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★★      要約 建築基準法       ★★

第1章 総則

U-b.第6条(建築物の建築等に関する申請及び確認) から 第18条の3(確認審査等に関する指針等)まで

マンション管理士・管理業務主任者を目指す方のために、試験にでる建築基準法を条文ごとにイラストなどを入れて解説しました。 

試験問題は、過去の問題から出されるのではありません。条文から出題されます。

条文を勉強することが、合格への道です。

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第1章 総則 説明
第6条 建築物の建築等に関する申請及び確認
第6条の2 国土交通大臣等の指定を受けた者による確認
第6条の3 構造計算適合性判定
第6条の4 建築物の建築に関する確認の特例
第7条 建築物に関する完了検査
第7条の2 国土交通大臣等の指定を受けた者による完了検査
第7条の3 建築物に関する中間検査
第7条の4 国土交通大臣等の指定を受けた者による中間検査
第7条の5 建築物に関する検査の特例
第7条の6 検査済証の交付を受けるまでの建築物の使用制限
第8条 維持保全
第9条 違反建築物に対する措置
第9条の2 建築監視員
第9条の3 違反建築物の設計者等に対する措置
第9条の4 保安上危険な建築物等の所有者等に対する指導及び助言
第10条 著しく保安上危険な建築物等の所有者等に対する勧告及び命令 
第11条 第三章の規定に適合しない建築物に対する措置
第12条 報告、検査等
第12条の2 建築物調査員資格者証
第12条の3 建築設備等検査員資格者証
第13条 身分証明書の携帯
第14条 都道府県知事又は国土交通大臣の勧告、助言又は援助
第15条 届出及び統計
第15条の2 報告、検査等
第16条  国土交通大臣又は都道府県知事への報告
第17条 特定行政庁等に対する指示等
第18条 国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物に対する確認、検査又は是正措置に関する手続の特例
第18条の2 指定構造計算適合性判定機関による構造計算適合性判定の実施
第18条の3 確認審査等に関する指針等
凡例:各条文は、黒字にて表示。解説は条文の下に緑字にて表示

施行:令和元年(2019年)6月25日に対応した。
都市緑地法等の一部を改正する法律(この中に、「田園住居地域」が創設され都市計画法や建築基準法、宅地建物取引業の一部改正も入っている);
施行:平成30年(2018年)4月1日 に対応した。改正箇所をピンク字で表示
建築基準法の最終改正:交付日:平成26年(2014年)6月4日、施行:平成27年(2015年)6月1日
改正箇所をいれた
前回の改正:平成23年(2011年)12月14日


(建築物の建築等に関する申請及び確認)
第六条 (赤字は、平成30年6月27日公布)

 建築主は、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定(この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築基準法令の規定」という。)その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう。以下同じ。)に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。当該確認を受けた建築物の計画の変更(国土交通省令で定める軽微な変更を除く。)をして、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合も、同様とする。

  一  別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が、二百平方メートル 百平方メートル を超えるもの

  二  木造の建築物で三以上の階数を有し、又は延べ面積が五百平方メートル、高さが十三メートル若しくは軒の高さが九メートルを超えるもの

  三  木造以外の建築物で二以上の階数を有し、又は延べ面積が二百平方メートルを超えるもの

  四  前三号に掲げる建築物を除くほか、都市計画区域若しくは準都市計画区域(いずれも都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域を除く。)若しくは景観法 (平成十六年法律第百十号)第七十四条第一項 の準景観地区(市町村長が指定する区域を除く。)内又は都道府県知事が関係市町村の意見を聴いてその区域の全部若しくは一部について指定する区域内における建築物

 (2項へ続く)

過去出題 マンション管理士 H28年、H25年、H24年、H14年、H13年、
管理業務主任者  R02年、H21年、H17年、

6条:建築物の建築等に関する申請及び確認は、建築主が建築や大規模の修繕、大規模の模様替をしようとする際に、当該工事の前に必要とされる建築確認の申請を定めた規定です。この6条の申請と確認は、建築では、その着工にあたり基本となりますから大変重要な規定です。

★建築確認

★建築主は誰に申請するのか → 特定行政庁の「建築主事」(または指定確認検査機関)
 前に説明しました建築基準法第4条で都道府県または市区町村など「特定行政庁」の「建築主事」または、民間の「指定確認検査機関(国土交通大臣等の指定を受けた者による確認)(6条の2) 」に申請をします。
   また、その建築物が消防法により定められた防火対象物である場合は、消防長による確認前の同意が必要です。各地域の取決めによって担当部署に申請書が送られます。この場合、消防設備等に関する書類の添付も求められます。こうして所定の手続きが行われた場合、確認申請書には消防同意が為された旨の記載がされます。運用上、この記載がなければ確認処分が行われません。


 建築基準法や関連する消防法などに合致しているか、の他にその市町村の条例にも合致しているかが、確認されます。

★どんな場合に建築確認申請が必要となるのか
  1. 建物の「新築」はどこでも、(全国の、都市計画の内外を問わず)
  2.
防火地域と準防火地域内の10u(6畳程度)を超える「増築・改築・移転」、(2項)
  3. 「大規模の修繕、大規模の模様替え」、
  4. 「特殊建築物」(*不特定多数の人が利用する用途。マンション=共同住宅で入ります)に 
200u 100u を超える用途変更の場合、また
  5. 木造で3階以上も必要です。

◎建築確認が必要な建築物     
区域 条文  対象建築物 新築(建築) 増築・改築・移転 大規模の修繕・模様替 
全国で適用   1号規定
 @特殊建築物で用途に供する部分の床面積の合計が、 200u (旧100u)を超えるもの

 ◎この場合、逆に、特殊建築物でも、床面積の合計が200u以下なら建築確認申請は、不要です。

*特殊建築物とは(建築基準法第2条3号)
 建築基準法 別表第1(い)欄 に掲げられた用途の
特殊建築物

 劇場、映画館、演芸場、公会堂、集会場、病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。)、ホテル、旅館、下宿、
共同住宅、寄宿舎、児童福祉施設等、学校、体育館、博物館、美術館、図書館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場、スポーツの練習場、百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、待合、料理店、飲食店、物品販売業を営む店舗、倉庫、自動車車庫、自動車修理工場、映画スタジオ、テレビスタジオ
必要 必要 必要
2号規定  A木造・・・以下のいずれかに該当するもの
  ア.階数:3階建以上
  イ.延面積:500u超
  ウ.高さ: 13m超
  エ.軒高: 9m超
必要 必要 必要
3号規定  B木造以外(鉄骨造、鉄筋コンクリート造など)・・・以下のいずれかに該当するもの
  ア.階数:2階建以上
  イ.延面積:200u超
必要 必要 必要
都市計画区域
・準都市計画区域

等 で適用
 4号規定 上記1号〜3号までを除いて、一般建築物は全て(規模に関係なく) 必要 必要 不要
*但し、防火地域、準防火地域での増築・改築・移転で、床面積の合計が10u(約3坪)以内 なら、建築確認申請は”不要  ”  (2項)

  建築基準法の定めに従い、建築主は、建築前に、あらかじめ、その建築計画が建物の敷地、構造、設備、用途などが法律に違反していないかチェックを受けるため申請し、その確認を受けなければなりません。
 その場合、書類としては、建築確認申請書のほか、法規(建築基準法)を満足する内容を示した、仕様書や工法に対する認定書、設計図、付近見取図などの図面。
  また、各構造に対して一定の面積や階数以上の建物の場合、地震などに対する安全性の計算を記した、「構造計算書」が必要です。

★平成30年6月27日公布の狙い 〜100u から 200u超へ〜
  用途変更で建築確認を必要とする部分の床面積を、従来の 100u超から 200u超 にすることにより、200u未満の戸建てや空家等が他の用途へ転用されることを期待しています。

  また、物販店舗や飲食店、保育施設やシェアハウス(寄宿舎)などに用途変更することができるようになりました。

★大規模の修繕の修繕、大規模の模様替に何が該当するかは、建築基準法第2条14号、同15号を参照してください。

  ・大規模の修繕・・・主要構造部の一種以上について行う過半の修繕
    ・主要構造部・・・壁、柱、床、はり、屋根または階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、附け柱、揚げ床、最下階の床、廻り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとする。

     ・修繕・・・既存のものとおおむね同じ形状、寸法、材料に取換えること

  ・大規模の模様替・・・主要構造部の一種以上について行う過半の模様替
     ・模様替・・・既存のものとおおむね同じ形状、寸法だが異なる材料や使用に取換えること


★ 確認申請のチェック内容 (住宅の場合

 これから建てようとする建物(住宅)が、建築基準法(建築物の最低の基準)に適合しているか確認申請でチェックを受ける内容は概ね下記内容です。

確 認 申 請 チェック事項
集団規定 住宅は建てられるか? 用途地域の種類 工業専用地域は不可
道路に接しているか? 全面道路の幅員 4m以上の道路若しくはセットバック
接道長さ 2m以上必要
建物の延焼や類焼の対策は設けられているか? 耐火建築物・準耐火建築物・防火構造等の対策 防火、準防火地域、法22条地域
建物の大きさに問題はないか? 建築面積(建ペイ率) 建ペイ率(%)=建築面積/敷地面積
延べ床面積(容積率) 容積率(%)=延べ床面積/敷地面積
道路斜線 道路の幅員×道路斜線係数
北側斜線 真北方向
日影規制  
外壁後退  
建築協定  
絶対高さ  
単体規定 住環境に問題はないか? 居室に自然採光 床面積の1/7以上の有効開口
居室に自然換気 建ペイ率
居室の天井高さ 2.1m以上
居室の仕上材 シックハウス対策
居室の24時間換気 シックハウス対策
建物の危険な箇所の対策は行われているか? 落下防止策 バルコニーの手摺
階段の手摺
2階窓の腰高さ
階段の安全性 有効幅、け上げ寸法、踏面寸法
火気使用室の安全 排気能力
内装制限
建物の耐久性は問題ないか? 湿気対策 床高さ45cm以上又はベタ基礎
床下換気 5m毎300cm2
建物の構造は問題ないか?

(仕様規定の場合)
必要壁量 耐力壁の長さ
耐力壁のバランス 四分割法又は偏心率チェック
柱頭・柱脚金物 仕様規定又はN値計算
柱の大きさ 横架材の相互間の垂直距離

※上記以外に建築基準法で定められた項目はありますがチェックされません。
  当然確認申請でチェックされない内容は、役所や民間検査機関の中間検査や完了検査で施工チェックは行われません。


★建築基準法(同施行令)以外の法令

  建築に絡んだ法律で主なものは、
   都市計画法、消防法、水道法、浄化槽法、ガス事業法、駐車場法、宅地造成等規制法、など。

   また、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(通称、バリアフリー法)」も入るとみなされています。

  特に「消防法」は建築基準法での申請に強く関係します。
  建築基準法では、建物などの最低基準を示し、火災発生時の安全対策として、避難のための廊下幅や歩行距離、非常用エレベーターの設置、内装仕様などを定めています。
  しかし、それだけでは不十分です。そこで、消防法で消防用設備の設置基準やその点検方法、また、防火管理者制度を設けたり、誘導灯や消火栓、警報器などに至るまでをより細かく定めています。
 建築基準法により建物の最低基準を定め、運用上必要な細かな基準を消防法で定めています。
 防火について、建築基準法と消防法は、重なり合っている部分もあります。

   

★6条の規定は、都市計画法の防火地域などとも関係します。

別表第一

 耐火建築物等としなければならない特殊建築物(第六条、第二十一条、第二十七条、第二十八条、第三十五条―第三十五条の三、第九十条の三関係)

   (い) (ろ) (は) (に)
  用途 (い)欄の用途に供する階 (い)欄の用途に供する部分((一)項の場合にあつては客席、(二)項及び(四)項の場合にあつては二階、(五)項の場合にあつては三階以上の部分に限り、かつ、病院及び診療所についてはその部分に患者の収容施設がある場合に限る。)の床面積の合計 (い)欄の用途に供する部分の床面積の合計
(一) 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場その他これらに類するもので政令で定めるもの 三階以上の階 二百平方メートル(屋外観覧席にあつては、千平方メートル)以上   
(二) 病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。)ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎その他これらに類するもので政令で定めるもの 三階以上の階 三百平方メートル以上
(三) 学校、体育館その他これらに類するもので政令で定めるもの 三階以上の階 二千平方メートル以上
(四) 百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場その他これらに類するもので政令で定めるもの 三階以上の階 五百平方メートル以上
(五) 倉庫その他これに類するもので政令で定めるもの   二百平方メートル以上 千五百平方メートル以上
(六) 自動車車庫、自動車修理工場その他これらに類するもので政令で定めるもの 三階以上の階    百五十平方メートル以上

★いつ確認申請をするのか
   建築主は工事に着手する前に、申請(6条1項)して「建築確認済証」の交付を受けなければなりません。
  建築確認済証がなければ、工事はできないということです。(8項)

★建築物の用途変更(第87条参照、施行令第137条の18、第137条の19) 〜特殊建築物〜

 既存の建築物の用途を変更して、建築基準法第6条1項1号にある「特殊建築物(劇場、ホテル、百貨店など、多数の人が集まる建築物)」に該当し、床面積の合計が 200u(約60坪) 100u(約30坪) を超えるものに用途変更をする場合には、確認申請が必要で、確認済証の交付がないと変更できません。
 ただし、「類似の用途間で変更する場合」は、確認申請の必要はありません。(施行令第137条の
18、施行令第137条の19

  新築でもない用途変更で確認申請が求められる理由は、建物の使い方によって、その建物を安全に使うための基準がそれぞれ異なるからです。

  例えば、建物を「事務所」として使う時と、特殊建築物の「飲食店」として使う時では、避難の考え方や求められる環境的な性能(採光・換気など)が違い、その用途に合わせた安全対策や環境対策が必要になってきます。

 しかし、類似の用途への用途変更であれば、既存建物の快適性・防火性・設備などは十分であると考えられるため、確認申請は不要です。

 だだし、確認申請での完了検査はありませんが、「完了届」を、工事完了後4日以内に、建築主事に提出する必要があります。

例: 
          劇場を映画館にする    → 確認申請 不要。(類似用途間の変更)
          ホテルを共同住宅にする → 確認申請 不要。(類似用途間の変更)

          劇場を博物館にする    → 確認申請 要。
          事務所を共同住宅にする → 確認申請 要。

<参照>建築基準法第87条 

(用途の変更に対するこの法律の準用)
第八十七条 建築物の用途を変更して第六条第一項第一号の特殊建築物のいずれかとする場合(当該用途の変更が政令で指定する類似の用途相互間におけるものである場合を除く。)においては、同条(第三項、第五項及び第六項を除く。)、第六条の二(第三項を除く。)、第六条の四(第一項第一号及び第二号の建築物に係る部分に限る。)、第七条第一項並びに第十八条第一項から第三項まで及び第十四項から第十六項までの規定を準用する。この場合において、第七条第一項中「建築主事の検査を申請しなければならない」とあるのは、「建築主事に届け出なければならない」と読み替えるものとする。

2 建築物(次項の建築物を除く。)の用途を変更する場合においては、第四十八条第一項から第十四項まで、第五十一条、第六十条の二第三項及び第六十八条の三第七項の規定並びに第三十九条第二項、第四十条、第四十三条第三項、第四十三条の二、第四十九条から第五十条まで、第六十条の二の二第四項、第六十条の三第三項、第六十八条の二第一項及び第五項並びに第六十八条の九第一項の規定に基づく条例の規定を準用する。

3 第三条第二項の規定により第二十七条、第二十八条第一項若しくは第三項、第二十九条、第三十条、第三十五条から第三十五条の三まで、第三十六条中第二十八条第一項若しくは第三十五条に関する部分、第四十八条第一項から第十四項まで若しくは第五十一条の規定又は第三十九条第二項、第四十条、第四十三条第三項、第四十三条の二、第四十九条から第五十条まで、第六十八条の二第一項若しくは第六十八条の九第一項の規定に基づく条例の規定(次条第一項において「第二十七条等の規定」という。)の適用を受けない建築物の用途を変更する場合においては、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、これらの規定を準用する。
   一 増築、改築、大規模の修繕又は大規模の模様替をする場合
   二 当該用途の変更が政令で指定する類似の用途相互間におけるものであつて、かつ、建築物の修繕若しくは模様替をしない場合又はその修繕若しくは模様替が大規模でない場合
   三 第四十八条第一項から第十四項までの規定に関しては、用途の変更が政令で定める範囲内である場合

4 第八十六条の七第二項(第三十五条に係る部分に限る。)及び第八十六条の七第三項(第二十八条第一項若しくは第三項、第二十九条、第三十条、第三十五条の三又は第三十六条(居室の採光面積に係る部分に限る。以下この項において同じ。)に係る部分に限る。)の規定は、第三条第二項の規定により第二十八条第一項若しくは第三項、第二十九条、第三十条、第三十五条、第三十五条の三又は第三十六条の規定の適用を受けない建築物の用途を変更する場合について準用する。この場合において、第八十六条の七第二項及び第三項中「増築等」とあるのは「用途の変更」と、「第三条第三項第三号及び第四号」とあるのは「第八十七条第三項」と読み替えるものとする。

★建築基準法第87条1項の政令 → 建築基準法施行令第137条の18。(特殊建築物への変更) 〜類似用途間への変更は、確認申請は不要

 普通の事務所などの建築物から特殊建築物に変更する場合は、建築確認申請が必要だが、以下の似たような特殊建築物間(ホテルを旅館にする)なら、建築確認申請は不要。
 ただし、消防法上の届出は必要。

<参照> 建築基準法施行令第137条の18 

(建築物の用途を変更して特殊建築物とする場合に建築主事の確認等を要しない類似の用途

第百三十七条の十八 法第八十七条第一項 の規定により政令で指定する類似の用途は、当該建築物が次の各号のいずれかに掲げる用途である場合において、それぞれ当該各号に掲げる他の用途とする。ただし、第三号若しくは第六号に掲げる用途に供する建築物が第一種低層住居専用地域、二種低層住居専用地域若しくは田園住居地域内にある場合又は第七号に掲げる用途に供する建築物が第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域若しくは工業専用地域内にある場合については、この限りでない。
  一  劇場、映画館、演芸場
  二  公会堂、集会場
  三  診療所(患者の収容施設があるものに限る。)、児童福祉施設等
  四  ホテル、旅館
  五  下宿、寄宿舎

  六  博物館、美術館、図書館
  七  体育館、ボーリング場、スケート場、水泳場、スキー場、ゴルフ練習場、バッティング練習場
  八  百貨店、マーケット、その他の物品販売業を営む店舗
  九  キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー
  十  待合、料理店
  十一  映画スタジオ、テレビスタジオ

★建築基準法第87条3項2号:
 「二  当該用途の変更が政令で指定する類似の用途相互間におけるものであつて、かつ、建築物の修繕若しくは模様替をしない場合又はその修繕若しくは模様替が大規模でない場合 」
 の政令 → 建築基準法施行令第137条の19 1項。

 共同住宅や映画館など特殊建築物間で変更する場合に、以下の似たような特殊建築物間で、かつ、建築物の修繕若しくは模様替をしない場合又はその修繕若しくは模様替が大規模でない場合なら、建築確認申請が不要です。

<参照>建築基準法施行令第137条の19 

(建築物の用途を変更する場合に法第二十七条等の規定を準用しない類似の用途等)

第百三十七条の十九 法第八十七条第三項第二号の規定により政令で指定する類似の用途は、当該建築物が前条第八号から第十一号まで及び次の各号のいずれかに掲げる用途である場合において、それぞれ当該各号に掲げる他の用途とする。ただし、法第四十八条第一項から第十四項までの規定の準用に関しては、この限りでない。
   一 劇場、映画館、演芸場、公会堂、集会場
   二 病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。)、児童福祉施設等
   三 ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎
   四 博物館、美術館、図書館

2 法第八十七条第三項第三号の規定により政令で定める範囲は、次に定めるものとする。
   一 次のイからホまでのいずれかに掲げる用途である場合において、それぞれ当該イからホまでに掲げる用途相互間におけるものであること。
     イ 法別表第二(に)項第三号から第六号までに掲げる用途
     ロ 法別表第二(ほ)項第二号若しくは第三号、同表(へ)項第四号若しくは第五号又は同表(と)項第三号(一)から(十六)までに掲げる用途
     ハ 法別表第二(り)項第二号又は同表(ぬ)項第三号(一)から(二十)までに掲げる用途
     ニ 法別表第二(る)項第一号(一)から(三十一)までに掲げる用途(この場合において、同号(一)から(三)まで、(十一)及び(十二)中「製造」とあるのは、「製造、貯蔵又は処理」とする。)
     ホ 法別表第二(を)項第五号若しくは第六号又は同表(わ)項第二号から第六号までに掲げる用途

   二 法第四十八条第一項から第十四項までの規定に適合しない事由が原動機の出力、機械の台数又は容器等の容量による場合においては、用途変更後のそれらの出力、台数又は容量の合計は、基準時におけるそれらの出力、台数又は容量の合計の一・二倍を超えないこと。
   三 用途変更後の法第四十八条第一項から第十四項までの規定に適合しない用途に供する建築物の部分の床面積の合計は、基準時におけるその部分の床面積の合計の一・二倍を超えないこと。

3 法第八十七条第三項の規定によつて同項に掲げる条例の規定を準用する場合における同項第二号に規定する類似の用途の指定については、第一項の規定にかかわらず、当該条例で、別段の定めをすることができる。

★確認申請の審査ができない!

