には、該当しません。


3 駐車場使用契約により駐車場を使用している区分所有者は、駐車場使用細則等で定められている使用料を管理組合に納入しなければならず、管理組合は、当該使用料を駐車場の管理に要する費用に充てるほか、修繕積立金として積み立てる。

○ 適切である。
 まず、前半の駐車場の使用料の納入は、選択肢1でも引用しました、標準管理規約15条2項
  「(駐車場の使用)
    
2 前項により駐車場を使用している者は、別に定めるところにより、管理組合に駐車場使用料を納入しなければならない。」 とあり、
 適切です。
 そして、管理組合に納められた駐車場使用料は当然に、駐車場の管理に要する費用に充てられますが、余剰金がでた場合に、管理組合の会計上、
管理費勘定に入れるか、修繕積立金勘定に入れるかですが、標準管理規約29条では、
 「(使用料)
 第29条 駐車場使用料その他の敷地及び共用部分等に係る使用料(以下「使用料」という。)は、それらの管理に要する費用に充てるほか、修繕積立金として積み立てる。」 
とあり、
 駐車場使用料その他の敷地及び共用部分等に係る使用料は、修繕積立金として積み立てる方法をとっていますので、後半も適切で、選択肢3は、全体として、適切です。

 *ここは、平成28年3月の標準管理規約の改正には、該当しません。


4 駐車場の管理については、駐車場使用契約を締結し駐車場を使用する区分所有者が、その責任と負担で行わなければならない。

X 適切でない。 駐車場の管理は、管理組合が行う。 車両の保管責任は、管理組合は負わない。 平成24年マンション管理士試験 「問27」、 平成21年管理業務主任者試験 「問29」
 敷地や共用部分の管理は、標準管理規約21条
 「(敷地及び共用部分等の管理)
 第21条 敷地及び共用部分等の管理については、管理組合がその責任と負 担においてこれを行うものとする。ただし、バルコニー等の管理のうち、 通常の使用に伴うものについては、専用使用権を有する者がその責任と負担においてこれを行わなければならない。
   2 専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分の管理を 共用部分の管理と一体として行う必要があるときは、管理組合がこれを行 うことができる。」
 とあり、
 その、コメント
 
「第21条関係
 @駐車場の管理は、管理組合がその責任と負担で行う。」
 とあり、
 駐車場の管理については、駐車場使用契約を締結し駐車場を使用する区分所有者ではなく、管理組合がその責任と負担で行いますから、適切ではありません。

  *標準管理規約21条は、平成28年3月の標準管理規約の改正で条文が追加されていますが、答えには影響しません。


答え:4  基本的な出題です。なお、標準管理規約は、法律ではなく、単に国土交通省が見本として勧めているだけであることに、注意してください。

《タグ》駐車場の使用料、 駐車場使用契約の解除、 修繕積立金に入れる、駐車場の管理。 標準管理規約 

問28

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事

〔問 28〕 組合員に対する管理組合の対応方法を検討する理事会での理事長の次の発言のうち、標準管理規約によれば、適切なものはどれか。

1 組合員Aから、自宅の窓ガラスを二重サッシにするための改良工事を細則に従いA自身で行いたい旨の申請がなされていますが、これは本年度に実施する計画修繕で全戸一斉に行う予定となっておりますので、Aの申請は認めないものとします。


○ 適切である。 平成21年管理業務主任者試験 「問34」。
 窓ガラスの改良は、標準管理規約22条
 「(窓ガラス等の改良)
 第22条 共用部分のうち各住戸に附属する窓枠、
窓ガラス、玄関扉その他 の開口部に係る改良工事であって、防犯、防音又は断熱等の住宅の性能の向上等に資するものについては、管理組合がその責任と負担において、計画修繕としてこれを実施するものとする。
   2 管理組合は、前項の工事を速やかに実施できない場合には、当該工事を各区分所有者の責任と負担において実施することについて、細則を定めるものとする。」 
とあり、
 1項により、管理組合がその責任と負担において、計画修繕としてこれを実施するため、本年度に実施する計画修繕で全戸一斉に行う予定として入っているなら、Aの申請を認めないのは、適切です。

  *標準管理規約22条は、平成28年3月の標準管理規約の改正で条文が追加されていますが、答えには影響しません。


2 組合員Bから、専有部分の床フローリング工事を実施する予定であるとの相談がありましたので、Bに対し、設計図、仕様書を添付した工事の申請書を提出し、承認後には速やかに工程表を提出しなければならないことを伝えることとします。

X 適切でない。 工程表も設計図、仕様書と共に提出すること。 平成21年マンション管理士試験 「問37」、 平成21年管理業務主任者試験 「問30」
 専有部分の修繕は、標準管理規約17条
 「(専有部分の修繕等)
 第17条 区分所有者は、その専有部分について、修繕、模様替え又は建物に定着する物件の取付け若しくは取替え(以下「修繕等」という。)を行おうとするときは、あらかじめ、理事長(第35条に定める理事長をいう。 以下同じ。)にその旨を申請し、書面による承認を受けなければならない。
   
2 前項の場合において、区分所有者は、設計図、仕様書及び工程表を添付した申請書を理事長に提出しなければならない。
   3 理事長は、第1項の規定による申請について、承認しようとするとき、又は不承認としようとするときは、理事会(第51条に定める理事会をいう。以下同じ。)の決議を経なければならない。
   4 第1項の承認があったときは、区分所有者は、承認の範囲内において、専有部分の修繕等に係る共用部分の工事を行うことができる。
   5 理事長又はその指定を受けた者は、本条の施行に必要な範囲内において、修繕等の箇所に立ち入り、必要な調査を行うことができる。この場合において、区分所有者は、正当な理由がなければこれを拒否してはならない。」 
とあり、
 2項によれば、申請に際しては、区分所有者は、設計図、仕様書及び工程表を添付した申請書を理事長に提出となっているため、工程表の提出が承認後では、適切ではありません。

   *標準管理規約17条は、平成28年3月の標準管理規約の改正で条文が追加されていますが、答えには影響しません。


3 組合員Cが、管理費を3ヵ月滞納しているので、理事長として管理組合を代表し法的措置によりその回収を図ることとしますが、これには総会決議が必要なので、次期通常総会での議案の一つといたします。

X 出題が適切ではない 平成24年マンション管理士試験 「問29」平成23年 マンション管理士試験 「問32」 選択肢2 平成23年 マンション管理士試験 「問28」 、 平成22年 管理業務主任者試験 「問36」 選択肢2 、 平成21年 管理業務主任者試験 「問34」 、参考: 平成21 マンション管理士試験 「問26」 。 
 本年の出題は、滞納管理費の回収であるため、標準管理規約によるとの判断に留めますが、多くの事項を裁判にするには、理事会の決議だけで可能か、それとも、集会(総会)の決議が必要かは、区分所有法の管理者の職務権限と規約での設定がどこまで許されるか、で標準管理規約の規定の曖昧さがあり、標準管理規約において、もっと検討が必要な箇所です。

 とりあえず、理事会の決議で可能なのは、標準管理規約54条
 「(議決事項)
 第54条 理事会は、この規約に別に定めるもののほか、次の各号に掲げる 事項を決議する。
     一 収支決算案、事業報告案、収支予算案及び事業計画案
     二 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止に関する案
     三 長期修繕計画の作成又は変更に関する案
     四 その他の総会提出議案
     五 第17条に定める承認又は不承認
     六 第58条第3項に定める承認又は不承認
        (改正:追加)
     
七 第60条第3項に定める未納の管理費等及び使用料の請求に関する訴訟その他法的措置の追行
       (改正:追加。)
     八 第67条に定める勧告又は指示等
     九 総会から付託された事項」 
とあり、
 7号で引用されています、標準管理規約60条は、
 「(管理費等の徴収)
 第60条 管理組合は、第25条に定める管理費等及び第29条に定める使用料について、組合員が各自開設する預金口座から自動振替の方法により 第62条に定める口座に受け入れることとし、当月分は前月の○日までに一括して徴収する。ただし、臨時に要する費用として特別に徴収する場合には、別に定めるところによる。
   2 組合員が前項の期日までに納付すべき金額を納付しない場合には、管理組合は、その未払金額について、年利○%の遅延損害金と、違約金としての弁護士費用並びに督促及び徴収の諸費用を加算して、その組合員に対して請求することができる。
   
3 理事長は、未納の管理費等及び使用料の請求に関して、理事会の決議により、管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行することができる。
   4 第2項に基づき請求した遅延損害金、弁護士費用並びに督促及び徴収の諸費用に相当する収納金は、第27条に定める費用に充当する。
   5 組合員は、納付した管理費等及び使用料について、その返還請求又は分割請求をすることができない。」
 です。
 あくまでも、問題点の多い現在の標準管理規約によれば、滞納管理費の回収を法的措置にするなら、理事会の決議でできますので、総会の決議は不要です。

   *標準管理規約54条及び60条は、平成28年3月の標準管理規約の改正で条文が追加されていますが、答えには影響しません。


4 組合員Dから、専有部分を第三者Eに賃貸する旨の相談がありましたので、Dに対し、管理規約及び使用細則に定める事項をEに遵守させる旨をDが誓約する書面を作成し、提出しなければならないことを伝えることとします。

X 適切でない。誓約書を提出するのは、賃借人のE。 平成21年マンション管理士試験 「問28」
 専有部分を第三者に貸与する場合は、標準管理規約19条
 「(専有部分の貸与)
 第19条 区分所有者は、その専有部分を第三者に貸与する場合には、この 規約及び使用細則に定める事項をその第三者に遵守させなければならない。
   2 前項の場合において、区分所有者は、その貸与に係る契約にこの規約及び使用細則に定める事項を遵守する旨の条項を定めるとともに、
契約の相手方にこの規約及び使用細則に定める事項を遵守する旨の誓約書を管理組合に提出させなければならない。」 とあり、
 2項によれば、管理規約及び使用細則に定める事項を遵守する旨の誓約書を提出するのは、組合員Dではなく、契約の相手方であるEであるので、適切でない。



答え:1。 少し難問か。
       {ある受験者の感想…選択肢1か2で迷い、2を選んでしまった。}

《タグ》専有部分の改良工事、 滞納管理費の法的回収、理事会決議、 専有部分の貸与。 標準管理規約の訴訟行為の不適正さ。

問29

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事

〔問 29〕 管理組合の理事長から、役員の取扱いに関する相談を受けたマンション管理士が行った次の回答のうち、標準管理規約によれば、適切なものはどれか。

1 管理組合と管理組合の理事長が代表者である会社との間で修繕工事請負契約を締結する場合には管理組合の代表者は誰になるのかと問われたので、「監事が管理組合を代表しますので、契約書には管理組合の代表者として監事の名を記載してください。」と回答した。

X 適切でない。 法人化されていない場合の管理組合と理事長との利益相反行為は、標準管理規約では対応する規定がない。 平成20年管理業務主任者試験 「問36」、 平成18年マンション管理士試験 「問31」選択肢4。
 管理組合と管理組合の理事長が代表者である会社との間で修繕工事請負契約を締結する場合は、通常民法(旧第57条)では、利益相反行為と呼ばれていて、管理組合の利益が損なわれる恐れがあるため禁止され、その場合には、理事長以外の特別代理人が選任されて、特別代理人がその法人を代表することにしています。
 そこで、設問に戻りますが、標準管理規約は、管理組合が法人化されていないことが前提で作成されています。
 そのためか、このような管理組合と管理組合の理事長が代表者である会社との間での修繕工事請負契約を締結する場合等の利益相反行為については、なんら規定がありません。
 よって、マンション管理士が言った「利益相反行為では、監事が管理組合を代表します」は、不適切です。

 *それでは、管理組合と理事長との利益相反行為はどうなるのでしょうか? このように、標準管理規約はまだまだ不十分であると、この問題の出題者も指摘しています。

 *これを受け、平成28年3月の標準管理規約の改正で、標準管理規約38条6項には、
 「6 管理組合と理事長との利益が相反する事項については、理事長は、代表権を有しない。この場合においては、監事又は理事長以外の理事が管理組合を代表する。 」
 の条文が追加されていますので、注意してください。答えが変わります。



2 新たに会計担当理事を設置しようとする管理組合において、会計担当理事の職務内容を問われたので、「会計担当理事は、管理費等の収納、保管、運用、支出等の会計業務を行うとともに、毎会計年度の収支決算案を通常総会に報告し、その承認を得なければなりません。」と回答した。

X 適切でない。 毎会計年度の収支決算案を通常総会に報告し、その承認を得るのは、理事長の職務。 平成21年管理業務主任者試験 「問12」
 会計担当理事の職務は、標準管理規約40条
 「(理事)
 第40条 理事は、理事会を構成し、理事会の定めるところに従い、管理組合の業務を担当する。
   
2 会計担当理事は、管理費等の収納、保管、運用、支出等の会計業務を行 う。」 とあり、
 2項により、前半の「会計担当理事は、管理費等の収納、保管、運用、支出等の会計業務を行う」は、適切ですが、
 後半の、「毎会計年度の収支決算案を通常総会に報告し、その承認を得なければなりません」となると、
 標準管理規約59条
 「(会計報告)
 第59条
理事長は、毎会計年度の収支決算案を監事の会計監査を経て、通常総会に報告し、その承認を得なければならない。」 とあり、
 理事長の職務ですから、設問は、後半が、適切ではありません。

 *標準管理規約40条は、平成28年3月の標準管理規約の改正で条文が追加されていますが、答えには影響しません。59条は変更がありません。


3 任期途中で理事長が自宅を売却し転出した場合の対応について問われたので「区分所有者でなくなれば役員としての地位を失いますので、速やかに次の理事長の選任を行う必要がありますが、次の理事長が選任されるまでの間は、前任の理事長が引き続きその職務を行います。」と回答した。

X 適切でない。 区分所有者でないと、役員でなくると同時に、管理組合関係から離脱する。 平成24年マンション管理士試験 「問29」。同「問31」 も。
 まず、理事長など役員であるためには、標準管理規約35条
 「(役員)
 第35条 管理組合に次の役員を置く。
     一 理事長
     二 副理事長 ○名
     三 会計担当理事 ○名
     四 理事(理事長、副理事長、会計担当理事を含む。以下同じ。) ○名
     五 監事 ○名

   
2 理事及び監事は、組合員のうちから、総会で選任する
      (改正:現に居住の条件がなくなった。)
   
3 理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事の互選により選任する。」 とあり、
 2項により、組合員であることが必須です。
 組合員とは、標準管理規約30条
  「(組合員の資格)
  第30条
組合員の資格は、区分所有者となったときに取得し、区分所有者でなくなったときに喪失する。」 です。
 そして、標準管理規約36条
 「(役員の任期)
 第36条 役員の任期は○年とする。ただし、再任を妨げない。
   2 補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。
   3 任期の満了又は辞任によって退任する役員は、後任の役員が就任するま での間引き続きその職務を行う。
   
4 役員が組合員でなくなった場合には、その役員はその地位を失う。」 とあり、4項が該当します。

  そこで、設問のような、任期途中で理事長が自宅を売却し転出した場合には、もう理事長は組合員ではありませんので、その地位を失うと同時に、完全に、そのマンションの管理組合関係から外れますので、前任の理事長として、引き続きその職務をできませんから、不適切です。
 この場合、また組合員の中から、速やかに次の理事長の選任を行う必要があります。

 参考:コメント第36条関係
  @ 役員の任期については、組合の実情に応じて1〜2年で設定することとし、選任に当たっては、その就任日及び任期の期限を明確にする。
  A 業務の継続性を重視すれば、役員は半数改選とするのもよい。この場合には、役員の任期は2年とする。
  B 役員が転出、死亡その他の事情により任期途中で欠けた場合、補欠の役員を理事会の決議で選任することができると、規約に規定することもできる。

 *標準管理規約35条は、平成28年3月の改正で条文が外部の専門家も役員になれるなどと変更されているので、ここは、もう、やらない方がいい。


4 任期途中で理事が死亡した場合に、理事会の決議により残任期間を任期とする新しい理事を選任することができるかと問われたので、「規約で、役員が欠けたときには理事会決議で補欠の役員を選任できると定めていれば可能です。」と回答した。

○ 適切である。 規約があればいい。
 任期途中で理事が死亡した場合は、先走って、選択肢3で参考にしました、標準管理規約コメント第36条関係
  @ 役員の任期については、組合の実情に応じて1〜2年で設定することとし、選任に当たっては、その就任日及び任期の期限を明確にする。
  A 業務の継続性を重視すれば、役員は半数改選とするのもよい。この場合には、役員の任期は2年とする。
  
B 役員が転出、死亡その他の事情により任期途中で欠けた場合、補欠の役員を理事会の決議で選任することができると、規約に規定することもできる。」 とあり、
 Bにより、規約があれば、補欠の役員を理事会の決議で選任することができますから、この箇所は適切です。
 また、補欠の役員の任期は、選択肢3でも引用しました、標準管理規約36条2項
 「(役員の任期)
 
2 補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。] に該当し、
 選択肢4は、全部適切です。

 *標準管理規約36条は、平成28年3月の標準管理規約の改正でコメントも追加されていますが、答えには影響しません。


答え:4  ここは、明らかに、選択肢1,2,3が不適切と分かるでしょう。

《タグ》利益相反行為と理事長、 会計担当理事の職務、 組合員とは。  標準管理規約

問30

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事

〔問 30〕 管理組合の総会招集手続に関する次の記述のうち、区分所有法の規定並びにマンション標準管理規約(単棟型)及びマンション標準管理規約(複合用途型)によれば、適切なものはどれか。

1 総会招集通知に、会議の目的を「管理組合を法人化する件」として組合員に通知したが、議案の要領は通知しなかった。

○ 適切である。 特別決議事項でも、議案の要領の通知はいらない。 平成23年管理業務主任者試験 「問31」平成21年管理業務主任者試験 「問33」平成20年マンション管理士試験 「問6」 など多い。
 まず、集会(総会)を招集する際には、会議の目的たる事項が、重要と考えられる場合には、区分所有者に事前に充分な予備知識を与えて、集会に臨むように配慮して、会議の目的たる事項にプラスして、議案の要領も通知することになっています。
 それが、区分所有法第35条5項
 「(招集の通知)
 5  第一項の通知をする場合において、会議の目的たる事項が第十七条第一項、第三十一条第一項、第六十一条第五項、第六十二条第一項、第六十八条第一項又は第六十九条第七項に規定する決議事項であるときは、
その議案の要領をも通知しなければならない。 」 です。
 その、各条文の内容は、
    @「共用部分の重大な変更」(第17条第1項)、
    A「規約の設定・変更・廃止」(第31条第1項)、
    B「建物の価格の1/2超が消滅した場合(大規模滅失)の復旧」(第61条第5項)、
    C「建替え」(第62条第1項)、
    D「団地管理組合の規約の設定の特例」(第68条第1項)、
    E「団地内の2以上の区分所有建物の一括建替え承認決議に付する旨」(第69条第7項) です。
 通常、区分所有者及び議決権の各3/4以上または4/5以上(建替え)の賛成を必要とする
特別決議事項と呼ばれる事項が、この議案の要領も通知するに該当していますが、その特別決議事項のうち、
入っていないもの(議案の要領が不要なもの)があります。

 それが、@管理組合法人となること(第47条1項)
      A管理組合法人の解散(第55条2項)
      B使用禁止、競売または占有者に対する引渡しの訴えの提起(第58条2項、第59条2項、第60条2項) です。
 これにより、設問の会議の目的を「管理組合を法人化する件」なら、議案の要領の通知は、いりませんから、適切です。
 これは、「管理組合を法人化する」というだけで、もう内容が分かると、区分所有法の草案者が判断したからです。

 
 
