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平成29年(2017年) 管理業務主任者 試験問題 及び 解説

ページ2(問26より問50まで)

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謝辞:当問題の作成にあたっては、GORO様のご協力を戴いております。
テキスト文への変更など、ご助力を心から感謝いたします。

※ 出題当時以後の法令等の改正には、一部は対応していません。

*試験に臨んで、お節介なアドバイス
  1.設問にあわせて、問題用紙に ○(まる)、X(ばつ)をつける。
    殆どの設問が、「正しい」か「間違い」かを訊いてきますので、設問により、問題の頭に、○かXをつけます。
    そして、各選択肢を読み、○かXをつけます。
    問題の○なりXと、選択肢の○かXが一致したものを、マークシートに記入してください。

  2.疑問な問題は、とりあえず飛ばす。
    回答の時間は限られています。
    そこで、回答として、○かXかはっきりしないものがでたら、「?」マークをつけて、次の問題に移ります。
    全部の回答が終わってから、再度戻って決定してください。

  3.複雑な問は、図を描く。
    甲、乙、A、B、Cなど対象が多い問題もでます。
    この場合、問題用紙の空いているところに、図を描いてください。

   重要な点が分かってきます。

出題者からの注意

平成29年(2017年)度 管理業務主任者試験  問題
 実施:平成29年12月 3日

次の注意事項をよく読んでから、始めてください。

(注意)

1 これは試験問題です。問題は、1ページから32ページまで50問です。
2 試験の開始の合図と同時に、問題のページ数を確認してください。もし落丁や乱丁があった場合は、ただちに試験監督員に申し出てください。
3 解答は、別紙の解答用紙に記入してください。
4 正解は、各問題とも1つだけです。複数の解答をしたもの、判読が困難なものは、正解としません。
  解答は、解答用紙の注意事項をよく読み、所定の要領で記入してください。
5 問題中の法令等に関する部分は、平成29年4月1日現在で施行されている規定に基づいて出題されています。

 本試験問題では、以下の法律等について、それぞれ右欄に記載の略称を使用しています。


 ※マンション標準管理規約(団地型)及びマンション標準管理規約(団地型)コメントについては、略称を使用していません。

解説者(マンション管理士 香川)からのコメント:あやふやな出題、適切でない出題もあって、解答ができないのもあります。

※  ・マンション標準管理委託契約書は、平成30年3月9日付で24条に「反社会勢力の排除」などの改正があり、平成30年度の試験から出題適用となるので注意のこと。

   ・マンション標準管理規約は、平成29年8月29日付で「民泊」で12条に改正があり、平成30年度の試験から出題適用となるので注意のこと。

    ・マンションの管理の適正化に関する指針(国土交通省告示第490号)及びマンション標準管理規約は、平成28年3月14日付で大幅な改正があった。
  
   ・マンション標準管理委託契約書は、平成28年7月に改正があり、平成29年度の試験から出題適用となるので注意のこと。
   
   ・マンション標準管理規約は、平成16年に改正があった。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。
   ・マンション標準管理委託契約書は、平成15年に改正があった。また、平成22年5月にも改正があった。

問26

【問 26】 マンションの維持保全とマンション管理業者に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1 建築基準法によれば、マンション管理業者は、マンションの維持保全に関し、同法に規定されている義務を負い、当該マンションの所有者と管理組合にはその義務がない。

X 適切でない。 誤っている。 マンション(建築物)を維持保全するのは、その所有者等であり、マンション管理業者ではない。また努力であり、義務ではない。
 
 建築物の維持・保全は、建築基準法第8条
 
「(維持保全)
 第八条 
建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない。
2 第十二条第一項に規定する建築物の所有者又は管理者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するため、必要に応じ、その建築物の維持保全に関する準則又は計画を作成し、その他適切な措置を講じなければならない。この場合において、国土交通大臣は、当該準則又は計画の作成に関し必要な指針を定めることができる。」

 とあり、
 建築基準法第8条1項によれば、建築物(マンション)を維持保全するのは、建築物の所有者、管理者(マンションの所有者と管理組合)又は占有者であり、
マンション管理業者ではありませんから、建築基準法によれば、マンション管理業者は、マンションの維持保全に関し、同法に規定されている義務を負い、当該マンションの所有者と管理組合にはその義務がないは、誤りです。
 また、建築基準法第8条1項によれば、”努めなければならない”であり、”しなければならない”の義務ではありません。


2 標準管理委託契約書によれば、マンション管理業者は、管理組合の長期修繕計画に改善の必要があると判断した場合には、書面をもって当該管理組合に助言する。

〇 適切である。 
  平成22年 管理業務主任者試験 「問9」 、 平成19年 管理業務主任者試験 「問9」 

  管理組合の長期修繕計画に改善の必要があると判断した場合なら、標準管理委託契約書 別表第1 事務管理業務
 

 (3) 本マンション(専有部分を除く。以下同じ。)の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整 一 乙は、甲の長期修繕計画の見直しのため、管理事務を実施する上で把握した本マンションの劣化等の状況に基づき、当該計画の修繕工事の内容、実施予定時期、工事の概算費用等に、改善の必要があると判断した場合には、書面をもって甲に助言する。
二 長期修繕計画案の作成業務及び建物・設備の劣化状況などを把握するための調査・診断を実施し、その結果に基づき行う当該計画の見直し業務を実施する場合は、本契約とは別個の契約とする。
三 乙は、甲が本マンションの維持又は修繕(大規模修繕を除く修繕又は保守点検等。)を外注により乙以外の業者に行わせる場合の見積書の受理、発注補助、実施の確認を行う。 

   とあり、
  一 乙(管理業者)は、甲(管理組合)の長期修繕計画の見直しのため、管理事務を実施する上で把握した本マンションの劣化等の状況に基づき、当該計画の修繕工事の内容、実施予定時期、工事の概算費用等に、改善の必要があると判断した場合には、書面をもって甲に助言するため、標準管理委託契約書によれば、マンション管理業者は、管理組合の長期修繕計画に改善の必要があると判断した場合には、書面をもって当該管理組合に助言するは、適切です。



3 標準管理委託契約書によれば、マンション管理業者は、管理組合がマンションの維持又は修繕(大規模修繕を除く修繕又は保守点検等。)を当該マンション管理業者以外の業者に行わせる場合、当該工事に関する見積書の受理、発注補助、実施の確認を行う。

〇 適切である。
  平成16年 管理業務主任者試験 「問28」 

 設問は、選択肢2で引用しました、標準管理委託契約書 別表第1 事務管理業務  (3) 本マンション(専有部分を除く。以下同じ。)の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整
 「三
乙(管理業者)は、甲(管理組合)が本マンションの維持又は修繕(大規模修繕を除く修繕又は保守点検等。)を外注により乙以外の業者に行わせる場合の見積書の受理、発注補助、実施の確認を行う。」
 とあり、
 マンション管理業者は、管理組合がマンションの維持又は修繕(大規模修繕を除く修繕又は保守点検等。)を当該マンション管理業者以外の業者に行わせる場合、当該工事に関する見積書の受理、発注補助、実施の確認を行うは、適切です。



4 標準管理委託契約書によれば、マンション管理業者が、長期修繕計画案の作成業務を行う場合は、本契約とは別個の契約とする。

〇 適切である。 
 平成28年 管理業務主任者試験 「問9」 

  設問も、選択肢2で引用しました、 標準管理委託契約書 別表第1 事務管理業務 (3) 本マンション(専有部分を除く。以下同じ。)の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整
 「二
長期修繕計画案の作成業務及び建物・設備の劣化状況などを把握するための調査・診断を実施し、その結果に基づき行う当該計画の見直し業務を実施する場合は、本契約とは別個の契約とする。」
 とあり、
 マンション管理業者が、長期修繕計画案の作成業務を行う場合は、本契約とは別個の契約とするは、適切です。

 なお、長期修繕計画案の作成業務は、平成21年に改正があり以前の標準管理委託契約書では、管理業者の業務に入っていましたが、作成に手間がかかることが分かり、別契約となりました。



答え:1

 選択肢1は、サラット読むと気が付かない。 易しい問題です。
 しかし、建築基準法と標準管理委託契約書の複合問題とは、適切でない。

《タグ》マンションの維持保全 建築基準法 標準管理委託契約書 長期修繕計画 工事 長期修繕計画案の作成業務

問27

【問 27】 建築基準法第12条に規定する建築設備等の報告、検査等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 排煙設備の排煙風量測定の定期報告の時期は、5年の間隔をおいて特定行政庁が定める時期(建築基準法施行規則で別途定めるものを除く。)とする。

X 誤っている。 建築設備(換気設備、排煙設備、非常用の照明装置、給水設備及び排水設備等)の定期報告の時期はおおむね6月から1年までの間隔をおいて特定行政庁が定める時期。5年の間隔ではない。
 訂正:排煙設備の排煙風量測定の定期報告の時期は、1年から3年の間隔で特定行政庁が定める時期に行う。5年の間隔ではない。

 平成29年 マンション管理士試験 「問21」 、平成28年 マンション管理士試験 「問36」平成25年 管理業務主任者試験 「問21」 、平成25年 管理業務主任者試験 「問12」 も 建築基準法第12条からの出題。 平成23年 管理業務主任者試験 「問25」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問37」 、 平成18年 管理業務主任者試験 「問18」

 まず、建築設備等の検査・報告制度は、建築基準法(第12条)に基づき、事故や災害等を未然に防止するために建築物・建築設備・防火設備・昇降機等について、定期的に専門の技術者(一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者(特定建築物調査員、防火設備検査員、昇降機等検査員、建築設備検査員)に調査・検査をさせ、その結果を特定行政庁(建築主事を置く地方公共団体)に報告させることを、建築物の所有者等に義務付けています。

 以前は、この検査・報告制度に入っていなかった昇降機(エレベーター)や防火設備もエレベーター事故、火災事故の多発を受け、平成28年6月1日から、建築基準法を改正し、昇降機や防火設備も対象とし、点検する資格者も改めた新たな制度が施行されることとなりました。

 詳細は、 平成29年 マンション管理士試験 「問21」 の解説をご覧ください。
 
 なお、定期報告を必要とする建築設備や昇降機、防火設備についての検査や報告の詳細は、特定行政庁に任されていて、全国で統一されていないことにも注意してください。

 また、建築設備とは、建築基準法第2条3号
 「(用語の定義)
 第二条 この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
 三 建築設備 建築物に設ける電気、ガス、給水、排水、換気、暖房、冷房、消火、排煙若しくは汚物処理の設備又は煙突、昇降機若しくは避雷針をいう。」
 とあり、 
  ・電気設備 
  ・ガス設備
  ・給水,排水その他の配管設備
  ・換気設備
  ・冷暖房設備
  ・消火設備
  ・排煙設備
  ・汚物処理設備
  ・煙突
  ・昇降機
  ・避雷設備
 です。


 そして、法定点検が義務付けられているのは、
  @昇降機
  A防火設備
  B換気設備
  C排煙設備
  D非常用の照明装置
  E給水設備及び排水設備
 です。
 
 そこで、設問の、排煙設備とは、火災時に煙を機械で吸い上げ排出する設備で、屋上に非常用の電動機とセットになった排煙機本体が据え付けられています。この排煙機本体と各フロアの排煙口がダクトでつながれており、火災時に手動でボタンを押したり、感知器と連動で作動します。排煙口が開くと同時に本体のファンが回り、一気に煙を外部に排出してくれます。
 排煙口は、主に地下や排煙窓が設置できないような場所にあります。そのエリアで火災が発生した場合に、煙の逃げ場がない空間に設置されています。


 

 
 これをもとに、設問をみますと、建築基準法第12条
 「(報告、検査等)
 第十二条 第六条第一項第一号に掲げる建築物で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの(国、都道府県及び建築主事を置く市町村の建築物(以下この項及び第三項において「国等の建築物」という。)を除く。)及び当該政令で定めるもの以外の
特定建築物(同号に掲げる建築物その他政令で定める建築物をいう。以下この条において同じ。)で特定行政庁が指定するもの(国等の建築物を除く。)の所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者。第三項において同じ。)は、これらの建築物の敷地、構造及び建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員資格者証の交付を受けている者(次項及び次条第三項において「建築物調査員」という。)にその状況の調査(これらの建築物の敷地及び構造についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含み、これらの建築物の建築設備及び防火戸その他の政令で定める防火設備(以下「建築設備等」という。)についての第三項の検査を除く。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない
2 国、都道府県又は建築主事を置く市町村の特定建築物の管理者である国、都道府県若しくは市町村の機関の長又はその委任を受けた者(以下この章において「国の機関の長等」という。)は、当該特定建築物の敷地及び構造について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員に、損傷、腐食その他の劣化の状況の点検(当該特定建築物の防火戸その他の前項の政令で定める防火設備についての第四項の点検を除く。)をさせなければならない。ただし、当該特定建築物(第六条第一項第一号に掲げる建築物で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして前項の政令で定めるもの及び同項の規定により特定行政庁が指定するものを除く。)のうち特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て指定したものについては、この限りでない。
3 
特定建築設備等昇降機及び特定建築物の昇降機以外の建築設備等をいう。以下この項及び次項において同じ。)で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの(国等の建築物に設けるものを除く。)及び当該政令で定めるもの以外の特定建築設備等で特定行政庁が指定するもの(国等の建築物に設けるものを除く。)の所有者は、これらの特定建築設備等について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者(次項及び第十二条の三第二項において「建築設備等検査員」という。)に検査(これらの特定建築設備等についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含む。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない
 (以下、略)」
 とあり、
 建築基準法第12条3項での政令は、建築基準法施行令第16条3項
 「
3 法第十二条第三項の政令で定める特定建築設備等は、次に掲げるものとする
   一 第百二十九条の三第一項各号に掲げる
昇降機(使用頻度が低く劣化が生じにくいことその他の理由により人が危害を受けるおそれのある事故が発生するおそれの少ないものとして国土交通大臣が定めるものを除く。)
   二 
防火設備のうち、法第六条第一項第一号に掲げる建築物で第一項各号に掲げるものに設けるもの(常時閉鎖をした状態にあることその他の理由により通常の火災時において避難上著しい支障が生ずるおそれの少ないものとして国土交通大臣が定めるものを除く。)」

 です。
 分かり難い法文と施行令の構成ですが、建築基準法第12条3項で除いた「昇降機」が入り、「防火設備」が規定されています。

 そこで、建築設備や防火設備の定期報告は、建築基準法施行規則第6条1項
 「(建築設備等の定期報告)
 第六条 法第十二条第三項の規定による報告の時期は、
建築設備又は防火設備(以下「建築設備等」という。)の種類、用途、構造等に応じて、おおむね六月から一年まで(ただし、国土交通大臣が定める検査の項目については、一年から三年まで)の間隔をおいて特定行政庁が定める時期(次のいずれかに該当する場合においては、その直後の時期を除く。)とする。
   一 法第十二条第三項の安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定める特定建築設備等について、設置者が法第七条第五項(法第八十七条の二において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)又は法第七条の二第五項(法第八十七条の二において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定による検査済証の交付を受けた場合
   二 法第十二条第三項の規定により特定行政庁が指定する特定建築設備等について、設置者が法第七条第五項又は法第七条の二第五項の規定による検査済証(当該指定があつた日以後の設置に係るものに限る。)の交付を受けた場合
2 法第十二条第三項の規定による検査は、建築設備等の状況について安全上、防火上又は衛生上支障がないことを確認するために十分なものとして行うものとし、当該検査の項目、事項、方法及び結果の判定基準は国土交通大臣の定めるところによるものとする。
3 法第十二条第三項の規定による報告は、昇降機にあつては別記第三十六号の四様式による報告書及び別記第三十六号の五様式による定期検査報告概要書に、建築設備(昇降機を除く。)にあつては別記第三十六号の六様式による報告書及び別記第三十六号の七様式による定期検査報告概要書に、防火設備にあつては別記第三十六号の八様式による報告書及び別記第三十六号の九様式による定期検査報告概要書に、それぞれ国土交通大臣が定める検査結果表を添えてするものとする。ただし、特定行政庁が規則により別記第三十六号の四様式、別記第三十六号の五様式、別記第三十六号の六様式、別記第三十六号の七様式、別記第三十六号の八様式、別記第三十六号の九様式又は国土交通大臣が定める検査結果表その他の事項を記載する報告書の様式又は検査結果表を定めた場合にあつては、当該様式による報告書又は当該検査結果表によるものとする。
4 法第十二条第三項の規定による報告は、前項の報告書及び調査結果表に、特定行政庁が建築設備等の状況を把握するために必要と認めて規則で定める書類を添えて行わなければならない。」

 とあり、
 建築基準法施行規則第6条1項によれば、
建築設備又は防火設備(以下「建築設備等」という。)の種類、用途、構造等に応じて、おおむね六月から一年までの間隔をおいて特定行政庁が定める時期とする”とありますから、排煙設備の排煙風量測定の定期報告の時期は、”5年の間隔”をおいて特定行政庁が定める時期(建築基準法施行規則で別途定めるものを除く。)とするの、5年の間隔をおいては誤りです。おおむね六月から一年までの間隔が正しい。
 なお、大がかりなものは、3年で一巡することです。

 訂正:2018年 3月 9日:
 排煙設備の排煙風量測定を調べていたら、排煙設備の排煙風量測定は、建築基準法施行規則第6条1項での「
ただし、国土交通大臣が定める検査の項目については、一年から三年までの間隔をおいて特定行政庁が定める時期」での、
  国土交通省告示第285号(平成20年3月10日) 
 建築設備等(昇降機及び遊戯施設を除く。)の定期検査報告における検査及び定期点検における点検の項目、事項、方法並びに結果の判定基準並びに検査結果表を定める件

 に該当していることが分かったので、
 「排煙設備の排煙風量測定の定期報告の時期は、1年から3年の間隔をおいて特定行政庁が定める時期(建築基準法施行規則で別途定めるものを除く。)とあるため、5年の間隔をおいては誤りです、
 に訂正します。


2 防火設備の定期報告の時期は、種類、用途、構造等に応じて、おおむね6月から1年まで(ただし、国土交通大臣が定める検査の項目については、1年から3年まで)の間隔をおいて特定行政庁が定める時期(建築基準法施行規則で別途定めるものを除く。)とする。

〇 正しい。

 設問は、選択肢1で引用しました、建築基準法施行規則第6条1項
 「
法第十二条第三項の規定による報告の時期は、建築設備又は防火設備(以下「建築設備等」という。)の種類、用途、構造等に応じて、おおむね六月から一年まで(ただし、国土交通大臣が定める検査の項目については、一年から三年まで)の間隔をおいて特定行政庁が定める時期(次のいずれかに該当する場合においては、その直後の時期を除く。)とする
 とあり、
 防火設備の定期報告の時期は、種類、用途、構造等に応じて、おおむね6月から1年まで(ただし、国土交通大臣が定める検査の項目については、1年から3年まで)の間隔をおいて特定行政庁が定める時期(建築基準法施行規則で別途定めるものを除く。)とするは、正しい。



3 非常用の照明装置に白熱灯を用いる場合には、避難上必要となる最も暗い部分の水平床面においての照度が1ルクス以上であることを確認する。

〇 正しい。非常用の照明装置に白熱灯を用いる場合は、水平床面においての照度が1ルクス以上であること。

 平成27年 管理業務主任者試験 「問23」 、 平成19年 管理業務主任者試験 「問21」 

 非常用の照明装置は、避難するための通路や居室に対して、一定の照度を確保するための建築基準法での防災設備です。

 
 
 一方、お馴染みの「誘導灯」は消防法に定められた「避難する方向を示すための設備」です。消防法での誘導灯は建築基準法での非常用照明の代替設備として認められていませんので、誘導灯の明るさで非常用照明の照度を確保することはできないとなっています。

 

 非常用の照明装置の内部には電池が収納されており、電源供給が断たれた際であっても、自動的に内部電池から給電されるよう作られていますから、火災等で停電しても、避難するための明るさは自動的に確保されるように決められています。
 器具としては、蛍光灯、ハロゲン、白熱電球、LEDランプがあります。


 そこで、建築基準法施行令第126条の5
 
「(構造)
 第百二十六条の五 前条の非常用の照明装置は、次の各号のいずれかに定める構造としなければならない。
   一 次に定める構造とすること。
     イ 照明は、直接照明とし、床面において一ルクス以上の照度を確保することができるものとすること。
     ロ 照明器具の構造は、火災時において温度が上昇した場合であつても著しく光度が低下しないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとすること。
     ハ 予備電源を設けること。
     ニ イからハまでに定めるもののほか、非常の場合の照明を確保するために必要があるものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとすること。
  
 二 火災時において、停電した場合に自動的に点灯し、かつ、避難するまでの間に、当該建築物の室内の温度が上昇した場合にあつても床面において一ルクス以上の照度を確保することができるものとして、国土交通大臣の認定を受けたものとすること。」

 とあります。

 そして、なお、非常用の照明装置に白熱灯を用いる場合は、
 ○建築設備(昇降機を除く。)の定期検査報告における検査及び定期点検における点検の項目、事項、方法及び結果の判定基準並びに検査結果表を定める件
 (平成二十年三月十日) (国土交通省告示第二百八十五号) 

 によれば、
 検査方法ととして照度測定は、 別表第三 二 照度には
 「
避難上必要となる部分のうち最も暗い部分の水平床面において低照度測定用照度計により測定する。」
 とあり、
 非常用の照明装置に白熱灯を用いる場合には、避難上必要となる最も暗い部分の水平床面においての照度が1ルクス以上であることを確認するは、正しい。

 なお、蛍光灯やLED光源を非常用照明とする場合、高温になると明るさが半減するので2ルクス以上の照度が必要になります。


 この明るさ(ルクス)は、防犯とは異なり、かなり低めですから、混同しないようにしてください。


4 昇降機を含む特定建築設備等について、一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者は、建築基準法施行規則で定める定期検査を行うことができる。

〇 正しい? この設問では、建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者ならば、誰でも昇降機を含む特定建築設備等についてすべての定期検査ができるともなるが。
 平成29年 マンション管理士試験 「問21」 も参考に。

 定期検査を行うことのできる資格者は、選択肢1で引用しました、建築基準法第12条3項
 「
(報告、検査等)
 3 
特定建築設備等(昇降機及び特定建築物の昇降機以外の建築設備等をいう。以下この項及び次項において同じ。)で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの(国等の建築物に設けるものを除く。)及び当該政令で定めるもの以外の特定建築設備等で特定行政庁が指定するもの(国等の建築物に設けるものを除く。)の所有者は、これらの特定建築設備等について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者(次項及び第十二条の三第二項において「建築設備等検査員」という。)に検査(これらの特定建築設備等についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含む。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない

 とあり、
 この設問では、「建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者」での詳細がないのが、 平成29年のマンション管理士試験 「問29」 で出題元の 公益財団法人 マンション管理センターから出題のミスとなったのと同様に「建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者」ならば、誰でも昇降機を含む特定建築設備等のすべての定期検査を行うことができると受け取ることができる可能性もあるが、条文からは仕方ないか。

 注:*調査・検査ができる専門の技術者とは、
 法改正前は、一級建築士、二級建築士の他に、資格者(特殊建築物調査資格者、昇降機検査資格者、建築設備検査資格者)が調査・検査できる事になっていましたが、この資格者を法律に位置づけ、「専門の技術者」とは、建築基準法に規定された次のいずれかの資格を有するものです。
  ・ 一級建築士
  ・ 二級建築士 は全部
  ・ 
そして次の資格者は対象のものだけ調査・検査ができます
     ・ 建築物 ...特定建築物調査員((特定建築物調査員資格者証の交付を受けている者)     
     ・ 防火設備 ...防火設備検査員(新設)(防火設備検査員資格者証の交付を受けている者)
     ・ 昇降機及び遊戯施設 ... 昇降機等検査員(昇降機等検査員資格者証の交付を受けている者)
     ・ 建築設備 ...建築設備検査員(建築設備検査員資格者証の交付を受けている者)



