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平成29年(2017年) マンション管理士 試験問題 及び 解説

ページ1(問1より問25まで)

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謝辞:問題文の作成には、 高井様、白井様の協力を得ています。

※ 出題当時以後の法令等の改正には、一部は対応していません。

*試験に臨んで、お節介なアドバイス
  1.設問にあわせて、問題用紙に ○(まる)、X(ばつ)をつける。
    殆どの設問が、「正しい」か「間違い」かを訊いてきますので、設問により、問題の頭に、○かXをつけます。
    そして、各選択肢を読み、○かXをつけます。
    問題の○なりXと、選択肢の○かXが一致したものを、マークシートに記入してください。

  2.疑問な問題は、とりあえず飛ばす。
    回答の時間は限られています。
    そこで、回答として、○かXかはっきりしないものがでたら、「?」マークをつけて、次の問題に移ります。
    全部の回答が終わってから、再度戻って決定してください。

  3.複雑な問は、図を描く。
    甲、乙、A、B、Cなど対象が多い問題もでます。
    この場合、問題用紙の空いているところに、図を描いてください。
    重要な点が分かってきます。

(出題者からの注意
次の注意事項をよく読んでから、始めてください。
(注 意) 1 これは試験問題です。問題は、1ページから28ページまでの50問です。
      2 試験開始の合図と同時に、問題のページ数を確認してください。 もし落丁や乱丁があった場合は、ただちに試験監督員に申し出てください。 また、法律等の略称及び用語の定義について、裏面の記載を確認してください。
      3 答は、別の解答用紙に記入してください。 解答用紙に記入する際は、解答用紙の注意事項をよく読み、所定の要領で記入してください。
      4 答は、各問題とも1つだけです。 2つ以上の解答をしたもの、判読が困難なものは、正解としません。
      5 問題中法令等に関する部分は、平成29年4月1日現在施行中の規定に基づいて出題されています。

 問題の中で使用している主な法律等の略称及び用語の定義については、以下のとおりとします。
・「区分所有法」………………… 建物の区分所有等に関する法律 (昭和37年法律第69号)
  ☆マンション管理士 香川より;この解説においては、私も略称「区分所有法」といいます。

・「マンション管理適正化法」… マンションの管理の適正化の推進に関する法律 (平成12年法律第149号)
  ☆マンション管理士 香川より;この解説においては、私も略称「マンション管理適正化法」といいます。

・「標準管理規約」………………  マンション標準管理規約(単棟型)及び マンション標準管理規約(単棟型)コメント  (平成28年3月14日国土交通省土地・建設産業局長・ 同住宅局長通知)
  ☆マンション管理士 香川より、この解説においては、私も略称「標準管理規約」といいます。

・「マンション」…………………  「マンション管理適正化法第2条第1号イに 規定するマンション」をいう。
 ☆マンション管理士 香川より;
  初めての人には、分かり難い引用方法です。
  そこで、
私の過去の年度の解説を読んでいる人には、度々となりますが、これは、受験での基本ですから、解説します。

 建物の区分所有等に関する法律(以下、当解説では、「区分所有法」といいます)では、法律用語として「マンション」の定義がありません。しかし、マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下、当解説では、「マンション管理適正化法」といいます)第2条では、以下のように定義されていますので、マンションの用語を試験で使用する際にはこのような「マンション(マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下「マンション管理適正化法」という。)第2条第1号イに規定するマンションをいう」の表現が使用されます。
 
  そこで、マンション管理適正化法第2条とは、
 
「(定義) 
  第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号の定めるところによる。
     一
 マンション 次に掲げるものをいう
       イ 
二以上の区分所有者(建物の区分所有等に関する法律 (昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第二条第二項 に規定する区分所有者をいう。以下同じ。)が存する建物で人の居住の用に供する専有部分(区分所有法第二条第三項 に規定する専有部分をいう。以下同じ。)のあるもの並びにその敷地及び附属施設」

 です。マンション管理適正化法第2条1号イによれば、「マンション」であるための要件は、
    @2人以上の区分所有者 がいて、 
    A人の居住用の専有部分が1つでもあればいい 
 です。マンションの建物には、専有部分と共用部分しかなく、そして、マンションは専有部分と共用部分を含んだ建物と敷地及び附属施設の全体的なものであることに注意してください。

 


・「管理組合」……………………  「区分所有法第3条に規定する区分所有者の団体」 をいう。
  ☆マンション管理士 香川より; この定義の仕方には問題があります。
  まず、区分所有法第3条とは、
 
 「(区分所有者の団体)
   
第三条  区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも、同様とする。 」
 です。

  このマンション管理士試験では、区分所有法第3条前半に規定される区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を”即=管理組合”に置き換えていますが、区分所有法では、法人化された場合には、「管理組合法人」の規定はありますが、管理組合だけの規定は1つも存在しません。
 法律で定義がされていない管理組合を国家試験として、直ちに「区分所有法第 3条に規定する区分所有者の団体をいう」は、適切ではありません。



解説者(マンション管理士 香川)からのコメント:あやふやな出題、適切でない出題もあって、解答ができないのもあります。

※ ・マンション標準管理委託契約書は、平成30年3月9日付で24条に「反社会勢力の排除」などの改正があり、平成30年度の試験から出題適用となるので注意のこと。

   ・マンション標準管理規約は、平成29年8月29日付で「民泊」で12条に改正があり、平成30年度の試験から出題適用となるので注意のこと。

    ・マンションの管理の適正化に関する指針(国土交通省告示第490号)及びマンション標準管理規約は、平成28年3月14日付で大幅な改正があった。
  
   ・マンション標準管理委託契約書は、平成28年7月に改正があり、平成29年度の試験から出題適用となるので注意のこと。
   
   ・マンション標準管理規約は、平成16年に改正があった。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。
   ・マンション標準管理委託契約書は、平成15年に改正があった。また、平成22年5月にも改正があった。

問1

〔問 1〕 区分所有法第3条に規定する区分所有者の団体(この問いにおいて「3条の団体」という。)に関する次の記述のうち、区分所有法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 一棟の建物に二以上の区分所有者が存する場合には、管理者が定められず、かつ、規約が設定されていなくても、3条の団体が成立し、権利能力のない社団が存在する。

X 誤っている。 団体は成立するが、全てが「権利能力のない社団」とは言えない。
  平成28年 マンション管理士試験 「問2」、 平成28年 管理業務主任者試験 「問36」平成27年 マンション管理士試験 「問1」、平成26年 管理業務主任者試験 「問36」、 平成26年 マンション管理士試験 「問9」、 平成23年 マンション管理士試験 「問1」、 平成22年 マンション管理士試験 「問2」、 平成22年 管理業務主任者試験 「問1」平成21年 マンション管理士試験 「問2」、 など。  

 まず、区分所有法第3条とは、上の定義でも説明しましたが、
  「(区分所有者の団体)
 
第3条 区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも、同様とする。」 とあり、
 この区分所有法第3条の解釈として、区分所有者が複数いれば、区分所有者の団体が構成される、で文は切れて、そして、その団体は、集会を開いたり、規約を定めたり、管理者を置くことができますということです。
 ですから、設問の前半「一棟の建物に二以上の区分所有者が存する場合には、管理者が定められず、かつ、規約が設定されていなくても、3条の団体が成立し」は、正しい。

 しかし、その団体すべてが「権利能力のない社団」に該当するかとなると、また別の話です。

 通常、目的を持った人の集団は、民法等の法体系では法人(会社・社団)とか労働組合とかの範疇に入れて法的にも権利義務を明確にしています。
 しかし、世の中には、曖昧な存在の団体が多くて、これらの団体が取引をしてどんな責任をとるのか争いが起こりました。
 そこで、昭和39年10月15日、最高裁判所の判決 では、登記などをしていない、曖昧な存在の団体であっても次のような要件を満たせば、「権利能力のない社団」として、「社団」として扱うことにしました。
 権利能力のない社団として扱われる要件は、
  @団体としての組織を備え、
  A多数決の原則が行われ、
  B構成員の変更にかかわらず団体が存在し、
  Cその組織において代表の方法、総会の運営、財産の管理等、団体としての主要な点が確立していること
 です。
 
 今日のマンションでは、販売時から規約があり、管理者たる理事長も選任されて置かれていますが、区分所有法の創案者は、管理者がいない場合や、多数決の原理によってその団体が動いていない場合などもあるため、明確に法律で規定の対象にできない実態から単に「団体」と規定したようです。


 そこで、設問に戻りますが、区分所有法の当初の考えでは、全ての場合に「権利能力のない社団が存在する」とは、言えないため、法律の解釈では、ここは、誤っているとなります。

  なお、この設問は、現在の区分所有建物(マンション)の形態では、区分所有者の団体は「権利能力のない社団」に該当しますから、現実を無視した、法律文の弄びで適切ではありません。



2 3条の団体は、区分所有権を有する者がその構成員となる団体であり、区分所有権を有さずにマンションに居住している者は、集会の決議及び規約に拘束されることはない。

X 誤っている。 区分所有権を有さない居住者(賃借人などの占有者)も「集会の決議及び規約」には拘束される。
  選択肢1で説明しましたように、区分所有法第3条の団体は、区分所有権を有する者(区分所有者)だけが構成員となりますから、設問の前半「3条の団体は、区分所有権を有する者がその構成員となる団体であり」は、正しい。
 しかし、後半の「区分所有権を有さずにマンションに居住している者は、集会の決議及び規約に拘束されることはない」については、区分所有法第46条
 
「(規約及び集会の決議の効力)
 第46条 規約及び集会の決議は、区分所有者の特定承継人に対しても、その効力を生ずる。
2 占有者は、建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法につき、区分所有者が規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う

 とあり、
 区分所有法第46条2項によれば、区分所有権を有さずにマンションに居住している者(賃借人や同居者など)も、占有者として区分所有者と同様に、集会の決議及び規約に拘束されますから、誤りです。

 そこで、選択肢2は、全体として、誤りです。


3 特定の区分所有者が、建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為を行い、その行為による共同生活上の障害が著しい場合には、その区分所有者について、区分所有権を保持させたままで3条の団体の構成員の資格を失わせることができる。

X 誤っている。 区分所有権と敷地利用権が無くなると、区分所有者の団体の構成員でなくなる。

  選択肢1及び2で説明しましたように、区分所有権を有している区分所有者であれば、無条件に区分所有法第3条の団体の構成員になり、参加を嫌とは言えません。
 逆に、区分所有者でなくなれば、この区分所有者の団体から離脱することになります。 
 この基本がわかれば、区分所有権が無くなれば、区分所有者の団体の構成員にはなれませんから、区分所有権を保持させたままで3条の団体の構成員の資格を失わせることができるは、誤りです。

 なお、設問の飾りの「共同の利益違反」ですが、区分所有法では、
  第57条で「行為の停止」、
  第58条で「専有部分の使用禁止」
  そして、第59条で「区分所有権と敷地利用権の競売」ができます。

  第57条「行為の停止」と第58条「専有部分の使用禁止」は、区分所有権を失いません(3条の団体の構成員のまま)が、第59条の「区分所有権と敷地利用権の競売」となると、区分所有権と敷地利用権を失い、同時に3条の団体の構成員でなくなります。


 参考:区分所有法第59条
 (区分所有権の競売の請求)
第59条 第57条第1項に規定する場合において、第6条第1項に規定する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によつてはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもつて、
当該行為に係る区分所有者の区分所有権及び敷地利用権の競売を請求することができる。
2 第57条第3項の規定は前項の訴えの提起に、前条第2項及び第3項の規定は前項の決議に準用する。
3 第1項の規定による判決に基づく競売の申立ては、その判決が確定した日から6月を経過したときは、することができない。
4 前項の競売においては、競売を申し立てられた区分所有者又はその者の計算において買い受けようとする者は、買受けの申出をすることができない。



4 一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(この問いにおいて「一部共用部分」という。)があっても、区分所有者全員の利害に関係する一部共用部分の管理のすべてを区分所有者全員で行う場合には、一部の区分所有者のみで構成される3条の団体は存在しない。

X 誤っている。 一部共用部分で区分所有者全員の利害に関しない場合は、一部の区分所有者のみで構成される3条の団体が存在し、管理する。
 平成28年 管理業務主任者試験 「問36」、 平成27年 マンション管理士試験 「問1」、 平成26年 管理業務主任者試験 「問36」、 平成24年 管理業務主任者試験 「問38」、 平成15年 管理業務主任者試験 「問37」

 設問が分からない! 大変に解読が難しい日本語です。 あなたは、この文章が理解できましたか?

 まず、一部共用部分ですが、これは、選択肢1で引用しました区分所有法第3条にあります。
 「(区分所有者の団体)
 第3条 区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。
一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも、同様とする。」 です。

 区分所有法第3条によれば、「一部共用部分」とは、一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが”明らかな”共用部分です。
 
 具体的には、1棟のマンションで下が店舗、上が住居用の構造となっており、店舗部分には従業員専用入り口やお客を対象にした出入口があり、住居部に対しては住居部専用の出入口や居住階専用のエレベーターがある場合を考えてください。
 この状況で店舗用の共用部分である従業員専用出入り口や店内にある廊下などの部分は、店舗部だけの「一部共用部分」となりますし、また、住居部専用の出入口や住居部だけが使用する廊下、居住階専用のエレベーターなどがあればその共用部分は、住居部だけの「一部共用部分」となります。
 この場合「一部共用部分」を管理する各々の団体が当然に構成されます。
そして、その「一部共用部分」を管理する各々の団体においても、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができるとしています。

 

  そして、区分所有法第16条
 「(一部共用部分の管理)
第16条 一部共用部分の管理のうち、区分所有者全員の利害に関係するもの又は第31条第2項の規約に定めがあるものは区分所有者全員で、その他のものはこれを共用すべき区分所有者のみで行う。」 

 とあります。
  これは、
   @区分所有者”全員の利害に関係するもの”は一部共用部分であっても当然に全体の管理への強制移管とし、
   Aその他のものは、一部共用部分であって全体の利害に関係しなくても、規約で定めて全体の管理に移管してもよいということです。

   逆に捉えると、一部共用部分で、
   @区分所有者全員の利害に関係しないもの
   Aまた、全体の規約で定めていないもの
   として、残された一部共用部分だけが、一部共用部分を共用する区分所有者の団体で管理することになります。

  

 そこで、設問の「区分所有者”全員の利害に関係する一部共用部分の管理のすべて”を区分所有者全員で行う場合」が「全員の利害」と「すべて」で分からないのですが、これは、素直にとると、区分所有者全員の利害に関する一部共用部分は区分所有者全員ですべて管理し、他に区分所有者全員の利害に関係しない、つまり一部共有者だけが管理する一部共用部分があると理解できます。
 すると、一部の区分所有者のみで構成される区分所有法第3条での団体も存在しますから、誤りです。


答え:正解なし。 マンション管理センターの発表:4
 

  今年(2017年)の出題者は、出だしの第1問から曖昧な設問をしたものだ! 選択肢4を正解としたいようだけど、「区分所有者全員の利害に関係する一部共用部分の管理のすべてを区分所有者全員で行う場合」となると、どうしても、「一部共用部分で区分所有者全員の利害に関しない場合」が出てくる。

 *出題ミスは、平成24年など過去にも度々あります。
 今年の受験生は、早急に、出題元の「公益財団法人 マンション管理センター」とその監督官庁である国土交通省へ、出題の不備を問いただしてください。例は、
 http://www.higuchi-fit.co.jp/mezase/kako-mon/H24/H24-man-q24-shitumon.htm
 にあります。

 また、私のサイト 「マンション管理士・管理業務主任者 出題分野 分 析 編」 も参考にしてください。

 区分所有法第3条の解釈など、区分所有法の解説は、マンション管理士 香川 が無料で提供しています「超解説 区分所有法」のサイトを参考にしてください。また、リンクされている過去問題の解説も参考に、勉強してください。
 
《タグ》 区分所有法、団体、権利能力のない社団、一部共用部分、区分所有権、区分所有者

***************************************
 ★2018年 1月12日:出題元の 公益財団法人 マンション管理センター の 正解 4 の発表を受けて
  選択肢4を正解にするとは、一体どのように、日本語を解釈するのか!
  まったく、不可解な出題元だ!こんなおかしな文章を出題しておいて、
  「各受験者の採点結果、試験問題等に関する問い合わせには、一切応じられません。」
 とは、高額な受験料を払った真摯な受験者を愚弄したものだ。
  こんなに傲慢で高飛車な態度をとるとは、公益財団法人 マンション管理センター は思いあがっている。

  この出題は、糾弾する。

 ★2018年 1月14日 追記: 解説をしていたら、平成29年 のマンション管理士試験 「問30」 選択肢3 の 「利害関係人からの会計帳簿の閲覧請求については、閲覧させることを要しない。」 も「適切」であり、利害関係人も閲覧請求には「理由を付した書面」が必要も見つけた。

問2

〔問 2〕 甲マンション101 号室の所有権がAからBに移転した場合に関する次の記述のうち、区分所有法の規定及び標準管理規約によれば、正しいものはどれか。

1 Aが管理費を滞納していた場合、AB間の合意があれば、BはAの滞納管理費を承継しないことができ、管理組合から請求があっても支払を拒否することができる。

X 誤っている。 例え当事者間の合意があっても、特定承継人(買受人)は、滞納管理費の支払義務がある。
  過去問多い。 平成28年 管理業務主任者試験 「問11」、 平成27年 マンション管理士試験 「問3」平成26年 管理業務主任者試験 「問11」平成24年 管理業務主任者試験 「問11」、 平成21年 マンション管理士試験 「問3」 、平成19年 管理業務主任者試験 「問10」 など。

 このような設問では、問題用紙に下のような図を書くといいでしょう。

 
 
 まず、所有権の移転により、他の人の権利・義務を取得する行為は、法律上「承継」と呼ばれ、承継をする人は「承継人」と呼ばれます。
 そして、承継人ですが、承継人には、@包括承継人 と A特定承継人 の2つの場合があります。

 1. 包括承継人(一般承継人)とは
  他人の権利義務を一括して承継することを包括承継(一般承継ともいいます。)といい、承継する者を包括承継人といいます。
  例えば、相続により被相続人の権利義務を承継する相続人がその例です。
 包括承継の場合はその人の年金等一身専属的な権利を除きその人の権利義務の一切(包括的地位)を包括的に承継します。

 2. 特定承継人とは
  他人の権利義務を個別的に取得することを特定承継といい、承継する者を特定承継人といいます。
 売買、交換、贈与などによる普通の権利の承継は、みな特定承継で、売買契約の譲受人(買主)などが特定承継人の典型例です。
 また、抵当権の実行により競売物件を競落して所有権を取得した競落人(買受人)も、特定承継人に該当します。

  

  
そこで、マンションの101号室をAから購入したBは、特定承継人と呼ばれます。
 すると、区分所有法第8条
  「(特定承継人の責任)
  
第8条 前条第1項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。」 
 とあり、
 前条とは、区分所有法第7条
 「(先取特権)
 第7条 区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権についても、同様とする。
2 前項の先取特権は、優先権の順位及び効力については、共益費用の先取特権とみなす。
3 民法(明治29年法律第89号)第319条の規定は、第1項の先取特権に準用する。」

  です。

 通常、民法では、合意による取決めは、その合意の当事者及び相続人等の包括承継人のみを拘束するのが原則であり、売買による譲受人のような特定承継人を拘束しません。
 しかし、区分所有法第8条では、多くの人が1つの建物に住み、管理費や修繕積立金などが建物全体の保守や維持に使用されるという性格から、債権に係る責任主体を特別に拡げて、債務者である区分所有者の特定承継人に対しても、規約設定時及び集会決議時での当事者と同視して、「共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権」の弁済義務があるとしています。
 この規定により、買った人・貰った人は債権の存在を知らなくても、債務(滞納管理費等)を引き継ぐことになります。
 また、滞納している管理費などは売主が払うという約束があっても、債権者(管理組合)は買主にも売主にも請求できますから、例え、売買の当事者AB間の合意があっても、買主Bは売主Aの滞納管理費を承継しますので、管理組合からの請求を拒否することができませんから、誤りです。


 


2 Bは、仲介業者からAに管理費の滞納があると聞いていたので、滞納管理費の支払には応じるが、甲マンションの規約に定める遅延損害金については、責任はAにあるとして支払を拒否することができる。

X 誤っている。 規約に定める遅延損害金も、買主は払う。
  選択肢1で説明しましたように、買主Bは特定承継人として売主Aの滞納管理費の支払義務があり、滞納に伴い発生する遅延損害金も区分所有法第7条に規定される「管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権」に該当しますから、買主Bは、規約に定める遅延損害金については、責任はAにあるとして支払を拒否することができませんから、誤りです。
 


3 Aがその所有時に甲マンションの規約で定めた義務に違反する行為を行い、規約に定める違約金としての弁護士費用の支払を怠っていた場合、Bはその弁護士費用を支払う義務がある。

▲ 正しい? 弁護士費用の支払という、この設問は適切ではないが。

  平成20年 管理業務主任者 試験 「問10」 選択肢4平成17年 マンション管理士 試験 「問28」 選択肢4 、 平成19年 管理業務主任者 試験 「問29」 を参照。

   過去問題でも度々指摘しましたが、遅延損害金は、多くの場合加算していいが、「弁護士費用並びに督促及び徴収の諸費用」については、加算できないという説もあります。.
 ここは、あくまでも、標準管理規約(単棟型)67条4項だけの話として
 「(理事長の勧告及び指示等)
 第67条 区分所有者若しくはその同居人又は専有部分の貸与を受けた者若 しくはその同居人(以下「区分所有者等」という。)が、法令、規約又は 使用細則等に違反したとき、又は対象物件内における共同生活の秩序を乱 す行為を行ったときは、理事長は、理事会の決議を経てその区分所有者等 に対し、その是正等のため必要な勧告又は指示若しくは警告を行うことが できる。
2 区分所有者は、その同居人又はその所有する専有部分の貸与を受けた者 若しくはその同居人が前項の行為を行った場合には、その是正等のため必 要な措置を講じなければならない。
3 区分所有者等がこの規約若しくは使用細則等に違反したとき、又は区分 所有者等若しくは区分所有者等以外の第三者が敷地及び共用部分等におい て不法行為を行ったときは、理事長は、理事会の決議を経て、次の措置を 講ずることができる。
  一 行為の差止め、排除又は原状回復のための必要な措置の請求に関し、 管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行すること
  二 敷地及び共用部分等について生じた損害賠償金又は不当利得による返 還金の請求又は受領に関し、区分所有者のために、訴訟において原告又 は被告となること、その他法的措置をとること
4 前項の訴えを提起する場合、理事長は、請求の相手方に対し、違約金と しての弁護士費用及び差止め等の諸費用を請求することができる。
5 前項に基づき請求した弁護士費用及び差止め等の諸費用に相当する収納 金は、第27条に定める費用に充当する。
6 理事長は、第3項の規定に基づき、区分所有者のために、原告又は被告 となったときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならな い。この場合には、第43条第2項及び第3項の規定を準用する 」 
 とあり、
 一応、正しいとしますが、この設問は、適切ではありません。


  参考論点:
 遅延損害金は、多くの場合加算していいが、「弁護士費用並びに督促及び徴収の諸費用」については、加算できないという異論もある。本来、管理費滞納は、債務不履行であるので、債権者は債務者に対して損害賠償が請求できる。
  民法第415条「(債務不履行による損害賠償)
 「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。」
 
そして、 その損害賠償の範囲は
  民法第416条1項 (損害賠償の範囲)
 「債務の不履行に対する損害賠償の請求は、
これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。」
  とあり、
 「通常生ずべき損害」には、遅延損害金は入るが、一般には損害賠償責任を生じる原因となる事実と相当因果関係にあるものに限られ、弁護士費用や回収費用などは入らないと解されている。
  現行制度上、民事事件では、弁護士に依頼することは不要であり、また、訴訟当事者がその依頼した弁護士に支払う弁護士報酬は、原則として訴訟費用に含まれず、訴訟の勝敗に関わりなく、各自負担とされている。ただ、判例により、不法な訴えに応ずるため専門知識を有する弁護士に委任し、報酬を支払った場合、および不法行為に基づく損害賠償請求権の行使のため、弁護士に委任して訴えを提起することを余儀なくされた場合には、勝訴当事者が支払った弁護士報酬は、「相当と認められる額の範囲」で、損害の一部として相手方に請求できるとされている。
 これを、金銭債務の争いまでに広げて含めることには、学説でも争いがあり、決着していない。



4 Bが、101号室の抵当権の実行による競売において同室を買受け、AからBへの所有権の移転が行われた場合、Aが滞納していた管理費はBに承継されない。

X 誤っている。 競売での買受人も特定承継人であるため、滞納管理費を払う。
  選択肢1で説明しましたように、区分所有法第8条で定める「特定承継人」に、競売で買い受けた人も該当しますから、元の滞納者Aから競売で買ったBへの所有権の移転が行われた場合、元の滞納者Aが滞納していた管理費は競売で買ったBに承継されますから、誤りです。


答え:3? 