 
 これを受け、マンション標準管理規約(単棟型)43条
 「(招集手続)
 第43条 総会を招集するには、少なくとも会議を開く日の2週間前(会議の目的が建替え決議であるときは2か月前)までに、会議の日時、場所及び目的を示して、組合員に通知を発しなければならない。
   2 前項の通知は、管理組合に対し組合員が届出をしたあて先に発するものとする。ただし、その届出のない組合員に対しては、対象物件内の専有部分の所在地あてに発するものとする。
   3 第1項の通知は、対象物件内に居住する組合員及び前項の届出のない組合員に対しては、その内容を所定の掲示場所に掲示することをもって、これに代えることができる。
   
4 第1項の通知をする場合において、会議の目的が第47条第3項第一号、 第二号若しくは第四号に掲げる事項の決議又は建替え決議であるときは、 その議案の要領をも通知しなければならない。
   5 会議の目的が建替え決議であるときは、前項に定める議案の要領のほか、次の事項を通知しなければならない。
     一 建替えを必要とする理由
     二 建物の建替えをしないとした場合における当該建物の効用の維持及び 回復(建物が通常有すべき効用の確保を含む。)をするのに要する費用 の額及びその内訳
     三 建物の修繕に関する計画が定められているときは、当該計画の内容 四 建物につき修繕積立金として積み立てられている金額
   6 建替え決議を目的とする総会を招集する場合、少なくとも会議を開く日の1か月前までに、当該招集の際に通知すべき事項について組合員に対し説明を行うための説明会を開催しなければならない。
   7 第45条第2項の場合には、第1項の通知を発した後遅滞なく、その通知の内容を、所定の掲示場所に掲示しなければならない。
   8 第1項(会議の目的が建替え決議であるときを除く。)にかかわらず、緊急を要する場合には、理事長は、理事会の承認を得て、5日間を下回ら ない範囲において、第1項の期間を短縮することができる。] 

 また、マンション標準管理規約(複合用途型)47条
 「(招集手続)
 第47条 総会を招集するには、少なくとも会議を開く日の2週間前(会議の目的が建替え決議であるときは2か月前)までに、会議の日時、場所及び目的を示して、組合員に通知を発しなければならない。
   2 前項の通知は、管理組合に対し組合員が届出をしたあて先に発するものとする。ただし、その届出のない組合員に対しては、対象物件内の専有部分の所在地あてに発するものとする。
   3 第1項の通知は、対象物件内に居住する組合員及び前項の届出のない組合員に対しては、その内容を所定の掲示場所に掲示することをもって、これに代えることができる。
   
4 第1項の通知をする場合において、会議の目的が第51条第3項第一号、第二号若しくは第四号に掲げる事項の決議又は建替え決議であるときは、その議案の要領をも通知しなければならない。
   5 会議の目的が建替え決議であるときは、前項に定める議案の要領のほか、次の事項を通知しなければならない。
     一 建替えを必要とする理由
     二 建物の建替えをしないとした場合における当該建物の効用の維持及び回復(建物が通常有すべき効用の確保を含む。)をするのに要する費用の額及びその内訳
     三 建物の修繕に関する計画が定められているときは、当該計画の内容
     四 建物につき全体修繕積立金として積み立てられている金額
   6 建替え決議を目的とする総会を招集する場合、少なくとも会議を開く日の1か月前までに、当該招集の際に通知すべき事項について組合員に対し説明を行うための説明会を開催しなければならない。
   7 第49条第2項の場合には、第1項の通知を発した後遅滞なく、その通知の内容を、所定の掲示場所に掲示しなければならない。
  8 第1項(会議の目的が建替え決議であるときを除く。)にかかわらず、緊急を要する場合には、理事長は、理事会の承認を得て、5日間を下回らない範囲において、第1項の期間を短縮することができる。」

 となっています。

 *標準管理規約(単棟型)43条も複合用途型47条も、平成28年3月の標準管理規約の改正で条文が追加されていますが、答えには影響しません。


2 理事長は、緊急を要する場合だったので、理事会の承認を得た上で、総会招集通知を開催日の4日前に組合員に通知した。

X 適切でない。 4日前は規約で許された5日間を下回っている。 平成25年マンション管理士試験 「問25」、 平成24年管理業務主任者試験 「問36」 、 平成23年マンション管理士試験 「問4」、 平成23年管理業務主任者試験 「問31」 など。ここも多い。
 まず、集会(総会)の招集の通知は、区分所有法第35条1項
 「(招集の通知)
 第三十五条  
集会の招集の通知は、会日より少なくとも一週間前に、会議の目的たる事項を示して、各区分所有者に発しなければならない。ただし、この期間は、規約で伸縮することができる。
 (以下、略) 」
とあり、
 原則:会日よりも、少なくても一週間前(1週間の前日まで)に通知をすることになっていますが、規約で伸ばしたり、短くすることもできます。


  
 
 これを受け、選択肢1で引用しました、マンション標準管理規約(単棟型)43条1項及び8項
 「(招集手続)
 第43条
総会を招集するには、少なくとも会議を開く日の2週間前(会議の目的が建替え決議であるときは2か月前)までに、会議の日時、場所及び目的を示して、組合員に通知を発しなければならない
   8 第1項(会議の目的が建替え決議であるときを除く。)にかかわらず、
緊急を要する場合には、理事長は、理事会の承認を得て、5日間を下回らない範囲において、第1項の期間を短縮することができる。」 とあり、
 1項により、区分所有法の原則であった、1間前を2週間前に変更し、また、緊急を要する場合には、理事長は、理事会の承認を得て、5日間を下回らない範囲においてなら、短縮できますが、設問のように、「総会招集通知を開催日の4日前に組合員に通知」となると、適切ではありません。
 また、マンション標準管理規約(複合用途型)47条8項にも、
 「(招集手続)
  8 第1項(会議の目的が建替え決議であるときを除く。)にかかわらず、
緊急を要する場合には、理事長は、理事会の承認を得て、5日間を下回らない範囲において、第1項の期間を短縮することができる。 」 とありますから、
 共に適切ではありません。

 *標準管理規約(単棟型)43条も複合用途型47条も、平成28年3月の標準管理規約の改正で条文が追加されていますが、答えには影響しません。


3 店舗部分で賃借人が営業している場合において、店舗の業種制限に関する規約の変更の総会招集通知を組合員に対し発送したが、その通知内容を所定の場所に掲示しなかった。

X 適切でない。 利害関係人がいると、通知内容を見やすい場所に掲示しないといけない。 平成25年マンション管理士試験 「問3」、 平成25年管理業務主任者試験 「問38」 など。
 賃借人(占有者)が集会(総会)の目的たる事項に、利害関係を持っていますと、区分所有法第44条
 「(占有者の意見陳述権)
 第四十四条  
区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して意見を述べることができる。
   
2  前項に規定する場合には、集会を招集する者は、第三十五条の規定により招集の通知を発した後遅滞なく、集会の日時、場所及び会議の目的たる事項を建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。」 とあり、
 1項により、利害関係人は、集会に出席して意見を述べることができます。そのためには、集会(総会の)あることを知らなければなりませんから、2項で、集会の日時、場所及び会議の目的たる事項を建物内の見やすい場所に掲示することが、求められていますので、通知内容を所定の場所に掲示しなかったのは、適切ではありません。


 これを受け、マンション標準管理規約(単棟型)43条
 「(招集手続)
 第43条
  
7 第45条第2項の場合には、第1項の通知を発した後遅滞なく、その通知の内容を、所定の掲示場所に掲示しなければならない。」 とあり、
 引用されています、45条は、
 「(出席資格)
 第45条 組合員のほか、理事会が必要と認めた者は、総会に出席すること ができる。
   
2 区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的につき利 害関係を有する場合には、総会に出席して意見を述べることができる。こ の場合において、総会に出席して意見を述べようとする者は、あらかじめ理事長にその旨を通知しなければならない。」 とあり、
 適切ではありません。


 また、マンション標準管理規約(複合用途型)47条でも、
 「(招集手続)
 第47条
  
7 第49条第2項の場合には、第1項の通知を発した後遅滞なく、その通知の内容を、所定の掲示場所に掲示しなければならない。」 とあり、
 引用されています、49条は、
 「(出席資格)
 第49条 組合員のほか、理事会が必要と認めた者は、総会に出席することができる。
   
2 区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的につき利害関係を有する場合には、総会に出席して意見を述べることができる。この場合において、総会に出席して意見を述べようとする者は、あらかじめ理事長にその旨を通知しなければならない。」 と、
 マンション標準管理規約(単棟型)と同様の規定があり、この複合用途型においても、適切ではありません。

 *標準管理規約(単棟型)43条も複合用途型47条も、平成28年3月の標準管理規約の改正で条文が追加されていますが、答えには影響しません。


4 理事長は、新会計年度開始後3ヵ月してから通常総会を招集した。

X 適切でない。 規約では新会計年度開始後2ヶ月以内に総会を招集すること。 平成26年マンション管理士試験 「問6」、 同「問25」、 平成25年管理業務主任者試験 「問38」、 平成23年マンション管理士試験 「問5」、 平成23年管理業務主任者試験 「問30」、 など。
 区分所有法では、会計年度という規定はありませんが、管理者(理事長)は、せめて年1回は一定の時期に集会を開いて、その事務の報告をしなさいという規定があります。
 それが、区分所有法第43条
 「(事務の報告)
 第四十三条  
管理者は、集会において、毎年一回一定の時期に、その事務に関する報告をしなければならない。 」 です。


 
 この規定を受け、規約では、集会を総会とし、また会計年度と組み合わせて、通常総会と呼ばれる形で開催するようにしています。
 例えば、マンション標準管理規約(単棟型)42条
 「(総会)
 第42条 管理組合の総会は、総組合員で組織する。
   2 総会は、通常総会及び臨時総会とし、区分所有法に定める集会とする。
   
3 理事長は、通常総会を、毎年1回新会計年度開始以後2ケ月以内に招集しなければならない。
   4 理事長は、必要と認める場合には、理事会の決議を経て、いつでも臨時総会を招集することができる。
   5 総会の議長は、理事長が務める。」 
であり、
 マンション標準管理規約(複合用途型)なら46条
 「(総会)
 第46条 管理組合の総会は、総組合員で組織する。
   2 総会は、通常総会及び臨時総会とし、区分所有法に定める集会とする。
   
3 理事長は、通常総会を、毎年1回新会計年度開始以後2か月以内に招集しなければならない
   4 理事長は、必要と認める場合には、理事会の決議を経て、いつでも臨時総会を招集することができる。
   5 総会の議長は、理事長が務める。 」の規定です。
 これら、2つの標準管理規約によりますと、通常総会の開始は、共に3項に
 「3 理事長は、通常総会を、毎年1回新会計年度開始以後2ケ月以内に招集しなければならない。」
 とありますから、
 理事長が、新会計年度開始後3ヵ月してから通常総会を招集するのは、適切ではありません。

 *標準管理規約(単棟型)42条も複合用途型46条も、平成28年3月の標準管理規約の改正で変更がありません。


答え:1   議案の要領は、よく出題されるパターンでした。
        でも、マンション標準管理規約(単棟型)とマンション標準管理規約(複合用途型)の2つを出す必要性がまったくない!
        解説では、単棟型と複合用途型の根拠を示す必要性があるため、時間がかかる。
        これは、出題範囲に、無理にマンション標準管理規約(複合用途型)も入っているせいです。まったく、無駄な出題方法です

《タグ》法人化、 議案の要領、 招集日、 占有者、 会計年度。 区分所有法 +マンション標準管理規約(単棟型) + マンション標準管理規約(複合用途型)

問31

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事

〔問 31〕 甲マンション(専有部分の総数は20戸、各専有部分の床面積は等しい。)は、組合員Aが4戸、組合員Bが3戸、組合員Cが2戸、その他に11人の組合員が各1戸を所有している。この場合における管理組合の総会における決議に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切なものはどれか。ただし、総会には全組合員が出席しているものとし、各組合員の議決権は、共有持分の割合によるものとする。

1 甲マンションの建替えは、B及びCが反対しても、それ以外の組合員が賛成であれば、実施することができる。

X 適切でない。建替えは、組合員総数の4/5(80%)以上 及び 議決権総数の4/5(80%)以上 の両方の賛成が必要。 平成23年管理業務主任者試験 「問32」、 平成21年マンション管理士試験 「問32」、 平成20年管理業務主任者試験 「問31」 など。 
 まず、組合員(区分所有者)の総数は、
   A + B + C + 11= 14人
 議決権の数は、持分割合=専有部分が等しい から 全体は 20個
  但し、 A=4 、 B=3 、 C=2 を持っている。

 そこで、建替え総会の決議で必要な、組合員(区分所有者)数と議決権数は、標準管理規約47条
 「(総会の会議及び議事)
 第47条 総会の会議は、前条第1項に定める議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならない。
   2 総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。
   3 次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前項にかかわらず、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する。
     一 規約の制定、変更又は廃止
     二 敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わな いものを除く。)
     三 区分所有法第58条第1項、第59条第1項又は第60条第1項の訴 えの提起
     四 建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の滅失した共用部 分の復旧
     五 その他総会において本項の方法により決議することとした事項
   
4 建替え決議は、第2項にかかわらず、組合員総数の5分の4以上及び議決権総数の5分の4以上で行う
   (以下、略) 」 
とあり、
 4項によれば、建替え決議には、組合員総数の4/5(80%)以上 及び 議決権総数の4/5(80%)以上 の両方の賛成が必要です。

 
 設問では、B(議決権=3)、 C(議決権=2)が反対なら、
 反対組合員(区分所有者)の数は  2人  逆に 賛成は、 12/14=85.7%
 反対議決権の数は、    5個  逆に 賛成は、 15/20=75% 
 となり、組合員(区分所有者)の数では、建替え決議である、4/5を超えていますが、議決権の数では、4/5を超えていませんから、甲マンションの建替えは、実施することができず、適切ではありません。
 
 *標準管理規約47条は、平成28年3月の標準管理規約の改正で追加がありましたが、答えには影響がありません。


2 計画修繕工事に関し、外壁補修工事、給水管更新工事及びエレベーター設備更新工事は、A、B及びCが反対しても、それ以外の組合員が賛成であれば、実施することができる。

○ 適切である。 普通決議の工事で、出席組合員の議決権の過半数でできる。
 選択肢1で引用しました、標準管理規約47条の2項及び3項2号、
 
2 総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。
  
3 次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前項にかかわらず、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する。
    二 敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わな いものを除く。)
 とあり、
 3項の2号は、分かりにくいのですが、「その形状又は効用の著しい変更を伴う(重大変更)」なら、組合員総数の3/4以上及び議決権総数の3/4以上の賛成がないといけない、ということです。
 つまり、工事の内容によって、出席組合員の議決権の過半数(普通決議)でいいのか、それとも、組合員総数の3/4以上及び議決権総数の3/4以上の賛成が必要(特別多数決議)かということになります。
 しかし、どのような工事が、どの決議でいいのかというと実に曖昧です。そこで、1つの判断として、標準管理規約のコメントDがあります。


 標準管理規約47条関係コメント
 D このような規定の下で、各工事に必要な総会の決議に関しては、例えば次のように考えられる。ただし、基本的には各工事の具体的内容に基づく個別の判断によることとなる。
   ア)バリアフリー化の工事に関し、建物の基本的構造部分を取り壊す等の加工を 伴わずに階段にスロープを併設し、手すりを追加する工事は普通決議により、階段室部分を改造したり、建物の外壁に新たに外付けしたりして、エレベーターを新たに設置する工事は特別多数決議により実施可能と考えられる。
   イ)耐震改修工事に関し、柱やはりに炭素繊維シートや鉄板を巻き付けて補修する工事や、構造躯体に壁や筋かいなどの耐震部材を設置する工事で基本的構造部分への加工が小さいものは普通決議により実施可能と考えられる。
   ウ)防犯化工事に関し、オートロック設備を設置する際、配線を、空き管路内に通したり、建物の外周に敷設したりするなど共用部分の加工の程度が小さい場合の工事や、防犯カメラ、防犯灯の設置工事は普通決議により、実施可能と考えられる。
   エ)IT化工事に関し、光ファイバー・ケーブルの敷設工事を実施する場合、その工事が既存のパイプスペースを利用するなど共用部分の形状に変更を加えることなく実施できる場合や、新たに光ファイバー・ケーブ ルを通すために、外壁、耐力壁等に工事を加え、その形状を変更するような場合でも、建物の躯体部分に相当程度の加工を要するものではなく、外観を見苦しくない状態に復元するのであれば、普通決議により実施可能と考えられる。
   
オ)計画修繕工事に関し、鉄部塗装工事、外壁補修工事、屋上等防水工事、給水管更生・更新工事、照明設備、共聴設備、消防用設備、エレベーター設備の更新工事は普通決議で実施可能と考えられる。
  カ)その他、集会室、駐車場、駐輪場の増改築工事などで、大規模なものや著しい加工を伴うものは特別多数決議により、窓枠、窓ガラス、玄関扉等の一斉交換工事、既に.不要となったダストボックスや高置水槽等の撤去工事は普通決議により、実施可能と考えられる。」


 設問の「計画修繕工事に関し、外壁補修工事、給水管更新工事及びエレベーター設備更新工事」は、この オ)に該当していますから、「普通決議」つまり、出席組合員の議決権の過半数で決する事項となります。

 これにより、反対者とその議決権は
 A=4、B=3、C=2 合計9 です。
 賛成の議決権は、11 ですから、 これは、総議決権総数 20 の過半数(半分の10を超えている必要があります)となり、
 この工事は、実施することができ、適切です。

 *標準管理規約47条は、平成28年3月の標準管理規約の改正で追加がありましたが、答えには影響がありません。


3 バリアフリー化工事に関し、階段部分を改造しエレベーターを新たに設置する工事は、A及びCが反対しても、それ以外の組合員が賛成であれば、実施することができる。

X 適切でない。特別多数決議となり、議決権が足りない。
 バリアフリー化工事に関し、階段部分を改造しエレベーターを新たに設置する工事は、選択肢2で引用しました、標準管理規約47条関係コメントD
 「ア)バリアフリー化の工事に関し、建物の基本的構造部分を取り壊す等の加工を伴わずに階段にスロープを併設し、手すりを追加する工事は普通決議により、階段室部分を改造したり、建物の外壁に新たに外付けしたりして、エレベーターを新たに設置する工事は
特別多数決議により実施可能と考えられる。」 とあり、
 後半の特別多数決議に該当し、組合員総数の3/4以上及び議決権総数の3/4以上の賛成が必要が必要です。


 すると、
 反対者2人と議決権は、
 A=4、 C=2  合計6 です。
 賛成者は、     12/14=85.7%
 賛成の議決権は、 14/20=70.0% となり、
 組合員総数では、80%以上ですが、議決権において、80%を下回っているため、この工事は実施できず、適切ではありません。 
*標準管理規約47条は、平成28年3月の標準管理規約の改正で追加がありましたが、答えには影響がありません。



4 窓枠、玄開扉の一斉交換工事は、A、B、C及びその他の組合員のうち2人の計5人が反対しても、それ以外の組合員が賛成であれば、実施することができる。

X 適切でない。普通決議でも、過半数には足りない。
 窓枠、玄開扉の一斉交換工事の実施は、選択肢2で引用しました、標準管理規約47条関係コメントD
 
「カ)その他、集会室、駐車場、駐輪場の増改築工事などで、大規模なものや著しい加工を伴うものは特別多数決議により、窓枠、窓ガラス、玄関扉等の一斉交換工事、既に不要となったダストボックスや高置水槽等の撤去工事は普通決議により、実施可能と考えられる。」 とあり、
 後半の、普通決議(出席組合員の議決権の過半数)が必要です。


 そこで、反対者の議決権数は、
 A=4、B=3、C=2 + 2人 計11 です。
 この反対は、出席組合員の議決権 20 の過半数を超えていますから、それ以外の組合員が賛成でも、実施できませんので、適切ではありません。
 *標準管理規約47条は、平成28年3月の標準管理規約の改正で追加がありましたが、答えには影響がありません。



