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平成30年(2018年) 管理業務主任者 試験問題 及び 解説

ページ2(問26より問50まで)

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謝辞:当問題の作成にあたっては、しおちゃん様、高井様のご協力を戴いております。
テキスト文への変更など、ご助力を心から感謝いたします。


※ 出題当時以後の法令等の改正には、一部は対応していません。

*試験に臨んで、お節介なアドバイス
  1.設問にあわせて、問題用紙に ○(まる)、X(ばつ)をつける。
    殆どの設問が、「正しい」か「間違い」かを訊いてきますので、設問により、問題の頭に、○かXをつけます。
    そして、各選択肢を読み、○かXをつけます。
    問題の○なりXと、選択肢の○かXが一致したものを、マークシートに記入してください。

  2.疑問な問題は、とりあえず飛ばす。
    回答の時間は限られています。
    そこで、回答として、○かXかはっきりしないものがでたら、「?」マークをつけて、次の問題に移ります。
    全部の回答が終わってから、再度戻って決定してください。

  3.複雑な問は、図を描く。
    甲、乙、A、B、Cなど対象が多い問題もでます。
    この場合、問題用紙の空いているところに、図を描いてください。
    重要な点が分かってきます。

出題者からの注意

平成30年(2018年)度 管理業務主任者試験  問題
 実施:平成30年12月 2日

次の注意事項をよく読んでから、始めてください。

(注意)
1 これは試験問題です。問題は、 1ページから37ページまで50問です。
2 試験の開始の合図と同時に、問題のページ数を確認してください。もし落丁や乱丁があった場合は、ただちに試験監督員に申し出てください。
3 解答は、別紙の解答用紙に記入してください。
4 正解は、各問題とも1つだけです。複数の解答をしたもの、判読が困難なものは、正解としません。
  解答は、解答用紙の注意事項をよく読み、所定の要領で記入してください。
5 問題中の法令等に関する部分は、平成30年4月1日現在で施行されている規定に基づいて出題されています。


*解説者:香川より...私も、出題者と同じ、略称を使います。


解説者(マンション管理士 香川)からのコメント:あやふやな出題、適切でない出題もあって、解答ができないのもあります。

 *この解説の利用方法:過去に出題された年度が、リンクされていますから、出題の仕方、解説文も参考にしてください。

  *判例や、根拠となる告示なども、リンクしていますから、これも、確認してください。


民法(債権関係)は、2020年4月1日施行で、大幅に改正があるので、注意のこと。

※  ・マンション標準管理委託契約書は、平成30年3月9日付で24条に「反社会勢力の排除」などの改正があり、平成30年度の試験から出題適用となるので注意のこと。

   ・マンション標準管理規約は、平成29年8月29日付で「民泊」で12条に改正があり、平成30年度の試験から出題適用となるので注意のこと。

    ・マンションの管理の適正化に関する指針(国土交通省告示第490号)及びマンション標準管理規約は、平成28年3月14日付で大幅な改正があった。
  
   ・マンション標準管理委託契約書は、平成28年7月に改正があり、平成29年度の試験から出題適用となるので注意のこと。
   
   ・マンション標準管理規約は、平成16年に改正があった。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。
   ・マンション標準管理委託契約書は、平成15年に改正があった。また、平成22年5月にも改正があった。


問26

【問 26】 鉄筋コンクリート造のマンションに生じる劣化現象とその推測される原因に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1.コンクリートの表面に白い粉状のものが付着していたので、鉄筋に塩害が生じていると判断した。

X 適切でない。 コンクリートの表面に白い粉状のものが付着なら、エフロレッセンス(白華現象)と考えられる。 鉄筋に塩害が生じているではない

 平成24年 マンション管理士試験 「問36」 、 平成20年 管理業務主任者試験 「問26」 、 平成19年 マンション管理士試験 「問37」 、平成18年 管理業務主任者 試験 「問27」、 平成15年 マンション管理士 試験 「問39」>

 鉄筋コンクリート造では、硬化したコンクリートの表面に白い粉状のものが付着していることがあります。この現象は、エフロレッセンスとよばれるものです。
 
エフロレッセンス(Efflorescence=開花)とは、白華現象ともよばれ、外壁等表面の劣化で発生します。下地の可溶成分が表面に溶け出し、空気中の二酸化炭素(炭酸ガス)等との反応により溶けて白色の物質として、表面に沈着する現象です。
 コンクリートならセメント中の石灰等が水に溶けて表面に染み出すことも原因で、またタイルなどでも見られる現象です。
 設問のように、鉄筋に塩害が生じているとは判断できませんから、適切ではありません。

 なお、 エフロレッセンスは、コンクリートの劣化症状のひとつです。
 また、エフロレッセンスは、シーリング材でのチョーキング現象と似ているので注意のこと。


 


2.コンクリート柱の表面に水平な茶色のシミが出ている亀裂が、等間隔で数本確認されたので、内部の鉄筋に錆が生じていると判断した。

〇 適切である。 内部にある鉄筋の錆汁がひび割れに沿って出てきたと考えられる。


 コンクリート柱の表面に水平な茶色のシミが出ている亀裂が、等間隔で数本確認されたので、内部の鉄筋に錆が生じていると判断したのは、適切です。
  通常、鉄筋は等間隔で配置されています。

  


3.モルタル塗り面を鋼球型テストハンマーで叩くと、高く硬い音がしたので、浮きが無いと判断した。

〇 適切である。 通常、打撃音が高くて硬ければ、浮きはないと考えられる。
  平成30年 マンション管理士試験 「問36」 、平成17年 管理業務主任者試験 「問28」 

 モルタル塗り面など外壁タイルを含めた浮きの調査ですが、これらの浮きは、温度の変化、乾燥・湿潤、建物の動き、地震などで、下地のモルタルやコンクリートとの接着力が不足し、下地と表面のタイル等が分離して発生します。タイル等が剥落すると危険なため、調査は重要です。
 その、浮きの調査の方法としては、
  ・外観目視調査...肉眼や望遠鏡など、眼で調査する。判定には経験が必要。
  ・
打診法...テストハンマーで表面を叩いて、音の差で浮きを判断する。これも、判定には経験が必要。
  ・赤外線装置法...赤外線カメラにより、タイルやモルタルの浮いている部分と、健全な部分とを熱の伝導の差(温度差)で測定する。温度差の出やすい天候時に行うといい。
  ・反発法...コンクリートの強度を調べたのと同じように、シュミットハンマー等で、タイル面に一定の衝撃を与えて、その衝撃で生じた跳ね返りの大きさや音圧の違いで、浮きを調査する。
 等があります。

  そこで、打診法により、モルタル塗り面を鋼球型テストハンマーで叩くと、通常、タイル等の浮きが無い場合は、叩くと高くて硬い音がするため、浮きが無いと判断したは、適切です。

 浮きがあれば、叩くと、低くて響く(こもった)音がします。
 しかし、打撃音による判定は、正常な音を経験しておく必要があり、個人差が出やすい為、注意が必要です。


 

 なお、2012年12月2日に中央自動車道の笹子トンネル内で起きた天井板の崩落事故では、アンカーボルトとコンクリートの接着のゆるみをこの打音検査でやっていて、劣化が分かりませんでした。

  


4.北側外部に面した壁の室内側表面の壁紙に黒いしみのようなものが見えたので、カビが生じていると判断した。

〇 適切である。 結露によるカビが発生したと考えられる。

 北側外部に面した壁の室内側表面は、結露しやすく、そのため、湿気により壁紙にもカビが生じやすく、適切です。


答え: 1

 
 ここらは、過去問題をやっていれば、易しい。

《タグ》鉄筋コンクリート 劣化 エフロレッセンス 鉄筋の錆汁 テストハンマー 結露 カビ

問27

【問 27】 鉄筋コンクリート造のマンションの耐震改修の方法として、最も不適切なものはどれか。

1.給水方法を高置水槽方式から直結増圧方式に変更し、屋上の高置水槽を撤去する。

〇 適切である。 高置水槽は、地震時に揺れやすいため、倒壊するケースが起きているので、直結増圧方式に変更し、屋上の高置水槽を撤去する。

  平成30年 マンション管理士試験 「問40」 

   屋上にある高置水槽(給水タンク)は、重くてバランスが悪く、また、地震時には大きな地震力と水槽内での衝撃も受け、建物本体と異なった揺れ方をして、よく倒壊します。
  1995年1月の阪神淡路大震災、2011年3月に発生した東日本大震災や、最近の2016年熊本地震でも、給水タンクの被害は多く出ています。


 そこで、マンションでの給水方式を高置水槽方式から(水道)直結増圧方式(水道本管から引き込んだ水を、増圧ポンプで各戸へ供給する方式)に変更して、屋上の高置水槽を撤去すろのは、耐震改修の方法として、適切です。

 

  

 
2.地震時にエキスパンションジョイント部のカバーが落下することを防止するため、そのカバーを両端で躯体に固定する。

X 適切ではない。 エキスパンションジョイント部では、片側のカバーは固定するが、両端のカバーは固定しない。
  平成14年 マンション管理士試験 「問42」

  エキスパンションジョイントとは、懐かしい出題。

 まず、「エキスパンションジョイント(Expansion Joint)」とは、構造体が温度や地震時での振動の違いなどにより相互に力学上影響を及ぼし合わないようにする接続部分をいいます。
 エキスパンションジョイントでは、外見は、1つの建物に見えても、別々の躯体となっています。
 建築基準法施行令第81条第2項によると、2以上の部分がエキスパンションジョイントなどの構造方法のみで接している建築物は、構造計算において、それぞれ別の建築物とみなされます。

 そこで、エキスパンションジョイント部では、カバーを付ける際には片側は固定しますが、もう一方は、動きに合わせるために固定しませんから、地震時にエキスパンションジョイント部のカバーが落下することを防止するため、そのカバーを両端で躯体に固定するは、適切ではありません。

 


 


3.構造耐力上主要な独立柱に炭素繊維シートを巻き付ける。

〇 適切である。 構造耐力上主要な独立柱に炭素繊維シートを巻き付けるのは、耐震性が増す。
  平成30年 マンション管理士試験 「問40」 ,平成28年 マンション管理士試験 「問40」 、  平成25年 マンション管理士試験 「問41」 、 平成22年 管理業務主任者試験 「問26」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問41」 、 平成19年 マンション管理士試験 「問40」 、平成17年 マンション管理士試験 「41」 、 

 耐震補強としては、壁やブレースの増設、柱、梁の補強をする策もあります。また、壁と柱が繋がっていて横方向の地震力が集中して、柱が破壊される例が報告されています。
 これを防ぐために、柱と壁の間に隙間・切れ目(スリット)を設けて耐震性能を上げる工法もあります。

 ピロティ形式の柱などは、地震によって、せん断される危険性が強いので、じん性(粘り強さ)を増す必要があります。そこで、柱に鋼板を巻いたり、炭素(カーボン)シート(繊維)を巻いて柱を補強しますから、耐震改修工法には、柱のじん性(粘り強さ)を向上させることを目的として、柱に鋼板を巻きつけて補強する工法もありますから、構造耐力上主要な独立柱に炭素繊維シートを巻き付けるは、適切です。

 耐震補強の方法
   ・補強アンカーへの定着
   ・巻立鋼板への注入
   ・ひび割れ補修
   ・炭素繊維シートの巻立
   ・鋼板巻立への圧入


 


4.耐震設計において考慮していなかった非構造の腰壁が、構造耐力上主要な柱と接続している部分に、縁を切るためのスリットを入れる。

〇 適切である。 腰壁に切れ目(スリット)を入れて、主要な柱に影響を与えなくする。
 平成28年 マンション管理士試験 「問40」 、 平成25年 マンション管理士試験 「問41」 、 平成22年 管理業務主任者試験 「問26」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問41」 、 平成19年 マンション管理士試験 「問40」 、平成17年 マンション管理士試験 「41」 、 

 耐震補強としては、壁やブレースの増設、柱、梁の補強をする策もありますが、壁と柱が繋がっていて横方向の地震力が集中して、柱が破壊される例が報告されています。
 これを防ぐために、柱と壁の間に隙間・切れ目(スリット)を設けて縁を切り、耐震性能を上げる工法もありますから、適切です


   


答え: 2

 ここは、過去問題をやっていれば、解答は易しい。

《タグ》耐震改修 高置水槽の撤去 エキスパンション・ジョイント 炭素繊維シートの巻き付け 腰壁のスリット

問28

【問 28】 マンションの屋上にコンクリート保護層のあるアスファルト防水が施工されている場合、建築改修工事監理指針によれば、改修工事の計画として最も適切なものは、次のうちどれか。

1.冬季の工事において、外気温の著しい低下が予想されるときは、既存保護層及び防水層を撤去し、塗膜防水を施工する。

X 適切でない。 寒い時に、塗膜防水は施工しない方がいい。
  平成30年 マンション管理士試験 「問39」 、  平成21年 管理業務主任者試験 「問18」 、

  設問の「建築改修工事監理指針」なるものは、どこからでているのかも、その内容も、まったく知らないが、解答はできる。

 まず、塗膜防水は、液状の防水材を塗り重ねていくもので、材料には、ウレタンゴム系が多く採用されます。歩行用、運動用などに対応でき、開放廊下の床、バルコニー、屋根のパラペット等に施工されます。
 しかし、防水材が液状であるため、天候が雨とか、下地が乾燥不足になる場合、また、気温が5度C以下では、ウレタン塗膜が接着しないので、施工しませんから、冬季の工事において、外気温の著しい低下が予想されるときは、既存保護層及び防水層を撤去し、塗膜防水を施工するは、適切ではありません。


 


2.最上階住戸の断熱性能の向上を目的として、既存保護層(立上り部等を除く)は撤去しないで、新たに、粘着層付改質アスファルトシートを用いた常温粘着工法による改質アスファルトシート防水を施工する。

X 適切でない。 改質アスファルトシート防水だけでは、断熱性能は向上しない。 費用の削減と施工期間は短くなるが。
   平成21年 管理業務主任者試験 「問18」 、


 改質アスファルトシート防水工法とは、トーチバーナーにより、繊維にアスファルトをしみ込ませてシート状になった改質アスファルトを熱で溶かし下地との接着およびジョイントの一体化を行う工法です。溶かして貼り付けるため、アスファルトを釜などで溶かす作業がなく施工時の省力化および周辺環境へ煙や臭いの影響が少ない工法です。

  そこで、既存保護層(立上り部等を除く)は撤去しないで、新たに、粘着層付改質アスファルトシートを用いた常温粘着工法による改質アスファルトシート防水を施工するは適切ですが、改質アスファルトシート防水工法は、施工期間が短くなり、費用も削減できますが、断熱材を挟まない限り、断熱性能は向上しませんから、最上階住戸の断熱性能の向上を目的とするは、適切ではありません。


 


3.工事費用を削減し、居住者に対する施工時の環境を改善するため、既存保護層及び防水層を撤去し、新たに熱工法によるアスファルト防水を施工する。

X 適切でない。 既存保護層及び防水層を撤去し、新たに”熱工法”によるアスファルト防水を施工すると、工事費用も削減しないし、撤去作業で騒音もするし、臭いも煙も発生する。

 熱工法によるアスファルト防水とは、その名のとおり、熱で溶かしたアスファルトを屋根等に貼り付けるものです。
 工事にあたっては、現場では、アスファルトの異臭と煙が発生しますから、居住者だけでなく近隣にも影響が及び施工時の環境を改善には繋がりません。
 また、既存保護層及び防水層を撤去となると、こちらも工事費用はかかり、また撤去作業に伴い騒音もでますから、工事費用を削減しにもなりません。
 そこで、工事費用を削減し、居住者に対する施工時の環境を改善するため、既存保護層及び防水層を撤去し、新たに熱工法によるアスファルト防水を施工するは、適切ではありません。

 選択肢2で説明しましたように、熱で解けたアスファルト防水工事よりも、改質アスファルトシートを用いた常温粘着工法による改質アスファルトシート防水が環境問題では優れていて、改修では、改質アスファルトシート防水の方が採用されています。

 なお、アスファルト防水の対応年数は、10年から15年程度です。



4.施工期間を短縮するため、既存保護層(立上り部等を除く)は撤去しないで、下地調整を行った後、その上にウレタンゴム系塗膜防水を施工する。

〇 適切である。 ウレタンゴム系塗膜防水なら、施工期間が短縮できる。

  ウレタン系塗膜防水工法は、ウレタンゴムなど液状の防水材を塗り重ねて、硬化させ防水層にし、表面にトップコートを塗ります。施工が容易なため、狭い場所や、バルコニーや廊下の床、排水溝、屋根のパラペット(手すり壁)、ひさしなどで採用されます。複雑な部分への施工が容易で、防水層に継目がなく、美観に優れていますが、気温や施工直後の天候によって品質にばらつきが出る可能性があります。
 また、ウレタン系塗膜防水では、既存の保護層をすべて撤去しなくても、また複雑な箇所にも塗布でき、硬化が早いタイプもあるため、施工期間を短縮するため、既存保護層(立上り部等を除く)は撤去しないで、下地調整を行った後、その上にウレタンゴム系塗膜防水を施工するは、適切です。

 ウレタンゴム系防水層は、露出仕上げで屋上の用途(歩行用、運動用など)に対応できるという特徴があります。



答え: 4

 
建築改修工事管理指針は、知らないが、防水の基本と材料を押さえていると、解答は易しいが、選択肢2の正誤は悩むか。

《タグ》防水工事 塗膜防水 粘着層付改質アスファルトシート 熱工法によるアスファルト防水 ウレタンゴム系塗膜防水


*2019年 3月 8日:どうやら、管理業務主任者試験も飛ばし、飛ばして解説をして、終わった。
  また、再度、見直しもしますが、お気づきの点があれば、 「マンション管理士 香川事務所」  へ、連絡ください。

問29

注:マンション標準管理規約(単棟型)は以下、当解説では、「単棟型」を略して、「標準管理規約」といいます。

  標準管理規約(単棟型)は、平成28年3月14日に大幅な改正があり、また、平成29年8月29日付で「民泊」で12条に改正があったので、注意のこと。
  マンション標準管理規約(複合用途型)も、平成29年8月29日付で、また、マンション標準管理規約(団地型)は、平成30年3月30日付で、改正があった。


【問 29】 地震等の災害時に備えて管理組合が共用部分の工事を行う場合の次の記述のうち、区分所有法の規定及び標準管理規約によれば、集会(総会)の普通決議で行うことができないものはどれか。

1.マンションの地下に設けられた駐輪場を、壁と扉を設置して、災害用の備蓄倉庫とすること。

X 形状と効用が大きく変わるため、集会の普通決議では、出来ない。特別決議が必要。
  平成28年 マンション管理士試験 「問1」 、 平成28年 管理業務主任者試験 「問30」 、平成26年 管理業務主任者試験 「問30」 、平成26年 マンション管理士試験 「問5」 、平成25年 管理業務主任者試験 「問38」 、平成24年 マンション管理士試験 「問25」 、 平成23年 管理業務主任者試験 「問37」 、 平成22年 マンション管理士試験 「問9」 、平成21年 マンション管理士試験 「問6」 、 平成18年 管理業務主任者試験 「問32」 、平成17年 マンション管理士試験 「問2」 など 他にも多数出ている問題。
  平成21年 管理業務主任者試験 「問34」


 まず、設問の集会(総会)の”普通決議”がどのような定足数なのか定義されていないのが気になりますが、「総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する」が、総会の「普通決議」と考えましょう。

 そして、基本の共用部分の変更工事となると、区分所有法第17条、
 「(共用部分の変更)
  第十七条 
共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。
 2 前項の場合において、共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない。

 とあり、
 区分所有法第17条1項はかっこ書き(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)と”ないもの”を”除く”となっていて国語的にも難解で法律文章としても問題がある規定ですが、ここが重要です。
  ア.「その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの」;これは軽微の変更と呼ばれます。
  イ.逆に、「その形状又は効用の著しい変更を伴うもの」;これは重大変更と呼ばれます。
  この面倒な表現は、平成14年の区分所有法の改正で、「その形状又は効用の著しい変更を”伴わないものを除く(軽微な変更)”」は普通決議でできるようにしたため、面倒な表現になりました。
  第17条1項は、「共用部分の重大な変更(著しい変更を伴うもの=伴わないものを除いて)をするときには、特別な決議が必要。だけど、規約で定めれば、議決権の数の3/4以上は変えられないが、区分所有者の数の方は、3/4以上を、過半数まで減らすことができる」ということです。


 

 しかし、何が、その形状又は効用の著しい変更を伴うのか、または伴わないのか、その判断が難しい規定です。

 そこで、何が、その形状又は効用の著しい変更を伴うのかの判断のガイドラインとして、標準管理規約47条
 「(総会の会議及び議事) 第47条 総会の会議は、前条第1項に定める議決権総数の半数以上を有す る組合員が出席しなければならない。
 
2 総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。
 
3 次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前項にかかわらず、組合 員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する。
   一 規約の制定、変更又は廃止

   二 敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わな いもの及び建築物の耐震改修の促進に関する法律第25条第2項に基づ く認定を受けた建物の耐震改修を除く。)

   三 区分所有法第58条第1項、第59条第1項又は第60条第1項の訴えの提起
   四 建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の滅失した共用部 分の復旧 五 その他総会において本項の方法により決議することとした事項 4 建替え決議は、第2項にかかわらず、組合員総数の5分の4以上及び議 決権総数の5分の4以上で行う。
 5 マンション敷地売却決議は、第2項にかかわらず、組合員総数、議決権総数及び敷地利用権の持分の価格の各5分の4以上で行う。
 6 前5項の場合において、書面又は代理人によって議決権を行使する者 は、出席組合員とみなす。
 7 第3項第一号において、規約の制定、変更又は廃止が一部の組合員の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。こ の場合において、その組合員は正当な理由がなければこれを拒否してはな らない。
 8 第3項第二号において、敷地及び共用部分等の変更が、専有部分又は専 用使用部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分を所有 する組合員又はその専用使用部分の専用使用を認められている組合員の承 諾を得なければならない。この場合において、その組合員は正当な理由が なければこれを拒否してはならない。
 9 第3項第三号に掲げる事項の決議を行うには、あらかじめ当該組合員又 は占有者に対し、弁明する機会を与えなければならない。
 10 総会においては、第43条第1項によりあらかじめ通知した事項につい てのみ、決議することができる。」
  から、

 以下のコメントがあります。
 コメント 第47条関係:
 「D このような規定の下で、
各工事に必要な総会の決議に関しては、例えば 次のように考えられる。ただし、基本的には各工事の具体的内容に基づく 個別の判断によることとなる。
  ア)バリアフリー化の工事に関し、建物の基本的構造部分を取り壊す等の 加工を伴わずに階段にスロープを併設し、手すりを追加する工事は普通決議により、階段室部分を改造したり、建物の外壁に新たに外付けした りして、エレベーターを新たに設置する工事は特別多数決議により実施可能と考えられる。
  イ)耐震改修工事に関し、柱やはりに炭素繊維シートや鉄板を巻き付けて補修する工事や、構造躯体に壁や筋かいなどの耐震部材を設置する工事で基本的構造部分への加工が小さいものは普通決議により実施可能と考えられる。
  ウ)防犯化工事に関し、オートロック設備を設置する際、配線を、空き管路内に通したり、建物の外周に敷設したりするなど共用部分の加工の程度が小さい場合の工事や、防犯カメラ、防犯灯の設置工事は普通決議により、実施可能と考えられる。
  エ)IT化工事に関し、光ファイバー・ケーブルの敷設工事を実施する場合、その工事が既存のパイプスペースを利用するなど共用部分の形状に変更を加えることなく実施できる場合や、新たに光ファイバー・ケーブ ルを通すために、外壁、耐力壁等に工事を加え、その形状を変更するよ うな場合でも、建物の躯体部分に相当程度の加工を要するものではなく、 外観を見苦しくない状態に復元するのであれば、普通決議により実施可能と考えられる。
  オ)計画修繕工事に関し、鉄部塗装工事、外壁補修工事、屋上等防水工事、 給水管更生・更新工事、照明設備、共聴設備、消防用設備、エレベータ ー設備の更新工事は普通決議で実施可能と考えられる。
   カ)その他、集会室、駐車場、駐輪場の増改築工事などで、大規模なものや著しい加工を伴うものは特別多数決議により、窓枠、窓ガラス、玄関 扉等の一斉交換工事、既に不要となったダストボックスや高置水槽等の撤去工事は普通決議により、実施可能と考えられる。」

 そこで、設問の「マンションの地下に設けられた駐輪場を、壁と扉を設置して、災害用の備蓄倉庫とすること」を検討しますと、この行為は、「コメント カ)の「その他、集会室、駐車場、
駐輪場の増改築工事などで、大規模なものや著しい加工を伴うものは特別多数決議により、窓枠、窓ガラス、玄関 扉等の一斉交換工事、既に不要となったダストボックスや高置水槽等の 撤去工事は普通決議により、実施可能と考えられる。」
 を参考にしますと、マンションの地下に設けられた駐輪場を、壁と扉を設置して、災害用の備蓄倉庫とすることとなると、工事は、大規模で、また効用も駐輪場から、災害用の備蓄倉庫に改造では、その効用も著しく変更となりますから、これは、出席組合員の議決権の過半数で決する「普通決議」できず、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する、「特別決議」事項となります。


2.エレベーター設備を、地震時には最寄りの階に停止して、扉が開く性能のものに更新すること。

〇 普通決議でできる。 この程度なら、明らかに形状は変更しない。

 
 エレベーター設備を、地震時には最寄りの階に停止して、扉が開く性能のものに更新することなら、敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わな いもの)に該当して、出席組合員の議決権の過半数で決する(普通決議)ことができます。