 平成19年(2007年)6月20日施行の建築基準法改正により、一定規模以上の建築物は「適合性判定機関」の審査が加わり、特定行政庁等の審査が行われた後に、申請書は構造適合性判定機関に送られます。
 判定機関では構造計算書について審査を行い、その結果を特定行政庁等に意見として通知します。
 特定行政庁等はその意見を「参考にして」適法性を判断することとなっていますが、通常、判定機関から不適合の判断がされた申請については特定行政庁等も不適合と判断します。

 また、この改正により、一定の誤記の場合や簡易な追加説明で適法性が判断できる場合等、軽微な修正以外は申請書の訂正がほぼ不可能となりました。なおこの点については、特定行政庁や指定確認機関側で、例えば申請の受付前に事前審査を行って修正が完了した後に申請を受付するなど、何らかの対応をしているケースもあります。

 ★ しかし、対応ができていない。
  社会問題化したマンションなどの耐震強度偽装事件を受け、国土交通省が再発防止のため、構造計算適合性判定(ピアチェック)制度を新設した。
 改正法に盛り込まれた新基準は一定規模以上の建築物に対し、専門家による再審査、ピアチェックを義務付けているが、新基準に対応した構造計算ソフトが開発できていないのだ。 現状のままでは建築主は、建築確認を申請しようにも設計図作成が事実上できない状況にある。

  このため、新規の建築の着工ができず、社会問題になっています。

*工作物(煙突、広告塔、擁壁など)も、第6条の建築確認の手続が準用されています。(第88条参照)

*建築設備(エレベーター、エスカレーターなど)にも、第6条の建築確認の手続が準用されています。(第87条の4 参照)

 
第六条 (続き)

 2  前項の規定は、防火地域及び準防火地域外において建築物を増築し、改築し、又は移転しようとする場合で、その増築、改築又は移転に係る部分の床面積の合計が十平方メートル以内であるときについては、適用しない。

 (3項へ続く) 

★6条2項は、「防火地域及び準防火地域”外”において建築物を増築し、改築し、又は移転しようとする場合で、その増築、改築又は移転に係る部分の床面積の合計が10u以内であるときについては、適用しない」と規定します。

★適用しないのは防火地域及び準防火地域の”外”

 防火地域及び準防火地域”外”の新築でない場合で、床面積が10u以内なら、確認申請は不要です。
  当然に、新築なら、どこでも、確認申請は必要です。

 これは、防火地域及び準防火地域”外”での特例です。
高い防火性が必要な防火地域・準防火地域でなければ、小さな増築等なら安全性等にも影響がなく、違反発生の可能性も少ないと考えたとのことです。

  逆に、防火地域及び準防火地域”内”では、床面積に関係なく、10u以内の増築、改築又は移転でも確認申請が必要です。

★建築確認を必要としない場合の主なもの

 *防火地域 の 、または準防火地域 外 の増築・改築・移転で床面積10u(6畳程度)以内(新築は、どこでも建築確認が必要です。

 *類似の用途相互間の用途変更

 *軽微な変更(大規模の修繕、大規模の模様替には、建築確認が必要です。)

 *建築物の耐震改修の促進に関する法律 第17条 8条 による計画の認定を受けたもの(認定により、すでに別途「確認済証の交付があったもの」とみなされる。)

<参照> 建築物の耐震改修の促進に関する法律 第17条10項  8条 8項

 (計画の認定)
第十七条 
10 第一項の申請に係る建築物の耐震改修の計画が建築基準法第六条第一項の規定による確認又は同法第十八条第二項の規定による通知を要するものである場合において、所管行政庁が計画の認定をしたときは、同法第六条第一項又は第十八条第三項の規定による確認済証の交付があったものとみなす。この場合において、所管行政庁は、その旨を建築主事に通知するものとする。


 第八条
8  第一項の申請に係る建築物の耐震改修の計画が建築基準法第六条第一項 の規定による確認又は同法第十八条第二項 の規定による通知を要するものである場合において、所管行政庁が計画の認定をしたときは、同法第六条第一項 又は第十八条第三項 の規定による確認済証の交付があったものとみなす。この場合において、所管行政庁は、その旨を建築主事に通知するものとする。


 
第六条 (続き)  (改正あり:成27年6月1日施行)

3 建築主事は、第一項の申請書が提出された場合において、その計画が次の各号のいずれかに該当するときは、当該申請書を受理することができない。
   一 建築士法第三条第一項、第三条の二第一項、第三条の三第一項、第二十条の二第一項若しくは第二十条の三第一項の規定又は同法第三条の二第三項の規定に基づく条例の規定に違反するとき。
   二 構造設計一級建築士以外の一級建築士が建築士法第二十条の二第一項の建築物の構造設計を行つた場合において、当該建築物が構造関係規定に適合することを構造設計一級建築士が確認した構造設計によるものでないとき。
   三 設備設計一級建築士以外の一級建築士が建築士法第二十条の三第一項の建築物の設備設計を行つた場合において、当該建築物が設備関係規定に適合することを設備設計一級建築士が確認した設備設計によるものでないとき。

4 建築主事は、第一項の申請書を受理した場合においては、同項第一号から第三号までに係るものにあつてはその受理した日から三十五日以内に、同項第四号に係るものにあつてはその受理した日から七日以内に、申請に係る建築物の計画が建築基準関係規定に適合するかどうかを審査し、審査の結果に基づいて建築基準関係規定に適合することを確認したときは、当該申請者に確認済証を交付しなければならない。

5 建築主事は、前項の場合において、申請に係る建築物の計画が第六条の三第一項の構造計算適合性判定を要するものであるときは、建築主から同条第七項の適合判定通知書又はその写しの提出を受けた場合に限り、第一項の規定による確認をすることができる。

6 建築主事は、第四項の場合(申請に係る建築物の計画が第六条の三第一項の特定構造計算基準(第二十条第一項第二号イの政令で定める基準に従つた構造計算で同号イに規定する方法によるものによつて確かめられる安全性を有することに係る部分に限る。)に適合するかどうかを審査する場合その他国土交通省令で定める場合に限る。)において、第四項の期間内に当該申請者に第一項の確認済証を交付することができない合理的な理由があるときは、三十五日の範囲内において、第四項の期間を延長することができる。この場合においては、その旨及びその延長する期間並びにその期間を延長する理由を記載した通知書を同項の期間内に当該申請者に交付しなければならない。

7 建築主事は、第四項の場合において、申請に係る建築物の計画が建築基準関係規定に適合しないことを認めたとき、又は建築基準関係規定に適合するかどうかを決定することができない正当な理由があるときは、その旨及びその理由を記載した通知書を同項の期間(前項の規定により第四項の期間を延長した場合にあつては、当該延長後の期間)内に当該申請者に交付しなければならない。

(続く)

◎旧6条の5項から11項までは、平成27年6月1日施行から、削除されました。

 今回改正の理由は、平成18年の改正でできた構造計算適合性判定制度が見直され、以前は建築主事経由で審査していた構造計算適合性判定を、
 建築主の選択で、今までのように、
  @建築主事等に確認申請と共に判定を求める場合 と、
  A新しく「指定構造計算適合性判定機関等」に建築申請とは別途判定申請をする場合
  が新設されました。
 この改正により、建築確認の審査と、構造計算適合性判定の審査が平行で審査されますから、審査が円滑になりそうです。



★6条の3項から新7(旧:13項)までは、建築確認申請書が提出されたあとの、建築主事の作業内容を定めています。
 原則、6条の1項1号から3号に該当するものは、申請書を受理してから「35日以内」に審査し、問題がなければ、「確認済証」を交付します。(4項)


◎以下は、平成27年6月1日施行により、削除された5項以下の解説です。ご参考までに。

★構造計算のプログラムの判定も求めます。(5項)
  構造計算適合性判定の期間は、14日以内ですが、これに35日までの延長が可能で、合計最長49日となります。(8項、9項)

★最長の確認審査期間は、70日となる
  通常の延長が35日まで認められ、最長の延長が35日ありますから、
最長の確認審査期間は、70日となります。 

★構造計算適合性判定(5項)について

  平成18年6月の改正でできました。 (施行平成19年6月20日)

  建築主事(または、指定確認検査機関)は、
   1.木造で高さ13m超 又は 軒の高さ9m超
   2.鉄骨造で4階(地階を除く)建て以上
   3.鉄筋コンクリート造で高さ20m超
   4.その他政令で定めるもの (建築基準法20条2号)

  については、都道府県知事又は指定構造計算適合性判定機関による構造計算適合性判定が義務付けられました。

  実際には、知事は判定できませんから、指定構造計算適合性判定機関が判定することになります。

  この審査は、別名「ピアチェック」と呼ばれています。

 


 
第六条 (続き)  (赤字は平成27年6月1日施行)

8 (旧:14)  第一項の確認済証の交付を受けた後でなければ、同項の建築物の建築、大規模の修繕又は大規模の模様替の工事は、することができない。

9 (旧:15)  第一項の規定による確認の申請書、同項の確認済証並びに第六項及び第七項(旧:第十二項及び第十三項)の通知書の様式は、国土交通省令で定める。

6条:建築物の建築等に関する申請及び確認 の8項及び9項は、平成27年6月1日施行により、旧の5項から11項が削除されたことにより、旧14項及び旧15項が繰り上がったものです。

★この新8項(旧:14項)により、建築主は、確認済証の交付を受けた後でなければ、建築物の建築、大規模の修繕又は大規模の模様替の工事は、することができません。


(国土交通大臣等の指定を受けた者による確認)
第六条の二  

 前条第一項各号に掲げる建築物の計画(前条第三項各号のいずれかに該当するものを除く。)が建築基準関係規定に適合するものであることについて、第七十七条の十八から第七十七条の二十一までの規定の定めるところにより国土交通大臣又は都道府県知事が指定した者の確認を受け、国土交通省令で定めるところにより確認済証の交付を受けたときは、当該確認は前条第一項の規定による確認と、当該確認済証は同項の確認済証とみなす

2 前項の規定による指定は、二以上の都道府県の区域において同項の規定による確認の業務を行おうとする者を指定する場合にあつては国土交通大臣が、一の都道府県の区域において同項の規定による確認の業務を行おうとする者を指定する場合にあつては都道府県知事がするものとする。 

3 (旧:8)  第一項の規定による指定を受けた者は、同 項 の 規 定 に よ る 確 認 の 申請 を 受 け た 場 合 に お い て 、 申 請 に 係 る 建 築 物 の 計 画 が 次 条 第 一 項 の 構 造 計 算 適 合 性 判 定 を 要 す る も の で あ る と き は 、 建 築 主 か ら 同 条 第 七 項 の 適 合 判 定 通 知 書 又 は そ の 写 し の 提 出 を 受 け た (旧:第三項の構造計算適合性判定により適合判定がされた)場合に限り、第一項の規定による確認をすることができる。

4 (旧:9) 第一項の規定による指定を受けた者は、同項の規定による確認の申請を受けた場合において、申請に係る建築物の計画が建築基準関係規定に適合しないことを認めたとき、又は(削除:申請の内容によつては)建築基準関係規定に適合するかどうかを決定することができない正当な理由があるときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨及びその理由を記載した通知書を当該申請者に交付しなければならない。

5 (旧:10)  第一項の規定による指定を受けた者は、同項の確認済証又は前項の通知書の交付をしたときは、国土交通省令で定める期間内に、国土交通省令で定めるところにより、確認審査報告書を作成し、当該確認済証又は当該通知書の交付に係る建築物の計画に関する国土交通省令で定める書類を添えて、これを特定行政庁に提出しなければならない。

6 (旧:11)  特定行政庁は、前項の規定による確認審査報告書の提出を受けた場合において、第一項の確認済証の交付を受けた建築物の計画が建築基準関係規定に適合しないと認めるときは、当該建築物の建築主及び当該確認済証を交付した同項の規定による指定を受けた者にその旨を通知しなければならない。この場合において、当該確認済証は、その効力を失う。

7 (旧:12) 前項の場合において、特定行政庁は、必要に応じ、第九条第一項又は第十項の命令その他の措置を講ずるものとする。

過去出題 マンション管理士  
管理業務主任者 H17年、

◎6条の2:国土交通大臣等の指定を受けた者による確認 は3項から7項までが、平成27年6月1日改正施行により、削除されました。

 今回削除の理由は、平成18年の改正でできた構造計算適合性判定制度が見直され、以前は建築主事経由で審査していた構造計算適合性判定を、
 建築主の選択で、今までのように、
  @建築主事等に確認申請と共に判定を求める場合と、
  A新しく「指定構造計算適合性判定機関等」に建築申請とは別途判定申請をする場合
  が新設されました。
 この改正により、建築確認の審査と、構造計算適合性判定の審査が平行で審査されますから、審査が円滑になりそうです。

★6条の2 は以前は、特定行政庁に置かれた「建築主事」の仕事であった「建築確認」が、民間の国土交通大臣又は都道府県知事が指定した者「指定確認検査機関」でもできることをうけた規定です。

★国土交通大臣又は都道府県知事が指定した者が確認して「確認済証」を交付すると、この確認済証は建築主事が交付した「確認済証」と同一とみなされます。(1項)

★「みなす」と「推定する」の法的な違い

  ◎「みなす」とは...もともと性質がちがうAとBであるが、法律的にAもBも同じものとすることです。この「みなす」となると、次の「推定する」と違って反証は出来ません。

  ◎「推定する」 とは...ある事柄(物または事象)がはっきりしていない時に、法律上の効果をもたらす事項にあてはめて、その法律上の効果を、一応適用することです。この場合、上の「みなす」と異なって、当事者が2つの事柄が違うと反証すれば、同一視した効果は生じなくなります。

 建築主事が交付した建築確認証と、国土交通大臣等の指定を受けた者が交付した建築確認証は違うものですが、その効果においては、反証することがなく「同一」としたものです。

★国土交通大臣が指定するのは、二以上の都道府県の区域において建築確認の業務を行おうとする者です。(2項)

★都道府県知事が指定するのは、一の都道府県の区域において建築確認の業務を行おうとする者です。(2項)

確認検査員(=建築主事)

  民間の指定確認検査機関で、確認検査業務を行う者は「確認検査員」といいます。(77条の24)

★他の規定も読んでおいてください。


(構造計算適合性判定)
第六条の三

 建築主は、第六条第一項の場合において、申請に係る建築物の計画が第二十条第一項第二号若しくは第三号に定める基準(同項第二号イ又は第三号イの政令で定める基準に従つた構造計算で、同項第二号イに規定する方法若しくはプログラムによるもの又は同項第三号イに規定するプログラムによるものによつて確かめられる安全性を有することに係る部分に限る。以下「特定構造計算基準」という。)又は第三条第二項(第八十六条の九第一項において準用する場合を含む。)の規定により第二十条の規定の適用を受けない建築物について第八十六条の七第一項の政令で定める範囲内において増築若しくは改築をする場合における同項の政令で定める基準(特定構造計算基準に相当する基準として政令で定めるものに限る。以下「特定増改築構造計算基準」という。)に適合するかどうかの確認審査(第六条第四項に規定する審査又は前条第一項の規定による確認のための審査をいう。以下この項において同じ。)を要するものであるときは、構造計算適合性判定(当該建築物の計画が特定構造計算基準又は特定増改築構造計算基準に適合するかどうかの判定をいう。以下同じ。)の申請書を提出して都道府県知事の構造計算適合性判定を受けなければならない。ただし、当該建築物の計画が特定構造計算基準(第二十条第一項第二号イの政令で定める基準に従つた構造計算で同号イに規定する方法によるものによつて確かめられる安全性を有することに係る部分のうち確認審査が比較的容易にできるものとして政令で定めるものに限る。)又は特定増改築構造計算基準(確認審査が比較的容易にできるものとして政令で定めるものに限る。)に適合するかどうかを、構造計算に関する高度の専門的知識及び技術を有する者として国土交通省令で定める要件を備える者である建築主事が第六条第四項に規定する審査をする場合又は前条第一項の規定による指定を受けた者が当該国土交通省令で定める要件を備える者である第七十七条の二十四第一項の確認検査員に前条第一項の規定による確認のための審査をさせる場合は、この限りでない。

2 都道府県知事は、前項の申請書を受理した場合において、申請に係る建築物の計画が建築基準関係規定に適合するものであることについて当該都道府県に置かれた建築主事が第六条第一項の規定による確認をするときは、当該建築主事を当該申請に係る構造計算適合性判定に関する事務に従事させてはならない。

3 都道府県知事は、特別な構造方法の建築物の計画について第一項の構造計算適合性判定を行うに当たつて必要があると認めるときは、当該構造方法に係る構造計算に関して専門的な識見を有する者の意見を聴くものとする。

4 都道府県知事は、第一項の申請書を受理した場合においては、その受理した日から十四日以内に、当該申請に係る構造計算適合性判定の結果を記載した通知書を当該申請者に交付しなければならない。

5 都道府県知事は、前項の場合(申請に係る建築物の計画が特定構造計算基準(第二十条第一項第二号イの政令で定める基準に従つた構造計算で同号イに規定する方法によるものによつて確かめられる安全性を有することに係る部分に限る。)に適合するかどうかの判定の申請を受けた場合その他国土交通省令で定める場合に限る。)において、前項の期間内に当該申請者に同項の通知書を交付することができない合理的な理由があるときは、三十五日の範囲内において、同項の期間を延長することができる。この場合においては、その旨及びその延長する期間並びにその期間を延長する理由を記載した通知書を同項の期間内に当該申請者に交付しなければならない。

6 都道府県知事は、第四項の場合において、申請書の記載によつては当該建築物の計画が特定構造計算基準又は特定増改築構造計算基準に適合するかどうかを決定することができない正当な理由があるときは、その旨及びその理由を記載した通知書を同項の期間(前項の規定により第四項の期間を延長した場合にあつては、当該延長後の期間)内に当該申請者に交付しなければならない。

7 建築主は、第四項の規定により同項の通知書の交付を受けた場合において、当該通知書が
適合判定通知書(当該建築物の計画が特定構造計算基準又は特定増改築構造計算基準に適合するものであると判定された旨が記載された通知書をいう。以下同じ。)であるときは、第六条第一項又は前条第一項の規定による確認をする建築主事又は同項の規定による指定を受けた者に、当該適合判定通知書又はその写しを提出しなければならない。ただし、当該建築物の計画に係る第六条第七項又は前条第四項の通知書の交付を受けた場合は、この限りでない。

8 建築主は、前項の場合において、建築物の計画が第六条第一項の規定による建築主事の確認に係るものであるときは、同条第四項の期間(同条第六項の規定により同条第四項の期間が延長された場合にあつては、当該延長後の期間)の末日の三日前までに、前項の適合判定通知書又はその写しを当該建築主事に提出しなければならない。

9 第一項の規定による構造計算適合性判定の申請書及び第四項から第六項までの通知書の様式は、国土交通省令で定める。


過去出題 マンション管理士  
管理業務主任者  

6条の3:構造計算適合性判定 は、平成27年6月1日施行で、新しく設けられた規定です。

 今回改正の理由は、平成18年の改正でできた構造計算適合性判定制度が見直され、以前は建築主事経由で審査していた構造計算適合性判定を、
 建築主の選択で、今までのように、
  @建築主事等に確認申請と共に判定を求める場合と、
  A新しく指定構造計算適合性判定機関等に建築申請とは別途判定申請をする場合
  が新設されました。
 この改正により、建築確認の審査と、構造計算適合性判定の審査が平行で審査されますから、審査が円滑になりそうです。

 この処置に伴い新しく設けられました。


(建築物の建築に関する確認の特例)
第六条の四(旧:の三) 

 第一号若しくは第二号に掲げる建築物の建築、大規模の修繕若しくは大規模の模様替又は第三号に掲げる建築物の建築に対する第六条及び第六条の2(旧:前二条)の規定の適用については、第六条第一項中「政令で定めるものをいう。以下同じ」とあるのは、「政令で定めるものをいい、建築基準法令の規定のうち政令で定める規定を除く。以下この条及び次条において同じ」とする。
  一  第六十八条の十第一項の認定を受けた型式(次号において「認定型式」という。)に適合する建築材料を用いる建築物
  二  認定型式に適合する建築物の部分を有する建築物
  三  第六条第一項第四号に掲げる建築物で建築士の設計に係るもの

2  前項の規定により読み替えて適用される第六条第一項に規定する政令のうち建築基準法令の規定を定めるものにおいては、建築士の技術水準、建築物の敷地、構造及び用途その他の事情を勘案して、建築物の区分に応じ、建築主事の審査を要しないこととしても建築物の安全上、防火上及び衛生上支障がないと認められる規定を定めるものとする。

過去出題 マンション管理士  
管理業務主任者  

6条の4(旧:6条の3):建築物の建築に関する確認の特例 は、平成27年6月1日施行で、6条の3 が新しく設けられたために繰り延べとなった規定です。

★型式適合認定制度について

  この、型式適合認定制度は平成10年の改正で創設されました。

型式とは...工場などで量産された製品の、製造業者の社内での規格に相当します。
  建築材料、建築設備などは、従来は、建築主事が、個別に審査をしていましたが、これらは、一度確認をすれば、同じものであるため、個別の審査は不要です。
  そこで、平成10年に、信頼できる機関が、一度確認をすれば、個別の審査を不要にしました。
  それが、型式適合認定制度です。

型式適合認定制度とは...国土交通大臣が「建築材料」や「主要構造部、建築設備、その他の建築物の部分」の型式について、建築基準法に基づく関係法規等に適合するものであるという認定を行うことを「型式適合認定制度」といいます。

  あらかじめ一定の基準の範囲に適合する製品を公的な第三者認証機関で包括的に認定を受けることで、確認申請時の書類作成や審査の簡素化を目的に制度化されました。
  これを「型式適合認定制度」と呼びます。
  この制度の目的は、建築確認申請・検査における申請者の負担の軽減です。

  また、型式適合認定制度の対象としては、以下の3種類に分類することができます。
   (1)建築物の部分の設計仕様が、構造・防火・設備等の一連の規定に適合することについて型式適合認定を行うもの。
     パネル、プレハブ住宅、戸建住宅の標準設計などがこれに該当します。

   (2)建築設備、防火設備等で、構造・防火・設備等の一連の規定に適合することの認定を受け、かつ型式部材等製造者認証を受けることが想定されるもの。
    エレベーターやエスカレーター、防火戸などの防火設備、非常用の照明装置、給水タンク、浄化槽等がこれに該当します。

   (3)準用工作物の部分で、準用される構造・防火・設備等の一連の規定に適合することの認定を受け、かつ型式部材等製造者認証を受けることが想定されるもの。
     観光のためのエレベーターや遊戯施設などがこれに該当します。

★条文を読んでおいてください。

 


(建築物に関する完了検査)
第七条

 建築主は、第六条第一項の規定による工事を完了したときは、国土交通省令で定めるところにより、建築主事の検査を申請しなければならない。

2  前項の規定による申請は、第六条第一項の規定による工事が完了した日から四日以内に建築主事に到達するように、しなければならない。ただし、申請をしなかつたことについて国土交通省令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。

3  前項ただし書の場合における検査の申請は、その理由がやんだ日から四日以内に建築主事に到達するように、しなければならない。

4  建築主事が第一項の規定による申請を受理した場合においては、建築主事又はその委任を受けた当該市町村若しくは都道府県の職員(以下この章において「建築主事等」という。)は、その申請を受理した日から七日以内に、当該工事に係る建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合しているかどうかを検査しなければならない。

5  建築主事等は、前項の規定による検査をした場合において、当該建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合していることを認めたときは、国土交通省令で定めるところにより、当該建築物の建築主に対して検査済証を交付しなければならない。

過去出題 マンション管理士  
管理業務主任者  

7条:建築物に関する完了検査 は、建築主は、建築工事が終われば、建築主事に「完了検査申請」をし、建築主事の検査を受け、また「検査済証」の交付を受けなければならないことの規定です。

★工事が完了したら「完了検査」を受けなければならない

 6条で規定されるように、建築主は建築物の建築や大規模の修繕、大規模の模様替などを行う場合には、建築主事(または指定確認検査機関)に対してその計画が適法であるかどうかの確認申請をします。
  その「建築確認申請」が受理され「建築確認証」が交付されると、建築主は、工事が出来ます。

★建築主は工事が完了したら4日以内に申請する
   そして、工事が完了したら、また、原則4日以内に、建築主事(または指定確認検査機関)に、完了検査の申請をしなければなりません。(1項、2項)