答え:2  ふぅ、説明に時間がかかる。あまり計算が得意でない人は、ここは飛ばして、次の問題に移った方がいいでしょう。

《タグ》建替え、工事、普通決議、特別多数決議。 標準管理規約のコメント

問32

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事

〔問 32〕 理事長が保管する書類について閲覧等の請求があった場合の理事長の対応に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切でないものはどれか。ただし、電磁的方法が利用可能ではない場合とする。

1 組合員が、理事会の議事録について、書面による閲覧及び謄写の請求をしてきた場合には、閲覧のみを認め、謄写は拒むことができる。

○ 適切である。 閲覧はいいが、謄写まではしなくていい。 平成23年マンション管理士試験 「問28」
 組合員が、理事会の議事録について、書面による閲覧及び謄写の請求をしてきた場合となると、まず、理事会の議事録は、標準管理規約53条
 「(理事会の会議及び議事)
 第53条 理事会の会議は、理事の半数以上が出席しなければ開くことがで きず、その議事は出席理事の過半数で決する。
     〔※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定〕
     (ア)電磁的方法が利用可能ではない場合
   
2 議事録については、第49条(第4項を除く。)の規定を準用する。ただし、第49条第2項中「総会に出席した組合員」とあるのは「理事会に出席した理事」と読み替えるものとする。 とあり、
 2項では、理事会の議事録の作成や保管、閲覧については、標準管理規約49条(但し、4項を除く)が準用されています。
 そこで、標準管理規約49条
  (ア)電磁的方法が利用可能ではない場合
「(議事録の作成、保管等)
 第49条 総会の議事については、議長は、議事録を作成しなければならない。
   2 議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、議長及び議長の指名する2名の総会に出席した組合員がこれに署名押印しなければならない。
   
3 理事長は、議事録を保管し、組合員又は利害関係人の書面による請求が あったときは、議事録の閲覧をさせなければならない。この場合において 、 閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
   4 理事長は、所定の掲示場所に、議事録の保管場所を掲示しなければならない。 」
 とあり、
 3項により、組合員は総会の議事録だけでなく、理事会の議事録の閲覧請求もできますが、規定では、閲覧だけを認めていて、謄写(コピー)までは、認めていませんから、適切です。
 注:現在の管理組合の状況から、コピー機を事務所に備えている管理組合の数が少ないとの判断があります。しかし、将来は、謄写も、勿論有料で、認めることになるでしょう。
 *標準管理規約53条は、平成28年3月の標準管理規約の改正で追加がありましたが49条は変更がありません。答えには影響がありません。


 なお、閲覧できる帳票は;標準管理規約64条
 「(帳票類の作成、保管)
 第64条 理事長は、会計帳簿、什器備品台帳、組合員名簿及びその他の帳 票類を作成して保管し、組合員又は利害関係人の理由を付した書面による 請求があったときは、これらを閲覧させなければならない。この場合にお いて、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。」 
もあります。


 


2 組合員から媒介の依頼を受けた宅地建物取引業者が、総会及び理事会の議事録について、書面による閲覧請求をしてきた場合には、総会の議事録のみを認め、理事会の議事録は拒むことができる。

X 適切でない。利害関係人に組合員から媒介の依頼を受けた宅地建物取引業者も入るので、総会の議事録だけでなく、理事会の議事録も閲覧させること。
 選択肢1でも引用しました、標準管理規約49条3項
 「3 理事長は、議事録を保管し、組合員又は
利害関係人の書面による請求が あったときは、議事録の閲覧をさせなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。」 とあり、
 では、この3項の「利害関係人」には、誰が該当するかといいますと、コメント第49条関係
 「@ 第3項の「利害関係人」とは、敷地、専有部分に対する担保権者、差押え債権者、賃借人、
組合員からの媒介の依頼を受けた宅地建物取引業者等法律上の利害関係がある者をいい、単に事実上利益や.利益を受けたりする者、親族関係にあるだけの者等は対象とはならない。」 とあり、
 設問の、「組合員から媒介の依頼を受けた宅地建物取引業者」が、組合員と同様に、総会及び理事会の議事録について、書面による閲覧請求をしてきた場合には、理事長は総会の議事録だけでなく、理事会の議事録の閲覧もさせなければなりませんから、適切ではありません。

 *標準管理規約49条は、平成28年3月の標準管理規約の改正で変更なし。


3 組合員が、会計帳簿及び什器備品台帳について、書面による閲覧請求をしてきた場合には、書面に閲覧理由が記載されていないときは、閲覧を拒むことができる。

○ 適切である。 会計帳簿及び什器備品台帳となると、「理由」も必要。 平成14年管理業務主任者試験 「問40」
 これも、先走って、選択肢1で参考にしましたが、標準管理規約64条
 「(帳票類の作成、保管)
 第64条 理事長は、会計帳簿、什器備品台帳、組合員名簿及びその他の帳票類を作成して保管し、
組合員又は利害関係人の理由を付した書面による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。」 とあり、
 同じ閲覧であっても、総会の議事録や理事会の議事録は、単に書面での請求があればできますが、これらと異なり、会計帳簿、什器備品台帳、組合員名簿及びその他の帳票類の閲覧となるとかなり内部的な帳票ですから、
閲覧に際して、「理由」も必要としていますので、書面に閲覧理由が記載されていないときは、閲覧を拒むことができ、適切です。
 *標準管理規約64条は、平成28年3月の標準管理規約の改正で追加がありましたが、答えには影響なし。


4 組合員から専有部分を賃借している者が、総会の議事録について、書面による閲覧請求をしてきた場合には、閲覧につき、相当の日時及び場所を指定することができる。

○ 適切である。 理事長だって忙しい。
 選択肢1及び2で説明しましたように、専有部分を賃借している者は賃借人ですから利害関係人として、総会の議事録を閲覧できます。
 コメント第49条関係
 「@ 第3項の「利害関係人」とは、敷地、専有部分に対する担保権者、差押え債権者、
賃借人、組合員からの媒介の依頼を受けた宅地建物取引業者等法律上の利害関係がある者をいい、単に事実上利益や.利益を受けたりする者、親族関係にあるだけの者等は対象とはならない。」 
 しかし、理事長も書面による閲覧請求があれば、いつでも、すぐに応じられるほど暇でないときもあるでしょうから、選択肢1で引用しました、標準管理規約49条3項
 「3
理事長は、議事録を保管し、組合員又は利害関係人の書面による請求が あったときは、議事録の閲覧をさせなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。」 とあり
 閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができますから、適切です。



答え:2。 
総会の議事録と理事会の議事録、他の帳票との閲覧の違いは重要です。
      
{ある受験者の感想… 選択肢3もXかと思ったが、2にした。}

《タグ》閲覧、理事会の議事録、総会の議事録、利害関係人の範囲、 会計帳簿などの閲覧。 標準管理規約

問33

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事

〔問 33〕 甲マンション団地管理組合の理事長から、棟総会の開催等について相談を受けたマンション管理士が行った次の回答のうち、区分所有法の規定及びマンション標準管理規約(団地型)によれば、適切でないものはどれか。ただし、電磁的方法が利用可能ではない場合とする。

1 A棟の区分所有者が、バルコニーに無断で温室を設置している場合に、区分所有法第57条第2項の規定に基づき温室の撤去を求める法的措置を講じるには、A棟で棟総会を開催し、訴えの提起と訴えを提起すべき者の選任を決議しなければなりません。

○ 適切である。 共同の利益違反は、棟の問題である。 団地全体では関知しない。 「問10」 も参考に。
 区分所有法での団地となると、多くの規定が1棟の規定から準用されています。それは、区分所有法第66条
 「(建物の区分所有に関する規定の準用)
 第六十六条  第七条、第八条、第十七条から第十九条まで、第二十五条、第二十六条、第二十八条、第二十九条、第三十条第一項及び第三項から第五項まで、第三十一条第一項並びに第三十三条から第五十六条の七までの規定は、前条の場合について準用する。この場合において、これらの規定(第五十五条第一項第一号を除く。)中「区分所有者」とあるのは「第六十五条に規定する団地建物所有者」と、「管理組合法人」とあるのは「団地管理組合法人」と、第七条第一項中「共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設」とあるのは「第六十五条に規定する場合における当該土地若しくは附属施設(以下「土地等」という。)」と、「区分所有権」とあるのは「土地等に関する権利、建物又は区分所有権」と、第十七条、第十八条第一項及び第四項並びに第十九条中「共用部分」とあり、第二十六条第一項中「共用部分並びに第二十一条に規定する場合における当該建物の敷地及び附属施設」とあり、並びに第二十九条第一項中「建物並びにその敷地及び附属施設」とあるのは「土地等並びに第六十八条の規定による規約により管理すべきものと定められた同条第一項第一号に掲げる土地及び附属施設並びに同項第二号に掲げる建物の共用部分」と、第十七条第二項、第三十五条第二項及び第三項、第四十条並びに第四十四条第一項中「専有部分」とあるのは「建物又は専有部分」と、第二十九条第一項、第三十八条、第五十三条第一項及び第五十六条中「第十四条に定める」とあるのは「土地等(これらに関する権利を含む。)の持分の」と、第三十条第一項及び第四十六条第二項中「建物又はその敷地若しくは附属施設」とあるのは「土地等又は第六十八条第一項各号に掲げる物」と、第三十条第三項中「専有部分若しくは共用部分又は建物の敷地若しくは附属施設(建物の敷地又は附属施設に関する権利を含む。)」とあるのは「建物若しくは専有部分若しくは土地等(土地等に関する権利を含む。)又は第六十八条の規定による規約により管理すべきものと定められた同条第一項第一号に掲げる土地若しくは附属施設(これらに関する権利を含む。)若しくは同項第二号に掲げる建物の共用部分」と、第三十三条第三項、第三十五条第四項及び第四十四条第二項中「建物内」とあるのは「団地内」と、第三十五条第五項中「第六十一条第五項、第六十二条第一項、第六十八条第一項又は第六十九条第七項」とあるのは「第六十九条第一項又は第七十条第一項」と、第四十六条第二項中「占有者」とあるのは「建物又は専有部分を占有する者で第六十五条に規定する団地建物所有者でないもの」と、第四十七条第一項中「第三条」とあるのは「第六十五条」と、第五十五条第一項第一号中「建物(一部共用部分を共用すべき区分所有者で構成する管理組合法人にあつては、その共用部分)」とあるのは「土地等(これらに関する権利を含む。)」と、同項第二号中「建物に専有部分が」とあるのは「土地等(これらに関する権利を含む。)が第六十五条に規定する団地建物所有者の共有で」と読み替えるものとする。 」
 とあります。


 「問10」でも指摘しましたが、この第66条は、一目みただけでも、引用されている条文の多さと読み替えがあって、実に読みにくくて大変ですが、出題者からは、狙われやすい条文で、受験生は必ず理解しておいてください。
 第66条の基本は、団地の管理も、1棟の区分所有関係に従いますが、団地全体に影響しないものや1棟ごとに処理すべきもの(義務違反者に対する措置(第57条〜第60条)、復旧(第61条) (大規模・小規模滅失に関係なく)などは、準用されていないのです。

 
 そこで、設問の「A棟の区分所有者が、バルコニーに無断で温室を設置している場合に、区分所有法第57条第2項の規定に基づき温室の撤去を求める法的措置を講じる」となると、上で引用しました区分所有法第66条の団地には準用がないため、「A棟で棟総会を開催し、訴えの提起と訴えを提起すべき者の選任を決議」する必要があり、適切です。
 準用がない理由は、争議の内容はその棟の人が良く知っているので、その棟の判断に任せようと法律の草案者が考えたためです。

 なお、マンション標準管理規約(団地型)72条
 「(議決事項)
 第72条 次の各号に掲げる事項については、棟総会の決議を経なければならない。
     一 区分所有法で団地関係に準用されていない規定に定める事項に係る規約の制定、変更又は廃止
     
二 区分所有法第57条第2項、第58条第1項、第59条第1項又は第60条第1項の訴えの提起及びこれらの訴えを提起すべき者の選任
     三 建物の一部が滅失した場合の滅失した棟の共用部分の復旧
     四 建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査の実施及びその経費に充当する場合の各棟修繕積立金の取崩し
     五 区分所有法第62条第1項の場合の建替え
     六 区分所有法第69条第7項の建物の建替えを団地内の他の建物の建替えと一括して建替え承認決議に付すこと」
 とあり、
 2号に、「二 区分所有法第57条第2項、第58条第1項、第59条第1項又は第60条第1項の訴えの提起及びこれらの訴えを提起すべき者の選任」は、棟総会の決議を経ると規定されていますので、適切です。

 *ここは、平成28年3月の標準管理規約の改正で変更なし。


2 棟総会を開催した場合は、棟総会の議事録は理事長が保管し、その棟の区分所有者や利害関係人からの閲覧請求に対応する必要があります。

○ 適切である。 棟には理事長がいない。
 団地となると、団地全体の理事長(管理者)は存在しますが、各棟には理事長はいません。しかし、選択肢1の共同の利益違反などで、棟総会を開催した場合の議事録は大切な記録ですから、保管や閲覧をどうするかを決めておかなければなりません。そこで、選択肢1で引用しました区分所有法第66条で「第三十三条から第五十六条の七までの規定は、前条の場合について準用する」と単棟の規定第42条が準用されています。
 準用されています、区分所有法第42条
 「(議事録)
 第四十二条  
集会の議事については、議長は、書面又は電磁的記録により、議事録を作成しなければならない。
   2  議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、又は記録しなければならない。
   3  前項の場合において、議事録が書面で作成されているときは、議長及び集会に出席した区分所有者(読み替え → 団地建物所有者)の二人がこれに署名押印しなければならない。
   4  第二項の場合において、議事録が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録された情報については、議長及び集会に出席した区分所有者(読み替え → 団地建物所有者)の二人が行う法務省令で定める署名押印に代わる措置を執らなければならない。
   
5  第三十三条の規定は、議事録について準用する。 」 とあります。
 準用されています区分所有法第33条は、
 「(規約の保管及び閲覧)
 第三十三条  
規約は、管理者が保管しなければならない。ただし、管理者がないときは、建物を使用している区分所有者又はその代理人で規約又は集会の決議で定めるものが保管しなければならない。
   
2  前項の規定により規約を保管する者は、利害関係人の請求があつたときは、正当な理由がある場合を除いて、規約の閲覧(規約が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したものの当該規約の保管場所における閲覧)を拒んではならない
   3  規約の保管場所は、建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。 」 
とあり、
  これが、マンション標準管理規約(団地型)74条では、まとめて、分かりやすく、
 「(議事録の作成、保管等)
 第74条
棟総会の議事については、議長は、議事録を作成しなければならない
   2 議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、議長及び議長の指名する2名の棟総会に出席した区分所有者がこれに署名押印しなければならない。
   
3 議長は、前項の手続きをした後遅滞なく、議事録を理事長に引き渡さなければならない。
   
4 理事長は、議事録を保管し、その棟の区分所有者又は利害関係人の書面による請求があったときは、議事録の閲覧をさせなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
   5 理事長は、所定の掲示場所に、議事録の保管場所を掲示しなければならない。」 
となっています。

 棟総会の議長は、その棟の区分所有者から選ばれ(マンション標準管理規約(団地型)68条3項)、棟総会の議事録は、マンション標準管理規約(団地型)74条2項により、議長及び議長の指名する2名の棟総会に出席した区分所有者がこれに署名押印し、議長から理事長に渡された議事録の保管や、その棟の区分所有者又は利害関係人の書面による請求があったときは、理事長が議事録の閲覧をさせる責任がありますから、適切です。

  *ここは、平成28年3月の標準管理規約の改正で変更なし。


3 団地管理規約において、組合員の団地総会の招集請求に際し必要とされる組合員の定数を5分の1から10分の1に減ずる規約の変更をする場合には、団地管理組合の総会での決議の前に、各棟の棟総会で、それぞれ規約の変更の決議を得る必要があります。

X 適切でない。 各棟の棟総会は不要。 団地管理規約のこのような変更は、団地総会の決議でできる。 
 まず、組合員の団地総会の招集請求に際し必要とされる組合員の定数を5分の1から10分の1に減ずる規約の変更をする場合となると、集会を管理者以外で招集できる事項を定めているのは、区分所有法第34条です。
 この規定も、区分所有法第66条の
第三十三条から第五十六条の七までの規定は、前条の場合について準用する」 に該当しています。
 そこで、区分所有法第34条
 「(集会の招集)
 第三十四条  集会は、管理者が招集する。
   2  管理者は、少なくとも毎年一回集会を招集しなければならない。
   
3  区分所有者(読み替え → 団地建物所有者)の五分の一以上で議決権の五分の一以上を有するものは、管理者に対し、会議の目的たる事項を示して、集会の招集を請求することができる。ただし、この定数は、規約で減ずることができる
  4  前項の規定による請求がされた場合において、二週間以内にその請求の日から四週間以内の日を会日とする集会の招集の通知が発せられなかつたときは、その請求をした区分所有者(読み替え → 団地建物所有者)は、集会を招集することができる。
   
5  管理者がないときは、区分所有者(読み替え → 団地建物所有者)の五分の一以上で議決権の五分の一以上を有するものは、集会を招集することができる。ただし、この定数は、規約で減ずることができる。 」 とあり、
  設問の「組合員の団地総会の招集請求に際し必要とされる組合員の定数を5分の1(20%)から10分の1(10%)に減ずる規約の変更をする場合」は、3項に該当していますから、規約で変更ができます。
 そこで、規約の変更ですが、これは、
区分所有法第31条1項にあり、これも選択肢1で引用しました区分所有法第66条で「第三十一条第一項並びに第三十三条から第五十六条の七までの規定は、前条の場合について準用する」 に該当しています。
 区分所有法第31条1項
 「(規約の設定、変更及び廃止)
 第三十一条  
規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者(読み替え → 団地建物所有者)及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議によつてする。この場合において、規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者(読み替え → 団地建物所有者)の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。」 とあり、
 団地管理規約での変更は、団地管理組合総会の決議でできますので、 各棟の棟総会で、それぞれ規約の変更の決議を得る必要はなく、適切ではありません。


 なお、マンション標準管理規約(団地型)49条
 「(団地総会の会議及び議事)
 第49条 団地総会の会議は、前条第1項に定める議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならない。
   2 団地総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。
   
3 次の各号に掲げる事項に関する団地総会の議事は、前項にかかわらず、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する
     
一 規約の制定、変更又は廃止(第72条第一号の場合を除く。)
     二 土地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)
     三 その他団地総会において本項の方法により決議することとした事項
   4 建替え承認決議は、第2項にかかわらず、議決権(第48条第1項にかかわらず、建替えを行う団地内の特定の建物(以下「当該特定建物」という。)の所在する土地(これに関する権利を含む。)の持分の割合による。第6項において同じ。)総数の4分の3以上で行う。
   5 当該特定建物の建替え決議又はその区分所有者の全員の合意がある場合における当該特定建物の団地建物所有者は、建替え承認決議においては、いずれもこれに賛成する旨の議決権を行使したものとみなす。
   6 建替え承認決議に係る建替えが当該特定建物以外の建物(以下「当該他の建物」という。)の建替えに特別の影響を及ぼすべきときは、建替え承認決議を会議の目的とする総会において、当該他の建物の区分所有者全員の議決権の4分の3以上の議決権を有する区分所有者が、建替え承認決議に賛成しているときに限り、当該特定建物の建替えをすることができる。
   7 一括建替え決議は、第2項にかかわらず、組合員総数の5分の4以上及び議決権(第48条第1項にかかわらず、当該団地内建物の敷地の持分の割合による。)総数の5分の4以上で行う。ただし、当該団地総会において、当該各団地内建物ごとに、それぞれその区分所有者の3分の2以上及び議決権(第48条第1項に基づき、別表第5に掲げる議決権割合による。)総数の3分の2以上の賛成がなければならない。
   〔※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定〕 
    (ア)電磁的方法が利用可能ではない場合
   8 前7項の場合において、書面又は代理人によって議決権を行使する者は、出席組合員とみなす。
   9 第3項第一号において、規約の制定、変更又は廃止が一部の組合員の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。この場合において、その組合員は正当な理由がなければこれを拒否してはならない。
   10 第3項第二号において、土地及び共用部分等の変更が、専有部分又は専用使用部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分を所有する組合員又はその専用使用部分の専用使用を認められている組合員の承諾を得なければならない。この場合において、その組合員は正当な理由がなければこれを拒否してはならない。
   11 団地総会においては、第45条第1項によりあらかじめ通知した事項についてのみ、決議することができる。」
 とあります