答え:1
 
 ここ「問27」は、追及すると、かなり難しい。選択肢1が誤りとはすぐに分かるが、建築設備や他の解説もしたため、約7時間もかかった。

  2018年 3月 9日:再度見直しをしていて、排煙設備の排煙風量測定が、国土交通省告示に該当していることが、分かって、定期報告の期間を「おおむね6ヵ月から1年まで」から、「1年から3年まで」に訂正した。
 まったく、難しい。

  選択肢4の定期検査ができる者については、これは、もう建築基準法第12条3項の「一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者」という表現が曖昧だということで、これは直ちに条文を改正しなければ、いけない。

《タグ》建築基準法 建築設備 定期検査・報告 排煙設備 防火設備 非常用の照明装置 1ルクス 一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者

問28

注:・マンション標準管理委託契約書は、平成30年3月9日付で24条に「反社会勢力の排除」などの改正があり、平成30年度の試験から出題適用となるので注意のこと。


【問 28】 標準管理委託契約書の定めによれば、管理対象部分に関する次の記述のうち、不適切なものはいくつあるか。

ア エレベーターホールは、「専有部分に属さない建物の部分」に含まれる。

〇 適切である。 
  平成26年 管理業務主任者試験 「問9」 、平成21年 管理業務主任者試験 「問9」 

 標準管理委託契約書における管理対象部分は、
 「2条5号
 五 管理対象部分
   イ 敷 地
   ロ
専有部分に属さない建物の部分(規約共用部分を除く。)
     エントランスホール、廊下、階段、
エレベーターホール、共用トイレ、屋上、 屋根、塔屋、ポンプ室、自家用電気室、機械室、受水槽室、高置水槽室、パイプ スペース、内外壁、床、天井、柱、バルコニー
   ハ
専有部分に属さない建物の附属物
     エレベーター設備、電気設備、給水設備、排水設備、
テレビ共同受信設備、消 防・防災設備、避雷設備、各種の配線・配管
   ニ
規約共用部分
     
管理事務室、管理用倉庫、清掃員控室、集会室、トランクルーム、倉庫
   ホ
附属施設
     塀、フェンス、駐車場、通路、自転車置場、ゴミ集積所、排水溝、排水口、外 灯設備、植栽、掲示板、
専用庭、プレイロット 」
 とあり、
 標準管理委託契約書2条5号によれば、エレベーターホールは、「専有部分に属さない建物の部分」に含まれるは、適切です。



イ テレビ共同受信設備は、「専有部分に属さない建物の附属物」に含まれる。

〇 適切である。

 選択肢アで引用しました、標準管理委託契約書2条5号によれば、テレビ共同受信設備は、「専有部分に属さない建物の附属物」に含まれるは、適切です。


ウ 専用庭は、「規約共用部分」に含まれる。

X 適切でない。 専用庭は、附属施設であり、規約共用部分ではない。

 選択肢アで引用しました、標準管理委託契約書2条5号によれば、専用庭は「附属施設」であり、「規約共用部分」ではないため、適切ではありません。


工 管理事務室は、「附属施設」に含まれる。

X 適切でない。 管理事務室は、規約共用部分であり、附属施設ではない。

 選択肢アで引用しました、標準管理委託契約書2条5号によれば、管理事務室は、「規約共用部分」であり、「附属施設」ではないため、適切ではありません。


1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ

答え:2  不適切なものは、 ウ と エ の2つ。

  管理対象の基本です。 建物の部分、建物の附属物、規約共用部分、附属施設の区別をしっかり憶えてください。

 問題としては、易しいが、個数問題となると、少し難しい。

《タグ》標準管理委託契約書 管理対象 建物の部分 建物の附属物 規約共用部分 附属施設

問29

注:標準管理規約(単棟型)は以下、当解説では、「単棟型」を略して、「標準管理規約」といいます。

  標準管理規約は、平成28年3月14日に大幅な改正があり、また、平成29年8月29日付で「民泊」で12条に改正があったので、注意のこと。


【問 29】 区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者(以下、本問において「占有者」という。)の集会(総会)への出席に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1 区分所有法によれば、占有者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して意見を述べることができる。

〇 適切である。 正しい。 占有者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して意見を述べることができる。
 平成29年 マンション管理士試験 「問6」 、 平成28年 管理業務主任者試験 「問38」、 平成26年 マンション管理士試験 「問30」、 平成25年 マンション管理士試験 「問3」 など。

 正当な占有者(区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者。賃借人など)であれば、区分所有法第44条
 「(占有者の意見陳述権)
 第四十四条 
区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して意見を述べることができる
2 前項に規定する場合には、集会を招集する者は、第三十五条の規定により招集の通知を発した後遅滞なく、集会の日時、場所及び会議の目的たる事項を建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。」

 とあり、
 区分所有法第44条1項によれば、占有者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して意見を述べることができますから、正しい。


 但し、占有者は意見を述べることはできますが、当然、議決権はありません。利害関係がある場合などは、「超解説 区分所有法」 をみてください。


2 区分所有法によれば、集会における意見陳述権を有する占有者がいる場合には、集会を招集する者は、集会の日時、場所及び会議の目的たる事項を示して、招集の通知を区分所有者及び当該占有者に発しなければならない。

X 適切でない。 誤っている。 占有者には、掲示でいい。 通知まではいらない。
  平成28年 管理業務主任者試験 「問44」 

 選択肢1で引用しました、区分所有法第44条2項
 
「2 前項に規定する場合には、集会を招集する者は、第三十五条の規定により招集の通知を発した後遅滞なく、集会の日時、場所及び会議の目的たる事項を建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。
 とあり、
 占有者に対しては、招集の通知を発した後遅滞なく、集会の日時、場所及び会議の目的たる事項を建物内の見やすい場所に掲示とありますから、集会における意見陳述権を有する占有者がいる場合には、集会を招集する者は、集会の日時、場所及び会議の目的たる事項を示して、招集の通知を区分所有者及び当該占有者に発しなければならないは、誤っています。



3 標準管理規約によれば、総会における意見陳述権を有する占有者が総会に出席して意見を述べようとする場合には、当該占有者は、あらかじめ理事長にその旨を通知しなければならない。

〇 適切である。
 
 今度は、標準管理規約45条
 「(出席資格)
 第45条 組合員のほか、理事会が必要と認めた者は、総会に出席すること ができる。
2 区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的につき利 害関係を有する場合には、総会に出席して意見を述べることができる。
こ の場合において、総会に出席して意見を述べようとする者は、あらかじめ 理事長にその旨を通知しなければならない。」
 とあり、
 標準管理規約45条2項によれば、総会における意見陳述権を有する占有者が総会に出席して意見を述べようとする場合には、当該占有者は、あらかじめ理事長にその旨を通知しなければなりませんから、適切です。


 ここまで、占有者に対して厳しくする必要があるかは、疑問ですが。


4 標準管理規約によれば、理事会が必要と認めた場合には、占有者は総会に出席することができる。

〇 適切である。 理事会が必要と認めれば、誰でも総会に出席できる。
  平成21年 管理業務主任者試験 「問35」 

 設問は、選択肢3で引用しました、標準管理規約45条1項
 「第45条
組合員のほか、理事会が必要と認めた者は、総会に出席すること ができる。 」
 とありますから、
 特に占有者が会議の目的につき利害関係を有していなくても、理事会が必要と認めた場合には、マンション管理士や管理業者など、そして、占有者であっても総会に出席することができますから、適切です。



答え:2

 区分所有法の解説は、別途、「マンション管理士 香川事務所」が無料で提供しています、「超解説 区分所有法」 がありますから、ご利用ください。

 易しい問題です。

>《タグ》区分所有法 標準管理規約 占有者 集会 

問30

【問 30】 管理組合法人に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 管理組合法人は、その事務に関し、区分所有者を代理する。

〇 正しい。 区分所有者を代理しているのは、管理組合法人。 理事ではない。
 平成28年 マンション管理士試験 「問8」 、平成27年 マンション管理士試験 「問7」 、平成26年 マンション管理士試験 「問5」 、 平成23年 管理業務主任者試験 「問33」  、平成21年 マンション管理士試験 「問2」 、 平成21年 管理業務主任者試験 「問1」 、平成19年 管理業務主任者試験 「問36」 、平成18年 マンション管理士試験 「問2」 、平成16年 マンション管理士試験 「問18」 など。

 管理組合が法人の時は、 「問38」 も参考に。

 まず、マンションの管理組合が法人になるには、区分所有法第47条
 「
(成立等)
  第四十七条 第三条に規定する団体は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で法人となる旨並びにその名称及び事務所を定め、かつ、その主たる事務所の所在地において登記をすることによつて法人となる。
2 前項の規定による法人は、管理組合法人と称する。
3 この法律に規定するもののほか、管理組合法人の登記に関して必要な事項は、政令で定める。
4 管理組合法人に関して登記すべき事項は、登記した後でなければ、第三者に対抗することができない。
5 管理組合法人の成立前の集会の決議、規約及び管理者の職務の範囲内の行為は、管理組合法人につき効力を生ずる。
6 管理組合法人は、その事務に関し、区分所有者を代理する。第十八条第四項(第二十一条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様とする。
7 管理組合法人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
8 管理組合法人は、規約又は集会の決議により、その事務(第六項後段に規定する事項を含む。)に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる。
9 管理組合法人は、前項の規約により原告又は被告となつたときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならない。この場合においては、第三十五条第二項から第四項までの規定を準用する。
10 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第四条及び第七十八条の規定は管理組合法人に、破産法(平成十六年法律第七十五号)第十六条第二項の規定は存立中の管理組合法人に準用する。
11 第四節及び第三十三条第一項ただし書(第四十二条第五項及び第四十五条第四項において準用する場合を含む。)の規定は、管理組合法人には、適用しない。
12 管理組合法人について、第三十三条第一項本文(第四十二条第五項及び第四十五条第四項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定を適用する場合には第三十三条第一項本文中「管理者が」とあるのは「理事が管理組合法人の事務所において」と、第三十四条第一項から第三項まで及び第五項、第三十五条第三項、第四十一条並びに第四十三条の規定を適用する場合にはこれらの規定中「管理者」とあるのは「理事」とする。
13 管理組合法人は、法人税法(昭和四十年法律第三十四号)その他法人税に関する法令の規定の適用については、同法第二条第六号に規定する公益法人等とみなす。この場合において、同法第三十七条の規定を適用する場合には同条第四項中「公益法人等(」とあるのは「公益法人等(管理組合法人並びに」と、同法第六十六条の規定を適用する場合には同条第一項及び第二項中「普通法人」とあるのは「普通法人(管理組合法人を含む。)」と、同条第三項中「公益法人等(」とあるのは「公益法人等(管理組合法人及び」とする。
14 管理組合法人は、消費税法(昭和六十三年法律第百八号)その他消費税に関する法令の規定の適用については、同法別表第三に掲げる法人とみなす。」

 とあります。

 ここにおいて、注目すべき事項は、代理と代表の違いです。
 あくまでも、区分所有者を”代理”しているのは、”管理組合法人”であって、理事などは管理組合法人の執行機関として管理組合法人を”代表”している(区分所有法第49条参照)ことを理解してください。

 で設問は、区分所有法第47条6項
 「
6 管理組合法人は、その事務に関し、区分所有者を代理する。」
 とあり、
 区分所有法第47条6項によれば、管理組合法人は、その事務に関し、区分所有者を代理するは、正しい。


 


2 理事は、規約又は集会の決議によって禁止されていないときに限り、特定の行為の代理を他人に委任することができる。

〇 正しい。 
 平成27年 管理業務主任者試験 「問30」 、 平成24年管理業務主任者試験 「問34」 、 平成23年マンション管理士試験 「問6」 

 管理組合法人の理事の委任は、区分所有法第49条の3
 「
(理事の代理行為の委任)
第四十九条の三 
理事は、規約又は集会の決議によつて禁止されていないときに限り、特定の行為の代理を他人に委任することができる。」

 とあり、
 区分所有法第49条の3 によれば、理事は、規約又は集会の決議によって禁止されていないときに限り、特定の行為の代理を他人に委任することができるは、正しい。

 なお、区分所有法第49条の3 は平成20年12月に、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されたことにより、区分所有法第49条旧7項で準用していた旧民法第52条2項から第56条の規定が削除されたことにより、区分所有法に追加・明文化されたものです。

  また、逆の解釈として、代表権の全てを包括して他人に委任することはできません。
 そして、理事の特定の行為であっても、監事には、監事の職務上委任できないと解釈されます。



3 理事は、管理組合法人の事務のうち、保存行為について、決することができる。

〇 正しい。
 平成28年 マンション管理士試験 「問9」 、 平成24年 管理業務主任者試験 「問34」 

 管理組合法人の事務については、区分所有法第52条
 「(事務の執行)
 第五十二条 管理組合法人の事務は、この法律に定めるもののほか、すべて集会の決議によつて行う。ただし、この法律に集会の決議につき特別の定数が定められている事項及び第五十七条第二項に規定する事項を除いて、規約で、理事その他の役員が決するものとすることができる。
2 前項の規定にかかわらず、保存行為は、理事が決することができる。」
 とあり、
 管理組合法人の事務は、原則:集会で決めてから行いますが、毎回集会を開くのでは大変です。そこで、規約があれば、理事が事務を執行できます。
 また、区分所有法第52条2項によれば、保存行為(現状維持、修理)であれば、規約や集会の決議がなくても理事が決めて行えますから、正しい。

  管理組合法人で理事が複数いる場合での、「保存行為」については、平成28年 マンション管理士試験 「問9」 を参考にしてください。



4 理事は、管理組合法人の事務に関し、区分所有者のために、原告又は被告になることができる。

X 誤っている。 区分所有者のために、原告又は被告になるのは、管理組合法人である。 理事ではない。
 平成27年 管理業務主任者試験 「問30」 、 平成26年 管理業務主任者試験 「問32」 、 平成24年 マンション管理士試験 「問8」 など。

 区分所有者のために、原告又は被告になるは、選択肢1で引用しました、区分所有法第47条8項 、
 「8 管理組合法人は、規約又は集会の決議により、その事務(第六項後段に規定する事項を含む。)に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる。」
 とあり、
 区分所有法第47条8項によれば、管理組合法人の事務に関し、区分所有者のために、原告又は被告になることができるのは、
管理組合法人であり、理事ではないため、誤りです。


答え:4

 管理組合法人での代理、代表の違いは、基本です。 易しい問題です。

《タグ》区分所有法 管理組合法人 代理 委任 保存行為 訴訟

問31

標準管理規約は、平成28年3月14日に大幅な改正があり、また、平成29年8月29日付で「民泊」で12条に改正があったので、注意のこと。


【問 31】 ともに専有部分のある建物であるA棟及びB棟の2棟からなる団地に関する次の記述のうち、マンション標準管理規約(団地型)及びマンション標準管理規約(団地型)コメント(平成28年3月31日国土動指第91号国住マ第77号。国土交通省土地・建設産業局長同住宅局長通知。)の定めによれば、最も不適切なものはどれか。

1 A棟の外壁タイル剥離の全面補修工事の実施およびそれに充てるためのA棟の各棟修繕積立金の取崩しには、A棟棟総会の決議が必要である。

X 適切でない。 各棟の修繕積立金の取崩しは、団地総会の決議でできる。 棟総会の決議は不要。
  平成27年 マンション管理士試験 「問32」 、 平成27年 管理業務主任者試験 「問32」
 
  マンションの標準管理規約には、
    @単棟型
    
A団地型
    B複合用途型
  の3つがあることは、基本です。
 団地型のマンション標準管理規約からも時々出題があるので、眼を通しておくこと。
  
  団地型のマンション標準管理規約(以下、この解説では、標準管理規約(団地型)といいます)の前提は、団地内の土地、附属施設及び団地共用部分のほか、それぞれの棟についても団地全体で一元的に管理するものとし、管理組合は団地全体のものを規定し、棟別のものは特に規定していないことです。
 この標準管理規約(団地型)の前提は、団地型の管理を理解する上で重要です。

 そこで、団地総会での決議事項は、標準管理規約(団地型)50条
  「(議決事項)
  第50条 次の各号に掲げる事項については、団地総会の決議を経なければ ならない。
   一 収支決算及び事業報告
   二 収支予算及び事業計画
   三 管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法
   四 規約(第72条第一号の場合を除く。)及び使用細則等の制定、変更 又は廃止
   五 長期修繕計画の作成又は変更
   
六 第28条第1項又は第29条第1項に定める特別の管理の実施(第7 2条第三号及び第四号の場合を除く。)並びにそれに充てるための資金 の借入れ及び団地修繕積立金又は各棟修繕積立金の取崩し
   七 第28条第2項又は第29条第2項に定める建物の建替えに係る計画 又は設計等の経費のための団地修繕積立金又は各棟修繕積立金の取崩し
   八 団地修繕積立金及び各棟修繕積立金の保管及び運用方法
   九 第21条第2項に定める管理の実施
   十 区分所有法第69条第1項の場合の建替えの承認
   十一 区分所有法第70条第1項の場合の一括建替え
   十二 役員の選任及び解任並びに役員活動費の額及び支払方法
    十三 組合管理部分に関する管理委託契約の締結
   十四 その他管理組合の業務に関する重要事項 」
 とあり、
 標準管理規約(団地型)50条6号によれば、「各棟修繕積立金の取崩し」は、
団地総会決議があればよく、A棟の外壁タイル剥離の全面補修工事の実施およびそれに充てるためのA棟の各棟修繕積立金の取崩しには、A棟棟総会の決議が必要であるは、適切ではありません。
  なお、標準管理規約(団地型)28条は、団地修繕積立金で、同29条は、各棟の修繕積立金です。


2 B棟の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査の実施及びその経費に充当するためのB棟の各棟修繕積立金の取崩しには、B棟の棟総会の決議が必要である。

〇 適切である。 建替えに係る合意形成に必要なら、これは、棟別総会が必要。
 
 棟別総会は、標準管理規約(団地型)72条
 「(議決事項)
  第72条 次の各号に掲げる事項については、
棟総会の決議を経なければならない
   一 区分所有法で団地関係に準用されていない規定に定める事項に係る規約の制定、変更又は廃止
   二 区分所有法第57条第2項、第58条第1項、第59条第1項又は第60条第1項の訴えの提起及びこれらの訴えを提起すべき者の選任
   三 建物の一部が滅失した場合の滅失した棟の共用部分の復旧
   
四 建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査の実施及びその経費に充当する場合の各棟修繕積立金の取崩し
   五 区分所有法第62条第1項の場合の建替え
   六 区分所有法第69条第7項の建物の建替えを団地内の他の建物の建替えと一括して建替え承認決議に付すこと」
 とあり、
  標準管理規約(団地型)72条4号によれば、B棟の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査の実施及びその経費に充当するためのB棟の各棟修繕積立金の取崩しには、B棟の棟総会の決議が必要であるは、適切です。



3 A棟の区分所有者Cに対し、区分所有法第59条の競売請求の訴えを提起するには、A棟の棟総会の決議が必要である。

〇 適切である。 区分所有法では、義務違反者に対する措置(第57条〜第60条)は、団地関係には準用がない。

 区分所有法第59条の競売請求の訴えの提起は、選択肢2で引用しました、標準管理規約(団地型)72条2号
 「第72条 次の各号に掲げる事項については、
棟総会の決議を経なければならない
 
二 区分所有法第57条第2項、第58条第1項、第59条第1項又は第60条第1項の訴えの提起及びこれらの訴えを提起すべき者の選任
 とあり、
 標準管理規約(団地型)72条2号によれば、区分所有法での、
  ・第57条...共同の利益に反する行為の停止等の請求
  ・第58条...使用禁止の請求、
  ・第59条...区分所有権の競売の請求
  ・第60条...占有者に対する引渡し請求
  では、訴えの提起には、棟での総会の決議が必要ですから、適切です。

 これは、区分所有法で、義務違反者に対する措置を、団地関係の準用から外したためです。その理由は、義務違反者の事情は、同じ棟の区分所有者たちがよく知っているという発想のようです。



4 B棟の建物の一部が滅失した場合、その共用部分を復旧するには、B棟の棟総会の決議が必要である。

〇 適切である。 復旧は、1棟の建物の問題に関する条項で、団地関係には準用されない。


 復旧は、選択肢2で引用しました、標準管理規約(団地型)72条3号
 「第72条 次の各号に掲げる事項については、
棟総会の決議を経なければならない
 
三 建物の一部が滅失した場合の滅失した棟の共用部分の復旧
 とあり、
 標準管理規約(団地型)72条3号によれば、B棟の建物の一部が滅失した場合、その共用部分を復旧するには、B棟の棟総会の決議が必要であるは、適切です。

 復旧(小規模滅失、大規模滅失)も、区分所有法では、団地関係には準用されていませんから、標準管理規約(団地型)でも、棟総会の決議事項としています。当然費用負担も各棟で負担します。



答え:1

 
 標準管理規約(団地型)にしても、標準管理規約(単棟型)にしても、その元は区分所有法であることに、注意してください。
  あくまでも、標準管理規約は、マンション管理の目安として、国土交通省の役人が作成したものです。
  参考資料であり、決して法律ではないということです。

  少し、難しいか。

《タグ》標準管理規約(団地型) 総会決議事項 棟総会決議事項 義務違反者に対する措置 復旧

問32

注:標準管理規約(単棟型)は以下、当解説では、「単棟型」を略して、「標準管理規約」といいます。

  標準管理規約は、平成28年3月14日に大幅な改正があり、また、平成29年8月29日付で「民泊」で12条に改正があったので、注意のこと。


【問 32】 次の記述のうち、標準管理規約の定めによれば、理事長がその職務を行うにつき、理事会の承認又は決議を必要としないものはどれか。

1 管理組合の業務の遂行に際し、職員を採用し、又は解雇すること

X 理事会の承認が必要。 理事長が単独ではできない。
  平成24年 マンション管理士試験 「問29」 
 
 理事長の職務は、標準管理規約38条
 「(理事長)
 第38条 理事長は、管理組合を代表し、その業務を統括するほか、次の各号に掲げる業務を遂行する。
   一 規約、使用細則等又は総会若しくは理事会の決議により、理事長の職務として定められた事項
   
二 理事会の承認を得て、職員を採用し、又は解雇すること
2 理事長は、区分所有法に定める管理者とする。
3 理事長は、通常総会において、組合員に対し、前会計年度における管理組合の業務の執行に関する報告をしなければならない。
4 理事長は、○か月に1回以上、職務の執行の状況を理事会に報告しなければならない。
5 理事長は、理事会の承認を受けて、他の理事に、その職務の一部を委任することができる。
6 管理組合と理事長との利益が相反する事項については、理事長は、代表権を有しない。この場合においては、監事又は理事長以外の理事が管理組 を代表する。」
 とあり、
  標準管理規約38条1項2号によれば、
理事会の承認を得て、職員を採用し、又は解雇することとあるため、理事長は単独ではできません。


2 他の理事に、その職務の一部を委任すること

X 理事会の承認が必要。 理事長が単独ではできない。
  平成29年 マンション管理士試験 「問31」 

 設問は、選択肢1で引用しました、標準管理規約38条5項
 「5
理事長は、理事会の承認を受けて、他の理事に、その職務の一部を委任することができる。」
 とあり、
 標準管理規約38条5項によれば、他の理事に、その職務の一部を委任することは、
理事会の承認が必要です。理事長が単独ではできません。