★建築主事または指定確認検査機関は、申請を受理したら7日以内に検査をする。「完了検査」に適合すれば、「検査済証」が交付される
  完了検査の申請がくれば、建築主事(または指定確認検査機関)は、7日以内に当該工事に係る建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合しているかどうかを検査して、適合していることを認めたときは、建築主に対して検査済証を交付します。(4項、5項)

中間検査を受けなければならない、工事がある!
  以前は、工事が完了した時だけに、検査をうければよかったのですが、特別の規定(特定工程)に該当する場合には、その工程に達した都度、「中間検査申請」をし、「中間検査合格証」の交付をうける必要もあります。(7条の3 参照)
  特定工程がある場合、 「中間検査合格証」の交付がなければ、次の工程の工事にはかかれません。(7条の3、6項)

 


(国土交通大臣等の指定を受けた者による完了検査)
第七条の二

 第七十七条の十八から第七十七条の二十一までの規定の定めるところにより国土交通大臣又は都道府県知事が指定した者が、第六条第一項の規定による工事の完了の日から四日が経過する日までに、当該工事に係る建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合しているかどうかの検査を引き受けた場合において、当該検査の引受けに係る工事が完了したときについては、前条第一項から第三項までの規定は、適用しない。

2  前項の規定による指定は、二以上の都道府県の区域において同項の検査の業務を行おうとする者を指定する場合にあつては国土交通大臣が、一の都道府県の区域において同項の検査の業務を行おうとする者を指定する場合にあつては都道府県知事がするものとする。

3  第一項の規定による指定を受けた者は、同項の規定による検査の引受けを行つたときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨を証する書面を建築主に交付するとともに、その旨を建築主事に通知しなければならない。

4  第一項の規定による指定を受けた者は、同項の規定による検査の引受けを行つたときは、当該検査の引受けを行つた第六条第一項の規定による工事が完了した日又は当該検査の引受けを行つた日のいずれか遅い日から七日以内に、第一項の検査をしなければならない。

5  第一項の規定による指定を受けた者は、同項の検査をした建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合していることを認めたときは、国土交通省令で定めるところにより、当該建築物の建築主に対して検査済証を交付しなければならない。この場合において、当該検査済証は、前条第五項の検査済証とみなす。

6  第一項の規定による指定を受けた者は、同項の検査をしたときは、国土交通省令で定める期間内に、国土交通省令で定めるところにより、完了検査報告書を作成し、同項の検査をした建築物及びその敷地に関する国土交通省令で定める書類を添えて、これを特定行政庁に提出しなければならない。

7  特定行政庁は、前項の規定による完了検査報告書の提出を受けた場合において、第一項の検査をした建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合しないと認めるときは、遅滞なく、第九条第一項又は第七項の規定による命令その他必要な措置を講ずるものとする。

過去出題 マンション管理士  
管理業務主任者  

7条の2:国土交通大臣等の指定を受けた者による完了検査 は、以前、建築主事だけの職務であった「完了検査」が民間の国土交通大臣又は都道府県知事が指定した者(指定確認検査機関)でもできることになった規定です。

★これにより、指定確認検査機関が検査して交付した「検査済証」も建築主事が交付する「検査済証」と同一の効果(みなす)があります。(5項)

★建築確認申請、中間検査申請や完了検査申請は、建築主事でも指定確認検査機関でもいい

  建築確認申請を、建築主事に対して行い、完了検査申請は指定確認検査機関に対して行うようなことも可能です。


(建築物に関する中間検査)
第七条の三

 建築主は、第六条第一項の規定による工事が次の各号のいずれかに該当する工程(以下「特定工程」という。)を含む場合において、当該特定工程に係る工事を終えたときは、その都度、国土交通省令で定めるところにより、建築主事の検査を申請しなければならない。
  一  階数が三以上である共同住宅の床及びはりに鉄筋を配置する工事の工程のうち政令で定める工程
  二  前号に掲げるもののほか、特定行政庁が、その地方の建築物の建築の動向又は工事に関する状況その他の事情を勘案して、区域、期間又は建築物の構造、用途若しくは規模を限つて指定する工程

2  前項の規定による申請は、特定工程に係る工事を終えた日から四日以内に建築主事に到達するように、しなければならない。ただし、申請をしなかつたことについて国土交通省令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。

3  前項ただし書の場合における検査の申請は、その理由がやんだ日から四日以内に建築主事に到達するように、しなければならない。

4  建築主事が第一項の規定による申請を受理した場合においては、建築主事等は、その申請を受理した日から四日以内に、当該申請に係る工事中の建築物等(建築、大規模の修繕又は大規模の模様替の工事中の建築物及びその敷地をいう。以下この章において同じ。)について、検査前に施工された工事に係る建築物の部分及びその敷地が建築基準関係規定に適合するかどうかを検査しなければならない。

5  建築主事等は、前項の規定による検査をした場合において、工事中の建築物等が建築基準関係規定に適合することを認めたときは、国土交通省令で定めるところにより、当該建築主に対して当該特定工程に係る中間検査合格証を交付しなければならない。

6  第一項第一号の政令で定める特定工程ごとに政令で定める当該特定工程後の工程及び特定行政庁が同項第二号の指定と併せて指定する特定工程後の工程(第十八条第二十二項 (旧:第十八条第二十項)において「特定工程後の工程」と総称する。)に係る工事は、前項の規定による当該特定工程に係る中間検査合格証の交付を受けた後でなければ、これを施工してはならない。

7  建築主事等又は前条第一項の規定による指定を受けた者は、第四項の規定による検査において建築基準関係規定に適合することを認められた工事中の建築物等について、第七条第四項、前条第一項、第四項又は次条第一項の規定による検査をするときは、第四項の規定による検査において建築基準関係規定に適合することを認められた建築物の部分及びその敷地については、これらの規定による検査をすることを要しない。

8  第一項第二号の規定による指定に関して公示その他の必要な事項は、国土交通省令で定める。

過去出題 マンション管理士  
管理業務主任者  

7条の3:建築物に関する中間検査 は、建築工事での中間検査を必要とする工程を規定しています。

★中間検査が設けられた理由

  平成7年(1995年)の約6,400名の尊い命が奪われた阪神淡路大震災において、亡くなられた方の死因の多くは倒壊した建物の下敷きとなったことによる圧死や窒息死でした。
  この震災では、約44万棟もの建物が被害を受けましたが、施工の不備が原因であると考えられる被害も多く見受けられました。このことから、安全性を中心とする建築物の質の確保や工事監理の徹底を図るため、施工中における検査の必要があるとして、平成10年(1998年)6月2日の建築基準法改正により、中間検査制度が創設されました。

 中間検査制度は、消費者・利用者保護等の観点から特に安全確保が必要であるとして特定行政庁が指定する構造、用途、規模の建築物の、工事完了時には隠蔽され見えなくなってしまう部分について、建築基準法及び関係法令に適合しているか、工事の施工中の特定行政庁が指定する工程(特定工程)において、建築主事(又は指定確認検査機関)の検査を受けることを義務付けるものです。
 中間検査に合格した場合には、「中間検査合格証」を交付します。なお、「中間検査合格証」の交付を受けなければ、特定工程から次の工程に進めません。

★中間検査を必要とする「特定工程」とは(1項1号および2号)

  1. 階数が三以上である共同住宅の床及びはりに鉄筋を配置する工事の工程のうち政令で定める工程

  2. 前号に掲げるもののほか、特定行政庁が、その地方の建築物の建築の動向又は工事に関する状況その他の事情を勘案して、
    @ 区域、
    A 期間 又は
    B 建築物の構造、
    C 用途 若しくは
    D 規模を限つて指定する工程

  1号の場合は、全国での適用があります。(以前は、全部が特定行政庁の指定でしたが、平成18年の改正で義務付けられました。)

  2号の場合は、各特定行政庁の指定があります。

  千葉県市原市の例        

建築物の構造等 特定工程 特定工程後の工程
1 木造 屋根の小屋組の工事及び構造耐力上主要な軸組の工事(枠組壁工法を用いた建築物の場合は、屋根の小屋組の工事及び耐力壁の工事) 構造耐力上主要な軸組及び耐力壁を覆う外装の工事(屋根葺きの工事を除く)及び内装の工事
2 鉄骨造 1階の鉄骨その他の構造部材の建て方の工事 構造耐力上主要な部分の鉄骨を覆う耐火被覆及び内外装の工事
3 鉄骨鉄筋コンクリート造 1階の鉄骨その他の構造部材の建て方の工事 柱及びはりの型枠の工事
4 鉄筋コンクリート造 平屋建て 屋根及びはり(基礎はりを除く)の配筋の工事 屋根及びはり(基礎はりを除く)のコンクリート打込の工事
2階建て 2階のはり及び床の配筋の工事 2階のはり及び床のコンクリート打込の工事
5 1から4までに掲げる構造以外のもの 2階の床の工事 2階の柱又は壁の取付けの工事

★当然、中間検査でも、別途手数料を取られます。


(国土交通大臣等の指定を受けた者による中間検査)
第七条の四 

 第六条第一項の規定による工事が特定工程を含む場合において、第七条の二第一項の規定による指定を受けた者が当該特定工程に係る工事を終えた後の工事中の建築物等について、検査前に施工された工事に係る建築物の部分及びその敷地が建築基準関係規定に適合するかどうかの検査を当該工事を終えた日から四日が経過する日までに引き受けたときについては、前条第一項から第三項までの規定は、適用しない。

2  第七条の二第一項の規定による指定を受けた者は、前項の規定による検査の引受けを行つたときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨を証する書面を建築主に交付するとともに、その旨を建築主事に通知しなければならない。

3  第七条の二第一項の規定による指定を受けた者は、第一項の検査をした場合において、特定工程に係る工事中の建築物等が建築基準関係規定に適合することを認めたときは、国土交通省令で定めるところにより、当該建築主に対して当該特定工程に係る中間検査合格証を交付しなければならない。

4  前項の規定により交付された特定工程に係る中間検査合格証は、それぞれ、当該特定工程に係る前条第五項の中間検査合格証とみなす。

5  前条第七項の規定の適用については、第三項の規定により特定工程に係る中間検査合格証が交付された第一項の検査は、それぞれ、同条第五項の規定により当該特定工程に係る中間検査合格証が交付された同条第四項の規定による検査とみなす。

6  第七条の二第一項の規定による指定を受けた者は、第一項の検査をしたときは、国土交通省令で定める期間内に、国土交通省令で定めるところにより、中間検査報告書を作成し、同項の検査をした工事中の建築物等に関する国土交通省令で定める書類を添えて、これを特定行政庁に提出しなければならない。

7  特定行政庁は、前項の規定による中間検査報告書の提出を受けた場合において、第一項の検査をした工事中の建築物等が建築基準関係規定に適合しないと認めるときは、遅滞なく、第九条第一項又は第十項の規定による命令その他必要な措置を講ずるものとする。

過去出題 マンション管理士  
管理業務主任者  

7条の4:国土交通大臣等の指定を受けた者による中間検査 は、以前、建築主事が行っていた職務が民間の「指定確認検査機関」でも出来るようになったことによる規定です。

★中間検査が必要な「特定工程」の検査も、国土交通大臣又は都道府県知事が指定した者「指定確認検査機関」に、検査申請をして、合格すれば、当該建築主に対して当該特定工程に係る中間検査合格証が交付され(3項)、それは、建築主事が交付する中間検査合格証とみなされます(4項)。


(建築物に関する検査の特例)
第七条の五  

 第六条の四第一項第一号(旧:第六条の三第一項第一号)若しくは第二号に掲げる建築物の建築、大規模の修繕若しくは大規模の模様替又は同項第三号に掲げる建築物の建築の工事(同号に掲げる建築物の建築の工事にあつては、国土交通省令で定めるところにより建築士である工事監理者によつて設計図書のとおりに実施されたことが確認されたものに限る。)に対する第七条から前条までの規定の適用については、第七条第四項及び第五項中「建築基準関係規定」とあるのは「前条第一項の規定により読み替えて適用される第六条第一項に規定する建築基準関係規定」と、第七条の二第一項、第五項及び第七項、第七条の三第四項、第五項及び第七項並びに前条第一項、第三項及び第七項中「建築基準関係規定」とあるのは「第六条の四第一項の(旧:第六条の三第一項の)規定により読み替えて適用される第六条第一項に規定する建築基準関係規定」とする。

過去出題 マンション管理士  
管理業務主任者  

7条の5:建築物に関する検査の特例

 建築基準法68条の10、1項の認定を受けた形式(認定型式)に適合する建築材料を用いる建築物、認定型式に適合する部分を持つ建築物の建築、大規模の修繕、大規模の模様替、建築士の設計した建築基準法6条1項4号の建築物、すなわち6条の3の確認申請の特例が適用になる建築基物に対しては、中間検査、完了検査にも同様の特例が認められています。

 検査自体は、不要ということではありません。 


(検査済証の交付を受けるまでの建築物の使用制限)
第七条の六 

 第六条第一項第一号から第三号までの建築物を新築する場合又はこれらの建築物(共同住宅以外の住宅及び居室を有しない建築物を除く。)の増築、改築、移転、大規模の修繕若しくは大規模の模様替の工事で、廊下、階段、出入口その他の避難施設、消火栓、スプリンクラーその他の消火設備、排煙設備、非常用の照明装置、非常用の昇降機若しくは防火区画で政令で定めるものに関する工事(政令で定める軽易な工事を除く。以下この項、第十八条第二十四項及び第九十条の三において「避難施設等に関する工事」という。)を含むものをする場合においては、当該建築物の建築主は、第七条第五項の検査済証の交付を受けた後でなければ、当該新築に係る建築物又は当該避難施設等に関する工事に係る建築物若しくは建築物の部分を使用し、又は使用させてはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合には、検査済証の交付を受ける前においても、仮に、当該建築物又は建築物の部分を使用し、又は使用させることができる。
   一 特定行政庁が、安全上、防火上及び避難上支障がないと認めたとき。
   二 建築主事又は第七条の二第一項の規定による指定を受けた者が、安全上、防火上及び避難上支障がないものとして国土交通大臣が定める基準に適合していることを認めたとき。
   三 第七条第一項の規定による申請が受理された日(第七条の二第一項の規定による指定を受けた者が同項の規定による検査の引受けを行つた場合にあつては、当該検査の引受けに係る工事が完了した日又は当該検査の引受けを行つた日のいずれか遅い日)から七日を経過したとき。

2 前項第一号及び第二号の規定による認定の申請の手続に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。

3 第七条の二第一項の規定による指定を受けた者は、第一項第二号の規定による認定をしたときは、国土交通省令で定める期間内に、国土交通省令で定めるところにより、仮使用認定報告書を作成し、同号の規定による認定をした建築物に関する国土交通省令で定める書類を添えて、これを特定行政庁に提出しなければならない。

4 特定行政庁は、前項の規定による仮使用認定報告書の提出を受けた場合において、第一項第二号の規定による認定を受けた建築物が同号の国土交通大臣が定める基準に適合しないと認めるときは、当該建築物の建築主及び当該認定を行つた第七条の二第一項の規定による指定を受けた者にその旨を通知しなければならない。この場合において、当該認定は、その効力を失う。


過去出題 マンション管理士  
管理業務主任者  

7条の6:検査済証の交付を受けるまでの建築物の使用制限

◎平成27年6月1日施行で、1項の2号が追加され、また3項と4項が追加されました。

★仮使用部分と工事部分が防火上有効に区画されているなどの条件で、指定確認検査機関や建築主事が認めれば、仮使用ができるようになりました。

 これにより、
建築確認→中間検査→仮使用認定→完了検査という確認検査の一連の手続きを、同一の指定確認検査機関で実施することも可能となり、手続きの円滑化が図られます。



★7条の6 は、検査済証の交付を受けた後でなければ、当該新築に係る建築物又は当該避難施設等に関する工事に係る建築物若しくは建築物の部分を使用し、又は使用させてはならないことを規定しています。

 安全面からも考慮したものです。


(維持保全)
第八条 (改正あり:平成30年6月27日)

 建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない。

2 次の各号のいずれかに該当する建築物の所有者又は管理者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するため、必要に応じ、その建築物の維持保全に関する準則又は計画を作成し、その他適切な措置を講じなければならない。ただし、国、都道府県又は建築主事を置く市町村が所有し、又は管理する建築物については、この限りでない。
   一 特殊建築物で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの
   二 前号の特殊建築物以外の特殊建築物その他政令で定める建築物で、特定行政庁が指定するもの

3 国土交通大臣は、前項各号のいずれかに該当する建築物の所有者又は管理者による同項の準則又は計画の適確な作成に資するため、必要な指針を定めることができる。

過去出題 マンション管理士 H29年、
管理業務主任者 H29年、H14年、H13年

8条:維持保全 は、建築物の@所有者、A管理者又はB占有者に、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めさせる規定です。あくまでも努力目標です。罰則はないようです。

★所有者以外にも、管理者や占有者も含まれています。

★第8条2項の改正は、建築物の維持保全に関する計画等を作成すべき建築物の範囲を拡大しました。
 原状:多数の者が利用する施設(例:劇場、ホテル、店舗など) → プラス 大規模倉庫、工場等へ拡大した。
 これは、2016年の新潟県糸魚川市の大火、や2017年2月、埼玉県三芳町のアスクルの大型配送用倉庫の火災で消火活動が困難であったことなどを受けたものです。

  

 ここで規定される指針からは、過去に出題がありました。 平成14年 管理業務主任者試験 「問16」 や 平成13年 管理業務主任者試験 「問17」

<参照> 建築基準法第12条第1項に規定する建築物の維持保全に関する準則又は計画の作成に関し必要な指針
(昭和60年3月19日建設省告示第606号)

建築基準法(昭和25年法律第201号)第8条第2項の規定に基づき、同法第12条第1項に規定する建築物の維持保全に関する準則又は計画の作成に関し必要な指針を次のように定め、公布の日から施行する。

第1 総則
1 建築基準法第12条第1項に規定する建築物(以下単に「建築物」という。)の維持保全に関する準則(以下「準則」という。)又は建築物の維持保全に関する計画(以下「計画」という。)は、建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するため、この指針に従つて作成するものとする。

2 準則は、建築物について計画を作成する権限を有する者が複数ある場合において、計画相互の整合性を確保する必要があると認められるときに、それらの者の合意により当該建築物について作成するものとする。ただし、複数の建築物が一団地を形成している場合は、当該一団地について作成することができる。

3 計画は、建築物の維持保全を行う上で採るべき措置を定める必要があると認められる場合において、当該建築物の所有者又は管理者が当該建築物又はその部分について作成するものとする。ただし、複数の建築物が一団地を形成している場合は、当該一団地について作成することができる。

第2 準則に定めるべき事項
準則には、第3の各号に掲げる事項のうち計画相互の整合性を確保する上で必要があると認められる事項を定めるものとする。

第3 計画に定めるべき事項
計画には、おおむね次の各号に掲げる項目につき、それぞれ当該各号に掲げる事項を定めるものとする。
  一 建築物の利用計画 建築物又はその部分の用途等、将来の増改築の予定等に関する事項
  二 維持保全の実施体制 維持保全を行うための組織、維持保全業務の委託、建築士その他専門技術者の関与等に関する事項
  三 維持保全の責任範囲 計画作成者の維持保全の責任範囲に関する事項
  四 占有者に対する指導等 建築物の破損時等における通報、使用制限の遵守等に関する事項
  五 点検 点検箇所、点検時期、点検者、点検に当たつての判断基準、結果の報告等に関する事項
  六 修繕 修繕計画の作成、修繕工事の実施等に関する事項
  七 図書の作成、保管等 維持保全計画書、確認通知書、竣工図、設備仕様書等の作成、保管、廃棄等に関する事項
  八 資金計画 点検、修繕等の資金の確保、保険等に関する事項
  九 計画の変更 計画の変更の手続等に関する事項
  十 その他 前各号に掲げるもののほか、維持保全を行うため必要な事項


【設問−1】 平成14年 管理業務主任者 {問16}

【問16】 建築基準法(昭和25年法律第201号)第8条第2項に基づく建築物の維持保全に関する準則又は計画の作成に関し必要な指針(昭和60年建設省告示第606号)によれば、計画に掲げる項目とされているものは、次のア〜工のうち、いくつあるか。

ア 建築物の利用計画
イ 点検
ウ 建築物の建替え方針
エ 資金計画

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ

正解:3 (3つ。ウを除く。) 


【設問−2】 平成29年 マンション管理士試験 {問37}

〔問 37〕 マンションの建物の維持保全に関する法令の規定に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

2 建築基準法第8条第2項に規定されている建築物の維持保全に関する計画には、維持保全の実施体制や資金計画等を定めることとされている。

〇 正しい。

 建築基準法第8条は、どこかで、出た問題だと調べて、やっと、古い 平成14年 管理業務主任者試験 「問16」 や 平成13年 管理業務主任者試験 「問17」 を見つけた。

 建築基準法第8条は、
 「(維持保全)
 第八条 建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない。
2 第十二条第一項に規定する建築物の所有者又は管理者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するため、
必要に応じ、その建築物の維持保全に関する準則又は計画を作成し、その他適切な措置を講じなければならない。この場合において、国土交通大臣は、当該準則又は計画の作成に関し必要な指針を定めることができる。
 です。


 そして、建築基準法第8条2項の、国土交通大臣が定めた指針は、建設省告示第606号 昭和60年3月19日付
 「第 3 計画に定めるべき事項
  計画には、おおむね次の各号に掲げる項目につき、それぞれ当該各号に掲げる事項を定めるも のとする。
     一 建築物の利用計画 建築物又はその部分の用途等、将来の増改築の予定等に関する事項
     
二 維持保全の実施体制 維持保全を行うための組織、維持保全業務の委託、建築士その他専門技術者の関与等に関する事項
     三 維持保全の責任範囲 計画作成者の維持保全の責任範囲に関する事項
     四 占有者に対する指導等 建築物の破損時等における通報、使用制限の遵守等に関する事項
     五 点検 点検箇所、点検時期、点検者、点検に当たつての判断基準、結果の報告等に関する事 項
     六 修繕 修繕計画の作成、修繕工事の実施等に関する事項
     七 図書の作成、保管等 維持保全計画書、確認通知書、竣工図、設備仕様書等の作成、保管、 廃棄等に関する事項
     
八 資金計画 点検、修繕等の資金の確保、保険等に関する事項
     九 計画の変更 計画の変更の手続等に関する事項
     十 その他 前各号に掲げるもののほか、維持保全を行うため必要な事項」
 とあり、
 昭和60年3月19日建設省告示第606号によると、建築物の維持保全に関する計画には、維持保全の実施体制や資金計画等を定めることとされているので、正しい。




(違反建築物に対する措置)
第九条

 特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反した建築物又は建築物の敷地については、当該建築物の建築主、当該建築物に関する工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)若しくは現場管理者又は当該建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者に対して、当該工事の施工の停止を命じ、又は、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他これらの規定又は条件に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。