 また、マンション標準管理規約(団地型)50条
 「(議決事項)
 第50条
次の各号に掲げる事項については、団地総会の決議を経なければならない。
     一 収支決算及び事業報告
     二 収支予算及び事業計画
     三 管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法
     
四 規約(第72条第一号の場合を除く。)及び使用細則等の制定、変更又は廃止
     五 長期修繕計画の作成又は変更
     六 第28条第1項又は第29条第1項に定める特別の管理の実施(第72条第三号及び第四号の場合を除く。)並びにそれに充てるための資金の借入れ及び団地修繕積立金又は各棟修繕積立金の取崩し
     七 第28条第2項又は第29条第2項に定める建物の建替えに係る計画又は設計等の経費のための団地修繕積立金又は各棟修繕積立金の取崩し
     八 団地修繕積立金及び各棟修繕積立金の保管及び運用方法
     九 第21条第2項に定める管理の実施
     十 区分所有法第69条第1項の場合の建替えの承認
     十一 区分所有法第70条第1項の場合の一括建替え
     十二 役員の選任及び解任並びに役員活動費の額及び支払方法
     十三 組合管理部分に関する管理委託契約の締結」 
とあり、
 4号に該当しています。
 
*標準管理規約(団地型)49条と50条は、平成28年3月の標準管理規約の改正で一部追加があったが、答えには影響なし。


4 棟総会は、理事長が招集することはできないので、その棟の区分所有者が当該棟の区分所有者総数の5分の1以上及び議決権総数の5分の1以上に当たる区分所有者の同意を得て招集します。

○ 適切である。棟には、管理者(理事長)がいないので、棟総会を開くには、その棟の区分所有者が当該棟の区分所有者総数の5分の1以上及び議決権総数の5分の1以上に当たる区分所有者の同意を得て招集することになる。
 団地関係が適用になると、区分所有法での管理者(理事長)は、団地全体の区分所有者の団体(団地管理組合)には、いますが、各棟にはいません。しかし、選択肢2のように、共同の利益に反する行為の停止などで区分所有法第57条などを適用しようとすると、棟の総会を開く必要もあります。
 そこで、選択肢2でも引用しました
区分所有法第34条5項
 「
5  管理者がないときは、区分所有者(読み替え → 団地建物所有者)の五分の一以上で議決権の五分の一以上を有するものは、集会を招集することができる。ただし、この定数は、規約で減ずることができる。」 の規定を区分所有法第66条「第三十三条から第五十六条の七までの規定は、前条の場合について準用する」により、
 準用できますので、適切です。
 
 なお、マンション標準管理規約(団地型)68条
 「(棟総会)
 第68条
棟総会は、区分所有法第3条の集会とし、○○団地内の棟ごとに、その棟の区分所有者全員で組織する。
   2
棟総会は、その棟の区分所有者が当該棟の区分所有者総数の5分の1以上及び第71条第1項に定める議決権総数の5分の1以上に当たる区分所有者の同意を得て、招集する
    〔※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定〕
    (ア)電磁的方法が利用可能ではない場合
   3 棟総会の議長は、棟総会に出席した区分所有者(書面又は代理人によって議決権を行使する者を含む。)の議決権の過半数をもって、当該棟の区分所有者の中から選任する。」
 です。

  *ここは、平成28年3月の標準管理規約の改正でも変更なし。


答え:3。  度々、解説の中で述べていますが、団地関係において、単棟の規定が準用されているか、どうかは、面倒でも、整理しておくことです。
       {ある受験者の感想…選択肢4が○はすぐ分かるが、1もXのようで、迷ったが、3にした。

《タグ》団地、 共同の利益違反、 団地総会、 棟総会、 理事長の立場。  区分所有法 + マンション標準管理規約(団地型)

問34

〔問 34〕 下表は甲マンション管理組合の平成25年度(平成25年4月1日〜平成26年3月31日)決算の管理費会計の比較貸借対照表である。同決算における収支報告書(管理費会計)に計上されている当期収支差額が210千円であった場合に、空白となっているA〜Cについて、適切な組合せは次のうちどれか。ただし、会計処理は発生主義の原則によるものとし、資金の範囲は、現金預金、未収金、前払金、未払金及び前受金とする。



*私の過去問題の解説を読んでいる人には、度々の重なる説明で恐縮ですが、マンションの管理組合では、明確な会計基準がありません。
 でも、営利を目的とした企業活動ではないことは明らかです。そこで、非営利団体と似ている公益法人の会計方法を基にしています。
 その最大の特徴が、発生主義の採用です。
 
 
★マンションの会計処理で発生主義ということの重要性は、

  全ての費用・収益は、その支出・収入に基づいて計上し、その発生した期間
     *収入については、請求権が生じた月、
     *支出については、支出が労役などの提供又は工事などである場合は、その労役などの提供又は工事等が完了した月、物品の購入なら、その物品が納入された月
    に正しく割り当てるように処理すること。

 これにより、管理費や修繕積立金は該当月に徴収することになっているなら、未収入金(滞納)があっても、全額計上されている。

 この辺りが、企業の会計処理を知っている人には、なかなか理解できない個所です。


 これを前提に、まず、貸借対照表の構成として、
  借方には、資産科目として、現金・預金、未収(入)金、前払金
  貸方には、負債科目として、未払金、前受金、
 があり、設問の
正味財産とは、厳しくいうと、面倒ですが、その期の (資産 − 負債=正味財産) としているようです。
 この貸借対照表の
当期の正味財産額と収支報告書(収支決算書とも)の次期繰越収支差額が一致します
 最終的に、借方合計と貸方合計は一致していなければなりません。

  それら貸借対照表の科目を前年と比較することによって、前年との差異が分かり、原因追求ができますから、マンションの管理組合では比較貸借対照表を作成した方がいいでしょう。

*設問では、同決算における収支報告書(管理費会計)に計上されている当期収支差額が210千円であった。
  収支報告書の当期収支差額(210千円) は、貸借対照表の当期の正味財産額(500千円) と 前期の正味財産額(B) との差額の関係にあります。
  210千円 = 500千円 − B  の関係です。
  そこで、  B=500千円 − 210千円 =290千円 となります。

  

 B=290千円 を表に入れると、 合計の C=340千円 となり、 Aは、C(340千円) − 現金預金(200千円) − 前払金(30千円) =110千円 となりますから、 答えは、3 です。



答え:3 A=110、 B=290、 C=340    別のやり方として、A、B各々を入れて、合計のCになればいい。 簡単ではあるが。

《タグ》会計、比較貸借対照表、 正味財産、 収支報告書との関係。 

問35

〔問 35〕 甲マンション管理組合は、平成26年4月1日にA保険会社との間で下記の条件による保険契約を締結し、同日に5年分の保険料1、200、000円を一括して普通預金から支払った。平成26年4月に甲が行う仕訳として適切なものは次のうちどれか。ただし、会計処理は発生主義の原則によるものとし、会計年度は平成26年4月1日から平成27年3月31日までとする。

<保険契約条件>
 ・積立部分と掛捨部分で構成される積立型保険
 ・保険期間は、平成26年4月1日から5年間
 ・保険料は、総額1,200,000円の初年度一括払い
 ・5年後の満期返戻金は、800,000円
 ・掛捨保険料総額は、400,000円(年80,000円)


発生主義ということは、前の「問34」を参照。 同じような、仕訳は、平成26年管理業務主任者試験 「15」 でも出ている。

 1.同日に5年分の保険料1,200,000円を一括して普通預金から支払った → 資産の減少 貸方 現金預金 1,200,000円
 2.5年後の満期返戻金は、800,000円 → これが、積立部分 で 資産として 借方 積立保険料 800,000円
 3.掛捨保険料総額は、400,000円(年80,000円) は、借方 で
   ここが、発生主義の要。
   初年度分の 80,000だけが 今年の支払い保険料
   残り 400,000円 − 80,000円 =320,000円 は次年度以降の処理となり、初年度は 前払金 として処理をする。

 そこで、答えは 4 です。


答え:4  本当に、発生主義とは、慣れない会計処理です。

《タグ》積立部分と掛捨部分で構成される積立型保険の仕訳、 5年分の一括払いだと、次年度分は、前払金 として処理をする。

問36

〔問 36〕 マンションの建物の外壁の調査・診断に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 外壁タイルの浮きの簡易診断を行う場合には、テストハンマーで手の届く範囲を打診して調査を行う。

○ 適切である。 平成24年マンション管理士試験 「問37」。
 タイルの浮きは、温度の変化、乾燥・湿潤、建物の動き、地震などで、下地のモルタルやコンクリートとの接着力が不足し、下地と表面のタイルが分離して発生します。タイルが剥落すると危険なため、調査は重要です。
 調査の方法としては、
 外観目視調査...肉眼や望遠鏡など、眼で調査する。判定には経験が必要。
 打診法...テストハンマーで表面を叩いて、音の差で浮きを判断する。これも、判定には経験が必要。
 赤外線装置法...赤外線カメラにより、タイルやモルタルの浮いている部分と、健全な部分とを熱の伝導の差(温度差)で測定する。温度差の出やすい天候時に行うといい。
 反発法...コンクリートの強度を調べたのと同じように、シュミットハンマー等で、タイル面に一定の衝撃を与えて、その衝撃で生じた跳ね返りの大きさや音圧の違いで、浮きを調査する。
 そこで、外壁タイルの浮きの簡易診断を行う場合には、テストハンマーで手の届く範囲を打診して調査を行うのは、適切です。

 
 


2 外壁塗装の白亜化(チョーキング)とは、塗装の表面が粉状になる現象であり、塗装面を手で触るとその粉が手に付着する。

○ 適切である。
 外壁塗装の白亜化(チョーキング)とは、塗装の表面が紫外線・熱・水分・風等により粉状になる現象で、表層樹脂が劣化し、塗装面を手で触ると塗料の色成分の顔料がチョーク(白墨)のような粉状となって手に付着しますから、適切です。
 あまり手に付く粉が多いようだと、塗装の性能が低下してきています。進行すると、剥離、破断に至ります。
 なお、コンクリートのエフロレッセンス(白華現象)とは、異なりますので、注意してください。

  


3 外壁タイル張りや外壁モルタル塗りで仕上げられた外壁の調査方法として、打診や赤外線による非破壊試験と付着強度を試験する破壊試験がある。

○ 適切である。 平成23年管理業務主任者試験 「問28」
 選択肢1でも述べたように、 タイルの浮きは、温度の変化、乾燥・湿潤、建物の動き、地震などで、下地のモルタルやコンクリートとの接着力が不足し、下地と表面のタイルが分離して発生します。タイルが剥落すると危険なため、調査は重要です。
 調査の方法としては、
 外観目視調査...肉眼や望遠鏡など、眼で調査する。判定には経験が必要。
 打診法...テストハンマーで表面を叩いて、音の差で浮きを判断する。これも、判定には経験が必要。
 赤外線装置法...赤外線カメラにより、タイルやモルタルの浮いている部分と、健全な部分とを熱の伝導の差(温度差)で測定する。温度差の出やすい天候時に行うといい。
 反発法...コンクリートの強度を調べたのと同じように、シュミットハンマー等で、タイル面に一定の衝撃を与えて、その衝撃で生じた跳ね返りの大きさや音圧の違いで、浮きを調査する。
 また、破壊試験としては、外壁タイルや外壁モルタル塗りの付着強度を引っ張って試験する方法があります。
 例えば、建研式と呼ばれる方式は、旧建設省建築研究所で検討された「接着力試験器」で、モルタル塗り壁面のモルタルに接着剤でアタッチメントを接着させ、測定機器を取り付けて引き抜くことにより測定する方法です。塗膜の強度を計ります。

 
 


4 コンクリートの中性化は、外壁のコンクリートの表面にフェノールフタレイン溶液を噴霧して変色の程度によって評価する。 

X 適切でない。 コンクリートの中性化の深さの測定は、外壁の一部を抜き出して行う。コンクリートの表面ではない。 平成24年マンション管理士試験 「問36」
 外壁のコンクリートの表面にフェノールフタレイン溶液を噴霧しても、コンクリートの中性化の測定はできません。コンクリートの中性化を測定する方法は、コンクリートを削り取ったり(はつり)または、一部円筒状にコア抜きをして、取り出したサンプルにフェノールフタレイン溶液を噴霧して変色の程度によって評価しますから、適切ではありません。
 なお、Ph8.2以下だと無色になります。

  


答え:4  過去問題をやっていれば、易しい。サービス問題でした。

《タグ》劣化診断、 外壁タイル、コンクリート、チョーキング、中性化深さ。 建物・設備・劣化診断

問37

〔問 37〕 マンションの建物の外壁や防水層の劣化に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

1 コンクリート中の塩分量が多くても中性化が進んでいなければ、鉄筋の不動態皮膜は破壊されず鉄筋が腐食することは少ないので、塩分量の調査を行う必要はない。

X 適切でない。コンクリート中の塩分量が多いと、鉄筋が腐食する。 平成24年マンション管理士試験 「問37」平成22年 マンション管理士試験 「問38」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問38」 、平成18年 マンション管理士試験 「問37」 など。
 コンクリート中の塩分が多いと、塩化物イオン量の濃度が増して、鉄筋の不動態皮膜が破壊され鉄筋が腐食しやすくなりますので、塩分量の調査を行いますから、適切ではありません。
 コンクリート中の塩分量の測定は、コア抜きしたコンクリートを試験場に送って行います。



2 コンクリートのひび割れの原因には、乾燥収縮、温度変化、水分の凍結融解等がある。 

○ 適切である。 平成20年マンション管理士試験 「問37」、 平成18年マンション管理士試験 「問38」。
 コンクリートのひび割れ原因としては、各種ありますが、乾燥収縮、温度変化、水分の凍結融解の他に、地盤の不同沈下、地震、荷重などもあります。
 コンクリートのひび割れは、0.3mm以下でも内部に雨水などが入ると漏水や鉄筋の腐食に繋がりますので気をつけてください。



3 アスファルト防水層の劣化が進むと、採取したサンプルの引張強度や伸びは小さくなるとともに針入度は大きくなる。

X 適切でない。 針入度は小さくなる。  平成24年マンション管理士試験 「問37」 。
 アスファルト防水層とは、工事現場で加熱溶かしたアスファルトを使用して、防水層を作ります。
 短時間で防水層が作れる、水密信頼性が高いなどの長所がありますが、温度に敏感で、夏は解けてたれる、冬は硬くなり破断しやすい短所もあります。
 アスファルトは通常、経年により硬化し柔軟性が低下する傾向があり、その結果軟化点は上昇(伸びが小さくなる)し、アスファルトの硬さを示す針入度は低下(小さくなる)するといった物性変化が見られますから、適切ではありません。

 針入度試験とは、アスファルトの硬さを調べる試験で、舗装用石油アスファルト(ストレートアスファルト)の等級分けに使用されています。所定の容器に入ったアスファルトが25℃のときの、標準針の貫入量を1/10mmの単位で表し、針入度が大きいほど柔らかいアスファルトとなります。




4 サッシや手すり等に使用したアルミニウム合金が腐食すると、赤色又は茶褐色の薄い斑点が面的に広がる。

X 適切でない。 アルミも腐食する。白い斑点が現れる。
 アルミニウム合金も腐食します。すると、白い斑点が表面に現れますから、赤色又は茶褐色の薄い斑点が面的に広がるは、適切ではありません。
 表面をクリーニングすると、長持ちします。



答え:2。  この出題も、私の過去問題をやっていれば、それほど悩まずに、正解できるでしょう。 
       {ある受験者の感想…選択肢3、4は全く知らなかったが、2にした。}


《タグ》外壁劣化、アスファルト防水層、アルミの腐食。 建物の外壁、防水層

問38

〔問 38〕 「長期修繕計画作成ガイドライン及び同コメント」(平成20年6月 国土交通省公表)に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 修繕工事は、建物及び設備の性能・機能を新築時と同等水準に維持、回復させる工事を指し、改修工事は、区分所有者の要望など必要に応じて、建物及び設備の性能を向上させる工事を指す。

○ 適切である。 最近よく出題される。 平成25年マンション管理士試験 「問37」、 平成23年マンション管理士試験 「問38」、 平成21年 マンション管理士試験 「問36」 。
 「長期修繕計画作成ガイドライン及び同コメント」 の
 第2章 長期修繕計画の基本的な考え方
 第1節 長期修繕計画の作成及び修繕積立金の額の設定の目的
   1 長期修繕計画の作成及び修繕積立金の額の設定の目的
   2 基本的な考え方
   二 長期修繕計画の作成の前提条件
   長期修繕計画の作成に当たっては、 次に掲げる事項を前提条件とします。
   
推定修繕工事は、 建物及び設備の性能・機能を新築時と同等水準に維持、 回復させる修繕工事を基本とする。
   区分所有者の要望など必要に応じて、建物及び設備の性能を向上させる改修工を設定する
  補修工事や修繕工事は、部材を補修・交換して、経年劣化した性能や機能を初期の性能に戻すこと。
  
改修工事は原状回復にとどまらず、技術などの進歩により、機能を向上させるような改造・変更やグレードアップなどを伴う工事のこと。例えば、耐震安全性の向上を目的とする耐震改修、設備の機能を向上させるために行う電気容量の向上やIT化対応、共用廊下・階段のバリアフリー化、エレベーターの新設などが該当します。」 
とあり、
 修繕工事は、 建物及び設備の性能・機能を新築時と同等水準に維持、 回復させる工事であり、改修工事は原状回復にとどまらず、技術などの進歩により、機能を向上させるような改造・変更やグレードアップなどを伴う工事で、区分所有者の要望を取り入れてやりますから、適切です。



2 長期修繕計画や修繕積立金の額の見直しを5年程度ごとに実施することを、管理規約において定めることが望ましい。

○ 適切である。 
  長期修繕計画作成ガイドライン及び同コメント
   第2章 長期修繕計画の基本的な考え方
   第1節 長期修繕計画の作成及び修繕積立金の額の設定の目的
     1 長期修繕計画の作成及び修繕積立金の額の設定の目的
     2 基本的な考え方
     3 長期修繕計画の作成及び修繕積立金の額の設定の条件 
       F敷地及び共用部分等の管理
       また、
長期修繕計画及び修繕積立金の額を一定期間(5年程度)ごとに見直しを行う規定を定めることも望まれます。」 
とあり、
  適切です。



3 長期修繕計画の見直しに当たっては、修繕積立金の算定根拠をできるだけ現状に応じたものとするために、修繕工事の項目や修繕周期だけでなく、修繕工事に使用する材料単価や労務単価についても見直しを行うとよい。

○ 適切である。
 長期修繕計画作成ガイドライン及び同コメント
  第3章 長期修繕計画の作成の方法
   第1節 長期修繕計画の作成の方法
    
10 長期修繕計画の見直し
      長期修繕計画は、次に掲げる不確定な事項を含んでいますので、5年程度ごとに調査・診断を行い、その結果に基づいて見直すことが必要です。また、あわせて修繕積立金の額も見直します。
      @建物及び設備の劣化の状況
      A社会的環境及び生活様式の変化
      