 
選択肢3の、マンションの管理組合は裁判については、素人なので、多くは弁護士が必要なため、弁護士費用を制裁金として捉える説(平成26年4月16日:東京高裁)もでているが、出題としては、適切ではない。

《タグ》区分所有法、特定承継人、遅延損害金、弁護士費用

問3

〔問 3〕 Aは、その所有する甲マンションの2階202 号室について、上階の排水管から発生した水漏れによって被害を受けたことを理由に、損害賠償を請求することにした。この場合に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法(明治29年法律第89 号)の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 漏水の原因が甲マンションの3階部分にある排水管の設置又は保存の瑕疵によるものであることが立証された場合には、Aは、排水管が共用部分に属するものであることを立証しなくても、管理組合に対して損害賠償を請求することができる。

〇 正しい。 排水管が共用部分に属することを立証しなくても、管理組合に請求できる。
 平成27年 管理業務主任者試験 「問37」、 平成25年 管理業務主任者試験 「問6」、 平成24年 マンション管理士試験 「問16」、 平成23年 マンション管理士試験 「問25」、 平成23年 管理業務主任者試験 「問6」、 平成22年 マンション管理士試験 「問3」、 平成22年 マンション管理士試験 「問17」、 平成22年 管理業務主任者試験 「問5」 など。 

 マンション(区分所有建物)での水漏れ事故などに関しては、区分所有法第9条
 「(建物の設置又は保存の瑕疵に関する推定)
 
第9条 建物の設置又は保存に瑕疵があることにより他人に損害を生じたときは、その瑕疵は、共用部分の設置又は保存にあるものと推定する
 とあります。

 どうして、このような条文があるかというと、通常の戸建での設置や保存で瑕疵(きず)があり、他人に損害を与えたときは、責任者がその家の持ち主か、借家であれば借家人などとある程度特定でき、その人が責任を負います(民法第717条1項参照)が、マンションでは、その建物の構造上、個人が責任を持つ専有部分が原因なのか、所有者全員の責任となる共用部分が原因なのか、特定することが困難な場合がかなりあります。
 例えば、マンションで水漏れがあり、特定の区分所有者が被害をうけたとします。しかし、マンションでは、その原因が、専有部分での漏水か、共用部分とされるメインの排水管の亀裂かなどで、なかなか分かりません。被害者としては、専有部分が原因なら、その専有部分の区分所有者に賠償責任を追及する必要がありますし、共用部分が原因なら、区分所有者全員に賠償責任を追及する必要があります。しかし、原因が特定できない場合には、どこへも損害賠償の請求ができないという不都合なことになります。
 そこで、区分所有法では、このような場合には、共用部分の設置又は保存にあるものと”推定”して、区分所有者全員が共同で責任を負うとしました。また、「推定」ですから、その瑕疵が特定の専有部分にあることが証明できれば、賠償責任は、その特定された区分所有者が負うことになります。なお、損害を受けた人(被害者)が、原因は「マンションの設置又は保存に瑕疵があること」を立証する必要はありますから、正しい。



2 漏水による損害賠償の責任を管理組合が負う場合には、管理組合は、敷地及び共用部分等の管理に要する経費に充てるために納入された管理費等を、賠償金に充当することを集会で決議することができる。

〇 正しい。 賠償金の支払は、集会の決議でできる。
  平成28年 管理業務主任者試験 「問10」、 平成27年 マンション管理士試験 「問10」、 平成26年 管理業務主任者試験 「問11」、 平成25年 マンション管理士試験 「問4」、 平成24年 マンション管理士試験 「問4」  など。

 まず、漏水による損害賠償の責任を管理組合が負う場合は、区分所有法第19条
 「(共用部分の負担及び利益収取)
 第19条 各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。

 とあり、
 各共有者(区分所有者)は、管理組合の構成員として、”共用部分の管理”にかかる費用として賠償金を負担することになります。
 通常、マンションでの負担金には、大きく分けると
  @管理費...清掃など通常の管理に使用
  A修繕積立金...将来の修繕などで使用
 があります。
 これらの管理費等の額や支払い方法は、区分所有法第18条
 「(共用部分の管理)
 第18条 
共用部分の管理に関する事項は、前条の場合を除いて、集会の決議で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。
2 前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。
3 前条第2項の規定は、第1項本文の場合に準用する。
4 共用部分につき損害保険契約をすることは、共用部分の管理に関する事項とみなす。

 とあり、
 区分所有法第18条1項により、管理費等から賠償金に充当することを集会で決議することができますので、正しい。
 なお、前条とは第17条で「その形状又は効用の著しい変更(重大変更)」を指します。この重大変更となると、扱いが変わりますから、注意してください。



3 Aが受けた水漏れの損害については、3階部分の排水管の設置又は保存に瑕疵があることによって生じたものであることが区分所有法上推定される。

X 誤っている? 特に3階とか排水管には特定できない。
  まず、選択肢1で引用しました区分所有法第9条を見てみましょう。
 「(建物の設置又は保存の瑕疵に関する推定)
 第9条 建物の設置又は保存に瑕疵があることにより他人に損害を生じたときは、その瑕疵は、共用部分の設置又は保存にあるものと推定する。

 とあります。
 そこで、設問のいやらしい文「”3階部分”の排水管の設置又は保存に瑕疵がある」と特定していいのかということです。
 通常、下の階への漏水なら、上の階の排水設備に問題がある訳ですが、それが3階なのか、また4階なのかは、まだ区分所有法では特定をしていないといっています。
 普通の人なら、2階への漏水なら、それは3階に原因があると考えるのが素直ですが、出題者はそう思っていませんから、誤りにします。



4 漏水の原因が202号室の直上階にある3階302 号室の専有部分内に存する排水管の設置又は保存の瑕疵による場合において、302 号室を賃借し居住しているCが損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、同室の所有者Bが損害賠償の義務を負う。 

〇 正しい。 専有部分と特定できるなら、民法の適用となる。
  平成27年 管理業務主任者試験 「問37」、 平成25年 管理業務主任者試験 「問6」、 平成24年 マンション管理士試験 「問16」、 平成23年 マンション管理士試験 「問14」、 平成22年 マンション管理士試験 「問16」、  など。

 選択肢1で説明しましたように、漏水の原因が明確でない場合には、区分所有法第9条の適用となりますが、原因が設問のように302号室の専有部分にあると、賠償責任は、民法第717条の適用となります。
 「(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)
 第七一七条 
土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない
2 前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。
3 前二項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。」

 です。
 この民法第717条1項によれば、責任を負うのは、第1次としては、占有者(賃借人C)ですが、Cは損害の発生を防止するのに必要な注意をしたとなっていますから、次は所有者であるBに賠償責任がありますので、正しい。



答え:3

 選択肢3が少し、面倒か?

《タグ》区分所有法、民法 建物の設置又は保存の瑕疵、

問4

〔問 4〕 管理者の職務に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 管理者の職務に関する代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

〇 正しい。 外部に見えない代理権の制限は、善意の第三者に対抗できない。
  平成27年 管理業務主任者試験 「問1」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問9」、 平成14年 マンション管理士試験 「問2」

  管理者の職務に関する代理権に加えた制限は、区分所有法第26条
 「(権限)
 第26条 管理者は、共用部分並びに第21条に規定する場合における当該建物の敷地及び附属施設(次項及び第47条第6項において「共用部分等」という。)を保存し、集会の決議を実行し、並びに規約で定めた行為をする権利を有し、義務を負う。
2 管理者は、その職務に関し、区分所有者を代理する。第18条第4項(第21条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様とする。
3 管理者の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
4 管理者は、規約又は集会の決議により、その職務(第2項後段に規定する事項を含む。)に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる。
5 管理者は、前項の規約により原告又は被告となつたときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならない。この場合には、第35条第2項から第4項までの規定を準用する。」

 とあり、
 区分所有法第26条3項によれば、管理者の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができないため、正しい。

 これは、マンションの外部の相手方は区分所有者の団体(管理組合)内部の事情は知りませんから、何も知らない外部の人(善意の第三者)を保護するための規定です。



2 管理者は、規約の定めや集会の決議によらなくても、当然にその職務に関して区分所有者のために原告又は被告となることができる。

X 誤っている。 管理者は勝手に”当然には”裁判を起こせない。規約か集会の決議が必要。
  平成28年 管理業務主任者試験 「問5」 、 平成28年 マンション管理士試験 「問2」、 平成24年 マンション管理士試験 「問5」、 平成23年 マンション管理士試験 「問8」 など。

 管理者と裁判の関係は、選択肢1で引用しました、区分所有法第26条4項

 「4 管理者は、規約又は集会の決議により、その職務(第2項後段に規定する事項を含む。)に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる。」
 とあり、
 管理者が裁判の原告や被告になるには、”当然”ではなく、その前に、規約で定めていたり、それを討議する集会の決議が必要ですから、誤りです。
 
なお、”当然”とは、他の手続きとか条件を必要としないことです。よく試験で出ますから注意してください。


3 管理者が職務を行うに当たって費用を要するときは、管理者は、委任の規定に従い、前払でその費用を請求することができる。

〇 正しい。 委任によるため、前払請求ができる。
  平成27年 マンション管理士試験 「問6」 、 平成24年 管理業務主任者試験 「問4」、 平成16年 管理業務主任者試験 「問33」、 平成14年 マンション管理士試験 「問16」 など。

 通常、マンションの管理者の権利義務は民法での委任と考えられています。
 そこで、区分所有法第28条 
 「(委任の規定の準用)
 第28条 この法律及び規約に定めるもののほか、
管理者の権利義務は、委任に関する規定に従う。」
 ともあり、民法の「委任」の規定が準用されます。
 すると、民法649条
 「(受任者による費用の前払請求)
 第六四九条 
委任事務を処理するについて費用を要するときは、委任者は、受任者の請求により、その前払をしなければならない。
  とあり、
 管理者(受任者)が職務を行うに当たって費用を要するときは、管理者は、委任の規定に従い、前払でその費用を請求することができますから、正しい。



4 管理者がその職務を行うため自己の過失なくして損害を受けたときは、管理者は、委任の規定に従い、その賠償を請求することができる。


〇 正しい。 委任により請求できる。
  これも、選択肢3で説明しました、区分所有法第28条により、管理者(受任者)には、民法の委任の規定が準用され、すると、民法第650条 
 「(受任者による費用等の償還請求等)
 第六五〇条 受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。
2 受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる債務を負担したときは、委任者に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求することができる。この場合において、その債務が弁済期にないときは、委任者に対し、相当の担保を供させることができる。
3 受任者は、委任事務を処理するため自己に過失なく損害を受けたときは、委任者に対し、その賠償を請求することができる。
 とあり、
 民法第650条3項により、
管理者(受任者)がその職務を行うため自己の過失なくして損害を受けたときは、管理者は、委任の規定に従い、その賠償を請求することができますから、正しい。


答え:2

 問題1や問題2と比べると、単に条文だけの正誤で、易しい。

《タグ》区分所有法 民法 管理者 委任 裁判

問5

〔問 5〕 集会の招集に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものの組合せはどれか。

ア 集会の招集の通知をする場合において、会議の目的たる事項が規約の変更の決議であるときは、その議案の要領をも通知しなければならない。

〇 正しい。 規約の変更なら、説明のため議案の要領の通知も必要。
 平成26年 マンション管理士試験 「問30」 、 平成23年 管理業務主任者試験 「問34」、 平成20年 マンション管理士試験 「問6」 など。 

 集会の通知と議案の通知は、区分所有法第35条
 「(招集の通知)
 第35条 集会の招集の通知は、会日より少なくとも1週間前に、会議の目的たる事項を示して、各区分所有者に発しなければならない。ただし、この期間は、規約で伸縮することができる。
2 専有部分が数人の共有に属するときは、前項の通知は、第40条の規定により定められた議決権を行使すべき者(その者がないときは、共有者の一人)にすれば足りる。
3 第1項の通知は、区分所有者が管理者に対して通知を受けるべき場所を通知したときはその場所に、これを通知しなかつたときは区分所有者の所有する専有部分が所在する場所にあててすれば足りる。この場合には、同項の通知は、通常それが到達すべき時に到達したものとみなす。
4 建物内に住所を有する区分所有者又は前項の通知を受けるべき場所を通知しない区分所有者に対する第1項の通知は、規約に特別の定めがあるときは、建物内の見やすい場所に掲示してすることができる。この場合には、同項の通知は、その掲示をした時に到達したものとみなす。
5 第1項の通知をする場合において、会議の目的たる事項が第17条第1項、第31条第1項、第61条第5項、第62条第1項、第68条第1項又は第69条第7項に規定する決議事項であるときは、その議案の要領をも通知しなければならない。

 とあり、会議の目的たる事項が区分所有法第35条5項に該当すると、その議案の要領の通知も必要とされています。
 それは、
  @「共用部分の重大な変更」(第17条第1項)、
  A「規約の設定・変更・廃止」(第31条第1項)、
  B「建物の価格の1/2超が消滅した場合(大規模滅失)の復旧」(第61条第5項)、
  C「建替え」(第62条第1項)、
  D「団地管理組合の規約の設定の特例」(第68条第1項)、
  E「団地内の2以上の区分所有建物の一括建替え承認決議に付する旨」(第69条第7項)
 の場合です。
 その議案の要領の通知までも求めているのは、これらの事項は、重要度が高いため、「会議の目的たる事項」のほかに、その議案の要領も加えて区分所有者に事前に充分な予備知識を与えて、集会に臨むように配慮したものです。

  そこで、設問の「会議の目的たる事項が規約の変更の決議であるとき」は、区分所有法第31条1項に該当していますから、その議案の要領をも通知しなければならず、正しい。



イ 管理者がないときは、裁判所は、区分所有者の請求により、集会を招集する者を選任して、その者に集会を招集させることができる。

X 誤っている。 こんな規定はない。
 区分所有法には、「管理者がないときは、裁判所は、区分所有者の請求により、集会を招集する者を選任して、その者に集会を招集させることができる」の規定はありませんから、誤りです。

 なお、管理者がない時には、区分所有法第34条5項があります。
  「(集会の招集)
 第34条 集会は、管理者が招集する。
2 管理者は、少なくとも毎年1回集会を招集しなければならない。
3 区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有するものは、管理者に対し、会議の目的たる事項を示して、集会の招集を請求することができる。ただし、この定数は、規約で減ずることができる。
4 前項の規定による請求がされた場合において、2週間以内にその請求の日から4週間以内の日を会日とする集会の招集の通知が発せられなかつたときは、その請求をした区分所有者は、集会を招集することができる。
5 管理者がないときは、区分所有者の5分の1以上で、議決権の5分の1以上を有するものは、集会を招集することができる。ただし、この定数は、規約で滅ずることができる。


ウ 区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有するものは、管理者に対し、会議の目的たる事項を示して、集会の招集を請求することができるが、この定数は、規約で増減することができる。

X 誤っている。 定数は規約で”減じる”ことができるが、”増”はできない。
 よく出る問題。 平成27年 マンション管理士試験 「問7」、 平成26年 マンション管理士試験 「問33」、 平成24年 管理業務主任者試験 「問31」、 平成22年 管理業務主任者試験 「問31」 など。

 設問は、選択肢イで引用しました、区分所有法第34条3項

 「3 区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有するものは、管理者に対し、会議の目的たる事項を示して、集会の招集を請求することができる。ただし、この定数は、規約で減ずることができる
 とあり、
 定数は、規約で”減じる”ことは、認められていますが、”増”は認められていませんから、この定数は、規約で”増減”することができるは、誤りです。
 


エ 集会の招集の通知は、会日より少なくとも1週間前に、会議の目的たる事項を示して、各区分所有者に発しなければならないが、この期間は、規約で伸縮することができる。

〇 正しい。 招集期間なら、規約で伸縮していい。
 平成27年 マンション管理士試験 「問7」、 平成26年 管理業務主任者試験 「問30」、 平成26年 マンション管理士試験 「問31」、 平成24年 マンション管理士試験 「問25」 など 多い。

 集会の招集の通知は、選択肢アで引用しました、区分所有法第35条1項

 「第35条 集会の招集の通知は、会日より少なくとも1週間前に、会議の目的たる事項を示して、各区分所有者に発しなければならない。ただし、この期間は、規約で伸縮することができる。
 とあり、
 集会の招集の通知は、会日より少なくとも1週間前に、会議の目的たる事項を示して、各区分所有者に発しなければならないが、この期間は、規約で”伸縮”することができるは、正しい。


 


1 アとイ
2 イとウ
3 ウとエ
4 エとア


答え:4 正しいものは、ア と エ。 (エとア)

 組み合わせ問題か! 今年(平成29年)は、組み合わせ問題が多い。 増減できるもの伸縮できるものは、良く出題されますから明確に覚えることです。

《タグ》区分所有法 集会の招集、議案の要領、管理者がいない時、通知の発。

問6
〔問 6〕 甲マンション301 号室の区分所有者Aが、専有部分をBに賃貸している場合の次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

ア 規約を変更し専有部分を居住目的以外には使用禁止とすることについて集会で決議する場合、301号室を事務所として使用しているBは、利害関係を有するとして集会に出席して当該規約変更に関する意見を述べることはできない。

X 誤っている。 事務所使用を居住専用とするのは利害関係があるので、賃借人は集会で意見を述べられる。

  平成29年 管理業務主任者試験 「問29」 、 平成28年 管理業務主任者試験 「問38」、 平成26年 マンション管理士試験 「問30」、 平成25年 マンション管理士試験 「問3」 など。

 

  正当な占有者である賃借人Bであれば、集会の会議の目的が今まで事務所として使用していた部屋が、規約の変更で、これからは住居専用へとなると使用できなくなり、多いに気になります。
 そのような場合は、救済策として区分所有法第44条1項
 「(占有者の意見陳述権)
第44条 
区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して意見を述べることができる。
2 前項に規定する場合には、集会を招集する者は、第35条の規定により招集の通知を発した後遅滞なく、集会の日時、場所及び会議の目的たる事項を建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。」

 とあります。

 そこで、区分所有法第44条1項での”利害関係を有する場合”とはなにかです。
 区分所有法第33条2項の規約閲覧でも同様の規定がありますが、この区分所有法第44条での利害関係も建物の利用方法などの法律上の利害関係を意味し、事実上の利害関係は含みません。
 従って、当該議案が可決される場合にのみ、自己の権利を制限または義務を発生・増大することになる占有者に集会の出席権と意見陳述権が認められることになりますから、専有部分の使用方法の変更、例えば、事務所として使用できたのが住宅専用になる場合や、ペットの飼育の禁止・承認などが利害関係を有する場合に該当しますが、具体的には個々に判断されることになります。
 ということで、規約を変更し専有部分を居住目的以外には使用禁止とすることについて集会で決議する場合、301号室を事務所として使用している賃借人Bは、利害関係を有するとして集会に出席して当該規約変更に関する意見を述べることができますから、誤りです。


イ 共用部分に係る大規模修繕工事の負担金増額について集会で決議する場合、Bは利害関係を有するとして集会に出席して当該決議に関する意見を述べることはできない。

〇 正しい。 負担金の増額は、賃借人には利害関係がないので、出席できず、意見を述べられない。
 選択肢アで説明しましたように、区分所有法第44条1項での「利害関係を有する場合」の解釈ですが、管理費の増額や大規模な修繕・修理の決定などについては、賃料値上げの可能性はありますが、それは、賃貸人(大家)との関係を挟むため間接的な影響であり、賃借人には利害関係がないと判断されていますので、賃借人Bは集会に出席して当該決議に関する意見を述べることはできませんから、正しい。


ウ 規約を変更し毎月の管理費を増額することについて集会で決議する場合、管理費相当分を負担しているBは、利害関係を有するとして集会に出席して当該規約変更に関する意見を述べることができる。

X 誤っている。 例え賃借人が管理費を負担していても、利害関係はない。
 選択肢イでも述べましたが、管理費が値上げされれば、賃貸借契約上の賃料増額の1つの原因となりえますが、これは経済的な因果関係で、本来は賃貸人(大家)である区分所有者との協議が間に挟むためその影響も間接的という理由で、この場合には利害関係が認められませんから、賃借人Bは、利害関係を有するとして集会に出席して当該規約変更に関する意見を述べることができず、誤りです。


エ 規約を変更しペットの飼育を禁止することについて集会で決議する場合、301 号室でペットを飼育しているBは、利害関係を有するとして集会に出席して当該規約変更に関する意見を述べることができる。

〇 正しい。 ペットの飼育禁止なら、賃借人も利害関係がある。

  選択肢アで説明しましたように、今までペットの飼育が認められたのが、禁止となるとこれは、賃借人にとっても多いに利害関係がありますから、ペットを飼育している賃借人Bは、利害関係を有するとして集会に出席して当該規約変更に関する意見を述べることができますから、正しい。


1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ


答え:2 正しいのは イ と エ の2つ。

  前問の個数問題といい、いくつあるかとは、適切な出題方法でない! かなり易しい問題ですが。

《タグ》区分所有法 集会、占有者、利害関係、意見陳述

問7

〔問 7〕 管理組合法人に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 区分所有者以外の利害関係人は、裁判所に対する仮理事の選任の請求を行うことができない。

X 誤っている。 区分所有者以外でも、利害関係人と検察官は仮理事の選任の請求ができる。
  平成26年 マンション管理士試験 「問3」 、 平成26年 管理業務主任者試験 「問37」

  管理組合法人で一時的な仮理事の規定は、区分所有法第49条の4
 「(仮理事)
  第49条の4 
理事が欠けた場合において、事務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、仮理事を選任しなければならない
2 仮理事の選任に関する事件は、管理組合法人の主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。

 とあり、
 区分所有法第49条の4 1項によれば、特に区分所有者以外でも、利害関係人又は検察官であれば、裁判所に対して仮理事を選任してくれと請求できますから、誤りです。

 なお、法人において仮理事などがどうして必要かなどは、私の「超解説 区分所有法」で勉強してください。


2 管理組合法人の成立前の集会の決議、規約及び管理者の職務の範囲内の行為は、管理組合法人には効力を生じない。

X 誤っている。 法人成立前の決議等は法人化されても効力がある。承継される。
  平成28年 マンション管理士試験 「問8」 、 平成27年 マンション管理士試験 「問2」 、平成20年 マンション管理士試験 「問8」 。

 管理組合法人の規定は、区分所有法第47条
 「
(成立等)
  第47条 第3条に規定する団体は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で法人となる旨並びにその名称及び事務所を定め、かつ、その主たる事務所の所在地において登記をすることによつて法人となる。
2 前項の規定による法人は、管理組合法人と称する。
3 この法律に規定するもののほか、管理組合法人の登記に関して必要な事項は、政令で定める。
4 管理組合法人に関して登記すべき事項は、登記した後でなければ、第三者に対抗することができない。
5 管理組合法人の成立前の集会の決議、規約及び管理者の職務の範囲内の行為は、管理組合法人につき効力を生ずる。
6 管理組合法人は、その事務に関し、区分所有者を代理する。第18条第4項(第21条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様とする。
7 管理組合法人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
8 管理組合法人は、規約又は集会の決議により、その事務(第6項後段に規定する事項を含む。)に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる。
9 管理組合法人は、前項の規約により原告又は被告となつたときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならない。この場合においては、第35条第2項から第4項までの規定を準用する。
10 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成18年法律第48号)第4条及び第78条の規定は管理組合法人に、破産法(平成16年法律第75号)第16条第2項の規定は存立中の管理組合法人に準用する。
11 第4節及び第33条第1項ただし書(第42条第5項及び第45条第4項において準用する場合を含む。)の規定は、管理組合法人には、適用しない。
12 管理組合法人について、第33条第1項本文(第42条第5項及び第45条第4項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定を適用する場合には第33条第1項本文中「管理者が」とあるのは「理事が管理組合法人の事務所において」と、第34条第1項から第3項まで及び第5項、第35条第3項、第41条並びに第43条の規定を適用する場合にはこれらの規定中「管理者」とあるのは「理事」とする。
13 管理組合法人は、法人税法(昭和40年法律第34号)その他法人税に関する法令の規定の適用については、同法第2条第6号に規定する公益法人等とみなす。この場合において、同法第37条の規定を適用する場合には同条第4項中「公益法人等(」とあるのは「公益法人等(管理組合法人並びに」と、同法第66条の規定を適用する場合には同条第1項及び第2項中「普通法人」とあるのは「普通法人(管理組合法人を含む。)」と、同条第3項中「公益法人等(」とあるのは「公益法人等(管理組合法人及び」とする。
14 管理組合法人は、消費税法(昭和63年法律第108号)その他消費税に関する法令の規定の適用については、同法別表第3に掲げる法人とみなす。

 とあり、
 区分所有法第47条5項によれば、
 管理組合法人の成立前の集会の決議、規約及び管理者の職務の範囲内の行為は、管理組合法人につき効力を生ずるため、”効力を生じない”は、誤りです。


 


3 管理組合法人の財産をもつてその債務を完済することができないときは、規約に別段の定めがない限り、区分所有者は等しい割合でその債務の弁済の責めに任ずる。

X 誤っている。 規約で別段の定めがないときは、負担割合は、「専有部分の床面積を基にした共用部分の持分割合(第14条)」による。等しい割合ではない。
 平成27年 管理業務主任者試験 「問37」 、 平成27年 マンション管理士試験 「問2」 、平成25年 「管理業務主任者試験 「問5」 、 平成24年 マンション管理士試験 「問8」 、平成23年 マンション管理士試験 「問2」 。

 設問は、区分所有法第53条
 「(区分所有者の責任)
  第53条 
管理組合法人の財産をもつてその債務を完済することができないときは、区分所有者は、第14条に定める割合と同一の割合で、その債務の弁済の責めに任ずる。ただし、第29条第1項ただし書に規定する負担の割合が定められているときは、その割合による
2 管理組合法人の財産に対する強制執行がその効を奏しなかつたときも、前項と同様とする。
3 前項の規定は、区分所有者が管理組合法人に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、適用しない。

 とあり、
 区分所有法第53条1項によれば、

 管理組合法人の財産をもつてその債務を完済することができないときは、区分所有者は、第14条に定める割合と同一の割合で、その債務の弁済の責めに任ずる。ただし、第29条第1項ただし書に規定する負担の割合が定められているときは、その割合によるとあるため、規約に別段の定めがなければ、
 区分所有法第14条
 「(共用部分の持分の割合)
  第十四条 
各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による。
2 前項の場合において、一部共用部分(附属の建物であるものを除く。)で床面積を有するものがあるときは、その一部共用部分の床面積は、これを共用すべき各区分所有者の専有部分の床面積の割合により配分して、それぞれその区分所有者の専有部分の床面積に算入するものとする。
3 前二項の床面積は、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積による。
4 前三項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。

 により、
 管理組合法人の財産をもつてその債務を完済することができないときの、その負担は、規約が無ければ「各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による」ため、区分所有者は”等しい割合”でその債務の弁済の責めに任ずるは、誤りです。



