マンション生活での相談は、「マンション管理士 香川事務所」へ。

平成24年 管理業務主任者 試験問題 及び 解説

ページ1(問1より問25まで)

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「マンション管理士 香川事務所」より 謝辞:問題文の作成にあたっては、佐々木様、高木様 および 山崎様の協力を頂いています。

ご質問は、 「マンション管理士 香川事務所」へ。


*注: マンション標準管理規約(単棟型、団地型、複合用途型)は、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。

 また、マンションの管理の適正化に関する指針も、平成28年3月に改正があり、当解説においては、未対応ですから、注意してください。


※ 出題当時以後の法令等の改正には、一部は対応していません。

*試験に臨んで、お節介なアドバイス
  1.設問にあわせて、問題用紙に ○(まる)、X(ばつ)をつける。
    殆どの設問が、「正しい」か「間違い」かを訊いてきますので、設問により、問題の頭に、○かXをつけます。
    そして、各選択肢を読み、○かXをつけます。
    問題の○なりXと、選択肢の○かXが一致したものを、マークシートに記入してください。

  2.疑問な問題は、とりあえず飛ばす。
    回答の時間は限られています。
    そこで、回答として、○かXかはっきりしないものがでたら、「?」マークをつけて、次の問題に移ります。
    全部の回答が終わってから、再度戻って決定してください。

  3.複雑な問は、図を描く。
    甲、乙、A、B、Cなど対象が多い問題もでます。
    この場合、問題用紙の空いているところに、図を描いてください。
    重要な点が分かってきます。

(出題者からの注意) 1.答は、各問題とも1つだけです。 2つ以上の解答をしたもの、判読が困難なものは、正解としません。
  2. 問題中の法令等に関する部分は、平成24年4月1日現在で施行されている規定に基づいて出題されています。

解説者からのコメント:あやふやな出題、適切でない出題もあって、解答ができないのもあります。

※  マンション標準管理規約は、平成16年に改正があった。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。
   マンション標準管理委託契約書は、平成15年に改正があった。また、平成22年5月にも改正があった。

問1

【問 1】 マンション(マンションの管理の適正化の推進に関する法律(平成12年法律第149号。以下「マンション管理適正化法」という。)第2条第1 号に規定するものをいう。以下同じ。)の管理組合A (以下本問において「A」という。)の理事長(管理者) B (以下本問において「B」という。)が、マンション管理業者(マンション管理適正化法第2条第8号に規定する者をいう。以下同じ。) C (以下本問において「C」という。)との問で管理委託契約(以下本問において「本件契約」という。)を締結する場合に関する次の記述のうち、民法及び建物 の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号。以下「区分所有法」という。)の規定によれば、正しいもののみの組合せはどれか。なお、 Aは管理組合法人ではない。

ア Bは、当該マンションの区分所有者を代理して本件契約を締結する。

○ 正しい。 ここは、過去から出題は多い。 平成22年 マンション管理士試験 「問6」 、 平成22年 管理業務主任者試験 「問3」 、平成22年 管理業務主任者試験 「問37」 、平成21年 マンション管理士試験 「問4」 、平成21年 マンション管理士試験 「問9」 、平成20年 マンション管理士試験 「問4」 など。
 まず、過去問題をやってきた人には、毎度の説明ですが、建物 の区分所有等に関する法律(以下、当解説では、区分所有法といいます)では、法律用語として「マンション」の定義がありません。しかし、マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下、当解説では、マンション管理適正化法といいます)第2条では、以下のように定義されていますので、マンションの用語を試験で使用する際には設問のような「マンション(マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下「マンション管理適正化法」という。)第2条第1号に規定するマンションをいう」の表現が使用されます。
 そこで、マンション管理適正化法第2条1号とは、
 「(定義) 
  第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号の定めるところによる。
     一  
マンション 次に掲げるものをいう。
       イ 二以上の区分所有者(建物の区分所有等に関する法律 (昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第二条第二項 に規定する区分所有者をいう。以下同じ。)が存する建物で人の居住の用に供する専有部分(区分所有法第二条第三項 に規定する専有部分をいう。以下同じ。)のあるもの並びにその敷地及び附属施設
       ロ 一団地内の土地又は附属施設(これらに関する権利を含む。)が当該団地内にあるイに掲げる建物を含む数棟の建物の所有者(専有部分のある建物にあっては、区分所有者)の共有に属する場合における当該土地及び附属施設」
 です。これによれば、「マンション」であるための要件は、
    
@2人以上の区分所有者 がいて、 
    A人の居住用の専有部分が1つでもあればいい
 
 です。マンションの建物には、専有部分と共用部分しかなく、そして、マンションは専有部分と共用部分を含んだ建物と敷地及び附属施設の全体的なものであることに注意してください。

 そして、同じく「マンション管理業者」とは、マンション管理適正化法第2条7号
 「七  マンション管理業 管理組合から委託を受けて管理事務を行う行為で業として行うもの(マンションの区分所有者等が当該マンションについて行うものを除く。)をいう。 」
 です。
 また、複数の人物が登場している設問は、図を描いて誰がどの位置にあるのかを確認してください。


 そこで、設問に戻りますが、管理者(理事長)の権限は、区分所有法第26条
 「(権限)
  第二十六条  管理者は、共用部分並びに第二十一条に規定する場合における当該建物の敷地及び附属施設(次項及び第四十七条第六項において「共用部分等」という。)を保存し、集会の決議を実行し、並びに規約で定めた行為をする権利を有し、義務を負う。
    2  
管理者は、その職務に関し、区分所有者を代理する。第十八条第四項(第二十一条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様とする。
    3  管理者の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
    4  管理者は、規約又は集会の決議により、その職務(第二項後段に規定する事項を含む。)に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる。
    5  管理者は、前項の規約により原告又は被告となつたときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならない。この場合には、第三十五条第二項から第四項までの規定を準用する。」
 とあり、
 いきなり「B(管理者)は、当該マンションの区分所有者を代理して本件契約を締結する」では、集会(総会)の決議は、どうなっているのかという疑問があり、B(管理者)が、集会の決議を経ないで、自分の独断で勝手に管理業者と管理組合の管理委託契約をするなら、そこまでは、管理者の職務として入っていないということもいえますが、出題者の頭脳では、区分所有法第26条2項の「2  管理者は、その職務に関し、区分所有者を代理する。」を想定しただけのようですから、一応正しいとします。なお、Aは管理組合法人でないという設問にも注意のこと。法人だと、区分所有者を代理しているのは...



イ Bに本件契約の締結につき要素の錯誤があった場合には、 Aは本件契約を取り消すことができるが、ただし、 Bに過失があったときには取り消すことができない。

X 誤っている。 要素の錯誤は無効。取消ではない。 平成23年 管理業務主任者試験 「問1」 、平成23年 マンション管理士試験 「問18」 、平成22年 管理業務主任者試験 「問6」 、 平成20年 管理業務主任者試験 「問2」 、平成17年 管理業務主任者試験 「問2」 、 平成15年 管理業務主任者試験 「問2」 。
  契約の締結につき
要素の錯誤(意思表示の内容で重要な部分に、内心の意思と一致しないこと)があった場合となると、今度は、民法第95条
 「(錯誤)
  第九十五条  
意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。 」
 とあり、
 無効となり最初から法律効果がありませんから、誤りです。(なお、取り消しの場合は、その法律行為は取り消しがあるまでは、有効です。)



ウ Bが、 Cの代表者である場合には、 Bは集会の承認を得なければ本件契約を締結することができない。

○ 正しい。 平成23年 管理業務主任者試験 「問1」 、平成22年 管理業務主任者試験 「問4」 。
 ある組織の代表者が、取引をする相手方とも関係があると、その組織にとって不利益になるため、このような行為は利益相反行為と呼ばれ、禁止されます。
 それは、民法第108条
 「(自己契約及び双方代理)
  第百八条  
同一の法律行為については、相手方の代理人となり、又は当事者双方の代理人となることはできないただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。」
 とあり
 設問の場合、ただし書きにあるように本人(区分所有者たち)により集会(総会)で承認されれば、契約を締結することができますから、正しい。


エ Bが、理事長(管理者)に選任された後、後見開始の審判を受け、その後に本件契約を締結した場合であっても、本件契約は有効に成立する。

X 誤っている。 平成23年 管理業務主任者試験 「問5」 、 平成20年 マンション管理士試験 「問13」 。
 まあ、最初から、精神のおかしな人を理事長には選ばないでしょうから、時間の経過に注意してください。後見開始の審判は、民法第7条
 「(後見開始の審判)
  第七条  精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。 」
 とあり、
 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況(法律行為の結果を判断できない精神能力)だと、該当します。すると、その該当者は、民法第8条
 「(成年被後見人及び成年後見人)
  第八条  後見開始の審判を受けた者は、成年被後見人とし、これに成年後見人を付する。」
 とあり、
  成年被後見人となります。成年被後見人の法律行為は、民法第9条
 「(成年被後見人の法律行為)
  第九条  
成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。」
 とあり、
 成人被後見人が締結した管理委託契約は取り消すことができますから、誤りです。


 2015年 1月14日:追記。ここは、民法第111条
 「(代理権の消滅事由)
 第百十一条  代理権は、次に掲げる事由によって消滅する。
     一  本人の死亡
     二  代理人の死亡又は代理人が破産手続開始の決定若しくは後見開始の審判を受けたこと。
   2  委任による代理権は、前項各号に掲げる事由のほか、委任の終了によって消滅する。」 とあり、
 1項2号「 代理人(理事長)の後見開始の審判を受けたこと」により、代理権消滅後の行為は、無権代理となるととらえることもできるが、設問の内容では、契約の相手方の善意無過失も不明で、判断が難しくなる(福地様、ご指摘有難うございます。)



1 ア・イ
2 ア・ウ
3 イ・エ
4 ウ・エ
 

答え:2 (正しいのは、 ア と ウ ) (第1問から組み合わせが出題されるとは。解答に当たっては、択一よりも精度が求められます。)

*区分所有法については、私の別途のサイト 「超解説 区分所有法」 もありますから、そちらも参考にしてください。


★ 平成24年の管理業務主任者試験では、「問6」 がもめているようですから、先に 「問6」 をやります。
問2

【問 2】 マンションの管理組合A (以下本問において「A」という。)が、管理委託契約を締結しているマンション管理業者B (以下本問において「B」という。)に対して、郵便により、ある事項についての意思表示を通知した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1  Aの意思表示は、その通知がBに到達した時からその効力が生ずるので、その通知の到達前に、 Aが当該意思表示を撤回すれば、意思表示の効力は生じない。

○ 正しい。
 意思が相手方に伝わるまでには、いろいろと見解がありますが、@意思を持ち(表白)、Aその意思を外部に出し(発信)、 B相手方に伝わり(到着)、C相手が知る(了知)といった段階を経ます。
 相手方が眼の前にいる場合には、すぐに、相手に伝わりますから、あまり時間的な問題はないのですが、設問のような郵便を利用するような場合には、相手に伝わるまで時間がかかりますから、相手に到着する前に、気分が変わることもあり得ます。その場合の効力はどうするかは、民法第97条
 「(隔地者に対する意思表示)
  第九十七条  
隔地者に対する意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる
    2  隔地者に対する意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、又は行為能力を喪失したときであっても、そのためにその効力を妨げられない。 」
 とあり、
 1項により、その通知が相手方に到達した時からその効力を生じますから、その通知の到達前に、 Aが当該意思表示を撤回すれば、意思表示の効力は生じませんので、正しい。これは、到達主義と呼ばれます。
 なお、民法第526条
 「(隔地者間の契約の成立時期)
  第五百二十六条  隔地者間の契約は、承諾の通知を発した時に成立する。
    2  申込者の意思表示又は取引上の慣習により承諾の通知を必要としない場合には、契約は、承諾の意思表示と認めるべき事実があった時に成立する。」
 との違いも勉強しておいてください。



2 意思表示を通知したAの理事長(管理者)が、通知を発した後に死亡したときであっても、その意思表示の効力は失われない。

○ 正しい。
  意思表示を通知したAの理事長(管理者)が、通知を発した後に死亡したときは、選択肢1で引用しました民法第97条2項
 「2  
隔地者に対する意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、又は行為能力を喪失したときであっても、そのためにその効力を妨げられない」とありますから、正しい。


3 意思表示を通知したAの理事長(管理者)が、通知を発した後に行為能力を喪失したときは、その意思表示の効力は失われる。

X 誤っている。
 意思表示を通知したAの理事長(管理者)が、通知を発した後に行為能力を喪失したときは、選択肢1で引用しました民法第97条2項
 「2  
隔地者に対する意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、又は行為能力を喪失したときであっても、そのためにその効力を妨げられない」とありますから、その意思表示の効力はありますから、誤りです。


4 Aの意思表示が契約の申込みであった場合に、その申込みの通知がBに到達した後にBが承諾の通知を発したときは、承諾の通知を発した時に契約は成立する。

○ 正しい。
 おっと、選択肢1で先走ってしまいましたが、契約の申し込みに対する承諾は、民法第526条
 「(隔地者間の契約の成立時期)
  第五百二十六条  
隔地者間の契約は、承諾の通知を発した時に成立する
    2  申込者の意思表示又は取引上の慣習により承諾の通知を必要としない場合には、契約は、承諾の意思表示と認めるべき事実があった時に成立する。」
 とあり、
 1項により、承諾の通知を発した時に成立しますので正しい。これは、発信主義と呼ばれます。



答え:3 (ここは、易しい。)

問3

【問 3】 マンションの管理費の支払債務と時効に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 区分所有者が、管理組合に対して負う管理費の支払債務について、管理組合が区分所有者に対しその遅滞につき支払いの催告を行っても、催告後、 6箇月以内に裁判上の請求など一定の行為をしなければ、時効中断の効力が生じない。

○ 正しい。 時効中断の出題は、もう多すぎるほどある。 平成23年 管理業務主任者試験 「問10」 、 平成22年 マンション管理士試験 「問7」 、 平成21年 管理業務主任者試験 「問11」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問13」 、 平成20年 管理業務主任者試験 「問11」 、 平成19年 管理業務主任者試験 「問10」 、 平成18年 管理業務主任者試験 「問10」 、 平成17年 管理業務主任者試験 「問10」 、 平成16年 管理業務主任者試験 「問11」 、 平成15年 管理業務主任者試験 「問10」 、 平成14年 マンション管理士試験 「問11」 、平成14年 管理業務主任者試験 「問2」 。
 時効の中断を定めているのは、民法第147条
 「(時効の中断事由)
  第百四十七条  時効は、次に掲げる事由によって中断する。
       一  請求
       二  差押え、仮差押え又は仮処分
       三  承認」
 とあり、
 設問の支払いの催告は、民法第153条
 「(催告)
  第百五十三条  
催告は、六箇月以内に、裁判上の請求、支払督促の申立て、和解の申立て、民事調停法 若しくは家事審判法 による調停の申立て、破産手続参加、再生手続参加、更生手続参加、差押え、仮差押え又は仮処分をしなければ、時効の中断の効力を生じない。」
 とあり、
 催告(債務者に対して履行を請求する)だけでは、時効は中断しません。催告後、 6箇月以内に裁判上の請求など一定の行為をしなければ、時効中断の効力が生じませんから、正しい。