3.各住戸の玄関扉を、枠を含めて耐震(対震)性のあるものに更新すること。

〇 普通決議でできるとする。 この設問では、工事内容が明確でないが。

 この設問「玄関扉を、”枠を含めて”耐震(対震)性のあるものに更新する」だけでは、”枠”の工事が、どの程度、形状を変更する工事内容か、詳細が不明ですが、出題者は、”更新”の範囲にしたいようですから、出席組合員の議決権の過半数で決する(普通決議)こととしましょう。


4.マンションの敷地のブロック塀が地震時に倒壊しないよう、必要な箇所に控壁を設置すること。

〇 普通決議でできるとする。 地震対応といっても、かなり形状は変わるが。

 敷地のブロック塀については、 「問18」 を参考にしてください。

  

 地震に備えて、コンクリート塀を倒壊しないように強化することは、大切なことですが、必要な箇所に”控壁”を設置する工事となると、これも選択肢3と同様に、どの程度、形状を変更する工事内容か、詳細が不明ですが、出題者は、「コメントDのイ)耐震改修工事に関し、柱やはりに炭素繊維シートや鉄板を巻き付けて補修する工事や、
構造躯体に壁や筋かいなどの耐震部材を設置する工事で基本的構造部分への加工が小さいものは普通決議により実施可能と考えられる。」での、 「工事で基本的構造部分への加工が小さいもの」に該当すると言いたいようなので、出席組合員の議決権の過半数で決する(普通決議)こととしましょう。


答え: 1

 
この設問は、まず、「普通決議」の定義がないため、不適切です。

 
また、工事内容として、「その形状の”著しい変更を伴う”」かどうかの判断基準が明確にできないため、この点においても、不適切な出題方法です。

 解説を丁寧にしたので、2時間以上かかった。解答は、疑問点が残るが、易しい。

《タグ》区分所有法 標準管理規約 共用部分の変更 著しい変更とは 普通決議 特別決議 


* 2019年 2月 4日:気分的に、「問18」から、この「問29」を先に解説を始める。

問30

注:マンション標準管理規約(単棟型)は以下、当解説では、「単棟型」を略して、「標準管理規約」といいます。

  標準管理規約(単棟型)は、平成28年3月14日に大幅な改正があり、また、平成29年8月29日付で「民泊」で12条に改正があったので、注意のこと。
  マンション標準管理規約(複合用途型)も、平成29年8月29日付で、また、マンション標準管理規約(団地型)は、平成30年3月30日付で、改正があった。


【問 30】 甲マンションに居住している組合員Aが死亡し、同居する妻Bと、甲マンションの近隣に住む子Cが共同相続した場合に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、最も適切なものはどれか。

1.総会の招集通知を発するときは、BとCの両方に対して発しなければならない。

X 適切でない。 マンションでは、共有者が複数いると、だれか1名を議決権行使者と決めて、管理組合に届けること。届出がないと、総会の招集通知は、その専有部分の所在地あてでいい。2名別々宛は、不要。
 平成30年 マンション管理士試験 「問27」 、平成24年 管理業務主任者試験 「問29」 、

  


 まず、区分所有法第40条では、専有部分が数人の共有なら、議決権行使者を1人を選ばなければならず、また区分所有法第35条2項により、集会(総会)の招集の通知は、その議決権行使者宛にだせばいいとなっています。

 

 そこで、設問では、単純に「標準管理規約」よればとしていますの、標準管理規約46条
 「(議決権)
  第46条 各組合員の議決権の割合は、別表第5に掲げるとおりとする。
 
2 住戸1戸が数人の共有に属する場合、その議決権行使については、これ ら共有者をあわせて一の組合員とみなす。
 3 前項により一の組合員とみなされる者は、議決権を行使する者1名を選任し、その者の氏名をあらかじめ総会開会までに理事長に届け出なければ ならない。

 4 組合員は、書面又は代理人によって議決権を行使することができる。
 5 組合員が代理人により議決権を行使しようとする場合において、その代 理人は、以下の各号に掲げる者でなければならない。
    一 その組合員の配偶者(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同 様の事情にある者を含む。)又は一親等の親族
   二 その組合員の住戸に同居する親族
   三 他の組合員
 6 組合員又は代理人は、代理権を証する書面を理事長に提出しなければな らない。」
 とあり、
 標準管理規約46条2項及び3項によれば、専有部分を複数名で共有していれば、誰か1名を議決権行使者として定めて、管理組合にその1名を届出ます。


 そして、 総会の招集通知は、標準管理規約43条
 「(招集手続)
  第43条 総会を招集するには、少なくとも会議を開く日の2週間前(会議 の目的が建替え決議又はマンション敷地売却決議であるときは2か月前) までに、会議の日時、場所及び目的を示して、組合員に通知を発しなけれ ばならない。
 
2 前項の通知は、管理組合に対し組合員が届出をしたあて先に発するものとする。ただし、その届出のない組合員に対しては、対象物件内の専有部 分の所在地あてに発するものとする。
 
3 第1項の通知は、対象物件内に居住する組合員及び前項の届出のない組合員に対しては、その内容を所定の掲示場所に掲示することをもって、こ れに代えることができる。
 4 第1項の通知をする場合において、会議の目的が第47条第3項第一号、 第二号若しくは第四号に掲げる事項の決議又は建替え決議若しくはマンシ ョン敷地売却決議であるときは、その議案の要領をも通知しなければなら ない。
 5 会議の目的が建替え決議であるときは、前項に定める議案の要領のほか、 次の事項を通知しなければならない。
   一 建替えを必要とする理由
   二 建物の建替えをしないとした場合における当該建物の効用の維持及び 回復(建物が通常有すべき効用の確保を含む。)をするのに要する費用 の額及びその内訳
   三 建物の修繕に関する計画が定められているときは、当該計画の内容
   四 建物につき修繕積立金として積み立てられている金額
 6 会議の目的がマンション敷地売却決議であるときは、第4項に定める議 案の要領のほか、次の事項を通知しなければならない。
   一 売却を必要とする理由
   二 建築物の耐震改修の促進に関する法律(平成7年法律第123号)第 2条第2項に規定する耐震改修(以下単に「耐震改修」という。)又は マンションの建替えをしない理由
   三 耐震改修に要する費用の概算額
 7 建替え決議又はマンション敷地売却決議を目的とする総会を招集する場 合、少なくとも会議を開く日の1か月前までに、当該招集の際に通知すべ き事項について組合員に対し説明を行うための説明会を開催しなければな らない。
 8 第45条第2項の場合には、第1項の通知を発した後遅滞なく、その通 知の内容を、所定の掲示場所に掲示しなければならない。
 9 第1項(会議の目的が建替え決議又はマンション敷地売却決議であると きを除く。)にかかわらず、緊急を要する場合には、理事長は、理事会の 承認を得て、5日間を下回らない範囲において、第1項の期間を短縮する ことができる。」
 とあり、

 総会の招集通知は、標準管理規約43条2項及び3項によれば、共同相続をした共有者(B,C)のどちらかが、管理組合に届出をしていれば、その届出者の宛先へ発しますし、もしも、共有者(B,C)が共に、管理組合に届出をしていなければ、死亡した組合員Aの専有部分の所在地あてに発しますし、死亡したAが、もともと届出をしていないと、マンションの掲示板に招集通知を掲示すればよく、総会の招集通知を発するときは、BとCの両方に対して発しなければならないは、適切ではありません。

  なお、ここの設問は、「区分所有法によれば」とした方が、適切です。


2.Cが議決権を行使する者としての届出をしたときは、Bは、議決権を行使することができない。

〇 適切である。 共有者の1名が議決権行使者となると、他の共有者は、議決権を行使できない。

 選択肢1でも説明しましたが、標準管理規約46条2項及び3項
 「(議決権)
 
2 住戸1戸が数人の共有に属する場合、その議決権行使については、これ ら共有者をあわせて一の組合員とみなす。
 3 前項により一の組合員とみなされる者は、議決権を行使する者1名を選任し、その者の氏名をあらかじめ総会開会までに理事長に届け出なければ ならない。

 とあり、
 専有部分(住戸)を共有している場合は、議決権行使者は、1名となり、議決権行使者として届けられた人以外は、議決権を行使できませんから、Cが議決権を行使する者としての届出をしたときは、Bは、議決権を行使することができないは、適切です。



3.BとCが議決権を行使する者の届出をしなかったときは、BとCは、その相続分に応じて議決権を行使することができる。

X 適切でない。 共有での議決権の分割行使はできない。

  共有関係で、だれも議決権行使者として届けていないと、だれが、議決権行使者になれるかは、論争があるので、別の議論としておいといて、ここでは、単純に区分所有法及び標準管理規約での共有関係においては、選択肢1で説明しました様に標準管理規約46条2項及び3項
   「(議決権)
 
2 住戸1戸が数人の共有に属する場合、その議決権行使については、これ ら共有者をあわせて一の組合員とみなす。
 3 前項により一の組合員とみなされる者は、議決権を行使する者1名を選任し、その者の氏名をあらかじめ総会開会までに理事長に届け出なければ ならない。

 とあり、
 議決権は、分割して行使できないため、BとCが議決権を行使する者の届出をしなかったときは、BとCは、その相続分に応じて議決権を行使することができるは、適切ではありません。



4.Cは、甲マンションに現に居住している組合員ではないので、管理組合の役員になることはできない。

X 現行の標準管理規約では、役員に、居住の条件がなくなっている。 居住していなくても役員になれる。
  平成30年 マンション管理士試験 「問27」 、平成28年 マンション管理士試験 「問32」 
 
 今度は、役員の資格です。役員の資格は、標準管理規約35条
 「(役員)
  第35条 管理組合に次の役員を置く。
   一 理事長
   二 副理事長 ○名
   三 会計担当理事 ○名
   四 理事(理事長、副理事長、会計担当理事を含む。以下同じ。) ○名
   五 監事 ○名
 
2 理事及び監事は、組合員のうちから、総会で選任する。
 3 理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事のうちから、理事会で選任する。

 また、
外部専門家を役員として選任できることとする場合
 「
2 理事及び監事は、総会で選任する。
 3 理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事のうちから、理事会で選任する。
 4 組合員以外の者から理事又は監事を選任する場合の選任方法について は細則で定める。」
 とあり、
  外部専門家を役員として選任しない場合なら、標準管理規約35条2項の
 「2 理事及び監事は、組合員のうちから、総会で選任する」により、Cは、甲マンションに現に居住している組合員ではないのですが、改正以前にあった、「現に居住する」という条件は、最近は、役員のなり手がいないことを受け、外部専門家を役員として選任できることとする場合も想定していて、その場合は、 「2 理事及び監事は、総会で選任する」ともあり、別に組合員でなくても、また、そのマンションに現に住んでいなくても、管理組合の役員になれますから、Cは、甲マンションに現に居住している組合員ではないので、管理組合の役員になることはできないは、適切ではありません。



答え:2 

  役員の資格とか、議決権行使者の資格は、よく標準管理規約でも変更されるので、留意のこと。
  解答としては、易しい。

  共有関係は、マンション管理士 香川の 「超解説 区分所有法」 の第40条も参考にしてください。

《タグ》標準管理規約 共有関係 議決権行使者 役員の資格 

問31

注:マンション標準管理規約(単棟型)は以下、当解説では、「単棟型」を略して、「標準管理規約」といいます。

  標準管理規約(単棟型)は、平成28年3月14日に大幅な改正があり、また、平成29年8月29日付で「民泊」で12条に改正があったので、注意のこと。
  マンション標準管理規約(複合用途型)も、平成29年8月29日付で、また、マンション標準管理規約(団地型)は、平成30年3月30日付で、改正があった。


【問 31】 理事会に関する次の取扱いのうち、標準管理規約によれば、最も適切なものはどれか。

1.出席が予定されていた理事が急病になったので、理事会の決議によって、その配偶者の出席を認め、議決権を代理行使してもらった。

X 適切でない。 規約に規定がないので、理事会で代理行使は、決議できない。

  平成30年 マンション管理士 「問29」 、 平成29年 マンション管理士試験 「問29」 

 理事会は、標準管理規約53条
 「(理事会の会議及び議事)
  第53条
理事会の会議は、理事の半数以上が出席しなければ開くことがで きず、その議事は出席理事の過半数で決する。
 2 次条第1項第五号に掲げる事項については、理事の過半数の承諾がある ときは、書面又は電磁的方法による決議によることができる。
 3 前2項の決議について特別の利害関係を有する理事は、議決に加わるこ とができない。

 そして、(ア)電磁的方法が利用可能ではない場合
 4 議事録については、第49条(第4項を除く。)の規定を準用する。た だし、第49条第2項中「総会に出席した組合員」とあるのは「理事会に 出席した理事」と読み替えるものとする。 」
 とあります。


 で、理事会についてのコメント:
 「第53条関係
 @ 理事は、総会で選任され、組合員のため、誠実にその職務を遂行するも のとされている。このため、理事会には本人が出席して、議論に参加し、 議決権を行使することが求められる。
 A したがって、理事の代理出席(議決権の代理行使を含む。以下同じ。) を、規約において認める旨の明文の規定がない場合に認めることは適当でない。

 B 「理事に事故があり、理事会に出席できない場合は、その配偶者又は一 親等の親族(理事が、組合員である法人の職務命令により理事となった者 である場合は、法人が推挙する者)に限り、代理出席を認める」旨を定め る規約の規定は有効であると解されるが、あくまで、やむを得ない場合の 代理出席を認めるものであることに留意が必要である。この場合において も、あらかじめ、総会において、それぞれの理事ごとに、理事の職務を代 理するにふさわしい資質・能力を有するか否かを審議の上、その職務を代 理する者を定めておくことが望ましい。 なお、外部専門家など当人の個人的資質や能力等に着目して選任されて いる理事については、代理出席を認めることは適当でない。
 C 理事がやむを得ず欠席する場合には、代理出席によるのではなく、事前 に議決権行使書又は意見を記載した書面を出せるようにすることが考えら れる。これを認める場合には、理事会に出席できない理事が、あらかじめ 通知された事項について、書面をもって表決することを認める旨を、規約 の明文の規定で定めることが必要である。
  D 理事会に出席できない理事について、インターネット技術によるテレビ 会議等での理事会参加や議決権行使を認める旨を、規約において定めるこ とも考えられる。
 E 第2項は、本来、@のとおり、理事会には理事本人が出席して相互に議 論することが望ましいところ、例外的に、第54条第1項第五号に掲げる 事項については、申請数が多いことが想定され、かつ、迅速な審査を要す るものであることから、書面又は電磁的方法(電子メール等)による決議 を可能とするものである。
 F 第3項については、第37条の2関係を参照のこと。」
 とあり、
  設問の、「出席が予定されていた理事が急病になったので、理事会の決議によって、その配偶者の出席を認め、議決権を代理行使してもらった」となると、コメントの「A理事の代理出席(議決権の代理行使を含む。以下同じ。) を、規約において認める旨の明文の規定がない場合に認めることは適当でない」により、規約上明文規定がない以上、適切ではありません。



2.組合員から、給排水管の改修を伴う浴室の改修工事についての「専有部分修繕等工事申請書」が提出されたので、理事の過半数の承諾を得て、電磁的方法により承認の決議をした。

〇 適切である。 専有部分の修繕工事の承認・不承認は、申請数が多いことを受け、理事会を開かずに、書面又は電磁的方法(電子メール等)による決議ができることにした。
  平成28年 マンション管理士試験 「問26」

 まず、理事会の決議事項は、標準管理規約54条
 「(議決事項)
  第54条 理事会は、この規約に別に定めるもののほか、次の各号に掲げる事項を決議する。
   一 収支決算案、事業報告案、収支予算案及び事業計画案
   二 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止に関する案
   三 長期修繕計画の作成又は変更に関する案
   四 その他の総会提出議案
   
五 第17条、第21条及び第22条に定める承認又は不承認
   六 第58条第3項に定める承認又は不承認
   七 第60条第4項に定める未納の管理費等及び使用料の請求に関する訴訟その他法的措置の追行
   八 第67条に定める勧告又は指示等
   九 総会から付託された事項
   十 災害等により総会の開催が困難である場合における応急的な修繕工事の実施等
 2 第48条の規定にかかわらず、理事会は、前項第十号の決議をした場合 においては、当該決議に係る応急的な修繕工事の実施に充てるための資金の借入れ及び修繕積立金の取崩しについて決議することができる。 」
 です。


 そして、給排水管の改修を伴う浴室の改修工事についての「専有部分修繕等工事申請書」は、標準管理規約17条1項
 「(専有部分の修繕等)
  第17条 区分所有者は、その専有部分について、修繕、模様替え又は建物 に定着する物件の取付け若しくは取替え(以下「修繕等」という。)であ って共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのあるものを行おう とするときは、あらかじめ、理事長(第35条に定める理事長をいう。以 下同じ。)にその旨を申請し、書面による承認を受けなければならない。
 (以下、略)」
 とあり、標準管理規約17条の「専有部分修繕等工事申請書」は、標準管理規約54条1項5号に該当します。


 そこで、選択肢1で引用しました、標準管理規約53条2項
 「
2 次条(注:第54条)第1項第五号に掲げる事項については、理事の過半数の承諾がある ときは、書面又は電磁的方法による決議によることができる。
 とあり、
 これらから、組合員から、給排水管の改修を伴う浴室の改修工事についての「専有部分修繕等工事申請書」が提出されたので、理事の過半数の承諾を得て、電磁的方法により承認の決議をしたは、適切です。

 参考:コメント:第53条関係
 E 第2項は、本来、@のとおり、理事会には理事本人が出席して相互に議 論することが望ましいところ、例外的に、第54条第1項第五号に掲げる 事項については、
申請数が多いことが想定され、かつ、迅速な審査を要す るものであることから、書面又は電磁的方法(電子メール等)による決議 を可能とするものである


3.海外出張のため出席できない理事に対して、理事会の決議によって、議決権行使書により議決権を行使してもらった。

X 適切でない。 規約がないとだめ。 理事会の決議事項ではない。
 
 設問も、選択肢1で引用しました、コメント:
 「第53条関係
  C 理事がやむを得ず欠席する場合には、代理出席によるのではなく、事前に議決権行使書又は意見を記載した書面を出せるようにすることが考えら れる。
これを認める場合には、理事会に出席できない理事が、あらかじめ通知された事項について、書面をもって表決することを認める旨を、規約の明文の規定で定めることが必要である。
 とあり、
 海外出張のため出席できない理事に対して、理事会の決議によって、議決権行使書により議決権を行使してもらったは、事前に規約での定めがないため、適切ではありません。


4.不正が明らかになった会計担当理事の役職を解くため、入院中で出席できない理事に対して、理事会の決議によって、委任状により議決権を行使してもらった。

X 適切でない。 この場合も、規約の規定が必要。 理事会の決議ではできない。

 選択肢1や選択肢3の場合も当てはまりますが、基本的に、理事職に求められていることは、理事会を開いて、本人たちによる討議であるため、代理とか委任状による決議方法は適切な方法ではありません。
 そこで、病気にせよ、例外的な代理人の出席とか、委任状は、理事会の決議レベルでは、認めることはできません。事前に、規約の規定が必要です。
 よって、不正が明らかになった会計担当理事の役職を解くため、入院中で出席できない理事に対して、理事会の決議によって、委任状により議決権を行使してもらったは、事情は分かりますが、規約が無い以上、適切ではありません。
 なお、理事の役職を解くことは、理事会の決議で可能です。しかし、理事を辞任させることは、理事会ではできず、総会の決議事項です。



答え:2

 単なる規定やコメントから外れた、受験生の自己の判断を求める出題とは、管理業務主任者の試験として、適切ではないけど、管理業務主任者やマンション管理士試験に合格したのちを考えると、許されるか?

 選択肢2 が適切はすぐ分かるが、他の選択肢は、かなり、応用の判断を要求されて、選択肢2 で悩むと、少し難しい。

《タグ》標準管理規約 理事会 代理出席 修繕の申請 電磁的方法での決議 議決権行使書 委任状

問32

注:マンション標準管理規約(単棟型)は以下、当解説では、「単棟型」を略して、「標準管理規約」といいます。

  標準管理規約(単棟型)は、平成28年3月14日に大幅な改正があり、また、平成29年8月29日付で「民泊」で12条に改正があったので、注意のこと。
  マンション標準管理規約(複合用途型)も、平成29年8月29日付で、また、マンション標準管理規約(団地型)は、平成30年3月30日付で、改正があった。


【問 32】 専用使用権の設定された1 階に面する庭(以下、本問において「専用庭」という。)又はマンションの敷地上の駐車場に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、最も不適切なものはどれか。なお、駐車場は、現在、区分所有者のみが駐車場使用契約により使用しているものとする。

1.駐車場使用料は、総会の決議により値上げすることができる。

〇 適切である。  管理費や駐車場使用料は、総会で、金額を決められる。
  平成24年 管理業務主任者試験 「問13」 、平成23年 管理業務主任者試験 「問33」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問32」

 駐車場の使用料を値上げとなると、本来、標準管理規約だけでなく、区分所有法第31条(規約の設定、変更及び廃止)や判例によれば、とすべき出題だ。
 区分所有法第31条
 「(規約の設定、変更及び廃止)
 規約の制定、変更又は廃止が
一部の組合員の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。」
 この、「組合員の権利に特別の影響を及ぼすべきとき」とは、何かについては、裁判でも争いが多い規定です。詳細については、
 平成30年 マンション管理士試験 「問3」 など。


 単純に、標準管理規約の世界だけなら、標準管理規約48条
 「(議決事項)
  第48条
次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければならない。
   一 収支決算及び事業報告
   二 収支予算及び事業計画
   
三 管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法
   四 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止
   五 長期修繕計画の作成又は変更
   六 第28条第1項に定める特別の管理の実施並びにそれに充てるための資金の借入れ及び修繕積立金の取崩し
   七 第28条第2項及び第3項に定める建替え等に係る計画又は設計等の経費のための修繕積立金の取崩し
   八 修繕積立金の保管及び運用方法
   九 第21条第2項に定める管理の実施
   十 区分所有法第57条第2項及び前条第3項第三号の訴えの提起並びにこれらの訴えを提起すべき者の選任
   十一 建物の一部が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
   十二 区分所有法第62条第1項の場合の建替え及び円滑化法第108条第1項の場合のマンション敷地売却
   十三 役員の選任及び解任並びに役員活動費の額及び支払方法
   十四 組合管理部分に関する管理委託契約の締結
   十五 その他管理組合の業務に関する重要事項 」
 とあり、
 標準管理規約48条3号によれば、駐車場使用料は、総会の決議により値上げすることができるため、適切です。



2.専用庭使用料は、総会の決議により値上げすることができる。

〇 適切である。 使用料は、総会の決議により値上げすることができる。
 
 専用庭使用料も、使用料に該当しますから、選択肢1で引用しました、標準管理規約48条3号
 「(議決事項)
  第48条 次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければならない。
 三 管理費等及び
使用料の額並びに賦課徴収方法
 とあり、
 専用庭使用料は、総会の決議により値上げすることができるため、適切です。



3.区分所有者が専有部分を譲渡した場合、譲受人は、前区分所有者が管理組合と締結した駐車場使用契約に基づいて、その契約期間中は当該駐車場を使用することができる。

X 適切でない。 専有部分を譲渡すると、その駐車場の契約は解除される。次の譲受人には、引き継がない。
  平成26年 マンション管理士試験 「問27」 、平成24年管理業務主任者試験 「問35」、 平成21年マンション管理士試験 「問28」 

 駐車場の使用は、標準管理規約15条
 「(駐車場の使用)
  第15条 管理組合は、別添の図に示す駐車場について、特定の区分所有者に駐車場使用契約により使用させることができる。
 2 前項により駐車場を使用している者は、別に定めるところにより、管理組合に駐車場使用料を納入しなければならない。
 
3 区分所有者がその所有する専有部分を、他の区分所有者又は第三者に譲渡又は貸与したときは、その区分所有者の駐車場使用契約は効力を失う。
 とあり、
 標準管理規約15条3項によれば、区分所有者がその所有する専有部分を、他の区分所有者又は第三者に譲渡又は貸与したときは、その区分所有者の駐車場使用契約は効力を失うため、区分所有者が専有部分を譲渡した場合、譲受人は、前区分所有者が管理組合と締結した駐車場使用契約に基づいて、その契約期間中は当該駐車場を使用することができず、設問は適切ではありません。



4.区分所有者が専有部分を賃貸した場合、賃借人は、専用庭を使用することができるが、駐車場は当然には使用することができない。

〇 適切である。 駐車場の使用とバルコニーや専用庭では扱いが異なる。賃借人は、当然には、駐車場を使用できない。
  平成20年 マンション管理士試験 「問29」 
 
 まず、標準管理規約の考え方では、専有部分と一体として管理すべき、1階の専用庭、各戸のベランダやバルコニー、最上階にある屋上のテラスなどは、共用部分であるが、「専用使用」を認めるとしています。
 それが、標準管理規約14条
 「(バルコニー等の専用使用権)
  
第14条 区分所有者は、別表第4に掲げるバルコニー、玄関扉、窓枠、窓 ガラス、一階に面する庭及び屋上テラス(以下この条、第21条第1項及び別表第4において「バルコニー等」という。)について、同表に掲げるとおり、専用使用権を有することを承認する。
 2 一階に面する庭について専用使用権を有している者は、別に定めるところにより、管理組合に専用使用料を納入しなければならない。
 
3 区分所有者から専有部分の貸与を受けた者は、その区分所有者が専用使用権を有しているバルコニー等を使用することができる。
 です。
 専有部分と一体化しない、別の存在である、駐車場は、選択肢3で引用しましたように、別途の契約がないと、使用できなくしていますから、区分所有者が専有部分を賃貸した場合、賃借人は、専用庭を使用することができるが、駐車場は”当然には使用することができない”は、適切です。

