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平成30年(2018年) マンション管理士 試験問題 及び 解説

ページ2(問26より問50まで)

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謝辞:問題文の作成には、 高井さまの協力を得ています。

実施:平成30年11月25日(日) 13時から15時まで

※ 出題当時以後の法令等の改正には、一部は対応していません。

*試験に臨んで、お節介なアドバイス
  1.設問にあわせて、問題用紙に ○(まる)、X(ばつ)をつける。
    殆どの設問が、「正しい」か「間違い」かを訊いてきますので、設問により、問題の頭に、○かXをつけます。
    そして、各選択肢を読み、○かXをつけます。
    問題の○なりXと、選択肢の○かXが一致したものを、マークシートに記入してください。

  2.疑問な問題は、とりあえず飛ばす。
    回答の時間は限られています。
    そこで、回答として、○かXかはっきりしないものがでたら、「?」マークをつけて、次の問題に移ります。
    全部の回答が終わってから、再度戻って決定してください。

  3.複雑な問は、図を描く。
    甲、乙、A、B、Cなど対象が多い問題もでます。
    この場合、問題用紙の空いているところに、図を描いてください。
    重要な点が分かってきます。

(出題者からの注意
次の注意事項をよく読んでから、始めてください。
(注意事項)
1  これは試験問題です。問題は、1 ページから29 ページまでの50 問です。
2  試験開始の合図と同時に、問題のページ数を確認してください。
  もし落丁や乱丁があった場合は、ただちに試験監督員に申し出てください。
  また、法律等の略称及び用語の定義について、裏面の記載を確認してください。
3  答は、別の解答用紙に記入してください。
  解答用紙に記入する際は、解答用紙の注意事項をよく読み、所定の要領で記入してください。
4  答は、各問題とも1 つだけです。
  2 つ以上の解答をしたもの、判読が困難なものは、正解としません。
5  問題中法令等に関する部分は、平成30 年4 月1 日現在施行中の規定に基づいて出題されています。

問題及びこのページの中で使用している主な法律等の略称及び用語の定義については、各問題において特に記述している場合を除いて以下のとおりとします。

・「区分所有法」………………… 建物の区分所有等に関する法律(昭和37 年法律第69 号)
   
☆マンション管理士 香川より;この解説においては、私も略称「区分所有法」といいます。
・「マンション管理適正化法」…マンションの管理の適正化の推進に関する法律(平成12 年法律第149号)
 
 ☆マンション管理士 香川より;この解説においては、私も略称「マンション管理適正化法」といいます。
・「標準管理規約」………………  マンション標準管理規約(単棟型)及びマンション標準管理規約(単棟型)コメント(最終改正平成29 年8月29 日 国住マ第33 号)
  
☆マンション管理士 香川より、この解説においては、私も略称「標準管理規約」といいます。
・「マンション」…………………「マンション管理適正化法第2条第1号イに規定するマンション」をいう。
  ☆マンション管理士 香川より;
  初めての人には、分かり難い引用方法です。
  そこで、私の過去の年度の解説を読んでいる人には、度々となりますが、これは、受験での基本ですから、解説します。

 建物の区分所有等に関する法律(以下、当解説では、「区分所有法」といいます)では、法律用語として「マンション」の定義がありません。しかし、マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下、当解説では、「マンション管理適正化法」といいます)第2条では、以下のように定義されていますので、マンションの用語を試験で使用する際にはこのような「マンション(マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下「マンション管理適正化法」という。)第2条第1号イに規定するマンションをいう」の表現が使用されます。

 そこで、マンション管理適正化法第2条とは、
 「(定義) 
  第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号の定めるところによる。
     一
 マンション 次に掲げるものをいう
       イ 
二以上の区分所有者(建物の区分所有等に関する法律 (昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第二条第二項 に規定する区分所有者をいう。以下同じ。)が存する建物で人の居住の用に供する専有部分(区分所有法第二条第三項 に規定する専有部分をいう。以下同じ。)のあるもの並びにその敷地及び附属施設」

 です。マンション管理適正化法第2条1号イによれば、「マンション」であるための要件は、
    ①2人以上の区分所有者 がいて、 
    ②人の居住用の専有部分が1つでもあればいい 
 です。マンションの建物には、専有部分と共用部分しかなく、そして、マンションは専有部分と共用部分を含んだ建物と敷地及び附属施設の全体的なものであることに注意してください。

 

・「管理組合」……………………  「区分所有法第3条に規定する区分所有者の団体」をいう。
  
☆マンション管理士 香川より; この定義の仕方には問題があります。
  まず、区分所有法第3条とは、
  「(区分所有者の団体)
   第三条  区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも、同様とする。 」

 です。
  このマンション管理士試験では、区分所有法第3条前半に規定される「区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体」を”即=管理組合”に置き換えていますが、区分所有法では、法人化された場合には、「管理組合法人」の規定はありますが、管理組合だけの規定は1つも存在しません。
 法律で定義がされていない「管理組合」を国家試験として、直ちに「区分所有法第 3条に規定する区分所有者の団体をいう」は、実に不適切な方法です。改めるべきやり方です。

・「管理組合法人」………………  「区分所有法第47 条第1項に規定する法人」をいう。
  ☆マンション管理士 香川より;この解説においては、法人であれば区分所有法に明記されていますので、私も略称「管理組合法人」といいます。
・「
団地管理組合」………………  「区分所有法第65条に規定する団地建物所有者の団体」をいう。
  ☆マンション管理士 香川より; この定義の仕方には、上の「管理組合」の定義で指摘したのと同様に、法人化されていない「団地建物所有者の団体」を直ちに「団地管理組合」と呼ぶことは、国家試験においては、適切ではなく、非常に追及される出題方法です。これも、改めるべきやり方です。

解説者(マンション管理士 香川)からのコメント:あやふやな出題、適切でない出題もあって、解答ができないのもあります。

 *この解説の利用方法:過去に出題された年度が、リンクされていますから、出題の仕方、解説文も参考にしてください。

  *判例や、根拠となる告示なども、リンクしていますから、これも、確認してください。


民法(債権関係)は、2020年4月1日施行で、大幅に改正があるので、注意のこと。

※  ・マンション標準管理委託契約書は、平成30年3月9日付で24条に「反社会勢力の排除」などの改正があり、平成30年度の試験から出題適用となるので注意のこと。

   ・マンション標準管理規約は、平成29年8月29日付で「民泊」で12条に改正があり、平成30年度の試験から出題適用となるので注意のこと。

    ・マンションの管理の適正化に関する指針(国土交通省告示第490号)及びマンション標準管理規約は、平成28年3月14日付で大幅な改正があった。
  
   ・マンション標準管理委託契約書は、平成28年7月に改正があり、平成29年度の試験から出題適用となるので注意のこと。
   
   ・マンション標準管理規約は、平成16年に改正があった。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。
   ・マンション標準管理委託契約書は、平成15年に改正があった。また、平成22年5月にも改正があった。

問26

注:マンション標準管理規約(単棟型)は以下、当解説では、「単棟型」を略して、「標準管理規約」といいます。

  標準管理規約は、平成28年3月14日に大幅な改正があり、また、平成29年8月29日付で「民泊」で12条に改正があったので、注意のこと。


〔問 26〕 役員の選任等に関する標準管理規約及び標準管理規約コメントの規定によれば、標準管理規約の本文には規定されていないが、管理組合の規約で定めることもできるとされている事項は、次のうちいくつあるか。ただし、外部専門家を役員として選任できることとしていない場合とする。

ア 組合員である役員が転出、死亡等により任期途中で欠けた場合には、組合員から補欠の役員を理事会の決議で選任することができるとすること。

〇 管理組合の規約で定めることもできる
  平成24年 マンション管理士試験 「問31」 、

 単なる、マンションでの参考版でしかない、「標準管理規約」のしかも、公式の判断を受けていない「コメント」からの出題は、実に不適切な出題態度であることは、指摘しておきます。

 設問は、標準管理規約36条
  コメント 第36条関係 ④
 「④ 役員が任期途中で欠けた場合、総会の決議により新たな役員を選任することが可能であるが、外部の専門家の役員就任の可能性や災害時等緊急時の迅速な対応の必要性を踏まえると、規約において、あらかじめ補欠を定めておくことができる旨規定するなど、補欠の役員の選任方法について定めておくことが望ましい。
 また、
組合員である役員が転出、死亡その他の事情により任期途中で欠けた場合には、組合員から補欠の役員を理事会の決議で選任することができると、規約に規定することもできる
 なお、理事や監事の員数を、○~○名という枠により定めている場合には、その下限の員数を満たさなくなったときに、補欠を選任することが必要となる。」
 とあり、
 このコメントによれば、組合員である役員が転出、死亡等により任期途中で欠けた場合には、組合員から補欠の役員を理事会の決議で選任することができるとすることは、規約に規定できます。



イ 理事の員数を、○~○名という枠により定めること。

〇 管理組合の規約で定めることもできる
 
 設問は、 コメント 第35条関係
 「②
理事の員数については次のとおりとする。
   1 おおむね10~15戸につき1名選出するものとする。
   
2 員数の範囲は、最低3名程度、最高20名程度とし、○~○名という枠により定めることもできる。
 とあり、
 理事の員数を、○~○名という枠により定めることは、管理組合の規約で定めることもできます。



ウ 役員が任期途中で欠けた場合に備え、あらかじめ補欠を定めておくことができるとすること。

〇 管理組合の規約で定めることもできる

  設問は、選択肢ア でも引用しました、コメント 第36条関係 ④
 「④
役員が任期途中で欠けた場合、総会の決議により新たな役員を選任することが可能であるが、外部の専門家の役員就任の可能性や災害時等緊急時の迅速な対応の必要性を踏まえると、規約において、あらかじめ補欠を定めておくことができる旨規定するなど、補欠の役員の選任方法について定めておくことが望ましい。
 また、組合員である役員が転出、死亡その他の事情により任期途中で欠けた場合には、組合員から補欠の役員を理事会の決議で選任することができると、規約に規定することもできる。
 なお、理事や監事の員数を、○~○名という枠により定めている場合には、その下限の員数を満たさなくなったときに、補欠を選任することが必要となる。」
 とあり、
 役員が任期途中で欠けた場合に備え、あらかじめ補欠を定めておくことができるとすることは、管理組合の規約で定めることもできます。



エ 役員の資格要件に居住要件を加えること。

〇 管理組合の規約で定めることもできる

 設問は、 コメント 第35条関係
 「① 管理組合は、建物、敷地等の管理を行うために区分所有者全員で構成される団体であることを踏まえ、役員の資格要件を、当該マンションへの居住の有無に関わりなく区分所有者であるという点に着目して、「組合員」 としているが、全般関係③で示したとおり、必要に応じて、マンション管理に係る専門知識を有する外部の専門家の選任も可能とするように当該要件を外すことも考えられる。この場合においては、「外部専門家を役員として選任できることとする場合」の第4項のように、選任方法について細則で定める旨の規定を置くことが考えられる。
 この場合の専門家としては、 マンション管理士のほか弁護士、建築士などで、一定の専門的知見を有する者が想定され、当該マンションの管理上の課題等に応じて適切な専門家を選任することが重要である。
 
なお、それぞれのマンションの実態に応じて、「○○マンションに現に居住する組合員」((注)平成23年改正前の標準管理規約における役員の資格要件)とするなど、居住要件を加えることも考えられる。」
 とあり、
  役員の資格要件に居住要件を加えることは、管理組合の規約で定めることもできます。



1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ


答え:4 管理組合の規約で定めることもできるのは、 ア イ ウ エ の4つ全部

  ここで取り上げられている、役員の資格要件や議決権(標準管理規約46条、次の問27)などは、よく標準管理規約においても、国土交通省の役人の手によって、勝手に変更(例えば、平成23年、平成28年)があり、単なる、マンションでの参考版でしかない、「標準管理規約」のしかも、公式の判断を受けていない「コメント」からの出題は、実に不適切な出題態度であることは、指摘しておきます。

 なお、標準管理規約からの出題に対しては、条文とコメントがすぐに対比できるタイプがいいので、別途 「マンション管理士 香川事務所」 が 無料で提供しています、WORD版の 「標準管理規約」 もありますから、参考にしてください。

《タグ》標準管理規約 規約で定めることができるもの 役員 員数 補欠 資格要件

問27

注:マンション標準管理規約(単棟型)は以下、当解説では、「単棟型」を略して、「標準管理規約」といいます。

  標準管理規約は、平成28年3月14日に大幅な改正があり、また、平成29年8月29日付で「民泊」で12条に改正があったので、注意のこと。


問 27〕 甲マンションの105 号室を所有している組合員Aの取扱いに係る次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切なものはいくつあるか。ただし、甲マンションの規約には外部専門家を役員として選任できることとしていない場合とする。

ア Aが区分所有する105 号室にAの孫Bが居住していない場合であっても、BはAの代理人として総会に出席して議決権を行使することができる。

X 適切でない。 本人と同居していない二親等の孫は、代理人として総会に出席して議決権を行使することができない。
 平成28年 マンション管理士試験 「問31」 

 この設問の代理人の資格についても、 平成23年にも改正があり、平成28年3月にも改正があるというように、正しく「標準管理規約」が、あくまでもマンション生活での「参考版」にか過ぎないという実態を示しています。

 基本として代理人の規定は、区分所有法では、第39条2項
 
「2  議決権は、書面で、又は代理人によつて行使することができる。 」
 とあるだけで、区分所有法では議決権行使において代理人の資格について制限を設けていません。

 ところが、議決権の行使は、標準管理規約46条
 「(議決権)
 第46条  各組合員の議決権の割合は、別表第5に掲げるとおりとする。
   2  住戸1戸が数人の共有に属する場合、その議決権行使については、これら共有者をあわせて一の組合員とみなす。
   3  前項により一の組合員とみなされる者は、議決権を行使する者1名を選任し、その者の氏名をあらかじめ総会開会までに理事長に届け出なければならない。
   4  組合員は、書面又は代理人によって議決権を行使することができる。
   
5  組合員が代理人により議決権を行使しようとする場合において、その代理人は、以下の各号に掲げる者でなければならない。
     一  その組合員の配偶者(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)又は一親等の親族
     二  その組合員の住戸に同居する親族
     三  他の組合員

   6  組合員又は代理人は、代理権を証する書面を理事長に提出しなければならない。」
 とあり、
 標準管理規約46条5項により、代理人による議決権の行使は、制限があることに注意してください。

 設問の親族での、一親等とは、本人を中心とした考えで、本人の父母、本人の子および子の配偶者。また、本人の配偶者の父母との関係です。


 

 そこで、設問の孫Bは、二親等であり、また組合員Aと同居していないため、標準管理規約46条5項により孫Bは組合員Aの代理人として総会に出席して議決権を行使することができませんから、適切ではありません。


イ Aが区分所有する105 号室にAと同居している子Cは、Aに代わって管理組合の役員となることができる。

X 適切でない。 規約で、外部専門家を役員として選任できることとしていない場合なら、組合員でないと、役員にはなれない。
  平成24年 マンション管理士試験 「問29」 、 同「問31」

 規約で、外部専門家を役員として選任できることとしていない場合の、役員の資格は、標準管理規約35条
 「(役員)
  第35条  管理組合に次の役員を置く。
     一  理事長
     二  副理事長 ○名
     三  会計担当理事 ○名
     四  理事(理事長、副理事長、会計担当理事を含む。以下同じ。) ○名
     五  監事 ○名
 
2  理事及び監事は、組合員のうちから、総会で選任する。
 3  理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事のうちから、理事会で選任する。」
 とあり、
 標準管理規約35条2項によれば、「理事及び監事は、
組合員のうちから、総会で選任する」とあるため、組合員でない子Cは、同居していても、組合員Aに代わって管理組合の役員となることができませんから、適切ではありません。

 ただし、規約で、外部専門家を役員として選任できますから、注意してください。



ウ Aが区分所有する105 号室の2分の1の持分を配偶者Dに移転して共有とした場合、議決権はAとDがそれぞれの持分に応じて各々が行使することとなる。

X 適切でない。 住戸(専有部分)が共有なら、だれか1名を議決権行使者と定めること。共有者が別々に議決権を行使できない。


 議決権の行使は、選択肢ア でも引用しました、標準管理規約46条2項
 「(議決権)
 第46条
 
2  住戸1戸が数人の共有に属する場合、その議決権行使については、これら共有者をあわせて一の組合員とみなす。」
 とあり、
 標準管理規約46条2項(区分所有法第40条でも)では、住戸(専有部分)が、数人の共有なら、だれか1名を議決権行使者と定めることになっていますから、議決権はAとDがそれぞれの持分に応じて各々が行使することは、適切ではありません。



エ Aが甲マンション外に居住しており、自身の住所を管理組合に届け出ていない場合には、管理組合は、総会の招集の通知の内容をマンション内の所定の掲示場所に掲示することによって、招集の通知に代えることができる。

〇 適切である。 マンション外の居住者で、住所の届け出がないと、通知内容は掲示板に張り出せばいい。
  平成26年 マンション管理士試験 「問30」 、

 総会の招集手続は、標準管理規約43条
 「(招集手続)
  第43条  総会を招集するには、少なくとも会議を開く日の2週間前(会議の目的が建替え決議又はマンション敷地売却決議であるときは2か月前)までに、会議の日時、場所及び目的を示して、組合員に通知を発しなければならない。
 2  前項の通知は、管理組合に対し組合員が届出をしたあて先に発するものとする。ただし、その届出のない組合員に対しては、対象物件内の専有部分の所在地あてに発するものとする。
 
3  第1項の通知は、対象物件内に居住する組合員及び前項の届出のない組合員に対しては、その内容を所定の掲示場所に掲示することをもって、これに代えることができる。
 4  第1項の通知をする場合において、会議の目的が第47条第3項第一号、第二号若しくは第四号に掲げる事項の決議又は建替え決議若しくはマンシ ョン敷地売却決議であるときは、その議案の要領をも通知しなければならない。
 5  会議の目的が建替え決議であるときは、前項に定める議案の要領のほか、次の事項を通知しなければならない。
     一  建替えを必要とする理由
     二  建物の建替えをしないとした場合における当該建物の効用の維持及び回復(建物が通常有すべき効用の確保を含む。)をするのに要する費用の額及びその内訳
     三  建物の修繕に関する計画が定められているときは、当該計画の内容
     四  建物につき修繕積立金として積み立てられている金額
 6  会議の目的がマンション敷地売却決議であるときは、第4項に定める議案の要領のほか、次の事項を通知しなければならない。
     一  売却を必要とする理由
     二  建築物の耐震改修の促進に関する法律(平成7年法律第123号)第2条第2項に規定する耐震改修(以下単に「耐震改修」という。)又はマンションの建替えをしない理由
     三  耐震改修に要する費用の概算額
 7 建替え決議又はマンション敷地売却決議を目的とする総会を招集する場合、少なくとも会議を開く日の1か月前までに、当該招集の際に通知すべき事項について組合員に対し説明を行うための説明会を開催しなければならない。
 8  第45条第2項の場合には、第1項の通知を発した後遅滞なく、その通知の内容を、所定の掲示場所に掲示しなければならない。
 9  第1項(会議の目的が建替え決議又はマンション敷地売却決議であるときを除く。)にかかわらず、緊急を要する場合には、理事長は、理事会の承認を得て、5日間を下回らない範囲において、第1項の期間を短縮することができる。」
 とあり、
 標準管理規約43条3項によれば、総会招集の通知は、対象物件内に居住する組合員及び通知の届出のない組合員に対しては、その内容を所定の掲示場所に掲示することをもって、これに代えることができるため、適切です。


1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ


答え:1 (適切なものは、 エ だけ)

  議決権行使の代理資格と、役員の資格をちゃんと区別すること。 難しくはない。

《タグ》標準管理規約 議決権行使者の資格 役員の資格 共有者 届出のない組合員

問28

注:マンション標準管理規約(単棟型)は以下、当解説では、「単棟型」を略して、「標準管理規約」といいます。

  標準管理規約は、平成28年3月14日に大幅な改正があり、また、平成29年8月29日付で「民泊」で12条に改正があったので、注意のこと。


〔問 28〕 総会の決議に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切なものはどれか。

1 敷地及び共用部分等の変更を決議するに際し、その変更が専用使用部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専用使用部分の専用使用を認められている組合員の承諾を得なければならず、この場合において、当該組合員は正当な理由がなければこれを拒否してはならない。

〇 適切である。 

 総会の決議は、標準管理規約47条 ((ア)電磁的方法が利用可能ではない場合)

 「(総会の会議及び議事)
  第47条  総会の会議は、前条第1項に定める議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならない。
 2  総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。
 3  次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前項にかかわらず、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する。
   一  規約の制定、変更又は廃止
  
 二  敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの及び建築物の耐震改修の促進に関する法律第25条第2項に基づく認定を受けた建物の耐震改修を除く。)
   三  区分所有法第58条第1項、第59条第1項又は第60条第1項の訴えの提起
   四  建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
   五  その他総会において本項の方法により決議することとした事項
 4  建替え決議は、第2項にかかわらず、組合員総数の5分の4以上及び議決権総数の5分の4以上で行う。
 5  マンション敷地売却決議は、第2項にかかわらず、組合員総数、議決権総数及び敷地利用権の持分の価格の各5分の4以上で行う。
 6 前5項の場合において、書面又は代理人によって議決権を行使する者は、出席組合員とみなす。
 7  第3項第一号において、規約の制定、変更又は廃止が一部の組合員の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。この場合において、その組合員は正当な理由がなければこれを拒否してはならない。
 
8  第3項第二号において、敷地及び共用部分等の変更が、専有部分又は専用使用部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分を所有する組合員又はその専用使用部分の専用使用を認められている組合員の承諾を得なければならない。この場合において、その組合員は正当な理由がなければこれを拒否してはならない。
 9  第3項第三号に掲げる事項の決議を行うには、あらかじめ当該組合員又は占有者に対し、弁明する機会を与えなければならない。
 10  総会においては、第43条第1項によりあらかじめ通知した事項についてのみ、決議することができる。」
 とあり、
  敷地及び共用部分等の変更は、標準管理規約47条3項2号の
 「二  敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの及び建築物の耐震改修の促進に関する法律第25条第2項に基づく認定を受けた建物の耐震改修を除く。)」に該当します。
 すると、
 標準管理規約47条8項「8  第3項第二号において、敷地及び共用部分等の変更が、専有部分又は専用使用部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分を所有する組合員又はその専用使用部分の専用使用を認められている組合員の承諾を得なければならない。この場合において、その組合員は正当な理由がなければこれを拒否してはならない」とあり、設問は、適切です。



2 マンション敷地売却決議は、組合員総数の5分の4以上及び議決権総数の5分の4以上で行うことができる。

X 適切でない。 マンション敷地売却決議には、①組合員総数、②議決権総数、③敷地利用権の持分の価格 の各5分の4以上が必要。組合員総数の5分の4以上及び議決権総数の5分の4以上では足りない。

 マンション敷地売却決議は、選択肢1で引用しました、標準管理規約47条5項
 「
5  マンション敷地売却決議は、第2項にかかわらず、組合員総数、議決権総数及び敷地利用権の持分の価格の各5分の4以上で行う。 」
 とあり、
 決議の要件は、
  ①組合員総数
  ②議決権総数
  ③敷地利用権の持分の価格
 の各5分の4以上が必要ですが、設問は③敷地利用権の持分の価格が抜けているため、適切ではありません。