4 理事が欠けた場合又は規約で定めた理事の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した理事は、新たに選任された理事(仮理事を含む。)が就任するまで、なおその職務を行う。

〇 正しい。 理事としての責任がある。 
 平成27年 マンション管理士試験 「問5」 、 平成25年 マンション管理士試験 「問8」 。
 
  設問は、区分所有法第49条
 「(理事)
  第49条 管理組合法人には、理事を置かなければならない。
2 理事が数人ある場合において、規約に別段の定めがないときは、管理組合法人の事務は、理事の過半数で決する。
3 理事は、管理組合法人を代表する。
4 理事が数人あるときは、各自管理組合法人を代表する。
5 前項の規定は、規約若しくは集会の決議によつて、管理組合法人を代表すべき理事を定め、若しくは数人の理事が共同して管理組合法人を代表すべきことを定め、又は規約の定めに基づき理事の互選によつて管理組合法人を代表すべき理事を定めることを妨げない。
6 理事の任期は、2年とする。ただし、規約で3年以内において別段の期間を定めたときは、その期間とする。
7 理事が欠けた場合又は規約で定めた理事の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した理事は、新たに選任された理事(第49条の4第1項の仮理事を含む。)が就任するまで、なおその職務を行う。
8 第25条の規定は、理事に準用する。

 とあり、
 区分所有法第49条7項によれば、
 理事が欠けた場合又は規約で定めた理事の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した理事は、新たに選任された理事(仮理事を含む。)が就任するまで、なおその職務を行いますから、正しい。

 注:今話題となっている、大相撲の貴乃花親方の理事問題にあるように、解任と辞任は違いますよ。



答え:4

 法文を知っているか、どうかで、易しい。

《タグ》区分所有法 法人 仮理事の選任 法人化前の拘束 債務の弁済 理事の辞任

問8

〔問 8〕 集会の決議及び規約の定めに関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 管理組合法人の解散は、建物の全部滅失及び専有部分がなくなった場合を除き、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数の集会の決議によることが必要であり、規約で集会の決議以外の方法で決するものと定めることはできない。

〇 正しい。 管理組合法人の解散は、規約では決められない。
 平成28年 管理業務主任者試験 「問36」 、 平成28年 マンション管理士試験 「問9」、 平成27年 管理業務主任者試験 「問30」 、平成26年 マンション管理士試験 「問3」 、 平成25年 管理業務主任者試験 「問36」 など。

 管理組合法人の解散の規定は、区分所有法第55条
 「(解散)
  第55条 
管理組合法人は、次の事由によつて解散する
     一 建物(一部共用部分を共用すべき区分所有者で構成する管理組合法人にあっては、その共用部分)の全部の滅失
     二 建物に専有部分がなくなつたこと。
     三 集会の決議
2 前項第3号の決議は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数でする
 とあり、
 区分所有法第55条1項、2項によれば、

 管理組合法人の解散は、建物の全部滅失及び専有部分がなくなった場合を除き、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数の集会の決議によることが必要であり、規約で集会の決議以外の方法で決するものと定めることはできないため、正しい。
  

 
 どうして、規約で法人の解散を規定できないか、考えてください。



2 管理者の選任及び解任は、集会の決議によるほか、規約で別段の定めをすることができる。

〇 正しい。 規約で別段を定めていい。

 平成28年 管理業務主任者試験 「問33」 平成26年 マンション管理士試験 「問4」 、 平成25年 マンション管理士試験 「問5」 など 多い。

 管理者の選任・解任は、区分所有法第25条
 「(選任及び解任)
第25条 
区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によつて、管理者を選任し、又は解任することができる
2 管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるときは、各区分所有者は、その解任を裁判所に請求することができる。

 とあり、
 区分所有法第25条1項によれば、管理者の選任及び解任は、集会の決議によるほか、規約で別段の定めをすることができますから、正しい。


3 共同の利益に反する行為の停止の請求についての訴訟の提起は、集会の決議によるほか、規約で集会の決議以外の方法で決するものと定めることができる。

X 誤っている。 共同の利益に反する行為の停止の請求についての訴訟の提起は、集会の決議によること。規約で別段は認めていない。
 平成26年 マンション管理士試験 「問4」 、 平成24年 マンション管理士試験 「問33」、 平成22年 管理業務主任者試験 「36」 など ここも多い。

 共同の利益に反する行為の停止の請求は、区分所有法第57条
 「(共同の利益に反する行為の停止等の請求)
 第57条 区分所有者が第6条第1項に規定する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。
2 前項の規定に基づき訴訟を提起するには、集会の決議によらなければならない。
3 管理者又は集会において指定された区分所有者は、集会の決議により、第1項の他の区分所有者の全員のために、前項に規定する訴訟を提起することができる。
4 前3項の規定は、占有者が第6条第3項において準用する同条第1項に規定する行為をした場合及びその行為をするおそれがある場合に準用する。

 とあり、
 区分所有法第57条2項によれば、共同の利益に反する行為の停止の請求についての訴訟の提起は、集会の決議によるものとあり、規約で集会の決議以外の方法で決するものと定めることができないため、誤りです。
 これは、訴訟の前に、その行為が「共同の利益行為に反する」に該当するか否かをまず管理組合(区分所有者全員)自身で判断することが重要と考えた規定です。なお、「行為の停止の請求」なら、集会の決議では、普通決議で可能です。



4 管理者がない場合の規約の保管については、建物を使用している区分所有者又はその代理人のうちから、規約又は集会の決議で定められたものがこれに当たる。

〇 正しい。
  平成28年 マンション管理士試験 「問6」 、 平成26年 マンション管理士試験 「問33」 など。 

 規約の保管は、区分所有法第33条
 「(規約の保管及び閲覧)
  第33条 規約は、管理者が保管しなければならない。
ただし、管理者がないときは、建物を使用している区分所有者又はその代理人で規約又は集会の決議で定めるものが保管しなければならない
2 前項の規定により規約を保管する者は、利害関係人の請求があつたときは、正当な理由がある場合を除いて、規約の閲覧(規約が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したものの当該規約の保管場所における閲覧)を拒んではならない。
3 規約の保管場所は、建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。

 とあり、
 区分所有法第33条1項ただし書きによれば、管理者がない場合の規約の保管については、建物を使用している区分所有者又はその代理人のうちから、規約又は集会の決議で定められたものがこれに当たるため、正しい。


 


答え:3

 ここも易しい。

《タグ》区分所有法 法人 解散事由 管理者の選任・解任 共同の利益違反 集会の決議 規約の保管

問9

〔問 9〕 議決権及び共用部分の持分割合が等しいA、B、C及びDの区分所有者からなる甲マンションにおいて、地震によって建物価格の2分の1を超える部分が滅失したために、集会で滅失した共用部分の復旧が議案とされ、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数で、滅失した共用部分を復旧する旨の決議がなされた(決議では、A、B及びCは決議に賛成し、Dは決議に賛成しなかった)。この場合の区分所有者の買取請求権行使に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。ただし、その決議の日から2週間以内に買取指定者の指定がなされなかったものとする。

1 DがAに対して買取請求権を行使し、裁判所がAの請求によってAの代金支払についての期限の許与を認めた場合には、Aの代金支払義務とDの所有権移転登記及び引渡しの義務は、同時履行の関係に立つ。

X 誤っている。 期限の許与が認められると、代金支払いは、後履行になる。

 平成19年 マンション管理士試験 「問9」 、 平成14年 マンション管理士試験 「問10」 。

 設問の文章も長くて、解説に時間がかかる出題です。 
 でも、解説しますよ。

 地震によって建物価格の2分の1を超える部分が滅失すると、区分所有法第61条
 「(建物の一部が滅失した場合の復旧等)
 第61条 
建物の価格の2分の1以下に相当する部分が滅失したときは、各区分所有者は、滅失した共用部分及び自己の専有部分を復旧することができる。ただし、共用部分については、復旧の工事に着手するまでに第3項、次条第1項又は第70条第1項の決議があつたときは、この限りでない。
2 前項の規定により共用部分を復旧した者は、他の区分所有者に対し、復旧に要した金額を第14条に定める割合に応じて償還すべきことを請求することができる。
3 第1項本文に規定する場合には、集会において、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる。
4 前3項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。

5 
第1項本文に規定する場合を除いて、建物の一部が滅失したときは、集会において、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数で、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる
6 前項の決議をした集会の議事録には、その決議についての各区分所有者の賛否をも記載し、又は記録しなければならない。
7 第5項の決議があつた場合において、その決議の日から2週間を経過したときは、次項の場合を除き、その決議に賛成した区分所有者(その承継人を含む。以下この条において「決議賛成者」という。)以外の区分所有者は、決議賛成者の全部又は一部に対し、建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。この場合において、その請求を受けた決議賛成者は、その請求の日から2月以内に、他の決議賛成者の全部又は一部に対し、決議賛成者以外の区分所有者を除いて算定した第14条に定める割合に応じて当該建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。
8 第5項の決議の日から2週間以内に、決議賛成者がその全員の合意により建物及びその敷地に関する権利を買い取ることができる者を指定し、かつ、その指定された者(以下この条において「買取指定者」という。)がその旨を決議賛成者以外の区分所有者に対して書面で通知したときは、その通知を受けた区分所有者は、買取指定者に対してのみ、前項前段に規定する請求をすることができる。
9 買取指定者が第7項前段に規定する請求に基づく売買の代金に係る債務の全部又は一部の弁済をしないときは、決議賛成者(買取指定者となつたものを除く。以下この項及び第13項において同じ。)は、連帯してその債務の全部又は一部の弁済の責めに任ずる。ただし、決議賛成者が買取指定者に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、この限りでない。
10 第5項の集会を招集した者(買取指定者の指定がされているときは、当該買取指定者)は、決議賛成者以外の区分所有者に対し、4月以上の期間を定めて、第7項前段に規定する請求をするか否かを確答すべき旨を書面で催告することができる。
11 前項に規定する催告を受けた区分所有者は、前項の規定により定められた期間を経過したときは、第7項前段に規定する請求をすることができない。
12 第5項に規定する場合において、建物の一部が滅失した日から6月以内に同項、次条第1項又は第70条第1項の決議がないときは、各区分所有者は、他の区分所有者に対し、建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。

13
 第2項、第7項、第8項及び前項の場合には、裁判所は、償還若しくは買取りの請求を受けた区分所有者、買取りの請求を受けた買取指定者又は第9項本文に規定する債務について履行の請求を受けた決議賛成者の請求により、償還金又は代金の支払につき相当の期限を許与することができる。

 とあり、
 区分所有法第61条は構成が長いのですが、
  ア. 1項から4項までが、建物の価格が 1/2以下 の「小規模滅失による復旧」、
  イ. 5項から12項までが、建物の価格が 1/2超 の「大規模滅失による復旧」
  の規定となっており、建物の滅失の規模の大小を判断するのは、建物価格の1/2以下の滅失かどうか、がその基準となっています(1項・5項)。


 

 そこで、設問は、地震によって建物価格の2分の1を超える部分が滅失したとなっていますから、大規模滅失による復旧となり、集会において、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数で、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができます(5項)。


   

  そこで、共用部分の復旧に賛成しなかったDは、買取指定者がいないとのことですから、賛成したABC全員にまたは一部に対して建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができます(7項)。

 
 

 選択肢1では、この買取請求をDはAに対して行使したということですが、分かりやすくいうと、買取請求を受けたAはその代金をすぐに支払うことが出来ないので、13項に基づいて裁判所に支払はしばらくまってくれと泣きつき、裁判所は、仕方ないので、Aの代金の支払について、支払期限を猶予した(期限の許与を認める)ということです。
 ここまでのDやAの行為は、法に認められた正しい行為です。

 そこで、設問の「同時履行」の検討になります。
 同時履行は、民法第533条に規定されます。
 「(同時履行の抗弁)
 第五百三十三条 双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。

 です。

 区分所有法第61条7項で規定される「買取請求権」は、民法では「
形成権」という範疇に入れられます。
 
 形成権となると請求権者の一方的な意思表示で、相手方との売買契約が成立します。
 具体的には、買取を請求された相手方は、売買代金を時価で支払う義務を負い、その結果、その建物及び敷地に関する権利を取得し、請求者は、その引渡し・移転登記という互いに同時履行の義務を負います。

 しかし、区分所有法第61条13項のように相当の期限が裁判所から許与されると、買取請求者であるDの建物およびその敷地に関する権利の引渡し義務が、被請求者であるAの代金支払い義務より先行することになります。
 そこで、通常の同時履行関係が解消され、Aの代金支払義務とDの所有権移転登記及び引渡しの義務は、同時履行の関係にはなりませんから、誤りです。



2 DがBに対して買取請求をした場合におけるBからCに対する再買取請求は、復旧決議の日から2月以内にしなければならない。

X 誤っている。 再買取請求は、”請求を受けた日”から2か月以内で、”復旧決議の日”から2か月以内ではない。
 
 設問を図にすると、以下のようになります。

 
 
  この、行為は選択肢1で引用しました、区分所有法第61条7項の後段、
 「7 第5項の決議があつた場合において、その決議の日から2週間を経過したときは、次項の場合を除き、その決議に賛成した区分所有者(その承継人を含む。以下この条において「決議賛成者」という。)以外の区分所有者は、決議賛成者の全部又は一部に対し、建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。
 
この場合において、その請求を受けた決議賛成者は、その請求の日から2月以内に、他の決議賛成者の全部又は一部に対し、決議賛成者以外の区分所有者を除いて算定した第14条に定める割合に応じて当該建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。

 とあり、
 決議に賛成していないDから買取請求を受けた決議賛成者Bは、他の決議賛成者Cに対して、決議賛成者以外の区分所有者を除いて算定した第14条に定める割合に応じて当該建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求すること(再買取請求)ができますが、この再買取請求は、BがDから”請求を受けた日”から2か月以内であり、設問の”復旧決議の日”から2月以内にしなければならないは、誤りです。


3 DがCに対して買取請求をし、CがA及びBに対して再買取請求をしたときには、A、B及びCがDの有する建物及びその敷地に関する権利を3分の1ずつ取得する。

〇 正しい。 設問で等分(1/3)となっている。


 決議に賛成していないDから決議賛成者Cに買取請求がなされると、これは、選択肢2で説明しましたように、区分所有法第61条7項、後段、
 「7 第5項の決議があつた場合において、その決議の日から2週間を経過したときは、次項の場合を除き、その決議に賛成した区分所有者(その承継人を含む。以下この条において「決議賛成者」という。)以外の区分所有者は、決議賛成者の全部又は一部に対し、建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。
 この場合において、その請求を受けた決議賛成者は、その請求の日から2月以内に、他の決議賛成者の全部又は一部に対し、
決議賛成者以外の区分所有者を除いて算定した第14条に定める割合に応じて当該建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる
 とあり、
 再買取による建物の権利は「第14条に定める割合」により請求されますから、区分所有法第14条
 「(共用部分の持分の割合)
  第十四条 
各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による
2 前項の場合において、一部共用部分(附属の建物であるものを除く。)で床面積を有するものがあるときは、その一部共用部分の床面積は、これを共用すべき各区分所有者の専有部分の床面積の割合により配分して、それぞれその区分所有者の専有部分の床面積に算入するものとする。
3 前二項の床面積は、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積による。
4 前三項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。

 とあり、
 区分所有法第14条1項によれば、「各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による」とあり、
 設問では、共用部分の持分割合が等しいA、B、C及びDとありますから、A、B及びCがDの有する建物及びその敷地に関する権利を3分の1ずつ取得するは、正しい。



4 地震による甲マンションの一部滅失によって、Dの専有部分が失われている場合には、Dは、買取請求権を行使することはできない。

X 誤っている。 自分の専有部分が全部滅失しても、依然としてそのマンションの区分所有者である。

 
  確かに、建物の部分である専有部分(室)が無くなれば、区分所有法で定める区分所有権も無くなり、該当の専有部分を持っていた人は、区分所有者で無くなると考えた人もいるでしょう。
 しかし、滅失では、この場合でも区分所有者として扱われます。
 この規定が存在している意義を考えるといいでしょう

 参考:区分所有法第61条7項
 「7 第5項の決議があつた場合において、その決議の日から2週間を経過したときは、次項の場合を除き、その決議に賛成した区分所有者(その承継人を含む。以下この条において「決議賛成者」という。)以外の区分所有者は、決議賛成者の全部又は一部に対し、
建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。この場合において、その請求を受けた決議賛成者は、その請求の日から2月以内に、他の決議賛成者の全部又は一部に対し、決議賛成者以外の区分所有者を除いて算定した第14条に定める割合に応じて当該建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。


答え:3

 
設問が長くて、図も作成して解説に時間がかかる!
 区分所有法第61条の詳細な解説は、私の 「超解説 区分所有法」 の第61条を読んでください。 

《タグ》区分所有法 民法 同時履行 形成権 第61条 小規模滅失 大規模滅失 買取請求 再買取請求 

問10

〔問 10〕 一団地内に下図のとおり、専有部分のある建物であるA棟、B棟及び附属施設である集会所が存在し、A棟及びB棟の団地建物所有者が土地及び附属施設である集会所を共有している。この場合に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。


1 集会所は、当然にA棟及びB棟の団地建物所有者によって構成される団地管理組合における団地共用部分となる。

X 誤っている。 管理の対象だが、”当然”には団地共用部分にならない。規約が必要。
 平成27年 マンション管理士試験 「問11」 、 平成26年 マンション管理士試験 「問10」、 平成25年 管理業務主任者試験 「問31」、 平成24年 マンション管理士試験 「問11」、 平成15年 管理業務主任者試験 「問37」  など

 

 一つの区画内に複数の建物があり敷地や駐車場、集会所など附属施設が所有者の共有になっていれば、区分所有法第65条
 「(団地建物所有者の団体)
  第65条 団地内に数棟の建物があつて、その団地内の土地又は附属施設(これらに関する権利を含む。)がそれらの建物の所有者(専有部分のある建物にあつては、区分所有者)の共有に属する場合には、それらの所有者(以下「団地建物所有者」という。)は、全員で、その団地内の土地、附属施設及び専有部分のある建物の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる
。」
 とあり、
 共有者たちは、その区画内(団地内)において、建物や土地、集会所などを管理する団体を構成できます。これは、単棟での区分所有法第3条と同じです。(参考:「問1

 
 
 設問では、A棟及びB棟の団地建物所有者が土地及び附属施設である集会所を共有しているとありますから、この場合は、区分所有法での「団地関係」が成立します。
 そこで、団地建物所有者の団体(団地管理組合)が管理する対象は、
 
 @その土地または附属施設
  A規約で管理することになった土地及び附属の施設
  B規約によって管理することになった建物の共用部分
 です。
 そして、@は”
当然に(なんの要件も必要とせず)”団地建物所有者の団体(団地管理組合)の”管理対象”となりますがAとBの管理は”任意”であることに注意してください。
 面倒な話ですが、附属の施設は、区分所有法第65条の規定により”当然に”団地建物所有者の団体(団地管理組合)の管理に入りますが、それだけでは、”当然”には、団地共用部分にはならないのです。

 すると、その附属施設である集会所を「団地共用部分」とするには、区分所有法第67条
 
「(団地共用部分)
 第67条 
一団地内の附属施設たる建物(第1条に規定する建物の部分を含む。)は、前条において準用する第30条第1項の規約により団地共用部分とすることができる。この場合においては、その旨の登記をしなければ、これをもって第三者に対抗することができない。
2 一団地内の数棟の建物の全部を所有する者は、公正証書により、前項の規約を設定することができる。
3 第11条第1項本文及び第3項並びに第13条から第15条までの規定は、団地共用部分に準用する。この場合において、第11条第1項本文中「区分所有者」とあるのは「第65条に規定する団地建物所有者」と、第14条第1項及び第15条中「専有部分」とあるのは「建物又は専有部分」と読み替えるものとする。

 とあり、
 区分所有法第67条1項によれば、附属施設である集会所を団地共用部分とするには、第30条1項の「規約」がないとできないとなっていますから、附属施設であっても、集会所は、「当然に(なんの要件も必要とせず)」は、A棟及びB棟の団地建物所有者によって構成される団地管理組合における団地共用部分とならないため、誤りです。

 規約によって団地共用部分となると管理のほかに区分所有法で規定される「共有者の専有部分と分離して処分ができなくなる(第15条参照)」などの適用となります。



2 A棟及びB棟の団地建物所有者によって構成される団地管理組合は、当然に集会所の管理を行う。

〇 正しい。 附属施設の”管理”なら当然に団地管理組合が行う。
 選択肢1で解説しましたように区分所有法第65条により成立しました団地建物所有者の団体(団地管理組合)が”当然に”管理対象にできるのは、団地内の数棟の建物の所有者が共有する土地及び附属施設ですから、正しい。
 なお、団地内の区分所有建物や共有でない附属施設は団地規約がないと管理対象には出来ません。

 
 


3 A棟については、A棟の区分所有者だけによる管理を行うものとしたままで、B棟については、A棟及びB棟の団地建物所有者によって構成される団地管理組合が管理を行うものとすることはできない。

〇 正しい? これでは、団地関係が形成されない。
 文下手。意味が分からない。
 
 区分所有法第65条に規定する団地関係が形成されるには、
目的物である土地又は附属施設を共同で管理し互いに有効に利用し利益を得る事情が必要であることです。
 そこで、設問のような、A棟については、A棟の区分所有者だけによる管理を行うものとしたままで、B棟については、A棟及びB棟の団地建物所有者によって構成される団地管理組合が管理を行うものとすることは、B棟の建物所有者の権利が、A棟の建物所有者の権利より大幅に劣っていますから、互いに有効に利用し利益を得る事情がないため、団地関係が形成されませんので、A棟及びB棟の団地建物所有者によって構成される団地管理組合が管理を行うものとすることはできず、正しい。
 

4 A棟及びB棟の団地建物所有者によって構成される団地管理組合がA棟及びB棟の管理を行うものとする場合において、A棟の管理とB棟の管理について、規約で異なる内容を定めることができる。

〇 正しい。 団地全体の規約と各棟の規約が有っていい。
  区分所有法における団地関係は、団地全体の一元管理を目的としていますが、棟の独自性までは排除していません。
 例えば、A棟は、下が店舗で上が居住専用などの複合建物で、B棟は、居住専用などの場合を考えてください。
 そこで、団地管理組合の規約において、A棟とB棟の管理を行うとして、その中で、A棟とB棟の管理内容が異なっても構いませんから、正しい。


答え:1

 いやはや、まったく解説が面倒な出題だ。正解としては選択肢1はすぐ選べるが、他の選択肢の解説に時間がかかった。

 真剣に考えた人には、難問?