B新たな材料、工法等の開発及びそれによる修繕周期、単価等の変動
      C修繕積立金の運用益、借入金の金利、物価、消費税等の変動」 
とあり、
   修繕工事の項目や修繕周期だけでなく、修繕工事に使用する材料単価や労務単価についても見直しを行うのは、適切です。



4 長期修繕計画の見直しやそのために行う事前の調査・診断に要する経費は、見直しを計画的に実施するために管理費から充当することが望ましい。

X 適切でない。 修繕積立金からだす。
 長期修繕計画作成ガイドライン及び同コメント
 第1章 総則
   1 ガイドラインの目的
  このガイドラインは、マンションにおける長期修繕計画の作成又は見直し(以下「作成という。)及び
修繕積立金の額の設定に関して、基本的な考え方等と長期修繕計画標準様式(以下「標準様式」という。)を使用しての作成方法を示すことにより、適切な内容の長期修繕計画の作成及びこれに基づいた修繕積立金の額の設定を促し、マンションの計画修繕工事の適時適切かつ円滑な実施を図ることを目的としています。」 とあり、
 基本的に修繕積立金の額の設定のためで、修繕工事を前提としたもので、この費用は、管理費勘定からは充当せず、修繕積立金勘定から充当するのが、望ましく、適切ではありません。


参考:標準管理規約32条(管理組合の業務)関係コメントB及びC
 B 長期修繕計画の作成又は変更及び修繕工事の実施の前提として、劣化診断(建物診断)を管理組合として併せて行う必要がある。
 C 長期修繕計画の作成又は変更に要する経費及び長期修繕計画の作成等のための劣化診断(建物診断)に要する経費の充当については、管理組合の財産状態等に応じて管理費又は修繕積立金のどちらからでもできる。
 
ただし、修繕工事の前提としての劣化診断(建物診断)に要する経費の充当については、修繕工事の一環としての経費であることから、原則として修繕積立金から取り崩すこととなる


答え:4  選択肢4は少し迷う点です。

《タグ》修繕工事とは、 改修工事とは、 見直し、修繕積立金。 期修繕計画作成ガイドライン及び同コメント

問39

〔問 39〕 「マンションの修繕積立金ガイドライン」(平成23年4月 国土交通省公表。以下「ガイドライン」という。)に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 一般的に建物の規模が大きくまとまった工事量になるほど、施工性が向上し、修繕工事の単価が安くなる傾向にあり、また建物の形状等による影響もあるが、専有面積当たりの修繕積立金の額の平均値は、20階以上のマンションが、15階未満で建築延床面積5、000u未満のマンションより低額となっている。


○ 適切である。 平成24年マンション管理士試験 「問39」 でも出ている
 マンションの修繕積立金ガイドライン
   5 修繕積立金の主な変動要因について
 
・一般的に建物の規模が大きくまとまった工事量になるほど、施工性が向上し、修繕工事の単価が安くなる傾向があります」 とあり、
  
 例の、(2)修繕積立金の額の目安 の表によると、15階未満のマンションの建築延床面積についての平均値は、5,000u未満は、218円/u・月 ですが、10,000u以上だと、178円/u・月 と建築延床面積が大きいほど、修繕積立金の額の平均値は小さくなっていますので、適切です。



2 ガイドラインは、主として新築マンションの購入予定者向けに、修繕積立金に関する基本的な知識や修繕積立金の額の目安を示したものだが、長期修繕計画や修繕積立金の見直しを検討している管理組合も参考にすることができる。

○ 適切である。
 マンションの修繕積立金ガイドライン
 6 ガイドラインの活用について
 
本ガイドラインは、主として新築マンションの購入予定者向けに、修繕積立金に関する基本的な知識や修繕積立金の額の目安を示したものですが、購入予定者がこうした点についての理解を深めるためには、分譲事業者から購入予定者に対し、分譲予定マンションに係る修繕積立金の額の水準やその設定の考え方などについて、本ガイドラインを活用して説明がなされることが重要となります。こうした取組みを通じて、修繕積立金に関する購入予定者の理解がより進み、適正な修繕積立金の設定・積立ての促進につながることを期待しています。
また、
長期修繕計画や修繕積立金の見直しを検討している管理組合についても、本ガイドラインを参考にしていただくことにより、見直しの必要性や見直し後の修繕積立金の概ねの水準について、区分所有者間の合意形成がより促進されることを期待しています。
」 とあり、
 適切です。



3 修繕積立金の積立方法のうち段階増額積立方式は、将来的な負担増にも臨機応変に対応することができるので、安定的な修繕積立金の積立てを確保する観点から望ましい方式といえる。

X 適切でない。 段階増額積立方式ではなく、均等積立方式が望ましい方式。
 マンションの修繕積立金ガイドライン
 4 修繕積立金の積立方法について
 (1)修繕積立金の積立方法
    修繕積立金の積立方法には、長期修繕計画で計画された修繕工事費の累計額を、計画期間中均等に積み立てる方式(
均等積立方式)の他、当初の積立額を抑え段階的に積立額を値上げする方式(段階増額積立方式)があります。また、購入時にまとまった額の基金(「修繕積立基金」と呼ばれます。)を徴収することや、修繕時に一時金を徴収する又は金融機関から借り入れたりすることを前提とした積立方式を採用している場合もあります。
  段階増額積立方式や修繕時に一時金を徴収する方式など、将来の負担増を前提とする積立方式は、増額しようとする際に区分所有者間の合意形成ができず修繕積立金が不足する事例も生じていることに留意が必要です。
  
将来にわたって安定的な修繕積立金の積立てを確保する観点からは、均等積立方式が望ましい方式といえます
  新築マンションの場合は、段階増額積立方式を採用している場合がほとんどで、あわせて、分譲時に修繕積立基金を徴収している場合も多くなっています。このような方式は、購入者の当初の月額負担を軽減できるため、広く採用されていると言われています。」 
とあり、
 将来にわたって安定的な修繕積立金の積立てを確保する観点からは、均等積立方式が望ましい方式とあり、段階増額積立方式は、適切ではありません。



4 近年の新築マンションでは、手すり等にアルミ製やステンレス製のものが多く使用されるようになってきており、金属部分の塗装に要する修繕費用は少なくてすむ傾向にある。

○ 適切である。
 マンションの修繕積立金ガイドライン
 5 修繕積立金の主な変動要因について
  ○仕上げ材や設備の仕様によって、修繕工事費や修繕周期が異なります。
 ・ 
手摺り等には、鉄、アルミ、ステンレスなど様々なものが用いられます。一般的に、一定期間ごとに塗装する必要のある鉄製のものの他、錆びにくいアルミ製やステンレス製のものもあります。近年の新築マンションでは、錆びにくい材料が多く使用されるようになってきており、金属部分の塗装に要する修繕工事費は少なくて済むようになる傾向があります」 とあり、
 適切です。



答え:3  本当に、「マンションの修繕積立金ガイドライン」は、常識的な内容で、こんなものの作成にお金をかける国土交通省の役人の職務能力を疑う。

《タグ》マンションの修繕積立金ガイドライン、段階増額積立方式、均等積立方式。 マンションの修繕積立金ガイドライン

問40

〔問 40〕 鉄筋コンクリート造マンションの構造に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは、建築基準法施行令によって定められており、直接土に接しない耐力壁、柱、梁は3cm以上である。

○ 適切である。平成16年管理業務主任者試験 「問19」 選択肢4。
 鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは、コンクリート構造物の耐久性と耐火性の確保に必要です。また、コンクリートの中性化や飛来塩分による鉄筋腐食などの劣化に関係します。
 そこで、建築基準法施行令第79条
 「(鉄筋のかぶり厚さ)
 第七十九条  
鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは、耐力壁以外の壁又は床にあつては二センチメートル以上、耐力壁、柱又ははりにあつては三センチメートル以上、直接土に接する壁、柱、床若しくははり又は布基礎の立上り部分にあつては四センチメートル以上、基礎(布基礎の立上り部分を除く。)にあつては捨コンクリートの部分を除いて六センチメートル以上としなければならない。
   2  前項の規定は、水、空気、酸又は塩による鉄筋の腐食を防止し、かつ、鉄筋とコンクリートとを有効に付着させることにより、同項に規定するかぶり厚さとした場合と同等以上の耐久性及び強度を有するものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いる部材及び国土交通大臣の認定を受けた部材については、適用しない。」
 とあり、
 1項によれば、 鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは、直接土に接しない耐力壁、柱、梁は3cm以上ですから、適切です。



2 柱には地震力を受けた場合にせん断力によるひび割れの拡がりを防ぐための帯筋を配置するが、たれ壁と腰壁が上下についた短柱の場合はせん断破壊が生じやすくなる。

○ 適切である。 平成17年マンション管理士試験 「問40」
 柱には、屋根や梁からの荷重によって、圧縮力、曲げモーメント、せん断力(挟みきる力)が働きます。そこで、地震対応のひび割れを防ぐために、帯筋をまきます。
 また、たれ壁(垂れ壁)とは、天井から垂れ下がった形状の壁で、床までの長さはなく、途中までの「垂れた」状態のものです。また、腰壁とは、壁の仕上げが上下で違う場合の下部の壁のことです。
 これら、垂れ壁や腰壁が取り付いた柱は、柱の内法長さが短いため柱の主筋が曲げ降伏しないうちに柱がせん断破壊しやすく、柱の耐震性能に悪影響を及ぼす恐れがあるので、適切です。

 そこで、柱と腰壁との間に切れ目(スリット)を入れて、地震の被害を小さくしています。

   


3 昭和56年5月以前の耐震基準(旧耐震基準)に基づいて建てられた中層の壁式構造の建物は、一般に耐震性は低く、過去の大地震で大きな被害を受けたものが多い。

X 適切でない。中層の壁式構造の建物は、一般に耐震性は高かった。 平成16年管理業務主任者試験 「問26」
 壁式構造とは、鉄筋コンクリート造りの壁と床板によって、箱状の構造を作り、荷重や外力に対応します。柱や梁がないのが特徴です。
 柱と梁で支えるラーメン構造に比べて開口部(窓、扉など)のとり方が限定されますが、柱や梁が室内に出ないため、室内を広く使えるメリットがあります。通常、5階建てまでのマンションでも採用され、昭和56年以前でも利用されています。

 そこで、壁式構造の建物の耐震性ですが、国土交通省が作成しています、「マンション耐震化マニアル」(平成19年6月、平成26年7月再改訂)のページ6
 「RC造:壁式構造の住棟(4階建て)築後30年程度以上は経過していると思われるが、被害は全く見られない。一方で、隣の鉄道の高架は圧壊している。」 
 
 とありますように、昭和56年5月以前の耐震基準(旧耐震基準)に基づいて建てられた中層の壁式構造の建物でも、あまり被害が出ていないので、適切ではありません。

 


4 耐力壁は、地震力等の水平力を負担するものであるから、平面上、立面上でつり合いよく配置しないと、ねじれが生じやすくなる。

○ 適切である。
 耐力壁(耐震壁)は、柱・梁と一体となった壁で、地震時の水平荷重による骨組みの変形を防ぎ、建築物の剛性を高めるため、平面上、立面上でつり合いよく配置しないと、ねじれが生じやすくなり、適正です。


答え:3 ここは、選択肢1で迷うかも。

《タグ》鉄筋コンクリート造、 かぶり厚さ、 柱、 たれ壁、腰壁、壁式構造、地震。 地震対策

問41

〔問 41〕 マンションの外壁の断熱性能等に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 外壁の室内側に生じる表面結露は、防湿層を設けることにより防ぐことができる。

X 適切でない。 防湿層は壁内部の結露防止用で、防湿層を設けても、室内側に生じる表面結露は防げない。 平成21年マンション管理士試験 「問40」
 まず、結露は、空気中の水蒸気が冷たいものに触れて水(水滴)になったものです。
 冬などで外の温度が低いと壁や窓の室内側の表面温度も外気の低い温度のせいで下がり、その壁や窓の
室内側の表面に、結露ができます
 マンションは気密性が高いので、室内で発生する水蒸気を外部に排出しないと、結露が発生しやすい構造になっています。換気が必要ということです。

 そして、
防湿層は、壁の内部で発生する結露を防止するため、室内からの水蒸気の流入を防止する部材です。以前は防湿気密層と呼ばれていましたが2006年の省エネルギー法の改定で目的により気密層と防湿層が分離されました。繊維系断熱材や連通孔を有する発泡プラスチック系断熱材(EPSは含まれない)を使用する場合に室内側の面に施工し、材料としてはポリエチレンフィルムがよく使われます。
 防湿層の役目は断熱層への漏気の侵入を防止するもので、防湿層を設けても、室内側に生じる表面結露を防げるとはいえず、適切ではありません。


 

 なお、結露を防止するには、断熱材を使用します。躯体の屋内側に断熱層を設ける内断熱、躯体の外気側に断熱層を設ける外断熱があり、内断熱より外断熱の方が室内温度が低下しないので効果があがります。断熱材には、発砲ポリウレタンやポリスチレンなど多くのものがあります。窓の結露に対しては、二重サッシの設置や複層ガラスを採用すると防げます。


2 断熱材の熱伝導率は、一般に水分を含むと大きくなる。

○ 適切である。 平成20年マンション管理士試験 「問40」 。
 熱の伝わり方には、伝導、対流、放射の3つがあります。
熱伝導というのは、そのうちの1つで、熱エネルギーが温度の高い部分から低い部分に伝わる現象です。
 壁(材料)なら、壁(材料)の内部の温度の高い方から、温度の低い方へ熱が移動することをいいます。
 そこで、
熱伝導率は、その熱の移動のしやすさを示す値です。
 例えば、アルミニウムなら、熱伝導率210W/u・.K,とかコンクリートなら、1.2W/u・.K、たたみなら0.11W/u・.Kで、一般には、重くて冷たい感じの材料は、熱伝導率が大きくて、軽くて暖かい感じのするものは、熱伝導率が小さいといえます。
 そして、熱伝導率は、一般に水分を含むと大きくなりますから、適切です。
 熱伝導率が大きいと、熱の損失も大きくなります。熱伝導率の小さい断熱材の方が熱の損失を軽減する効果があります。





3 外壁に使用する断熱材の厚さと熱伝導率が同じであれば、外断熱か内断熱かにかかわらず、外壁の熱貫流率は等しくなる。

○ 適切である。
 熱貫流率とは...壁、床、屋根等を通して熱が逃げたり、入ってきたりすることです。建築物壁面の熱の伝わりやすさを数値として表したものです。この数値が小さいほど熱を伝えにくく、断熱性が高いことになります。熱貫流率は、空気から壁の表面に熱を伝える「熱伝達」と壁の内部で熱を移動させる「熱伝導」により決まりますから、外壁に使用する断熱材の厚さと熱伝導率が同じであれば、外断熱か内断熱かにかかわらず、外壁の熱貫流率は等しくなり、適切です。
 選択肢2の図も参考にしてください



4 壁面とこれに接している空気との間の熱伝達は、もっぱら対流及び放射によって生じる。

○ 適切である。 平成26年管理業務主任者試験 「問21」 でも出ている。
  熱の伝わり方には、伝導、対流、放射の3つがあります。
 そして、
熱伝達とは、空気から壁の表面に熱が伝わること、または壁の表面の熱を空気に伝えることで、これは、もっぱら対流及び放射によって生じますから、適切です。


答え:1。  選択肢1の「防湿層」のように、建物の設備や構造では、時々、過去問題にない物が出題されます。ここで正解ができるかどうかが、合否の分かれ目です。
       {ある受験者の感想…選択肢1か2で迷ったが、1にした。}

《タグ》結露、防湿層、熱伝導率、熱貫流率、対流、放射、伝導。  建物の外壁、熱

問42

〔問 42〕 「建築物の耐震改修の促進に関する法律」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 要安全確認計画記載建築物及び特定既存耐震不適格建築物以外の既存耐震不適格建築物であるすべてのマンションの所有者は、当該既存耐震不適格建築物について耐震診断を行い、必要に応じ、当該既存耐震不適格建築物について耐震改修を行うよう努めなければならない。

○ 正しい。 平成26年管理業務主任者試験 「問25」 でも出ている。
 建築物の耐震改修の促進に関する法律は改正があり、平成25年11月25日施行された。
 改正のあった法律からは、問題を作るのが楽なため、必ず出題があると考えてください。
 まず、その建築物の耐震改修の促進に関する法律の改正の概要は、次のようになっています。



 そこで、建築物の耐震改修の促進に関する法律第16条
 「(一定の既存耐震不適格建築物の所有者の努力等)
 第十六条  
要安全確認計画記載建築物及び特定既存耐震不適格建築物以外の既存耐震不適格建築物の所有者は、当該既存耐震不適格建築物について耐震診断を行い、必要に応じ、当該既存耐震不適格建築物について耐震改修を行うよう努めなければならない。
   2  所管行政庁は、前項の既存耐震不適格建築物の耐震診断及び耐震改修の適確な実施を確保するため必要があると認めるときは、当該既存耐震不適格建築物の所有者に対し、技術指針事項を勘案して、当該既存耐震不適格建築物の耐震診断及び耐震改修について必要な指導及び助言をすることができる。」 
とあり、
 設問は、1項に該当し、正しい。

 なお、 要安全確認計画記載建築物とは、以下の内容です。

 
 そして、特定既存耐震不適格建築物とは、昭和56年5月31日以前に着工して建築された学校や病院、デパート、ホテル、事務所、賃貸共同住宅、工場などです。
 マンション(共同住宅)は入っていません。



2 マンションの耐震性の有無を外観から判断することは困難であることから、耐震診断又は耐震改修により、耐震性を有していることが認められた場合は、その旨を利用者の見やすい場所に表示しなければならない。

X 誤っている。 耐震診断・耐震改修マークの表示は任意。また、マンションは該当していない。
 耐震性を有していることが認められた場合の、耐震診断・耐震改修マークの表示(耐震診断・耐震改修マーク表示制度)は、建築物の耐震改修の促進に関する法律第22条、
 「(建築物の地震に対する安全性に係る認定)
 第二十二条  建築物の所有者は、国土交通省令で定めるところにより、所管行政庁に対し、当該建築物について地震に対する安全性に係る基準に適合している旨の認定を申請することができる。
   2  所管行政庁は、前項の申請があった場合において、当該申請に係る建築物が耐震関係規定又は地震に対する安全上これに準ずるものとして国土交通大臣が定める基準に適合していると認めるときは、その旨の認定をすることができる。
   3  前項の認定を受けた者は、同項の認定を受けた建築物(以下「基準適合認定建築物」という。)、その敷地又はその利用に関する広告その他の国土交通省令で定めるもの(次項において「広告等」という。)に、国土交通省令で定めるところにより、当該基準適合認定建築物が前項の
認定を受けている旨の表示を付することができる
   4  何人も、前項の規定による場合を除くほか、建築物、その敷地又はその利用に関する広告等に、同項の表示又はこれと紛らわしい表示を付してはならない。」
 とあり、
 3項によれば、 耐震診断又は耐震改修により、耐震性を有していることが認められた場合であっても、その認定の表示は、「できる」とあり任意ですから、「表示しなければならない」は、誤りです。
 

 


3 その敷地が都道府県又は市町村耐震改修促進計画において記載された道路に接する既存耐震不適格建築物であるすべてのマンションの所有者は、当該既存耐震不適格建築物について耐震診断を行い、その結果を耐震改修促進計画に記載された期限までに所管行政庁に報告する必要がある。