 
 マンションの敷地を売却するとなると、民法の影響もうけ土地(敷地)の権利も反映させるということです。


3 建物の価格の2分の1以下に相当する部分が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧の決議は、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で行わなければならない。

X 適切でない。 小規模滅失なら、出席組合員の議決権の過半数(普通決議)でいい。

 まず、建物の復旧は、区分所有法第61条に規定され、建物の価格の2分の1以下に相当する部分が滅失した場合(小規模滅失)と、建物の価格の2分の1を超える場合(大規模滅失)では、その扱いが異なっています。
 
 
 

 これを踏まえ、選択肢1で引用しました、標準管理規約47条3項4号
 「
四  建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧」(大規模滅失)なら、
 決議は、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で行わなければなりませんが、設問では、
建物の価格の2分の1以下に相当する部分が滅失した場合(小規模滅失)の滅失した共用部分の復旧の決議ですから、これは、標準管理規約47条2項により、総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決することができますから、設問は、適切ではありません。


4 総会においては、あらかじめ組合員に目的等を示して通知した事項のほか、出席組合員の過半数が同意した事項について決議することができる。

X 適切でない。 総会では、あらかじめ通知した事項しか決議できない。
  平成19年 マンション管理士試験 「問28」 

 総会で決議できるのは、選択肢1で引用しました、標準管理規約47条10項
 「
10  総会においては、第43条第1項によりあらかじめ通知した事項についてのみ、決議することができる。」
 とあり、
 いくら、出席組合員の過半数が同意した事項であっても、あらかじめ通知した事項についてのみしか決議できませんから、設問は適切ではありません。

 この規定の訳は、総会に出席していない組合員もいるため抜き打ちでの決議をできなくしたものです。



答え:1

 ここは、易しい。

《タグ》標準管理規約 規約の変更 特別の影響 マンション敷地売却決議 滅失 あらかじめ通知

問29

注:マンション標準管理規約(単棟型)は以下、当解説では、「単棟型」を略して、「標準管理規約」といいます。

  標準管理規約は、平成28年3月14日に大幅な改正があり、また、平成29年8月29日付で「民泊」で12条に改正があったので、注意のこと。


〔問 29〕 理事会に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切なものはどれか。ただし、会議の目的が建替え決議又はマンション敷地売却決議ではない場合とする。

1 理事長が理事会を招集するためには、少なくとも会議を開く日の2週間前までに会議の日時、場所及び目的を示して理事に通知すれば足りる。

X 適切でない。 理事会招集の通知は、理事と監事にも通知すること。理事だけでは足りない。

 理事会の招集は、標準管理規約52条
 「(招集)
  第52条  理事会は、理事長が招集する。
 2  理事が○分の1以上の理事の同意を得て理事会の招集を請求した場合には、理事長は速やかに理事会を招集しなければならない。
 3  前項の規定による請求があった日から○日以内に、その請求があった日から○日以内の日を理事会の日とする理事会の招集の通知が発せられない場合には、その請求をした理事は、理事会を招集することができる。
 
4  理事会の招集手続については、第43条(建替え決議又はマンション敷地売却決議を会議の目的とする場合の第1項及び第4項から第8項までを除く。)の規定を準用する。この場合において、同条中「組合員」とあるのは「理事及び監事」と、同条第9項中「理事会の承認」とあるのは「理事及び監事の全員の同意」と読み替えるものとする。ただし、理事会において別段の定めをすることができる。
 とあり、
 標準管理規約52条4項により、具体的には、標準管理規約43条によります。


 その、標準管理規約43条
  「(招集手続)
  第43条 
総会を招集するには、少なくとも会議を開く日の2週間前(会議の目的が建替え決議又はマンション敷地売却決議であるときは2か月前)までに、会議の日時、場所及び目的を示して、組合員に通知を発しなければならない。
 2  前項の通知は、管理組合に対し組合員が届出をしたあて先に発するものとする。ただし、その届出のない組合員に対しては、対象物件内の専有部分の所在地あてに発するものとする。
 3  第1項の通知は、対象物件内に居住する組合員及び前項の届出のない組合員に対しては、その内容を所定の掲示場所に掲示することをもって、これに代えることができる。
 4  第1項の通知をする場合において、会議の目的が第47条第3項第一号、第二号若しくは第四号に掲げる事項の決議又は建替え決議若しくはマンシ ョン敷地売却決議であるときは、その議案の要領をも通知しなければならない。
 5  会議の目的が建替え決議であるときは、前項に定める議案の要領のほか、次の事項を通知しなければならない。
   一  建替えを必要とする理由
   二  建物の建替えをしないとした場合における当該建物の効用の維持及び回復(建物が通常有すべき効用の確保を含む。)をするのに要する費用の額及びその内訳
   三  建物の修繕に関する計画が定められているときは、当該計画の内容
   四  建物につき修繕積立金として積み立てられている金額
 6  会議の目的がマンション敷地売却決議であるときは、第4項に定める議案の要領のほか、次の事項を通知しなければならない。
   一  売却を必要とする理由
   二  建築物の耐震改修の促進に関する法律(平成7年法律第123号)第2条第2項に規定する耐震改修(以下単に「耐震改修」という。)又はマンションの建替えをしない理由
   三  耐震改修に要する費用の概算額
 7 建替え決議又はマンション敷地売却決議を目的とする総会を招集する場合、少なくとも会議を開く日の1か月前までに、当該招集の際に通知すべき事項について組合員に対し説明を行うための説明会を開催しなければならない。
 8 第45条第2項の場合には、第1項の通知を発した後遅滞なく、その通知の内容を、所定の掲示場所に掲示しなければならない。
 9 第1項(会議の目的が建替え決議又はマンション敷地売却決議であるときを除く。)にかかわらず、緊急を要する場合には、理事長は、理事会の承認を得て、5日間を下回らない範囲において、第1項の期間を短縮することができる。」
 です。


 そこで標準管理規約43条1項は、標準管理規約52条による読み替えがあり、
 「 総会を招集するには、少なくとも会議を開く日の2週間前までに、会議の日時、場所及び目的を示して、”組合員  
理事及び監事” に通知を発しなければならない。」となり、
 設問の「理事長が理事会を招集するためには、少なくとも会議を開く日の2週間前までに会議の日時、場所及び目的を示して」までは適切ですが、「
理事に通知すれば足りる」は、「理事及び監事」とあり、”監事”が抜けているため、適切ではありません。


2 組合員が組合員総数及び議決権総数の5分の1以上に当たる組合員の同意を得て、会議の目的を示して総会の招集を請求した場合は、理事長は、臨時総会の招集の通知を発しなければならないが、通知を発することについて理事会の決議を経ることを要しない。

〇 適切である。 この場合には、理事会の決議はいらない。

  平成29年 管理業務主任者試験 「問32」 、

 普通の組合員でも、何かあれば、臨時総会を開けます。
 それが、標準管理規約44条
 「(組合員の総会招集権)
  第44条 
組合員が組合員総数の5分の1以上及び第46条第1項に定める議決権総数の5分の1以上に当たる組合員の同意を得て、会議の目的を示して総会の招集を請求した場合には、理事長は、2週間以内にその請求があった日から4週間以内の日(会議の目的が建替え決議又はマンション敷地売却決議であるときは、2か月と2週間以内の日)を会日とする臨時総会の招集の通知を発しなければならない
 2  理事長が前項の通知を発しない場合には、前項の請求をした組合員は、臨時総会を招集することができる。」
 です。
 標準管理規約44条1項によれば、理事長は、理事会の決議が無くても(逆に、理事会の決議が必要となると、どうなりますか?)臨時総会の招集の通知を発しなければなりませんから、組合員が組合員総数及び議決権総数の5分の1以上に当たる組合員の同意を得て、会議の目的を示して総会の招集を請求した場合は、理事長は、臨時総会の招集の通知を発しなければならないが、通知を発することについて理事会の決議を経ることを要しないは、適切です。



3 理事会の招集手続については、総会の招集手続の規定を準用することとされているため、理事会においてこれと異なる定めをすることはできない。

X 適切でない。  基本は総会の招集手続の規定の準用だが、別に定められる。

 理事会の招集手続は、選択肢1で引用しました、標準管理規約52条4項
 「(招集)
  第52条
 4  理事会の招集手続については、第43条(建替え決議又はマンション敷地売却決議を会議の目的とする場合の第1項及び第4項から第8項までを除く。)の規定を準用する。この場合において、同条中「組合員」とあるのは「理事及び監事」と、同条第9項中「理事会の承認」とあるのは「理事及び監事の全員の同意」と読み替えるものとする。
ただし、理事会において別段の定めをすることができる。」
 とあり、
 基本的には、総会の招集手続の規定を準用することになっていますが、ただし、理事会において別段の定めをすることができるため、理事会においてこれと異なる定めをすることはできないは、適切ではありません。

 多くの管理組合では、その実態に合わせて、「理事会運営細則」も定めています。



4 理事会には理事本人が出席して、議論に参加し、議決権を行使することが求められているので、理事会に出席できない理事について、書面をもって表決することを認める旨を規約で定めることはできない。

X 適切でない。 理事会は基本的に理事本人が出席すべきだが、多忙な時もある。
  平成29年 マンション管理士試験 「問29」 

 理事会は、標準管理規約53条
 「(理事会の会議及び議事)
   *電磁的方法が利用可能でない場合
 第53条 
理事会の会議は、理事の半数以上が出席しなければ開くことができず、その議事は出席理事の過半数で決する。
 2  次条第1項第五号に掲げる事項については、理事の過半数の承諾があるときは、書面又は電磁的方法による決議によることができる。
 3  前2項の決議について特別の利害関係を有する理事は、議決に加わることができない。
 4  議事録については、第49条(第4項を除く。)の規定を準用する。ただし、第49条第2項中「総会に出席した組合員」とあるのは「理事会に出席した理事」と読み替えるものとする。」
 とあり、
 理事会は、標準管理規約53条1項の定めのように、理事が出席して、議論すべきですが、理事も多忙で、毎回理事会が開かれない状況もあります。
 そこで、コメント
 
① 理事は、総会で選任され、組合員のため、誠実にその職務を遂行するものとされている。このため、理事会には本人が出席して、議論に参加し、議決権を行使することが求められる。
 ④ 理事がやむを得ず欠席する場合には、代理出席によるのではなく、事前に議決権行使書または意見を記載した書面を出せるようにすることが考えられる。

 これを認める場合には、理事会に出席できない理事が、あらかじめ通知された事項について、書面をもって表決することを認める旨を、規約の明文の規定で定めることが必要である。」
 ともあり、
 理事会には理事本人が出席して、議論に参加し、議決権を行使することが求められていますが、理事会に出席できない理事について、書面をもって表決することを認める旨を規約で定めることもできると解してもいいため、規約で定めることはできないは、適切ではありません。



答え:2 

 
選択肢1は、すらーっと読むと間違える。

《タグ》標準管理規約 理事会 招集 組合員の臨時総会招集 理事の出席

問30

注:マンション標準管理規約(単棟型)は以下、当解説では、「単棟型」を略して、「標準管理規約」といいます。

  標準管理規約は、平成28年3月14日に大幅な改正があり、また、平成29年8月29日付で「民泊」で12条に改正があったので、注意のこと。


〔問 30〕 管理組合の会計に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切なものはいくつあるか。

ア 理事長は、未納の管理費等及び使用料の請求に関し、管理組合を代表して訴訟を追行する場合には、総会の決議を経ることが必要である。

X 適切でない。 標準管理規約だけによるなら、未納の管理費等及び使用料の請求なら、理事会の決議でいい。総会の決議はいらないとする。
  平成28年 マンション管理士試験 「問33」 、 平成26年 マンション管理士試験 「問28」 、 平成24年マンション管理士試験 「問29」平成23年 マンション管理士試験 「問32」 選択肢2 平成23年 マンション管理士試験 「問28」 、 平成22年 管理業務主任者試験 「問36」 選択肢2 、 平成21年 管理業務主任者試験 「問34」 、参考: 平成21 マンション管理士試験 「問26」 。

  滞納管理費等の訴訟を、理事会の決議だけで出来るかということに関しては、区分所有法第57条2項や管理者の職務権限とも絡んで、集会の決議も必要だという論議が必要な箇所ですが、ここは、もう単に、標準管理規約内での話としての解説です。
 しかし、出題委員においては、問題の認識が全然されていないようです。

 滞納などは、標準管理規約60条
 「(管理費等の徴収)
  第60条  管理組合は、第25条に定める管理費等及び第29条に定める使用料について、組合員が各自開設する預金口座から口座自動振替の方法により第62条に定める口座に受け入れることとし、当月分は別に定める徴収日までに一括して徴収する。ただし、臨時に要する費用として特別に徴収する場合には、別に定めるところによる。
 2  組合員が前項の期日までに納付すべき金額を納付しない場合には、管理組合は、その未払金額について、年利○%の遅延損害金と、違約金としての弁護士費用並びに督促及び徴収の諸費用を加算して、その組合員に対して請求することができる。
 3  管理組合は、納付すべき金額を納付しない組合員に対し、督促を行うなど、必要な措置を講ずるものとする。
 
4 理事長は、未納の管理費等及び使用料の請求に関して、理事会の決議により、管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行することができる。
 5 第2項に基づき請求した遅延損害金、弁護士費用並びに督促及び徴収の諸費用に相当する収納金は、第27条に定める費用に充当する。
 6 組合員は、納付した管理費等及び使用料について、その返還請求又は分割請求をすることができない。 」
 とあり、
 あくまでも標準管理規約60条4項だけによれば、理事長は、未納の管理費等及び使用料の請求に関して、理事会の決議により、管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行することができるため、総会の決議を経ることは必要でないため、適切ではありません。



イ 組合員は、納付した管理費等及び使用料について、その返還請求又は分割請求をすることができない。

〇 適切である。 組合員は、納付した管理費等及び使用料について、その返還請求又は分割請求をすることができない。
  平成28年 マンション管理士試験 「問29」 、

 管理費や修繕積立金、使用料の返還は 選択肢ア で引用しました、標準管理規約60条6項
 「
6 組合員は、納付した管理費等及び使用料について、その返還請求又は分割請求をすることができない。
 とあり、
 設問は、適切です。

 逆に、管理費や修繕積立金が返還できるとなると、どんな事態を招きますか? (どこかの管理組合では、規約を改正して、裁判になった)


  *規約を変更すれば、修繕積立金の一部を取崩し、現在の区分所有者の所有年数に応じて返還することができるかについては、あるマンションで裁判になったものです。
 現在の区分所有者の所有年数や居住年数に応じて返還することは公序良俗違反と判断されています。
 その詳細は、「マンション管理士 香川事務所」が無料で提供しています 「超解説 区分所有法」 第30条 」にありますので、参考にしてください。


ウ 管理組合は、未納の管理費等及び使用料への請求に係る遅延損害金及び違約金としての弁護士費用などに相当する収納金については、その請求に要する費用に充てるほか、修繕積立金として積立てる。

X これらは、管理費に充当する。修繕積立金に積み立てない。

 設問は、選択肢ア で引用しました、標準管理規約60条5項
 「
5 第2項に基づき請求した遅延損害金、弁護士費用並びに督促及び徴収の諸費用に相当する収納金は、第27条に定める費用に充当する。」
 とあり、
 指定されています、標準管理規約27条は 「管理費」を規定していますから、「未納の管理費等及び使用料への請求に係る遅延損害金及び違約金としての弁護士費用などに相当する収納金については、その請求に要する費用に充てにこともなく、また、修繕積立金として積立てませんから、適切ではありません。



エ 管理組合は、管理費に不足を生じた場合には、通常の管理に要する経費に限り、必要な範囲内において、借入れをすることができる。

X 適切でない。 管理費が不足したら、その都度、値上げをすること。借入ができるのは、修繕積立金だけ。

  平成30年 管理業務主任者試験 「問13」 、 平成26年 管理業務主任者試験 「問12」 、 平成24年 管理業務主任者試験 「問13」 、

 管理費の過不足は、標準管理規約61条
 「(管理費等の過不足)
 第61条  収支決算の結果、管理費に余剰を生じた場合には、その余剰は翌年度における管理費に充当する。
 
2  管理費等に不足を生じた場合には、管理組合は組合員に対して第25条第2項に定める管理費等の負担割合により、その都度必要な金額の負担を求めることができる。」
 とあり、
 標準管理規約61条2項によれば、通常の管理に充当される管理費に不足を生じた場合には、その都度必要な金額の負担を求めますから、通常の管理に要する経費に限り、必要な範囲内において、借入れをすることができるは、適切ではありません。
  管理費と修繕積立金の違いを理解しておくことです。


1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ


答え: 1 適切なのは、 イ だけ。
 
  個数問題だけど、易しい。 しかし、標準管理規約の60条などは、法的に議論と整理が必要だ。

《タグ》標準管理規約 滞納 訴訟 管理費等返還請求 管理費の不足

問31

注:マンション標準管理規約(単棟型)は以下、当解説では、「単棟型」を略して、「標準管理規約」といいます。

  標準管理規約(単棟型)は、平成28年3月14日に大幅な改正があり、また、平成29年8月29日付で「民泊」で12条に改正があったので、注意のこと。
  マンション標準管理規約(複合用途型)も、平成29年8月29日付で、また、マンション標準管理規約(団地型)は、平成30年3月30日付で、改正があった。


〔問 31〕 団地管理組合や各棟の区分所有者が行うことができる行為に係る次の記述のうち、「マンション標準管理規約(団地型)及びマンション標準管理規約(団地型)コメント」(最終改正平成30 年3月30日 国住マ第60号)によれば、適切でないものはどれか。

1 団地内のA棟内で、A棟の区分所有者が騒音、臭気等により共同の利益に反する行為を行っている場合に、区分所有法第57条により当該行為の停止を求める訴訟を提起する際には、訴えの提起及び訴えを提起する者の選任を、A棟の棟総会で決議する必要がある。

〇 適切である。 義務違反者などの訴訟は、団地総会ではできないため、棟総会できめる。
  団地型も出題がある。 平成27年 マンション管理士試験 「問32」 、平成27年 管理業務主任者試験 「問32」 、  平成26年 マンション管理士試験 「問33」 

 基本として、「マンション標準管理規約(団地型)」の考え方は、団地全体での一元管理とし、多くの事項は、団地総会で決めるようにしていますが、区分所有法との関係で、団地には準用が無い規定(義務違反者に対する措置、復旧及び建替えなど)があるため、棟の総会も開く規定があります。
 そこで、区分所有法で団地総会に準用されていない条文が狙われることになります。

 棟総会の決議事項は、マンション標準管理規約(団地型)72条
 「(議決事項)
  第72条 
次の各号に掲げる事項については、棟総会の決議を経なければならない。
    一 区分所有法で団地関係に準用されていない規定に定める事項に係る規約の制定、変更又は廃止
    
二 区分所有法第57条(共同の利益に反する行為の停止等の請求)第2項、第58条(使用禁止の請求)第1項、第59条(区分所有権の競売の請求)第1項又は第60条(占有者に対する引渡し請求)第1項の訴えの提起及びこれらの訴えを提起すべき者の選任
    三 建物の一部が滅失した場合の滅失した棟の共用部分の復旧
    四 建替え等に係る合意形成に必要となる事項の調査の実施及びその経費に充当する場合の各棟修繕積立金の取崩し
    五 区分所有法第62条(建替え決議)第1項の場合の建替え及び円滑化法第108条(マンション敷地売却決議)第1項の場合のマンション敷地売却
    六 区分所有法第69条(団地内の建物の建替え承認決議)第7項の建物の建替えを団地内の他の建物の建替えと一括して建替え承認決議に付すこと」
 とあり、
 マンション標準管理規約(団地型)72条2号によれば、A棟での共同の利益に反する行為で区分所有法第57条を適用するなら、訴えの提起及び訴えを提起する者の選任を、A棟の棟総会で決議する必要があるため、適切です。

  なぜ、区分所有法で、義務違反者に対する措置を団地集会(総会)の決議から外したのか? 考えてください。



2 団地管理組合の使用細則で、共用廊下には団地管理組合の承諾なく物置を設置することが禁止されている場合、当該行為をしているB棟の区分所有者に対しては、理事長が、理事会の決議を経て、その是正等のため必要な勧告又は指示若しくは警告を行うことができる。

〇 適切である。 使用細則違反なら、理事長が、理事会の決議を経て、是正警告などができる。
 
 設問は、マンション標準管理規約(団地型)77条
 「(理事長の勧告及び指示等)
  第77条 団地建物所有者若しくはその同居人又は専有部分の貸与を受けた者若しくはその同居人(以下「団地建物所有者等」という。)が、法令、規約又は
使用細則等に違反したとき、又は対象物件内における共同生活の秩序を乱す行為を行ったときは、理事長は、理事会の決議を経てその団地建物所有者等に対し、その是正等のため必要な勧告又は指示若しくは警告を行うことができる。
 2 団地建物所有者は、その同居人又はその所有する専有部分の貸与を受けた者若しくはその同居人が前項の行為を行った場合には、その是正等のため必要な措置を講じなければならない。
 3 団地建物所有者等がこの規約若しくは使用細則等に違反したとき、又は団地建物所有者等若しくは団地建物所有者等以外の第三者が土地、団地共用部分及び附属施設において不法行為を行ったときは、理事長は、理事会の決議を経て、次の措置を講ずることができる。
    一 行為の差止め、排除又は原状回復のための必要な措置の請求に関し、管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行すること
    二 土地、団地共用部分及び附属施設について生じた損害賠償金又は不当利得による返還金の請求又は受領に関し、団地建物所有者のために、訴訟の原告又は被告になること、その他法的措置をとること
 4 前項の訴えを提起する場合、理事長は、請求の相手方に対し、違約金としての弁護士費用及び差止め等の諸費用を請求することができる。
 5 前項に基づき請求した弁護士費用及び差止め等の諸費用に相当する収納金は、第27条(管理費)に定める費用に充当する。
 6 理事長は、第3項の規定に基づき、団地建物所有者のために、原告又は被告となったときは、遅滞なく、団地建物所有者にその旨を通知しなければならない。この場合には、第45条(招集手続)第2項及び第3項の規定を準用する。」
 とあり、
 マンション標準管理規約(団地型)77条1項によれば、団地管理組合の使用細則で、共用廊下には団地管理組合の承諾なく物置を設置することが禁止されている場合、当該行為をしているB棟の区分所有者に対しては、理事長が、理事会の決議を経て、その是正等のため必要な勧告又は指示若しくは警告を行うことができるは、適切です。



3 バルコニーを無断改造してサンルームを設置しているC棟の区分所有者に対し、共同の利益に反する行為を停止させるための訴訟を提起する場合、その訴訟の実施に必要となる弁護士費用を団地管理組合の管理費から拠出することについてはC棟の棟総会の決議で足りる。

X 適切でない。 弁護士費用は、管理費からだすため、棟総会の決議事項ではない。

  何が管理費からでるのか、団地修繕積立金からか、各棟修繕積立金からでるのか、区別しておくこと。

 また、弁護士費用となると、マンション管理士と同様に「専門的知識」を有していると判断できることも大切。

 そこで、マンション標準管理規約(団地型)27条
 「(管理費)
  第27条
管理費は、次の各号に掲げる通常の管理に要する経費に充当す る
   一 管理員人件費
   二 公租公課
   三 共用設備の保守維持費及び運転費
   四 備品費、通信費その他の事務費
   五 共用部分等に係る火災保険料、地震保険料その他の損害保険料
   六 経常的な補修費
   七 清掃費、消毒費及びごみ処理費
   八 委託業務費
   