2  特定行政庁は、前項の措置を命じようとする場合においては、あらかじめ、その措置を命じようとする者に対して、その命じようとする措置及びその事由並びに意見書の提出先及び提出期限を記載した通知書を交付して、その措置を命じようとする者又はその代理人に意見書及び自己に有利な証拠を提出する機会を与えなければならない。

3  前項の通知書の交付を受けた者は、その交付を受けた日から三日以内に、特定行政庁に対して、意見書の提出に代えて公開による意見の聴取を行うことを請求することができる。

4  特定行政庁は、前項の規定による意見の聴取の請求があつた場合においては、第一項の措置を命じようとする者又はその代理人の出頭を求めて、公開による意見の聴取を行わなければならない。

5  特定行政庁は、前項の規定による意見の聴取を行う場合においては、第一項の規定によつて命じようとする措置並びに意見の聴取の期日及び場所を、期日の二日前までに、前項に規定する者に通知するとともに、これを公告しなければならない。

6  第四項に規定する者は、意見の聴取に際して、証人を出席させ、かつ、自己に有利な証拠を提出することができる。

7  特定行政庁は、緊急の必要がある場合においては、前五項の規定にかかわらず、これらに定める手続によらないで、仮に、使用禁止又は使用制限の命令をすることができる。

8  前項の命令を受けた者は、その命令を受けた日から三日以内に、特定行政庁に対して公開による意見の聴取を行うことを請求することができる。この場合においては、第四項から第六項までの規定を準用する。ただし、意見の聴取は、その請求があつた日から五日以内に行わなければならない。

9  特定行政庁は、前項の意見の聴取の結果に基づいて、第七項の規定によつて仮にした命令が不当でないと認めた場合においては、第一項の命令をすることができる。意見の聴取の結果、第七項の規定によつて仮にした命令が不当であると認めた場合においては、直ちに、その命令を取り消さなければならない。

10  特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反することが明らかな建築、修繕又は模様替の工事中の建築物については、緊急の必要があつて第二項から第六項までに定める手続によることができない場合に限り、これらの手続によらないで、当該建築物の建築主又は当該工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)若しくは現場管理者に対して、当該工事の施工の停止を命ずることができる。この場合において、これらの者が当該工事の現場にいないときは、当該工事に従事する者に対して、当該工事に係る作業の停止を命ずることができる。

11  第一項の規定により必要な措置を命じようとする場合において、過失がなくてその措置を命ぜられるべき者を確知することができず、かつ、その違反を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、特定行政庁は、その者の負担において、その措置を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任した者に行わせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、その措置を行うべき旨及びその期限までにその措置を行わないときは、特定行政庁又はその命じた者若しくは委任した者がその措置を行うべき旨をあらかじめ公告しなければならない。

12  特定行政庁は、第一項の規定により必要な措置を命じた場合において、その措置を命ぜられた者がその措置を履行しないとき、履行しても十分でないとき、又は履行しても同項の期限までに完了する見込みがないときは、行政代執行法 (昭和二十三年法律第四十三号)の定めるところに従い、みずから義務者のなすべき行為をし、又は第三者をしてこれをさせることができる。

13  特定行政庁は、第一項又は第十項の規定による命令をした場合(建築監視員が第十項の規定による命令をした場合を含む。)においては、標識の設置その他国土交通省令で定める方法により、その旨を公示しなければならない。

14  前項の標識は、第一項又は第十項の規定による命令に係る建築物又は建築物の敷地内に設置することができる。この場合においては、第一項又は第十項の規定による命令に係る建築物又は建築物の敷地の所有者、管理者又は占有者は、当該標識の設置を拒み、又は妨げてはならない。

15  第一項、第七項又は第十項の規定による命令については、行政手続法 (平成五年法律第八十八号)第三章 (第十二条及び第十四条を除く。)の規定は、適用しない。

過去出題 マンション管理士 R02年、H26年、H23年、H21年、
管理業務主任者  

9条:違反建築物に対する措置 は、建築基準法に違反した建築物又は建築物の敷地に対して、当該建築物の建築主、当該建築物に関する工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)若しくは現場管理者又は当該建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者に対して、当該工事の施工の停止を命じ、又は、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他これらの規定又は条件に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる規定です。

 なお、「既存不適格建築物」と「違反建築物」は異なります。

★建築基準法に違反した行為については、罰則もあります。

<参照> 建築基準法第98条 1号

第九十八条  次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
 一 第九条第一項又は第十項前段(これらの規定を第八十八条第一項から第三項まで又は第九十条第三項において準用する場合を含む。)の規定による特定行政庁又は建築監視員の命令に違反した者

 (以下略)

<参照> 建築基準法第99条 4号

第九十九条  次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

 四 第九条第十項後段(第八十八条第一項から第三項まで又は第九十条第三項において準用する場合を含む。)、第十条第二項若しくは第三項(これらの規定を第八十八条第一項又は第三項において準用する場合を含む。)、第十一条第一項(第八十八条第一項から第三項までにおいて準用する場合を含む。)又は第九十条の二第一項の規定による特定行政庁又は建築監視員の命令に違反した者

(以下略)


{設問}平成23年 マンション管理士試験 「問20」

〔問 20〕違反建築物等に対する措置に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、誤っているものはどれか。


1 特定行政庁は、建築基準法令の規定に違反することが明らかな建築工事中の建築物については、緊急の必要があって通知、意見の聴取等の手続きによることができない場合に限って、これらの手続きによらないで、建築主、工事請負人又は工事現場管理者に対して工事の施工の停止を命ずることができる。

○ 正しい。 違反建築物については、建築基準法第9条
 「(違反建築物に対する措置)
  第九条
 特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反した建築物又は建築物の敷地については、当該建築物の建築主、当該建築物に関する工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)若しくは現場管理者又は当該建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者に対して、当該工事の施工の停止を命じ、又は、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他これらの規定又は条件に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。
   2 特定行政庁は、前項の措置を命じようとする場合においては、あらかじめ、その措置を命じようとする者に対して、その命じようとする措置及びその事由並びに意見書の提出先及び提出期限を記載した通知書を交付して、その措置を命じようとする者又はその代理人に意見書及び自己に有利な証拠を提出する機会を与えなければならない。
   3 前項の通知書の交付を受けた者は、その交付を受けた日から三日以内に、特定行政庁に対して、意見書の提出に代えて公開による意見の聴取を行うことを請求することができる。
   4 特定行政庁は、前項の規定による意見の聴取の請求があつた場合においては、第一項の措置を命じようとする者又はその代理人の出頭を求めて、公開による意見の聴取を行わなければならない。
   5 特定行政庁は、前項の規定による意見の聴取を行う場合においては、第一項の規定によつて命じようとする措置並びに意見の聴取の期日及び場所を、期日の二日前までに、前項に規定する者に通知するとともに、これを公告しなければならない。
   6 第四項に規定する者は、意見の聴取に際して、証人を出席させ、かつ、自己に有利な証拠を提出することができる。
   7 特定行政庁は、緊急の必要がある場合においては、前五項の規定にかかわらず、これらに定める手続によらないで、仮に、使用禁止又は使用制限の命令をすることができる。
   8 前項の命令を受けた者は、その命令を受けた日から三日以内に、特定行政庁に対して公開による意見の聴取を行うことを請求することができる。この場合においては、第四項から第六項までの規定を準用する。ただし、意見の聴取は、その請求があつた日から五日以内に行わなければならない。
   9 特定行政庁は、前項の意見の聴取の結果に基づいて、第七項の規定によつて仮にした命令が不当でないと認めた場合においては、第一項の命令をすることができる。意見の聴取の結果、第七項の規定によつて仮にした命令が不当であると認めた場合においては、直ちに、その命令を取り消さなければならない。
   10 特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反することが明らかな建築、修繕又は模様替の工事中の建築物については、緊急の必要があつて第二項から第六項までに定める手続によることができない場合に限り、これらの手続によらないで、当該建築物の建築主又は当該工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)若しくは現場管理者に対して、当該工事の施工の停止を命ずることができる。この場合において、これらの者が当該工事の現場にいないときは、当該工事に従事する者に対して、当該工事に係る作業の停止を命ずることができる。
   11 第一項の規定により必要な措置を命じようとする場合において、過失がなくてその措置を命ぜられるべき者を確知することができず、かつ、その違反を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、特定行政庁は、その者の負担において、その措置を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任した者に行わせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、その措置を行うべき旨及びその期限までにその措置を行わないときは、特定行政庁又はその命じた者若しくは委任した者がその措置を行うべき旨をあらかじめ公告しなければならない。
   12 特定行政庁は、第一項の規定により必要な措置を命じた場合において、その措置を命ぜられた者がその措置を履行しないとき、履行しても十分でないとき、又は履行しても同項の期限までに完了する見込みがないときは、行政代執行法(昭和二十三年法律第四十三号)の定めるところに従い、みずから義務者のなすべき行為をし、又は第三者をしてこれをさせることができる。
   13 特定行政庁は、第一項又は第十項の規定による命令をした場合(建築監視員が第十項の規定による命令をした場合を含む。)においては、標識の設置その他国土交通省令で定める方法により、その旨を公示しなければならない。
   14 前項の標識は、第一項又は第十項の規定による命令に係る建築物又は建築物の敷地内に設置することができる。この場合においては、第一項又は第十項の規定による命令に係る建築物又は建築物の敷地の所有者、管理者又は占有者は、当該標識の設置を拒み、又は妨げてはならない。
   15 第一項、第七項又は第十項の規定による命令については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三章(第十二条及び第十四条を除く。)の規定は、適用しない。」とあり、
違反建築物に対しては、違反の是正を命じることができますが、原則として、是正の通知書を出すなどの手続きが必要です。しかし、緊急の場合は、求められている手続きなしに、建築主、工事請負人又は工事現場管理者に対して工事の施工の停止を命ずることができる規定が10項にあります。


2 緊急の必要があり、特定行政庁より仮の使用禁止又は使用制限を受けた者は、当該命令を受けた日以後いつでも、特定行政庁に対して公開による意見の聴取を行うことを請求することができる。

X 誤っている。 ここは、選択肢1で引用しました建築基準法第9条8項
 「8 前項の命令を受けた者は、その命令を受けた日から三日以内に、特定行政庁に対して公開による意見の聴取を行うことを請求することができる。この場合においては、第四項から第六項までの規定を準用する。ただし、意見の聴取は、その請求があつた日から五日以内に行わなければならない。」とあり、
「その命令を受けた日から三日以内」に請求します。「当該命令を受けた日以後いつでも」ではありません。大体、緊急で日にちを限定していないのは、おかしいと感じれば、正解。


3 特定行政庁は、違反建築物の除却を命じようとする場合において、過失がなくて当該建築物の除却を命ぜられるべき者を確知できず、かつ違反の放置が著しく公益に反すると認められるときは、その者の負担において当該建築物を除却することができる。

○ 正しい。 ここは、選択肢1で引用しました建築基準法第9条11項
 「11 第一項の規定により必要な措置を命じようとする場合において、過失がなくてその措置を命ぜられるべき者を確知することができず、かつ、その違反を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、特定行政庁は、その者の負担において、その措置を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任した者に行わせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、その措置を行うべき旨及びその期限までにその措置を行わないときは、特定行政庁又はその命じた者若しくは委任した者がその措置を行うべき旨をあらかじめ公告しなければならない。」とあり、
前段に該当しています。


4 特定行政庁は、一定の建築物の敷地、構造、建築設備又は用途が、公益上著しく支障があると認める場合においては、当該建築物の所在地の市町村の議会の同意を得た場合に限り、当該建築物の所有者、管理者又は占有者に対して、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却等の措置を命ずることができる。

○ 正しい。 ここは、建築基準法第11条
 「(第三章の規定に適合しない建築物に対する措置)
  第十一条
   特定行政庁は、建築物の敷地、構造、建築設備又は用途(いずれも第三条第二項(第八十六条の九第一項において準用する場合を含む。)の規定により第三章の規定又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の適用を受けないものに限る。)が公益上著しく支障があると認める場合においては、当該建築物の所在地の市町村の議会の同意を得た場合に限り、当該建築物の所有者、管理者又は占有者に対して、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、修繕、模様替、使用禁止又は使用制限を命ずることができる。この場合においては、当該建築物の所在地の市町村は、当該命令に基づく措置によつて通常生ずべき損害を時価によつて補償しなければならない。
   2 前項の規定によつて補償を受けることができる者は、その補償金額に不服がある場合においては、政令の定める手続によつて、その決定の通知を受けた日から一月以内に土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第九十四条第二項の規定による収用委員会の裁決を求めることができる。」とあり、
1項に該当しています。


答え:2  


(建築監視員)
第九条の二

 特定行政庁は、政令で定めるところにより、当該市町村又は都道府県の職員のうちから建築監視員を命じ、前条第七項及び第十項に規定する特定行政庁の権限を行なわせることができる。

過去出題 マンション管理士 H26年
管理業務主任者  

9条の2:建築監視員
 特定行政庁である地方自治体の職員の中から、建築監視員が任命されれば、その人が当該工事の施工の停止を命じ、使用禁止、使用制限その他これらの規定又は条件に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができます。

  現場を現状のまま凍結命令だけで、除去・移転・改築・増築などの命令は、建築監視員ではできません。

<参考> 建築基準法施行令第14条

 (建築監視員の資格
第十四条  建築監視員は、次の各号の一に該当する者でなければならない。
   一  三年以上の建築行政に関する実務の経験を有する者
   二  建築士で一年以上の建築行政に関する実務の経験を有するもの
   三  建築の実務に関し技術上の責任のある地位にあつた建築士で国土交通大臣が前各号の一に該当する者と同等以上の建築行政に関する知識及び能力を有すると認めたもの

 

(違反建築物の設計者等に対する措置)
第九条の三

 特定行政庁は、第九条第一項又は第十項の規定による命令をした場合(建築監視員が同条第十項の規定による命令をした場合を含む。)においては、国土交通省令で定めるところにより、当該命令に係る建築物の設計者、工事監理者若しくは工事の請負人(請負工事の下請人を含む。次項において同じ。)若しくは当該建築物について宅地建物取引業に係る取引をした宅地建物取引業者又は当該命令に係る浄化槽の製造業者の氏名又は名称及び住所その他国土交通省令で定める事項を、建築士法 、建設業法 (昭和二十四年法律第百号)、浄化槽法 (昭和五十八年法律第四十三号)又は宅地建物取引業法 (昭和二十七年法律第百七十六号)の定めるところによりこれらの者を監督する国土交通大臣又は都道府県知事に通知しなければならない。

2  国土交通大臣又は都道府県知事は、前項の規定による通知を受けた場合においては、遅滞なく、当該通知に係る者について、建築士法 、建設業法 、浄化槽法 又は宅地建物取引業法 による免許又は許可の取消し、業務の停止の処分その他必要な措置を講ずるものとし、その結果を同項の規定による通知をした特定行政庁に通知しなければならない。

過去出題 マンション管理士  
管理業務主任者  

★9条の3:違反建築物の設計者等に対する措置 は、特定行政庁(または、建築監視員)が、当該工事の施工の停止を命じ、又は、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他これらの規定又は条件に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命じた時には、当該命令に係る建築物の設計者、工事監理者若しくは工事の請負人(請負工事の下請人を含む。次項において同じ。)若しくは当該建築物について宅地建物取引業に係る取引をした宅地建物取引業者又は当該命令に係る浄化槽の製造業者の氏名又は名称及び住所その他国土交通省令で定める事項を、建築士法 、建設業法 、浄化槽法 又は宅地建物取引業法の定めるところによりこれらの者を監督する国土交通大臣又は都道府県知事に通知されます(1項)。

 そして、通知を受けた、これらの者を監督する国土交通大臣又は都道府県知事は、建築士法 、建設業法 、浄化槽法 又は宅地建物取引業法 による免許又は許可の取消し、業務の停止の処分その他必要な措置を講じ、その結果を同項の規定による通知をした特定行政庁に通知されます(2項)。

 

(保安上危険な建築物等の所有者等に対する指導及び助言)
第九条の四 (平成30年6月27日 公布)

 特定行政庁は、建築物の敷地、構造又は建築設備(いずれも第三条第二項の規定により次章の規定又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の適用を受けないものに限る。)について、損傷、腐食その他の劣化が生じ、そのまま放置すれば保安上危険となり、又は衛生上有害となるおそれがあると認める場合においては、当該建築物又はその敷地の所有者、管理者又は占有者に対して、修繕、防腐措置その他当該建築物又はその敷地の維持保全に関し必要な指導及び助言をすることができる。

過去出題 マンション管理士  
管理業務主任者  

★新設された、9条の4:保安上危険な建築物等の所有者等に対する指導及び助言 は、最近増加しています、空家などで、そのまま放置すれば危険な状態になる敷地や建物の所有者、管理者又は占有者に対して、修繕などをさせ、維持保全に対して必要な指導や助言ができるようにしました。

 既存の不適格建築物の所有者等に対して特定行政庁が指導・助言をします。


 (著しく保安上危険な建築物等の所有者等に対する勧告及び命令) (保安上危険な建築物等に対する措置)
第十条 (改正有:平成30年6月27日公布)

 特定行政庁は、第六条第一項第一号に掲げる建築物その他政令で定める建築物の敷地、構造又は建築設備(いずれも第三条第二項の規定により 次章 第二章 の規定又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の適用を受けないものに限る。)について、損傷、腐食その他の劣化が進み、そのまま放置すれば著しく保安上危険となり、又は著しく衛生上有害となるおそれがあると認める場合においては、当該建築物又はその敷地の所有者、管理者又は占有者に対して、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用中止、使用制限その他保安上又は衛生上必要な措置をとることを勧告することができる。

2  特定行政庁は、前項の勧告を受けた者が正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかつた場合において、特に必要があると認めるときは、その者に対し、相当の猶予期限を付けて、その勧告に係る措置をとることを命ずることができる。

3  前項の規定による場合のほか、特定行政庁は、建築物の敷地、構造又は建築設備(いずれも第三条第二項の規定により 次章 第二章 の規定又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の適用を受けないものに限る。)が著しく保安上危険であり、又は著しく衛生上有害であると認める場合においては、当該建築物又はその敷地の所有者、管理者又は占有者に対して、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他保安上又は衛生上必要な措置をとることを命ずることができる。

4  第九条第二項から第九項まで及び第十一項から第十五項までの規定は、前二項の場合に準用する。

過去出題 マンション管理士 H26年、H21年、
管理業務主任者  

10条:著しく保安上危険な建築物等の所有者等に対する勧告及び命令

 特定行政庁の判断で、損傷、腐食その他の劣化が進み、そのまま放置すれば著しく保安上危険となり、又は著しく衛生上有害となるおそれがあると認める場合においては、当該建築物又はその敷地の所有者、管理者又は占有者に対して、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用中止、使用制限その他保安上又は衛生上必要な措置をとることを勧告することができます(1項)。

★これは、建築主事の職務ではありません。
  建築主事の職務には、保安上危険とか衛生上有害となるおそれがあるとかの判断は入っていません


{設問} 平成26年 マンション管理士試験 「問20」

〔問 20〕 違反建築物等に対する措置に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 特定行政庁は、建築基準法令の規定に違反することが明らかな建築工事中の共同住宅について、緊急の必要がある場合においても、通知、意見の聴取等の手続きをとらなければ、建築主、工事請負人又は工事現場管理者に対して工事の施工の停止を命ずることができない。


X 誤っている。 緊急の必要がある場合においては、手続きを省略できる。 平成23年マンション管理士試験 「問20」、 平成21年マンション管理士試験 「問20」 。
 まず、違反建築物等とは、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反した建築物や敷地です。
具体的には、建ぺい率超過、容積率超過、各種斜線制限の違反、用途制限違反、接道義務違反などのほか、建築基準法上の手続き(建築確認申請など)を行なわずに建築されたもの(無確認建築)も「違反建築物」となります。
 また、特定行政庁とは、建築基準法第2条35号
 「(用語の定義)
 第二条
 この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
     三十五 
特定行政庁 建築主事を置く市町村の区域については当該市町村の長をいい、その他の市町村の区域については都道府県知事をいう。ただし、第九十七条の二第一項又は第九十七条の三第一項の規定により建築主事を置く市町村の区域内の政令で定める建築物については、都道府県知事とする。」 とあり、
 建築確認などをする建築主事が置かれている地方自治体の長を指しています。行政機関です。


 設問の違反建築物に対しては、建築基準法第9条
 「(違反建築物に対する措置)
 第九条
 特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反した建築物又は建築物の敷地については、当該建築物の建築主、当該建築物に関する工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)若しくは現場管理者又は当該建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者に対して、当該工事の施工の停止を命じ、又は、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他これらの規定又は条件に対する違反を是正するために
必要な措置をとることを命ずることができる
   2 特定行政庁は、前項の措置を命じようとする場合においては、あらかじめ、その措置を命じようとする者に対して、その命じようとする措置及びその事由並びに意見書の提出先及び提出期限を記載した
通知書を交付して、その措置を命じようとする者又はその代理人に意見書及び自己に有利な証拠を提出する機会を与えなければならない。
   3 前項の通知書の交付を受けた者は、その交付を受けた日から三日以内に、特定行政庁に対して、意見書の提出に代えて公開による意見の聴取を行うことを請求することができる。
   4 特定行政庁は、前項の規定による
意見の聴取の請求があつた場合においては、第一項の措置を命じようとする者又はその代理人の出頭を求めて、公開による意見の聴取を行わなければならない。
   5 特定行政庁は、前項の規定による意見の聴取を行う場合においては、第一項の規定によつて命じようとする措置並びに意見の聴取の期日及び場所を、期日の二日前までに、前項に規定する者に通知するとともに、これを公告しなければならない。
   6 第四項に規定する者は、意見の聴取に際して、証人を出席させ、かつ、自己に有利な証拠を提出することができる。
   7 特定行政庁は、緊急の必要がある場合においては、前五項の規定にかかわらず、これらに定める手続によらないで、仮に、使用禁止又は使用制限の命令をすることができる。
   8 前項の命令を受けた者は、その命令を受けた日から三日以内に、特定行政庁に対して公開による意見の聴取を行うことを請求することができる。この場合においては、第四項から第六項までの規定を準用する。ただし、意見の聴取は、その請求があつた日から五日以内に行わなければならない。
   9 特定行政庁は、前項の意見の聴取の結果に基づいて、第七項の規定によつて仮にした命令が不当でないと認めた場合においては、第一項の命令をすることができる。意見の聴取の結果、第七項の規定によつて仮にした命令が不当であると認めた場合においては、直ちに、その命令を取り消さなければならない。
   