3 組合員の総会招集請求権に基づき、適正な手続を経て臨時総会の招集を請求された場合に、その招集通知を発すること

〇 理事長は単独でできる。

 組合員の総会招集請求権に基づき、適正な手続を経て臨時総会の招集を請求された場合とは、具体的には、標準管理規約44条
 「(組合員の総会招集権)
  第44条 組合員が組合員総数の5分の1以上及び第46条第1項に定める議決権総数の5分の1以上に当たる組合員の同意を得て、会議の目的を示 して総会の招集を請求した場合には、
理事長は、2週間以内にその請求があった日から4週間以内の日(会議の目的が建替え決議又はマンション敷地売却決議であるときは、2か月と2週間以内の日)を会日とする臨時総会の招集の通知を発しなければならない
2 理事長が前項の通知を発しない場合には、前項の請求をした組合員は、 臨時総会を招集することができる。」
 のことです。
 そこで、標準管理規約44条1項によれば、組合員の総会招集請求権に基づき、適正な手続を経て臨時総会の招集を請求された場合に、その招集通知を発することは、
理事長が単独でできます。理事会の承認は不要です。


4 組合員から、その専有部分について、共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのある修繕等の工事を行う旨の申請があった場合、当該申請に対し承認すること

X 理事会の承認が必要。 理事長が単独ではできない。

  平成29年 マンション管理士試験 「問25」 、 平成28年 マンション管理士試験 「問26」 

 専有部分の修理は、標準管理規約17条、
 「(専有部分の修繕等)
 第17条 区分所有者は、その専有部分について、修繕、模様替え又は建物に定着する物件の取付け若しくは取替え(以下「修繕等」という。)であって
共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのあるものを行おうとするときは、あらかじめ、理事長(第35条に定める理事長をいう。以 下同じ。)にその旨を申請し、書面による承認を受けなければならない。
2 前項の場合において、区分所有者は、設計図、仕様書及び工程表を添付 した申請書を理事長に提出しなければならない。
3 理事長は、第1項の規定による申請について、理事会(第51条に定める理事会をいう。以下同じ。)の決議により、その承認又は不承認を決定 しなければならない
4 第1項の承認があったときは、区分所有者は、承認の範囲内において、専有部分の修繕等に係る共用部分の工事を行うことができる。
5 理事長又はその指定を受けた者は、本条の施行に必要な範囲内において、修繕等の箇所に立ち入り、必要な調査を行うことができる。この場合にお いて、区分所有者は、正当な理由がなければこれを拒否してはならない。
6 第1項の承認を受けた修繕等の工事後に、当該工事により共用部分又は 他の専有部分に影響が生じた場合は、当該工事を発注した区分所有者の責任と負担により必要な措置をとらなければならない。
7 区分所有者は、第1項の承認を要しない修繕等のうち、工事業者の立入 り、工事の資機材の搬入、工事の騒音、振動、臭気等工事の実施中における共用部分又は他の専有部分への影響について管理組合が事前に把握する必要があるものを行おうとするときは、あらかじめ、理事長にその旨を届け出なければならない。」
 とあり、
 標準管理規約17条1項及び3項によれば、組合員から、その専有部分について、共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのある修繕等の工事を行う旨の申請があった場合、当該申請に対し承認することは、
理事会の決議が必要です。理事長が単独ではできません。

 なお、 標準管理規約17条は、平成28年3月での改正があった箇所です。
 また、1項の「であって共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのあるもの」は、平成28年3月での改正で追加された文章です。



答え:3 

 選択肢3は、「組合員の総会招集請求権」と纏めて言わず、もっと詳細に標準管理規約44条に記載されている文章が欲しいところです。

 少し、難しい。

《タグ》標準管理規約 理事長の単独行為 理事会の承認事項 職員の採用 業務の委任 組合員からの総会招集 専有部分の修繕

問33

注:標準管理規約(単棟型」)は以下、当解説では、「単棟型」を略して、「標準管理規約」といいます。

  標準管理規約は、平成28年3月14日に大幅な改正があり、また、平成29年8月29日付で「民泊」で12条に改正があったので、注意のこと。


【問 33】 管理組合の役員の職務に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、最も不適切なものはどれか。

1 会計担当理事は、管理費等の収納、保管、運用、支出等の会計業務を行う。

〇 適切である。 
  平成27年 管理業務主任者試験 「問13」  、 平成26年 マンション管理士試験 「問29」 

 管理組合の理事の職務は、標準管理規約40条
 「(理事)
 第40条 理事は、理事会を構成し、理事会の定めるところに従い、管理組 合の業務を担当する。
2 理事は、管理組合に著しい損害を及ぼすおそれのある事実があることを 発見したときは、直ちに、当該事実を監事に報告しなければならない。
会計担当理事は、管理費等の収納、保管、運用、支出等の会計業務を行 う。 」
 とあり、
 標準管理規約40条3項によれば、会計担当理事は、管理費等の収納、保管、運用、支出等の会計業務を行うは、適切です。



2 理事長は、管理組合が締結した共用部分等に関する損害保険契約に基づく保険金額の請求及び受領について、区分所有者を代理する。

〇 適切である。

 損害保険は、標準管理規約24条
 「(損害保険)
  第24条 区分所有者は、共用部分等に関し、管理組合が火災保険、
地震保険その他の損害保険の契約を締結することを承認する。
2 理事長は、前項の契約に基づく保険金額の請求及び受領について、区分所有者を代理する。」
 とあり、
  標準管理規約24条1項及び2項によれば、理事長は、管理組合が締結した共用部分等に関する損害保険契約に基づく保険金額の請求及び受領について、区分所有者を代理するは、適切です。

 なお、平成28年3月の改正で、標準管理規約24条1項に「地震保険」が追加されています。

 地震保険については、 「問43」 を参考にしてください。

 どうして、理事長に保険金の請求や受領に代理権があると当然なような規定があるかは、「超解説 区分所有法」 の第26条の解説を読んでください。


3 理事長は、その責任と権限の範囲内において、専門委員会を設置し、特定の課題を調査又は検討させ、その結果を具申させることができる。

X 適切でない。 専門委員会の設置は、理事会の決議事項。 理事長が単独ではできない。

  平成28年 マンション管理士試験 「問33」

 専門委員会の設置は、標準管理規約55条
 「(専門委員会の設置)
 第55条
理事会は、その責任と権限の範囲内において、専門委員会を設置 し、特定の課題を調査又は検討させることができる
2 専門委員会は、調査又は検討した結果を理事会に具申する。 」
 とあり、
 標準管理規約55条1項によれば、専門委員会の設置には、
理事会の決議が必要で、また、標準管理規約55条2項によれば、専門委員会が調査又は検討した結果の報告も、理事会に対して具申しますから、理事長は、その責任と権限の範囲内において、専門委員会を設置し、特定の課題を調査又は検討させ、その結果を具申させることができるは、適切ではありません。


4 大規模な災害や突発的な被災では、理事会の開催も困難な場合があることから、そのような場合には、保存行為に限らず、応急的な修繕行為の実施まで理事長単独で判断し実施することができる旨を、規約において定めることもできる。

〇 適切である。 
 
 災害での設問に関係しているのは、標準管理規約21条 
 「(敷地及び共用部分等の管理)
 第21条 敷地及び共用部分等の管理については、管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとする。ただし、バルコニー等の保存行為(区 分所有法第18条第1項ただし書の「保存行為」をいう。以下同じ。)のうち、通常の使用に伴うものについては、専用使用権を有する者がその責任と負担においてこれを行わなければならない。
2 専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分の管理を 共用部分の管理と一体として行う必要があるときは、管理組合がこれを行 うことができる。
3 区分所有者は、第1項ただし書の場合又はあらかじめ理事長に申請して書面による承認を受けた場合を除き、敷地及び共用部分等の保存行為を行 うことができない。ただし、専有部分の使用に支障が生じている場合に、 当該専有部分を所有する区分所有者が行う保存行為の実施が、緊急を要するものであるときは、この限りでない。
4 前項の申請及び承認の手続については、第17条第2項、第3項、第5項及び第6項の規定を準用する。ただし、同条第5項中「修繕等」とある のは「保存行為」と、同条第6項中「第1項の承認を受けた修繕等の工事後に、当該工事」とあるのは「第21条第3項の承認を受けた保存行為後に、当該保存行為」と読み替えるものとする。
5 第3項の規定に違反して保存行為を行った場合には、当該保存行為に要した費用は、当該保存行為を行った区分所有者が負担する。
6 理事長は、災害等の緊急時においては、総会又は理事会の決議によらずに、敷地及び共用部分等の必要な保存行為を行うことができる。 」
 とあり、
 標準管理規約21条6項についてのコメントJ:
 J 災害等の緊急時において、保存行為を超える応急的な修繕行為の実施が必要であるが、総会の開催が困難である場合には、理事会においてその実施を決定することができることとしている(第54条第1項第十号及びコ メント第54条関係@を参照。)。
 しかし、
大規模な災害や突発的な被災では、理事会の開催も困難な場合があることから、そのような場合には、保存行為に限らず、応急的な修繕行為の実施まで理事長単独で判断し実施することができる旨を、規約において定めることも考えられる
 更に、理事長をはじめとする役員が対応できない事態に備え、あらかじめ定められた方法により選任された区分所有者等の判断により保存行為や応急的な修繕行為を実施することができる旨を、規約において定めることも考えられる。なお、理事長等が単独で判断し実施することができる保存行為や応急的な修繕行為に要する費用の限度額について、予め定めておくことも考えられる。」
 とあり、
 標準管理規約21条6項についてのコメントJによれば、大規模な災害や突発的な被災では、理事会の開催も困難な場合があることから、そのような場合には、保存行為に限らず、応急的な修繕行為の実施まで理事長単独で判断し実施することができる旨を、規約において定めることもできるは、適切です。
 
 しかし、そこまで規定できる管理組合が存在するのでしょうか? 理念だけを提示されても・・・



答え: 3

 選択肢4は、平成28年3月に大幅に改正のあった標準管理規約21条とその”コメント”からの出題で、適切とは言い難いが、答えとして選択肢3は易しい。

《タグ》標準管理規約 理事の職務 理事長の代理権 専門委員会の設置 災害時の対応

問34

【問 34】 区分所有法の規定によれば、規約による建物の敷地に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 区分所有者が建物及び建物が所在する土地と一体として管理又は使用をする庭、通路その他の土地は、規約により建物の敷地とすることができる。

〇 正しい。 規約敷地である。
  平成28年 マンション管理士試験 「問7」 、 平成27年 マンション管理士試験 「問1」 、 平成26年 管理業務主任者試験 「問34」 、 平成25年 マンション管理士試験 「問1」 、 平成22年 マンション管理士試験 「問18」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問1」  

 マンションの敷地には、
 @
法定敷地...実際に建物が建っている(所在する)土地 と
 A
規約敷地...実際には建物は建っていないが、規約で、建物の敷地としたもの。別途に登記された庭・通路・駐車場・遊園地・テニスコートなど
 があります。


 

 規約でその建物の敷地とすることにより、区分所有法が適用され建物の専有部分と分離処分ができなくなります。
 規約敷地としない時は、民法の適用となります。


 その規定が、区分所有法第5条
 「(規約による建物の敷地)
第五条 
区分所有者が建物及び建物が所在する土地と一体として管理又は使用をする庭、通路その他の土地は、規約により建物の敷地とすることができる。
2 建物が所在する土地が建物の一部の滅失により建物が所在する土地以外の土地となつたときは、その土地は、前項の規定により規約で建物の敷地と定められたものとみなす。建物が所在する土地の一部が分割により建物が所在する土地以外の土地となつたときも、同様とする。」

 とあり、
 区分所有法第5条1項によれば、区分所有者が建物及び建物が所在する土地と一体として管理又は使用をする庭、通路その他の土地は、規約により建物の敷地とすることができるは、正しい。



2 建物が所在する土地が建物の一部の減失により建物が所在する土地以外の土地となったときは、その土地は、規約で建物の敷地と定められたものとみなされる。

〇 正しい。 この状況なら、規約がなくても規約敷地になっている。 みなし規約敷地。
  平成26年 管理業務主任者試験 「問34」 、 平成26年マンション管理士試験 「問26」平成24年マンション管理士試験 「問10」

  この分かり難い文章は、選択肢1で引用しました、区分所有法第5条2項
 「
2 建物が所在する土地が建物の一部の滅失により建物が所在する土地以外の土地となつたときは、その土地は、前項の規定により規約で建物の敷地と定められたものとみなす。建物が所在する土地の一部が分割により建物が所在する土地以外の土地となつたときも、同様とする。」
 とあります。

 区分所有法第5条2項の前半の、「建物が所在する土地が建物の一部の滅失により建物が所在する土地以外の土地となつたとき」とは、
 法定敷地であるAB二筆の土地にまたがって建っている建物があり、B地に所在する建物部分が、地震や災害など何らかの事情で全部滅失してしまった場合のような状態を想定しています。

 そして、区分所有法第5条2項の後半の、「建物が所在する土地の一部が分割により建物が所在する土地以外の土地となつたとき」とは、
 法定敷地であるA土地に建っている建物があり、余り現実では考え難いのですが、何らかの事情でAがA−1とA−2に分割(分筆とも)され、A−2には建物が無い状態です。

  このように建物が土地の上にない、つまり法定敷地でなくなった、2つの状態になっても、法定敷地に準じた規約敷地(”みなし”ですが)として扱うことにしています。

 この規定がないと、区分所有法で折角、土地と建物とを一体化した原則が、その後の一部滅失などで崩れてしまい、土地だけ別の所有者が現われる可能性があり、これでは、その後の復旧や建替えも困難になります。
 また、土地の上に建物がなくなったので、区分所有法で定める法定の敷地でなくなります。すると、第三者からはマンションの敷地でないと認識されてトラブルが発生するかもしれないので、それに”準じた規約敷地”とみなして対応するということです。



 

 なお、「みなす」とは、Aは本来Bではないが、法律的に同一とすることです。法律上当然になり、この「みなす」により、いかなる反論もできなくなります。
 参考:推定する...当事者が反証できれば効果がなくなる。

 そこで、設問に戻りますと、
  区分所有法第5条2項の前半により、「建物が所在する土地が建物の一部の減失により建物が所在する土地以外の土地となったときは、その土地は、規約で建物の敷地と定められたものとみなされる」は、正しい。



3 建物が所在する土地の一部が分割により建物が所在する土地以外の土地となったときは、その土地は、規約で建物の敷地と定められたものとみなされる。

〇 正しい。 この場合も、みなし規約敷地である。
 
 設問は、選択肢2で説明しました、区分所有法第5条2項の後半「建物が所在する土地の一部が分割により建物が所在する土地以外の土地となつたときも、同様とする。」により、正しい。


4 建物が所在する土地に隣接する土地を、当該建物の区分所有者全員が取得したときは、その土地は、規約で建物の敷地と定められたものとみなされる。

X 誤っている。 こんな規定はない。

 選択肢2で説明しましたように、「みなし敷地」であるためには、区分所有法第5条2項の要件を満たす必要があります。
 設問の「建物が所在する土地に隣接する土地を、当該建物の区分所有者全員が取得したときは、その土地は、規約で建物の敷地と定められたものとみなされる」では、”みなす”という要件に該当せず、規定がないため、誤りです。

 では、新しくマンションに隣接する土地を、区分所有者が全員で取得して、そのマンションの敷地としたい時は、どんなアクションが必要でしょうか?



答え:4

 分かり難い「規約敷地」、「みなし規約敷地」で、時間をかけて説明しました。

 少し難しい。

 この出題だけでなく、区分所有法については、 「マンション管理士 香川事務所」 が無料で提供しています、「超解説 区分所有法」 で勉強してください。

《タグ》区分所有法 法定敷地 規約敷地 みなし規約敷地 

問35

【問 35】 区分所有法第7条に規定される先取特権に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 区分所有者は、共用部分、建物の敷地又は共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。

〇 正しい。
  平成28年 マンション管理士試験 「問3」 、 平成27年 管理業務主任者試験 「問38」 、 平成27年 管理業務主任者試験 「問2」 
 先取特権からの出題も多い。 平成27年 マンション管理士試験 「問26」 、 平成27年 管理業務主任者試験 「問2」 、平成25年 管理業務主任者試験 「問2」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問3」 、 平成17年 マンション管理士試験 「問6」 なども。

 まず、先取特権とは、民法第303条に、次のように規定され、
 「
(先取特権の内容)
 第三百三条  
先取特権者は、この法律その他の法律の規定に従い、その債務者の財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

 とあり、
 民法で定められた、10種の物権の一つです。
 抵当権と同様に担保物の価値で債権(財産権の1つ)を担保する方法の一つで、担保される債務の履行がないときに担保権を実行(民事執行法に基づく競売)して債権を他の債権者より優先的に回収することができます。他の債権者よりも先に債務を支払ってもらえることが特権たる所以です。


 そこで、区分所有法でも、区分所有法第7条
 「
(先取特権)
 第七条 区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権についても、同様とする。
2 前項の先取特権は、優先権の順位及び効力については、共益費用の先取特権とみなす。
3 民法(明治二十九年法律第八十九号)第三百十九条の規定は、第一項の先取特権に準用する。」

 とあります。


  区分所有関係によって生じた区分所有者間の債権なら、民法で規定される先取特権の制度を適用して、一般の債権の回収よりも優先してできると強い保護を与えた規定です。
 この区分所有法での先取特権をうけられる被担保債権は、
  @区分所有者が、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権、
  A規約又は集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権です。
  @の債権は保存行為等で個人の区分所有者が立替えた現在の債権をいい、
  Aの債権は管理費・修繕積立金・義務違反者の違約金等団体としての区分所有者の全員が共同して(または管理組合が)有する債権をいうとするのが一般のようです。


 設問は、区分所有法第7条1項の前半、
 「
区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。」
 とあり、
 区分所有法第7条1項によれば、区分所有者は、共用部分、建物の敷地又は共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有するは、正しい。



2 区分所有者は、規約又は集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。

〇 正しい。

 選択肢1で引用しました、区分所有法第7条1項
 
区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権についても、同様とする。」
 とあり、
 区分所有法第7条1項によれば、区分所有者は、規約又は集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有するは、正しい。



3 管理者又は管理組合法人は、その職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。

〇 正しい。
 
 設問は、選択肢1で引用しました、区分所有法第7条1項
 「 
区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権についても、同様とする。」
 とあり、
 管理者又は管理組合法人は、その職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有するは、正しい。



4 区分所有法第7条に規定される先取特権は、優先権の順位、効力及び目的物については、民法に規定される共益費用の先取特権とみなされる。

X 誤っている。 優先権の順位及び効力については、民法の共益費用の先取特権とみなされるが、区分所有法では、目的物は、区分所有権と動産である。 共益費用のように総財産ではない。
  平成28年 マンション管理士試験 「問3」 、 平成19年 マンション管理士試験 「問4」 

 設問は、選択肢1で引用しました、区分所有法第7条2項
 「
2 前項の先取特権は、優先権の順位及び効力については、共益費用の先取特権とみなす。
 とあり、
 区分所有法第7条2項によれば、区分所有法の先取特権は、優先権の順位及び効力については、民法に規定される共益費用の先取特権とみなされるのは正しいのですが、区分所有法の先取特権の、「目的物」は、
 @債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。) 及び
 A建物に備え付けた動産であり、
 民法の共益の費用での目的物=債務者の総財産 ではないため、誤りです。 


 なお、先取特権には、
  @一般の先取特権
  A動産の先取特権
  B不動産の先取特権
 の3種があります。
 そして、一般の先取特権とは、民法第306条にあります。
 「(一般の先取特権)
 第三百六条  次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、
債務者の総財産について先取特権を有する
   
一  共益の費用
   二  雇用関係
   三  葬式の費用
   四  日用品の供給」
 です。 
  民法での共益の費用(共益費用)における目的物は”債務者の総財産”ですが、区分所有法での先取特権での目的物は、”債務者の区分所有権および建物に備え付けた動産”です。



答え:4

 先取特権も、出題が多くなってきている。ここは、民法も押さえておくこと。

 選択肢4の「目的物」は、民法を知っていないと、難しい。

《タグ》区分所有法 民法 先取特権 範囲 

問36

【問 36】 専有部分と敷地利用権との分離処分等に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、規約に別段の定めがない限り、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。

〇 正しい。 建物の専有部分と敷地利用権の分離処分は、原則としてできない。

  平成27年 マンション管理士試験 「問8」 、平成27年 マンション管理士試験 「問1」 、平成26年マンション管理士試験 「問2」 平成26年管理業務主任者試験 「問34」 、 平成25年マンション管理士試験 「問1」 、平成19年管理業務主任者試験 「問35」

 専有部分とか敷地利用権の説明は、もう省きます。 


 

 専有部分と敷地利用権との分離処分なら、区分所有法第22条
 「
(分離処分の禁止)
 第二十二条 
敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。
2 前項本文の場合において、区分所有者が数個の専有部分を所有するときは、各専有部分に係る敷地利用権の割合は、第十四条第一項から第三項までに定める割合による。ただし、規約でこの割合と異なる割合が定められているときは、その割合による。
3 前二項の規定は、建物の専有部分の全部を所有する者の敷地利用権が単独で有する所有権その他の権利である場合に準用する。」

 とあり、
 区分所有法第22条1項によれば、敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、規約に別段の定めがない限り、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができないは、正しい。

 なお、専有部分と敷地利用権を別々に”処分”できない例は、
  ・譲渡
  ・抵当権の設定
  ・質権の設定
  ・遺贈
  ・差押え、仮差押え
  などが考えられます。賃貸に出すのは、ここには該当しません。



2 敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合、規約の定めに違反した専有部分又は敷地利用権の分離処分については、当該処分の前に、不動産登記法の定めるところにより分離して処分することができない専有部分及び敷地利用権であることを登記していたときは、当該規約の定めを知らなかった相手方に対して、その処分の無効を主張することができる。

〇 正しい。 登記されていると、分離処分の禁止を知らなくても、その処分は無効である。

  平成26年 マンション管理士試験 「問7」

 設問がかなりくどくて分かり難いのですが、これは、区分所有法第23条
 
「(分離処分の無効の主張の制限)
 第二十三条 
前条第一項本文(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反する専有部分又は敷地利用権の処分については、その無効を善意の相手方に主張することができない。ただし、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)の定めるところにより分離して処分することができない専有部分及び敷地利用権であることを登記した後に、その処分がされたときは、この限りでない。

 とあり、
 前条とは、選択肢1で引用しています、区分所有法第22条で「専有部分と敷地利用権の分離処分を禁じた」ものです。
 また、
 善意とは...ある事実を知らないこと。(反対語:悪意...ある事実を知っていること)
 無効を主張することができない...分離処分ができないことを知らなかった人(善意)には、その行為は有効となり分離処分ができる。ただし、敷地利用権として登記(敷地権となる)されている場合は、知らなくて別々に処分しても無効である
 ということです。


 そこで、区分所有法第22条での「専有部分と敷地利用権の分離処分の禁止」は、規約で分離処分を認めるなど別段の定めができますから、設問の「規約の定めに違反した専有部分又は敷地利用権の分離処分」のように、面倒な言い方になっています。
この設問は、纏めますと、「専有部分と敷地利用権との分離処分を禁止すると登記されているのに、それを知らなかったという人が、専有部分と敷地利用権を別々に処分したら、どうなりますか? 有効ですか、無効ですか?」ということです。

 区分所有法第23条によれば、専有部分と敷地利用権の分離処分の禁止は、他の
民法での規定と異なり、特別な区分所有法による取り決めだから、それを知らない人には、専有部分と敷地利用権の分離処分を認めます。しかし、専有部分と敷地利用権の分離処分の禁止が登記簿に登記されていれば(登記簿上「敷地権」と登記されます)、もう専有部分と敷地利用権の分離処分の禁止を知らなかったといっても、そこまで保護することはないだろうという規定です。

 そこで、区分所有法第23条によれば、敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合、規約の定めに違反した専有部分又は敷地利用権の分離処分については、当該処分の前に、不動産登記法の定めるところにより分離して処分することができない専有部分及び敷地利用権であることを登記していたときは、当該規約の定めを知らなかった相手方に対して、その処分の無効を主張することができるは、正しい。

 新しく、区分所有法を勉強している人は、設問に対して、当然だと思うでしょうが、これは、民法での不動産”土地と建物は別々に処分できる”の関係、登記簿の機能を追及していくと、理解も深まりますよ。



3 敷地利用権が借地権であるマンションにおいて、区分所有者の一人が借地料を滞納し、当該区分所有者と土地所有者との借地契約が解除された場合には、その区分所有者の敷地利用権は消滅する。

〇正しい。 敷地利用権が借地権なら、借地契約が解除された場合には、その敷地利用権は消滅する。

 区分所有法での敷地利用権の形態としては、民法等の規定を受け、
  @所有権、
  A地上権、
  B賃借権(地上権、賃借権を総称して
借地権といいます。参照:借地借家法;第2条1号)、
  C使用借権(無償使用で現実にはありえません。) 
 の4種類があります。
 そこで、敷地利用権が借地権であるマンションにおいて、区分所有者の一人が借地料を滞納すると、債務不履行となりこれは、民法第541条
 「(
履行遅滞等による解除権)
 第五百四十一条 
当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。」

 とあり、
 土地所有者(地主)は、該当の区分所有者との借地契約を解除できますから、その区分所有者の敷地利用権は消滅するは、正しい。

 では、敷地利用権が無くなったマンションの専有部分は、どうなるのでしょうか?