 賃借人が、駐車場の使用を希望するなら、別途、契約が必要です。なお、”当然”とは、この場合、別途駐車場契約を締結しなくとも、駐車場を使用できることです。


答え: 3 

  解説は、細かくしたが、解答は、易しい。

  この、設問に関しては、別途、「マンション管理士 香川」が解説しています、 「マンションの駐車場の専用使用権をめぐる平成10年の最高裁判所の4件の判決について」  も、参考にしてください。

《タグ》標準管理規約 駐車場 専用使用権 賃貸

問33

注:マンション標準管理規約(単棟型)は以下、当解説では、「単棟型」を略して、「標準管理規約」といいます。

  標準管理規約(単棟型)は、平成28年3月14日に大幅な改正があり、また、平成29年8月29日付で「民泊」で12条に改正があったので、注意のこと。
  マンション標準管理規約(複合用途型)も、平成29年8月29日付で、また、マンション標準管理規約(団地型)は、平成30年3月30日付で、改正があった。


【問 33】 次の表は、各項目について、A欄には区分所有法の原則的な内容、B欄には標準管理規約の原則的な内容をそれぞれ記載したものであるが、A欄、B欄の内容の組み合わせとして、最も不適切なものは次の 1〜4 のうちどれか。


 *全体としての解説
  区分所有法で、規約で別段の規定を許しているのは、どの規定で、それが、標準管理規約では、具体的にどうなっていますかという、今までもよく出題されているまとめ的な出題です。

 以下に、表として纏めました。

番号  項目   A欄 : 区分所有法 B欄 : 標準管理規約 
 1  集会(総会)の招集通知は  区分所有法第35条1項
 「(招集の通知)
  第三十五条 集会の招集の通知は、
会日より少なくとも一週間前に、会議の目的たる事項を示して、各区分所有者に発しなければならない。ただし、この期間は、規約で伸縮することができる
 (以下、略)」
 標準管理規約43条
 「(招集手続) 第43条 総会を招集するには、
少なくとも会議を開く日の2週間前(会議 の目的が建替え決議又はマンション敷地売却決議であるときは2か月前) までに、会議の日時、場所及び目的を示して、組合員に通知を発しなけれ ばならない。
 (以下、略)」
 2  共用部分の負担の割合は  区分所有法第19条
 「(共用部分の負担及び利益収取)
 第十九条 各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。」
 とあり、
 その共用部分の持分は、区分所有法第14条
 「(共用部分の持分の割合)
  第十四条 
各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による
 2 前項の場合において、一部共用部分(附属の建物であるものを除く。)で床面積を有するものがあるときは、その一部共用部分の床面積は、これを共用すべき各区分所有者の専有部分の床面積の割合により配分して、それぞれその区分所有者の専有部分の床面積に算入するものとする。
 3 前二項の床面積は、壁その他の区画の
内側線で囲まれた部分の水平投影面積による(注:内のり計算)。
 4 
前三項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。」
 標準管理規約10条
 「(共有持分)
  第10条 各区分所有者の共有持分は、
別表第3に掲げるとおりとする。 」

 コメント:第10条関係
 @
共有持分の割合については、専有部分の床面積の割合によることとする。 ただし、敷地については、公正証書によりその割合が定まっている場合、 それに合わせる必要がある。 登記簿に記載されている面積は、内のり計算によるが、共有持分の割合の基準となる面積は、壁心計算(界壁の中心線で囲まれた部分の面積を算 出する方法をいう。)によるものとする。
 A 敷地及び附属施設の共有持分は、規約で定まるものではなく、分譲契約等によって定まるものであるが、本条に確認的に規定したものである。な お、共用部分の共有持分は規約で定まるものである。
 B なお、第46条関係Bで述べている価値割合による議決権割合を設定する場合には、分譲契約等によって定まる敷地等の共有持分についても、価値割合に連動させることが考えられる。
3   集会(総会)の議事の普通決議は  区分所有法第39条
 「(議事)
  第三十九条 集会の議事は、
この法律又は規約に別段の定めがない限り、区分所有者及び議決権の各過半数で決する
 2 議決権は、書面で、又は代理人によつて行使することができる。
 3 区分所有者は、規約又は集会の決議により、前項の規定による書面による議決権の行使に代えて、電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)によつて議決権を行使することができる。」
 標準管理規約47条
 「(総会の会議及び議事)
  第47条
総会の会議は、前条第1項に定める議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならない。
 2
総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する
 (以下、略)」
 4  集会(通常総会)の開催は  区分所有法第34条
 「(集会の招集)
 第三十四条 集会は、管理者が招集する。
 2 
管理者は、少なくとも毎年一回集会を招集しなければならない
 (以下、略)」
 標準管理規約42条
 「(総会)
 第42条 管理組合の総会は、総組合員で組織する。
 2 総会は、通常総会及び臨時総会とし、区分所有法に定める集会とする。
 3
理事長は、通常総会を、毎年1回新会計年度開始以後2か月以内に招集 しなければならない
 (以下、略)」


 ということで、紛らわしいのですが、設問の選択肢3の B欄「”総組合員”の議決権の過半数」は、「”出席組合員”の議決権の過半数」であるため、適切ではありません。


答え: 3

 
 過去にも、規約で別段の定めができる規定は、よく出題されていますので、まとめをしておいてください。
 
  解説のように、表にすると、区分所有法と標準管理規約の規定が分かり易い。しかし、面倒な出題方法。
  設問を読んで、すぐに分かる受験生は、少ないか。組合せ問題は、少し、難しい。

《タグ》区分所有法 別段の規定 標準管理規約 総会の通知の発信日 共用部分の負担 普通決議の要件 総会の開催

問34

【問 34】 区分所有法第 8条に規定される特定承継人の責任に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定によれば、誤っているものの組み合わせはどれか。

ア  債務者たる区分所有者の特定承継人とは、特定の原因により区分所有権を承継して実質的に区分所有関係に入る者をいい、単に当該区分所有権を転売する目的で取得した者は、特定承継人には該当しない。

X 誤っている。 単に転売目的で取得しても、特定承継人に該当する。
  特定承継人は、平成30年 管理業務主任者試験 「問10」 でもでている。
  平成28年 管理業務主任者試験 「問11」、 平成27年 マンション管理士試験 「問26」 、 平成26年 管理業務主任者試験 「問11」 、 平成24年 管理業務主任者試験 「問11」 、  平成21年 マンション管理士試験 「問3」 、 平成21年 管理業務主任者試験 「問11」 、平成20年 マンション管理士試験 「問2」 、平成20年 管理業務主任者試験 「問10」 、平成19年 管理業務主任者試験 「問10」 、 平成18年 マンション管理士試験 「問14」 、 平成17年 マンション管理士試験 「問15」 、 平成16年 管理業務主任者試験 「問11」 、 平成15年 管理業務主任者試験 「問9」 、 平成14年 マンション管理士試験 「問31」 、 平成13年 管理業務主任者試験 「問9」


 まず、区分所有法第8条
 「(特定承継人の責任)
  
第八条 前条第一項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。
 とあり、
 承継人には、@包括承継人とA特定承継人の、2つの種類があります。
  1. 包括承継人(一般承継人)とは
    他人の権利義務を一括して承継することを包括承継(一般承継ともいいます。)といい、承継する者を包括承継人といいます。
    例えば、相続により被相続人の権利義務を承継する相続人がその例です。
 包括承継の場合はその人の年金等一身専属的な権利を除きその人の権利義務の一切(包括的地位)を包括的に承継します。
 
2. 特定承継人とは
  他人の権利義務を個別的に取得することを特定承継といい、承継する者を特定承継人といいます。
 売買、交換、贈与などによる普通の権利の承継は、みな特定承継で、売買契約の譲受人(買主)などが特定承継人の典型例です。
 また、抵当権の実行により競売物件を競落して所有権を取得した競落人(買受人)も、特定承継人に該当します。
  ただし、区分所有建物の賃借人などの占有者は、区分所有法での特定承継人には該当しませんから、占有者に対して、滞納管理費等の支払い請求はできませんので注意してください。


 

 そこで、設問の、「債務者たる区分所有者の特定承継人とは、特定の原因により区分所有権を承継して実質的に区分所有関係に入る者をいい、単に当該区分所有権を転売する目的で取得した者は、特定承継人には該当しない」ですが、特定承継人とは、売買、交換、贈与などにより区分所有権を承継すれば、特定承継人に該当し、特に、実質的に区分所有関係に入る者とか、単に当該区分所有権を転売する目的で取得した者の区別はありませんから、適切ではありません。


イ  区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。

〇 正しい。 マンションでは、特定承継人は、前の区分所有者の債務を引き継ぐ。
  先取特権からの出題も多い。平成29年 管理業務主任者試験 「問35」 、平成28年 マンション管理士試験 「問3」 、 平成27年 管理業務主任者試験 「問38」 、 平成27年 管理業務主任者試験 「問2」 、 平成27年 マンション管理士試験 「問26」 、 平成27年 管理業務主任者試験 「問2」 、平成25年 管理業務主任者試験 「問2」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問3」 、 平成17年 マンション管理士試験 「問6」 なども。

 まず、設問は、区分所有法第7条
 「先取特権)
 第七条 
区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権についても、同様とする。
 2 前項の先取特権は、優先権の順位及び効力については、共益費用の先取特権とみなす。
 3 民法(明治二十九年法律第八十九号)第三百十九条の規定は、第一項の先取特権に準用する。

 とあり、
 区分所有法第7条1項により、区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有しています。
 この債権は、選択肢1で引用しました、区分所有法第8条
 「(特定承継人の責任)
 
 第八条 前条(注」第7条)第一項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。
 により、
 債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができますから、正しい。


 


ウ  区分所有者は、規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。

〇 正しい。 規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権も、特定承継人は、引き継ぐ。


 設問は、選択肢2で引用しました、区分所有法第7条1項
 「先取特権)
 第七条 区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は
規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権についても、同様とする。
 と、
 同じく、区分所有法第8条
 「(特定承継人の責任)
  
第八条 前条第一項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。
 により、
 区分所有者は、規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことがでますから、正しい。



エ  マンションの外壁の剥落事故により負傷した第三者は、事故後に当該マンションの区分所有者となった特定承継人に対して、その損害の賠償を請求することができる。

X 誤っている? 意味不明。 特に、規定がない?

  平成27年 管理業務主任者試験 「問37」 、平成25年管理業務主任者試験 〔問6」 、平成24年マンション管理士試験 「問16」 、 平成23年マンション管理士試験 「問2」 

 事故原因など設問の意味が不明です。
 
 通常、マンションの外壁は、共用部分で、その剥落事故なら、区分所有法第9条
 「第九条 建物の設置又は保存に瑕疵 (かし)があることにより他人に損害を生じたときは、その瑕疵 は、共用部分の設置又は保存にあるものと推定する。
 とありますが、
 これは、あくまでも推定規定で、外壁の剥落事故の責任が、事故時の区分所有者にあると、その区分所有者に損害賠償責任があり、特定承継人には、損害賠償を請求することはできません。

 このあたりを訊いているようなので、誤っているとします。



1 ア・イ
2 ア・ウ
3 ア・エ
4 イ・エ


答え: 3 (誤っているのは、 ア と エ)

 組合せ問題となると、少し難しい。
 
 しかし、選択肢エ は、出題意図が分からない愚問。

《タグ》区分所有法 特定承継人 債務 

問35

注:マンション標準管理規約(単棟型)は以下、当解説では、「単棟型」を略して、「標準管理規約」といいます。

  標準管理規約(単棟型)は、平成28年3月14日に大幅な改正があり、また、平成29年8月29日付で「民泊」で12条に改正があったので、注意のこと。
  マンション標準管理規約(複合用途型)も、平成29年8月29日付で、また、マンション標準管理規約(団地型)は、平成30年3月30日付で、改正があった。


【問 35】 マンションにおける平穏な居住環境の維持を目的として、暴力団員(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2 条第6 号に規定する暴力団員をいう。以下同じ。)への専有部分の貸与を禁止する場合等における次の記述のうち、区分所有法の規定、標準管理規約及び判例によれば、最も不適切なものはどれか。

1.組合員が、その専有部分を賃貸する場合、契約の相手方が暴力団員でないこと及び契約後に暴力団員にならないことを確約することを、当該賃貸借契約に定めなければならない。

〇 適切である。
  
  平成28年の改正で、追加された規定。
 なお、このような規定は、区分所有法にはありません。

 
 設問は、標準管理規約19条の2
 「(暴力団員の排除)
 第19条の2  
区分所有者は、その専有部分を第三者に貸与する場合には、前条に定めるもののほか、次に掲げる内容を含む条項をその貸与に係る契約に定めなければならない。
   一
契約の相手方が暴力団員(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第2条第六号に規定する暴力団員をいう。以下同じ。)ではないこと及び契約後において暴力団員にならないことを確約すること。
   二 契約の相手方が暴力団員であることが判明した場合には、何らの催告を要せずして、区分所有者は当該契約を解約することができること。
   三 区分所有者が前号の解約権を行使しないときは、管理組合は、区分所有者に代理して解約権を行使することができること。
 2 前項の場合において、区分所有者は、前項第三号による解約権の代理行使を管理組合に認める旨の書面を提出するとともに、契約の相手方に暴力団員ではないこと及び契約後において暴力団員にならないことを確約する旨の誓約書を管理組合に提出させなければならない。」
 とあり、
 標準管理規約19条の2 1項 1号によれば、組合員が、その専有部分を賃貸する場合、契約の相手方が暴力団員でないこと及び契約後に暴力団員にならないことを確約することを、当該賃貸借契約に定めなければならないは、適切です。



2.組合員が、その専有部分を賃貸する場合、契約の相手方が暴力団員であることが判明したときには、管理組合は、相当の期間を定めた催告後、区分所有者に代理して解約権を行使することができることを、当該賃貸借契約に定めなければならない。

X 適切でない。 この場合、相当の期間を定めた催告は不要。

 設問は、選択肢1で、引用しました、標準管理規約19条の2 1項2号及び3号
 「第19条の2  
区分所有者は、その専有部分を第三者に貸与する場合には、前条に定めるもののほか、次に掲げる内容を含む条項をその貸与に係る契約に定めなければならない
  
二 契約の相手方が暴力団員であることが判明した場合には、何らの催告を要せずして、区分所有者は当該契約を解約することができること
  三 区分所有者が前号の解約権を行使しないときは、管理組合は、区分所有者に代理して解約権を行使することができること。」
 とあり、
 標準管理規約19条の2 1項2号によれば、
何らの催告を要せずして、区分所有者は当該契約を解約することができるため、「相当の期間を定めた催告後・・・」は、適切ではありません。


3.組合員が所有する専有部分を暴力団組長に賃貸した場合、常時暴力団員が出入りするなど、居住者の日常生活に著しい障害を与えているときは、管理組合の管理者又は集会において指定された区分所有者は、区分所有法第60条に基づき、当該専有部分の占有者に弁明の機会を与え、当該賃貸借契約の解除及び専有部分の引渡しを請求することができる。

〇 正しい。 占有者には弁明の機会を与えること。 
 平成28年 マンション管理士試験 「問10」 、平成28年 管理業務主任者試験 「38」 、 平成26年 マンション管理士試験 「問8」 、平成24年 マンション管理士試験 「問26」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問10」 、 平成13年 マンション管理士試験 「問5」 

  これは、区分所有法からの出題。

  賃借人が、居住者の日常生活に著しい障害を与えていると、共同の利益違反として、区分所有法第60条
 「(占有者に対する引渡し請求)
  第六十条 第五十七条第四項に規定する場合において、第六条第三項において準用する同条第一項に規定する行為による
区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によつてはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもつて、当該行為に係る占有者が占有する専有部分の使用又は収益を目的とする契約の解除及びその専有部分の引渡しを請求することができる
 2 第五十七条第三項の規定は前項の訴えの提起に、第五十八条第二項及び第三項の規定は前項の決議に準用する。
 3 第一項の規定による判決に基づき専有部分の引渡しを受けた者は、遅滞なく、その専有部分を占有する権原を有する者にこれを引き渡さなければならない。

 とあります。
 条文で準用されている、第五十七条第四項は、
 「(共同の利益に反する行為の停止等の請求)
  第五十七条
  4 前三項の規定は、占有者が第六条第三項において準用する同条第一項に規定する行為をした場合及びその行為をするおそれがある場合に準用する。
  第六条第三項は、
 「(区分所有者の権利義務等)
  第六条 区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。
  
3 第一項の規定は、区分所有者以外の専有部分の占有者(以下「占有者」という。)に準用する
 第五十七条第三項の規定は、
 「(共同の利益に反する行為の停止等の請求)
  第五十七条
 
 3 管理者又は集会において指定された区分所有者は、集会の決議により、第一項の他の区分所有者の全員のために、前項に規定する訴訟を提起することができる。」
  第五十八条第二項及び第三項の規定は、
 「(使用禁止の請求)
  第五十八条
  2 前項の決議は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数でする。
  3 第一項の決議をするには、あらかじめ、当該区分所有者に対し、弁明する機会を与えなければならない。

 です。

 なお、この準用の第58条3項の条文は、第60条では占有者が対象で、この決議(契約解除や室の引渡し)に際しては、占有者に弁明の機会はあたえても、義務違反をしていない区分所有者に弁明の機会を与える必要ない、というのが 昭和62年7月17日の最高裁判所の判例 ですから、あらかじめ区分所有者に対して弁明の機会を与える必要はありません。

  これらによれば、組合員が所有する専有部分を暴力団組長に賃貸した場合、常時暴力団員が出入りするなど、居住者の日常生活に著しい障害を与えているときは、管理組合の管理者又は集会において指定された区分所有者は、区分所有法第60条に基づき、当該専有部分の占有者に弁明の機会を与え、当該賃貸借契約の解除及び専有部分の引渡しを請求することができるは、正しい。


 また、現実の裁判例として、最高裁判所:昭和62年7月17日
  「暴力団の組長が、マンションの1室を賃借して居住し、その組長の身辺警護で多くの組員が出入りし、駐車場を無断使用したり、ゴミを捨てたり、他の区分所有者を威嚇していた。そのため、他の区分所有者は恐怖感を抱き、また暴力団同士の抗争も発生する状況であった。これらは、区分所有法第60条に規定する区分所有者の共同の利益に反する行為をしたものであり、かつ将来もこれをするおそれがあつて、右行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によつてはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときに該当する。」
 もあります。



4.暴力団員である者又は暴力団員でなくなった日から 5年を経過しない者は、管理組合の役員となることができない。

〇 適切である。
  平成29年 マンション管理士試験 「問27」 

  平成28年の追加規定。

 今度は、標準管理規約36条の2 
 「(役員の欠格条項)
  第36条の2  
次の各号のいずれかに該当する者は、役員となることができない
   一 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
   二 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受ける ことがなくなった日から5年を経過しない者
   
三 暴力団員等(暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者をいう。)
 とあり、
 標準管理規約36条の2 3号によれば、暴力団員である者又は暴力団員でなくなった日から 5年を経過しない者は、管理組合の役員となることができないは、適切です。


答え:2

  
まだ、標準管理規約の平成28年の改正箇所から出題されるとは。
  選択肢2 は少し、難しいか

《タグ》区分所有法 標準管理規約 暴力団 契約解除 区分所有法第60条 

問36

【問 36】 1棟の区分所有建物の復旧に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1.建物の価格の 2分の1 以下に相当する部分が滅失した場合、規約に別段の定めがない限り、滅失した共用部分について、各区分所有者は、その復旧工事に着手するまでに、集会において、滅失した共用部分を復旧する旨の決議、建物の建替え決議又は団地内の建物の一括建替え決議があったときは、滅失した共用部分を復旧することができない。

〇 正しい。 小規模滅失(建物の価格の 2分の1 以下)では、復旧工事に未着手だと、集会の決議が優先する。

 平成22年 マンション管理士試験 「問9」 、 平成19年 管理業務主任者試験 「問37」 

 マンションの一部が滅失した時の復旧は、区分所有法第61条
 「(建物の一部が滅失した場合の復旧等)
 第六十一条 
建物の価格の二分の一以下に相当する部分が滅失したときは、各区分所有者は、滅失した共用部分及び自己の専有部分を復旧することができる。ただし、共用部分については、復旧の工事に着手するまでに第三項、次条第一項又は第七十条第一項の決議があつたときは、この限りでない。
 2 前項の規定により共用部分を復旧した者は、他の区分所有者に対し、復旧に要した金額を第十四条に定める割合に応じて償還すべきことを請求することができる。
 3 第一項本文に規定する場合には、集会において、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる。
 4 前三項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。

 5 
第一項本文に規定する場合を除いて、建物の一部が滅失したときは、集会において、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数で、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる。
 6 前項の決議をした集会の議事録には、その決議についての各区分所有者の賛否をも記載し、又は記録しなければならない。
 7 第五項の決議があつた場合において、その決議の日から二週間を経過したときは、次項の場合を除き、その決議に賛成した区分所有者(その承継人を含む。以下この条において「決議賛成者」という。)以外の区分所有者は、決議賛成者の全部又は一部に対し、建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。この場合において、その請求を受けた決議賛成者は、その請求の日から二月以内に、他の決議賛成者の全部又は一部に対し、決議賛成者以外の区分所有者を除いて算定した第十四条に定める割合に応じて当該建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。
 8 第五項の決議の日から二週間以内に、決議賛成者がその全員の合意により建物及びその敷地に関する権利を買い取ることができる者を指定し、かつ、その指定された者(以下この条において「買取指定者」という。)がその旨を決議賛成者以外の区分所有者に対して書面で通知したときは、その通知を受けた区分所有者は、買取指定者に対してのみ、前項前段に規定する請求をすることができる。
 9 買取指定者が第七項前段に規定する請求に基づく売買の代金に係る債務の全部又は一部の弁済をしないときは、決議賛成者(買取指定者となつたものを除く。以下この項及び第十三項において同じ。)は、連帯してその債務の全部又は一部の弁済の責めに任ずる。ただし、決議賛成者が買取指定者に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、この限りでない。
 10 第五項の集会を招集した者(買取指定者の指定がされているときは、当該買取指定者)は、決議賛成者以外の区分所有者に対し、四月以上の期間を定めて、第七項前段に規定する請求をするか否かを確答すべき旨を書面で催告することができる。
 11 前項に規定する催告を受けた区分所有者は、前項の規定により定められた期間を経過したときは、第七項前段に規定する請求をすることができない。
 12 第五項に規定する場合において、建物の一部が滅失した日から六月以内に同項、次条第一項又は第七十条第一項の決議がないときは、各区分所有者は、他の区分所有者に対し、建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。

 13 第二項、第七項、第八項及び前項の場合には、裁判所は、償還若しくは買取りの請求を受けた区分所有者、買取りの請求を受けた買取指定者又は第九項本文に規定する債務について履行の請求を受けた決議賛成者の請求により、償還金又は代金の支払につき相当の期限を許与することができる。

 とあり、
 かなりの長文です。


 要点は、
  ア. 1項から4項までが、建物の価格が 1/2以下 の「
小規模滅失による復旧」、
  イ. 5項から12項までが、建物の価格が 1/2超 の「
大規模滅失による復旧
  の規定となっており、建物の滅失の規模の大小を判断するのは、建物価格の1/2以下の滅失かどうか、がその基準となっています(1項・5項)。
 最後の13項は、小規模滅失と大規模滅失の両方での、償還請求での支払いや代金の支払い期限の許与という構成です。





 
 

 そこで、設問は、建物の価格の 2分の1 以下に相当する部分が滅失した場合(小規模滅失)ですから、規約で別段の定めがなく、まだ、各区分所有者が復旧に着手していないと、区分所有法第61条1項の規定、
 「第六十一条 
建物の価格の二分の一以下に相当する部分が滅失したときは、各区分所有者は、滅失した共用部分及び自己の専有部分を復旧することができる。
  ただし、共用部分については、復旧の工事に着手するまでに第三項(注:集会での復旧の決議)、次条第一項(注:第62条:建替え決議)又は第七十条第一項(注:団地での建替えの決議)の決議があつたときは、この限りでない。

 により、建物の価格の 2分の1 以下に相当する部分が滅失した場合、規約に別段の定めがない限り、滅失した共用部分について、各区分所有者は、その復旧工事に着手するまでに、集会において、滅失した共用部分を復旧する旨の決議、建物の建替え決議又は団地内の建物の一括建替え決議があったときは、滅失した共用部分を復旧することができないは、正しい。



2.建物の価格の2 分の 1を超える部分が滅失(以下、本問において「大規模滅失」という。)した場合、復旧の決議がされた後 2週間を経過したときは、復旧の決議に賛成しなかった者(以下、本問において「決議非賛成者」という。)は、賛成者(以下、本問において「決議賛成者」という。)の全部又は一部に対して、その者が有する建物及び敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求(以下、本問において「買取請求」という。)することができる。

〇 正しい。 復旧の決議に反対者は、決議の2週間後から、買取請求をして、マンションから出ていく。
  平成29年 マンション管理士試験 「問9」 、 平成19年 マンション管理士試験 「問9」  

 今度は、区分所有法第61条5項から12項までに規定される、建物の価格が 1/2超 の「大規模滅失による復旧」です。
 大規模滅失となると、もう区分所有者個人では対応ができず、集会で復旧を決議します。しかし、区分所有者の中には、復旧に反対の人もいるでしょう。
 その決議非賛成者は、マンションから出ていくことになります。


 そこで、設問は、選択肢1で引用しました、区分所有法第61条7項
 「7 
第五項(注:滅失した共用部分の復旧)の決議があつた場合において、その決議の日から二週間を経過したときは、次項の場合(注:買取指定者がいる場合)を除き、その決議に賛成した区分所有者(その承継人を含む。以下この条において「決議賛成者」という。)以外の区分所有者は、決議賛成者の全部又は一部に対し、建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。
 この場合において、その請求を受けた決議賛成者は、その請求の日から二月以内に、他の決議賛成者の全部又は一部に対し、決議賛成者以外の区分所有者を除いて算定した第十四条に定める割合に応じて当該建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。