《タグ》区分所有法 団地 当然 団地共用部分 管理

問11

〔問 11〕 大規模な火災、震災その他の災害で政令で定めるものにより区分所有建物の全部が滅失した場合における被災区分所有建物の敷地に関する次の記述のうち、民法及び被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法(平成7年法律第43 号)の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 区分所有建物に係る敷地利用権(区分所有法第2条第6項に規定する敷地利用権をいう。)が数人で有する所有権その他の権利であったときにその権利を有する者(以下「敷地共有者等」という。)は、政令の施行の日から起算して3年が経過する日までの間は、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。

X 誤っている。 被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法では、”規約”は定められない。
  平成26年 マンション管理士試験 「問11」 、 平成23年マンション管理士試験 「問10」 。

 まず、区分所有建物の全部が滅失した場合となると、これはもう、区分所有法の適用から外れるということで、被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法や民法の適用となります。
 被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法については、 平成26年のマンション管理士試験 「問11」 にありますから、参考にしてください。


 設問は、被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法第2条
 「(敷地共有者等集会等)
 第2条 大規模な火災、震災その他の災害で政令で定めるものにより建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第二条第三項に規定する専有部分が属する一棟の建物(以下「区分所有建物」という。)の
全部が滅失した場合(その災害により区分所有建物の一部が滅失した場合(区分所有法第六十一条第一項本文に規定する場合を除く。以下同じ。)において、当該区分所有建物が第十一条第一項の決議又は区分所有者(区分所有法第二条第二項に規定する区分所有者をいう。以下同じ。)全員の同意に基づき取り壊されたときを含む。)において、その建物に係る敷地利用権(区分所有法第二条第六項に規定する敷地利用権をいう。以下同じ。)が数人で有する所有権その他の権利であったときは、その権利(以下「敷地共有持分等」という。)を有する者(以下「敷地共有者等」という。)は、その政令の施行の日から起算して三年が経過する日までの間は、この法律の定めるところにより、集会を開き、及び管理者を置くことができる。」
 とあり
 よく設問を読まないと区分所有法第3条を想定して引っかかるのですが、被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法第2条では、
「集会を開き、及び管理者を置くことができる」とあるだけで、”規約を定める”はありませんから、誤りです。
 まあ、被災を受けた状況で、面倒な”規約”までは定める余裕がないと気付けば、落ち着いた受験生ですが。



2 敷地共有者等の集会を招集する者が、敷地共有者等の所在を知ることができない場合には、集会の招集の通知は、滅失した区分所有建物の敷地内の見やすい場所に掲示することによって行うことができる。

〇 正しい。 被災では、所在不明は多い。
 設問は、被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法第3条
 「(敷地共有者等が置く管理者及び敷地共有者等集会に関する区分所有法の準用等)
 第3条 敷地共有者等が置く管理者及び敷地共有者等が開く集会(以下「敷地共有者等集会」という。)については区分所有法第1章第4節(第26条第5項、第27条及び第29条第1項ただし書を除く。)及び第5節(第30条から第33条まで、第34条第2項、第3項ただし書及び第5項ただし書、第35条第1項ただし書及び第4項、第37条第2項、第42条第5項、第43条、第44条、第45条第4項並びに第46条第2項を除く。)の規定を、議事録並びにこの項において準用する区分所有法第45条第1項及び第2項に規定する書面又は電磁的方法による決議に係る書面並びに同条第1項の電磁的方法による決議及び同条第2項の電磁的方法による合意が行われる場合に当該電磁的方法により作られる電磁的記録の保管及び閲覧については区分所有法第33条第1項及び第2項の規定を、それぞれ準用する。この場合において、これらの規定(区分所有法第25条第1項、第33条第1項ただし書、第34条第3項本文及び第5項本文、第35条第3項並びに第39条第1項を除く。)中「区分所有者」とあり、及び区分所有法第33条第1項ただし書中「建物を使用している区分所有者」とあるのは「敷地共有者等」と、区分所有法第25条第1項中「区分所有者」とあるのは「敷地共有者等(被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法(平成7年法律第43号。以下「特別措置法」という。)第2条に規定する敷地共有者等をいう。以下同じ。)」と、「規約に別段の定めがない限り集会」とあるのは「敷地共有者等集会(特別措置法第3条第1項に規定する敷地共有者等集会をいう。以下同じ。)」と、区分所有法第26条第1項中「共用部分並びに第21条に規定する場合における当該建物の敷地及び附属施設(次項及び第47条第6項において「共用部分等」という。)」とあるのは「敷地共有持分等(特別措置法第2条に規定する敷地共有持分等をいう。以下同じ。)に係る土地」と、「集会の決議を実行し、並びに規約で定めた行為をする」とあるのは「及び敷地共有者等集会の決議を実行する」と、同条第2項中「第18条第4項(第21条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等」とあるのは「敷地共有持分等に係る土地」と、同条第4項並びに区分所有法第33条第1項ただし書及び第39条第3項中「規約又は集会」とあり、並びに区分所有法第46条第1項中「規約及び集会」とあるのは「敷地共有者等集会」と、区分所有法第28条中「この法律及び規約」とあり、並びに区分所有法第39条第1項及び第45条第1項から第3項までの規定中「この法律又は規約」とあるのは「特別措置法」と、区分所有法第29条第1項本文中「第14条に定める」とあり、及び区分所有法第38条中「規約に別段の定めがない限り、第14条に定める」とあるのは「敷地共有持分等の価格の」と、区分所有法第34条第3項本文及び第5項本文中「区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有するもの」とあるのは「議決権の5分の1以上を有する敷地共有者等」と、区分所有法第35条第2項及び第40条中「専有部分が数人の共有に属するとき」とあるのは「一の専有部分を所有するための敷地利用権に係る敷地共有持分等を数人で有するとき」と、区分所有法第35条第3項中「区分所有者が」とあるのは「敷地共有者等が」と、「その場所に、これを通知しなかつたときは区分所有者の所有する専有部分が所在する場所」とあるのは「その場所」と、同条第5項中「第17条第1項、第31条第1項、第61条第5項、第62条第1項、第68条第1項又は第69条第7項」とあるのは「特別措置法第4条第1項、第5条第1項、第15条第7項又は第17条第2項」と、区分所有法第37条第3項中「前2項」とあるのは「第1項」と、区分所有法第39条第1項中「区分所有者及び議決権の各過半数」とあるのは「議決権の過半数」と、区分所有法第41条中「規約に別段の定めがある場合及び別段」とあるのは「別段」と読み替えるものとする。
 敷地共有者等集会を招集する者が敷地共有者等(前項において準用する区分所有法第35条第3項の規定により通知を受けるべき場所を通知したものを除く。)の所在を知ることができないときは、同条第1項の通知は、滅失した区分所有建物に係る建物の敷地(区分所有法第2条第5項に規定する建物の敷地をいう。以下同じ。)内の見やすい場所に掲示してすることができる。
3 前項の場合には、当該通知は、同項の規定による掲示をした時に到達したものとみなす。ただし、敷地共有者等集会を招集する者が当該敷地共有者等の所在を知らないことについて過失があったときは、到達の効力を生じない
。」

 とあり、
 被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法第3条2項によれば、敷地共有者等の集会を招集する者が、敷地共有者等の所在を知ることができない場合には、集会の招集の通知は、滅失した区分所有建物の敷地内の見やすい場所に掲示することによって行うことができますから、正しい。



3 敷地共有者等のうち5分の1を超える議決権を有する者は、政令の施行の日から起算して1月を経過する日の翌日以後当該施行の日から起算して3年を経過する日までの間に、敷地の共有物分割の請求をすることができる。

〇 正しい。 普通、分割請求をされると権利関係が面倒になるが、例外もある。
 設問は、被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法第6条
 「(敷地共有持分等に係る土地等の分割請求に関する特例)
 第6条 第2条の政令で定める災害により全部が滅失した区分所有建物に係る敷地共有者等は、民法(明治29年法律第89号)第256条第1項本文(同法第264条において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、
その政令の施行の日から起算して1月を経過する日の翌日以後当該施行の日から起算して3年を経過する日までの間は、敷地共有持分等に係る土地又はこれに関する権利について、分割の請求をすることができない。ただし、5分の1を超える議決権を有する敷地共有者等が分割の請求をする場合その他再建決議、敷地売却決議又は第18条第1項の決議をすることができないと認められる顕著な事由がある場合は、この限りでない。
2 第2条の政令で定める災害により区分所有建物の一部が滅失した場合において、当該区分所有建物が第11条第1項の決議又は区分所有者全員の同意に基づき取り壊されたときは、当該区分所有建物に係る敷地共有者等は、民法第256条第1項本文(同法第264条において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、その政令の施行の日から起算して3年を経過する日までの間は、敷地共有持分等に係る土地又はこれに関する権利について、分割の請求をすることができない。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。」

 とあり、
 被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法第6条1項によれば、原則:敷地の共有物分割の請求はできないが、但し書きによれば、敷地共有者等のうち5分の1を超える議決権を有する者などは政令の施行の日から起算して1月を経過する日の翌日以後当該施行の日から起算して3年を経過する日までの間に、敷地の共有物分割の請求をすることができるため、正しい。

 5分の1を超える議決権者が、再建にも敷地売却にも反対していれば、再建決議も敷地売却決議(5分の4以上の賛成要。4条、9条参照)も成立できないため、もう共有物分割を禁止する意味がありません。


4 敷地共有者等の集会において敷地売却決議をするときは、売却の相手方となるべき者の氏名又は名称及び売却による代金の見込額を定めなければならない。

〇 正しい。 
 設問は、被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法第5条
 「(敷地売却決議等)
 第5条 敷地共有者等集会においては、敷地共有者等の議決権の5分の4以上の多数で、敷地共有持分等に係る土地(これに関する権利を含む。)を売却する旨の決議(以下「敷地売却決議」という。)をすることができる。
2 敷地売却決議においては、次の事項を定めなければならない。
   一 売却の相手方となるべき者の氏名又は名称
   二 売却による代金の見込額

3 敷地売却決議については、前条第4項から第8項まで並びに区分所有法第63条第1項から第3項まで、第4項前段、第6項及び第7項並びに第64条の規定を準用する。この場合において、前条第4項中「第1項に規定する」とあるのは「次条第1項に規定する」と、同条第5項中「再建」とあるのは「売却」と、区分所有法第63条第1項中「区分所有者」とあるのは「敷地共有者等(被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法(以下「特別措置法」という。)第2条に規定する敷地共有者等をいう。以下同じ。)」と、同項並びに同条第3項及び第4項前段並びに区分所有法第64条中「建替えに」とあるのは「売却に」と、区分所有法第63条第2項、第3項及び第4項前段並びに第64条中「区分所有者」とあるのは「敷地共有者等」と、区分所有法第63条第4項前段中「区分所有権及び敷地利用権を買い受ける」とあるのは「敷地共有持分等(特別措置法第2条に規定する敷地共有持分等をいう。以下同じ。)を買い受ける」と、「区分所有権及び敷地利用権を時価」とあるのは「敷地共有持分等を時価」と、同条第6項中「建物の取壊しの工事に着手しない」とあるのは「特別措置法第5条第1項に規定する敷地売却決議に基づく売買契約による敷地共有持分等に係る土地(これに関する権利を含む。)についての権利の移転(以下単に「権利の移転」という。)がない」と、同項及び区分所有法第64条中「区分所有権又は敷地利用権」とあるのは「敷地共有持分等」と、区分所有法第63条第6項ただし書中「建物の取壊しの工事に着手しなかつた」とあるのは「権利の移転がなかつた」と、同条第7項中「建物の取壊しの工事の着手」とあるのは「権利の移転」と、「その着手をしないとき」とあるのは「権利の移転がないとき」と、区分所有法第64条中「建替えを行う」とあるのは「売却を行う」と読み替えるものとする。

 とあり、
 被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法第5条2項1号及び2号によれば、敷地共有者等の集会において敷地売却決議をするときは、売却の相手方となるべき者の氏名又は名称及び売却による代金の見込額を定めなければならない、は正しい。


答え:1

 選択肢1は、なんという引っ掛けか! あとは条文を覚えているだけの出題だけど。 選択肢3の但し書きからの出題は、不適切だ。 難問。

《タグ》被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法 

問12

〔問 12〕 甲マンションの区分所有者Aが、管理組合(管理者B)に対し、管理費を滞納している場合における管理費債権の消滅時効に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 BがAに対し管理費の支払請求訴訟を提起すれば、その訴えが却下された場合でも、時効は中断する。

X 誤っている。 訴訟(裁判上の請求)が判決で却下また取り下げると、時効は中断しない。

  平成25年 管理業務主任者試験 「問10」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問13」 、 平成18年 管理業務主任者試験 「問10」 など。

 時効についての出題は、過去から多い。
 他にも、 平成29年 管理業務主任者試験 「問11」 平成24年 マンション管理士試験 「問13」 、 平成22年 マンション管理士試験 「問7」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問13」 、 平成21年 管理業務主任者試験 「問11」 、 平成20年 管理業務主任者試験 「問11」 など。

 いまさらながら、時効の中断とは、時効の基礎である事実状態をくつがえすような事実が生じた場合に、時効の進行が阻止されることを言います。
 時効の中断があると、それまで進行していた時効期間はまったく無意味になり、中断後、改めて時効の進行が開始します。

 まず、時効の中断事由は、民法第147条
 「(時効の中断事由)
 第百四十七条
 時効は、次に掲げる事由によって中断する
   
一 請求
   二 差押え、仮差押え又は仮処分
   
三 承認
 とあり、
 管理者Bが管理費の滞納者Aに対して起こした管理費の支払請求訴訟は、裁判上の「請求」となります。すると、民法第149条
 「(裁判上の請求)
 第百四十九条 
裁判上の請求は、訴えの却下又は取下げの場合には、時効の中断の効力を生じない。
 とあり、
 その訴えの却下又は取下げの場合には、時効は中断しないため、管理者Bが滞納者Aに対し管理費の支払請求訴訟を提起すれば、その訴えが却下された場合でも、時効は中断するは、誤りです。


2 管理費債権の一部について、すでに消滅時効が完成しているにもかかわらず、Aが時効完成の事実を知らないで、Bに対し、滞納額全額を支払う旨の承認書を差し入れたときは、以後、完成した当該消滅時効の主張は認められない。

〇 正しい。 承認をすると債務者は完成時効を主張できない。
  平成27年 マンション管理士試験 「問10」 、平成27年 管理業務主任者試験 「問4」 、平成20年 管理業務主任者試験 「問11」 、平成18年 管理業務主任者試験 「問3」 平成17年 マンション管理士試験 「問15」 。

 
 滞納者Aが、管理者Bに対して滞納額全額を支払う旨の承認書を差し入れる行為は、選択肢1で説明しました民法第147条3号の「
承認」となり、時効を中断することになります。
 このさいに、時効の進行状態を知っているかどうかは、民法第146条
  「(時効の利益の放棄)
 第百四十六条 時効の利益は、あらかじめ放棄することができない。」

 との関係で争いがありましたが、今では、時効が完成していても、債務の承認をすると、それは時効の中断となると解釈されています。
 これは、債務の一部において既に消滅時効が完成していても同様です。そこで、管理費債権の一部について、すでに消滅時効が完成しているにもかかわらず、滞納者Aが時効完成の事実を知らないで、管理者Bに対し、滞納額全額を支払う旨の承認書を差し入れたときは、以後、完成した当該消滅時効の主張は認められないは、正しい。

 参考:最高裁判所 昭和41年4月20日 判決
  裁判要旨:
債務者が、消滅時効完成後に債権者に対し当該債務の承認をした場合には、時効完成の事実を知らなかつたときでも、その後その時効の援用をすることは許されないと解すべきである。

 他に承認と解されるのは、一部弁済、分割払い、利息の支払い、代金減額の交渉、支払延期の懇願など。また、代理人が承認しても中断となる。


3 Aが自ら破産手続開始の申立てをし、破産手続開始の決定がなされた場合、Bが滞納管理費債権について破産債権として届出をしただけでは、時効は中断しない。

X 誤っている。 破産手続参加は、届け出れば時効が中断する。
 平成25年 管理業務主任者試験 「問10」 、 平成22年 管理業務主任者試験 「問10」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問13」 。

 破産手続きは、民法第152条
 「(破産手続参加等)
 第百五十二条 
破産手続参加、再生手続参加又は更生手続参加は、債権者がその届出を取り下げ、又はその届出が却下されたときは、時効の中断の効力を生じない。
 とあり、
 破産手続参加とは、他の人が開始した破産手続きに、債権者として、債権の届け出をすることです。
 これは、選択肢1で説明しました民法第147条「請求」に当たります。

 
 そこで、民法第152条によれば、@債権者自身による届け出の取り下げ、又はA裁判所よりその届出が却下されたとき 以外には、時効が中断しないとありますから、管理者Bが滞納管理費債権について破産債権として届出をしたことは、時効の中断となるため、誤りです。


4 BがAに対し書面で支払の催告を行う場合、内容証明郵便によるものでなければ、時効中断事由としての催告の効力は生じない。

X 誤っている。 催告はそれだけでは、時効を中断させない。裁判上の請求などが必要。 また、催告の方法は、口頭でも書面でもいい。
 平成28年 管理業務主任者試験 「問10」 、 平成24年 管理業務主任者試験 「問3」 平成23年 マンション管理士試験 「問18」 など。

 催告は、これも、選択肢1で説明しました民法第147条「請求」に当たります。
 そして、民法第153条
 「(催告)

 
第百五十三条 催告は、六箇月以内に、裁判上の請求、支払督促の申立て、和解の申立て、民事調停法若しくは家事事件手続法による調停の申立て、破産手続参加、再生手続参加、更生手続参加、差押え、仮差押え又は仮処分をしなければ、時効の中断の効力を生じない。
 とあり、
 民法第153条によれば、催告は、単に債務者に債権者の意思の通知をしただけでは、時効の中断の効力がありません。
 催告後、6ヵ月以内に、
  @裁判上の請求(第149条参照)
  A支払督促の申立て(第150条参照)
  B和解の申立て(第151条参照)
  C民事調停法もしくは家事審判法による調停の申立て(第151条参照)
  D破産手続参加、再生手続参加、更生手続参加(第152条参照)
  E差押え、仮差押えまたは仮処分(第154条参照)
 の行為が必要ですから、管理者Bが滞納者Aに対し書面で支払の催告を行う場合、内容証明郵便によるものでなければ、時効中断事由としての催告の効力は生じないは、誤りです。
 なお、催告の方法としては、特に内容証明郵便でなくても、口頭でも他の書面でも可能です。



答え:2

 時効はよく出題されるので、的確に理解しておくこと。
 
 問題としては、易しい。

《タグ》民法 時効の中断 請求 承認 破産手続き参加 催告


*解説者 香川の嘆き:
 2018年 1月 3日にマンション管理士試験の「問25」まで終了し、サイトを確認したら、何と「問12」から下の部分が無くなっていた。  
 どこかで、HTMLの「TABLE」コマンドの操作ミスをして、「問12」以下が削除されたようだ。  
 そこで、また、2018年 1月 5日から、再び「問12」から解説を始めたが、民法での詳細な解説や出題ミスがあった建築基準法の「問21」の改正理由、「問22」の水道法の歴史など、以前と同じテンションでやることに、かなり疲れています。  
 誰か、今後、私の「過去問題の解説」のサイトを引き継いでくれまませんか?

 後継者を募集しています!

 是非、「マンション管理士 香川事務所」 まで連絡ください!

問13

〔問 13〕 Aがその所有する甲マンションの101 号室をBに賃貸した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 Bが101 号室を、Aの承諾を得ずにCに転貸した場合において、Bの転貸がAに対する背信行為と認めるに足りない特段の事情の存在をBが主張立証したときは、AはBとの賃貸借契約を解除できない。

〇 正しい。 判例では、背信的な行為がないと賃貸借契約は解除できないとしている。
 平成28年 管理業務主任者試験 「問40」 、 平成27年 管理業務主任者試験 「問6」 、平成26年 マンション管理士試験 「問15」、 平成25年 管理業務主任者試験 「問42」 。

 

 まず基本となる、転貸(又貸し)は、民法第612条
 「(賃借権の譲渡及び転貸の制限)
 第六百十二条 
賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない
2 
賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。」

 とあり、
 民法第612条1項によれば、賃借人は、賃貸人(大家)の承諾がないと賃借権の譲渡や転貸(又貸し)は出来ません。
 そして、同条2項によれば、賃借人は賃貸人に無断で転貸をすると、賃貸人(大家)は、契約の解除が出来るとなっています。
 この条文なら、どうして設問に「借家人Bの転貸が賃貸人Aに対する背信行為と認めるに足りない特段の事情の存在」なんて面倒なものを入れているのか、と疑問が湧きます。


 このような、単純な条文にもかかわらず、出題がある場合には、判例でこの条文の解釈が単純でなくなっていると気付けば、あなたは、もう民法では、合格圏にいます。

 この判例は、最高裁判所 昭和28年 9月25日の判決
  裁判趣旨:賃借人が賃貸人の承諾なく第三者に賃借物を使用させたときは賃貸人は常に契約を解除しうるか
       
 賃借人が賃貸人の承諾なく第三者をして賃借物の使用または収益をなさしめた場合でも、賃借人の当該行為を賃貸人に対する背信的行為と認めるにたらない本件の如き特段の事情があるときは、賃貸人は民法第六一二条第二項により契約を解除することはできない。(少数意見および補足意見がある。)
 とあり、
 この判例によれば、民法第612条の根本には、賃貸人と賃借人、当事者間の個人的な信頼関係がある。そこで、単に無断転貸であっても、直ちに契約の解除はできず、賃借人に「背信的行為」がないと賃貸人の解除権は発生しないというものです。

 よって、賃借人Bが101 号室を、賃貸人Aの承諾を得ずに第三者Cに転貸した場合において、賃借人Bの転貸が賃貸人Aに対する背信行為と認めるに足りない特段の事情の存在を賃借人Bが主張立証したときは、賃貸人AはBとの賃貸借契約を解除できないため、正しい。


 しかし、「背信的行為」ってどう判断するのでしょうか。曖昧な判決です。


2 Bが101号室を、Aの承諾を得てDに転貸したとき、Aは、Bに対して賃料の請求をすることができるが、Dに対して直接賃料の請求をすることはできない。

X 誤っている。 賃貸人は、貸借人にも転借人にも請求できる。
  平成27年 管理業務主任者試験 「問6」 、 平成26年 マンション管理士試験 「問15」 、 平成24年 マンション管理士試験 「問15」 。

 

 今度は、適法な転貸で、これは、民法第613条
 「(転貸の効果)
 第六百十三条 
賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人に対して直接に義務を負う。この場合においては、賃料の前払をもって賃貸人に対抗することができない。
2 前項の規定は、賃貸人が賃借人に対してその権利を行使することを妨げない

 とあり、
 民法第613条1項によれば、転借人Dは、賃貸人Aに対して直接に義務を負っていますから、貸借人Bが101号室を、賃貸人Aの承諾を得て第三者Dに転貸したとき、転借人Dに対しても直接賃料の請求をすることができ、また同条2項により、賃貸人Aは、賃借人Bに対して賃料の請求をすることもできますから、転借人Dに対しても直接賃料の請求をすることはできないは、誤りです。
 例:大家:賃貸人Aが賃借人Bに家賃10万円で契約をし、賃借人Bは、大家Aの許可を得て、Dに家賃13万円で転借していれば、AはDから、10万円の範囲で支払を受け取ることができます。



3 Bが101号室を、Aの承諾を得ずにEに転貸したとき、BE 間の転貸借契約は無効である。

X 誤っている。 無断転貸借でも、賃借人と転借人間の契約は有効。
 平成19年 管理業務主任者試験 「問6」 。

 

 選択肢1でも説明しましたが、賃借人Bが、賃貸人(大家)Aの承諾なしに第三者Eに、また貸し(転借)させた場合には、民法第612条
 「(賃借権の譲渡及び転貸の制限)
  賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
  2  賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。」

  の規定がありますが、解釈上、賃貸人の承諾を得ない賃借権の譲渡、または転貸借は、全然無効ではなく、賃借人と譲渡人または転借人との間では有効であり、ただ、賃貸人に対抗できないとされています(大審院 明治40・5・27)から、賃借人Bと転借人Eの転貸借契約は有効ですから、誤りです。



4 Bが101 号室を、Aの承諾を得てFに転貸したときでも、AとBが賃貸借契約を合意解除すれば、Aは合意解除をもってFに対抗することができる。

X 誤っている。 合意解除では、適法な転貸借契約は、消滅しない。
 

  
  合意解除とは、契約当事者が契約の解除を合意することによって、契約の効力を失わせることです。この合意解除では、基本的に第三者の権利を害しないとされていますから、適法になされた転貸借契約なら、信義・誠実に反していない限り、賃貸人Aは、合意解除をもって転借人Fに対抗することができませんから、誤りです。

 参考判例:最高裁判所 昭和37年2月1日 
 裁判要旨:賃貸借の合意解除と転借人の権利
        
賃貸人の承諾ある転貸借の場合には、転借人に不信な行為があるなどして、賃貸人と賃借人との間で賃貸借を合意解除することが信義誠実の原則に反しないような特段の事由のあるほか、右合意解除により転借人の権利は消滅しない。


答え:1

 転貸借は、判例を絡めて、出題が多い。

 過去問題をやっていれば、易しい。

《タグ》民法 転貸借 背信行為 無断 承諾 合意解除》

問14

〔問 14〕 AとBとの間で、甲マンション707号室を代金2,000万円でAがBに売却する旨の契約(以下「本件売買契約」という。)が結ばれた。その後、Bは代金全額をAに支払ったが、Aは履行期を過ぎても同室をBに引き渡していない。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 BがAに対して707 号室の引渡債務の強制履行を裁判所に請求するには、Aの責めに帰すべき事由によって同室の引渡しが遅滞している必要がある。

X 誤っている。 単に強制履行の請求なら、帰責事由は不要。
 平成21年 管理業務主任者試験 「問6」 、 平成17年 マンション管理士試験 「問7」 、平成16年 管理業務主任者試験 「問5」 。

 まず、債務不履行には、
 @履行遅滞...履行が遅れる
 A履行不能...履行ができない
 B不完全履行...履行したがそれは債務の本質に反している
 があります。


 @履行遅滞 と B不完全履行 のように、債務者が任意にその債務を履行しない時には、債権者は自分で履行を強制できず、訴え(裁判)などをもって履行させることになっています。(自力救済の禁止)
 そこで、民法第414条
 「(履行の強制)
 第四百十四条 
債務者が任意に債務の履行をしないときは、債権者は、その強制履行を裁判所に請求することができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2 債務の性質が強制履行を許さない場合において、その債務が作為を目的とするときは、債権者は、債務者の費用で第三者にこれをさせることを裁判所に請求することができる。ただし、法律行為を目的とする債務については、裁判をもって債務者の意思表示に代えることができる。
3 不作為を目的とする債務については、債務者の費用で、債務者がした行為の結果を除去し、又は将来のため適当な処分をすることを裁判所に請求することができる。
4 前三項の規定は、損害賠償の請求を妨げない。

 とあり、
 民法第414条1項によれば、強制履行を裁判所に求めるには、単に債務が不履行の状態であればよく、売主=債務者Aの責めに帰すべき事由(帰責事由=故意もしくは過失または信義則上それらと同視すべき事由)は、必要とされていませんから、Aの責めに帰すべき事由によって同室の引渡しが遅滞している必要はなく、誤りです。

 ただし、損害賠償を求めるなら、民法第415条
 「(債務不履行による損害賠償)
 第四百十五条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。
債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。
 とあり、
 この場合には、
 後段に規定されている A履行不能だけでなく、@履行遅滞 と B不完全履行にも、判例と学説は、履行不能と同様に捉え、債務者の責めに帰すべき事由(帰責事由=故意もしくは過失または信義則上それらと同視すべき事由)が必要と考えています。



2 Aの責めに帰すべき事由によって707 号室の引渡しが遅滞している場合において、BがAに対して履行遅滞による損害賠償を請求するには、相当の期間を定めて同室の引渡しを催告しなければならない。

X 誤っている。 損害賠償請求なら、相当の期間を定めての催告は不要。

  平成28年 マンション管理士試験 「問15」 平成27年 マンション管理士試験 「問12」 、 平成22年 マンション管理士試験、「問15」 、 平成21年 管理業務主任者試験 「問6」 。

 売主=債務者Aの責めに帰すべき事由があって、履行遅滞となっていれば、選択肢1で説明しました民法第415条
  「(債務不履行による損害賠償)
 第四百十五条 
債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。
 とあるだけで、
 ここでは、相当の期間を定めて同室の引渡しを催告しなければならないは、必要ありませんから、誤りです。


 なお、履行遅滞等で”契約を解除”するなら、民法第541条
 「(履行遅滞等による解除権)
 第五百四十一条 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、
相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる
 とあり、
 相当の期間を定めてその履行の催告が必要です。



3 Aの責めに帰すべき事由によって707 号室の引渡しが遅滞している場合において、Bが履行遅滞を理由として本件売買契約を解除したときには、Bは、Aに対し、707 号室の引渡しが遅滞したことによって生じた損害の賠償を請求することができない。

X 誤っている。 債務不履行が成立すれば、契約の解除と損害賠償の請求ができる。

  
 履行遅滞となると、同時に契約の解除権が発生します。
 履行遅滞での解約解除は、選択肢2で引用しました、民法第541条
 「(履行遅滞等による解除権)
 第五百四十一条 
当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる
 とあり、
 契約の解除ができます。