10 特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反することが明らかな建築、修繕又は模様替の工事中の建築物については、緊急の必要があつて第二項から第六項までに定める手続によることができない場合に限り、これらの手続によらないで、当該建築物の建築主又は当該工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)若しくは現場管理者に対して、当該工事の施工の停止を命ずることができる。この場合において、これらの者が当該工事の現場にいないときは、当該工事に従事する者に対して、当該工事に係る作業の停止を命ずることができる。
   11 第一項の規定により必要な措置を命じようとする場合において、過失がなくてその措置を命ぜられるべき者を確知することができず、かつ、その違反を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、特定行政庁は、その者の負担において、その措置を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任した者に行わせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、その措置を行うべき旨及びその期限までにその措置を行わないときは、特定行政庁又はその命じた者若しくは委任した者がその措置を行うべき旨をあらかじめ公告しなければならない。
   12 特定行政庁は、第一項の規定により必要な措置を命じた場合において、その措置を命ぜられた者がその措置を履行しないとき、履行しても十分でないとき、又は履行しても同項の期限までに完了する見込みがないときは、行政代執行法(昭和二十三年法律第四十三号)の定めるところに従い、みずから義務者のなすべき行為をし、又は第三者をしてこれをさせることができる。
   13 特定行政庁は、第一項又は第十項の規定による命令をした場合(建築監視員が第十項の規定による命令をした場合を含む。)においては、標識の設置その他国土交通省令で定める方法により、その旨を公示しなければならない。
   14 前項の標識は、第一項又は第十項の規定による命令に係る建築物又は建築物の敷地内に設置することができる。この場合においては、第一項又は第十項の規定による命令に係る建築物又は建築物の敷地の所有者、管理者又は占有者は、当該標識の設置を拒み、又は妨げてはならない。
   15 第一項、第七項又は第十項の規定による命令については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三章(第十二条及び第十四条を除く。)の規定は、適用しない。」 
とあり、
 原則は1項や2項、4項の手続きにより、通知をだしたり、意見を聞くのですが、緊急時には、そんな悠長な手続きをとってはいられません。そこで、10項
 
「 10 特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反することが明らかな建築、修繕又は模様替の工事中の建築物については、緊急の必要があつて第二項から第六項までに定める手続によることができない場合に限り、これらの手続によらないで、当該建築物の建築主又は当該工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)若しくは現場管理者に対して、当該工事の施工の停止を命ずることができる。この場合において、これらの者が当該工事の現場にいないときは、当該工事に従事する者に対して、当該工事に係る作業の停止を命ずることができる。 
により、
 通知、意見の聴取等の手続きをとらずに、建築主、工事請負人又は工事現場管理者に対して工事の施工の停止を命ずることができますから、誤りです。


2 建築監視員は、建築基準法違反の共同住宅について、緊急の必要がある場合でなければ、当該建築物の所有者等に対して、仮に、使用禁止又は使用制限の命令をすることはできない。


○ 正しい。 建築監視員では、現場を現状のままの凍結命令だけで、除去・移転・改築・増築などの命令は、緊急でなければできない。
 まず、建築監視員とは、建築基準法施行令第14条
 「(建築監視員の資格)
 第十四条
 建築監視員は、次の各号の一に該当する者でなければならない。
     一 三年以上の建築行政に関する実務の経験を有する者
     二 建築士で一年以上の建築行政に関する実務の経験を有するもの
     三 建築の実務に関し技術上の責任のある地位にあつた建築士で国土交通大臣が前各号の一に該当する者と同等以上の建築行政に関する知識及び能力を有すると認めたもの」 
です。
 そして、建築基準法第9条の2
 「(建築監視員)
 第九条の二
 
特定行政庁は、政令で定めるところにより、当該市町村又は都道府県の職員のうちから建築監視員を命じ、前条第七項及び第十項に規定する特定行政庁の権限を行なわせることができる。」 とあり、
 選択肢1で引用しました、建築基準法第9条の(違反建築物に対する措置)の内、次の7項から10項までの権限を有しています。
 「
7 特定行政庁は、緊急の必要がある場合においては、前五項の規定にかかわらず、これらに定める手続によらないで、仮に、使用禁止又は使用制限の命令をすることができる。
  8 前項の命令を受けた者は、その命令を受けた日から三日以内に、特定行政庁に対して公開による意見の聴取を行うことを請求することができる。この場合においては、第四項から第六項までの規定を準用する。ただし、意見の聴取は、その請求があつた日から五日以内に行わなければならない。
  9 特定行政庁は、前項の意見の聴取の結果に基づいて、第七項の規定によつて仮にした命令が不当でないと認めた場合においては、第一項の命令をすることができる。意見の聴取の結果、第七項の規定によつて仮にした命令が不当であると認めた場合においては、直ちに、その命令を取り消さなければならない。
  10 特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反することが明らかな建築、修繕又は模様替の工事中の建築物については、緊急の必要があつて第二項から第六項までに定める手続によることができない場合に限り、これらの手続によらないで、当該建築物の建築主又は当該工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)若しくは現場管理者に対して、当該工事の施工の停止を命ずることができる。この場合において、これらの者が当該工事の現場にいないときは、当該工事に従事する者に対して、当該工事に係る作業の停止を命ずることができる。」 
です。
 設問の「仮に、使用禁止又は使用制限の命令」は、7項に該当していますから、緊急の必要がある場合には、当該建築物の所有者等に対して、仮に、使用禁止又は使用制限の命令をすることができ、正しい。



3 特定行政庁は、違反建築物ではない床面積の合計が100uを超える共同住宅について、著しく保安上危険であると認める場合であっても、当該建築物の所有者等に対して、勧告をした後でなければ、除却等の命令をすることはできない。

X 誤っている。著しく保安上危険であると認める場合には、床面積が100uを超えると、除却等の命令を出せる。また、勧告の手続きは省ける。
 保安上危険であると認める場合の措置は、建築基準法第10条
 「(保安上危険な建築物等に対する措置)
 第十条
 特定行政庁は、第六条第一項第一号に掲げる建築物その他政令で定める建築物の敷地、構造又は建築設備(いずれも第三条第二項の規定により第二章の規定又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の適用を受けないものに限る。)について、損傷、腐食その他の劣化が進み、そのまま放置すれば著しく保安上危険となり、又は著しく衛生上有害となるおそれがあると認める場合においては、当該建築物又はその敷地の所有者、管理者又は占有者に対して、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用中止、使用制限その他保安上又は衛生上必要な措置をとることを勧告することができる。
   2 特定行政庁は、前項の勧告を受けた者が正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかつた場合において、特に必要があると認めるときは、その者に対し、相当の猶予期限を付けて、その勧告に係る措置をとることを命ずることができる。
   
3 前項の規定による場合のほか、特定行政庁は、建築物の敷地、構造又は建築設備(いずれも第三条第二項の規定により第二章の規定又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の適用を受けないものに限る。)が著しく保安上危険であり、又は著しく衛生上有害であると認める場合においては、当該建築物又はその敷地の所有者、管理者又は占有者に対して、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他保安上又は衛生上必要な措置をとることを命ずることができる
   4 第九条第二項から第九項まで及び第十一項から第十五項までの規定は、前二項の場合に準用する。」
 とあり、
 3項によれば、特定行政庁は、違反建築物でなくても、特殊建築物などで、その用途に供する部分の床面積が100uを超えるものが、著しく保安上危険であると認める場合には、勧告でなく、命令ができますから、誤りです。
 既存不適格建築物である共同住宅(マンション)も該当します。 


4 特定行政庁がそのまま放置すれば著しく保安上危険となると認めた共同住宅の所有者等に対して保安上必要な措置を命じた場合においては、その措置を命ぜられた者がその措置を履行しないときであっても、行政代執行法の定めるところに従って特定行政庁が自ら当該所有者等のなすべき行為をすることはできない。

X 誤っている。特定行政庁は行政代執行ができる。
 そのまま放置すれば著しく保安上危険となると認めた共同住宅の所有者等に対して保安上必要な措置を命じた場合は、選択肢3でも引用しました、建築基準法第10条、
 「(保安上危険な建築物等に対する措置)
 第十条  特定行政庁は、第六条第一項第一号に掲げる建築物その他政令で定める建築物の敷地、構造又は建築設備(いずれも第三条第二項の規定により第二章の規定又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の適用を受けないものに限る。)について、損傷、腐食その他の劣化が進み、そのまま放置すれば著しく保安上危険となり、又は著しく衛生上有害となるおそれがあると認める場合においては、当該建築物又はその敷地の所有者、管理者又は占有者に対して、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用中止、使用制限その他保安上又は衛生上必要な措置をとることを
勧告することができる
   2  特定行政庁は、前項の勧告を受けた者が正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかつた場合において、特に必要があると認めるときは、その者に対し、相当の猶予期限を付けて、その勧告に係る措置をとることを
命ずることができる
   3  前項の規定による場合のほか、特定行政庁は、建築物の敷地、構造又は建築設備(いずれも第三条第二項の規定により第二章の規定又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の適用を受けないものに限る。)が著しく保安上危険であり、又は著しく衛生上有害であると認める場合においては、当該建築物又はその敷地の所有者、管理者又は占有者に対して、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他保安上又は衛生上必要な措置をとることを命ずることができる。
   
4  第九条第二項から第九項まで及び第十一項から第十五項までの規定は、前二項の場合に準用する。」 とあり、
 1項により、 特定行政庁は、保安上又は衛生上必要な措置をとることを勧告することができ、2項により、勧告を受けても、措置をとらなかつた場合は、その勧告に係る措置をとることを命ずることができます。
 それでも、その措置を命ぜられた者がその措置を履行しないときは、4項により、建築基準法第9条12項
 「12 特定行政庁は、第一項の規定により必要な措置を命じた場合において、その措置を命ぜられた者がその措置を履行しないとき、履行しても十分でないとき、又は履行しても同項の期限までに完了する見込みがないときは、
行政代執行法(昭和二十三年法律第四十三号)の定めるところに従い、みずから義務者のなすべき行為をし、又は第三者をしてこれをさせることができる。」 が準用されていますから、行政代執行法により、みずから義務者のなすべき行為をし、又は第三者をしてこれをさせることができますから、誤りです。


答え:2  新しい箇所からの出題で根拠を探すのに、時間がかかった。選択肢2と選択肢3は判断が難しい。


(第三章の規定に適合しない建築物に対する措置)
第十一条

 特定行政庁は、建築物の敷地、構造、建築設備又は用途(いずれも第三条第二項(第八十六条の九第一項において準用する場合を含む。)の規定により第三章の規定又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の適用を受けないものに限る。)が公益上著しく支障があると認める場合においては、当該建築物の所在地の市町村の議会の同意を得た場合に限り、当該建築物の所有者、管理者又は占有者に対して、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、修繕、模様替、使用禁止又は使用制限を命ずることができる。この場合においては、当該建築物の所在地の市町村は、当該命令に基づく措置によつて通常生ずべき損害を時価によつて補償しなければならない。

2  前項の規定によつて補償を受けることができる者は、その補償金額に不服がある場合においては、政令の定める手続によつて、その決定の通知を受けた日から一月以内に土地収用法 (昭和二十六年法律第二百十九号)第九十四条第二項 の規定による収用委員会の裁決を求めることができる。

過去出題 マンション管理士 H23年、H21年、
管理業務主任者  

11条:第三章の規定に適合しない建築物に対する措置

 第3章の規定とは
 第3章は、「都市計画区域等における建築物の敷地、構造、建築設備及び用途 」を定めています。

この規定をうけない場合でも、当該建築物の所在地の市町村の議会の同意を得た場合に限り、当該建築物の所有者、管理者又は占有者に対して、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、修繕、模様替、使用禁止又は使用制限を命ずることができることにしています(1項)。

 


{設問}平成23年 マンション管理士試験 「問20」

       〔問 20〕違反建築物等に対する措置に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、誤っているものはどれか。

4 特定行政庁は、一定の建築物の敷地、構造、建築設備又は用途が、公益上著しく支障があると認める場合においては、当該建築物の所在地の市町村の議会の同意を得た場合に限り、当該建築物の所有者、管理者又は占有者に対して、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却等の措置を命ずることができる。

○ 正しい。 ここは、建築基準法第11条
 「(第三章の規定に適合しない建築物に対する措置)
  第十一条
   特定行政庁は、建築物の敷地、構造、建築設備又は用途(いずれも第三条第二項(第八十六条の九第一項において準用する場合を含む。)の規定により第三章の規定又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の適用を受けないものに限る。)が公益上著しく支障があると認める場合においては、当該建築物の所在地の市町村の議会の同意を得た場合に限り、当該建築物の所有者、管理者又は占有者に対して、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、修繕、模様替、使用禁止又は使用制限を命ずることができる。この場合においては、当該建築物の所在地の市町村は、当該命令に基づく措置によつて通常生ずべき損害を時価によつて補償しなければならない。
   2 前項の規定によつて補償を受けることができる者は、その補償金額に不服がある場合においては、政令の定める手続によつて、その決定の通知を受けた日から一月以内に土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第九十四条第二項の規定による収用委員会の裁決を求めることができる。」とあり、
1項に該当しています。


(報告、検査等)
第十二条  

 第六条第一項第一号に掲げる建築物で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの(国、都道府県及び建築主事を置く市町村が所有し、又は管理する建築物(以下この項及び第三項において「国等の建築物」という。)を除く。)及び当該政令で定めるもの以外の特定建築物(同号に掲げる建築物その他政令で定める建築物をいう。以下この条において同じ。)で特定行政庁が指定するもの(国等の建築物を除く。)の所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者。第三項において同じ。)は、これらの建築物の敷地、構造及び建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員資格者証の交付を受けている者(次項及び次条第三項において「建築物調査員」という。)にその状況の調査(これらの建築物の敷地及び構造についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含み、これらの建築物の建築設備及び防火戸その他の政令で定める防火設備(以下「建築設備等」という。)についての第三項の検査を除く。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。

2 国、都道府県又は建築主事を置く市町村が所有し、又は管理する特定建築物の管理者である国、都道府県若しくは市町村の機関の長又はその委任を受けた者(以下この章において「国の機関の長等」という。)は、当該特定建築物の敷地及び構造について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員に、損傷、腐食その他の劣化の状況の点検(当該特定建築物の防火戸その他の前項の政令で定める防火設備についての第四項の点検を除く。)をさせなければならない。ただし、当該特定建築物(第六条第一項第一号に掲げる建築物で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして前項の政令で定めるもの及び同項の規定により特定行政庁が指定するものを除く。)のうち特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て指定したものについては、この限りでない。

3 特定建築設備等(昇降機及び特定建築物の昇降機以外の建築設備等をいう。以下この項及び次項において同じ。)で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの(国等の建築物に設けるものを除く。)及び当該政令で定めるもの以外の特定建築設備等で特定行政庁が指定するもの(国等の建築物に設けるものを除く。)の所有者は、これらの特定建築設備等について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者(次項及び第十二条の三第二項において「建築設備等検査員」という。)に検査(これらの特定建築設備等についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含む。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。

4 国の機関の長等は、国、都道府県又は建築主事を置く市町村が所有し、又は管理する建築物の特定建築設備等について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員に、損傷、腐食その他の劣化の状況の点検をさせなければならない。ただし、当該特定建築設備等(前項の政令で定めるもの及び同項の規定により特定行政庁が指定するものを除く。)のうち特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て指定したものについては、この限りでない。

5 特定行政庁、建築主事又は建築監視員は、次に掲げる者に対して、建築物の敷地、構造、建築設備若しくは用途、建築材料若しくは建築設備その他の建築物の部分(以下「建築材料等」という。)の受取若しくは引渡しの状況、建築物に関する工事の計画若しくは施工の状況又は建築物の敷地、構造若しくは建築設備に関する調査(以下「建築物に関する調査」という。)の状況に関する報告を求めることができる。
   一 建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者、建築主、設計者、建築材料等を製造した者、工事監理者、工事施工者又は建築物に関する調査をした者
   二 第七十七条の二十一第一項の指定確認検査機関
   三 第七十七条の三十五の五第一項の指定構造計算適合性判定機関

6 特定行政庁又は建築主事にあつては第六条第四項、第六条の二第六項、第七条第四項、第七条の三第四項、第九条第一項、第十項若しくは第十三項、第十条第一項から第三項まで、前条第一項又は第九十条の二第一項の規定の施行に必要な限度において、建築監視員にあつては第九条第十項の規定の施行に必要な限度において、当該建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者、建築主、設計者、建築材料等を製造した者、工事監理者、工事施工者又は建築物に関する調査をした者に対し、帳簿、書類その他の物件の提出を求めることができる。

7 建築主事又は特定行政庁の命令若しくは建築主事の委任を受けた当該市町村若しくは都道府県の職員にあつては第六条第四項、第六条の二第六項、第七条第四項、第七条の三第四項、第九条第一項、第十項若しくは第十三項、第十条第一項から第三項まで、前条第一項又は第九十条の二第一項の規定の施行に必要な限度において、建築監視員にあつては第九条第十項の規定の施行に必要な限度において、当該建築物、建築物の敷地、建築材料等を製造した者の工場、営業所、事務所、倉庫その他の事業場、建築工事場又は建築物に関する調査をした者の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、建築物、建築物の敷地、建築設備、建築材料、建築材料等の製造に関係がある物件、設計図書その他建築物に関する工事に関係がある物件若しくは建築物に関する調査に関係がある物件を検査し、若しくは試験し、又は建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者、建築主、設計者、建築材料等を製造した者、工事監理者、工事施工者若しくは建築物に関する調査をした者に対し必要な事項について質問することができる。ただし、住居に立ち入る場合においては、あらかじめ、その居住者の承諾を得なければならない。

8 特定行政庁は、確認その他の建築基準法令の規定による処分並びに第一項及び第三項の規定による報告に係る建築物の敷地、構造、建築設備又は用途に関する台帳を整備し、かつ、当該台帳(当該処分及び当該報告に関する書類で国土交通省令で定めるものを含む。)を保存しなければならない。

9 前項の台帳の記載事項その他その整備に関し必要な事項及び当該台帳(同項の国土交通省令で定める書類を含む。)の保存期間その他その保存に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。

過去出題 マンション管理士 H29年、H28年、H21年、H19年、
管理業務主任者 H29年、H25年、H23年、H19年、H18年、H17年、H16年、H15年、H14年、H13年

★12条:検査・報告

 この、12条の報告・検査はよく「マンション管理士・管理業務主任者」試験で出題されます。


◎平成27年6月1日施行(一部は平成28年6月1日施行)で、かなり内容が変更になりましたから、注意が必要です。

 定期調査や検査資格者を明確にして、資格者証の交付や調査等について不誠実な行為をした時の資格者証の返納などを、新しく規定しました。


 ★改正によって、
  @建築物調査員とA建築設備等検査員が創設されました。

  @建築物調査員…劇場、病院、百貨店などの外壁の損傷の有無、天井の耐震対策の状況の確認などを実施します。
 以前は、特殊建物等調査資格者と呼ばれていた人です。

  そして、A建築設備検査員には、
    @防火設備検査員…防火壁、防火シャッターなどの駆動装置の点検、感知器と連動させた動作の確認などを実施します。
    A昇降機検査員…エレベーター、エスカレーターなどの安全装置の点検、動作確認などを実施します。
    B建築設備検査員…配管設備の腐食状況の点検、換気設備の換気量の確認などを実施します。

★12条は、使用開始となった建築物のその後につき、定期的に、有資格者(一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員(旧:国土交通大臣が定める資格を有する者)に報告・検査をさせることを定めています。
 なお、報告先は、特定行政庁です。国土交通大臣あてではありません。

  報告の時期は、6カ月から3年までの間で、特定行政庁が定めます。(建築基準法施行規則第5条1項)

<参照> 建築基準法施行規則第5条

(建築物の定期報告)
第五条 法第十二条第一項の規定による報告の時期は、建築物の用途、構造、延べ面積等に応じて、おおむね六月から三年までの間隔をおいて特定行政庁が定める時期(次のいずれかに該当する場合においては、その直後の時期を除く。)とする。
   一 法第十二条第一項の安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定める建築物について、建築主が法第七条第五項又は法第七条の二第五項の規定による検査済証(新築又は改築(一部の改築を除く。)に係るものに限る。)の交付を受けた場合
   二 法第十二条第一項の規定により特定行政庁が指定する建築物について、建築主が法第七条第五項又は法第七条の二第五項の規定による検査済証(当該指定があつた日以後の新築又は改築(一部の改築を除く。)に係るものに限る。)の交付を受けた場合

2 法第十二条第一項の規定による調査は、建築物の敷地、構造及び建築設備の状況について安全上、防火上又は衛生上支障がないことを確認するために十分なものとして行うものとし、当該調査の項目、方法及び結果の判定基準は国土交通大臣の定めるところによるものとする。

(以下略)

★昇降機(エレベーター・エスカレーター)、建築設備も定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員(旧:国土交通大臣が定める資格を有する者)に検査(当該建築設備についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含む。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければなりません(3項)。

★では、昇降機などの報告の時期は、

<参照> 建築基準法施行規則第6条

(建築設備等の定期報告)
第六条 法第十二条第三項の規定による報告の時期は、建築設備又は防火設備(以下「建築設備等」という。)の種類、用途、構造等に応じて、おおむね六月から一年まで(ただし、国土交通大臣が定める検査の項目については、一年から三年まで)の間隔をおいて特定行政庁が定める時期(次のいずれかに該当する場合においては、その直後の時期を除く。)とする。
   一 法第十二条第三項の安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定める特定建築設備等について、設置者が法第七条第五項(法第八十七条の四において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)又は法第七条の二第五項(法第八十七条の四において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定による検査済証の交付を受けた場合
   二 法第十二条第三項の規定により特定行政庁が指定する特定建築設備等について、設置者が法第七条第五項又は法第七条の二第五項の規定による検査済証(当該指定があつた日以後の設置に係るものに限る。)の交付を受けた場合

2 法第十二条第三項の規定による検査は、建築設備等の状況について安全上、防火上又は衛生上支障がないことを確認するために十分なものとして行うものとし、当該検査の項目、事項、方法及び結果の判定基準は国土交通大臣の定めるところによるものとする。

(以下略)

とあり、おおむね6ヶ月から1年までの間隔で行う。おおむね2年ごとでありませんよ。

 この定期報告・調査については、下の、平成29年の「マンション管理士試験、管理業務主任者試験」も参考にしてください。 

★定期報告と資格者、時期のまとめ (平成28年6月1日施行に、対応。)

定期報告が必要な建築物など 調査、検査をする資格者 報告時期
6条1項1号など特定建築物 一級建築士、二級建築士、建築物調査員 6ヵ月〜
3年ごと
  特定建築設備等
建築設備 一級建築士、二級建築士、建築設備検査員 6ヵ月〜
1年ごと
防火設備 一級建築士、二級建築士、防火設備検査員
昇降機等 一級建築士、二級建築士、昇降機等検査員



*特定行政庁 ;大阪府の例;平成27年6月1日施行(一部は平成28年6月1日施行)
改正前の参考資料です。
  ●報告の時期 
    (※検査済証の交付を受けていれば、初回の報告は免除されます。)
   建築物・・・3年に1回
   建築設備・・・毎年
   昇降機及び遊戯施設・・・毎年

  ●報告義務者
   報告年度には特定行政庁より通知が来ます。
   建築物の所有者(所有者と管理者が異なる場合は管理者)は、専門技術者(有資格者)に調(検)査を依頼してくだい。