 それが、下の選択肢4です。



4  敷地利用権を有しない専有部分の所有者があるときは、その者は、敷地の所有者に対して、それぞれの敷地利用権の持分の割合に応じて、敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。  

X 誤っている。 区分所有法では、専有部分の収去を請求する権利を有する者から区分所有権を売り渡せと請求する。 専有部分の所有者からの敷地利用権売り渡し請求ではない。

  平成26年 マンション管理士試験 「問7」 、 平成25年 マンション管理士試験 「問7」 、 平成18年 管理業務主任者試験 「問38」 

  選択肢3にように、土地に対する権利(敷地利用権)が無くなった建物の専有部分は、民法では土地の不法占拠として扱われます。

 そこで、区分所有法第10条
 「
(区分所有権売渡請求権)
 第十条 
敷地利用権を有しない区分所有者があるときは、その専有部分の収去を請求する権利を有する者は、その区分所有者に対し、区分所有権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。」

 とあり、
 区分所有法第10条によれば、敷地利用権がない区分所有者に対して、専有部分の収去を請求する権利を有する者(敷地利用権だけの譲渡を受けた人、借地契約が滞納などで解除された時の賃貸人など)は、その区分所有者に対して、区分所有権を時価で売り渡すべきことを請求することができますから、敷地利用権を有しない専有部分の所有者があるときは、その者は、敷地の所有者に対して、それぞれの敷地利用権の持分の割合に応じて、敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求することができるは、誤りです。



答え:4

   かなり難しいが、敷地利用権についての、いい設問です。 解説に、約5時間と時間がかかります。

  選択肢3のように、敷地利用権が借地権の場合、滞納で地主から借地契約を解除されるのは、良いのですが、現実には、地主と区分所有者の間に管理組合が入っていて、賃料の支払いは、管理組合が代行しており、支払の請求先などの問題があります。

  さらに、当初の区分所有者が転売していても、新区分所有者が地主と契約をしないことも多く、転貸借との関係も発生します。
  検討課題です。

《タグ》区分所有法 民法 敷地利用権 分離処分の禁止 借地権 滞納 区分所有権の売り渡し請求

問37

〔【問 37】 集会の招集及び決議に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、規約に別段の定めはないものとする。

1 管理者を解任するには、集会において区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による決議が必要である。

X 誤っている。 管理者の解任は、区分所有者及び議決権の各過半数できる。 区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数は不要。

 平成29年 マンション管理士試験 「問8」 、 平成28年 管理業務主任者試験 「問33」 平成26年 マンション管理士試験 「問4」、 平成25年 マンション管理士試験 「問5」 など 


 管理者の解任は、区分所有法第25条
 「
(選任及び解任)
 第二十五条 
区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によつて、管理者を選任し、又は解任することができる。
2 管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるときは、各区分所有者は、その解任を裁判所に請求することができる。」

 とあり、
 区分所有法第25条1項により、別段の定めがないとのことで、区分所有者は、集会の決議によつて、管理者を選任し、又は解任することができます。
 その際の区分所有者及び議決権は、区分所有法第39条
 「(議事)
 第三十九条 
集会の議事は、この法律又は規約に別段の定めがない限り、区分所有者及び議決権の各過半数で決する。
2 議決権は、書面で、又は代理人によつて行使することができる。
3 区分所有者は、規約又は集会の決議により、前項の規定による書面による議決権の行使に代えて、電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)によつて議決権を行使することができる。」

  とあり、
 ここも、規約での別段を定めていないとのことですから、区分所有法第25条及び同第39条1項によれば、管理者を解任するには、集会において区分所有者及び議決権の
各過半数でできますから、集会において区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による決議が必要であるは、誤りです。

 この集会による解任では、管理者の解任に対する承諾は不要で、また任期の途中であっても、管理者は解任できます。



2 共用部分の変更で、その形状又は効用の著しい変更を伴わないものについては、集会において区分所有者及び議決権の各過半数による決議が必要である。

〇 正しい。 共用部分の軽微な変更は、集会において区分所有者及び議決権の各過半数による決議でいい。
 平成28年 管理業務主任者試験 「問33」 、 平成27年 マンション管理士試験 「問25」、  平成26年 管理業務主任者試験 「問38」 、 平成25年 マンション管理士試験 「問5」 、平成23年 管理業務主任者試験 「問35」 、 平成16年 管理業務主任者試験 「問32」

  大体、出題者は、分かり難い条文からの出題が大好きで、ここもその1つです。
 
  区分所有法では、共用部分の変更として、その文章がかなり分かり難いのですが、変更の程度によって以下の2つに分けています。
   ・ 「その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの」..
.軽微の変更
   ・ 「その形状又は効用の著しい変更を伴うもの」...
重大変更 です。
 
  「その形状又は効用の著しい変更」なんて判断基準は、あってなきがごとくですが、それに該当するか否かで適用される条文は異なります。

 そこで、まず区分所有法第17条
 
「(共用部分の変更)
 第十七条 
共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。
2 前項の場合において、共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない。」

 とあり、
 区分所有法第17条1項によれば、「その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く」つまり、「その形状又は効用の著しい変更を伴うもの=重大変更」ならば、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議が必要ということです。

 では、設問の「共用部分の変更で、その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの=軽微の変更」ならば、今度は、区分所有法第18条
 「(共用部分の管理)
 第十八条 
共用部分の管理に関する事項は、前条の場合を除いて、集会の決議で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。
2 前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。
3 前条第二項の規定は、第一項本文の場合に準用する。
4 共用部分につき損害保険契約をすることは、共用部分の管理に関する事項とみなす。」

 とあり、
 区分所有法第18条1項によれば、「前条の場合を除いて、集会の決議で決する」とありますから、「前条は、区分所有法第17条で「重大変更」」を指し、「共用部分の変更で、その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの=軽微の変更」は、選択肢1で引用しました、区分所有法第39条1項により、この集会の普通決議、「区分所有者及び議決権の各過半数による決議」で可能ですから、共用部分の変更で、その形状又は効用の著しい変更を伴わないものについては、集会において区分所有者及び議決権の各過半数による決議が必要であるは、正しい。


 


3 集会の招集手続を省略して集会を開くには、区分所有者全員の同意が必要である。

〇 正しい。 区分所有者全員の同意があれば、集会の招集手続を省略して集会を開ける。
  平成25年 マンション管理士試験 問7」 、 平成24年 管理業務主任者試験 「問38」 、 平成22年 マンション管理士試験 「問8」

 設問は、区分所有法第36条
 「
(招集手続の省略)
 第三十六条 
集会は、区分所有者全員の同意があるときは、招集の手続を経ないで開くことができる。

 とあり、
 区分所有法第36条によれば、集会の招集手続を省略して集会を開くには、区分所有者全員の同意が必要であるは正しい。
 
 必要なのは、区分所有者全員の同意です。



4 規約を変更するには、集会において区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による決議が必要であり、この場合において、当該変更が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾が必要である。

〇 正しい。 規約の変更は要件が厳しい。

 平成28年 管理業務主任者試験 「問34」 、平成27年 管理業務主任者試験 「問29」 、 平成26年 管理業務主任者試験 「問35」 、平成26年 マンション管理士試験 「問10」 、平成25年 マンション管理士試験 「問5」 など 多い。

 規約の変更は、区分所有法第31条
 
「(規約の設定、変更及び廃止)
 第三十一条 
規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議によつてする。この場合において、規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない
2 前条第二項に規定する事項についての区分所有者全員の規約の設定、変更又は廃止は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者の四分の一を超える者又はその議決権の四分の一を超える議決権を有する者が反対したときは、することができない。」

 とあり、
  区分所有法第31条1項によれば、規約を変更するには、集会において区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による決議が必要であり、この場合において、当該変更が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾が必要であるは、正しい。

 
 


答え:1
 
 
解説は細かくしましたが、設問は、条文のとうりで、易しい。

《タグ》区分所有法 集会の決議 共用部分の変更 軽微な変更 招集手続きの省略 規約の変更

問38

【問 38】 管理組合法人に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 管理組合法人の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。

〇 正しい。 管理組合法人の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。
  平成25年 管理業務主任者試験 「問36」 、平成24年 マンション管理士試験 「問8」 

  法人は、「問30」 も参考に。

  まず、法人の規定は、区分所有法第47条
 「
(成立等)
 第四十七条 第三条に規定する団体は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で法人となる旨並びにその名称及び事務所を定め、かつ、その主たる事務所の所在地において登記をすることによつて法人となる。
2 前項の規定による法人は、
管理組合法人と称する
3 この法律に規定するもののほか、管理組合法人の登記に関して必要な事項は、政令で定める。
4 管理組合法人に関して登記すべき事項は、登記した後でなければ、第三者に対抗することができない。
5 管理組合法人の成立前の集会の決議、規約及び管理者の職務の範囲内の行為は、管理組合法人につき効力を生ずる。
6 管理組合法人は、その事務に関し、区分所有者を代理する。第十八条第四項(第二十一条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様とする。
7 管理組合法人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
8 管理組合法人は、規約又は集会の決議により、その事務(第六項後段に規定する事項を含む。)に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる。
9 管理組合法人は、前項の規約により原告又は被告となつたときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならない。この場合においては、第三十五条第二項から第四項までの規定を準用する。
10 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第四条及び第七十八条の規定は管理組合法人に、破産法(平成十六年法律第七十五号)第十六条第二項の規定は存立中の管理組合法人に準用する
11 第四節及び第三十三条第一項ただし書(第四十二条第五項及び第四十五条第四項において準用する場合を含む。)の規定は、管理組合法人には、適用しない。
12 管理組合法人について、第三十三条第一項本文(第四十二条第五項及び第四十五条第四項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定を適用する場合には第三十三条第一項本文中「管理者が」とあるのは「理事が管理組合法人の事務所において」と、第三十四条第一項から第三項まで及び第五項、第三十五条第三項、第四十一条並びに第四十三条の規定を適用する場合にはこれらの規定中「管理者」とあるのは「理事」とする。
13 管理組合法人は、法人税法(昭和四十年法律第三十四号)その他法人税に関する法令の規定の適用については、同法第二条第六号に規定する公益法人等とみなす。この場合において、同法第三十七条の規定を適用する場合には同条第四項中「公益法人等(」とあるのは「公益法人等(管理組合法人並びに」と、同法第六十六条の規定を適用する場合には同条第一項及び第二項中「普通法人」とあるのは「普通法人(管理組合法人を含む。)」と、同条第三項中「公益法人等(」とあるのは「公益法人等(管理組合法人及び」とする。
14 管理組合法人は、消費税法(昭和六十三年法律第百八号)その他消費税に関する法令の規定の適用については、同法別表第三に掲げる法人とみなす。」

 とあり、
 設問の「管理組合法人の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする」の規定が区分所有法第47条では見つかりません。

 そこは、区分所有法第47条10項の「10 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第四条及び第七十八条の規定は管理組合法人に、破産法(平成十六年法律第七十五号)第十六条第二項の規定は存立中の管理組合法人に準用する。」
 に答えがあります。

 それでは、準用されています、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第4条
 「(住所)
 第四条 一般社団法人及び一般財団
法人の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。」
 とあり、
 区分所有法第47条10項により、管理組合法人の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとするは、正しい。


 


2 管理組合法人の財産をもってその債務を完済することができないときは、区分所有者は、規約に別段の定めがない限り共用部分の持分の割合に応じて、その債務の弁済の責任を負う。

〇 正しい。 債務の負担は、原則:共用部分の持分の割合。
 平成29年 マンション管理士試験 「問7」 、 平成27年 管理業務主任者試験 「問37」 平成27年 マンション管理士試験 「問2」 、平成25年 「管理業務主任者試験 「問5」 、  平成24年 マンション管理士試験 「問8」 、平成23年 マンション管理士試験 「問2」 。

 設問は、区分所有法第53条1項
 「
(区分所有者の責任)
 第五十三条 
管理組合法人の財産をもつてその債務を完済することができないときは、区分所有者は、第十四条に定める割合と同一の割合で、その債務の弁済の責めに任ずる。ただし、第二十九条第一項ただし書に規定する負担の割合が定められているときは、その割合による。
2 管理組合法人の財産に対する強制執行がその効を奏しなかつたときも、前項と同様とする。
3 前項の規定は、区分所有者が管理組合法人に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、適用しない。」

 とあり、
 区分所有法第53条1項で引用されています、区分所有法第14条とは、
 「
共用部分の持分の割合
  第十四条 
各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による
2 前項の場合において、一部共用部分(附属の建物であるものを除く。)で床面積を有するものがあるときは、その一部共用部分の床面積は、これを共用すべき各区分所有者の専有部分の床面積の割合により配分して、それぞれその区分所有者の専有部分の床面積に算入するものとする。
3 前二項の床面積は、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積による。
4 前三項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。」

 ですから、
 規約に別段の定めがなければ、区分所有法第53条1項及び同第14条1項によれば、管理組合法人の財産をもってその債務を完済することができないときは、区分所有者は、規約に別段の定めがない限り共用部分の持分の割合に応じて、その債務の弁済の責任を負うは、正しい。



3 法人格を有していない管理組合が管理組合法人になった場合、管理者の職務のうち、不当利得による返還金の請求及び受領については、当該管理組合法人の代表理事が承継することになる。

X 誤っている。 法人化前の管理者の職務は、管理組合法人が承継する。不当利得による返還金の請求及び受領についても同様。 代表理事は承継しない。

 法人とか、管理者、代表については、「問30」 を参考にしてください。

 設問は、区分所有法第47条5項及び同条6項
 「5 
管理組合法人の成立前の集会の決議、規約及び管理者の職務の範囲内の行為は、管理組合法人につき効力を生ずる
  6 
管理組合法人は、その事務に関し、区分所有者を代理する。第18条第4項(第21条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様とする。」
 とあり、
 区分所有法第47条5項及び同条6項によれば、法人格を有していない管理組合が管理組合法人になった場合、管理者の職務のうち、不当利得による返還金の請求及び受領については、当該
管理組合法人が承継するため、当該管理組合法人の代表理事が承継することになるは、誤りです。

  


4 管理組合法人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

〇 正しい。

 管理組合法人の代理権に加えた制限は、区分所有法第47条7項
 「
7 管理組合法人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。」
 とあり、
 管理組合法人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができないは、正しい。



答え:3

 代表とか法人を理解していないと、選択肢3は難しい。

《タグ》区分所有法 住所 債務の負担 法人化前の行為の継承 代理権の制限

問39

【問 39】 次の文章は、団地内の区分所有建物の建替えに関する事件についての最高裁判所の判決の一部である。その文中の( ア )〜( エ )に入るべき語旬の組み合わせとして正しいものはどれか。なお、文中の「同法」は、「建物の区分所有等に関する法律」をいう。

 「同法70条1項は、団地内の各建物の区分所有者及び議決権の各( ア )以上の賛成があれば、団地内区分所有者及び議決権の各( イ )以上の多数の賛成で団地内全建物一括建替えの決議ができるものとしているが、団地内全建物一括建替えは、団地全体として計画的に良好かつ安全な住環境を確保し、その敷地全体の効率的かつ一体的な利用を図ろうとするものであるところ、・・・(略)・・・、団地全体では同法62条1項の議決要件と同一の議決要件を定め、各建物単位では区分所有者の数及び議決権数の過半数を相当超える議決要件を定めているのであり、同法70条1項の定めは、なお合理性を失うものではないというべきである。また、団地内全建物一括建替えの場合、1棟建替えの場合と同じく、・・・(略)・・・、建替えに参加しない区分所有者は、( ウ )ことにより、区分所有権及び敷地利用権を( エ )こととされているのであり(同法70条4項、63条4項)、その経済的損失については相応の手当がされているというべきである。」 

 ( ア ) ( イ )   ( ウ )  ( エ ) 
 3分の2  4分の3  買取請求権を行使する  敷地利用権のみの価格で買い取らせる
 2  3分の2  5分の4  売渡請求権の行使を受ける  時価で売り渡す
 3  4分の3  5分の4  買取請求権を行使する  時価で買い取らせる
 4  4分の3  4分の3  渡請求権の行使を受ける  敷地利用権のみの価格で売り渡す


 ★解法の手引き:
 抜けている文書の穴埋めです。 この場合、最初の箇所から答えが分かれば問題がありませんが、選択肢をみて自分が知っている「キーワード」があれば、そこから、正解を導き出すのも手です。
 この設問では、2/3、とか、4/5 が曖昧な人は、「建替えに参加しない区分所有者は、( ウ )ことにより、区分所有権及び敷地利用権を( エ )こととされている」がそれです。
 
 建替えに参加しない区分所有者なら、「
売渡請求を受ける」ことになり「時価で売り渡す」がなんとなく分かれば正解になります。

 それでは、該当の 最高裁判所 平成21年4月23日 判決 全文:

  (1)区分所有法70条1項は,1つの団地内に存する数棟の建物の全部(以下「団地内全建物」という。)が,いずれも専有部分を有する建物であり,団地内全建物の敷地が,団地内の各建物の区分所有者(以下「団地内区分所有者」という。)の共有に属する場合において,当該団地内建物について所要の規約が定められているときは,団地内の各建物ごとに,区分所有者及び議決権の各3分の2以上の賛成があれば,団地内区分所有者で構成される団地内の土地,建物等の管理を行う団体又は団地管理組合法人の集会において,団地内区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数で団地内全建物の一括建替え(以下「団地内全建物一括建替え」という。)をする旨の建替え決議をすることができる旨定めている。
 この定めは,同法62条1項が,1棟の建物の建替え(以下「1棟建替え」という。)においては,当該建物の区分所有者の集会において,区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数で建替え決議をすることができると定めているのに比べて,建替えの対象となる当該建物の区分所有者及び議決権の数がより少数であっても建替え決議が可能となるものとなっている。
 そして,団地内全建物一括建替えの決議がされた場合は,1棟建替えの決議がされた場合と同様,建替えに参加しない区分所有者は,時価による売渡請求権の行使を受けて,その区分所有権及び敷地利用権を失うこととなる(同法70条4項,63条4項)。
 上告人らは,区分所有法70条によれば,団地内全建物一括建替えにおいては,各建物について,当該建物の区分所有者ではない他の建物の区分所有者の意思が反映されて当該建物の建替え決議がされることになり,建替えに参加しない少数者の権利が侵害され,更にその保護のための措置も採られていないなどとして,同条が憲法29条に違反することを主張するものである。

 (2) 区分所有権は,1棟の建物の中の構造上区分された各専有部分を目的とする所有権であり(区分所有法1条,2条1項,3項),廊下や階段など,専有部分の使用に不可欠な専有部分以外の建物部分である共用部分は,各専有部分の所有者(区分所有者)が専有部分の床面積の割合に応じた持分を有する共有に属し,その持分は専有部分の処分に従うものとされている(同法2条2項,4項,4条,11条,14条,15条)。
 また,専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利である敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には,区分所有者の集会の決議によって定められた規約に別段の定めのある場合を除き,区分所有者は敷地利用権を専有部分と分離して処分することはできないものとされている(同法2条6項,22条)。
 このように,区分所有権は,1棟の建物の1部分を構成する専有部分を目的とする所有権であり,共用部分についての共有持分や敷地利用権を伴うものでもある。したがって,区分所有権の行使(区分所有権の行使に伴う共有持分や敷地利用権の行使を含む。以下同じ。)は,必然的に他の区分所有者の区分所有権の行使に影響を与えるものであるから,区分所有権の行使については,他の区分所有権の行使との調整が不可欠であり,区分所有者の集会の決議等による他の区分所有者の意思を反映した行使の制限は,区分所有権自体に内在するものであって,これらは,区分所有権の性質というべきものである。
 区分所有建物について,老朽化等によって建替えの必要が生じたような場合に,大多数の区分所有者が建替えの意思を有していても一部の区分所有者が反対すれば建替えができないということになると,良好かつ安全な住環境の確保や敷地の有効活用の支障となるばかりか,一部の区分所有者の区分所有権の行使によって,大多数の区分所有者の区分所有権の合理的な行使が妨げられることになるから,1棟建替えの場合に区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数で建替え決議ができる旨定めた区分所有法62条1項は,区分所有権の上記性質にかんがみて,十分な合理性を有するものというべきである。

 そして,”同法70条1項は,団地内の各建物の区分所有者及び議決権の各 
3分の2 以上の賛成があれば,団地内区分所有者及び議決権の各 5分の4 以上の多数の賛成で団地内全建物一括建替えの決議ができるものとしているが,団地内全建物一括建替えは,団地全体として計画的に良好かつ安全な住環境を確保し,その敷地全体の効率的かつ一体的な利用を図ろうとするものであるところ,区分所有権の上記性質にかんがみると,団地全体では同法62条1項の議決要件と同一の議決要件を定め,各建物単位では区分所有者の数及び議決権数の過半数を相当超える議決要件を定めているのであり,同法70条1項の定めは,なお合理性を失うものではないというべきである。
 また,団地内全建物一括建替えの場合,1棟建替えの場合と同じく,上記のとおり,建替えに参加しない区分所有者は, 
売渡請求権の行使を受ける ことにより,区分所有権及び敷地利用権を 時価で売り渡す こととされているのであり(同法70条4項,63条4項),その経済的損失については相応の手当がされているというべきである。”

 (3) そうすると,規制の目的,必要性,内容,その規制によって制限される財産権の種類,性質及び制限の程度等を比較考量して判断すれば,区分所有法70条は,憲法29条に違反するものではない
 このことは,最高裁平成12年(オ)第1965号,同年(受)第1703号同14年2月13日大法廷判決・民集56巻2号331頁の趣旨に徴して明らかである。論旨は採用することができない。