 とあり、
 建物の価格の2 分の 1を超える部分が滅失(以下、本問において「大規模滅失」という。)した場合、復旧の決議がされた後 2週間を経過したときは、復旧の決議に賛成しなかった者(以下、本問において「決議非賛成者」という。)は、賛成者(以下、本問において「決議賛成者」という。)の全部又は一部に対して、その者が有する建物及び敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求(以下、本問において「買取請求」という。)することができる、正しい。


 


3.大規模滅失した場合、復旧の決議の日から2 週間以内に、決議賛成者の全員の合意により買取指定者が指定され、決議非賛成者が、当該買取指定者から書面でその旨の通知を受け取ったときは、以後、決議非賛成者は、その買取指定者に対してのみ、買取請求を行うことができる。

〇 正しい。 大規模滅失で、買取指定者が決められると、その買取指定者に対してのみ、買取請求を行うことになる。
 平成22年 マンション管理士試験 「9」 

 設問は、大規模滅失で、選択肢1で引用しました、区分所有法第61条8項
 「
8 第五項(注:復旧)の決議の日から二週間以内に、決議賛成者がその全員の合意により建物及びその敷地に関する権利を買い取ることができる者を指定し、かつ、その指定された者(以下この条において「買取指定者」という。)がその旨を決議賛成者以外の区分所有者に対して書面で通知したときは、その通知を受けた区分所有者は、買取指定者に対してのみ、前項前段(注:買取請求)に規定する請求をすることができる。
 とあり、
 建物と敷地に関する権利を買い取れといわれても、復旧賛成者にお金が無ければ、決議から2週間以内に復旧賛成者は全員で合意して、「買取指定者(ディベロッパーなど)」を指定します。
 この買取指定者(複数でも可)が、反対者などに、決議から2週間以内に書面で、買取指定者に指定されたので私が「買います」と通知すれば、反対者などは、買取指定者に買取の請求をします。
 これで、他の賛成者の方に買い取れとはいえなくなる仕組みですから、大規模滅失した場合、復旧の決議の日から2 週間以内に、決議賛成者の全員の合意により買取指定者が指定され、決議非賛成者が、当該買取指定者から書面でその旨の通知を受け取ったときは、以後、決議非賛成者は、その買取指定者に対してのみ、買取請求を行うことができるは、正しい。


 


4.買取指定者が、買取請求に基づく売買の代金に係る債務の弁済をしないときは、当該債務について、決議賛成者は、当該買取請求を行う者に対して、決議非賛成者を除いて算定した区分所有法第14条に定める割合に応じて弁済の責めに任じられる。 

X 誤っている。 買取指定者が支払えないと、決議者賛成者は、連帯して責任を負う。専有部分の床面積比ではない。

 設問は、大規模滅失で、選択肢1で引用しました、区分所有法第61条9項
 「9 
買取指定者が第七項前段(注:買取請求)に規定する請求(基づく売買の代金に係る債務の全部又は一部の弁済をしないときは、決議賛成者(買取指定者となつたものを除く。以下この項及び第十三項において同じ。)は、連帯してその債務の全部又は一部の弁済の責めに任ずる。ただし、決議賛成者が買取指定者に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、この限りでない。
 とあり、
 指定した買取者に資力が充分にない(買い取り金を払えない)と困るので、そのときは、復旧決議の賛成者の
連帯責任となります。あとは、民法第432条以下の適用となります。
 勿論、買取指定者がお金を持っていることを、証明すれば、連帯責任は逃れられますが。
 そこで、設問の区分所有法第14条(注:専有部分の床面積)に定める割合に応じて弁済の責めに任じられるは、誤りです。
 決議賛成者の連帯責任となります。



答え: 4

  かなり、詳細に解説したので、時間が2時間もかかった。
  ここは、条文をチャンと理解していないと、難しい。

《タグ》区分所有法 復旧 小規模滅失 大規模滅失 買取請求 買取指定者制度 連帯債務

問37

注:マンション標準管理規約(単棟型)は以下、当解説では、「単棟型」を略して、「標準管理規約」といいます。

  標準管理規約(単棟型)は、平成28年3月14日に大幅な改正があり、また、平成29年8月29日付で「民泊」で12条に改正があったので、注意のこと。
  マンション標準管理規約(複合用途型)も、平成29年8月29日付で、また、マンション標準管理規約(団地型)は、平成30年3月30日付で、改正があった。


【問 37】 標準管理規約に定める、マンションの管理に外部専門家を活用する場合の次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1.「理事・監事外部専門家型」とは、理事会管理方式において、理事や監事に外部専門家が加わり、理事会の運営面の不全の改善を図るものであり、外部役員の選任・解任規定、役員の欠格要件、外部役員の業務執行のチェック体制について規約の規定等の整備が必要である。

〇 適切である。

 平成28年3月の標準管理規約の改正点。 しかも、コメントの後の方についている、外部専門家の活用パターンからの出題。

 マンションの管理組合の運営は、区分所有者達の自主管理が望ましいのですが、最近の区分所有者は、管理組合の運営には無関心で、また、区分所有者の高齢化も進み、複雑な管理組合の運営を区分所有者だけで行うことが難しくなっています。
 この現状を鑑みて、マンションを監理しています国土交通省では、
マンション管理士など区分所有者以外のマンション管理の専門家を、管理組合の役員にしてはどうかと、提案しています。

 そこで、標準管理規約においては、以下の3つのパターンを示しています。
 (1)理事・監事外部専門家型又は理事長外部専門家型、
 (2)外部管理者理事会監督型、
 (3)外部管理者総会監督型 


 
  具体的には、(1)理事・監事外部専門家型又は理事長外部専門家型とは、以下の図のようになっています。
 

 コメント
 【論点・課題と標準管理規約における規定等の整備】
 ・外部役員の選任・解任 →第35条第2項・第4項、コメント第35条関係@D
 ・役員の欠格要件 →第36条の2、コメント第36条の2関係
 ・外部役員の業務執行のチェック体制の構築(理事会によるチェックの補完)


  そこで、「理事・監事外部専門家型」とは、理事会管理方式において、理事や監事に外部専門家が加わり、理事会の運営面の不全の改善を図るものであり、外部役員の選任・解任規定、役員の欠格要件、外部役員の業務執行のチェック体制について規約の規定等の整備が必要であるは、適切です。


2.「理事長外部専門家型」とは、理事会管理方式において、理事長に外部専門家が加わるものであり、理事長の選任・解任規定、理事長の業務執行に関する理事会の監督体制について規約の規定等の整備が必要である。

〇 適切である。

 選択肢1で引用した図の説明にありますように、
  (1)理事・監事外部専門家型又は理事長外部専門家型の内、「理事長外部専門家型」とは、理事会管理方式において、理事長に外部専門家が加わるものであり、理事長の選任・解任規定、理事長の業務執行に関する理事会の監督体制について規約の規定等の整備が必要であるは、適切です。

 【論点・課題と標準管理規約における規定等の整備】
 →理事会の権限として理事の職務執行の監督等の位置付け(第51条第2項、コメント第51条関係)
 →理事長の職務執行の状況の理事会への定期報告義務(第38条第4項、コメント第38条関係A)



3.「外部管理者理事会監督型」とは、理事長が管理者を兼任することを撤廃し、外部専門家による管理者管理方式をとるものであり、理事会が監事的立場となり、管理者の業務執行を直接に監視するものである。

〇 適切である。

 「外部管理者理事会監督型」とは、以下の図のようなものです。

  

 そこで、「外部管理者理事会監督型」とは、理事長が管理者を兼任することを撤廃し、外部専門家による管理者管理方式をとるものであり、理事会が監事的立場となり、管理者の業務執行を直接に監視するものであるは、適切です。


4.「外部管理者総会監督型」とは、理事会制度を撤廃し、管理者管理方式をとるもので、管理者及び監事を外部専門家が担当し、各区分所有者は、総会を通じた監督にとどまることから管理の負担は最も軽減される。

X 適切でない。 理事会制度はないが、監事は区分所有者が選任される。

 「外部管理者総会監督型」では、下の図のように、理事会制度は、ありません。また、管理者に外部の専門家がなりますが、監事は、区分所有者が選任されて、管理者である外部の専門家を監視します。当然に総会は無くなりませんから、管理者は、監事と総会の監視を受けますから、管理者”及び監事を外部専門家が担当し”は、適切ではありません。
 また、設問の、「管理の負担は最も軽減される」は、経費を考えると、意味が不明です。


  

  ・外部管理者=区分所有法上の管理者とする
  ・理事会(理事)の廃止

  ・区分所有者からは監事を選任して監視するとと もに、全区分所有者で構成する総会が監視する ものであり、総会の役割は重要。



答え: 4 

  まあ、国土交通省の役人が、時間をかけて平成28年改正の標準管理規約のコメントに載せたものだから、出題者もその努力を”忖度”しての「マンションの管理に外部専門家を活用する場合」を出題したと思われるが、こんなコメントからの「理事・監事外部専門家型又は理事長外部専門家型」、などは世間、一般に認められた用語でなく、また問題点などの指摘も、各方面からの議論により公認されたものではないため、設問としては、実に不適切だと、厳しく指摘します。

  こんな箇所からの出題は、解説に時間がかかる!

《タグ》標準管理規約 コメント 外部専門家の活用 理事・監事外部専門家型又は理事長外部専門家型 外部管理者理事会監督型 外部管理者総会監督型 

問38

注:マンション標準管理規約(単棟型)は以下、当解説では、「単棟型」を略して、「標準管理規約」といいます。

  標準管理規約(単棟型)は、平成28年3月14日に大幅な改正があり、また、平成29年8月29日付で「民泊」で12条に改正があったので、注意のこと。
  マンション標準管理規約(複合用途型)も、平成29年8月29日付で、また、マンション標準管理規約(団地型)は、平成30年3月30日付で、改正があった。


【問 38】 専有部分の範囲に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、不適切なものはいくつあるか。

ア.  天井、床及び壁は、躯体の中心線から内側が専有部分である。

X 適切でない。 天井、床及び壁は、躯体部分を除く部分が専有部分。
  平成28年 マンション管理士試験 「問28」

  マンションでは、建物において、専有部分か共用部分かで、その責任分担が異なるため、注意が必要です。

  

  これを受け、標準管理規約7条
 「(専有部分の範囲)
  第7条 対象物件のうち区分所有権の対象となる専有部分は、住戸番号を付 した住戸とする。
 2 前項の専有部分を他から区分する構造物の帰属については、次のとおり とする。
   
一 天井、床及び壁は、躯体部分を除く部分を専有部分とする。
   二 玄関扉は、錠及び内部塗装部分を専有部分とする。
   三 窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれないものとする。
 3 第1項又は前項の専有部分の専用に供される設備のうち共用部分内にある部分以外のものは、専有部分とする。」

 コメント:第7条関係
 「C 雨戸又は網戸がある場合は、第2項第三号に追加する。」
 とあり、
 標準管理規約7条2項1号によれば、天井、床及び壁は、躯体部分を除く部分が専有部分であるため、天井、床及び壁は、躯体の中心線から内側が専有部分は、適切ではありません。

 でも、この言葉「躯体の中心線から内側」をイメージできますか。

 

  参考;躯体なら全て共用部分
  「別表第2
共用部分の範囲
 1 エントランスホール、廊下、階段、エレベーターホール、エレベーター室、共用トイレ、屋上、 屋根、塔屋、ポンプ室、自家用電気室、機械室、受水槽室、高置水槽室、パイプスペース、メータ ーボックス(給湯器ボイラー等の設備を除く。)、
内外壁、界壁、床スラブ、床、天井、柱、基礎 部分、バルコニー等専有部分に属さない「建物の部分」
 2 エレベーター設備、電気設備、給水設備、排水設備、消防・防災設備、インターネット通信設備、 テレビ共同受信設備、オートロック設備、宅配ボックス、避雷設備、集合郵便受箱、各種の配線配 管(給水管については、本管から各住戸メーターを含む部分、雑排水管及び汚水管については、配 管継手及び立て管)等専有部分に属さない「建物の附属物」
 3 管理事務室、管理用倉庫、清掃員控室、集会室、トランクルーム、倉庫及びそれらの附属物 」

 コメント:第10条関係 (「問33」も参考に)
 @ 共有持分の割合については、専有部分の床面積の割合によることとする。 ただし、敷地については、公正証書によりその割合が定まっている場合、 それに合わせる必要がある。 登記簿に記載されている面積は、内のり計算によるが、共有持分の割合 の基準となる面積は、壁心計算(界壁の中心線で囲まれた部分の面積を算 出する方法をいう。)によるものとする。



イ.  玄関扉は、錠及び内部塗装部分のみが専有部分である。

〇 適切である。 玄関扉は、錠及び内部塗装部分のみが専有部分。

 選択肢アで引用しました、標準管理規約7条2項2号
 「2 前項の専有部分を他から区分する構造物の帰属については、次のとおり とする。
  
二 玄関扉は、錠及び内部塗装部分を専有部分とする。」
 とあり、
 適切です。

 どうしてかを考えること。



ウ.  窓枠は専有部分に含まれないが、窓ガラスは専有部分である。

X 適切でない。 窓枠も窓ガラスも専有部分ではない。


 選択肢アで引用しました、標準管理規約7条2項3号
 「2 前項の専有部分を他から区分する構造物の帰属については、次のとおり とする。
  
三 窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれないものとする。 」
  とあり、
 窓枠も窓ガラスも専有部分ではありませんから、適切ではありません。
 ただし、専用使用権は、区分所有者にあります。



エ.  雨戸又は網戸は、専有部分に含まれない。

〇 適切である。 雨戸又は網戸があれば、専有部分に含まれないとする。


 選択肢アで引用しました、標準管理規約7条のコメント 第7条関係
 「C 雨戸又は網戸がある場合は、第2項第三号に追加する。」
 とあり、
 雨戸又は網戸は、専有部分に含まれないは、適切です。



1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ


答え: 2  (適切でないのは、 ア と ウ の2つ。)

  このあたりは、個数問題だが、基本で易しい。

 玄関扉の錠や専用使用権は、どうしてかを理解しておくこと。

《タグ》標準管理規約 専有部分 共用部分 躯体 玄関扉 雨戸

問39

【問 39】 以下の文章は、マンションの管理組合が有する管理費等の債権が、民法第169条に定める5年の消滅時効に服すると判示した最高裁判所の判決の一部である。その文中の( ア )〜( エ )に入るべき語句の組み合わせとして、正しいものは次の1〜4のうちどれか。

「管理費等の債権は、・・(略)・・、( ア )の規定に基づいて、区分所有者に対して発生するものであり、その具体的な額は( イ )の決議によって確定し、月ごとに所定の方法で支払われるものである。このような・・(略)・・管理費等の債権は、基本権たる( ウ )から派生する( エ )として、民法169条所定の債権に当たるというべきである。」



 *管理費等の消滅時効として有名な判例:平成16年4月23日の最高裁判所の判決

 管理費や修繕積立金として具体化された管理組合へ納入すべき債権に関し、滞納があった場合に、その消滅時効期間について定期給付債権(民法第169条)に該当し
5年間とする考えと、一般債権(民法第167条1項)に該当して10年間とする考えがありました。
 しかし、現在では、平成16年4月23日の最高裁判所の判決 により、滞納管理費などの請求は”
5年”で消滅時効となっています

 民法第169条
 「(定期給付債権の短期消滅時効)
 第百六十九条 年又はこれより短い時期によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権は、五年間行使しないときは、消滅する。」

 判決文:
 「本件の管理費等の債権は,前記のとおり, 
(ア)管理規約 の規定に基づいて,区分所有者に対して発生するものであり,その具体的な額は (イ)総会 の決議によって確定し,月ごとに所定の方法で支払われるものである。このような本件の管理費等の債権は,基本権たる (ウ)定期金債権 から派生する (エ)支分権 として,民法169条所定の債権に当たるものというべきである。」

 とあり、
 (ア)管理規約 (イ)総会 (ウ)定期金債権 (エ)支分権



答え:4 

  過去問題をやっていれば、かなり 易しい。

  管理業務主任者試験の「問39」は、例年、判例から出題されますから、主な判例は、「マンション管理士 香川事務所」 が無料で提供しています「超解説 区分所有法」で勉強しておいてください。

 この判例は、「超解説 区分所有法」の第19条「共用部分の負担及び利益収取」にあります。

《タグ》判例 定期給付債権の短期消滅時効 管理費等 5年

問40

【問 40】 買主Aが売主Bからマンションの 住戸を買ったところ、その専有部分について瑕疵(以下、本問において「本件瑕疵」という。)があった場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、AとBは、ともに宅地建物取引業者ではない個人とする。

1.売買契約において、BがAに対して本件瑕疵の担保責任を一切負わない旨の特約をした場合には、Bが本件瑕疵を知りながら、Aに告げなかったときであっても瑕疵担保責任を負わない。

X 誤っている。 特約をしても、売主が瑕疵を知っていて、買主に告げない時は、瑕疵担保責任を負う。

  売主の瑕疵担保責任からの出題も多い。そこで、 別サイトを作りました。
   http://www.higuchi-fit.co.jp/mezase/kashi-tanpo/kashi-tanpo.htm  瑕疵担保責任のまとめ


 平成29年 管理業務主任者試験 「問41」 、 平成29年 マンション管理士試験 「問15」 、 平成28年 管理業務主任者試験 「問41」 、 平成27年 管理業務主任者試験 「問40」 、 平成27年 マンション管理士試験 「問17」、  平成26年 管理業務主任者試験 「問40」 、 平成26年マンション管理士試験 「問17」平成25年マンション管理士試験 「問17」 、平成25年管理業務主任者試験 「問40」、 平成24年マンション管理士試験 「問14」 、平成24年管理業務主任者試験 「問40」、 平成23年 マンション管理士試験 「問12」 、 平成23年 管理業務主任者試験 「問41」 、 平成22年 マンション管理士試験 「問13」 、 平成22年 管理業務主任者試験 「問42」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問4」 、 平成21年 管理業務主任者試験 「問41」 「問42」 、平成20年 マンション管理士試験 「問16」 、平成20年 管理業務主任者試験 「問41」 など。

 まず、民法での売主の瑕疵担保責任とは、売買の対象物に通常の注意を払っても発見できない品質や性能の不備(瑕疵です)があれば、買主が支払った金額は公平でありません。そこで、民法では売主に対して、故意や過失がなく(無過失)ても、契約の解除や損害賠償などの責任を負わせることにしています。
 それが、民法で定める「売主の瑕疵担保責任」といわれています。


 具体的には、民法第570条
 「
売主の瑕疵担保責任
 第五百七十条 
売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第五百六十六条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。」

 とあり、
 準用されています、民法第566条は、
 「
(地上権等がある場合等における売主の担保責任)
 第五百六十六条 売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、
買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。
2 前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。
3 前二項の場合において、
契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。」

 とあります。
 
  売主の瑕疵担保責任では、買主は事実を知った時(瑕疵を発見した時)から一年以内(除斥期間)に、
  @契約の解除
  A解約ができないときには、損害賠償請求   そして、
  B解除により損害が発生していれば、その損害賠償請求 ができます。
 しかし、民法では、”修補の請求は認めていません”。ここが、民法での注意点です。
 また、任意の特約もできます。
 それは、民法第572条
 「
(担保責任を負わない旨の特約
 第五百七十二条 
売主は、第五百六十条から前条までの規定による担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない。

 です。


 

 そこで、設問の売買契約において、売主Bが買主Aに対して本件瑕疵の担保責任を一切負わない旨の特約をした場合の特約は有効です。
 しかし、
売主Bが本件瑕疵を知りながら、買主Aに告げなかったときなら、民法第572条により瑕疵担保責任を負いますから、瑕疵担保責任を負わないは、誤りです。


2.売買契約において、別段の特約がない限り、Aが、売買の目的物の引渡しを受けた時から 1年以内にBに対して請求をしなければ、Bは瑕疵担保責任を免れる。

X 誤っている。 瑕疵担保責任の除斥期間は、買主が事実を知った時(瑕疵を発見した時)から一年以内(除斥期間)。売買の目的物の引渡しを受けた時から 1年以内ではない。

 選択肢1で説明しました、民法第566条3項
 「 3 前二項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない
 とあり、
 売主Bが、瑕疵担保責任を免れるのは、
”買主が事実を知った時から一年以内に請求をしない場合”であって、買主Aが、売買の”目的物の引渡しを受けた時から 1年以内”は、誤りです。


3.売買契約において、AとBが瑕疵担保責任について何らの取り決めをしなかった場合でも、AはBに対して、瑕疵担保責任を追及することができる。

〇 正しい。 民法の売主の瑕疵担保責任は、売買で当然に生じる責任。


 選択肢1でも説明しましたが、民法の売主の瑕疵担保責任は、売主の無過失責任(売主に故意・過失がなくても責任がある)ですから、売買契約において、買主Aと売主Bが瑕疵担保責任について何らの取り決めをしなかった場合でも、買主Aは売主Bに対して、瑕疵担保責任を追及することができるため、正しい。


4.AがBに対して、瑕疵の修補請求をするときは、Bが定める補修方法によらなければならない旨の特約は無効である。

X 誤っている。 この場合の特約は有効。

 選択肢1でも説明しましたが、民法第572条により、買主・売主間での瑕疵担保責任を負わない特約は有効です。
 また、民法では、”修補の請求”は認めていません。
 そこで、買主Aが売主Bに対して、瑕疵の修補請求をするときは、売主Bが定める補修方法によらなければならない旨の特約は、有効です。無効は、誤りです。



答え:3

  過去問題をやっていれば、易しい。

 例年、売主の瑕疵担保責任は1問はでます。 別サイト、「瑕疵担保責任のまとめ」  も作っていいます。
 正しく、「目指せ! マンション管理士・管理業務主任者」 のサイトは、至れりつくせりです。 (「マンション管理士 香川事務所」の自画自賛でした。)

 なお、売主の瑕疵担保責任も、民法の2020年 4月 1日施行により、「隠れた瑕疵」から「契約の内容に適合しないもの」、売主に過失が必要、修補請求ができる、などに改正されますから、注意してください。

《タグ》民法 売主の瑕疵担保責任 買主が事実を知った時(瑕疵を発見した時)から一年以内 売主の無過失責任 特約

問41

【問 41】 消費者契約法の適用に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1.宅地建物取引業者ではないA株式会社が、宅地建物取引業者であるB株式会社に対し、社宅用としてマンションの1住戸を売却する契約には、消費者契約法が適用されない。

〇 正しい。 共に法人の事業者で個人ではない。
 平成28年 管理業務主任者試験 「問42」 、平成26年 管理業務主任者試験 「問44」 、 平成23年管理業務主任者試験 「問43」 、 平成18年管理業務主任者試験 「問43」 、 平成17年管理業務主任者試験 「問44」 など。
  消費者契約法からは、時々出題がある。


 まず、消費者契約法とは、消費者が事業者と契約をするとき、両者の間には持っている情報の質・量や交渉力に格差があります。このような状況を踏まえて消費者の利益を守るため、平成13年4月1日に消費者契約法が施行されました。同法は、消費者契約について、不当な勧誘による契約の取消しと不当な契約条項の無効等を規定しています。
また、平成18年の法改正により消費者団体訴訟制度が導入され、平成19年6月より運用されており、平成20年の法改正では、消費者団体訴訟制度の対象が景品表示法と特定商取引法に、平成25年の法改正では、食品表示法に拡大されました。
その後、平成28年、平成30年には、取り消しうる不当な勧誘行為の追加、無効となる不当な契約条項の追加等の民事ルールの改正が行われました。


 そこで、大切なのは、対象となる、「消費者」と「事業者」の区別。
 具体的には、消費者契約法第2条
 「(定義)
  第二条 この法律において「
消費者」とは、個人(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く。)をいう。
 2 この法律(第四十三条第二項第二号を除く。)において
「事業者」とは、法人その他の団体及び事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人をいう
 3 この法律において「消費者契約」とは、消費者と事業者との間で締結される契約をいう。」
 4 この法律において「適格消費者団体」とは、不特定かつ多数の消費者の利益のためにこの法律の規定による差止請求権を行使するのに必要な適格性を有する法人である消費者団体(消費者基本法(昭和四十三年法律第七十八号)第八条の消費者団体をいう。以下同じ。)として第十三条の定めるところにより内閣総理大臣の認定を受けた者をいう。

 です。
 つまり、消費者契約法で定義する
  ・「消費者」とは、個人ですが「事業としてでもなく、事業のためにでもなく」 契約の当事者となる主体を意味し、
  ・「事業者」とは、法人その他の団体及び「事業として又は事業のために」 契約の当事者となる主体を意味する。

  消費者契約法第2条1号の個人での「事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く」が重要です。
  

 ということで、設問の、宅地建物取引業者ではないA株式会社が、宅地建物取引業者であるB株式会社に対し、社宅用としてマンションの1住戸を売却する契約には、消費者契約法が適用されない、を検討しますと、
   ・A株式会社(法人) → 事業者(個人でない)
   ・B株式会社(法人) → 事業者(個人でない) 
  ため、 消費者契約法が適用されないは、正しい。


2.複合用途の賃貸用共同住宅を経営する個人Cが、個人経営者であるDに、当該共同住宅の1 階の店舗部分をDの事業のために賃貸する契約には、消費者契約法が適用される。

X 誤っている。 共に個人であっても事業をしているので、消費者契約法が適用されない。


 選択肢1で説明しましたように、個人Cであっても、複合用途の賃貸用共同住宅を経営するなら、事業をしているので、個人事業者となり消費者から除かれます。
 また、個人経営者であるDは、事業のために賃貸するため、これも、事業をしているので、消費者から除かれますから、消費者契約法が適用されないので、適用されるは、誤りです。