2 区分所有者が、管理組合に対して負う管理費の支払債務が時効により消滅した場合には、管理費の支払いの遅滞によって発生した遅延損害金も消滅する。

○ 正しい。 平成16年 管理業務主任者試験 「問4」 。
 支払い債務が時効により消滅すると民法第144条
 「(時効の効力)
  第百四十四条  
時効の効力は、その起算日にさかのぼる。」
 とあり、
 主たる債権が時効により消滅すれば、利息やそれに伴う従たる遅延損害金なども消滅しますから、正しい。なお、管理費や修繕積立金の消滅時効は、”5年”であることは注意してください。
 参考:民法第87条2項。主物ー従物の関係。
 「(主物及び従物)
  第八十七条  物の所有者が、その物の常用に供するため、自己の所有に属する他の物をこれに附属させたときは、その附属させた物を従物とする。
    2  従物は、主物の処分に従う。」



3 区分所有者が、管理組合に対して管理費を支払わないまま10年間又は20年間にわたり共用部分の占有を継続した場合でも、その事実だけで当該共用部分の所有権を時効取得できるわけではない。

○ 正しい。 平成19年 管理業務主任者試験 「問5」 、 平成18年 管理業務主任者試験 「問3」 。
 所有権の取得時効となると、民法第162条
 「(所有権の取得時効)
  第百六十二条  二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
    2  
十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。」
 とあり、
 善意・無過失なら、2項により10年間、他の場合なら1項により20年間他人の物を占有していると、その他人の物でも、自分の物とできるのですが、ここで、裁判でも問題になってきたのが「所有の意思をもって」の解釈です。
 「所有の意思」とは、所有者として占有(自主占有)する意思であって、例えば、賃借人が賃貸関係を継続していても、そのままでは所有権を取得できないという判決( 最高裁:昭和45年6月18日 )などから、設問の、10年間又は20年間にわたり共用部分の占有を継続した場合でも、その事実だけで当該共用部分の所有権を時効取得できるわけでないは、正しいとなります。
 


4 区分所有者が、管理組合に対して負う管理費の支払債務について、区分所有者は時効の利益をあらかじめ放棄することを規約に定めておくことができる。

X 誤っている。 時効の利益は、あらかじめ放棄できません。 平成23年 管理業務主任者試験 「問11」 、 平成17年 マンション管理士試験 「問15」 。
 時効の利益の放棄は、民法第146条
 「(時効の利益の放棄)
  第百四十六条  
時効の利益は、あらかじめ放棄することができない。」
 とあり、
 あらかじめ時効の利益を放棄するとは、例えば、契約時の条項に「時効が完成しても主張しません」とかを規定することです。このような事前に時効を放棄することができると、事実関係を尊重して時効制度を認めた法体系の趣旨に反するとして、この規定がありますから、誤りです。(詳細は、時効制度を含めて、自分で勉強して下さい。)


答え:4 (ここも、易しい。)

問4

【問 4】 区分所有法に定める管理者の権利義務に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 管理者が、職務を行うに当たって費用を要するときであっても、区分所有者に対して、その費用の前払を請求することはできない。

X 誤っている。 できる。  管理者の権利義務は、 平成19年 マンション管理士試験 「問26」 、 平成16年 管理業務主任者試験 「問33」 、 平成14年 マンション管理士試験 「問2」 、 平成13年 マンション管理士試験 「問7」 。 
 管理者が、職務を行うに当たって費用を要するときとなると、委任の規定が該当すると分かると解答も早い。
 先ず区分所有法第28条
 「(委任の規定の準用)
  第二十八条  
この法律及び規約に定めるもののほか、管理者の権利義務は、委任に関する規定に従う。」
 とあり、
 民法の委任の規定(第643条〜第656条)が適用され、 管理者(=受任者)が職務を行うに当たって費用を要するときは、民法第649条
 「(受任者による費用の前払請求)
  第六百四十九条  
委任事務を処理するについて費用を要するときは、委任者は、受任者の請求により、その前払をしなければならない。 」
 とあり、
 管理者(受任者)は、委任者である区分所有者に対して、費用の前払を請求できますから、誤っています。




2 管理者は、その職務上受け取った金銭その他の物を区分所有者に引き渡さなければならない。

○ 正しい。 
  管理者(=受任者)に、その職務上受け取った金銭その他の物がある場合も選択肢1で引用しました、区分所有法第28条により、民法の委任の適用となり、民法第646条
 「(受任者による受取物の引渡し等)
  第六百四十六条  
受任者は、委任事務を処理するに当たって受け取った金銭その他の物を委任者に引き渡さなければならない。その収取した果実についても、同様とする。
    2  受任者は、委任者のために自己の名で取得した権利を委任者に移転しなければならない。」
 とあり、
 1項により、管理者は、その職務上受け取った金銭その他の物を区分所有者に引き渡さなければなりませんから、正しい。



3 管理者は、その職務を行うに当たって必要と認められる費用を支出したときは、区分所有者に対して、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。

○ 正しい。
 管理者(受任者)は、その職務を行うに当たって必要と認められる費用を支出したときも、選択肢1で引用しました、区分所有法第28条により、民法の委任の適用となり、民法第650条
 「(受任者による費用等の償還請求等)
  第六百五十条  
受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる
    2  受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる債務を負担したときは、委任者に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求することができる。この場合において、その債務が弁済期にないときは、委任者に対し、相当の担保を供させることができる。
   3  受任者は、委任事務を処理するため自己に過失なく損害を受けたときは、委任者に対し、その賠償を請求することができる。」
 とあり、
 1項により、正しい。



4 管理者が、その職務を行うため自己に過失なく損害を受けたときは、区分所有者に対して、その賠償を請求することができる。 

○ 正しい。
 管理者(受任者)が、その職務を行うため自己に過失なく損害を受けたときも、選択肢1で引用しました、区分所有法第28条により、民法の委任の適用となり、選択肢3で引用しました民法第650条3項
 「3  
受任者は、委任事務を処理するため自己に過失なく損害を受けたときは、委任者に対し、その賠償を請求することができる。 」とあり、正しい。


答え:1 (ここは、民法の委任を知っていれば、解答は早い。)

問5

【問 5】 AのBに対する金銭債務に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 AのBに対する金銭債務について、 Cが同債務を保証するための保証契約の当事者は、 AとCである。

X 誤っている。 平成16年 管理業務主任者試験 「問6」 。
 AのBに対する金銭債務では、設問がはっきりしないでしょうから、図にすると、下の関係です。
 
  保証契約は、民法第446条
 「(保証人の責任等)
  第四百四十六条  保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
    2  保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。
    3  保証契約がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。」
 とあり、
 保証契約の当事者は、大正6年9月25日の大審院の判例によると、保証人Cと債権者Bの契約とされ、債務者Aと保証人Cとの契約ではありませんから、誤りです。



2 AのBに対する金銭債務について、 Cが連帯債務者となった場合に、 Cは、 Bに対して自己の負担部分についてのみ弁済の責任を負う。

X 誤っている。 連帯保証人は全部の履行をする。 平成20年 マンション管理士試験 「問15」 、 平成20年 管理業務主任者試験 「問1」 。
 保証人と違い、連帯債務者となると、民法第432条
 「(履行の請求)
  第四百三十二条  
数人が連帯債務を負担するときは、債権者は、その連帯債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次にすべての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができる。」
 とあり、
 債権者Bは、すべての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができますから、連帯保証人Cも、 債権者Bに対して自己の負担部分についてのみの弁済の責任だけではなく、全部の履行責任を負いますから、誤りです。



3 AのBに対する金銭債務について、 Cが連帯保証人となった場合に、 Cは、 Bからの請求に対して催告及び検索の抗弁権を行使することができる。

X 誤っている。 保証人と連帯保証人は違う。 平成16年 管理業務主任者試験 「問6」 。
 連帯保証人となると、民法第454条
 「(連帯保証の場合の特則)
  第四百五十四条  
保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、前二条の権利を有しない。 」
 とあり、
 前2条は、
 民法第452条
 「(催告の抗弁)
  第四百五十二条  債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、
保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない。」
 と、第453条
 「(検索の抗弁)
  第四百五十三条  債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、
保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。 」
 とあり、
 
連帯保証人となると単なる保証人には、認められています @催告の抗弁 と A検索の抗弁 がないことですから、誤りです。


4 AのBに対する金銭債務について、 Cが保証人となった場合に、 Cは、 AのBに対する金銭債権による相殺をもってBに対抗することができる。

○ 正しい。
 債務者Aの金銭債権による相殺となると、民法第457条
 「主たる債務者について生じた事由の効力)
  第四百五十七条  主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の中断は、保証人に対しても、その効力を生ずる。
    2  
保証人は、主たる債務者の債権による相殺をもって債権者に対抗することができる。」
 とあり、
 2項により、保証人Cは、 債権者Aの債務者Bに対する金銭債権による相殺をもって債権者Bに対抗することができますから、正しい。



答え:4  (ここは、少し難しい?)

問6

【問 6】 請負と委任の異同に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているもののみの組合せはどれか。

ア 請負も委任も、いずれも諾成の双務契約である。

X 誤っている。 委任は、有償なら双務契約だが、無償だと片務契約である。 平成18年 管理業務主任者試験 「問1」 、 平成16年 管理業務主任者試験 「問3」 、 平成13年 管理業務主任者試験 「問13」 。
 マンションの標準管理委託契約は、(準)委任と請負の性格を持っているため、このような出題があります。
 まず、民法の契約を分類すると、典型契約・非典型契約などがありますが、通常以下のようになります。
 *双務契約...契約の各当事者が互いに対価的な意義を有する債務を負担する契約。
           有償契約に類似するが、有償契約よりもやや狭い概念。
            これには、売買・交換・賃貸借・雇用・
請負有償委任・有償寄託・組合・和解が入る。
 *片務契約...当事者の双方が相互に対価の意味を持つ債務を負担しない契約。
           無償契約は全て片務契約である。
           これには、贈与・消費貸借・使用貸借・
無償委任・無償寄託が入る。
 *有償契約...契約の各当事者が互いに対価(代償)の意義を有する経済的支出をする契約
           これには、すべての双務契約(売買・請負・和解・組合など)・利息付消費貸借がはいる。
 *無償契約...有償契約ではない契約。
           贈与・使用貸借などが入る。
 *諾成契約...当事者の意思表示の合意だけで成立する契約。
           要物契約に対する語。
           典型契約として、贈与・売買・交換・雇用・
請負委任・組合などが入る。
 *要物契約...成立に当事者の合意のほかに物の引渡し等の給付が必要な契約。
           消費貸借・使用貸借・寄託の3種だけ。
 そこで、双務契約と片務契約との分類では、民法で適用される規定が異なります。特に双務契約なら、同時履行の抗弁権(民法第533条)や危険負担(民法第534条〜)の適用があることは、注意してください。
 そこで、設問ですが、請負は諾成契約で双務契約に該当しますが、委任は、有償か無償かによって異なります。
 
有償・無償にかかわらず、委任は、諾成契約ですが、有償委任なら双務契約となり、無償の委任は片務契約となりますから、誤りです
 なお、請負は、民法第632条
 「(請負)
  第六百三十二条  請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。」
 委任は、民法第643条及び民法第648条
 「(委任)
  第六百四十三条  委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。 」
 「(受任者の報酬)
  第六百四十八条  受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。
    2  受任者は、報酬を受けるべき場合には、委任事務を履行した後でなければ、これを請求することができない。ただし、期間によって報酬を定めたときは、第六百二十四条第二項の規定を準用する。
    3  委任が受任者の責めに帰することができない事由によって履行の中途で終了したときは、受任者は、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。 」



イ 請負においては、請負人は請負に係る仕事を第三者に行わせることはできないが委任においては、受任者は委託に係る法律行為を第三者に行わせることができる。

X 誤っている。 平成19年 管理業務主任者試験 「問2」 、 平成18年 管理業務主任者試験 「問2」 、平成16年 管理業務主任者試験 「問2」 、 平成15年 管理業務主任者試験 「問1」 、平成14年 管理業務主任者試験 「問1」 、平成13年 管理業務主任者試験 「問1」 。
 まず、請負は、民法第632条
 「(請負)
  第六百三十二条  請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。」
 とあり、
  請負は、諾成・有償・双務契約です。
請負においては、仕事が完成すれば目的を達しますから、請負人は、自分で労務をしなくても、自由に下請人など第三者を使用して仕事をさせることができますから、前半の「請負においては、請負人は請負に係る仕事を第三者に行わせることはできない」は誤っています。
 次に、委任は、民法第643条
 「(委任)
  第六百四十三条  委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。」
 とあり、
 
委任では、委任者と受任者の信頼関係が強いため、受任者が、原則として自ら委託された事務処理を行うことになっていますから、設問の後半「委任においては、受任者は委託に係る法律行為を第三者に行わせることができる」は誤りです。設問は、前半も後半も共に誤っています。


ウ 請負人は、仕事の目的物の引渡しと同時に報酬の支払いを請求することができるが、受任者は報酬を受けるべき場合には、委任事務を履行した後に報酬を請求することができる。

○ 正しい。 平成15年 管理業務主任者試験 「問1」 、 平成13年 管理業務主任者試験 「問1」 。
  請負での報酬の支払い時期は、民法第633条
 「(報酬の支払時期)
  第六百三十三条  
報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければならない。ただし、物の引渡しを要しないときは、第六百二十四条第一項の規定を準用する。 」
 とあり、
 報酬は、完成をもって支払われる後払いが原則ですから、前半の「請負人は、仕事の目的物の引渡しと同時に報酬の支払いを請求することができる」は正しい。
 次に、委任での受任者の報酬は、民法第648条
 「(受任者の報酬)
  第六百四十八条  受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。
    2  
受任者は、報酬を受けるべき場合には、委任事務を履行した後でなければ、これを請求することができない。ただし、期間によって報酬を定めたときは、第六百二十四条第二項の規定を準用する。
    3  委任が受任者の責めに帰することができない事由によって履行の中途で終了したときは、受任者は、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。」
 とあり、
 1項により特約がなければ原則無償ですが、2項により、有償なら報酬を受けることができますが、その場合の報酬は、委任事務を履行した後でなければ、これを請求することができませんから、後半の「受任者は報酬を受けるべき場合には、委任事務を履行した後に報酬を請求することができる」は正しい。そこで、この設問は、全体として、正しいとなります。



エ 請負は、各当事者がいつでも契約を解除することができるが、委任は、委任事務の履行の着手前に限り、委任者のみが契約を解除することができる。

X 誤っている。 平成19年 マンション管理士試験 「問26」 。
 請負での契約の解除は、民法第635条
 「第六百三十五条  
仕事の目的物に瑕疵があり、そのために契約をした目的を達することができないときは、注文者は、契約の解除をすることができる。ただし、建物その他の土地の工作物については、この限りでない。 」
 とあり、
 建物その他の土地の工作物でなければ、
注文主からのみ契約の解除ができます
 また、民法第641条
 「(注文者による契約の解除)
  第六百四十一条  請負人が仕事を完成しない間は、
注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。」
 とあり、この第641条においても、注文主からの契約解除のみ認められていますので、
各当事者ではありませんから、前半の「請負は、各当事者がいつでも契約を解除することができる」は誤りです。
 次に委任での契約の解除は、民法第651条
 「(委任の解除)
  第六百五十一条  
委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる
    2  当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは、その当事者の一方は、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。」
 とあり、
 1項により、各当事者がいつでもその解除をすることができますから、設問の後半の「委任は、委任事務の履行の着手前に限り、委任者のみが契約を解除することができる」は誤りです。選択肢エは、全体として誤りです。



1 ア・イ
2 ア・ウ
3 イ・エ
4 ウ・エ


答え:1(ア・イ) 及び 3(イ・エ) (誤っているのは、ア・イ・エ) 
 (なるほど、ここは、もめるわけだ。アの設問で「委任」を曖昧なまま出題した。有償委任と無償委任とに分けないと、民法学者たちからも、非難される出題だ。ここは、早急に、出題元:(社)高層住宅管理業協会と管理している国土交通省に連絡が必要かな。)
社団法人:高層住宅管理業協の答え:3 (イとエ) : これは、妥当ではありません。 ここは、1 も正解です!
誰も、受験生は、国土交通省に連絡しなかったのかな?