 そして、損害賠償請求は、民法第545条
 「(解除の効果)
 第五百四十五条 当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。
2 前項本文の場合において、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない。
3 解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない
 とあり、
 民法第545条3項により、契約を解除しても、損害賠償の請求ができますから、引渡しが遅滞したことによって生じた損害の賠償を請求することができないは、誤りです。



4 Aの責めに帰すべき事由によって707 号室の引渡しが遅滞している場合において、Aが707 号室をCに売却し、AからCへの同室の所有権移転登記がなされたときには、Bは、Aに対し、履行不能によって生じた損害の賠償を請求することができる。

〇 正しい。 履行不能となり、損害賠償請求ができる。

 よく出題される不動産の二重売買です。

 
 
 売主=債務者Aの責めに帰すべき事由による買主Bへの履行遅滞中に、他の買主Cに売却して、所有権の移転登記がなされると、買主Bは、先に対抗要件を備えた別の買主Cに対して対抗できず(民法第177条)、これは、選択肢1で説明しました A履行不能が成立します。

 すると、損害賠償請求は、
 これも、選択肢1で引用しました、民法第415条
 「(債務不履行による損害賠償)
 第四百十五条 
債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。」 
 とあり、
 買主Bは、売主Aに対し、履行不能によって生じた損害の賠償を請求することができますから、正しい。


 参考;民法第177条
 「
(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
 第百七十七条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。」



答え:4

  ここも、かなり詳細に説明しましたので、時間がかかった。

  条文にある似たような言葉をあちらこちらに入れて、混乱を狙っているので、注意のこと。

《タグ》民法 債務不履行 裁判 損害賠償請求 契約の解除

問15

〔問 15〕 Aが所有する甲マンションの301号室に隠れた瑕疵(排水管の腐食)があった場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 AB 間の賃貸借契約に基づき、Bが賃借人となった301号室に隠れた瑕疵があったときは、特約のない限り、Bは、Aに対し、隠れた瑕疵について損害賠償の請求をすることができ、又は賃貸借契約の解除をすることができるが、当該排水管の修繕を請求することはできない。

X 誤っている。 損害賠償請求と解約の解除は、「瑕疵担保責任」からできる。修繕の請求は、賃貸人の義務としてできる。
  今年の瑕疵担保責任は、賃貸借契約から来たか。

  (売り主の)瑕疵担保責任を問う出題は、宅地建物取引業法や住宅の品質確保の促進等に関する法律、消費者契約法、アフターサービスなどと絡めて例年1問は、あります。

  平成29年 管理業務主任者試験 「問41」、 平成27年 マンション管理士試験 「問15」 、 平成27年 マンション管理士試験 「問17」 、 平成27年 管理業務主任者試験 「問40」 、 平成26年 マンション管理士試験 「問17」 、 平成26年 管理業務主任者試験 「問40」 など。
 そこで、 瑕疵担保責任を纏めたサイト も作成していますから、参考にしてください。 
 

 まず、賃貸借契約での瑕疵担保責任については、民法第559条
 「(有償契約への準用)
 第五百五十九条 
この節の規定は、売買以外の有償契約について準用する。ただし、その有償契約の性質がこれを許さないときは、この限りでない。」
 とあり、
 この節とは、民法第555条〜第585条で、この中に、瑕疵担保責任を定めた民法第570条
 「(売主の瑕疵担保責任)
 第五百七十条 
売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第五百六十六条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。」
 があります。
 民法第570条で準用されています民法第566条は、
 「地上権等がある場合等における売主の担保責任)
 第五百六十六条 売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、
買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。
2 前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。
3 前二項の場合において、
契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。
 とあり、
 売買の目的物に隠れた瑕疵(通常有している品質・性能を有していないことを通常人の注意を払っても発見できないこと)があったときは、
 @契約の解除
 A損害賠償請求
 ができます。


 民法第566条では、修繕の請求は出来ないことに注意してください。

 なお、この「売主の瑕疵担保責任」については、特約で「瑕疵担保責任を負わない」とすることができますので、設問のように「特約のない限り」のような文言も重要です。

 民法第572条
 「(担保責任を負わない旨の特約)
 第五百七十二条  売主は、第五百六十条から前条までの規定による担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない。
」 
 とあり、
 担保責任を負わない旨の特約をしても、売主が知っていて相手に告げなかった事実等があれば、売主は責任を負います。


 では、民法第559条の「有償契約について準用」での、有償契約とは、売買、賃貸借、利息付き消費貸借、雇用、請負、有償委任などを指しますから、設問の賃貸借契約にも、民法第577条 → 民法第566条の売主の瑕疵担保責任が適用され、設問の前半「AB 間の賃貸借契約に基づき、Bが賃借人となった301号室に隠れた瑕疵があったときは、特約のない限り、賃借人Bは、賃貸人(大家)Aに対し、隠れた瑕疵について損害賠償の請求をすることができ、又は賃貸借契約の解除をすることができるは、正しい。

 そこで、設問の後半の修繕請求は、「売主の瑕疵担保責任」には入っていませんが、これは、賃貸借についての民法第606条
 「(賃貸物の修繕等)
 第六百六条 
賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う
2 賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない。」

  とあり、
  民法第606条1項により、賃貸人(大家)は、雨漏りなどの修繕の義務があり、これには隠れた瑕疵(排水管の腐食)があった場合も入りますから、当該排水管の修繕を請求することはできないは、誤りです。

 そこで、選択肢1は前半は正しいが、後半は誤りで、全体として、誤りです。



2 AC 間の負担付でない使用貸借契約に基づき、Cが借主となった301 号室に隠れた瑕疵があったときは、Aが隠れた瑕疵の存在を知らない場合は、特約のない限り、Cは、Aに対し、担保責任を追及することができない。

〇 正しい。 負担付でない使用貸借契約なら、隠れた瑕疵の存在を知らない場合だと、貸主は担保責任を負わない。

 平成27年 マンション管理士試験 「問15」 、 平成19年 管理業務主任者試験 「問3」 。

 使用貸借契約とは、無償で他人の物を借りて使用収益する契約であるため、貸主の責任は軽くなります。
 具体的には、民法第596条
 「(貸主の担保責任)
 第五百九十六条 第五百五十一条の規定は、使用貸借について準用する。

 とあり、
 準用される民法第551条
 「(贈与者の担保責任)
 第五百五十一条 
贈与者は、贈与の目的である物又は権利の瑕疵又は不存在について、その責任を負わない。ただし、贈与者がその瑕疵又は不存在を知りながら受贈者に告げなかったときは、この限りでない
2 負担付贈与については、贈与者は、その負担の限度において、売主と同じく担保の責任を負う
。」
 とあり、
 負担付でない使用貸借契約なら、民法第551条1項により、「贈与者(貸主)は、贈与の目的である物又は権利の瑕疵又は不存在について、その責任を負わない。ただし、贈与者(貸主)がその瑕疵又は不存在を知りながら受贈者(借主)に告げなかったときは、この限りでない。」となり、特約がなければ、貸主Aが、隠れた瑕疵の存在を知らない場合となると、借主Cは、貸主Aに対し、担保責任を追及することができなないため、正しい。


 なお、負担付贈与とは、受贈者は、財産を貰うかわりに、一定の給付を負担するものです。


3 Aが死亡し、相続人D及びEの遺産分割協議に基づき、Dが単独で取得した301号室に隠れた瑕疵があったときは、共同相続人であるEは、Dに対し、売主と同じく、その相続分に応じて担保の責任を負う。

〇 正しい。 共同相続人は、売主と同様の担保責任がある。
 平成20年 マンション管理士試験 「問16」 

 遺産分割協議をした共同相続人の担保責任は、民法第911条
 「(共同相続人間の担保責任)
 第九百十一条 
各共同相続人は、他の共同相続人に対して、売主と同じく、その相続分に応じて担保の責任を負う。

 とあり、
 民法第911条によれば、Dが単独で取得した301号室に隠れた瑕疵があったときは、共同相続人であるEは、Dに対し、売主と同じく、その相続分に応じて担保の責任を負いますから、正しい。



4 Fが強制競売によって取得した301号室に隠れた瑕疵があったときは、Fは、Aに対し、隠れた瑕疵について損害賠償の請求をすることはできない。

〇 正しい。 強制競売なら、瑕疵担保責任を請求できない。
 
 強制競売(裁判所による競売)となると、選択肢1で説明しました、民法第570条
 「(売主の瑕疵担保責任)
 第五百七十条 売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第五百六十六条の規定を準用する。
ただし、強制競売の場合は、この限りでない。」
 とあり、
 売主の瑕疵担保責任の適用がありませんから、Fが強制競売によって取得した301号室に隠れた瑕疵があったときは、Fは、Aに対し、隠れた瑕疵について損害賠償の請求をすることはできませんので、正しい。


 強制競売で瑕疵担保責任を排除しているのは、自己責任で落とす前に丁寧に瑕疵も調べろということです。


答え:1

 瑕疵担保責任もよく出題されるので、かなり詳細に説明したので、時間がかかる。

 出題としては、易しい。

 瑕疵担保責任は、宅地建物取引業や住宅の品質確保の促進等に関する法律、消費者契約法、アフターサービスなどと絡めて出されると面倒なので、整理しておくこと。

《タグ》民法 隠れた瑕疵 賃貸借 使用貸借 共同相続人 強制競売

問16

〔問 16〕 Aは、甲マンション206 号室を購入する際にB銀行から購入資金を借り受け、これを担保する目的で同室にBのための抵当権を設定し、その旨の登記がなされた。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 抵当権設定登記後に、206号室が全焼し、保険会社からAに火災保険金が支払われた。この場合には、Bは、Aに支払われた火災保険金に対して、抵当権に基づく物上代位権を行使することができない。

〇正しい。 物上代位権は行使の前に、”差押え”が必要。

 平成25年 マンション管理士試験 「問13」 平成20年 管理業務主任者試験 「問6」 、平成19年 マンション管理士試験 「問4」 、 平成19年 管理業務主任者試験 「問4」、 平成18年 管理業務主任者試験 「問4」 、 平成15年 管理業務主任者試験 「問5」 、 平成14年 マンション管理士試験 「問13」 。

 まず抵当権の内容として、民法第369条
 「(抵当権の内容)
 第三百六十九条 
抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する
2 地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる。この場合においては、この章の規定を準用する。

 とあり、
 民法第369条1項により、抵当権には、担保となった不動産に対して、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利がありますが、売却、賃貸、滅失又は損傷によって目的物が無くなっても、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利があります。


 それが、民法第372条
 「(留置権等の規定の準用)
 第三百七十二条 第二百九十六条、
第三百四条及び第三百五十一条の規定は、抵当権について準用する。
 とあり、
 ここで、抵当権に準用されています、民法第304条が「物上代位」と呼ばれています。


 そこで、物上代位とは、民法第304条
 「(物上代位)
 第三百四条 
先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
2 債務者が先取特権の目的物につき設定した物権の対価についても、前項と同様とする。

 とあり、
 目的の物が売却、賃貸、滅失又は損傷することにより、先取特権もなくなるのでは、債権者として不利となりますのでこの場合でも債権者を保護し、先取特権を行使できるようにしています。
 民法第304条では、実際は、目的物を支配せず、目的物に代わるもので、目的物と同一の価値を持つ物にも効力が及ぶということで「
物上代位」と呼ばれます。

 ちなみに、先取特権とは、民法第303条
 「(先取特権の内容)
 第三百三条 先取特権者は、この法律その他の法律の規定に従い、その債務者の財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

 です。
 先取特権とは、民法第303条にありますように、まさに他の債権者より先に自分の債権の弁済が受けられるという”特権”です。
 その先取特権には、民法では以下の3種があります。
 @一般の先取特権...債務者の総財産について成立
 A動産の先取特権...債務者の特定の動産について成立
 B不動産の先取特権...債務者の特定の不動産について成立


 そこで、設問の、抵当権設定登記後に、206号室が全焼し、保険会社からAに火災保険金が支払われますと、これは、抵当権での目的物の滅失に該当し、民法第304条1項の物上代位により、B銀行は、目的物の所有者が受け取るべき金銭(火災保険金)やその他のものについて、抵当権者として代位できます。
 しかし、その代位の際の条件で「
ただし、先取特権者(抵当権者)は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない」とありますので、B銀行は、保険金が支払われる前に「差押え」が必要ですから、差押えをしていないこの場合、抵当権に基づく物上代位権を行使することができないは、正しい。

 「払渡し又は引渡しの前に差押え」を求めるのは、債務者の財産を特定し、他の財産と区別するためです。


2 抵当権設定登記後に、AがC銀行から金銭を借り受けるに当たり、206号室にCのための抵当権を設定する場合には、Bの承諾を得なければならない。

X 誤っている。 こんな規定はない。 抵当権は、前の抵当権者の承諾がなくても、重ねて設定できる。

 通常、抵当権を設定しますと、第三者に対抗するために下の図のように登記簿の権利部(乙区=所有権以外が記録される)に登記をしますなお、権利部の「甲区」は、所有権に関する登記の登記事項が記録され、誰が所有者かを示します。

  

 この登記簿に記録された順位に従って、優先的に弁済を受けるという規定(民法第373条)はありますが、設問のような、抵当権設定登記後に、AがC銀行から金銭を借り受けるに当たり、206号室にCのための抵当権を設定する場合には、Bの承諾を得なければならないという規定はないため、誤りです。

 抵当権は、前の抵当権者の承諾がなくても、重ねて設定できます。


 参考:民法第373条
 「(抵当権の順位)
 第三百七十三条 同一の不動産について数個の抵当権が設定されたときは、その抵当権の順位は、登記の前後による。」



3 抵当権設定登記後に、Dが、206号室にBの抵当権が設定されていることを知らずに、Aから同室を購入しその旨の登記がなされた。この場合には、Dは、同室にBの抵当権が設定されていることにつき善意であったことを理由として、Bに対し、抵当権設定登記の抹消を請求することができる。

X 誤っている。 例え善意(事実を知らない)であっても、既に登記してある第三者の抵当権の抹消請求はできない。


 選択肢2でも説明しましたように、抵当権を登記するという前提には、家や土地などの不動産を購入する際には、事前にその物件の状況を登記簿によって調査・確認しなさいということがあります。
 この登記制度では、抵当権の設定がされているのを知らなかった(善意)ことを理由として、既に登記をしているB銀行に対して抵当権設定登記の抹消を請求することは、できませんから、誤りです。


 なお、抵当権の順位の変更なら、民法第374条
 「(抵当権の順位の変更)
 第三百七十四条 抵当権の順位は、各抵当権者の合意によって変更することができる。ただし、利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければならない。
2 前項の規定による順位の変更は、その登記をしなければ、その効力を生じない。」

 とはあります。



4 抵当権設定登記後に、Aが206号室をEに賃貸し、Eが同室に居住し始めた。その後、Bの抵当権の実行による競売において同室をFが買い受けた場合には、Eは、Fの買受けの時に直ちに同室をFに引き渡さなければならない。

X 誤っている。 抵当権設定登記後の賃貸での競売なら、買受から”6カ月”まで引渡しが猶予される。 ”直ち”に引き渡さなくていい。

 平成16年 マンション管理士試験 「問15」 。

 
 

  懐かしい平成16年の短期賃貸制度の改正点が、再び出題された。
 
  これは、民法第395条
 「抵当建物使用者の引渡しの猶予)
 第三百九十五条 
抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者であって次に掲げるもの(次項において「抵当建物使用者」という。)は、その建物の競売における買受人の買受けの時から六箇月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない。
   
一 競売手続の開始前から使用又は収益をする者
   二 強制管理又は担保不動産収益執行の管理人が競売手続の開始後にした賃貸借により使用又は収益をする者
2 前項の規定は、買受人の買受けの時より後に同項の建物の使用をしたことの対価について、買受人が抵当建物使用者に対し相当の期間を定めてその一箇月分以上の支払の催告をし、その相当の期間内に履行がない場合には、適用しない。」

 とあり、
 設問の「抵当権設定登記後に、Aが206号室をEに賃貸し、Eが同室に居住し始めた。」
 これは、賃借人は既に抵当権の存在を知っています(現実はともかく)から、抵当権者に対抗することができない賃貸借です。
 そして、「その後、Bの抵当権の実行による競売において同室をFが買い受けた場合」は、民法第395条1項1号に該当しますから、賃借人Eは、買受人Fの買受時から”6カ月”を経過するまで、引渡ししなくていいため、”直ちに”同室をFに引き渡さなければならないは、誤りです。



答え:1

 物上代位の言葉を知らないと難しい?

 過去問題をしっかりとやっていれば、易しいが。 なお、先取特権については、 「問18」 も参考に。

《タグ》民法 抵当権 物上代位 抵当権抹消 抵当権設定後の賃借人

問17

〔問 17〕 甲マンションの102 号室を所有するAが死亡し、Aの配偶者がB、Aの子がCのみ、Cの子がDのみである場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 CがAより先に死亡していたときは、B及びDが102 号室の共同相続人となる。

〇 正しい。 親より早く子が死んでいれば、孫が代襲相続する。
  平成26年 マンション管理士試験 「問16」 、 平成25年 マンション管理士試験 「問15」 、平成18年 管理業務主任者試験 「問5」 。

  

 まず、相続での子は、民法第887条
 「(子及びその代襲者等の相続権)
 第八百八十七条 被相続人の子は、相続人となる。
2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
3 前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。」

 とあり、
 代襲相続が生じるのは、
  @被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき
  A被相続人の子が、相続人の欠格事由の規定(民法第891条)に該当し、相続権を失ったとき
  B被相続人の子が、廃除によって、その相続権を失ったとき
  です。


  そこで、被相続人Aの子Cが、相続の開始以前に死亡したときは、民法第887条2項により、その者の子:孫Dがこれを代襲して相続人となります。

 そして、配偶者は、民法第890条
 「(配偶者の相続権)
 第八百九十条 
被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第八百八十七条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする
 とあり、
 民法第890条により、配偶者Bは、常に相続人となり、その順位は、この場合子Cが死亡していますから孫Dと同一順位となります。
 
 そこで、子Cが親Aより先に死亡していたときは、配偶者B及び孫のDが102 号室の共同相続人となりますから、正しい。



2 Cが相続の放棄をしたときは、B及びDが102号室の共同相続人となる。

X 誤っている。 子が相続放棄をすると孫の代襲相続はない。
 平成28年 管理業務主任者試験 「問6」 平成21年 マンション管理士試験 「問16」 。

 

 相続放棄は、民法第939条
 「(相続の放棄の効力)
 第九百三十九条 
相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。」
 とあります。
 子Cが、親Aの死亡によって、相続を放棄すると、相続の体系から外れ、選択肢1で説明しました民法第887条における
代襲相続に該当せず孫Dは、相続人とはなりません
 
 また、配偶者Bは、選択肢1で説明しましたように、民法第890条
 「(配偶者の相続権)
 第八百九十条 
被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第八百八十七条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。」
 とあり、
 民法第890条により、配偶者Bは、常に相続人となります。

 そこで、子Cが相続の放棄をしたときは、配偶者Bだけが相続人となり、孫Dは102号室の共同相続人とならないため、誤りです。


 死亡と相続の放棄は違うということです。


3 Cが相続人の欠格事由に該当したときは、B及びDが102 号室の共同相続人となる。

〇 正しい。 相続欠格なら代襲相続する。

 平成28年 管理業務主任者試験 「問6」 。

 相続人の欠格事由は、民法第891条
 「(相続人の欠格事由)
 第八百九十一条 
次に掲げる者は、相続人となることができない
   一 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
   二 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
   三 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
   四 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
   五 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

 とあります


 そこで、子Cが相続人の欠格事由に該当すると、選択肢1で説明しました民法第887条2項、
 「2 
被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。」
 とあり、
 子Cが相続人の欠格事由を定めた第891条の規定に該当して、その相続権を失ったときは、その者の子:孫Dがこれを代襲して相続人となります。


 また、配偶者Bは、選択肢1で説明しましたように、民法第890条
 「(配偶者の相続権)
 第八百九十条 
被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第八百八十七条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。」
 とあり、
 民法第890条により、配偶者Bは、相続人となり、その順位は、この場合子Cが相続権を失っていますから孫Dと同一順位となります。

 よって、子Cが相続人の欠格事由に該当したときは、配偶者B及び孫のDが102 号室の共同相続人となりますから、正しい。



4 C及びDがAより先に死亡していた場合において、Dに子Eのみがあるときは、B及びEが102号室の共同相続人となる。

〇 正しい。 代襲者が死亡していれば、その子が再代襲する。

 

 子C及び孫Dが親Aより先に死亡していた場合なら、選択肢1で説明しました、民法第887条3項及び2項
 
「2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
3 
前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。」

 により、
 曾孫のEが孫のDを代襲相続します。


 また、配偶者Bは、選択肢1で説明しましたように、民法第890条
 「(配偶者の相続権)
 第八百九十条 
被相続人の配偶者は、常に相続人となるこの場合において、第八百八十七条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。」
 とあり、
 民法第890条により、配偶者Bは、相続人となり、その順位は、この場合子Cも孫Dも死亡していますから曾孫Eと同一順位となります。

 よって、子C及び孫Dが親Aより先に死亡していた場合において、孫Dに子E(曾孫)のみがあるときは、配偶者B及びE(曾孫)が102号室の共同相続人となるは、正しい。



答え:2

  代襲制度をどこまで知っているかです。

《タグ》民法 相続 代襲 配偶者 再代襲

問18

〔問 18〕 敷地権付き区分建物の登記等に関する次の記述のうち、不動産登記法(平成16 年法律第123号)、区分所有法及び民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 敷地権付き区分建物の敷地権が地上権である場合に、敷地権である旨の登記をした土地には、当該土地の所有権を目的とする抵当権の設定の登記をすることができない。

X 誤っている。 敷地権が地上権であれば、土地の所有権を目的とした抵当権の設定はできる。 分離処分の禁止に該当しない。
  平成26年 マンション管理士 「問2」 

 まず、「敷地権」とは、不動産登記法第44条1項9号
 「(建物の表示に関する登記の登記事項)
 第四十四条 
 九 
建物又は附属建物が区分建物である場合において、当該区分建物について区分所有法第二条第六項に規定する敷地利用権(登記されたものに限る。)であって、区分所有法第二十二条第一項本文(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定により区分所有者の有する専有部分と分離して処分することができないもの(以下「敷地権」という。)があるときは、その敷地権
 とあり、
 この不動産登記法第44条1項9号で引用されています区分所有法第2条6項は、
 
「(定義)
 第二条 
 6 この法律において「
敷地利用権」とは、専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利をいう。」

 であり、
 専有部分とは、区分所有法第2条1項3号
 「3 この法律において「
専有部分」とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう。」
 です。

 また、区分所有法第22条1項本文の規定とは、
 「(分離処分の禁止)
 第二十二条 
敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。」
 です。

 区分所有法と不動産登記法のこれらを纏めますと、「
敷地権」とは、区分所有法でいう建物の専有部分(室)と分離して処分ができない土地(敷地)を利用する権利である「敷地利用権」が、登記されたものとなります。

 この登記により、具体的に建物の専有部分と敷地利用権の分離処分の禁止が第三者に対しても公示されます。

 どうして、このような民法にない「敷地利用権」を創設するという区分所有法独特の体系をとるようになったのかは、私の 「超解説 区分所有法」 の第22条を読んでください。


 
 
 そして、敷地利用権になる得る権利関係は民法で、どのようなものがあるかといいますと、
   @所有権...敷地の権利を専有部分の所有者が直接所有する場合(多くの場合。マンションでは複数の所有権者がいますから、共有となります。)(民法第206条以下参照)
  
 A地上権...他人の土地を利用する権利を持ってマンションを建てた場合。(民法第265条以下参照)
   B賃借権...他人の土地を賃料を支払って借りる場合。(民法第601条以下参照)
   C使用貸借権...他人の土地を無償で借りる場合。(民法第593条以下参照)。この使用賃借は、論理的にはあり得るということですが、無償ですから、現実としては稀な場合です。また、登記はできませんから、敷地権にはなりません。

  
 そこで、建物については「敷地権の表示の登記」がされると建物は「敷地権付き建物」とよばれ、土地については「敷地権である旨の登記」がなされると、建物の専有部分と敷地利用権の分離処分の禁止が適用され、「建物のみ」また「敷地権のみ」を目的とする権利に関する処分(所有権の移転や一般の先取特権(債務者の総財産を目的とするもの)の保存の登記、質権または抵当権の設定)は出来なくなります。

 参考:不動産登記法第73条3項及び2項
 
 不動産登記法第73条
 「(敷地権付き区分建物に関する登記等)
 第七十三条 敷地権付き区分建物についての所有権又は担保権(一般の先取特権、質権又は抵当権をいう。以下この条において同じ。)に係る権利に関する登記は、第四十六条の規定により敷地権である旨の登記をした土地の敷地権についてされた登記としての効力を有する。ただし、次に掲げる登記は、この限りでない。
   一 敷地権付き区分建物についての所有権又は担保権に係る権利に関する登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をする前に登記されたもの(担保権に係る権利に関する登記にあっては、当該登記の目的等(登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付をいう。以下この号において同じ。)が当該敷地権となった土地の権利についてされた担保権に係る権利に関する登記の目的等と同一であるものを除く。)
   二 敷地権付き区分建物についての所有権に係る仮登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をした後に登記されたものであり、かつ、その登記原因が当該建物の当該敷地権が生ずる前に生じたもの
   三 敷地権付き区分建物についての質権又は抵当権に係る権利に関する登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をした後に登記されたものであり、かつ、その登記原因が当該建物の当該敷地権が生ずる前に生じたもの
   四 敷地権付き区分建物についての所有権又は質権若しくは抵当権に係る権利に関する登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をした後に登記されたものであり、かつ、その登記原因が当該建物の当該敷地権が生じた後に生じたもの(区分所有法第二十二条第一項本文(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定により区分所有者の有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない場合(以下この条において「分離処分禁止の場合」という。)を除く。)
2 
第四十六条の規定により敷地権である旨の登記をした土地には、敷地権の移転の登記又は敷地権を目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることができない。ただし、当該土地が敷地権の目的となった後にその登記原因が生じたもの(分離処分禁止の場合を除く。)又は敷地権についての仮登記若しくは質権若しくは抵当権に係る権利に関する登記であって当該土地が敷地権の目的となる前にその登記原因が生じたものは、この限りでない。
3 
敷地権付き区分建物には、当該建物のみの所有権の移転を登記原因とする所有権の登記又は当該建物のみを目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることができない。ただし、当該建物の敷地権が生じた後にその登記原因が生じたもの(分離処分禁止の場合を除く。)又は当該建物のみの所有権についての仮登記若しくは当該建物のみを目的とする質権若しくは抵当権に係る権利に関する登記であって当該建物の敷地権が生ずる前にその登記原因が生じたものは、この限りでない。」