九 専門的知識を有する者の活用に要する費用
   十 管理組合の運営に要する費用
   十一 その他第34条に定める業務に要する費用(次条及び第29条に規定する経費を除く。) 」
 とあり、
 弁護士費用は、管理費として、マンション標準管理規約(団地型)27条9号に該当します。

  管理費は、棟総会で決議(72条)できるという規定はありませんから、C棟の棟総会の決議できるは、適切ではありません。
 具体的には、団地総会決議(50条)の「十四  その他管理組合の業務に関する重要事項」に該当するとなるか。



4 団地の近所に住んでいる者が、団地管理組合の許可なく団地内の敷地に不法駐車をしているときは、理事長は、理事会の決議を経て、その自動車の撤去及び損害賠償を請求する訴訟を提起することができる。

〇 適切である。 訴訟の提起となると、理事会の決議だけでできるかの争点があるが。
 
  ここも、「問30」選択肢ア と同様に、滞納管理費等の訴訟を、理事会の決議だけで出来るかということに関しては、区分所有法第57条2項や管理者の職務権限とも絡んで、集会の決議も必要だという論議が必要な箇所ですが、ここは、もう単に、マンション標準管理規約(団地型)内だけでの話としての解説です。
 しかし、出題委員においては、問題の認識が全然されていないようです。

 団地外の人の不法行為での訴訟の提起は、選択肢1でも引用しました、マンション標準管理規約(団地型)77条3項
 「(理事長の勧告及び指示等)
 3 団地建物所有者等がこの規約若しくは使用細則等に違反したとき、又は団地建物所有者等若しくは
団地建物所有者等以外の第三者が土地、団地共用部分及び附属施設において不法行為を行ったときは、理事長は、理事会の決議を経て、次の措置を講ずることができる。
   一 行為の差止め、
排除又は原状回復のための必要な措置の請求に関し、管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行すること
   二 土地、団地共用部分及び附属施設について
生じた損害賠償金又は不当利得による返還金の請求又は受領に関し、団地建物所有者のために、訴訟の原告又は被告になること、その他法的措置をとること
 とあり、
 マンション標準管理規約(団地型)77条3項によれば、団地の近所に住んでいる者が、団地管理組合の許可なく団地内の敷地に不法駐車をしているときは、理事長は、理事会の決議を経て、その自動車の撤去及び損害賠償を請求する訴訟を提起することができるは、適切です。



答え:3 

 選択肢3 は、何となく適切でないとわかるか。 それほど、難しくはない。マンション標準管理規約(団地型)もしっかりと、目を通しておくこと。

《タグ》マンション標準管理規約(団地型) 義務違反者に対する措置 棟総会 理事長権限 使用細則違反 弁護士費用 マンション外の人の不法行為 

問32

注:マンション標準管理規約(単棟型)は以下、当解説では、「単棟型」を略して、「標準管理規約」といいます。

  標準管理規約(単棟型)は、平成28年3月14日に大幅な改正があり、また、平成29年8月29日付で「民泊」で12条に改正があったので、注意のこと。
  マンション標準管理規約(複合用途型)も、平成29年8月29日付で、また、マンション標準管理規約(団地型)は、平成30年3月30日付で、改正があった。


〔問 32〕 複合用途型マンションの管理組合の理事長から、管理規約の変更に係る相談を受けたマンション管理士が行った次の回答のうち、「マンション標準管理規約(複合用途型)及びマンション標準管理規約(複合用途型)コメント」(最終改正平成29 年8月29 日 国住マ第33 号)によれば、適切でないものはどれか。

1 総会の議決権については、住戸部分、店舗部分それぞれの中で持分割合があまり異ならない場合は、住戸、店舗それぞれの中では同一の議決権により対応することが可能です。また、住戸又は店舗の数を基準とする議決権と専有面積を基準とする議決権を併用することも可能です。

〇 適切である。 当然。
  平成27年 マンション管理士試験 「問33」 、  平成19年 マンション管理士試験 「問33」 

 今更ながら、複合用途型マンションとは、1棟の建物において下が店舗で上が住居で、いわゆる「下駄ばきマンション」とも呼ばれる建物です。
 マンション標準管理規約(複合用途型)は、各住戸、各店舗の床面積、規模、構造等が、均質のものもバリエーションのあるものも含めて規定しています。


 

 そこで、設問の議決権は、マンション標準管理規約(複合用途型)50条 
    *電磁的方法が利用可能でない場合
 「(議決権)
  第50条
各組合員の議決権の割合は、別表第5に掲げるとおりとする。
 2 住戸又は店舗1戸が数人の共有に属する場合、その議決権行使について は、これら共有者をあわせて一の組合員とみなす。
 3 前項により一の組合員とみなされる者は、議決権を行使する者1名を選 任し、その者の氏名をあらかじめ総会開会までに理事長に届け出なければ ならない。
 4 組合員は、書面又は代理人によって議決権を行使することができる。
 5 組合員が代理人により議決権を行使しようとする場合において、その代 理人は、以下の各号に掲げる者でなければならない。
   一 その組合員の配偶者(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同 様の事情にある者を含む。)又は一親等の親族
   二 その組合員の住戸に同居する親族
   三 他の組合員
 6 組合員又は代理人は、代理権を証する書面を理事長に提出しなければな らない」
 とあり、
 標準管理規約(単棟型)のように、議決権のコメントが次のようにあります。
  コメント:第50条関係
 「① 議決権については、全体共用部分の共有持分の割合、あるいはそれを基礎としつつ賛否を算定しやすい数字に直した割合によることが適当である。
 
② 住戸部分、店舗部分それぞれの中で持分割合があまり異ならない場合は、 住戸、店舗それぞれの中では同一の議決権により対応することも可能である。
 また住戸又は店舗の数を基準とする議決権と専有面積を基準とする議決権を併用することにより対応することも可能である。

 です。
 このコメントによれば、総会の議決権については、住戸部分、店舗部分それぞれの中で持分割合があまり異ならない場合は、住戸、店舗それぞれの中では同一の議決権により対応することが可能です。また、住戸又は店舗の数を基準とする議決権と専有面積を基準とする議決権を併用することも可能ですは、適切です。

  当然と言えば、当然です。



2 当該規約を変更するに当たっては、住宅の区分所有者のみの共有に属する一部共用部分の管理に関する条項を変更する場合であっても、区分所有者全員で構成される総会の決議で行うことになります。

〇 適切である。 一部共用部分も全体で一元的に管理することにしている。

 一部共用部分が分からない方は、「マンション管理士 香川事務所」 が無償で提供しています「超解説 区分所有法」 の第3条や第16条でしっかり勉強してください。

 マンション標準管理規約(複合用途型)は、 コメント全体関係
 「⑤ この規約は、区分所有者全員の共有物である敷地、全体共用部分及び附属施設のほか、一部の区分所有者の共有物である一部共用部分についても 全体で一元的に管理するものとし、管理組合は全体のものを規定し、一部管理組合は特に規定していない。」
 とあり、
 一部共用部分も全体で一元的に管理することにしていますから、適切です。


 なお、規約の変更は、マンション標準管理規約(複合用途型)52条
 「(議決事項)
  第52条
次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければならない
   一 収支決算及び事業報告
   二 収支予算及び事業計画
   三 管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法
   
四 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止
   五 長期修繕計画の作成又は変更
   六 第30条第1項及び第31条第二項に定める特別の管理の実施並びにそれに充てるための資金の借入れ並びに全体修繕積立金、住宅一部修繕積立金及び店舗一部修繕積立金の取崩し
   七 第30条第2項及び第3項に定める建替え等に係る計画又は設計等の経費のための全体修繕積立金の取崩し
   八 全体修繕積立金、住宅一部修繕積立金及び店舗一部修繕積立金の保管及び運用方法
   九 第21条第2項に定める管理の実施
   十 区分所有法第57条第2項及び前条第3項第三号の訴えの提起並びにこれらの訴えを提起すべき者の選任
   十一 建物の一部が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
   十二 区分所有法第62条第1項の場合の建替え及び円滑化法第108条第1項の場合のマンション敷地売却
   十三 役員の選任及び解任並びに役員活動費の額及び支払方法
   十四 組合管理部分に関する管理委託契約の締結
   十五 その他管理組合の業務に関する重要事項」 
  とあり、
 マンション標準管理規約(複合用途型)52条4号に「規約の変更」は該当しますから、当該規約を変更するに当たっては、住宅の区分所有者のみの共有に属する一部共用部分の管理に関する条項を変更する場合であっても、区分所有者全員で構成される総会の決議で行うことになりますは、適切です。


3 住宅、店舗各々から選出された管理組合の役員が、住宅部会、店舗部会の役員を兼ねるようにすることができます。

〇 適切である。 住宅部、店舗部の意見が反映できる。

  まず、マンション標準管理規約(複合用途型)は、複合用途型として1棟の一元管理を目指していますが、住居部と店舗部では、かなり異なった要素があることにも留意しています。

 そこで、住居部、店舗部は、マンション標準管理規約(複合用途型)60条
 「(住宅部会及び店舗部会)
  第60条
管理組合に、住戸部分の区分所有者で構成する住宅部会及び店舗部分の区分所有者で構成する店舗部会を置く
 2 住宅部会及び店舗部会の組織及び運営については、別に部会運営細則に定めるものとする。」
 とあり、
 同コメント
 「第60条関係
  ① 住宅部会及び店舗部会は管理組合としての意思を決定する機関ではないが、それぞれ住宅部分、店舗部分の一部共用部分の管理等について協議する組織として位置づけるものである。
  
② 住宅、店舗おのおのから選出された管理組合の役員が、各部会の役員を兼ねるようにし、各部会の意見が理事会に反映されるような仕組みが、有効であると考えられる。
 とあり、
 このコメントによれば、住宅、店舗各々から選出された管理組合の役員が、住宅部会、店舗部会の役員を兼ねるようにすることができますは、適切です。



4 店舗共用部分の修繕は、店舗部会の決議があれば、総会の決議がなくても、店舗一部修繕積立金を取り崩してその費用を拠出することができます。

X 適切でない。 店舗共用部分の修繕なら、全体総会の決議が必要。

  選択肢3でも述べましたが、住居と店舗が併在する複合用途型では、各々の形態や管理の内容が大きく異なっています。
 そこで、管理費も 、①全体管理費、 ②住宅一部管理費、 ③店舗一部管理費 と別れ
 修繕積立金も、①全体修繕積立金、②住宅一部修繕積立金、 ③店舗一部修繕積立金 と
 別れているのが、マンション標準管理規約(複合用途型)の特徴です。


 これを踏まえ、総会の決議事項は、マンション標準管理規約(複合用途型)52条
 「(議決事項)
  第52条 次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければなら ない。
   一 収支決算及び事業報告
   二 収支予算及び事業計画
   三 管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法
   四 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止
   五 長期修繕計画の作成又は変更
   
六 第30条第1項及び第31条第二項に定める特別の管理の実施並びに それに充てるための資金の借入れ並びに全体修繕積立金、住宅一部修繕積立金及び店舗一部修繕積立金の取崩し
   七 第30条第2項及び第3項に定める建替え等に係る計画又は設計等の 経費のための全体修繕積立金の取崩し
   八 全体修繕積立金、住宅一部修繕積立金及び店舗一部修繕積立金の保管及び運用方法
   九 第21条第2項に定める管理の実施
   十 区分所有法第57条第2項及び前条第3項第三号の訴えの提起並びに これらの訴えを提起すべき者の選任
   十一 建物の一部が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
   十二 区分所有法第62条第1項の場合の建替え及び円滑化法第108条 第1項の場合のマンション敷地売却
   十三 役員の選任及び解任並びに役員活動費の額及び支払方法
   十四 組合管理部分に関する管理委託契約の締結 」
 とあり、
 店舗共用部分の修繕であっても、マンション標準管理規約(複合用途型)52条6号により、店舗一部修繕積立金の取崩しは、総会の決議事項ですから、店舗共用部分の修繕は、店舗部会の決議があれば、総会の決議がなくても、店舗一部修繕積立金を取り崩してその費用を拠出することができますは、適切ではありません


 参考:
 第30条(全体修繕積立金)、
 「(全体修繕積立金)
  第30条 管理組合は、各区分所有者が納入する全体修繕積立金を積み立て るものとし、積み立てた全体修繕積立金は、次の各号に掲げる特別の管理 に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができる。
   一 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕
   二 不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕
   三 敷地、全体共用部分及び附属施設の変更
   四 建物の建替え及びマンション敷地売却(以下「建替え等」という。) に係る合意形成に必要となる事項の調査
    五 その他敷地、全体共用部分及び附属施設の管理に関し、区分所有者全 体の利益のために特別に必要となる管理
 2 前項にかかわらず、区分所有法第62条第1項の建替え決議(以下「建 替え決議」という。)又は建替えに関する区分所有者全員の合意の後であ っても、マンションの建替え等の円滑化に関する法律(平成14年法律第 78号。以下「円滑化法」という。)第9条のマンション建替組合の設立の認可又は円滑化法第45条のマンション建替事業の認可までの間におい て、建物の建替えに係る計画又は設計等に必要がある場合には、その経費 に充当するため、管理組合は、全体修繕積立金から管理組合の消滅時に建 替え不参加者に帰属する全体修繕積立金相当額を除いた金額を限度として、 全体修繕積立金を取り崩すことができる。
 3 第1項にかかわらず、円滑化法第108条第1項のマンション敷地売却 決議(以下「マンション敷地売却決議」という。)の後であっても、円滑 化法第120条のマンション敷地売却組合の設立の認可までの間において、 マンション敷地売却に係る計画等に必要がある場合には、その経費に充当 するため、管理組合は、全体修繕積立金から管理組合の消滅時にマンショ ン敷地売却不参加者に帰属する全体修繕積立金相当額を除いた金額を限度 として、全体修繕積立金を取り崩すことができる。
 4 管理組合は、第1項各号の経費に充てるため借入れをしたときは、全体 修繕積立金をもってその償還に充てることができる

  第31条((住宅一部修繕積立金及び店舗一部修繕積立金)
 「(住宅一部修繕積立金及び店舗一部修繕積立金)
  第31条 管理組合は、住戸部分の各区分所有者が納入する住宅一部修繕積 立金及び店舗部分の各区分所有者が納入する店舗一部修繕積立金を、それ ぞれ積み立てるものとする。
 2 住宅一部修繕積立金は住宅一部共用部分の、店舗一部修繕積立金は店舗 一部共用部分の、それぞれ次の各号に掲げる特別の管理に要する経費に充 当する場合に限って取り崩すことができる。
   一 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕
   二 不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕
   三 一部共用部分の変更
   四 その他一部共用部分の管理に関し、当該一部共用部分を共用すべき区 分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理
 3 管理組合は、前項各号の経費に充てるため借入れをしたときは、それぞ れ住宅一部修繕積立金又は店舗一部修繕積立金をもってその償還に充てる ことができる。」



答え:4 


 マンション標準管理規約(複合用途型)からもでるとは、しかもコメントからとは、マンション管理士になるには、大変だ。

 マンション標準管理規約(複合用途型)は、あまり馴染みがないので、細かく解説しました。 マンション標準管理規約(複合用途型)の基本を押さえていれば、選択肢4 は選べたか。

《タグ》マンション標準管理規約(複合用途型) 総会の議決権 規約の変更 役員 修繕

問33

〔問 33〕 甲管理組合と乙管理会社との間の管理委託契約に関する次の記述のうち、「マンション標準管理委託契約書及びマンション標準管理委託契約書コメント」(最終改正平成30 年3月9日 国土動指第97 号)によれば、適切でないものはどれか。

1 乙は、管理事務のうち建物・設備管理業務の全部を第三者に再委託した場合においては、再委託した管理事務の適正な処理について、甲に対して、責任を負う。

〇 適切である。 再委託して、責任を逃れることはない。

  平成30年 管理業務主任者試験 「問9」 、 平成29年 マンション管理士試験 「32」 、 平成28年 管理業務主任者試験 「問7」 、平成24年 管理業務主任者試験 「問9」 、 平成21年 管理業務主任者試験 「問8」 

 マンション管理士試験では、マンション標準管理委託契約書からは、過去あまり出題がなかったのに!
  改正(平成30年3月9日)があるとでる!

 まず、マンション標準管理委託契約書(以下、この解説においては、「標準管理委託契約書」といいます)の位置づけは、標準管理規約と同様に、国土交通省の役人が、マンションでの参考にすればいいという程度のものです。特に法律でもなく、拘束力もないということを理解しておいて下さい。
 しかし、この参考に過ぎない標準管理委託契約書も管理組合と管理業者の間で一度、締結されると、そこに記載されている条項は、契約内容として、互いに拘束力を持ちますから、注意が必要です。

 標準管理委託契約書の基になっているのは、マンション管理適正化法です。
このマンション管理適正化法に規定される事項を超えて標準管理委託契約書は作成できませんから、標準管理委託契約書を理解する前に、マンション関係者はマンション管理適正化法を知っておく必要があります。
 では、マンション管理業者とは...マンション管理適正化法第2条第8号によれば、
 「(定義) 
 第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号の定めるところによる。
 八  
マンション管理業者 第四十四条の登録を受けてマンション管理業を営む者をいう。

 とあり、
 引用されています、マンション管理適正化法第44条は、
 「(登録) 
 第四十四条  
マンション管理業を営もうとする者は、国土交通省に備えるマンション管理業者登録簿に登録を受けなければならない
 (以下、略)」

 とあり、
 マンション管理業を営もうとする者は、登録制となっています。勝手に、マンションの管理業はできません。

  そこで、マンション管理業者は、マンション管理適正化法第74条により、
 「(再委託の制限)
 第七十四条  
マンション管理業者は、管理組合から委託を受けた管理事務のうち基幹事務については、これを一括して他人に委託してはならない。」
 と規定され、
 引用されています、管理事務や基幹事務とは、マンション管理適正化法第74条第2条6号
 「六  管理事務 マンションの管理に関する事務であって、
基幹事務(管理組合の会計の収入及び支出の調定及び出納並びにマンション(専有部分を除く。)の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整をいう。以下同じ。)を含むものをいう。
 です。
 つまり、管理組合から委託をうけているマンションの管理において、 基幹事務である「管理組合の会計の収入及び支出の調定及び出納並びにマンション(専有部分を除く。)の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整をいう」については、これらの”一部は再委託ができます”が、”まるごと全部を再委託してはいけない”ということです。

 これを受け、マンション標準管理委託契約書4条
 「(第三者への再委託)
  第4条
乙(管理業者)は、前条第1号の管理事務の一部又は同条第2 号、第3号若しくは第4号の管理事務の全部若しくは一部 を、第三者に再委託することができる。
 2  乙(管理業者)が前項の規定に基づき管理事務を第三者に再委託し た場合においては、乙(管理業者)は、再委託した管理事務の適正な 処理について、甲(管理組合)に対して、責任を負う。」

 です。
 標準管理委託契約書4条で引用されています、前条とは、
 「(管理事務の内容及び実施方法)
 第3条 管理事務の内容は、次のとおりとし、別表第1から第4に定めるところにより 実施する。
     一 事務管理業務(別表第1に掲げる業務)
     二 管理員業務(別表第2に掲げる業務)
     三 清掃業務(別表第3に掲げる業務)
     四 建物・設備管理業務(別表第4に掲げる業務)」
 です。
 つまり、標準管理委託契約書3条1号の「事務管理業務」内に、マンション管理適正化法での「基幹事務」が記載され、これは、一部だけなら再委託も可能ですが、全部の再委託は出来ないとなっていて、他の2号から4号なら、全部又は一部を、第三者に 再委託することができるという構成になっています。

 そこで、設問の「乙は、管理事務のうち建物・設備管理業務の全部を第三者に再委託した場合においては、再委託した管理事務の適正な処理について、甲に対して、責任を負う。」は、マンション標準管理委託契約書4条2項により、適切です。



2 甲は、甲の組合員がその専有部分を第三者に貸与したときは、その月の月末までに、乙に通知しなければならない。

X 適切でない。 通知は”速やかに”書面をもってすること。その月の月末までではない。
  平成26年 管理業務主任者試験 「問7」 、 平成17年 管理業務主任者試験 「問9」

 各種通知は、マンション標準管理委託契約書12条
 「(通知義務)
  第 12 条 甲(管理組合)及び乙(管理業者)は、本マンションにおいて滅失、き損、瑕疵等の事実を知った場合においては、速やかに、その状況を相手方に通知しなければならない。
 
2 甲(管理組合)及び乙(管理業者)は、次の各号に掲げる場合においては、速やかに、書面をもって、相手方に通知しなければならない。
   一 甲(管理組合)の役員又は組合員が変更したとき
  
二 甲(管理組合)の組合員がその専有部分を第三者に貸与したとき
  三 乙(管理業者)が商号又は住所を変更したとき
  四 乙(管理業者)が合併又は会社分割したとき
  五 乙(管理業者)がマンションの管理の適正化の推進に関する法律 (平成 12 年法律第 149 号)の規定に基づき処分を受け たとき
  六 乙(管理業者)が第 18 条第2項第1号及び第2号に掲げる事項に該当したとき 」
 とあり、
 マンション標準管理委託契約書12条2項2号によれば、「甲は、甲の組合員がその専有部分を第三者に貸与したときは」”
速やかに、書面をもって”乙(管理業者)に通知が必要ですから、その月の月末までに、乙に通知しなければならないは、適切ではありません。


3 乙が実施する理事会支援業務については、基幹事務以外の事務管理業務に含まれている。

〇 適切である。 理事会支援業務は、基幹事務以外の事務管理業務に含まれている。
  平成19年 管理業務主任者試験 「問9」 、

 委託される管理事務の内容は、マンション標準管理委託契約書3条
 「(管理事務の内容及び実施方法)
  第3条 管理事務の内容は、次のとおりとし、別表第1から別 表第4に定めるところにより実施する。
   
一 事務管理業務(別表第1に掲げる業務)
   二 管理員業務(別表第2に掲げる業務)
   三 清掃業務(別表第3に掲げる業務)
   四 建物・設備管理業務(別表第4に掲げる業務」
 とあり、
  別表第1に
 「2 基幹事務以外の事務管理業務
   
(1) 理事会支援業務
 とあり、
 乙が実施する理事会支援業務については、基幹事務以外の事務管理業務に含まれているは、適切です。



4 管理委託契約の更新について甲又は乙から申出があった場合において、その有効期間が満了する日までに更新に関する協議がととのう見込みがないときは、甲及び乙は、従前の契約と同一の条件で、期間を定めて暫定契約を締結することができる。

〇 適切である。 協議がととのう見込みがないときなら、従前の契約と同一の条件で、期間を定めて暫定契約を締結することができる。
  平成28年 管理業務主任者試験 「問7」 、 平成23年 管理業務主任者試験 「問7」 、 平成26年 管理業務主任者試験 「問8」 平成23年 管理業務主任者試験 「問7」 、 平成20年 管理業務主任者試験 「問9」 

 協議がととのう見込みがないときなどは、マンション標準管理委託契約書21条
 「(契約の更新)
 第 21 条 甲(管理組合)又は乙(管理業者)は、本契約を更新しようとする場合、本契約の有効期間が満了する日の三月前までに、その相手方 に対し、書面をもって、その旨を申し出るものとする。
 