*2013年 2月17日 追記すごい! 皆さんは、やりましたね!
 この問6と問29については、一度正式な発表があった(平成25年1月18日)後の、平成25年 2月15日付で、出題元の高層住宅管理業協会から、出題ミスがあったとして、「問6」では 選択肢1 も正解 として追加すると発表があり、訂正されました。
 多くの受験生が、1月18日の合格発表を受けて、反省をしない出題元の高層住宅管理業協会だけでなく、高層住宅管理業協会を監督する国土交通省へ抗議した成果です。間違いを指摘した、皆さんの力を大いに評価いたします!
 なお、追加合格した人は、443名にもなっています。

★2013年 2月15日付の高層住宅管理業協会の文書:

 平成24年度管理業務主任者試験問題の正解については、平成25年1月18日、当協会ホームページに掲載したところでありますが、その後、設問を精査した結果、【問6】の正解肢「肢3」に加え「肢1」及び【問29】の正解肢「肢2」に加え「肢3」を正解肢として取扱うことといたしました。
本取扱いによって、合格基準点に達した方を合格者といたします。
なお、今回の件で、受験生の皆様にご迷惑をおかけいたしましたことを深くお詫び申し上げますとともに、今後このようなことが起きることがないように努め、より一層、適切な管理業務主任者試験の実施に取り組んで参ります。

*本当に、受験生だけでなく、解説者である、マンション管理士 香川 も多大な迷惑を被っています。
もっと、出題元としては、真剣に出題に取り組んでくれないと、私も余分な部分まで解説が必要となり、労力と時間がかかる!

問7

【問 7】 管理事務の内容及び実施方法に関する次の記述のうち、マンション標準管理委託契約書及びマンション標準管理委託契約書コメント(平成21年 10月2日国総動指第30号。国土交通省建設流通政策審議官通知。以下「マンション標準管理委託契約書」という。)の定めによれば、最も適切なものはどれか。

1 マンション管理業者に委託する管理事務として契約書に記載する事項は、事務管理業務、管理員業務、清掃業務、建物・設備管理業務のほか、植栽管理業務などを個々の委託の状況や必要性に応じて、適宜追加してもよい。

○ 適切である。 平成21年 マンション管理士試験 「問33」 。
 まず、マンション標準管理規約(以下、本解説では「標準管理規約」という)も設問のマンション標準管理委託契約書(以下、本解説では「標準管理委託契約書」という)も、民法や区分所有法などの法律ではありませんから、これに従ってやらないと、違法ですといえるものではありません。あくまでも国土交通省という役所が任意に、こうあったらいいと思っているだけのガイド・ライン(指針)に過ぎない存在であることは、これから、マンション管理士や管理業務主任者として行動するときには、特に注意してください。
 管理事務の内容は、標準管理委託契約書3条
 「(管理事務の内容及び実施方法)
  第3条 管理事務の内容は、次のとおりとし、別表第1から第4に定めるところにより実施する。
       一 事務管理業務(別表第1に掲げる業務)
       二 管理員業務(別表第2に掲げる業務)
       三 清掃業務(別表第3に掲げる業務)
       四 建物・設備管理業務(別表第4に掲げる業務)」
 とあり、
 設問に該当するのは、標準管理委託契約書3条 コメント
 「3 第3条関係
   @ 第1号から第4号までの管理事務の具体的な内容及び実施方法は別表で示している。
なお、実際の契約書作成に当たっては、次のような業務をマンション管理業者に委託する場合等個々の状況や必要性に応じて本条を適宜追加、修正するものとする
       一 共用部分の設備等の監視・出動業務
       二 インターネット、CATV等の運営業務
       三 除雪・排雪業務
       四
植栽管理業務(施肥、剪定、消毒、害虫駆除等
       五 管理組合から委託を受けて行うコミュニティー支援業務」
 とあり、
 適切です。

 また、民法では「契約自由の原則」もあり、特に、マンションに住んでいるからといって、「標準管理規約」通りの規約でなければいけないものでもなく、「標準管理委託契約書」に完全に従うことまで、規制されるものではないことは、心して勉強してください。


2 マンション管理業者が行う管理対象部分は、管理規約により管理組合が管理すべき部分のうち、マンション管理業者が受託して管理する部分であり、区分所有者が管理すべき部分は含まないため、専用使用部分(バルコニー、トランクルーム、専用庭等)については管理事務の対象には含まれない。

X 適切でない。 専用使用部分でも入る部分がある。 
  管理対象部分は、標準管理委託契約書2条5号
 「五 管理対象部分
       イ 敷 地
       ロ 専有部分に属さない建物の部分(規約共用部分を除く。)
         エントランスホール、廊下、階段、エレベーターホール、共用トイレ、屋上、屋根、塔屋、ポンプ室、自家用電気室、機械室、受水槽室、高置水槽室、パイプスペース、内外壁、床、天井、柱、バルコニー 
       ハ 専有部分に属さない建物の附属物
         エレベーター設備、電気設備、給水設備、排水設備、テレビ共同受信設備、消防・防災設備、避雷設備、各種の配線・配管
       ニ 規約共用部分
         管理事務室、管理用倉庫、清掃員控室、集会室、トランクルーム、倉庫
       ホ 附属施設 
         塀、フェンス、駐車場、通路、自転車置場、ゴミ集積所、排水溝、排水口、外灯設備、植栽、掲示板、専用庭、プレイロット」
 とあり、
 設問は、同条のコメントA
  「A
専用使用部分(バルコニー、トランクルーム、専用庭等)については、管理組合が行うべき管理業務の範囲内においてマンション管理業者が管理事務を行う。」
 とあり、
 マンション管理業者が行う管理対象部分は、管理規約により管理組合が管理すべき部分のうち、マンション管理業者が受託して管理する部分ですが、専用使用部分(バルコニー、トランクルーム、専用庭等)については、管理組合が行うべき管理業務の範囲内においてマンション管理業者が管理事務をおこないますから、適切ではありません。



3 マンション管理業者は、管理組合に対し、管理事務の処理状況及びマンション管理業者の会計の収支の結果を記載した書面を交付し、管理業務主任者をして、報告をさせなければならない。

X 適切でない。 管理組合の会計報告を行う。
 管理事務の報告は、標準管理委託契約書9条
 「(管理事務の報告等)
  第9条 乙(業者)は、甲(管理組合)の事業年度終了後○月以内に、甲に対し、当該年度における管理事務の処理状況及び
甲の会計の収支の結果を記載した書面を交付し、管理業務主任者をして、報告をさせなければならない
    2 乙は、毎月末日までに、甲に対し、前月における甲の会計の収支状況に関する書面を交付しなければならない。
    3 乙は、甲から請求があるときは、管理事務の処理状況及び甲の会計の収支状況について報告を行わなければならない。
    4 前3項の場合において、甲は、乙に対し、管理事務の処理状況及び甲の会計の収支に係る関係書類の提示を求めることができる。
 とあり、
 サラット読むと分かり難いのですが、設問は「
”マンション管理業者”の会計の収支の結果を記載した書面」とあり、ここは、当然ながら「甲(”管理組合”)の会計の収支の結果を記載した書面を交付」ですから、適切ではありません。


4 マンション管理業者がマンション管理適正化法の規定に基づき処分を受けたときは、管理組合に対して、速やかに口頭にて、通知しなければならない。

X 適切でない。 口頭はだめ。 書面で。 平成17年 管理業務主任者試験 「問9」 。
 マンション管理業者がマンション管理適正化法の規定に基づき処分を受けたときは、標準管理委託契約書12条
 「(通知義務)
  第12 条 甲(管理組合)及び乙(業者)は、本マンションにおいて滅失,き損,瑕疵等の事実を知った場合においては、速やかに、その状況を相手方に通知しなければならない。
    2 甲及び乙は、次の各号に掲げる場合においては、
速やかに、書面をもって、相手方に通知しなければならない
       一 甲の役員又は組合員が変更したとき
       二 甲の組合員がその専有部分を第三者に貸与したとき
       三 乙が商号又は住所を変更したとき
       四 乙が合併又は会社分割したとき
       五
乙がマンションの管理の適正化の推進に関する法律(平成12 年法律第149 号)の規定に基づき処分を受けたとき
       六 乙が第18 条第2項第1号及び第2号に掲げる事項に該当したとき」
 とあり、
 2項5号に該当し、速やかに書面をもって、通知しますから、口頭では、適切ではありません。



答え:1  (選択肢3 は、引掛け問題です。このような出題方法は、適切ではありません。)

問8

【問 8】 マンションの管理委託契約(以下本問において「契約」という。)の解除及び解約の申入れに関する次の記述のうち、マンション標準管理委託契約書の定めによれば、不適切なものはいくつあるか。

ア マンション管理業者が、マンション管理適正化法の規定に違反し、業務停止の処分を受けた場合、管理組合は契約を解除することができる。

X 適切でない。 業務停止では、まだ契約は解除にならない。 平成20年 管理業務主任者試験 「問9」 平成18年 マンション管理士試験 「問33」 、 平成16年 管理業務主任者試験 「問9」 。
 契約の解除は、標準管理委託契約書18条
 「(契約の解除)
  第18条 甲(管理組合)及び乙(業者)は、その相手方が、本契約に定められた義務の履行を怠った場合は、相当の期間を定めてその履行を催告し、相手方が当該期間内に、その義務を履行しないときは、本契約を解除することができる。この場合、甲又は乙は、その相手方に対し、損害賠償を請求することができる。
    2 甲は、乙が次の各号のいずれかに該当するときは、本契約を解除することができる。
       一 乙が銀行の取引を停止されたとき、若しくは破産、会社更生、民事再生の申立てをしたとき、又は乙が破産、会社更生、民事再生の申立てを受けたとき
       二 乙が合併又は破産以外の事由により解散したとき
       三 乙がマンション管理業の登録の取消しの処分を受けたとき」
 とあり、
 2項には、業務停止の処分を受けた場合はありませんから、適切ではありません。


イ 管理組合及びマンション管理業者は、解約の申入れをしようとする場合、少なくとも3月前までに、その相手方に対し、書面をもって申し入れるものとする。

○ 適切である。  平成20年 管理業務主任者試験 「問9」 平成18年 マンション管理士試験 「問33」 、 平成16年 管理業務主任者試験 「問7」 。
  契約の解除と解約の申し入れは違いますから、注意のこと。
 解約の申し入れは、標準管理委託契約書19条
 「(解約の申入れ)
  第19条 前条の規定にかかわらず、
甲(管理組合)及び乙(業者)は、その相手方に対し、少なくとも三月前に書面で解約の申入れを行うことにより、本契約を終了させることができる。」
 とあり、
 適切です。



ウ 管理組合及びマンション管理業者は、その相手方が、契約に定められた義務の履行を怠った場合、直ちに契約を解除することができる。

X 適切でない。 一応、礼儀として即解約でなく、催告してから解約です。 平成23年 管理業務主任者試験 「問7」 、 平成15年 管理業務主任者試験 「8」 。
 契約に定められた義務の履行を怠った場合は、選択肢アで引用しました、標準管理委託契約書18条1項
 「第18条 甲(管理組合)及び乙(業者)は、
その相手方が、本契約に定められた義務の履行を怠った場合は、相当の期間を定めてその履行を催告し、相手方が当該期間内に、その義務を履行しないときは、本契約を解除することができる。この場合、甲又は乙は、その相手方に対し、損害賠償を請求することができる。」
 とあり、
 相当の期間を定めてその履行を催告し、相手方が当該期間内に、その義務を履行しないときは、本契約を解除することができますから、直ちに契約を解除することは、適切ではありません。



エ マンション管理業者が破産を申し立てたときは、管理組合は契約を解除することができるが、会社更生、民事再生の申立てをしたときは、契約を解除することができない。

X 適切でない。 できる。 
 設問は、選択肢アで引用しました、標準管理委託契約書18条2項
 「2 甲(管理組合)は、乙(業者)が次の各号のいずれかに該当するときは、本契約を解除することができる。
       一
乙が銀行の取引を停止されたとき、若しくは破産、会社更生、民事再生の申立てをしたとき、又は乙が破産、会社更生、民事再生の申立てを受けたとき
       二 乙が合併又は破産以外の事由により解散したとき
       三 乙がマンション管理業の登録の取消しの処分を受けたとき」
 とあり、
 1号により、管理組合はマンション管理業者が破産を申し立てたときも会社更生、民事再生の申立てをしたときも契約の解除ができます。このような危険な管理会社には当然ながら、業務を委託できませんから。



1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ


答え:3 (不適切なのは、ア、ウ、エ の3つ) (またまた、個数の組み合わせ問題です。集中力が求められます。)

問9

【問 9】 マンション管理業者が行う出納に関する次の記述のうち、マンション標準管理委託契約書の定めによれば、最も適切なものはどれか。

1 マンション管理業者が管理費等の収納事務を集金代行会社に再委託する場合、再委託先の集金代行会社の名称及び代表者名を管理委託契約書に記載しなければならない。

X 適切でない。 代表者名はない。 平成22年 管理業務主任者試験 「問8」 、 平成21年 管理業務主任者試験 「問8」 。
  マンション管理業者が管理費等の収納事務を集金代行会社に再委託する場合は、標準管理委託契約書4条
 「(第三者への再委託)
  第4条 乙(業者)は、前条第1号の管理事務の一部又は同条第2号、第3号若しくは第4号の管理事務の全部若しくは一部を、第三者に再委託することができる。
    2 乙が前項の規定に基づき管理事務を第三者に再委託した場合においては、乙は、再委託した管理事務の適正な処理について、甲(管理組合)に対して、責任を負う。」
とあり、
 再委託はできます。その場合には、別表第1 1基幹事務 (2)出納  のコメントC
 「C
乙(業者)が管理費等の収納事務を集金代行会社に再委託する場合は、1(2)@二及び三を以下のとおり記載するものとする。
     二 組合員別管理費等負担額一覧表に基づき、毎月次号に定める預金口座収納日の○営業日前までに、預金口座振替請求金額通知書を、次の集金代行会社(以下「集金代行会社」という。)に提出する。
      
再委託先の名称 ○○○○
      
再委託先の所在地 ○○○○
    三 甲の組合員の管理費等の収納は、甲の管理規約第○条に定める預金口座振替の方法によるものとし、毎月○日(当該日が金融機関の休業日に当たる場合はその翌営業日。以下「収納日」という。)に、甲の組合員の口座から集金代行会社の口座に振り替え、収納日の○営業日後に集金代行会社の口座から甲の収納口座に収納し、Cの事務を行った後その残額を、当該管理費等を充当する月の翌月末日までに、甲の保管口座に移し換える。
      収納口座 ○○銀行○○支店
      保管口座 ○○銀行○○支店」
 とあり、
 二 により、再委託先の名称 と 再委託先の所在地 は記載されますが、代表者名までは記載を求められていませんから、適切ではありません。