  そこで、設問に戻りますが、設問では敷地利用権は他人の土地を借りている「地上権」となっています。
 この場合、土地の所有者が、その所有権に基づいて土地のみを譲渡したり、抵当権を設定する行為は、建物の専有部分と敷地利用権の分離処分の禁止、つまり、「建物のみ」また「敷地権のみ(この場合地上権)」を目的とする権利に関する処分には該当しないため、敷地権である旨の登記をした土地には、当該土地の所有権を目的とする抵当権の設定の登記をすることができるため、誤りです。

 なお、敷地権が所有権(共有)のときは、その土地のみに対する所有権の移転や抵当権の設定は、分離処分の禁止に該当して、できません。


 


2 敷地権付き区分建物には、建物のみを目的とする不動産の先取特権に係る権利に関する登記をすることができない。

X 誤っている。 先取特権のうち ”一般の先取特権”や質権、抵当権は”建物のみ”を目的として登記できないが、”不動産の先取特権”なら登記できる。

 まず、先取特権は、「問16」 でも説明しましたように、民法第303条にあり、まさに他の債権者より先に自分の債権の弁済が受けられるという”特権”です。
 その先取特権には、民法では以下の3種があります。
 @一般の先取特権...債務者の総財産(=一般財産 動産、不動産、債権ほか)について成立
                発生原因:共益の費用、雇用関係、葬式の費用、日用品の供給
 A動産の先取特権...債務者の特定の動産について成立
                発生原因:不動産の賃貸借、旅館の宿泊、旅客又は荷物の運輸、動産の保存、動産の売買、種苗又は肥料(蚕種又は蚕の飼養に供した桑葉を含む)の供給、農業の労務、工業の労務
 B不動産の先取特権...債務者の特定の不動産について成立
                 発生原因:不動産の保存 、不動産の工事、不動産の売買

 先取特権は、その成立の根拠が当事者の意思に寄らず法律によって当然に生じる法定担保物件であり、このうち債務者の総財産について成立する @一般の先取特権は、債務者の一般財産である建物とその敷地権の両方の上に成立するため、建物についてのみ効力を有する登記としては、不適当として認めなくしています。

 それが、選択肢1で説明しました、不動産登記法第73条3項
 
「3 敷地権付き区分建物には、当該建物のみの所有権の移転を登記原因とする所有権の登記又は当該建物のみを目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることができない。」
 です。
 ここでの「担保権」は、同第73条1項で、
 
「第七十三条 敷地権付き区分建物についての所有権又は担保権一般の先取特権、質権又は抵当権をいう。以下この条において同じ。)・・・・・」
 とあり、
 不動産登記法第73条3項での「担保権」は、一般の先取特権、質権又は抵当権を指していますから、”一般の先取特権”ではない、”不動産の先取特権”なら、敷地権付き区分建物には、建物のみを目的とする不動産の先取特権に係る権利に関する登記をすることができますから、誤りです。



3 敷地権付き区分建物の所有権の登記名義人の相続人は、区分建物と敷地権とをそれぞれ別の相続人とする相続を原因とする所有権の移転登記をすることができる。

X 誤っている。 敷地権だけの所有権移転登記は出来なくなっている。分離処分となる。


 選択肢1で説明しましたように、区分所有法第22条と不動産登記法73条2項及び3項により、敷地権付き区分建物となると、その区分建物と敷地権を分離して処分することはできません。
 
 そこで、敷地権となった土地の登記は不動産登記法第46条
 「(敷地権である旨の登記)
 第四十六条 登記官は、表示に関する登記のうち、区分建物に関する敷地権について表題部に最初に登記をするときは、
当該敷地権の目的である土地の登記記録について、職権で、当該登記記録中の所有権、地上権その他の権利が敷地権である旨の登記をしなければならない。」
 とあり、
 敷地権である旨の登記がなされた土地では、所有権等が建物の専有部分と一体化していることを公示し、これにより土地の登記簿は閉じられたと同様になり、今後の権利変動は、建物の登記記録により公示されます。

 そこで、設問のような、敷地権付き区分建物の所有権を相続によって、区分建物と敷地権とをそれぞれ別の相続人とする相続を原因とする所有権の移転登記をすることは、できず、誤りです。

 相続人が複数いる場合、区分建物を共有と申請することになりますか。



4 規約敷地を新たに追加し、敷地権である旨の登記がなされた場合には、当該規約敷地に、既に区分建物に登記されている抵当権と同一の債権を担保する敷地権のみを目的とする抵当権設定の登記をすることができる。

〇 正しい。 追加された規約敷地に同じ抵当権を設定登記するのは、分離処分ではない。

 まず規約敷地とは、区分所有法第5条
 「(規約による建物の敷地)
 第五条 
区分所有者が建物及び建物が所在する土地と一体として管理又は使用をする庭、通路その他の土地は、規約により建物の敷地とすることができる
2 建物が所在する土地が建物の一部の滅失により建物が所在する土地以外の土地となつたときは、その土地は、前項の規定により規約で建物の敷地と定められたものとみなす。建物が所在する土地の一部が分割により建物が所在する土地以外の土地となつたときも、同様とする。」

 とあり、
 マンションでは、現実にその土地の上にマンションが建っているいる敷地(法定敷地)の他に、マンションの土地として法定敷地と一体として管理又は使用をするなら、例えば別途登記された庭・通路・駐車場・遊園地・テニスコートなどは、規約でマンションの敷地にできます。こちらは、規約により敷地となったので「規約敷地」と呼ばれます。

 

 そして、登記上は、現実にその土地の上にマンションが建っているいる敷地(法定敷地)も規約敷地も、共に「敷地権」として登記されますと、これにより、選択肢1で説明しました、区分所有法第22条で規定される、建物の専有部分と敷地利用権が分離処分出来なくなります。

 そこで、不動産登記法第73条2項
 「2 
第四十六条の規定により敷地権である旨の登記をした土地には、敷地権の移転の登記又は敷地権を目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることができない。ただし、当該土地が敷地権の目的となった後にその登記原因が生じたもの(分離処分禁止の場合を除く。)又は敷地権についての仮登記若しくは質権若しくは抵当権に係る権利に関する登記であって当該土地が敷地権の目的となる前にその登記原因が生じたものは、この限りでない。」
 とあり、
 設問のような、追加された規約敷地に既に区分建物に登記されている抵当権(第1抵当権)と同一の債権を担保する敷地権のみを目的とする抵当権(第2抵当権)を設定することが、禁止されている分離処分に該当するかどうかということです。

 この場合には、建物の専有部分と敷地利用権が一体として抵当権の対象となっているため、分離処分には該当しませんから、正しい。



答え:4

 いやはや、解説が非常に難しい出題だ! 複雑な出題で「不動産登記法 Q&A」なども参考にし、解説に4時間以上もかかった。 超難問だ。 選択肢2の不動産の先取特権で迷う。

 不動産の先取特権や追加の規約敷地を持ち出すとは、もうこれは、区分所有法と民法、さらに不動産登記法に精通していないと、説明ができない。 司法書士でも正解は難しい?

《タグ》区分所有法 不動産登記法 民法 地上権 分離処分の禁止 追加の規約敷地

問19

〔問 19〕 マンション敷地売却組合(この問いにおいて「組合」という。)が施行するマンション敷地売却事業に関する次の記述のうち、マンションの建替え等の円滑化に関する法律(平成14年法律第78号)の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

ア 組合が分配金取得計画について認可を申請しようとするときは、分配金取得計画について、あらかじめ、総会において出席組合員の議決権及び敷地利用権の持分の価格の各4分の3以上の特別の議決を経る必要がある。


X 誤っている。 分配金取得計画の議決なら出席組合員の議決権の過半数でいい。 特別決議は不要。
 マンションの建替え等の円滑化に関する法律からも、例年1問はでる。
 平成28年 マンション管理士試験 「問19」 、 平成27年 マンション管理士試験 「問19」 。

 
 まず、分配金とは、組合員が取得することとなる金額です。
 そして、分配金取得計画について認可を申請は、マンションの建替え等の円滑化に関する法律第141条
 「(分配金取得計画の決定及び認可)
 第百四十一条 組合は、第百二十三条第一項の公告後、遅滞なく、分配金取得計画を定めなければならない。この場合においては、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事等の認可を受けなければならない。
2 組合は、前項後段の規定による認可を申請しようとするときは、
分配金取得計画について、あらかじめ、総会の議決を経るとともに、売却マンションの敷地利用権が賃借権であるときは、売却マンションの敷地の所有権を有する者の同意を得なければならない。ただし、その所有権をもって組合に対抗することができない者については、この限りでない。」
 とあり、
 マンションの建替え等の円滑化に関する法律第141条2項に定める、総会の議決は、マンションの建替え等の円滑化に関する法律第128条
 「(総会の決議事項)
 第百二十八条 
次に掲げる事項は、総会の議決を経なければならない。
   一 定款の変更
   二 資金計画の変更
   三 借入金の借入れ及びその方法並びに借入金の利率及び償還方法
   四 経費の収支予算
   五 予算をもって定めるものを除くほか、組合の負担となるべき契約
   六 賦課金の額及び賦課徴収の方法
  
 七 分配金取得計画及びその変更
   八 組合の解散
   九 その他定款で定める事項」

 です。


 議事や議決は、マンションの建替え等の円滑化に関する法律第129条及び第130条
 「(総会の招集及び議事についての規定の準用)
 第百二十九条 第二十八条の規定は組合の総会の招集について、
第二十九条の規定は組合の総会の議事について、それぞれ準用する。この場合において、第二十八条第五項中「第九条第一項」とあるのは「第百二十条第一項」と、第二十九条第三項中「次条」とあるのは「第百三十条」と読み替えるものとする。」
 「(特別の議決)
 第百三十条 第百二十八条第一号に掲げる事項のうち政令で定める重要な事項及び同条第八号に掲げる事項は、組合員の議決権及び敷地利用権の持分の価格の各四分の三以上で決する。」

 とあり、
 議事を定めた第29条は
 「(総会の議事等)
 第二十九条 
総会は、総組合員の半数以上の出席がなければ議事を開くことができず、その議事は、この法律に特別の定めがある場合を除くほか、出席者の議決権の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる
2 議長は、総会において選任する。
3 議長は、組合員として総会の議決に加わることができない。ただし、次条の規定による議決については、この限りでない。
4 総会においては、前条第六項の規定によりあらかじめ通知した会議の目的である事項についてのみ議決することができる。」

 です。
 これらによれば、マンションの建替え等の円滑化に関する法律第128条の「七 分配金取得計画及びその変更」は、総会の決議事項ですが、特別の議決を必要としないため、「その議事は、この法律に特別の定めがある場合を除くほか、出席者の議決権の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる」により、出席者の議決権の過半数があればよく、出席組合員の議決権及び敷地利用権の持分の価格の各4分の3以上の特別の議決を経る必要はありませんから、誤りです。



イ 組合が分配金取得計画について認可を申請しようとするときは、分配金取得計画について、あらかじめ、売却マンションについて賃借権を有する者の同意を得なければならない。

X 誤っている。 売却マンションの敷地利用権が賃借権であるときは、売却マンションの敷地の所有権を有する者の同意であり、売却マンションについて賃借権を有する者の同意ではない。

 選択肢アで説明しました、マンションの建替え等の円滑化に関する法律第141条2項、
 「2 組合は、前項後段(分配金取得計画)の規定による認可を申請しようとするときは、
分配金取得計画について、あらかじめ、総会の議決を経るとともに、売却マンションの敷地利用権が賃借権であるときは、売却マンションの敷地の所有権を有する者の同意を得なければならない。ただし、その所有権をもって組合に対抗することができない者については、この限りでない。」
 とあり、
 売却マンションの敷地利用権が賃借権であるときは、
売却マンションの敷地の所有権を有する者の同意であり、売却マンションについて賃借権を有する者の同意ではありませんから、誤りです。

 設問をよく読めば、敷地を売却するに際し、建物の専有部分の賃借人の同意は必要ないと判断できますが。


ウ 分配金取得計画においては、売却マンション又はその敷地の明渡しにより当該売却マンション又はその敷地に関する権利(組合員の有する区分所有権及び敷地利用権を除く。)を有する者で、権利消滅期日において当該権利を失うもの(売却マンション又はその敷地を占有している者に限る。)の受ける損失の額を定めなければならない。

〇 正しい。 


 設問は、マンションの建替え等の円滑化に関する法律第142条
 「(分配金取得計画の内容)
 第百四十二条 分配金取得計画においては、国土交通省令で定めるところにより、次に掲げる事項を定めなければならない。
   一 組合員の氏名又は名称及び住所
   二 組合員が売却マンションについて有する区分所有権又は敷地利用権
   三 組合員が取得することとなる分配金の価額
   四 
売却マンション又はその敷地に関する権利(組合員の有する区分所有権及び敷地利用権を除く。)を有する者で、この法律の規定により、権利消滅期日において当該権利を失うものの氏名又は名称及び住所、失われる売却マンション又はその敷地について有する権利並びにその価額
   五 第百五十五条の規定による
売却マンション又はその敷地の明渡しにより前号に掲げる者(売却マンション又はその敷地を占有している者に限る。)が受ける損失の額
   六 補償金の支払に係る利子又はその決定方法
   七 権利消滅期日
   八 その他国土交通省令で定める事項
2 売却マンションに関する権利又はその敷地利用権に関して争いがある場合において、その権利の存否又は帰属が確定しないときは、当該権利が存するものとして、又は当該権利が現在の名義人(当該名義人に対して第百八条第十項において準用する区分所有法第六十三条第四項又は第百二十四条第一項の規定による請求があった場合においては、当該請求をした者)に属するものとして分配金取得計画を定めなければならない。」

 とあり、
 マンションの建替え等の円滑化に関する法律第142条1項4号及び5号によれば、分配金取得計画においては、売却マンション又はその敷地の明渡しにより当該売却マンション又はその敷地に関する権利(組合員の有する区分所有権及び敷地利用権を除く。)を有する者で、権利消滅期日において当該権利を失うもの(売却マンション又はその敷地を占有している者に限る。)の受ける損失の額を定めなければならないは、正しい



エ 分配金取得計画においては、組合員が取得することとなる分配金の価額を定めなければならない。

〇 正しい。


 設問は、選択肢ウで説明しました、マンションの建替え等の円滑化に関する法律第142条1項3号
 「「(分配金取得計画の内容)
 第百四十二条 分配金取得計画においては、国土交通省令で定めるところにより、次に掲げる事項を定めなければならない。
   
三 組合員が取得することとなる分配金の価額
 とあり、
 分配金取得計画においては、組合員が取得することとなる分配金の価額を定めなければならないは、正しい。



1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ


答え:2 (正しいのは、ウ と エ の二つ)

 ここはもう条文のままで、解説もしようがない。 ここをいくつあるかと聞く個数問題にするのは、不適切。 1つなら分かるが、いくつとなると難問である。

 マンションの建替え等の円滑化に関する法律に平成26年から新しく追加された、マンション敷地売却組合での、ア以外は、初めて接する条文もありで、文章をよく読んで、ありそうだと思うかどうかでしか、正誤の判断はつかない。

 なお、「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」 の概説も別途していますから、参考にしてください。

《タグ》マンションの建替え等の円滑化に関する法律 マンション敷地売却組合 分配金取得計画 議決 

問20

〔問 20〕 地域地区に関する次の記述のうち、都市計画法(昭和43 年法律第100号)の規定によれば、正しいものはどれか。

1 特定用途制限地域は、用途地域内の一定の地区における、当該地区の特性にふさわしい土地利用の増進、環境の保護等の特別の目的の実現を図るために、制限すべき特定の建築物等の用途の概要を定める地域である。

X 誤っている。 特定用途制限地域は、用途地域が定められていない土地の区域内に定める。 用途地域内の一定の地域ではない。

 都市計画法からも、例年1問の出題がある。
 参考:出題分析。  平成28年 マンション管理士試験 「問20」 、  平成27年 マンション管理士試験 「問21」 平成26年マンション管理士試験 「問21」、 平成25年マンション管理士試験 「問21」平成24年マンション管理士試験 「問21」平成23年マンション管理士試験 「問21」、など。
 

 都市計画法は、改正が多く、そのため法体型が纏まりなく、また似たような言葉が多いのでしっかりとノートにとって、区別すること。

 都市計画法の概要は以下のとおりです。

 

 そこで、特定用途制限地域は、都市計画法第9条14項
 「14 
特定用途制限地域は、用途地域が定められていない土地の区域(市街化調整区域を除く。)内において、その良好な環境の形成又は保持のため当該地域の特性に応じて合理的な土地利用が行われるよう、制限すべき特定の建築物等の用途の概要を定める地域とする。」 
 とあり
 設問の、特定用途制限地域は、用途地域内の一定の地区における、当該地区の特性にふさわしい土地利用の増進、環境の保護等の特別の目的の実現を図るために、制限すべき特定の建築物等の用途の概要を定める地域であるは、誤りです。
 
 なお、参考に都市計画法第9条13項
 「13 特別用途地区は、用途地域内の一定の地区における当該地区の特性にふさわしい土地利用の増進、環境の保護等の特別の目的の実現を図るため当該用途地域の指定を補完して定める地区とする。」



2 特定街区は、市街地の整備改善を図るため街区の整備又は造成が行われる地区について、その街区内における建築物の容積率並びに建築物の高さの最高限度及び壁面の位置の制限を定める街区である。

〇 正しい。
 
 特定街区は、都市計画法第9条19項
 
「19 特定街区は、市街地の整備改善を図るため街区の整備又は造成が行われる地区について、その街区内における建築物の容積率並びに建築物の高さの最高限度及び壁面の位置の制限を定める街区とする。
 とあり、正しい。



3 高度利用地区は、建築物の容積率の最高限度及び最低限度並びに建築物の高さの最高限度及び最低限度を定める地区である。

X 誤っている。 

 高度利用地区は、都市計画法第9条18項
 「18 高度利用地区は、用途地域内の市街地における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新とを図るため、建築物の容積率の最高限度及び最低限度、建築物の建ぺい率の最高限度、建築物の建築面積の最低限度並びに壁面の位置の制限を定める地区とする。
 とあり、
 高度利用地区は、建築物の容積率の最高限度及び最低限度並びに建築物の高さの最高限度及び最低限度を定める地区であるは、誤りです。



4 準都市計画区域については、都市計画に、用途地域を定めることができない。

X 誤っている。 準都市計画区域に用途地域を定めることは出来る。

 まず、準都市計画区域とは、都市計画区域が、一体の都市として総合的に整備・開発・保全する必要がある区域を指定するのに対し、準都市計画区域とは、都市計画区域外であっても乱開発などで将来の土地利用や環境悪化を防ぐため規制をする目的で、市町村が指定する区域です。
例えば、交通の利便性が高い高速道路のインターチェンジの周辺、幹線道路の沿道などです。

 この準都市計画区域では、積極的には市街地としての整備は行いません。
 
 平成18年の法改正により、都道府県の決定事項となりました。


 

  基本は、都市計画法第5条の2
 「(準都市計画区域)
 第五条の二 都道府県は、都市計画区域外の区域のうち、相当数の建築物その他の工作物(以下「建築物等」という。)の建築若しくは建設又はこれらの敷地の造成が現に行われ、又は行われると見込まれる区域を含み、かつ、自然的及び社会的条件並びに農業振興地域の整備に関する法律(昭和四十四年法律第五十八号)その他の法令による土地利用の規制の状況その他国土交通省令で定める事項に関する現況及び推移を勘案して、そのまま土地利用を整序し、又は環境を保全するための措置を講ずることなく放置すれば、将来における一体の都市としての整備、開発及び保全に支障が生じるおそれがあると認められる一定の区域を、
準都市計画区域として指定することができる。
2 都道府県は、前項の規定により準都市計画区域を指定しようとするときは、あらかじめ、関係市町村及び都道府県都市計画審議会の意見を聴かなければならない。
 準都市計画区域の指定は、国土交通省令で定めるところにより、公告することによつて行う。
4 前三項の規定は、準都市計画区域の変更又は廃止について準用する。
5 準都市計画区域の全部又は一部について都市計画区域が指定されたときは、当該準都市計画区域は、前項の規定にかかわらず、廃止され、又は当該都市計画区域と重複する区域以外の区域に変更されたものとみなす。」

 です。


 そして、都市計画法第8条2項
 「
2 準都市計画区域については、都市計画に、前項第一号から第二号の二まで、第三号(高度地区に係る部分に限る。)、第六号、第七号、第十二号(都市緑地法第五条の規定による緑地保全地域に係る部分に限る。)又は第十五号に掲げる地域又は地区を定めることができる。
 とあり、
 具体的には、準都市計画区域では乱開発されては困るため、必要に応じて下記8つの地域地区を定めることができます。
  
@用途地域...第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域、工業地域又は工業専用地域(都市計画法第8条1項1号)
  A特別用途地区(都市計画法第8条1項2号)
  B特定用途制限地域(都市計画法第8条1項2の2号)
  C高度地区(都市計画法第8条1項3号の内高度地区だけ)
  D景観地区(都市計画法第8条1項6号)
  E風致地区(都市計画法第8条1項7号)
  F緑地保全地域(都市計画法第8条1項6号の内緑地保全地域だけ)
  G伝統的建造物群保存地区(都市計画法第8条1項15号)
 これらは、絶対定めなければいけない区域ではなく、必要な場合に定めていきます。

 そこで、準都市計画区域については、都市計画に、@の用途地域を定めることができますから、誤りです。



答え:2

 都市計画法の地域地区は、詳細に区別できるようにしないと、正解は難しい。

 ここも、かなり詳細に説明ので、時間がかかった。

  都市計画法も、必ず1問は出るので、「目指せ! マンション管理士・管理業務主任者」の過去問題解説において、下の方に 「都市計画法」 だけを取り出していますので、参考にしてください。


  2018年 3月8日:追加情報: 都市計画法・建築基準法等 の改正 があり、平成30年4月1日施行で、「田園住居地域」という住居系の用途地域が創設され13番目に追加されます。(都市計画法第8条、第9条,、建築基準法第2条21号、第48条8項、別表第二など
  田園住居地域は、農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するために定められる地域です。
 これは、平成30年では、必ず(?)出題されますから、注意してください。


《タグ》都市計画法 特定用途制限地域 特定街区 高度利用地区 準都市計画区域 

問21

注:平成29年12月26日:試験を請け負っている 公益財団法人 マンション管理センターから 訂正文がでて、ここは、誤っているのが2つある。


〔問 21〕 建築基準法(昭和25 年法律第201号)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 共同住宅に設ける昇降機の所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者)は、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者に検査をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。

X 誤っている。 昇降機の点検が出来るのは、@一級建築士 A二級建築士 そして、建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者のうち B昇降機等検査員 である。建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者ではない。


 建築基準法からも、例年1問は出ます。
 似たような出題は、平成29年 管理業務主任者試験 「問27」 、平成28年 マンション管理士試験 「問36」 、平成25年 管理業務主任者試験 「問21」 、平成25年 管理業務主任者試験 「問12」 も 建築基準法第12条からの出題。 平成23年 管理業務主任者試験 「問25」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問37」 、 平成18年 管理業務主任者試験 「問18」 など。


  まず、建築物全体の定期報告・検査について、
 平成18年の東京都内での公共賃貸住宅のエレベーターにおける死亡事故、平成19年4月の東京都内の複合ビルのエレベーターにおける発煙事故、同年5月の大阪府内の遊園地のコースターにおける死亡事故、同年6月の東京都内の雑居ビルにおける広告板落下事故等、建築物や昇降機などに関する事故が相次ぎ発生し、この中には、建築物や昇降機などの安全性の確保にとって重要な日常の維持保全や定期報告が適切に行われていなかったことが事故の一因と見られるものがありました。
 これらを受け、平成20年4月から、特殊建築物等や昇降機、遊戯施設、建築設備について定期報告の調査や検査項目が見直されています。
 さらに、福山市のホテル火災、長崎市のグループホーム火災、福岡市の診療所火災など、多数の死者が出る火災事故が続いています。
これらの事故において被害が拡大した原因の一つとして、建築物が適法な状態で管理されていなかったことが掲げられていますが、こうした事態を踏まえ、建築基準法を改正し(建築基準法の一部を改正する法律(平成26年法律第54号))、平成28年6月1日から、新たな制度が施行されることとなりました。  平成26年6月4日(施行:平成28年6月1日)


 なお、定期報告制度の趣旨は、不特定多数の者が利用する建築物や高齢者等の自力避難困難者が就寝用途で利用する建築物については、建築物の不備・不具合等が原因で大きな被害が発生するおそれがあるため、建築物の適切な維持保全を行うことにより、被害を未然に防ぐ必要があります。
 そのため、建築基準法では、建築物の適切な維持保全を担保する仕組みとして、建築物・建築設備・防火設備・昇降機等について、定期的に専門の技術者に調査・検査をさせ、その結果を特定行政庁(建築主事を置く地方公共団体)に報告させることを、建築物の所有者等に義務付けています。
 この制度では、適切に調査・検査をすることで、建築物等の不備・不具合等を所有者等自らが把握し、報告を受けた特定行政庁は、その内容に応じて必要な措置を講じることで、建築物の利用者の安全性の確保を図ることとしています。