  ●調査(検査)者
   それぞれの調(検)査を行なうには、次の資格が必要です。
   建築物   :特殊建築物調査資格者、1・2級建築士等
   建築設備 :建築設備検査資格者、1・2級建築士等
   昇降機   :昇降機検査資格者、1・2級建築士等


{設問−1}平成23年 管理業務主任者試験 「問25」

【問 25】 建築物定期調査、建築設備及び昇降機定期検査に関する次の記述のうち、 建築基準法によれば、誤っているものはどれか。

1 具体的な調査・検査の項目並びに項目ごとの調査・検査の方法、結果の判定基準が告示で定められている。


○ 正しい。 建築物の定期調査・検査報告制度が法律で決められています。
  ここは、過去も出ていますが、少しばかり、関係の条文が長いのでまとめを説明します。平成22年管理業務主任者試験 「問27」 、平成21年マンション管理士試験 「問37」 、平成19年マンション管理士試験 「問20」、 平成18年管理業務主任者試験 「問18」 、など。
  
  劇場、病院、ホテル、共同住宅、デパートなど、多くの人が集まる特殊建築物等では、建物の構造の損傷や劣化が、大惨事を起こす可能性があります。そこで、建築基準法第12条では、定期的に、一級建築士や二級建築士又は国土交通大臣が定める資格を有する者にその状況の調査・検査させて、その結果を、特定行政庁(国土交通省ではありませんよ)に報告させます。報告の時期は、6カ月から3年までの間で、特定行政庁が定めます。(同法施行規則第5条1項)
★昇降機(エレベーター・エスカレーター)、建築設備も定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は国土交通大臣が定める資格を有する者に検査(当該建築設備についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含む。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければなりません(建築基準法第12条3項)。昇降機などの報告の時期は、おおむね6ヶ月から1年までの間隔で行います。おおむね2年ごとでありませんよ。 (同法法施行規則6条)

★定期報告と資格者、時期のまとめ
定期報告が必要な建築物など 調査、検査をする資格者 報告時期
6条1項1号など 一級建築士、二級建築士、特殊建築物等調査資格者 6ヵ月〜
3年
昇降機 一級建築士、二級建築士、昇降機検査資格者 6ヵ月〜
1年
建築設備 一級建築士、二級建築士、建設設備検査資格者

参考:
建築基準法第12条
 「(報告、検査等)
  第十二条  第六条第一項第一号に掲げる建築物その他政令で定める建築物(国、都道府県及び建築主事を置く市町村の建築物を除く。)で特定行政庁が指定するものの所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者。第三項において同じ。)は、当該建築物の敷地、構造及び建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は国土交通大臣が定める資格を有する者にその状況の調査(当該建築物の敷地及び構造についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含み、当該建築物の建築設備についての第三項の検査を除く。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。
   2  国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物(第六条第一項第一号に掲げる建築物その他前項の政令で定める建築物に限る。)の管理者である国、都道府県若しくは市町村の機関の長又はその委任を受けた者(以下この章において「国の機関の長等」という。)は、当該建築物の敷地及び構造について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は同項の資格を有する者に、損傷、腐食その他の劣化の状況の点検をさせなければならない。
   3  昇降機及び第六条第一項第一号に掲げる建築物その他第一項の政令で定める建築物の昇降機以外の建築設備(国、都道府県及び建築主事を置く市町村の建築物に設けるものを除く。)で特定行政庁が指定するものの所有者は、当該建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は国土交通大臣が定める資格を有する者に検査(当該建築設備についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含む。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。
   4  国の機関の長等は、国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物の昇降機及び国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物(第六条第一項第一号に掲げる建築物その他第一項の政令で定める建築物に限る。)の昇降機以外の建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は前項の資格を有する者に、損傷、腐食その他の劣化の状況の点検をさせなければならない。
   5  特定行政庁、建築主事又は建築監視員は、次に掲げる者に対して、建築物の敷地、構造、建築設備若しくは用途又は建築物に関する工事の計画若しくは施工の状況に関する報告を求めることができる。
     一  建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者、建築主、設計者、工事監理者又は工事施工者
     二  第一項の調査、第二項若しくは前項の点検又は第三項の検査をした一級建築士若しくは二級建築士又は第一項若しくは第三項の資格を有する者
     三  第七十七条の二十一第一項の指定確認検査機関
     四  第七十七条の三十五の五第一項の指定構造計算適合性判定機関
   6  建築主事又は特定行政庁の命令若しくは建築主事の委任を受けた当該市町村若しくは都道府県の職員にあつては第六条第四項、第六条の二第十一項、第七条第四項、第七条の三第四項、第九条第一項、第十項若しくは第十三項、第十条第一項から第三項まで、前条第一項又は第九十条の二第一項の規定の施行に必要な限度において、建築監視員にあつては第九条第十項の規定の施行に必要な限度において、当該建築物、建築物の敷地又は建築工事場に立ち入り、建築物、建築物の敷地、建築設備、建築材料、設計図書その他建築物に関する工事に関係がある物件を検査し、若しくは試験し、又は建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者、建築主、設計者、工事監理者若しくは工事施工者に対し必要な事項について質問することができる。ただし、住居に立ち入る場合においては、あらかじめ、その居住者の承諾を得なければならない。
   7  特定行政庁は、確認その他の建築基準法令の規定による処分並びに第一項及び第三項の規定による報告に係る建築物の敷地、構造、建築設備又は用途に関する台帳を整備し、かつ、当該台帳(当該処分及び当該報告に関する書類で国土交通省令で定めるものを含む。)を保存しなければならない。
   8  前項の台帳の記載事項その他その整備に関し必要な事項及び当該台帳(同項の国土交通省令で定める書類を含む。)の保存期間その他その保存に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。 そして、政令:建築基準法施行規則第5条(建築物の定期報告)
 「第五条  法第十二条第一項 (法第八十八条第一項 又は第三項 において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定による報告の時期は、建築物の用途、構造、延べ面積等に応じて、おおむね六月から三年までの間隔をおいて特定行政庁が定める時期(法第十二条第一項 の規定による指定があつた日以後の新築又は改築(一部の改築を除く。)に係る建築物について、建築主が法第七条第五項 (法第八十七条の二 又は法第八十八条第一項 において準用する場合を含む。第六条第一項において同じ。)又は法第七条の二第五項 (法第八十七条の二 又は法第八十八条第一項 において準用する場合を含む。第六条第一項において同じ。)の規定による検査済証の交付を受けた場合においては、その直後の時期を除く。)とする。
   2  法第十二条第一項 の規定による調査は、建築物の敷地、構造及び建築設備の状況について安全上支障がないことを確認するために十分なものとして行うものとし、当該調査の項目、方法及び結果の判定基準は国土交通大臣の定めるところによるものとする。
   3  法第十二条第一項 の規定による報告は、別記第三十六号の二の四様式による報告書及び別記第三十六号の二の五様式による定期調査報告概要書に国土交通大臣が定める調査結果表を添えてするものとする。ただし、特定行政庁が規則により別記第三十六号の二の四様式、別記第三十六号の二の五様式又は国土交通大臣が定める調査結果表に定める事項その他の事項を記載する報告書の様式又は調査結果表を定めた場合にあつては、当該様式による報告書又は当該調査結果表によるものとする。
   4  法第十二条第一項 の規定による報告は、前項の報告書及び調査結果表に、特定行政庁が建築物の敷地、構造及び建築設備の状況を把握するため必要があると認めて規則で定める書類を添えて行わなければならない。」

建築基準法施行規則第6条
 「(建築設備等の定期報告)
  第六条  法第十二条第三項 (法第八十八条第一項 又は第三項 において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定による報告の時期は、建築設備、法第六十六条 に規定する工作物(高さ四メートルを超えるものに限る。)又は法第八十八条第一項 に規定する昇降機等(以下「建築設備等」という。)の種類、用途、構造等に応じて、おおむね六月から一年まで(ただし、国土交通大臣が定める検査の項目については、一年から三年まで)の間隔をおいて特定行政庁が定める時期(法第十二条第三項 の規定による指定があつた日以後の設置又は築造に係る建築設備等について、設置者又は築造主が法第七条第五項 又は法第七条の二第五項 の規定による検査済証の交付を受けた場合においては、その直後の時期を除く。)とする。
   2  法第十二条第三項 の規定による検査は、建築設備の状況について安全上支障がないことを確認するために十分なものとして行うものとし、当該検査の項目、事項、方法及び結果の判定基準は国土交通大臣の定めるところによるものとする。
   3  法第十二条第三項 の規定による報告は、昇降機(令第百三十八条第二項第一号 に掲げる乗用エレベーター又はエスカレーターを含む。以下この条において同じ。)にあつては別記第三十六号の三様式による報告書及び別記第三十六号の三の二様式による定期検査報告概要書に、令第百三十八条第二項第二号 又は第三号 に掲げる遊戯施設(以下単に「遊戯施設」という。)にあつては別記第三十六号の三の三様式による報告書及び別記第三十六号の三の四様式による定期検査報告概要書に、建築設備等(昇降機及び遊戯施設を除く。)にあつては別記第三十六号の四様式による報告書及び別記第三十六号の四の二様式による定期検査報告概要書にそれぞれ国土交通大臣が定める検査結果表を添えてするものとする。ただし、特定行政庁が規則により別記第三十六号の三様式、別記第三十六号の三の二様式、別記第三十六号の三の三様式、別記第三十六号の三の四様式、別記第三十六号の四様式、別記第三十六号の四の二様式又は国土交通大臣が定める検査結果表その他の事項を記載する報告書の様式又は検査結果表を定めた場合にあつては、当該様式による報告書又は当該検査結果表によるものとする。
   4  法第十二条第三項 の規定による報告は、前項の報告書及び調査結果表に、特定行政庁が建築設備等の状況を把握するために必要と認めて規則で定める書類を添えて行わなければならない。」です。

とそこで、設問に戻りますと、具体的な調査・検査の方法、判定の基準は、平成20年3月10日の国土交通省告示で
調査の対象物により、
 1.建築物...国土交通省告示第282号
 2.昇降機...国土交通省告示第283号
 3.建築設備...国土交通省告示第285号
と別れて出されています。すべて平成20年4月1日から施行されています。(その後の改正もあります。)

なお、建築基準法に基づく「定期調査・検査報告制度」は、消防法に基づく消防用設備等点検とは異なる制度ですから注意してください。


2 建築物定期調査は、定量的な調査を主とし、目視などによる定性的な調査は、塀の劣化及び損傷状況の調査など限られた項目のみとされている。

X 誤っている。 選択肢1で引用しました、国土交通省告示第282号によりますと、敷地の地盤沈下や排水、また塀・擁壁・外壁などの劣化・損傷を目視確認やテストハンマーでの打診確認をして判定基準と照らし合わせます。塀・擁壁・窓・屋上・屋根・建築物の内部・躯体部・部材・床・天井・避難設備・排煙設備などと幅広い項目が挙げられています。


3 建築設備に関する定期検査の項目には、換気設備の風量測定、非常用の照明装置の照度測定を含む。

○ 正しい。 建築設備とは、換気設備・排煙設備・非常用の照明装置・給水設備及び排水設備であり、選択肢1で引用しました、国土交通省告示第285号に換気設備の風量測定、非常用の照明装置の照度測定は入っています。


4 昇降機定期検査では、ロープ式、油圧式等それぞれに検査結果表の様式が告示で定められている。

○ 正しい。 選択肢1で引用しました、 国土交通省告示第283号によると、昇降機定期検査では、ロープ式、油圧式等それぞれに検査結果表の様式が告示で、実に細かく定められています。

答え:2 (こんな細かな点まで、出題されるとは! 根拠を探し出すまで、随分と時間がかかった。)


{設問−2}平成29年 マンション管理士試験 「問21」

注:平成29年12月26日:試験を請け負っている 公益財団法人 マンション管理センターから 訂正文がでて、ここは、誤っているのが2つある。


〔問 21〕 建築基準法(昭和25 年法律第201号)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 共同住宅に設ける昇降機の所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者)は、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者に検査をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。


X 誤っている。 昇降機の点検が出来るのは、@一級建築士 A二級建築士 そして、建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者のうち B昇降機等検査員 である。建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者全てはない。


 建築基準法からも、例年1問は出ます。
 似たような出題は、平成29年 管理業務主任者試験 「問27」 、平成28年 マンション管理士試験 「問36」 、平成25年 管理業務主任者試験 「問21」 、平成25年 管理業務主任者試験 「問12」 も 建築基準法第12条からの出題。 平成23年 管理業務主任者試験 「問25」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問37」 、 平成18年 管理業務主任者試験 「問18」 など。


  まず、建築物全体の定期報告・検査について、
 平成18年の東京都内での公共賃貸住宅のエレベーターにおける死亡事故、平成19年4月の東京都内の複合ビルのエレベーターにおける発煙事故、同年5月の大阪府内の遊園地のコースターにおける死亡事故、同年6月の東京都内の雑居ビルにおける広告板落下事故等、建築物や昇降機などに関する事故が相次ぎ発生し、この中には、建築物や昇降機などの安全性の確保にとって重要な日常の維持保全や定期報告が適切に行われていなかったことが事故の一因と見られるものがありました。
 これらを受け、平成20年4月から、特殊建築物等や昇降機、遊戯施設、建築設備について定期報告の調査や検査項目が見直されています。
 さらに、福山市のホテル火災、長崎市のグループホーム火災、福岡市の診療所火災など、多数の死者が出る火災事故が続いています。
これらの事故において被害が拡大した原因の一つとして、建築物が適法な状態で管理されていなかったことが掲げられていますが、こうした事態を踏まえ、建築基準法を改正し(建築基準法の一部を改正する法律(平成26年法律第54号))、平成28年6月1日から、新たな制度が施行されることとなりました。  平成26年6月4日(施行:平成28年6月1日)


 なお、定期報告制度の趣旨は、不特定多数の者が利用する建築物や高齢者等の自力避難困難者が就寝用途で利用する建築物については、建築物の不備・不具合等が原因で大きな被害が発生するおそれがあるため、建築物の適切な維持保全を行うことにより、被害を未然に防ぐ必要があります。
 そのため、建築基準法では、建築物の適切な維持保全を担保する仕組みとして、建築物・建築設備・防火設備・昇降機等について、定期的に専門の技術者に調査・検査をさせ、その結果を特定行政庁(建築主事を置く地方公共団体)に報告させることを、建築物の所有者等に義務付けています。
 この制度では、適切に調査・検査をすることで、建築物等の不備・不具合等を所有者等自らが把握し、報告を受けた特定行政庁は、その内容に応じて必要な措置を講じることで、建築物の利用者の安全性の確保を図ることとしています。


 この調査・検査の報告制度は、今までは、地域の実情に応じ、特定行政庁(建築主事を置く地方公共団体)が報告の対象を定めていました。
 それを、今回の改正により、避難上の安全確保等の観点から、
   @不特定多数の者が利用する建築物(特定建築物)及びこれらの建築物に設けられた防火設備
   A高齢者等の自力避難困難者が就寝用途で利用する施設及びこれらの施設に設けられた防火設備
   Bエレベーター、エスカレーター、小荷物専用昇降機
 を国が政令で一律に報告の対象としました。


 具体的には、
  @特定建築物等は「調査」結果...おおむね6月から3年ごとに特定行政庁に報告
  A建築設備・防火設備・昇降機・遊戯施設は「検査」結果の報告...おおむね6月から1年までの。遊戯施設は半年ごとに特定行政庁に報告
 を行うこととなっています。

 
 *調査・検査ができる専門の技術者とは、
 法改正前は、一級建築士、二級建築士の他に、資格者(特殊建築物調査資格者、昇降機検査資格者、建築設備検査資格者)が調査・検査できる事になっていましたが、この資格者を法律に位置づけ、「専門の技術者」とは、建築基準法に規定された次のいずれかの資格を有するものです。
 
 ・ 一級建築士
  ・ 二級建築士 は全部
  ・ そして次の資格者は対象のものだけ調査・検査ができます。
     ・ 建築物 ...特定建築物調査員((特定建築物調査員資格者証の交付を受けている者)     
     ・ 防火設備 ...防火設備検査員(新設)(防火設備検査員資格者証の交付を受けている者)
     ・ 昇降機及び遊戯施設 ...
昇降機等検査員(昇降機等検査員資格者証の交付を受けている者)
     ・ 建築設備 ...建築設備検査員(建築設備検査員資格者証の交付を受けている者)


これを踏まえ、報告・検査は、建築基準法第12条
 「(報告、検査等)
 第十二条 第六条第一項第一号に掲げる建築物で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの(国、都道府県及び建築主事を置く市町村の建築物(以下この項及び第三項において「国等の建築物」という。)を除く。)及び当該政令で定めるもの以外の
特定建築物(同号に掲げる建築物その他政令で定める建築物をいう。以下この条において同じ。)で特定行政庁が指定するもの(国等の建築物を除く。)の所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者。第三項において同じ。)は、これらの建築物の敷地、構造及び建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員資格者証の交付を受けている者(次項及び次条第三項において「建築物調査員」という。)にその状況の調査(これらの建築物の敷地及び構造についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含み、これらの建築物の建築設備及び防火戸その他の政令で定める防火設備(以下「建築設備等」という。)についての第三項の検査を除く。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。
2 国、都道府県又は建築主事を置く市町村の特定建築物の管理者である国、都道府県若しくは市町村の機関の長又はその委任を受けた者(以下この章において「国の機関の長等」という。)は、当該特定建築物の敷地及び構造について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員に、損傷、腐食その他の劣化の状況の点検(当該特定建築物の防火戸その他の前項の政令で定める防火設備についての第四項の点検を除く。)をさせなければならない。ただし、当該特定建築物(第六条第一項第一号に掲げる建築物で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして前項の政令で定めるもの及び同項の規定により特定行政庁が指定するものを除く。)のうち特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て指定したものについては、この限りでない。
3 
特定建築設備等(昇降機及び特定建築物の昇降機以外の建築設備等をいう。以下この項及び次項において同じ。)で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの(国等の建築物に設けるものを除く。)及び当該政令で定めるもの以外の特定建築設備等で特定行政庁が指定するもの(国等の建築物に設けるものを除く。)の所有者は、これらの特定建築設備等について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者(次項及び第十二条の三第二項において「建築設備等検査員」という。)に検査(これらの特定建築設備等についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含む。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。
4 国の機関の長等は、国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物の特定建築設備等について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員に、損傷、腐食その他の劣化の状況の点検をさせなければならない。ただし、当該特定建築設備等(前項の政令で定めるもの及び同項の規定により特定行政庁が指定するものを除く。)のうち特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て指定したものについては、この限りでない。
5 特定行政庁、建築主事又は建築監視員は、次に掲げる者に対して、建築物の敷地、構造、建築設備若しくは用途、建築材料若しくは建築設備その他の建築物の部分(以下「建築材料等」という。)の受取若しくは引渡しの状況、建築物に関する工事の計画若しくは施工の状況又は建築物の敷地、構造若しくは建築設備に関する調査(以下「建築物に関する調査」という。)の状況に関する報告を求めることができる。
   一 建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者、建築主、設計者、建築材料等を製造した者、工事監理者、工事施工者又は建築物に関する調査をした者
   二 第七十七条の二十一第一項の指定確認検査機関
   三 第七十七条の三十五の五第一項の指定構造計算適合性判定機関
6 特定行政庁又は建築主事にあつては第六条第四項、第六条の二第六項、第七条第四項、第七条の三第四項、第九条第一項、第十項若しくは第十三項、第十条第一項から第三項まで、前条第一項又は第九十条の二第一項の規定の施行に必要な限度において、建築監視員にあつては第九条第十項の規定の施行に必要な限度において、当該建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者、建築主、設計者、建築材料等を製造した者、工事監理者、工事施工者又は建築物に関する調査をした者に対し、帳簿、書類その他の物件の提出を求めることができる。
7 建築主事又は特定行政庁の命令若しくは建築主事の委任を受けた当該市町村若しくは都道府県の職員にあつては第六条第四項、第六条の二第六項、第七条第四項、第七条の三第四項、第九条第一項、第十項若しくは第十三項、第十条第一項から第三項まで、前条第一項又は第九十条の二第一項の規定の施行に必要な限度において、建築監視員にあつては第九条第十項の規定の施行に必要な限度において、当該建築物、建築物の敷地、建築材料等を製造した者の工場、営業所、事務所、倉庫その他の事業場、建築工事場又は建築物に関する調査をした者の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、建築物、建築物の敷地、建築設備、建築材料、建築材料等の製造に関係がある物件、設計図書その他建築物に関する工事に関係がある物件若しくは建築物に関する調査に関係がある物件を検査し、若しくは試験し、又は建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者、建築主、設計者、建築材料等を製造した者、工事監理者、工事施工者若しくは建築物に関する調査をした者に対し必要な事項について質問することができる。ただし、住居に立ち入る場合においては、あらかじめ、その居住者の承諾を得なければならない。
8 特定行政庁は、確認その他の建築基準法令の規定による処分並びに第一項及び第三項の規定による報告に係る建築物の敷地、構造、建築設備又は用途に関する台帳を整備し、かつ、当該台帳(当該処分及び当該報告に関する書類で国土交通省令で定めるものを含む。)を保存しなければならない。
9 前項の台帳の記載事項その他その整備に関し必要な事項及び当該台帳(同項の国土交通省令で定める書類を含む。)の保存期間その他その保存に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。」

 とあり、
 建築基準法第12条3項での建築設備等検査員資格者証の種類は、建築基準法施行規則第6条の5
 
「(建築物調査員資格者証等の種類)
 第六条の五 法第十二条第一項(法第八十八条第一項において準用する場合を含む。次条において同じ。)に規定する建築物調査員資格者証の種類は、特定建築物調査員資格者証及び昇降機等検査員資格者証とする。
 2 
法第十二条第三項(法第八十八条第一項において準用する場合を含む。次条において同じ。)に規定する建築設備等検査員資格者証の種類は、建築設備検査員資格者証、防火設備検査員資格者証及び昇降機等検査員資格者証とする。」

 とあり、
 建築設備等検査員資格者証の種類は、
 @建築設備検査員資格者証、
 A防火設備検査員資格者証 及び
 B昇降機等検査員資格者証
 があります。


 これら、@建築設備検査員資格者証、 A防火設備検査員資格者証 及び B昇降機等検査員資格者証 の交付を受けた者は、
  @建築設備検査員
  A防火設備検査員
 
 B昇降機等検査員
 と呼ばれます。(建築基準法施行規則第6条の6 表参照) 


 そこで、建築基準法第12条1項及び3項での、昇降機を定期に検査出来るのは、
  @一級建築士
  A二級建築士
  B
昇降機等検査員 であり、
 設問の、共同住宅に設ける昇降機の所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者)は、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は”建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者”に検査をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならないのうち、”建築設備
検査員資格者証の交付を受けている者”では、昇降機等検査員以外の建築設備検査員や防火設備検査員も含まれるため、誤りです。