2 マンション管理業者は管理費等滞納者に対する督促について、電話若しくは自宅訪問又は督促状の方法により、その支払の督促を行い、毎月、管理業務主任者をして管理費等の滞納状況を、管理組合に報告しなければならない。

X 適切でない。 平成22年 管理業務主任者試験 「問8」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問33」 、平成18年 管理業務主任者試験 「問9」 、 平成16年 管理業務主任者試験 「問8」 。
 管理費等の滞納者に対する督促は、標準管理委託契約書 別表第1 1基幹事務 (2)出納 A
 「A 管理費等滞納者に対する督促
    一
毎月、甲(管理組合)の組合員の管理費等の滞納状況を、甲に報告する
    二
甲の組合員が管理費等を滞納したときは、最初の支払期限から起算して○月の間、電話若しくは自宅訪問又は督促状の方法により、その支払の督促を行う
    三 二の方法により督促しても甲の組合員がなお滞納管理費等を支払わないときは、乙(業者)はその業務を終了する。」
 とあり、
  一及び二により、管理費等滞納者に対し、毎月、電話若しくは自宅訪問又は督促状の方法で督促しますが、その報告は、特に管理業務主任者でなくても可能ですから、適切ではありません。参考:「問7」選択肢3。


3 通帳等の保管等について、収納口座及び保管口座のうち、収納口座については通帳印鑑等をマンション管理業者又は管理組合のいずれが保管しているかを管理委託契約書に記載しなければならないが、保管口座の保管者についての記載は任意である。

X 適切でない。
 
  まず、@収納口座、A保管口座、B収納・保管口座 の区別は理解して下さい。
  マンション管理適正化法第87条の平成22年の改正により、収納口座、保管口座、収納・保管口座が明確になり、名義人もはっきりとするようになりました。
 そこで、収納口座の名義人は管理組合又は管理業者の名義もあり得ますが、保管口座及び収納・保管口座の名義は、管理組合名義でなければなりません。

 
 これを受け、
 通帳等の保管は、標準管理委託契約書 別表第1 1基幹事務 (2)出納 B 通帳等の保管等 は、保証契約の有無などで、変わりますが、
  「一
収納口座及び保管口座に係る通帳、印鑑等の保管者は以下のとおりとする
    イ 収納口座
      通帳…乙(又は甲)
      印鑑…甲
      その他( )
    ロ
保管口座
      通帳…乙(又は甲)
      印鑑…甲
      その他( )」
 とか、
 「
保管口座に係る通帳、印鑑等の保管者は以下のとおりとする
  通帳…乙(又は甲)
  印鑑…甲
  その他( )」
 とあり、
 保管口座の保管者についての記載は必ず行いますから、適切ではありません。



4 マンション管理業者が保証契約を締結している場合、保証契約の契約内容の記載については、保証契約書等の添付により確認できる場合は、解除に関する事項、免責に関する事項、保証額の支払に関する事項など、一部の記載を省略することができる。

○ 適切である。
 保証契約を締結している場合は、別表第1 1基幹事務 (2)出納 の コメントF
 「F 1(2)@四
ハのdからfの項目は、保証契約書等を添付することにより、これらが確認できる場合は記載を省略することができる。」
 とあり、引用されています、1(2)@四ハのdからfの項目は、
 「四 乙は、以下の保証契約を締結する。
    イ 保証する第三者の名称 ○○○○
    ロ 保証契約の名称 ○○○○
    ハ 保証契約の内容
      a 保証契約の額及び範囲 ○○○○
      b 保証契約の期間○○○○
      c 更新に関する事項○○○○
      
d 解除に関する事項○○○○
      
e 免責に関する事項○○○○
      
f 保証額の支払に関する事項○○○○」
 とあり、dの解除、eの免責、fの保証額の支払等に関する事項は、記載を省略できますから、適切です。



答え:4 (なんとなく、選択肢4 を知っていれば、だいたいできる?)

問10

【問 10】 マンションの滞納管理費を回収するための訴訟に関する次の記述のうち、民事訴訟法(平成8年法律第109号)及び裁判所法(昭和22年法律第59号)の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 滞納管理費の総額が60万円以下の場合でも、民事訴訟法の「少額訴訟」の手続によらず、通常の民事訴訟の手続によることができる。

○ 正しい。 少額訴訟も時々出る。 平成23年 管理業務主任者試験 「10」 、 平成16年 管理業務主任者試験 「問10」 。
  まず、少額訴訟の制度は、民事訴訟のうち,
60万円以下の金銭の支払を求める訴えについて,原則として1回の審理で紛争解決を図る手続です。即時解決を目指すため,証拠書類や証人は,審理の日にその場ですぐに調べることができるものに限られます。原則、相手方の所在地を管轄する簡易裁判所に訴状を提出し、申請手数料は、訴額の約1%です。その法廷では,基本的には,裁判官と共に丸いテーブル(ラウンド・テーブル)に着席する形式で審理が進められます。
 なお、同一年内での、少額訴訟手続きの利用回数は、10回以内に制限されています。

 
 具体的には、民事訴訟法第368条〜第381条に定められています。
 そこで、民事訴訟法第368条
 「(少額訴訟の要件等)
  第三百六十八条  
簡易裁判所においては、訴訟の目的の価額が六十万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて、少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる。ただし、同一の簡易裁判所において同一の年に最高裁判所規則で定める回数(注:10回)を超えてこれを求めることができない。
    2  少額訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述は、訴えの提起の際にしなければならない。
    3  前項の申述をするには、当該訴えを提起する簡易裁判所においてその年に少額訴訟による審理及び裁判を求めた回数を届け出なければならない。」
 とあり、
 1項によれば、「できる」ですから、特に滞納額が60万円以下でも、この「少額訴訟制度」によることを強制されていませんから、1日で終わりそうもない場合とか、相手(被告)が希望すれば、民事訴訟法第373条
 「(通常の手続への移行)
  第三百七十三条  
被告は、訴訟を通常の手続に移行させる旨の申述をすることができる。ただし、被告が最初にすべき口頭弁論の期日において弁論をし、又はその期日が終了した後は、この限りでない。
    2  訴訟は、前項の申述があった時に、通常の手続に移行する。
    3  次に掲げる場合には、裁判所は、訴訟を通常の手続により審理及び裁判をする旨の決定をしなければならない。
       一  第三百六十八条第一項の規定に違反して少額訴訟による審理及び裁判を求めたとき。
       二  第三百六十八条第三項の規定によってすべき届出を相当の期間を定めて命じた場合において、その届出がないとき。
       三  公示送達によらなければ被告に対する最初にすべき口頭弁論の期日の呼出しをすることができないとき。
       四  少額訴訟により審理及び裁判をするのを相当でないと認めるとき。
    4  前項の決定に対しては、不服を申し立てることができない。
    5  訴訟が通常の手続に移行したときは、少額訴訟のため既に指定した期日は、通常の手続のために指定したものとみなす。」
 とありますから、
 「少額訴訟制度」を利用せず、最初から 通常の民事訴訟手続きによることも可能ですから、正しい。



2 管理費の滞納者に対して、訴訟を提起するためには、事前に少なくとも1回、内容証明郵便による督促を行ったことが必要である。

X 誤っている。
 民事訴訟の提起において、当事者の能力等は求められていますが、設問のような、「事前に少なくとも1回、内容証明郵便による督促を行ったことが必要」は、求められていませんから、誤りです。


3 管理費の滞納者が行方不明になっている場合でも、訴訟を提起することができる。

○ 正しい。
  裁判では、原告・被告という当事者を確定しなければなりません(民法第98条も参照)が、相手方(被告)が行方不明になっている場合等では、「公示送達」という方法により、裁判所の掲示板に公示の文書が一定期間掲示され、かつ、その掲示があったことを官報に少なくとも1回掲載することで、相手方に送達されたものとみなすことができますから、管理費の滞納者が行方不明になっている場合でも、訴訟を提起することができますから、正しい。
 民法第98条 (公示による意思表示)
 「第九十八条  意思表示は、表意者が相手方を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、
公示の方法によってすることができる。
    2  前項の公示は、
公示送達に関する民事訴訟法 (平成八年法律第百九号)の規定に従い、裁判所の掲示場に掲示し、かつ、その掲示があったことを官報に少なくとも一回掲載して行う。ただし、裁判所は、相当と認めるときは、官報への掲載に代えて、市役所、区役所、町村役場又はこれらに準ずる施設の掲示場に掲示すべきことを命ずることができる。
    3  
公示による意思表示は、最後に官報に掲載した日又はその掲載に代わる掲示を始めた日から二週間を経過した時に、相手方に到達したものとみなす。ただし、表意者が相手方を知らないこと又はその所在を知らないことについて過失があったときは、到達の効力を生じない。
    4  公示に関する手続は、相手方を知ることができない場合には表意者の住所地の、相手方の所在を知ることができない場合には相手方の最後の住所地の簡易裁判所の管轄に属する。
    5  裁判所は、表意者に、公示に関する費用を予納させなければならない。」
  参考:公示送達:民事訴訟法第110条〜第113条)



4 管理費の滞納額が140万円を超えない場合は、簡易裁判所に対して訴えを提起することができる。

○ 正しい。
  裁判所も最高裁判所から高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所、そして、簡易裁判所とあり、各々の裁判所で扱う事件(裁判権)や、事件を審理する裁判官の数などが、裁判法により定められています。
 そこで、簡易裁判所の裁判権は、裁判所法第33条
 「第三十三条 (裁判権)  
簡易裁判所は、次の事項について第一審の裁判権を有する
       一  
訴訟の目的の価額が百四十万円を超えない請求(行政事件訴訟に係る請求を除く。)
       二  罰金以下の刑に当たる罪、選択刑として罰金が定められている罪又は刑法第百八十六条 、第二百五十二条若しくは第二百五十六条の罪に係る訴訟
     2  簡易裁判所は、禁錮以上の刑を科することができない。ただし、刑法第百三十条 の罪若しくはその未遂罪、同法第百八十六条 の罪、同法第二百三十五条 の罪若しくはその未遂罪、同法第二百五十二条 、第二百五十四条若しくは第二百五十六条の罪、古物営業法 (昭和二十四年法律第百八号)第三十一条 から第三十三条 までの罪若しくは質屋営業法 (昭和二十五年法律第百五十八号)第三十条 から第三十二条 までの罪に係る事件又はこれらの罪と他の罪とにつき刑法第五十四条第一項 の規定によりこれらの罪の刑をもつて処断すべき事件においては、三年以下の懲役を科することができる。
     3  簡易裁判所は、前項の制限を超える刑を科するのを相当と認めるときは、訴訟法の定めるところにより事件を地方裁判所に移さなければならない。」
 とあり、
 1項1号によれば、 簡易裁判所の扱うのは「訴訟の目的の価額が百四十万円を超えない請求」を裁判するとありますから、正しい。



答え:2  (ここは、易しい。)

問11

【問 11】 マンションの管理費の滞納に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 管理費の滞納者が死亡した場合、管理組合は、滞納者の相続人のうち、滞納者が区分所有していた専有部分を現に占有している者に対してのみ、滞納管理費を請求することができる。

X 誤っている。 滞納と相続を絡めた出題は多い。 平成23年 マンション管理士試験 「問16」 、平成22年 管理業務主任者試験 「問10」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問14」 、 同「問16」 、 平成19年 マンション管理士試験 「問17」 、平成17年 管理業務主任者試験 「問5」 、 平成16年 管理業務主任者試験 「問11」 、 平成15年 管理業務主任者試験 「問9」 、 平成13年 管理業務主任者試験 「問9」 。
 まず、管理費の滞納者が死亡した場合の相続は、民法第896条、
 「(相続の一般的効力)
  第八百九十六条  
相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。 」
 とあり、
 単純承認での相続なら、被相続人(滞納者)の債権・債務をそのまま承継しますから、複数の相続人がいると民法第898条
 「(共同相続の効力)
  第八百九十八条  
相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。 」
 とあり
 特に、専有部分を現に占有している相続人だけに限らず、他の共同相続人にも滞納管理費を請求することができますから、誤りです。
 なお、管理費や修繕積立金は、その一部だけが納入されても目的を達することができないので、分割できない債務(不可分債務)としてとらえられているのですが、最高裁の判例:昭和29年4月日)では、金銭債権や金銭債務が相続された場合、当然に分割債権関係となるとしていて、複数の相続人がいると、各々の相続人には、全額を請求できないとしています。私は、滞納管理費等にこの判例を持ってくるのは、妥当でなく、各々の相続人に対して、全額を請求できると考えています。参考:平成23年 マンション管理士試験 「問16」 選択肢2。



2 規約に管理費に関する遅延損害金の定めがない場合でも、民法所定の法定利率によって遅延損害金を請求することができる。

○ 正しい。 良く出る。 平成21年 マンション管理士試験 「問12」 、 平成21年 管理業務主任者試験 「問6」 、 平成19年 管理業務主任者試験 「問10」 、 平成16年 管理業務主任者試験 「問11」 、 平成15年 管理業務主任者試験 「問9」 。
 決められた管理費を期日までに納めないと、これは金銭債務の不履行となり、その場合は、民法第419条
 「(金銭債務の特則)
  第四百十九条  
金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。
    2  前項の損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しない。
    3  第一項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。」
 とあり、
  1項により、債務不履行による損害賠償の額(遅延損害金)は規約での利率(約定利率)があれば、それに従いますが、無い場合には、
法定利率(注:年5%です:民法第404条参照)で、遅延損害金を請求できますから、正しい。


3 競売によってマンションの区分所有権を買い受けた者も、前区分所有者の滞納管理費の支払義務を承継する。

○ 正しい。 ここも過去から出題は多い。 平成21年 マンション管理士試験 「問3」 、 平成21年 管理業務主任者試験 「問11」 、平成20年 マンション管理士試験 「問2」 、平成20年 管理業務主任者試験 「問10」 、平成19年 管理業務主任者試験 「問10」 、 平成18年 マンション管理士試験 「問14」 、 平成17年 マンション管理士試験 「問15」 、 平成16年 管理業務主任者試験 「問11」 、 平成15年 管理業務主任者試験 「問9」 、 平成14年 マンション管理士試験 「問31」 、 平成13年 管理業務主任者試験 「問9」 。 
 相続での一般(包括)承継人と、売買などでの特定承継人との違いは、理解しておくこと。
 選択肢1で述べましたように、区分所有者が死亡した際には、相続での包括承継人が、被相続人の債務を承継するのは当然ですが、売買や競売などで前の区分所有者の地位を引き継いだ特定承継人にも、前の区分所有者の債務を引き継ぐという規定が、区分所有法第8条
 「(特定承継人の責任)
  第八条  
前条第一項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。」
 とあり、
 前条第1項は、
 「(先取特権)
  第七条  区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権についても、同様とする。 (以下、略)」
 です。
 これにより、 競売によってマンションの区分所有権を買い受けた者も、前区分所有者の滞納管理費の支払義務を承継することになり、正しい。



4 専有部分が賃貸され、その賃貸借契約において、管理費の支払いは賃借人が行う旨を定めていた場合でも、その滞納があったときは、管理組合は賃貸人である区分所有者に滞納管理費を請求することができる。