X 誤っている。 すべてのマンションではない。
 建築物の耐震改修の促進に関する法律第7条
 「(要安全確認計画記載建築物の所有者の耐震診断の義務)
 第七条  次に掲げる建築物(以下「要安全確認計画記載建築物」という。)の所有者は、当該要安全確認計画記載建築物について、国土交通省令で定めるところにより、耐震診断を行い、その結果を、次の各号に掲げる建築物の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める期限までに所管行政庁に報告しなければならない。
     一  第五条第三項第一号の規定により都道府県耐震改修促進計画に記載された建築物 同号の規定により都道府県耐震改修促進計画に記載された期限
     二  その敷地が第五条第三項第二号の規定により都道府県耐震改修促進計画に記載された道路に接する通行障害既存耐震不適格建築物(
耐震不明建築物であるものに限る。) 同号の規定により都道府県耐震改修促進計画に記載された期限
     三  その敷地が前条第三項第一号の規定により市町村耐震改修促進計画に記載された道路に接する通行障害既存耐震不適格建築物(
耐震不明建築物であるものに限り、前号に掲げる建築物であるものを除く。) 同項第一号の規定により市町村耐震改修促進計画に記載された期限」 とあり、
 引用されています、第5条は、
 「(都道府県耐震改修促進計画)
 第五条  都道府県は、基本方針に基づき、当該都道府県の区域内の建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図るための計画(以下「都道府県耐震改修促進計画」という。)を定めるものとする。
   2  都道府県耐震改修促進計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
     一  当該都道府県の区域内の建築物の耐震診断及び耐震改修の実施に関する目標
     二  当該都道府県の区域内の建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図るための施策に関する事項
     三  建築物の地震に対する安全性の向上に関する啓発及び知識の普及に関する事項
     四  建築基準法第十条第一項 から第三項 までの規定による勧告又は命令その他建築物の地震に対する安全性を確保し、又はその向上を図るための措置の実施についての所管行政庁との連携に関する事項
     五  その他当該都道府県の区域内の建築物の耐震診断及び耐震改修の促進に関し必要な事項
   3  都道府県は、次の各号に掲げる場合には、前項第二号に掲げる事項に、当該各号に定める事項を記載することができる。
     一  病院、官公署その他大規模な地震が発生した場合においてその利用を確保することが公益上必要な建築物で政令で定めるものであって、既存耐震不適格建築物(地震に対する安全性に係る建築基準法 又はこれに基づく命令若しくは条例の規定(以下「耐震関係規定」という。)に適合しない建築物で同法第三条第二項 の規定の適用を受けているものをいう。以下同じ。)であるもの(その地震に対する安全性が明らかでないものとして政令で定める建築物(以下「耐震不明建築物」という。)に限る。)について、耐震診断を行わせ、及び耐震改修の促進を図ることが必要と認められる場合 当該建築物に関する事項及び当該建築物に係る耐震診断の結果の報告の期限に関する事項
     
二  建築物が地震によって倒壊した場合においてその敷地に接する道路(相当数の建築物が集合し、又は集合することが確実と見込まれる地域を通過する道路その他国土交通省令で定める道路(以下「建築物集合地域通過道路等」という。)に限る。)の通行を妨げ、市町村の区域を越える相当多数の者の円滑な避難を困難とすることを防止するため、当該道路にその敷地が接する通行障害既存耐震不適格建築物(地震によって倒壊した場合においてその敷地に接する道路の通行を妨げ、多数の者の円滑な避難を困難とするおそれがあるものとして政令で定める建築物(第十四条第三号において「通行障害建築物」という。)であって既存耐震不適格建築物であるものをいう。以下同じ。)について、耐震診断を行わせ、又はその促進を図り、及び耐震改修の促進を図ることが必要と認められる場合 当該通行障害既存耐震不適格建築物の敷地に接する道路に関する事項及び当該通行障害既存耐震不適格建築物(耐震不明建築物であるものに限る。)に係る耐震診断の結果の報告の期限に関する事項
     三  建築物が地震によって倒壊した場合においてその敷地に接する道路(建築物集合地域通過道路等を除く。)の通行を妨げ、市町村の区域を越える相当多数の者の円滑な避難を困難とすることを防止するため、当該道路にその敷地が接する通行障害既存耐震不適格建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図ることが必要と認められる場合 当該通行障害既存耐震不適格建築物の敷地に接する道路に関する事項
     四  特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律 (平成五年法律第五十二号。以下「特定優良賃貸住宅法」という。)第三条第四号 に規定する資格を有する入居者をその全部又は一部について確保することができない特定優良賃貸住宅(特定優良賃貸住宅法第六条 に規定する特定優良賃貸住宅をいう。以下同じ。)を活用し、第十九条に規定する計画認定建築物である住宅の耐震改修の実施に伴い仮住居を必要とする者(特定優良賃貸住宅法第三条第四号 に規定する資格を有する者を除く。以下「特定入居者」という。)に対する仮住居を提供することが必要と認められる場合 特定優良賃貸住宅の特定入居者に対する賃貸に関する事項
     五  前項第一号の目標を達成するため、当該都道府県の区域内において独立行政法人都市再生機構(以下「機構」という。)又は地方住宅供給公社(以下「公社」という。)による建築物の耐震診断及び耐震改修の実施が必要と認められる場合 機構又は公社による建築物の耐震診断及び耐震改修の実施に関する事項
   4  都道府県は、都道府県耐震改修促進計画に前項第一号に定める事項を記載しようとするときは、当該事項について、あらかじめ、当該建築物の所有者(所有者以外に権原に基づきその建築物を使用する者があるときは、その者及び所有者)の意見を聴かなければならない。
   5  都道府県は、都道府県耐震改修促進計画に第三項第五号に定める事項を記載しようとするときは、当該事項について、あらかじめ、機構又は当該公社の同意を得なければならない。
   6  都道府県は、都道府県耐震改修促進計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表するとともに、当該都道府県の区域内の市町村にその写しを送付しなければならない。
   7  第三項から前項までの規定は、都道府県耐震改修促進計画の変更について準用する。」 です。

 
 建築物の耐震改修の促進に関する法律第7条2号及び3号によれば、 「耐震不明建築物であるものに限る」とありますので、「その敷地が都道府県又は市町村耐震改修促進計画において記載された道路に接する既存耐震不適格建築物であるすべてのマンションの所有者」は、誤りです。


4 耐震改修の必要性に係る認定を受けたマンションにおいて、共用部分の形状又は効用の著しい変更を伴う耐震改修を行う場合は、区分所有者の3分の2以上の多数による集会の決議が必要である。

X 誤っている。 共用部分の形状又は効用の著しい変更を伴う耐震改修を行う場合に該当しても、区分所有者及び議決権の各過半数の決議でできる。
 ここが、改正された建築物の耐震改修の促進に関する法律と区分所有法との関係において、重要な箇所です。
 まず、建築物の耐震改修の促進に関する法律第25条
 「(区分所有建築物の耐震改修の必要性に係る認定)
 第二十五条
 耐震診断が行われた区分所有建築物(二以上の区分所有者(建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)第二条第二項に規定する区分所有者をいう。以下同じ。)が存する建築物をいう。以下同じ。)の管理者等(同法第二十五条第一項の規定により選任された管理者(管理者がないときは、同法第三十四条の規定による集会において指定された区分所有者)又は同法第四十九条第一項の規定により置かれた理事をいう。)は、国土交通省令で定めるところにより、所管行政庁に対し、当該区分所有建築物について耐震改修を行う必要がある旨の認定を申請することができる。
   2 所管行政庁は、前項の申請があった場合において、当該申請に係る区分所有建築物が地震に対する安全上耐震関係規定に準ずるものとして国土交通大臣が定める
基準に適合していないと認めるときは、その旨の認定をすることができる
   3 前項の認定を受けた区分所有建築物(以下「要耐震改修認定建築物」という。)の耐震改修が
建物の区分所有等に関する法律第十七条第一項に規定する共用部分の変更に該当する場合における同項の規定の適用については、同項中「区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議」とあるのは「集会の決議」とし、同項ただし書の規定は、適用しない。 とあり、
 マンションでも、耐震診断を受け、一定の耐震基準に適していなくて、耐震改修が必要と認定されると、集会の決議が、区分所有法第17条1項の「その形状又は効用の著しい変更」に該当しても、特別多数決議(区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数)から普通決議(過半数)に緩和される特例ができましたので、区分所有者の3分の2以上の多数による集会の決議は、不要で、誤りです。
 参考:区分所有法第17条1項
 「(共用部分の変更)
 第十七条  共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、(区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議)(
読み替え → 集会の決議)で決する。(ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。)(→ 適用しない)」 となります。


答え:1  改正されて出題されると思って勉強しても、選択肢4が誤りと分かるが、他の正誤の判断はかなり難しい。

《タグ》建築物の耐震改修の促進に関する法律、 耐震診断、共用部分の重大変更の例外。 建築物の耐震改修の促進に関する法律 + 区分所有法

問43

〔問 43〕 マンションの給水設備に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

1 ウォーターハンマーとは、水栓や衛生器具の多数の弁を急に開いた時、瞬間的に給水管内部に異常な衝撃圧力を生じて、騒音や打撃音、振動等を繰り返す現象をいう。

X 適切でない。 ウォーターハンマー現象は、弁が”急に閉じた時”に起きる。 平成24年マンション管理士試験 「問43」
 問題文をよく読むこと。
 ウォーターハンマー(水撃)現象とは、水圧管内の水流を”急に締め切ったとき”に、起きる現象で、「弁を急に開いた時」は、適切ではありません。
 ウォーターハンマー(水撃)現象は、水圧管内の水流を急に締め切ったときに、水の慣性で管内に衝撃と高水圧が発生する現象で、弁の閉鎖や配管の充水時、ポンプの急停止といった急激な圧力変化によって生じ、台所のシングルレバー水栓や全自動洗濯機の使用時などで”ドン”とか”ガン”といった衝撃音が水道管に発生します。
  そこで、ウォーターハンマー(水撃)現象を防止するには、給水管内の流速は、1.5m/s〜2.0m/s以下が望ましく、ウォーターハンマー防止装置を水栓等の近くに設置します。



2 20階以上の超高層マンションでは、一般的に住戸内の給水管の給水圧力の上限値を300〜400 kPaの範囲になるように、減圧弁を設置したり、一定階数ごとに区分するゾーニングを行い、給水圧力を調整する。

○ 正しい。 平成23年マンション管理士試験 「問43」平成21年マンション管理士試験 「問43」平成20年マンション管理士試験 「問43」 。
 まず、kPaはキロ・パスカルと読みます。パスカル(pascal、Pa)は圧力・応力の単位です。一定の容器内部に液体を満たして、ある面に圧力をかけたとき、重力の影響が無ければ、その内部のあらゆる部分に均等に圧力が加わり、1パスカルは、1平方メートル (m2) の面積につき1ニュートン (N) の力が作用する圧力または応力と定義されています。
  そして、ニュートン(N)とは、力の大きさを表す単位です。 1Nは、100gの力に相当しますので、100Nですと10kgの物を動かす力に相当します。
  マンションの住戸では、給水管の給水圧力の上限は、300〜400kPaに設定してあるようです。
  そこで、一般の水栓では 30kPa、 シャワーでは 40〜160kPa の圧力とするそうです。なお、給水の圧力は、300〜400kPa 以内になるように調整が必要で、一定階数ごとに、中間水槽や減圧弁で区分するゾーニングを行い、一般には、12〜13階以上で行うことが多いとのことです。



3 水道用架橋ポリエチレン管や水道用ポリブデン管は、耐衝撃性及び耐食性に優れており、共用部分に設置する給水立て管に使用される。

X 適切でない。 共用部分ではなく、専有部分の給水や給湯設備で使用される。 平成22年マンション管理士試験 「問43」、 平成22年管理業務主任者試験 「問24」 。
 水道用架橋ポリエチレン管や水道用ポリブテン管は、耐熱、耐寒、耐食性に優れています。そこで、専有部分内の給水湯配管、主にヘッダー集中配管に使用されます。なお、架橋ポリエチレン管とは、熱可塑性プラスチックとしての鎖状構造ポリエチレンの分子どうしのところどころを結合させ、立体の網目構造にした超高分子量ポリエチレンをいう。従って、架橋反応が終了した時点で、ポリエチレンはあたかも熱硬化性樹脂のような立体網目構造となり、耐熱性、クリープ性能とも向上する、のです。
 
 


4 ポンプ直送方式に用いる受水槽の底部に設置する水抜き管とその排水を受ける排水管との間の排水口空間は、垂直距離で最小100 mmを確保する。

X 適切でない。 受水槽の底部に設置する水抜き管とその排水を受ける排水管との間の排水口空間は、垂直距離で最小100mmではなく150mm。 平成24年マンション管理士試験 「問43」 選択肢3 のまま。
 建設省告示第1597号 もありますが、詳細なのは、空気調和・衛生工学会の規格(給排水施設規準HASS206−1982)で、「各種の飲料用貯水タンクなどの間接排水管の吐水口空間は、最小150 mm とする。」 とあり、
 受水槽の底部に設置する水抜き管とその排水を受ける排水管との間の排水口空間は、垂直距離で最小100mm、は適切ではありません。 
垂直距離で最小150mmが必要です。




答え:2。  ここも、私の「過去問題」をやってきていれば、問題ない出題でした。 でも、選択肢1の弁が開いたときとか、選択肢4の100mmとか、もう重箱の隅を突っついたような、悪問の例です。
       {ある受験者の感想…選択肢1がXとは分かったが、他は分からず、3を選んでしまった。}

《タグ》給水設備、ウォーターハンマー(水撃)現象、給水圧力、水道用架橋ポリエチレン管、水道用ポリブデン管、排水口空間。 給水設備

問44

〔問 44〕 マンションの排水設備に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
                            
1 排水用硬質塩化ビニルライニング鋼管は、強靭性(きょうじんせい)、耐衝撃性及び耐食性に優れており、配管の接続には排水鋼管用可撓(かとう)継手を用いる。

○ 適切である。 平成24年マンション管理士試験 「問44」
 排水用硬質塩化ビニルライニング鋼管は、錆の発生を防ぐために、炭素鋼鋼管内面に耐食性に優れた硬質塩化ビニル管を内張り(ライニング)したもので、鋼管の強度と耐衝撃性、耐火性と塩化ビニル管の耐食性を兼ね備えた排水用ライニング鋼管です。従来の鋳鉄管や亜鉛めっき鋼管に比べ軽量化されており、施工性にも優れています。また、防火区画貫通部で使用できます。
そして、配管の接続には排水鋼管用可撓(かとう)継手(MD継手)を用いますから、適切です。
 どうして、排水鋼管用可撓(かとう)継手を用いるかといいますと、排水用硬質塩化ビニルライニング鋼管は、鋼管が薄いので、ねじ込み式の継手が使用できません。そこで、ボルトで締めるMD継手(Mechanical Drainage、メカニカル接合型、排水鋼管用可とう継手、MDジョイント)と呼ばれる継手や、MD継手の改良型が使用されています。




2 ディスポーザ排水処理システムにおいては、破砕された生ごみを含む排水を処理槽で一定のBOD(生物化学的酸素要求量)濃度まで処理した後に、下水道へ放流する。

○ 適切である。 平成21年管理業務主任者試験 「問20」 、平成16年マンション管理士試験 「問43」 。
 新しいマンションに住んでいる人には、分かりやすい出題。でも、ディスポーザーの設置は簡単でないので、詳細に説明します。
 ディスポーザー(Disposer=処理機)とは、家庭の排水設備に設置する生ゴミ処理機のことです。ディスポーザーは台所のシンク(流し台)の下に設置し、水と一緒に生ゴミを粉砕させ、下水道に流す仕組みになっています。
 装置としてはモーターと生ゴミ破砕用の刃がセットになっていて、投入された生ゴミを破砕して水道の流水で押し流すものです。
 全体のシステムとしては、ディスポーザー(破砕機)、専用排水管、排水処理槽から構成されます。
 ディスポーザーで処理された排水は、そのまま下水道に流すと下水道本管が詰まったり、また栄養に富んでいて、川や海の水質を悪化させるため、一度排水処理槽で台所排水と共に、沈殿や分解などを経て一定のBOD濃度(生物化学的酸素要求量=Biochemical Oxygen Demand 水質指標のひとつ。この値が大きいほど汚れている)にまで処理をしてから、下水道に放流しなければいけません。このため、下水道を管理している多くの地方自治体(下水道局)では、一定の基準を満たし、その地方自治体(下水道局)が認めた「ディスポーザー排水処理システム(ディスポーザー+専用排水配管+専用処理槽)」で、届出がなければ設置できません。

 出題は、適切です。


 そこで、ディスポーザー排水処理システムでは、ディスポーザー排水と台所排水とをあわせて、排水中の固形物などを「排水処理槽」で処理した後に、下水道管などに放流する。一般に他の雑排水とは合流されない。ディスポーザーの排水管は、台所専用の排水管で、浴室洗面系や汚水系排水管とは分離する。


3 排水管にトラップを設置する目的は、封水によって排水管内の臭気や害虫が排水管から器具を通して室内へ侵入することを防止することである。

○ 適切である。 古典的な出題。 平成18年マンション管理士試験 「問44」、 平成16年管理業務主任者試験 「問23」 など。
  排水トラップは、便器や台所の排水施設に設けられ、水(封水)を管にためて、臭気や害虫が排水管から器具をつたわって、室内に侵入するのを防ぐ役目をしていますから、適切です。
  なお、トラップの封水の深さは、「50mmから100mm」と定められていますので、注意してください。
  また、1つの排水系統に2個以上のトラップを直列に配置した「二重トラップ」は、排水管内に圧力変動をもたらし、排水障害を起こすので禁止されています。

  建築基準法施行令129条2の5、2項6号の規定にもとづく昭和50年12月20日建告第1597号(最終改正:平成12年建設省告示第1406号)
  第2 排水トラップ、ホ「封水深は、5cm以上10cm以下(阻集器を兼ねる排水トラップについては5cm以上)とすること」の規定で、トラップの形状には関係なく、50mm以上100mm以下である。
 



4 マンションの排水方式の分流式とは、「汚水」と「雑排水」とが別々の排水系統であることをいい、公共下水道の分流式とは、「汚水」と「雑排水及び雨水」とが別々の下水系統であることをいう。

X 適切ではない。 公共下水道の分流式とは、汚水・雑排水と雨水とをわける。 平成23年マンション管理士試験 「問44」 、平成16年管理業務主任者試験 「問23」 。

 排水管の系統には、@汚水、A雑排水、B雨水の別があります。分流式はこれらを分けて排水する方式であり、合流式はこれらを一緒に混ぜて排水する方式です。
 そこで、分流式では何を分けるのかというと、B雨水を その他の排水と分けることです。
 マンションからの排水には、
  @汚水(トイレの排水)
  A雑排水(台所、浴室、洗面室、洗濯機など)
  B雨水 があります。
 そして、マンションの排水方式には、
  @汚水(トイレの排水)と A雑排水(台所、浴室、洗面室、洗濯機など) を同一の排水系統で排出させる合流式と、@汚水(トイレの排水)と A雑排水(台所、浴室、洗面室、洗濯機など) を別々の排水系統で排出させる分流式があります。
 また、マンションからの排水を受ける
公共下水道では
 @汚水(トイレの排水)及び
 A雑排水(台所、浴室、洗面室、洗濯機など)と
 B雨水とを同一の下水系統で排出させる 合流式と、
 
@汚水(トイレの排水)及びA雑排水(台所、浴室、洗面室、洗濯機など)と
 B雨水とを別々の下水系統で排出させる 「分流式」があります

 そこで、設問の「公共下水道の分流式とは、「汚水」と「雑排水及び雨水」とが別々の下水系統であることをいう」は、適切ではありません。
 公共下水道の分流式とは、「汚水及び雑排水」 と「雨水」とが別々の下水系統です。