3.宅地建物取引業者である個人Eが、賃貸用共同住宅を経営する個人Fから、自らの居住用として当該共同住宅の1室を賃借する契約には、消費者契約法が適用される。

〇 正しい。 消費者と 個人事業者の関係になる。

 選択肢1で説明しましたように、個人Eは、宅地建物取引業者であっても、自らの居住用として当該共同住宅の1室を賃借する契約なら、消費者契約法では、消費者の「個人」です。
 設問では個人Fと言っていますが、賃貸用共同住宅を経営するなら、事業をしているので、Fは、個人事業者です。
 よって、消費者契約法が適用されますから、正しい。



4.賃貸用共同住宅を経営する個人Gが、宅地建物取引業者であるH株式会社に対し、当該共同住宅の媒介を依頼する契約には、消費者契約法が適用されない。

〇 正しい。 共に事業者である。

 選択肢1で説明しましたように、
 ・賃貸用共同住宅を経営する個人Gは、事業をしているので、消費者から除かれ、個人事業者です。
 ・宅地建物取引業者であるH株式会社は、法人の事業者です。
 よって、共に事業者では、消費者契約法が適用されず、正しい。



答え: 2  

 紛らわしい出題「個人」に誤魔化されないこと。 どんな出題に対してもですが、法の本質から、理解しておくことです。
 かなり、難しい。

《タグ》消費者契約法 消費者 事業者 個人

問42

【問 42】 区分所有者Aが、自己所有のマンションの専有部分甲(以下、本問において「甲」という。)をBに賃貸する場合に関する次の記述のうち、民法、借地借家法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、AB間の賃貸借契約は、定期建物賃貸借契約ではないものとする。

1.AB間において、一定期間、賃料を増額しない旨の特約がある場合には、経済事情の変動により、当該賃料が近傍同種の建物に比較して不相当になったときでも、Aは、当該特約に定める期間、増額請求をすることができない。

〇 正しい。 特約で一定期間賃料を増額しないとあると、増額できない。
 借地借家法からも、1問は出題される。 平成30年 マンション管理士試験 「問15」 、 平成28年 管理業務主任者試験 「40」、  平成27年 管理業務主任者試験 「問44」 平成26年 マンション管理士試験 「問12」 、 平成26年 管理業務主任者試験 「問43」 、 平成25年 管理業務主任者試験 「問42」 、 平成24年 管理業務主任者試験 「問43」 、 平成23年 管理業務主任者試験 「問44」 、  平成22年 管理業務主任者試験 「問44」 、平成21年 管理業務主任者試験 「問45」 、 平成20年 管理業務主任者試験 「問43」 など。

 賃料増額は、借地借家法第32条
 「(借賃増減請求権)
  第三十二条 
建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができるただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う
 2 建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年一割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。
 3 建物の借賃の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた建物の借賃の額を超えるときは、その超過額に年一割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。

 とあり、
 借地借家法第32条1項の但し書きによれば、一定期間、賃料を増額しない旨の特約がある場合ならば、経済事情の変動により、当該賃料が近傍同種の建物に比較して不相当になったときでも、貸主Aは、当該特約に定める期間、増額請求をすることができないは、正しい。


2.AB間で賃貸借契約を締結し、Bが入居した後に、Aが甲を第三者Cに譲渡し、Cが移転登記をした場合でも、Cに賃貸人たる地位が移転した旨をAがBに通知しなければ、Cに賃貸人の地位は移転しない。

X 誤っている。 この場合、登記をすれば、賃借人に通知をしなくても、新しい賃貸人が旧賃貸人の地位を引き継ぐ。
  平成28年 マンション管理士試験 「問14」 、 平成28年 管理業務主任者試験 「問40」 、

 設問の意図が分かりますか?
 人物が入り組んでいるときは、下のような図を書きましょう。


 

 まずどうして、所有権が移転したのに、賃借人に通知が必要なのかというと、それは、民法第467条
 「(指名債権の譲渡の対抗要件)
  第四百六十七条 
指名債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。
 2 前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。

 とあるのも一因です。


 具体的には、賃貸借契約の性格から、債権と債務を含む契約での解除などを行えるのは、契約の当事者(元の債権者と債務者)であり、新しく買った人が賃貸人としての地位を承継するのかということです。
 また、債務を第三者に移転するには、債務の相手方である賃借人の同意が必要かということでもあります。
  それに対しては、最高裁判所の判決;昭和39年8月28日; 旧の借家法の時代ですが、があります。
  判決では、
  「
自己の所有建物を他に賃貸している者が賃貸借継続中に右建物を第三者に譲渡してその所有権を移転した場合には、特段の事情のないかぎり、借家法一条の規定により、賃貸人の地位もこれに伴つて右第三者に移転するものと解すべき
 とあり、賃貸人の地位は新しい賃貸人に移転していますから、元の賃貸人Aから新しい賃貸人Cへ地位の移転は主張できます。
  この場合、不動産の譲受人が、その地位の承継を主張するには、最高裁判所の判決:昭和49年3月19日
 「賃貸中の宅地を譲り受けた者の賃貸人たる地位の対抗要件 :裁判要旨
  
賃貸中の宅地を譲り受けた者は、その所有権の移転につき登記を経由しないかぎり、賃貸人たる地位の取得を賃借人に対抗することができない。」
 とあり、
 登記は、必要です。

 
 その際に、賃借人Bの承諾(同意)が必要とされるかですが、これは、最高裁判所の判決;昭和46年4月23日; では、これも、土地の賃貸借ですが、
 「土地の賃貸借契約における賃貸人の地位の譲渡は、賃貸人の義務の移転を伴なうものではあるけれども、賃貸人の義務は賃貸人が何ぴとであるかによつて履行方法が特に異なるわけのものではなく、また、土地所有権の移転があつたときに新所有者にその義務の承継を認めることがむしろ賃借人にとつて有利であるというのを妨げないから、一般の債務の引受の場合と異なり、特段の事情のある場合を除き、新所有者が旧所有者の賃貸人としての権利義務を承継するには、”
賃借人の承諾を必要とせず”、旧所有者と新所有者間の契約をもつてこれをなすことができると解するのが相当である。」
 とあり、
 賃借人の承諾を必要とせず、新しい譲受人である賃貸人Cに地位が移転します。
 これらの判決によれば、 登記があれば、新しい譲受人Cに賃貸人たる地位が移転した旨を旧の賃貸人Aが賃借人Bに通知しなくても、Cに賃貸人の地位は移転しないは、誤りです。

 つまり、一般的な契約の当事者たる地位の移転では契約の相手方の承諾が必要ですが、賃貸借の場合は、賃貸人が負う債務は個性が少ないので、賃借人の同意は不要で、この場合、新所有者は、賃貸人の地位を主張するためには登記が必要です。そのかわり、賃借人に通知する必要はありません。


 参考:民法第605条
 「(不動産賃貸借の対抗力)
  第六百五条 不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その後その不動産について物権を取得した者に対しても、その効力を生ずる。



3.AB間の賃貸借契約において、Aからの解約は6月の予告期間を置き、Bからの解約は1月の予告期間を置けば、正当の事由の有無を問わず中途解約できる旨の特約は有効である。

X 誤っている。 貸主から「正当の事由」なしの解約は、借主に不利な特約として無効。
 平成30年 マンション管理士試験 「15」 、  平成28年 管理業務主任者「問40」 ,平成26年 管理業務主任者試験 「問43」 、 平成25年 管理業務主任者試験 「問42 

 まず、賃貸借契約の解約は、原則;民法第617条
 「(期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ)
 第六百十七条  
当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。
     一  土地の賃貸借 一年
     
二  建物の賃貸借 三箇月
     三  動産及び貸席の賃貸借 一日
 2  収穫の季節がある土地の賃貸借については、その季節の後次の耕作に着手する前に、解約の申入れをしなければならない。

 とあり、
 民法第617条1項2号により、建物の賃貸借なら、当事者から、3ヵ月前に申入れがあれば、解約ができますが、賃貸人からの解約の申し入れは、民法に優先する特別法として借地借家法第27条
 「(解約による建物賃貸借の終了)
 第二十七条  
建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から六月を経過することによって終了する
 2  前条第二項及び第三項の規定は、建物の賃貸借が解約の申入れによって終了した場合に準用する
。」
 とあり、

 賃貸人からの賃貸借の解約の申入れは、民法の3ヵ月前から変更されて”6ヵ月前”となります。
  さらに、賃貸人には、借地借家法第28条
 「(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
 第二十八条  建物の賃貸人による第二十六条第一項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、
正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない
 とあり、
 引用されている借地借家法第26条
 「(建物賃貸借契約の更新等)
 第二十六条  建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の一年前から六月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。
 2  前項の通知をした場合であっても、建物の賃貸借の期間が満了した後建物の賃借人が使用を継続する場合において、建物の賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときも、同項と同様とする。  
 3  建物の転貸借がされている場合においては、建物の転借人がする建物の使用の継続を建物の賃借人がする建物の使用の継続とみなして、建物の賃借人と賃貸人との間について前項の規定を適用する。」
 です


  借地借家法第28条1項により、建物の賃貸人からの賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができません。
 
 そこで、特約は、借地借家法第30条
 「(強行規定)
 
第三十条  この節(注:第26条〜第30条)の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。
 とあり、
 設問の「賃借人Bからの解約は1月の予告期間を置けば」の特約は、民法での3ヵ月前より賃借人に不利ではないので有効ですが、「
正当の事由の有無を問わず中途解約できる旨」の特約は、借地借家法により賃借人に不利なものとして無効です。正当の事由は必要ですから、誤りです。
 
 なお、正当の事由とは、
  1.賃貸人が建物を必要とする事情
  更新を拒絶する賃貸人がその建物を自ら使う必要性がどの程度あるのか、または、賃借人がほかに使用できる建物があるかどうか。
 2.賃貸借に関する事前の経緯
  賃貸借にすることにした経緯や、権利金などの支払いの有無、その金額、契約上の義務の履行など。
 3.建物の利用状況
  賃借人がその建物をどのような状況で利用しているか。
 4.建物の現況
  建物の老朽化により大規模な修繕あるいは建て替えが必要になっていることや、建物敷地を利用する権利の喪失によって建物の利用が困難になるなど。
 5.賃貸人による財産上の給付の申し出(補完的事由)
  いわゆる立退料の提供です。ただし、立退料の提供だけで正当事由を満たしていると判断されるわけではなく、他の事情が備わり、立退料の提供もあるときに、正当事由の1つとして判断されます。
 つまり、賃貸人がどうしてもそこに住まなくてはならない格段の理由があることや、建物が著しく老朽化して居住するには危険であることなどを証明しなければ裁判所は正当事由があるとは判断しません。



4.AB間において、甲の使用目的を専らBの事務所として賃貸借する旨を賃貸借契約書に明示した場合は、借地借家法は適用されない。

X 誤っている。 使用目的に関係なく、借地借家法は適用される。

  平成28年 管理業務主任者「問40」 、 平成26年 管理業務主任者試験 「問43」 、平成21年 管理業務主任者試験 「問45」 、 平成20年 管理業務主任者試験 「問43」 

 建物であれば、居住用に限らず、事務所の賃貸借契約でも借地借家法は適用されますから、誤りです。
 参考:借地借家法第1条
 「(趣旨)
 
第一条  この法律は、建物の所有を目的とする地上権及び土地の賃借権の存続期間、効力等並びに建物の賃貸借の契約の更新、効力等に関し特別の定めをするとともに、借地条件の変更等の裁判手続に関し必要な事項を定めるものとする。 」

 また、借地借家法第40条
 「(一時使用目的の建物の賃貸借)
 
第四十条  この章(注:第三章 借家)の規定は、一時使用のために建物の賃貸借をしたことが明らかな場合には、適用しない。
 とあり、
 一時使用貸借でなければ、借地借家法は適用されます。



答え: 1

 過去問題をやっていれば、かなり易しい。
 ここの出題は、平成28年の管理業務主任者試験 「問40」 のままだった。しかし、解説には、3時間もかかった。

《タグ》借地借家法 賃料の増額 特約 オーナーの変更 解約の特約 適用範囲

問43

【問 43】 個人情報の保護に関する法律第 2条(定義)に関する以下のア〜エの文章について、( a )〜( d )に入る語句の組み合わせとして、正しいものは次の 1〜4のうちどれか。

ア.  「個人情報」とは、( a )に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等(文書、図画若しくは電磁的記録)に記載され、若しくは記録され、又は音声、動作その他の方法を用いて表された一切の事項(個人識別符号を除く。)により特定の個人を識別することができるもの、又は個人識別符号が含まれるものをいう。

イ.  「個人情報データベース等」とは、個人情報を含む情報の( b )であって、特定の個人情報を電子計算機を用いて検索できるように体系的に構成したもの及び特定の個人情報を容易に検索することができるように体系的に構成したものとして政令で定めるものであって、利用方法からみて個人の権利利益を害するおそれが少ないものとして政令で定めるものを除くものをいう。

ウ.  「個人情報取扱事業者」とは、( c )を事業の用に供している者であって、国の機関、地方公共団体、独立行政法人等、地方独立行政法人を除く者をいう。

エ . 「( d )」とは、個人情報取扱事業者が、開示、内容の訂正、追加又は削除、利用の停止、消去及び第三者への提供の停止を行うことのできる権限を有する個人データであって、その存否が明らかになることにより公益その他の利益が害されるものとして政令で定めるもの又は 1年以内の政令で定める期間以内に消去することとなるもの以外のものをいう。


 平成27年 管理業務主任者試験 「問43」 、平成25年 管理業務主任者試験 「問41」 、平成22年 管理業務主任者試験 「問45」 、 平成20年 管理業務主任者試験 「問44」 、 平成17年 管理業務主任者試験 「問45」。 


  2017年5月30日施行 改正:取り扱う個人情報が5、000件以下となる事業者は規制の対象外でしたが、今回の改正では、個人情報の取り扱いする量による規制枠が撤廃され、全ての事業者(マンションの管理組合も)が個人情報法保護法の対象となっています。

 設問は、個人情報の保護に関する法律第 2条
 「(定義)
 第二条 この法律において
「個人情報」とは、” (a)生存する個人 ” に関する情報であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
   一 当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等(文書、図画若しくは電磁的記録(電磁的方式(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式をいう。次項第二号において同じ。)で作られる記録をいう。第十八条第二項において同じ。)に記載され、若しくは記録され、又は音声、動作その他の方法を用いて表された一切の事項(個人識別符号を除く。)をいう。以下同じ。)により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)
   二 個人識別符号が含まれるもの
 2 この法律において「個人識別符号」とは、次の各号のいずれかに該当する文字、番号、記号その他の符号のうち、政令で定めるものをいう。
   一 特定の個人の身体の一部の特徴を電子計算機の用に供するために変換した文字、番号、記号その他の符号であって、当該特定の個人を識別することができるもの
   二 個人に提供される役務の利用若しくは個人に販売される商品の購入に関し割り当てられ、又は個人に発行されるカードその他の書類に記載され、若しくは電磁的方式により記録された文字、番号、記号その他の符号であって、その利用者若しくは購入者又は発行を受ける者ごとに異なるものとなるように割り当てられ、又は記載され、若しくは記録されることにより、特定の利用者若しくは購入者又は発行を受ける者を識別することができるもの
 3 この法律において「要配慮個人情報」とは、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報をいう。
 4 この法律において「
個人情報データベース等」とは、個人情報を含む情報の ”(b)集合物 ”であって、次に掲げるもの(利用方法からみて個人の権利利益を害するおそれが少ないものとして政令で定めるものを除く。)をいう。
   一 特定の個人情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したもの
   二 前号に掲げるもののほか、特定の個人情報を容易に検索することができるように体系的に構成したものとして政令で定めるもの
 5 この法律において
「個人情報取扱事業者」とは、 ”(c)個人情報データベース等 ” を事業の用に供している者をいう。ただし、次に掲げる者を除く。
   一 国の機関
   二 地方公共団体
   三 独立行政法人等(独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十九号)第二条第一項に規定する独立行政法人等をいう。以下同じ。)
   四 地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。以下同じ。)
 6 この法律において「個人データ」とは、個人情報データベース等を構成する個人情報をいう。
 7 この法律において 
”(d)「保有個人データ」 ”とは、個人情報取扱事業者が、開示、内容の訂正、追加又は削除、利用の停止、消去及び第三者への提供の停止を行うことのできる権限を有する個人データであって、その存否が明らかになることにより公益その他の利益が害されるものとして政令で定めるもの又は一年以内の政令で定める期間以内に消去することとなるもの以外のものをいう。
 8 この法律において個人情報について「本人」とは、個人情報によって識別される特定の個人をいう。
 9 この法律において「匿名加工情報」とは、次の各号に掲げる個人情報の区分に応じて当該各号に定める措置を講じて特定の個人を識別することができないように個人情報を加工して得られる個人に関する情報であって、当該個人情報を復元することができないようにしたものをいう。
   一 第一項第一号に該当する個人情報 当該個人情報に含まれる記述等の一部を削除すること(当該一部の記述等を復元することのできる規則性を有しない方法により他の記述等に置き換えることを含む。)。
   二 第一項第二号に該当する個人情報 当該個人情報に含まれる個人識別符号の全部を削除すること(当該個人識別符号を復元することのできる規則性を有しない方法により他の記述等に置き換えることを含む。)。
 10 この法律において「匿名加工情報取扱事業者」とは、匿名加工情報を含む情報の集合物であって、特定の匿名加工情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものその他特定の匿名加工情報を容易に検索することができるように体系的に構成したものとして政令で定めるもの(第三十六条第一項において「匿名加工情報データベース等」という。)を事業の用に供している者をいう。ただし、第五項各号に掲げる者を除く。

 とありますから、

 (a) 生存する個人
 (b) 集合物
 (c) 個人情報データベース等
 (d) 保有個人データ
 となります。




答え: 2

 抜けている「言葉」を探しだし、出題文章をよく読まないと、難しい。定義をちゃんと読んでいること。
 これを、組合せ問題にするとは、紛らわしい。

《タグ》個人情報の保護に関する法律 個人情報 個人情報データベース等 個人情報取扱事業者 保有個人データ

問44

【問 44】 次の記述のうち、不動産登記法によれば、誤っているものはどれか。

1.登記記録の甲区及び乙区に記録する登記事項がない場合には、甲区及び乙区は作成されず、所有権の登記がない不動産(規約共用部分である旨の登記又は団地規約共用部分である旨の登記がある建物を除く。)については、表題部に所有者の氏名又は名称及び住所並びに所有者が 2人以上であるときはその所有者ごとの持分が記録される。

〇 正しい。 権利部(甲区、乙区)は、作成されないこともある。表題部所有者が、複数いれば持分も記録される。
 平成30年 マンション管理士試験 「6」 、 同「問18」 、 平成28年 管理業務主任者試験 「問43」 、 平成25年 管理業務主任者試験 「問43」 、  平成23年 管理業務主任者試験 「問45」 、 平成21年マンション管理士試験 「問18」 、 平成21年管理業務主任者試験 「問43」 、 平成19年マンション管理士試験 「問18」 、平成18年管理業務主任者試験 「問45」 など。

 まず不動産の登記では、特に登記をしなくても法律で罰せられることがないということを理解しておいてください。
 ただし、不動産登記法に基づいて登記をしていないと、第三者に権利の主張ができない(対抗できない)ということです。 (民法第177条)
 なお、不動産登記簿が紙の時は、「登記簿謄本」と呼ばれていましたが、コンピュータ化により、今は「登記事項証明書」と呼ばれています。

 そこで、登記記録は、大きく分けると、以下の@表題部 と A権利部 の2つに分けられます。
  @表題部...土地や建物の物理的な状況が登記され記載される(現状とは必ずしも一致しないこともある)
  A権利部は、また、以下の ア.甲区 と イ.乙区 に分けられます。
    ア.甲区...所有権に関する事項が記載され、現在の所有者、過去の所有者がわかる。
             所有者が複数の場合は持分の記載があり、持分がわかる。
    イ.乙区...所有権以外の権利に関する事項、地上権や抵当権(住宅ローン)などが記載されている
  となっています。


  この表題部と権利部は、最初から全てあるものではなく、まず不動産の出生届けとも言うべき表題部ができ、その後、誰がその不動産の持ち主かを明らかにする所有権保存の登記があれば、権利部甲区が作成され、その後、抵当に入れば、権利部乙区が追加されて行きます。

 具体的には、以下の条文があります。 
 不動産登記法第2条(抜粋) 
 「(定義)
 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
  七 
表題部 登記記録のうち、表示に関する登記が記録される部分をいう。
  八 
権利部 登記記録のうち、権利に関する登記が記録される部分をいう。

 不動産登記法第12条
 「(登記記録の作成)
  第十二条 
登記記録は、表題部及び権利部に区分して作成する。

 不動産登記規則第4条
 「登記記録の編成)
  第四条 土地の登記記録の
表題部は、別表一の第一欄に掲げる欄に区分し、同表の第一欄に掲げる欄に同表の第二欄に掲げる事項を記録するものとする。
 2 建物(次項の建物を除く。)の登記記録の表題部は、別表二の第一欄に掲げる欄に区分し、同表の第一欄に掲げる欄に同表の第二欄に掲げる事項を記録するものとする。
 3 区分建物である建物の登記記録の表題部は、別表三の第一欄に掲げる欄に区分し、同表の第一欄に掲げる欄に同表の第二欄に掲げる事項を記録するものとする。
 4 
権利部は、甲区及び乙区に区分し、甲区には所有権に関する登記の登記事項を記録するものとし、乙区には所有権以外の権利に関する登記の登記事項を記録するものとする。

 表題部の、建物表題登記とは、新しく建物が建てられた場合には必ずしなければいけない、人間で言えば、出生届けのようなものです。
新築の建物は、登記の記録がありませんから、この表題登記によって、表題部に所在地、種類、構造、床面積など不動産の物理的な現況が示され、今後の所有権や地上権、抵当権などの権利関係などが権利部(甲区と乙区)に登記されます。建物の表題登記は、所有権取得後1ヵ月以内に行わなければなりません。多くのマンションの場合、建物の表題登記は、分譲会社が行い、
表題部の所有者になります。
表題部所有者とは、所有権保存登記がまだない不動産で、所有者と表示されている者です。所有権の保存登記がなされると、表題部所有者は、末梢されます。(登記記録では、氏名の下に下線がひかれます。)

 建物表題登記には、登録免許税はかかりません。

 なお区分建物(マンション)では、各専有部分が1個の建物として扱われ、@建物(マンション全体)の表題部と土地(敷地権)、A専有部分の表題部と土地(敷地権)、の表題部があるのが特徴です。

  これは、土地(敷地権)と建物の権利が一体化され、土地と建物の権利は分離して処分が出来ないことを示しています。

 

  これらを基に、設問の前半、権利部である甲区、乙区に記録する登記事項がない場合には、甲区及び乙区は作成されずは、正しい。

 また、表題部(表示)については、不動産登記法第27条
 「(表示に関する登記の登記事項)
  第二十七条 
土地及び建物の表示に関する登記の登記事項は、次のとおりとする
   一 登記原因及びその日付
   二 登記の年月日
   
三 所有権の登記がない不動産(共用部分(区分所有法第四条第二項に規定する共用部分(注:規約共用部分)をいう。以下同じ。)である旨の登記又は団地共用部分(区分所有法第六十七条第一項に規定する団地共用部分(注:団地での規約共用部分)をいう。以下同じ。)である旨の登記がある建物を除く。)については、所有者の氏名又は名称及び住所並びに所有者が二人以上であるときはその所有者ごとの持分」
    四 前三号に掲げるもののほか、不動産を識別するために必要な事項として法務省令で定めるもの

 とあり、
 当初の登記記録の表題部には、まだ確定した所有権(所有権保存登記)はありませんので、その土地・建物の登記記録を初めて作成した時点での所有者を記載しています。これは「表題部所有者」と呼ばれ、後に所有権の保存の登記をすれば、この表題部に記載された所有者は抹消されます。それが、不動産登記法第27条3号の「所有権の登記がない不動産」です。
 この表題部所有者は、不動産登記法第27条3号によれば、所有権の登記がない不動産(規約共用部分である旨の登記又は団地規約共用部分である旨の登記がある建物を除く。)については、表題部に所有者の氏名又は名称及び住所並びに所有者が 2人以上であるときはその所有者ごとの持分が記録されますから、後半も正しい。

 そこで、選択肢1は、全体として正しい。



2.敷地権付き区分建物において、表題部所有者から所有権を取得した者が、所有権の保存の登記を申請するときは、当該敷地権の登記名義人の承諾を得なければならない。

〇 正しい。 敷地権付き区分建物では、所有権保存登記の申請には、敷地権者の承諾がいる。

  所有権の保存の登記とは、選択肢1でも説明しましたが、表題部にしか登記がない不動産につき、初めてする所有権の登記です。申請や嘱託による場合のほか、職権で登記される場合もあります。
 権利部の甲区(所有権に関する事項)に最初の「所有者」として、名前が記載されます。これにより、表題部の末尾にあった
表題部所有者の表示は下線により抹消されます。


  

  その所有権の保存の登記は、不動産登記法第74条
 「(所有権の保存の登記)
  第七十四条 
所有権の保存の登記は、次に掲げる者以外の者は、申請することができない
   一 表題部所有者又はその相続人その他の一般承継人
   二 所有権を有することが確定判決によって確認された者
   三 収用(土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)その他の法律の規定による収用をいう。第百十八条第一項及び第三項から第五項までにおいて同じ。)によって所有権を取得した者
 
2 区分建物にあっては、表題部所有者から所有権を取得した者も、前項の登記を申請することができる。この場合において、当該建物が敷地権付き区分建物であるときは、当該敷地権の登記名義人の承諾を得なければならない。
 とあり、
 不動産登記法第74条2項によれば、敷地権付き区分建物において、表題部所有者から所有権を取得した者が、所有権の保存の登記を申請するときは、当該敷地権の登記名義人の承諾を得なければならないため、正しい。