 ということで、正解は、
 ア...3分の2
 イ...5分の4
 ウ...売渡請求権の行使を受ける
 エ...時価で売り渡す

 で 2 です。


  なお、参考として、区分所有法第70条4項、 第63条4項です。

 「(団地内の建物の一括建替え決議)
 第七十条 団地内建物の全部が専有部分のある建物であり、かつ、当該団地内建物の敷地(団地内建物が所在する土地及び第五条第一項の規定により団地内建物の敷地とされた土地をいい、これに関する権利を含む。以下この項及び次項において同じ。)が当該団地内建物の区分所有者の共有に属する場合において、当該団地内建物について第六十八条第一項(第一号を除く。)の規定により第六十六条において準用する第三十条第一項の規約が定められているときは、第六十二条第一項の規定にかかわらず、当該団地内建物の敷地の共有者である当該団地内建物の区分所有者で構成される第六十五条に規定する団体又は団地管理組合法人の集会において、当該団地内建物の区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で、当該団地内建物につき一括して、その全部を取り壊し、かつ、当該団地内建物の敷地(これに関する権利を除く。以下この項において同じ。)若しくはその一部の土地又は当該団地内建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地(第三項第一号においてこれらの土地を「再建団地内敷地」という。)に新たに建物を建築する旨の決議(以下この条において「一括建替え決議」という。)をすることができる。ただし、当該集会において、当該各団地内建物ごとに、それぞれその区分所有者の三分の二以上の者であつて第三十八条に規定する議決権の合計の三分の二以上の議決権を有するものがその一括建替え決議に賛成した場合でなければならない。
2 前条第二項の規定は、前項本文の各区分所有者の議決権について準用する。この場合において、前条第二項中「当該特定建物の所在する土地(これに関する権利を含む。)」とあるのは、「当該団地内建物の敷地」と読み替えるものとする。
3 団地内建物の一括建替え決議においては、次の事項を定めなければならない。
一 再建団地内敷地の一体的な利用についての計画の概要
二 新たに建築する建物(以下この項において「再建団地内建物」という。)の設計の概要
三 団地内建物の全部の取壊し及び再建団地内建物の建築に要する費用の概算額
四 前号に規定する費用の分担に関する事項
五 再建団地内建物の区分所有権の帰属に関する事項
4 第六十二条第三項から第八項まで、第六十三条及び第六十四条の規定は、団地内建物の一括建替え決議について準用する。この場合において、第六十二条第三項中「前項第三号及び第四号」とあるのは「第七十条第三項第四号及び第五号」と、同条第四項中「第一項に規定する」とあるのは「第七十条第一項に規定する」と、「第三十五条第一項」とあるのは「第六十六条において準用する第三十五条第一項」と、「規約」とあるのは「第六十六条において準用する第三十条第一項の規約」と、同条第五項中「第三十五条第一項」とあるのは「第六十六条において準用する第三十五条第一項」と、同条第七項中「第三十五条第一項から第四項まで及び第三十六条」とあるのは「第六十六条において準用する第三十五条第一項から第四項まで及び第三十六条」と、「第三十五条第一項ただし書」とあるのは「第六十六条において準用する第三十五条第一項ただし書」と、同条第八項中「前条第六項」とあるのは「第六十一条第六項」と読み替えるものとする。


 「区分所有権等の売渡し請求等)
 第六十三条 建替え決議があつたときは、集会を招集した者は、遅滞なく、建替え決議に賛成しなかつた区分所有者(その承継人を含む。)に対し、建替え決議の内容により建替えに参加するか否かを回答すべき旨を書面で催告しなければならない。
2 前項に規定する区分所有者は、同項の規定による催告を受けた日から二月以内に回答しなければならない。
3 前項の期間内に回答しなかつた第一項に規定する区分所有者は、建替えに参加しない旨を回答したものとみなす。
4 第二項の期間が経過したときは、建替え決議に賛成した各区分所有者若しくは建替え決議の内容により建替えに参加する旨を回答した各区分所有者(これらの者の承継人を含む。)又はこれらの者の全員の合意により区分所有権及び敷地利用権を買い受けることができる者として指定された者(以下「買受指定者」という。)は、同項の期間の満了の日から二月以内に、建替えに参加しない旨を回答した区分所有者(その承継人を含む。)に対し、区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。建替え決議があつた後にこの区分所有者から敷地利用権のみを取得した者(その承継人を含む。)の敷地利用権についても、同様とする。
5 前項の規定による請求があつた場合において、建替えに参加しない旨を回答した区分所有者が建物の明渡しによりその生活上著しい困難を生ずるおそれがあり、かつ、建替え決議の遂行に甚だしい影響を及ぼさないものと認めるべき顕著な事由があるときは、裁判所は、その者の請求により、代金の支払又は提供の日から一年を超えない範囲内において、建物の明渡しにつき相当の期限を許与することができる。
6 建替え決議の日から二年以内に建物の取壊しの工事に着手しない場合には、第四項の規定により区分所有権又は敷地利用権を売り渡した者は、この期間の満了の日から六月以内に、買主が支払つた代金に相当する金銭をその区分所有権又は敷地利用権を現在有する者に提供して、これらの権利を売り渡すべきことを請求することができる。ただし、建物の取壊しの工事に着手しなかつたことにつき正当な理由があるときは、この限りでない。
7 前項本文の規定は、同項ただし書に規定する場合において、建物の取壊しの工事の着手を妨げる理由がなくなつた日から六月以内にその着手をしないときに準用する。この場合において、同項本文中「この期間の満了の日から六月以内に」とあるのは、「建物の取壊しの工事の着手を妨げる理由がなくなつたことを知つた日から六月又はその理由がなくなつた日から二年のいずれか早い時期までに」と読み替えるものとする。」


 

 この判例は、「超解説 区分所有法」 第70条でも解説していますので、参考にしてください。
 また、この判決文は、区分所有法の基本にも触れていますので、よく読むといいですよ。


答え:2

  管理業務主任者試験では、「問39」 は必ず、判例からの出題です。 重要な判例は、私の 「超解説 区分所有法」でも取り上げていますから、参考にしてください。

《タグ》判例 団地の一括建替え 売渡請求 

問40

〔【問 40】 住宅の品質確保の促進等に関する法律に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 「新築住宅」とは、新たに建設された住宅で、建設工事の完了の日から起算して1年を経過していないものをいい、既に人の居住の用に供したことがあるか否かを問わない。

X 誤っている。 新築住宅とは、新築で、まだ人の居住の用に供したことのないものをいう。


 住宅の品質確保の促進等に関する法律での新築住宅とは、住宅の品質確保の促進等に関する法律第2条
 「(定義)
 第二条 この法律において「住宅」とは、人の居住の用に供する家屋又は家屋の部分(人の居住の用以外の用に供する家屋の部分との共用に供する部分を含む。)をいう。
2 この法律において「新築住宅」とは、新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事の完了の日から起算して一年を経過したものを除く。)をいう
3 この法律において「日本住宅性能表示基準」とは、住宅の性能に関し表示すべき事項及びその表示の方法の基準であって、次条の規定により定められたものをいう。
4 この法律において「住宅購入者等」とは、住宅の購入若しくは住宅の建設工事の注文をし、若しくはしようとする者又は購入され、若しくは建設された住宅に居住をし、若しくはしようとする者をいう。

 とあり、
 住宅の品質確保の促進等に関する法律第2条2項によれば、「新築住宅」とは、新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事の完了の日から起算して一年を経過したものを除く。)をいうため、新築で、
既に人の居住の用に供したことがあるか否かを問わないは、誤りです。

 中古住宅と完成後1年経つと新築住宅ではありません。


2 新築住宅の売買契約においては、売主が構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分について瑕疵担保責任を負うべき期間を、買主に引き渡した時から5年間に短縮することができる。

X 誤っている。 構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分の瑕疵担保責任の期間は、引渡しから10年間。 5年に短縮は不利な特約となりできない。
 無効。

 住宅の品質確保の促進等に関する法律で新築住宅の売買で売主の瑕疵担保責任を負うべき期間は、住宅の品質確保の促進等に関する法律第95条
 「
(新築住宅の売主の瑕疵担保責任の特例)
 第九十五条 
新築住宅の売買契約においては、売主は、買主に引き渡した時(当該新築住宅が住宅新築請負契約に基づき請負人から当該売主に引き渡されたものである場合にあっては、その引渡しの時)から十年間、住宅の構造耐力上主要な部分等の隠れた瑕疵について、民法第五百七十条において準用する同法第五百六十六条第一項並びに同法第六百三十四条第一項及び第二項前段に規定する担保の責任を負う。この場合において、同条第一項及び第二項前段中「注文者」とあるのは「買主」と、同条第一項中「請負人」とあるのは「売主」とする。
2 前項の規定に反する特約で買主に不利なものは、無効とする。
3 第一項の場合における民法第五百六十六条第三項の規定の適用については、同項中「前二項」とあるのは「住宅の品質確保の促進等に関する法律第九十五条第一項」と、「又は」とあるのは「、瑕疵修補又は」とする。」

 とあり、
 住宅の品質確保の促進等に関する法律第95条1項によれば、売主は、買主に引き渡した時から、10年間は、住宅の構造耐力上主要な部分等(住宅の基礎、柱、壁、床、また雨水の浸入を防止する屋根などの部分)の隠れた瑕疵について民法第570条に定める瑕疵担保責任を負うため、新築住宅の売買契約においては、売主が構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分について瑕疵担保責任を負うべき期間を、買主に引き渡した時から5年間に短縮することができるは、誤りです。 
 住宅の品質確保の促進等に関する法律第95条2項により、買主に不利な特約は無効となります。


 

  
  今更ながら、隠れた瑕疵とは、通常人の注意を払っても発見できない傷や欠陥で、対象不動産が、通常有している品質・性能を有していないことです。また、当事者が契約上予定した使用目的に適する性質や、売主が特に保証した品質・性能を有しない場合も含みます。

 なお、住宅の品質確保の促進等に関する法律では、民法にない、構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分(住宅のあらゆる部分ではありません)なら、修補請求ができますので、注意してください。

 詳細は、下の 「問41」 を参考にしてください。

 
3 既存の共同住宅に係る建設住宅性能評価を受ける場合、共用部分と専有部分の両方の評価が必要である。

〇 適切である。 既存の共同住宅なら、共用部分と専有部分の両方の評価が必要。

  平成29年 マンション管理士試験 「問37」 、 平成28年 マンション管理士試験 「問41」 、 平成28年 管理業務主任者試験 「問24」

 住宅の品質確保の促進等に関する法律では、選択肢2でのお馴染みの「瑕疵担保責任」だけでなく、
 日本住宅性能表示基準の規定(第3条)があり、ここは、建築物のエネルギー消費性能の向上や耐震での見直しがあり、平成28年4月1日の施行となっています。

 住宅流通の円滑化と合理化を図る「住宅性能表示制度」ができています。
 その制度の概要は、
  ・新築住宅と既存住宅(中古住宅)の両方に適用することができる
  ・共通基準には、
   1.構造の安定に関すること(必須/選択あり)
   2.火災時の安全に関すること(全部選択へ)
   3.劣化の軽減に関すること(必須のみ)
   4.維持管理・更新への配慮に関すること(多くは必須)
   5.温熱環境・エネルギー消費量に関すること(旧 温熱環境に関すること)(必須のみ)
   6.空気環境に関すること(全部選択へ)
   7.光・視環境に関すること(全部選択へ)
   8.音環境に関すること(選択)
   9.高齢者等への配慮に関すること(選択)
  10.防犯に関すること(全部選択へ)


  平成28年4月1日の施行から、住宅性能表示制度が改正され、評価の必須項目が10分野から以下の4分野へと大幅に緩和されました。
   1.構造の安定
   2.劣化の軽減
   3.維持管理、更新への配慮
   4.温熱環境、エネルギー消費量

  ・国に登録された第三者機関が共通の表示基準で評価して住宅性能を評価書として表示する
  ・評価書の内容は契約書に添付できる
  ・事後にトラブルが発生しても円滑で迅速な紛争処理を行える です。

  なお、等級では「5など」(4や3が最高もある)が一番よくて、→ 1、又は 0 と性能が落ちます。


  具体的な内容は、日本住宅性能表示基準(平成13年国土交通省告示第1346号)  最終改正 平成28年12月21日

 これによれば、既存の共同住宅に係る建設住宅性能評価を受ける場合なら、
  別表2−1 (既存住宅に係る表示すべき事項等)
     排煙形式...
共用廊下の排煙の形式
     維持管理対策等級(専用配管) ...
専用の給排水管、給湯管及びガス管の維持管理(清掃、点検及び補修)を容易とするため必要な対策の程度
     維持管理対策等級(共用配管) ...
共用の給排水管、給湯管及びガス管の維持管理(清掃、点検及び補修)を容易とするため必要な対策の程度
     更新対策(住戸専用部)...
住戸専用部の間取りの変更を容易とするため必要な対策
  など、
  共用部分と専有部分の両方の評価がありますから、既存の共同住宅に係る建設住宅性能評価を受ける場合、共用部分と専有部分の両方の評価が必要であるは、適切です。

 なお、住宅性能評価書には、設計図書の段階の評価結果をまとめた「設計住宅性能評価」と、施工段階と完成段階の検査を経た評価結果をまとめた「建設住宅性能評価」の2種類があります。


  


4 指定住宅紛争処理機関が行う、建設住宅性能評価書が交付された住宅の建設工事の請負契約又は売買契約に関する紛争処理の対象は、新築住宅のみである。

X 誤っている。 紛争処理の対象は、新築に限らない。 建設住宅性能評価書が交付された住宅(新築、既存住宅)が対象である。


 建設住宅性能評価書が交付された住宅の紛争は、住宅の品質確保の促進等に関する法律第67条
 「
(業務)
 第六十七条 
指定住宅紛争処理機関は、建設住宅性能評価書が交付された住宅(以下この章において「評価住宅」という。)の建設工事の請負契約又は売買契約に関する紛争の当事者の双方又は一方からの申請により、当該紛争のあっせん、調停及び仲裁(以下この章において「住宅紛争処理」という。)の業務を行うものとする
2 前項の申請の手続は、国土交通省令で定める。」

 とあり、
 住宅の品質確保の促進等に関する法律第67条1項によれば、建設住宅性能評価書が交付された住宅(新築、既存を問わず)であれば、住宅紛争処理業務を行いますから、指定住宅紛争処理機関が行う、建設住宅性能評価書が交付された住宅の建設工事の請負契約又は売買契約に関する紛争処理の対象は、
新築住宅のみであるは、誤りです。


答え:3

  選択肢3の「共用部分と専有部分の両方の評価が必要」は、細かくて、面倒だけど、他の選択肢から、消去法で選べる。

《タグ》住宅の品質確保の促進等に関する法律 新築住宅とは 瑕疵担保責任 紛争の処理

問41

【問 41】 買主Aと売主Bが、マンションの一住戸の売買契約を締結した場合におけるBの瑕疵担保責任に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤つているものはどれか。なお、AとBは、ともに宅地建物取引業者ではない個人とする。

1 別段の特約がない限り、AのBに対する瑕疵担保責任に基づく請求は、Aが瑕疵の事実を知った時から1年以内にしなければならない。

〇 正しい。 特約が無ければ、買主は、瑕疵の事実を知った時から1年以内にしなければならない。

  平成29年 マンション管理士試験 「問15」 、 平成28年 管理業務主任者試験 「問41」 、 平成27年 管理業務主任者試験 「問40」 、 平成27年 マンション管理士試験 「問17」、  平成26年 管理業務主任者試験 「問40」 、 平成26年マンション管理士試験 「問17」平成25年マンション管理士試験 「問17」 、平成25年管理業務主任者試験 「問40」、 平成24年マンション管理士試験 「問14」 、平成24年管理業務主任者試験 「問40」、 平成23年 マンション管理士試験 「問12」 、 平成23年 管理業務主任者試験 「問41」 、 平成22年 マンション管理士試験 「問13」 、 平成22年 管理業務主任者試験 「問42」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問4」 、 平成21年 管理業務主任者試験 「問41」 「問42」 、平成20年 マンション管理士試験 「問16」 、平成20年 管理業務主任者試験 「問41」 など。

  マンション管理士・管理業務主任者試験では、もう定番の「売主の瑕疵担保責任」です。 
 過去には、民法だけでなく、宅地建物取業法、上の「問40」 でも出ています住宅の品質確保の促進等に関する法律、また消費者契約法とも絡んで出題がされていますが、ここでは、民法だけに限定していますから、注意してください。

 まず、民法での瑕疵担保責任とは、売買の対象物に通常の注意を払っても発見できない品質や性能の不備(瑕疵です)があれば、買主が支払った金額は公平でありません。そこで、民法では売主に対して、故意や過失がなく(無過失)ても、契約の解除や損害賠償などの責任を負わせることにしています。
 それが、民法で定める「売主の瑕疵担保責任」といわれています。

 具体的には、民法第570条
 「
売主の瑕疵担保責任
 第五百七十条 
売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第五百六十六条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。」

 とあり、
 準用されています、民法第566条は、
 「
(地上権等がある場合等における売主の担保責任)
 第五百六十六条 売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、
買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。
2 前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。
3 前二項の場合において、
契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。」

 とあります。
 
  売主の瑕疵担保責任では、買主は事実を知った時(瑕疵を発見した時)から一年以内(除斥期間)に、
  @契約の解除
  A解約ができないときには、損害賠償請求   そして、
  B解除により損害が発生していれば、その損害賠償請求 ができます。
 しかし、民法では、”修補の請求は認めていません”。ここが、民法での注意点です。
 また、任意の特約もできます。
 それは、民法第572条
 「
(担保責任を負わない旨の特約
 第五百七十二条 売主は、第五百六十条から前条までの規定による担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない。」

 です。

 設問に戻りますと、民法第570条(準用民法第566条3項)により、瑕疵担保責任の請求は、「買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない」は、正しく、また、民法第572条により、特約もできますから、別段の特約がない限り、買主Aの売主Bに対する瑕疵担保責任に基づく請求は、買主Aが瑕疵の事実を知った時から1年以内にしなければならないは、正しい。



2 「AはBに対して、瑕疵の修補請求はできるが、損害賠償請求はできない」旨の特約をすることはできない。

X 誤っている。 個人間の取引なら、特約はできる。 

 選択肢1で説明しましたように、担保責任を負わない旨の特約は、民法第572条
 
 「(担保責任を負わない旨の特約)
 第五百七十二条 売主は、第五百六十条から前条までの規定による
担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない。」

 とあり、
 買主Aと売主Bは、ともに宅地建物取引業者ではない個人との設定ですから、民法第572条により、「買主Aは売主Bに対して、瑕疵の修補請求はできるが、損害賠償請求はできない」旨の特約をすることの特約も可能で、特約をすることはできないは、誤りです。



3 「BはAに対して、いかなる瑕疵についてもその責任を負わない」旨の特約があっても、Bが、売買契約締結時に瑕疵があることを知りながらAに告げなかった事実については、Bはその責任を免れることができない。

〇 正しい。 特約はできるが、売主が知りながら告げなかった事実があれば、その責任は免れられない。


 選択肢1及び2で説明しましたように、個人間であれば、「いかなる瑕疵についてもその責任を負わない」旨の特約は有効ですが、それには、「特約をしたときであっても」があります。
 民法第572条
 (担保責任を負わない旨の特約)
 第五百七十二条 売主は、第五百六十条から前条までの規定による担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、
知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない。」
 とあり、
 民法第572条によれば、「売主Bは買主Aに対して、いかなる瑕疵についてもその責任を負わない」旨の特約があっても、売主Bが、売買契約締結時に瑕疵があることを知りながら買主Aに告げなかった事実については、売主Bはその責任を免れることができないは、正しい。



4 Aが、売買契約締結時に目的物の瑕疵を知っていた場合には、Bは瑕疵担保責任を負わない。

〇 正しい。 瑕疵担保責任は、買主が瑕疵の存在を知らない時に適用される。

 選択肢1で説明しましたように、瑕疵担保責任は民法第570条 準用民法第566条1項
 「(地上権等がある場合等における売主の担保責任)
 第五百六十六条 売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、
買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。
  (以下、略)」
 とあり、
 民法第566条1項によれば、「買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないとき」でないと、瑕疵担保責任の請求はできないため、買主Aが、売買契約締結時に目的物の瑕疵を知っていた場合には、売主Bは瑕疵担保責任を負わないは、正しい。



答え:2

  恒例となった売主の瑕疵担保責任からの出題ですが、難しくはありません。

 なお、瑕疵担保責任は、よく出題されますから、 別途 「瑕疵担保責任のまとめ」 のサイトもありますから、ご利用ください。

《タグ》民法 瑕疵担保責任 請求期間 特約 悪意 

問42

【問 42】 マンションの建替え等の円滑化に関する法律の規定によれば、マンション敷地売却に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、本問において、「マンション」とは、同法第2条第1項第1号に規定するものとする。

1 建築物の耐震改修の促進に関する法律に規定する耐震診断が行われた結果、耐震性が不足していると認められたマンションの管理者等は、特定行政庁に対し、当該マンションを除却する必要がある旨の認定を申請することができる。

〇 正しい。 耐震性が不足では危険。 除却申請できる。

    平成27年 マンション管理士試験 「問19」 、 平成26年 マンション管理士試験 「問19」 

 マンションの建替えの円滑化等に関する法律からも例年1問は出題されるから、眼を通しておくこと。
 別途、マンションの建替えの円滑化等に関する法律を要約した サイト もありますから、利用してください。

  区分所有法による「建替え決議」の後を受けて、マンションの建替えの円滑化に関する法律が制定されていましたが、地震大国:日本では過去だけでなく、将来大きな地震が起きることが想定されています。
 そこで、平成25年には、「建築物の耐震改修の促進に関する法律」が改正され、建築物の地震に対する安全性に係る認定制度の創設等を取り入れています。
 また、平成26年6月25日交付、平成26年12月24日施行で「マンションの建替えの円滑化に関する法律」を一部改正して、「マンションの建替えの円滑化に関する法律」とし、この法律内に、耐震性不足のマンションの建替え等の円滑化を図るべく、多数決によりマンション及びその敷地を売却することを可能とする制度を創設する等の措置を講じています。

 「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」改正での大きな特徴としては、区分所有者等の4/5以上の賛成で、マンション及びその敷地の売却を行う旨を決議できること と、特定行政庁の許可により容積率制限を緩和すること でしょうか。

 区分所有法に関しては、第17条での共用部分での重大変更での区分所有者及び議決権の各四分の三以上の要件を緩和して、所管行政庁から耐震改修が必要である旨の認定を受けた区分所有建築物については、規約に別段の定めのない限り、区分所有者及び議決権の各過半数による集会の決議を経て耐震改修を行うことができることです。


 設問は、マンションの建替え等の円滑化に関する法律第102条
 「
(除却の必要性に係る認定)
 第百二条 
建築物の耐震改修の促進に関する法律(平成七年法律第百二十三号)第二条第一項に規定する耐震診断が行われたマンションの管理者等(区分所有法第二十五条第一項の規定により選任された管理者(管理者がないときは、区分所有法第三十四条の規定による集会(以下「区分所有者集会」という。)において指定された区分所有者)又は区分所有法第四十九条第一項の規定により置かれた理事をいう。)は、国土交通省令で定めるところにより、建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第三十五号に規定する特定行政庁(以下単に「特定行政庁」という。)に対し、当該マンションを除却する必要がある旨の認定を申請することができる。
2 特定行政庁は、前項の規定による申請があった場合において、当該申請に係るマンションが地震に対する安全性に係る建築基準法又はこれに基づく命令若しくは条例の規定に準ずるものとして
国土交通大臣が定める基準に適合していないと認めるときは、その旨の認定をするものとする。
3 第一項の認定をした特定行政庁は、速やかに、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事等(当該特定行政庁である都道府県知事等を除く。)にその旨を通知しなければならない。」

 とあり、
 マンションの建替え等の円滑化に関する法律第102条1項によれば、建築物の耐震改修の促進に関する法律に規定する耐震診断が行われた結果、耐震性が不足していると認められたマンションの管理者等は、特定行政庁に対し、当該マンションを除却する必要がある旨の認定を申請することができるは、正しい。



2 除却する必要がある旨の認定を受けたマンションについては、区分所有者集会において、区分所有者、議決権及び敷地利用権の持分の価格の各5分の4以上の多数で、当該マンション及びその敷地(敷地利用権が借地権であるときは、その借地権)を売却する旨の決議をすることができる。