 *なお、昇降機(エレベーター)の定期検査と保守点検の違いは、
  ・定期検査とは、建築基準法第12条3項に基づく検査です。
   定期検査では、検査者(一級建築士または二級建築士または昇降機等検査員)がおおむね6ヶ月〜1年ごとに、「エレベーターが国土交通大臣が定める基準に適合しているかどうか」を調べます。
  ・保守点検とは、建築基準法第8条に基づく点検です。
   保守点検では、専門技術者がおおむね月1以内ごとに、「エレベーターに異常がないかどうか」、安全の保持と性能の維持を中心にを調べます。保守点検の記録は3年以上保管するものとされています。(昇降機の維持及び運行の管理に関する指針)


{設問−3}平成29年 管理業務主任者試験 「問27」

【問 27】 建築基準法第12条に規定する建築設備等の報告、検査等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 排煙設備の排煙風量測定の定期報告の時期は、5年の間隔をおいて特定行政庁が定める時期(建築基準法施行規則で別途定めるものを除く。)とする。


X 誤っている。 建築設備(換気設備、排煙設備、非常用の照明装置、給水設備及び排水設備等)の定期報告の時期はおおむね6月から1年までの間隔をおいて特定行政庁が定める時期。5年の間隔ではない。
 訂正:排煙設備の排煙風量測定の定期報告の時期は、1年から3年の間隔で特定行政庁が定める時期に行う。5年の間隔ではない。

 平成29年 マンション管理士試験 「問21」 、平成28年 マンション管理士試験 「問36」平成25年 管理業務主任者試験 「問21」 、平成25年 管理業務主任者試験 「問12」 も 建築基準法第12条からの出題。 平成23年 管理業務主任者試験 「問25」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問37」 、 平成18年 管理業務主任者試験 「問18」

 まず、建築設備等の検査・報告制度は、建築基準法(第12条)に基づき、事故や災害等を未然に防止するために建築物・建築設備・防火設備・昇降機等について、定期的に専門の技術者(一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者(特定建築物調査員、防火設備検査員、昇降機等検査員、建築設備検査員)に調査・検査をさせ、その結果を特定行政庁(建築主事を置く地方公共団体)に報告させることを、建築物の所有者等に義務付けています。

 以前は、この検査・報告制度に入っていなかった昇降機(エレベーター)や防火設備もエレベーター事故、火災事故の多発を受け、平成28年6月1日から、建築基準法を改正し、昇降機や防火設備も対象とし、点検する資格者も改めた新たな制度が施行されることとなりました。

 詳細は、 平成29年 マンション管理士試験 「問21」 の解説をご覧ください。
 
 なお、定期報告を必要とする建築設備や昇降機、防火設備についての検査や報告の詳細は、特定行政庁に任されていて、全国で統一されていないことにも注意してください。

 また、建築設備とは、建築基準法第2条3号
 「(用語の定義)
 第二条 この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
 三 建築設備 建築物に設ける電気、ガス、給水、排水、換気、暖房、冷房、消火、排煙若しくは汚物処理の設備又は煙突、昇降機若しくは避雷針をいう。」
 とあり、 
  ・電気設備 
  ・ガス設備
  ・給水,排水その他の配管設備
  ・換気設備
  ・冷暖房設備
  ・消火設備
  ・排煙設備
  ・汚物処理設備
  ・煙突
  ・昇降機
  ・避雷設備
 です。


 そして、法定点検が義務付けられているのは、
  @昇降機
  A防火設備
  B換気設備
  C排煙設備
  D非常用の照明装置
  E給水設備及び排水設備
 です。
 
 そこで、設問の、排煙設備とは、火災時に煙を機械で吸い上げ排出する設備で、屋上に非常用の電動機とセットになった排煙機本体が据え付けられています。この排煙機本体と各フロアの排煙口がダクトでつながれており、火災時に手動でボタンを押したり、感知器と連動で作動します。排煙口が開くと同時に本体のファンが回り、一気に煙を外部に排出してくれます。
 排煙口は、主に地下や排煙窓が設置できないような場所にあります。そのエリアで火災が発生した場合に、煙の逃げ場がない空間に設置されています。

 
 

 これをもとに、設問をみますと、建築基準法第12条
 「(報告、検査等)
 第十二条 第六条第一項第一号に掲げる建築物で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの(国、都道府県及び建築主事を置く市町村の建築物(以下この項及び第三項において「国等の建築物」という。)を除く。)及び当該政令で定めるもの以外の
特定建築物(同号に掲げる建築物その他政令で定める建築物をいう。以下この条において同じ。)で特定行政庁が指定するもの(国等の建築物を除く。)の所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者。第三項において同じ。)は、これらの建築物の敷地、構造及び建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員資格者証の交付を受けている者(次項及び次条第三項において「建築物調査員」という。)にその状況の調査(これらの建築物の敷地及び構造についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含み、これらの建築物の建築設備及び防火戸その他の政令で定める防火設備(以下「建築設備等」という。)についての第三項の検査を除く。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない
2 国、都道府県又は建築主事を置く市町村の特定建築物の管理者である国、都道府県若しくは市町村の機関の長又はその委任を受けた者(以下この章において「国の機関の長等」という。)は、当該特定建築物の敷地及び構造について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員に、損傷、腐食その他の劣化の状況の点検(当該特定建築物の防火戸その他の前項の政令で定める防火設備についての第四項の点検を除く。)をさせなければならない。ただし、当該特定建築物(第六条第一項第一号に掲げる建築物で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして前項の政令で定めるもの及び同項の規定により特定行政庁が指定するものを除く。)のうち特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て指定したものについては、この限りでない。
3 
特定建築設備等昇降機及び特定建築物の昇降機以外の建築設備等をいう。以下この項及び次項において同じ。)で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの(国等の建築物に設けるものを除く。)及び当該政令で定めるもの以外の特定建築設備等で特定行政庁が指定するもの(国等の建築物に設けるものを除く。)の所有者は、これらの特定建築設備等について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者(次項及び第十二条の三第二項において「建築設備等検査員」という。)に検査(これらの特定建築設備等についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含む。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない
 (以下、略)」
 とあり、
 建築基準法第12条3項での政令は、建築基準法施行令第16条3項
 「
3 法第十二条第三項の政令で定める特定建築設備等は、次に掲げるものとする
   一 第百二十九条の三第一項各号に掲げる
昇降機(使用頻度が低く劣化が生じにくいことその他の理由により人が危害を受けるおそれのある事故が発生するおそれの少ないものとして国土交通大臣が定めるものを除く。)
   二 
防火設備のうち、法第六条第一項第一号に掲げる建築物で第一項各号に掲げるものに設けるもの(常時閉鎖をした状態にあることその他の理由により通常の火災時において避難上著しい支障が生ずるおそれの少ないものとして国土交通大臣が定めるものを除く。)」

 です。
 分かり難い法文と施行令の構成ですが、建築基準法第12条3項で除いた「昇降機」が入り、「防火設備」が規定されています。

 そこで、建築設備や防火設備の定期報告は、建築基準法施行規則第6条1項
 「(建築設備等の定期報告)
 第六条 法第十二条第三項の規定による報告の時期は、
建築設備又は防火設備(以下「建築設備等」という。)の種類、用途、構造等に応じて、おおむね六月から一年まで(ただし、国土交通大臣が定める検査の項目については、一年から三年まで)の間隔をおいて特定行政庁が定める時期(次のいずれかに該当する場合においては、その直後の時期を除く。)とする。
   一 法第十二条第三項の安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定める特定建築設備等について、設置者が法第七条第五項(法第八十七条の二において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)又は法第七条の二第五項(法第八十七条の二において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定による検査済証の交付を受けた場合
   二 法第十二条第三項の規定により特定行政庁が指定する特定建築設備等について、設置者が法第七条第五項又は法第七条の二第五項の規定による検査済証(当該指定があつた日以後の設置に係るものに限る。)の交付を受けた場合
2 法第十二条第三項の規定による検査は、建築設備等の状況について安全上、防火上又は衛生上支障がないことを確認するために十分なものとして行うものとし、当該検査の項目、事項、方法及び結果の判定基準は国土交通大臣の定めるところによるものとする。
3 法第十二条第三項の規定による報告は、昇降機にあつては別記第三十六号の四様式による報告書及び別記第三十六号の五様式による定期検査報告概要書に、建築設備(昇降機を除く。)にあつては別記第三十六号の六様式による報告書及び別記第三十六号の七様式による定期検査報告概要書に、防火設備にあつては別記第三十六号の八様式による報告書及び別記第三十六号の九様式による定期検査報告概要書に、それぞれ国土交通大臣が定める検査結果表を添えてするものとする。ただし、特定行政庁が規則により別記第三十六号の四様式、別記第三十六号の五様式、別記第三十六号の六様式、別記第三十六号の七様式、別記第三十六号の八様式、別記第三十六号の九様式又は国土交通大臣が定める検査結果表その他の事項を記載する報告書の様式又は検査結果表を定めた場合にあつては、当該様式による報告書又は当該検査結果表によるものとする。
4 法第十二条第三項の規定による報告は、前項の報告書及び調査結果表に、特定行政庁が建築設備等の状況を把握するために必要と認めて規則で定める書類を添えて行わなければならない。」

 とあり、
 建築基準法施行規則第6条1項によれば、
建築設備又は防火設備(以下「建築設備等」という。)の種類、用途、構造等に応じて、”おおむね六月から一年までの間隔をおいて特定行政庁が定める時期とする”とありますから、排煙設備の排煙風量測定の定期報告の時期は、”5年の間隔”をおいて特定行政庁が定める時期(建築基準法施行規則で別途定めるものを除く。)とするの、5年の間隔をおいては誤りです。おおむね六月から一年までの間隔が正しい。
 なお、大がかりなものは、3年で一巡することです。

 訂正:2018年 3月 9日:
 排煙設備の排煙風量測定を調べていたら、排煙設備の排煙風量測定は、建築基準法施行規則第6条1項での「
ただし、国土交通大臣が定める検査の項目については、一年から三年までの間隔をおいて特定行政庁が定める時期」での、
  国土交通省告示第285号(平成20年3月10日) 
 建築設備等(昇降機及び遊戯施設を除く。)の定期検査報告における検査及び定期点検における点検の項目、事項、方法並びに結果の判定基準並びに検査結果表を定める件

 に該当していることが分かったので、
 「排煙設備の排煙風量測定の定期報告の時期は、1年から3年の間隔をおいて特定行政庁が定める時期(建築基準法施行規則で別途定めるものを除く。)とあるため、5年の間隔をおいては誤りです、
 に訂正します。


2 防火設備の定期報告の時期は、種類、用途、構造等に応じて、おおむね6月から1年まで(ただし、国土交通大臣が定める検査の項目については、1年から3年まで)の間隔をおいて特定行政庁が定める時期(建築基準法施行規則で別途定めるものを除く。)とする。

〇 正しい。

 設問は、選択肢1で引用しました、建築基準法施行規則第6条1項
 「
法第十二条第三項の規定による報告の時期は、建築設備又は防火設備(以下「建築設備等」という。)の種類、用途、構造等に応じて、おおむね六月から一年まで(ただし、国土交通大臣が定める検査の項目については、一年から三年まで)の間隔をおいて特定行政庁が定める時期(次のいずれかに該当する場合においては、その直後の時期を除く。)とする
 とあり、
 防火設備の定期報告の時期は、種類、用途、構造等に応じて、おおむね6月から1年まで(ただし、国土交通大臣が定める検査の項目については、1年から3年まで)の間隔をおいて特定行政庁が定める時期(建築基準法施行規則で別途定めるものを除く。)とするは、正しい。


3 非常用の照明装置に白熱灯を用いる場合には、避難上必要となる最も暗い部分の水平床面においての照度が1ルクス以上であることを確認する。

〇 正しい。非常用の照明装置に白熱灯を用いる場合は、水平床面においての照度が1ルクス以上であること。

 平成27年 管理業務主任者試験 「問23」 、 平成19年 管理業務主任者試験 「問21」 

 非常用の照明装置は、避難するための通路や居室に対して、一定の照度を確保するための建築基準法での防災設備です。

 

そこで、建築基準法施行令第126条の5
 
「(構造)
 第百二十六条の五 前条の非常用の照明装置は、次の各号のいずれかに定める構造としなければならない。
   一 次に定める構造とすること。
     イ 照明は、直接照明とし、床面において一ルクス以上の照度を確保することができるものとすること。
     ロ 照明器具の構造は、火災時において温度が上昇した場合であつても著しく光度が低下しないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとすること。
     ハ 予備電源を設けること。
     ニ イからハまでに定めるもののほか、非常の場合の照明を確保するために必要があるものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとすること。
  
 二 火災時において、停電した場合に自動的に点灯し、かつ、避難するまでの間に、当該建築物の室内の温度が上昇した場合にあつても床面において一ルクス以上の照度を確保することができるものとして、国土交通大臣の認定を受けたものとすること。」

 とあります。

 そして、なお、非常用の照明装置に白熱灯を用いる場合は、
 ○建築設備(昇降機を除く。)の定期検査報告における検査及び定期点検における点検の項目、事項、方法及び結果の判定基準並びに検査結果表を定める件
 (平成二十年三月十日) (国土交通省告示第二百八十五号) 

 によれば、
 検査方法ととして照度測定は、 別表第三 二 照度には
 「
避難上必要となる部分のうち最も暗い部分の水平床面において低照度測定用照度計により測定する。」
 とあり、
 非常用の照明装置に白熱灯を用いる場合には、避難上必要となる最も暗い部分の水平床面においての照度が1ルクス以上であることを確認するは、正しい。

 なお、蛍光灯やLED光源を非常用照明とする場合、高温になると明るさが半減するので2ルクス以上の照度が必要になります。


 この明るさ(ルクス)は、防犯とは異なり、かなり低めですから、混同しないようにしてください。


4 昇降機を含む特定建築設備等について、一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者は、建築基準法施行規則で定める定期検査を行うことができる。

〇 正しい? この設問では、建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者ならば、誰でも昇降機を含む特定建築設備等についてすべての定期検査ができるともなるが。
 平成29年 マンション管理士試験 「問21」 も参考に。

 定期検査を行うことのできる資格者は、選択肢1で引用しました、建築基準法第12条3項
 「
(報告、検査等)
 3 
特定建築設備等(昇降機及び特定建築物の昇降機以外の建築設備等をいう。以下この項及び次項において同じ。)で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの(国等の建築物に設けるものを除く。)及び当該政令で定めるもの以外の特定建築設備等で特定行政庁が指定するもの(国等の建築物に設けるものを除く。)の所有者は、これらの特定建築設備等について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者(次項及び第十二条の三第二項において「建築設備等検査員」という。)に検査(これらの特定建築設備等についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含む。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない

 とあり、
 この設問では、「建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者」での詳細がないのが、 平成29年のマンション管理士試験 「問29」 で出題元の 公益財団法人 マンション管理センターから出題のミスとなったのと同様に「建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者」ならば、誰でも昇降機を含む特定建築設備等のすべての定期検査を行うことができると受け取ることができる可能性もあるが、条文からは仕方ないか。

 注:*調査・検査ができる専門の技術者とは、
 法改正前は、一級建築士、二級建築士の他に、資格者(特殊建築物調査資格者、昇降機検査資格者、建築設備検査資格者)が調査・検査できる事になっていましたが、この資格者を法律に位置づけ、「専門の技術者」とは、建築基準法に規定された次のいずれかの資格を有するものです。
  ・ 一級建築士
  ・ 二級建築士 は全部
  ・ 
そして次の資格者は対象のものだけ調査・検査ができます
     ・ 建築物 ...特定建築物調査員((特定建築物調査員資格者証の交付を受けている者)     
     ・ 防火設備 ...防火設備検査員(新設)(防火設備検査員資格者証の交付を受けている者)
     ・ 昇降機及び遊戯施設 ... 昇降機等検査員(昇降機等検査員資格者証の交付を受けている者)
     ・ 建築設備 ...建築設備検査員(建築設備検査員資格者証の交付を受けている者)



答え:1
 
 ここ「問27」は、追及すると、かなり難しい。選択肢1が誤りとはすぐに分かるが、建築設備や他の解説もしたため、約7時間もかかった。

2018年 3月 9日:再度見直しをしていて、排煙設備の排煙風量測定が、国土交通省告示に該当していることが、分かって、定期報告の期間を「おおむね6ヵ月から1年まで」から、「1年から3年まで」に訂正した。
 まったく、難しい。

  選択肢4の定期検査ができる者については、これは、もう建築基準法第12条3項の「一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者」という表現が曖昧だということで、これは直ちに条文を改正しなければ、いけない。

《タグ》建築基準法 建築設備 定期検査・報告 排煙設備 防火設備 非常用の照明装置 1ルクス 一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者



(建築物調査員資格者証)  
第十二条の二

  国土交通大臣は、次の各号のいずれかに該当する者に対し、建築物調査員資格者証を交付する。
   一 前条第一項の調査及び同条第二項の点検(次項第四号及び第三項第三号において「調査等」という。)に関する講習で国土交通省令で定めるものの課程を修了した者
   二 前号に掲げる者と同等以上の専門的知識及び能力を有すると国土交通大臣が認定した者

2 国土交通大臣は、前項の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当する者に対しては、建築物調査員資格者証の交付を行わないことができる。
   一 未成年者
   二 建築基準法令の規定により刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者
   三 次項(第二号を除く。)の規定により建築物調査員資格者証の返納を命ぜられ、その日から起算して一年を経過しない者
   四 心身の故障により調査等の業務を適正に行うことができない者として国土交通省令で定めるもの

3 国土交通大臣は、建築物調査員が次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、その建築物調査員資格者証の返納を命ずることができる。
   一 この法律又はこれに基づく命令の規定に違反したとき。
   二 前項第三号又は第四号のいずれかに該当するに至つたとき。
   三 調査等に関して不誠実な行為をしたとき。
   四 偽りその他不正の手段により建築物調査員資格者証の交付を受けたとき。

4 建築物調査員資格者証の交付の手続その他建築物調査員資格者証に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。

過去出題 マンション管理士  
管理業務主任者  

12条の2:建築物調査員資格者証 は、平成27年6月1日施行(一部は平成28年6月1日施行)により、新規に設けられた規定です。

 前の12条の規定により、新しく「建築物調査員」が設けられたことに伴い、講習等で建築物調査員として認定されますと、建築物調査員資格証が交付されます。

★建築物調査員は、劇場、病院、百貨店などの外壁の損傷の有無、天井の耐震対策の状況の確認などを実施します。
 以前は、特殊建物等調査資格者と呼ばれていた人です。
 


(建築設備等検査員資格者証)  
第十二条の三

 建築設備等検査員資格者証の種類は、国土交通省令で定める。

2 建築設備等検査員が第十二条第三項の検査及び同条第四項の点検(次項第一号において「検査等」という。)を行うことができる建築設備等の種類は、前項の建築設備等検査員資格者証の種類に応じて国土交通省令で定める。

3 国土交通大臣は、次の各号のいずれかに該当する者に対し、建築設備等検査員資格者証を交付する。
   一 検査等に関する講習で建築設備等検査員資格者証の種類ごとに国土交通省令で定めるものの課程を修了した者
   二 前号に掲げる者と同等以上の専門的知識及び能力を有すると国土交通大臣が認定した者

4 前条第二項から第四項までの規定は、建築設備等検査員資格者証について準用する。この場合において、同条第二項中「前項」とあるのは「次条第三項」と、同項第四号及び同条第三項第三号中「調査等」とあるのは「次条第二項に規定する検査等」と読み替えるものとする。

過去出題 マンション管理士  
管理業務主任者  

12条の3:建築設備等検査員資格者証 は、平成27年6月1日施行(一部は平成28年6月1日施行)により、新規に設けられた規定です。

 前の12条の規定により、新しく「建築設備等検査員」が設けられたことに伴い、講習等で建築設備等検査員として認定されますと、建築設備等検査員資格証が交付されます。

★建築設備等検査員
 建築設備等検査員には、
 @防火設備検査員…防火壁、防火シャッターなどの駆動装置の点検、感知器と連動させた動作の確認などを実施します。
 A昇降機検査員…エレベーター、エスカレーターなどの安全装置の点検、動作確認などを実施します。
 B建築設備検査員…配管設備の腐食状況の点検、換気設備の換気量の確認などを実施します。


(身分証明書の携帯)
第十三条 

 建築主事、建築監視員若しくは特定行政庁の命令若しくは建築主事の委任を受けた当該市町村若しくは都道府県の職員が 第十二条第七項 (旧:前条第六項) の規定によつて建築物、建築物の敷地若しくは建築工事場に立ち入る場合又は建築監視員が第九条の二(第九十条第三項において準用する場合を含む。)の規定による権限を行使する場合においては、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

2  第十二条第七項 (旧:前条第六項) の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

過去出題 マンション管理士  
管理業務主任者  

13条:身分証明書の携帯
 建築監視員などは、身分証明書を持っていて、関係者に提示義務があります。


(都道府県知事又は国土交通大臣の勧告、助言又は援助)
第十四条

 建築主事を置く市町村の長は、都道府県知事又は国土交通大臣に、都道府県知事は、国土交通大臣に、この法律の施行に関し必要な助言又は援助を求めることができる。

2  国土交通大臣は、特定行政庁に対して、都道府県知事は、建築主事を置く市町村の長に対して、この法律の施行に関し必要な勧告、助言若しくは援助をし、又は必要な参考資料を提供することができる。

過去出題 マンション管理士  
管理業務主任者  

14条:都道府県知事又は国土交通大臣の勧告、助言又は援助

 建築基準法は条文が多くて分かり難い!
 また、多くの部分が地方自治体に任せられている!