2 本契約の更新について申出があった場合において、その 有効期間が満了する日までに更新に関する協議がととの う見込みがないときは、甲(管理組合)及び乙(管理業者)は、本契約と同一の条件で、期間を定めて暫定契約を締結することができる。
 とあり、
 マンション標準管理委託契約書21条2項によれば、管理委託契約の更新について甲又は乙から申出があった場合において、その有効期間が満了する日までに更新に関する協議がととのう見込みがないときは、甲及び乙は、従前の契約と同一の条件で、期間を定めて暫定契約を締結することができるため、適切です。


 なお、以前は、マンションの管理委託契約書は、自動更新が多かったのですが、自動更新では弊害が多くて、国土交通省は認めなくしました。


答え: 2  

 マンション管理士試験では、過去出題が、少なかったマンション標準管理委託契約書から、平成29年に続いて、出された。
 あまり、マンション標準管理委託契約書を勉強していない受験生用に少しばかり、細かく解説した。

 出題内容としては、難しくはない。

《タグ》マンションの管理委託契約書 再委託 通知事項 契約の更新

問34

〔問 34〕 平成30年4月に行われた甲マンション管理組合の理事会において、会計担当理事が行った平成29 年度決算(会計年度は4月から翌年3月まで)に関する次の説明のうち、適切なものはどれか。ただし、会計処理は発生主義の原則によるものとし、資金の範囲は、現金預金、未収金、前払金、未払金及び前受金とする。

1 平成28年度決算の貸借対照表に計上されていた管理費の未収金10万円のうち、7万円が平成30年3月に入金されましたが、平成29年度決算の貸借対照表の正味財産の増減には影響がありません。

〇 適切である。 平成29年度では、資産勘定の間でプラス、マイナスのため、正味財産の増減には影響がない。
  平成29年 管理業務主任者試験 「問14」 、  平成28年 マンション管理士試験 「問34」 、 平成27年 マンション管理士試験 「問34」 、平成27年 管理業務主任者試験 「問14」 、 平成26年 マンション管理士試験 「問34」 、 平成25年 マンション管理士試験 「問35」 など。

 あれ? 平成30年度は、仕訳が出ていないとは!
 例年2問、仕訳と比較貸借対照表が出ていたが、平成27年あたりから、この傾向が変わってきた。仕訳が1問で、あとは、文章となっていたが。

*私の過去問題の解説を読んでいる人には、度々の重なる説明で恐縮ですが、マンションの管理組合では、明確な会計基準がありません
 でも、営利を目的とした企業活動ではないことは明らかです。そこで、非営利団体と似ている「公益法人の会計方法」を基にしています。
 その会計の最大の特徴が、あまり耳慣れない「
発生主義」の採用です。
 
 
★マンションの会計処理で発生主義ということの重要性は、
   まず、発生主義とは、全ての費用・収益は、その支出・収入に基づいて計上し、その発生した期間
     *収入については、請求権が生じた月、
     *支出については、支出が労役などの提供又は工事などである場合は、その労役などの提供又は工事等が完了した月、物品の購入なら、その物品が納入された月に正しく割り当てるように処理すること 
  です。

 この発生主義により、管理費や修繕積立金は該当月に徴収することになっているなら、未収入金(滞納)があっても、全額計上されている。
 この辺りが、企業の会計処理を知っている人には、なかなか理解できない個所です。
 
 また、「資金の範囲は、現金預金、未収金、未払金、前受金及び前払金とする」も、重要な前提です。資金の範囲同士の取引は、「収支計算書」には、反映されません。
 
収支決算書に反映されるのは、収入の発生と費用の発生です。

 会計処理は、以下の原則があります。

仕訳での記帳の仕方    
 勘定科目など 借方   貸方
 資産勘定     現金預金 増加  減少 
未収金 
前払金
損害保険の積立部分
 負債勘定  未払金  減少 増加
前受金など
 費用の発生   管理業務費 支払有     
修繕費
保険料 など
 収入の発生   管理費収入   収入有  
修繕積立金収入
駐車場使用料など

 いまさら、会計の基本からの解説は、おいといて、簿記上以下の重要な会計帳簿があります。
 ①
貸借対照表...会計年度の期首から年度末時点でのすべての資産・負債及び正味財産(純資産)を示す。
 ②
収支計算書(収支報告書)...当会計年度内に発生したすべての収入および支出の内容を明らかにして当会計年度の収入と支出の差額と残高を示す。(一般企業なら「損益計算書」にあたる)

 そこで、本年の出題となっています、貸借対照表での、「正味財産」とは、厳格に言うと問題があるようですが、その期末における
 
正味残高 = 資産 - 負債  です。

 

 正味財産=資産-負債 は、管理費会計では、同年度の収支計算書における次期繰越収支差額と一致します。

 そこで、設問の、平成28年度決算の貸借対照表に計上されていた管理費の未収金10万円のうち、7万円が平成30年3月に入金されましたは、
発生主義により、前期の平成28年度に 

借方   貸方
 未収金 100,000
(資産の増加)
 管理費 100,000
(収入の発生)

 として、処理されたものです。 この、平成28年度の正味財産には、影響がありました。

 そこで、平成30年3月(平成29年度)の仕訳をすると、未収金の減少として、

借方   貸方
 現金預金 70,000
(資産の増加)
 未収金 70,000
(資産の減少)

 となります。
 現金預金も未収金も共に資産勘定ですから、この仕訳では、プラス、マイナス ゼロ で資産の増減がありませんから、平成29年度決算の貸借対照表の正味財産の増減には影響がありませんは、適切です。



2 平成30 年3月に、組合員Aから翌4月分の管理費4万円が入金されたため、平成29年度決算の貸借対照表の正味財産が4万円増加しています。

X 適切でない。 資産と負債が同額であるので、正味財産に変化はない。

 平成30年3月(平成29年度)での、翌月の4月分(翌年度)の管理費4万円が入金は、発生主義により、前受金として扱います。平成29年度のその仕訳は、

借方   貸方
 現金預金 40,000
(資産の増加)
 前受金 40,000
(負債の増加)

 となり、資産から負債を引いた正味財産は、¥40,000 、¥40,000 の同額となり、結果として、平成29年度決算の貸借対照表の正味財産は、増減がなく、4万円増加していますは、適切ではありません。


3 平成30 年3月に実施した植栽保守に要した費用9万円については翌4月に支払うこととしたため、平成29年度決算の貸借対照表の正味財産の増減には影響がありません。

X 適切でない。 未払金により、負債が増加し、正味財産は減少する。


 平成30 年3月に実施した植栽保守に要した費用9万円については翌4月(翌年度)に支払うことは、発生主義により、未払金の処理となり、平成29年度の仕訳は、

借方   貸方
 植栽保守費 90,000
(費用の発生)
 未払金 90,000
(負債の増加)

 となり、負債の増加により、正味財産も その分 減少しますから、平成29年度決算の貸借対照表の正味財産の増減には影響がありませんは、適切ではありません。


4 平成30 年3月に、翌4月実施予定の清掃費用3万円を支払ったため、平成29年度決算の貸借対照表の正味財産が3万円減少しています。

X 適切ではない。 前払金も現金預金も共に資産勘定で、増減がない。正味財産は影響がない。

 平成30 年3月に、翌4月実施予定(翌年度)の清掃費用3万円を支払ったは、発生主義により、前払金の処理となります。平成29年度のその仕訳は、

借方   貸方
 前払金 30,000
(資産の増加)
 現金預金  30,000
(資産の減少)

 となり、前払金も現金預金も共に資産勘定であるため、資産としては、増減がなく、また正味財産も、増減がなく、平成29年度決算の貸借対照表の正味財産が3万円減少していますは、適切ではない。


答え:1 

 実に解説が面倒な出題だ。 貸借貸借対照表も探し、収支計算書も準備しようとしたので、4時間もかかった!
 マンション管理士や管理業務主任者を目指す人で、ここまで会計や仕訳に詳しい人は、いないのでは?

 少し難しい。しかし、過去問題から、なんとなく、 選択肢1 が適切とわかるか。

 会計は、例年2問の出題があったのに、今年(平成30年)は、1問になった。しかも、仕訳の実務が無くなったとは!
  この傾向は、今後続くのか?

《タグ》会計 貸借貸借対照表 発生主義 正味財産 資産 負債

問35

〔問 35〕 管理組合及び管理組合法人の税金に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。ただし、「収益事業」とは法人税法(昭和40 年法律第34 号)第2条第13号及び法人税法施行令(昭和40 年政令第97号)第5条第1項に規定されている事業を継続して事業場を設けて行うものをいう。

1 管理組合法人の場合には、収益事業を行っているときは、課税売上高が1,000万円以下でも、消費税の納税義務は免除されない。

X 適切でない。 収益事業を行っているときでも、消費税で、課税売上高が 1,000万円以下なら、普通の管理組合も、管理組合法人も共に消費税の納税義務は免除される。
 平成30年 管理業務主任者試験 「問16」 、 平成29年 管理業務主任者試験 「問16」 、 平成28年 管理業務主任者試験 「問16」 、平成27年 マンション管理士試験 「問35」 、 平成26年 管理業務主任者試験 「問16」 、 平成23年管理業務主任者試験 「問16」、 平成22年管理業務主任者試験 「問16」平成18年管理業務主任者試験 「問16」平成16年管理業務主任者試験 「問16」

 税法からの出題は、管理業務主任者試験が中心だったのに、マンション管理士試験でも取り上げるようになった。


  設問の解説の前に、法人化されていないマンションの管理組合という区分所有者の団体の扱い方は、民法上でも明確でないために、過去の判例(最高裁:昭和39年10月15日)によって、「人格のない社団・財団」とか「権利能力のない社団・財団」と呼ばれることになります。
 この詳細は、「マンション管理士 香川事務所」が無料で提供しています、「超解説 区分所有法」の第3条にありますから、参考にしてください。


 マンションの管理組合の場合は、管理組合法人であれば、区分所有法第47条14項
 「(成立等)
 14 
管理組合法人は、消費税法(昭和六十三年法律第百八号)その他消費税に関する法令の規定の適用については、同法別表第三に掲げる法人とみなす。」

  とあり、
  一般社団法人や学校法人、健康組合などと同じ法人とみなされ、消費税法上の納税義務があります。


  次に、法人格のないマンションの管理組合(人格のない社団)の立場ですが、これは、消費税法上、第3条
 「第三条 
人格のない社団等は、法人とみなして、この法律(第十二条の二及び別表第三を除く。)の規定を適用する。
 とあり、
 マンションの管理組合は、法人格が無くても、こちらも法人とみなされ、消費税法上の納税義務があります。

 そして、消費税では、その
課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は、原則として、納税の義務が免除されます
 但し、平成23年の改正で、平成25年1月1日から、6ヵ月間の判定期間(
特定期間)が加わり、その期間の課税売上高が、1,000万円を超えると、当課税期間から課税事業者となります。なお、特定期間における1,000万円の判定は、課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額により判定することもできます。

 
基準期間における課税売上高とは、個人事業者の場合は原則として前々年の課税売上高のことをいい、法人の場合は原則として前々事業年度の課税売上高のことをいいます。

 課税売上高は、輸出などの免税取引を含め、返品、値引き、割戻しをした対価の返還等の金額を差し引いた額(税抜き)です。


 

 
 それらを踏まえ、消費税法第9条
  「(小規模事業者に係る納税義務の免除)
 
第九条 事業者のうち、その課税期間に係る基準期間における課税売上高が千万円以下である者については、第五条第一項の規定にかかわらず、その課税期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れにつき、消費税を納める義務を免除する。ただし、この法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
 2 前項に規定する基準期間における課税売上高とは、次の各号に掲げる事業者の区分に応じ当該各号に定める金額をいう。
   一 個人事業者及び基準期間が一年である法人 基準期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等の対価の額(第二十八条第一項に規定する対価の額をいう。以下この項、次条第二項、第十一条第四項及び第十二条の三第一項において同じ。)の合計額から、イに掲げる金額からロに掲げる金額を控除した金額の合計額(以下この項及び第十一条第四項において「売上げに係る税抜対価の返還等の金額の合計額」という。)を控除した残額
     イ 基準期間中に行つた第三十八条第一項に規定する売上げに係る対価の返還等の金額
      ロ 基準期間中に行つた第三十八条第一項に規定する売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額に六十三分の八十を乗じて算出した金額
   二 基準期間が一年でない法人 基準期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等の対価の額の合計額から当該基準期間における売上げに係る税抜対価の返還等の金額の合計額を控除した残額を当該法人の当該基準期間に含まれる事業年度の月数の合計数で除し、これに十二を乗じて計算した金額
 3 前項第二号の月数は、暦に従つて計算し、一月に満たない端数を生じたときは、これを一月とする。
 4 第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除されることとなる事業者が、その基準期間における課税売上高(同項に規定する基準期間における課税売上高をいう。第十一条第四項及び第十二条第三項を除き、以下この章において同じ。)が千万円以下である課税期間につき、第一項本文の規定の適用を受けない旨を記載した届出書をその納税地を所轄する税務署長に提出した場合には、当該提出をした事業者が当該提出をした日の属する課税期間の翌課税期間(当該提出をした日の属する課税期間が事業を開始した日の属する課税期間その他の政令で定める課税期間である場合には、当該課税期間)以後の課税期間(その基準期間における課税売上高が千万円を超える課税期間を除く。)中に国内において行う課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、同項本文の規定は、適用しない。
 5 前項の規定による届出書を提出した事業者は、同項の規定の適用を受けることをやめようとするとき、又は事業を廃止したときは、その旨を記載した届出書をその納税地を所轄する税務署長に提出しなければならない。
 6 前項の場合において、第四項の規定による届出書を提出した事業者は、事業を廃止した場合を除き、同項に規定する翌課税期間の初日から二年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、同項の規定の適用を受けることをやめようとする旨を記載した届出書を提出することができない。
 7 第五項の場合において、第四項の規定による届出書を提出した事業者は、同項に規定する翌課税期間の初日から同日以後二年を経過する日までの間に開始した各課税期間(第三十七条第一項の規定の適用を受ける課税期間を除く。)中に国内における調整対象固定資産の課税仕入れ又は調整対象固定資産に該当する課税貨物(他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるものを除く。第九項、第十二条の二第三項及び第十二条の四において同じ。)の保税地域からの引取り(以下この項、第十二条の二第二項及び第十二条の三第三項において「調整対象固定資産の仕入れ等」という。)を行つた場合(第四項に規定する政令で定める課税期間において当該届出書の提出前に当該調整対象固定資産の仕入れ等を行つた場合を含む。)には、前項の規定にかかわらず、事業を廃止した場合を除き、当該調整対象固定資産の仕入れ等の日(当該調整対象固定資産の仕入れ等に係る第三十条第一項各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める日をいう。以下この項及び第十二条の二第二項において同じ。)の属する課税期間の初日から三年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、第四項の規定の適用を受けることをやめようとする旨を記載した届出書を提出することができない。この場合において、当該調整対象固定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の初日から当該調整対象固定資産の仕入れ等の日までの間に同項の規定の適用を受けることをやめようとする旨を記載した届出書をその納税地を所轄する税務署長に提出しているときは、次項の規定の適用については、その届出書の提出は、なかつたものとみなす。
 8 第五項の規定による届出書の提出があつたときは、その提出があつた日の属する課税期間の末日の翌日以後は、第四項の規定による届出は、その効力を失う。
 9 やむを得ない事情があるため第四項又は第五項の規定による届出書を第四項の規定の適用を受けようとし、又は受けることをやめようとする課税期間の初日の前日までに提出できなかつた場合における同項又は前項の規定の適用の特例及び第七項に規定する調整対象固定資産の仕入れ等が特例申告書の提出に係る課税貨物の保税地域からの引取りである場合その他の場合における同項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める
。」
 とあり、
 改正、追加された消費税法第9条の2 は
 「(前年又は前事業年度等における課税売上高による納税義務の免除の特例)
  
第九条の二 個人事業者のその年又は法人のその事業年度の基準期間における課税売上高が千万円以下である場合において、当該個人事業者又は法人(前条第四項の規定による届出書の提出により消費税を納める義務が免除されないものを除く。)のうち、当該個人事業者のその年又は法人のその事業年度に係る特定期間における課税売上高が千万円を超えるときは、当該個人事業者のその年又は法人のその事業年度における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、同条第一項本文の規定は、適用しない。
 2 前項に規定する
特定期間における課税売上高とは、当該特定期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等の対価の額の合計額から、第一号に掲げる金額から第二号に掲げる金額を控除した金額の合計額を控除した残額をいう。
   一 特定期間中に行つた第三十八条第一項に規定する売上げに係る対価の返還等の金額
   二 特定期間中に行つた第三十八条第一項に規定する売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額に六十三分の八十を乗じて算出した金額
 3 第一項の規定を適用する場合においては、前項の規定にかかわらず、第一項の個人事業者又は法人が同項の特定期間中に支払つた所得税法第二百三十一条第一項(給与等、退職手当等又は公的年金等の支払明細書)に規定する支払明細書に記載すべき同項の給与等の金額に相当するものとして財務省令で定めるものの合計額をもつて、第一項の特定期間における課税売上高とすることができる。
 4 前三項に規定する特定期間とは、次の各号に掲げる事業者の区分に応じ当該各号に定める期間をいう。
   一 個人事業者 その年の前年一月一日から六月三十日までの期間
   二 その事業年度の前事業年度(七月以下であるものその他の政令で定めるもの(次号において「短期事業年度」という。)を除く。)がある法人 当該前事業年度開始の日以後六月の期間
   三 その事業年度の前事業年度が短期事業年度である法人 その事業年度の前々事業年度(その事業年度の基準期間に含まれるものその他の政令で定めるものを除く。)開始の日以後六月の期間(当該前々事業年度が六月以下の場合には、当該前々事業年度開始の日からその終了の日までの期間)
 5 前項第二号又は第三号に規定する六月の期間の末日がその月の末日でない場合における当該期間の特例その他前各項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

 です。


 そこで、設問に戻りますと、基準期間と特定期間には触れていないのが気になりますが、一応「課税売上高が1,000万円以下」ということで、これなら、消費税法第9条及び同第9条の2 により、課税を免除されます(免除事業者)から、管理組合法人の場合には、収益事業を行っているときは、課税売上高が1,000万円以下でも、消費税の納税義務は免除されないは、適切ではありません。

 どうして、消費税法第9条の2 が追加されたかも、追及すると面白い。


2 法人でない管理組合の場合には、移動体通信事業者との間でマンション屋上に携帯電話基地局設置のための建物賃貸借契約を締結し、その設置料収入を得ているときは、収益事業には該当しないため、法人税は課税されない。

X 適切でない。 法人でなくても、収益事業となり、法人税が課せられる。

 平成29年 管理業務主任者試験 「問16」 、

 設問に対しては、国税庁の質疑応答例:「マンション管理組合が携帯電話基地局の設置場所を貸し付けた場合の収益事業判定」(平成26年7月25日)があります。
  https://www.nta.go.jp/law/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/21/11-2.htm


 これによると、【照会要旨】
  「Aマンション管理組合は、移動体通信業者Xとの間で、携帯電話基地局(アンテナ)設置のためにマンション屋上(共用部分)の使用を目的として、建物賃貸借契約を締結することとなりました。今後、Aマンション管理組合は、当該建物賃貸借契約に基づきマンション屋上の使用の対価として設置料収入を得ることとなりますが、当該設置料収入は、法人税法上の収益事業(不動産貸付業)に該当することとなりますか。
  なお、Aマンション管理組合は、法人税法上、人格のない社団等又は
公益法人等に該当することを照会の前提とします。
 そして、【回答要旨】
  
収益事業たる不動産貸付業に該当します
  (理由)
   1 人格のない社団等及び公益法人等の課税関係
     法人税法上、内国法人(人格のない社団等を含みます。)に対しては、各事業年度の所得について法人税を課することとされており(法法3、5)、このうち人格のない社団等及び公益法人等に対しては、各事業年度の所得のうち収益事業から生じた所得以外の所得には法人税を課さないこととされています(法法7)。
    したがって、マンション管理組合(人格のない社団等又は公益法人等)に対する法人税は、収益事業から生じた所得にのみ課されることとなります。
  2 収益事業の範囲
   法人税法上の収益事業とは、販売業、製造業その他の一定の事業で、継続して事業場を設けて行われるものをいい(法法2十三)、この一定の事業には不動産貸付業が含まれています(法令51五)。
   したがって、
マンション管理組合が賃貸借契約に基づいてマンション(建物)の一部を他の者に使用させ、その対価を得た場合には、収益事業(不動産貸付業)に該当し、その収益事業から生じた所得に対して法人税が課されることになります。」
 とあり、
 法人でない 管理組合でも、移動体通信事業者との間でマンション屋上に携帯電話基地局設置のための建物賃貸借契約を締結し、その設置料収入を得ているときは、収益事業となり、法人税が課税されますから、「法人税は課税されない」は、適切ではありません。


3 管理組合法人の場合には、区分所有者のみに敷地内駐車場を使用させることができる旨規定されている管理規約に基づき区分所有者に同駐車場を使用させ、その使用料収入を得ているときは、収益事業に該当するため、法人税が課税される。

X 適切でない。 管理組合が法人、非法人に関わらず、組合員(区分所有者)から得る敷地内駐車場の使用料は、収益事業に該当せず、法人税が課税されない。
  平成27年 マンション管理士試験 「問27」 、 平成27年 管理業務主任者試験 「問16」 

  選択肢1で説明しましたように、管理組合が法人化されていなくても、法人税法上は、「人格のない社団等」に該当するものと考えられます。
 すると、法人税法上、内国法人(人格のない社団等を含みます。)に対しては、各事業年度の所得について法人税を課することとされており、このうち公益法人等及び人格のない社団等に対しては、各事業年度の所得のうち
収益事業から生じた所得以外の所得(「非収益事業から生じた所得」といいます。)には法人税を課さないこと とされています。
 したがって、マンション管理組合に対する法人税は、収益事業から生じた所得にのみ課されることとなります。
 具体的には、マンション管理組合が、継続してマンション駐車場という常設された附属施設で駐車場業を行えば、収益事業に該当し、その収益事業から生じた所得に対して法人税が課されることになります。
 
 そこで、税との関係で、管理組合の管理費・修繕積立金は非課税と判断されるようになったものの、駐車場の収入などで特に、マンション外の人に使用させ、駐車場料をとる場合に、内部(組合員)の使用なら、課税の対象にならないまでは、一応国税庁の判断がありましたが、これらを纏めて、国土交通省から平成24年2月3日に国税庁に確認をし、その回答があります。

  https://www.nta.go.jp/law/bunshokaito/hojin/120117/index.htm

 そこでは、組合員(区分所有者)から得る敷地内駐車場の使用料は、
  「1 管理組合という地域自治会が、その自治会の構成員を対象として行う共済的な事業であること。
  2 駐車料金は、区分所有者が所有している共有物たる駐車場の敷地を特別に利用したことによる「管理費の割増金」と考えられること。
  3 その収入は、区分所有者に分配されることなく、管理組合において運営費又は修繕積立金の一部に充当されていること。」
 を理由に、収益事業でないと判定されていますから、法人税が課税されは、適切ではありません。



4 法人でない管理組合の場合には、収益事業を行っていないときは、地方税法上は法人とはみなされず、法人住民税(都道府県民税と市町村民税)の均等割額は課税されない。

〇 適切である。 法人でない管理組合で収益事業を行っていないときは、地方税法上は法人とみなされない。
  平成24年 マンション管理士試験 「問34」 、

 まず、我々、個人が納めている地方税での、個人住民税には、
  ①所得割...前年の所得に比例して課税される(特別区・市町村民税:課税額x6%、都・道府県民税:課税額x4%。
   国税の所得税と地方税の所得割では、控除金額などが、かなり異なる。