〇 正しい。 敷地を売却するには、4/5 以上の賛成が必要。

 敷地の売却は、マンションの建替え等の円滑化に関する法律第108条
 「
(マンション敷地売却決議)
 第百八条 
第百二条第一項の認定を受けた場合において、要除却認定マンションに係る敷地利用権が数人で有する所有権又は借地権であるときは、区分所有者集会において、区分所有者、議決権及び当該敷地利用権の持分の価格の各五分の四以上の多数で、当該要除却認定マンション及びその敷地(当該敷地利用権が借地権であるときは、その借地権)を売却する旨の決議(以下「マンション敷地売却決議」という。)をすることができる
2 マンション敷地売却決議においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
   一 買受人(第百二十条第一項の規定により組合(第百十六条に規定する組合をいう。以下この号において同じ。)が設立された場合にあっては、組合から要除却認定マンションを買い受ける者)となるべき者の氏名又は名称
   二 売却による代金の見込額
   三 売却によって各区分所有者が取得することができる金銭(以下「分配金」という。)の額の算定方法に関する事項
3 前項第一号に掲げる者は、次条第一項の認定を受けた者でなければならない。
4 第二項第三号に掲げる事項は、各区分所有者の衡平を害しないように定めなければならない。
5 第一項に規定する決議事項を会議の目的とする区分所有者集会を招集するときは、区分所有法第三十五条第一項の通知は、同項の規定にかかわらず、当該区分所有者集会の会日より少なくとも二月前に発しなければならない。
6 前項に規定する場合において、区分所有法第三十五条第一項の通知をするときは、前条に規定する議案の要領のほか、次に掲げる事項をも通知しなければならない。
   一 売却を必要とする理由
   二 建築物の耐震改修の促進に関する法律第二条第二項に規定する耐震改修(次号において単に「耐震改修」という。)又はマンションの建替えをしない理由
   三 耐震改修に要する費用の概算額
7 第五項の区分所有者集会を招集した者は、当該区分所有者集会の会日より少なくとも一月前までに、当該招集の際に通知すべき事項について区分所有者に対し説明を行うための説明会を開催しなければならない。
8 区分所有法第三十五条第一項から第四項まで及び第三十六条の規定は、前項の説明会の開催について準用する。この場合において、区分所有法第三十五条第一項ただし書中「伸縮する」とあるのは、「伸長する」と読み替えるものとする。
9 マンション敷地売却決議をした区分所有者集会の議事録には、その決議についての各区分所有者の賛否をも記載し、又は記録しなければならない。
10 区分所有法第六十三条及び第六十四条の規定は、マンション敷地売却決議があった場合について準用する。この場合において、区分所有法第六十三条第一項中「建替えに」とあるのは「マンションの建替え等の円滑化に関する法律(以下「円滑化法」という。)第二条第一項第八号に規定するマンション敷地売却(以下単に「マンション敷地売却」という。)に」と、同条第三項から第五項まで及び区分所有法第六十四条中「建替えに」とあるのは「マンション敷地売却に」と、区分所有法第六十三条第六項中「建物の取壊しの工事に着手しない」とあるのは「円滑化法第百八条第一項に規定するマンション敷地売却決議に基づく売買契約によるマンション(円滑化法第二条第一項第一号に規定するマンションをいう。以下同じ。)及びその敷地(マンションの敷地利用権が円滑化法第二条第一項第十七号に規定する借地権(以下単に「借地権」という。)であるときは、その借地権。以下同じ。)についての権利の移転(円滑化法第百二十条第一項の規定により組合(円滑化法第百十六条に規定する組合をいう。以下同じ。)が設立された場合にあつては、円滑化法第百四十九条の規定による売却マンション(円滑化法第二条第一項第十号に規定する売却マンションをいう。)及びその敷地の組合への帰属。以下「権利の移転等」という。)がない」と、同項ただし書中「建物の取壊しの工事に着手しなかつた」とあるのは「権利の移転等がなかつた」と、同条第七項中「建物の取壊しの工事の着手」とあるのは「権利の移転等」と、「その着手をしないとき」とあるのは「権利の移転等がないとき」と、区分所有法第六十四条中「建替えを」とあるのは「マンション敷地売却を」と読み替えるものとする。」

 とあり、
 マンションの建替え等の円滑化に関する法律第108条1項によれば、除却する必要がある旨の認定を受けたマンションについては、区分所有者集会において、区分所有者、議決権及び敷地利用権の持分の価格の各5分の4以上の多数で、当該マンション及びその敷地(敷地利用権が借地権であるときは、その借地権)を売却する旨の決議をすることができるは、正しい。

 4/5以上の賛成は、区分所有法の建替え決議と同じです。



3 マンション敷地売却組合は、その名称中に「マンション敷地売却組合」という文字を用いた法人でなければならない。

〇 正しい。 マンション敷地売却組合は法人であり、使用する名称も決められている。


 まず、マンション敷地売却組合が「法人」については、マンションの建替え等の円滑化に関する法律第117条
 「
(法人格)
 第百十七条 
組合は、法人とする
2 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第四条及び第七十八条の規定は、組合について準用する。」

 とあり、
 マンションの建替え等の円滑化に関する法律第117条1項によれば、「組合は、法人とする」とあるため、設問の「法人でなければならない」の表現は少しばかりひっかかりますが、まあ、正しい。

 次に、マンション敷地売却組合の名称は、マンションの建替え等の円滑化に関する法律第119条
 「
(名称の使用制限)
 第百十九条 
組合は、その名称中にマンション敷地売却組合という文字を用いなければならない
2 組合でない者は、その名称中にマンション敷地売却組合という文字を用いてはならない。」

 とあり、
 マンションの建替え等の円滑化に関する法律第119条1項によれば、マンション敷地売却組合は、その名称中に「マンション敷地売却組合」という文字を用いますから、全体として、マンション敷地売却組合は、その名称中に「マンション敷地売却組合」という文字を用いた法人でなければならないは、正しいとします。

  「法人」と「権利能力なき社団」の違いや、名称については、 「超解説 区分所有法」 での区分所有者の団体の「法人」も参考にしてください。



4 マンション敷地売却組合を設立するためには、マンション敷地売却合意者が5入以上共同して、定款及び資金計画を定め、都道府県知事等の認可を求めるとともに、マンション敷地売却組合の設立について、マンション敷地売却合意者の敷地利用権の持分の価格の5分の4以上の同意を得なければならない。

X 誤っている。 マンション敷地売却組合の設立では、3/4以上の同意でいい。 4/5以上ではない。


 マンション敷地売却組合の設立は、マンションの建替え等の円滑化に関する法律第120条1項、2項
 
「(設立の認可)
 第百二十条 第百八条第十項において読み替えて準用する区分所有法第六十四条の規定によりマンション敷地売却決議の内容によりマンション敷地売却を行う旨の合意をしたものとみなされた者(マンションの区分所有権又は敷地利用権を有する者であってその後に当該マンション敷地売却決議の内容により当該マンション敷地売却を行う旨の同意をしたものを含む。以下「
マンション敷地売却合意者」という。)は、五人以上共同して、定款及び資金計画を定め、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事等の認可を受けて組合を設立することができる。
2 前項の規定による認可を申請しようとするマンション敷地売却合意者は、
組合の設立について、マンション敷地売却合意者の四分の三以上の同意(同意した者の区分所有法第三十八条の議決権の合計がマンション敷地売却合意者の同条の議決権の合計の四分の三以上であり、かつ、同意した者の敷地利用権の持分の価格の合計がマンション敷地売却合意者の敷地利用権の持分の価格の合計の四分の三以上となる場合に限る。)を得なければならない。
3 前二項の場合において、マンションの一の専有部分が数人の共有に属するときは、その数人を一人のマンション敷地売却合意者とみなす。」

 とあり、
 マンションの建替え等の円滑化に関する法律第120条1項によれば、マンション敷地売却合意者が5入以上共同して、定款及び資金計画を定め、都道府県知事等の認可を求めるは、正しい。
 また、その際には、同条2項によれば、マンション敷地売却合意者の敷地利用権の持分の価格の合計の四分の三以上の同意でよく、5分の4以上の同意を得なければならないは、誤りです。

 よって、選択肢4は、全体として、誤りです。

 3/4以上も、区分所有法での「管理組合法人」を参考にしてください。



答え:4

 選択肢4の「4/5以上」は、迷うかも知れないが、区分所有法を知っていれば、易しい。

 別途、マンションの建替えの円滑化等に関する法律を要約した サイト もあります。

《タグ》マンションの建替え等の円滑化に関する法律 除却 集会の決議 4/5以上 組合の設立 3/4以上

問43

【問 43】 次の記述のうち、「地震保険に関する法律」によれば、正しいものの組み合わせはどれか。

ア 地震保険は、地震若しくは噴火又はこれらによる津波を直接又は間接の原因とする火災、損壊、埋没又は流失による損害(政令に定めるものに限る。)をてん補することを内容とする損害保険である。

〇 正しい。 

 地震保険に関する法律からの出題とは、新しい。

 地震保険に関する法律に目的等は、地震保険に関する法律第2条
 「
(定義)
 第二条 この法律において「保険会社等」とは、保険業法(平成七年法律第百五号)第三条第五項の損害保険業免許若しくは同法第百八十五条第五項の外国損害保険業免許を受けた者若しくは同法第二百十九条第五項の免許を受けた者の社員(第九条の二において「保険会社」という。)又は他の法律に基づき火災に係る共済事業を行う法人で財務大臣の指定するものをいう。
2 
この法律において「地震保険契約」とは、次に掲げる要件を備える損害保険契約(火災に係る共済契約を含む。以下同じ。)をいう
   一 居住の用に供する建物又は生活用動産のみを保険の目的とすること。
   
二 地震若しくは噴火又はこれらによる津波(以下「地震等」という。)を直接又は間接の原因とする火災、損壊、埋没又は流失による損害(政令で定めるものに限る。)を政令で定める金額によりてん補すること
   三 特定の損害保険契約に附帯して締結されること。
   四 附帯される損害保険契約の保険金額の百分の三十以上百分の五十以下の額に相当する金額(その金額が政令で定める金額を超えるときは、当該政令で定める金額)を保険金額とすること。
3 この法律において「保険」、「保険金」又は「保険責任」とあるのは、共済契約については、それぞれ「共済」、「共済金」又は「共済責任」と読み替えるものとする。」

 とあり、
 地震保険に関する法律第2条2項2号によれば、地震保険は、地震若しくは噴火又はこれらによる津波を直接又は間接の原因とする火災、損壊、埋没又は流失による損害(政令に定めるものに限る。)をてん補することを内容とする損害保険であるは、正しい。



イ 地震保険は、火災保険等特定の損害保険に附帯して締結され、地震保険単独での締結はできない。

〇 正しい。 地震保険は、単独では締結できない。

  これは、知っている。
  選択肢アで引用しました、地震保険に関する法律第2条2項3号
 
「三 特定の損害保険契約に附帯して締結されること」
 とあり、
 地震保険に関する法律第2条2項3号によれば、地震保険は、火災保険等特定の損害保険に附帯して締結され、地震保険単独での締結はできないは、正しい。



ウ 地震保険は、居住の用に供する建物のみを保険の目的とし、生活用動産を保険の目的とすることはできない。

X 誤っている。 居住の用に供する建物又は生活用動産のみが目的である。

 設問は、 選択肢アで引用しました、地震保険に関する法律第2条2項1号、
 「一 居住の用に供する建物又は生活用動産のみを保険の目的とすること。」
 とあり、
 地震保険に関する法律第2条2項1号によれば、地震保険は、居住の用に供する建物又は生活用動産のみを保険の目的としていますから、地震保険は、居住の用に供する建物のみを保険の目的とし、生活用動産を保険の目的とすることはできないは、誤りです。

 なお、生活用動産とは、国税庁では、家具、じゅう器、通勤用の自動車、衣服などの生活に通常必要な動産としています。



エ 地震等により損害を受けた場合に支払われる保険金額は、損害の区分によって異なり、損害の区分として政令に定められているのは「全損」と「一部損」の2つである。

X 誤っている。 全損、大半損、小半損、一部損の4つがある。 

 地震保険で支払われる保険金は、地震保険の始期日が、平成29年(2017年)1月1日以降なら、地震保険に関する法律施行令第1条
 「
(填補される損害及び金額)
 第一条 地震保険に関する法律(以下「法」という。)第二条第二項第二号に規定する政令で定める損害は、次の各号に掲げる損害とし、同項第二号に規定する政令で定める金額は、当該各号に掲げる損害の区分に応じ、当該各号に定める金額とする。
   一 居住の用に供する建物(以下「居住用建物」という。)の
全損(居住用建物の主要構造部の損害額が当該居住用建物の時価の百分の五十以上である損害又は居住用建物の焼失し若しくは流失した部分の床面積の当該居住用建物の延べ床面積に対する割合が百分の七十以上である損害をいう。) 保険金額の全額
   二 居住用建物の
大半損(居住用建物の主要構造部の損害額が当該居住用建物の時価の百分の四十以上百分の五十未満である損害又は居住用建物の焼失し若しくは流出した部分の床面積の当該居住用建物の延べ床面積に対する割合が百分の五十以上百分の七十未満である損害をいう。) 保険金額の百分の六十に相当する金額
   三 居住用建物の
小半損(居住用建物の主要構造部の損害額が当該居住用建物の時価の百分の二十以上百分の四十未満である損害又は居住用建物の焼失し若しくは流出した部分の床面積の当該居住用建物の延べ床面積に対する割合が百分の二十以上百分の五十未満である損害をいう。) 保険金額の百分の三十に相当する金額
   四 居住用建物の
一部損(居住用建物の主要構造部の損害額が当該居住用建物の時価の百分の三以上百分の二十未満である損害をいう。) 保険金額の百分の五に相当する金額
   五 生活用動産の
全損(生活用動産の損害額が当該生活用動産の時価の百分の八十以上である損害をいう。) 保険金額の全額
   六 生活用動産の
大半損(生活用動産の損害額が当該生活用動産の時価の百分の六十以上百分の八十未満である損害をいう。) 保険金額の百分の六十に相当する金額
   七 生活用動産の
小半損(生活用動産の損害額が当該生活用動産の時価の百分の三十以上百分の六十未満である損害をいう。) 険金額の百分の三十に相当する金額
   八 生活用動産の
一部損(生活用動産の損害額が当該生活用動産の時価の百分の十以上百分の三十未満である損害をいう。) 保険金額の百分の五に相当する金額
2 前項各号の「時価」とは、損害の発生する直前の保険の目的のその所在地における価額をいう。
3 第一項第一号から第四号までの居住用建物の主要構造部の損害額には、法第二条第二項第二号に規定する地震等(以下「地震等」という。)による損害が生じた居住用建物の原状回復のため地盤等の復旧に直接必要とされる最小限の費用を含むものとする。
4 地震等を直接又は間接の原因とする地すべりその他の災害による急迫した危険が生じたため居住用建物が居住不能のものとなつたときは、当該居住用建物は、第一項第一号に規定する全損に該当する損害を受けたものとみなす。
5 地震等を直接又は間接の原因とする洪水等による水災が発生したため居住用建物が床上浸水又はこれに準ずる損害で財務省令で定めるものを受けた場合(当該居住用建物が第一項第一号から第四号までに規定する全損、大半損、小半損又は一部損に該当する損害を受けた場合を除く。)には、当該居住用建物は、同号に規定する一部損に該当する損害を受けたものとみなす。」

 とあり、
 地震保険に関する法律施行令第1条1項によれば、居住の用に供する建物も生活用動産も「全損・大半損・小半損・一部損」の4段階に分けられ、この損害区分によって支払われる保険金額が決まっていますから、政令に定められているのは「全損」と「一部損」の2つであるは、誤りです。

 なお、支払う地震保険料は、建物の構造と都道府県によって異なり(東京、千葉などは高く、岩手、鳥取などは安い)、損害区分の認定は損害保険会社が行い、それに従い、100%とか5%とかの契約金額が支払われます。

 改正以前は、全損・半損・一部損の3段階でした。

 


1 ア・イ
2 ア・エ
3 イ・ウ
4 ウ・エ

答え:1 正しいのは、ア と イ 。 

  地震保険からの出題とは、まったく予想していなかった。 選択肢 ア と イ は正しいと分かるが、他の選択肢は、絞り込めない。

  保険用語の「生活用動産」までは、勉強しきれない。
  しかも、この出題が、組み合わせとは、難しい。

《タグ》地震保険 目的 附帯して締結 居住の用に供する建物又は生活用動産のみを保険の目的 損害の区分 全損、大半損、小半損、一部損

問44

【問 44】 区分所有者Aが、自己所有のマンションの専有部分についてBと定期建物賃貸借契約(以下、本問において「本件契約」という。)を締結する場合に関する次の記述のうち、借地借家法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 本件契約は、公正証書によってしなければならない。

X 誤っている。 特に公正証書に限定されない。書面であれば、いい。 
  平成28年 管理業務主任者試験 「問40」 、 平成27年 管理業務主任者試験 「問44」 平成26年 マンション管理士試験 「問12」 、 平成26年 管理業務主任者試験 「問43」 、 平成25年 管理業務主任者試験 「問42」 、 平成24年 管理業務主任者試験 「問43」 、 平成23年 管理業務主任者試験 「問44」 、  平成22年 管理業務主任者試験 「問44」 、平成21年 管理業務主任者試験 「問45」 、 平成20年 管理業務主任者試験 「問43」 など。

  借地借家法からも、例年、1問は出題される。

 まず、定期建物賃貸借契約とは、貸主(大家)と借主(店子)があらかじめ合意した契約期間が満了すると、更新がない建物の賃貸借契約です。
 通常の建物賃貸借契約においては、借主保護の立場から契約の更新拒絶や解約に際して”正当事由が必要”とされていますから、賃貸借関係は、長期になります。しかし、これでは、貸主(大家)から退去を求めることができにくい為、平成12年から、賃貸借期間を定めその後期間の更新をしない旨の特約をすることが認められました。
 定期建物賃貸借契約となると、契約期間は、最長とか最短の制限はなく、何カ月でも何年でも可能です。

 そこで、定期建物賃貸借契約は、借地借家法第38条
 「(定期建物賃貸借)
 第三十八条 
期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第三十条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第二十九条第一項の規定を適用しない。
2 前項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。
3 建物の賃貸人が前項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする。
4 第一項の規定による建物の賃貸借において、期間が一年以上である場合には、建物の賃貸人は、期間の満了の一年前から六月前までの間(以下この項において「通知期間」という。)に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない。ただし、建物の賃貸人が通知期間の経過後建物の賃借人に対しその旨の通知をした場合においては、その通知の日から六月を経過した後は、この限りでない。
5 第一項の規定による居住の用に供する建物の賃貸借(床面積(建物の一部分を賃貸借の目的とする場合にあっては、当該一部分の床面積)が二百平方メートル未満の建物に係るものに限る。)において、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる。この場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から一月を経過することによって終了する。
6 前二項の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。
7 第三十二条の規定は、第一項の規定による建物の賃貸借において、借賃の改定に係る特約がある場合には、適用しない。」

 とあり、
 借地借家法第38条1項によれば、期間の定めがある建物の賃貸借をする場合には、”
公正証書による等書面”によって契約をするときに限り契約の更新がないこととする旨を定めることができますから、特に公正証書でなくても、書面であればよく、公正証書によってしなければならないは、誤りです。


2 本件契約は、期間を1年未満とすることもできる。

〇 正しい。 定期建物賃貸借契約での契約期間は、自由に設定できる。

  選択肢1で説明しましたように、定期建物賃貸借契約での契約期間は、自由に定められ、何ヵ月でも何年でも可能ですから、期間を1年未満とすることもできるは、正しい。


3 本件契約を締結するに当たり、Aが、あらかじめBに対し、期間満了により当該建物の賃貸借が終了し、契約の更新がないことについて書面を交付して説明しなかった場合には、契約の更新がないこととする旨の本件契約の定めは無効となる。

〇 正しい。 賃貸人は、あらかじめ契約の更新がないことを書面で説明しないと、定期建物賃貸借契約は成立しない。

 設問は、選択肢1で引用しました、借地借家法第38条2項及び3項
 「2 
前項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。
3 
建物の賃貸人が前項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする。」
 とあり、
 まず、借地借家法第38条2項によれば、定期建物賃貸借契約を締結するなら、賃貸人はあらかじめ借主に対して、この賃貸借契約は期間が満了すれば、更新がないことを書面で説明する義務があります。
 もし、説明がないと、同条3項により、定期建物賃貸借契約は無効になりますから、大家Aが、あらかじめ借主Bに対し、期間満了により当該建物の賃貸借が終了し、契約の更新がないことについて書面を交付して説明しなかった場合には、契約の更新がないこととする旨の本件契約の定めは無効となるは、正しい。



4 本件契約においては、相互に賃料の増減額請求をすることはできない旨の特約は有効である。

〇 正しい。 定期建物賃貸借契約では、賃料の増減額請求をすることはできない旨の特約は有効。

 家賃の増減交渉は、選択肢1で引用しました借地借家法第38条7項
  「7 
第三十二条の規定は、第一項の規定による建物の賃貸借において、借賃の改定に係る特約がある場合には、適用しない。」
 とあり、
 引用されています借地借家法第32条は、
 
「(借賃増減請求権)
 第三十二条 
建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
2 建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年一割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。
3 建物の借賃の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた建物の借賃の額を超えるときは、その超過額に年一割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。」

 です。
 借地借家法第38条7項によれば、定期建物賃貸借契約においては、相互に借賃増減請求をしないという特約も有効ですから、正しい。



答え:1 

 ここは、選択肢4を知らなくても、選択肢1を選ぶのは易しい。

《タグ》借地借家法 公正証書による等書面 期間は自由 事前に説明すること 家賃を固定することもできる

問45

【問 45】 宅地建物取引業者Aが自ら売主として、宅地建物取引業者ではないB又は宅地建物取引業者Cとの間で、マンションの住戸の売買を行う場合、宅地建物取引業法第35条の規定に基づく重要事項の説明等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 AB間の売買において、Aは、飲用水、電気及びガスの供給並びに排水のための施設の整備の状況について、これらの施設が整備されていない場合、これら施設の整備に関して説明する必要はない。

X 誤っている。 飲用水、電気及びガスの供給並びに排水のための施設の整備の状況が整備されていない場合なら、その整備の見通し及びその整備についての特別の負担に関する事項を説明する。

  平成28年 管理業務主任者試験 「問45」 、平成27年 管理業務主任者試験 「問45」 平成26年 管理業務主任者試験 「問45」 、平成25年 管理業務主任者試験 「問45」 、平成24年 管理業務主任者試験 「問45」 、 平成23年 管理業務主任者試験 「問40」 、平成22年管理業務主任者試験 「問40」 、平成21年管理業務主任者試験 「問40」 、 平成20年管理業務主任者試験 「問40」 など。

 宅地建物取引業法第35条の重要事項の説明からも、もう定番として、出題があるので、しっかりと、改正などには注意しておくこと。

 宅地建物取引業者(不動産屋)がマンションを売ったり、賃貸物件を仲介する場合には、相手方が素人であると、国土交通省の役人が判断して、その契約の前に、宅地建物取引のエキスパートである国家資格を有する宅地建物取引士が素人である相手方に、親切にまた分かりやすく、契約の対象物件の説明を事前にしなさいと云っています。

 説明する概要は、
  1.取引対象不動産の権利関係
  2.取引対象不動産に係る法令上の制限
  3.取引対象不動産の状態やその見込み
  4.契約の条件
 です。
 社会の変化に伴い、説明対象事項も増加し、改正もよく行われますから、注意のこと。


  具体的には、宅地建物取引業法第35条
 「(重要事項の説明等)
 第三十五条 
宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(以下「宅地建物取引業者の相手方等」という。)に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない
     一 当該宅地又は建物の上に存する登記された権利の種類及び内容並びに登記名義人又は登記簿の表題部に記録された所有者の氏名(法人にあつては、その名称)
     二 都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限で契約内容の別(当該契約の目的物が宅地であるか又は建物であるかの別及び当該契約が売買若しくは交換の契約であるか又は貸借の契約であるかの別をいう。以下この条において同じ。)に応じて政令で定めるものに関する事項の概要
     三 当該契約が建物の貸借の契約以外のものであるときは、私道に関する負担に関する事項
     