○ 正しい。 平成23年 管理業務主任者試験 「問35」 、 平成23年 管理業務主任者試験 「問10」 、平成22年 マンション管理士試験 「問4」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問4」 、 平成14年 管理業務主任者試験 「問42」 、 平成13年 マンション管理士試験 「問10」 、 平成13年 マンション管理士試験 「問36」 。
 管理費等共用部分の負担については、区分所有法第19条
 「(共用部分の負担及び利益収取)
  第十九条  
各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。 」
 とあり、
 この規定は、区分所有者が直接負担することを定めたもので、例え、賃貸に出していて、その賃貸借契約において、管理費の支払いは賃借人が行う旨を定めていた場合であっても、滞納管理費等の支払い請求は、管理組合は賃貸人である区分所有者に滞納管理費を請求することができますから、正しい。



答え:1 (ここも、相続での、分割請求か全額請求かの問題はあるが、1 は易しい。)

問12

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

【問 12】 区分所有者が納入する管理費及び修繕積立金に関する次の記述のうち、マンション標準管理規約及びマンション標準管理規約コメント(単棟型) (平成23年7月27日国土動指第3号、国住マ第18号。国土交通省土地・建設産業局長、同住宅局長通知。以下「マンション標準管理規約」という。)の定めによれば、最も適切なものはどれか。

1 管理組合役員として官公署との打合せに出席するための交通費は、通常の管理に要する経費に該当しない。

X 適切ではない。 何が管理費から充当され、何が修繕積立金から充当されるかは、整理しておくこと。 平成20年 管理業務主任者試験 「問14」 。
 通常の管理に要する経費とは、管理費からの支出ができるかということです。それはマンション標準管理規約(以下「標準管理規約」という)27条
 「(管理費)
  第27条
管理費は、次の各号に掲げる通常の管理に要する経費に充当する
       一 管理員人件費
       二 公租公課
       三 共用設備の保守維持費及び運転費
       四 備品費、通信費その他の事務費
       五 共用部分等に係わる火災保険料その他の損害保険料
       六 経常的な補修費
       七 清掃費、消毒費及びごみ処理費
       八 委託業務費
       九 専門的知識を有する者の活用に要する費用
       十
地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成に要する費用
       十一 管理組合の運営に要する費用
       十二 その他敷地及び共用部分等の通常の管理に要する費用」
 とあり、
 設問の「管理組合役員として官公署との打合せに出席するための交通費」は、10号に該当し、管理費から充当できますから、適切ではありません。
 なお、27条関係のコメントA
 「A コミュニティ形成は、日常的なトラブルの未然防止や大規模修繕工事等の円滑な実施などに資するものであり、マンションの適正管理を主体的に実施する管理組合にとって、必要な業務である。
 
管理費からの支出が認められるのは、管理組合が居住者間のコミュニティ形成のために実施する催事の開催費用等居住者間のコミュニティ形成や、管理組合役員が地域の町内会に出席する際に支出する経費等の地域コミュニティにも配慮した管理組合活動である
 他方、各居住者が各自の判断で自治会、町内会等に加入する場合に支払うこととなる自治会費、町内会費等は地域コミュニティの維持・育成のため居住者が任意に負担するものであり、マンションという共有財産を維持・管理していくための費用である管理費等とは別のものである。」
 ともあります。



2 管理組合は、敷地や共用部分等の通常の管理に要する費用に充当するため、修繕積立金を取り崩すことができない。

○ 適切である。
 修繕積立金を取り崩すことができるのは、標準管理規約28条
 「(修繕積立金)
  第28条 管理組合は、各区分所有者が納入する修繕積立金を積み立てるものとし、
積み立てた修繕積立金は、次の各号に掲げる特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができる
       一 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕
       二 不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕
       三 敷地及び共用部分等の変更
       四 建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査
       五 その他敷地及び共用部分等の管理に関し、区分所有者全体の利益のた めに特別に必要となる管理
    2 前項にかかわらず、区分所有法第62条第1項の建替え決議(以下「建 替え決議」という。)又は建替えに関する区分所有者全員の合意の後であ っても、マンションの建替えの円滑化等に関する法律(以下本項において「円滑化法」という。)第9条のマンション建替組合(以下「建替組合」 という。)の設立の認可又は円滑化法第45条のマンション建替事業の認 可までの間において、建物の建替えに係る計画又は設計等に必要がある場 合には、その経費に充当するため、管理組合は、修繕積立金から管理組合 の消滅時に建替え不参加者に帰属する修繕積立金相当額を除いた金額を限 度として、修繕積立金を取り崩すことができる。
    3 管理組合は、第1項各号の経費に充てるため借入れをしたときは、修繕 積立金をもってその償還に充てることができる。
    4 修繕積立金については、管理費とは区分して経理しなければならない。」
 とあり、
 設問の「敷地や共用部分等の通常の管理に要する費用」は入っていませんから、適切ではありません。なお、敷地や共用部分等の通常の管理に要する費用は、選択肢1で引用しました、標準管理規約27条の12号「 その他敷地及び共用部分等の通常の管理に要する費用」に該当し、管理費から充当します。



3 居住者が各自の判断で自治会、町内会等に加入するときに支払った自治会費、町内会費を管理組合が負担する場合、その負担額は通常の管理活動に係る経費に該当する。

X 適切ではない。
 町内での自治会や町内会と区分所有法での管理組合は、構成員や目的が違うということを前提においてください。自治会や町内会はその地域に住んでいれば、賃借人でも、同居人でも加入でき、また加入するかどうかは任意です。しかし、管理組合は区分所有者であれば強制的に加入となり、目的もそのマンションの管理です。
 しかし、マンションによっては、自治会費を管理費と共に集めて、町会に支払っていたため、裁判となり、平成19年8月7日:東京簡易裁判所 の判決では、自治会費と管理費は明確に異なるとしました。これらを受け、選択肢1で引用しました標準管理規約27条のコメントAの後半
 「他方、
各居住者が各自の判断で自治会、町内会等に加入する場合に支払うこととなる自治会費、町内会費等は地域コミュニティの維持・育成のため居住者が任意に負担するものであり、マンションという共有財産を維持・管理していくための費用である管理費等とは別のものである。」
 とあるように、
 自治会費、町内会費を管理組合が管理費としては負担できませんから、通常の管理活動に係る経費である管理費からも支払えませんので、適切ではありません。



4 管理費等の負担割合を定めるに当たっては、共用部分の使用頻度も勘案する。

X 適切ではない。 平成20年 管理業務主任者試験 「問14」 。 平成24年 マンション管理士試験 「問4」 選択肢2 と矛盾した出題です。
 例えば、エレベーターの使用を考えてみますと、1階の居住者は、エレベーターを使用しないから、エレベーターの維持・管理費を払わないという主張もあり得ます。また、ある居住者は、他の居住者よりゴミの出し方が少ないので、ゴミ処理代を他の人より少なくしてくれという主張もあるでしょう。
 これらの主張は正しいのですが、では、具体的にそれらの金額を決めるのにはどうすればいいのでしょうか。何をもって、決めますか? エレベーターの前にカウンターを置いて、個別にカウントしますか? また、ゴミ置き場の前に重量計をおいて、個別に集計しますか? 考えるだけでも、面倒でしょう。
 そこで、標準管理規約25条
 「(管理費等)
  第25条 区分所有者は、敷地及び共用部分等の管理に要する経費に充てるため、次の費用(以下「管理費等」という。)を管理組合に納入しなければならない。
       一 管理費
       二 修繕積立金
    2
管理費等の額については、各区分所有者の共用部分の共有持分に応じて算出するものとする。」
 として、
 コメント@
 「@
管理費等の負担割合を定めるに当たっては、使用頻度等は勘案しない。」
 と決めましたので、標準管理規約においては、設問の「管理費等の負担割合を定めるに当たっては、共用部分の使用頻度も勘案する」は、適切ではありません。

 しかし、この設問は、平成24年 の マンション管理士試験 「問4」 選択肢2 の出題に対して、矛盾していてよくない。 マンション管理士試験の出題の方が、考え方で混乱を招き妥当でありません。


答え:2  (ここら、管理費と修繕積立金の使途の違いは、易しい。)

問13

*注:標準管理規約は平成28年3月に改正があったので注意の事。
    該当の条文は、必ず改正された標準管理規約で確認のこと。

【問 13】 管理組合の会計等に関する次の記述のうち、マンション標準管理規約の定めによれば、最も適切なものはどれか。

1 管理費等に不足が生じた場合、管理組合は組合員に対して、各区分所有者の共用部分の共有持分に応じた負担割合により、総会の決議をもって必要な金額の負担を求めることができる。

○ 適切である。 平成23年 管理業務主任者試験 「問33」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問32」 。
 管理費等に不足が生じた場合には、標準管理規約61条
 「(管理費等の過不足)
  第61条 収支決算の結果、管理費に余剰を生じた場合には、その余剰は翌年度における管理費に充当する。
    2
管理費等に不足を生じた場合には、管理組合は組合員に対して第25条第2項に定める管理費等の負担割合により、その都度必要な金額の負担を求めることができる。」
 とあり、
 2項で引用されています、25条は、
 「(管理費等)
  第25条 区分所有者は、敷地及び共用部分等の管理に要する経費に充てるため、次の費用(以下「管理費等」という。)を管理組合に納入しなければならない。
       一 管理費
       二 修繕積立金
    2
管理費等の額については、各区分所有者の共用部分の共有持分に応じて算出するものとする。」
 とあり、
 2項により、各区分所有者の共用部分の共有持分に応じて算出された負担割合で負担します。
 また、管理費の負担割合を決めるのは、総会の決議事項です。
 それは、標準管理規約48条
 「(議決事項)
  第48条 次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければなら ない。
       一 収支決算及び事業報告
       二 収支予算及び事業計画
       三
管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法
       四 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止
       五 長期修繕計画の作成又は変更
       六 第28条第1項に定める特別の管理の実施並びにそれに充てるための資金の借入れ及び修繕積立金の取崩し
       七 第28条第2項に定める建物の建替えに係る計画又は設計等の経費のための修繕積立金の取崩し
       八 修繕積立金の保管及び運用方法
       九 第21条第2項に定める管理の実施
       十 区分所有法第57条第2項及び前条第3項第三号の訴えの提起並びにこれらの訴えを提起すべき者の選任
       十一 建物の一部が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
       十二 区分所有法第62条第1項の場合の建替え
       十三 役員の選任及び解任並びに役員活動費の額及び支払方法
       十四 組合管理部分に関する管理委託契約の締結
       十五 その他管理組合の業務に関する重要事項」
 とあり、
 3号に該当しますから、全部適切です。



2 管理組合の会計処理に関する細則の変更は、理事会の決議により行うことができる。

X 適切ではない。 細則の変更は理事会の決議事項ではない。
 会計処理に関する細則の変更となると、選択肢1で引用しました、総会の決議事項を定めた標準管理規約48条4号
 「四
規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止
 に該当し、総会の決議が必要となり、理事会の決議ではできませんので、適切ではありません。



3 建物の建替えに係る計画又は設計等の経費のための修繕積立金の取崩しは、理事会の決議により行うことができる。

X 適切ではない。 理事会の決議事項ではない
 建物の建替えに係る計画又は設計等の経費のための修繕積立金の取崩しとなると、選択肢1で引用しました、総会の決議事項を定めた標準管理規約48条7号
 「七 第28条第2項に定める
建物の建替えに係る計画又は設計等の経費のための修繕積立金の取崩し
 で引用されています、28条は、
 「(修繕積立金)
  第28条 管理組合は、各区分所有者が納入する修繕積立金を積み立てるものとし、積み立てた修繕積立金は、次の各号に掲げる特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができる。
       一 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕
       二 不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕
       三 敷地及び共用部分等の変更
       四 建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査
       五 その他敷地及び共用部分等の管理に関し、区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理
    2
前項にかかわらず、区分所有法第62条第1項の建替え決議(以下「建 替え決議」という。)又は建替えに関する区分所有者全員の合意の後であ っても、マンションの建替えの円滑化等に関する法律(以下本項において「円滑化法」という。)第9条のマンション建替組合(以下「建替組合」 という。)の設立の認可又は円滑化法第45条のマンション建替事業の認 可までの間において、建物の建替えに係る計画又は設計等に必要がある場合には、その経費に充当するため、管理組合は、修繕積立金から管理組合の消滅時に建替え不参加者に帰属する修繕積立金相当額を除いた金額を限度として、修繕積立金を取り崩すことができる
    3 管理組合は、第1項各号の経費に充てるため借入れをしたときは、修繕 積立金をもってその償還に充てることができる。
    4 修繕積立金については、管理費とは区分して経理しなければならない。」
 とあり、
 28条2項は、建物の建替えに係る計画又は設計等に必要がある場合で、総会の決議事項ですから、理事会の決議で行うことはできませんので、適切ではありません。



4 収支決算の結果、管理費に余剰を生じた場合には、その余剰は翌年度における修繕積立金として積み立てる。

X 適切ではない。 管理費の余剰は、管理費に入れる。 平成21年 管理業務主任者試験 「問36」 。
 管理費に余剰が生じると、標準管理規約61条
 「(管理費等の過不足)
  第61条
収支決算の結果、管理費に余剰を生じた場合には、その余剰は翌年度における管理費に充当する
    2 管理費等に不足を生じた場合には、管理組合は組合員に対して第25条第2項に定める管理費等の負担割合により、その都度必要な金額の負担を求めることができる。」
 とあり、
 1項により、管理費に余剰を生じた場合には、その余剰は翌年度における管理費に充当しますから、適切ではありません。(では、駐車場使用料は?)