  ②均等割...一定額以上の所得がある者に一律の額(同額)により課税される。(特別区・市町村民税 3,500円、 都・道府県民税 1,500円)
  があります。支払う税額は、①所得割額 + ②均等割額 の合計です。


 そして、法人住民税とは、法人(会社)に課された法人税をベースにして、主に会社の利益(所得)に対して、地方公共団体(都道府県と市区町村)が課す地方税です。
 
東京都の場合、都内に事務所や事業所などがある法人に課税される税金で、普通「法人住民税」といわれます。これには、都民税と市町村民税の二つがあり、それぞれ「法人税割」と「均等割」からなっています。これとは別に、支払を受ける利子等に対しては、都民税として「利子割」が課税されます。

 法人の地方税には、法人住民税として
  ①法人税割...企業の所得での法人税(国税)等の額に税率(9.7%)を乗じ算出される
  ②均等割...資本金等の額や従業者数から9段階があり、それにより算出される

             
 

 この設問は、平成24年のマンション管理士試験 「問34」 選択肢2 でも、もめた問題です。
 
 具体的には、地方税法第24条
 「(道府県民税の納税義務者等)
  第二十四条 
道府県民税は、第一号に掲げる者に対しては均等割額及び所得割額の合算額によつて、第三号に掲げる者に対しては均等割額及び法人税割額の合算額によつて、第二号及び第四号に掲げる者に対しては均等割額によつて、第四号の二に掲げる者に対しては法人税割額によつて、第五号に掲げる者に対しては利子割額によつて、第六号に掲げる者に対しては配当割額によつて、第七号に掲げる者に対しては株式等譲渡所得割額によつて課する
   一 道府県内に住所を有する個人
   二 道府県内に事務所、事業所又は家屋敷を有する個人で当該事務所、事業所又は家屋敷を有する市町村内に住所を有しない者
   
三 道府県内に事務所又は事業所を有する法人
   四 道府県内に寮、宿泊所、クラブその他これらに類する施設(「寮等」という。以下道府県民税について同じ。)を有する法人で当該道府県内に事務所又は事業所を有しないもの
   四の二 法人課税信託(法人税法第二条第二十九号の二に規定する法人課税信託をいう。以下この節において同じ。)の引受けを行うことにより法人税を課される個人で道府県内に事務所又は事業所を有するもの
   五 利子等の支払又はその取扱いをする者の営業所等で道府県内に所在するものを通じて利子等の支払を受ける個人
   六 特定配当等の支払を受ける個人で当該特定配当等の支払を受けるべき日現在において道府県内に住所を有するもの
   七 特定株式等譲渡対価等の支払を受ける個人で当該特定株式等譲渡対価等の支払を受けるべき日の属する年の一月一日現在において道府県内に住所を有するもの
 (中略)
 6 
法人でない社団又は財団代表者又は管理人の定めがあり、かつ、収益事業を行うもの(当該社団又は財団で収益事業を廃止したものを含む。以下道府県民税について「人格のない社団等」という。)又は法人課税信託の引受けを行うものは、法人とみなして、この節の規定を適用する。
 (以下、略)」
 とあり、
 地方税法第24条第6項により、「人格のない社団等」に該当する、法人でない管理組合は、収益事業を行う時は、法人とみなされて、この節(注:第一節 道府県民税:均等割や所得割)の規定が適用されますが、法人でない管理組合の場合で、収益事業を行っていないときは、地方税法上は法人とはみなされず、法人住民税(都道府県民税と市町村民税)の均等割額は課税されないは、適切です。


  また、地方税法第294条もある。
 「(市町村民税の納税義務者等)
  第二百九十四条 市町村民税は、第一号の者に対しては均等割額及び所得割額の合算額によつて、第三号の者に対しては均等割額及び法人税割額の合算額によつて、第二号及び第四号の者に対しては均等割額によつて、第五号の者に対しては法人税割額によつて課する。
   一 市町村内に住所を有する個人
   二 市町村内に事務所、事業所又は家屋敷を有する個人で当該市町村内に住所を有しない者
   三 市町村内に事務所又は事業所を有する法人
   四 市町村内に寮、宿泊所、クラブその他これらに類する施設(以下この節において「寮等」という。)を有する法人で当該市町村内に事務所又は事業所を有しないもの
   五 法人課税信託(法人税法第二条第二十九号の二に規定する法人課税信託をいう。以下この節において同じ。)の引受けを行うことにより法人税を課される個人で市町村内に事務所又は事業所を有するもの
  (中略)
 8 
法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあり、かつ、収益事業を行うもの(当該社団又は財団で収益事業を廃止したものを含む。以下市町村民税について「人格のない社団等」という。)又は法人課税信託の引受けを行うものは、法人とみなして、この節の規定中法人の市町村民税に関する規定を適用する
 もあります。


 さらに、*税務署からの回答:(2013年 2月13日 記
 『1・収益事業を行っていない、法人化されていないマンションの管理組合』について
  当該管理組合の実態が、「人格のない社団等」にあたるものとしますと、人格のない社団等は法人ではないため法人市民税の対象ではありません。
  ただし、収益事業を行うものについては地方税法第294条第8項において法人としてみなして法人の市町村民税の規定を適用する旨定められているため、法人市民税の対象となります。

 『2・収益事業を行っていない、法人化されたマンションの管理組合』について
 当該実態が、建物の区分所有等に関する法律第47条に規定する「管理組合法人」にあたるものとしますと、同法第47条第13号により当該法人は法人税法第2条第6号に規定する公益法人等とみなすこととされています。
 地方税法第294条第1項第3号において、市町村内に事務所又は事業所を有する法人は均等割及び法人税割が課されることとされています。一部の法人については地方税法第296条において非課税の定めがありますが、管理組合法人は該当しません。
 収益事業を行っていない法人は法人税割がありませんので、地方税法第312条第1項及び第3項第4号に基づき均等割のみが課されることとなります。


 ということで、法人化されていない管理組合なら、収益事業を行っていないと、法人税割も均等割もなく法人化された管理組合で、収益事業を行っていないと、法人税割はないが、均等割は課税されるとなります。


答え:4 

  ふぅ、消費税の改正も織り込んだので、解説に、時間がかかる!
  ここの選択肢4 は、過去問題をやっていれば、解答は、易しい。

  マンション管理組合の課税関係は、https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/02/26.htm
 もある。

《タグ》税法 消費税 法人税 収益事業 駐車場使用料 地方税 均等割

問36

〔問 36〕 マンションの建物及び設備の維持管理に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 大規模修繕工事前に実施する調査・診断の一環として、竣工図書、過去に行った調査・診断結果、修繕履歴等の資料調査を行う。

〇 適切である。 常識。
 平成19年 マンション管理士試験 「問36」 ? 下の 「問38」 も参考に。

  もうこの設問では、根拠を探すまでもなく、常識として、大規模修繕工事前に実施する調査・診断の一環として、竣工図書、過去に行った調査・診断結果、修繕履歴等の資料調査を行うは、適切です。



2 予防保全の考え方にたって、計画的に建物及び設備の点検、調査・診断、補修・修繕等を行い、不具合や故障の発生を未然に防止することとした。

〇 適切である。

 これも、もう常識の範囲。予防保全の考え方にたって、計画的に建物及び設備の点検、調査・診断、補修・修繕等を行い、不具合や故障の発生を未然に防止することとしたは、適切です。


3 建築基準法第12条第1項に規定する特定建築物の定期調査のうち、竣工後3年以内に実施する外壁タイルの調査は、目視により確認する方法で足りる。

X 適切でない。 外壁タイルの調査は、手の届く範囲は打診で、その他は目視で確認し、異常があれば、詳細に検査する。足りない。

  平成29年 マンション管理士試験 「問36」 、平成28年 マンション管理士試験 「問36」 、 平成27年 マンション管理士試験 「問37」 、 平成26年マンション管理士 試験「問36」 、  平成24年マンション管理士試験 「問37」 、平成23年管理業務主任者 試験「問28」 、 平成21年マンション管理士試験 「問38」 、 平成18年マンション管理士試験 「問37」 など。

 法律が絡むと、根拠が必要となります。
 まず、建築基準法第12条は、平成29年のマンション管理士試験 「問21」 で、出題ミスがあった条文で
 「(報告、検査等)
 第十二条 第六条第一項第一号に掲げる建築物で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの(国、都道府県及び建築主事を置く市町村の建築物(以下この項及び第三項において「国等の建築物」という。)を除く。)及び当該政令で定めるもの以外の
特定建築物(同号に掲げる建築物その他政令で定める建築物をいう。以下この条において同じ。)で特定行政庁が指定するもの(国等の建築物を除く。)の所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者。第三項において同じ。)は、これらの建築物の敷地、構造及び建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員資格者証の交付を受けている者(次項及び次条第三項において「建築物調査員」という。)にその状況の調査(これらの建築物の敷地及び構造についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含み、これらの建築物の建築設備及び防火戸その他の政令で定める防火設備(以下「建築設備等」という。)についての第三項の検査を除く。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。
 2 国、都道府県又は建築主事を置く市町村の特定建築物の管理者である国、都道府県若しくは市町村の機関の長又はその委任を受けた者(以下この章において「国の機関の長等」という。)は、当該特定建築物の敷地及び構造について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員に、損傷、腐食その他の劣化の状況の点検(当該特定建築物の防火戸その他の前項の政令で定める防火設備についての第四項の点検を除く。)をさせなければならない。ただし、当該特定建築物(第六条第一項第一号に掲げる建築物で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして前項の政令で定めるもの及び同項の規定により特定行政庁が指定するものを除く。)のうち特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て指定したものについては、この限りでない。
 3 特定建築設備等(昇降機及び特定建築物の昇降機以外の建築設備等をいう。以下この項及び次項において同じ。)で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの(国等の建築物に設けるものを除く。)及び当該政令で定めるもの以外の特定建築設備等で特定行政庁が指定するもの(国等の建築物に設けるものを除く。)の所有者は、これらの特定建築設備等について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者(次項及び第十二条の三第二項において「建築設備等検査員」という。)に検査(これらの特定建築設備等についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含む。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。
 4 国の機関の長等は、国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物の特定建築設備等について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員に、損傷、腐食その他の劣化の状況の点検をさせなければならない。ただし、当該特定建築設備等(前項の政令で定めるもの及び同項の規定により特定行政庁が指定するものを除く。)のうち特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て指定したものについては、この限りでない。
 5 特定行政庁、建築主事又は建築監視員は、次に掲げる者に対して、建築物の敷地、構造、建築設備若しくは用途、建築材料若しくは建築設備その他の建築物の部分(以下「建築材料等」という。)の受取若しくは引渡しの状況、建築物に関する工事の計画若しくは施工の状況又は建築物の敷地、構造若しくは建築設備に関する調査(以下「建築物に関する調査」という。)の状況に関する報告を求めることができる。
   一 建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者、建築主、設計者、建築材料等を製造した者、工事監理者、工事施工者又は建築物に関する調査をした者
   二 第七十七条の二十一第一項の指定確認検査機関
   三 第七十七条の三十五の五第一項の指定構造計算適合性判定機関
 6 特定行政庁又は建築主事にあつては第六条第四項、第六条の二第六項、第七条第四項、第七条の三第四項、第九条第一項、第十項若しくは第十三項、第十条第一項から第三項まで、前条第一項又は第九十条の二第一項の規定の施行に必要な限度において、建築監視員にあつては第九条第十項の規定の施行に必要な限度において、当該建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者、建築主、設計者、建築材料等を製造した者、工事監理者、工事施工者又は建築物に関する調査をした者に対し、帳簿、書類その他の物件の提出を求めることができる。
 7 建築主事又は特定行政庁の命令若しくは建築主事の委任を受けた当該市町村若しくは都道府県の職員にあつては第六条第四項、第六条の二第六項、第七条第四項、第七条の三第四項、第九条第一項、第十項若しくは第十三項、第十条第一項から第三項まで、前条第一項又は第九十条の二第一項の規定の施行に必要な限度において、建築監視員にあつては第九条第十項の規定の施行に必要な限度において、当該建築物、建築物の敷地、建築材料等を製造した者の工場、営業所、事務所、倉庫その他の事業場、建築工事場又は建築物に関する調査をした者の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、建築物、建築物の敷地、建築設備、建築材料、建築材料等の製造に関係がある物件、設計図書その他建築物に関する工事に関係がある物件若しくは建築物に関する調査に関係がある物件を検査し、若しくは試験し、又は建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者、建築主、設計者、建築材料等を製造した者、工事監理者、工事施工者若しくは建築物に関する調査をした者に対し必要な事項について質問することができる。ただし、住居に立ち入る場合においては、あらかじめ、その居住者の承諾を得なければならない。
 8 特定行政庁は、確認その他の建築基準法令の規定による処分並びに第一項及び第三項の規定による報告に係る建築物の敷地、構造、建築設備又は用途に関する台帳を整備し、かつ、当該台帳(当該処分及び当該報告に関する書類で国土交通省令で定めるものを含む。)を保存しなければならない。
 9 前項の台帳の記載事項その他その整備に関し必要な事項及び当該台帳(同項の国土交通省令で定める書類を含む。)の保存期間その他その保存に関し必要な事項は、国土交通省令で定める
。」
 とあり、

 具体的には、
  ①特定建築物等は「調査」の結果...おおむね6月から3年ごとに特定行政庁に報告
  ②建築設備・防火設備・昇降機・遊戯施設は「検査」の結果の報告...おおむね6月から1年まで、遊戯施設は半年ごとに特定行政庁に報告
 を行うこととなっています。


 

 そこで、設問の「竣工後3年以内に実施する外壁タイルの調査」は、

  平成20年 国土交通省告示 第282号 改正:平成28年4月25日国土交通省 告示703号 (注:直接リンクは、貼れませんでした。)
 二  建 築 物 の 外 部
    (十 一)  外装仕 上げ材 等
    (ろ)調査方法
      開口隅部、水平打継部、斜壁部等のうち
手の届く範囲をテストハ ンマーによる打診等により確認し、その他の部分は必要に応じ て双眼鏡等を使用し目視により確認 し、 異常が認められた場 合にあっては、落下に より歩行者等に危害 を加えるおそれのある部分を全面的にテスト ハンマーによる打診等により確認する。た だし、 竣工後、外壁 改修後若しくは落下に より歩行者等に危害 を加えるおそれのある 部分の全面的なテス トハンマーによる打診 等を実施した後 10 年 を超え、かつ 3 年 以 内に落下により歩行 者等に危害を加える おそれのある部分の 全面的なテストハンマーによる打診等を実 施していない場合に あっては、落下により 歩行者等に危 害を加 えるおそれのある部 分を全面的にテストハ ンマーによる打診等 により確認する(3 年 以内に外壁改修等が 行われることが確実 である場合又は別途 歩行者等 の安全を 確保するための対策 を講じている場合を除 く。)。 」
 とあり、
 特定建築物等は「調査」の結果...おおむね6月から3年ごとに特定行政庁に報告で、基本的には、手の届く範囲をテストハ ンマーによる打診等 、その他は目視により確認し、異常があれば、詳細な検査をすることになっていますから、竣工後3年以内に実施する外壁タイルの調査は、
目視により確認する方法で足りるは、適切ではありません。 テストハンマーで打診等が必要です。

  参考:外壁タイルの浮きの調査ですが、タイルの浮きは、温度の変化、乾燥・湿潤、建物の動き、地震などで、下地のモルタルやコンクリートとの接着力が不足し、下地と表面のタイルが分離して発生します。タイルが剥落すると危険なため、調査は重要です。
 その、調査の方法としては、
  ・外観目視調査...肉眼や望遠鏡など、眼で調査する。判定には経験が必要。
  ・打診法...テストハンマーで表面を叩いて、音の差で浮きを判断する。これも、判定には経験が必要。
  ・赤外線装置法...赤外線カメラにより、タイルやモルタルの浮いている部分と、健全な部分とを熱の伝導の差(温度差)で測定する。温度差の出やすい天候時に行うといい。
  ・反発法...コンクリートの強度を調べたのと同じように、シュミットハンマー等で、タイル面に一定の衝撃を与えて、その衝撃で生じた跳ね返りの大きさや音圧の違いで、浮きを調査する。
 等があります。


   


4 中低層鉄筋コンクリート造の既存マンションに対して一般的に行われている耐震診断の評価方法には、計算のレベルが異なる第1次診断法、第2次診断法及び第3次診断法があるが、第1次診断法は、簡易な診断法であるため、耐震性能があると判定するための構造耐震判定指標の値が高く設定されている。

〇 適切である。 耐震診断には、3つの診断法があり、簡易な第1次診断法では、構造耐震判定指標の値 Iso=0.8 だが、第2次診断法、第3次診断法では、Iso=0.6 である。
  平成28年 管理業務主任者試験 「問23」 、 平成24年 マンション管理士試験 「問42」 、 平成20年 管理業務主任者試験 「問28」 、 平成18年 マンション管理士試験 「問40」 
  
  既存の鉄筋コンクリート造の建物に対する耐震診断方法には、
 
第1次診断法...比較的耐震壁が多く配された建築物の耐震性能評価を目的とした診断法である。
             最も簡便な方法で、対象建物の各階の柱・壁の断面積とその階が支えている建物重量から構造耐震指標を評価する。比較的壁の多い建物には適しているが、壁の少ない建物では耐力が過小評価される。設計図面が残っていれば建物の詳細な調査を行わなくても短時間で計算できる。
 
第2次診断法...梁よりも、柱、壁などの鉛直部材の破壊が先行する建築物の耐震性能評価を目的とした診断法である。
           梁は考慮しない。設計図面が残っていることが前提である。各階の柱と壁のコンクリートと鉄筋の寸法から終局耐力を計算して、その階が支えている建物重量と比較する。その他2種要素、極短柱、下階壁抜け等の検討をする。コンクリートの圧縮強度・中性化等の試験、建物の劣化状態(ひび割れ・漏水・鉄筋錆・コンクリート爆裂)などの調査が必要となる。1次診断より結果の信頼性が高く、公共建築物(学校・庁舎等)で最も多用されている。この方法で補強を行った建物は、近年の新潟県中部地震などでも被害があまり報告されていない。想定地震力は400gal程度といわれる(保有水平体力計算は1000gal)。
 
第3次診断法...柱、壁の強さと粘りに加え、梁を考慮した診断方法である。
             設計図面が残っていることが前提である。2次診断の柱と壁に加えて梁も考慮して計算する、現行建築基準法の保有水平耐力計算とほぼ同程度のレベルで建物の終局耐力を計算する方法だが、保有水平耐力計算の計算上の仮定に最も左右されやすい。計算結果通りに建物が終局耐力に達するか否かについて、十分注意して判断する必要がある。高層建築や鉄骨造が対象となる事が多い。
 の3種がある。一般的には診断次数が高くなるほど結果の信頼性は高くなります。

 そこで、設問の前半「耐震診断の評価方法には、計算のレベルが異なる第1次診断法、第2次診断法及び第3次診断法がある」は、適切です。


 

 そして、建物の耐震性の判定には「構造耐震判定指標 Iso 値」を用います。
 構造耐震判定指標 Iso値 の算定方法は以下によります。

  Iso =Es×Z×G×U

   Es: 耐震判定基本指標(第1次診断=0.8、第2次、3次診断=0.6)
   Z:地域指標で、その地域の地震活動や想定する地震動の強さによる補正係数
   G:地盤指標で、表層地盤の増幅特性、地形効果、地盤と建物の相互作用などによる補正係数
   U:用途指標で、建物の用途などによる補正係数

   Iso≧0.6 の0.6という数字は、1968年十勝沖地震(M7.9、震度5)および1978年宮城県沖地震(M7.4、震度5)で中破以上の被害を受けた鉄筋コンクリート造建築物の2次診断の結果を比較した経験から導き出され、1981年(昭和56年)改正の現行の建築基準法により設計される建物とほぼ同程度の耐震性能を保有していると判断されます。

 そこで、 
Isoは一般的に第1次診断法の場合は0.8、第2次・第3次診断法の場合は0.6であるため、設問の後半「第1次診断法は、簡易な診断法であるため、耐震性能があると判定するための構造耐震判定指標の値が高く設定されているも適切で、選択肢4は、全体として適切です。

 


答え:3 

  いやはや、常識と外壁の調査と耐震診断の評価とは、専門的な知識が要求される、突き詰めると、かなりの難問だ。
  選択肢3や選択肢4は、過去にも出ていたが、再度、最新の根拠を探したので、ここも時間がかかった(約4時間)

《タグ》大規模修繕 調査 建築基準法第12条 外壁タイルの調査 耐震診断 Iso≧0.6 

問37

〔問 37〕 マンションの建物及び設備の劣化診断における調査の目的と使用する調査機器に係るア~エの組合せのうち、適切なものの組合せは、1~4のうちどれか。

  (調査の目的)            (調査機器)
ア 設備配管の継手の劣化状況 - 引張試験機

X 適切でない。 引張試験機では、設備配管の継手の劣化状況は調査できない。
 平成27年 マンション管理士試験 「問37」 、
  
 引張試験機は、タイルやモルタルなどに引っ張る力をかけて引張力や付着力を確認するもので、設備配管の継手の劣化状況 の調査には使用されませんから、適切ではありません。


  
  
  なお、配管の継ぎ手などの劣化状況(腐食状態)を調べるには、厚さを調べる超音波厚さ計や内視鏡調査、エックス線調査などがあります。


イ コンクリートの塩化物イオン量 - 電磁誘導装置

X 適切でない。 コンクリートの塩化物イオン量の調査では、電位差滴定装置を用いる。電磁誘導装置ではない。
 平成27年 マンション管理士試験 「36」 、平成26年マンション管理士試験 「問37」平成24年マンション管理士試験 「問38」、 平成20年マンション管理士試験 「問37」平成15年マンション管理士試験 「問39」
 
  コンクリートの中に一定量以上の塩化物が存在すると、コンクリートの中の鉄筋の腐食が早まり、膨張した鉄筋の錆によってコンクリートがひび割れたり、剥がれ落ちます。 そこで、コンクリートの塩化物イオン量の調査が必要となります。
 その調査では、採取したコンクリートを試験溶液に抽出し、化学分析する
電位差滴定法を用いて塩化物イオン濃度を算出します。

 具体的には、コンクリート中の塩化イオン量の調査には、ドリルを使用して、所定の深さごとにコンクリートの粉末を採取する方法や、コアで抜き取るコア法があります。採取した試料を温水に浸し、上澄溶液を、塩化物測定器(
電位差滴定装置)や塩化物試験紙を入れて可溶性イオン量を測定します。
 評価の基準は、塩化物イオン量の限界とされる 1.2kg/m3 未満であれば、鉄筋の発錆の危険性はないとされ、限界塩化物イオン量の1.2kg/m3 以上なら鉄筋の腐食が考えれますから、対策が必要です。

 

 なお、電磁誘導装置は、磁束の変化を利用して、コンクリート内の鉄筋のかぶり厚さや鉄筋の径を調べるのに使用します。

  