四 飲用水、電気及びガスの供給並びに排水のための施設の整備の状況(これらの施設が整備されていない場合においては、その整備の見通し及びその整備についての特別の負担に関する事項)
     五 当該宅地又は建物が宅地の造成又は建築に関する工事の完了前のものであるときは、その完了時における形状、構造その他国土交通省令・内閣府令で定める事項
     六 当該建物が建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)第二条第一項に規定する区分所有権の目的であるものであるときは、当該建物を所有するための一棟の建物の敷地に関する権利の種類及び内容、同条第四項に規定する共用部分に関する規約の定めその他の一棟の建物又はその敷地(一団地内に数棟の建物があつて、その団地内の土地又はこれに関する権利がそれらの建物の所有者の共有に属する場合には、その土地を含む。)に関する権利及びこれらの管理又は使用に関する事項で契約内容の別に応じて国土交通省令・内閣府令で定めるもの
     七 代金、交換差金及び借賃以外に授受される金銭の額及び当該金銭の授受の目的
     八 契約の解除に関する事項
     九 損害賠償額の予定又は違約金に関する事項
     十 第四十一条第一項に規定する手付金等を受領しようとする場合における同条又は第四十一条の二の規定による措置の概要
     十一 支払金又は
預り金(宅地建物取引業者の相手方等からその取引の対象となる宅地又は建物に関し受領する代金、交換差金、借賃その他の金銭(第四十一条第一項又は第四十一条の二第一項の規定により保全の措置が講ぜられている手付金等を除く。)であつて国土交通省令・内閣府令で定めるものをいう。第六十四条の三第二項第一号において同じ。)を受領しようとする場合において、同号の規定による保証の措置その他国土交通省令・内閣府令で定める保全措置を講ずるかどうか、及びその措置を講ずる場合におけるその措置の概要
     十二 代金又は交換差金に関する金銭の貸借のあつせんの内容及び当該あつせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置
     十三 当該宅地又は建物の瑕疵(かし) を担保すべき責任の履行に関し保証保険契約の締結その他の措置で国土交通省令・内閣府令で定めるものを講ずるかどうか、及びその措置を講ずる場合におけるその措置の概要
     十四 その他宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護の必要性及び契約内容の別を勘案して、次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める命令で定める事項
       イ 事業を営む場合以外の場合において宅地又は建物を買い、又は借りようとする個人である宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護に資する事項を定める場合 国土交通省令・内閣府令
       ロ イに規定する事項以外の事項を定める場合 国土交通省令
2 宅地建物取引業者は、宅地又は建物の割賦販売(代金の全部又は一部について、目的物の引渡し後一年以上の期間にわたり、かつ、二回以上に分割して受領することを条件として販売することをいう。以下同じ。)の相手方に対して、その者が取得しようとする宅地又は建物に関し、その割賦販売の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、前項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面を交付して説明をさせなければならない。
     一 現金販売価格(宅地又は建物の引渡しまでにその代金の全額を受領する場合の価格をいう。)
     二 割賦販売価格(割賦販売の方法により販売する場合の価格をいう。)
     三 宅地又は建物の引渡しまでに支払う金銭の額及び賦払金(割賦販売の契約に基づく各回ごとの代金の支払分で目的物の引渡し後のものをいう。第四十二条第一項において同じ。)の額並びにその支払の時期及び方法
3 宅地建物取引業者は、宅地又は建物に係る信託(当該宅地建物取引業者を委託者とするものに限る。)の受益権の売主となる場合における売買の相手方に対して、その者が取得しようとしている信託の受益権に係る信託財産である宅地又は建物に関し、その売買の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。ただし、その売買の相手方の利益の保護のため支障を生ずることがない場合として国土交通省令で定める場合は、この限りでない。
     一 当該信託財産である宅地又は建物の上に存する登記された権利の種類及び内容並びに登記名義人又は登記簿の表題部に記録された所有者の氏名(法人にあつては、その名称)
     二 当該信託財産である宅地又は建物に係る都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限で政令で定めるものに関する事項の概要
     三  託財産である宅地又は建物に係る私道に関する負担に関する事項
     四 当該信託財産である宅地又は建物に係る飲用水、電気及びガスの供給並びに排水のための施設の整備の状況(これらの施設が整備されていない場合においては、その整備の見通し及びその整備についての特別の負担に関する事項)
     五 当該信託財産である宅地又は建物が宅地の造成又は建築に関する工事の完了前のものであるときは、その完了時における形状、構造その他国土交通省令で定める事項
     六 当該信託財産である建物が建物の区分所有等に関する法律第二条第一項に規定する区分所有権の目的であるものであるときは、当該建物を所有するための一棟の建物の敷地に関する権利の種類及び内容、同条第四項に規定する共用部分に関する規約の定めその他の一棟の建物又はその敷地(一団地内に数棟の建物があつて、その団地内の土地又はこれに関する権利がそれらの建物の所有者の共有に属する場合には、その土地を含む。)に関する権利及びこれらの管理又は使用に関する事項で国土交通省令で定めるもの
     七 その他当該信託の受益権の売買の相手方の利益の保護の必要性を勘案して国土交通省令で定める事項
4 宅地建物取引士は、前三項の説明をするときは、説明の相手方に対し、宅地建物取引士証を提示しなければならない。
5 第一項から第三項までの書面の交付に当たつては、宅地建物取引士は、当該書面に記名押印しなければならない。
6 次の表の第一欄に掲げる者が
宅地建物取引業者である場合においては、同表の第二欄に掲げる規定の適用については、これらの規定中同表の第三欄に掲げる字句は、それぞれ同表の第四欄に掲げる字句とし、前二項の規定は、適用しない。 

宅地建物取引業者の相手方等 第一項 宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項 少なくとも次に掲げる事項
交付して説明をさせなければ 交付しなければ
第二項に規定する宅地又は建物の割賦販売の相手方 第二項 宅地建物取引士をして、前項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項について、これらの事項 前項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項
交付して説明をさせなければ 交付しなければ

7 宅地建物取引業者は、前項の規定により読み替えて適用する第一項又は第二項の規定により交付すべき書面を作成したときは、宅地建物取引士をして、当該書面に記名押印させなければならない。」
 とあり、
 宅地建物取引業法第35条1項4号
 「
四 飲用水、電気及びガスの供給並びに排水のための施設の整備の状況(これらの施設が整備されていない場合においては、その整備の見通し及びその整備についての特別の負担に関する事項)
 とありますから、飲用水、電気及びガスの供給並びに排水のための施設の整備がされていないなら、その整備の見通し及びその整備についての特別の負担に関する事項として説明が求められていますから、これらの施設が整備されていない場合、これら施設の整備に関して説明する必要はないは、誤りです。



2 AB間の売買において、Aが、Bから預り金を受領しようとする場合、当該預り金について保全措置を講ずるときは、AはBに対して、保全措置を講ずる旨の説明をすれば、その措置の概要については説明する必要はない。

X 誤っている。 預り金があるなら、保全措置と措置の概要は説明する。

 預り金があるなら、選択肢1で引用しました、宅地建物取引業法第35条1項11号、
 「十一 支払金又は
預り金(宅地建物取引業者の相手方等からその取引の対象となる宅地又は建物に関し受領する代金、交換差金、借賃その他の金銭(第四十一条第一項又は第四十一条の二第一項の規定により保全の措置が講ぜられている手付金等を除く。)であつて国土交通省令・内閣府令で定めるものをいう。第六十四条の三第二項第一号において同じ。)を受領しようとする場合において、同号の規定による保証の措置その他国土交通省令・内閣府令で定める保全措置を講ずるかどうか、及びその措置を講ずる場合におけるその措置の概要
 とあり、
 宅地建物取引業法第35条1項11号によれば、預り金があれば、保全措置とその概要は、説明することになっていますから、その措置の概要については説明する必要はないは、誤りです。



3 AC間の売買において、Aは、売買契約締結後のマンションの住戸の引渡しの時期について、書面に記載しなければならない。

X 誤っている。 引渡し時期は、重要事項説明に該当しない。 

 今度の相手Cは、宅地建物取引業者です。
 すると、宅地建物取引業者相互間の取引なら、宅地建物取引業法第78条
 「
(適用の除外)
 第七十八条 この法律の規定は、国及び地方公共団体には、適用しない。
2 第三十三条の二及び第三十七条の二から第四十三条までの規定は、宅地建物取引業者相互間の取引については、適用しない。」

 の規定があります。

 しかし、選択肢1で説明しました、宅地建物取引業法第35条に、住戸の引渡しの時期の規定はないため、書面に記載しなければならないは、誤りです。

 ただし、宅地又は建物(住戸)の引渡しの時期は、宅地建物取引業法第37条での書面の記載事項です。



4 AC間の売買において、Aは、書面の交付を行えば、重要事項の説明を行う必要はない。

〇 正しい。 相手が、宅地建物取引業者なら、宅地建物取引士の説明は不要になった。交付だけでいい。

  重要事項説明について、これまでは相手方等が宅地建物取引業者であっても「宅地建物取引士による説明」が必要とされれていましたが、平成29年4月1日施行の改正により、宅地建物取引業者が宅地又は建物の取得者又は借主となる場合における重要事項説明については、説明は不要で書面交付のみで足りるものとされました(第35条第6項・第7項の新設)。

 そこで、選択肢1で引用しました、宅地建物取引業法第35条6項

 「 6 次の表の第一欄に掲げる者が宅地建物取引業者である場合においては、同表の第二欄に掲げる規定の適用については、これらの規定中同表の第三欄に掲げる字句は、それぞれ同表の第四欄に掲げる字句とし、前二項の規定は、適用しない。
 

(注:第一欄) (注:第二欄) (注:第三欄) (注:第四欄)
宅地建物取引業者の相手方等 第一項 宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項 少なくとも次に掲げる事項
交付して説明をさせなければ 交付しなければ
第二項に規定する宅地又は建物の割賦販売の相手方 第二項 宅地建物取引士をして、前項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項について、これらの事項 前項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項
交付して説明をさせなければ 交付しなければ


 これにより、宅地建物取引業法第35条1項は、
 「宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者 (以下「宅地建物取引業者の相手方等」という。)に対して、 
が宅地建物取引業者である場合においては その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項 少なくとも次に掲げる事項 を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を 交付して説明をさせなければ 交付しなければ ならない。」
 となり、
 宅地建物取引業者間のACの売買において、Aは、書面の交付を行えば、重要事項の説明を行う必要はないは、正しい。



答え:4

 まったく、選択肢4の根拠は、宅地建物取引業法第35条6項を読んでもビンとこなくて、解読に時間がかかった。

 宅地建物取引業法は、平成30年4月1日施行 で、新しく
 第35条第1項第6号の2イ...建物状況調査(インスペクション)の結果の概要に関する重要事項説明
 第35条第1項第6号の2ロ...「書類の保存の状況」に関する重要事項説明
 等が追加されますので、注意してください。

《タグ》宅地建物取引業法 重要事項の説明 説明事項 業者取引の簡便化 

問46


 *注:問46から問50までは、マンション管理士試験か管理業務主任者試験の合格者には免除される部分です。また、この問46から問50は、「マンション管理適正化法」と同指針からの出題と決まっていますので、出題は似たような内容となります。過去問題はやっておくと楽です。

 *マンションの管理の適正化に関する指針(国土交通省告示第490号)は、平成28年3月に改正があったので、注意のこと。

 *勉強の仕方としては、「マンション管理適正化法」と「同施行規則」は、連動して作成されているので、「マンション管理適正化法」と「同施行規則」が左右で対照になったものがあると分かり易い。


【問 46】 次の記述のうち、マンションの管理の適正化に関する指針(平成13年国土交通省告示第1288号)に定められているものはいくつあるか。

ア マンションにおけるコミュニテイ形成は、日常的なトラブルの防止や防災減災、防犯などの観点から重要なものであり、管理組合においても、区分所有法に則り、良好なコミュニティの形成に積極的に取り組むことが望ましい。

〇 定められている。

 平成28年3月の改正で追加された事項。

  設問は、マンションの管理の適正化に関する指針 
 前文、
 「
また、マンションにおけるコミュニティ形成は、日常的なトラブルの防止や防災減災、防犯などの観点から重要なものであり、管理組合においても、建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)に則り、良好なコミュニティの形成に積極的に取り組むことが望ましい。
 とあり、
 マンションの管理の適正化に関する指針に定められています。



イ 管理業務の委託や工事の発注等については、利益相反等に注意して、適正に行われる必要があるが、とりわけ外部の専門家が管理組合の管理者等又は役員に就任する場合においては、マンションの区分所有者等から信頼されるような発注等に係るルールの整備が必要である。

〇 定められている。
 平成28年3月の改正で追加された事項。
 平成29年 マンション管理士試験 「問46」 平成28年 マンション管理士試験 「問46」 

  設問は、マンションの管理の適正化に関する指針 

 「二 マンションの管理の適正化の推進のために管理組合が留意すべき基本的事項
 6 発注等の適正化
 
 管理業務の委託や工事の発注等については、利益相反等に注意して、適正に行われる必要があるが、とりわけ外部の専門家が管理組合の管理者等又は役員に就任する場合においては、マンションの区分所有者等から信頼されるような発注等に係るルールの整備が必要である。」
 とあり、
 マンションの管理の適正化に関する指針に定められています。


ウ 管理組合の管理者等は、維持修繕を円滑かつ適切に実施するため、設計に関する図書等を保管することが重要であり、この図書等について、マンション管理業者の求めに応じ、適時間覧できるようにすることが望ましい。

X 定められていない。 「管理業者の求めに応じる」のではなく、「マンションの区分所有者等の求め」である。
 平成28年3月の改正で、「管理者等」が追加された事項。

 似たような事項は、マンションの管理の適正化に関する指針 
 「二 マンションの管理の適正化の推進のために管理組合が留意すべき基本的事項
  5 長期修繕計画の策定及び見直し等

   管理組合の管理者等は、維持修繕を円滑かつ適切に実施するため、設計に関する図書等を保管することが重要である。また、この図書等について、マンションの区分所有者等の求めに応じ、適時閲覧できるようにすることが望ましい。

 とあり、
 前半の「管理者等は、設計に関する図書等を保管することが重要」は、定められていますが、後半の「
マンション管理業者の求めに応じ、適時間覧できるようにする」は、「マンションの区分所有者等の求めに応じ」ですから、マンションの管理の適正化に関する指針に定められていません。


エ マンションを購入しようとする者は、マンションの管理の重要性を十分認識し、売買契約だけでなく、管理規約、使用細則、管理委託契約、長期修繕計画等管理に関する事項に十分に留意する必要がある。

〇 定められている。
 平成14年 マンション管理士試験 「問48」 

 設問は、マンションの管理の適正化に関する指針
  「三 マンションの管理の適正化の推進のためにマンションの区分所有者等が留意すべき基本的事項等
  
マンションを購入しようとする者は、マンションの管理の重要性を十分認識し、売買契約だけでなく、管理規約、使用細則、管理委託契約、長期修繕計画等管理に関する事項に十分に留意する必要がある。」
 とあり、
 マンションの管理の適正化に関する指針に定められています。



1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ

答え:3 定められているのは、 ア イ エ の3つ。
 

 管理業務主任者試験では、「マンションの管理の適正化に関する指針」からの出題は、1問ありますから、必ず読んでおいてください。
 内容としては、管理組合の責任、区分所有者の責任、管理業者の責任などを明確にすることです。

 個数問題だけど、出題としては、易しい。

《タグ》「マンションの管理の適正化に関する指針」 コミュニテイ形成 管理業務の委託 管理者等の責任 購入者への注意

問47

【問 47】 マンション管理業者が行う、マンション管理適正化法第77条の規定に基づく管理事務の報告に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法によれば、正しいものはどれか。

1 マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれているときは、管理業務主任者(マンション管理適正化法第2条第9号に規定する者をいう。以下同じ。)をして、当該管理者等に対し、当該管理事務に関する報告をさせるとともに、説明会を開催し、区分所有者等に対しても、同様に報告をさせなければならない。

X 誤っている。 管理組合からの管理者等が置かれているときは、説明会の開催はない。
 平成27年 管理業務主任者試験 「問48」 、  平成26年 管理業務主任者試験 「問50」 、 平成24年 マンション管理士試験 「問48」 平成23年 管理業務主任者試験 「問50」 、平成23年 マンション管理士試験 「問50」 

 まず、マンション管理適正化法第77条は、
 「(管理事務の報告)
 第七十七条 マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に
管理者等が置かれているときは、国土交通省令で定めるところにより、定期に、当該管理者等に対し、管理業務主任者をして、当該管理事務に関する報告をさせなければならない。
2 マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に
管理者等が置かれていないときは、国土交通省令で定めるところにより、定期に、説明会を開催し、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等に対し、管理業務主任者をして、当該管理事務に関する報告をさせなければならない。
3 管理業務主任者は、前二項の説明をするときは、説明の相手方に対し、管理業務主任者証を提示しなければならない。

 とあり、
 マンション管理適正化法第77条1項、及び2項での「国土交通省令で定めるところ「」は、同施行規則第88条及び第89条
 「(管理事務の報告)
 第八十八条 マンション管理業者は、法第七十七条第一項の規定により管理事務に関する報告を行うときは、管理事務を委託した
管理組合の事業年度終了後、遅滞なく、当該期間における管理受託契約に係るマンションの管理の状況について次に掲げる事項を記載した管理事務報告書を作成し、管理業務主任者をして、これを管理者等に交付して説明をさせなければならない
   
一 報告の対象となる期間
   二 管理組合の会計の収入及び支出の状況
   三 前二号に掲げるもののほか、管理受託契約の内容に関する事項


 「第八十九条 マンション管理業者は、法第七十七条第二項の規定により管理事務に関する報告を行うときは、管理事務を委託した
管理組合の事業年度の終了後、遅滞なく、当該期間における管理受託契約に係るマンションの管理の状況について前条各号に掲げる事項を記載した管理事務報告書を作成し、法第七十七条第二項に規定する説明会を開催し、管理業務主任者をして、これを当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等に交付して説明をさせなければならない。
2 前項の説明会は、できる限り説明会に参加する者の参集の便を考慮して開催の日時及び場所を定め、管理事務の委託を受けた管理組合ごとに開催するものとする。
3 
マンション管理業者は、前項の説明会の開催日の一週間前までに説明会の開催の日時及び場所について、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等の見やすい場所に掲示しなければならない
 です。
 
 これらにより、管理事務の報告は、纏めると、以下のようになります。

● マンション管理適正化法第77条における管理業務主任者がおこなう管理事務の報告まとめ  
管理組合の態様 報告先  説明会の有無  報告方法  備考 
1.管理組合の理事長(又は法人の理事)が管理者等に選任されている場合 管理者(理事長)等  管理組合の事業年度終了後、遅滞なく、管理業務主任者が管理業務主任者証を提示して行う 管理業務主任者の記名押印は求められていない
2.管理組合の理事長等が管理者に選任されていない場合   
 ア.管理業者が管理者等に選任されている場合 区分所有者等  管理組合の事業年度の終了後、遅滞なく、説明会で、管理業務主任者が管理業務主任者証を提示して行う  説明会の開催の案内は、1週間前までに掲示 
 イ.管理者等が選任されていない場合


 そこで、設問の、「マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれているときは、管理業務主任者をして、当該管理者等に対し、当該管理事務に関する報告をさせる」は、正しいですが、管理組合に管理者等が置かれているときなら、区分所有者に対する説明会の開催は求められていませんから、説明会を開催し、区分所有者等に対しても、同様に報告をさせなければならないは、誤りです。
 全体として、選択肢1は、誤りです。


2 管理事務報告書には、報告の対象となる期間、管理組合の会計の収入及び支出の状況のほか、管理受託契約の内容に関する事項を記載しなければならない。

〇 正しい。
 平成28年 管理業務主任者試験 「問48」 、 平成23年 管理業務主任者試験 「問50」 、 平成23年 マンション管理士試験 「問50」 、 平成20 管理業務主任者試験 「問50」 
 
 管理業務主任者が行う管理事務報告書の記載内容は、選択肢1で引用しました、マンション管理適正化法施行規則第88条
 「(管理事務の報告)
 第八十八条 
マンション管理業者は、法第七十七条第一項の規定により管理事務に関する報告を行うときは、管理事務を委託した管理組合の事業年度終了後、遅滞なく、当該期間における管理受託契約に係るマンションの管理の状況について次に掲げる事項を記載した管理事務報告書を作成し、管理業務主任者をして、これを管理者等に交付して説明をさせなければならない。
   
一 報告の対象となる期間
   二 管理組合の会計の収入及び支出の状況
   三 前二号に掲げるもののほか、管理受託契約の内容に関する事項

 とあり、
 マンション管理適正化法施行規則第88条により、「管理事務報告書には、報告の対象となる期間、管理組合の会計の収入及び支出の状況のほか、管理受託契約の内容に関する事項を記載しなければならない」は、正しい。



3 マンション管理業者による管理事務に関する報告の説明会の開催が必要な場合、当該説明会の参加者の参集の便を十分に考慮した結果であれば、説明会を開催する日時及び場所の掲示を開始する時期は、開催日まで1週間を下回ってもよい。

X 誤っている。 説明会の開催の掲示は、1週間前までであり、下回っていいの規定はない。

 管理組合からの管理者等が置かれてなくて、区分所有者に対する説明会が必要だと、選択肢1で引用しました、マンション管理適正化法施行規則第89条では、
 「第八十九条 マンション管理業者は、法第七十七条第二項の規定により管理事務に関する報告を行うときは、管理事務を委託した管理組合の事業年度の終了後、遅滞なく、当該期間における管理受託契約に係るマンションの管理の状況について前条各号に掲げる事項を記載した管理事務報告書を作成し、法第七十七条第二項に規定する説明会を開催し、管理業務主任者をして、これを当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等に交付して説明をさせなければならない。
2 前項の説明会は、できる限り説明会に参加する者の参集の便を考慮して開催の日時及び場所を定め、管理事務の委託を受けた管理組合ごとに開催するものとする。
3 マンション管理業者は、前項の説明会の開催日の一週間前までに説明会の開催の日時及び場所について、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等の見やすい場所に掲示しなければならない。
 とだけあり、
 マンション管理適正化法施行規則第89条によると、「マンション管理業者による管理事務に関する報告の説明会の開催が必要な場合、当該説明会の参加者の参集の便を十分に考慮した結果であれば、説明会を開催する日時及び場所の掲示を開始する時期は、
開催日まで1週間を下回ってもよい」の規定はないため、誤りです。


4 マンション管理業者は、管理組合の管理者等に対し、管理事務に関する報告を行う際に、管理業務主任者を同席させていれば、管理業務主任者ではない従業者に当該報告をさせることができる。

X 誤っている。 管理事務に関する報告を行うのは、管理業務主任者の仕事。同席しているだけではいけない。

 管理組合からの管理者等が置かれていれば、選択肢1で引用しました、マンション管理適正化法第77条によれば、
 「 「
(管理事務の報告)
 第七十七条 マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれているときは、国土交通省令で定めるところにより、定期に、当該管理者等に対し、管理業務主任者をして、当該管理事務に関する報告をさせなければならない。

 (以下、略)」
 とあり、
 マンション管理適正化法第77条1項によれば、管理事務の報告をするのは、管理業務主任者ですから、「マンション管理業者は、管理組合の管理者等に対し、管理事務に関する報告を行う際に、
管理業務主任者を同席させていれば、管理業務主任者ではない従業者に当該報告をさせることができる」は、誤りです。


答え:2

 基本中の基本で、易しい。

《タグ》マンション管理適正化法 管理業務主任者 管理者等の有無 管理事務に関する報告 説明会 

問48

【問 48】 「マンション」の定義に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 2以上の区分所有者が存する建物であって、人の居住の用に供する専有部分のある建物は、「マンション」に当たらない。