答え:1  (ここは、選択肢1の標準管理規約61条2項の「その都度」が疑問になった人もいるようだ。)

問14

【問 14】 管理組合の活動における以下の取引に関して、平成24年3月分の仕訳として正しいものは次のうちどれか。ただし、この管理組合の会計年度は、 4月1日から翌年3月31日までとし、期中の取引において、企業会計原則に基づき厳格な発生主義によって経理しているものとする。

*発生主義ということ
 毎年の説明で、過去問題をやってきている人には、分かり切ったことでしょうが、初めての人もいますので、

 ★マンションの会計処理で
発生主義ということの重要性は、

  全ての費用・収益は、その支出・収入に基づいて計上し、その発生した期間
     *収入については、請求権が生じた月、
     *支出については、支出が労役などの提供又は工事などである場合は、その労役などの提供又は工事等が完了した月、物品の購入なら、その物品が納入された月
    に正しく割り当てるように処理すること。

 これにより、管理費や修繕積立金は該当月に徴収することになっているなら、未収入金(滞納)があっても、全額計上されている。

 この辺りが、企業の会計処理を知っている人には、なかなか理解できない個所です。

*会計は、毎年同じような仕訳が出題されますから、過去の問題をやっておいてください。
 参考: 平成24年 マンション管理士試験 「問35」 。

それでは、設問を見ていきましょう。
注意するのは、設問の文中に3月分の未収入金がある点です。

1.3月での仕訳で、入金合計 1,540,000円 なら、
 管理組合としての仕訳は、資産の増加として、

  借方 
  現金預金 1,5400,000円

 となります。

 この相手勘定科目としては、

2.過去の未収金に対する入金は、
  管理費では、     80,000円
  修繕積立金では   60,000円
  ----------------------------
   合計        140,000円

3.当月(3月分)の管理費としてあるべき収入は、(これが、発生主義です。)
       250,000円 (実入金)
     +  
30,000円 (未収入金分)
   -------------------------
   合計 280,000円

4.当月(3月分)の修繕積立金としてあるべき収入は、(これが、発生主義です。)
       130,000円 (実入金)
     +  
20,000円 (未収入金分)
   -------------------------
   合計 150,000円

5.3月分の処理に4月分の入金があるので、これらは纏めて前受金とし、負債の増加として貸方で処理し、次月には、該当の管理費・修繕積立金の入金処理をします。
         520,000円 (管理費分)
      +  500,000円 (修繕積立金分)
   -----------------------------------
   合計 1、020,000円

6.3月に発生した未収入金は、資産の増加として借方となります、
         30,000円 (管理費分)
     +   20,000円 (修繕積立金分)
   ------------------------------------
   合計   50,000円
  
全体をまとめると、




答え:3  (設問の文中にある未収入金に気が付かないと、おかしなことになる。)

問15

【問 15】 管理組合の活動における以下の取引に関して、平成24年3月分の仕訳として正しいものは次のうちどれか。ただし、この管理組合の会計年度は、 4月1日から翌年3月31日までとし、期中の取引において、企業会計原則に基づき厳格な発主義によって経理しているものとする。

*発生主義の重要性については、前の「問15」を参考のこと。

*それでは、設問を順を追って見ていきましょう。

1.3月に請求金額 700,000円を支払った。
  これは、資産の減少として、

  貸方
  普通預金 700,000円

 となります。
 それでは、相手勘定は、

2. エレベーター内の防犯カメラ2ヵ所取換え代金(納入・設置同年3月)は、
  納入・設置が3月の仕訳に対して、同じ3月に発生していますから、 当月分として借方に仕訳ます。
  そこで、勘定科目を何にするかということですが、選択肢に什器備品とあるようですから、これを使用します。

  度々言っていますように、マンションにおける会計処理については、企業会計のように明確な方法が確立されていません。
  そこで、勘定科目は、管理業者が使用しています会計処理のパソコン・ソフトに依存する部分がかなりありますが、ここは、什器備品で妥当でしょう。

  借方
  什器備品 400,000円

3.高架水槽清掃代金(同年2月完了)は、
  3月の処理で、2月に完了し請求された分の支払いですから、これは、2月度には未払金として処理されたものです。(発生主義です。)
  そこで、負債の減少として、借方に仕訳ます。

  借方
  未払金  100,000円

  となります。

4.漏水補修工事費用の前払い(同年4月実施予定)
  これは、4月実施予定とあり3月では、まだ請求のないものを支払ったので、前払金を資産の増加として借方に仕訳ます。

  借方
  前払金 200,000円

 これらをまとめますと、




答え:4 (ここは、勘定科目をどうするかの迷いだけです。)

問16

【問 16】 管理組合の税務に関する次の記述のうち、税法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 所得税法上、管理組合が受け取る預金利子や配当による収入には、所得税は課税されない。

X 誤っている。 税も過去から出題は多い。 平成24年 マンション管理士試験 「問34」 、平成23年 管理業務主任者試験 「問16」 、 平成22年 管理業務主任者試験 「問16」 、 平成19年 管理業務主任者試験 「問16」 など。
 ここは、特に、 平成17年 管理業務主任者試験 「問16」 選択肢4 のまま。
 マンションの区分所有者の団体である管理組合が法人化されていれば、区分所有法第47条13項及び14項により、法人税では「公益法人等とみなされ」、消費税法では、「通常の公益法人等(別表第三)」と同様の扱いとなりますが、法人化されていない管理組合は、「
人格のない社団等(法人税法二条8号)」として扱われ、法人化されている管理組合と同じ扱いになります。
 また、所得税では、
 所得税法第4条
 「(人格のない社団等に対するこの法律の適用)
  第四条  人格のない社団等は、法人とみなして、この法律(別表第一(注:学校や弁護士会、地方公共団体など)を除く。)の規定を適用する。」
 により、
 法人化されていない管理組合も法人とみなされます。
 すると、
内国法人となり、 所得税法第7条4号
 「第七条  所得税は、次の各号に掲げる者の区分に応じ当該各号に定める所得について課する。
    四  
内国法人 国内において支払われる第百七十四条各号(内国法人に係る所得税の課税標準)に掲げる利子等、配当等、給付補てん金、利息、利益、差益、利益の分配及び賞金
 とあり、
 管理費及び修繕積立金の運用から生じる受取利息(預金利子)や受取配当金収入には、所得税が課せられますから、誤りです。



2 組合員が使用する駐車場の収入は、消費税の課税対象とはならず、課税売上高を構成しないが、専用庭使用料は消費税の課税対象となる。

X 誤っている。 ここは、 平成16年 管理業務主任者試験 「問16」 選択肢4 のまま。 なお、 収益事業の判断は、 平成24年 マンション管理士試験 「問34」 も参考に。
 消費税法においても、法人化されていない管理組合は、消費税法第2条7号
 「(定義)
  第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。  
       七  
人格のない社団等 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものをいう。 」
 とあり、
 ここでも、他の税法と同様に「人格のない社団等」として扱われます。
 そこで、設問の「駐車場の収入」の扱い方については、はっきりした基準がなかったので、国税庁に問い合わせをしたところ、以下の回答があります。http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shohi/02/26.htm
 これによりますと、
 「マンション管理組合は、その居住者である区分所有者を構成員とする組合であり、その組合員との間で行う取引は営業に該当しません。
 したがって、マンション管理組合が収受する金銭に対する消費税の課税関係は次のとおりとなります。
  イ 
駐車場の貸付け………組合員である区分所有者に対する貸付けに係る対価は不課税となりますが、組合員以外の者に対する貸付けに係る対価は消費税の課税対象となります。
  ロ 
管理費等の収受………不課税となります。」
 とあり、
 イにより組合員が使用する駐車場の収入は、消費税の課税対象とはなりませんから前半は適切です。後半の「専用庭使用料」も、事業者が事業として行っていないため組合員からの管理費等に該当すると考えられますから、消費税の課税はありませんから、誤りです。



3 管理組合の支出のうち管理組合が雇用している従業員の給与は、消費税の課税取引として課税対象となる。

X 誤っている。  ここは、 平成19年管理業務主任者試験 「問16」 選択肢4 のまま。
 給与や賃金などは、消費税の課税の対象にはなりません。国税庁の課税の対象とならないもの(不課税)の具体例 によりますと、
 http://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6157.htm

 [平成24年4月1日現在法令等]
 消費税は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡や貸付け、役務の提供が課税の対象となります。 したがって、
次のような取引は、課税の対象となりません
   (1) 
給与・賃金・・・・雇用契約に基づく労働の対価であり、「事業」として行う資産の譲渡等の対価に当たらないからです。
   (2) 寄附金、祝金、見舞金、補助金等・・・・一般的に対価として支払われるものではないからです。
   (3) 無償による試供品や見本品の提供・・・・対価の支払いがないからです。
   (4) 保険金や共済金・・・・資産の譲渡等の対価といえないからです。
   (5) 株式の配当金やその他の出資分配金・・・・株主や出資者の地位に基づいて支払われるものであるからです。
   (6) 資産について廃棄をしたり、盗難や滅失があった場合・・・・資産の譲渡等に当たらないからです。
   (7) 心身又は資産について加えられた損害の発生に伴い受ける損害賠償金・・・・対価として支払われるものではないからです。
      しかし、損害賠償金でも、例えば次のような場合は対価性がありますので、課税の対象となります。
      イ 損害を受けた棚卸資産である製品が加害者に引き渡される場合で、その資産がそのままで使用できる場合や、軽微な修理をすれば使用できる場合
      ロ 無体財産権の侵害を受けたために受け取る損害賠償金が権利の使用料に相当する場合
      ハ 事務所の明渡しが期限より遅れたために受け取る損害賠償金が賃貸料に相当する場合」
 とあり、
 (1)により、管理組合が雇用している従業員の給与は、消費税の課税対象にはなりませんから、誤りです。
 


4 前々年度(平成22年1月1日から1年間)の課税売上高が300万円、前年度(平成23年1月1日から1年間)の課税売上高が1,200万円、当年度 (平成24年1月1日から1年間)の課税売上高が1,300万円の場合、当年度は消費税の納税義務者とはならず、消費税を納入する必要はない。

○ 正しい。 平成23年 管理業務主任者試験 「問16」 。
  管理組合(人格のない社団等)も事業を行うと、消費税の納税義務を負うことになります。
  すると、消費税には免税点が設けられており、その課税期間に係る基準期間(消費税第2条14号参照:個人事業者の場合はその年の前々年、事業年度が1年である法人の場合はその事業年度の前々事業年度)の課税売上高が1千万円以下の場合には、その課税期間の納税義務が免除されます。(消費税法第9条1項)
 そこで、設問は、当年度が平成24年1月で、前々年度(平成22年1月1日から1年間)の課税売上高が、300万円ですから、これは、消費税法第9条1項
 「(小規模事業者に係る納税義務の免除)
  第九条  
事業者のうち、その課税期間に係る基準期間における課税売上高が千万円以下である者については、第五条第一項の規定にかかわらず、その課税期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等につき、消費税を納める義務を免除する。ただし、この法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。(以下略)」
 とあり、
 1000万円以下に該当し、消費税を納める義務を免除されますから、正しい。

  



答え:4  (ここらは、過去問題をやっていれば、正解は早い。)

問17

【問 17】 建築基準法(昭和25年法律第201号)に規定されている建築物の高さに関する次の記述の(ア)から(ウ)に入る数値の組合せとして、正しいものはどれか。

避雷設備を設けなければならない建築物は、原則として高さが(ア) mを超えるもの、非常用の昇降機を設けなければならない建築物は、原則として高さが(イ) mを超えるものであり、また、高さが(ウ) mを超える建築物は、その構造方法について、構造計算によって安全性が確かめられたものとして国土交通大臣の認定を受けなければならない。

* どこか1つでも数値を知っていると、解答は楽ですが。
 まず、避雷設備は、建築基準法第33条
 「(避雷設備)
  第三十三条  
高さ二十メートルをこえる建築物には、有効に避雷設備を設けなければならない。ただし、周囲の状況によつて安全上支障がない場合においては、この限りでない。 」
 とあり、原則として、高さが20mを超える建築物に設けます。

 次の非常用の昇降機は、建築基準法第34条
 「(昇降機)
  第三十四条  建築物に設ける昇降機は、安全な構造で、かつ、その昇降路の周壁及び開口部は、防火上支障がない構造でなければならない。
    2  
高さ三十一メートルをこえる建築物(政令で定めるものを除く。)には、非常用の昇降機を設けなければならない。」
 とあり、
 2項により、原則高さ31mを超える建築物に設けます。

 そして、構造計算では、建築基準法第20条
 「(構造耐力)
  第二十条  建築物は、自重、積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して安全な構造のものとして、次の各号に掲げる建築物の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める基準に適合するものでなければならない。
       一  
高さが六十メートルを超える建築物 当該建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合するものであること。この場合において、その構造方法は、荷重及び外力によつて建築物の各部分に連続的に生ずる力及び変形を把握することその他の政令で定める基準に従つた構造計算によつて安全性が確かめられたものとして国土交通大臣の認定を受けたものであること
       二  高さが六十メートル以下の建築物のうち、第六条第一項第二号に掲げる建築物(高さが十三メートル又は軒の高さが九メートルを超えるものに限る。)又は同項第三号に掲げる建築物(地階を除く階数が四以上である鉄骨造の建築物、高さが二十メートルを超える鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物その他これらの建築物に準ずるものとして政令で定める建築物に限る。) 次に掲げる基準のいずれかに適合するものであること。
         イ 当該建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合すること。この場合において、その構造方法は、地震力によつて建築物の地上部分の各階に生ずる水平方向の変形を把握することその他の政令で定める基準に従つた構造計算で、国土交通大臣が定めた方法によるもの又は国土交通大臣の認定を受けたプログラムによるものによつて確かめられる安全性を有すること。
         ロ 前号に定める基準に適合すること。
       三  高さが六十メートル以下の建築物のうち、第六条第一項第二号又は第三号に掲げる建築物その他その主要構造部(床、屋根及び階段を除く。)を石造、れんが造、コンクリートブロック造、無筋コンクリート造その他これらに類する構造とした建築物で高さが十三メートル又は軒の高さが九メートルを超えるもの(前号に掲げる建築物を除く。) 次に掲げる基準のいずれかに適合するものであること。
         イ 当該建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合すること。この場合において、その構造方法は、構造耐力上主要な部分ごとに応力度が許容応力度を超えないことを確かめることその他の政令で定める基準に従つた構造計算で、国土交通大臣が定めた方法によるもの又は国土交通大臣の認定を受けたプログラムによるものによつて確かめられる安全性を有すること。
         ロ 前二号に定める基準のいずれかに適合すること。
       四  前三号に掲げる建築物以外の建築物 次に掲げる基準のいずれかに適合するものであること。
         イ 当該建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合すること。
         ロ 前三号に定める基準のいずれかに適合すること。」
 とあり、
 1項1号により、高さが60mを超える建築物です。
 




 そこで、
 ア...20 (m)
 イ...31 (m)
 ウ...60 (m)
 となり、正解は 3です。



答え:3  (ここらは、過去問題をやっていれば、 ウの60mは知らなくても、正解はできる。 なお、建築基準法からも毎年出題がありますので、私の別途 「要約 建築基準法」 も利用してください。 また、過去問題の解説で、下の方に、 「建築基準法」 だけを取り出して解説していますから、これも参考にしてください。)

問18

【問 18】 建築基準法に用いられている用語に関する次の記述のうち、誤っているのはどれか。

1 居室には、集会、娯楽のために使用する室は含まれない。

X 誤っている。 含まれる。
  建築基準法での「居室」とは、建築基準法第2条4号
 「(用語の定義)
  第二条  この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
      四  
居室 居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室をいう。 」
 とあり、
 居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室ですから、誤りです。なお、事務室、病室、教室、観覧席なども居室です。 しかし、「玄関」「便所」「浴室」「脱衣室」「洗面所」「押入れ」「納戸」「廊下」は、その使用が一時的ですので居室ではありません。また、倉庫、自動車車庫、無人の機械室なども、居室ではありません。



2 主要構造部と構造耐力上主要な部分の範囲は異なる。

○ 正しい。
  主要構造部とは、建築基準法第2条5号
 「用語の定義)
  第二条  この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
     五  
主要構造部 壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、附け柱、揚げ床、最下階の床、廻り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとする。 」
 とあり、
 防火の観点から、火災が発生した場合の延焼防止や倒壊防止などで規定したものです。

 一方、構造耐力上主要な部分とは、建築基準法施行令第1条3号
 「(用語の定義)
  第一条  この政令において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
     三  
構造耐力上主要な部分 基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するものをいう。)、床版、屋根版又は横架材(はり、けたその他これらに類するものをいう。)で、建築物の自重若しくは積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるものをいう。 」
 とあり、
 これは、建築物の強度の観点からの規定です。地震や風などの外力に対して、構造耐力上の安全性の確保を目的にしています。こちらには、基礎が入っていますが、階段は入っていません。
 主要構造部と構造耐力上主要な部分の範囲は異っていますから、正しい。




 