ウ 設備配管(鋼管)の腐食状況 - 超音波厚さ計

〇 適切である。 設備配管(鋼管)の腐食状況に調査には、超音波厚さ計が使用される。

 選択肢ア で説明しましたように、配管の腐食状態を調べるには、厚さを調べる超音波厚さ計や内視鏡調査、エックス線調査などがあります。

 超音波厚さ計は、センサー(トランスデューサー)から発信した超音波が測定物の反対面に反射して戻ってくる時間で、厚さを算出し、設備配管(鋼管)の腐食状況を調べるのに使用しますから、適切です。
 超音波厚さ計は、鉄・アルミ・ステンレス等の金属をはじめ、プラスチック、樹脂、ガラス等様々な材質の厚みを測定することができます。
 なお、測定面と反対面が平行になっていない場合、超音波がトランスデューサーに戻ってこないため測定することができません。また、出力した超音波が途中で消えてしまうゴムのような高減衰材も、測定ができません。
木材や発泡プラスチックのように、気泡を含む素材も、超音波が気泡を通過しないため、測定不可です。


 


 他に、配管の劣化を調べる方法には、目視、非破壊検査がありますが、精密に行うには、サンプル(資料)を切り取る=抜き管 方法があります。 
 給水管内のさびの状態を調査する方法で、破壊調査として、さびが発生しやすい異種金属との接続部分や量水器などを切り取る「抜管(サンプリング=資料)法」は、内部の状況を直接観察、測定する方法として、適切です。
 なお、具体的な、抜管(サンプリング)法のやりかたは、まず、配管の一部分を抜管し、配管を縦割り(半分に分けます=半割り)します。半割りした片側は現状のままで、もう1つの側を酸で洗い、錆や付着物をきれいに落とし、内面の錆や汚れの状況と管厚の減肉状況を確認します。
 酸で洗った方に管が薄くなった部分(肉減)あれば、その肉厚がいくらかを測定して、配管の経過年数をもとに推定残存寿命を知ることができます。抜管(サンプリング)法では、配管の一部を切断するために工事中は、その配管を使用することができません。



  


エ 仕上塗材の劣化状況      - 分光測色計

〇 適切である。 仕上塗材の劣化は、光の波長を利用して、測ることもできる。

 下地を保護しています仕上げに使われる塗材も、表面から汚れたり、紫外線や風雨による白亜化などで劣化していきます。
 その劣化状況は、目視、打診、塗膜のサンプリング調査などで行いますが、最近は、物体の色を各波長の反射または透過率から計測し数値化する測色計(分光測色計)により、微妙な色の違いが分かるようになり、仕上塗材の劣化状況 の調査にも、分光測色計が使用されていますから、適切です。


  


1 アとイ
2 イとウ
3 ウとエ
4 エとア


答え:3 適切なものは 、ウ と エ 

  選択肢アと イ そして、 ウ は、何となく、過去問題から分かるが、 エ の分光測色計は、初めてで、難しい。
  新しい技法が開発されるものだ。

《タグ》劣化診断 配管 引張試験機 コンクリートの塩化 電磁誘導装置 配管の腐食 超音波厚さ計 仕上塗材 分光測色計

問38

〔問 38〕 長期修繕計画の作成・見直し及び修繕設計に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 新築時の長期修繕計画において、建具の取替え工事が推定修繕工事項目に設定されていなかったが、計画を見直す際に項目の設定の要否を確認した。

〇 適切である。
  平成29年 マンション管理士試験 「問39」、 平成28年 マンション管理士試験 「問39」、 平成26年 マンション管理士試験 「問38」 、平成26年 管理業務主任者試験 「問27」 、 平成25年マンション管理士試験 「問37」、 平成23年マンション管理士試験 「問38」、 平成21年 マンション管理士試験 「問36」 、 平成20年 マンション管理士試験 「問38」 、

 ここ、「問38」の設問の基になっているのは、国土交通省が作成した 「長期修繕計画作成ガイドライン」 と思われるが、 今年(平成30年)には、「長期修繕計画作成ガイドライン及び同コメント」によれば、の文章が無くなっている。 
 マンション管理士 香川 が、過去の解説において、「長期修繕計画作成ガイドライン」の内容は、余りにも常識だと言ってきたので、反省したのか。

 参考:上の 「問36」 も。

 新築時の長期修繕計画において、建具の取替え工事が推定修繕工事項目に設定されていなかったが、計画を見直す際に項目の設定の要否を確認することは、もう、常識でも分かるほど、適切です。
 参考:長期修繕計画作成ガイドライン コメント



2 長期修繕計画の作成・見直しに当たって、計画期間内における推定修繕工事費の総額を削減するために、推定修繕工事の時期を計画期間内で分散させた。

X 適切でない。 分散しても、総額は削減できない。 集約すべき。

 修繕工事期間を分散させることは、一次的な支払は少なくなっても、総額の削減には、結びつかない。逆に、集約した方が、修繕工事費の削減になる。推定修繕工事の時期を計画期間内で分散させることは、適切ではありません。


3 大規模修繕工事の修繕設計の内容を踏まえて、工事の実施前に長期修繕計画を見直すこととした。

〇 適切である。 

 実際の大規模修繕工事計画ができれば、長期修繕計画を見直すのは、適切です。


4 修繕設計において、外壁補修など、設計段階では施工すべき数量が確定できず、工事が始まってから数量を確定させる工事項目について、調査や経験に基づいて数量を仮定した。 

〇 適切である。

 修繕計画時には施工すべき数量が確定できないこともあります。その場合は、過去のデータや、関係情報を入手して、仮定で作り、あとで、実費精算のやりかたをとることは、適切です。


答え:2 

  設問全体で、明確な根拠が不明ですが、常識から、妥当でしょう。
  でも、国家資格の試験で、根拠が明確でないのを出題していいのでしょうか? 不適切な出題です。

《タグ》長期修繕計画の作成・見直し 

問39

〔問 39〕 マンションの修繕工事に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 タイル張り外壁の浮き部分の補修では、アンカーピンニング部分エポキシ樹脂注入工法の方が、注入口付きアンカーピンニング部分エポキシ樹脂注入工法よりも、ピンニングの箇所数が多くなる。

〇 適切である。 注入口付きアンカーピンニング部分エポキシ樹脂注入工法の方が、アンカーピンニング部分エポキシ樹脂注入工法よりも、ピンニングの箇所数は、少ない。
  平成28年 マンション管理士試験 「37」 、  平成24年 マンション管理士試験 「問38」 選択肢3 、 平成21年 マンション管理士試験 「問39」 、 平成20年 マンション管理士試験 「問37」 
 
 まず、タイル張り外壁の浮き部分の補修方法には、樹脂注入工法(注入工法)があり、コンクリートでひび割れが発生した場合、ひび割れの幅が、比較的に小さい0.2mm~1.0mmなら、手動式のポンプを使ったり、自動低圧機や電動ポンプを使って建築補修用のエポキシ樹脂等をひび割れ部に注入する方法です
 また、ステンレス製のピン(アンカーピン)とエポキシ樹脂系注入材を併用して、下地のコンクリートと仕上げモルタルやタイルとの接着を行い、剥離・剥落を防止する工法があります。
 剥離部分に対して等間隔に穿孔を行い、エポキシ樹脂やセメントスラリー(cement slurry :セメントと水との混合液)を注入し 孔内にアンカーピンを挿入します。




  近年モルタルやタイルの浮きを機械的に固定すると同時にエポキシ樹脂を注入できる特殊な注入口付アンカーピンを使用する工法が急激に普及してきました。
 注入口付アンカーピンニングエポキシ樹脂注入工法は、単位面積あたりの穿孔数が少なくなるので穿孔時に発生する騒音や穿孔手間が軽減されます。また、樹脂注入の際の圧力でモルタル層が浮き上がるのを防ぐアンカー効果があるので、エポキシ樹脂がまんべんなく均一に注入できる工法です。


 

 ということで、注入口付アンカーピンニングエポキシ樹脂注入工法では、アンカーピンの本数が、アンカーピンニング部分エポキシ樹脂注入工法よりも少ないので、アンカーピンニング部分エポキシ樹脂注入工法の方が、注入口付きアンカーピンニング部分エポキシ樹脂注入工法よりも、ピンニングの箇所数が多くなるは、適切です。


2 ポリマーセメントモルタル充てん工法は、コンクリート表面の剝(は)がれや剝落(はくらく)の発生している欠損部の改修工法であり、表面の軽微な欠損部に適用する。

〇 適切である。 ポリマーセメントモルタル充てん工法は、表面の軽微な欠損部に適用する。

 鉄筋の発錆などによって、コンクリートがひび割れたり、欠落しそうな部分は、建物の構造上の欠陥となる場合があり、 危険度も高くなります。そのような欠損部・鉄筋爆裂部については、劣化部分をはつり落とし、鉄筋を防錆処理した後 樹脂モルタル(エポキシ樹脂系・ポリマーセメント系)で補修しますから、ポリマーセメントモルタル充てん工法は、コンクリート表面の剝(は)がれや剝落の発生している欠損部の改修工法であり、表面の軽微な欠損部に適用するは、適切です。

 


3 屋上の保護アスファルト防水の改修では、既存防水層を撤去し新たな防水層を施工することが一般的である。

X 適切でない。 屋上の保護アスファルト防水の改修には、「撤去工法」と「かぶせ工法」があり、費用などの点から、「かぶせ工法」の方が一般的である。
  平成27年 マンション管理士試験 「問38」  平成21年管理業務主任者試験 「問18」 、平成19年マンション管理士試験 「問39」 、平成18年管理業務主任者試験 「問26」 平成17年マンション管理士試験 「問38」 、平成15年マンション管理士試験 「問38」 。
 
 鉄筋コンクリート造の建物の寿命は一般的には60年といわれています。そのため防水層の耐用年数を考えると、建物を維持するためには、複数回屋上の防水改修を行うことが必要になります。
屋上防水工事には、大きく分けると、①アスファルト押え防水工法、②アスファルト露出防水工法、③シート防水工法、④塗膜防水工法 の4つに分類できます。


  

  そして、屋上や屋根の防水を改修する方法としては、既存の防水層を全部撤去して、新しく防水層を施行する「撤去工法」と、既存の保護コンクリートなど不良部分だけを除去し、新規に各種の防水層をかぶせる「かぶせ工法」があります。
 費用や産業廃棄物が少ないなどから、かぶせ工法が多く採用されています。
 
 そこで、設問の、屋上の保護アスファルト防水の改修では、既存防水層を撤去し新たな防水層を施工することが一般的であるは、かぶせ工法の方が一般的であるため、適切ではありません。



4 ウレタンゴム系塗膜防水材を用いた塗膜防水は、開放廊下やバルコニーに適用することができる。

〇 適切である。 ウレタンゴム系塗膜防水材を用いた塗膜防水は、開放廊下やバルコニーに適用することができる。
  平成21年 管理業務主任者試験 「問18」 、

 塗膜防水は、液状の防水材を塗り重ねていくもので、材料には、ウレタンゴム系が多い。歩行用、運動用などに対応でき、開放廊下の床、バルコニー、屋根のパラペット等に施工されますから、ウレタンゴム系塗膜防水材を用いた塗膜防水は、開放廊下やバルコニーに適用することができるは、適切です。

 なお、ウレタンゴムは、複雑な部分への施工が容易で、防水層に継目がなく、美観に優れていますが、気温や施工直後の天候によって品質にばらつきが出る可能性があります。


 


答え:3

 選択肢1のアンカーピンは面倒。
 でも、選択肢3 の「かぶせ工法」は選びやすい。

 見て分かるように 画像を作成しているので、時間がかかる!

《タグ》修繕 タイル外壁の浮き アンカーピンニング 剥がれ ポリマーセメントモルタル充てん工法 屋上の保護アスファルト防水 「撤去工法」と「かぶせ工法」 塗膜防水 ウレタンゴム系塗膜防水材

問40

〔問 40〕 マンションの構造に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 支持杭は、杭の先端を安定した支持層に到達させ、主に杭先端の支持力によって上部荷重を支えるものである。

〇 適切である。 支持杭は、杭の先端を安定した支持層に到達させ、主に杭先端の支持力によって上部荷重を支えるものである。
  平成25年 マンション管理士試験 「問42」 、
  
 マンションなど建築物を支える地盤における杭基礎には、支持方式によって、①支持杭と②摩擦杭に分けられます。
  ① 支持杭では先端を支持層に到達させ、主として杭の先端に上向きに働く先端支持力によって荷重を支えます。
  ②摩擦杭では先端を支持層まで到達させず、主として杭の側面と地盤との間に働く周面摩擦力によって荷重を支えます。摩擦杭は、支持層がかなり深い場合に採用されることが多い。

 そこで、設問の、支持杭は、杭の先端を安定した支持層に到達させ、主に杭先端の支持力によって上部荷重を支えるものであるは、適切です。




 なお、
 


2 防火地域内にある階数が2で延べ面積が500 m2 の共同住宅は、耐火建築物としなければならない。

〇 正しい。 防火地域内にある階数が3階以上、または延べ面積が100 m2以上なら、共同住宅は、耐火建築物としなければならない。

  平成24年 マンション管理士試験 「問20」 、  平成19年 マンション管理士試験 「問21」

  こんどは、建築基準法という「法律」からの主題ですから、「適正か」ではなく「正しいか」で解答します。

 防火地域内にある建築物は、建築基準法第61条
 「(防火地域内の建築物)
  第六十一条 
防火地域内においては、階数が三以上であり、又は延べ面積が百平方メートルを超える建築物は耐火建築物とし、その他の建築物は耐火建築物又は準耐火建築物としなければならない。ただし、次の各号の一に該当するものは、この限りでない。
   一 延べ面積が五十平方メートル以内の平家建の附属建築物で、外壁及び軒裏が防火構造のもの
   二 卸売市場の上家又は機械製作工場で主要構造部が不燃材料で造られたものその他これらに類する構造でこれらと同等以上に火災の発生のおそれの少ない用途に供するもの
   三 高さ二メートルを超える門又は塀で不燃材料で造り、又は覆われたもの
   四 高さ二メートル以下の門又は塀

 とあり、
 適用の例外はありますが、建築基準法第61条によれば、防火地域内にある階数が2で延べ面積が500 m2 の共同住宅は、階数に関係なく延べ面積が100㎡を超えていますから、耐火建築物としなければならないは、正しい。




 なお、準防火地域内にある建築なら、建築基準法第62条があります。

 


3 建築基準法上の主要構造部とは、建築物の自重若しくは積載荷重、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるものをいう。

X 誤っている。 建築基準法上の主要構造部とは、壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない部分を除いている。
 平成25年 管理業務主任者試験 「問17」 、

 建築基準法第2条(用語の定義)5号によれば、
  「五 
主要構造部 壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、付け柱、揚げ床、最下階の床、回り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとする。
 とあり、
 建築基準法上の主要構造部とは、建築物の自重若しくは積載荷重、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるものをいうは、誤っています。

 主要構造部とは、 壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、付け柱、揚げ床、最下階の床、回り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くもの、です。

 

 また、最下階の床などは、主要構造部から除かれています。
 なお、建築における主要構造部の定義は、防火の観点からされたものです。「
構造耐力上主要な部分」との違いは、明確に理解しておくこと。

  参考:構造耐力上主要な部分(建築基準法施行令第1条3号)
 「三  構造耐力上主要な部分 基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するものをいう。)、床版、屋根版又は横架材(はり、けたその他これらに類するものをいう。)で、建築物の自重若しくは積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるものをいう。 」


 


4 耐震改修工法には、柱のじん性(粘り強さ)を向上させることを目的として、柱に鋼板を巻きつけて補強する工法もある。

〇 適切である。 耐震改修工法には、柱のじん性(粘り強さ)を向上させることを目的として、柱に鋼板を巻きつけて補強する工法もある。

  平成28年 マンション管理士試験 「問40」 、  平成25年 マンション管理士試験 「問41」 、 平成22年 管理業務主任者試験 「問26」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問41」 、 平成19年 マンション管理士試験 「問40」 、平成17年 マンション管理士試験 「41」 、 

 地震大国、日本では、地震対策は、必須事項です。淡路・阪神大震災や、2011年に起きた東日本大震災など地震による被害は甚大です。耐震診断の結果、耐震性能が足りない(構造耐震指標Is 値が0.6未満)となると震度が6程度で建物が崩壊する危険性もありますので、耐震改修工事をして、少しでも被害を防ぎましょう。

  耐震補強としては、壁やブレースの増設、柱、梁の補強をする策もあります。また、壁と柱が繋がっていて横方向の地震力が集中して、柱が破壊される例が報告されています。
 これを防ぐために、柱と壁の間に隙間・切れ目(スリット)を設けて耐震性能を上げる工法もあります。

 ピロティ形式の柱などは、地震によって、せん断される危険性が強いので、じん性(粘り強さ)を増す必要があります。そこで、柱に鋼板を巻いたり、炭素(カーボン)シート(繊維)を巻いて柱を補強しますから、耐震改修工法には、柱のじん性(粘り強さ)を向上させることを目的として、柱に鋼板を巻きつけて補強する工法もあるは、適切です。


  


答え:3

 過去問題をやっていれば、易しい。 サービス問題。

 なお、「建築基準法の解説」 も、「マンション管理士 香川事務所」 がしていますので、ご利用ください。

《タグ》構造 支持杭 建築基準法 防火地域内の建築物 主要構造部 耐震改修 柱に鋼板を巻きつけて補強する工法

問41

〔問 41〕 マンションの共用部分のバリアフリー設計に関する次の記述のうち、住宅の品質確保の促進等に関する法律(平成11 年法律第81号)に基づく住宅性能表示制度における高齢者等配慮対策等級の等級5の基準に適合しないものはどれか。

1 共用階段の両側に、踏面の先端からの高さが800 mm の手すりを設けた。

〇 適合する。 共用階段の手すりで、等級5は、両側にかつ、踏面の先端からの高さが 700mm から 900mm の位置に設 けられていること。
  平成28年 マンション管理士試験 「問41」 平成28年 管理業務主任者試験 「問24」、、平成28年 管理業務主任者試験 「問44」 

 まず、日本住宅性能表示基準は、住宅の品質確保の促進等に関する法律第3条以下に規定されています。
 「(日本住宅性能表示基準)
 第三条  国土交通大臣及び内閣総理大臣は、住宅の性能に関する表示の適正化を図るため、
日本住宅性能表示基準を定めなければならない
 (以下、略)」
 です。
 これを受け、住宅流通の円滑化と合理化を図る 
「住宅性能表示制度」 ができています。
 その住宅性能表示制度の概要は、
  ・新築住宅と既存住宅(中古住宅)の両方に適用することができる
  ・共通基準には、構造、防火、劣化軽減、維持管理・更新への配慮、温熱環境・エネルギー消費量、空気環境、光・視環境、音環境、
高齢者等への配慮、防犯 の10分野がある
  ・国に登録された第三者機関が共通の表示基準で評価して住宅性能を評価書として表示する
  ・評価書の内容は契約書に添付できる
  ・事後にトラブルが発生しても円滑で迅速な紛争処理を行える 
 です。
  なお、等級では「5など」(4や3が最高もある)が一番よくて、→ 1、又は 0 と性能が落ちます。
 住宅性能表示制度における性能表示事項(必須/選択項目の範囲)は、見直されていますので注意してください。(平成27年4月1日施行)

 そこで、住宅性能表示制度における高齢者への配慮については、マンションでは、専用部分と共用部分で規定され、共用部分での、
高齢者等配慮対策等級は、共同住宅の主に建物出入口から住戸の玄関までの間における高齢者等への配慮のために必要な対策の程度を表示します(等級5〜1)
  

  等級は、移動時の安全性に配慮した処置の程度と介助の容易性に配慮した処置の程度の組み合わせて判断されます。
  専用部分では、介助式車いすを用いる居住者を想定しているのに対し、
共用部分では介助者の助力を得ながらも自走式車いすを用いる居住者を想定しています。

  そして、階段の手摺は、建築基準法で設置が義務付けされていますので、少なくとも片側に手摺が必要です。また、階段の両端に設けることで、更に安全性を向上させることも望まれます。
 また、階段手摺の設置位置は、降りる場合の利き手側に設けることが基本です。

  具体的には、高齢者等配慮対策等級の等級5の基準(共用部分)なら、
 「
階段 :両側に、かつ、踏面の先端からの高さが 700mm から 900mm の位置に設 けられていること
 ですから、共用階段の両側に、踏面の先端からの高さが800 mm の手すりを設けたは、適合してます。



2 エレベーターホールに、直径が1,200 mmの円形が収まる広さの空間を確保した。

X 適合しない。 エレベーターホールなら、一辺を 1,500mm とする正方形の空間を確保できるものであること。直径が1,200 mmの円形の空間では、適合しない。


  高齢者等配慮対策等級の等級5の基準(共用部分)で、
  「エレベーター及びエレベーターホールが、次に掲げる基準に適合していること。
   (ⅰ) エレベーターの出入口の有効な幅員が 800mm 以上であること。
   (ⅱ) エレベーターのかごの奥行きが内法寸法で 1,350mm 以上であること。
  
(ⅲ) エレベーターホールに一辺を 1,500mm とする正方形の空間を確保できるものであ ること。
 ですから、
 (ⅲ) によれば、エレベーターホールに一辺を 1,500mm とする正方形の空間を確保できるものであることであるため、エレベーターホールに、直径が1,200 mmの円形が収まる広さの空間を確保したは、適合しません。


3 エレベーター出入口の有効な幅員を800 mm とした。

〇 適合する。 エレベーター出入口の有効な幅員は、800 mm以上であればいい。

 選択肢2で引用しました、高齢者等配慮対策等級の等級5の基準(共用部分)で、
 「エレベーター及びエレベーターホールが、次に掲げる基準に適合していること。
  
(ⅰ) エレベーターの出入口の有効な幅員が 800mm 以上であること。
 とありますから、
 (ⅰ) によれば、エレベーター出入口の有効な幅員を800 mm としたは、適合します。



4 エレベーターから建物出入口に至る共用廊下の幅員を1,400 mm とした。

〇 適合する。 エレベーターから建物出入口に至る共用廊下の幅員は、1,400 mm 以上であればいい。


 高齢者等配慮対策等級の等級5の基準(共用部分)で、
 「
共用廊下の幅員:評価対象住戸からエレベーターを経て建物出入口に至る少なくとも一の経路上に存する 共用廊下の幅員が、1,400mm 以上であること。」
 とりますから、
 エレベーターから建物出入口に至る共用廊下の幅員を1,400 mm としたは、適合します。



答え:2

  実に、細かな箇所からの出題で、難しい。
  知る訳のない、高さや幅員の数字問題で、マンション管理士試験として、必要とは思えない。不適切な出題だ。
  このあたりの数字は、何か基準となる合理的な数字を理解していないと、違いが分からない。
 
《タグ》住宅の品質確保の促進等に関する法律 住宅性能表示制度 高齢者等配慮対策等級の等級5 共用階段の手すりの高さ エレベーターホールの空間 エレベーター出入口の幅員 エレベーターからの出入り口の幅員

問42

〔問 42〕 マンションの建物に使用される建築材料に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 コンクリートは、調合の際に水セメント比を小さくすると強度が増すが、練り混ぜや打ち込みなどの作業性は低くなる。

〇 適切である。 コンクリートは、調合の際に水セメント比を小さくすると強度が増すが、練り混ぜや打ち込みなどの作業性は低くなる。
  平成17年 マンション管理士試験 「問36」 、 平成15年 マンション管理士試験 「問41」 、
 
 水セメント比とは、懐かしい出題。

 セメントに対する水の重量比(水g ÷ セメントg x 100 %)を水セメント比(W/C)と言いいますが、この水セメント比を小さくする、すなわち水(W)を少なくすれば、コンクリート(C)の強度は増しますが、硬くなり、練り混ぜや打ち込み作業(ワーカビリティ)は行いにくくなりますから、コンクリートは、調合の際に水セメント比を小さくすると強度が増すが、練り混ぜや打ち込みなどの作業性は低くなるは、適切です。
また、水量が多くなると強度は低下します。(注:水セメント比は、重量比です。容積比ではありません。)

  スランプ試験をして、水/セメント比を計ります。



2 セラミックタイルは、うわぐすりの有無により「施ゆうタイル」と「無ゆうタイル」に分類されるが、「無ゆうタイル」は、吸水率が高いので、外壁用のタイルには用いられない。

X 適切でない。 無ゆうタイルも吸水率が低く、外壁用のタイルに用いられる。
  陶磁器タイルは、平成24年 管理業務主任者試験 「問23」 、これは、難問だった。

 セラミックタイルとは、粘土や石材を焼き固めた陶磁器製のタイルです。
 天然石よりも吸水率は低く、非常に光沢があり、汚れや傷も付きにくいので、主に台所や浴室など水回りで使用されています。 最近は、技術の進歩で、薄く、大きく、また、印刷も出来るようになり、壁や床材としてその使用範囲が広がっています。
 欠点としては、表面が滑らかなため、滑りやすいことと、汚れがつくと取りにくいことです。
 また、「施釉(せゆう)タイル」と「無釉(むゆう)タイル」とは、タイルの表面に釉薬(うわぐすり)が施されているものを「施釉タイル」、釉薬の施されていないものを「無釉タイル」といいます。
 無釉タイルであっても、高強度で吸水率が低く、耐候性・耐久性に優れているので、外壁用のタイルに使用されますから、「無ゆうタイル」は、吸水率が高いので、外壁用のタイルには用いられないは、適切ではありません。


  


3 合板は、木材から切削した単板3枚以上を、主としてその繊維方向を互いにほぼ直角にして、接着したものである。

〇 適切である。 合板は、木材から切削した単板3枚以上を、主としてその繊維方向を互いにほぼ直角にして、接着したものである。

 合板(ベニア)とは...薄い板を3枚またはそれ以上の奇数枚、木目(繊維)が直交するように重ねて接着剤で張り合わせたものです。木目を互いに直角にするのは、そりを防いでいいます。
 合板は、木材から切削した単板3枚以上を、主としてその繊維方向を互いにほぼ直角にして、接着したものであるは、適切です。





4 アスファルトルーフィングは、有機天然繊維を主原料とした原紙に、アスファルトを浸透、被覆し、表裏面に鉱物質粉末を付着させたものである。

〇 適切である。 アスファルトルーフィングは、有機天然繊維を主原料とした原紙に、アスファルトを浸透、被覆し、表裏面に鉱物質粉末を付着させたものである。

 アスファルトルーフィング(英語:asphalt roofing、tar paper)は、板紙にアスファルトをしみこませた建築用の防水材料です。
 主にビルの屋上や家屋の屋根、壁に敷いて、雨水が屋内に進入するのを防ぐために用います。
 アスファルトルーフィングは、有機天然繊維を主原料とした原紙に、アスファルトを浸透、被覆し、表裏面に鉱物質粉末を付着させたものであるは、適切です。







答え:2

 選択肢2 の無釉は、誤魔かされるか?