3.仮登記の登記権利者は、登記義務者の承諾書を添付して、単独で仮登記を申請することができる。

〇 正しい。 仮登記なら、登記権利者は、登記義務者の承諾書を添付して、単独で仮登記を申請することができる。

 不動産登記法での、登記権利者、登記義務者とは、不動産登記法第2条12号及び13号
 「十二 
登記権利者 権利に関する登記をすることにより、登記上、直接に利益を受ける者をいい、間接に利益を受ける者を除く。
  十三 
登記義務者 権利に関する登記をすることにより、登記上、直接に不利益を受ける登記名義人をいい、間接に不利益を受ける登記名義人を除く。
 とあり、
 具体的には、登記権利者...不動産の売買なら、買主。登記を行おうとしている人。(登記簿に記される)新所有者。
                      抵当権の設定なら、抵当権者(融資会社)。相続なら遺族。
          登記義務者...不動産の売買なら売主。所有権(移転)の登記が行われる際、登記することに協力する義務を負う人。
                     抵当権の設定なら、抵当権設定者(融資を受ける人)。相続なら死亡者(存在しないが)
  です。


 そして、権利に関する登記の申請は、原則:登記権利者と登記義務者が共同で行います。
 (不動産登記法第60条
  (共同申請)
  第六十条 権利に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならない。

 また、
仮登記とは、民法に定められた本登記に対して、将来行われるべき本登記の順位を保全するためにあらかじめ行う登記のことで、手続上又は実体上の要件を具備していない場合に、行われる予備的な登記です。
 仮登記ができる場合には
  @登記すべき権利変動はすでに生じているが、登記識別情報又は第三者の許可、同意若しくは承諾を証する情報を提供することができない場合
  A権利変動は生じていないが、将来権利変動を生じさせる請求権がすでに存在していて、それを保全しようとする場合
  B権利変動それ自体が始期付き又は停止条件付その他将来に置いて確定すべきものである場合
 の3種類があります。


 その仮登記の申請方法は、不動産登記法第107条
 「(仮登記の申請方法)
 第百七条 
仮登記は、仮登記の登記義務者の承諾があるとき及び次条に規定する仮登記を命ずる処分があるときは、第六十条(注:共同申請)の規定にかかわらず、当該仮登記の登記権利者が単独で申請することができる
 2 仮登記の登記権利者及び登記義務者が共同して仮登記を申請する場合については、第二十二条(注:登記識別情報の提供)本文の規定は、適用しない。

 とあり、
 不動産登記法第107条1項によれば、仮登記の登記権利者は、登記義務者の承諾書を添付して、単独で仮登記を申請することができるは、正しい。

 なお、仮登記が、本登記の要件を備えると、仮登記の後に登記された権利は抹消されます。

  

  参考: 不動産登記法第105条
 「(仮登記)
  第百五条 仮登記は、次に掲げる場合にすることができる。
   一 第三条各号に掲げる権利について保存等があった場合において、当該保存等に係る登記の申請をするために登記所に対し提供しなければならない情報であって、第二十五条第九号の申請情報と併せて提供しなければならないものとされているもののうち法務省令で定めるものを提供することができないとき。
   二 第三条各号に掲げる権利の設定、移転、変更又は消滅に関して請求権(始期付き又は停止条件付きのものその他将来確定することが見込まれるものを含む。)を保全しようとするとき。



4.処分禁止の仮処分、差押え、所有権の買戻権の登記は、登記記録の権利部の乙区に記録される。

X 誤っている。 処分禁止の仮処分、差押え、所有権の買戻権の登記は、所有権に関するので、権利部の甲区に記録される。乙区ではない。


 
まず、
  ・処分禁止の仮処分とは、不動産の売却(処分)などを一時的に禁止させる、裁判所による仮の決定
  ・差押えとは、競売などで裁判所によって財産の処分が禁止され、確保されているもの
  ・所有権の買戻権とは、「売主が代金額および契約の費用を買主に返還することによって売買契約を解除し、目的物を取り戻すことができる」とする特約
   所有権の買戻権は、所有権移転登記と同時に買戻特約を登記しないと、第三者に対抗できない。また、売主が買戻権を行使できる期間は最長10年です。

  例:森友学園における国土交通省の買戻し特約


  

  ということで、処分禁止の仮処分、差押え、所有権の買戻権の登記は、所有権に関するため、選択肢1でも説明しました、不動産登記規則第4条4項、
 「4 権利部は、甲区及び乙区に区分し、甲区には所有権に関する登記の登記事項を記録するものとし、乙区には所有権以外の権利に関する登記の登記事項を記録するものとする。
  により、登記記録の権利部の甲区に記録され、乙区に記録されるは、誤りです。



答え: 4


  選択肢1など、出題意図が分からないと思い、不動産登記法をかなり詳細に解説しました。時間がかかった!
  かなり、難しい。
  区分(所有)建物の登記については、「マンション管理士 香川事務所」 が無料で提供しています 「超解説 区分所有法」 にもありますから、参考にしてください。

  NETで所有権の買戻権の登記例を探していたら、なんと! 問題の森友学園のが出てきた。敷地面積は、3,770.43u で 売買代金が、1億3,400万円とは、たしかに安い!
  しかも、一度、運輸省(現在は、国土交通省)から、国土交通省が大きく絡む、新関西国際株式会社という民間会社に所有権を移していながら、「錯誤」を理由に、元に戻したとは、新関西国際株式会社がこの土地を嫌がったようだ。この「錯誤」を追及する必要がある。
  記憶に残る例として採用しました。
  登記簿は、面白い!

《タグ》不動産登記法 表題部 権利部 甲区 乙区 仮登記 仮処分 所有権の買戻権

問45

【問 45】 宅地建物取引業者A(以下、本問において「A」という。)が自ら売主として、宅地建物取引業者ではないB又は宅地建物取引業者であるCを買主として、マンションの 1住戸の売買を行う場合に、宅地建物取引業法第35条の規定に基づく重要事項の説明等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1.Aは、当該マンションが既存の建物であるときは、自ら建物状況調査(実施後国土交通省令で定める期間を経過していないものに限る。)を実施した上で、その結果の概要について、Bに説明しなければならない。

X 誤っている。 宅地建物取引業者は、自ら建物状況調査は実施しなくていい。
 定番: 平成29年 管理業務主任者試験 「問45」 、平成28年 管理業務主任者試験 「問45」 、平成27年 管理業務主任者試験 「問45」 平成26年 管理業務主任者試験 「問45」 、平成25年 管理業務主任者試験 「問45」 、平成24年 管理業務主任者試験 「問45」 、 平成23年 管理業務主任者試験 「問40」 、平成22年管理業務主任者試験 「問40」 、平成21年管理業務主任者試験 「問40」 、 平成20年管理業務主任者試験 「問40」 など。

 宅地建物取引業者(不動産屋)がマンションを売ったり、賃貸物件を仲介する場合には、相手方が素人であると、国土交通省の役人が判断して、その契約の前に、宅地建物取引のエキスパートである国家資格を有する宅地建物取引士が素人である相手方に、親切にまた分かりやすく、契約の対象物件の説明を事前にしなさいと云っています。
 説明する概要は、
  1.取引対象不動産の権利関係
  2.取引対象不動産に係る法令上の制限
  3.取引対象不動産の状態やその見込み
  4.契約の条件
 です。
 社会の変化に伴い、説明対象事項も増加し、改正もよく行われますから、注意のこと。
 少しばかり、条文が長いけど、ここは、例年あちらこちらから出題されますから、良く読むこと。


 宅地建物取引業法第35条
 「(重要事項の説明等)
  第三十五条 
宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(以下「宅地建物取引業者の相手方等」という。)に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。
   一 当該宅地又は建物の上に存する登記された権利の種類及び内容並びに登記名義人又は登記簿の表題部に記録された所有者の氏名(法人にあつては、その名称)
   二 都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限で契約内容の別(当該契約の目的物が宅地であるか又は建物であるかの別及び当該契約が売買若しくは交換の契約であるか又は貸借の契約であるかの別をいう。以下この条において同じ。)に応じて政令で定めるものに関する事項の概要
   三 当該契約が建物の貸借の契約以外のものであるときは、私道に関する負担に関する事項
   四 飲用水、電気及びガスの供給並びに排水のための施設の整備の状況(これらの施設が整備されていない場合においては、その整備の見通し及びその整備についての特別の負担に関する事項)
   五 当該宅地又は建物が宅地の造成又は建築に関する工事の完了前のものであるときは、その完了時における形状、構造その他国土交通省令・内閣府令で定める事項
   
六 当該建物が建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)第二条第一項に規定する区分所有権の目的であるものであるときは、当該建物を所有するための一棟の建物の敷地に関する権利の種類及び内容、同条第四項に規定する共用部分に関する規約の定めその他の一棟の建物又はその敷地(一団地内に数棟の建物があつて、その団地内の土地又はこれに関する権利がそれらの建物の所有者の共有に属する場合には、その土地を含む。)に関する権利及びこれらの管理又は使用に関する事項で契約内容の別に応じて国土交通省令・内閣府令で定めるもの
   
六の二 当該建物が既存の建物であるときは、次に掲げる事項
     イ 建物状況調査(実施後国土交通省令で定める期間を経過していないものに限る。)を実施しているかどうか、及びこれを実施している場合におけるその結果の概要
     ロ 設計図書、点検記録その他の建物の建築及び維持保全の状況に関する書類で国土交通省令で定めるものの保存の状況

   七 代金、交換差金及び借賃以外に授受される金銭の額及び当該金銭の授受の目的
   八 契約の解除に関する事項
   九 損害賠償額の予定又は違約金に関する事項
   十 第四十一条第一項に規定する手付金等を受領しようとする場合における同条又は第四十一条の二の規定による措置の概要
   十一 支払金又は預り金(宅地建物取引業者の相手方等からその取引の対象となる宅地又は建物に関し受領する代金、交換差金、借賃その他の金銭(第四十一条第一項又は第四十一条の二第一項の規定により保全の措置が講ぜられている手付金等を除く。)であつて国土交通省令・内閣府令で定めるものをいう。第六十四条の三第二項第一号において同じ。)を受領しようとする場合において、同号の規定による保証の措置その他国土交通省令・内閣府令で定める保全措置を講ずるかどうか、及びその措置を講ずる場合におけるその措置の概要
   十二 代金又は交換差金に関する金銭の貸借のあつせんの内容及び当該あつせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置
   十三 当該宅地又は建物の瑕疵かし を担保すべき責任の履行に関し保証保険契約の締結その他の措置で国土交通省令・内閣府令で定めるものを講ずるかどうか、及びその措置を講ずる場合におけるその措置の概要
   十四 その他宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護の必要性及び契約内容の別を勘案して、次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める命令で定める事項
     イ 事業を営む場合以外の場合において宅地又は建物を買い、又は借りようとする個人である宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護に資する事項を定める場合 国土交通省令・内閣府令
     ロ イに規定する事項以外の事項を定める場合 国土交通省令
 2 宅地建物取引業者は、宅地又は建物の割賦販売(代金の全部又は一部について、目的物の引渡し後一年以上の期間にわたり、かつ、二回以上に分割して受領することを条件として販売することをいう。以下同じ。)の相手方に対して、その者が取得しようとする宅地又は建物に関し、その割賦販売の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、前項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面を交付して説明をさせなければならない。
   一 現金販売価格(宅地又は建物の引渡しまでにその代金の全額を受領する場合の価格をいう。)
   二 割賦販売価格(割賦販売の方法により販売する場合の価格をいう。)
   三 宅地又は建物の引渡しまでに支払う金銭の額及び賦払金(割賦販売の契約に基づく各回ごとの代金の支払分で目的物の引渡し後のものをいう。第四十二条第一項において同じ。)の額並びにその支払の時期及び方法
 3 宅地建物取引業者は、宅地又は建物に係る信託(当該宅地建物取引業者を委託者とするものに限る。)の受益権の売主となる場合における売買の相手方に対して、その者が取得しようとしている信託の受益権に係る信託財産である宅地又は建物に関し、その売買の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。ただし、その売買の相手方の利益の保護のため支障を生ずることがない場合として国土交通省令で定める場合は、この限りでない。
   一 当該信託財産である宅地又は建物の上に存する登記された権利の種類及び内容並びに登記名義人又は登記簿の表題部に記録された所有者の氏名(法人にあつては、その名称)
   二 当該信託財産である宅地又は建物に係る都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限で政令で定めるものに関する事項の概要
   三 当該信託財産である宅地又は建物に係る私道に関する負担に関する事項
   四 当該信託財産である宅地又は建物に係る飲用水、電気及びガスの供給並びに排水のための施設の整備の状況(これらの施設が整備されていない場合においては、その整備の見通し及びその整備についての特別の負担に関する事項)
   五 当該信託財産である宅地又は建物が宅地の造成又は建築に関する工事の完了前のものであるときは、その完了時における形状、構造その他国土交通省令で定める事項
   六 当該信託財産である建物が建物の区分所有等に関する法律第二条第一項に規定する区分所有権の目的であるものであるときは、当該建物を所有するための一棟の建物の敷地に関する権利の種類及び内容、同条第四項に規定する共用部分に関する規約の定めその他の一棟の建物又はその敷地(一団地内に数棟の建物があつて、その団地内の土地又はこれに関する権利がそれらの建物の所有者の共有に属する場合には、その土地を含む。)に関する権利及びこれらの管理又は使用に関する事項で国土交通省令で定めるもの
   七 その他当該信託の受益権の売買の相手方の利益の保護の必要性を勘案して国土交通省令で定める事項
 4 宅地建物取引士は、前三項の説明をするときは、説明の相手方に対し、宅地建物取引士証を提示しなければならない。
 5 第一項から第三項までの書面の交付に当たつては、宅地建物取引士は、当該書面に記名押印しなければならない。
 6 
次の表の第一欄に掲げる者が宅地建物取引業者である場合においては、同表の第二欄に掲げる規定の適用については、これらの規定中同表の第三欄に掲げる字句は、それぞれ同表の第四欄に掲げる字句とし、前二項の規定は、適用しない。

(注:第一欄)   (注:第二欄)  (注:第三欄) (注:第四欄) 
 宅地建物取引業者の相手方等  第一項   宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項   少なくとも次に掲げる事項
 交付して説明をさせなければ  交付しなければ
 第二項に規定する宅地又は建物の割賦販売の相手方  第二項   宅地建物取引士をして、前項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項について、これらの事項  前項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項
 交付して説明をさせなければ  交付しなければ

7 宅地建物取引業者は、前項の規定により読み替えて適用する第一項又は第二項の規定により交付すべき書面を作成したときは、宅地建物取引士をして、当該書面に記名押印させなければならない。
 です。


  

 設問の「建物状況調査(インスペクション)」は、宅地建物取引業法第35条の改正により、平成30年4月1日から、既存住宅の取引において、 宅地建物取引業者との媒介契約書面に 建物状況調査のあっせんの有無が記載されることとなったものです。
 その建物状況調査の内容は、国土交通省の定める講習を修了した建築士が、建物の基礎、外壁など建物の構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分に生じているひび割れ、雨漏り等の劣化・不具合の状況を把握するための調査です。


 

 具体的には、宅地建物取引業法第35条1項
 「六の二 当該建物が
既存の建物であるときは、次に掲げる事項
     
イ 建物状況調査(実施後国土交通省令で定める期間を経過していないものに限る。)を実施しているかどうか、及びこれを実施している場合におけるその結果の概要
     ロ 設計図書、点検記録その他の建物の建築及び維持保全の状況に関する書類で国土交通省令で定めるものの保存の状況

 とあり、
 既存のマンションなら、宅地建物取引業者Aは、その売買の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、建物状況調査を実施しているかどうか、また、実施していれば、その結果の概要を、買主Bに説明が必要ですが、特に、”
自ら建物状況調査を実施”までは、求められていませんので、設問は、誤りです。


2.Aは、当該マンションの管理が他の者に委託されているときは、その委託を受けている者の氏名(法人にあっては、その商号又は名称)、住所(法人にあっては、その主たる事務所の所在地)及び主たる事務所に置かれる専任の管理業務主任者の氏名を、Bに説明しなければならない。

X 誤っている。 専任の管理業務主任者の氏名までは、入っていない。

 設問は、選択肢1で引用しました、宅地建物取引業法第35条1項6号
 「 六 当該建物が建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)第二条第一項に規定する
区分所有権の目的であるものであるときは、当該建物を所有するための一棟の建物の敷地に関する権利の種類及び内容、同条第四項に規定する共用部分に関する規約の定めその他の一棟の建物又はその敷地(一団地内に数棟の建物があつて、その団地内の土地又はこれに関する権利がそれらの建物の所有者の共有に属する場合には、その土地を含む。)に関する権利及びこれらの管理又は使用に関する事項で契約内容の別に応じて国土交通省令・内閣府令で定めるもの
 とあり、

 これを受けた、宅地建物取引業法施行規則第16条の2
 「(法第三十五条第一項第六号の国土交通省令・内閣府令で定める事項)
  第十六条の二 法第三十五条第一項第六号の国土交通省令・内閣府令で定める事項は、建物の貸借の契約以外の契約にあつては次に掲げるもの、建物の貸借の契約にあつては第三号及び第八号に掲げるものとする。
   一 当該建物を所有するための一棟の建物の敷地に関する権利の種類及び内容
   二 建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号。以下この条、第十六条の四の三、第十六条の四の六及び第十九条の二の五において「区分所有法」という。)第二条第四項に規定する共用部分に関する規約の定め(その案を含む。次号において同じ。)があるときは、その内容
   三 区分所有法第二条第三項に規定する専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定めがあるときは、その内容
   四 当該一棟の建物又はその敷地の一部を特定の者にのみ使用を許す旨の規約(これに類するものを含む。次号及び第六号において同じ。)の定め(その案を含む。次号及び第六号において同じ。)があるときは、その内容
   五 当該一棟の建物の計画的な維持修繕のための費用、通常の管理費用その他の当該建物の所有者が負担しなければならない費用を特定の者にのみ減免する旨の規約の定めがあるときは、その内容
   六 当該一棟の建物の計画的な維持修繕のための費用の積立てを行う旨の規約の定めがあるときは、その内容及び既に積み立てられている額
   七 当該建物の所有者が負担しなければならない通常の管理費用の額
   
八 当該一棟の建物及びその敷地の管理が委託されているときは、その委託を受けている者の氏名(法人にあつては、その商号又は名称)及び住所(法人にあつては、その主たる事務所の所在地)
   九 当該一棟の建物の維持修繕の実施状況が記録されているときは、その内容

 とあり、

  宅地建物取引業法施行規則第16条の2 8号によれば、当該マンションの管理が他の者に委託されているときは、その委託を受けている者の氏名(法人にあっては、その商号又は名称)、住所(法人にあっては、その主たる事務所の所在地)を、宅地建物取引業者Aは、その売買の契約が成立するまでの間に、買主Bに対して、宅地建物取引士をして説明しなければなりませんが、及び”主たる事務所に置かれる専任の管理業務主任者の氏名”は、入っていないため、誤りです。


3.Aは、当該マンションの所有者が負担しなければならない通常の管理費用の額について、Bに説明しなければならない。

〇 正しい。 管理費や修繕積立金などは、買主に説明が必要。
 
 選択肢2で引用しました、宅地建物取引業法施行規則第16条の2 7号
 「
七 当該建物の所有者が負担しなければならない通常の管理費用の額
 とあり、
 正しい。



4.Aは、Cに交付する重要事項説明書への宅地建物取引士の記名押印を省略することができる。

X 誤っている。 宅地建物取引業者間の取引なら、宅地建物取引士の口頭の説明は省略できるようになったが、重要事項説明書への宅地建物取引士の記名・押印と重要事項説明書の交付は省略できない。
  平成29年 管理業務主任者試験 「問45」 

 

 重要事項説明について、これまでは相手方等が宅地建物取引業者であっても「宅地建物取引士による説明」が必要とされれていましたが、平成29年4月1日施行の改正により、宅地建物取引業者が宅地又は建物の取得者又は借主となる場合における重要事項説明については、説明は不要で書面交付のみで足りるものとされました(宅地建物取引業法第35条第6項・第7項の新設)。

 そこで、選択肢1で引用しました、宅地建物取引業法第35条6項及び7項
 「 6 次の表の第一欄に掲げる者が宅地建物取引業者である場合においては、同表の第二欄に掲げる規定の適用については、これらの規定中同表の第三欄に掲げる字句は、それぞれ同表の第四欄に掲げる字句とし、
前二項の規定は、適用しない 

(注:第一欄)   (注:第二欄)  (注:第三欄) (注:第四欄) 
 宅地建物取引業者の相手方等  第一項   宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項   少なくとも次に掲げる事項
 交付して説明をさせなければ  交付しなければ
 第二項に規定する宅地又は建物の割賦販売の相手方  第二項   宅地建物取引士をして、前項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項について、これらの事項  前項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項
 交付して説明をさせなければ  交付しなければ

7 宅地建物取引業者は、前項の規定により読み替えて適用する第一項又は第二項の規定により交付すべき書面を作成したときは、宅地建物取引士をして、当該書面に記名押印させなければならない。
 が、かなり入り組んでいて出題の対象になりやすい。


 変更を適用しますと、
 宅地建物取引業法第35条1項は、
 「宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者 (以下「宅地建物取引業者の相手方等」という。)に対して、 
が宅地建物取引業者である場合においては その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項 少なくとも次に掲げる事項 を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を 交付して説明をさせなければ 交付しなければ ならない。」
 となり、
 宅地建物取引業者間のACの売買において、Aは、Cに対して宅地建物取引士による重要事項の”説明を行う必要は、なくなった”のですが、宅地建物取引業法第35条7項により、重要事項説明書には宅地建物取引士による記名押印は必要で、また重要事項説明書の交付も必要ですから、Aは、Cに交付する重要事項説明書への宅地建物取引士の記名押印を省略することができず、誤りです。



答え: 3

  選択肢1の「建物状況調査」ように、法の改正があると、必ず、出題者は、過去問題に捉われずに問題を作れますから、出題します。
  選択肢4は、本当に分かり難い条文だ。 どうして、こんな面倒な条文を作ったのか、法案作成者の頭を疑う。

 選択肢3を正解には、すぐできるが、解説には、時間がかかる。

《タグ》宅地建物取引業法第35条 重要事項の説明 建物状況調査 マンションの管理委託 宅地建物取引士の記名押印 宅地建物取引業者間取引


 *2019年2月18日:「問29」から「問45」までを2019年2月4日から、飛ばして解説したが、また、「問19」へ戻ります。

問46


 *注:問46から問50までは、マンション管理士試験か管理業務主任者試験の合格者には免除される部分です。また、この問46から問50は、「マンション管理適正化法」と「同指針」からの出題と決まっていますので、出題は例年似たような内容となります。過去問題はやっておくと楽です。

 *マンションの管理の適正化に関する指針(国土交通省告示第490号)は、平成28年3月に改正があったので、注意のこと。

 *勉強の仕方としては、「マンション管理適正化法」と「同施行規則」は、連動して作成されているので、「マンション管理適正化法」と「同施行規則」が左右で対照になったものがあると分かり易い。


(注):解説者 香川より:当解説においては、マンションの適正化の推進に関する法律は、略して「マンション管理適正化法」といい、マンションの適正化の推進に関する法律施行規則は、略して「マンション管理適正化法施行規則」といいます。


【問 46】 管理業務主任者に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法によれば、誤っているものはどれか。

1.管理業務主任者とは、管理業務主任者試験に合格した者で、管理事務に関し2年以上の実務の経験を有するもの又は国土交通大臣がその実務の経験を有するものと同等以上の能力を有すると認めたものであり、国土交通大臣の登録を受けた者をいう。

X 誤っている。 管理業務主任者とは、試験に合格して、登録を受け、そして、管理業務主任者証の交付を受けた者。登録だけでは、管理業務主任者になれない。
 平成23年 マンション管理士試験 「問48」 、 平成16年 マンション管理士試験 「問48」 

  あれっ、今年(平成30年)の、管理業務主任者試験では、「マンションの管理の適正化に関する指針」からは、出題がないとは。

 まず、管理業務主任者とは、マンション管理適正化法第2条9号
 「(定義)
  第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号の定めるところによる。
   一 マンション 次に掲げるものをいう。
     イ 二以上の区分所有者(建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第二条第二項に規定する区分所有者をいう。以下同じ。)が存する建物で人の居住の用に供する専有部分(区分所有法第二条第三項に規定する専有部分をいう。以下同じ。)のあるもの並びにその敷地及び附属施設
     ロ 一団地内の土地又は附属施設(これらに関する権利を含む。)が当該団地内にあるイに掲げる建物を含む数棟の建物の所有者(専有部分のある建物にあっては、区分所有者)の共有に属する場合における当該土地及び附属施設
   二 マンションの区分所有者等 前号イに掲げる建物の区分所有者並びに同号ロに掲げる土地及び附属施設の同号ロの所有者をいう。
   三 管理組合 マンションの管理を行う区分所有法第三条若しくは第六十五条に規定する団体又は区分所有法第四十七条第一項(区分所有法第六十六条において準用する場合を含む。)に規定する法人をいう。
   四 管理者等 区分所有法第二十五条第一項(区分所有法第六十六条において準用する場合を含む。)の規定により選任された管理者又は区分所有法第四十九条第一項(区分所有法第六十六条において準用する場合を含む。)の規定により置かれた理事をいう。
   五 マンション管理士 第三十条第一項の登録を受け、マンション管理士の名称を用いて、専門的知識をもって、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者等の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うことを業務(他の法律においてその業務を行うことが制限されているものを除く。)とする者をいう。
   六 管理事務 マンションの管理に関する事務であって、基幹事務(管理組合の会計の収入及び支出の調定及び出納並びにマンション(専有部分を除く。)の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整をいう。以下同じ。)を含むものをいう。
   七 マンション管理業 管理組合から委託を受けて管理事務を行う行為で業として行うもの(マンションの区分所有者等が当該マンションについて行うものを除く。)をいう。
   八 マンション管理業者 第四十四条の登録を受けてマンション管理業を営む者をいう。
  