答え:4  この出題も、それほど難しい問題ではありません。

《タグ》排水設備、 排水用硬質塩化ビニルライニング鋼管、ディスポーザ排水処理システム、排水トラップ、公共下水道の分流式。 排水設備

問45

〔問 45〕マンションの設備計画に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

1 専有部分と共用部分の使用電力について、管理組合と電力会社が一括して高圧電力の需給契約を締結する場合は、管理組合として、一般的に受変電設備を用意する必要がない。

X 適切でない。 高圧電力の一括需給契約では、管理組合として、一般的に受変電設備を用意する。
 電気法もいろいろと改正があり、面倒ですが、専有部分と共用部分の使用電力について、「管理組合と電力会社が一括して高圧電力の需給契約を締結する場合」には、管理組合がマンション1棟分の電気を一括してご契約(高圧契約)し、その後、各戸へ低圧に変圧して電気を供給するもので、一般に管理組合が変圧器、各住戸の電力メーターの設置、維持管理などを行い、受変電設備を用意しますから、適切ではありません。


2 延床面積が500u以上の屋内駐車場を建物の1階に設ける場合には、泡消火設備等を設置しなければならない。

○ 適切である。 平成21年マンション管理士試験 「問21」、 平成17年マンション管理士試験 「問17」
 泡消火設備は、泡による窒息作用と冷却作用によって消火します。水だけでは消火が困難な場合や放水によっては火災が広がるような場合に使用されます。原理は、空気を導入させる特殊な構造のノズルを用い、放射時に放射ノズルから空気を取り入れ、発泡して噴射します。 発泡しやすい泡消火薬剤(主成分は界面活性剤)の水溶液を薬剤としています。
 そこで、泡消火設備等の設置は、消防法施行令13条
 「(水噴霧消火設備等を設置すべき防火対象物)
 第十三条次の表の上欄に掲げる防火対象物又はその部分には、水噴霧消火設備、泡消火設備、不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備又は粉末消火設備のうち、それぞれ当該下欄に掲げるもののいずれかを設置するものとする。

火対象物又はその部分 消火設備
別表第一(十三)項ロに掲げる防火対象物 泡消火設備又は粉末消火設備
別表第一に掲げる防火対象物の屋上部分で、回転翼航空機又は垂直離着陸航空機の発着の用に供されるもの 泡消火設備又は粉末消火設備
別表第一に掲げる防火対象物の道路(車両の交通の用に供されるものであつて総務省令で定めるものに限る。以下同じ。)の用に供される部分で、床面積が、屋上部分にあつては六百平方メートル以上、それ以外の部分にあつては四百平方メートル以上のもの 水噴霧消火設備、泡消火設備、不活性ガス消火設備又は粉末消火設備
別表第一に掲げる防火対象物の自動車の修理又は整備の用に供される部分で、床面積が、地階又は二階以上の階にあつては二百平方メートル以上、一階にあつては五百平方メートル以上のもの 泡消火設備、不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備又は粉末消火設備
別表第一に掲げる防火対象物の駐車の用に供される部分で、次に掲げるもの
一 当該部分の存する階(屋上部分を含み、駐車するすべての車両が同時に 屋外に出ることができる構造の階を除く。)における当該部分の床面積が、地階又は二階以上の階にあつては二百平方メートル以上、
一階にあつては五百平方 メートル以上、屋上部分にあつては三百平方メートル以上のもの
二 昇降機等の機械装置により車両を駐車させる構造のもので、車両の収容台数が十以上のもの
水噴霧消火設備、泡消火設備、不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備又は粉末消火設備
別表第一に掲げる防火対象物の発電機、変圧器その他これらに類する電気設備が設置されている部分で、床面積が二百平方メートル以上のもの 不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備又は粉末消火設備
別表第一に掲げる防火対象物の鍛造場、ボイラー室、乾燥室その他多量の火気を使用する部分で、床面積が二百平方メートル以上のもの 不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備又は粉末消火設備
別表第一に掲げる防火対象物の通信機器室で、床面積が五百平方メートル以上のもの 不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備又は粉末消火設備
別表第一に掲げる建築物その他の工作物で、指定可燃物を危険物の規制に関する政令別表第四(以下この項において「危険物政令別表第四」という。)で定める数量の千倍以上貯蔵し、又は取り扱うもの 危険物政令別表第四に掲げる綿花類、木毛及びかんなくず、ぼろ及び紙くず(動植物油がしみ込んでいる布又は紙及びこれらの製品を除く。)、糸類、わら類、再生資源燃料又は合成樹脂類(不燃性又は難燃性でないゴム製品、ゴム半製品、原料ゴム及びゴムくずに限る。)に係るもの 水噴霧消火設備、泡消火設備又は全域放出方式の不活性ガス消火設備
危険物政令別表第四に掲げるぼろ及び紙くず(動植物油がしみ込んでいる布又は紙及びこれらの製品に限る。)又は石炭・木炭類に係るもの 水噴霧消火設備又は泡消火設備
危険物政令別表第四に掲げる可燃性固体類、可燃性液体類又は合成樹脂類(不燃性又は難燃性でないゴム製品、ゴム半製品、原料ゴム及びゴムくずを除く。)に係るもの 水噴霧消火設備、泡消火設備、不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備又は粉末消火設備
危険物政令別表第四に掲げる木材加工品及び木くずに係るもの 水噴霧消火設備、泡消火設備、全域放出方式の不活性ガス消火設備又は全域放出方式のハロゲン化物消火設備

 前項の表に掲げる指定可燃物(可燃性液体類に係るものを除く。)を貯蔵し、又は取り扱う建築物その他の工作物にスプリンクラー設備を前条に定める技術上 の基準に従い、又は当該技術上の基準の例により設置したときは、同項の規定にかかわらず、当該設備の有効範囲内の部分について、それぞれ同表の下欄に掲げ る消火設備を設置しないことができる。」 とあり、
 引用されています、 
 別表第一は、
別表第一 (第一条の二―第三条、第三条の三、第四条、第四条の二の二―第四条の三、第六条、第九条―第十四条、第十九条、第二十一条―第二十九条の三、第三十一条、第三十四条、第三十四条の二、第三十四条の四―第三十六条関係)

(一) イ 劇場、映画館、演芸場又は観覧場
ロ 公会堂又は集会場
(二) イ キャバレー、カフェー、ナイトクラブその他これらに類するもの
ロ 遊技場又はダンスホール
ハ 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に 関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号)第二条第五項に規定する性風俗関連特殊営業を営む店舗(ニ並びに(一)項イ、(四)項、(五)項イ及び(九) 項イに掲げる防火対象物の用途に供されているものを除く。)その他これに類するものとして総務省令で定めるもの
ニ カラオケボックスその他遊興のための設備又は物品を個室(これに類する施設を含む。)において客に利用させる役務を提供する業務を営む店舗で総務省令で定めるもの
(三) イ 待合、料理店その他これらに類するもの
ロ 飲食店
(四) 百貨店、マーケツトその他の物品販売業を営む店舗又は展示場
(五) イ 旅館、ホテル、宿泊所その他これらに類するもの
ロ 寄宿舎、下宿又は共同住宅
(六) イ 病院、診療所又は助産所
ロ 老人短期入所施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム(主として要介護状態にある者を入居させ るものに限る。)、介護老人保健施設、救護施設、乳児院、障害児入所施設、障害者支援施設(主として障害の程度が重い者を入所させるものに限る。)、老人 福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)第五条の二第四項若しくは第六項に規定する老人短期入所事業若しくは認知症対応型老人共同生活援助事業を行う施設 又は障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)第五条第八項若しくは第十五項に規定する短期入所若しくは 共同生活援助を行う施設(主として障害の程度が重い者を入所させるものに限る。ハにおいて「短期入所等施設」という。)
ハ 老人デイサービスセン ター、軽費老人ホーム、老人福祉センター、老人介護支援センター、有料老人ホーム(主として要介護状態にある者を入居させるものを除く。)、更生施設、助 産施設、保育所、児童養護施設、児童発達支援センター、情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設、児童家庭支援センター、身体障害者福祉センター、障害 者支援施設(主として障害の程度が重い者を入所させるものを除く。)、地域活動支援センター、福祉ホーム、老人福祉法第五条の二第三項若しくは第五項に規 定する老人デイサービス事業若しくは小規模多機能型居宅介護事業を行う施設、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第六条の二第二項若しくは第四項 に規定する児童発達支援若しくは放課後等デイサービスを行う施設(児童発達支援センターを除く。)又は障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するた めの法律第五条第七項、第八項若しくは第十二項から第十五項までに規定する生活介護、短期入所、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援若しくは共同生活援 助を行う施設(短期入所等施設を除く。)
ニ 幼稚園又は特別支援学校
(七) 小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、高等専門学校、大学、専修学校、各種学校その他これらに類するもの
(八) 図書館、博物館、美術館その他これらに類するもの
(九) イ 公衆浴場のうち、蒸気浴場、熱気浴場その他これらに類するもの
ロ イに掲げる公衆浴場以外の公衆浴場
(十) 車両の停車場又は船舶若しくは航空機の発着場(旅客の乗降又は待合いの用に供する建築物に限る。)
(十一) 神社、寺院、教会その他これらに類するもの
(十二) イ 工場又は作業場
ロ 映画スタジオ又はテレビスタジオ
(十三) イ 自動車車庫又は駐車場
ロ 飛行機又は回転翼航空機の格納庫
(十四) 倉庫
(十五) 前各項に該当しない事業場
(十六) イ 複合用途防火対象物のうち、その一部が(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項又は(九)項イに掲げる防火対象物の用途に供されているもの
ロ イに掲げる複合用途防火対象物以外の複合用途防火対象物
(十六の二) 地下街
(十六の三) 建築物の地階((十六の二)項に掲げるものの各階を除く。)で連続して地下道に面して設けられたものと当該地下道とを合わせたもの((一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項又は(九)項イに掲げる防火対象物の用途に供される部分が存するものに限る。)
(十七) 文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)の規定によつて重要文化財、重要有形民俗文化財、史跡若しくは重要な文化財として指定され、又は旧重要美術品等の保存に関する法律(昭和八年法律第四十三号)の規定によつて重要美術品として認定された建造物
(十八) 延長五十メートル以上のアーケード
(十九) 市町村長の指定する山林
(二十) 総務省令で定める舟車

  備考
一 二以上の用途に供される防火対象物で第一条の二第二項後段の規定の適用により複合用途防火対象物以外の防火対象物となるものの主たる用途が(一)項から(十五)までの各項に掲げる防火対象物の用途であるときは、当該防火対象物は、当該各項に掲げる防火対象物とする。
二 (一)項から(十六)項までに掲げる用途に供される建築物が(十六の二)項に掲げる防火対象物内に存するときは、これらの建築物は、同項に掲げる防火対象物の部分とみなす。
三  (一)項から(十六)項までに掲げる用途に供される建築物又はその部分が(十六の三)項に掲げる防火対象物の部分に該当するものであるときは、これらの 建築物又はその部分は、同項に掲げる防火対象物の部分であるほか、(一)項から(十六)項に掲げる防火対象物又はその部分でもあるものとみなす。
四  (一)項から(十六)項までに掲げる用途に供される建築物その他の工作物又はその部分が(十七)項に掲げる防火対象物に該当するものであるときは、これ らの建築物その他の工作物又はその部分は、同項に掲げる防火対象物であるほか、(一)項から(十六)項までに掲げる防火対象物又はその部分でもあるものと みなす。 」
 です。

 そこで、設問の「延床面積が500u以上の屋内駐車場を建物の1階に設ける場合」は、別表第一の(十三)にあり、すると、
 消防法施行令13条の「別表第一に掲げる防火対象物の駐車の用に供される部分で、次に掲げるもの
     一 当該部分の存する階(屋上部分を含み、駐車するすべての車両が同時に 屋外に出ることができる構造の階を除く。)における当該部分の床面積が、地階又は二階以上の階にあつては二百平方メートル以上、
一階にあつては五百平方 メートル以上、屋上部分にあつては三百平方メートル以上のもの
     二 昇降機等の機械装置により車両を駐車させる構造のもので、車両の収容台数が十以上のもの」
 となり、
 「水噴霧消火設備、泡消火設備、不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備又は粉末消火設備」のいずれかを設置しなければなりませんから、適切です。
 なお、機械式駐車場だと、車両の収容台数が10台以上となると、泡消火設備等の設置が必要となります。



3 高層マンションの排水方式として、排水時に上層階の排水管内に発生する正圧を緩和するために通気立て管方式を用いる。

X 適切でない。上層階でなく”下層階”で発生した正圧(プラス)を逃がす。 平成20年マンション管理士試験 「問44」。
 ここも、問題文をよく読むこと。
 マンションの排水管内では、上と下では気圧の差が生じて、排水が逆流したり、トラップの封水が破れたりします。
そこで、排水管内で変動する気圧を調整するために、通気方法が考えられました。
 マンションの排水・通気方式には、@伸頂通気方式と、 A通気立て管方式があります。
 @伸頂通気方式は、最上部の排水立て管をそのまま延長し、屋上や最上階の壁などで大気中に開放するものです。
 A通気立て管方式は、最下層の排水立て管又は排水横主管より低い位置で接続して、一番上の伸頂通気管に接続またはそのまま大気中に開口するものです。

 
 

 そこで、設問の「排水時に上層階の排水管内に発生する正圧を緩和するために通気立て管方式を用いる」ですが、排水管内で”正圧(プラスの気圧)”が発生するのは、下層階で、上層階の排水管内に発生する正圧の緩和は、適切ではありません。上層階の排水管内は負圧(マイナスの気圧)になります


4 飲料用受水槽の内部の保守点検が容易に行えるように、点検用マンホールが取り付けられる受水槽の上面については60 cm以上の距離を点検スペースとして確保する。

X 適切でない。 点検用マンホールが取り付けられる受水槽の上面の点検スペースは、60cmではなく100cm。 平成18年マンション管理士試験 「問43」、 平成15年マンション管理士試験 「問45」

 飲料用受水槽の内部の保守点検が容易に行えるように、周囲4面と上下2面の計6面には、スペースが必要です。
 そこで、建設省告示1924号により「水槽は天井、底または周壁の保守点検を容易かつ安全に行うことができるよう設置されなければならない」と規定されており、
周囲4面と下面では、60cm以上、点検用マンホールが取り付けられる受水槽の上面については、”100cm以上”の距離を点検スペースとして確保する必要がありますから、60cm以上は、適切ではありません。
 なお、この点検は、通常「六面点検」と呼ばれています。

 


答え:2。  過去問題をやっていれば、他の選択肢は、適切ではないと分かる? でも、ここも、選択肢3の正圧とか、選択肢4の60cmとか、出題方法としては、適切ではありません。
        {ある受験者の感想…選択肢4がXということしか分からなかった。3を選んでしまった。}

《タグ》一括高圧電力、消防・泡消火設備、排水管の気圧、飲料用受水槽、6面点検。 電気法 + 消防法 設備

問46


 *注:問46から問50までは、マンション管理士試験か管理業務主任者試験の合格者には免除される部分です。また、この問46から問50は、「マンション管理適正化法」と同指針からの出題と決まっていますので、出題は似たような内容となります。過去問題はやっておくと楽です。


【問 46】 マンションの管理の適正化に関する指針(平成13年国土交通省公示第1288号)において定められている「二 マンションの管理の適正化の推進のために管理組合が留意すべき基本的事項 5 長期修繕計画の策定及び見直し等」に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 マンションの快適な居住環境を確保し、資産価値の維持・向上を図るためには、適時適切な維持修繕を行うことが重要である。特に、経年による劣化に対応するため、あらかじめ長期修繕計画を策定し、必要な修繕積立金を積み立てておくことが必要である。

*問46から問50については、”かめたん”さんからの解説が寄せられましたので、それも載せます。 平成20年管理業務主任者試験 「問46」
 なお、”かめたん”さんのサイトもご利用ください。
 アドレスは、http://www.kametan0123jp.net です。


  「マンションの管理適正化に関する指針」 において定められている「二 マンションの管理の適正化推進のために管理組合が留意すべき基本的事項5長期修繕計画の策定及び見直し等」は次のとおりである。
 
5 長期修繕計画の策定及び見直し等
  マンションの快適な居住環境を確保し、資産価値の維持・向上を図るためには、適時適切な維持修繕を行うことが重要である。特に、経年による劣化に対応するため、あらかじめ長期修繕計画を策定し、必要な修繕積立金を積み立てておくことが必要である
。【注:肢1】
 長期修繕計画の策定及び見直しにあたっては、必要に応じ、マンション管理士等専門的知識を有する者の意見を求め、また、あらかじめ建物診断等を行って、その計画を適切なものとするよう配慮する必要がある。
 
長期修繕計画の実効性を確保するためには、修繕内容、資金計画を適正かつ明確に定め、それらをマンションの区分所有者等に十分周知させることが必要である。【注:肢2】
 
管理組合は、維持修繕を円滑かつ適切に実施するため、設計に関する図書等を保管することが重要である。また、この図書等について、マンションの区分所有者等の求めに応じ、適時閲覧できるように配慮することが望ましい。【注:肢4の正しい内容】
 なお、
建築後相当の年数を経たマンションにおいては、長期修繕計画の検討を行う際には、必要に応じ、建替えについても視野に入れて検討することが望ましい。【注:肢3】建替えの検討にあたっては、その過程をマンションの区分所有者等に周知させるなど透明性に配慮しつつ、各区分所有者等の意向を十分把握し、合意形成を図りながら進めることが必要である。」


”かめたん”さんの解説
○ 適切である。 
  マンションの快適な居住環境を確保し、資産価値の維持・向上を図るためには、適時適切な維持修繕を行うことが重要である。特に、経年による劣化に対応するため、あらかじめ長期修繕計画を策定し、必要な修繕積立金を積み立てておくことが必要である。【肢1のまま】

”香川の解説: 

○ 適切である。”かめたん”さんと同じ。



2 長期修繕計画の実効性を確保するためには、修繕内容、資金計画を適正かつ明確に定め、それらをマンションの区分所有者等に十分周知させることが必要である。

”かめたん”さんの解説
○ 適切である。
  長期修繕計画の実効性を確保するためには、修繕内容、資金計画を適正かつ明確に定め、それらをマンションの区分所有者等に十分周知させることが必要である。【肢2のまま】

”香川の解説: 
平成16年管理業務主任者試験 「問47」
○ 適切である。”かめたん”さんと同じ。



3 建築後相当の年数を経たマンションにおいては、長期修繕計画の検討を行う際には、必要に応じ、建替えについても視野に入れて検討することが望ましい。

”かめたん”さんの解説
○ 適切である。
 なお、建築後相当の年数を経たマンションにおいては、長期修繕計画の検討を行う際には、必要に応じ、建替えについても視野に入れて検討することが望ましい。【肢3のまま】

”香川”の解説: 平成16年管理業務主任者試験 「問47」平成13年マンション管理士試験 「問50」
○ 適切である。”かめたん”さんと同じ。



4 管理組合は、維持修繕を円滑かつ適切に実施するため、設計に関する図書等を保管することが重要である。また、この図書等について、マンション建設業者や宅地建物取引業者の求めに応じ、閲覧できるように配慮することが望ましい。

”かめたん”さんの解説
X 適切でない。
 【肢4】については、「
マンション建設業者や宅地建物取引業者の求めに応じ、閲覧できるように配慮することが望ましい。」ではなく、「マンションの区分所有者等の求めに応じ、適時閲覧できるように配慮することが望ましい。」が正しく、誤っている。

”香川”の解説
X 適切でない。”かめたん”さんと同じ。


答え:4 難しくはありません。

《タグ》マンションの管理の適正化に関する指針

問47

【問47】 マンションに関する次の記述のうち、マンション管理適正化法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 「マンション管理士」とは、マンション管理適正化法第30条第1項の登録を受け、マンション管理士の名称を用いて、専門知識をもって、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者等の相談に応じ、助言、指導その他援助を行うことを業務とするものをいう。

”かめたん”さんの解説
X 【誤っている】 他の法律においてその業務を行うことが制限されているものを除く。」が抜けている。
 マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下、この解説においては「マンション管理適正化法」という)第2条5号に「マンション管理士」について用語の意義があり次の通りである。
 「第2条5号 マンション管理士 第三十条第一項の登録を受け、マンション管理士の名称を用いて、専門的知識をもって、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者等の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うことを業務(
他の法律においてその業務を行うことが制限されているものを除く。)とする者をいう。
 よって、「(他の法律においてその業務を行うことが制限されているものを除く。)」が抜けているので、誤り。
 非弁法のことを言いたいのかな?