《タグ》建築材料 コンクリート 水セメント比 セラミックタイル 無釉タイル 施釉タイル 合板(ベニア) アスファルトルーフィング

問43

〔問 43〕 マンションの給水設備に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 高置水槽方式の受水槽のオーバーフロー管を、オーバーフロー管の管径より太い径の排水管でトラップを有するものに直結させた。

X 適切でない。 受水槽のオーバーフロー管と排水管を直結させてはいけない。逆流の恐れがある。
  平成28年 マンション管理士試験 「問43」 、 平成27年 マンション管理士試験 「問44」 、平成27年 管理業務主任者試験 「問20」 、 平成26年 マンション管理士試験 「問44」 、平成21年 管理業務主任者試験 「問25」 、平成18年 マンション管理士試験 「問44」、 平成16年 管理業務主任者試験 「問23」 など。

  マンションでは、水道の水を一度貯水槽(受水槽、タンク)に溜めてから各室に送る方式がとられていることが多く、そのため、試験でもよく出ます。
  根拠としては、建築基準法施行令129条の2の5(条文は略)によって、設置や構造が細かく規定され、
建設省告示1597号や改正の建設省告示1406号 にも規定されています。
 


  そこで、 建設省告示第1597号 :
 建築物に設ける飲料水の配管設備及び排水のための配管設備を安全上及び衛生上支障のない構造 とするための基準
 昭和 50 年 12 月 20 日 建設省告示第 1597 号)  改正 平成 12 年 5 月 30 日建設省告示第 1406 号

 第 2 排水のための配管設備の構造は、次に定めるところによらなければならない。
 一 排水管
   一
排水管
     イ 掃除口を設ける等保守点検を容易に行うことができる構造とすること。
    
 ロ 次に掲げる管に直接連結しないこと。
       (1) 冷蔵庫、水飲器その他これらに類する機器の排水管
       (2) 滅菌器、消毒器その他これらに類する機器の排水管
       (3) 給水ポンプ、空気調和機その他これらに類する機器の排水管
      
 (4) 給水タンク等の水抜管及びオーバーフロー管
     ハ 雨水排水立て管は、汚水排水管若しくは通気管と兼用し、又はこれらの管に連結しないこと。 」
  とあり、
 この建設省告示第 1597号によれば、受水槽のオーバーフロー管と排水管は、直接連結しないこととなっていますから、高置水槽方式の受水槽のオーバーフロー管を、オーバーフロー管の管径より太い径の排水管でトラップを有するものに直結させたは、適切ではありません。



2 ポンプ直送方式で用いる受水槽に、内部の保守点検のために、有効内径60 cm のマンホールを設けた。

〇 適切である。 受水槽に、内部の保守点検のために、有効内径60 cm のマンホールを設ける。
  平成25年 管理業務主任者試験 「問28」 、 平成23年 マンション管理士試験 「問43」 、 平成23年 マンション管理士試験 「問45」 選択肢4、  平成15年 マンション管理士試験 「問45」 、

 これも、選択肢1で引用しました、  昭和50年建設省告示第1597号
 「2. 給水タンク及び貯水タンク
   イ. 建築物の内部、屋上又は下階の床下に設ける場合においては、次に定める ところによること。
     (4)
内部の保守点検を容易かつ安全に行うことができる位置に、次に定める構造としたマンホールを設けること。ただし、給水タンク等の天井がふたを 兼ねる場合においては、この限りでない。
       (い)内部が常時加圧される構造の給水タンク等(以下「圧力タンク等」とい う。)に設ける場合を除き、ほこりその他衛生上有害なものが入らないよ うに有効に立ち上げること。
       (ろ)
直径60 センチメートル以上の円が内接することができるものとすること。 ただし、外部から内部の保守点検を容易かつ安全に行うことができる 小規模な給水タンク等にあっては、この限りでない。」
 とあり、
  建設省告示第1597号によれば、ポンプ直送方式で用いる受水槽に、内部の保守点検のために、有効内径60 cm のマンホールを設けたは、適切です。



3 専有部分に設置する給水管として、耐衝撃性及び耐食性の高い水道用架橋ポリエチレン管を用いた。

〇 適切である。 水道用架橋ポリエチレン管は、耐衝撃性及び耐食性が高い。
 平成29年 マンション管理士試験 「問43」 、平成26年 マンション管理士試験 「問43」 、平成25年 マンション管理士試験 「問45」 、 平成22年マンション管理士試験 「問43」、 平成22年管理業務主任者試験 「問24」 、 平成17年 マンション管理士試験 「問44」

  架橋ポリエチレン管とは、熱可塑性プラスチックとしての鎖状構造ポリエチレンの分子どうしのところどころを結合させ、立体の網目構造にした超高分子量ポリエチレンをいいます。従って、架橋反応が終了した時点で、ポリエチレンはあたかも熱硬化性樹脂のような立体網目構造となり、酸やアルカリからの耐食性、水道水の塩素にも強く、耐熱性(最高使用温度95°まで)、クリープ性能(プラスチックが時間によって変形する現象)とも向上するのです。
 「通常のポリエチレン」の分子構造は図-1の様に、線状に並んでいます。この「通常のポリエチレン」分子を特殊な化学結合で結び(分子間に橋を架けて補強する=架橋)、図-2の様に網目状にしたのが「架橋ポリエチレン」です


 架橋ポリエチレン管は、優れた耐食性・耐塩素水性・耐寒性・耐熱性があり、一般の給水配管から給湯配管や床暖房の温水配管などの、配管に使用できる配管材料です。
 ヘッダー配管と共に最近の住宅の給水・給湯配管に多く用いられています。
使用条件によりますが 一般の給水/給湯用途で、耐用年数は30年以上の実績もあります。

 そこで、設問の、専有部分に設置する給水管として、耐衝撃性及び耐食性の高い水道用架橋ポリエチレン管を用いたは、適切です。


4 20階以上の超高層マンションで、給水圧力が高い場合に、減圧弁の設置等により、専有部分の給水管の給水圧力が300~400 kPaの範囲になるように調整した。

〇 適切である。 超高層マンションで、給水圧力が高い場合は、減圧する。
 平成23年 マンション管理士試験 「問43」 、

  通常、高層建築物において、過大な水圧を避けるために高さ方向に区域を分け(これがゾーニング)て、給水圧力の調整を行います。なお、給水の圧力は、0.3 ~ 0.4 Mpa 以内になるように、一般には、12~13階以上で行うことが多いとのこと(ここは、「マンション 維持修繕技術ハンドブック (社)高層住宅管理業協会 編 オーム社:¥10,000- P.364 にあった。)

 そこで、設問の、20階以上の超高層マンションで、給水圧力が高い場合に、減圧弁の設置等により、専有部分の給水管の給水圧力が300~400 kPaの範囲になるように調整したは、適切です



答え:1

  ここは、過去問題をやっていると、解答は早い。

《タグ》給水設備 受水槽 オーバーフロー管 排水管 マンホール 水道用ポリエチレン管 高層マンションの水圧

問44

〔問 44〕 マンションの排水設備に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 雨水排水ますには、土砂が下水道などに直接流れ込まないよう、泥だまりを設けた。

〇 適切である。 雨水排水ますには、深さ150mm以上の泥だまりを設ける。

  平成23年 マンション管理士試験 「問44」 、なお、排水設備は、平成16年 管理業務主任者試験 「問23」 も参考に。

 排水マスはなぜ必要かというと、建物の中で生じた汚水排水や雑排水、屋根に落ちた雨水排水を行う場合、排水管を通して敷地外へ流す場合、管にゴミや汚泥が流れることにより管が詰まることがあります。その場合、その都度、管を掘り出して交換したり、管内の清掃や点検をすることは事実上困難です。
そこで、そうした管の詰まりが起き易い要所に点検や清掃のためのマスを設置します。マスから管のメンテナンスを行うわけです。また、設置したマスは管を通過するゴミや汚泥を沈殿、分離させ、これらを定期的に清掃する事で、管の中の詰まりを防ぐ役割を持っています。


 

 設問の、雨水排水ますには、土砂が下水道などに直接流れ込まないよう、泥だまりを設けたは、適切です。
 また、汚水排水用の汚物が滞留しない汚水マス(インバートます)もあります。



2 台所流しに接続する排水トラップの深さ(封水深)を150 mm とした。

 適切でない。 排水トラップの深さ(封水深)は、50mm以上~100mm以下のこと。150mmまではいらない。
 平成23年 マンション管理士試験 「問44」 、平成18年マンション管理士試験 「問44」 


  トラップ(Trap=わな)とは、排水管や下水道からの悪臭、有毒ガス、虫などが室内に侵入するのを防ぐためのもので、具体的には、洗面器など衛生器具の排水管の途中や排水系統に設けられ、水がたまった部分のことです。トラップの種類としては、サイホン式と非サイホン式に大別できます。
 サイホン式トラップとは、排水管をS字型(Sトラップ)やU字型(Uトラップ)などに形成し、排水が満水状態で通過するときのサイホン作用を利用し水封部分の固形物を排出しますが、自己サイホン作用によって、破封(封水が破られる)しやすい欠点もあります。


  「問43」 でも引用しました、 
 「建築物に設ける飲料水の配管設備及び排水のための配管設備の構造方法を定める件」昭和50年12月20日:建設省告示第1597号(最終改正:平成12年5月30日:建設省告示第1406号)の排水編
  「三 
排水トラツプ
     イ 雨水排水管(雨水排水立て管を除く。)を汚水排水のための配管設備に連結する場合においては、当該雨水排水管に排水トラツプを設けること。
     ロ 二重トラツプとならないように設けること。
     ハ 排水管内の臭気、衛生害虫等の移動を有効に防止することができる構造とすること。
     ニ 汚水に含まれる汚物等が付着し、又は沈澱しない構造とすること。ただし、阻集器を兼ねる排水トラツプについては、この限りでない。
     
ホ 封水深は、五センチメートル以上十センチメートル以下(阻集器を兼ねる排水トラツプについては五センチメートル以上)とすること。
     ヘ 容易に掃除ができる構造とすること。」
 とあり、
 建設省告示第1597号によれば、排水トラップの深さ(封水深)は、50mm以上100mm以下と決められていますから、台所流しに接続する排水トラップの深さ(封水深)を150 mm としたは、適切ではありません。排水トラップの深さは、50mm以上100mm以下です。





3 マンションの建物内の排水方式として、汚水と雑排水を同一の排水系統で排出させる合流式を採用した。

〇 適切である。 合流式もある。
  平成27年 マンション管理士試験 「問44」 、 平成26年 マンション管理士試験 「問44」 、 平成25年 マンション管理士試験 「問43」 平成16年 管理業務主任者試験 「問23」、 平成14年 マンション管理士試験 「問44」、 平成13年 マンション管理士試験 「問38」

 まず、マンションの排水は、①汚水(トイレ汚水)、②雑排水(台所、風呂、洗面所)、③雨水の3系統に分けられます。
 そして、マンションの排水方式は、2種類があり、
 ①合流式...汚水と雑排水を同一の排水管で排水する方式
 ②分流式...汚水と雑排水を別系統の排水管で排水する方式
 といいます。
そこで、マンションの建物内の排水方式として、汚水と雑排水を同一の排水系統で排出させる合流式を採用したは、適切です。

 一方、マンション(家庭)からの排水を受ける公共下水道での分流式とは、家庭からの汚水と雑排水を汚水管に受け、雨水を雨水管に受ける方式で、下水道の合流式とは、マンション(家庭)からの汚水も雑排水も雨水もすべてを1つの管で受ける方式です。区別しておいてください。





4 敷地内に設置する排水横主管の管径が150 mmの場合に、円滑に排水を流すために、勾配を200分の1以上とした。

〇 適切である。 管径が150mmなら、勾配は、200分の1以上のこと。

  平成28年 マンション管理士試験 「問44」、  平成24年 マンション管理士試験 「問44」 、 平成18年 マンション管理士試験 「問44」 

 排水管の径と勾配の関係は、勾配が緩やかだと排水がよどみ、急すぎると固形物が十分に流れないこともあります。
 
 

 管径と勾配の関係は、以下のようになります。

排水横主管径(mm) 最小勾配
65以下 1/50
75、100 1/100
125 1/150
150以上 1/200

 そこで、設問の、敷地内に設置する排水横主管の管径が150 mmの場合に、円滑に排水を流すために、勾配を200分の1以上としたは、適切です。


答え:2


  ここも、過去問題をやっていれば、選択肢2 を選ぶのは早い。

《タグ》排水設備 雨水排水枡 トラップの深さ 合流式  排水横管と勾配

問45

〔問 45〕 マンションの設備に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 既存マンションのインターネットへの接続の方法として、光ファイバーを住棟内へ引き込み、各住戸までは既存の電話回線を利用してVDSL方式により接続する方法がある。

〇 適切である。 電話回線を使用するVDSL方式もある。

 マンションのインターネット接続には、光ファイバーを利用し、既存の電話回線(銅線)を使うVDSL(Very high bit rate Digital Subscriber Line)方式、構内LAN(Local Area Network)を使う構内LAN方式、またケーブルテレビを使う方式、さらに無線を使った方式などがあります。
 そこで、既存マンションのインターネットへの接続の方法として、光ファイバーを住棟内へ引き込み、各住戸までは既存の電話回線を利用してVDSL方式により接続する方法があるは、適切です。

 高速の転送速度がある光ファイバーは、曲げに弱いので、屋内は電話回線等を使用して VDSL で結ぶ方式が用いられます。


  


2 高さ20mを超えるマンションに設置する避雷設備を、受雷部システム、引下げ導線システム及び接地システムからなるシステムに適合する構造とした。

〇 適切である。 20mを超えると避雷設備が必要で、受雷部システム、引下げ導線システム及び接地システムからなる。
  平成27年 マンション管理士試験 「問20」 、   平成22年 マンション管理士試験 「問20」 選択肢1   平成20年 管理業務主任者試験 「問21」 、 平成18年 マンション管理士試験 「問21」  平成16年 管理業務主任者 試験 「問25」,、
 
 高さが20mを超える建築物は、建築基準法第33条
 「(避雷設備)
  第三十三条  
高さ二十メートルをこえる建築物には、有効に避雷設備を設けなければならない。ただし、周囲の状況によつて安全上支障がない場合においては、この限りでない。 」 
 とあり、
 建築物の高さが、20mを超えると、避雷設備の設置が必要となります。


 

 その避雷設備の構造は、建築基準法施行令第129条の15
 「(構造)
  第百二十九条の十五 前条の避雷設備の構造は、次に掲げる基準に適合するものとしなければならない。
   一 雷撃によつて生ずる電流を建築物に被害を及ぼすことなく安全に地中に流すことができるものとして、
国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものであること。
   二 避雷設備の雨水等により腐食のおそれのある部分にあつては、腐食しにくい材料を用いるか、又は有効な腐食防止のための措置を講じたものであること。

 とあり、
 建築基準法施行令第129条の15 1項の「国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたもの」は、
 国交省告示第650号(平成17年) 
 「雷撃によって生ずる電流を建築物に被害を及ぼすことなく安全に地中に流すことができる避雷設備の構造方法を定める件」
 建築基準法施行令(昭和25 年政令第338 号)第129 条の15 第1 号の規定に基づき、平成12 年建設省告示第1425 号の一部を次のように改正する。
「日本工業規格A4201(建築物等の避雷設備(避雷針))-1992」を「
日本工業規格A4201(建築物等の雷保護)-2003 に規定する外部雷保護システム」に改める。」
 とあり
 日本工業規格A4201(建築物等の雷保護)-2003
  によると、避雷設備は、大きく分けると
 1.受雷部システム
 2.引下げ導線システム
 3.接地システム
 からなるので、高さ20mを超えるマンションに設置する避雷設備を、受雷部システム、引下げ導線システム及び接地システムからなるシステムに適合する構造としたは、適切です。



3 自然冷媒ヒートポンプ式給湯器は、二酸化炭素の冷媒を圧縮し高熱にして熱源としており、加熱効率が高い。

〇 適切である。 自然冷媒ヒートポンプ式給湯器は、二酸化炭素の冷媒を圧縮し高熱にして熱源としており、加熱効率が高い。
  平成22年 マンション管理士試験 「問44」 、 平成18年 マンション管理士試験 「問45」 

 自然冷媒とは、従来のフロン冷媒に対し自然界にある物質中、冷媒として使うことのできる物質の総称です。エコキュートの場合、二酸化炭素(CO2)を使用しております。
 ヒートポンプとは、熱を運ぶ媒体である冷媒に温度の低い熱を吸収させて、
圧縮機で圧縮することで高温度の熱を得ることを言います。熱を低温側から高温側にくみ上げる装置です。エコキュートでは、屋外の大気熱を吸収してお湯を沸かしますので、エアコンの冬の暖房と同じような状態で運転していることになります。自然冷媒ヒートポンプ式(低温側から高温側に熱を移し熱温を取り出す)の給湯器は、加熱効率も高く省エネと経済性に優れています。

  ヒートポンプでは、効率的に空気の熱を受け取り、水に伝える媒体「冷媒」が必要となります。
 例えばお湯を作ることを考えてみましょう。冬の水道水の温度は10℃くらいですが、これを65℃くらいまで温めてタンクに貯めておき、水とまぜて適当な温度にして使うとすると、55℃も加熱しないといけないことになりますよね。これだけのパワーをもっていて、しかも熱交換器を小さくできるなど、使いやすい気体(冷媒)は何か?
冷媒として代表的なものが「フロン」と呼ばれる人工の気体ですが、エコキュートは「二酸化炭素」を冷媒として使用しています。自然界に存在する二酸化炭素は冷媒としての効率が優れているだけでなく、フロンのようにオゾン層を破壊することもないため、地球環境にとってやさしいというメリットがあるのです。




 という訳で、設問の、自然冷媒ヒートポンプ式給湯器は、二酸化炭素の冷媒を圧縮し高熱にして熱源としており、加熱効率が高いは、適切です。


4 LED照明は、白熱灯や蛍光灯とは発光原理が異なり、電源部からの発熱はあるが、LED 単体からの発熱はない。

X 適切でない。 LED照明でも、少しは、発熱する。
  平成29年 管理業務主任者試験 「問24」 

  遅ればせながら、マンション管理士試験でも、LED照明が取り上げられるか。

 LEDランプとは、発光ダイオード(LED = Light Emitting Diode)を使用した照明器具です。LEDを使用しているため、低消費電力で長寿命といった特徴があります。
 LEDでは、白色を出すためには、2色以上の光を混ぜる必要があり、
  ①青色LEDにより、黄色蛍光体を光らせる
  ②光の3原色のLED(赤色・緑色・青色)を組み合わせる
  ③近紫外線または紫色LEDにより、赤色・緑色・青色の蛍光体を光らせる
 の3方式があります。



 そこで、設問の、LED照明は、白熱灯や蛍光灯とは発光原理が異なりは、適切ですが、電源部からの発熱はあるが、LED 単体からの発熱はないは、蛍光灯ほどではありませんが、LED単体からの発熱は、ありますから、適切ではありません。電源部も熱くなります。

 大体、エネルギーが動くと、少なくとも熱量はでるでしょう。


答え:4

 選択肢2 の避雷設備は、JIS規格まで調べたので、時間がかかった。
 解答としては、選択肢4 を選ぶのは、易しい。
 なお、避雷設備については、別途 「マンション管理士 香川事務所」が無料で提供しています、 「要約 建築基準法」  もありますから、参考にしてください。

《タグ》設備 インターネット VDSL方式  建築基準法 避雷設備 自然冷媒ヒートポンプ式給湯器 LEDランプ

問46


 *注:問46から問50までは、マンション管理士試験か管理業務主任者試験の合格者には免除される部分です。また、この問46から問50は、「マンション管理適正化法」と同指針からの出題と決まっていますので、出題は似たような内容となります。過去問題はやっておくと楽です。

 *マンションの管理の適正化に関する指針(国土交通省告示第490号)は、平成28年3月に改正があったので、注意のこと。

 *勉強の仕方としては、「マンション管理適正化法」と「同施行規則」は、連動して作成されているので、「マンション管理適正化法」と「同施行規則」が左右で対照になったものがあると分かり易い。


〔問 46〕 次の記述は、マンション管理適正化法において定められている、マンション管理業者が新たに管理事務の委託を受ける場合に関係する条文を抜粋したものである。空白となっているA ~ D に下欄のア~クの語句を選んで文章を完成させた場合において、正しい組合せは、1~4のうちどれか。なお、語句の定義については、同法第2条の規定によるものとする(以下、問50 まで同じ。)。

マンション管理業者は、管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする契約を締結しようとするときは、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより説明会を開催し、当該管理組合を構成するマンションの [A] 及び当該管理組合の管理者等に対し、 [B] をして、管理受託契約の内容及びその履行に関する事項であって国土交通省令で定めるもの(以下「重要事項」という。)について説明をさせなければならない。この場合において、マンション管理業者は、当該説明会の日の [C] までに、当該管理組合を構成するマンションの[A]及び当該管理組合の管理者等の全員に対し、重要事項並びに説明会の日時及び場所を記載した書面を [D]  しなければならない。

 [語 句] ア 管理業務主任者  イ 二週間前  ウ 掲示 エ マンション管理士  オ 区分所有者等  カ 交付  キ 役員  ク 一週間前

[組合せ] 
1 Aはオ、Bはア、Cはイ、Dはカ
2 Aはキ、Bはア、Cはイ、Dはウ
3 Aはオ、Bはア、Cはク、Dはカ
4 Aはキ、Bはエ、Cはク、Dはカ

 
*解説:
 重要事項の説明も定番的な出題。
 平成28年 マンション管理士試験 「問49」 、平成28年 管理業務主任者試験 「問50」 、 平成26年 管理業務主任者試験 「問49」 、 平成24年 管理業務主任者試験 「問47」 、 平成22年 マンション管理士試験 「問49」 、平成20年 管理業務主任者試験 「問49」 、 平成17年 管理業務主任者試験 「問48」 、 平成15年 管理業務主任者試験 「問49」  など。

 法律の条文を的確に記憶させる穴埋め問題とは、新しい出題方法。

 例年、「問46」は、「マンションの管理の適正化に関する指針」から出題があるのに、「指針」は、平成30年の出題では「問49」に変更している。構成を変えた?