 九 管理業務主任者 第六十条第一項に規定する管理業務主任者証の交付を受けた者をいう
 とあり、

 マンション管理適正化法第2条9号で引用されている、「第六十条第一項」は、
 「(管理業務主任者証の交付等)
  
第六十条 前条第一項の登録を受けている者は、国土交通大臣に対し、氏名、生年月日その他国土交通省令で定める事項を記載した管理業務主任者証の交付を申請することができる
  (以下、略)」
 とあり、
 引用されています、前条は第59条1項で、
 「(登録) 
  第五十九条  
試験に合格した者で、管理事務に関し国土交通省令で定める期間以上の実務の経験を有するもの又は国土交通大臣がその実務の経験を有するものと同等以上の能 力を有すると認めたものは、国土交通大臣の登録を受けることができる。ただし、次の各号のいずれかに該当する者については、この限りでない。
     一  成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
     二  禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
     三  この法律の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
     四  第三十三条第一項第二号又は第二項の規定によりマンション管理士の登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者
     五  第六十五条第一項第二号から第四号まで又は同条第二項第二号若しくは第三号のいずれかに該当することにより登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者
     六  第八十三条第二号又は第三号に該当することによりマンション管理業者の登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者(当該登録を取 り消された者が法人である場合においては、当該取消しの日前三十日以内にその法人の役員であった者で当該取消しの日から二年を経過しないもの)
 2  前項の登録は、国土交通大臣が、管理業務主任者登録簿に、氏名、生年月日その他国土交通省令で定める事項を登載してするものとする。

 とあり、
 第59条1項での「国土交通省令で定める期間以上の実務の経験を有するもの」は、マンション管理適正化法施行規則第68条で、
 「(法第五十九条第一項の国土交通省令で定める期間)
  第六十八条 法第五十九条第一項の国土交通省令で定める期間は、
二年とする
 です。

  これらにより、設問の前半、「管理業務主任者とは、管理業務主任者試験に合格した者で、管理事務に関し2年以上の実務の経験を有するもの又は国土交通大臣がその実務の経験を有するものと同等以上の能力を有すると認めたものであり、国土交通大臣の登録を受け」までは、正しいのですが、これだけでは、マンション管理適正化法第2条9号での「管理業務主任者証の交付を受けた者」の要件を満たしてはいません。
 管理業務主任者と呼ばれるには、@試験に合格し、 A登録を受け、B管理業務主任者証の交付 を受けないとなれませんから、管理業務主任者とは、管理業務主任者試験に合格した者で、管理事務に関し2年以上の実務の経験を有するもの又は国土交通大臣がその実務の経験を有するものと同等以上の能力を有すると認めたものであり、国土交通大臣の登録を受けた者をいうは、正しくありません。
 さらに、管理業務主任者証の交付が必要です。

 


2.専任の管理業務主任者は、原則として、マンション管理業(マンション管理適正化法第2条第 7号に規定するものをいう。以下同じ。)を営む事務所に常勤して、専らマンション管理業に従事する必要があるが、当該事務所がマンション管理業以外の業種を兼業している場合等で、当該事務所において一時的にマンション管理業の業務が行われていない間に他の業種に係る業務に従事することは差し支えない。

〇 正しい。

 過去問題があったと思うが探しきれない。

 まず、専任の管理業務主任者の設置は、マンション管理適正化法第56条
 「(管理業務主任者の設置)
  第五十六条 
マンション管理業者は、その事務所ごとに、事務所の規模を考慮して国土交通省令で定める数(注:委託を受けた管理組合を30で除したもの(1未満は切り捨て))の成年者である専任の管理業務主任者を置かなければならない。ただし、人の居住の用に供する独立部分(区分所有法第一条に規定する建物の部分をいう。以下同じ。)が国土交通省令で定める数(注:6)以上である第二条第一号イに掲げる建物の区分所有者を構成員に含む管理組合から委託を受けて行う管理事務を、その業務としない事務所については、この限りでない。
 2 前項の場合において、マンション管理業者(法人である場合においては、その役員)が管理業務主任者であるときは、その者が自ら主として業務に従事する事務所については、その者は、その事務所に置かれる成年者である専任の管理業務主任者とみなす。
 3 マンション管理業者は、第一項の規定に抵触する事務所を開設してはならず、既存の事務所が同項の規定に抵触するに至ったときは、二週間以内に、同項の規定に適合させるため必要な措置をとらなければならない。

 とあります。
 そこで、専任については、
  マンションの管理の適正化の推進に関する法律第72条に規定する重要事項の説明等について
  国総動第309号 平成14年2月28日 国土交通省総合政策局不動産業課長発
  があり、
 「第三 「専任の管理業務主任者」の専任性について
 1
法第56条第1項の「専任」とは、原則として、マンション管理業を営む事務所に常勤(マンション管理業者の通常の勤務時間を勤務することをいう。)して、専らマンション管理業に従事する状態をいう。ただし、当該事務所がマンション管理業以外の業種を兼業している場合等で、当該事務所において一時的にマンション管理業の業務が行われていない間に他の業種に係る業務に従事することは差し支えないものとすること。」
 とあり、

 設問の、専任の管理業務主任者は、原則として、マンション管理業(マンション管理適正化法第2条第 7号に規定するものをいう。以下同じ。)を営む事務所に常勤して、専らマンション管理業に従事する必要があるが、当該事務所がマンション管理業以外の業種を兼業している場合等で、当該事務所において一時的にマンション管理業の業務が行われていない間に他の業種に係る業務に従事することは差し支えないは、正しい(適切です)。

 また、ここには、以下のように専任の宅地建物取引主任士との関係もあるので、留意の事。
 「2 「専任の管理業務主任者」は、宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)第15条第1項に規定する「専任の取引主任者」を兼務できないこと。ただし、「専任でない管理業務主任者」が「専任の取引主任者」を兼務すること及び「専任の管理業務主任者」が「専任でない取引主任者」を兼務することは差し支えないこと。
 また、マンション管理業の事務所が建築士事務所、建設業の営業所等を兼ね、当該事務所における管理業務主任者が建築士法、建設業法等の法令により専任を要する業務に従事しようとする場合、及び個人のマンション管理業者が管理業務主任者となっているマンション管理業の事務所において、当該個人が同一の場所において土地家屋調査士、行政書士等の業務をあわせて行おうとする場合等については、他の業種の業務量等を斟酌のうえ専任と認められるものを除き、専任の管理業務主任者とは認められないこと。」


3.管理業務主任者試験に合格した者で、管理事務に関し2年以上の実務の経験を有するものは、国土交通大臣の登録を受けることができるが、マンション管理適正化法第65条第1項第2号に該当することにより登録を取り消され、その取消しの日から2年を経過しない者は登録を受けることはできない。

〇 正しい。
  平成27年 管理業務主任者試験 「問49」 、 
 
 管理業務主任者の登録は、選択肢1で引用しました、マンション管理適正化法第59条
  「(登録)
  第五十九条 
試験に合格した者で、管理事務に関し国土交通省令で定める期間(注:2年)以上の実務の経験を有するもの又は国土交通大臣がその実務の経験を有するものと同等以上の能力を有すると認めたものは、国土交通大臣の登録を受けることができる。ただし、次の各号のいずれかに該当する者については、この限りでない
   一 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
   二 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
   三 この法律の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
   四 第三十三条第一項第二号又は第二項の規定によりマンション管理士の登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者
   
五 第六十五条第一項第二号から第四号まで又は同条第二項第二号若しくは第三号のいずれかに該当することにより登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者
   六 第八十三条第二号又は第三号に該当することによりマンション管理業者の登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者(当該登録を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しの日前三十日以内にその法人の役員であった者で当該取消しの日から二年を経過しないもの)
 2 前項の登録は、国土交通大臣が、管理業務主任者登録簿に、氏名、生年月日その他国土交通省令で定める事項を登載してするものとする。

 とあり、
 マンション管理適正化法第59条によれば、設問の前半、管理業務主任者試験に合格した者で、管理事務に関し2年以上の実務の経験を有するものは、国土交通大臣の登録を受けることができるは正しい。
 そして、後半、マンション管理適正化法第65条第1項第2号に該当することにより登録を取り消され、その取消しの日から2年を経過しない者は登録を受けることはできないは、同法第59条5号によれば、マンション管理適正化法第65条第1項第2号から第4号などに該当することにより登録を取り消され、その取消しの日から2年を経過しない者は登録を受けることはできないため、正しい。


 なお、マンション管理適正化法65条は、
 「登録の取消し)
  第六十五条  国土交通大臣は、管理業務主任者が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消さなければならない。
     一  第五十九条第一項各号(第五号を除く。)のいずれかに該当するに至ったとき。
     
二  偽りその他不正の手段により登録を受けたとき。
     三  偽りその他不正の手段により管理業務主任者証の交付を受けたとき。
     四  前条第一項各号のいずれかに該当し情状が特に重いとき、又は同条第二項の規定による事務の禁止の処分に違反したとき。

 2  国土交通大臣は、第五十九条第一項の登録を受けている者で管理業務主任者証の交付を受けていないものが次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消さなければならない。
     一  第五十九条第一項各号(第五号を除く。)のいずれかに該当するに至ったとき。
     二  偽りその他不正の手段により登録を受けたとき。
     三  管理業務主任者としてすべき事務を行った場合(第七十八条の規定により事務所を代表する者又はこれに準ずる地位にある者として行った場合を除く。)であって、情状が特に重いとき。

 です。



4.マンション管理業者(法人である場合においては、その役員)が管理業務主任者であるときは、その者が自ら主として業務に従事するマンション管理業を営む事務所については、その者は、その事務所に置かれる成年者である専任の管理業務主任者とみなされる。

〇 正しい。
 
 設問は、選択肢1で引用しました、 マンション管理適正化法第56条2項
 「
2 前項の場合において、マンション管理業者(法人である場合においては、その役員)が管理業務主任者であるときは、その者が自ら主として業務に従事する事務所については、その者は、その事務所に置かれる成年者である専任の管理業務主任者とみなす。
 とあり、
 マンション管理業者(法人である場合においては、その役員)が管理業務主任者であるときは、その者が自ら主として業務に従事するマンション管理業を営む事務所については、その者は、その事務所に置かれる成年者である専任の管理業務主任者とみなされるは、正しい。



答え:1

  このあたりは、基本。 選択肢2 は知らない受験生もいたか。

《タグ》マンション管理適正化法 管理業務主任者 専任 取り消し 

問47

【問 47】 マンション管理適正化法第2条に規定する用語の意義に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法によれば、誤っているものはどれか。

1.マンションとは、 2以上の区分所有者が存する建物で人の居住の用に供する専有部分のあるもの並びにその敷地及び附属施設をいうが、この場合、専有部分に居住する者がすべて賃借人であるときも含まれる。

〇 正しい。 専有部分に居住する者がすべて賃借人であってもいい。
  平成26年 管理業務主任者試験 「問47」 、 平成26年マンション管理士試験 「問47」 、平成22年マンション管理士試験 「問47」、 平成16年管理業務主任者試験 「問46」 など。

  マンション管理適正化法における、マンションの定義は、この解説 「問1」から「問25」 までの冒頭にも説明していますが、再度説明します。

 マンションとは、マンション管理適正化法第2条1号
 「(定義)
 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号の定めるところによる。
   一 マンション 次に掲げるものをいう。
     イ 
二以上の区分所有者(建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第二条第二項に規定する区分所有者をいう。以下同じ。)が存する建物で人の居住の用に供する専有部分(区分所有法第二条第三項に規定する専有部分をいう。以下同じ。)のあるもの並びにその敷地及び附属施設
    ロ 一団地内の土地又は附属施設(これらに関する権利を含む。)が当該団地内にあるイに掲げる建物を含む数棟の建物の所有者(専有部分のある建物にあっては、区分所有者)の共有に属する場合における当該土地及び附属施設


 マンション管理適正化法第2条1号イによれば、「マンション」であるための要件は、
    @2人以上の区分所有者 がいて、 
    A人の居住用の専有部分が1つでもあればいい 
 です。マンションの建物には、専有部分と共用部分しかなく、そして、マンションは専有部分と共用部分を含んだ建物と敷地及び附属施設の全体的なものであることに注意してください。


  
 そこで、設問の前半、マンションとは、 2以上の区分所有者が存する建物で人の居住の用に供する専有部分のあるもの並びにその敷地及び附属施設をいうは、正しい。
 後半の、この場合、専有部分に居住する者がすべて賃借人であるときも含まれる、も、要件として、区分所有者が専有部分に居住していなくてもかまいませんから、正しい。
 よって、選択肢1は、全体として正しい。



2.管理者等とは、区分所有法第25条第 1項の規定により選任された管理者又は区分所有法第49条第1項の規定により置かれた理事をいう。

〇 正しい。 管理者等とは、管理者と法人の理事のこと。
 
 管理者等とは、マンション管理適正化法第2条4号
 「(定義)
 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号の定めるところによる。
  
四 管理者等 区分所有法第二十五条第一項(区分所有法第六十六条において準用する場合を含む。)の規定により選任された管理者又は区分所有法第四十九条第一項(区分所有法第六十六条において準用する場合を含む。)の規定により置かれた理事をいう。
 とあり、
 管理者等とは、区分所有法第25条第 1項の規定により選任された管理者又は区分所有法第49条第1項の規定により置かれた理事をいうは、正しい。
 なお、区分所有法第四十九条第一項は、法人の規定です。



3.管理事務とは、マンションの管理に関する事務であって、管理組合の会計の収入及び支出の調定及び出納並びに専有部分を除くマンションの維持又は修繕に関する企画又は実施の調整を含むものをいう。

〇 正しい。
  平成22年 マンション管理士試験 「問47」

 管理事務とは、マンション管理適正化法第2条6号
 「(定義)
 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号の定めるところによる。
 六 
管理事務 マンションの管理に関する事務であって、基幹事務(管理組合の会計の収入及び支出の調定及び出納並びにマンション(専有部分を除く。)の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整をいう。以下同じ。)を含むものをいう。
 とあり、
 管理事務とは、マンションの管理に関する事務であって、管理組合の会計の収入及び支出の調定及び出納並びに専有部分を除くマンションの維持又は修繕に関する企画又は実施の調整を含むものをいうは、正しい。



4.マンション管理業とは、管理組合から委託を受けて、基幹事務を含むマンションの管理事務を行う行為で業として行うものであり、当該基幹事務すべてを業として行うものをいうが、「業として行う」に該当するためには、営利目的を要し、また、反復継続的に管理事務を行っている必要がある。

X 誤っている。 営利目的は、特に要しない。
  平成30年 マンション管理士試験 「問50」 、 平成27年 マンション管理士試験 「問46」 、 平成26年 マンション管理士試験 「問47」 、 平成24年 マンション管理士試験 「問46」 、 平成23年 マンション管理士試験 「問48」

 
 マンション管理業とは、マンション管理適正化法第2条7号
 「(定義)
 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号の定めるところによる。
 
七 マンション管理業 管理組合から委託を受けて管理事務を行う行為で業として行うもの(マンションの区分所有者等が当該マンションについて行うものを除く。)をいう。
 とあり、
 引用されています”管理事務”とは、選択肢3で説明しました、
 「
管理事務 マンションの管理に関する事務であって、基幹事務(管理組合の会計の収入及び支出の調定及び出納並びにマンション(専有部分を除く。)の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整をいう。以下同じ。)を含むものをいう。」
 です。
 そこで、設問の前半、マンション管理業とは、管理組合から委託を受けて、基幹事務を含むマンションの管理事務を行う行為で業として行うものであり、当該基幹事務すべてを業として行うものをいうは、正しい。
 では、設問の後半、「
業として行う」に該当するためには、営利目的を要し、また、反復継続的に管理事務を行っている必要がある、の検討ですが、
 これには、
 マンションの管理の適正化の推進に関する法律の施行について (平成13年7月31日付:国総動第51号) があり、
 それによれば、
 「3 マンション管理業及びマンション管理業者の定義(法第2条第7号及び第8号)
 マンション管理業とは、管理組合から委託を受けて、基幹事務
  (@管理組合の会計 の収入及び支出の調定
  A出納
  Bマンション(専有部分を除く。)の維持又は修繕に関 する企画又は実施の調整)を含むマンションの管理事務を行う行為で業として行うも の(区分所有者等が行うものを除く)であり、@〜Bから構成される
基幹事務すべて を業として行うものであること
 「
業として行う」に該当するか否かについては、営利目的を要さず、また、反復継続的に管理事務を行っているかどうか等の個別の事案を総合勘案して判断すべきであること。なお、反復継続性については、契約を反復継続するものに加え、一つの契約であってもこれに基づく業務の履行の継続性も考慮に入れる必要があることに留意する必要がある。」
 とあり、
「業として行う」は、マンション管理適正化法での解釈として、管理組合から委託を受けて管理事務を行う行為を反復継続して行うことで、
営利を目的とすることは問いませんから、”営利目的を要し”は、誤っています。

 選択肢4は、後半の「営利目的を要し」が誤りです。

 

答え:4 

  選択肢4 の「営利目的の有無」は、解釈から。

  この選択肢3 におけるように、法律からの出題は、「管理組合の
会計の収入及び支出の調定及び出納・・・」のように条文を正確に示すことが、必要です。この観点からも、 「問50」 の選択肢ウ の「管理組合の会計及び支出の状況」で、”収入”が抜けたのは、出題ミスです。

  しかし、次の問「48」といい、この「問47」といい、法律からではなく、単なる国土交通省の見解が、正解とは、出題方法としては、実に不適切だ。

《タグ》マンション管理適正化法 定義 マンション 管理者等 管理事務 マンション管理業 営利目的

問48

【問 48】 マンション管理業者が行うマンション管理適正化法第72条の規定に基づく重要事項の説明等に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法によれば、正しいものはいくつあるか。

ア. マンション管理業者は、管理受託契約を更新しようとする場合において、従前の管理受託契約に比して管理事務の内容及び実施方法の範囲を拡大し、管理事務に要する費用の額を同一とし又は減額しようとする場合、あらかじめ、重要事項の説明会を開催する必要はない。

〇 正しい。 管理組合に有利なら、軽微な変更として、従前の管理受託契約と同一の条件となり、全員への交付でよく、説明会は不要。
  平成28年 管理業務主任者試験 「問50」 、平成26年 管理業務主任者試験 「問49」 、 平成18年 管理業務主任者試験 「問49」 、

 まず、重要事項の説明等は、マンション管理適正化法第72条
 「(重要事項の説明等)
  第七十二条 マンション管理業者は、管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする契約(新たに建設されたマンションの当該建設工事の完了の日から国土交通省令で定める期間を経過する日までの間に契約期間が満了するものを除く。以下「管理受託契約」という。)を締結しようとするとき(
次項に規定するときを除く。)は、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより説明会を開催し、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等に対し、管理業務主任者をして、管理受託契約の内容及びその履行に関する事項であって国土交通省令で定めるもの(以下「重要事項」という。)について説明をさせなければならない。この場合において、マンション管理業者は、当該説明会の日の一週間前までに、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等の全員に対し、重要事項並びに説明会の日時及び場所を記載した書面を交付しなければならない。
 
2 マンション管理業者は、従前の管理受託契約と同一の条件で管理組合との管理受託契約を更新しようとするときは、あらかじめ、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等全員に対し、重要事項を記載した書面を交付しなければならない。
 3 前項の場合において当該管理組合に管理者等が置かれているときは、マンション管理業者は、当該管理者等に対し、管理業務主任者をして、重要事項について、これを記載した書面を交付して説明をさせなければならない。
 4 管理業務主任者は、第一項又は前項の説明をするときは、説明の相手方に対し、管理業務主任者証を提示しなければならない。
 5 マンション管理業者は、第一項から第三項までの規定により交付すべき書面を作成するときは、管理業務主任者をして、当該書面に記名押印させなければならない。

 とあり、
 マンション管理適正化法第72条2項によれば、従前の管理受託契約と同一の条件で、管理受託契約を更新しようとするときは、区分所有者等全員に対し、重要事項を記載した書面を交付すればよく、説明会の開催は不要です。

 では、従前の管理受託契約と同一の条件とは、何でしょうか。曖昧ですね。
 そこで、国土交通省から、
   マンションの管理の適正化の推進に関する法律第72条に規定する重要事項の説明等について
  国総動第309号 平成14年2月28日 国土交通省総合政策局不動産業課長発
 が出ています。
 それの、
  5 「従前の管理受託契約と同一の条件」について
  法第72条第2項に規定する「同一の条件」には、施行通達第二3(1)ハの「マン ション管理業者の商号又は名称、登録年月日及び登録番号」の変更に加え、以下に 関しての契約内容の軽微な変更も含むものであること。
   (1)従前の管理受託契約と管理事務の内容及び実施方法(法第76条の規定により 管理する財産の管理の方法を含む。以下同じ)を同一とし、管理事務に要する 費用の額を減額しようとする場合
  
 (2)従前の管理受託契約に比して管理事務の内容及び実施方法の範囲を拡大し、管理事務に要する費用の額を同一とし又は減額しようとする場合
   (3)従前の管理受託契約に比して管理事務に要する費用の支払いの時期を後に変更 (前払いを当月払い若しくは後払い、又は当月払いを後払い)しようとする場合
   (4)従前の管理受託契約に比して更新後の契約期間を短縮しようとする場合
   (5)管理事務の対象となるマンションの所在地の名称が変更される場合 」
 とあります。


 では、設問の、従前の管理受託契約に比して管理事務の内容及び実施方法の範囲を拡大し、管理事務に要する費用の額を同一とし又は減額しようとする場合は、(2)に該当しますから、マンション管理業者は、管理受託契約を更新しようとする場合において、従前の管理受託契約に比して管理事務の内容及び実施方法の範囲を拡大し、管理事務に要する費用の額を同一とし又は減額しようとする場合、あらかじめ、重要事項の説明会を開催する必要はないは、正しい。


イ. 管理業務主任者は重要事項を記載した書面に記名押印をすべきこととされているが、この場合において「記名」されるべき管理業務主任者は、原則として、重要事項について十分に調査検討し、それらの事項が真実に合致し誤り及び記載漏れがないかどうか等を確認した者であって、実際に当該重要事項説明書をもって重要事項説明を行う者である。

〇 正しい。 管理業務主任者は重要事項説明に重大な責任をもっている。
 
 これも、選択肢アで引用しました、
  マンションの管理の適正化の推進に関する法律第72条に規定する重要事項の説明等について
  国総動第309号 平成14年2月28日 国土交通省総合政策局不動産業課長発
  「2 重要事項説明書について
   (1)重要事項説明書の様式
      重要事項説明については、重要事項を記載した書面(以下「重要事項説明書」 という)を交付して管理業務主任者が行わなければならないこととされている が 別添様式のとおり重要事項説明書の様式を作成したので参考とされたい 。
     また、重要事項説明書の作成に際しては、別添様式第六面記載要領を参考とさ れたい。
   (2)重要事項説明書への「記名押印」
      イ)法第72条第5項において、
管理業務主任者は重要事項説明書に記名押印をすべきこととされているが、この場合において「記名」されるべき管理業務主 任者は、原則として、重要事項について十分に調査検討し、それらの事項が真実に合致し誤り及び記載漏れがないかどうか等を確認した者であって、実際に 当該重要事項説明書をもって重要事項説明を行う者であること。
     ロ)また「記名」については、署名と異なり、当該管理業務主任者以外の者によりなされ又は印刷によっても差し支えないが「押印」については当該管理 業務主任者が自らが行わなければならないこと。
     ハ)区分所有者等に対して交付すべき書面については、その全てが「記名押印」 をした書面(以下「原本」という)であるべきものであるが、区分所有者等の数が膨大である等業務に支障をきたす場合にあっては、管理者等に交付し た原本のコピーをもって、区分所有者等に対して交付すべき書面に代えるこ とができるものであること。
       なお、管理者等がいない場合にあっては、区分所有者等のうちいずれか2名に対して原本を交付し、他の区分所有者等に対 しては原本のコピーをもって交付すべき書面に代えることができるものであ ること。
       また、これらの場合においては、原本を交付した者の氏名を区分所 有者等に交付すべき書面に明記すること。」
 とあり、
 管理業務主任者は重要事項を記載した書面に記名押印をすべきこととされているが、この場合において「記名」されるべき管理業務主任者は、原則として、重要事項について十分に調査検討し、それらの事項が真実に合致し誤り及び記載漏れがないかどうか等を確認した者であって、実際に当該重要事項説明書をもって重要事項説明を行う者であるは、正しい。



ウ. マンション管理業者は、いわゆる「団地組合」が形成されており、その内部に複数の別の管理組合が存在している場合でこれらの組合からそれぞれ委託を受けて管理事務を行っている場合にあっては、重要事項の説明は、それぞれの管理組合の管理者等及び区分所有者等に対して行わなければならない。

〇 正しい。 団地に複数の管理組合があり、別々に委託されていれば、重要事項の説明も、各管理組合に行うこと。

 これも、選択肢アで引用しました、  
  マンションの管理の適正化の推進に関する法律第72条に規定する重要事項の説明等について
  国総動第309号 平成14年2月28日 国土交通省総合政策局不動産業課長発
 「 4 重要事項説明の相手方について
    
いわゆる「団地組合」が形成されており、その内部に複数の別の管理組合が存在 している場合でこれらの組合からそれぞれ委託を受けて管理事務を行っている場合にあっては、重要事項説明は、それぞれの管理組合の管理者等及び区分所有者等に対して行わなければならないこと。」
 とあり、
 正しい。