3 不燃材料には、国土交通大臣が定めたものと国土交通大臣の認定を受けたものがある。

○ 正しい。
 不燃材料は、建築基準法第2条9号
  「九  
不燃材料 建築材料のうち、不燃性能(通常の火災時における火熱により燃焼しないことその他の政令で定める性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めたもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。」
 とあり、
  建築材料のうち、一定の不燃性能を有したものです。これには、国土交通大臣が定めたもの又は国土交通大臣の認定を受けたものがありますから、正しい。
 なお、具体的な不燃材料には、 コンクリート 、れんが 、瓦 、陶磁器質タイル 、繊維強化セメント板 、厚さが3ミリメートル以上のガラス繊維混入セメント板 、厚さが5ミリメートル以上の繊維混入ケイ酸カルシウム板 、鉄鋼 、アルミニウム、金属板、ガラス、モルタル、しっくい、石 、厚さが12ミリメートル以上のせっこうボード(ボード用原紙の厚さが0.6ミリメートル以下のものに限る。) 、ロックウール、グラスウール板 、その他に国土交通大臣が認定したもの があります。



4 建築基準法の各条文の目的により、適用される特殊建築物の範囲は異なる。

○ 正しい。
  例えば、建築基準法第2条2号では、
  「二  
特殊建築物 学校(専修学校及び各種学校を含む。以下同様とする。)、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、市場、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、旅館、共同住宅、寄宿舎、下宿、工場、倉庫、自動車車庫、危険物の貯蔵場、と畜場、火葬場、汚物処理場その他これらに類する用途に供する建築物をいう。 」
 とあり、同法第6条1項1号では、
 「一 
別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物
 とあり、
 階数なども規定されていますし、建築基準法第27条2項、
 「2  
次の各号の一に該当する特殊建築物は、耐火建築物又は準耐火建築物(別表第一(い)欄(六)項に掲げる用途に供するものにあつては、第二条第九号の三ロに該当する準耐火建築物のうち政令で定めるものを除く。)としなければならない。 」
 とあり、
 また、建築基準法第35条1項
 「
別表第一(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供する特殊建築物、階数が三以上である建築物、政令で定める窓その他の開口部を有しない居室を有する建築物又は延べ面積(同一敷地内に二以上の建築物がある場合においては、その延べ面積の合計)が千平方メートルをこえる建築物については、廊下、階段、出入口その他の避難施設、消火栓、スプリンクラー、貯水槽その他の消火設備、排煙設備、非常用の照明装置及び進入口並びに敷地内の避難上及び消火上必要な通路は、政令で定める技術的基準に従つて、避難上及び消火上支障がないようにしなければならない。 」
 など、
 適用される特殊建築物の範囲は異なっていますから、正しい。

答え:1  (ここも、私の別途 「要約 建築基準法」 も参考にしてください。)

問19

【問 19】 共同住宅の防火管理者に関する次の記述のうち、消防法(昭和23年法律186号)によれば、誤っているものはどれか。

1 一定の資格を有する防火管理者により防火上の管理を行わなければならない防火対象物は、収容人員が50人以上のものである。

○ 正しい。 防火管理者についての出題も過去多い。 平成24年マンション管理士試験 「問23」 も参考に。
 防火上の管理は、消防法第8条の2の2
 「第八条の二の二
  第八条第一項の防火対象物のうち火災の予防上必要があるものとして政令で定めるものの管理について権原を有する者は、総務省令で定めるところにより、定期に、防火対象物における火災の予防に関する専門的知識を有する者で総務省令で定める資格を有するもの(次項、次条第一項及び第三十六条第三項において「防火対象物点検資格者」という。)に、当該防火対象物における防火管理上必要な業務、消防の用に供する設備、消防用水又は消火活動上必要な施設の設置及び維持その他火災の予防上必要な事項(次項、次条第一項及び第三十六条第三項において「点検対象事項」という。)がこの法律又はこの法律に基づく命令に規定する事項に関し総務省令で定める基準(次項、次条第一項及び第三十六条第三項において「点検基準」という。)に適合しているかどうかを点検させ、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない。ただし、第十七条の三の三の規定による点検及び報告の対象となる事項については、この限りでない。
   2 前項の規定による点検(その管理について権原が分かれている防火対象物にあつては、当該防火対象物全体(次条第一項の規定による認定を受けた部分を除く。)についての前項の規定による点検)の結果、防火対象物点検資格者により点検対象事項が点検基準に適合していると認められた防火対象物には、総務省令で定めるところにより、点検を行つた日その他総務省令で定める事項を記載した表示を付することができる。
   3 何人も、防火対象物に、前項に規定する場合を除くほか同項の表示を付してはならず、又は同項の表示と紛らわしい表示を付してはならない。
   4 消防長又は消防署長は、防火対象物で第二項の規定によらないで同項の表示が付されているもの又は同項の表示と紛らわしい表示が付されているものについて、当該防火対象物の関係者で権原を有する者に対し、当該表示を除去し、又はこれに消印を付するべきことを命ずることができる。
   5 第一項の規定は、次条第一項の認定を受けた防火対象物については、適用しない。」
 とあり、
 「第八条第一項の防火対象物のうち火災の予防上必要があるものとして政令で定めるもの」は、消防法施行令第1条の2 3項
 (
防火管理者を定めなければならない防火対象物等
 「3 法第八条第一項の政令で定める防火対象物は、次に掲げる防火対象物とする。
    一 別表第一に掲げる防火対象物(同表(十六の三)項及び(十八)項から(二十)項までに掲げるものを除く。次条において同じ。)のうち、次に掲げるもの
      イ 別表第一(六)項ロ、(十六)項イ及び(十六の二)項に掲げる防火対象物(同表(十六)項イ及び(十六の二)項に掲げる防火対象物にあつては、同表(六)項ロに掲げる防火対象物の用途に供される部分が存するものに限る。)で、当該防火対象物に出入し、勤務し、又は居住する者の数(以下「収容人員」という。)が十人以上のもの
      ロ 別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項イ、ハ及びニ、(九)項イ、(十六)項イ並びに(十六の二)項に掲げる防火対象物(同表(十六)項イ及び(十六の二)項に掲げる防火対象物にあつては、同表(六)項ロに掲げる防火対象物の用途に供される部分が存するものを除く。)で、収容人員が三十人以上のもの
      ハ 
別表第一(五)項ロ、(七)項、(八)項、(九)項ロ、(十)項から(十五)項まで、(十六)項ロ及び(十七)項に掲げる防火対象物で、収容人員が五十人以上のもの
    二 新築の工事中の次に掲げる建築物で、収容人員が五十人以上のもののうち、総務省令で定めるもの
      イ 地階を除く階数が十一以上で、かつ、延べ面積が一万平方メートル以上である建築物
      ロ 延べ面積が五万平方メートル以上である建築物
      ハ 地階の床面積の合計が五千平方メートル以上である建築物
    三 建造中の旅客船(船舶安全法(昭和八年法律第十一号)第八条に規定する旅客船をいう。)で、収容人員が五十人以上で、かつ、甲板数が十一以上のもののうち、総務省令で定めるもの」
 とあり、
 消防法施行令の別表第一は、



 とあり、共同住宅は、この表の「(五)項ロ」に該当しますから、
 「ハ 別表第一(五)項ロ、(七)項、(八)項、(九)項ロ、(十)項から(十五)項まで、(十六)項ロ及び(十七)項に掲げる防火対象物で、収容人員が五十人以上のもの」となり、正しい。



2 防火管理者により防火上の管理を行わなければならない防火対象物で、延べ面積500m2以上のものの防火管理者は、甲種防火管理講習の課程を修了した者その他の資格を有する者でなければならない。

○ 正しい。
  防火管理者には、甲種と乙種があり、収容人員や延べ面積により必要とされる資格が異なります。
 それは、消防法施行令第3条
 「(防火管理者の資格)
  第三条  法第八条第一項 の政令で定める資格を有する者は、次の各号に掲げる防火対象物の区分に応じ、当該各号に定める者で、当該防火対象物において防火管理上必要な業務を適切に遂行することができる管理的又は監督的な地位にあるものとする。
       一  第一条の二第三項各号に掲げる防火対象物(同項第一号ロ及びハに掲げる防火対象物にあつては、次号に掲げるものを除く。)(以下この条において「甲種防火対象物」という。) 次のいずれかに該当する者
         イ 都道府県知事、消防本部及び消防署を置く市町村の消防長又は法人であつて総務省令で定めるところにより総務大臣の登録を受けたものが行う甲種防火対象物の防火管理に関する講習(第四項において「
甲種防火管理講習」という。)の課程を修了した者
         ロ 学校教育法 (昭和二十二年法律第二十六号)による大学又は高等専門学校において総務大臣の指定する防災に関する学科又は課程を修めて卒業した者で、一年以上防火管理の実務経験を有するもの
         ハ 市町村の消防職員で、管理的又は監督的な職に一年以上あつた者
         ニ イからハまでに掲げる者に準ずる者で、総務省令で定めるところにより、防火管理者として必要な学識経験を有すると認められるもの
     二  第一条の二第三項第一号ロ及びハに掲げる防火対象物で、
延べ面積が、別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項イ、ハ及びニ、(九)項イ、(十六)項イ並びに(十六の二)項に掲げる防火対象物にあつては三百平方メートル未満、その他の防火対象物にあつては五百平方メートル未満のもの(以下この号において「乙種防火対象物」という。) 次のいずれかに該当する者
         イ 都道府県知事、消防本部及び消防署を置く市町村の消防長又は法人であつて総務省令で定めるところにより総務大臣の登録を受けたものが行う乙種防火対象物の防火管理に関する講習(第四項において「
乙種防火管理講習」という。)の課程を修了した者
         ロ  前号イからニまでに掲げる者
    2  共同住宅その他総務省令で定める防火対象物で、管理的又は監督的な地位にある者のいずれもが遠隔の地に勤務していることその他の事由により防火管理上必要な業務を適切に遂行することができないと消防長(消防本部を置かない市町村においては、市町村長。以下同じ。)又は消防署長が認めるものの管理について権原を有する者が、当該防火対象物に係る防火管理者を定める場合における前項の規定の適用については、同項中「防火管理上必要な業務を適切に遂行することができる管理的又は監督的な地位にあるもの」とあるのは、「防火管理上必要な業務を適切に遂行するために必要な権限が付与されていることその他総務省令で定める要件を満たすもの」とする。
    3  甲種防火対象物でその管理について権原が分かれているものの管理について権原を有する者がその権原に属する防火対象物の部分で総務省令で定めるものに係る防火管理者を定める場合における第一項(前項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定の適用については、法第八条第一項 の政令で定める資格を有する者は、第一項第一号に掲げる者のほか、同項第二号イに掲げる者とすることができる。
    4  甲種防火管理講習及び乙種防火管理講習の実施に関し必要な事項は、総務省令で定める。 」 
 とあり、
 共同住宅は、選択肢1で引用しました、
別表第一(五)項ロ ですから、延べ面積500m2以上のものは、1項1号及び2号により「甲種防火対象物」となりますから、「甲種防火管理講習」の課程を修了した者やその他の資格を有する者でなければなりませんから、正しい。
 なお、甲種の講習時間は、2日ですが、乙種の講習時間は、1日で終わります。





3 防火管理者が行うべき業務には、消火、通報及び避難訓練の実施が含まれる。

○ 正しい。
 防火管理者が行うべき業務は、消防法施行令第4条
 「(防火管理者の責務)
  第四条  防火管理者は、防火管理上必要な業務を行うときは、必要に応じて当該防火対象物の管理について権原を有する者の指示を求め、誠実にその職務を遂行しなければならない。
    2  防火管理者は、消防の用に供する設備、消防用水若しくは消火活動上必要な施設の点検及び整備又は火気の使用若しくは取扱いに関する監督を行うときは、火元責任者その他の防火管理の業務に従事する者に対し、必要な指示を与えなければならない。
    3  
防火管理者は、総務省令で定めるところにより、防火管理に係る消防計画を作成し、これに基づいて消火、通報及び避難の訓練を定期的に実施しなければならない。」
とあり、
3項により、消火、通報及び避難訓練の実施が入っていますから、正しい。



4 防火管理者の業務については、できる限り外部の専門業者への委託により行うことされている。

X 誤っている。
 消防法には、防火管理者の業務については、できる限り外部の専門業者への委託により行うの規定はありませんから、誤りです。


答え:4  (ここも、なんとなく 選択肢4 は分かる? なお、消防法からも毎年出題がありますので、私の過去問題の下の方に、「消防法」 だけを取り出して解説していますから、これも参考にしてください。)

問20

【問 20】 免震構造・工法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1 免震構造とは、免震層を配置することにより、地震力に対して建築物がゆっくりと水平移動し、建築物に作用する地震力を低減する構造形式をいう。

○ 適切である。 過去多い。 平成19年 マンション管理士試験 「問40」 、 平成17年 マンション管理士試験 「問41」 。
  地震の被害に対する建築構造の対策としては、耐震・制震・免震があります。
 耐震構造...地震力に耐えるようにした構造。壁、スラブ(床)、柱、梁などの剛性や靱性を高める工法。
 制震構造...地震力をダンバーなどの部材を用いて吸収する方法で、建物が負担する地震力を低減する工法。
 
免震構造...地震力に対して建物がゆっくりと水平移動して、建物の曲げや変形を少なくする工法。家具の転倒は防ぎやすくなるが、免震装置の維持管理が必要。
 設問は、免震構造の説明として適切です





2 免震工法を採用した建築物を建築する場合の構造方法は、必ず国土交通大臣の認定を受けなければならない。

X 適切でない。
 
時間の都合上、各条文の詳細までは調べていませんが、こんな規則はないと思います。(だれか調べて、連絡下さい。)
 誰からも連絡がないので、構造方法の認定でちょっと調べました。
 設問に近いのは、建築基準法第68条の10
 「(型式適合認定)
  第六十八条の十  国土交通大臣は、申請により、建築材料又は主要構造部、建築設備その他の建築物の部分で、政令で定めるものの型式が、前三章の規定又はこれに基づく命令の規定(第六十八条の二十六第一項の
構造方法等の認定の内容を含む。)のうち当該建築材料又は建築物の部分の構造上の基準その他の技術的基準に関する政令で定める一連の規定に適合するものであることの認定(以下「型式適合認定」という。)を行うことができる
    2  型式適合認定の申請の手続その他型式適合認定に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。」
 とあり、
  引用されています、第68条の26 第1項は、
 「(構造方法等の認定)
  第六十八条の二十六  構造方法等の認定(前三章の規定又はこれに基づく命令の規定で、建築物の構造上の基準その他の技術的基準に関するものに基づき国土交通大臣がする構造方法、建築材料又はプログラムに係る認定をいう。以下同じ。)の申請をしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、国土交通省令で定める事項を記載した申請書を国土交通大臣に提出して、これをしなければならない。」
 です。

 
これらによると、「”必ず”国土交通大臣の認定を受けなければならない」ではなく、任意のようです。


3 免震構造に用いられる免震材料は、鉛直荷重を支持し、建築物の水平方向の変形性能を確保する支承材のみである。

X 適切でない。
  
免震構造では、建物の鉛直荷重を支え、地震時には、建物をゆっくりと水平に動かし地震の衝撃を吸収する柔らかな支承装置(アイソレーターとも呼ばれます)と、支承の変形量が大きくなりすぎないようにブレーキの役目を果たす減衰装置(ダンパーとも呼ばれます)があり、支承材のみではありませんから、適切ではありません。
 なお、支承装置には、積層ゴム、すべり支承、転がり支承などがあります。
 また、減衰装置には、オイルの粘性を利用したオイル・ダンパーや、金属の延性を利用した鋼材ダンパー、鉛ダンパーなどがあります。