X 誤っている。 2以上の区分所有者が存する建物であって、人の居住の用に供する専有部分のある建物は、「マンション」である

 平成26年 管理業務主任者試験 「問47」 、  平成26年マンション管理士試験 「問47」、 平成22年マンション管理士試験 「問47」平成20年 マンション管理士試験 「問47」、 平成16年管理業務主任者試験 「問46」 平成15年 マンション管理士試験 「問47」

 まず、マンションとは、マンション管理適正化法第2条
 「(定義)
 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号の定めるところによる。
   
一 マンション 次に掲げるものをいう。
     イ 二以上の区分所有者(建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第二条第二項に規定する区分所有者をいう。以下同じ。)が存する建物で人の居住の用に供する専有部分(区分所有法第二条第三項に規定する専有部分をいう。以下同じ。)のあるもの並びにその敷地及び附属施設
     ロ 一団地内の土地又は附属施設(これらに関する権利を含む。)が当該団地内にあるイに掲げる建物を含む数棟の建物の所有者(専有部分のある建物にあっては、区分所有者)の共有に属する場合における当該土地及び附属施設

   二 マンションの区分所有者等 前号イに掲げる建物の区分所有者並びに同号ロに掲げる土地及び附属施設の同号ロの所有者をいう。
   三 管理組合 マンションの管理を行う区分所有法第三条若しくは第六十五条に規定する団体又は区分所有法第四十七条第一項(区分所有法第六十六条において準用する場合を含む。)に規定する法人をいう。
   四 管理者等 区分所有法第二十五条第一項(区分所有法第六十六条において準用する場合を含む。)の規定により選任された管理者又は区分所有法第四十九条第一項(区分所有法第六十六条において準用する場合を含む。)の規定により置かれた理事をいう。
   五 マンション管理士 第三十条第一項の登録を受け、マンション管理士の名称を用いて、専門的知識をもって、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者等の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うことを業務(他の法律においてその業務を行うことが制限されているものを除く。)とする者をいう。
   六 管理事務 マンションの管理に関する事務であって、基幹事務(管理組合の会計の収入及び支出の調定及び出納並びにマンション(専有部分を除く。)の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整をいう。以下同じ。)を含むものをいう。
   七 マンション管理業 管理組合から委託を受けて管理事務を行う行為で業として行うもの(マンションの区分所有者等が当該マンションについて行うものを除く。)をいう。
   八 マンション管理業者 第四十四条の登録を受けてマンション管理業を営む者をいう。
   九 管理業務主任者 第六十条第一項に規定する管理業務主任者証の交付を受けた者をいう。

 とあり、
 マンションとは、マンション管理適正化法第2条1号 イ によると、
  「二以上の区分所有者が存する建物で人の居住の用に供する専有部分のあるもの並びにその敷地及び附属施設」です。
 つまり、マンション管理適正化法でいうマンションとは、
   @2以上の区分所有者がいる建物 で
   A人の居住用の部屋(専有部分)が1つでもあるもの (全戸が事務所や店舗として使用されているものはマンションではない)
  そして、敷地や附属施設も含まれる 
  です。


 
  そこで、設問の、「2以上の区分所有者が存する建物であって、人の居住の用に供する専有部分のある建物」は、「マンション」ですから、「マンションに当たらない」は、誤りです。

 なお、区分所有法の対象は、居住専用に関わらず、全戸が事務所や店舗として使用されている建物も含まれていますから、マンション管理適正化法での「マンション」と混同しないように。



2 2以上の区分所有者が存する建物であって、人の居住の用に供する専有部分のある建物の附属施設は、「マンション」に当たらない。

X 誤っている。 これなら、附属施設も「マンション」である。
 
 マンションの定義は、選択肢1で引用しました、マンション管理適正化法第2条1項 イ 
  「一 マンション 次に掲げるものをいう。
     イ 
二以上の区分所有者(建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第二条第二項に規定する区分所有者をいう。以下同じ。)が存する建物で人の居住の用に供する専有部分(区分所有法第二条第三項に規定する専有部分をいう。以下同じ。)のあるもの並びにその敷地及び附属施設」
 とあり、
 「2以上の区分所有者が存する建物であって、人の居住の用に供する専有部分のある建物の「
附属施設」は、「マンション」ですから、誤りです。


3 団地内において、2以上の区分所有者が存する建物であってその専有部分のすべてを事務所又は店舗の用に供する建物と、専有部分のない建物であって居住の用に供する建物のみからなる、数棟の建物の所有者の共有に属する附属施設は、「マンション」に当たる。

X 誤っている。 これでは、団地の附属施設はマンションといえない。
 平成16年 管理業務主任者試験 「問46」 、 平成13年 管理業務主任者試験 「問46」 

 団地となると、マンションの定義は、選択肢1で引用しました、マンション管理適正化法第2条1項 ロ
 「ロ 
一団地内の土地又は附属施設(これらに関する権利を含む。)が当該団地内にあるイに掲げる建物を含む数棟の建物の所有者(専有部分のある建物にあっては、区分所有者)の共有に属する場合における当該土地及び附属施設
 がマンションです。

 マンション管理適正化法第2条1項 ロ で引用されています「
イに掲げる建物」とは、
  @2以上の区分所有者がいる建物 で
  A人の居住用の部屋(専有部分)1つでもあるもの (全戸が事務所や店舗として使用されているものはマンションではない)
 です。
 逆にいうと、団地では、「イに掲げる建物」が、少なくとも1つはないと(含む)、その共有関係にある土地や附属施設であっても、団地ではないということです。

 分かり難い設問ですが、
 @建物に2以上の区分所有者はいますが、その専有部分のすべてを事務所又は店舗の用に供する建物 では 
人の居住用ではなく
 A専有部分のない建物であって居住の用に供する建物 では、
居住であっても専有部分がないため、
 マンション管理適正化法第2条1項 ロ での「マンション」に該当しないため、「数棟の建物の所有者の共有に属する附属施設」であっても、「マンション」に該当せず、誤りです。



4 団地内において、2以上の区分所有者が存する建物であって人の居住の用に供する専有部分のある建物を含む、数棟の建物の所有者の共有に属する土地は、「マンション」に当たる。

〇 正しい。

 選択肢3で説明しましたように、マンション管理適正化法での団地での「マンション」は、マンション管理適正化法第2条1項 ロ
 「ロ 一団地内の土地又は附属施設(これらに関する権利を含む。)が当該団地内にある
イに掲げる建物を含む数棟の建物の所有者(専有部分のある建物にあっては、区分所有者)の共有に属する場合における当該土地及び附属施設」」
 とあり、
 団地内において、2以上の区分所有者が存する建物であって人の居住の用に供する専有部分のある建物を含む、数棟の建物の所有者の共有に属する土地」なら、「イに掲げる建物」の、
  @2以上の区分所有者がいる建物 で
  A人の居住用の部屋(専有部分)1つでもあるもの (全戸が事務所や店舗として使用されているものはマンションではない)
 を満たしていますから、正しい。


 具体的には、マンションと近隣の戸建てで附属施設の集会所を共に共有しているような団地関係の場合です。


答え:4

 マンション管理適正化法での団地での「マンション」を逆に訊いてきた選択肢3の出題は、面白い。団地関係のかなりの理解度が要求される。それだけ、解説に時間がかかった。
 でも、正解の選択肢4は易しい。

《タグ》マンション管理適正化法 定義 マンションとは 敷地と附属施設 団地

問49

【問 49】 管理業務主任者に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法によれば、正しいものはどれか。

1 マンション管理業者の従業者である管理業務主任者は、その事務を行うに際し、管理業務主任者証を携帯しているため、マンション管理業者の従業者であることを証する証明書の携帯は省略することができる。

X 誤っている。 従業者である管理業務主任者なら、管理業務主任者証と従業者証明証の2つの携帯は必要。

  平成26年 管理業務主任者試験 「問50」 、  平成18年マンション管理士試験 「問48」、 平成18年管理業務主任者試験 「問47」、 平成15年管理業務主任者試験 「問48」 

 まず、管理業務主任者の
管理業務主任者証は、マンション管理適正化法第63条
 「(管理業務主任者証の提示)
 第六十三条 
管理業務主任者は、その事務を行うに際し、マンションの区分所有者等その他の関係者から請求があったときは、管理業務主任者証を提示しなければならない。」

 とあり、
 マンション管理適正化法第63条によれば、管理業務主任者は、その事務を行うに際し、マンションの区分所有者等その他の関係者から請求があったときは、管理業務主任者証を提示しなければならないため、管理業務主任者は、事務を行う際には、常に、管理業務主任者証を携帯していますから、設問の前半は、正しい。


 そして、また、マンション管理業者の従業者である管理業務主任者なら(多くは、そうですが)、マンション管理適正化法第88条
 
「(証明書の携帯等)
 第八十八条 
マンション管理業者は、国土交通省令で定めるところにより、使用人その他の従業者に、その従業者であることを証する証明書を携帯させなければ、その者をその業務に従事させてはならない。
2 マンション管理業者の使用人その他の従業者は、マンションの管理に関する事務を行うに際し、マンションの区分所有者等その他の関係者から請求があったときは、前項の証明書を提示しなければならない。」

 とあり、
 マンション管理適正化法第88条により、マンション管理業者の従業者である管理業務主任者なら、その事務を行うために管理業務主任者証以外に、従業者であることを証する証明証も携帯が義務付けられていますから、マンション管理業者の従業者である管理業務主任者は、その事務を行うに際し、管理業務主任者証を携帯しているため、マンション管理業者の従業者であることを証する証明書の携帯は”省略することができず”、”
省略することができる”は、誤りです。


2 管理業務主任者が、管理業務主任者として行う事務に関し、不正又は著しく不当な行為をし、その情状が特に重いときは、国土交通大臣は、当該管理業務主任者の登録を取り消さなければならない。

〇 正しい。
 平成22年 マンション管理士試験 「問46」 、 平成18年 マンション管理士試験 「問48」 、 平成15年 管理業務主任者試験 「問48」 
 
 まず、管理業務主任者の登録の取消しは、マンション管理適正化法第65条
 
「(登録の取消し)
 第六十五条 国土交通大臣は、管理業務主任者が次の各号のいずれかに該当するときは、
その登録を取り消さなければならない
   一 第五十九条第一項各号(第五号を除く。)のいずれかに該当するに至ったとき。
   二 偽りその他不正の手段により登録を受けたとき。
   三 偽りその他不正の手段により管理業務主任者証の交付を受けたとき。
   
四 前条第一項各号のいずれかに該当し情状が特に重いとき、又は同条第二項の規定による事務の禁止の処分に違反したとき。
2 国土交通大臣は、第五十九条第一項の登録を受けている者で管理業務主任者証の交付を受けていないものが次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消さなければならない。
   一 第五十九条第一項各号(第五号を除く。)のいずれかに該当するに至ったとき。
   二 偽りその他不正の手段により登録を受けたとき。
   三 管理業務主任者としてすべき事務を行った場合(第七十八条の規定により事務所を代表する者又はこれに準ずる地位にある者として行った場合を除く。)であって、情状が特に重いとき。」

 
とあり、
 マンション管理適正化法第65条1項4号で規定される

 「四 前条第一項各号のいずれかに該当し情状が特に重いとき、又は同条第二項の規定による事務の禁止の処分に違反したとき。」

 の前条とは、マンション管理適正化法第64条
 「(指示及び事務の禁止)
 第六十四条 国土交通大臣は、管理業務主任者が次の各号のいずれかに該当するときは、当該管理業務主任者に対し、必要な指示をすることができる。
   一 マンション管理業者に自己が専任の管理業務主任者として従事している事務所以外の事務所の専任の管理業務主任者である旨の表示をすることを許し、当該マンション管理業者がその旨の表示をしたとき。
   二 他人に自己の名義の使用を許し、当該他人がその名義を使用して管理業務主任者である旨の表示をしたとき。
   
三 管理業務主任者として行う事務に関し、不正又は著しく不当な行為をしたとき。
2 国土交通大臣は、管理業務主任者が前項各号のいずれかに該当するとき、又は同項の規定による指示に従わないときは、当該管理業務主任者に対し、一年以内の期間を定めて、管理業務主任者としてすべき事務を行うことを禁止することができる。

 とあり、
 設問の「管理業務主任者が、管理業務主任者として行う事務に関し、不正又は著しく不当な行為」は、マンション管理適正化法第64条1項3号に該当していますから、管理業務主任者が、管理業務主任者として行う事務に関し、不正又は著しく不当な行為をし、その情状が特に重いときは、国土交通大臣は、当該管理業務主任者の登録を取り消さなければならないは、正しい。



3 管理業務主任者は、登録を受けている事項のうち、その住所に変更があった場合には、遅滞なく、その旨を国土交通大臣に届け出るとともに、管理業務主任者証を添えて提出し、その訂正を受けなければならない。

X 誤っている。 管理業務主任者の住所は登録事項だが、”管理業務主任者証の記載事項”ではなくなったので、管理業務主任者証の提出は不要。

 平成27年 管理業務主任者試験 「問49」 、 平成20年 管理業務主任者試験 「問48」 、 平成15年 管理業務主任者試験 「問48」
 

 まず、管理業務主任者として登録を受け記載事項に変更があると、マンション管理適正化法第62条
 「(登録事項の変更の届出等)
 第六十二条 第五十九条第一項の登録を受けた者は、
登録を受けた事項に変更があったときは、遅滞なく、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない
2 管理業務主任者は、前項の規定による届出をする場合において、
管理業務主任者証の記載事項に変更があったときは、当該届出に管理業務主任者証を添えて提出し、その訂正を受けなければならない
 とあり、

 登録を受ける際の「管理業務主任者登録簿の登載事項」は、マンション管理適正化法施行規則第72条
 「(
管理業務主任者登録簿の登載事項
 第七十二条 法第五十九条第二項に規定する国土交通省令で定める事項は、次に掲げるものとする。
   
一 住所
   二 本籍(日本の国籍を有しない者にあっては、その者の有する国籍)及び性別
   三 試験の合格年月日及び合格証書番号
   四 法第五十九条第一項の実務の経験を有する者である場合においては、申請時現在の実務の経験の期間及びその内容並びに従事していたマンション管理業者の商号又は名称及び登録番号
   五 法第五十九条第一項の規定により能力を有すると認められた者である場合においては、当該認定の内容及び年月日
   六 マンション管理業者の業務に従事する者にあっては、当該マンション管理業者の商号又は名称及び登録番号
   七 登録番号及び登録年月日
2 国土交通大臣は、次の各号に掲げる場合には、それぞれ当該各号に掲げる事項を管理業務主任者登録簿に記載するものとする。
   一 法第六十四条第一項の規定による指示又は同条第二項の規定による禁止の処分をした場合 当該指示又は処分をした年月日及びその内容
   二 管理業務主任者証を交付した場合 当該管理業務主任者証の交付年月日、有効期間の満了する日及び発行番号
   三 法第六十条第一項の規定による管理業務主任者証の交付の申請に当たって、次条第二項の修了証明書又は同項の講習の課程を修了したことを証する書類が添付されている場合 当該修了証明書又は書類に係る講習の修了年月日及び講習を行った機関の氏名又は名称
3 管理業務主任者登録簿の様式は、別記様式第二十号によるものとする。

 とあり、
 住所の変更は、マンション管理適正化法施行規則第72条1項1号に該当し、「管理業務主任者登録簿の登載事項」ですから、設問の前半「管理業務主任者は、登録を受けている事項のうち、その住所に変更があった場合には、遅滞なく、その旨を国土交通大臣に届け出るは、正しい。


 しかし、設問の後半の「管理業務主任者証」の記載事項は、マンション管理適正化法施行規則第74条
 「(管理業務主任者証の記載事項)
 第七十四条 法第六十条第一項の国土交通省令で定める事項は、次のとおりとする。
   一 登録番号及び登録年月日
   二 管理業務主任者証の交付年月日
   三 管理業務主任者証の有効期間の満了する日
2 管理業務主任者証の様式は、別記様式第二十二号によるものとする。

 
 

 とあり、
 平成27年の改正前には、管理業務主任者証に”
住所の記載”があったのですが、個人情報保護の必要性から、住所欄は削除されましたから、管理業務主任者証の記載事項ではなくなり、マンション管理適正化法第62条2項
 「2 管理業務主任者は、前項の規定による届出をする場合において、
管理業務主任者証の記載事項に変更があったときは、当該届出に管理業務主任者証を添えて提出し、その訂正を受けなければならない。」に該当しませんから、管理業務主任者証を添えて提出し、その訂正を受けなければならないは、誤りです。


4 管理業務主任者は、管理業務主任者証の亡失によりその再交付を受けた後において、亡失した管理業務主任者証を発見したときは、速やかに、発見した管理業務主任者証を廃棄しなければならない。

X 誤っている。 管理業務主任者証の再交付後、出てきたら「返納」する。廃棄ではない。
 平成16年 管理業務主任者試験 「問49」 

 管理業務主任者証を無くしたら、マンション管理適正化法施行規則第77条
 「 (管理業務主任者証の再交付等)
 第七十七条 管理業務主任者は、管理業務主任者証を亡失し、滅失し、汚損し、又は破損したときは、国土交通大臣に管理業務主任者証の再交付を申請することができる。
2 前項の規定による再交付を申請しようとする者は、管理業務主任者証用写真を添付した別記様式第二十五号による管理業務主任者証再交付申請書を提出しなければならない。
3 汚損又は破損を理由とする管理業務主任者証の再交付は、汚損し、又は破損した管理業務主任者証と引換えに新たな管理業務主任者証を交付して行うものとする。
4 管理業務主任者は、管理業務主任者証の亡失によりその再交付を受けた後において、亡失した管理業務主任者証を発見したときは、速やかに、発見した管理業務主任者証を国土交通大臣に返納しなければならない
 とあり、
 マンション管理適正化法施行規則第77条4項によれば、管理業務主任者証の再交付を受けた後に、無くした管理業務主任者証見つけると”
返納”することになっていますから、「管理業務主任者は、管理業務主任者証の亡失によりその再交付を受けた後において、亡失した管理業務主任者証を発見したときは、速やかに、発見した管理業務主任者証を廃棄しなければならない」の「廃棄」は、誤りです。

 廃棄では、各個人が行うので、本当に廃棄したかが分からないでしょう。


答え:2

  管理業務主任者証の記載事項での改正を知っていれば、解答は易しい。

《タグ》マンション管理適正化法 管理業務主任者 従業員証 管理業務主任者証 登録の取消 記載事項 再発行 
返納

問50

【問 50】 マンション管理業者であるAが、管理組合であるBに、マンション管理適正化法第73条の規定に基づき、同条第1項各号に定める事項を記載した書面(以下、本問において「契約の成立時の書面」という。)の交付を行う場合に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法によれば、正しいものはどれか。なお、Bには管理者が置かれており、当該管理者はAではないものとする。

1 Aは、Bと新たに管理受託契約を締結したが、その契約の成立時の書面をBの管理者にのみ交付した。

〇 正しい。 管理組合からの管理者が置かれていれば、契約の成立時の書面の交付は、管理者でいい。
  平成27年 管理業務主任者試験 「問47」 、 平成26年 管理業務主任者試験 「問50」平成23年 管理業務主任者試験 「問48」 、平成20年 管理業務主任者試験 「問49」 、平成18年 管理業務主任者試験 「問49」 、平成16年 管理業務主任者試験 「問50」 、平成15年 管理業務主任者試験 「問48」

 まず、マンション管理適正化法第73条とは、
 「(契約の成立時の書面の交付)
 第七十三条 
マンション管理業者は、管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする契約を締結したときは、当該管理組合の管理者等(当該マンション管理業者が当該管理組合の管理者等である場合又は当該管理組合に管理者等が置かれていない場合にあっては、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等全員)に対し、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない
   一 管理事務の対象となるマンションの部分
   二 管理事務の内容及び実施方法(第七十六条の規定により管理する財産の管理の方法を含む。)
   三 管理事務に要する費用並びにその支払の時期及び方法
   四 管理事務の一部の再委託に関する定めがあるときは、その内容
   五 契約期間に関する事項
   六 契約の更新に関する定めがあるときは、その内容
   七 契約の解除に関する定めがあるときは、その内容
   八 その他国土交通省令で定める事項
2 マンション管理業者は、前項の規定により交付すべき書面を作成するときは、管理業務主任者をして、当該書面に記名押印させなければならない。

 とあり、
 マンション管理適正化法第73条1項により、管理組合には、管理業者でない管理者が置かれていますから、A(管理業者)は、B(管理組合)と新たに管理受託契約を締結したが、その契約の成立時の書面をBの管理者にのみ交付したは、正しい。



2 Aは、Bと従前の管理受託契約と同一の条件で契約を更新したが、当該更新契約に係る契約の成立時の書面を新たに交付せずに、Bの管理者に対して、従前の管理受託契約を締結した際の契約の成立時の書面の写しのみを交付した。

X 誤っている。 従前と同様の契約内容でも、新しく契約に係る契約の成立時の書面を管理者に交付すること。

 選択肢1で引用しました、マンション管理適正化法第73条によれば、従前と同一であっても、契約時には、新しく契約の成立時の書面を交付することになっていますから、「当該更新契約に係る契約の成立時の書面を新たに交付せずに、Bの管理者に対して、従前の管理受託契約を締結した際の契約の成立時の書面の写しのみを交付した」は、誤りです。


3 Aは、Bと新たに管理受託契約を締結したが、Bが新築マンションの管理組合であり、当該契約が当該マンションの建設工事完了の日から1年を経過する日までの間に契約期間が満了するものであったので、Bの管理者に対し、契約の成立時の書面を交付しなかった。

X 誤っている。  重要事項の説明なら、省けることもあるが、契約の成立時の書面の交付では、管理者への交付は必要。

  
 選択肢1で引用しました、マンション管理適正化法第73条によれば、新築マンションであっても、マンション管理業者は、管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする契約を締結したときは、当該管理組合の管理者等に対し、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならなりませんから、Aは、Bと新たに管理受託契約を締結したが、Bが新築マンションの管理組合であり、当該契約が当該マンションの建設工事完了の日から1年を経過する日までの間に契約期間が満了するものであったので、Bの管理者に対し、契約の成立時の書面を交付しなかったは、誤りです。

 似たような規定は、マンション管理適正化法第72条の「重要事項の説明」にはありますが。


4 Aは、Bと新たに管理受託契約を締結したことから、契約の成立時の書面を作成したが、その際に、Aの従業者である管理業務主任者Cの記名押印ではなく、Cの管理業務主任者証の写しを添付してBの管理者に交付した。

X 誤っている。 契約の成立時の書面には、管理業務主任者の記名押印は必要。 管理業務主任者証の写しを添付ではいけない。


 全く、設問がふざけているようで、答えも真面目にできませんが、選択肢1で引用しました、マンション管理適正化法第73条2項
 「
2 マンション管理業者は、前項の規定により交付すべき書面を作成するときは、管理業務主任者をして、当該書面に記名押印させなければならない。
 とあり、
 マンション管理適正化法第73条2項によれば、契約の成立時の書面には、管理業務主任者の
記名押印が必要で、管理業務主任者証の写しを添付では、誤りです。


答え:

  易しい。

《タグ》 マンション管理適正化法 契約の成立時の書面の交付 管理者が置かれている場合 管理業務主任者の記名押印

ここまで、問50


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2018年 3月 9日:再度見直して、「問27」 の選択肢1の「6ヵ月から1年」を「1年から3年」に訂正した。

2018年 2月26日:どうやら、管理業務主任者試験の解説も全部終わった。
マンション管理士試験の解説を始めたのが、昨年(2017年)の12月だから、マンション管理士・管理業務主任者試験の解説に、約3ヵ月かかっている。
受験生の良き参考書となることを期待して、提供します!

2018年 2月 2日:「問46」から「問50」などは終わった。
これで、「問1」から解説する。

2018年 1月17日:解説開始。
問題文Up:2017年12月14日

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