 この調査・検査の報告制度は、今までは、地域の実情に応じ、特定行政庁(建築主事を置く地方公共団体)が報告の対象を定めていました。
 それを、今回の改正により、避難上の安全確保等の観点から、
   @不特定多数の者が利用する建築物(特定建築物)及びこれらの建築物に設けられた防火設備
   A高齢者等の自力避難困難者が就寝用途で利用する施設及びこれらの施設に設けられた防火設備
   Bエレベーター、エスカレーター、小荷物専用昇降機
 を国が政令で一律に報告の対象としました。


 具体的には、
  @特定建築物等は「調査」結果...おおむね6月から3年ごとに特定行政庁に報告
  A建築設備・防火設備・昇降機・遊戯施設は「検査」結果の報告...おおむね6月から1年までの。遊戯施設は半年ごとに特定行政庁に報告
 を行うこととなっています。

 
 *調査・検査ができる専門の技術者とは、
 法改正前は、一級建築士、二級建築士の他に、資格者(特殊建築物調査資格者、昇降機検査資格者、建築設備検査資格者)が調査・検査できる事になっていましたが、この資格者を法律に位置づけ、「専門の技術者」とは、建築基準法に規定された次のいずれかの資格を有するものです。
 
 ・ 一級建築士
  ・ 二級建築士 は全部
  ・ そして次の資格者は対象のものだけ調査・検査ができます。
     ・ 建築物 ...特定建築物調査員((特定建築物調査員資格者証の交付を受けている者)     
     ・ 防火設備 ...防火設備検査員(新設)(防火設備検査員資格者証の交付を受けている者)
     ・ 昇降機及び遊戯施設 ...
昇降機等検査員(昇降機等検査員資格者証の交付を受けている者)
     ・ 建築設備 ...建築設備検査員(建築設備検査員資格者証の交付を受けている者)




 これを踏まえ、報告・検査は、建築基準法第12条
 「(報告、検査等)
 第十二条 第六条第一項第一号に掲げる建築物で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの(国、都道府県及び建築主事を置く市町村の建築物(以下この項及び第三項において「国等の建築物」という。)を除く。)及び当該政令で定めるもの以外の
特定建築物(同号に掲げる建築物その他政令で定める建築物をいう。以下この条において同じ。)で特定行政庁が指定するもの(国等の建築物を除く。)の所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者。第三項において同じ。)は、これらの建築物の敷地、構造及び建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員資格者証の交付を受けている者(次項及び次条第三項において「建築物調査員」という。)にその状況の調査(これらの建築物の敷地及び構造についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含み、これらの建築物の建築設備及び防火戸その他の政令で定める防火設備(以下「建築設備等」という。)についての第三項の検査を除く。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。
2 国、都道府県又は建築主事を置く市町村の特定建築物の管理者である国、都道府県若しくは市町村の機関の長又はその委任を受けた者(以下この章において「国の機関の長等」という。)は、当該特定建築物の敷地及び構造について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員に、損傷、腐食その他の劣化の状況の点検(当該特定建築物の防火戸その他の前項の政令で定める防火設備についての第四項の点検を除く。)をさせなければならない。ただし、当該特定建築物(第六条第一項第一号に掲げる建築物で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして前項の政令で定めるもの及び同項の規定により特定行政庁が指定するものを除く。)のうち特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て指定したものについては、この限りでない。
3 
特定建築設備等(昇降機及び特定建築物の昇降機以外の建築設備等をいう。以下この項及び次項において同じ。)で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの(国等の建築物に設けるものを除く。)及び当該政令で定めるもの以外の特定建築設備等で特定行政庁が指定するもの(国等の建築物に設けるものを除く。)の所有者は、これらの特定建築設備等について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者(次項及び第十二条の三第二項において「建築設備等検査員」という。)に検査(これらの特定建築設備等についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含む。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。
4 国の機関の長等は、国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物の特定建築設備等について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員に、損傷、腐食その他の劣化の状況の点検をさせなければならない。ただし、当該特定建築設備等(前項の政令で定めるもの及び同項の規定により特定行政庁が指定するものを除く。)のうち特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て指定したものについては、この限りでない。
5 特定行政庁、建築主事又は建築監視員は、次に掲げる者に対して、建築物の敷地、構造、建築設備若しくは用途、建築材料若しくは建築設備その他の建築物の部分(以下「建築材料等」という。)の受取若しくは引渡しの状況、建築物に関する工事の計画若しくは施工の状況又は建築物の敷地、構造若しくは建築設備に関する調査(以下「建築物に関する調査」という。)の状況に関する報告を求めることができる。
   一 建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者、建築主、設計者、建築材料等を製造した者、工事監理者、工事施工者又は建築物に関する調査をした者
   二 第七十七条の二十一第一項の指定確認検査機関
   三 第七十七条の三十五の五第一項の指定構造計算適合性判定機関
6 特定行政庁又は建築主事にあつては第六条第四項、第六条の二第六項、第七条第四項、第七条の三第四項、第九条第一項、第十項若しくは第十三項、第十条第一項から第三項まで、前条第一項又は第九十条の二第一項の規定の施行に必要な限度において、建築監視員にあつては第九条第十項の規定の施行に必要な限度において、当該建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者、建築主、設計者、建築材料等を製造した者、工事監理者、工事施工者又は建築物に関する調査をした者に対し、帳簿、書類その他の物件の提出を求めることができる。
7 建築主事又は特定行政庁の命令若しくは建築主事の委任を受けた当該市町村若しくは都道府県の職員にあつては第六条第四項、第六条の二第六項、第七条第四項、第七条の三第四項、第九条第一項、第十項若しくは第十三項、第十条第一項から第三項まで、前条第一項又は第九十条の二第一項の規定の施行に必要な限度において、建築監視員にあつては第九条第十項の規定の施行に必要な限度において、当該建築物、建築物の敷地、建築材料等を製造した者の工場、営業所、事務所、倉庫その他の事業場、建築工事場又は建築物に関する調査をした者の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、建築物、建築物の敷地、建築設備、建築材料、建築材料等の製造に関係がある物件、設計図書その他建築物に関する工事に関係がある物件若しくは建築物に関する調査に関係がある物件を検査し、若しくは試験し、又は建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者、建築主、設計者、建築材料等を製造した者、工事監理者、工事施工者若しくは建築物に関する調査をした者に対し必要な事項について質問することができる。ただし、住居に立ち入る場合においては、あらかじめ、その居住者の承諾を得なければならない。
8 特定行政庁は、確認その他の建築基準法令の規定による処分並びに第一項及び第三項の規定による報告に係る建築物の敷地、構造、建築設備又は用途に関する台帳を整備し、かつ、当該台帳(当該処分及び当該報告に関する書類で国土交通省令で定めるものを含む。)を保存しなければならない。
9 前項の台帳の記載事項その他その整備に関し必要な事項及び当該台帳(同項の国土交通省令で定める書類を含む。)の保存期間その他その保存に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。」

 とあり、
 建築基準法第12条3項での建築設備等検査員資格者証の種類は、建築基準法施行規則第6条の5
 
「(建築物調査員資格者証等の種類)
 第六条の五 法第十二条第一項(法第八十八条第一項において準用する場合を含む。次条において同じ。)に規定する建築物調査員資格者証の種類は、特定建築物調査員資格者証及び昇降機等検査員資格者証とする。
 2 
法第十二条第三項(法第八十八条第一項において準用する場合を含む。次条において同じ。)に規定する建築設備等検査員資格者証の種類は、建築設備検査員資格者証、防火設備検査員資格者証及び昇降機等検査員資格者証とする。」

 とあり、
 建築設備等検査員資格者証の種類は、
 @建築設備検査員資格者証、
 A防火設備検査員資格者証 及び
 B昇降機等検査員資格者証
 があります。


 これら、@建築設備検査員資格者証、 A防火設備検査員資格者証 及び B昇降機等検査員資格者証 の交付を受けた者は、
  @建築設備検査員
  A防火設備検査員
 
 B昇降機等検査員
 と呼ばれます。(建築基準法施行規則第6条の6 表参照) 


 そこで、建築基準法第12条1項及び3項での、昇降機を定期に検査出来るのは、
  @一級建築士
  A二級建築士
  B
昇降機等検査員 であり、
 設問の、共同住宅に設ける昇降機の所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者)は、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は”建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者”に検査をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならないのうち、”建築設備
検査員資格者証の交付を受けている者”では、昇降機等検査員以外の建築設備検査員や防火設備検査員も含まれるため、誤りです。

 *なお、昇降機(エレベーター)の定期検査と保守点検の違いは、
  ・定期検査とは、建築基準法第12条3項に基づく検査です。
   定期検査では、検査者(一級建築士または二級建築士または昇降機等検査員)がおおむね6ヶ月〜1年ごとに、「エレベーターが国土交通大臣が定める基準に適合しているかどうか」を調べます。
  ・保守点検とは、建築基準法第8条に基づく点検です。
   保守点検では、専門技術者がおおむね月1以内ごとに、「エレベーターに異常がないかどうか」、安全の保持と性能の維持を中心にを調べます。保守点検の記録は3年以上保管するものとされています。(昇降機の維持及び運行の管理に関する指針)




 

2 共同住宅の各戸の界壁は、小屋裏又は天井裏に達するものとするほか、その構造を遮音性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。

〇 正しい。
 平成24年 マンション管理士試験 「問20」 、平成20年 マンション管理士試験 「問21


 ★界壁(かいへき)とは...アパートやマンション、昔の長屋など集合(共同)住宅の住戸と住戸の境目の壁のことを指します。各戸と各戸の間を区切っている壁のことです。
  隣接する住戸からの火災を防ぐために、耐火性能、また、隣戸からの音をさえぎる遮音性能の基準が法令により定められています。
  界壁は小屋裏または天井裏まですき間なく立ち上げることが義務づけられています。そして、隣接する住戸からの日常の生活音を衛生上支障がない程度になるよう、遮音構造としなければなりません。
  戸境壁(こざかいへき)、戸界壁ともいいます。
★界壁(かいへき)は、天井まででなく、小屋裏または天井裏まで到達させることです。天井まででは、延焼防止になりません。

 


 共同住宅の各戸の界壁は、建築基準法第30条
 「(長屋又は共同住宅の各戸の界壁)
 第三十条 長屋又は
共同住宅の各戸の界壁は、小屋裏又は天井裏に達するものとするほか、その構造を遮音性能(隣接する住戸からの日常生活に伴い生ずる音を衛生上支障がないように低減するために界壁に必要とされる性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。

 とあり、
 正しい。



3 防火地域又は準防火地域内にある共同住宅で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる。

〇 正しい。
 平成25年 マンション管理士試験 「問20」 平成15年 マンション管理士試験 「問20」 


 設問は、建築基準法第65条
 「(隣地境界線に接する外壁)
 第六十五条 
防火地域又は準防火地域内にある建築物で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる。

 とあり、
 正しい。



4 共同住宅の住戸及び住戸から地上に通ずる廊下、階段その他の通路には、非常用の照明装置を設けなければならない。

X 誤っている。 共同住宅の住戸は、除かれる。
 平成27年 管理業務主任者試験 「問23」 

 設問は、築基準法施行令第126条の4
 「第四節 非常用の照明装置
 (設置)
 第百二十六条の四 法別表第一(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供する特殊建築物の居室、階数が三以上で延べ面積が五百平方メートルを超える建築物の居室、第百十六条の二第一項第一号に該当する窓その他の開口部を有しない居室又は延べ面積が千平方メートルを超える建築物の居室及びこれらの居室から地上に通ずる廊下、階段その他の通路(採光上有効に直接外気に開放された通路を除く。)並びにこれらに類する建築物の部分で照明装置の設置を通常要する部分には、非常用の照明装置を設けなければならない。
ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物又は建築物の部分については、この限りでない
   
一 一戸建の住宅又は長屋若しくは共同住宅の住戸
   二 病院の病室、下宿の宿泊室又は寄宿舎の寝室その他これらに類する居室
   三 学校等
   四 避難階又は避難階の直上階若しくは直下階の居室で避難上支障がないものその他これらに類するものとして国土交通大臣が定めるもの」

 とあり、
 築基準法施行令第126条の4 ただし書き1号により、共同住宅の
住戸は、除かれているため、誤りです。


答え:1 と 4 

  いやはや、出題元の 公益財団法人 マンション管理センター は酷い出題ミスをしてくれたものだ。
  単純に、平成28年に改正があった、建築基準法第12条での昇降機の検査者の正誤だけを訊くつもりが、出題者の理解度が低かったために、思いがけない出題ミスになってしまった。

  おかげで、解説にも時間がかかり、解説者としても非常に迷惑を被っている。
 出題ミスが無ければ、選択肢4 を選ぶことは、過去問題をやっていれば、早い。

 この出題ミスの顛末は、下にありますので、見てください。


 
建築基準法 については、別途 「要約 建築基準法」 もありますから、ご利用ください。
 また、過去問題の解説でも、 建築基準法  だけを取り出していますから、こちらも、参考にしてください。



《タグ》建築基準法 昇降機の検査 界壁 外壁 非常用の照明装置


 *「問21」の出題ミスについて

 この訂正が、12月26日に出題元の 公益財団法人 マンション管理センター からあったということは、受験生が、試験日(11月26日)後早々に、解答速報を検討して、出題の不備に気付き、監督官庁の国土交通省 と 出題元の 公益財団法人 マンション管理センター に 抗議したようだ。

 選択肢1が誤っているという素晴らしい知識を有していて、しかも、出題元などに抗議ができるという、この受験生には、称賛の言葉を送りたい。
***************************************

 平成29年12月26日付の 公益財団法人 マンション管理センターの文

  平成29年12月26日
  平成29年度マンション管理士試験における試験問題の誤りについて

  平成29年11月26日(日)に実施した平成29年度マンション管理士試験において、試験問題の問21に誤りがありました。
  問21の試験問題は、誤っているものを一つ選ぶところ、誤っている選択肢が二つあることが判明したため、二つある正答の選択肢をいずれも正解の扱いとすることといたしました。
 なお、詳細は、別紙をご参照願います。
 受験者の皆様をはじめ関係する方々に多大なご迷惑をおかけいたしましたことについて深くお詫び申し上げますとともに、今後は再発防止に努めてまいります。

  別紙

 問21 の出題 の誤り内容について

 平成 29 年度マンショ管理士試験 の問 21 は、 誤りの肢を選ぶ問題であるが、 選択肢 1において、「建築設備等検査員資格者証のうち昇降機等検査資格証の交付を受けている者」 とするところを誤って「建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者」と記述しため誤りの肢となり、誤りの肢が 1及び 4の複数にな った 。

  (1及び4を正解とする)

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 この国家資格:マンション管理士試験を請け負っているのは、公益財団法人 マンション管理センター で、ここは、平成24年にも、マンション管理士試験「問24」 において出題ミスを犯しているという、問題がある存在の公益財団法人だ。

  平成24年のマンション管理センター の文書

 ※問24については、3又は4のいずれも正解として取り扱うこととしました。複数解 となる問題がありましたことをお詫び申し上げますとともに、再発防止に努めてまいります。

 
 例年合格率8%前後という難関の国家資格:マンション管理士という資格の取得を目指して日夜勉強をし、一問一問の解答に精魂を傾けている受験生に対して、ありふれた「受験者の皆様をはじめ関係する方々に多大なご迷惑をおかけいたしましたことについて深くお詫び申し上げますとともに、今後は再発防止に努めてまいります。 」
 なんて、よくある官庁の上辺だけでの言葉でなく、もっと誠意のこもった謝罪の文章を求めたい。

 また、平成24年に出題ミスを犯していながら、平成29年でも出題ミスを犯すとは、本当に「再発防止」の為にどのようにしてきたのか、その対応法も公表すべきだ。

 この組織:公益財団法人 マンション管理センターはもう外部から監査する必要がある。

 それにしても、今年(平成29年)の 「問1」 選択肢4 の 「一部共用部分」の文章について、受験生は、納得したのだろうか?


 追記: 2018年 1月15日: 
 「問30」 の選択肢3においても、出題ミスがあることに気が付いた。

 設問の後半、「利害関係人からの会計帳簿の閲覧請求」には、要件としての「理由を付した書面」がないため、「閲覧させることを要しない」は、出題ミスだ。

問22

〔問 22〕 貯水槽水道に関する次の記述のうち、水道法(昭和32 年法律第177号)の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 貯水槽水道とは、水道事業の用に供する水道及び専用水道以外の水道であって、水道事業の用に供する水道から供給を受ける水のみを水源とするものをいう。

〇 正しい。

 
平成28年 マンション管理士試験 「問22」 、 平成27年 マンション管理士試験 「問22」、 平成26年 マンション管理士試験 「問22」 、平成23年 マンション管理士試験 「問22」 、平成21年 マンション管理士試験 「問22」 、 平成16年 マンション管理士試験 「問23」 など。

 
水道法からも、例年1問の出題があります。

 
どうして、いつも水道法では、「貯水槽水道」とか「簡易専用水道」がよく出題されるのかといいますと、マンションやビルでは、受水槽(給水タンクとも)にいったん水道水を貯めてから、ポンプや高置水槽を使用し、各蛇口へ給水している場合があります。この受水槽から各蛇口までの施設全体を「貯水槽水道」と呼びます。

 「貯水槽水道」に関する規定は、ビル、マンション等の貯水槽水道の管理について、その設置者(建物所有者や分譲マンションでは管理組合等)の責任を水道事業者が定める供給規定上明確にし、その管理の徹底を図るために平成13年の改正水道法で設けられました。

 この法改正により、今までありました、簡易専用水道も貯水槽水道に含まれますが、簡易専用水道のうち、水槽の有効容量の合計が 10m3 以下のものは適用除外になっています。
 それは、水道法3条7項
 「(用語の定義)
 第三条 この法律において「水道」とは、導管及びその他の工作物により、水を人の飲用に適する水として供給する施設の総体をいう。ただし、臨時に施設されたものを除く。
 7 この法律において「
簡易専用水道」とは、水道事業の用に供する水道及び専用水道以外の水道であつて、水道事業の用に供する水道から供給を受ける水のみを水源とするものをいう。ただし、その用に供する施設の規模が政令で定める基準以下のものを除く。
 とあり、
 政令は、水道法施行令
 「第二条 
法第三条第七項ただし書に規定する政令で定める基準は、水道事業の用に供する水道から水の供給を受けるために設けられる水槽の有効容量の合計が十立方メートルであることとする。」
 です。

 よって、貯水槽水道は、受水槽の有効容量(10m3)によって次の2種類に分類されます。
  @
簡易専用水道...受水槽の有効容量が10m3 を超えるもの。水道法での管理が義務付けられる。
  A
小規模貯水槽水道...受水槽の有効容量が10m3 以下のもの。水道法の適用はなく、地方公共団体が定める条例により、設置者の自主管理に任せるが、ほぼ、水道法と同じ管理になっている。 

   貯水槽水道は、水道局からのみ給水(上水道)を受ける受水槽式の水道であり、水槽内で井戸水等と混合されて使用される施設は該当しません。
 また、工場に設置しているなど、全く飲み水として使用しない場合も、簡易専用水道には該当しません。

 


  

 
 
これを踏まえ、設問の、「貯水槽水道」とは、水道法第14条
 (供給規程)
 第十四条 
水道事業者は、料金、給水装置工事の費用の負担区分その他の供給条件について、供給規程を定めなければならない
2 前項の供給規程は、次の各号に掲げる要件に適合するものでなければならない。
   一 料金が、能率的な経営の下における適正な原価に照らし公正妥当なものであること。
   二 料金が、定率又は定額をもつて明確に定められていること。
   三 水道事業者及び水道の需要者の責任に関する事項並びに給水装置工事の費用の負担区分及びその額の算出方法が、適正かつ明確に定められていること。
   四 特定の者に対して不当な差別的取扱いをするものでないこと。
   五 
貯水槽水道(水道事業の用に供する水道及び専用水道以外の水道であつて、水道事業の用に供する水道から供給を受ける水のみを水源とするものをいう。以下この号において同じ。)が設置される場合においては、貯水槽水道に関し、水道事業者及び当該貯水槽水道の設置者の責任に関する事項が、適正かつ明確に定められていること。
3 前項各号に規定する基準を適用するについて必要な技術的細目は、厚生労働省令で定める。
4 水道事業者は、供給規程を、その実施の日までに一般に周知させる措置をとらなければならない。
5 水道事業者が地方公共団体である場合にあつては、供給規程に定められた事項のうち料金を変更したときは、厚生労働省令で定めるところにより、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。
6 水道事業者が地方公共団体以外の者である場合にあつては、供給規程に定められた供給条件を変更しようとするときは、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
7 厚生労働大臣は、前項の認可の申請が第二項各号に掲げる要件に適合していると認めるときは、その認可を与えなければならない。」

 とあり、
 水道法第14条2項5号によれば、「貯水槽水道(水道事業の用に供する水道及び専用水道以外の水道であつて、水道事業の用に供する水道から供給を受ける水のみを水源とするものをいう」ので、正しい。



2 水道事業者は、その供給規程において、貯水槽水道の設置者の責任に関する事項を適正かつ明確に定めなければならない。

〇 正しい。

 
選択肢1で説明しました、水道法第14条2項5号、
  「(供給規程) 
 第十四条 
水道事業者は、料金、給水装置工事の費用の負担区分その他の供給条件について、供給規程を定めなければならない。
 2 前項の供給規程は、次の各号に掲げる要件に適合するものでなければならない。
   五 貯水槽水道(水道事業の用に供する水道及び専用水道以外の水道であつて、水道事業の用に供する水道から供給を受ける水のみを水源とするものをいう。以下この号において同じ。)が設置される場合においては、
貯水槽水道に関し、水道事業者及び当該貯水槽水道の設置者の責任に関する事項が、適正かつ明確に定められていること。
 とあり、
 水道事業者は、その供給規程において、貯水槽水道の設置者の責任に関する事項を適正かつ明確に定めなければならないは、正しい。



3 全ての貯水槽水道の設置者は、厚生労働省令で定める基準に従い、その水道を管理しなければならない。

X 誤っている。 貯水槽水道であっても、厚生労働省令で定める基準に従い、その水道を管理するのは、簡易専用水道(水槽の有効容量 10m3超)で、小規模貯水槽水道(水槽の有効容量 10m3以下)は、含まれない。

 
選択肢1で説明しましたように、貯水槽水道は、受水槽の有効容量(10m3)によって次の2種類に分類されます。
  @
簡易専用水道...受水槽の有効容量が10m3 を超えるもの。水道法での管理が義務付けられる。
  A
小規模貯水槽水道...受水槽の有効容量が10m3 以下のもの。水道法の適用はなく、地方公共団体が定める条例により、設置者の自主管理に任せるが、ほぼ、水道法と同じ管理になっている。 
 
 そこで、貯水槽水道であっても、厚生労働省令で定める基準に従い、その水道を管理するのは、簡易専用水道(水槽の有効容量 10m3超)で、小規模貯水槽水道(水槽の有効容量 10m3以下)は、地方公共団体が定める条例によって管理されますから、”
全ての貯水槽水道”の設置者は、厚生労働省令で定める基準に従い、その水道を管理しなければならないは、誤りです。


4 貯水槽水道のうち、水槽の有効容量の合計が10 m3を超えるものの設置者は、水槽の掃除を1年以内ごとに1回、定期に、行うこととされている。


〇 正しい。
 
 貯水槽水道のうち、水槽の有効容量の合計が10 m3を超えるものは、「簡易専用水道」となります。
 すると、簡易専用水道
の掃除は、水道法第三十四条の二
 「第四章の二 簡易専用水道
 第三十四条の二 
簡易専用水道の設置者は、厚生労働省令で定める基準に従い、その水道を管理しなければならない。
2 簡易専用水道の設置者は、当該簡易専用水道の管理について、厚生労働省令の定めるところにより、定期に、地方公共団体の機関又は厚生労働大臣の登録を受けた者の検査を受けなければならない。」

 とあり、
 その厚生労働省令で定める基準は、水道法施行規則第55条
 「(管理基準)
 第五十五条 法第三十四条の二第一項に規定する厚生労働省令で定める基準は、次の各号に掲げるものとする。
   
一 水槽の掃除を一年以内ごとに一回、定期に、行うこと。
   二 水槽の点検等有害物、汚水等によつて水が汚染されるのを防止するために必要な措置を講ずること。
   三 給水栓における水の色、濁り、臭い、味その他の状態により供給する水に異常を認めたときは、水質基準に関する省令の表の上欄に掲げる事項のうち必要なものについて検査を行うこと。
   四 供給する水が人の健康を害するおそれがあることを知つたときは、直ちに給水を停止し、かつ、その水を使用することが危険である旨を関係者に周知させる措置を講ずること。」

 とありますから、
 これらにより、
 
貯水槽水道のうち、水槽の有効容量の合計が10 m3を超えるもの(簡易専用水道)の設置者は、水槽の掃除を1年以内ごとに1回、定期に、行うこととされているは、正しい。


答え:3

 過去問題をやっていて、貯水槽水道に、@簡易専用水道 と A小規模貯水槽水道 があることを知っていれば、正解は早い。

 水道法も例年1問の出題がありますので、 水道法 についても、 過去問題から 取り出していますから、参考にしてください。

《タグ》水道法 
貯水槽水道 簡易専用水道 小規模貯水槽水道 清掃

問23

〔問 23〕 延べ面積1,000 m2以上で消防長(消防本部を置かない市町村においては、市町村長。以下同じ。)又は消防署長が火災予防上必要があると認めて指定している共同住宅(以下「甲住宅」という。)及び延べ面積1,000 m2未満の共同住宅(以下「乙住宅」という。)において、共同住宅の関係者(所有者、管理者又は占有者をいう。以下同じ。)が行う消防用設備等の点検等に関する次の記述のうち、消防法(昭和23 年法律第186号)の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 甲住宅については、消防設備士免状の交付を受けている者又は消防設備点検資格者に、定期に、消防用設備等の点検をさせなければならない。