4 免震構造の建築物であっても、建築設備の設計・施工においては耐震及び制震構造の建築物との違いはない。

X 適正でない。 違う。
  選択肢1で述べましたように、免震構造では、建物の基礎に免震装置を設けますが、耐震構造では筋かいを入れたり、また制震構造では、骨組みに制震装置を設けたりしますから、建築設備の設計・施工において違っていますから、適切ではありません。



答え:1  
(ここは、選択肢1 が分かれば、他の選択肢は、過去問題にないが無視できる。新しく、図も入れたので、解説に時間がかかるー。)

問21

【問 21】 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第107条に規定されている耐火性能に関する技術的基準に関する次の記述のうち、誤っている ものはどれか。なお、本問において「要求耐火時時間」とは、通常の火災による火熱が加えられた場合に、建築物の当該部分が構造耐力上支障のある変形、溶融、 破壊その他の損傷を生じないで耐えなければならない時間をいう。

1 要求耐火時間としては、 30分間、 1時間、 2時間、 3時間の4つが規定されている。

○ 正しい。
  まず、耐火性能とは、建築基準法第2条7号
 「(用語の定義)
  第二条  この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
        七  
耐火構造 壁、柱、床その他の建築物の部分の構造のうち、耐火性能(通常の火災が終了するまでの間当該火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するために当該建築物の部分に必要とされる性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合する鉄筋コンクリート造、れんが造その他の構造で、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。 」
 とあり、
 耐火構造において、@壁・A柱・B床・Cはり・D屋根・E階段などの建築物の主要構造部が求められる、一定の耐火の技術的な基準です。
 その詳細な技術的基準は、建築基準法施行令第107条
 「(耐火性能に関する技術的基準)
  第百七条  法第二条第七号 の政令で定める技術的基準は、次に掲げるものとする。
       一  次の表に掲げる建築物の部分にあつては、当該部分に通常の火災による火熱がそれぞれ次の表に掲げる時間加えられた場合に、構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであること。


        二  壁及び床にあつては、これらに通常の火災による火熱が一時間(非耐力壁である外壁の延焼のおそれのある部分以外の部分にあつては、三十分間)加えられた場合に、当該加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)の温度が当該面に接する可燃物が燃焼するおそれのある温度として国土交通大臣が定める温度(以下「可燃物燃焼温度」という。)以上に上昇しないものであること。
       三  外壁及び屋根にあつては、これらに屋内において発生する通常の火災による火熱が一時間(非耐力壁である外壁の延焼のおそれのある部分以外の部分及び屋根にあつては、三十分間)加えられた場合に、屋外に火炎を出す原因となるき裂その他の損傷を生じないものであること。」
 とあり、
 1号によれば、通常の火災による火熱が加えられた場合に、建築物の当該部分が構造耐力上支障のある変形、溶融、 破壊その他の損傷を生じないで耐えなければならない時間は、
屋根などでは、30分間以上、壁などでは、階数に応じて、1時間、2時間とあり、柱やはりでは、1時間、2時間、3時間とあるので、正しい。


2 高層建築物の柱、はりの要求耐火時間は、高層階ほど長いものとなっている。

X 誤っている。 下の階の柱、はりは、上の階より、耐えなければ意味がない。
  選択肢1で引用しました、建築基準法施行令第107条1号
 「(耐火性能に関する技術的基準)
  第百七条  法第二条第七号 の政令で定める技術的基準は、次に掲げるものとする。
       一  次の表に掲げる建築物の部分にあつては、当該部分に通常の火災による火熱がそれぞれ次の表に掲げる時間加えられた場合に、構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであること。(表は略)」
 とあり、
 
下の階ほど、要求耐火時間は長くなっていますから、誤りです。(表の表現が、「最上階から数える」に注意。)




3 壁及び床については、要求耐火時間以外に、加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)の上昇温度についても規定されている。

○ 正しい。
  選択肢1で引用しました、建築基準法施行令第107条2号
 「二  
壁及び床にあつては、これらに通常の火災による火熱が一時間(非耐力壁である外壁の延焼のおそれのある部分以外の部分にあつては、三十分間)加えられた場合に、当該加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)の温度が当該面に接する可燃物が燃焼するおそれのある温度として国土交通大臣が定める温度(以下「可燃物燃焼温度」という。)以上に上昇しないものであること。」
 とあり、正しい。なお、これは、遮熱性と呼ばれます。



4 外壁及び屋根については、要求耐火時間以外に、屋外に火炎を出す原因となるき裂その他の損傷を生じないものであることが規定されている。

○ 正しい。
  選択肢1で引用しました、建築基準法施行令第107条3号
 「三  
外壁及び屋根にあつては、これらに屋内において発生する通常の火災による火熱が一時間(非耐力壁である外壁の延焼のおそれのある部分以外の部分及び屋根にあつては、三十分間)加えられた場合に、屋外に火炎を出す原因となるき裂その他の損傷を生じないものであること。」
 とあり、正しい。なお、これは、遮炎性と呼ばれます。



答え:2  (ここは、かなり難問でした。 こんな個所からも、出題されるとは! ここらの詳細な解説は、私の 「要約 建築基準法」 の 第2条7号の解説にありますから、参考にしてください。)

問22

【問 22】 コンクリートに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1 まだ固まらない状態にあるコンクリートを、プレーンコンクリートという。

X 適切でない。 コンクリートは過去から出題多い。 平成24年 マンション管理士試験 「問36」 また、平成24年 管理業務主任者試験 「問27」 にもある。
  コンクリートは、セメント、水、細骨材(砂)、粗骨材(砂利)に必要なら混和材料を練り混ぜたものです。
  プレーン・コンクリート(Plain Concrete)とは、混和材料を入れていないものです。
  まだ固まらない状態にあるコンクリートは、フレシュ・コンクリート(Fresh Concrete)といいますから、適切ではありません。



2 コンクリートから細骨材を除いたものは、モルタルである。

X 適切でない。
  モルタルは、コンクリートから粗骨材(砂利)を除いたものです。細骨材(砂)とセメントと水で構成されますから、適切ではありません。


3 工場で生産され、まだ固まらない状態のまま現場にコンクリートミキサー車などで運搬されるコンクリートを、レディーミクストコンクリートという。

○ 適切である。
   レディー・ミクスト・コンクリートは、英語なら、Ready Mixed Concrete で、工場で造られて、まだ、固まらずに使用現場にコンクリートミキサー車などで運ばれるコンクリートが、レディー・ミクスト・コンクリートですから、適切です。 別名を「生コン」です。


4 建設当初にコンクリートが持つ強アルカリ性が徐々に失われ、内部の鉄筋が錆びやすい状況になる現象を、コンクリートの酸性化という。 

X 適切でない。
  コンクリートの酸性化ではなく、中性化です。
  コンクリートは当初、強アルカリ性(pH12〜13)ですが、空気中の炭酸ガス(二酸化炭素)などで、そのアルカリ性を徐々に失っていきます。すると、コンクリートの内部にある鉄筋が溶け出して、錆びやすくなります。この現象は、コンクリートの中性化と呼ばれますから、適切ではありません。



答え:3  (ここは、選択肢3 がなんとなくわかれば、いいでしょう。)

問23

【問 23】 マンションの外壁に使用される陶磁器質タイルの種類、材質及び工法にする次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1 四丁掛タイル、三丁掛タイル、二丁掛タイルの長さ(長辺)は同じであるが、幅が異なり、四丁掛タイルは、二丁掛タイルの2倍の幅である。

○ 適切である。 知らない! 必ずこのような、過去問題からかけ離れた出題が出るので、雑学が必要。
  まず、基本として、タイルは、セメント・ペーストやモルタル、接着剤などの張り付け材料を使って、壁や床に張り付けます。

  
 そこで、設問の磁器製のタイルと寸法は次のようになっています。

一般の名称 寸法
小口 108mm x  60mm
二丁掛 227   x  60
三丁掛 227   x  90
四丁掛 227   x 120

 ですから、四丁掛タイル、三丁掛タイル、二丁掛タイルの長さ(長辺)は同じ 227mm ですが、四丁掛タイルの幅は 120mm で 二丁掛タイルの幅は、60mm で、四丁掛タイルの幅は二丁掛タイルの幅の2倍で適切です。
 なお、二丁掛の呼び名の元は、煉瓦を2つ(二丁)並べたものから来たようです。また、二丁掛の大きさの基本は、小口の大きさですが、小口(108mm)x2=216mmに目地分の11mmを足して、227mmとしたとのことです。


2 日本工業規格の基準によれば、タイルは、素地の質によりT類からV類の3種類に分けられ、そのうち吸水率の最も高いものはT類である。

X 適切でない。
  タイルの素地の質により、吸水率は、T類からV類の3種類に分けられていますが、JIS A5209 によりますと、下のようになっていて、T類の吸水率は、3.0%以下で、V類の吸水率は、50.0%以下ですから、吸水率の最も高いものはV類で、適切ではありません。

区分 吸水率(%)
T類 3.0以下
U類 10.0以下
V類 50.0以下



3 近年に建築されたマンションでは、コンクリート下地に直接タイルを張る直張り法が多く用いられている。

○ 適切である。
   直張り法...コンクリート下地に直接タイルを張る工法で、近年のマンションでは、多く用いられていますから適切です。


4 改良圧着張りは、下地に張付けモルタルを塗り付けるとともに、タイル裏面にも張付けモルタルを塗り付け、タイルを張り付ける工法である。

○ 適切である。
   まず、圧着張り...外装タイルに適用される。下地に張付けモルタル(コンクリートから粗骨材を除いたもの)を塗り付け、かなづちの柄などでタイルを張り付ける工法です。
   改良圧着張り...外装タイルに適用される。下地に張付けモルタルを塗り付けるとともに、タイル裏面にも張付けモルタルを塗り付け、タイルを張り付ける工法。圧着張りでは塗り置きの時間の管理不足で、タイルの浮きが発生していたのを改良したものですから、適切です。



答え:2  (まったく、酷い出題です。 選択肢1のような出題に対しては、左官屋さんでも、間違えるようです。)

問24

【問 24】 飲料用水槽の設置及び構造に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1 水槽底部には100分の1程度の勾配(こうばい)を設け、最低部に設けたピット又は溝に水抜管を設置すること。

○ 適切である。 飲料用水槽(貯水槽)も過去から出題多い。
  マンションでは、水道の水を一度貯水槽(タンク)に溜めてから各室に送る方式がとられていることが多く、そのため、試験でもよく出ます。
  根拠としては、建築基準法施行令129条の2の5(条文は略)によって、設置や構造が細かく規定され、建設省告示1597号や改正の建設省1406号 にも規定されています。
 また、空気・衛生学会から「給排水衛生設備基準」が出ています。でもこの本はページ数も多くて全部読むのは大変ですが。
 設問に対しては、水道局等の指導によると、貯水槽内は清掃作業が容易な構造とし、底部には1/100を標準とする勾配及び集水ピット等を設け、完全な水抜きができる構造とすることとありますから、適切です。





2 建築物の内部に設けられる飲料用水槽については、有効水量2m3以下の取り外しができるものを除き、天井、底又は周壁の保守点検ができるよう、床、壁及び天井面から45cm以上離れるように設置すること。

X 適切でない。 六面点検とよばれ、45cmではなく、周囲は60cm以上、天井からは1m以上。 平成18年 マンション管理士試験 「問43」 。
 建築物の内部に設けられる飲料用水槽については、選択肢1で引用しました、建設省告示第1597号
 「二 給水タンク及び貯水タンク
    イ 建築物の内部、屋上又は最下階の床下に設ける場合においては、次に定めるところによること。
       (1) 外部から給水タンク又は貯水タンク(以下「給水タンク等」という。)の天井、底又は周壁の保守点検を容易かつ安全に行うことができるように設けること。」
 とあり、これを受け、詳細には、
周囲4面と下面では、60cm以上、点検マンホールが取り付けられる上面では1m以上の距離を点検スペースとして確保しますから、適切ではありません。




3 オーバーフロー管の管端開口部には、防虫網を設けないこと。
 
X 適切ではない。 
  オーバーフロー管とは、受水槽内の水が一杯になった時に、外部に吐き出すための管です。このオーバーフロー管の管端開口部には、防虫網を設けないと、飲料用水槽に虫が入り込む恐れがあり衛生上よくありませんから、防虫網を設けますので、適切ではありません。


4 水抜管は排水管と直結し、オーバーフロー管は排水口空間を設け間接排水とすること。

X 適切ではない。 
  まず、選択肢1で使用しています図にありますように、水抜管は、受水槽の下部にあります。 この水抜管が排水管と直結していますと、排水が受水槽に逆流する恐れがありますので、必ず水抜管と排水管との間には、空間を設け間接排水としますから、前半は適切ではありません。
 後半のオーバーフロー管は排水口空間を設け間接排水とするは、逆流を防げますから適切です。ここは、前半が適切ではありません。



答え:1  (ここは、消去法で、選択肢2 〜 4 は不適切とわかるので易しい。)

問25

【問 25】 マンションの給水ポンプに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1 給水ポンプ本体に使用される主な材質としては、鋳鉄製とステンレス鋼製のものがある。

○ 適切である。
  給水ポンプ本体に使用される主な材質としては、鋳鉄製とステンレス鋼製があります。鋳鉄製は接水部をナイロンコーティングして赤水の発生を防いでいます。
 ステンレス鋼製は、プレス加工で、小型でまた経済的なので、急速に普及しています。鋳鉄製とステンレス鋼製も共に水中に設置される物もあります。適切です。既設ポンプが鋳鉄製の場合、ステンレス鋼製への変更を検討することも必要でしょう。



2 高置水槽方式の揚水ポンプは、通常2台設置して自動交互運転とする。

○ 適切である。
  高置水槽方式の揚水ポンプは、通常2台設けて、自動交互運転で1台は故障時の予備としますから、適切です。なお、高置水槽の容量は、1日使用量の1/5〜1/7を目安にします。


3 ポンプ直送方式における回転数制御方式としては、吐出圧力一定制御と推定末端圧力一定制御がある。

○ 適切である。 過去問ある。 平成22年マンション管理士試験 「問43」 。
 ポンプ直送方式では、給水量の変化に応じて、ポンプの回転数又は運転台数を変化させます。ポンプの回転数を制御する方法としては、吐出しの圧力を感知して給水を制御する方法(
吐出圧力一定制御)と、使用流量が少なくなると圧力損失が少なくなることを利用した、使用流量の変化を感知して回転数を変化させる方法(推定末端圧力一定制御)がありますから、適切です。


4 給水ポンプを防振架台上に設置する場合、耐震ストッパを設けないこと。

X 適切でない。
  ポンプの耐震対策として、防振架台上に設置する場合には、地震時にポンプが飛び出さないように、耐震ストッパ(ストッパー)で支持しますから、適切ではありません。


答え:4 (ここも、なんとなく、選択肢4 は分かる。)

ここまで、問25


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2013年 9月 4日:「問24」に「六面点検」の図を入れた。
2013年 2月17日:出題元の(社)高層住宅管理業協会の「問6」と「問29」の出題ミスによる追加解答と、「問20」選択肢2など再度内容を検討した。
2013年 1月23日:解説文に 「赤字」 など入れた、
2013年 1月18日:社団法人:高層住宅管理業協会の正解発表を入れた。
2013年 1月12日:第1項 Up。
解説開始:2013年1月 3日
問題文Up:2012年12月18日

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