★しかし、
  小さな地方自治体では、あまり建築基準法に精通していないこともあります。
  そのような場合には、都道府県知事又は国土交通大臣に聞いてくれということです。


(届出及び統計)
第十五条

 建築主が建築物を建築しようとする場合又は建築物の除却の工事を施工する者が建築物を除却しようとする場合においては、これらの者は、建築主事を経由して、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。ただし、当該建築物又は当該工事に係る部分の床面積の合計が十平方メートル以内である場合においては、この限りでない。

2  前項の規定にかかわらず、同項の建築物の建築又は除却が第一号の耐震改修又は第二号の建替えに該当する場合における同項の届出は、それぞれ、当該各号に規定する所管行政庁が都道府県知事であるときは直接当該都道府県知事に対し、市町村の長であるときは当該市町村の長を経由して行わなければならない。
    一  建築物の耐震改修の促進に関する法律 (平成七年法律第百二十三号)第八条第一項 の規定により建築物の耐震改修(増築又は改築に限る。)の計画の認定を同法第二条第三項 の所管行政庁に申請する場合の当該耐震改修
   二  密集市街地整備法第四条第一項 の規定により建替計画の認定を同項 の所管行政庁に申請する場合の当該建替え

3  市町村の長は、当該市町村の区域内における建築物が火災、震災、水災、風災その他の災害により滅失し、又は損壊した場合においては、都道府県知事に報告しなければならない。ただし、当該滅失した建築物又は損壊した建築物の損壊した部分の床面積の合計が十平方メートル以内である場合においては、この限りでない。

4  都道府県知事は、前三項の規定による届出及び報告に基づき、建築統計を作成し、これを国土交通大臣に送付し、かつ、関係書類を国土交通省令で定める期間保存しなければならない。

5  前各項の規定による届出、報告並びに建築統計の作成及び送付の手続は、国土交通省令で定める。

過去出題 マンション管理士  
管理業務主任者 H17年、

15条:届出及び統計

 建築物の建築と除却では、都道府県知事に届け出なければならない
 この届出により、建築統計が作成されます。

★建築物を建築しようとする場合は、届けをだすのは、建築主です。
  しかし、除却は、工事を施工する者です。 間違えないように。(1項)

★届出先は、都道府県知事ですが、建築主事経由です。


{設問}平成17年 管理業務主任者 試験 「問19」
次に掲げる各種手続について、手続を行う主体及び手続のあて先の組み合わせのうち、建築基準法の原則的規定によれば、誤っているものはどれか。

  

1→○ 建築確認申請:建築主 ->建築主事又は指定確認検査機関。建築基準法第6条、第6条の2。

2→○ 建築物工事届:建築主 ->都道府県知事。建築基準法第15条。

3→× 建築物除却届:除却の工事を施行する者 ->都道府県知事。建築基準法第15条「建築主が建築物を建築しようとする場合又は建築物の除却の工事を施工する者が建築物を除却しようとする場合においては、これらの者は、その旨を都道府県知事に届けなければならない。」とある。設問では、「建築物除却届の手続きの主体を建築主」としており誤りである。正しくは「施工者」である。

4→○ 定期検査、検査の報告:所有者又は管理者 ->特定行政庁。建築基準法第12条1項、2項 。

答え:3  (かなり、引っ掛け的な出題)




(報告、検査等)  
第十五条の二

 国土交通大臣は、第一条の目的を達成するため特に必要があると認めるときは、建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者、建築主、設計者、建築材料等を製造した者、工事監理者、工事施工者、建築物に関する調査をした者若しくは第六十八条の十第一項の型式適合認定、第六十八条の二十五第一項の構造方法等の認定若しくは第六十八条の二十六の特殊構造方法等認定(以下この項において「型式適合認定等」という。)を受けた者に対し、建築物の敷地、構造、建築設備若しくは用途、建築材料等の受取若しくは引渡しの状況、建築物に関する工事の計画若しくは施工の状況若しくは建築物に関する調査の状況に関する報告若しくは帳簿、書類その他の物件の提出を求め、又はその職員に、建築物、建築物の敷地、建築材料等を製造した者の工場、営業所、事務所、倉庫その他の事業場、建築工事場、建築物に関する調査をした者の営業所、事務所その他の事業場若しくは型式適合認定等を受けた者の事務所その他の事業場に立ち入り、建築物、建築物の敷地、建築設備、建築材料、建築材料等の製造に関係がある物件、設計図書その他建築物に関する工事に関係がある物件、建築物に関する調査に関係がある物件若しくは型式適合認定等に関係がある物件を検査させ、若しくは試験させ、若しくは建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者、建築主、設計者、建築材料等を製造した者、工事監理者、工事施工者、建築物に関する調査をした者若しくは型式適合認定等を受けた者に対し必要な事項について質問させることができる。ただし、住居に立ち入る場合においては、あらかじめ、その居住者の承諾を得なければならない。

2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

3 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

過去出題 マンション管理士  
管理業務主任者  

 ◎15条の2:報告、検査等 は、平成27年6月1日施行で、新規に設けられた規定です。

★国土交通大臣が、広く、報告や立ち入り検査検査ができるものです。
 当然ながら、この立入検査は、犯罪捜査ではありませんから、慎重さが求められています。


(国土交通大臣又は都道府県知事への報告)
第十六条

 国土交通大臣は、特定行政庁に対して、都道府県知事は、建築主事を置く市町村の長に対して、この法律の施行に関して必要な報告又は統計の資料の提出を求めることができる。

過去出題 マンション管理士  
管理業務主任者  

★国土交通大臣は、特定行政庁に対して、都道府県知事は、建築主事を置く市町村の長に対して、この法律の施行に関して必要な報告又は統計の資料の提出を求めることができる。条文のとおりです。


(特定行政庁等に対する指示等)
第十七条

 国土交通大臣は、都道府県若しくは市町村の建築主事の処分がこの法律若しくはこれに基づく命令の規定に違反し、又は都道府県若しくは市町村の建築主事がこれらの規定に基づく処分を怠つている場合において、国の利害に重大な関係がある建築物に関し必要があると認めるときは、当該都道府県知事又は市町村の長に対して、期限を定めて、都道府県又は市町村の建築主事に対し必要な措置を命ずべきことを指示することができる。

2  国土交通大臣は、都道府県の建築主事の処分がこの法律若しくはこれに基づく命令の規定に違反し、又は都道府県の建築主事がこれらの規定に基づく処分を怠つている場合において、これらにより多数の者の生命又は身体に重大な危害が発生するおそれがあると認めるときは、当該都道府県知事に対して、期限を定めて、都道府県の建築主事に対し必要な措置を命ずべきことを指示することができる。

3  都道府県知事は、市町村の建築主事の処分がこの法律若しくはこれに基づく命令の規定に違反し、又は市町村の建築主事がこれらの規定に基づく処分を怠つている場合において、これらにより多数の者の生命又は身体に重大な危害が発生するおそれがあると認めるときは、当該市町村の長に対して、期限を定めて、市町村の建築主事に対し必要な措置を命ずべきことを指示することができる。

4  国土交通大臣は、前項の場合において都道府県知事がそのすべき指示をしないときは、自ら同項の指示をすることができる。

5  都道府県知事又は市町村の長は、正当な理由がない限り、前各項の規定により国土交通大臣又は都道府県知事が行つた指示に従わなければならない。

6  都道府県又は市町村の建築主事は、正当な理由がない限り、第一項から第四項までの規定による指示に基づく都道府県知事又は市町村の長の命令に従わなければならない。

7  国土交通大臣は、都道府県知事若しくは市町村の長が正当な理由がなく、所定の期限までに、第一項の規定による指示に従わない場合又は都道府県若しくは市町村の建築主事が正当な理由がなく、所定の期限までに、第一項の規定による国土交通大臣の指示に基づく都道府県知事若しくは市町村の長の命令に従わない場合においては、正当な理由がないことについて社会資本整備審議会の確認を得た上で、自ら当該指示に係る必要な措置をとることができる。

8  国土交通大臣は、都道府県知事若しくは市町村の長がこの法律若しくはこれに基づく命令の規定に違反し、又はこれらの規定に基づく処分を怠つている場合において、国の利害に重大な関係がある建築物に関し必要があると認めるときは、当該都道府県知事又は市町村の長に対して、期限を定めて、必要な措置をとるべきことを指示することができる。

9  国土交通大臣は、都道府県知事がこの法律若しくはこれに基づく命令の規定に違反し、又はこれらの規定に基づく処分を怠つている場合において、これらにより多数の者の生命又は身体に重大な危害が発生するおそれがあると認めるときは、当該都道府県知事に対して、期限を定めて、必要な措置をとるべきことを指示することができる。

10  都道府県知事は、市町村の長がこの法律若しくはこれに基づく命令の規定に違反し、又はこれらの規定に基づく処分を怠つている場合において、これらにより多数の者の生命又は身体に重大な危害が発生するおそれがあると認めるときは、当該市町村の長に対して、期限を定めて、必要な措置をとるべきことを指示することができる。

11  第四項及び第五項の規定は、前三項の場合について準用する。この場合において、第五項中「前各項」とあるのは、「第八項から第十項まで又は第十一項において準用する第四項」と読み替えるものとする。

12  国土交通大臣は、都道府県知事又は市町村の長が正当な理由がなく、所定の期限までに、第八項の規定による指示に従わない場合においては、正当な理由がないことについて社会資本整備審議会の確認を得た上で、自ら当該指示に係る必要な措置をとることができる。

過去出題 マンション管理士  
管理業務主任者  

★17条は、建築主事の職務内容に不十分な点があれば、国土交通大臣、都道府県知事が必要な指示ができることを定めています。(1項、3項)


(国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物に対する確認、検査又は是正措置に関する手続の特例)
第十八条   (改正あり:令和元年6月25日施行)

 国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物及び建築物の敷地については、第六条から第七条の六まで、第九条から 第九条の三まで、第十条 及び第九十条の二の規定は、適用しない。この場合においては、次項から 第二十五項までの規定に定めるところによる。

2  第六条第一項の規定によつて建築し、又は大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする建築物の建築主が国、都道府県又は建築主事を置く市町村である場合においては、当該国の機関の長等は、当該工事に着手する前に、その計画を建築主事に通知しなければならない。
  ただし、防火地域及び準防火地域外において建築物を増築し、改築し、又は移転しようとする場合(当該増築、改築又は移転に係る部分の床面積の合計が十平方メートル以内である場合に限る。)においては、この限りでない。

3 建築主事は、前項の通知を受けた場合においては、第六条第四項に定める期間内に、当該通知に係る建築物の計画が建築基準関係規定(第六条の四第一項第一号若しくは第二号に掲げる建築物の建築、大規模の修繕若しくは大規模の模様替又は同項第三号に掲げる建築物の建築について通知を受けた場合にあつては、同項の規定により読み替えて適用される第六条第一項に規定する建築基準関係規定。以下この項及び第十四項において同じ。)に適合するかどうかを審査し、審査の結果に基づいて、建築基準関係規定に適合することを認めたときは、当該通知をした国の機関の長等に対して確認済証を交付しなければならない。

4 国の機関の長等は、第二項の場合において、同項の通知に係る建築物の計画が特定構造計算基準又は特定増改築構造計算基準に適合するかどうかの前項に規定する審査を要するものであるときは、当該建築物の計画を都道府県知事に通知し、構造計算適合性判定を求めなければならない。ただし、当該建築物の計画が特定構造計算基準(第二十条第一項第二号イの政令で定める基準に従つた構造計算で同号イに規定する方法によるものによつて確かめられる安全性を有することに係る部分のうち前項に規定する審査が比較的容易にできるものとして政令で定めるものに限る。)又は特定増改築構造計算基準(同項に規定する審査が比較的容易にできるものとして政令で定めるものに限る。)に適合するかどうかを第六条の三第一項ただし書の国土交通省令で定める要件を備える者である建築主事が前項に規定する審査をする場合は、この限りでない。


 (旧:4 は入れ替え)  建築主事は、前項の場合において、第二項の通知に係る建築物の計画が第二十条第二号又は第三号に定める基準に適合するかどうかを審査するときは、都道府県知事の構造計算適合性判定を求めなければならない。

5 都道府県知事は、前項の通知を受けた場合において、当該通知に係る建築物の計画が建築基準関係規定に適合するものであることについて当該都道府県に置かれた建築主事が第三項に規定する審査をするときは、当該建築主事を当該通知に係る構造計算適合性判定に関する事務に従事させてはならない。

6 都道府県知事は、特別な構造方法の建築物の計画について第四項の構造計算適合性判定を行うに当たつて必要があると認めるときは、当該構造方法に係る構造計算に関して専門的な識見を有する者の意見を聴くものとする。

7 都道府県知事は、第四項の通知を受けた場合においては、その通知を受けた日から十四日以内に、当該通知に係る構造計算適合性判定の結果を記載した通知書を当該通知をした国の機関の長等に交付しなければならない。

8 都道府県知事は、前項の場合(第四項の通知に係る建築物の計画が特定構造計算基準(第二十条第一項第二号イの政令で定める基準に従つた構造計算で同号イに規定する方法によるものによつて確かめられる安全性を有することに係る部分に限る。)に適合するかどうかの判定を求められた場合その他国土交通省令で定める場合に限る。)において、前項の期間内に当該通知をした国の機関の長等に同項の通知書を交付することができない合理的な理由があるときは、三十五日の範囲内において、同項の期間を延長することができる。この場合においては、その旨及びその延長する期間並びにその期間を延長する理由を記載した通知書を同項の期間内に当該通知をした国の機関の長等に交付しなければならない。

9 都道府県知事は、第七項の場合において、第四項の通知の記載によつては当該建築物の計画が特定構造計算基準又は特定増改築構造計算基準に適合するかどうかを決定することができない正当な理由があるときは、その旨及びその理由を記載した通知書を第七項の期間(前項の規定により第七項の期間を延長した場合にあつては、当該延長後の期間)内に当該通知をした国の機関の長等に交付しなければならない。

(旧:9 は入れ替え)  第四項の構造計算適合性判定に要する費用は、当該構造計算適合性判定を求めた建築主事が置かれた都道府県又は市町村の負担とする。

10 国の機関の長等は、第七項の規定により同項の通知書の交付を受けた場合において、当該通知書が適合判定通知書であるときは、第三項の規定による審査をする建築主事に、当該適合判定通知書又はその写しを提出しなければならない。ただし、当該建築物の計画に係る第十四項の通知書の交付を受けた場合は、この限りでない。

(旧:10 は入れ替え)  建築主事は、第四項の構造計算適合性判定により適合判定がされた場合に限り、第三項の確認済証を交付することができる。


11 国の機関の長等は、前項の場合において、第三項の期間(第十三項の規定により第三項の期間が延長された場合にあつては、当該延長後の期間)の末日の三日前までに、前項の適合判定通知書又はその写しを当該建築主事に提出しなければならない。

12 建築主事は、第三項の場合において、第二項の通知に係る建築物の計画が第四項の構造計算適合性判定を要するものであるときは、当該通知をした国の機関の長等から第十項の適合判定通知書又はその写しの提出を受けた場合に限り、第三項の確認済証を交付することができる。

13 (旧:11)  建築主事は、第三項の場合(第二項の通知に係る建築物の計画が
特定構造計算基準(第二十条第一項第二号イ (旧:第二十条第二号に定める基準(同号イ) の政令で定める基準に従つた構造計算で同号イに規定する方法によるものによつて確かめられる安全性を有することに係る部分に限る。)に適合するかどうかを審査する場合その他国土交通省令で定める場合に限る。)において、第三項の期間内に当該通知をした国の機関の長等に同項の確認済証を交付することができない合理的な理由があるときは、三十五日の範囲内において、同項の期間を延長することができる。この場合においては、その旨及びその延長する期間並びにその期間を延長する理由を記載した通知書を同項の期間内に当該通知をした国の機関の長等に交付しなければならない。


14 建築主事は、第三項の場合において、第二項の通知に係る建築物の計画が建築基準関係規定に適合しないことを認めたとき、又は建築基準関係規定に適合するかどうかを決定することができない正当な理由があるときは、その旨及びその理由を記載した通知書を第三項の期間(前項の規定により第三項の期間を延長した場合にあつては、当該延長後の期間)内に当該通知をした国の機関の長等に交付しなければならない。

15 第二項の通知に係る建築物の建築、大規模の修繕又は大規模の模様替の工事は、第三項の確認済証の交付を受けた後でなければすることができない。

16 国の機関の長等は、当該工事を完了した場合においては、その旨を、工事が完了した日から四日以内に到達するように、建築主事に通知しなければならない。

17 建築主事が前項の規定による通知を受けた場合においては、建築主事等は、その通知を受けた日から七日以内に、その通知に係る建築物及びその敷地が建築基準関係規定(第七条の五に規定する建築物の建築、大規模の修繕又は大規模の模様替の工事について通知を受けた場合にあつては、第六条の四第一項の規定により読み替えて適用される第六条第一項に規定する建築基準関係規定。以下この条において同じ。)に適合しているかどうかを検査しなければならない。

18 建築主事等は、前項の規定による検査をした場合において、当該建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合していることを認めたときは、国の機関の長等に対して検査済証を交付しなければならない。

19 国の機関の長等は、当該工事が特定工程を含む場合において、当該特定工程に係る工事を終えたときは、その都度、その旨を、その日から四日以内に到達するように、建築主事に通知しなければならない。

20 建築主事が前項の規定による通知を受けた場合においては、建築主事等は、その通知を受けた日から四日以内に、当該通知に係る工事中の建築物等について、検査前に施工された工事に係る建築物の部分及びその敷地が建築基準関係規定に適合するかどうかを検査しなければならない。

21 建築主事等は、前項の規定による検査をした場合において、工事中の建築物等が建築基準関係規定に適合することを認めたときは、国土交通省令で定めるところにより、国の機関の長等に対して当該特定工程に係る中間検査合格証を交付しなければならない。

22 特定工程後の工程に係る工事は、前項の規定による当該特定工程に係る中間検査合格証の交付を受けた後でなければ、これを施工してはならない。

23 建築主事等は、第二十項の規定による検査において建築基準関係規定に適合することを認められた工事中の建築物等について、第十七項又は第二十項の規定による検査をするときは、同項の規定による検査において建築基準関係規定に適合することを認められた建築物の部分及びその敷地については、これらの規定による検査をすることを要しない。

24 第六条第一項第一号から第三号までの建築物を新築する場合又はこれらの建築物(共同住宅以外の住宅及び居室を有しない建築物を除く。)の増築、改築、移転、大規模の修繕若しくは大規模の模様替の工事で避難施設等に関する工事を含むものをする場合においては、第十八項の検査済証の交付を受けた後でなければ、当該新築に係る建築物又は当該避難施設等に関する工事に係る建築物若しくは建築物の部分を使用し、又は使用させてはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合には、検査済証の交付を受ける前においても、仮に、当該建築物又は建築物の部分を使用し、又は使用させることができる。
   一 特定行政庁が、安全上、防火上又は避難上支障がないと認めたとき。
   二 建築主事が、安全上、防火上及び避難上支障がないものとして国土交通大臣が定める基準に適合していることを認めたとき。
   三 第十六項の規定による通知をした日から七日を経過したとき。

25 特定行政庁は、国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物又は建築物の敷地が第九条第一項、第十条第一項若しくは第三項又は第九十条の二第一項の規定に該当すると認める場合においては、直ちに、その旨を当該建築物又は建築物の敷地を管理する国の機関の長等に通知し、これらの規定に掲げる必要な措置をとるべきことを要請しなければならない。
   

過去出題 マンション管理士  
管理業務主任者  

★18条:国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物に対する確認、検査又は是正措置に関する手続の特例

◎平成27年6月1日施行の改正により、かなり変更がありました。
 
 特定行政庁のみが承認できた工事中の仮使用について、一定の要件を満たせば、指定確認検査機関が認めれば、仮使用ができるようになりました。




★国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物に対する確認、検査又は是正措置に関する手続の特例

ここも、条文を読んでおいてください。 


(指定構造計算適合性判定機関による構造計算適合性判定の実施)
第十八条の二 

 都道府県知事は、第七十七条の三十五の二から第七十七条の三十五の五までの規定の定めるところにより 国土交通大臣又は都道府県知事が 指定する者に、第六条の三第一項 (旧:第六条第五項、第六条の二第三項) 及び前条第四項の構造計算適合性判定の全部又は一部を行わせることができる。

2 前項の規定による指定は、二以上の都道府県の区域において同項の規定による構造計算適合性判定の業務を行おうとする者を指定する場合にあつては国土交通大臣が、一の都道府県の区域において同項の規定による構造計算適合性判定の業務を行おうとする者を指定する場合にあつては都道府県知事がするものとする。

3 (旧:2)  都道府県知事は、第一項 (旧:前項) の規定による指定を 受けた者に構造計算適合性判定の全部又は一部を行わせることと したときは、当該構造計算適合性判定の全部又は一部 (旧:当該指定を受けた者が行う構造計算適合性判定) を行わないものとする。

4 (旧:3)  第一項の規定による指定を受けた者が構造計算適合性判定を行う場合における 第六条の三第一項及び第三項から第六項まで (旧:第六条第五項及び第七項から第九項まで、第六条の二第三項から第六項まで) 並びに前条第四項及び第六項から 第九項 (旧:第八項) までの規定の適用については、これらの規定中「都道府県知事」とあるのは、「第十八条の二第一項の規定による指定を受けた者」とする。

過去出題 マンション管理士  
管理業務主任者  

★18条の2:指定構造計算適合性判定機関による構造計算適合性判定の実施

◎平成27年6月1日施行で、今まで建築主事等による構造計算適合性判定を、建築主が直接、指定構造計算適合性判定機関等に判定の申請ができるようになりました。



★構造計算適合判定も民間ができます。
  都道府県知事も、構造計算適合性判定を指定の機関に任せることができます。(1項)

★詳細は、6条 を参照してください。

★これが、現在、新築が遅れている一因ですけど。そこで、平成27年に改正がありました。

 


(確認審査等に関する指針等)
第十八条の三  

 国土交通大臣は、第六条第四項及び第十八条第三項(これらの規定を第八十七条第一項、第八十七条の四並びに第八十八条第一項及び第二項において準用する場合を含む。)に規定する審査、第六条の二第一項(第八十七条第一項、第八十七条の四並びに第八十八条第一項及び第二項において準用する場合を含む。)の規定による確認のための審査、第六条の三第一項及び第十八条第四項に規定する構造計算適合性判定、第七条第四項、第七条の二第一項及び第十八条第十七項(これらの規定を第八十七条の四並びに第八十八条第一項及び第二項において準用する場合を含む。)の規定による検査並びに第七条の三第四項、第七条の四第一項及び第十八条第二十項(これらの規定を第八十七条の四及び第八十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定による検査(以下この条及び第七十七条の六十二第二項第三号において「確認審査等」という。)の公正かつ適確な実施を確保するため、確認審査等に関する指針を定めなければならない

2 国土交通大臣は、前項の指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

3 確認審査等は、前項の規定により公表された第一項の指針に従つて行わなければならない。

過去出題 マンション管理士  
管理業務主任者  

★18条の3:確認審査等に関する指針等

 国土交通大臣は、確認審査などについて、どうすればいいのか、指針を定めて、広く公表しろということです。

 詳細は、条文を読んでおいてください。


 

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最終更新日:
2022年 3月11日:再度見直した。
2022年 3月 5日:条文を見直した。最新に更新した。
2021年 2月 7日:第6条の「建築確認申請」を、かなり追記した。
施行令第137条の17 → 第137条の18 へ改正があった。
2021年 2月 3日;第6条「建築確認申請」を追記した。
2019年 8月 8日:施行:令和元年6月25日に対応した。
第6条1項1号の改正。100u → 200u
2019年 8月 8日:第53条第3項、5項などの改正、追加を入れた。
2019年 8月 8日:第8条2項の改正、第9条の4 を追加した
2018年 3月19日:「田園住居地域」を入れた。
2018年3月17日:平成29年と平成28年の出題、第12条を入れた。
2015年 4月16日:平成27年6月1日改正施行に合わせた。
また、平成26年度の出題年を入れた。
2014年 2月23日:平成25年の出題年を入れた。
2013年 3月24日:平成24年の出題年を入。
2012年 3月21日:平成23年の出題年記入。
2011年 5月 8日:改正を確認した。
2010年1月24日:H21年の出題年記入
2008年10月26日  

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