〇 正しい。 延べ面積が、1,000u以上なら、消防用設備等の点検は、資格が必要。

 
消防法からも、例年1問はでます。

 関係の点検は、 平成24年 マンション管理士試験 「問45」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問23」 、 平成20年 マンション管理士試験 「問36」 、 平成19年 マンション管理士 試験 「問44」 、 平成13年 マンション管理士 試験 「問24」 。


 
 まず、消防用設備点検・報告とは、消火器やスプリンクラー設備、自動火災報知設備などの消防用設備が、火災の際に正常に作動しないと人命にかかわることから、定期的に点検し、管轄する消防署へ報告する制度です。

 具体的には、消防法第17条の3の3
 「第十七条の三の三 第十七条第一項の防火対象物(政令で定めるものを除く。)の関係者は、当該防火対象物における消防用設備等又は特殊消防用設備等(第八条の二の二第一項の防火対象物にあつては、消防用設備等又は特殊消防用設備等の機能)について、
総務省令で定めるところにより、定期に、当該防火対象物のうち政令で定めるものにあつては消防設備士免状の交付を受けている者又は総務省令で定める資格を有する者に点検させ、その他のものにあつては自ら点検し、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない
 とあり、

 
総務省冷で定めるところとは、消防法施行令第36条
 「(消防用設備等又は特殊消防用設備等について点検を要しない防火対象物等)
 第三十六条 法第十七条の三の三の消防用設備等又は特殊消防用設備等について点検を要しない防火対象物は、別表第一(二十)項に掲げる防火対象物とする。
2 法第十七条の三の三の消防用設備等又は特殊消防用設備等について消防設備士免状の交付を受けている者又は総務省令で定める資格を有する者に点検をさせなければならない防火対象物は、次に掲げる防火対象物とする。
   一 別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項、(九)項イ、(十六)項イ、(十六の二)項及び(十六の三)項に掲げる防火対象物で、延べ面積が千平方メートル以上のもの
   二 
別表第一(五)項ロ、(七)項、(八)項、(九)項ロ、(十)項から(十五)項まで、(十六)項ロ、(十七)項及び(十八)項に掲げる防火対象物で、延べ面積が千平方メートル以上のもののうち、消防長又は消防署長が火災予防上必要があると認めて指定するもの
 三 前二号に掲げるもののほか、別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項又は(九)項イに掲げる防火対象物の用途に供される部分が避難階以外の階に存する防火対象物で、当該避難階以外の階から避難階又は地上に直通する階段が二(当該階段が屋外に設けられ、又は総務省令で定める避難上有効な構造を有する場合にあつては、一)以上設けられていないもの」

 とあり、
 消防法での共同住宅は
、別表第一(五)項ロ 
    イ 旅館、ホテル、宿泊所その他これらに類するもの
    
ロ 寄宿舎、下宿又は共同住宅 
 に該当することを記憶しておいてください。


 
そこで、消防法第17条の3の3 と 消防法施行令第36条2項2号により、非特定防火対象物(工場、事務所、倉庫、共同住宅、学校など)で消防長又は消防署長が火災予防上必要があると認めて指定するものは、延べ面積が、1,000u以上と未満によって、点検方法が異なっています。


 

  設問の延べ面積が、1,000u以上の甲共同住宅なら、消防法第17条の3の3 により、定期に、当該防火対象物のうち政令で定めるものにあつては消防設備士免状の交付を受けている者又は総務省令で定める資格を有する者に点検させに該当しますから、正しい。



2 乙住宅については、その関係者が、定期に、自ら点検し、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない。

〇 正しい。 延べ面積が、1,000u未満なら、関係者が、自ら点検できる。
 
 延べ面積が、1,000u未満の乙共同住宅なら、選択肢1で説明しました、消防法第17条の3の3 の
 
その他のものにあつては自ら点検し、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない
 とあり、正しい。



3 甲住宅については、1年に1回、消防用設備等の点検の結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない。

X 誤っている。 点検は1年に一回行うが、報告は、3年に一回でいい。

 
点検と報告は、消防法施行規則第31条の6 3項
 「(消防用設備等又は特殊消防用設備等の点検及び報告)
 第三十一条の六 法第十七条の三の三の規定による
消防用設備等の点検は、種類及び点検内容に応じて、一年以内で消防庁長官が定める期間ごとに行うものとする
2 法第十七条の三の三の規定による特殊消防用設備等の点検は、第三十一条の三の二第六号の設備等設置維持計画に定める点検の期間ごとに行うものとする。
3 防火対象物の関係者は、前二項の規定により点検を行つた結果を、維持台帳(第三十一条の三第一項及び第三十三条の十八の届出に係る書類の写し、第三十一条の三第四項の検査済証、次項の報告書の写し、消防用設備等又は特殊消防用設備等の工事、整備等の経過一覧表その他消防用設備等又は特殊消防用設備等の維持管理に必要な書類を編冊したものをいう。)に記録するとともに、次の各号に掲げる防火対象物の区分に従い、当該各号に定める期間ごとに消防長又は消防署長に報告しなければならない。ただし、特殊消防用設備等にあつては、第三十一条の三の二第六号の設備等設置維持計画に定める点検の結果についての報告の期間ごとに報告するものとする。
   一 令別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項、(九)項イ、(十六)項イ、(十六の二)項及び(十六の三)項に掲げる防火対象物 一年に一回
   二 
令別表第一(五)項ロ、(七)項、(八)項、(九)項ロ、(十)項から(十五)項まで、(十六)項ロ、(十七)項及び(十八)項までに掲げる防火対象物 三年に一回
 (以下、略)

 とあり、
 消防法施行規則第31条の6 3項によれば、令別表第一(五)項ロ に該当する 甲共同住宅の報告は、三年に一回ですから、甲住宅については、1年に1回、消防用設備等の点検の結果を消防長又は消防署長に報告しなければならないは、誤りです。

 なお、消防用設備等の機器点検は6ヵ月に一回、総合点検は、1年に一回行います。(消防庁告示第9号


 

 


4 乙住宅については、消防長又は消防署長は、消防用設備等が適法に維持されていないと認めるときは、乙住宅の関係者で権原を有するものに対し、その維持のため必要な措置をなすべきことを命ずることができる。


〇 正しい。 延べ面積、1,000u未満でも、対象になる。

 設問は、消防法第17条の4 
 「第十七条の四 消防長又は消防署長は、第十七条第一項の防火対象物における消防用設備等が設備等技術基準に従つて設置され、又は維持されていないと認めるときは、当該防火対象物の関係者で権原を有するものに対し、当該設備等技術基準に従つてこれを設置すべきこと、又はその維持のため必要な措置をなすべきことを命ずることができる。
○2 消防長又は消防署長は、第十七条第一項の防火対象物における同条第三項の規定による認定を受けた特殊消防用設備等が設備等設置維持計画に従つて設置され、又は維持されていないと認めるときは、当該防火対象物の関係者で権原を有するものに対し、当該設備等設置維持計画に従つてこれを設置すべきこと、又はその維持のため必要な措置をなすべきことを命ずることができる。
○3 第五条第三項及び第四項の規定は、前二項の規定による命令について準用する。

 とあり、
 引用されています、消防法第17条1項は、
 「第十七条 学校、病院、工場、事業場、興行場、百貨店、旅館、飲食店、地下街、複合用途防火対象物その他の防火対象物で政令で定めるものの関係者は、政令で定める消防の用に供する設備、消防用水及び消火活動上必要な施設(以下「消防用設備等」という。)について消火、避難その他の消防の活動のために必要とされる性能を有するように、政令で定める技術上の基準に従つて、設置し、及び維持しなければならない。」
 とあり、
 その他の防火対象物で政令で定めるものは、消防法施行令第6条、
 「(防火対象物の指定)
 第六条 法第十七条第一項の政令で定める防火対象物は、別表第一に掲げる防火対象物とする。」
 とあり、
 ここで、「別表第一(五)項ロ 
    イ 旅館、ホテル、宿泊所その他これらに類するもの
    ロ 寄宿舎、下宿又は
共同住宅 」
 とあり、
 共同住宅であれば、延べ面積に関係がありませんから、延べ面積、1,000u未満の乙共同住宅も該当します。

 よって、消防法第17条の4 1項によれば、
延べ面積、1,000u未満の乙共同住宅については、消防長又は消防署長は、消防用設備等が適法に維持されていないと認めるときは、乙住宅の関係者で権原を有するものに対し、その維持のため必要な措置をなすべきことを命ずることができますから、正しい。


答え:3

 共同住宅での消防用設備の点検は、年1回やるが、報告は3年に一回を憶えていると、ここも、答えは早い。

  消防法 についても、 過去問題から 取り出していますから、参考にしてください。

《タグ》消防法 延べ面積 1,000u 機器点検と総合点検 報告期間 

問24

〔問 24〕 マンションの照明設備における、防犯上の設計に関する次の記述のうち、「共同住宅に係る防犯上の留意事項及び防犯に配慮した共同住宅に係る設計指針について」(平成13 年3月国土交通省通達)によれば、適切でないものはどれか。

1 共用廊下・共用階段の照明設備は、極端な明暗が生じないよう配慮しつつ、床面において概ね20ルクス以上の平均水平面照度を確保することができるものとする。

〇 適切である。 共用廊下・共用階段の照明設備は、床面において概ね20ルクス以上。

  似たような出題は、平成26年 管理業務主任者試験 「問24」 、平成24年 マンション管理士試験 「問24」 、 平成23年 マンション管理士試験 「問24」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問24」 、 平成20年 マンション管理士試験 「問42」 。

 共同住宅に係る防犯上の留意事項及び防犯に配慮した共同住宅に係る設計指針について」(資料2)
  http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha06/07/070420/02.pdf
  によると、共用廊下・共用階段の明るさは、
  「2 共用部分の設計
  (6) 共用廊下・共用階段
   イ 共用廊下・共用階段の照明設備
    
共用廊下・共用階段の照明設備は、極端な明暗が生じないよう配慮しつつ、床面において概ね20ルクス以上の平均水平面照度を確保することができるものとする。
 とあり、
 共用廊下・共用階段の照明設備は、極端な明暗が生じないよう配慮しつつ、床面において概ね20ルクス以上の平均水平面照度を確保することができるものとするは、適切です。

 なお、「ルクス」は照らされた面の明るさの単位です。
 そして、「共同住宅に係る防犯上の留意事項 」の下にある、注意書きによると
  (注1)「人の顔、行動を明確に識別できる程度以上の照度」とは、10メートル先の人の顔、行動が明確に識別でき、誰であるか明確にわかる程度以上の照度をいい、平均水平面照度(床面又は地面における平均照度。以下同じ。)が概ね
50ルクス以上のものをいう。
  (注2)「
人の顔、行動を識別できる程度以上の照度」とは、10メートル先の人の顔、行動が識別でき、誰であるかわかる程度以上の照度をいい、平均水平面照度が概ね20ルクス以上のものをいう。
 (注3)「人の行動を視認できる程度以上の照度」とは、4メートル先の人の挙動、姿勢等が識別できる程度以上の照度をいい、平均水平面照度が概ね
3ルクス以上のものをいう。
 ともありますので、参考にしてください。



2 駐車場の照明設備は、極端な明暗が生じないよう配慮しつつ、床面において概ね3ルクス以上の平均水平面照度を確保することができるものとする。

〇 適切である。 駐車場の照明設備は、床面において概ね3ルクス以上。

 駐車場の照明設備は、選択肢1で引用しました、
 共同住宅に係る防犯上の留意事項及び防犯に配慮した共同住宅に係る設計指針について」(資料2)
  http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha06/07/070420/02.pdf
 によると、
  「(8) 駐車場
  イ 駐車場の照明設備
  
 駐車場の照明設備は、極端な明暗が生じないよう配慮しつつ、床面において概ね3ルクス以上の平均水平面照度を確保することができるものとする。」
 とあり、
 駐車場の照明設備は、極端な明暗が生じないよう配慮しつつ、床面において概ね3ルクス以上の平均水平面照度を確保することができるものとするは、適切です。



3 共用玄関の存する階のエレベーターホールの照明設備は、床面において概ね20 ルクス以上の平均水平面照度を確保することができるものとする。

X 適切でない。 共用玄関の存する階のエレベーターホールの照明設備なら、50ルクスは欲しい。 20ルクスでは暗い。

 共用玄関の存する階のエレベーターホールの照明設備は、選択肢1で引用しました、
 共同住宅に係る防犯上の留意事項及び防犯に配慮した共同住宅に係る設計指針について」(資料2)
  http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha06/07/070420/02.pdf
 によると、
 「(4)エレベーターホール
  イ エレベーターホールの照明設備
    
共用玄関の存する階のエレベーターホールの照明設備は、床面において概ね50ルクス以上の平均水平面照度を確保することができるものとする
    その他の階のエレベーターホールの照明設備は、床面において概ね20ルクス以上の平均水平面照度を確保することができるものとする。」
 とあり、
 共用玄関の存する階のエレベーターホールの照明設備は、床面において概ね”50 ルクス”以上の平均水平面照度を確保することができるものとあるため、”20ルクス”は、適切ではありません。

 なお、共用玄関がないエレベーターホールなら、少し暗い20ルクスでも可です。



4 児童遊園、広場又は緑地等の照明設備は、極端な明暗が生じないよう配慮しつつ、地面において概ね3ルクス以上の平均水平面照度を確保することができるものとする。

〇 適切である。 児童遊園、広場又は緑地等の照明設備は、3ルクスでもいい。

 児童遊園、広場又は緑地等の照明設備は、選択肢1で引用しました、
 共同住宅に係る防犯上の留意事項及び防犯に配慮した共同住宅に係る設計指針について」(資料2)
  http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha06/07/070420/02.pdf
 によると、
 「(10)児童遊園、広場又は緑地等
 イ 児童遊園、広場又は緑地等の照明設備
   
児童遊園、広場又は緑地等の照明設備は、極端な明暗が生じないよう配慮しつつ、地面において概ね3ルクス以上の平均水平面照度を確保することができるものとする。」
 とあり、
 児童遊園、広場又は緑地等の照明設備は、極端な明暗が生じないよう配慮しつつ、地面において概ね3ルクス以上の平均水平面照度を確保することができるものとするは、3ルクスでは少し暗い気がしますが、適切です。



答え:3

 大体、20ルクスの、「人の顔、行動を識別できる程度以上の照度」とは、10メートル先の人の顔、行動が識別でき、誰であるかわかる程度以上の照度をいい、平均水平面照度が概ね20ルクス以上のものをいうを、記憶していれば、答えは早い。

《タグ》共同住宅に係る防犯上の留意事項及び防犯に配慮した共同住宅に係る設計指針について マンションの照明 廊下・階段 駐車場 玄関のあるエレベーター・ホール 児童遊園・広場

問25

注:標準管理規約(単棟型」)は以下、当解説では、「単棟型」を略して、「標準管理規約」といいます。

  標準管理規約は、平成28年3月14日に大幅な改正があり、また、平成29年8月29日付で「民泊」で12条に改正があったので、注意のこと。


〔問 25〕 甲マンションの302号室の区分所有者Aが、断熱性の向上のために窓ガラスの改良を行いたい旨の工事申請書を管理組合の理事長に提出した。この場合の理事長の各々の対応に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切なものはどれか。

1 理事長は、2ヵ月後に管理組合で実施することが決定している計画修繕工事に申請内容の工事が含まれているので、申請を不承認とする旨を、理事会決議を経て、Aに回答した。

〇 適切である。 2ヵ月後に管理組合で実施することが決定している計画修繕工事に申請内容の工事が含まれていれば、緊急でもないので、個人の負担にしない方がいい。

 平成26年 マンション管理士試験 「問28」 、 平成21年 管理業務主任者試験 「問34」 。

 まず、断熱性の向上のために「共用部分である」窓ガラスの改良となると、標準管理規約22条
 「(窓ガラス等の改良)
 第22条
共用部分のうち各住戸に附属する窓枠、窓ガラス、玄関扉その他の開口部に係る改良工事であって、防犯、防音又は断熱等の住宅の性能の 向上等に資するものについては、管理組合がその責任と負担において、計画修繕としてこれを実施するものとする
2 区分所有者は、管理組合が前項の工事を速やかに実施できない場合には、 あらかじめ理事長に申請して書面による承認を受けることにより、当該工事を当該区分所有者の責任と負担において実施することができる
3 前項の申請及び承認の手続については、第17条第2項、第3項、第5 項及び第6項の規定を準用する。ただし、同条第5項中「修繕等」とある のは「第22条第2項の工事」と、同条第6項中「第1項の承認を受けた修繕等の工事」とあるのは「第22条第2項の承認を受けた工事」と読み 替えるものとする。」
 とあり、
  同22条関係コメントE
  E 「共用部分のうち各住戸に附属する窓枠、窓ガラス、玄関扉その他の開 口部に係る改良工事であって、防犯、防音又は断熱等の住宅の性能の向上 等に資するもの」の
工事の具体例としては、防犯・防音・断熱性等により 優れた複層ガラスやサッシ等への交換、既設のサッシへの内窓又は外窓の 増設等が考えられる。 」
 によれば、
 断熱性の向上のために「共用部分である」窓ガラスの改良は、標準管理規約22条に該当します。

 そこで、断熱性の向上のために窓ガラスの改良は、あと2か月まてば、管理組合がその責任と負担において、計画修繕としてこれを実施しますので、特に緊急性もないため、理事会の決議があれば、その申請を不承認としても、適切です。

 なお、標準管理規約22条での、申請の承認は、標準管理規約54条
 「(議決事項)
 第54条
理事会は、この規約に別に定めるもののほか、次の各号に掲げる 事項を決議する
   一 収支決算案、事業報告案、収支予算案及び事業計画案
   二 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止に関する案
   三 長期修繕計画の作成又は変更に関する案
   四 その他の総会提出議案
   
五 第17条、第21条及び第22条に定める承認又は不承認
   六 第58条第3項に定める承認又は不承認
   七 第60条第4項に定める未納の管理費等及び使用料の請求に関する訴 訟その他法的措置の追行
   八 第67条に定める勧告又は指示等
   九 総会から付託された事項
   十 災害等により総会の開催が困難である場合における応急的な修繕工事 の実施等
2 第48条の規定にかかわらず、理事会は、前項第十号の決議をした場合 においては、当該決議に係る応急的な修繕工事の実施に充てるための資金 の借入れ及び修繕積立金の取崩しについて決議することができる。」
 とあり、
 標準管理規約54条5号により、理事会の決議が必要です。



2 理事長は、当分の間、管理組合で計画修繕工事の予定がないため申請を受け付けるとともに、申請書の添付書類として施工予定業者からの仕様書及び見積書を提出するようAに回答した。

X 適切でない。 見積書の提出は不要。 設計図、仕様書及び工程表が必要。

 当分の間、管理組合で計画修繕工事の予定がないなら、選択肢1で引用しました、標準管理規約22条2項
 「
2 区分所有者は、管理組合が前項の工事を速やかに実施できない場合には、 あらかじめ理事長に申請して書面による承認を受けることにより、当該工事を当該区分所有者の責任と負担において実施することができる
3 前項の申請及び承認の手続については、第17条第2項、第3項、第5 項及び第6項の規定を準用する。ただし、同条第5項中「修繕等」とある のは「第22条第2項の工事」と、同条第6項中「第1項の承認を受けた修繕等の工事」とあるのは「第22条第2項の承認を受けた工事」と読み 替えるものとする。」
 とあり、
 理事長は申請を受け付けますので、前半は適切です。

 そこで、後半の、申請・承認については、標準管理規約22条3項により、準用されています標準管理規約17条
 「(専有部分の修繕等)
 第17条 区分所有者は、その専有部分について、修繕、模様替え又は建物 に定着する物件の取付け若しくは取替え(以下「修繕等」という。)であ って共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのあるものを行おう とするときは、あらかじめ、理事長(第35条に定める理事長をいう。以 下同じ。)にその旨を申請し、書面による承認を受けなければならない。
2 前項の場合において、区分所有者は、設計図、仕様書及び工程表を添付 した申請書を理事長に提出しなければならない。
3 理事長は、第1項の規定による申請について、理事会(第51条に定め る理事会をいう。以下同じ。)の決議により、その承認又は不承認を決定 しなければならない。
4 第1項の承認があったときは、区分所有者は、承認の範囲内において、 専有部分の修繕等に係る共用部分の工事を行うことができる。
5 理事長又はその指定を受けた者は、本条の施行に必要な範囲内において、 修繕等の箇所に立ち入り、必要な調査を行うことができる。この場合にお いて、区分所有者は、正当な理由がなければこれを拒否してはならない。
6 第1項の承認を受けた修繕等の工事後に、当該工事により共用部分又は 他の専有部分に影響が生じた場合は、当該工事を発注した区分所有者の責任と負担により必要な措置をとらなければならない。
7 区分所有者は、第1項の承認を要しない修繕等のうち、工事業者の立入 り、工事の資機材の搬入、工事の騒音、振動、臭気等工事の実施中におけ る共用部分又は他の専有部分への影響について管理組合が事前に把握する 必要があるものを行おうとするときは、あらかじめ、理事長にその旨を届 け出なければならない。」
 の2項により、
 区分所有者は、設計図、仕様書及び工程表を添付 した申請書を理事長に提出しなければならなりませんから、申請書の添付書類として施工予定業者からの仕様書及び見積書を提出するようAに回答したのうち、
見積書は不要で、仕様書の他に設計図と工程表を提出するようにAに回答すべきですから、後半は適切ではありません。

 そこで、選択肢2は、全体として、適切ではありません。

 見積書は、個人の金銭に関することで、理事会としては、不要です。



3 理事長は、当分の間、管理組合で計画修繕工事の予定がなく、かつ、当該工事の実施に当たっては、Aの責任と負担において実施することが条件であることから、理事長の判断により申請を承認する旨Aに回答し、次回の理事会でその承認の報告をすることとした。

X 適切でない。 窓ガラス等の改良工事(標準管理規約22条)の申請の承認・不承認は、理事会の決議が必要。理事長の判断により申請を承認はできない。

 選択肢1で説明しましたように、当分の間、管理組合で計画修繕工事の予定がなく、かつ、当該工事の実施に当たっては、Aの責任と負担において実施することが条件であっても、この窓ガラス等の改良工事(標準管理規約22条)の申請の承認・不承認は、標準管理規約54条5号、「(議決事項)
 第54条
理事会は、この規約に別に定めるもののほか、次の各号に掲げる 事項を決議する
    
五 第17条、第21条及び第22条に定める承認又は不承認
 とあり、
 理事会の決議事項ですから、
理事長の判断により申請を承認する旨Aに回答し、次回の理事会でその承認の報告をすることとしたは、適切ではありません。



4 理事長は、当分の間、管理組合で計画修繕工事の予定はないが、申請内容が既設のサッシへの内窓の増設であり、専有部分内の工事であって共用部分や他の専有部分に影響を与えるおそれはないことから、申請の必要がない旨Aに回答した。

X 適切でない。 既設のサッシへの内窓の増設は、標準管理規約22条に該当する。 申請は必要。

 申請内容が既設のサッシへの内窓の増設なら、選択肢1で説明しました標準管理規約22条の同22条関係コメントE
  E 「共用部分のうち各住戸に附属する窓枠、窓ガラス、玄関扉その他の開 口部に係る改良工事であって、防犯、防音又は断熱等の住宅の性能の向上 等に資するもの」の工事の具体例としては、防犯・防音・断熱性等により 優れた複層ガラスやサッシ等への交換、
既設のサッシへの内窓又は外窓の 増設等が考えられる。 」
 によれば、
 既設のサッシへの内窓又は外窓の増設も、標準管理規約22条に該当するとのことですから、標準管理規約22条
  「(窓ガラス等の改良)
 第22条 共用部分のうち各住戸に附属する窓枠、窓ガラス、玄関扉その他の開口部に係る改良工事であって、防犯、防音又は断熱等の住宅の性能の 向上等に資するものについては、管理組合がその責任と負担において、計画修繕としてこれを実施するものとする。
2 区分所有者は、管理組合が前項の工事を速やかに実施できない場合には、 あらかじめ理事長に申請して書面による承認を受けることにより、当該工事を当該区分所有者の責任と負担において実施することができる
3 前項の申請及び承認の手続については、第17条第2項、第3項、第5 項及び第6項の規定を準用する。ただし、同条第5項中「修繕等」とある のは「第22条第2項の工事」と、同条第6項中「第1項の承認を受けた修繕等の工事」とあるのは「第22条第2項の承認を受けた工事」と読み 替えるものとする。」
 とあり、
 標準管理規約22条2項により、当分の間、管理組合で計画修繕工事の予定がなくても、申請内容が既設のサッシへの内窓の増設には、あらかじめ理事長に申請して書面による承認を受けることが必要ですから、理事長が申請の必要がない旨Aに回答したは、適切ではありません。



答え:1

 選択肢4が迷うか? しかし、法律でもない単なる参考版の「標準管理規約」のしかも、コメントからの出題とは、適切かな?

《タグ》標準管理規約 窓ガラス等の改良工事 計画修繕 添付書類 理事会決議事項

ここまで、問25


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2018年 3月 8日;再度、見直し、「問17」など図も入れなおした。
2018年 3月 8日:都市計画法での、「田園住居地域」という住居系の用途地域も創設を「問20」に追加した。
2018年 1月12日:再度、第1稿Upした。
まったく、時間がかかる!

2018年 1月 4日:「問12」以降が無くっており、再作成に着手。
再び同じ内容でやるには、もううんざりだけど。

2018年 1月 3日:第1稿 作成
解説開始:2017年12月 3日

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