”香川”の解説
○ 正しい。  平成24年マンション管理士試験 「問46」、 平成22年マンション管理士試験 「問47」平成16年管理業務主任者試験 「問46」 など。

 「マンション管理士」とは、マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下、この解説においては「マンション管理適正化法」という)第2条5号
 「五  マンション管理士 第三十条第一項の登録を受け、マンション管理士の名称を用いて、専門的知識をもって、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者等の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うことを業務(他の法律においてその業務を行うことが制限されているものを除く。)とする者をいう。 」 とあり、
 正しい。
 カッコ書きの「(他の法律においてその業務を行うことが制限されているものを除く。)」は、重要な判断材料にはならないとの解釈です



2 「管理事務」とは、マンションの管理に関する基幹事務(管理組合の会計の収入及び支出の調定及び出納並びにマンション(専有部分を除く。)の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整をいう。)の一部を含むものをいう。

”かめたん”さんの解説
○ 【正しい】
 マンション管理適正化法第2条6号に「管理事務」について用語の意義があり次の通りである。
 「第2条6号 管理事務 マンションの管理に関する事務であって、基幹事務(管理組合の会計の収入及び支出の調定及び出納並びにマンション(専有部分を除く。)の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整をいう。以下同じ。)を含むものをいう。」 
 よって、正しい。


”香川”の解説
X 誤っている。 一部ではない。
 「管理事務」とは、「マンション管理適正化法」という)第2条6号
 「六  管理事務 マンションの管理に関する事務であって、基幹事務(管理組合の会計の収入及び支出の調定及び出納並びにマンション(専有部分を除く。)の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整をいう。以下同じ。)を含むものをいう。 」 とあり、
 設問の「”
一部”を含むもの」では、正しくない。


3 「マンション管理業」とは、管理組合から委託を受けて管理事務を行う行為で業として行うもの(マンションの区分所有者等が当該マンションについて行うものを除く。)をいう。

”かめたん”さんの解説
○ 【正しい】
 マンション管理適正化法第2条7号に「マンション管理業」について用語の意義があり次の通りである。
 「第2条7号 マンション管理業 管理組合から委託を受けて管理事務を行う行為で業として行うもの(マンションの区分所有者等が当該マンションについて行うものを除く。)をいう。
 よって、正しい。

”香川”の解説
○ 正しい。 ”かめたん”さんと同じ。



4 「マンション管理業者」とは、マンション管理適正化法第44条の登録を受けてマンション管理業を営む者をいう。

”かめたん”さんの解説
○ 【正しい】
 マンション管理適正化法第2条8号に「マンション管理業者」について用語の意義があり次の通りである。
 「第2条8号 マンション管理業者 第四十四条の登録を受けてマンション管理業を営む者をいう。」
 よって、正しい。

”香川”の解説
○ 正しい。 ”かめたん”さんと同じ。



答え:かめたん”さん:1
   香川:2 
   マンション管理士センターの答え:2

《タグ》マンション管理士とは、管理事務とは、マンション管理業とは、マンション管理業者とは。  マンション管理適正化法

問48

【問48】 マンション管理士の登録に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、マンション管理士の登録に必要な他の要件は満たしているものとする。

1 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないものは、マンション管理士の登録を受けることができない。

X 誤っている。 マンション管理士に”破産者で復権を得ないもの”は登録要件に入っていない。
 平成23年マンション管理士試験 「問47」、 平成20年マンション管理士試験 「問48」 など。
 マンション管理士の登録は、マンション管理適正化法第30条1項1号
 「(登録) 
 第三十条  マンション管理士となる資格を有する者は、国土交通大臣の登録を受けることができる。ただし、次の各号のいずれかに該当する者については、この限りでない。
     
一  成年被後見人又は被保佐人
     二  禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
     三  この法律の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
     四  第三十三条第一項第二号又は第二項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者
     五  第六十五条第一項第二号から第四号まで又は同条第二項第二号若しくは第三号のいずれかに該当することにより第五十九条第一項の登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者
     六  第八十三条第二号又は第三号に該当することによりマンション管理業者の登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者(当該登録を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しの日前三十日以内にその法人の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう。第三章において同じ。)であった者で当該取消しの日から二年を経過しないもの)
   2  前項の登録は、国土交通大臣が、マンション管理士登録簿に、氏名、生年月日その他国土交通省令で定める事項を登載してするものとする。 」 
とあり、
 設問は、「マンション管理士の登録に必要な他の要件は満たしているものとする」とありますから、該当するのは、1項の「一  成年被後見人又は被保佐人 」です。
 1項によれば、設問の「
又は破産者で復権を得ないもの」は、マンション管理士の登録の要件には、入っていないため、誤りです
 マンション管理士に管理業務主任者(マンション管理適正化法第59条)や管理業者(マンション管理適正化法第47条)に求められている、「又は破産者で復権を得ないもの」の要件が求められていないのは、マンション管理士はコンサルタントで、特に経済的な財産も必要としていないためです。



2 マンション管理適正化法の規定に違反したとして罰金の刑に処せられた者は、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過したとき、マンション管理士の登録を受けることができる。

○ 正しい。
 選択肢1で引用しました、マンション管理適正化法第30条1項3号
 「三  この法律の規定(マンション管理適正化法)により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者」 は、登録できませんが、マンション管理適正化法の規定に違反したとして罰金の刑に処せられた者は、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過すれば、マンション管理士の登録を受けることができますから、正しい。



3 マンション管理士は、氏名、住所、本籍(日本の国籍を有しない者にあっては、その者の有する国籍)その他のマンション管理士登録簿の記載事項に変更があったときは、遅滞なく、その旨を届け出なければならない。

○ 正しい。 平成23年マンション管理士試験 「問47」、 平成15年管理業務主任者試験 [問46」
 管理士登録簿の記載事項の変更は、マンション管理適正化法第32条、
 「(登録事項の変更の届出等)
 第三十二条  
マンション管理士は、第三十条第二項に規定する事項に変更があったときは、遅滞なく、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない
   2  マンション管理士は、前項の規定による届出をするときは、当該届出に登録証を添えて提出し、その訂正を受けなければならない。 」 とあり、
 
引用されています第30条2項は、選択肢1でも引用しました、
 「2  前項の登録は、国土交通大臣が、マンション管理士登録簿に、
氏名、生年月日その他国土交通省令で定める事項を登載してするものとする。 」 です。
 そこで、国土交通省令で定めるは、マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則(以下、「マンション管理適正化法施行規則」という)第26条、
 「(マンション管理士登録簿の登載事項)
 第二十六条  法第三十条第二項 に規定する国土交通省令で定める事項は、次に掲げるものとする。
     一  
住所 
     二  
本籍(日本の国籍を有しない者にあっては、その者の有する国籍)及び性別
     三  
試験の合格年月日及び合格証書番号
     四  
登録番号及び登録年月日
   2  国土交通大臣は、登録講習機関から第四十二条の十一第一項の報告書の提出があったとき、又は第四十二条の十四の規定により講習の課程を修了したことを証する書面を交付したときは、講習の修了年月日及び講習を行った機関の氏名又は名称をマンション管理士登録簿に記載するものとする。
   3  マンション管理士登録簿の様式は、別記様式第五号によるものとする。」
 とあり、
 マンション管理士登録簿に搭載されるのは、マンション管理適正化法第32条とマンション管理適正化法施行規則第26条1項によれば、
  ・氏名
  ・生年月日
  ・住所 
  ・本籍(日本の国籍を有しない者にあっては、その者の有する国籍)
  ・性別
  ・試験の合格年月日及び合格証書番号
  ・登録番号及び登録年月日
 ですから、マンション管理士は、氏名、住所、本籍(日本の国籍を有しない者にあっては、その者の有する国籍)その他のマンション管理士登録簿の記載事項に変更があったときは、遅滞なく、その旨を届け出なければならず、正しい。



4 偽りその他不正の手段により、マンション管理士の登録を受けたとき、国土交通大臣は、マンション管理士の登録を取り消さなければならない。

○ 正しい。 平成22年マンション管理士試験 「問46」平成20年管理業務主任者試験 「問48」 など。 
 マンション管理士の登録の取り消しは、マンション管理適正化法第33条
 「(登録の取消し等)
 第三十三条  国土交通大臣は、マンション管理士が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消さなければならない。
     一  第三十条第一項各号(第四号を除く。)のいずれかに該当するに至ったとき。
     
二  偽りその他不正の手段により登録を受けたとき
   2  国土交通大臣は、マンション管理士が第四十条から第四十二条までの規定に違反したときは、その登録を取り消し、又は期間を定めてマンション管理士の名称の使用の停止を命ずることができる。 」
 とあり、
 1項2号の「二  偽りその他不正の手段により登録を受けたとき」に該当し、正しい。



答え:1  特に難しくない出題です。

《タグ》マンション管理士、登録事項、取り消し。  マンション管理適正化法 + 施行規則

問49

【問49】 マンション管理業に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 国土交通大臣は、マンション管理業の登録申請者が、500万円以上の基準資産を有しない者であるときは、その登録を拒否しなければならない。

”かめたん”さんの解説
X 【誤っている】 基準資産は、300万円以上必要である。  平成18年管理業務主任者試験 「問48」平成13年マンション管理士試験 「問49」
 マンション管理業者の登録拒否事由はマンション管理適正化法第47条にある。
 「第四十七条  国土交通大臣は、登録申請者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は登録申請書若しくはその添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。
     一  成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
     二  第八十三条の規定により登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者
     三  マンション管理業者で法人であるものが第八十三条の規定により登録を取り消された場合において、その取消しの日前三十日以内にそのマンション管理業者の役員であった者でその取消しの日から二年を経過しないもの
     四  第八十二条の規定により業務の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者
     五  禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
     六  この法律の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
     七  マンション管理業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人(法定代理人が法人である場合においては、その役員を含む。)が前各号のいずれかに該当するもの
     八  法人でその役員のうちに第一号から第六号までのいずれかに該当する者があるもの
     九  事務所について第五十六条に規定する要件を欠く者
     
十  マンション管理業を遂行するために必要と認められる国土交通省令で定める基準に適合する財産的基礎を有しない者 
 そのうち、10号に「国土交通省令で定める基準に適合する財産的基礎を有しない者」とあり、その定めであるマンション管理適正化法施行規則第54条は次のとおりである。
 
「(財産的基礎)
 第五十四条  法第四十七条第十号 の国土交通省令で定める基準は、次条に定めるところにより算定した資産額(以下「
基準資産額」という。)が、三百万円以上であることとする。 」

 とある。
 よって、基準資産は「500万円以上」ではなく、「300万円以上」であるので、誤っている。

香川の解説;”かめたん”さんと同じ。
X 誤っている。



2 マンション管理業者は、自己の名義をもって、他人にマンション管理業を営ませてはならない。

”かめたん”さんの解説
○ 【正しい】
 名義貸しの禁止は、マンション管理適正化法第54条
 「(名義貸しの禁止)
 第五十四条  マンション管理業者は、自己の名義をもって、他人にマンション管理業を営ませてはならない。」
 
 とあり、正しい。

”香川の解説;”かめたん”さんと同じ。
○ 正しい。



3 マンション管理業の登録の有効期間の満了後引き続きマンション管理業を営もうとする者は、登録の有効期間満了の日の90日前から30日前までの間に登録申請書を提出しなければならない。

”かめたん”さんの解説
○ 【正しい】
 マンション管理業の登録の規定はマンション管理適正化法第44条にある。
 「(登録) 
 第四十四条  マンション管理業を営もうとする者は、国土交通省に備えるマンション管理業者登録簿に登録を受けなければならない。
   2  マンション管理業者の登録の有効期間は、五年とする。
   
3  前項の有効期間の満了後引き続きマンション管理業を営もうとする者は、更新の登録を受けなければならない。
   4  更新の登録の申請があった場合において、第二項の有効期間の満了の日までにその申請に対する処分がなされないときは、従前の登録は、同項の有効期間の満了後もその処分がなされるまでの間は、なお効力を有する。
   5  前項の場合において、更新の登録がなされたときは、その登録の有効期間は、従前の登録の有効期間の満了の日の翌日から起算するものとする。 」
 
 とあり、3項の有効期間の満了後の更新の登録についての期間については、マンション管理適正化法施行規則第50条にある。
 「(更新の登録の申請期間)
 第五十条  
法第四十四条第三項 の規定により同項 の更新の登録を受けようとする者は、登録の有効期間満了の日の九十日前から三十日前までの間に登録申請書を提出しなければならない
 とあり、正しい。

”香川の解説;”かめたん”さんと同じ。
○ 正しい。
 平成24年マンション管理士試験 「問48」、 平成20年マンション管理士試験 「問49」


4 マンション管理業を廃止した場合においては、マンションの管理業者であった個人又はマンション管理業者であった法人を代表する役員は、その日から30日以内に、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。

”かめたん”さんの解説
○ 【正しい】
 マンション管理業の廃業についてはマンション管理適正化法第50条にあり、次のとおりである。
 「(廃業等の届出)
 第五十条  マンション管理業者が次の各号のいずれかに該当することとなった場合においては、当該各号に定める者は、
その日(第一号の場合にあっては、その事実を知った日)から三十日以内に、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。
     一  死亡した場合 その相続人
     二  法人が合併により消滅した場合 その法人を代表する役員であった者
     三  破産手続開始の決定があった場合 その破産管財人
     四  法人が合併及び破産手続開始の決定以外の理由により解散した場合 その清算人
     
五  マンション管理業を廃止した場合 マンション管理業者であった個人又はマンション管理業者であった法人を代表する役員
   2  マンション管理業者が前項各号のいずれかに該当するに至ったときは、マンション管理業者の登録は、その効力を失う。」

 とあり、1項5号に該当し、正しい。

”香川の解説;”かめたん”さんと同じ。
○ 正しい。



答え:1 ここも、それほど、難しくはない出題でした。

《タグ》マンション管理業、基準資産額、 名義貸しの禁止、登録の更新、 廃業。 マンション管理適正化法 + 施行規則

問50

【問50】 マンション管理適正化法第103条第1項に規定する宅地建物取引業者が交付しなければならないマンションの設計に関する図書(以下「設計図書」という。)に関する次の記述のうち、同法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 マンションの駐車場、公園、緑地及び公園に係る図書は、設計図書には含まれない。

”かめたん”さんの解説
X 【誤っている】。 マンションの駐車場、公園、緑地及び公園に係る図書は、設計図書には含まれる。マンション管理適正化法施行規則 本文にある。 
平成18年管理業務主任者試験 「問50」平成17年マンション管理士試験 「問50」、 平成15年マンション管理士試験 「問50」
 出題の、マンション管理適正化法第103条は、
 「(設計図書の交付等)
 第百三条  宅地建物取引業者(宅地建物取引業法 (昭和二十七年法律第百七十六号)第二条第三号 に規定する宅地建物取引業者をいい、同法第七十七条第二項 の規定により宅地建物取引業者とみなされる者(信託業務を兼営する金融機関で政令で定めるもの及び宅地建物取引業法第七十七条第一項 の政令で定める信託会社を含む。)を含む。以下同じ。)は、自ら売主として人の居住の用に供する独立部分がある建物(新たに建設された建物で人の居住の用に供したことがないものに限る。以下同じ。)を分譲した場合においては、国土交通省令で定める期間内に当該建物又はその附属施設の管理を行う管理組合の管理者等が選任されたときは、速やかに、当該管理者等に対し、当該建物又はその附属施設の設計に関する図書で国土交通省令で定めるものを交付しなければならない。
  2  前項に定めるもののほか、宅地建物取引業者は、自ら売主として人の居住の用に供する独立部分がある建物を分譲する場合においては、当該建物の管理が管理組合に円滑に引き継がれるよう努めなければならない。 」 
とあり
 1項を受けたマンション管理適正化法施行規則第102条
 「(法第百三条第一項 の国土交通省令で定める図書)
 第百二条  法第百三条第一項 の国土交通省令で定める図書は、次の各号に掲げる、
工事が完了した時点の同項 の建物及びその附属施設(駐車場、公園、緑地及び広場並びに電気設備及び機械設備を含む。)に係る図書とする。
     一  付近見取図
     二  配置図
     三  仕様書(仕上げ表を含む。)
     四  各階平面図
     五  二面以上の立面図
     六  断面図又は矩計図
     七  基礎伏図
     八  各階床伏図
     九  小屋伏図
     十  構造詳細図
     十一  構造計算書」 

 とあり、本文により「マンションの駐車場、公園、緑地及び公園に係る図書は、設計図書」は、含まれるので、誤っている。

”香川の解説:”かめたん”さんの解説と同じ。
X 誤っている。



2 マンションの日影図は、設計図書に含まれる。

”かめたん”さんの解説
X 【誤っている】。日影図は、設計図書に含まれない。
 選択肢1で引用したマンション管理適正化法施行規則第102条によれば、「日影図」の記載はない。
 よって、「日影図」は含まれないので、誤っている。

”香川の解説:”かめたん”さんの解説と同じ。
X 誤っている。



3 設計図書は、工事が完了した時点の建物及びその附属施設に係る図書である。

”かめたん”さんの解説
○ 【正しい】
 選択肢1で引用したマンション管理適正化法施行規則第102条の内
 「法第百三条第一項 の国土交通省令で定める図書は、次の各号に掲げる、
工事が完了した時点の同項 の建物及びその附属施設(駐車場、公園、緑地及び広場並びに電気設備及び機械設備を含む。)に係る図書とする。」 とある。
 よって、「工事が完了した時点の建物及びその附属施設に係る図書である。」ので、正しい。

”香川の解説:”かめたん”さんの解説と同じ。
○ 正しい。



4 自ら売主として新築マンションを分譲した宅地建物取引業者は、その分譲後2年以内に当該マンションの管理組合の管理者等が選任されたときは、速やかに、当該管理者等に対し、設計図書を交付しなければならない。

”かめたん”さんの解説
X 【誤っている】。 分譲後2年以内ではなく、1年である。
 設問の、「自ら売主として人の居住の用に供する独立部分がある建物(新たに建設された建物で人の居住の用に供したことがないものに限る。以下同じ。)を分譲した場合においては、国土交通省令で定める期間内に当該建物又はその附属施設の管理を行う管理組合の管理者等が選任されたときは、速やかに、当該管理者等に対し、当該建物又はその附属施設の設計に関する図書で国土交通省令で定めるものを交付しなければならない。」 は、選択肢肢1で述べた、マンション管理適正化法第103条1項で、
 これを受けた、
 マンション管理適正化法施行規則第101条
 「(法第百三条第一項 の国土交通省令で定める期間)
 第百一条  法第百三条第一項 の国土交通省令で定める期間は、
一年とする。」 
 とあり、 「2年」ではなく「1年」であり、誤っている。

”香川の解説:”かめたん”さんの解説と同じ。
X 誤っている。



答え:3

《タグ》設計図書。 マンション管理適正化法施行規則

ここまで、問50


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最終更新日:
2017年 4月 9日:平成28年3月改正の標準管理規約に対応した。
2015年 2月23日:再考した。
2015年 2月 9日:リンクを付けた。
2015年 1月13日:第1稿 Up
解説開始:2014年12月15日
問題文Up:2014年12月 4日

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