エ. マンション管理業者は、管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする契約を締結しようとするときは、当該契約締結の1週間前までに、重要事項の説明会を開催しなければならない。

X 誤っている。 説明会の開催は、”あらかじめ”で、いい。 重要事項並びに説明会の日時及び場所を記載した書面の交付は、説明会の一週間前まで。
  平成30年 マンション管理士試験 「問46」 、

 紛らわしく面倒な、設問です。

 重要事項の説明会は、選択肢アで引用しました、マンション管理適正化法第72条1項
 「(重要事項の説明等)
  第七十二条 マ
ンション管理業者は、管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする契約(新たに建設されたマンションの当該建設工事の完了の日から国土交通省令で定める期間を経過する日までの間に契約期間が満了するものを除く。以下「管理受託契約」という。)を締結しようとするとき(次項に規定するときを除く。)あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより説明会を開催し、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等に対し、管理業務主任者をして、管理受託契約の内容及びその履行に関する事項であって国土交通省令で定めるもの(以下「重要事項」という。)について説明をさせなければならない。この場合において、マンション管理業者は、当該説明会の日の一週間前までに、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等の全員に対し、重要事項並びに説明会の日時及び場所を記載した書面を交付しなければならない。」
 とあり、
 「国土交通省令で定めるところ」は、マンション管理適正化法施行規則第83条
 「(説明会の開催)
  第八十三条 
法第七十二条第一項の規定による説明会は、できる限り説明会に参加する者の参集の便を考慮して開催の日時及び場所を定め、管理事務の委託を受けた管理組合ごとに開催するものとする
 2 マンション管理業者は、前項の説明会の開催日の一週間前までに説明会の開催の日時及び場所について、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等の見やすい場所に掲示しなければならない。

 とあり、
 説明会の開催は、”あらかじめ”(前もって)でよく、ンション管理業者は、管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする契約を締結しようとするときは、当該契約締結の1週間前までに、重要事項の説明会を開催しなければならないは、誤りです。

 なお、説明会の日の一週間前までに、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等の全員に対し、重要事項並びに説明会の日時及び場所を記載した書面を交付します。



1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ

答え: 3 正しいものは、 ア イ ウ の3つ。

 マンションの管理の適正化の推進に関する法律第72条に規定する重要事項の説明等について
  国総動第309号 平成14年2月28日 国土交通省総合政策局不動産業課長発 過去出題があった。

  ここは、難しい。個数問題となると、さらに正解がでない。 解説も時間がかかる(約3時間)
 しかし、前問「47」といい、この「問48」といい、法律からではなく、単なる国土交通省の見解が、正解とは、出題方法としては、実に不適切だ。

  過去問題も、しっかりとやっておかないと、ダメということだ。

《タグ》マンション管理適正化法第72条(重要事項の説明等 管理受託契約 国総動第309号 従前と同一 記名押印 団地での説明 説明会

問49

【問 49】 管理組合の財産の分別管理に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法によれば、誤っているものはどれか。

1.収納口座とは、マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金等金銭又はマンション管理適正化法施行規則(以下、本問において「規則」という。)第87条第1項に規定する財産を預入し、一時的に預貯金として管理するための口座であって、マンション管理業者を名義人とすることもできるものをいう。


〇 正しい。 収納口座なら、マンション管理業者を名義人とすることもできる。

  平成28年 管理業務主任者試験 「問49」 、  平成24年 管理業務主任者試験 「問48」 、 平成22年 マンション管理士試験 「問50」 、平成22年 管理業務主任者試験 「問13」 

 まず、 マンション管理適正化法施行規則第87条に入る前に、管理業者と管理組合の財産を分別して管理しろという規定は、マンション管理適正化法第76条
 「(財産の分別管理)
  第七十六条 マンション管理業者は、管理組合から委託を受けて管理する修繕積立金その他国土交通省令で定める財産については、整然と管理する方法として
国土交通省令で定める方法により、自己の固有財産及び他の管理組合の財産と分別して管理しなければならない。
 です。

 そこで、この財産の分別管理の詳細な規定として、マンション管理適正化法施行規則第87条がある訳ですが、施行規則第87条の規定は、マンション管理業者が管理組合から預かった金銭を横領した事件が多発したことを受け、国土交通省がマンション管理業者に自社の財産と管理組合の財産を明確に分けて管理しなさいと指導するために、大幅に改正され、平成22年5月1日からの施行となっています。(この施行が5月と遅かったことを受け、平成22年のマンション管理士・管理業務主任者試験では、出題が「問題中法令に関する部分は、平成22年5月1日現在施行中の規定に基づいて出題されています」と例年なら4月1日なのに変更されていました。)

 では、マンション管理適正化法施行規則第87条
  「(財産の分別管理)
  第八十七条 法第七十六条の国土交通省令で定める財産は、管理組合又はマンションの区分所有者等から受領した管理費用に充当する金銭又は有価証券とする。
 2 法第七十六条に規定する国土交通省令で定める方法は、次の各号に掲げる場合に応じ、それぞれ当該各号に定める方法とする。
   一 修繕積立金等が金銭である場合 次のいずれかの方法
     イ マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金等金銭を
収納口座に預入し、毎月、その月分として徴収された修繕積立金等金銭から当該月中の管理事務に要した費用を控除した残額を、翌月末日までに収納口座から保管口座に移し換え、当該保管口座において預貯金として管理する方法
     ロ マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金(金銭に限る。以下この条において同じ。)を
保管口座に預入し、当該保管口座において預貯金として管理するとともに、マンションの区分所有者等から徴収された前項に規定する財産(金銭に限る。以下この条において同じ。)を収納口座に預入し、毎月、その月分として徴収された前項に規定する財産から当該月中の管理事務に要した費用を控除した残額を、翌月末日までに収納口座から保管口座に移し換え、当該保管口座において預貯金として管理する方法
     ハ マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金等金銭を
収納・保管口座に預入し、当該収納・保管口座において預貯金として管理する方法
     二 修繕積立金等が有価証券である場合 金融機関又は証券会社に、当該有価証券(以下この号において「受託有価証券」という。)の保管場所を自己の固有財産及び他の管理組合の財産である有価証券の保管場所と明確に区分させ、かつ、当該受託有価証券が受託契約を締結した管理組合の有価証券であることを判別できる状態で管理させる方法
 3 マンション管理業者は、前項第一号イ又はロに定める方法により修繕積立金等金銭を管理する場合にあっては、マンションの区分所有者等から徴収される一月分の修繕積立金等金銭又は第一項に規定する財産の合計額以上の額につき有効な
保証契約を締結していなければならない。ただし、次のいずれにも該当する場合は、この限りでない。
   一 修繕積立金等金銭若しくは第一項に規定する財産がマンションの区分所有者等からマンション管理業者が受託契約を締結した管理組合若しくはその管理者等(以下この条において「管理組合等」という。)を名義人とする収納口座に直接預入される場合又はマンション管理業者若しくはマンション管理業者から委託を受けた者がマンションの区分所有者等から修繕積立金等金銭若しくは第一項に規定する財産を徴収しない場合
   二 マンション管理業者が、管理組合等を名義人とする収納口座に係る当該管理組合等の印鑑、預貯金の引出用のカードその他これらに類するものを管理しない場合
 4 
マンション管理業者は、第二項第一号イからハまでに定める方法により修繕積立金等金銭を管理する場合にあっては、保管口座又は収納・保管口座に係る管理組合等の印鑑、預貯金の引出用のカードその他これらに類するものを管理してはならない。ただし、管理組合に管理者等が置かれていない場合において、管理者等が選任されるまでの比較的短い期間に限り保管する場合は、この限りでない。
 5 マンション管理業者は、毎月、管理事務の委託を受けた管理組合のその月(以下この項において「対象月」という。)における会計の収入及び支出の状況に関する書面を作成し、翌月末日までに、当該書面を当該管理組合の管理者等に交付しなければならない。この場合において、当該管理組合に管理者等が置かれていないときは、当該書面の交付に代えて、対象月の属する当該管理組合の事業年度の終了の日から二月を経過する日までの間、当該書面をその事務所ごとに備え置き、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等の求めに応じ、当該マンション管理業者の業務時間内において、これを閲覧させなければならない。
 
6 この条において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
   
一 収納口座 マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金等金銭又は第一項に規定する財産を預入し、一時的に預貯金として管理するための口座をいう。
   二 保管口座 マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金を預入し、又は修繕積立金等金銭若しくは第一項に規定する財産の残額(第二項第一号イ若しくはロに規定するものをいう。)を収納口座から移し換え、これらを預貯金として管理するための口座であって、管理組合等を名義人とするものをいう。
   三 収納・保管口座 マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金等金銭を預入し、預貯金として管理するための口座であって、管理組合等を名義人とするものをいう

  です。


  施行規則第87条では、各口座の定義が、終わりの施行規則第87条6項にあるので、全部の条文に目を通す必要があります。
   @収納口座、
   A保管口座、
   B収納・保管口座 とは何かを理解する必要があります。


   

 @収納口座とは...マンションの区分所有者等から集める「管理費」や「修繕積立金」が一時的に預けられる口座。この収納口座の名義は管理組合でも管理業者でもいい。
 A保管口座とは...マンションの区分所有者等から集める「修繕積立金」だけが預けられる口座。
   ・直接、区分所有者から振り込まれる場合 と
   ・収納口座から、管理事務費用を除いて、保管口座に移される場合 がある。
    保管口座の名義は、絶対に、管理組合であること。
    管理業者名義では、安心できない。
 B収納・保管口座とは...管理組合名義の口座で、マンションの区分所有者等から直接、「管理費」と「修繕積立金」が預けられる口座
 です。


  これを、理解して、設問、収納口座とは、マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金等金銭又はマンション管理適正化法施行規則(以下、本問において「規則」という。)第87条第1項に規定する財産を預入し、一時的に預貯金として管理するための口座であって、マンション管理業者を名義人とすることもできるものをいうは、正しい。
  収納口座なら、このあと、管理組合名義の保管口座に移しかえられますから、名義は管理組合でも管理業者でもいいということです。



2.収納・保管口座とは、マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金等金銭を預入し、又は修繕積立金等金銭若しくは規則第87条第 1項に規定する財産の残額を収納口座から移し換え、これらを預貯金として管理するための口座であって、管理組合等を名義人とするものをいう。

X 誤っている。 収納・保管口座では、収納口座からの移し換えはない。

 選択肢1で説明しましたように、マンション管理適正化法施行規則第87条6項
 「
三 収納・保管口座 マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金等金銭を預入し、預貯金として管理するための口座であって、管理組合等を名義人とするものをいう
 とあり、
 収納・保管口座では、最初から、この口座の名義人は管理組合等であるため、一応管理組合の財産と管理業者の財産とが分別されています。
 そこで、設問の、収納・保管口座とは、マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金等金銭を預入し、又は修繕積立金等金銭若しくは規則第87条第 1項に規定する財産の残額を収納口座から移し換え、これらを預貯金として管理するための口座であって、管理組合等を名義人とするものをいう、のうち、「又は修繕積立金等金銭若しくは規則第87条第 1項に規定する財産の残額を収納口座から移し換え」は、行わないため、この箇所が誤りです。



3.マンション管理業者は、規則第87条第 2項第 1号イに定める方法により修繕積立金等金銭を管理する場合にあっては、保管口座に係る管理組合の印鑑、預貯金の引出用のカードその他これらに類するものを管理してはならないが、管理組合に管理者等が置かれていない場合において、管理者等が選任されるまでの比較的短い期間に限り保管する場合は、この限りでない。

〇 正しい。 管理者がいないと、とりあえず、マンション管理業者が代行する。

 選択肢1で引用しました、マンション管理適正化法施行規則第87条2項1号イ なら、

 

 
 マンション管理適正化法施行規則第87条4項
 「
4 マンション管理業者は、第二項第一号イからハまでに定める方法により修繕積立金等金銭を管理する場合にあっては、保管口座又は収納・保管口座に係る管理組合等の印鑑、預貯金の引出用のカードその他これらに類するものを管理してはならない。ただし、管理組合に管理者等が置かれていない場合において、管理者等が選任されるまでの比較的短い期間に限り保管する場合は、この限りでない。」
 とあり、
 設問の、マンション管理業者は、規則第87条第 2項第 1号イに定める方法により修繕積立金等金銭を管理する場合にあっては、保管口座に係る管理組合の印鑑、預貯金の引出用のカードその他これらに類するものを管理してはならないが、管理組合に管理者等が置かれていない場合において、管理者等が選任されるまでの比較的短い期間に限り保管する場合は、この限りでないは、正しい。

 例えば、管理組合ができたばかりのことを想定すれば、但し書きも分かるでしょう。


 


4.マンション管理業者は、規則第87条第2 項第1 号イに定める方法により修繕積立金等金銭を管理する場合において、マンション管理業者から委託を受けた者がマンションの区分所有者等から修繕積立金等金銭を徴収するときは、マンションの区分所有者等から徴収される 1月分の修繕積立金等金銭の合計額以上の額につき、有効な保証契約を締結していなければならない。

〇 正しい。 保証契約がないと、管理組合は、安心できない。

 保証契約は、マンション管理適正化法施行規則第87条3項
 「
3 マンション管理業者は、前項第一号イ又はロに定める方法により修繕積立金等金銭を管理する場合にあっては、マンションの区分所有者等から徴収される一月分の修繕積立金等金銭又は第一項に規定する財産の合計額以上の額につき有効な保証契約を締結していなければならない。ただし、次のいずれにも該当する場合は、この限りでない。
   一 修繕積立金等金銭若しくは第一項に規定する財産がマンションの区分所有者等からマンション管理業者が受託契約を締結した管理組合若しくはその管理者等(以下この条において「管理組合等」という。)を名義人とする収納口座に直接預入される場合又はマンション管理業者若しくはマンション管理業者から委託を受けた者がマンションの区分所有者等から修繕積立金等金銭若しくは第一項に規定する財産を徴収しない場合
   二 マンション管理業者が、管理組合等を名義人とする収納口座に係る当該管理組合等の印鑑、預貯金の引出用のカードその他これらに類するものを管理しない場合」

 とあり、
 マンション管理業者は、規則第87条第2 項第1 号イに定める方法により修繕積立金等金銭を管理する場合において、マンション管理業者から委託を受けた者がマンションの区分所有者等から修繕積立金等金銭を徴収するときは、マンションの区分所有者等から徴収される 1月分の修繕積立金等金銭の合計額以上の額につき、有効な保証契約を締結していなければならないは、正しい。


 


答え:2

  この財産の分別管理は、口座の違い、各方式、イ、ロ、ハ も合わせて理解していないと、正解にはならない。 過去問題からしっかりと理解していれば、易しい。

《タグ》マンション管理適正化法施行規則第87条財産の分別管理  @収納口座、 A保管口座、 B収納・保管口座 印鑑等の預り 保証契約
 

問50

【問 50】 マンション管理業者が行うマンション管理適正化法第77条の規定に基づく管理事務の報告に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法によれば、誤っているものはいくつあるか。

ア. マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれていないときは、定期に、説明会を開催し、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等に対し、管理業務主任者をして、当該管理事務に関する報告をさせなければならない。

○ 正しい。 管理者等が置かれていないときは、定期に、説明会を開催し、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等に対し、管理業務主任者をして、当該管理事務に関する報告をさせなければならない。
 平成29年 管理業務主任者試験 「問47」 、 平成27年 管理業務主任者試験 「問48」 

 管理事務の報告は、マンション管理適正化法第77条
 「(管理事務の報告)
 第七十七条 マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれているときは、国土交通省令で定めるところにより、定期に、当該管理者等に対し、管理業務主任者をして、当該管理事務に関する報告をさせなければならない。
 
2 マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれていないときは、国土交通省令で定めるところにより、定期に、説明会を開催し、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等に対し、管理業務主任者をして、当該管理事務に関する報告をさせなければならない。
 3 管理業務主任者は、前二項の説明をするときは、説明の相手方に対し、管理業務主任者証を提示しなければならない。

 とあり、
 マンション管理適正化法第77条2項によれば、マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれていないときは、定期に、説明会を開催し、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等に対し、管理業務主任者をして、当該管理事務に関する報告をさせなければならないは、正しい。

  管理者が置かれているときと、いないときの区別は、良く出題されるので纏めました。

 

● マンション管理適正化法第77条における管理業務主任者がおこなう管理事務の報告まとめ  
管理組合の態様 報告先  説明会の有無  報告方法  備考 
1.管理組合の理事長(又は法人の理事)が管理者等に選任されている場合 管理者(理事長)等  管理組合の事業年度終了後、遅滞なく、管理業務主任者が管理業務主任者証を提示して行う 管理業務主任者の記名押印は求められていない
2.管理組合の理事長等が管理者に選任されていない場合   
 ア.管理業者が管理者等に選任されている場合 区分所有者等  管理組合の事業年度の終了後、遅滞なく、説明会で、管理業務主任者が管理業務主任者証を提示して行う  説明会の開催の案内は、1週間前までに掲示 
 イ.管理者等が選任されていない場合



イ. 管理業務主任者は、管理事務の報告を行うときは、その相手方から求められなければ、管理業務主任者証を提示する必要はない。

X 誤っている。 相手方の求めに関係なく、管理業務主任者証を提示する。
  平成28年 管理業務主任者試験 「問48」 、平成16年 マンション管理士試験 「問50」 

  管理事務の報告の際には、選択肢アで引用しました、マンション管理適正化法第77条3項
 「(管理事務の報告)
 第七十七条
  「
3 管理業務主任者は、前二項の説明をするときは、説明の相手方に対し、管理業務主任者証を提示しなければならない。
 とあり、
 管理業務主任者は、管理事務の報告の際には、その相手方が求めなくても、常に管理業務主任者証を提示しなければなりませんから、設問の、理業務主任者は、管理事務の報告を行うときは、
"”その相手方から求められなければ、管理業務主任者証を提示する必要はない”は、誤りです。

 なお、罰則: 過料 10万円以下 もあります。

 

ウ. マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれているときは、管理事務の報告を行う場合、報告の対象となる期間、管理組合の会計及び支出の状況のほか、管理受託契約の内容に関する事項を記載した管理事務報告書を作成し、管理業務主任者をして、これを管理者等に交付して説明をさせなければならない。

○ 正しい。 会計の”収入”及び支出の状況は、”収入”が抜けた問題あるが。
  平成29年 管理業務主任者試験 「問47」 、平成28年 管理業務主任者試験 「問48」  

 管理者等が置かれていれば、選択肢ア で引用しましたマンション管理適正化法第77条1項
 「(管理事務の報告)
 
 第七十七条 マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれているときは、国土交通省令で定めるところにより、定期に、当該管理者等に対し、管理業務主任者をして、当該管理事務に関する報告をさせなければならない。
 とあり、
 「国土交通省令で定めるところ」は、マンション管理適正化法施行規則第88条
 「(管理事務の報告)
 第八十八条 マンション管理業者は、法第七十七条第一項の規定により管理事務に関する報告を行うときは、管理事務を委託した管理組合の事業年度終了後、遅滞なく、当該期間における管理受託契約に係るマンションの管理の状況について次に掲げる事項を記載した管理事務報告書を作成し、管理業務主任者をして、これを管理者等に交付して説明をさせなければならない。
   
一 報告の対象となる期間
   二 管理組合の会計”の収入”及び支出の状況
   三 前二号に掲げるもののほか、管理受託契約の内容に関する事項

 ですから、
  設問は、マンション管理適正化法施行規則第88条2号の規定で、「管理組合の”
会計及び支出の状況”」で会計の「収入」が抜けているのですが、これは、校正ミスと捉えて、マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれているときは、管理事務の報告を行う場合、報告の対象となる期間、管理組合の会計及び支出の状況のほか、管理受託契約の内容に関する事項を記載した管理事務報告書を作成し、管理業務主任者をして、これを管理者等に交付して説明をさせなければならないは、正しいとします。


エ. マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれていないときは、管理事務に関する報告の説明会の開催日の1 週間前までに、当該説明会の開催の日時及び場所について、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等の見やすい場所に掲示しなければならない。

○ 正しい。 
 平成23年 マンション管理士試験 「問50」 、 平成14年 マンション管理士試験 「問50」 

 管理者等が置かれていないと、選択肢ア で引用しましたマンション管理適正化法第77条2項
 「(管理事務の報告)
  第七十七条 
 2 マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれていないときは、国土交通省令で定めるところにより、定期に、説明会を開催し、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等に対し、管理業務主任者をして、当該管理事務に関する報告をさせなければならない
 とあり、
 「国土交通省令で定めるところ」は、マンション管理適正化法施行規則第89条
 「第八十九条 マンション管理業者は、法第七十七条第二項の規定により管理事務に関する報告を行うときは、管理事務を委託した管理組合の事業年度の終了後、遅滞なく、当該期間における管理受託契約に係るマンションの管理の状況について前条各号に掲げる事項を記載した管理事務報告書を作成し、法第七十七条第二項に規定する説明会を開催し、管理業務主任者をして、これを当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等に交付して説明をさせなければならない。
 2 前項の説明会は、できる限り説明会に参加する者の参集の便を考慮して開催の日時及び場所を定め、管理事務の委託を受けた管理組合ごとに開催するものとする。
 
3 マンション管理業者は、前項の説明会の開催日の一週間前までに説明会の開催の日時及び場所について、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等の見やすい場所に掲示しなければならない
 です。
 そこで、マンション管理適正化法第77条2項及びマンション管理適正化法施行規則第89条3項によれば、ンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれていないときは、管理事務に関する報告の説明会の開催日の1 週間前までに、当該説明会の開催の日時及び場所について、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等の見やすい場所に掲示しなければならないは、正しい。



1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ

答え:1 (誤っているのは イ の1つだけ) 
 2019年1月18日追記:ただし、出題元の マンション管理業協会 から、出題ミスから、ウ も正解とする とのことです。
 それなら、2 (2つ) も正解です。


*2019年 1月13日(最終):
  しかし、選択肢ウ の設問は、「管理組合の会計及び支出の状況」で会計の「収入」が抜けた、校正ミスと思われるが、これは、出題者として、あってはならない大きな失敗だ。

 参考:平成30年 管理業務主任者試験 「問47」選択肢3 など。

 受験生は、至急 出題元の 一般社団法人 マンション管理業協会 へ、出題として適切でないと、抗議文を出すべきだ。

 理由は、法の条文を出題の根拠としている問題文の作成において、本来、 マンション管理適正化法施行規則第88条2号においては、「二 管理組合の会計の”収入”及び支出の状況」とあるべき出題が「管理組合の会計及び支出の状況」とあり、”収入”が欠落している。これでは、出題文として適切ではないためです。

  なお、その手紙に対して、一般社団法人 マンション管理業協会 は、「試験問題等に関する問い合わせには、一切応じられません」
   と回答してきますから、
   国家資格の試験問題で、受験生に対して、「試験問題等に関する問い合わせには、一切応じられません」の態度は、許されないと、前もって記載すればいいでしょう。

  また、平行して、出題元の 一般社団法人 マンション管理業協会 を監督している、国土交通省 住宅局 あてにも手紙をだします。

  なお、抗議文の例は、http://www.higuchi-fit.co.jp/mezase/kako-mon/H24/H24-man-q24-shitumon.htm

 にもあります。

  これで、ダメなら、SNS を使って、マスコミにも動いてもらうことです。

 *管理業務主任者試験では、平成26年「問38」 で今年のように、”法人”が抜けており、平成24年には2問、平成25年でも1問など、出題ミスがあった。

  ★平成26年の謝罪文:
   「問38については、選択肢3および選択肢4がともに、過料に処せられない可能性がありうることから、いずれも正解とすることといたしました。正解が2つ生じたことを深くお詫び申し上げますとともに、今後、このようなことがないように努めて参ります。
     *合否、試験問題および正解の根拠等に関するお問い合わせにはお答えできません。」

  まったく、誠実さが感じられない文章ですね。

 以上、ご参考までに。 


 *この出題に似たような、状況が、 平成30年 マンション管理士試験 「問6」 でも起きていますから、受験生は、厳しく「抗議」してください。


 2019年 1月18日: 
 *「問50」 の ウ について、平成31年1月18日:出題元の マンション管理業協会 からの陳謝文です。
 *問 50 のウについては、正しいとも誤りともとれる余地があるため、1及び2のいずれも正解として取り扱うことといたしました。
受験者の方々にご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げますとともに、再発防止に努めてまいります。


 ※ 合否、試験問題及び正解の根拠等に関するお問い合わせには答えできまん。

 ですって。まったく、この文では、過去も度々出題ミスを犯している、マンション管理業協会が、本当に反省しているとは、思えないけど。

 また、良くある、官僚的な表だけの謝罪文で、憤慨します。

 *でも、早期にこの選択肢 ウ での「収入」が抜けたことに気が付いた受験者が、直ちに 出題元の マンション管理業協会 及び監督官庁の 国土交通省 住宅局 に対して 抗議文を出したことは、素晴らしい成果を生み出しました。

 マンション管理士 香川 から拍手です。

《タグ》 マンション管理適正化法第77条管理事務の報告 管理者が置かれていない時 管理業務主任者証の提示 管理者が置かれている時 掲示

ここまで、問50


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2019年 4月11日:再度見直しも終わった。
2019年 3月 8日:どうやら、管理業務主任者試験も飛ばし、飛ばして解説をして、全部終わった。
  また、再度、見直しもしますが、お気づきの点があれば、 「マンション管理士 香川事務所」 へ、連絡ください。
2019年 2月18日:「問29」から「問45」までの解説が終わったので、「問19」へ戻る。
25問の解説に、2カ月半以上もかかった訳だ。
2019年 2月 4日: 「問29」から先に解説する。
「問46」から「問50」先に解説する:2019年 1月12日
解説開始:2018年12月31日
問題文Up:2018年12月27日

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