 基本となっているのは、マンション管理適正化法第72条
 「(重要事項の説明等)
 第七十二条 マンション管理業者は、管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする契約(新たに建設されたマンションの当該建設工事の完了の日から国土交通省令で定める期間を経過する日までの間に契約期間が満了するものを除く。以下「管理受託契約」という。)を締結しようとするとき(次項に規定するときを除く。)は、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより説明会を開催し、当該管理組合を構成するマンションの 
【A】 区分所有者等 及び当該管理組合の管理者等に対し、 【B】管理業務主任者 をして、管理受託契約の内容及びその履行に関する事項であって国土交通省令で定めるもの(以下「重要事項」という。)について説明をさせなければならない。この場合において、マンション管理業者は、当該説明会の日の 【C】一週間前 までに、当該管理組合を構成するマンションの 【A】 区分所有者等 及び当該管理組合の管理者等の全員に対し、重要事項並びに説明会の日時及び場所を記載した書面を 【D】交付 しなければならない。]
 とあり、
 A=区分所有者等(オ) 、 B=管理業務主任者(ア) 、 C=一週間前(ク) 、D=交付(カ)
 です。 

  そこで、組合せは、3 Aはオ、Bはア、Cはク、Dはカ となります。


答え:3 

  マンション管理適正化法第72条の「重要事項の説明」から、条文のままの穴埋めとは!
  ここまで、条文に沿った出題をするなら、平成30年のマンション管理士試験、「問6」選択肢4 の区分所有法第47条第1項の条文にある「
かつ、その主たる事務所の所在地において」の文言の記載が無いのは、出題ミスだ。

  組合せ問題となると、正解度は低くなる。 少し難しいか。

《タグ》マンション管理適正化法第72条 重要事項の説明

問47

〔問 47〕 マンション管理適正化法の規定によれば、マンション管理業者に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア マンション管理業者は、国土交通省令で定めるところにより、当該マンション管理業者の業務及び財産の状況を記載した書類をその事務所ごとに備え置き、その業務に係る関係者の求めに応じ、これを閲覧させなければならない。

〇 正しい。
  平成28年 管理業務主任者試験 「問47」 、 平成27年 管理業務主任者試験 「問50」 、 平成24年 管理業務主任者試験 「問49」 、 平成23年 管理業務主任者試験 「問49」 、 平成23年 マンション管理士試験 「問49」 、 平成22年 マンション管理士試験 「問49」 など
 
 前問が穴埋め問題で、今度は、個数問題か。

 書類の閲覧は、マンション管理適正化法第79条
 「(書類の閲覧)
 
 第七十九条 マンション管理業者は、国土交通省令で定めるところにより、当該マンション管理業者の業務及び財産の状況を記載した書類をその事務所ごとに備え置き、その業務に係る関係者の求めに応じ、これを閲覧させなければならない。
 とあり、
 マンション管理業者は、国土交通省令で定めるところにより、当該マンション管理業者の業務及び財産の状況を記載した書類をその事務所ごとに備え置き、その業務に係る関係者の求めに応じ、これを閲覧させなければならないは、正しい。



イ マンション管理業者は、自己の名義をもって、他人にマンション管理業を営ませてはならない。

〇 正しい。
  平成27年 マンション管理士試験 「問49」 、 平成26年 マンション管理士試験 「問49」

 マンション管理業者の名義貸しの禁止は、マンション管理適正化法第54条
 「(名義貸しの禁止)
  
第五十四条 マンション管理業者は、自己の名義をもって、他人にマンション管理業を営ませてはならない。
 とあり、
 マンション管理業者は、自己の名義をもって、他人にマンション管理業を営ませてはならないは、正しい。
 なお、罰則:一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する もあります。



ウ マンション管理業者は、管理組合から委託を受けた管理事務のうち基幹事務については、これを一括して他人に委託することができる。

X 誤っている。 基幹事務の一括再委託はできない。
  ここも定番的な出題。 平成28年 マンション管理士試験 「問48」 、 平成27年 管理業務主任者試験 「問50」 平成24年 管理業務主任者試験 「問49」 、 平成23年 マンション管理士試験 「問49」 、 平成23年 管理業務主任者試験 「問48」 、 平成18年 マンション管理士試験 「問50」 、 平成18年 管理業務主任者試験 「問49」 、 平成14年 管理業務主任者試験 「問48」 など。

 再委託の制限は、マンション管理適正化法第74条
 「(再委託の制限)
 
第七十四条 マンション管理業者は、管理組合から委託を受けた管理事務のうち基幹事務については、これを一括して他人に委託してはならない。
 とあり、
 マンション管理適正化法第74条1項によれば、基幹事務については、これを一括して他人に委託してはならないため、これを一括して他人に委託することができるは、誤りです。
 なお、一括でなく、一部の再委託はできますから、注意の事。
 ここも罰則:国土交通大臣は、マンション管理業者に対し、一年以内の期間を定めて、その業務の全部又は一部の停止を命ずることができる があります。



エ マンション管理業者は、管理組合から委託を受けて管理する修繕積立金その他国土交通省令で定める財産については、整然と管理する方法として国土交通省令で定める方法により、自己の固有財産及び他の管理組合の財産と分別して管理しなければならない。

〇 正しい。
  平成24年 マンション管理士試験 「問48」 、 平成24年 管理業務主任者試験 「問48」 

 まず、マンション管理において、管理業者が、区分所有者からの口座引き落としで入ってくる管理費や修繕積立金を自社名義の口座に纏めていれていたので、その業者が倒産した時に、銀行口座にある預金が倒産した業者としての預金か、管理組合の預金かの区別ができずに差し押さえられ、管理組合が裁判で、預金の取り戻しを請求しなけばならない事態がかなり発生しました。これを受け、マンション管理適正化法第76条の規定があります。

 そこで、マンション管理適正化法第76条
 「(財産の分別管理)
 
第七十六条 マンション管理業者は、管理組合から委託を受けて管理する修繕積立金その他国土交通省令で定める財産については、整然と管理する方法として国土交通省令で定める方法により、自己の固有財産及び他の管理組合の財産と分別して管理しなければならない。
 とあり、
 マンション管理業者は、管理組合から委託を受けて管理する修繕積立金その他国土交通省令で定める財産については、整然と管理する方法として国土交通省令で定める方法により、自己の固有財産及び他の管理組合の財産と分別して管理しなければならないは、正しい。



1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ

答え: 3 正しいのは、 ア、イ、エ の3つ

 個数問題だけど、難しくはない。

《タグ》マンション管理適正化法 管理業者 第79条書類の閲覧 第54条名義貸しの禁止 第74条再委託の制限 第76条財産の分別管理

問48

〔問 48〕 マンション管理適正化法の規定によれば、マンション管理士に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア マンション管理士でない者は、マンション管理士又はこれに紛らわしい名称を使用してはならない。

〇 正しい。
  平成29年 マンション管理士試験 「問47」 、平成28年 マンション管理士試験 「47」 、 平成15年 管理業務主任者試験 「問46」 、 平成14年 マンション管理士試験 「問46」

 また、個数問題とは、不適切な出題方法だ。

 マンション管理士という名称は、勝手には使用できません。
 それが、マンション管理適正化法第43条
 「(名称の使用制限)
 
第四十三条 マンション管理士でない者は、マンション管理士又はこれに紛らわしい名称を使用してはならない。
 とあり、
 マンション管理士でない者は、マンション管理士又はこれに紛らわしい名称を使用してはならないは、正しい。

  なお、罰則:三十万円以下の罰金 もありますよ。



イ マンション管理士は、マンション管理士登録簿に登載された事項に変更があったときは、遅滞なく、その旨を国土交通大臣(指定登録機関が登録の実務に関する事務を行う場合は指定登録機関)に届け出なければならない。

〇 正しい。
  平成26年 マンション管理士試験 「問48」 、 平成23年マンション管理士試験 「問47」、 平成15年管理業務主任者試験 [問46」

 まず、マンション管理士登録簿に登載された事項の変更は、マンション管理適正化法第32条
 「(登録事項の変更の届出等)
 第三十二条 
マンション管理士は、第三十条第二項に規定する事項に変更があったときは、遅滞なく、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない
 2 マンション管理士は、前項の規定による届出をするときは、当該届出に登録証を添えて提出し、その訂正を受けなければならない。

 とあり、
 どんな項目が登録されているかは、マンション管理適正化法第三十条
 「(登録)
  第三十条 マンション管理士となる資格を有する者は、国土交通大臣の登録を受けることができる。ただし、次の各号のいずれかに該当する者については、この限りでない。
     一 成年被後見人又は被保佐人
     二 禁錮こ 以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
     三 この法律の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
     四 第三十三条第一項第二号又は第二項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者
     五 第六十五条第一項第二号から第四号まで又は同条第二項第二号若しくは第三号のいずれかに該当することにより第五十九条第一項の登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者
     六 第八十三条第二号又は第三号に該当することによりマンション管理業者の登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者(当該登録を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しの日前三十日以内にその法人の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう。第三章において同じ。)であった者で当該取消しの日から二年を経過しないもの)
 
2 前項の登録は、国土交通大臣が、マンション管理士登録簿に、氏名、生年月日その他国土交通省令で定める事項を登載してするものとする。
 とあり、
 マンション管理士は、マンション管理士登録簿に登載された事項に変更があったときは、遅滞なく、その旨を国土交通大臣(指定登録機関が登録の実務に関する事務を行う場合は指定登録機関)に届け出なければならないは、正しい。



ウ マンション管理士は、5年ごとに、国土交通大臣の登録を受けた者が国土交通省令で定めるところにより行う講習を受けなければならない。

〇 正しい。 面倒だけど、5年ごとに講習を受ける。
 ここも良く出題されている。 平成28年 マンション管理士試験 「問47」 、 平成27年 マンション管理士試験 「問47」 、 平成24年 マンション管理士試験 「問50」 、平成22年 マンション管理士試験 「問46」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問47」 、平成20年 マンション管理士試験 「問48」 、平成18年 マンション管理士試験 「問47」 など。

 マンション管理士となると、面倒なことに、5年ごとに講習(有料です)を受けないといけません。
 それが、マンション管理適正化法第41条
 「(講習)
 
第四十一条  マンション管理士は、国土交通省令で定める期間ごとに、次条から第四十一条の四までの規定により国土交通大臣の登録を受けた者(以下この節において「登録講習機関」という。)が国土交通省令で定めるところにより行う講習(以下この節において「講習」という。)を受けなければならない。
 とあり、
 国土交通省令で定める期間とは、
 マンション管理適正化法の施行規則第41条
 「(法第四十一条 の国土交通省令で定める期間)
 第四十一条  法第四十一条 の国土交通省令で定める期間は、
五年とする。」
 とあり、
 マンション管理士は、5年ごとに、国土交通大臣の登録を受けた者が国土交通省令で定めるところにより行う講習を受けなければならないは、正しい。



エ マンション管理士は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならないが、マンション管理士でなくなった後においては、その限りでない。

X 誤っている。 マンション管理士でなくなっても、秘密保持義務がある。
  平成29年 マンション管理士試験 「問47」 、平成28年 マンション管理士試験 「問47」 、平成27年 マンション管理士試験 「問49」 、 平成24年 マンション管理士試験 「問47」 

 マンション管理士としての秘密保持は、マンション管理適正化法第42条
 「(秘密保持義務)
  
第四十二条 マンション管理士は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。マンション管理士でなくなった後においても、同様とする。
 とあり、
 マンション管理士は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならないし、また、マンション管理士でなくなった後においても、同様とありますから、設問の、マンション管理士でなくなった後においては、その限りでないは、誤りです。

 なお、違反した時は、登録の取り消しや、罰則:一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金 もありますよ。



1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ

答え: 1 誤っているのは、 エ の1つ。

  まあ、基本問題。 個数問題だけど、易しい。

《タグ》マンション管理適正化法 第43条名称の使用制限 第32条登録事項の変更の届出等 第41条講習  第42条秘密保持義務

問49

〔問 49〕 次の記述は、「マンションの管理の適正化に関する指針」(最終改正平成28年3月14 日 国土交通省告示第490 号)において定められている「マンションの管理の適正化の推進のために管理組合が留意すべき基本的事項」に関するものであるが、適切でないものはどれか。

1 管理規約又は使用細則等に違反する行為があった場合、管理組合の管理者等は、その是正のため、必要な勧告、指示等を行うとともに、法令等に則り、その是正又は排除を求める措置をとることが重要である。

〇 適切である。
  平成29年 マンション管理士試験 「問46」 、平成21年 管理業務主任者試験 「問46」 、 平成20年 マンション管理士試験 「問46」 、 平成13年 マンション管理士試験 「問50」 

 例年、「マンションの管理の適正化に関する指針」からなら、「問46」で出題があるのに、平成30年の出題は「問49」に持ってくるとは、構成を変えた?

  出題は、「マンションの管理の適正化に関する指針
 「二 マンションの管理の適正化の推進のために管理組合が留意すべき基本的事項
   2 管理規約
    
管理規約又は使用細則等に違反する行為があった場合、管理組合の管理者等は、その是正のため、必要な勧告、指示等を行うとともに、法令等に則り、その是正又は排除を求める措置をとるとが重要である。」
 とあり、
 適切です。



2 管理組合の管理者等は、マンション管理の目的が達成できるように、法令等を遵守し、マンションの区分所有者等のため、誠実にその職務を執行する必要がある。

〇 適切である。

  「二 マンションの管理の適正化の推進のために管理組合が留意すべき基本的事項
   1 管理組合の運営
    
管理組合の管理者等は、マンション管理の目的が達成できるように、法令等を遵守し、マンションの区分所有者等のため、誠実にその職務を執行する必要がある。」
 とあり、
 適切です。


3 管理規約は、マンション管理の最高自治規範であることから、その作成にあたっては、管理組合は、建物の区分所有等に関する法律に則り、「マンション標準管理規約」を参考として、当該マンションの実態及びマンションの区分所有者等の意向を踏まえ、適切なものを作成し、必要に応じ、その改正を行うことが重要である。

〇 適切である。

 「二 マンションの管理の適正化の推進のために管理組合が留意すべき基本的事項
  2 管理規約
   
管理規約は、マンション管理の最高自治規範であることから、その作成にあたっては、管理組合は、建物の区分所有等に関する法律に則り、「マンション標準管理規約」を参考として、当該マンションの実態及びマンションの区分所有者等の意向を踏まえ、適切なものを作成し、必要に応じ、その改正を行うことが重要である。」
 とあり、
 適切です。



4 管理組合の管理者等は、管理組合の最高意思決定機関である。したがって、管理組合の管理者等は、その意思決定にあたっては、事前に必要な資料を整備し、適切な判断が行われるよう配慮する必要がある。

X 適切でない。 管理組合の最高意思決定機関は、集会である。管理組合の管理者等ではない。

 似たような原文は、
 「二 マンションの管理の適正化の推進のために管理組合が留意すべき基本的事項
  1 管理組合の運営
   
また、集会は、管理組合の最高意思決定機関である。したがって、管理組合の管理者等は、その意思決定にあたっては、事前に必要な資料を整備し、集会において適切な判断が行われるよう配慮する必要がある。」
 とあり、
 管理組合の最高意思決定機関は、集会であるので、管理組合の管理者等は、管理組合の最高意思決定機関であるは、適切では、ありません。後半は、適切です。



答え:4

  まあ、よく読めば分かる。 易しい。

《タグ》マンションの管理の適正化に関する指針 管理者 規約 最高意思決定機関

問50

〔問 50〕 マンション管理適正化法の規定によれば、次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 「マンション管理業」とは、管理組合から委託を受けて管理事務を行うものであり、マンションの区分所有者等が当該マンションについて行うものも含む。

X 誤っている。 マンションの区分所有者等が当該マンションについて行うものは、除く。
  平成30年 管理業務主任者試験 「問47」 、 平成27年 マンション管理士試験 「問46」 、 平成26年 マンション管理士試験 「問47」 、 平成24年 マンション管理士試験 「問46」 、 平成23年 マンション管理士試験 「問48」

  未だに、基本となる定義からも出題があるとは、かなり受験生を軽く見ている!

  「マンション管理業」とは、マンション管理適正化法第2条7号
 「(定義)
 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号の定めるところによる。
  
七  マンション管理業 管理組合から委託を受けて管理事務を行う行為で業として行うもの(マンションの区分所有者等が当該マンションについて行うものを除く。)をいう。
 とあり、
 マンションの区分所有者等が当該マンションについて行うものを除くため、設問の、「マンション管理業」とは、管理組合から委託を受けて管理事務を行うものであり、マンションの区分所有者等が当該マンションについて行うものも含むは、誤りです。
 なお、マンション管理適正化法での解釈として、「業として行う」は、管理組合から委託を受けて管理事務を行う行為を反復継続して行うことで、営利を目的とすることは問いません。



2 「マンション管理業者」とは、国土交通省に備えるマンション管理業者登録簿に登録を受けて、マンション管理業を営む者をいう。

〇 正しい。
  
 「マンション管理業者」とは、マンション管理適正化法第2条8号
 「(定義)
 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号の定めるところによる。
   
八  マンション管理業者 第四十四条の登録を受けてマンション管理業を営む者をいう。
 とあり、
 引用されています、第44条
 「(登録) 
  第四十四条  マンション管理業を営もうとする者は、
国土交通省に備えるマンション管理業者登録簿に登録を受けなければならない
 2  マンション管理業者の登録の有効期間は、五年とする。
 3  前項の有効期間の満了後引き続きマンション管理業を営もうとする者は、更新の登録を受けなければならない。
 4  更新の登録の申請があった場合において、第二項の有効期間の満了の日までにその申請に対する処分がなされないときは、従前の登録は、同項の有効期間の満了後もその処分がなされるまでの間は、なお効力を有する。
 5  前項の場合において、更新の登録がなされたときは、その登録の有効期間は、従前の登録の有効期間の満了の日の翌日から起算するものとする。

 ですから、
  「マンション管理業者」とは、国土交通省に備えるマンション管理業者登録簿に登録を受けて、マンション管理業を営む者をいうは、正しい。



3 「管理組合」は、マンションの管理を行う区分所有法第3条に規定する団体に限られる。

X 誤っている。 他に団地や法人もある。

 「管理組合」は、マンション管理適正化法第2条3号
 「(定義)
 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号の定めるところによる。
   
三  管理組合 マンションの管理を行う区分所有法第三条 若しくは第六十五条 に規定する団体又は区分所有法第四十七条第一項 (区分所有法第六十六条 において準用する場合を含む。)に規定する法人をいう。
 とあり、
 区分所有法第3条に規定する団体(区分所有者の団体)の他、第65条 に規定する団体(団地建物所有者の団体)、そして、区分所有法第47条第1項(管理組合法人)等もありますから、「管理組合」は、マンションの管理を行う区分所有法第3条に規定する団体に限られるは、誤りです。



4 「マンション管理士」とは、国土交通大臣(指定登録機関が登録の実務に関する事務を行う場合は指定登録機関)の登録を受け、マンション管理士の名称を用いて、専門的知識をもって、管理組合の運営その他マンションの管理を行うことを業務とする者をいう。

X 誤っている。 マンション管理士は、管理組合の運営その他マンションの管理を業務としない。

 「マンション管理士」とは、マンション管理適正化法第2条5号
 「(定義)
 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号の定めるところによる。
   
 マンション管理士 第三十条第一項の登録を受け、マンション管理士の名称を用いて、専門的知識をもって、管理組合の運営その他マンションの管理 に関し、管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者等の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うことを業務(他の法律においてその業務を行うことが 制限されているものを除く。)とする者をいう。
 とあり、
 引用されています、第30条
 「(登録) 
  第三十条  マンション管理士となる資格を有する者は、国土交通大臣の登録を受けることができる。ただし、次の各号のいずれかに該当する者については、この限りでない。
    一  成年被後見人又は被保佐人
    二  禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
    三  この法律の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
    四  第三十三条第一項第二号又は第二項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者
    五  第六十五条第一項第二号から第四号まで又は同条第二項第二号若しくは第三号のいずれかに該当することにより第五十九条第一項の登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者
    六  第八十三条第二号又は第三号に該当することによりマンション管理業者の登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者(当該登録を取 り消された者が法人である場合においては、当該取消しの日前三十日以内にその法人の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をい う。第三章において同じ。)であった者で当該取消しの日から二年を経過しないもの)
 2  前項の登録は、国土交通大臣が、マンション管理士登録簿に、氏名、生年月日その他国土交通省令で定める事項を登載してするものとする。

 とありますから、
  「マンション管理士」とは、国土交通大臣(指定登録機関が登録の実務に関する事務を行う場合は指定登録機関)の登録を受け、マンション管理士の名称を用いて、専門的知識をもって、までは正しいのですが、「管理組合の運営その他マンションの管理を行うことを業務とする者をいう」は、誤りです。
 
マンション管理士は、管理組合の運営その他マンションの管理を行うことを業務とする者では、ありません
 管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者等の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うことを業務とします。


答え: 2

  選択肢3 は、雑に読むと間違える。

《タグ》 マンション管理適正化法 定義 マンション管理業 マンション管理業者 管理組合 マンション管理士

ここまで、問50


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2019年 4月 1日:見直した。 最終考とする。
2019年 1月11日:第1考 Up。
ふう、やっと、「問50」まで終わった。本当に時間がかかっている!
解説開始:2018年11月30日
問題文Up:2018年11月27日

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